説明

印刷装置

【課題】表面と裏面の両方について、メカ的な事情による印刷位置のズレを考慮したプレビュー画像を表示する印刷装置を提供する。
【解決手段】複合機1は、入力された画像から印刷設定に基づいたプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部9と、理論上の印刷位置からのズレの傾向値を表面と裏面それぞれについて記憶する記憶部11と、を備え、印刷設定として両面印刷が指定されている場合、記憶部11に記憶されている表面と裏面それぞれのズレの傾向値に基づいて画像の位置をずらした両面印刷用のプレビュー画像をプレビュー画像生成部9により生成し、該生成した両面印刷用のプレビュー画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレビュー機能を備えた両面印刷可能な印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機等の印刷装置は、例えば、原稿台に載置された原稿をスキャナで読み取った画像を印刷するもので、近年では、印刷状態を事前に確認するためにプレビュー画像として画面表示する機能を有するものが知られている。
また、パンチやステープル等の後処理装置の処理状態をプレビュー画像に合成するものや、両面印刷をする画像をプレビュー表示する場合には、裏面の画像を透かし画像として合成し表示するものがある。
【0003】
特許文献1には、メカ的な事情で裏面の印刷位置が表面に比べてずれることを考慮して、裏面の画像については、印刷位置のずれ分も考慮してプレビュー表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−124676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、印刷位置のずれ分を含めてプレビュー表示するのは、裏面の画像のみであるが、装置の状態などによっては、表面の画像も印刷位置がずれることもある。
【0006】
本発明は、上述のような実情を鑑み、表面と裏面の両方について、メカ的な事情による印刷位置のズレを考慮したプレビュー画像を表示する印刷装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の技術手段は、印刷装置であって、入力された画像から印刷設定に基づいたプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、理論上の印刷位置からのズレの傾向値を表面と裏面それぞれについて記憶するズレ傾向値記憶部と、を備え、前記印刷設定として両面印刷が指定されている場合、前記ズレ傾向値記憶部に記憶されている前記表面と裏面それぞれのズレの傾向値に基づいて画像の位置をずらした両面印刷用のプレビュー画像を前記プレビュー画像生成部により生成し、該生成した両面印刷用のプレビュー画像を表示することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、さらに、印刷位置の調整情報が入力される調整値入力部を備え、前記両面印刷用のプレビュー画像を表示中に、前記調整値入力部から前記印刷位置の調整情報が入力された場合、前記入力された印刷位置の調整情報に基づいて前記両面印刷用のプレビュー画像における画像の位置を調整したプレビュー画像を前記プレビュー画像生成部により生成して表示し、印刷指示に従って、前記印刷位置の調整情報に基づく印刷位置に前記表面の画像と前記裏面の画像を印刷することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表面と裏面の両方について、メカ的な事情による印刷位置のズレを考慮したプレビュー画像を表示する印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の印刷装置を適用した複合機の一例を説明するブロック図である。
【図2】図1の複合機におけるタッチパネル及びキー操作部の一例を示す外観図である。
【図3】図1の複合機の標準画面の一例を示す図である。
【図4】両面印刷される原稿を読み取った画像の一例を示す図である。
【図5】印刷設定として両面印刷が指定されている場合に、図4の原稿を読み取った画像からプレビュー画像生成部が生成するプレビュー画像の一例を示す図である。
【図6】プレビュー表示時に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】ズレ傾向値の設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の印刷装置を適用した複合機の一例を説明するブロック図である。図2は、図1の複合機におけるタッチパネル及びキー操作部の一例を示す外観図である。
図1の複合機1では、原稿の画像を読み取って記録用紙に印刷する複写モード、原稿の画像を読み取って送信したり、原稿の画像を受信して記録用紙に印刷したりするファクシミリモード及び情報端末装置からネットワークを通じて受信した画像を記録用紙に印刷するプリンタモード等を選択的に行うことができる。この複合機1は、複写モード時の動作に特徴があるので、複写モードに関わる機能ブロックのみ図示し、その他のモードについての説明は省略する。
【0012】
複合機1は、制御部2とバスを介して、画像入力部3と、画像メモリ4と、画像印刷部5と、後処理装置6と、タッチパネル7、キー操作部8、プレビュー画像生成部9と、プレビュー画像メモリ10と、記憶部11とが接続されて構成されている。
【0013】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、記憶部11に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行することにより、複合機1の各種動作及び制御を行う。
【0014】
画像入力部3は、自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder)または原稿台に載置された原稿を読み取り、画像として画像メモリ4に出力するスキャナである。
【0015】
画像メモリ4は、画像入力部3により入力された画像を一時的に記憶すると共に、印刷する画像を、画像印刷部5に出力する。
【0016】
画像印刷部5は、画像メモリ4から入力された画像に基づいて、画像を形成し、記録紙に印刷するものであり、印刷方式には、例えば、電子写真方式が用いられる。
【0017】
後処理装置6は、画像印刷部5により印刷された記録紙に対して後処理を実行するための装置であり、例えば、指定された位置に穴を開けるパンチ処理や、ステープルにより記録紙を閉じるステープル処理等を実行する。
【0018】
タッチパネル7及びキー操作部8は、原稿の読み取り処理、印刷処理等の処理の中から所望の処理を選択するための操作、その処理を開始するための操作、各処理を実行する際に必要となる設定を行うための操作(選択操作又は入力操作)等を受け付ける。タッチパネル7及びキー操作部8は、図2で例示するような操作パネル20として構成してもよい。キー操作部8は、原稿読込開始等の指示を受付けるスタートキー20a、テンキー20b等、操作するために必要なキー群を備えている。
【0019】
タッチパネル7は、液晶ディスプレイ等の表示部とタッチセンサ等の操作受付部として機能する。また、上記表示部に後述するプレビュー画像が表示されることにより、利用者はプレビュー画像を視認することができる。
【0020】
プレビュー画像生成部9は、画像メモリ4に記憶されている画像から、印刷設定に基づいてプレビュー画像を生成し、プレビュー画像メモリ10に出力する機能部である。そして、プレビュー画像メモリ10に記憶されたプレビュー画像は、タッチパネル7の表示部に出力(表示)される。
【0021】
記憶部11は、複合機1を動作させる為の各種データやプログラムなどを記憶する。制御部2は、記憶部11に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより、制御処理を実行する。また、記憶部11は、本発明の「ズレ傾向値記憶部」として、実際の印刷位置の理論上の印刷位置からのズレの傾向値を予め記憶する。記憶部11に記憶する印刷位置調整情報については後述する。
【0022】
以下、図3〜図6を参照して、プレビュー表示の際にデジタル複合機1のタッチパネル7に表示される画面や当該画面に表示されるプレビュー画像の例を、そのときの複合機1の動作と共に説明する。
【0023】
図3は、図1の複合機1の標準画面の例を示す図である。
図3の標準画面のGUI(Graphic User Interface)画像30は、複合機1の電源が投入されたり、複合機1がリセットされたりしたときにタッチパネル7に表示される。このGUI画像30では、デジタル複合機1の動作モードを選択するために、コピーモード選択キー31、イメージ送信モード選択キー32、ドキュメントファイリングモード選択キー33が表示されている。以下では、例えば、ユーザが、コピーモードを選択した場合について説明する。
【0024】
GUI画像30では、コピーを行うときの出力条件設定が可能となっており、例えば、カラーコピー/モノクロコピーの設定を行うためのカラーモードコピーキー34、パンチやステープル等の仕上げ処理の設定を行うための仕上げキー35、両面印刷の設定を行うための両面コピーキー36、その他コピー時の詳細設定を行うための特別機能キー37、等が表示されている。
また、画像入力部3で読み取った原稿に係る画像について、設定された出力条件に基づく印刷状態を、タッチパネル7にプレビュー表示するためのプレビュー確認キー38が表示されている。
【0025】
ユーザが、プレビュー確認キー38、次いで、スタートキー20a(図2参照)を操作すると、画像入力部3は、原稿の読み取りを開始し、ADFにより一枚ずつ搬送される原稿を順次読み取り画像として画像メモリ4に出力する。
また、プレビュー画像生成部9は、画像メモリ4に記憶されている画像から、両面印刷等の印刷設定に基づいてプレビュー画像を生成する。生成されたプレビュー画像はタッチパネル7に表示される。なお、両面印刷が指定されている場合、プレビュー画像生成部は、例えば、裏面の画像を左右反転させ透過させた裏面透過画像を表面の画像に合成した両面印刷用のプレビュー画像を生成する。
【0026】
図4は、両面印刷される原稿を読み取った画像の例を示す図であり、図4(A)は表面に印刷される原稿を読み取った画像、図4(B)は裏面に印刷される原稿を読み取った画像である。図5は、印刷設定として両面印刷が指定されている場合に、図4の原稿を読み取った画像からプレビュー画像生成部9が生成するプレビュー画像の一例を示す図である。
図4の表面に印刷される原稿の画像41と裏面に印刷される原稿の画像42では、中心に文字があるが、これらの画像41,42に基づいて調整を行わずに印刷を行うと、メカ的な事情で印刷位置がズレ、上記の文字が中心からズレた位置に印刷される。ここでは、右側にズレた位置に印刷されるものとする。
【0027】
上述のようにズレた位置に印刷されるため、複合機1では、実際の印刷位置の理論上の印刷位置からのズレの傾向値を表面と裏面それぞれについて記憶部11に記憶している。そして、プレビュー画像生成部9は、印刷設定として両面印刷が指定された状態でプレビュー表示が指示されると、表面の画像と裏面透過画像を合成した両面印刷用のプレビュー画像を生成する際に、記憶部11に記憶の表面及び裏面のズレ傾向値に基づいて、図4の画像41,42の位置をずらした図5の両面印刷用のプレビュー画像50を生成する。生成された両面印刷用のプレビュー画像50は、タッチパネル7に表示される。
【0028】
ユーザは、このプレビュー画像50を見ながら、タッチパネル7やキー操作部8を操作して印刷位置の調整をすることができ、複合機から所望の位置に画像が印刷された印刷物を得ることができる。
【0029】
図6は、プレビュー表示時に表示される画面の例を示す図である。
図のGUI画像60は、両面印刷のプレビュー表示画面であり、動作状態メッセージ61として、「プレビュー表示」を行っていることを表示している。
【0030】
GUI画像60は、両面印刷用のプレビュー画像62をGUI画像に組み込んで表示していることに加えて、現在のページを印刷ページで示す現ページ情報63と、印刷ページ単位でページ切換可能なページ切換キー64と、印刷物の総ページ数を印刷ページで示す総ページ数情報65が表示されている。ユーザがページ切換キー64を操作すれば、次/前の印刷ページに係る画像がプレビュー表示される。
【0031】
GUI画像60には、さらに、拡大/縮小キー66、表示の回転キー67等が表示されており、ユーザはこれらを適宜操作することによって、プレビュー画像62を拡大/縮小或いは回転させて確認することができる。
また、GUI画像60には、両面印刷用のプレビュー画像62も表示されており、ユーザはこの仕上がり表示キー68を操作することによって、印刷後の仕上がり状態をプレビューとして確認することができる。例えば、出力条件としてパンチ孔形成を設定した場合、仕上がり情報として、印刷した用紙にパンチ穴をあけた状態を示すパンチ情報がプレビュー画像とともに表示される。
【0032】
GUI画像60には、さらに、裏面の画像の印刷位置を調整するための裏面調整キー69が表示されており、ユーザがこの裏面調整キー68を押下した状態で、両面印刷用のプレビュー画像62に対してドラッグ操作を行うことで、プレビュー画像62における裏面透過画像の表示位置を変更するだけでなく、裏面の画像の印刷位置を調整できる。また、裏面調整キー68を押下していない状態で、両面印刷用のプレビュー画像62に対してドラッグ操作を行うことで、プレビュー画像62における表面の画像の表示位置を変更するだけでなく、表面の画像の印刷位置を調整できる。
これらの操作により設定される、表面の画像と裏面の画像をそれぞれどの方向にどれだけ移動させて印刷するかの情報は、記憶部11に印刷位置調整情報として記憶される。
【0033】
GUI画像60には、さらに、コピー開始キー70が表示されており、ユーザはこのコピー開始キー70を操作することによって、記憶部11に記憶の印刷位置調整情報に基づく印刷位置に表面の画像と裏面の画像をコピー(印刷)させることができ、所望の位置に画像が印刷された印刷物を得ることができる。
【0034】
なお、上述の例では、ドラッグ操作により、裏面の画像や表面の画像の印刷位置を調整していたが、操作パネル20(図2参照)のテンキー20bを用いた数値入力により調整するようにしてもよい。
【0035】
図7は、ズレ傾向値の設定画面の一例を示す図である。
図3のズレ傾向値の設定画面のGUI画像80は、図2の操作パネル20のシステム設定キーを押下し、それにより表示される画面を操作していったときにタッチパネル7に表示される。このGUI画像80では、表面と裏面それぞれについて、横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)のズレ傾向値の入力欄があり、ユーザが該入力欄を選択し、操作パネルのテンキーを用いて数値入力した後にOKキーを押下すると、ズレ傾向値が設定され記憶部11に記憶される。
なお、ズレ傾向値は上述のように予め設定され記憶部11に記憶されていてもよいし、プレビュー表示の際に設定され記憶されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…複合機、2…制御部、3…画像入力部、4…画像メモリ、5…画像印刷部、6…後処理装置、7…タッチパネル、8…キー操作部、9…プレビュー画像生成部、10…プレビュー画像メモリ、11…記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像から印刷設定に基づいたプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、
理論上の印刷位置からのズレの傾向値を表面と裏面それぞれについて記憶するズレ傾向値記憶部と、を備え、
前記印刷設定として両面印刷が指定されている場合、前記ズレ傾向値記憶部に記憶されている前記表面と裏面それぞれのズレの傾向値に基づいて画像の位置をずらした両面印刷用のプレビュー画像を前記プレビュー画像生成部により生成し、該生成した両面印刷用のプレビュー画像を表示することを特徴とした印刷装置。
【請求項2】
さらに、印刷位置の調整情報が入力される調整値入力部を備え、
前記両面印刷用のプレビュー画像を表示中に、前記調整値入力部から前記印刷位置の調整情報が入力された場合、前記入力された印刷位置の調整情報に基づいて前記両面印刷用のプレビュー画像における画像の位置を変更したプレビュー画像を前記プレビュー画像生成部により生成して表示し、印刷指示に従って、前記印刷位置の調整情報に基づく印刷位置に前記表面の画像と前記裏面の画像を印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55512(P2013−55512A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192523(P2011−192523)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】