説明

印刷装置

【課題】印刷開始位置に向けて給入したトレイを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる印刷装置を提供すること。
【解決手段】ディスクトレイTRを開口13から給入して、副走査方向に搬送すると、光ディスクDを副走査方向に2等分した一方の領域のうち、検出位置Kを通過した外形線上の2点α、βが検出される。そして、その2点α、βと、光ディスクDの半径rとに基づいて光ディスクDの中心位置Oが算出され、その算出された中心位置Oから規定される印刷開始位置にディスクトレイTRが搬送される。よって、ディスクトレイTRを供入してからディスクトレイTRを停止させることなく正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したディスクトレイTRを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)等の円形に形成された記録媒体をトレイに載置し、その記録媒体の表面に画像を印刷可能な印刷装置が知られている。
【0003】
この種の印刷装置に関し、例えば、特許文献1には、光ディスク11を載置するディスクトレイ20を印刷開始位置に移動するまでの間に、ディストレイ20を複数回停止させ、その停止しているディスクトレイ20に対してキャリッジ30を複数回走査して、キャリッジ30に搭載されているディスク位置センサ55によって、光ディスク11上の印刷可能領域11Aを検出する印刷装置2が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−100366(段落第「0046」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている印刷装置2では、ディスクトレイ20を印刷開始位置に移動するまでの間に、ディストレイ20を複数回停止させ、キャリッジ30を複数回走査する必要があったので、ディスクトレイ20を印刷開始位置まで移動させるのに長時間を要するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、印刷開始位置に向けて給入したトレイを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる印刷装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1に記載の印刷装置は、円形の記録媒体を載置するトレイと、そのトレイを副走査方向に搬送する搬送装置と、その搬送装置によって前記トレイと共に搬送される前記記録媒体に画像を印刷する印刷ヘッドとを備えたものであって、前記記録媒体を前記副走査方向に2等分した一方の領域が前記副走査方向に通過する所定位置を検出位置として、その検出位置を通過した前記一方の領域の外形線上の2点を検出する検出手段と、前記記録媒体の径の長さと、前記検出手段によって検出される2点とに基づいて前記記録媒体の中心位置を算出する算出手段と、その算出手段によって算出された中心位置から規定される印刷開始位置に前記トレイが搬送されるように前記搬送装置を制御する搬送制御手段とを備えている。
【0008】
請求項2記載の印刷装置は、円形の記録媒体を載置するトレイと、そのトレイを副走査方向に搬送する搬送装置と、その搬送装置によって前記トレイと共に搬送される前記記録媒体に画像を印刷する印刷ヘッドとを備えたものであって、前記トレイ内の領域のうち前記記録媒体を前記副走査方向に2等分する第1仮想線から、その第1仮想線と前記記録媒体の半径分の間隔を空けて前記第1仮想線と並行に延びる第2仮想線との間に亘って延びるマークと、前記記録媒体が前記副走査方向に通過する所定位置を検出位置として、その検出位置を通過した前記記録媒体の外形線上の2点と、前記検出位置を前記マークが通過したかとを検出する検出手段と、前記記録媒体の径の長さと、前記検出手段によって検出される前記2点と、前記検出手段による前記マークの検出結果とに基づいて前記記録媒体の中心位置を算出する算出手段と、その算出手段によって算出された中心位置から規定される印刷開始位置に前記トレイが搬送されるように前記搬送装置を制御する搬送制御手段とを備えている。
【0009】
請求項3記載の印刷装置は、円形の記録媒体を載置するトレイと、そのトレイを副走査方向に搬送する搬送装置と、その搬送装置によって前記トレイと共に搬送される前記記録媒体に画像を印刷する印刷ヘッドとを備えたものであって、前記トレイ内の領域のうち前記記録媒体を前記副走査方向に投影した領域内に配置され、前記記録媒体の中心から前記副走査方向に所定間隔空けて前記副走査方向と交差する主走査方向に延びる第1外形線と、その第1外形線との前記副走査方向間の距離が前記主走査方向に沿って規則的に変化するように延びる第2外形線とを有するマークと、そのマークを形成する前記第1外形線と前記第2外形線とが前記副走査方向に通過する所定位置を検出位置として、その検出位置を通過する前記第1外形線上の点と前記第2外形線上の点との2点を検出する検出手段と、前記記録媒体の径の長さと、前記所定間隔と、前記検出手段によって検出される2点とに基づいて前記記録媒体の中心位置を算出する算出手段と、その算出手段によって算出された中心位置から規定される印刷開始位置に前記トレイを搬送させる搬送制御手段とを備えている。
【0010】
請求項4記載の印刷装置は、請求項3に記載の印刷装置において、前記マークは、前記第1外形線の長さを前記記録媒体の直径以上、前記第2外形線を斜辺とする直角三角形に形成されている。
【0011】
請求項5記載の印刷装置は、請求項2から4のいずれかに記載の印刷装置において、前記マークは、前記記録媒体よりも前記副走査方向下流側に配置されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の印刷装置によれば、トレイを副走査方向に搬送すると、記録媒体を副走査方向に2等分した一方の領域のうち、検出位置を通過した外形線上の2点が検出手段によって検出される。そして、その2点と、記録媒体の径とに基づいて記録媒体の中心位置が算出手段によって算出され、その算出された中心位置から規定される印刷開始位置にトレイが搬送されるように搬送制御手段によって搬送装置が制御される。よって、トレイを停止させることなく正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したトレイを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができるという効果がある。
【0013】
請求項2記載の印刷装置によれば、前記トレイ内には、前記記録媒体を前記副走査方向に2等分する第1仮想線から、その第1仮想線と前記記録媒体の半径分の間隔を空けて前記第1仮想線と並行に延びる第2仮想線との間に亘って延びるマークが配置されている。そのトレイを副走査方向に搬送すると、検出位置を通過した記録媒体の外形線上の2点と、検出位置を前記マークが通過したかとが検出手段によって検出される。そして、前記検出手段によって検出された前記2点と、前記検出手段による前記マークの検出結果と、記録媒体の径の長さとに基づいて前記記録媒体の中心位置が算出手段によって算出され、その算出された中心位置から規定される印刷開始位置にトレイが搬送されるように搬送制御手段によって搬送装置が制御される。よって、トレイを停止させることなく正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したトレイを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができるという効果がある。
【0014】
また、マークが検出位置を通過したかを検出しているので、検出手段によって検出された記録媒体の外形線上の2点が、記録媒体の一方の領域に属する2点であるか、他方の領域に属する2点であるかが分かり、仮に、トレイが予定よりも副走査方向にズレて搬送された場合であっても、正しい記録媒体の中心位置を算出することができ、ひいては、正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、仮に、印刷開始位置に向けて給入したトレイが副走査方向にズレて搬送された場合であっても、短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができるという効果がある。
【0015】
請求項3記載の印刷装置によれば、トレイ内の記録媒体を副走査方向に投影した領域内には、記録媒体の中心から副走査方向に所定間隔空けて副走査方向と交差する主走査方向に延びる第1外形線と、その第1外形線との副走査方向間の距離が主走査方向に沿って規則的に変化するように延びる第2外形線とを有するマークが配置されている。そのトレイを副走査方向に搬送すると、検出位置を通過した第1外形線上の点と第2外形線上の点との2点が検出手段によって検出される。そして、前記検出手段によって検出された2点と、記録媒体の径の長さと、前記所定間隔とに基づいて記録媒体の中心位置が算出手段によって算出され、その算出された中心位置から規定される印刷開始位置にトレイが搬送されるように搬送制御手段によって搬送装置が制御される。よって、トレイを停止させることなく正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したトレイを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができるという効果がある。
【0016】
請求項4記載の印刷装置によれば、請求項3に記載の印刷装置の奏する効果に加え、前記マークは、前記第1外形線の長さを前記記録媒体の直径以上、前記第2外形線を斜辺とする直角三角形に形成されているので、仮に、トレイが副走査方向にズレて搬送された場合であっても、正しい記録媒体の中心位置を算出することができ、ひいては、正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、仮に、印刷開始位置に向けて給入したトレイが、予定よりも副走査方向にズレて搬送された場合であっても、短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができるという効果がある。
【0017】
請求項5記載の印刷装置によれば、請求項2から4のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、前記マークは、記録媒体よりも副走査方向下流側に配置されているので、請求項2記載の印刷装置では、マークが検出位置を通過したかが、記録媒体の外形線上の2点を検出するよりも先に検出される。よって、記録媒体の外形線上の2点よりも上流側が印刷開始位置に設定されている場合にはトレイを逆搬送することなく、印刷開始位置に搬送することができる。また、記録媒体の外形線上の2点よりも下流側が印刷開始位置に設定されている場合には、トレイを逆送させる距離を短くすることができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したトレイを一層短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができるという効果がある。また、請求項3または4記載の印刷装置では、トレイを逆送することなく、正しい印刷開始位置にトレイを搬送することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したトレイを一層短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の印刷装置の外観斜視図である。
【図2】プリンタの内部構造を示す概略図である。
【図3】印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態のディスクトレイを示す平面図である。
【図5】第1実施形態のレーベル印刷処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態のディスクトレイを示す平面図である。
【図7】第2実施形態のレーベル印刷処理を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態のディスクトレイを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の印刷装置1の外観斜視図である。印刷装置1は、光ディスクDのレーベル面に画像を印刷するものであり、特に、光ディスクDを載置するディスクトレイTRを短時間で正しい印刷開始位置に搬送することができるものである。
【0020】
尚、光ディスクDとしては、例えば、Compact Disk(以下、「CD」と称す)や、Digital Versatile Disk(以下、「DVD」と称す)や、Blu−ray Disc(以下、「BD」と称す)等が該当する。
【0021】
印刷装置1には、後述するプリンタ11(図2参照)が内蔵されており、その正面に開口13が開口され、その開口13の上方に操作パネル92が配置されている。プリンタ11は、インクジェット方式によって、光ディスクDに画像を印刷するものであり、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色のインクを使用して、カラー印刷可能に構成されている。
【0022】
開口13は、印刷装置1に対して着脱可能に構成されているディスクトレイTRの挿入口であり、光ディスクDに画像を印刷する場合には、ディスクトレイTRに光ディスクDを載置し、そのディスクトレイTRを開口13から挿入するとディスクトレイTRが副走査方向(矢印Y方向)に搬送され、印刷される。
【0023】
操作パネル92は、プリンタ11を操作するものであって、操作キー93と、LCD94とが主に設けられている。ユーザは、操作キー93の各種ボタンを操作することで、各種機能の設定や動作を実行することができる。また、LCD94に各種情報を表示することができる。
【0024】
図2は、印刷装置1に内蔵されているプリンタ11の内部構造を示す概略図である。プリンタ11は、主に、印刷ヘッド11a1と、印刷ヘッド11a1と対向配置されているプラテン35と、ディスクトレイTRを搬送する各種ローラとによって構成されている。
【0025】
印刷ヘッド11a1は、光ディスクDにインクを吐出するものであり、キャリッジ33に搭載されている。キャリッジ33は主走査方向に延びるガイド軸41,42に沿って主走査方向に往復移動可能に構成されている。キャリッジ33を主走査方向に移動させながら印刷ヘッド11aからインクを吐出することで光ディスクDに画像が印刷される。
【0026】
また、キャリッジ33には光学センサ11a2が搭載されている。光学センサ11a2は、ディスクトレイTRに向けて光を照射し、その光の反射量によってディスクトレイTRに載置されている光ディスクD、ディスクトレイTRに配置されているマークを検出するものである。
【0027】
プラテン35は、光ディスクDが載置されている面とは反対側からディスクトレイTRを支持するものであり、このプラテン35によって印刷ヘッド11a1のインク吐出面に対して水平にディスクトレイTRを保持することができる。
【0028】
各種ローラは、プラテン35の上流側に対向配置されている一対の搬送ローラ31,32と、その一対の搬送ローラ31,32よりも上流側に対向配置されている一対の挟持ローラ28,29と、プラテン35の下流側に対向配置されている一対の排出ローラ38,39とによって構成されている。
【0029】
開口13(図1参照)から挿入されたディスクトレイTRは、挟持ローラ28,29、搬送ローラ31,32、排出ローラ38,39によって挟持されて副走査方向(図中矢印Y方向)に搬送される。また、これらの各種ローラを逆回転させることで、反副走査方向に搬送される。
【0030】
図3は、印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。印刷装置1には、CPU88、ROM89、RAM90、操作キー93、LCD94、プリンタ11、USBインタフェース(I/F)97が設けられている。CPU88、ROM89、及び、RAM90は、バスライン95を介して互いに接続されている。また、操作キー93、LCD94、プリンタ11、USBインタフェース(I/F)97、及び、バスライン95は、入出力ポート96を介して互いに接続されている。
【0031】
CPU88は、ROM89やRAM90に記憶される固定値やプログラムに従って、印刷装置1が有している各機能の制御や、入出力ポート96と接続された各部を制御するものである。ROM89は、印刷装置1で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。後述する図5等のフローチャートに示すレーベル印刷処理を実行する各プログラムは、このROM89に格納されている。RAM90は、CPU88が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。
【0032】
USBI/F97は、例えば、パーソナルコンピュータ等の外部演算装置とUSBケーブルを介して接続されるインターフェースであり、このUSBI/F97を介して外部演算装置から印刷指示、印刷条件、印刷データ等が送信される。
【0033】
図4は、第1実施形態のディスクトレイTRを示す平面図である。図4を参照して、第1実施形態のレーベル印刷処理の概略について説明する。図4では、矢印Y方向を副走査方向、矢印X方向を主走査方向としている。また、矢印Sは、ディスクトレイTRに対して光学センサ11a2を相対的に副走査方向に移動した場合の軌跡を示してる。
【0034】
第1実施形態のレーベル印刷処理では、まず、キャリッジ33を操作して光学センサ11a2を検出位置Kと対向する位置に移動する。尚、この検出位置Kは、ディスクトレイTRの主走査方向へのズレ量を考慮して規定されており、ディスクトレイTRが開口13から給入されると、必ず、光ディスクDを副走査方向に2等分した一方の領域が通過する位置に設定されている。
【0035】
この状態で、ディスクトレイTRを副走査方向に搬送すると、光学センサ11a2によって検出位置Kを通過する光ディスクDの外形線上の2点α、βを検出する。
【0036】
そして、この検出した2点α、βと、光ディスクDの半径rとから、光ディスクDの中心位置Oを算出する。具体的には、光ディスクDの中心位置OのX座標OXは、三角形Oαβから三平方の定理を利用し、検出位置KのX座標KXからの距離tを算出することで算出する。即ち、中心位置OのX座標OX=KX+tとして算出できる。
【0037】
一方、中心位置OのY座標OY=βY+(αY−βY)/2として算出することができる。こうして、光ディスクDの中心位置Oを算出すると、この中心位置Oと、光ディスクDの半径rとによって規定される印刷開始位置を検出することができる。
【0038】
そして、印刷開始位置がI1に設定されている場合には、光ディスクDの外形線上の2点α、βを検出後、そのまま、印刷開始位置I1まで副走査方向にディスクトレイTRを搬送すれば良い。また、印刷開始位置がI2に設定されている場合には、光ディスクDの外形線上の2点α、βを検出後、ディスクトレイTRを反副走査方向に搬送すれば良い。
【0039】
図5は、第1実施形態のレーベル印刷処理を示すフローチャートである。この処理は光ディスクDに画像を印刷する処理であり、ユーザーからの実行開始指示が入力された場合に実行される処理である。尚、本実施形態では、印刷実行開始の指示と共に、光ディスクDの半径r(または直径R)が入力され、光ディスクDの径が、既に、RAM90に記憶されているものとする。
【0040】
この処理では、まず、キャリッジ33を走査して光学センサ11a2を検出位置Kと対向する位置に移動し(S501)、光学センサ11a2を点灯し(S502)、開口13から挿入されるディスクトレイTRを各種ローラを駆動して、副走査方向に給入する(S503)。
【0041】
そして、光学センサ11aからの出力値を監視し、所定時間内に光ディスクDの外形線上の点αが検出されたかを判断する(S504)。検出されない場合には(S504:No)、LCD94にエラー表示をして(S515)、各種ローラを逆回転駆動し、ディスクトレイTRを反副走査方向に搬送して排出し(S514)、本処理を終了する。
【0042】
一方、S504の処理において、光ディスクDの外形線上の点αが検出されたと判断された場合には(S504:Yes)、その検出された外形線上の点αの座標をRAM90に記憶し(S506)、次に光ディスクDの外形線上の点βが検出されたかを判断する(S507)。
【0043】
検出されていない場合には(S507:No)、上述したのと同様に、エラー表示をして(S515)、ディスクトレイTRを排出し(S514)、本処理を終了する。一方、光ディスクDの外形線上の点βが検出されたと判断された場合には(S507:Yes)、その検出された外形線上の点βの座標をRAM90に記憶する(S508)。
【0044】
そして、S506で記憶された光ディスクDの外形線上の点αの座標と、S508で記憶された光ディスクDの外形線上の点βの座標と、予めRAM90に記憶されている光ディスクDの半径rとに基づいて、光ディスクDの中心位置Oを算出する。光ディスクDの中心位置Oは、上述した通り、例えば、三平方の定理を利用して算出する(S510)。
【0045】
光ディスクDの中心位置Oが算出されると(S510)、次に、その中心位置Oと、光ディスクDの半径rとから規定される印刷開始位置までディスクトレイTRを搬送する(S511)。こうして、ディスクトレイTRを印刷開始位置に搬送すると、1ライン単位で印刷を開始し(S512)、印刷が終了するまで印刷を行い(S513:No)、印刷が終了した場合には(S513:Yes)、各種ローラを制御してディスクトレイTRを排出して(S514)、本処理を終了する。
【0046】
このように、第1実施形態のレーベル印刷処理によれば、ディスクトレイTRを開口13から給入して、副走査方向に搬送すると、光ディスクDを副走査方向に2等分した一方の領域のうち、検出位置Kを通過した外形線上の2点α、βが検出される。
【0047】
そして、その2点α、βと、光ディスクDの半径rとに基づいて光ディスクDの中心位置Oが算出され、その算出された中心位置Oから規定される印刷開始位置にディスクトレイTRが搬送される。よって、ディスクトレイTRを供入してからディスクトレイTRを停止させることなく正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したディスクトレイTRを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる。
【0048】
図6は、第2実施形態のディスクトレイTRを示す平面図である。図6を参照して、第2実施形態のレーベル印刷処理の概略について説明する。第2実施形態のディスクトレイTR上には、光ディスクDを副走査方向に2等分する第1仮想線P1から、その第1仮想線P1と光ディスクDの半径r分の間隔を空けて第1仮想線P1と並行に延びる第2仮想線P2を超えて帯状に延びるマークMKが配置されている。
【0049】
マークMKは、光学センサ11a2によって検出可能に構成されており、例えば、鏡面板、ディスクトレイTRの色とは異なる色のテープ(ディスクトレイTRが黒色であれば、例えば白色)によって構成されている。
【0050】
第2実施形態のレーベル印刷処理では、まず、キャリッジ33を操作して光学センサ11a2を検出位置Kと対向する位置に移動する。尚、この検出位置Kは、光ディスクDが副走査方向に通過するいずれかの位置に設定されている。
【0051】
この状態で、ディスクトレイTRを副走査方向に搬送すると、最初にマークMKを光学センサ11a2によって検出する。一方、ディスクトレイTRが予定より副走査方向にズレて搬送されると、マークMKは検出位置Kを通過せず、マークMKは検出されないことになる。
【0052】
そして、マークMKを検出した場合には、検出位置Kを通過する光ディスクDの外形線上の2点α1、β1を検出する。一方、マークMKを検出しなかった場合、即ち、ディスクトレイTRが予定より主走査方向にズレて搬送された場合には、例えば、光ディスクDの外形線上の2点α2、β2を検出することになる。
【0053】
こうして、光ディスクDの外形線上の2点α1、β1、または、α2、β2を検出すると、マークMKが検出されたか否かによって異なる演算式で中心位置Oを算出する。
【0054】
具体的には、光ディスクDの中心位置OのX座標OXは、三角形Oαβから三平方の定理を利用して検出位置KのX座標KXからの距離tを算出することで算出する。即ち、中心位置OのX座標OX=KX+tとして算出できる。一方、中心位置OのY座標OY=βY+(αY−βY)/2として算出することができる。
【0055】
具体的には、マークMKが検出された場合には、上述した第1実施形態の場合と同様に、中心位置OのX座標OX=KX+t1、中心位置OのY座標OY=βY+(αY−βY)/2として算出することができる。
【0056】
一方、マークMKが検出されなかった場合には、光ディスクDの中心位置OのX座標OXは、三角形Oα2β2から三平方の定理を利用してKXからの距離t2を算出することでX座標OX=KX−t2として算出でき、Y座標OY=β2Y+(α2Y−β2Y)/2として算出することができる。こうして、光ディスクDの中心位置Oを算出すると、その後は、第1実施形態の場合と同様に、印刷開始位置までディスクトレイTRを搬送する。
【0057】
図7は、第2実施形態のレーベル印刷処理を示すフローチャートである。尚、上述した第1実施形態の場合と同様な処理は、その説明を簡略する。この処理では、まず、キャリッジ33を走査して光学センサ11a2を検出位置と対向する位置に移動し(S701)、光学センサ11a2を点灯し(S702)、ディスクトレイTRを給入する(S703)。
【0058】
そして、光学センサ11a2からの出力値を監視し、所定時間以内にマークMKを検出したかを判断する(S704)。所定時間内に検出されなかった場合には(S704:No)、S707の処理に移行し、検出されていれば(S704:Yes)、マークフラグを「ON」に設定して(S706)、S707の処理に移行する。即ち、マークフラグは、マークMKを検出したかを示すフラグであり、その情報はRAM90に記憶される。尚、マークフラグは、レーベル印刷処理起動時に初期化されるものとする。
【0059】
S707乃至S710の処理は、第1実施形態の場合と同様であり、光ディスクDの外形線上の点αが検出されたかを判断し(S707)、検出されていない場合には(S707:No)、LCD94にエラー表示し(S719)、ディスクトレイTRを排出し(S718)、本処理を終了する。
【0060】
一方、S707の処理において、光ディスクDの外形線上の点αが検出された場合には(S707:Yes)、その検出された外形線上の点αの座標を記憶し(S708)、次に、光ディスクDの外形線上の点βが検出されたかを判断する(S709)。
【0061】
検出されていない場合には(S709:No)、上述したのと同様に、エラー表示をし(S719)、ディスクトレイTRを排出し(S718)、本処理を終了する。一方、光ディスクDの外形線上の点βが検出されたと判断された場合には(S709:Yes)、その検出された外形線上の点βの座標を記憶する(S710)。
【0062】
そして、S706で設定したマークフラグが「ON」かを判断し(S712)、「ON」であれば(S712:ON)、S708、S710で検出した2点α1、β1は、光ディスクDの左側領域(光ディスクDを副走査方向に2等分した一方の領域であって、副走査方向にマークMKと並ぶ領域)に属するとして、それに応じた中心位置Oを算出する(S713)。
【0063】
一方、「OFF」であれば(S712:OFF)、S708、S710で検出した2点α2、β2は、光ディスクDの右側領域(光ディスクDを副走査方向に2等分した他方の領域であって、副走査方向にマークMKが存在しない領域)に属するとして、それに応じた中心位置Oを算出する(S714)。
【0064】
こうして、S713、S714の処理によって中心位置Oを算出すると、後は、第1実施形態の場合と同様に、その中心位置Oと、光ディスクDの半径rとから規定される印刷開始位置までディスクトレイTRを搬送し(S715)、印刷を開始し(S716)、印刷が終了するまで印刷を行い(S717:No)、印刷が終了した場合には(S717:Yes)、ディスクトレイTRを排出して(S718)、本処理を終了する。
【0065】
このように、第2実施形態のレーベル印刷処理によれば、第1実施形態のレーベル印刷処理と同様に、ディスクトレイTRを停止させることなく正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したディスクトレイTRを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる。
【0066】
また、第2実施形態では、マークMKが検出位置Kを通過したかを検出しているので、検出された光ディスクDの外形線上の2点が、光ディスクDの一方の領域に属する2点であるか、他方の領域に属する2点であるかが分かり、仮に、ディスクトレイTRが予定よりも副走査方向にズレて搬送された場合であっても、正しい光ディスクDの中心位置Oを算出することができ、ひいては、正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、仮に、印刷開始位置に向けて給入したディスクトレイTRが予定よりも副走査方向にズレて搬送された場合であっても、短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる。
【0067】
更に、マークMKは、光ディスクDよりも副走査方向下流側に配置されているので、マークMKが検出位置Kを通過したかが、光ディスクDの外形線上の2点を検出するよりも先に検出される。よって、光ディスクDの外形線上の2点よりも上流側が印刷開始位置に設定されている場合には、ディスクトレイTRを逆搬送することなく、印刷開始位置にディスクトレイTRを搬送することができる。また、光ディスクDの外形線上の2点よりも下流側が印刷開始位置に設定されている場合には、ディスクトレイTRを逆送させる距離を短くすることができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したディスクトレイTRを一層短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる。
【0068】
図8は、第3実施形態のディスクトレイTRを示す平面図である。図8を参照して、第3実施形態のレーベル印刷処理の概略について説明する。第3実施形態のディスクトレイTR上には、光ディスクDを副走査方向に投影した領域(光ディスクDが設置される部分を除く領域T1乃至T4)内であって、光ディスクDの中心位置Oから副走査方向に間隔lを空けて主走査方向に光ディスクDの直径2rの長さで延びる底辺G1、高さをh、斜辺G2で構成される直角三角形のマークMKが配置されている。
【0069】
尚、このマークMKは、第2実施形態の場合と同様に、光学センサ11a2によって検出可能に構成されている。また、このマークMKの既定値(間隔l、高さh)は、予めROM89に記憶されているものとする。
【0070】
第3実施形態のレーベル印刷処理では、まず、キャリッジ33を操作して光学センサ11a2を検出位置Kと対向する位置に移動する。尚、この検出位置Kは、光ディスクDが副走査方向に通過するいずれかの位置に設定されている。
【0071】
この状態で、ディスクトレイTRを副走査方向に搬送すると、光学センサ11a2によって検出位置Kを通過するマークMKの斜辺G2上の点α、マークMKの底辺G2上の点βを検出する。
【0072】
そして、この検出した2点α、βと、間隔lと、光ディスクDの半径rとから、光ディスクDの中心位置Oを算出する。具体的には、光ディスクDの中心位置OのX座標OXは、マークMKの三角形の比を利用して距離tを算出することで算出する。即ち、中心位置OのX座標OX=KX+(t−r)として算出できる。
【0073】
一方、中心位置OのY座標OY=βY−lとして算出することができる。こうして、光ディスクDの中心位置Oを算出すると、この中心位置Oと、光ディスクDの半径rとによって規定される印刷開始位置を検出することができる。そして、印刷開始位置がI1またはI2に設定されている場合、2点α、βを検出後、そのまま、印刷開始位置I1、または、I2まで副走査方向にディスクトレイTRを搬送すれば良い。
【0074】
尚、この第3実施形態のレーベル印刷処理は、第1実施形態のレーベル印刷処理と、検出する2点(第1実施形態では光ディスクDの外形線上の2点α、β、第3実施形態ではマークMKの斜辺G2上の1点α、および、底辺G1上の1点β)で相違するものの、同じフローチャートで処理できるので、その説明は省略する。
【0075】
このように、第3実施形態のレーベル印刷処理によれば、第1,2実施形態のレーベル印刷処理と同様に、ディスクトレイを給入してからディスクトレイTRを停止させることなく正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したディスクトレイTRを短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる。
【0076】
また、特に、第3実施形態では、マークMKが上述した直角三角形で構成されているので、仮に、ディスクトレイTRが副走査方向にズレて搬送された場合であっても、正しい光ディスクDの中心位置Oを算出することができ、ひいては、正しい印刷開始位置を検出することができる。従って、仮に、印刷開始位置に向けて給入したディスクトレイTRが、予定よりも副走査方向にズレて搬送された場合であっても、短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる。
【0077】
更に、マークMKは、光ディスクDよりも副走査方向下流側に配置されているので、ディスクトレイTRを給入してから逆送することなく、正しい印刷開始位置にディスクトレイTRを搬送することができる。従って、印刷開始位置に向けて給入したディスクトレイTRを一層短時間で正しい印刷開始位置まで搬送することができる。
【0078】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0079】
第3実施形態では、マークMKを直角三角形に形成する場合について説明したが、マークMKの形状としては、かかる直角三角形に限定されるものではなく、ディスクトレイTR内の領域のうち光ディスクDを副走査方向に投影した領域(図8の光ディスクDを除く領域T1乃至T4)内に配置され、前記光ディスクDの中心位置Oから副走査方向に所定間隔空けて副走査方向と交差する主走査方向に延びる第1外形線と、その第1外形線との副走査方向間の距離が主走査方向に沿って規則的に変化するように延びる第2外形線とを有するマークであれば良い。
【符号の説明】
【0080】
1 印刷装置
11a1 印刷ヘッド(印刷ヘッドの一例)
11a2 光学センサ(検出手段の一例)
28,29 挟持ローラ(搬送装置の一例)
31,32 搬送ローラ(搬送装置の一例)
D 光ディスク(記録媒体)
TR トレイ
MK マーク
S5041,S507 検出手段
S704,S707,S709 検出手段
S510,S71,S713 算出手段
S511,S715 搬送制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の記録媒体を載置するトレイと、そのトレイを副走査方向に搬送する搬送装置と、その搬送装置によって前記トレイと共に搬送される前記記録媒体に画像を印刷する印刷ヘッドとを備えた印刷装置において、
前記記録媒体を前記副走査方向に2等分した一方の領域が前記副走査方向に通過する所定位置を検出位置として、その検出位置を通過した前記一方の領域の外形線上の2点を検出する検出手段と、
前記記録媒体の径の長さと、前記検出手段によって検出される2点とに基づいて前記記録媒体の中心位置を算出する算出手段と、
その算出手段によって算出された中心位置から規定される印刷開始位置に前記トレイが搬送されるように前記搬送装置を制御する搬送制御手段とを備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
円形の記録媒体を載置するトレイと、そのトレイを副走査方向に搬送する搬送装置と、その搬送装置によって前記トレイと共に搬送される前記記録媒体に画像を印刷する印刷ヘッドとを備えた印刷装置において、
前記トレイ内の領域のうち前記記録媒体を前記副走査方向に2等分する第1仮想線から、その第1仮想線と前記記録媒体の半径分の間隔を空けて前記第1仮想線と並行に延びる第2仮想線との間に亘って延びるマークと、
前記記録媒体が前記副走査方向に通過する所定位置を検出位置として、その検出位置を通過した前記記録媒体の外形線上の2点と、前記検出位置を前記マークが通過したかとを検出する検出手段と、
前記記録媒体の径の長さと、前記検出手段によって検出される前記2点と、前記検出手段による前記マークの検出結果とに基づいて前記記録媒体の中心位置を算出する算出手段と、
その算出手段によって算出された中心位置から規定される印刷開始位置に前記トレイが搬送されるように前記搬送装置を制御する搬送制御手段とを備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
円形の記録媒体を載置するトレイと、そのトレイを副走査方向に搬送する搬送装置と、その搬送装置によって前記トレイと共に搬送される前記記録媒体に画像を印刷する印刷ヘッドとを備えた印刷装置において、
前記トレイ内の領域のうち前記記録媒体を前記副走査方向に投影した領域内に配置され、前記記録媒体の中心から前記副走査方向に所定間隔空けて前記副走査方向と交差する主走査方向に延びる第1外形線と、その第1外形線との前記副走査方向間の距離が前記主走査方向に沿って規則的に変化するように延びる第2外形線とを有するマークと、
そのマークを形成する前記第1外形線と前記第2外形線とが前記副走査方向に通過する所定位置を検出位置として、その検出位置を通過する前記第1外形線上の点と前記第2外形線上の点との2点を検出する検出手段と、
前記記録媒体の径の長さと、前記所定間隔と、前記検出手段によって検出される2点とに基づいて前記記録媒体の中心位置を算出する算出手段と、
その算出手段によって算出された中心位置から規定される印刷開始位置に前記トレイを搬送させる搬送制御手段とを備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
前記マークは、前記第1外形線の長さを前記記録媒体の直径以上、前記第2外形線を斜辺とする直角三角形に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記マークは、前記記録媒体よりも前記副走査方向下流側に配置されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−208084(P2010−208084A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55039(P2009−55039)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】