説明

印刷装置

【課題】印刷所要時間が容易に把握できる形態で予約印刷ジョブについて表示する印刷装置を提供する。
【解決手段】複合機1は、入力された現在実行中または実行待ちの印刷ジョブである予約印刷ジョブについて表示する予約ジョブ表示を行うもので、印刷ジョブそれぞれのジョブ量を判別するジョブ量判別部15bと、予約ジョブ表示の際、予約印刷ジョブについての表示領域を、ジョブ量に応じて変化させて表示させる表示制御部15aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された印刷ジョブを予約印刷ジョブとして表示する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機やプリンタ、複合機等の印刷装置として、入力されたプリントジョブやコピージョブ等の印刷ジョブのうち、現在実行中または実行待ちの印刷ジョブである予約印刷ジョブについてリスト表示するものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1に開示の印刷装置は、印刷実行キュー内の印刷処理が未完となっている印刷ジョブの一覧を表示する際、該印刷ジョブ毎に印刷完了までの時間を数字で表示する。
特許文献2に開示の印刷装置は、実行待ちの状態の印刷ジョブを表示する際、指定の用紙切れで印刷ができない実行不可能ジョブと、実行可能ジョブとで、異なる表示形態で表示する。
また、近年、印刷装置に大型ディスプレイを接続して、該大型ディスプレイに上述の予約印刷ジョブをリスト表示することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−216477号公報
【特許文献2】特開2002−225389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の印刷装置のように、予約印刷ジョブ一覧にジョブ毎の印刷完了までの所要時間を数字で表示しても、数字すなわち文字まで確認できないので、所要時間を知ることができない。特に、遠くから見た場合は、仮にその表示が大型ディスプレイ上で行われたとしても同様である。この点に関し、特許文献2には開示も示唆もされていない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、予約印刷ジョブについて表示するものであって、該ジョブの所要時間が容易に把握できる印刷装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、入力された実行中または実行待ちの予約印刷ジョブの各々のジョブ量を判別するジョブ量判別部と、前記予約印刷ジョブを表示する操作表示部における表示領域の面積を前記判別したジョブ量に基づいて変化させる表示制御部とを備え、ジョブ量に応じて予約印刷ジョブを操作表示部に表示することを特徴とした印刷装置である。
【0007】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記ジョブ量判別部が、前記ジョブ量の判別を当該予約印刷ジョブの予想印刷所要時間に基づいて行うことを特徴としたものである。
【0008】
本発明の第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記ジョブ量判別部が、前記ジョブ量の判別を当該予約印刷ジョブの総印刷ページ数に基づいて行うことを特徴としたものである。
【0009】
本発明の第4の技術手段は、第1の技術手段において、前記ジョブ量判別部が、前記ジョブ量の判別を当該予約印刷ジョブの使用メモリ量に基づいて行うことを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第5の技術手段は、第1乃至第4いずれか1の技術手段において、前記表示制御部が、前記ジョブ量に応じて、前記表示領域の幅または高さを変化させて表示させることを特徴としたものである。
【0011】
本発明の第6の技術手段は、第1乃至第5いずれか1の技術手段において、前記表示制御部が、前記現在実行中の予約印刷ジョブについて、実行開始から時間が経過するにしたがって前記表示領域を小さくしていくことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、予約印刷ジョブの表示領域をジョブ量に応じた大きさとしたので、ユーザが上記表示領域の大小でジョブの所要時間が容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の印刷装置の一例である複合機の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1の複合機が表示するジョブ状況確認画面の一例である。
【図3】図1の複合機の処理例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の印刷装置の一例である複合機の構成を説明するブロック図である。
図1の印刷装置1は、コピー機能及びプリンタ機能を備える複合機(Multi-Function Peripheral)として構成した例である。以下、印刷装置1をMFP1として説明する。
MFP1は、スキャナ部10、 印字部11、時計回路12、操作表示部13、RAM(Random Access Memory)14、制御部15、HDD(Hard Disk Drive)16、インタフェース部17を備え、ネットワークNを介してPC(Personal Computer)等の情報処理装置2と、通信可能に接続される。
【0015】
制御部15は、MFP1全体を制御するもので、演算を行うCPU(Central Processing Unit)や、演算に伴う一時的な情報を記憶するRAM等からなる。この制御部15には、MFP1を制御するための制御プログラムを記憶しているROM(Read Only Memory)が含まれる。制御部15の表示制御部15aとジョブ量判別部15bについては後述する。
【0016】
また、制御部15には、記録用紙に記録された画像(原稿)を読み取って画像データを生成するスキャナ部10が接続される。このスキャナ部10には、原稿画像を画像データとして取り込むためのCCD(Charge Coupled Device(電荷結合素子))と、原稿台や自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)などにセットされた原稿を検知する原稿検知センサ等が設けられる。
【0017】
さらに、制御部15には、プリントジョブやコピージョブに従って記録用紙上に画像形成する印字部11が接続される。この印字部11は、RAM14に一時的に記憶された画像データから画像を形成して記録用紙に記録する。MFP1は、スキャナ部10で生成した画像データをRAM14に一旦記憶させた後、印字部11で画像を形成することができる。このようにして、MFP1は複写装置として機能する。
【0018】
また、図1において、制御部15には、MFP1が外部との間で情報を送受信するためのインタフェース部17(以下、 I/F部)が接続されている。I/F部17は、社内LAN(Local Area Network)等のネットワークNに接続されており、ネットワークNには、MFP1と連動して動作する1または複数の情報処理装置2が接続され、MFP1はネットワークNを介して情報処理装置2との間で情報を交換する。
【0019】
MFP1と通信可能に接続される情報処理装置2は、例えば、装置全体の制御を行うCPU、半導体メモリであるRAM,ROM、HDD等の記憶装置、入力装置、表示装置、通信装置、出力装置、及びシステムバスなどを有する汎用のパーソナルコン ピュータ(PC)からなる。
MFP1は、上述のようなPC2から送信された画像データをI/F部17で受信し、受信した画像データから印字部11で画像を形成することができる。このようにして、MFP1はプリンタ装置として機能する。
【0020】
MFP1の説明に戻る。
制御部15には、日時を計時する時計回路12が接続されている。制御部15は、時計回路12が計時した時間等を参照しながら、MFP1の動作を統括的に制御する。
また、制御部15には、スキャナ部10により取得された画像データや、操作表示部13に表示する操作画面のための表示データなどを記憶する、HDD16が接続されている。
さらに、制御部15には、使用者からの操作を受け付ける操作表示部13が接続されている。操作表示部13は、使用者の操作により制御命令などの情報が入力されるタッチパネル又はテンキー等の入力部と、操作画面や操作のために必要な情報を表示する液晶パネル等の表示部とからなっている。
【0021】
制御部15は、このように上記各部に接続されており、また、操作表示部13の表示内容を制御する表示制御部15aと後述のジョブ量判別部15bとを有する。
なお、MFP1は、操作表示部13とは別個に大型液晶パネルを備えると共に、表示制御部15aの制御により、操作表示部13に表示する画面と同じ画面を大型液晶パネルに表示可能とするとよい。
【0022】
上述のMFP1では、情報処理装置2で生成されI/F部17を介して入力された画像データの印刷を指示する印刷ジョブすなわちプリントジョブや、スキャナ部10で読み取られた画像データの印刷を指示する印刷ジョブすなわちコピージョブが入力されると、例えば、ジョブ量判別部15bで該印刷ジョブのジョブ量を判別し、RAM14またはHDD16に記憶する。ジョブ量とは、例えば、予想印刷所要時間である。なお、予測印刷所要時間そのものを記憶しておいてもよいし、その大きさの程度、例えば、所定時間より大きいか小さいか等を記憶するようにしてもよい。
【0023】
そして、ユーザが、現在実行中または実行待ちの印刷ジョブである予約印刷ジョブについて表示するジョブ状況確認画面を表示するための操作表示部13の入力ボタンを押下すると、表示制御部15aがジョブ状況確認画面を操作表示部13の表示部に表示させる。
【0024】
図2は、図1の複合機が表示するジョブ状況確認画面の一例である。
図のジョブ状況確認画面P1では、MFP1に指示されている予約印刷ジョブの状況がリスト表示され、ジョブ量の大きい予約印刷ジョブについての表示領域P11は、ジョブ量が中程度の予約印刷ジョブについての表示領域P12より高さが2倍程度と広くなっており、該表示領域P12は、ジョブ量の小さい予約印刷ジョブについての表示領域P13,P14より高さが2倍程度と広くなっている。
上述のようにMFP1では、予約印刷ジョブの表示領域をジョブ量に応じた大きさとしたので、ユーザが表示領域の大小で予約印刷ジョブの印刷に要する時間が容易に把握できる。また、このジョブ状況確認画面を大型液晶パネルに表示すると、予約印刷ジョブの印刷に要する時間を遠くからでも把握できる。
【0025】
なお、表示領域P11〜P14には、予約印刷ジョブの識別情報P21と、セット部数及び終了部数P22、コピー中や待機中などの状況P23が明示される。
【0026】
図3は、ジョブ状況確認画面を表示中に新たに印刷ジョブが入力された場合の図1のMFP1のジョブ状況確認画面表示に係る処理例を説明するフローチャートである。
MFP1は、印刷ジョブが入力されると(ステップS1)、ジョブ量判別部15bにより該印刷ジョブの予想印刷所要時間を算出しRAM14に記憶する(ステップS2)。そして、その予想印刷所要時間が1分以内であるか否か判定する(ステップS3)。
【0027】
予測印刷所要時間が1分以内の場合(YESの場合)、当該印刷ジョブについて、表示できる最小サイズの表示領域で、ジョブ状況確認画面に表示されるよう、表示制御部15aが制御する(ステップS4)。
一方、当該印刷ジョブの予測印刷所要時間が1分以内でないと判定された場合(ステップS3,NO場合)、同所要時間が5分以上であるか判定する(ステップS5)。
【0028】
予測印刷所要時間が5分以上の場合(YESの場合)、当該印刷ジョブについて、表示できる最大サイズの表示領域、例えば、最小サイズのものの3倍のサイズで、ジョブ状況確認画面に表示されるよう、表示制御部15aが制御する(ステップS6)。
一方、当該印刷ジョブの予測印刷所要時間が5分以上でない判定された場合(ステップS5、NO)の場合、の場合、当該印刷ジョブについて、表示できる最大サイズと最小サイズの間のサイズの表示領域で、ジョブ状況確認画面に表示されるよう、表示制御部15aが制御する。
【0029】
上述の例では、ジョブ量判別部15bが、予約印刷ジョブのジョブ量の判別を、当該ジョブの予想印刷所要時間に基づいて行っているが、当該ジョブの総印刷ページ数や使用メモリ量に基づいて行うようにしてもよい。このような構成とすることにより、印刷ジョブの予想印刷所要時間を計算できないモデルでも、上述のようなジョブ状況確認画面を表示することができる。
また、上述の例では、表示制御部15aが、ジョブ量に応じて、当該予約印刷ジョブの表示領域の高さを変化させていたが、表示領域の幅を変化させるようにしてもよい。
【0030】
さらに、予約印刷ジョブのジョブ量の判別を、当該ジョブの予想印刷所要時間に基づいて行う際は、時計回路12を用いて、現在実行中の予約印刷ジョブについて、実行開始から時間が経過するにしたがって表示領域を小さくしていくとよい。例えば、図3のように、予測印刷所要時間が5分以上の予約印刷ジョブについては同所要時間が1分以内のものに比べ3倍の表示領域で表示する場合、ある予測印刷所要時間が5分以上の予約印刷ジョブの処理を開始してから時計回路12で計時を開始し、残りの予測印刷所要時間が5分未満となったときから徐々に当該ジョブの表示領域を小さくし、残りの予測印刷所要時間が1分以下では、当該ジョブの表示領域を、予測印刷所要時間が1分以内のジョブについての表示領域と同じ大きさとする。
【0031】
なお、ジョブ状況確認画面における予約印刷ジョブの表示領域の文字の色や背景の色をジョブ量に応じて変化させるようにしてもよい。例えば、ジョブ容量が大のものについては赤色、ジョブ容量が中のものについては黄色、ジョブ容量が小のものについては青色を使うようにするとよい。
【符号の説明】
【0032】
1…複合機、10…スキャナ部、11…印字部、12…時計回路、13…操作表示部、14…RAM、15…制御部、15a…表示制御部、15b…ジョブ量判別部、16…HDD、17…インタフェース部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された実行中または実行待ちの予約印刷ジョブの各々のジョブ量を判別するジョブ量判別部と、
前記予約印刷ジョブを表示する操作表示部における表示領域の面積を前記判別したジョブ量に基づいて変化させる表示制御部と、を備え、
ジョブ量に応じて予約印刷ジョブを操作表示部に表示することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ジョブ量判別部は、前記ジョブ量の判別を当該予約印刷ジョブの予想印刷所要時間に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ジョブ量判別部は、前記ジョブ量の判別を当該予約印刷ジョブの総印刷ページ数に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ジョブ量判別部は、前記ジョブ量の判別を当該予約印刷ジョブの使用メモリ量に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記ジョブ量に応じて、前記表示領域の幅または高さを変化させて表示させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記現在実行中の予約印刷ジョブについて、実行開始から時間が経過するにしたがって前記表示領域を小さくしていくことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−192536(P2012−192536A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56219(P2011−56219)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】