印字ヘッド集積回路が組み込まれたカートリッジを有するデスクトッププリンタ
【課題】高品質のイメージを高速で印刷することができ、且つデスク上に容易に収容される大きさのデスクトッププリンタを提供する。
【解決手段】印刷用媒体34を支持する媒体入力アセンブリと、印刷された媒体を集める媒体出力アセンブリと、媒体の表面にイメージを印刷する印字ヘッドを有し、且つ本体に取り付けるようにされている印刷エンジン(70)と、を有する本体、を備えているプリンタ装置が提供される。印字ヘッドは、印刷エンジンから取外し可能であるページ幅印字ヘッドである。
【解決手段】印刷用媒体34を支持する媒体入力アセンブリと、印刷された媒体を集める媒体出力アセンブリと、媒体の表面にイメージを印刷する印字ヘッドを有し、且つ本体に取り付けるようにされている印刷エンジン(70)と、を有する本体、を備えているプリンタ装置が提供される。印字ヘッドは、印刷エンジンから取外し可能であるページ幅印字ヘッドである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置に関し、より詳細には、高品質のイメージを高速で印刷することができ、且つデスク上に容易に収容される大きさのインクジェットプリンタ装置に関する。
【0002】
[同時係属中の出願]
出願人は、本出願と同時に以下の出願をすでに出願している。
【表1】
【0003】
これらの同時係属中の出願の開示は、本文書に参考とすることにより組み込まれる。上記の出願は、出願整理番号によって識別されているが、これらの番号は、対応する出願番号が割り当てられた時点でそれらに置き換えられる。
【0004】
[関連出願への相互参照]
本発明の出願人又は譲渡人によって出願されている以下の特許又は特許出願は、本文書に参考とすることにより組み込まれる。
【表2】
【0005】
いくつかの出願は、事件整理番号によって列挙されている。これらは、出願番号が明らかになった時点で置き換える予定である。
【背景技術】
【0006】
家庭或いはオフィス環境で使用するためのデスクトッププリンタ装置は周知であり、現在製造、販売されているプリンタ装置の大きな割合を占めている。そのようなユニットは、パーソナルコンピュータ或いはデジタルカメラなどのコンピュータシステムのすぐ近く、デスク又はワークステーション上に配置するようにされている。この配置構成においては、ユーザは、コンピュータシステムからイメージを選択し、それをプリンタ装置に送って印刷することができ、自分のデスク或いはオフィスを離れる必要なしに、印刷イメージをプリンタ装置から都合よく取り出すことができる。
【0007】
従来、このタイプのデスクトッププリンタ装置のメーカーは、この便利な動作形態が達成される単純なユニットを提供することに主眼を置いてきた。結果として、市販されているデスクトッププリンタ装置のほとんどは、動作する印刷速度と、印刷されるイメージの印刷品質が制限されている。多くの場合、そのようなデスクトッププリンタ装置は、モノクロイメージしか印刷できず、フルカラーの写真画質で印刷できるユニットであっても、印刷速度は一般に5ページ/分(ppm)未満である。この結果として、印刷ジョブとして複数のページを高解像度のフルカラーで印刷することが要求される場合、そのようなタスクを専用に実行する遠隔のプリンタ装置にその印刷ジョブを送った方が、コスト及び時間の面で効率的であることがしばしばある。従って、従来のデスクトッププリンタ装置は、高速で動作して高い品質の印刷イメージを生成できないために、プリンタ装置としての全体的な利便性が損なわれている。
【0008】
更に、現在では、家庭及びオフィスのいずれにおいても、様々なコンポーネントを自由にレイアウトできる作業環境を生み出すべく作業空間が最適化される傾向にあり、結果として、従来の仕事場におけるコンピュータなどのコンポーネントに利用できる空間が減少している。最近では、パーソナルコンピュータ、特にコンピュータモニターのサイズが、薄型フラット画面モニターの登場によって大幅に小さくなっており、これにより、そのようなコンポーネントがデスク上を占める空間が最小限になっている。デスクトッププリンタ装置については、従来、ユニットのサイズが、印刷する必要のある印刷媒体のサイズ及び印刷方式によって大きく左右されていたため、メーカーにとって上記の傾向に対応することは難しかった。
【0009】
ほとんどのデスクトッププリンタ装置はインクジェットタイプであり、印刷媒体の上を移動するときにインクを発射する印字ヘッドを備えた往復運動型キャリッジを採用している。そのようなプリンタ装置では、イメージの1行を印刷するのに、静止している印刷媒体の上を印字ヘッドが何度か往復する必要があるため、動作可能な速度に制限がある。従って、このタイプのプリンタ装置は、従来の用紙ハンドリング機構に加えて、印字ヘッドのそのような往復運動を可能にするために必要な様々な機構を収納していなければならない。従って、一般には、デスクトッププリンタ装置のサイズと、プリンタ装置の印刷速度及び印刷品質との間でトレードオフがあり、結果として、市販されているデスクトッププリンタ装置には、画線率(image coverage)が少なくとも80%であるフルプロセスカラーイメージを約60ページ/分(ppm)の速度で印刷できる機種が存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
出願人は、1600dpiという高い解像度を有するイメージを印刷することのできる印字ヘッドを開発した。そのような印字ヘッドはページ幅印字ヘッドであり、印刷される媒体の幅にわたっており、媒体の上を通過するときに媒体の表面にインク滴を発射する。これに関して、この印字ヘッドは、媒体が通過するときに静止ポジションに保持されており媒体上を往復しないため、より高い印刷速度が可能である。そのような印字ヘッドにより、高画質のイメージを高速で印刷することのできるプリンタ装置を提供することが可能になるが、そのような印字ヘッドに対応することができ、印刷が可能になるように媒体が印字ヘッドを通過するよう制御することができ、且つデスク上に置くことのできるプリンタ装置を開発する必要がある。これに加えて、印字ヘッドを保守する手段として、印字ヘッドのメンテナンス或いは交換が必要な場合に、それらをデスクトップユニットの枠組みの中で容易に実行できる手段も提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの実施形態においては、印刷用媒体を支持する媒体入力アセンブリと、印刷された媒体を集めておく媒体出力アセンブリと、媒体にイメージを印刷する印字ヘッドを有し、且つ本体に取り付けられるようにされている印刷エンジンと、を有する本体、を備えているプリンタ装置であって、印字ヘッドがページ幅印字ヘッドであり、且つ印刷エンジンから取外し可能である、プリンタ装置、が提供される。
【0012】
1つの形態においては、印字ヘッドは、必要時に印字ヘッドを容易に交換することができるように、印刷エンジンから取外し可能であるカートリッジに設けられている。カートリッジは、印字ヘッドによって印刷するための1つ以上の印刷流体を収容するようにすることもできる。印刷流体は、インクの形態とすることができ、又は、カラー印刷用の一連のカラーインクを備えていることができる。同様に、印刷流体は、赤外線インク、或いは、インクの定着を促進するために印字ヘッドによって供給することのできる定着剤を備えていることができる。
【0013】
媒体入力アセンブリは、印刷用の1枚以上の媒体を受け入れるようにされている媒体トレイとすることができる。媒体は、標準用紙の形態(A4サイズの紙或いは印画紙など)とすることができる。媒体トレイは、媒体トレイに受け入れられている媒体が実質的に垂直に印刷エンジンに供給されるように、実質的に垂直方向に傾いていることができる。
【0014】
媒体出力アセンブリは、印字ヘッドによる印刷に続いて、印刷された媒体を受け入れて集めておく1つ以上の媒体トレイを備えていることができる。1つ以上の媒体トレイは、様々なサイズの媒体を収容するようにプリンタ装置の本体から延長可能とすることができる。
【0015】
印刷エンジンは、プリンタ装置の本体に動かないように取り付けられているクレードルであって、カートリッジを受け入れてカートリッジを印刷ポジションに支持するようにされている、クレードル、を備えていることができる。クレードルは、プリンタ装置の全体的な動作を制御する制御システムであって、印字ヘッドを制御する少なくとも1つのSoPECデバイスを含んでいる、制御システム、を備えていることができる。
【0016】
クレードルは、媒体を、媒体入力アセンブリから、媒体の表面にイメージが印刷される印字ヘッドを経て、媒体出力アセンブリに搬送する媒体搬送システム、を更に備えていることができる。これに関して、クレードルは、印刷エンジンに媒体を受け入れる媒体入口であって、印字ヘッドの上流、媒体入力アセンブリの近傍に配置されている媒体入口、を有することができる。クレードルは、印刷された媒体が媒体出力アセンブリに容易に供給されて集められるように、印字ヘッドの下流、媒体出力アセンブリの近傍に配置されている媒体出口、を備えていることができる。
【0017】
媒体搬送システムは、駆動ローラー及びピンチローラーであって、駆動ローラーを駆動する媒体搬送モーターの作用下において協働して媒体を搬送する、駆動ローラー及びピンチローラー、を備えていることができる。媒体搬送モーターは、プリンタ装置を通過する媒体の供給が制御されるように制御システムによって制御されるブラシレスDCモーターとすることができる。
【0018】
クレードルは、印字ヘッドにメンテナンスを実行する印字ヘッドメンテナンス要素を更に備えていることができる。印字ヘッドメンテナンス要素は、印字ヘッドが使用されないときに非キャッピングポジションからキャッピングポジションに動くことができるキャッピング面、を備えていることができる。キャッピングポジションは、キャッピング面が印字ヘッドの外面と接触し、それによって印字ヘッドの周りにシールが形成され、印字ヘッドにおけるインクの乾燥が防止され、インク供給ノズルが遮断されるポジション、とすることができる。印字ヘッドメンテナンス要素の動きは、制御システムの制御下において媒体搬送モーターによって提供することができる。
【0019】
媒体は、プリンタ装置の本体に取り付けることのできる媒体ピッカーシステムによって、媒体入力アセンブリから媒体入口に供給することができる。媒体ピッカーシステムは、ピッカーモーターによって駆動されるピッカーローラーであって、媒体入力アセンブリ内に含まれている媒体を媒体入口に供給する、ピッカーローラー、を含んでいることができる。紙の供給速度を制御する目的で、ピッカーモーターは、印刷のため印刷エンジンへの媒体の供給速度が制御されるように、クレードルの制御システムによって制御することができる。
【0020】
印刷後、印刷された媒体を、媒体排出機構によって媒体出口から媒体出力アセンブリに供給することができる。媒体排出機構は、排出ローラーと、印刷された媒体を捕捉して媒体を媒体出力アセンブリに供給するアイドラー要素とを含んでいることができる。アイドラー要素は、排出ローラーと回転接触している(in rotational contact)1つ以上のアイドラーホイールとすることができ、又は、排出ローラーと回転接触しているアイドラーローラーとすることができる。排出ローラーは、印刷された媒体の印刷エンジンからの排出が調整されるように、クレードルの制御システムの制御下において媒体搬送モーターによって駆動することができる。これに関して、媒体排出機構は、クレードルの媒体出口に隣接してプリンタ装置の本体に取り付けることができ、又は、媒体出口に隣接してクレードルに取り付けることができる。
【0021】
以下では、本発明の特徴が組み込まれているプリンタの形態について、添付の図面を参照しながら一例として説明する。
【0022】
本発明の第1の側面においては、印刷用媒体を支持する媒体入力アセンブリと、印刷された媒体を集める媒体出力アセンブリと、媒体の表面上にイメージを印刷する印字ヘッドを有する印刷エンジンと、を有する本体、を備えているプリンタ装置であって、印字ヘッドが、ページ幅印字ヘッドであり、且つユーザによって印刷エンジンから取外し可能である、プリンタ装置が提供される。
【0023】
オプションとして、印字ヘッドはカートリッジに設けられており、カートリッジは、印刷エンジンから取外し可能である。
【0024】
オプションとして、カートリッジは、印刷用の1つ以上の印刷流体を収容するようにされている。
【0025】
オプションとして、プリンタはデスクトッププリンタであり、媒体入力アセンブリは、第1の傾き角度にて配置されており、印刷エンジンは、印字ヘッドが、第1の傾き角度より大きい第2の傾き角度にあるように配置されている。
【0026】
オプションとして、第1の傾き角度は、90°と160°との間である。
【0027】
オプションとして、第1の傾き角度は、110°と130°との間である。
【0028】
オプションとして、印字ヘッドには、少なくとも10,000個のインク供給ノズルが配置されている。
【0029】
オプションとして、印字ヘッドには、少なくとも20,000個のインク供給ノズルが配置されている。
【0030】
オプションとして、印字ヘッドには、少なくとも50,000個のインク供給ノズルが配置されている。
【0031】
オプションとして、印刷エンジンは、印字ヘッドの動作を制御する制御システムを更に備えており、印字ヘッドは、媒体の表面上に個々のインク滴を発射し、且つ自身の上に配置されている複数のインク発射ノズルであって、使用時、制御システムが、ノズルがインク滴を発射するかを少なくとも毎秒5000万回の判断速度で判断する、複数のインク発射ノズル、を有する。
【0032】
オプションとして、制御システムは、ノズルがインク滴を発射するかを少なくとも毎秒1億回の判断速度で判断する。
【0033】
オプションとして、制御システムは、ノズルがインク滴を発射するかを少なくとも毎秒3億回の判断速度で判断する。
【0034】
オプションとして、制御システムは、ノズルがインク滴を発射するかを少なくとも毎秒10億回の判断速度で判断する。
【0035】
オプションとして、印刷エンジンは、印字ヘッドの動作を制御する制御システムを更に備えており、印字ヘッドは、媒体の表面上に個々のインク滴を発射し、且つ自身の上に配置されている複数のインク発射ノズルであって、使用時、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも0.5ppm/kgが提供されるように印刷速度が制御される、複数のインク発射ノズル、を有する。
【0036】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも1ppm/kgが提供されるように制御される。
【0037】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも2ppm/kgが提供されるように制御される。
【0038】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも5ppm/kgが提供されるように制御される。
【0039】
オプションとして、印刷エンジンは、印字ヘッドの印刷速度を制御する制御システムを更に備えており、印字ヘッドは、媒体の表面上に個々のインク滴を発射し、且つ自身の上に配置されている複数のインク発射ノズルであって、使用時、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.002ppm/cm3が提供されるように印刷速度が制御される、複数のインク発射ノズル、を有する。
【0040】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.005ppm/cm3が提供されるように制御される。
【0041】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.01ppm/cm3が提供されるように制御される。
【0042】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.02ppm/cm3が提供されるように制御される。
【0043】
オプションとして、印刷エンジンは、印字ヘッドの印刷速度を制御する制御システムを更に備えており、印字ヘッドは、媒体の表面上に個々のインク滴を発射し、且つ自身の上に配置されている複数のインク発射ノズルであって、使用時、印刷面積速度(area print speed)として少なくとも50cm2/秒が提供されるように印刷速度が制御される、複数のインク発射ノズル、を有する。
【0044】
オプションとして、印刷速度は、印刷面積速度として少なくとも100cm2/秒が提供されるように制御される。
【0045】
オプションとして、印刷速度は、印刷面積速度として少なくとも200cm2/秒が提供されるように制御される。
【0046】
オプションとして、印刷速度は、印刷面積速度として少なくとも500cm2/秒が提供されるように制御される。
【0047】
オプションとして、媒体入力アセンブリは、印刷用の1枚以上の媒体を受け入れるようにされている媒体トレイである。
【0048】
オプションとして、媒体は紙である。
【0049】
オプションとして、媒体トレイは、実質的に垂直方向に傾いている。
【0050】
オプションとして、媒体出力アセンブリは、印字ヘッドによる印刷に続いて媒体を受け入れて集めておく1つ以上の媒体トレイを備えている。
【0051】
オプションとして、1つ以上の媒体トレイは、様々なサイズの印刷媒体を収容するように本体から延ばすことができる。
【0052】
オプションとして、印刷エンジンは、本体に動かないように取り付けられているクレードルであって、カートリッジを受け入れてカートリッジを印刷ポジションに支持するようにされている、クレードル、を備えている。
【0053】
オプションとして、クレードルは、プリンタの全体的な動作を制御する制御システムを含んでいる。
【0054】
オプションとして、制御システムは、少なくとも1つのSoPECデバイスを含んでいる。
【0055】
オプションとして、クレードルは、媒体を媒体入力アセンブリから印字ヘッドを経て媒体出力アセンブリに搬送する媒体搬送システム、を備えている。
【0056】
オプションとして、クレードルは、印刷エンジンに媒体を受け入れる媒体入口であって、印字ヘッドの上流、媒体入力アセンブリの近傍に配置されている、媒体入口、を有する。
【0057】
オプションとして、クレードルは、印刷エンジンからの印刷された媒体を供給する媒体出口であって、印字ヘッドの下流、媒体出力アセンブリの近傍に配置されている、媒体出口、を有する。
【0058】
オプションとして、媒体搬送システムは、協働して媒体を搬送する駆動ローラー及びピンチローラーを備えている。
【0059】
オプションとして、媒体搬送システムは、駆動ローラーを駆動する媒体搬送モーターを備えている。
【0060】
オプションとして、媒体搬送モーターはブラシレスDCモーターである。
【0061】
オプションとして、媒体搬送モーターは、媒体搬送システムの動作を制御する制御システムによって制御される。
【0062】
オプションとして、クレードルは、印字ヘッドメンテナンス要素を備えている。
【0063】
オプションとして、印字ヘッドメンテナンス要素は、印字ヘッドを覆うようにされているキャッピング面を有する。
【0064】
オプションとして、印字ヘッドメンテナンス要素は、非キャッピングポジションからキャッピングポジションに動くことができる。
【0065】
オプションとして、キャッピングポジションは、キャッピング面が印字ヘッドの外面と接触し、それによって印字ヘッドの周りにシールが形成されるポジションである。
【0066】
オプションとして、印字ヘッドメンテナンス要素の動きは、制御システムの制御下において媒体搬送モーターによって提供される。
【0067】
オプションとして、媒体は、媒体ピッカーシステムによって媒体入力アセンブリから媒体入口に供給される。
【0068】
オプションとして、媒体ピッカーシステムは、本体に取り付けられており、媒体ピッカーシステムは、媒体入力アセンブリ内に含まれている媒体を媒体入口に供給するピッカーローラーを含んでいる。
【0069】
オプションとして、媒体ピッカーシステムは、ピッカーローラーを駆動するピッカーモーターを有する。
【0070】
オプションとして、ピッカーモーターは、印刷のため印刷エンジンへの媒体の供給速度が制御されるように、クレードルの制御システムによって制御される。
【0071】
オプションとして、印刷された媒体は、媒体排出機構によって媒体出口から媒体出力アセンブリに供給される。
【0072】
オプションとして、媒体排出機構は、排出ローラーと、印刷された媒体を捕捉して媒体を媒体出力アセンブリに供給するアイドラー要素と、を含んでいる。
【0073】
オプションとして、アイドラー要素は、排出ローラーと回転接触している1つ以上のアイドラーホイールである。
【0074】
オプションとして、アイドラー要素は、排出ローラーと回転接触しているアイドラーローラーである。
【0075】
オプションとして、排出ローラーは、クレードルの制御システムの制御下において媒体搬送モーターによって駆動される。
【0076】
オプションとして、媒体排出機構は、クレードルの媒体出口に隣接して本体に取り付けられている。
【0077】
オプションとして、媒体排出機構は、媒体出口に隣接してクレードルに取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の1つの実施形態による印刷システムにおけるドキュメントデータの流れの概略図である。
【図2】図1の印刷システムにおいて使用されているアーキテクチャを示している、より詳しい概略図である。
【図3】図1の印刷システムにおいて使用されている制御電子回路の実施形態のブロック図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態によるプリンタ装置の正面斜視図である。
【図5】図4のプリンタ装置の後面斜視図である。
【図6】図4のプリンタ装置の正面の平面図である。
【図7】図4のプリンタ装置の後面の平面図である。
【図8】図4のプリンタ装置の右側面図である。
【図9】図4のプリンタ装置の左側面図である。
【図10】図4のプリンタ装置の底面の平面図である。
【図11】図4のプリンタ装置の分解した状態の正面斜視図である。
【図12】媒体出力アセンブリが延長ポジションにあり媒体が媒体入力アセンブリに装填された図4のプリンタ装置の正面斜視図である。
【図13】プリンタ装置のカバーが開いて印刷エンジンが露出した図4のプリンタ装置の正面斜視図である。
【図14】カートリッジが印刷エンジンから取り外された図13のプリンタ装置の正面斜視図である。
【図15】プリントカートリッジが補給された図13のプリンタ装置の正面斜視図である。
【図16】印刷エンジンが媒体入力アセンブリに対して角度をなしている図4のプリンタ装置の断面図である。
【図17】視覚インジケータユニットのコンポーネントの斜視図である。
【図18】本発明において使用するための、インクを発射する1つのノズルの静止状態における垂直断面図である。
【図19】図18のノズルの最初の作動段階時における垂直断面図である。
【図20】図19のノズルの作動段階の後半の垂直断面図である。
【図21】図18のノズルの、図20に示した作動状態における斜視図(一部垂直断面図)である。
【図22】図18のノズルの、インクを省略した断面斜視図である。
【図23】図22のノズルの垂直断面図である。
【図24】図18のノズルの、図19に示した作動状態における斜視図(一部垂直断面図)である。
【図25】図18のノズルの平面図である。
【図26】見やすさのためレバーアーム及び可動ノズルを取り除いた図18のノズルの平面図である。
【図27】図18に示したタイプの複数のノズル構造部が組み込まれている印字ヘッドチップの一部の断面斜視図である。
【図28】図4のプリンタにおいて使用するCMOS駆動・制御ブロックである概略図である。
【図29】図28のCMOSブロックにおけるノズル列とドットシフトレジスタとの間の関係を示す概略図である。
【図30】図29のノズル列及びドットシフトレジスタに対するユニットセルの関係を示す詳細図である。
【図31】図4のプリンタにおける1つのプリンタノズルのロジックを示す回路図である。
【図32】視覚インジケータユニットのコンポーネントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明は、図4〜図16に示したように、写真品質のイメージを毎分60ページ(ppm)のオーダーの速度で印刷することのできるデスクトッププリンタ装置2として具体化されている。なお、以下の詳細な説明及び請求項においては、印刷速度及びppmが言及されている場合、いずれも、少なくとも80%のページ画線率が要求される(スポットカラーではなく)フルプロセスカラーイメージとして印刷されるページを意味することを理解されたい。従って、既存のプリンタ装置との比較は、いずれもこの印刷要件に基づいている。以下の詳細な説明から容易に理解されるように、プリンタ装置2は、家庭又はオフィスの標準的なデスク上に容易に置くことができ、且つ占有されるデスク空間が最小であるサイズ及び重量として構築されている。
【0080】
図1に概略的に示したように、プリンタ装置2は、使用時、コンピュータシステム102などの外部データ源から受信したドキュメントを、紙などの印刷媒体に印刷するようにされている。これに関して、プリンタ装置2は、コンピュータシステム102によって前処理されたデータを受信するために、ユニット2とコンピュータシステム102との間を電気的に接続することのできる手段(接続方法については後から説明する)を含んでいる。1つの形態においては、外部のコンピュータシステム102は、ドキュメントの印刷に関与する様々なステップとして、ドキュメントを受信する(ステップ103)、それをバッファに格納する(ステップ104)、それをラスタライズする(ステップ106)、それを圧縮してプリンタ装置2に送信する(ステップ108)、などを実行するようにプログラムされている。
【0081】
本発明の1つの実施形態によるプリンタ装置2は、圧縮された多層ページイメージの形式におけるドキュメントを、外部のコンピュータシステム102から受信し、プリンタ装置2の中に設けられている制御電子回路72が、イメージをバッファに格納し(ステップ110)、更なる処理のためにそのイメージを展開する(ステップ112)。展開された連続階調層をディザリングし(ステップ114)、展開ステップからの黒の層を、ディザリングされた連続階調層の上に合成する(ステップ116)。また、符号化されたデータをレンダリングして(ステップ118)、人の目には実質的に見えない赤外線インクを使用して印刷される追加の層を形成することもできる(必要時)。ディザリングされた黒の連続階調層と赤外線層とを結合して(ステップ120)ページを形成し、そのページを印字ヘッドに供給して印刷する(ステップ122)。
【0082】
この特定の配置構成においては、印刷されるドキュメントに関連付けられているデータを、テキスト及びラインアートの高解像度の2階調マスク層と、イメージ又は背景色の中解像度の連続階調カラーイメージ層とに分割する。オプションとして、イメージ又はフラットカラーから取得されたカラーデータによってテキスト及びラインアートをテクスチャリングするための中〜高解像度の連続階調テクスチャ層を追加することによって、カラーテキストをサポートすることができる。この印刷アーキテクチャでは、これらの連続階調層を、抽象的な「イメージ」層及び「テクスチャ」層(イメージデータ或いはフラットカラーデータを参照することができる)に表すことによって一般化する。このようにコンテンツに基づいてデータを層に分割する処理は、当業者には理解されるようにMRC(Mixed Raster Content)ベースモードに従う。MRCベースモードと同様に、この印刷アーキテクチャでは、印刷するデータがオーバーラップするときには、場合によっては妥協が行われる。具体的には、1つの形態においては、すべてのオーバーラップは、妥協を明示的に具体化するプロセス(衝突解消)において3層表現に減じる。
【0083】
前述したように、データは、主としてソフトウェアベースのコンピュータシステム102によって前処理された、圧縮された多層ページイメージの形式において、プリンタ装置2に供給される。プリンタ装置2は、図2に詳しく示したように、主としてハードウェアベースのシステムを使用してこのデータを処理する。
【0084】
ディストリビュータ230は、データを受信すると、所有権のある表現形式から、ハードウェアに固有な表現形式にデータを変換し、このデータが正しいハードウェアデバイスに送られるようにし、その一方で、これらのデバイスにデータを送信するときの制約又は必要条件がないか監視する。ディストリビュータ230は、変換されたデータを複数のパイプライン232のうちの適切な1つに分配する。パイプラインは互いに同一であり、基本的には、解凍機能、スケーリング機能、及びドット合成機能を提供し、一連の印刷可能なドット出力を生成する。
【0085】
各パイプライン232は、データを受信するバッファ234を含んでいる。連続階調復元装置236は、カラー連続階調面(color contone plane)を解凍し、マスク復元装置は、モノトーン(テキスト)層を解凍する。連続階調スケーラ240及びマスクスケーラ242は、それぞれ、ページを印刷する媒体のサイズを考慮するために、解凍された連続階調面及びマスク面をスケーリングする。
【0086】
次いで、スケーリングされた連続階調面をディザラ(ditherer)244によってディザリングする。1つの形態においては、確率論的な分散化ドットディザリング(dispersed−dot dither)が使用される。クラスタ化ドット(又は振幅変調型)ディザリング(clustered−dot dither)と異なり、分散化ドット(又は周波数変調型)ディザリングでは、ドット解像度のほぼ限界の高い空間周波数(すなわちイメージディテール)が再現され、それと同時に、目によって空間的に構築されたときにフルカラー深度までの低い空間周波数が再現される。確率論的なディザマトリクスは、イメージ全体にわたるタイリング処理時に好ましくない低周波数パターンがあまり生じないように慎重に設計されている。従って、そのサイズは、一般には、特定の輝度レベル数をサポートするのに必要な最小サイズ(例:257輝度レベルの場合の16×16×8ビット)を超える。
【0087】
次いで、ディザリングされた面を、ドット合成装置246においてドット単位で合成し、印刷に適するドットデータを提供する。このデータをデータ分散およびドライブ回路(data distribution and drive electronics)248に転送し、この電子回路248が、このデータを該当するノズルアクチュエータ250に分配し、アクチュエータ250は、後から更に詳しく説明する方法によって、該当するノズル252から正しいタイミングでインクを発射させる。
【0088】
印刷するイメージを処理するためにプリンタ装置2に使用されるコンポーネントは、データの提供方式に大きく依存することが理解されるであろう。これに関して、プリンタ装置2に追加のソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネント、又はその両方を使用し、プリンタ装置2の中で更なる処理を実行することにより、コンピュータシステム102に対する依存性を小さくすることが可能である。これに代えて、プリンタ装置2において使用するソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネント、又はその両方を少なくし、プリンタ装置2の中で実行する処理を減らすことにより、プリンタ装置2にデータが送信される前にイメージの処理がより多くの程度行われるようにコンピュータシステム102に依存することができる。
【0089】
どのような状況においても、上述したタスクを実行するのに必要なコンポーネントは、プリンタ装置2の制御電子回路72の中に設けられており、図3は、この電子回路の実施形態のブロック図を示している。
【0090】
この配置構成においては、ハードウェアパイプライン232は、SoPEC(Small Office Home Office Printer Engine Chip)として具体化されている。図に示したように、SoPECデバイスは、大きく分けて3つの異なるサブシステム、すなわち、CPU(中央処理ユニット)サブシステム301と、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)サブシステム302と、印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303とから成る。
【0091】
CPUサブシステム301は、他のサブシステムのすべての側面を制御及び設定するCPU 30を含んでいる。このサブシステムは、後述するように、プリンタ装置2のすべての要素のインタフェース処理と、これらの間の同期処理のための全般的なサポートを提供する。このサブシステムは、QAチップ(後述する)との低速通信も制御する。また、CPUサブシステム301は、汎用I/O(GPIO:モーター制御を含む)、割込みコントローラユニット(ICU)、LSSマスタータイマー及び汎用タイマーなど、CPUを支援する様々な周辺デバイスも含んでいる。CPUサブシステム上のシリアル通信ブロック(SCB)は、ホストとのフルスピードUSB1.1インタフェースと、他のSoPECデバイス(図示していない)とのSoPEC間インタフェース(ISI)とを提供する。
【0092】
DRAMサブシステム302は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、及びPEPサブシステム内のブロックからの要求を受け取る。このDRAMサブシステム302、具体的にはDRAMインタフェースユニット(DIU)は、様々な要求の調停を行い、DRAMへのアクセスをどの要求に割り当てるべきかを判断する。DIUは、設定されているパラメータに基づいて、要求元すべてにDRAMへの十分なアクセスが許可されるように調停する。また、DIUは、ページサイズ、バンク数、リフレッシュレートなどDRAMの実装上の仕様を隠す。
【0093】
印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303は、DRAMからの圧縮されたページを受け取り、それらを、印字ヘッドと直接通信する印字ヘッドインタフェース(PHI)に送られる特定のプリントライン用の2階調ドットに変換する。ページ展開パイプラインの第1段は、連続階調復号器ユニット(CDU:Contone Decoder Unit)と、ロスレス2階調復号器(LBD:Lossless Bi−level Decoder)と、タグ符号器(TE:Tag Encoder)(必要な場合)である。このうちCDUは、JPEG圧縮されている連続階調(一般にはCMYK)層を展開し、LBDは、圧縮されている2階調層(一般にはK)を展開し、TEは、プリンタ装置2がネットページ(Netpage)機能を備えている場合に、後からレンダリング(一般には赤外線インク又はKインクによる)するためにネットページタグを符号化する。第1段からの出力は、一連のバッファ、すなわち、連続階調FIFOユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、及びタグFIFOユニット(TFU)である。CFUバッファ及びSFUバッファは、DRAMに実装されている。
【0094】
第2段は、中間調合成器ユニット(HCU:Halftone Compositor Unit)であり、このユニットは、連続階調層をディザリングし、結果としてのディザリングされた2階調層の上にポジションタグ及び2階調スポット層を合成する。
【0095】
SoPECデバイスと一緒に使用される印字ヘッドに応じて、複数の合成オプションを実装することができる。この段からは、最大6チャンネルの2階調データが生成され、ただし、すべてのチャンネルが印字ヘッドに存在していなくてもよい。例えば、印字ヘッドをCMYのみとし、KをCMYチャンネルに押し込み、IRを無視することができる。或いは、IRインクが利用できない場合(又はテストを目的とする場合)、符号化されたタグをKで印刷することができる。
【0096】
第3段においては、不良ノズル補正器(DNC:Dead Nozzle Compensator)が、色の冗長性と、不良ノズルデータを周囲のドットに誤差拡散することとによって、印字ヘッド内の不良ノズルを補正する。
【0097】
結果としての2階調、6チャンネルのドットデータ(一般にはCMYK、赤外線、定着剤)は、バッファに格納され、ドットラインライターユニット(DWU:Dotline Writer Unit)によって、DRAMに格納されている一連のラインバッファに書き込まれる。
【0098】
最後に、ドットデータがDRAMからロードされ、ドットFIFOを介して印字ヘッドインタフェースに渡される。ドットFIFOは、ラインローダーユニット(LLU:Line Loader Unit)からのデータをシステムクロックレート(pclk)において受け取り、その一方で、印字ヘッドインタフェース(PHI)が、FIFOからのデータを削除し、システムクロックレートの2/3倍のレートにおいてそれを印字ヘッドに送る。
【0099】
好ましい形態においては、DRAMは、サイズが2.5Mバイトであり、そのうち約2Mバイトが、圧縮されたページストアデータ(page store data)用に利用することができる。圧縮されたページは、2つ以上の帯域(band)において受信され、複数の帯域がメモリに格納されている。ページの帯域が印刷のためにPEPサブシステム303によって消費されると、新しい帯域をダウンロードすることができる。この新しい帯域は、現在のページ又は次のページの帯域である。
【0100】
帯域方式を使用することにより、圧縮されているページ全体がダウンロードされる前に、ページの印刷を開始することが可能であるが、印刷するデータがつねに利用可能であるように注意しなければならず、さもないとバッファアンダーランが起こることがある。
【0101】
埋め込まれているUSB1.1デバイスは、ホストPCから圧縮されているページデータと制御コマンドとを受け取り、DRAMへの(以下に説明するようにマルチSoPECシステムにおいては別のSoPECデバイスへの)データ伝送を可能にする。
【0102】
代替実施形態においては、複数のSoPECデバイスを使用することができ、複数のSoPECデバイスは、特定の実施形態に応じて様々な機能を実行することができる。例えば、場合によっては、1つのSoPECデバイスを単純にオンボードDRAM用に使用することができ、その一方で、別のSoPECデバイスを、上述した様々な解凍機能及びデータ形式変換(formatting)機能に使用する。これによって、バッファアンダーランの可能性を低減することができ、バッファアンダーランは、ページのデータすべてが受信される前にプリンタがそのページの印刷を開始し、残りのデータの受信が間に合わない場合に起こりうる。メモリのバッファリング能力用に更なるSoPECデバイスを追加すると、たとえ追加されたチップのそれ以外の能力が利用されなくても、バッファに格納することのできるデータの量が2倍になる。
【0103】
SoPECシステムのそれぞれは、プリンタ構造の品質と、(印刷時に印字ヘッドのノズルが損傷しないように)インクサプライの品質と、(印字ヘッド及び構造が損傷しないように)ソフトウェアの品質とが保証されるように互いに協調するように設計されている、複数の品質保証(QA)デバイスを備えていることができる。
【0104】
通常、印刷SoPECのそれぞれには、最大印刷速度などのプリンタ属性情報が格納されているプリンタQAが関連付けられている。本システムにおいて使用するインクカートリッジも、インクQAチップを含んでおり、このチップは、インク残量などのカートリッジ情報を格納している。更に、印字ヘッドは、ROMとして(実際にはEEPROMとして)機能するように構成されているQAチップを有し、このチップは、不良ノズルのマッピングや印字ヘッド特性など、印字ヘッドに固有な情報を格納している。オプションとして、SoPECデバイスにおけるCPUは、実際にはシリアルEEPROMとして機能するQAチップからプログラムコードをロードして実行することができる。SoPECデバイスにおけるCPUは、論理QAチップ(すなわちソフトウェアQAチップ)を実行する。
【0105】
通常、システム内のすべてのQAチップは物理的に同一であり、フラッシュメモリの内容のみが互いに異なる。
【0106】
SoPECデバイスのそれぞれは、システム認証及びインク使用量計算のためにQAデバイスと通信することのできる2本のLSSシステムバスを有する。1本のバスあたり多数のQAデバイスを使用することができ、また、システムにおけるQAデバイスの位置は制限されないが、例外として、プリンタQAデバイス及びインクQAデバイスは個別のLSSバス上とすべきである。
【0107】
使用時、論理QAは、インクQAと通信し、残りのインクを調べる。インクQAからの応答は、プリンタQAを参照して認証される。プリンタQAからの確認は、それ自体が論理QAによって認証され、これにより、インクQAからの応答に追加の認証レベルが間接的に加えられる。
【0108】
印字ヘッドQA以外のQAチップ間で渡されるデータは、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態においては、データにはHMAC−SHA1認証が使用され、プログラムコードにはRSAが使用されるが、代わりに別の方式を使用することもできる。
【0109】
従って、SoPECデバイスは、プリンタ装置2の全体的な動作を制御し、基本的なデータ処理タスクと、印刷媒体のハンドリングを可能にするためのプリンタ装置2の個々のコンポーネントの動作の同期及び制御とを実行することが理解されるであろう。以下の説明においては、用語「制御電子回路72」は、SoPECデバイスと、プリンタ装置2においてその動作の制御に使用されている他の電子回路とを意味する。
【0110】
図4〜図16は、インクジェットプリンタ装置2を示しており、このユニット2は、主本体3と、印刷用の印刷媒体を保持及び支持する媒体入力アセンブリ4と、プリンタ装置による印刷に続いて印刷媒体を集めておく媒体出力アセンブリ5とを含んでいる。主本体3は、印刷エンジン70と、関連付けられている電源15及び制御電子回路72と、用紙ハンドリング装置とを収容するようにされており、用紙ハンドリング装置は、印刷媒体を、媒体入力アセンブリ4から、印刷媒体が印刷される印刷エンジン70を経て、印刷媒体が集められる媒体出力アセンブリ5に供給するように動作する。そのような配置構成では、家庭環境又はオフィス環境において単色のテキストからフルカラーの写真イメージにいたる様々なイメージを容易に印刷することのできるコンパクトなプリンタ装置が提供される。
【0111】
図4〜図12を参照し、主本体3の構造は、下側フレームユニット6の上に受け入れられる形状を有する上側フレームユニット7によって形成されている。上側フレームユニット7及び下側フレームユニット6は、組み合わされたとき、ベース部8と、後部9と、上にカバー11を受け入れる開口10とを画成している。開口10は、印刷エンジン70及び関連付けられているコンポーネントが含まれている内部空洞12へのアクセスを提供している。
【0112】
ベース部8は、下側フレームユニット6の底面に形成されており、プリンタ装置が実質的に水平な面(家庭環境或いはオフィス環境におけるデスクの表面など)に置かれたときにプリンタ装置2を支持する下側面13を有する。下側面13からは、プリンタ装置を更に安定させる1つ以上の支持脚が延びている。支持脚14は、プリンタ装置と支持面との間の摩擦接触部分が増すように、摩擦の生じる材料(ゴムなど)から作製されている。
【0113】
図5及び図7に示したように、主本体3の後部9は、下側フレームユニット6及び上側フレームユニット7の後面によって画成されている。電源ユニット15は、後部9の一部を画成しており、下側フレームユニット6に設けられているくぼみに嵌まる形状を有し、プリンタ装置2に電力を供給する。電源ユニット15は、下側フレームユニット6に形成されているくぼみに固定的に受け入れられているが、電源ユニット15は、プリンタ装置2に供給する電力を貯蔵しておくことのできる再充電可能タイプとすることができ、その場合、ユニット15は、必要時に交換できるようにフレームユニット6から取外し可能とすることも考えられる。電源ユニット15には、適切なケーブル(図示していない)を通じて外部の電源に接続するための電力コネクタソケット16が設けられている。下側フレームユニット6には、データコネクタソケット17も形成されており、このソケットは、前述した方法においてデータ及びコマンドがプリンタ装置2に提供されるように、コンピュータシステム102などの外部データ源にプリンタ装置2を接続する手段を提供している。データコネクタソケット17は、標準のイーサネット(登録商標)ソケット及びUSBデバイスソケットの形態であり、プリンタ装置2をコンピュータ端末102或いはコンピュータ端末のネットワークに接続してそこからデータ及びコマンドを受信できるようにする。そのような情報は、上側フレームユニット7の後面のカバープレート20の下に設けられているWIFIカード18若しくはBluetooth(登録商標)カード19、又はその両方を使用することによって、無線方式においてプリンタ装置2によって受信することもできる。これらの配置構成のいずれにおいても、受信されたデータすべては、ソケット17及びカード18、19からプリンタ装置2のSoPECデバイスに送信されて、前述した方法において処理される。
【0114】
図4、図6、図8、及び図11に示したように、主本体3のカバー11は、下側フレームユニット6にヒンジ式に結合されている蓋21を備えている。蓋21は、湾曲した上面22と、角度のついた前面23と、上側フレームユニット7の上縁部と結合する形状を持つ2つの端面24とを有する。蓋21は、角度のついた前面23の下縁部に沿って下側フレームユニット6に旋回自在に結合されている。この旋回自在な結合によって、蓋21は前方に旋回して、主本体3の内部空洞12へのアクセスを提供することができる。
【0115】
角度のついた前面23には、くぼみ25が形成されている。くぼみ25は、ユーザとプリンタ装置2との間の通信を可能にするユーザインタフェースユニット26を受け入れている。ユーザインタフェースユニット26はLCDタッチスクリーンであり、ユーザに情報を伝え、ユーザは表示画面上のオプションを選択することによってプリンタ装置2に情報を直接入力することができる。ユーザインタフェースユニット26からユーザに表示できる情報と、ユーザがプリンタ装置に入力できる情報の種類は、様々なものとすることができるが、一般には、プリンタ装置2に収容されているインクの状態と、紙詰まりなどを直す必要性と、インク補給手順に関する情報とに関連したものとすることができる。タッチスクリーンLCDの使用は、ユーザインタフェースとして特に有利であり、なぜなら、表示を特定の言語にプログラムすることができ、これにより、プリンタ装置が使用される国ごとに固有なマーク或いはテキストをプリンタ装置2に表示する必要がなくなるためである。しかしながら、ユーザインタフェースユニット26は、ユーザがプリンタ装置2と対話できるようにする従来のボタンなど、数多くの異なる形態をとることができることを理解されたい。
【0116】
蓋21の角度のついた前面23には、プリンタの状態をユーザに視覚的に示す視覚インジケータユニット27も設けられている。視覚インジケータユニット27は、蓋21の表面に沿って延びており、光源29からの光を発する細長い管或いはパネル28の形態である。視覚インジケータユニット27から発せられる光の色若しくは強度、又はその両方は、プリンタ装置2の状態をユーザインタフェースユニット26を確認する必要なしにユーザが一目で認識できるように制御することができる。
【0117】
視覚インジケータユニット27の構造は、図17及び図32に示してある。図に示したように、ユニット27は、光源29と細長いパネル28とから成る。光源31は、プリント基板(PCB)31の表面に配置されている3つの発光ダイオード(LED)30の形態である。LED 30は、広い帯域の光をパネル28から発することのできる赤、緑、及び青のLEDである。しかしながら、1つのLED、或いは別の色のLEDを使用して同様の機能を達成することもできることが理解されるであろう。プリント基板31は、プリンタ装置2の制御電子回路72が含まれているものと同じプリント基板とすることができ、或いは、制御電子回路72の制御下においてLED 30を動作させる適切な電子回路を含んでいる個別のプリント基板とすることができる。細長いパネル28は、LED 30からの光が長手方向に沿って進んでパネルの表面から発せられる材料から作製されている。パネル28は、LED 30から発せられる光を集めるようにLED 30の上に配置されている中空の管又はパイプの形態とすることができる。この管又はパイプの内面は、光の一部がパネル28の長手方向に沿って反射し、且つ光の一部がパネル28を通過することによりパネル28を光らせることのできる膜によってコーティングすることができ、これにより、パネル28の表面に沿った光がユーザによって容易に認識され得る。
【0118】
使用時、プリンタ装置2の状態を表す光がパネル28から発せられるようにLED 30のそれぞれを制御することができる。例えば、プリンタ装置がスタンバイモードであることをユーザに知らせるため、パネル28から青色の光が発せられるように青のLEDを作動させることができる。印刷中は、パネル28から緑色の光が発せられるように緑のLEDを作動させ、紙詰まりやプリンタエラーなどの問題が発生したときには、パネル28から赤色の光が発せられるように赤のLEDを作動させることができる。更には、装飾的な効果をもたらす目的で、LEDのそれぞれを様々な組合せにおいて作動させて、広い帯域にわたる様々な色の光を放射させることができる。プリンタ装置に1つのLEDが設けられている場合のように光源が点状ではなく、大きな表面積から光が発せられるため、ユーザがプリンタの状態を視覚的に認識しやすく、プリンタに必要な操作をただちに行うことができる。そのようなシステムは、能率的に仕事を進めるうえで重要な役割を果たし、見た目にも美しいプリンタ装置が提供される。
【0119】
印刷用の印刷媒体をプリンタ装置2に供給するため、媒体入力アセンブリ4がプリンタ装置2の後部9から延びている。媒体入力アセンブリ4は、トレイ部分32と媒体支持フラップ33とから成り、これらの部分32、33は組み合わされたとき、プリンタ装置2によって印刷するための1枚以上の印刷媒体34を受け入れる表面を形成している。媒体入力アセンブリ4は、主本体3から垂直方向に延びており、図16に示したように、使用時に印刷媒体34が媒体入力アセンブリ4によって垂直方向に支持されて下向きの経路を通じてプリンタに引き込まれるような角度をなしている(これについては後から詳しく説明する)。
【0120】
図11に明らかに示したように、媒体入力アセンブリ4のトレイ部分32は、上側フレームユニット7に一体に形成されており、従って、トレイ部分32の後面が主本体3の後部9の一部を形成している。トレイ部分32は、印刷媒体34を受け入れる容器を全体として形成しており、媒体34が上に配置される作業面35と、その一方の端部における媒体支持面36とを含んでおり、媒体支持面36は、媒体34の縁部を受け入れて媒体34を直立ポジションに維持するようにされている。トレイ部分32は、平行に延びている一対の側壁37、38も含んでおり、これらの側壁は、プリンタ装置2に収容することのできる印刷媒体の最大幅を定義する。
【0121】
図16に更に明らかに示したように、媒体支持面36は、印刷のためトレイ部分32から印刷エンジン70への印刷媒体の供給を支援するため、トレイ部分32の作業面35に対して鈍角をなして配置されている。作業面35にはアイドラーローラー39が組み込まれており、このローラーは、ピッカー機構60と協働して、印刷のため作業面35から印刷エンジンへの印刷媒体の供給を促進する。媒体支持面36には、そこから突き出した複数の細長い突起40がこの面36に沿って等間隔に配置されており、媒体34の先端部を面36の上に支持する。細長い突起40は、トレイ部分32からの媒体34の供給を容易にするために、ピッカー機構60の作用下で媒体34の先端部が自身の表面に沿ってすべるように作用する。ピッカー機構60に隣接する細長い突起40の表面には、パッド41が設けられており、このパッドは、トレイ部分32の作業面35の上に複数枚の媒体が支持されているときに一番上の媒体10の分離を促進するための摩擦面を提供する。パッド41は、ゴム材料、フェルト材料、或いはコルク材料の形態とすることができる。
【0122】
縁部滑動器42は、一体のフック要素43によってトレイ部分32の作業面35の上に嵌まるようにされている。作業面35には、摺動器42の位置決めラグ(図示していない)を受け入れる溝状くぼみ44が設けられている。このような配置構成では、制御された形で摺動器42を表面35の上で動かして、様々な幅の印刷媒体34を収容することができる。縁部滑動器42は、トレイ部分32の高さだけ延びており、印刷媒体34の側縁部に当接するようにトレイ部分32の作業面35から突き出している壁部分45を備えている。この配置構成により、印刷媒体34がトレイ部分32の中で正しく整列し、制御された形で媒体が印刷エンジン70に供給される。
【0123】
図11に示したように、トレイ部分32の側壁37、38の内面には、媒体支持フラップ33をトレイ部分32に結合できるようにする位置決めラグ46が設けられている。これに関して、媒体支持フラップ33は、その端部から延びている一対のくぼみ付きタブ47を含んでおり、このタブは、図1に示したように、ラグ46を受け入れることにより、媒体支持フラップ33をトレイ部分32の上端部に固定する。この配置構成では、媒体支持フラップ33は、トレイ部分32の末端部を中心に旋回することができ、従って、(図4に示したように)フラップ33を延長ポジションに動かして、媒体入力アセンブリ4の上に装填されている印刷媒体34を支持する、或いは、梱包又は出荷のため、媒体支持フラップ33がトレイ部分32の上に受け入れられた状態の収納ポジション(図示していない)に動かすことができる。
【0124】
媒体支持フラップ33は、トレイ部分32の長さよりも長い印刷媒体34を支持するため、トレイ部分32の末端部の上に延びる。この配置構成では、図8に示したように印刷媒体34は実質的に直立ポジションに維持される。これに関して、媒体支持フラップ33の表面には、フラップ33の表面に沿って縦に延びている複数の等間隔のフィン要素48が設けられている。フィン要素48のそれぞれは、媒体支持フラップ35の表面から等しい高さだけ突き出しており、これにより、トレイ部分32の作業面35に連続する平らな面を印刷媒体34に提供する。媒体支持フラップ33の内面は、連続的な成形面とすることもでき、この場合、プリンタ装置2の梱包或いは輸送のため媒体支持フラップ33が収納されるときにトレイ部分32の側壁37、38を収容する適切な溝をその縁部域に形成することが考えられる。
【0125】
印刷媒体は、図4に示したように、プリンタ装置2の前面、主本体3のベース部8に配置されている媒体出力アセンブリ5によって集められる。媒体出力アセンブリ5は、トレイハウジング50と、延ばすことのできる2つの出力トレイ、すなわち上側出力トレイ51及び下側出力トレイ52とから成り、トレイ51、52は、延長ポジションではないときにいずれもトレイハウジング50の中に保持されている。
【0126】
図10及び図11に示したように、トレイハウジング50は、下側フレームユニット6に一体に形成されており、後面からプリンタ装置2の前面をわずかに超えるまで延びている。トレイハウジング50は、上面53と、この上面53から下向きに延びている2つの側壁54、55とを有する。上面53の前縁部にはスペースがあり、トレイハウジング50の中に保持されている上側出力トレイ51及び下側出力トレイ52にアクセスするためのくぼみ部分56が形成されている。
【0127】
上側出力トレイ51は、2つの側壁54、55によってトレイハウジング50の中に受け入れられて保持される形状を持つ。2つの側壁54、55には、トレイハウジング50の長さだけ延びている溝(図示していない)が形成されている。上側出力トレイ51は、その縦縁部が溝の中で移動して自身がトレイハウジング50に対して動くことができるように、溝の中に受け入れられる寸法を有する。溝と、上側出力トレイ51の縦縁部は、トレイ51をトレイハウジング50から延ばすことはできるがトレイハウジング50から取り外すことはできないようにされている。この配置構成においては、トレイ51は、収納ポジションにあるときにはトレイハウジング50の中に完全に収まっている。
【0128】
下側出力トレイ52は、上側出力トレイ51と同様の構造を有する。しかしながら、この配置構成においては、下側出力トレイ52は、上側出力トレイ51の縦縁部に設けられている2本の溝に受け入れられている。図9に示したように、下側出力トレイ52は、上側トレイの中で動くことができるように、上側出力トレイ51よりも幅及び厚さが小さい。下側出力トレイ52は、収納状態において上側出力トレイ51の中に完全に収まるようにされており、また、上側出力トレイ51にも、下側出力トレイ52の前縁部に設けられている停止部材58にアクセスできるようにするくぼみ部分57が、前縁部に沿って設けられている。下側出力トレイ52及び上側出力トレイ51は、上述した方法と同様に、下側トレイ52を上側トレイ51から延ばすことができるが上側トレイから取り外されることが阻止されるように構成することもできる。トレイの配置構成として、収納及び延長することのできる別の配置構成も可能であり、それらは本発明の範囲内に含まれるものとみなされる。
【0129】
使用前、媒体出力アセンブリ5は、図4に示したような収納状態にある。ユーザが停止部材58を握って下側出力トレイ52を延ばすと、媒体出力アセンブリ5は、図12に示したように動作ポジションになる。これにより、媒体出力アセンブリ5全体がトレイハウジング50から延びて、プリンタ装置2から排出される印刷された媒体が捕捉される。印刷された媒体の先端部は、主本体3を出た後、下側出力トレイ52の停止部材58に接触した時点で保持される。媒体出力アセンブリ5を延ばす長さは、印刷する媒体のサイズに依存する。例えば、印刷媒体の長さが図12に示したような長さ(例:A4サイズ媒体)である場合、印刷された媒体を捕捉して保持するためには、媒体出力アセンブリ5を完全に延ばす必要がある。
【0130】
図10に示し、前述したように、主本体3の内部空洞12へのアクセスは、カバー11の蓋21を前方に旋回させることによって可能である。内部空洞12は、印刷エンジン70と、ピッカー機構60及び紙排出機構の形態における用紙ハンドリング機構とを受け入れている。
【0131】
前述したように、ピッカー機構60の目的は、印刷のため媒体入力アセンブリ4から1枚の印刷媒体を分離し、印刷エンジン70に搬送して供給することである。プリンタ装置2は、60ppm若しくはそれ以上の速度で動作することができるため、ピッカーユニットは、この印刷速度を達成するための適切な速度で印刷媒体を分離して印刷エンジン70に搬送するように構成されている。従って、ピッカー機構60は、ピッカー本体63から延びているアーム62の端部に配置されているピッカーローラー61で構成されている。ピッカー本体63は、プリンタ装置2の制御電子回路72によって制御されるモーター64を含んでいる。ピッカー本体63は、取付け部材65によって下側フレームユニット6に旋回自在に取り付けられている。この配置構成においては、ピッカー機構60は、取付け部材65を中心に動くことができ、ピッカーローラー61がトレイ部分32の作業面35の方に付勢されるようにばねが装填されている。
【0132】
トレイ部分32に印刷媒体34が存在していないときには、ピッカーローラー61は付勢されて、トレイ部分32の作業面35に設けられているアイドラーローラー39と接触している。印刷媒体をトレイ部分32に装填するためには、媒体34をトレイ部分32に挿入し、するとピッカーローラー61の上に設けられているガイド要素66に媒体34が接触する。この接触によって、ピッカー機構60が旋回してトレイ部分32の作業面35から離れ、ピッカーローラー61とアイドラーローラー39との間に印刷媒体を受け入れることができ、印刷媒体34の先端部が媒体支持面36によって支持される。この配置構成は、図16に示してある。
【0133】
ピッカーローラー61の表面にはグリップ手段が設けられており、グリップ手段は、印刷媒体34に対するローラーのグリップを促進するゴムコーティング或いは他の類似するタイプのコーティング又は表面処理の形態とすることができる。モーター64の作動下においてピッカーローラー61が回転すると、ピッカーローラー61と接触している印刷媒体が細長い突起40に沿ってすべり、印刷エンジン70に供給される。ピッカー機構60に隣接する細長い突起40の表面に設けられているパッド41に起因して、トレイ部分32に存在している媒体のうち最も外側の媒体が他の媒体から分離される。これに関して、最も外側の媒体と一緒に動く媒体には、それらがパッド41の上をすべるときに摩擦力がかかり、その摩擦力は、これらを動かした摩擦力より大きいため、最も外側の媒体のみが印刷エンジン70に供給される。
【0134】
ピッカー機構60は、印刷のため印刷媒体34を分離し、個々の印刷媒体を印刷エンジン70に比較的高速で搬送する目的で使用されているが、この機能を実行するために採用されるピッカー機構60としては様々なタイプを使用でき、それらについても依然として本発明の範囲に含まれることが理解されるであろう。
【0135】
本発明において採用されている印刷エンジンアセンブリ70は、一般的には、クレードルユニット71とカートリッジユニット80という2つの部分から成る。この配置構成においては、カートリッジユニット80はクレードルユニット71に受け入れられるようにされている。
【0136】
図11及び図13〜図16に様々に示したように、カートリッジユニット80は、印字ヘッド集積回路81を収納している本体を有し、印字ヘッド集積回路81は、印刷媒体34が通過するときにそこに印刷する。カートリッジユニット80の本体は、インクを収容しており印字ヘッド集積回路81にインクを供給するインク収容・ハンドリングリザーバ82も収納している。印字ヘッド集積回路81は、印刷される媒体34の幅にわたるページ幅印字ヘッド集積回路であり、カートリッジの本体の外側に沿って、インク収容・ハンドリングリザーバ82の下の領域に配置されている。本発明の印字ヘッド集積回路81は、従来のプリンタ装置とは異なり、動作中は所定の位置に固定されており、印刷媒体上を走査したり往復することはない。従って、本発明の印刷エンジンは、従来のプリンタシステムにおいて現在可能であるよりもずっと高い印刷速度を達成することができる。
【0137】
印字ヘッド集積回路81の動作を制御するため、クレードルユニット71に配置されている制御電子回路72から電力及びデータ信号が供給される。制御電子回路72は、前述したSoPECデバイスを含んでおり、信号は、カートリッジユニット80の本体の外面に設けられているデータ・電力コネクタ(図示していない)を介して、制御電子回路72からカートリッジユニット80に送信される。カートリッジユニット80をクレードルユニット71に挿入すると、データ・電力コネクタが、クレードルユニット71に設けられている対応するデータ・電力コネクタと結合し、これによってユニット71とユニット80との間で電力及びデータを伝えることが可能になる。
【0138】
インク収容・ハンドリングリザーバ82は、印刷用の異なる種類のインク及び印刷流体を個別に収容する複数のポリエチレンメンブレンポケットの形態である。例えば、フルカラー印刷用のシアン、マゼンダ、黄、黒のインクと、特定の印刷アプリケーション用の赤外線インクと、インクの定着を助けるインク定着剤とを収容する6つの個別のポリエチレンメンブレンリザーバを、カートリッジユニット80に設けることができる。リザーバ82のそれぞれは、カートリッジユニット80の本体の外面に形成されている補給ポート83に設けられている対応する注入口と流体連通している。従って、図15に示したように、インク補給注入器84を補給ポート83に接触させ、圧力下においてインクをリザーバ82に供給することによって、リザーバ82に個別に補給することができる。前述したように、インク補給注入器84には、カートリッジユニット80の本体に設けられている対応する読み取り器によって読み取られるQAチップを設けることができる。関連付けられているデータが、クレードルユニット71の制御電子回路72に設けられているSoPECデバイスに送信され、補給流体の完全性(integrity)及び品質が保証される。ポリエチレンメンブレンリザーバ82は、補給を容易にするため、補給されるときに膨張して流体を収容し、印刷プロセス中にインク又は流体が消費されるにつれて形が壊れるように構成されている。
【0139】
リザーバ82に収容されているインク及び印刷流体は、一連の導管を通じて印字ヘッド集積回路81に供給され、これらの導管は、特定の流体(特定のカラーインク或いは定着剤など)を運ぶようにされており、且つ、印字ヘッド集積回路81の長手方向に沿って設けられている正しいインク供給ノズルに流体を分配できるようにされている。これを達成する方法と、カートリッジユニット80の全般的な構造については、本出願人の米国特許出願である出願整理番号RRA01US及びRRA33USに説明してあり、これらの出願の開示は、すべて本文書に参考とすることにより組み込まれる。上記の出願は、出願整理番号によって識別されているが、これらの番号は、対応する出願番号が割り当てられた後、それらに置き換えられる。
【0140】
上述したように、カートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81は、最大で約21.6cm(標準A4又は米国レター形式の幅を持つ媒体に相当する)までの様々な幅の印刷媒体に対応するため、約22.4cm(8.8インチ)の幅にわたるようにされているページ幅印字ヘッド集積回路である。しかしながら、このページ幅印字ヘッド集積回路は、プリンタ装置2の用途と、使用する印刷媒体のタイプとに大きく依存して、上記よりも大きい幅、又は小さい幅を持つように作製することもできると考えられる。望ましい幅を達成する目的で、印字ヘッド集積回路81は、それぞれに複数のインク供給ノズルが設けられている、隣接して取り付けられている1つ以上の集積回路によって構成することができる。
【0141】
以下では、本発明に適する印字ヘッドノズル構造のタイプの一例として、ノズル及び対応するアクチュエータとを備えているタイプについて、図18〜図27を参照しながら説明する。図27は、シリコン基板8015上に形成されている一連のノズル構造部801を示している。ノズル構造部801のそれぞれは同一であるが、ノズル構造部801のグループごとに、異なるカラーインク又は定着剤が供給されるようにされている。これに関して、ノズル構造部は列状に配置されており、互い違いにされており、これにより、ノズルを一列に配置する場合に可能であるよりも印刷時のインクドットの間隔を狭くすることができる。そのような配置構成では、上述したノズルの密度を提供することが可能である。更に、複数の列では、(必要な場合に)冗長性を提供することもでき、これによって、ノズルあたりの所定の障害率が許容される。
【0142】
各ノズル構造部801は、集積回路製造技術によって作製されている。具体的には、ノズル構造部801は、MEMS(微小電子機械システム)である。
【0143】
以下では、説明を明瞭且つ容易にするため、1つのノズル構造部801の構造及び動作について、図18〜図26を参照しながら説明する。
【0144】
インクジェットプリンタチップ81は、0.35ミクロン、1 P4M、12ボルトのCMOSマイクロプロセッサ電子回路が上に配置されているシリコンウエハ基板8015を含んでいる。
【0145】
基板8015の上には、二酸化ケイ素(或いはガラス)層8017が配置されている。この二酸化ケイ素層8017は、CMOS誘電層を画成している。CMOSの最上位金属は、二酸化ケイ素層8017上に配置されている一対の整列したアルミニウム電極接触層8030を画成している。シリコンウエハ基板8015と二酸化ケイ素層8017のいずれも、エッチングされて、(平面図において)ほぼ円形の断面を有するインク吸入路8014を画成している。二酸化ケイ素層8017には、CMOS金属1、CMOS金属2、3、及びCMOS最上位金属のアルミニウム拡散バリア8028が、インク吸入路8014を中心に配置されている。拡散バリア8028は、駆動電子回路層8017のCMOS酸化膜を通じてヒドロキシルイオンが拡散することを阻止する役割を果たす。
【0146】
アルミニウム接触層8030及び二酸化ケイ素層8017の上には、窒化シリコン層8031の形態における不動態層が配置されている。不動態層8031のうち接触層8030の上に位置している部分のそれぞれには、接点8030へのアクセスを提供する開口8032が画成されている。
【0147】
ノズル構造部801は、環状ノズル壁8033によって画成されているノズル室8029を含んでおり、この環状ノズル壁8033は、その上端部がノズルルーフ8034にあり、半径方向のノズル内側縁部804(平面図において円形である)が形成されている。インク吸入路8014は、ノズル室8029と流体連通している。ノズル壁の下端部には、移動シールリップ8040を含んでいる移動縁部8010が配置されている。包囲壁8038は、可動ノズルを囲んでおり、静止シールリップ8039を含んでいる。静止シールリップ8039は、図10に示したようにノズルが静止しているときには、移動縁部8010に隣接している。静止シールリップ8039と移動シールリップ8040との間に捕捉されるインクの表面張力に起因して、流体シール8011が形成される。これにより、包囲壁8038とノズル壁8033との間には低抵抗結合(low resistance coupling)が提供されるが、ノズル室からのインクの漏れが防止される。
【0148】
図25において最も明らかであるように、ルーフ8034には、ノズル縁部804を中心に半径方向に延びている複数のくぼみ8035が画成されている。くぼみ8035は、インクがノズル縁部804を超えて流れ出たときの半径方向のインクの流れを収容する役割を果たす。
【0149】
ノズル壁8033は、キャリア8036に取り付けられているレバー構造部の一部を形成しており、キャリア8036はほぼU形状の輪郭を有し、その底部8037が窒化シリコン層8031に取り付けられている。
【0150】
レバー構造部は、ノズル壁から延びており且つ横補強梁8022が組み込まれているレバーアーム8018も含んでいる。レバーアーム8018は、窒化チタン(TiN)から形成されており且つノズル構造部の片側に配置されている一対の受動梁806に取り付けられている(図21及び図26において最も明らかである)。受動梁806の他方の端部は、キャリア8036に取り付けられている。
【0151】
レバーアーム8018は、TiNから形成されているアクチュエータ梁807にも取り付けられている。なお、アクチュエータ梁へのこの取り付けは、受動梁806に取り付けられている位置よりもわずかではあるが重要な距離だけ高い位置において行われている。
【0152】
図18及び図24において最も明らかあるように、アクチュエータ梁807は、平面図において実質的にU形状であり、電極809と反対の電極8041との間の電流経路を画成している。電極809及び8041のそれぞれは、接触層8030におけるそれぞれのポイントに電気的に接続されている。アクチュエータ梁は、接点809を介して電気的に結合されていることに加え、アンカー808に機械的に固定されている。アンカー808は、ノズル構造部が動作するときに、アクチュエータ梁807が図18〜図20における左に動くことを制約するように構成されている。
【0153】
アクチュエータ梁807のTiNは、導電性であるが、電極809と電極8041との間に電流が流れるときに自身が発熱するだけの十分な電気抵抗を持つ。受動梁806には電流が流れず、従って受動梁806は膨張しない。
【0154】
使用時、静止状態にあるデバイスがインク8013によって満たされ、このインクは、表面張力の影響下においてメニスカス803を画成している。インクは、メニスカスによって室8029に保持され、一般には何らかの他の物理的影響が存在しなければ外に漏れることはない。
【0155】
図19に示したように、ノズルからインクを発射させるため、接点809と接点8041との間に電流が流れ、このときアクチュエータ梁807を流れる。梁807は、その抵抗のため発熱し、これによって膨張する。アクチュエータ梁807の寸法及び設計は、図18〜図20における水平方向における膨張の大部分を意味する。膨張は、左側がアンカー808によって制約され、従って、レバーアーム8018に隣接する、アクチュエータ梁807の端部が右に進む。
【0156】
受動梁806は、水平方向の撓み性が相対的に小さいため、レバーアーム8018が水平に大きく動くことを阻止している。しかしながら、受動梁とアクチュエータ梁のそれぞれがレバーアームに取り付けられている位置がずれているため、ねじり運動が生じ、これに起因して、レバーアーム8018がほぼ下方に動く。この運動は、実質的に旋回運動又はヒンジ運動である。しかしながら、真の旋回中心が存在しないため、回転の中心は受動梁806の曲がりによって画成される旋回領域である。
【0157】
レバーアーム8018の下向きの運動(及びわずかな回転)は、受動梁806からノズル壁8033までの距離によって増幅される。ノズル壁及びルーフが下向きに動くことにより室29内の圧力が高まり、これにより図19に示したようにメニスカスが膨らむ。なお、インクの表面張力により、インクが漏れ出すことなくこの動きによって流体シール11が伸びる。
【0158】
図20に示したように、適切なタイミングにおいて駆動電流が止まり、アクチュエータ梁807が急速に冷えて収縮する。収縮によって、レバーアームがその静止位置に戻り始め、それによって室8029内の圧力が下がる。膨張するインクの勢い及び液体としての表面張力と、ノズル室8029が上向きに動くことによる負の圧力との相互作用に起因して、膨張中のメニスカスが細くなり最終的には切り離されてインク滴802が画成され、このインク滴は、隣接している印刷媒体に触れるまで上昇を続ける。
【0159】
滴802が切り離された直後、メニスカス803は、図20に示した凹形状を形成している。表面張力のため、インクが吸入口8014を通じて上向きに吸い込まれるまでは、室8029の圧力が比較的低いままとなり、吸い込まれると、ノズル構造部及びインクは図18に示した静止状態に戻る。
【0160】
印字ヘッド集積回路81は、印字ヘッド集積回路81の長さと要求される印刷特性とに応じて、その表面に沿って配置された5000個〜100,000個の間の上述したノズルを有するようにすることができる。例えば、幅の狭い媒体の場合、所望の印刷結果を達成するためには印字ヘッドの表面に沿って5000個のノズルを配置すればよいのに対し、より幅の広い媒体の場合、所望の印刷結果を達成するためには印字ヘッドの長手方向に沿って少なくとも10,000個、20,000個、又は50,000個のノズルを設ける必要がある。A4サイズ或いはUSレターサイズの媒体において約1600dpiのフルカラーの写真品質のイメージを得るためには、印字ヘッド集積回路81は、1色あたり13,824個のノズルを備えていることができる。従って、印字ヘッド集積回路81が4色(C、M、Y、K)によって印刷できるようにする場合、印字ヘッド集積回路81の表面に沿って53,396個のノズルを配置することができる。更に、印字ヘッド集積回路81が6つの印刷流体(C、M、Y、K、IR、定着剤)によって印刷できるようにする場合、印字ヘッド集積回路81の表面に82,944個のノズルを設けることができる。これらのいずれの配置構成においても、各ノズルをサポートする電子回路は同じである。
【0161】
以下では、印字ヘッド集積回路81において個々のノズル構造部101を制御する方式について、図28〜図33を参照しながら説明する。
【0162】
図28は、印字ヘッド集積回路81と、プリンタ装置2の制御電子回路72の中に設けられているSoPECデバイスとの接続の概要を示している。上述したように、印字ヘッド集積回路81は、各ノズルを発射させるための繰り返しロジック(repeated logic)を含んでいるノズルコア配列401と、ノズルを発射させるためのタイミング信号を生成するノズル制御ロジック402とを含んでいる。ノズル制御ロジック402は、高速リンクを介してSoPECデバイスからデータを受信する。
【0163】
ノズル制御ロジック402は、印刷のためシリアルデータをリンク407を介してノズル配列コアに送るように構成されており、リンク407は、電気コネクタの形態とすることができる。ノズル配列コア401のステータス及びその他の動作情報は、別のリンク408を介してノズル制御ロジック402に伝えられ、このリンクも電気コネクタに提供することができる。
【0164】
図29及び図30は、ノズル配列コア401を更に詳しく示している。図29に示したように、ノズル配列コア401はノズル列501の配列を備えている。この配列は、発射及び選択シフトレジスタ502と、それぞれ対応するドットシフトレジスタ503によって表されている最大6つのチャンネルとを含んでいる。
【0165】
図30に示したように、発射及び選択シフトレジスタ502は、順方向路発射シフトレジスタ(forward path fire shift register)600と、逆方向路発射シフトレジスタ(reversepath fire shift register)601と、選択シフトレジスタ602とを含んでいる。ドットシフトレジスタ503のそれぞれは、奇数ドットシフトレジスタ(odd dot shift register)603と偶数ドットシフトレジスタ(even dot shift register)604とを含んでいる。奇数ドットシフトレジスタ603及び偶数ドットシフトレジスタ604は、一端において接続されており、従って、データは一方向において奇数シフトレジスタ603を通じてクロック同期され、次いで、逆方向において偶数シフトレジスタ604を通じてクロック同期される。最後の偶数ドットシフトレジスタ以外の出力は、マルチプレクサ605の一方の入力に送られる。マルチプレクサのこの入力は、製造後のテスト時には信号(コアスキャン(corescan))によって選択される。通常の動作においては、コアスキャン信号は、マルチプレクサ605の他方の入力に供給されるドットデータ入力Dot[x]を選択する。これに起因して、各色のDot[x]がそれぞれのドットシフトレジスタ503に供給される。
【0166】
以下では、1つの列Nについて図30を参照しながら説明する。図示した実施形態においては、列Nは、6つのドットシフトレジスタそれぞれの奇数データ値606及び偶数データ値607を含めて、12個のデータ値を有する。列Nは、順発射シフトレジスタ600からの奇数発射値608と、逆発射シフトレジスタ601からの偶数発射値609も含んでおり、これらはマルチプレクサ610への入力として供給される。マルチプレクサ610の出力は、選択シフトレジスタ602における選択値611によって制御される。選択値が0であるときには偶数発射値が出力され、選択値が1であるときには奇数発射値が出力される。
【0167】
奇数データ値606及び偶数データ値607は、それぞれ、対応する奇数ドットラッチ612及び偶数ドットラッチ613への入力として供給される。
【0168】
各ドットラッチ及び関連付けられているデータ値は、ユニットセル(ユニットセル614など)を形成する。図31は、ユニットセルを詳しく示している。ドットラッチ612は、データ値606の出力を受け取るD型フリップフロップであり、このデータ値は、奇数ドットシフトレジスタ603の要素を形成しているD型フリップフロップ614によって保持されている。フリップフロップ614に入力されるデータは、奇数ドットシフトレジスタにおける前の要素の出力から供給される(ただし該当要素がシフトレジスタにおける最初の要素ではない場合であり、最初の要素であるときは入力はDot[x]値である)。LsyncLに供給される負のパルスが受信されると、ラッチ612へのフリップフロップ614の出力からデータがクロック同期される。
【0169】
ラッチ612の出力は、3入力ANDゲート65への入力の1つとして供給される。ANDゲート615への別の入力は、(マルチプレクサ610の出力からの)Fr信号とパルスプロファイル信号Prである。ノズルの発射タイミングは、パルスプロファイル信号Prによって制御され、例えば、(リムーバル型電源の実施形態において)低電源(low power supply)に起因して生じる低電圧条件が考慮されるように長くすることができる。このことは、インクが発射されるとき、各ノズルから比較的一貫した量のインクが効果的に発射されるようにするためである。説明している実施形態においては、プロファイル信号Prは、ドットシフトレジスタのそれぞれについて同じであり、この形態では、複雑さ、コスト、及びパフォーマンスのバランスが良好である。しかしながら、別の実施形態においては、Pr信号をグローバルに流す(すなわち全ノズルについて同じである)、或いは、各ユニットセルごと、場合によっては各ノズルごとに個々に調整することができる。
【0170】
データがラッチ612にロードされると、発射イネーブル信号Fr及びパルスプロファイル信号PrがANDゲート615に流され、これらの信号の組合せによりノズルがトリガーされ、ロジック1が含まれている各ラッチ612についてインクのドットが発射される。
【0171】
次の表は、各ノズルチャンネルの信号についてまとめてある。
【表3】
【0172】
図31に示したように、発射信号Frは対角経路で送られ、現在の列における1つの色の発射をイネーブルした後、次の列における次の色の発射をイネーブルし、以下同様である。これによって、その時点の需要を時間遅延式に6つの列に拡散させることによって、需要が平均化される。
【0173】
この実施形態においては、ドットラッチと、様々なシフトレジスタを形成しているラッチは完全に静的であり、CMOSベースである。ラッチの設計及び構造は、集積回路の工学及び設計の当業者には周知であり、本文書において詳しくは説明しない。
【0174】
約60ppmで印刷することのできるプリンタ装置2の場合、ノズル速度は20kHzという速さになり、印刷速度がそれ以上であれば更に速くなる。このオーダーのノズル速度においては、印字ヘッド81全体で発射することのできるインクの量は、少なくとも毎秒5000万滴である。しかしながら、より高速且つより高い品質の印刷を提供するためにノズルの数を増大させると、少なくとも毎秒1億滴、好ましくは少なくとも毎秒3億滴、より好ましくは少なくとも毎秒10億滴を供給することができる。従って、これらの速度での印刷に対応するためには、制御電子回路72は、ノズルからインク滴を発射させるかを同等の速さで決定できなくてはならない。これに関して、いくつかの場合、制御エレクトロニクスは、ノズルがインク滴を発射するかを、少なくとも毎秒5000万回の判断速度で判断できなくてはならない。この速度は、より高速且つより高品質の印刷アプリケーションの場合、少なくとも毎秒1億回の判断速度、又は少なくとも毎秒3億回の判断速度、多くの場合には少なくとも毎秒10億回の判断速度に増大させることができる。
【0175】
本発明のカラープリンタ100の場合、印字ヘッドチップ81に設けられている上述したオーダーのノズル数と、ノズル発射速度とが組み合わされる結果として、印刷速度は少なくとも毎秒50cm2の印刷面積速度となり、印刷速度に応じて、すなわち更に高い速度においては、少なくとも毎秒100cm2、好ましくは少なくとも毎秒200cm2、より好ましくは少なくとも毎秒500cm2となる。そのような配置構成では、従来のプリンタ装置によってこれまで達成できなかった速度で媒体を印刷できるプリンタ装置100が提供される。
【0176】
前述したように、上述したノズル構造部は、印刷エンジン70の1つの部分を形成しているカートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81に形成されている。カートリッジユニット80が機能するためには、クレードルユニット71の制御電子回路72からデータ及び電力が伝えられる必要があり、また、クレードルユニット71によって印字ヘッド集積回路81が印刷ポジションに支持され、印刷のため印刷媒体が印字ヘッド集積回路81を通過する必要がある。
【0177】
これに関して、クレードルユニット71は、印刷エンジン70の第2の部分を形成しており、上側フレームユニット7及び下側フレームユニット6に設けられている取付け部材(図示していない)によって主本体3の内部空洞12に保持されている。このポジションにおいては、クレードルユニット71は、図13〜図16に示したように、主本体3の後部9に設けられているデータコネクタソケット17と電気通信状態にあるコネクタ要素73を介して、外部のデータ源からデータを受信することができる。コネクタ要素73は、クレードルユニット71に設けられている対応するコネクタと位置が合うように配置されているフレキシブルプリント基板(PCB)であることが好ましい。同様に、電力は、内部空洞12の中に延びている電力接点74を介して、電源ユニット15からクレードルユニット71に供給される。クレードルユニット71には、電力接点74と接続してクレードルユニット71に電力を供給する適切なコネクタ要素(図示していない)が設けられている。
【0178】
図14に明らかに示したように、クレードルユニット71は、カートリッジユニット80と結合されたときに両方のユニットによって図13に示したような印刷エンジンアセンブリ70が形成されるように、カートリッジユニット80を受け入れる形状を持つ。この配置構成においては、前述したようにユニット71とユニット80との間でデータ及び電力を伝送することができ、これにより、印字ヘッド集積回路81のノズルを前述した方式で制御することができる。
【0179】
クレードルユニット71の本体は、駆動モーター75と、紙を印刷エンジン70を通過させる駆動ローラー76及びピンチローラー77と、印字ヘッド集積回路81にキャッピング及びその他の形式のメンテナンスを提供する印字ヘッドメンテナンスユニット78と、プリンタ装置2の全体的な動作を制御するSoPECデバイスを含んでいる制御電子回路72とを備えている。
【0180】
駆動モーター75は、両方向に回転することのできる標準的なブラシレスDCモーターである。印字ヘッド集積回路81を通過させる印刷媒体の供給が制御されるように、駆動モーター75は駆動ローラー76と歯車によって係合しており、駆動ローラー76に駆動運動(driving motion)を提供する。モーター75によって駆動ローラー76が駆動される速度は、所望の速度(一般には60ppm若しくはそれ以上の速度)で紙が印字ヘッド81を通過するように、制御電子回路72によって制御される。駆動ローラー76はピンチローラー77と係合しており、これらのローラー76、77は協働して、ピッカー機構60によって供給される印刷媒体を捕捉し、その印刷媒体を印字ヘッド集積回路81を通過させる。
【0181】
クレードルユニット71には、同じく歯車によって駆動モーター75と係合している印字ヘッドメンテナンスユニット78も設けられている。印字ヘッドメンテナンスユニット78は、所定の位置に動いてカートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81を覆うようにされているキャッピング要素を含んでいる。この場合、プリンタ装置2がアイドル状態であると判断された時点で、制御電子回路72が、印字ヘッドメンテナンスユニット78と駆動モーター75とを係合させ、印字ヘッドメンテナンスユニット78を動かして印字ヘッド集積回路81とのキャッピング係合(capping engagement)の状態にする。キャッピング係合状態では、基本的に、印字ヘッド集積回路81のインク供給ノズルの周りに周辺シール(perimeter seal)が形成され、これによって、インク供給ノズルに存在しているインクからの水分の蒸発が減少し、インクが乾燥してノズルが詰まることが防止される。同様に、印刷が開始されると判断された時点で、制御電子回路72は、印字ヘッド集積回路81のキャッピング解除を開始し、これによって印字ヘッドメンテナンスユニット78は、図16に示したような非キャッピングポジションに戻ることができる。印字ヘッドメンテナンスユニット78は、必要であれば印字ヘッド81の拭取り或いは吸取りなど別の機能を実行することもできる。
【0182】
図16に示したように、クレードルユニット71の本体は、印字ヘッド集積回路81の上流、ピッカー機構60に隣接して設けられている入口67を有する。入口67は、ピッカー機構60によって供給される印刷媒体の先端部を受け入れ、また、印刷媒体の先端部を駆動ローラー76及びピンチローラー77の方に導くことを支援するガイド部材69を含んでいる。
【0183】
クレードルユニット71の本体には、印刷媒体が印刷エンジン70から出るための経路を提供する出口68が、印字ヘッド集積回路81の下流に設けられている。印字ヘッド集積回路81による印刷後、印刷された媒体の先端部は、駆動ローラー76及びピンチローラー77の作用下において出口68から印刷エンジン70を出る。出口68の横には、印刷された紙を捕捉して媒体出力アセンブリ5に供給する紙排出機構85が設けられている。
【0184】
紙排出機構85は、プリンタ装置2の主本体3に形成されており、排出ローラー86と複数のアイドラーホイール87とから成る。排出ローラー86は、下側フレームユニット6の前面にわたって延びている細長い軸によって形成されており、下側フレームユニット6に設けられているローラー支持部88によってその端部において支持されている。排出ローラー86には、軸の長手方向に沿って等間隔に配置されている複数の環要素89が設けられており、この環要素89は、媒体を捕捉して媒体出力アセンブリ5に供給することを支援する。排出ローラー86は、下側支持フレーム6の一端に配置されている駆動歯車90を介して、クレードルユニット71の駆動モーター75によって駆動される。この配置構成においては、クレードルユニット71の制御電子回路72は、クレードルユニット71の駆動ローラー76の速度及びタイミングに対応する適切なタイミング及び速度において紙排出機構85が動作するように、紙排出機構85の動作を制御することができる。
【0185】
紙排出機構85のアイドラーホイール87は、排出ローラー86と協働して、印刷された媒体を捕捉して媒体出力アセンブリ5に供給する。アイドラーホイール87は、蓋21の内面にフレキシブルに結合されており、排出ローラー86の軸に沿って設けられている環要素89と回転接触するようにされている。図13に示したように、アイドラーホイール87は、スターホイール91の形態であり、このホイールは、環要素89の表面上を回転してその間に媒体を捕捉し、従って、印刷された媒体を排出ローラー86の作用下において媒体出力アセンブリ5に供給することができる。この配置構成では、印刷に続いて、印刷された媒体を印刷エンジン70から排出するときの制御が支援される。
【0186】
なお、紙排出機構85は印刷エンジン70とは個別の要素として図示及び説明したが、紙排出機構85を印刷エンジン70に組み込むこともできることを理解されたい。更に、紙排出機構85はスターホイール91を有するものとして示したが、当業者には明らかであるように別のタイプのアイドラーローラーを使用することもでき、その形態も依然として本発明の範囲に含まれる。
【0187】
説明した配置構成においては、印刷エンジン70は、主本体3の内部空洞12の中に、ピッカー機構60と紙排出機構85との間に配置されている。この配置構成では、媒体入力アセンブリ4から印刷エンジン70を経て媒体出力アセンブリ5までの印刷媒体の搬送経路を単純にすることができる。
【0188】
図16に示したように、印刷媒体がプリンタ装置2の中を移動するときの経路を単純にする目的で、印刷エンジン70は、主本体3の内部空洞12の中に、ある角度をなして配置されている。印刷エンジン70が角度をなして配置されている結果として、印字ヘッド集積回路81も角度をなして配置されており、従って、印刷ゾーンが角度をなして配置され、このことは、印刷媒体が媒体入力アセンブリ4から印刷ゾーンを経て媒体出力アセンブリ5まで通過するときの経路を浅くする役割を果たす。そのような単純且つ浅い印刷媒体経路によって、様々な厚さ及びタイプの媒体、すなわち最大約300gsmの紙をプリンタ装置2によって印刷することができ、従来のデスクトッププリンタ装置では、一般にはそのような広範囲の媒体を扱うことはできない。この配置構成では、印刷媒体が経路上で詰まる可能性が減少するが、絶え間ない監視及び調整が要求され、媒体が印字ヘッド集積回路81に接触した場合、修理又は交換が必要となることがある。
【0189】
印刷エンジン70の配置角度と、従って印字ヘッド集積回路81の傾き角度は、印刷媒体10がプリンタ装置2に供給される角度、具体的には媒体入力アセンブリ4の傾き角度に大きく依存する。図16に示したように、印刷媒体入力アセンブリ4は、正のx軸から左回りに測定した傾き角度として(水平面の傾き角度を0°とする)約120°を有する。印刷媒体入力アセンブリのこの傾き角度は、90°〜160°の間の値をとることができる。図16に示した配置構成においては、印刷エンジン70と、従って印字ヘッド集積回路81は、約145°の傾き角度を有し、この角度は、印刷媒体入力アセンブリ4の傾き角度より大きい。すなわち、様々な重量及び厚さの印刷媒体を扱うことのできる浅い印刷媒体経路を提供する目的で、印字ヘッド集積回路81は、印刷媒体入力アセンブリの傾き角度よりも大きい傾き角度を持つようにされている。
【0190】
プリンタ装置2の上述した特性によって、画線率が少なくとも80%であり、1600dpi、高品質のフルプロセスカラーイメージを60ppm程度の速度で印刷することのできるデスクトッププリンタ装置を提供することが可能である。前述したようにプリンタ装置2のサイズ及び設置面積が小さいことと、これらの特性とが組み合わされる結果として、これまで商業的に実現しなかった高速且つ高品質でコンパクトなプリンタが提供される。
【0191】
例えば、プリンタ装置2は、約300mmの全幅と、約165mmの全高と、約170mmの全奥行きとを有するように構築することができる。しかしながら、プリンタの用途に応じて、それ以外の寸法も可能である。
【0192】
従って、完全に組み立てられたプリンタ装置2は、最小総容積、すなわち、主本体3、媒体入力アセンブリ4、媒体出力アセンブリ5など、プリンタ装置2のコンポーネントによって占有される実際の容積の合計が、約8,000cm3であり、最大総容積、すなわち、プリンタ装置2によって占有される全空間が約14,000cm3である(媒体出力アセンブリ及び媒体入力アセンブリを延ばした状態)ことが予想される。本発明は、占有容積が3000cm3〜30,000cm3の間となるようにパッケージ化(packaged)できると考えられる。その結果として、60ppmで印刷する場合、プリンタのサイズ(容積)に対する印刷速度の比が少なくとも約0.002ppm/cm3となる。プリンタ装置が更に高い速度、すなわち60ppmを超えて、前述したような両面印刷の場合の500ppmもの高さで印刷できる場合には、プリンタのサイズに対する印刷速度の比として、少なくとも約0.005ppm/cm3、好ましくは少なくとも約0.01ppm/cm3、より好ましくは少なくとも約0.02ppm/cm3が可能である。
【0193】
更に、ハウジング101、ヘッドユニット102、媒体トレイアセンブリ103、ベースユニット112、その他の様々なコンポーネントなど、プリンタ100のコンポーネントは、ほとんどの部分をプラスチックなどの軽量材料から成形することができる。従って、上述したようにサイズが小さくなっていることに加えて、プリンタ100の重量も低減することができる。例えば、好ましい形態においては、プリンタ100の重量は、約1.5kg〜約4.6kgの重量、好ましくは約1.8〜2.3kgとすることができる。従って、約30ppm〜60ppm以上であるカラープリンタ100の上述した可能な印刷速度においては、プリンタ重量に対する印刷速度の比として約0.5ppm/kgが可能である。プリンタ100のコンポーネントがより重い別の材料を使用して構築されている場合であっても、印刷速度が増すにつれて、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも約1.0ppm/kg、好ましくは少なくとも約2ppm/kg、より好ましくは少なくとも約5ppm/kgが可能である。プリンタ重量に対する印刷速度のこのような比は、画線率が少なくとも80%であるフルプロセスカラープリントを印刷する市販されている既存のプリンタ装置よりも大幅に向上している。
【0194】
本発明のプリンタ装置2は、画線率が少なくとも80%であるフルプロセスカラーイメージを約60ページ/分(オフラインの大型専用プリンタ装置の代表的な速度)で印刷することのできるデスクトッププリンタ装置を提供することが理解されるであろう。本発明のプリンタ装置の寸法は、本発明と同じ速度及び印刷品質では動作できない従来のデスクトッププリンタと同程度、或いはそれ以下である。
【0195】
本発明は、その例示的な実施形態に関連して図示及び説明したが、当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更形態が明らかであり、容易に変更することができるであろう。従って、本明細書に添付されている請求項の範囲は、本明細書に記載した説明に制限されるものではなく、請求項は広く解釈されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、プリンタ装置に関し、より詳細には、高品質のイメージを高速で印刷することができ、且つデスク上に容易に収容される大きさのインクジェットプリンタ装置に関する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置に関し、より詳細には、高品質のイメージを高速で印刷することができ、且つデスク上に容易に収容される大きさのインクジェットプリンタ装置に関する。
【0002】
[同時係属中の出願]
出願人は、本出願と同時に以下の出願をすでに出願している。
【表1】
【0003】
これらの同時係属中の出願の開示は、本文書に参考とすることにより組み込まれる。上記の出願は、出願整理番号によって識別されているが、これらの番号は、対応する出願番号が割り当てられた時点でそれらに置き換えられる。
【0004】
[関連出願への相互参照]
本発明の出願人又は譲渡人によって出願されている以下の特許又は特許出願は、本文書に参考とすることにより組み込まれる。
【表2】
【0005】
いくつかの出願は、事件整理番号によって列挙されている。これらは、出願番号が明らかになった時点で置き換える予定である。
【背景技術】
【0006】
家庭或いはオフィス環境で使用するためのデスクトッププリンタ装置は周知であり、現在製造、販売されているプリンタ装置の大きな割合を占めている。そのようなユニットは、パーソナルコンピュータ或いはデジタルカメラなどのコンピュータシステムのすぐ近く、デスク又はワークステーション上に配置するようにされている。この配置構成においては、ユーザは、コンピュータシステムからイメージを選択し、それをプリンタ装置に送って印刷することができ、自分のデスク或いはオフィスを離れる必要なしに、印刷イメージをプリンタ装置から都合よく取り出すことができる。
【0007】
従来、このタイプのデスクトッププリンタ装置のメーカーは、この便利な動作形態が達成される単純なユニットを提供することに主眼を置いてきた。結果として、市販されているデスクトッププリンタ装置のほとんどは、動作する印刷速度と、印刷されるイメージの印刷品質が制限されている。多くの場合、そのようなデスクトッププリンタ装置は、モノクロイメージしか印刷できず、フルカラーの写真画質で印刷できるユニットであっても、印刷速度は一般に5ページ/分(ppm)未満である。この結果として、印刷ジョブとして複数のページを高解像度のフルカラーで印刷することが要求される場合、そのようなタスクを専用に実行する遠隔のプリンタ装置にその印刷ジョブを送った方が、コスト及び時間の面で効率的であることがしばしばある。従って、従来のデスクトッププリンタ装置は、高速で動作して高い品質の印刷イメージを生成できないために、プリンタ装置としての全体的な利便性が損なわれている。
【0008】
更に、現在では、家庭及びオフィスのいずれにおいても、様々なコンポーネントを自由にレイアウトできる作業環境を生み出すべく作業空間が最適化される傾向にあり、結果として、従来の仕事場におけるコンピュータなどのコンポーネントに利用できる空間が減少している。最近では、パーソナルコンピュータ、特にコンピュータモニターのサイズが、薄型フラット画面モニターの登場によって大幅に小さくなっており、これにより、そのようなコンポーネントがデスク上を占める空間が最小限になっている。デスクトッププリンタ装置については、従来、ユニットのサイズが、印刷する必要のある印刷媒体のサイズ及び印刷方式によって大きく左右されていたため、メーカーにとって上記の傾向に対応することは難しかった。
【0009】
ほとんどのデスクトッププリンタ装置はインクジェットタイプであり、印刷媒体の上を移動するときにインクを発射する印字ヘッドを備えた往復運動型キャリッジを採用している。そのようなプリンタ装置では、イメージの1行を印刷するのに、静止している印刷媒体の上を印字ヘッドが何度か往復する必要があるため、動作可能な速度に制限がある。従って、このタイプのプリンタ装置は、従来の用紙ハンドリング機構に加えて、印字ヘッドのそのような往復運動を可能にするために必要な様々な機構を収納していなければならない。従って、一般には、デスクトッププリンタ装置のサイズと、プリンタ装置の印刷速度及び印刷品質との間でトレードオフがあり、結果として、市販されているデスクトッププリンタ装置には、画線率(image coverage)が少なくとも80%であるフルプロセスカラーイメージを約60ページ/分(ppm)の速度で印刷できる機種が存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
出願人は、1600dpiという高い解像度を有するイメージを印刷することのできる印字ヘッドを開発した。そのような印字ヘッドはページ幅印字ヘッドであり、印刷される媒体の幅にわたっており、媒体の上を通過するときに媒体の表面にインク滴を発射する。これに関して、この印字ヘッドは、媒体が通過するときに静止ポジションに保持されており媒体上を往復しないため、より高い印刷速度が可能である。そのような印字ヘッドにより、高画質のイメージを高速で印刷することのできるプリンタ装置を提供することが可能になるが、そのような印字ヘッドに対応することができ、印刷が可能になるように媒体が印字ヘッドを通過するよう制御することができ、且つデスク上に置くことのできるプリンタ装置を開発する必要がある。これに加えて、印字ヘッドを保守する手段として、印字ヘッドのメンテナンス或いは交換が必要な場合に、それらをデスクトップユニットの枠組みの中で容易に実行できる手段も提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの実施形態においては、印刷用媒体を支持する媒体入力アセンブリと、印刷された媒体を集めておく媒体出力アセンブリと、媒体にイメージを印刷する印字ヘッドを有し、且つ本体に取り付けられるようにされている印刷エンジンと、を有する本体、を備えているプリンタ装置であって、印字ヘッドがページ幅印字ヘッドであり、且つ印刷エンジンから取外し可能である、プリンタ装置、が提供される。
【0012】
1つの形態においては、印字ヘッドは、必要時に印字ヘッドを容易に交換することができるように、印刷エンジンから取外し可能であるカートリッジに設けられている。カートリッジは、印字ヘッドによって印刷するための1つ以上の印刷流体を収容するようにすることもできる。印刷流体は、インクの形態とすることができ、又は、カラー印刷用の一連のカラーインクを備えていることができる。同様に、印刷流体は、赤外線インク、或いは、インクの定着を促進するために印字ヘッドによって供給することのできる定着剤を備えていることができる。
【0013】
媒体入力アセンブリは、印刷用の1枚以上の媒体を受け入れるようにされている媒体トレイとすることができる。媒体は、標準用紙の形態(A4サイズの紙或いは印画紙など)とすることができる。媒体トレイは、媒体トレイに受け入れられている媒体が実質的に垂直に印刷エンジンに供給されるように、実質的に垂直方向に傾いていることができる。
【0014】
媒体出力アセンブリは、印字ヘッドによる印刷に続いて、印刷された媒体を受け入れて集めておく1つ以上の媒体トレイを備えていることができる。1つ以上の媒体トレイは、様々なサイズの媒体を収容するようにプリンタ装置の本体から延長可能とすることができる。
【0015】
印刷エンジンは、プリンタ装置の本体に動かないように取り付けられているクレードルであって、カートリッジを受け入れてカートリッジを印刷ポジションに支持するようにされている、クレードル、を備えていることができる。クレードルは、プリンタ装置の全体的な動作を制御する制御システムであって、印字ヘッドを制御する少なくとも1つのSoPECデバイスを含んでいる、制御システム、を備えていることができる。
【0016】
クレードルは、媒体を、媒体入力アセンブリから、媒体の表面にイメージが印刷される印字ヘッドを経て、媒体出力アセンブリに搬送する媒体搬送システム、を更に備えていることができる。これに関して、クレードルは、印刷エンジンに媒体を受け入れる媒体入口であって、印字ヘッドの上流、媒体入力アセンブリの近傍に配置されている媒体入口、を有することができる。クレードルは、印刷された媒体が媒体出力アセンブリに容易に供給されて集められるように、印字ヘッドの下流、媒体出力アセンブリの近傍に配置されている媒体出口、を備えていることができる。
【0017】
媒体搬送システムは、駆動ローラー及びピンチローラーであって、駆動ローラーを駆動する媒体搬送モーターの作用下において協働して媒体を搬送する、駆動ローラー及びピンチローラー、を備えていることができる。媒体搬送モーターは、プリンタ装置を通過する媒体の供給が制御されるように制御システムによって制御されるブラシレスDCモーターとすることができる。
【0018】
クレードルは、印字ヘッドにメンテナンスを実行する印字ヘッドメンテナンス要素を更に備えていることができる。印字ヘッドメンテナンス要素は、印字ヘッドが使用されないときに非キャッピングポジションからキャッピングポジションに動くことができるキャッピング面、を備えていることができる。キャッピングポジションは、キャッピング面が印字ヘッドの外面と接触し、それによって印字ヘッドの周りにシールが形成され、印字ヘッドにおけるインクの乾燥が防止され、インク供給ノズルが遮断されるポジション、とすることができる。印字ヘッドメンテナンス要素の動きは、制御システムの制御下において媒体搬送モーターによって提供することができる。
【0019】
媒体は、プリンタ装置の本体に取り付けることのできる媒体ピッカーシステムによって、媒体入力アセンブリから媒体入口に供給することができる。媒体ピッカーシステムは、ピッカーモーターによって駆動されるピッカーローラーであって、媒体入力アセンブリ内に含まれている媒体を媒体入口に供給する、ピッカーローラー、を含んでいることができる。紙の供給速度を制御する目的で、ピッカーモーターは、印刷のため印刷エンジンへの媒体の供給速度が制御されるように、クレードルの制御システムによって制御することができる。
【0020】
印刷後、印刷された媒体を、媒体排出機構によって媒体出口から媒体出力アセンブリに供給することができる。媒体排出機構は、排出ローラーと、印刷された媒体を捕捉して媒体を媒体出力アセンブリに供給するアイドラー要素とを含んでいることができる。アイドラー要素は、排出ローラーと回転接触している(in rotational contact)1つ以上のアイドラーホイールとすることができ、又は、排出ローラーと回転接触しているアイドラーローラーとすることができる。排出ローラーは、印刷された媒体の印刷エンジンからの排出が調整されるように、クレードルの制御システムの制御下において媒体搬送モーターによって駆動することができる。これに関して、媒体排出機構は、クレードルの媒体出口に隣接してプリンタ装置の本体に取り付けることができ、又は、媒体出口に隣接してクレードルに取り付けることができる。
【0021】
以下では、本発明の特徴が組み込まれているプリンタの形態について、添付の図面を参照しながら一例として説明する。
【0022】
本発明の第1の側面においては、印刷用媒体を支持する媒体入力アセンブリと、印刷された媒体を集める媒体出力アセンブリと、媒体の表面上にイメージを印刷する印字ヘッドを有する印刷エンジンと、を有する本体、を備えているプリンタ装置であって、印字ヘッドが、ページ幅印字ヘッドであり、且つユーザによって印刷エンジンから取外し可能である、プリンタ装置が提供される。
【0023】
オプションとして、印字ヘッドはカートリッジに設けられており、カートリッジは、印刷エンジンから取外し可能である。
【0024】
オプションとして、カートリッジは、印刷用の1つ以上の印刷流体を収容するようにされている。
【0025】
オプションとして、プリンタはデスクトッププリンタであり、媒体入力アセンブリは、第1の傾き角度にて配置されており、印刷エンジンは、印字ヘッドが、第1の傾き角度より大きい第2の傾き角度にあるように配置されている。
【0026】
オプションとして、第1の傾き角度は、90°と160°との間である。
【0027】
オプションとして、第1の傾き角度は、110°と130°との間である。
【0028】
オプションとして、印字ヘッドには、少なくとも10,000個のインク供給ノズルが配置されている。
【0029】
オプションとして、印字ヘッドには、少なくとも20,000個のインク供給ノズルが配置されている。
【0030】
オプションとして、印字ヘッドには、少なくとも50,000個のインク供給ノズルが配置されている。
【0031】
オプションとして、印刷エンジンは、印字ヘッドの動作を制御する制御システムを更に備えており、印字ヘッドは、媒体の表面上に個々のインク滴を発射し、且つ自身の上に配置されている複数のインク発射ノズルであって、使用時、制御システムが、ノズルがインク滴を発射するかを少なくとも毎秒5000万回の判断速度で判断する、複数のインク発射ノズル、を有する。
【0032】
オプションとして、制御システムは、ノズルがインク滴を発射するかを少なくとも毎秒1億回の判断速度で判断する。
【0033】
オプションとして、制御システムは、ノズルがインク滴を発射するかを少なくとも毎秒3億回の判断速度で判断する。
【0034】
オプションとして、制御システムは、ノズルがインク滴を発射するかを少なくとも毎秒10億回の判断速度で判断する。
【0035】
オプションとして、印刷エンジンは、印字ヘッドの動作を制御する制御システムを更に備えており、印字ヘッドは、媒体の表面上に個々のインク滴を発射し、且つ自身の上に配置されている複数のインク発射ノズルであって、使用時、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも0.5ppm/kgが提供されるように印刷速度が制御される、複数のインク発射ノズル、を有する。
【0036】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも1ppm/kgが提供されるように制御される。
【0037】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも2ppm/kgが提供されるように制御される。
【0038】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも5ppm/kgが提供されるように制御される。
【0039】
オプションとして、印刷エンジンは、印字ヘッドの印刷速度を制御する制御システムを更に備えており、印字ヘッドは、媒体の表面上に個々のインク滴を発射し、且つ自身の上に配置されている複数のインク発射ノズルであって、使用時、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.002ppm/cm3が提供されるように印刷速度が制御される、複数のインク発射ノズル、を有する。
【0040】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.005ppm/cm3が提供されるように制御される。
【0041】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.01ppm/cm3が提供されるように制御される。
【0042】
オプションとして、印刷速度は、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.02ppm/cm3が提供されるように制御される。
【0043】
オプションとして、印刷エンジンは、印字ヘッドの印刷速度を制御する制御システムを更に備えており、印字ヘッドは、媒体の表面上に個々のインク滴を発射し、且つ自身の上に配置されている複数のインク発射ノズルであって、使用時、印刷面積速度(area print speed)として少なくとも50cm2/秒が提供されるように印刷速度が制御される、複数のインク発射ノズル、を有する。
【0044】
オプションとして、印刷速度は、印刷面積速度として少なくとも100cm2/秒が提供されるように制御される。
【0045】
オプションとして、印刷速度は、印刷面積速度として少なくとも200cm2/秒が提供されるように制御される。
【0046】
オプションとして、印刷速度は、印刷面積速度として少なくとも500cm2/秒が提供されるように制御される。
【0047】
オプションとして、媒体入力アセンブリは、印刷用の1枚以上の媒体を受け入れるようにされている媒体トレイである。
【0048】
オプションとして、媒体は紙である。
【0049】
オプションとして、媒体トレイは、実質的に垂直方向に傾いている。
【0050】
オプションとして、媒体出力アセンブリは、印字ヘッドによる印刷に続いて媒体を受け入れて集めておく1つ以上の媒体トレイを備えている。
【0051】
オプションとして、1つ以上の媒体トレイは、様々なサイズの印刷媒体を収容するように本体から延ばすことができる。
【0052】
オプションとして、印刷エンジンは、本体に動かないように取り付けられているクレードルであって、カートリッジを受け入れてカートリッジを印刷ポジションに支持するようにされている、クレードル、を備えている。
【0053】
オプションとして、クレードルは、プリンタの全体的な動作を制御する制御システムを含んでいる。
【0054】
オプションとして、制御システムは、少なくとも1つのSoPECデバイスを含んでいる。
【0055】
オプションとして、クレードルは、媒体を媒体入力アセンブリから印字ヘッドを経て媒体出力アセンブリに搬送する媒体搬送システム、を備えている。
【0056】
オプションとして、クレードルは、印刷エンジンに媒体を受け入れる媒体入口であって、印字ヘッドの上流、媒体入力アセンブリの近傍に配置されている、媒体入口、を有する。
【0057】
オプションとして、クレードルは、印刷エンジンからの印刷された媒体を供給する媒体出口であって、印字ヘッドの下流、媒体出力アセンブリの近傍に配置されている、媒体出口、を有する。
【0058】
オプションとして、媒体搬送システムは、協働して媒体を搬送する駆動ローラー及びピンチローラーを備えている。
【0059】
オプションとして、媒体搬送システムは、駆動ローラーを駆動する媒体搬送モーターを備えている。
【0060】
オプションとして、媒体搬送モーターはブラシレスDCモーターである。
【0061】
オプションとして、媒体搬送モーターは、媒体搬送システムの動作を制御する制御システムによって制御される。
【0062】
オプションとして、クレードルは、印字ヘッドメンテナンス要素を備えている。
【0063】
オプションとして、印字ヘッドメンテナンス要素は、印字ヘッドを覆うようにされているキャッピング面を有する。
【0064】
オプションとして、印字ヘッドメンテナンス要素は、非キャッピングポジションからキャッピングポジションに動くことができる。
【0065】
オプションとして、キャッピングポジションは、キャッピング面が印字ヘッドの外面と接触し、それによって印字ヘッドの周りにシールが形成されるポジションである。
【0066】
オプションとして、印字ヘッドメンテナンス要素の動きは、制御システムの制御下において媒体搬送モーターによって提供される。
【0067】
オプションとして、媒体は、媒体ピッカーシステムによって媒体入力アセンブリから媒体入口に供給される。
【0068】
オプションとして、媒体ピッカーシステムは、本体に取り付けられており、媒体ピッカーシステムは、媒体入力アセンブリ内に含まれている媒体を媒体入口に供給するピッカーローラーを含んでいる。
【0069】
オプションとして、媒体ピッカーシステムは、ピッカーローラーを駆動するピッカーモーターを有する。
【0070】
オプションとして、ピッカーモーターは、印刷のため印刷エンジンへの媒体の供給速度が制御されるように、クレードルの制御システムによって制御される。
【0071】
オプションとして、印刷された媒体は、媒体排出機構によって媒体出口から媒体出力アセンブリに供給される。
【0072】
オプションとして、媒体排出機構は、排出ローラーと、印刷された媒体を捕捉して媒体を媒体出力アセンブリに供給するアイドラー要素と、を含んでいる。
【0073】
オプションとして、アイドラー要素は、排出ローラーと回転接触している1つ以上のアイドラーホイールである。
【0074】
オプションとして、アイドラー要素は、排出ローラーと回転接触しているアイドラーローラーである。
【0075】
オプションとして、排出ローラーは、クレードルの制御システムの制御下において媒体搬送モーターによって駆動される。
【0076】
オプションとして、媒体排出機構は、クレードルの媒体出口に隣接して本体に取り付けられている。
【0077】
オプションとして、媒体排出機構は、媒体出口に隣接してクレードルに取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の1つの実施形態による印刷システムにおけるドキュメントデータの流れの概略図である。
【図2】図1の印刷システムにおいて使用されているアーキテクチャを示している、より詳しい概略図である。
【図3】図1の印刷システムにおいて使用されている制御電子回路の実施形態のブロック図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態によるプリンタ装置の正面斜視図である。
【図5】図4のプリンタ装置の後面斜視図である。
【図6】図4のプリンタ装置の正面の平面図である。
【図7】図4のプリンタ装置の後面の平面図である。
【図8】図4のプリンタ装置の右側面図である。
【図9】図4のプリンタ装置の左側面図である。
【図10】図4のプリンタ装置の底面の平面図である。
【図11】図4のプリンタ装置の分解した状態の正面斜視図である。
【図12】媒体出力アセンブリが延長ポジションにあり媒体が媒体入力アセンブリに装填された図4のプリンタ装置の正面斜視図である。
【図13】プリンタ装置のカバーが開いて印刷エンジンが露出した図4のプリンタ装置の正面斜視図である。
【図14】カートリッジが印刷エンジンから取り外された図13のプリンタ装置の正面斜視図である。
【図15】プリントカートリッジが補給された図13のプリンタ装置の正面斜視図である。
【図16】印刷エンジンが媒体入力アセンブリに対して角度をなしている図4のプリンタ装置の断面図である。
【図17】視覚インジケータユニットのコンポーネントの斜視図である。
【図18】本発明において使用するための、インクを発射する1つのノズルの静止状態における垂直断面図である。
【図19】図18のノズルの最初の作動段階時における垂直断面図である。
【図20】図19のノズルの作動段階の後半の垂直断面図である。
【図21】図18のノズルの、図20に示した作動状態における斜視図(一部垂直断面図)である。
【図22】図18のノズルの、インクを省略した断面斜視図である。
【図23】図22のノズルの垂直断面図である。
【図24】図18のノズルの、図19に示した作動状態における斜視図(一部垂直断面図)である。
【図25】図18のノズルの平面図である。
【図26】見やすさのためレバーアーム及び可動ノズルを取り除いた図18のノズルの平面図である。
【図27】図18に示したタイプの複数のノズル構造部が組み込まれている印字ヘッドチップの一部の断面斜視図である。
【図28】図4のプリンタにおいて使用するCMOS駆動・制御ブロックである概略図である。
【図29】図28のCMOSブロックにおけるノズル列とドットシフトレジスタとの間の関係を示す概略図である。
【図30】図29のノズル列及びドットシフトレジスタに対するユニットセルの関係を示す詳細図である。
【図31】図4のプリンタにおける1つのプリンタノズルのロジックを示す回路図である。
【図32】視覚インジケータユニットのコンポーネントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明は、図4〜図16に示したように、写真品質のイメージを毎分60ページ(ppm)のオーダーの速度で印刷することのできるデスクトッププリンタ装置2として具体化されている。なお、以下の詳細な説明及び請求項においては、印刷速度及びppmが言及されている場合、いずれも、少なくとも80%のページ画線率が要求される(スポットカラーではなく)フルプロセスカラーイメージとして印刷されるページを意味することを理解されたい。従って、既存のプリンタ装置との比較は、いずれもこの印刷要件に基づいている。以下の詳細な説明から容易に理解されるように、プリンタ装置2は、家庭又はオフィスの標準的なデスク上に容易に置くことができ、且つ占有されるデスク空間が最小であるサイズ及び重量として構築されている。
【0080】
図1に概略的に示したように、プリンタ装置2は、使用時、コンピュータシステム102などの外部データ源から受信したドキュメントを、紙などの印刷媒体に印刷するようにされている。これに関して、プリンタ装置2は、コンピュータシステム102によって前処理されたデータを受信するために、ユニット2とコンピュータシステム102との間を電気的に接続することのできる手段(接続方法については後から説明する)を含んでいる。1つの形態においては、外部のコンピュータシステム102は、ドキュメントの印刷に関与する様々なステップとして、ドキュメントを受信する(ステップ103)、それをバッファに格納する(ステップ104)、それをラスタライズする(ステップ106)、それを圧縮してプリンタ装置2に送信する(ステップ108)、などを実行するようにプログラムされている。
【0081】
本発明の1つの実施形態によるプリンタ装置2は、圧縮された多層ページイメージの形式におけるドキュメントを、外部のコンピュータシステム102から受信し、プリンタ装置2の中に設けられている制御電子回路72が、イメージをバッファに格納し(ステップ110)、更なる処理のためにそのイメージを展開する(ステップ112)。展開された連続階調層をディザリングし(ステップ114)、展開ステップからの黒の層を、ディザリングされた連続階調層の上に合成する(ステップ116)。また、符号化されたデータをレンダリングして(ステップ118)、人の目には実質的に見えない赤外線インクを使用して印刷される追加の層を形成することもできる(必要時)。ディザリングされた黒の連続階調層と赤外線層とを結合して(ステップ120)ページを形成し、そのページを印字ヘッドに供給して印刷する(ステップ122)。
【0082】
この特定の配置構成においては、印刷されるドキュメントに関連付けられているデータを、テキスト及びラインアートの高解像度の2階調マスク層と、イメージ又は背景色の中解像度の連続階調カラーイメージ層とに分割する。オプションとして、イメージ又はフラットカラーから取得されたカラーデータによってテキスト及びラインアートをテクスチャリングするための中〜高解像度の連続階調テクスチャ層を追加することによって、カラーテキストをサポートすることができる。この印刷アーキテクチャでは、これらの連続階調層を、抽象的な「イメージ」層及び「テクスチャ」層(イメージデータ或いはフラットカラーデータを参照することができる)に表すことによって一般化する。このようにコンテンツに基づいてデータを層に分割する処理は、当業者には理解されるようにMRC(Mixed Raster Content)ベースモードに従う。MRCベースモードと同様に、この印刷アーキテクチャでは、印刷するデータがオーバーラップするときには、場合によっては妥協が行われる。具体的には、1つの形態においては、すべてのオーバーラップは、妥協を明示的に具体化するプロセス(衝突解消)において3層表現に減じる。
【0083】
前述したように、データは、主としてソフトウェアベースのコンピュータシステム102によって前処理された、圧縮された多層ページイメージの形式において、プリンタ装置2に供給される。プリンタ装置2は、図2に詳しく示したように、主としてハードウェアベースのシステムを使用してこのデータを処理する。
【0084】
ディストリビュータ230は、データを受信すると、所有権のある表現形式から、ハードウェアに固有な表現形式にデータを変換し、このデータが正しいハードウェアデバイスに送られるようにし、その一方で、これらのデバイスにデータを送信するときの制約又は必要条件がないか監視する。ディストリビュータ230は、変換されたデータを複数のパイプライン232のうちの適切な1つに分配する。パイプラインは互いに同一であり、基本的には、解凍機能、スケーリング機能、及びドット合成機能を提供し、一連の印刷可能なドット出力を生成する。
【0085】
各パイプライン232は、データを受信するバッファ234を含んでいる。連続階調復元装置236は、カラー連続階調面(color contone plane)を解凍し、マスク復元装置は、モノトーン(テキスト)層を解凍する。連続階調スケーラ240及びマスクスケーラ242は、それぞれ、ページを印刷する媒体のサイズを考慮するために、解凍された連続階調面及びマスク面をスケーリングする。
【0086】
次いで、スケーリングされた連続階調面をディザラ(ditherer)244によってディザリングする。1つの形態においては、確率論的な分散化ドットディザリング(dispersed−dot dither)が使用される。クラスタ化ドット(又は振幅変調型)ディザリング(clustered−dot dither)と異なり、分散化ドット(又は周波数変調型)ディザリングでは、ドット解像度のほぼ限界の高い空間周波数(すなわちイメージディテール)が再現され、それと同時に、目によって空間的に構築されたときにフルカラー深度までの低い空間周波数が再現される。確率論的なディザマトリクスは、イメージ全体にわたるタイリング処理時に好ましくない低周波数パターンがあまり生じないように慎重に設計されている。従って、そのサイズは、一般には、特定の輝度レベル数をサポートするのに必要な最小サイズ(例:257輝度レベルの場合の16×16×8ビット)を超える。
【0087】
次いで、ディザリングされた面を、ドット合成装置246においてドット単位で合成し、印刷に適するドットデータを提供する。このデータをデータ分散およびドライブ回路(data distribution and drive electronics)248に転送し、この電子回路248が、このデータを該当するノズルアクチュエータ250に分配し、アクチュエータ250は、後から更に詳しく説明する方法によって、該当するノズル252から正しいタイミングでインクを発射させる。
【0088】
印刷するイメージを処理するためにプリンタ装置2に使用されるコンポーネントは、データの提供方式に大きく依存することが理解されるであろう。これに関して、プリンタ装置2に追加のソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネント、又はその両方を使用し、プリンタ装置2の中で更なる処理を実行することにより、コンピュータシステム102に対する依存性を小さくすることが可能である。これに代えて、プリンタ装置2において使用するソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネント、又はその両方を少なくし、プリンタ装置2の中で実行する処理を減らすことにより、プリンタ装置2にデータが送信される前にイメージの処理がより多くの程度行われるようにコンピュータシステム102に依存することができる。
【0089】
どのような状況においても、上述したタスクを実行するのに必要なコンポーネントは、プリンタ装置2の制御電子回路72の中に設けられており、図3は、この電子回路の実施形態のブロック図を示している。
【0090】
この配置構成においては、ハードウェアパイプライン232は、SoPEC(Small Office Home Office Printer Engine Chip)として具体化されている。図に示したように、SoPECデバイスは、大きく分けて3つの異なるサブシステム、すなわち、CPU(中央処理ユニット)サブシステム301と、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)サブシステム302と、印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303とから成る。
【0091】
CPUサブシステム301は、他のサブシステムのすべての側面を制御及び設定するCPU 30を含んでいる。このサブシステムは、後述するように、プリンタ装置2のすべての要素のインタフェース処理と、これらの間の同期処理のための全般的なサポートを提供する。このサブシステムは、QAチップ(後述する)との低速通信も制御する。また、CPUサブシステム301は、汎用I/O(GPIO:モーター制御を含む)、割込みコントローラユニット(ICU)、LSSマスタータイマー及び汎用タイマーなど、CPUを支援する様々な周辺デバイスも含んでいる。CPUサブシステム上のシリアル通信ブロック(SCB)は、ホストとのフルスピードUSB1.1インタフェースと、他のSoPECデバイス(図示していない)とのSoPEC間インタフェース(ISI)とを提供する。
【0092】
DRAMサブシステム302は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、及びPEPサブシステム内のブロックからの要求を受け取る。このDRAMサブシステム302、具体的にはDRAMインタフェースユニット(DIU)は、様々な要求の調停を行い、DRAMへのアクセスをどの要求に割り当てるべきかを判断する。DIUは、設定されているパラメータに基づいて、要求元すべてにDRAMへの十分なアクセスが許可されるように調停する。また、DIUは、ページサイズ、バンク数、リフレッシュレートなどDRAMの実装上の仕様を隠す。
【0093】
印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303は、DRAMからの圧縮されたページを受け取り、それらを、印字ヘッドと直接通信する印字ヘッドインタフェース(PHI)に送られる特定のプリントライン用の2階調ドットに変換する。ページ展開パイプラインの第1段は、連続階調復号器ユニット(CDU:Contone Decoder Unit)と、ロスレス2階調復号器(LBD:Lossless Bi−level Decoder)と、タグ符号器(TE:Tag Encoder)(必要な場合)である。このうちCDUは、JPEG圧縮されている連続階調(一般にはCMYK)層を展開し、LBDは、圧縮されている2階調層(一般にはK)を展開し、TEは、プリンタ装置2がネットページ(Netpage)機能を備えている場合に、後からレンダリング(一般には赤外線インク又はKインクによる)するためにネットページタグを符号化する。第1段からの出力は、一連のバッファ、すなわち、連続階調FIFOユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、及びタグFIFOユニット(TFU)である。CFUバッファ及びSFUバッファは、DRAMに実装されている。
【0094】
第2段は、中間調合成器ユニット(HCU:Halftone Compositor Unit)であり、このユニットは、連続階調層をディザリングし、結果としてのディザリングされた2階調層の上にポジションタグ及び2階調スポット層を合成する。
【0095】
SoPECデバイスと一緒に使用される印字ヘッドに応じて、複数の合成オプションを実装することができる。この段からは、最大6チャンネルの2階調データが生成され、ただし、すべてのチャンネルが印字ヘッドに存在していなくてもよい。例えば、印字ヘッドをCMYのみとし、KをCMYチャンネルに押し込み、IRを無視することができる。或いは、IRインクが利用できない場合(又はテストを目的とする場合)、符号化されたタグをKで印刷することができる。
【0096】
第3段においては、不良ノズル補正器(DNC:Dead Nozzle Compensator)が、色の冗長性と、不良ノズルデータを周囲のドットに誤差拡散することとによって、印字ヘッド内の不良ノズルを補正する。
【0097】
結果としての2階調、6チャンネルのドットデータ(一般にはCMYK、赤外線、定着剤)は、バッファに格納され、ドットラインライターユニット(DWU:Dotline Writer Unit)によって、DRAMに格納されている一連のラインバッファに書き込まれる。
【0098】
最後に、ドットデータがDRAMからロードされ、ドットFIFOを介して印字ヘッドインタフェースに渡される。ドットFIFOは、ラインローダーユニット(LLU:Line Loader Unit)からのデータをシステムクロックレート(pclk)において受け取り、その一方で、印字ヘッドインタフェース(PHI)が、FIFOからのデータを削除し、システムクロックレートの2/3倍のレートにおいてそれを印字ヘッドに送る。
【0099】
好ましい形態においては、DRAMは、サイズが2.5Mバイトであり、そのうち約2Mバイトが、圧縮されたページストアデータ(page store data)用に利用することができる。圧縮されたページは、2つ以上の帯域(band)において受信され、複数の帯域がメモリに格納されている。ページの帯域が印刷のためにPEPサブシステム303によって消費されると、新しい帯域をダウンロードすることができる。この新しい帯域は、現在のページ又は次のページの帯域である。
【0100】
帯域方式を使用することにより、圧縮されているページ全体がダウンロードされる前に、ページの印刷を開始することが可能であるが、印刷するデータがつねに利用可能であるように注意しなければならず、さもないとバッファアンダーランが起こることがある。
【0101】
埋め込まれているUSB1.1デバイスは、ホストPCから圧縮されているページデータと制御コマンドとを受け取り、DRAMへの(以下に説明するようにマルチSoPECシステムにおいては別のSoPECデバイスへの)データ伝送を可能にする。
【0102】
代替実施形態においては、複数のSoPECデバイスを使用することができ、複数のSoPECデバイスは、特定の実施形態に応じて様々な機能を実行することができる。例えば、場合によっては、1つのSoPECデバイスを単純にオンボードDRAM用に使用することができ、その一方で、別のSoPECデバイスを、上述した様々な解凍機能及びデータ形式変換(formatting)機能に使用する。これによって、バッファアンダーランの可能性を低減することができ、バッファアンダーランは、ページのデータすべてが受信される前にプリンタがそのページの印刷を開始し、残りのデータの受信が間に合わない場合に起こりうる。メモリのバッファリング能力用に更なるSoPECデバイスを追加すると、たとえ追加されたチップのそれ以外の能力が利用されなくても、バッファに格納することのできるデータの量が2倍になる。
【0103】
SoPECシステムのそれぞれは、プリンタ構造の品質と、(印刷時に印字ヘッドのノズルが損傷しないように)インクサプライの品質と、(印字ヘッド及び構造が損傷しないように)ソフトウェアの品質とが保証されるように互いに協調するように設計されている、複数の品質保証(QA)デバイスを備えていることができる。
【0104】
通常、印刷SoPECのそれぞれには、最大印刷速度などのプリンタ属性情報が格納されているプリンタQAが関連付けられている。本システムにおいて使用するインクカートリッジも、インクQAチップを含んでおり、このチップは、インク残量などのカートリッジ情報を格納している。更に、印字ヘッドは、ROMとして(実際にはEEPROMとして)機能するように構成されているQAチップを有し、このチップは、不良ノズルのマッピングや印字ヘッド特性など、印字ヘッドに固有な情報を格納している。オプションとして、SoPECデバイスにおけるCPUは、実際にはシリアルEEPROMとして機能するQAチップからプログラムコードをロードして実行することができる。SoPECデバイスにおけるCPUは、論理QAチップ(すなわちソフトウェアQAチップ)を実行する。
【0105】
通常、システム内のすべてのQAチップは物理的に同一であり、フラッシュメモリの内容のみが互いに異なる。
【0106】
SoPECデバイスのそれぞれは、システム認証及びインク使用量計算のためにQAデバイスと通信することのできる2本のLSSシステムバスを有する。1本のバスあたり多数のQAデバイスを使用することができ、また、システムにおけるQAデバイスの位置は制限されないが、例外として、プリンタQAデバイス及びインクQAデバイスは個別のLSSバス上とすべきである。
【0107】
使用時、論理QAは、インクQAと通信し、残りのインクを調べる。インクQAからの応答は、プリンタQAを参照して認証される。プリンタQAからの確認は、それ自体が論理QAによって認証され、これにより、インクQAからの応答に追加の認証レベルが間接的に加えられる。
【0108】
印字ヘッドQA以外のQAチップ間で渡されるデータは、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態においては、データにはHMAC−SHA1認証が使用され、プログラムコードにはRSAが使用されるが、代わりに別の方式を使用することもできる。
【0109】
従って、SoPECデバイスは、プリンタ装置2の全体的な動作を制御し、基本的なデータ処理タスクと、印刷媒体のハンドリングを可能にするためのプリンタ装置2の個々のコンポーネントの動作の同期及び制御とを実行することが理解されるであろう。以下の説明においては、用語「制御電子回路72」は、SoPECデバイスと、プリンタ装置2においてその動作の制御に使用されている他の電子回路とを意味する。
【0110】
図4〜図16は、インクジェットプリンタ装置2を示しており、このユニット2は、主本体3と、印刷用の印刷媒体を保持及び支持する媒体入力アセンブリ4と、プリンタ装置による印刷に続いて印刷媒体を集めておく媒体出力アセンブリ5とを含んでいる。主本体3は、印刷エンジン70と、関連付けられている電源15及び制御電子回路72と、用紙ハンドリング装置とを収容するようにされており、用紙ハンドリング装置は、印刷媒体を、媒体入力アセンブリ4から、印刷媒体が印刷される印刷エンジン70を経て、印刷媒体が集められる媒体出力アセンブリ5に供給するように動作する。そのような配置構成では、家庭環境又はオフィス環境において単色のテキストからフルカラーの写真イメージにいたる様々なイメージを容易に印刷することのできるコンパクトなプリンタ装置が提供される。
【0111】
図4〜図12を参照し、主本体3の構造は、下側フレームユニット6の上に受け入れられる形状を有する上側フレームユニット7によって形成されている。上側フレームユニット7及び下側フレームユニット6は、組み合わされたとき、ベース部8と、後部9と、上にカバー11を受け入れる開口10とを画成している。開口10は、印刷エンジン70及び関連付けられているコンポーネントが含まれている内部空洞12へのアクセスを提供している。
【0112】
ベース部8は、下側フレームユニット6の底面に形成されており、プリンタ装置が実質的に水平な面(家庭環境或いはオフィス環境におけるデスクの表面など)に置かれたときにプリンタ装置2を支持する下側面13を有する。下側面13からは、プリンタ装置を更に安定させる1つ以上の支持脚が延びている。支持脚14は、プリンタ装置と支持面との間の摩擦接触部分が増すように、摩擦の生じる材料(ゴムなど)から作製されている。
【0113】
図5及び図7に示したように、主本体3の後部9は、下側フレームユニット6及び上側フレームユニット7の後面によって画成されている。電源ユニット15は、後部9の一部を画成しており、下側フレームユニット6に設けられているくぼみに嵌まる形状を有し、プリンタ装置2に電力を供給する。電源ユニット15は、下側フレームユニット6に形成されているくぼみに固定的に受け入れられているが、電源ユニット15は、プリンタ装置2に供給する電力を貯蔵しておくことのできる再充電可能タイプとすることができ、その場合、ユニット15は、必要時に交換できるようにフレームユニット6から取外し可能とすることも考えられる。電源ユニット15には、適切なケーブル(図示していない)を通じて外部の電源に接続するための電力コネクタソケット16が設けられている。下側フレームユニット6には、データコネクタソケット17も形成されており、このソケットは、前述した方法においてデータ及びコマンドがプリンタ装置2に提供されるように、コンピュータシステム102などの外部データ源にプリンタ装置2を接続する手段を提供している。データコネクタソケット17は、標準のイーサネット(登録商標)ソケット及びUSBデバイスソケットの形態であり、プリンタ装置2をコンピュータ端末102或いはコンピュータ端末のネットワークに接続してそこからデータ及びコマンドを受信できるようにする。そのような情報は、上側フレームユニット7の後面のカバープレート20の下に設けられているWIFIカード18若しくはBluetooth(登録商標)カード19、又はその両方を使用することによって、無線方式においてプリンタ装置2によって受信することもできる。これらの配置構成のいずれにおいても、受信されたデータすべては、ソケット17及びカード18、19からプリンタ装置2のSoPECデバイスに送信されて、前述した方法において処理される。
【0114】
図4、図6、図8、及び図11に示したように、主本体3のカバー11は、下側フレームユニット6にヒンジ式に結合されている蓋21を備えている。蓋21は、湾曲した上面22と、角度のついた前面23と、上側フレームユニット7の上縁部と結合する形状を持つ2つの端面24とを有する。蓋21は、角度のついた前面23の下縁部に沿って下側フレームユニット6に旋回自在に結合されている。この旋回自在な結合によって、蓋21は前方に旋回して、主本体3の内部空洞12へのアクセスを提供することができる。
【0115】
角度のついた前面23には、くぼみ25が形成されている。くぼみ25は、ユーザとプリンタ装置2との間の通信を可能にするユーザインタフェースユニット26を受け入れている。ユーザインタフェースユニット26はLCDタッチスクリーンであり、ユーザに情報を伝え、ユーザは表示画面上のオプションを選択することによってプリンタ装置2に情報を直接入力することができる。ユーザインタフェースユニット26からユーザに表示できる情報と、ユーザがプリンタ装置に入力できる情報の種類は、様々なものとすることができるが、一般には、プリンタ装置2に収容されているインクの状態と、紙詰まりなどを直す必要性と、インク補給手順に関する情報とに関連したものとすることができる。タッチスクリーンLCDの使用は、ユーザインタフェースとして特に有利であり、なぜなら、表示を特定の言語にプログラムすることができ、これにより、プリンタ装置が使用される国ごとに固有なマーク或いはテキストをプリンタ装置2に表示する必要がなくなるためである。しかしながら、ユーザインタフェースユニット26は、ユーザがプリンタ装置2と対話できるようにする従来のボタンなど、数多くの異なる形態をとることができることを理解されたい。
【0116】
蓋21の角度のついた前面23には、プリンタの状態をユーザに視覚的に示す視覚インジケータユニット27も設けられている。視覚インジケータユニット27は、蓋21の表面に沿って延びており、光源29からの光を発する細長い管或いはパネル28の形態である。視覚インジケータユニット27から発せられる光の色若しくは強度、又はその両方は、プリンタ装置2の状態をユーザインタフェースユニット26を確認する必要なしにユーザが一目で認識できるように制御することができる。
【0117】
視覚インジケータユニット27の構造は、図17及び図32に示してある。図に示したように、ユニット27は、光源29と細長いパネル28とから成る。光源31は、プリント基板(PCB)31の表面に配置されている3つの発光ダイオード(LED)30の形態である。LED 30は、広い帯域の光をパネル28から発することのできる赤、緑、及び青のLEDである。しかしながら、1つのLED、或いは別の色のLEDを使用して同様の機能を達成することもできることが理解されるであろう。プリント基板31は、プリンタ装置2の制御電子回路72が含まれているものと同じプリント基板とすることができ、或いは、制御電子回路72の制御下においてLED 30を動作させる適切な電子回路を含んでいる個別のプリント基板とすることができる。細長いパネル28は、LED 30からの光が長手方向に沿って進んでパネルの表面から発せられる材料から作製されている。パネル28は、LED 30から発せられる光を集めるようにLED 30の上に配置されている中空の管又はパイプの形態とすることができる。この管又はパイプの内面は、光の一部がパネル28の長手方向に沿って反射し、且つ光の一部がパネル28を通過することによりパネル28を光らせることのできる膜によってコーティングすることができ、これにより、パネル28の表面に沿った光がユーザによって容易に認識され得る。
【0118】
使用時、プリンタ装置2の状態を表す光がパネル28から発せられるようにLED 30のそれぞれを制御することができる。例えば、プリンタ装置がスタンバイモードであることをユーザに知らせるため、パネル28から青色の光が発せられるように青のLEDを作動させることができる。印刷中は、パネル28から緑色の光が発せられるように緑のLEDを作動させ、紙詰まりやプリンタエラーなどの問題が発生したときには、パネル28から赤色の光が発せられるように赤のLEDを作動させることができる。更には、装飾的な効果をもたらす目的で、LEDのそれぞれを様々な組合せにおいて作動させて、広い帯域にわたる様々な色の光を放射させることができる。プリンタ装置に1つのLEDが設けられている場合のように光源が点状ではなく、大きな表面積から光が発せられるため、ユーザがプリンタの状態を視覚的に認識しやすく、プリンタに必要な操作をただちに行うことができる。そのようなシステムは、能率的に仕事を進めるうえで重要な役割を果たし、見た目にも美しいプリンタ装置が提供される。
【0119】
印刷用の印刷媒体をプリンタ装置2に供給するため、媒体入力アセンブリ4がプリンタ装置2の後部9から延びている。媒体入力アセンブリ4は、トレイ部分32と媒体支持フラップ33とから成り、これらの部分32、33は組み合わされたとき、プリンタ装置2によって印刷するための1枚以上の印刷媒体34を受け入れる表面を形成している。媒体入力アセンブリ4は、主本体3から垂直方向に延びており、図16に示したように、使用時に印刷媒体34が媒体入力アセンブリ4によって垂直方向に支持されて下向きの経路を通じてプリンタに引き込まれるような角度をなしている(これについては後から詳しく説明する)。
【0120】
図11に明らかに示したように、媒体入力アセンブリ4のトレイ部分32は、上側フレームユニット7に一体に形成されており、従って、トレイ部分32の後面が主本体3の後部9の一部を形成している。トレイ部分32は、印刷媒体34を受け入れる容器を全体として形成しており、媒体34が上に配置される作業面35と、その一方の端部における媒体支持面36とを含んでおり、媒体支持面36は、媒体34の縁部を受け入れて媒体34を直立ポジションに維持するようにされている。トレイ部分32は、平行に延びている一対の側壁37、38も含んでおり、これらの側壁は、プリンタ装置2に収容することのできる印刷媒体の最大幅を定義する。
【0121】
図16に更に明らかに示したように、媒体支持面36は、印刷のためトレイ部分32から印刷エンジン70への印刷媒体の供給を支援するため、トレイ部分32の作業面35に対して鈍角をなして配置されている。作業面35にはアイドラーローラー39が組み込まれており、このローラーは、ピッカー機構60と協働して、印刷のため作業面35から印刷エンジンへの印刷媒体の供給を促進する。媒体支持面36には、そこから突き出した複数の細長い突起40がこの面36に沿って等間隔に配置されており、媒体34の先端部を面36の上に支持する。細長い突起40は、トレイ部分32からの媒体34の供給を容易にするために、ピッカー機構60の作用下で媒体34の先端部が自身の表面に沿ってすべるように作用する。ピッカー機構60に隣接する細長い突起40の表面には、パッド41が設けられており、このパッドは、トレイ部分32の作業面35の上に複数枚の媒体が支持されているときに一番上の媒体10の分離を促進するための摩擦面を提供する。パッド41は、ゴム材料、フェルト材料、或いはコルク材料の形態とすることができる。
【0122】
縁部滑動器42は、一体のフック要素43によってトレイ部分32の作業面35の上に嵌まるようにされている。作業面35には、摺動器42の位置決めラグ(図示していない)を受け入れる溝状くぼみ44が設けられている。このような配置構成では、制御された形で摺動器42を表面35の上で動かして、様々な幅の印刷媒体34を収容することができる。縁部滑動器42は、トレイ部分32の高さだけ延びており、印刷媒体34の側縁部に当接するようにトレイ部分32の作業面35から突き出している壁部分45を備えている。この配置構成により、印刷媒体34がトレイ部分32の中で正しく整列し、制御された形で媒体が印刷エンジン70に供給される。
【0123】
図11に示したように、トレイ部分32の側壁37、38の内面には、媒体支持フラップ33をトレイ部分32に結合できるようにする位置決めラグ46が設けられている。これに関して、媒体支持フラップ33は、その端部から延びている一対のくぼみ付きタブ47を含んでおり、このタブは、図1に示したように、ラグ46を受け入れることにより、媒体支持フラップ33をトレイ部分32の上端部に固定する。この配置構成では、媒体支持フラップ33は、トレイ部分32の末端部を中心に旋回することができ、従って、(図4に示したように)フラップ33を延長ポジションに動かして、媒体入力アセンブリ4の上に装填されている印刷媒体34を支持する、或いは、梱包又は出荷のため、媒体支持フラップ33がトレイ部分32の上に受け入れられた状態の収納ポジション(図示していない)に動かすことができる。
【0124】
媒体支持フラップ33は、トレイ部分32の長さよりも長い印刷媒体34を支持するため、トレイ部分32の末端部の上に延びる。この配置構成では、図8に示したように印刷媒体34は実質的に直立ポジションに維持される。これに関して、媒体支持フラップ33の表面には、フラップ33の表面に沿って縦に延びている複数の等間隔のフィン要素48が設けられている。フィン要素48のそれぞれは、媒体支持フラップ35の表面から等しい高さだけ突き出しており、これにより、トレイ部分32の作業面35に連続する平らな面を印刷媒体34に提供する。媒体支持フラップ33の内面は、連続的な成形面とすることもでき、この場合、プリンタ装置2の梱包或いは輸送のため媒体支持フラップ33が収納されるときにトレイ部分32の側壁37、38を収容する適切な溝をその縁部域に形成することが考えられる。
【0125】
印刷媒体は、図4に示したように、プリンタ装置2の前面、主本体3のベース部8に配置されている媒体出力アセンブリ5によって集められる。媒体出力アセンブリ5は、トレイハウジング50と、延ばすことのできる2つの出力トレイ、すなわち上側出力トレイ51及び下側出力トレイ52とから成り、トレイ51、52は、延長ポジションではないときにいずれもトレイハウジング50の中に保持されている。
【0126】
図10及び図11に示したように、トレイハウジング50は、下側フレームユニット6に一体に形成されており、後面からプリンタ装置2の前面をわずかに超えるまで延びている。トレイハウジング50は、上面53と、この上面53から下向きに延びている2つの側壁54、55とを有する。上面53の前縁部にはスペースがあり、トレイハウジング50の中に保持されている上側出力トレイ51及び下側出力トレイ52にアクセスするためのくぼみ部分56が形成されている。
【0127】
上側出力トレイ51は、2つの側壁54、55によってトレイハウジング50の中に受け入れられて保持される形状を持つ。2つの側壁54、55には、トレイハウジング50の長さだけ延びている溝(図示していない)が形成されている。上側出力トレイ51は、その縦縁部が溝の中で移動して自身がトレイハウジング50に対して動くことができるように、溝の中に受け入れられる寸法を有する。溝と、上側出力トレイ51の縦縁部は、トレイ51をトレイハウジング50から延ばすことはできるがトレイハウジング50から取り外すことはできないようにされている。この配置構成においては、トレイ51は、収納ポジションにあるときにはトレイハウジング50の中に完全に収まっている。
【0128】
下側出力トレイ52は、上側出力トレイ51と同様の構造を有する。しかしながら、この配置構成においては、下側出力トレイ52は、上側出力トレイ51の縦縁部に設けられている2本の溝に受け入れられている。図9に示したように、下側出力トレイ52は、上側トレイの中で動くことができるように、上側出力トレイ51よりも幅及び厚さが小さい。下側出力トレイ52は、収納状態において上側出力トレイ51の中に完全に収まるようにされており、また、上側出力トレイ51にも、下側出力トレイ52の前縁部に設けられている停止部材58にアクセスできるようにするくぼみ部分57が、前縁部に沿って設けられている。下側出力トレイ52及び上側出力トレイ51は、上述した方法と同様に、下側トレイ52を上側トレイ51から延ばすことができるが上側トレイから取り外されることが阻止されるように構成することもできる。トレイの配置構成として、収納及び延長することのできる別の配置構成も可能であり、それらは本発明の範囲内に含まれるものとみなされる。
【0129】
使用前、媒体出力アセンブリ5は、図4に示したような収納状態にある。ユーザが停止部材58を握って下側出力トレイ52を延ばすと、媒体出力アセンブリ5は、図12に示したように動作ポジションになる。これにより、媒体出力アセンブリ5全体がトレイハウジング50から延びて、プリンタ装置2から排出される印刷された媒体が捕捉される。印刷された媒体の先端部は、主本体3を出た後、下側出力トレイ52の停止部材58に接触した時点で保持される。媒体出力アセンブリ5を延ばす長さは、印刷する媒体のサイズに依存する。例えば、印刷媒体の長さが図12に示したような長さ(例:A4サイズ媒体)である場合、印刷された媒体を捕捉して保持するためには、媒体出力アセンブリ5を完全に延ばす必要がある。
【0130】
図10に示し、前述したように、主本体3の内部空洞12へのアクセスは、カバー11の蓋21を前方に旋回させることによって可能である。内部空洞12は、印刷エンジン70と、ピッカー機構60及び紙排出機構の形態における用紙ハンドリング機構とを受け入れている。
【0131】
前述したように、ピッカー機構60の目的は、印刷のため媒体入力アセンブリ4から1枚の印刷媒体を分離し、印刷エンジン70に搬送して供給することである。プリンタ装置2は、60ppm若しくはそれ以上の速度で動作することができるため、ピッカーユニットは、この印刷速度を達成するための適切な速度で印刷媒体を分離して印刷エンジン70に搬送するように構成されている。従って、ピッカー機構60は、ピッカー本体63から延びているアーム62の端部に配置されているピッカーローラー61で構成されている。ピッカー本体63は、プリンタ装置2の制御電子回路72によって制御されるモーター64を含んでいる。ピッカー本体63は、取付け部材65によって下側フレームユニット6に旋回自在に取り付けられている。この配置構成においては、ピッカー機構60は、取付け部材65を中心に動くことができ、ピッカーローラー61がトレイ部分32の作業面35の方に付勢されるようにばねが装填されている。
【0132】
トレイ部分32に印刷媒体34が存在していないときには、ピッカーローラー61は付勢されて、トレイ部分32の作業面35に設けられているアイドラーローラー39と接触している。印刷媒体をトレイ部分32に装填するためには、媒体34をトレイ部分32に挿入し、するとピッカーローラー61の上に設けられているガイド要素66に媒体34が接触する。この接触によって、ピッカー機構60が旋回してトレイ部分32の作業面35から離れ、ピッカーローラー61とアイドラーローラー39との間に印刷媒体を受け入れることができ、印刷媒体34の先端部が媒体支持面36によって支持される。この配置構成は、図16に示してある。
【0133】
ピッカーローラー61の表面にはグリップ手段が設けられており、グリップ手段は、印刷媒体34に対するローラーのグリップを促進するゴムコーティング或いは他の類似するタイプのコーティング又は表面処理の形態とすることができる。モーター64の作動下においてピッカーローラー61が回転すると、ピッカーローラー61と接触している印刷媒体が細長い突起40に沿ってすべり、印刷エンジン70に供給される。ピッカー機構60に隣接する細長い突起40の表面に設けられているパッド41に起因して、トレイ部分32に存在している媒体のうち最も外側の媒体が他の媒体から分離される。これに関して、最も外側の媒体と一緒に動く媒体には、それらがパッド41の上をすべるときに摩擦力がかかり、その摩擦力は、これらを動かした摩擦力より大きいため、最も外側の媒体のみが印刷エンジン70に供給される。
【0134】
ピッカー機構60は、印刷のため印刷媒体34を分離し、個々の印刷媒体を印刷エンジン70に比較的高速で搬送する目的で使用されているが、この機能を実行するために採用されるピッカー機構60としては様々なタイプを使用でき、それらについても依然として本発明の範囲に含まれることが理解されるであろう。
【0135】
本発明において採用されている印刷エンジンアセンブリ70は、一般的には、クレードルユニット71とカートリッジユニット80という2つの部分から成る。この配置構成においては、カートリッジユニット80はクレードルユニット71に受け入れられるようにされている。
【0136】
図11及び図13〜図16に様々に示したように、カートリッジユニット80は、印字ヘッド集積回路81を収納している本体を有し、印字ヘッド集積回路81は、印刷媒体34が通過するときにそこに印刷する。カートリッジユニット80の本体は、インクを収容しており印字ヘッド集積回路81にインクを供給するインク収容・ハンドリングリザーバ82も収納している。印字ヘッド集積回路81は、印刷される媒体34の幅にわたるページ幅印字ヘッド集積回路であり、カートリッジの本体の外側に沿って、インク収容・ハンドリングリザーバ82の下の領域に配置されている。本発明の印字ヘッド集積回路81は、従来のプリンタ装置とは異なり、動作中は所定の位置に固定されており、印刷媒体上を走査したり往復することはない。従って、本発明の印刷エンジンは、従来のプリンタシステムにおいて現在可能であるよりもずっと高い印刷速度を達成することができる。
【0137】
印字ヘッド集積回路81の動作を制御するため、クレードルユニット71に配置されている制御電子回路72から電力及びデータ信号が供給される。制御電子回路72は、前述したSoPECデバイスを含んでおり、信号は、カートリッジユニット80の本体の外面に設けられているデータ・電力コネクタ(図示していない)を介して、制御電子回路72からカートリッジユニット80に送信される。カートリッジユニット80をクレードルユニット71に挿入すると、データ・電力コネクタが、クレードルユニット71に設けられている対応するデータ・電力コネクタと結合し、これによってユニット71とユニット80との間で電力及びデータを伝えることが可能になる。
【0138】
インク収容・ハンドリングリザーバ82は、印刷用の異なる種類のインク及び印刷流体を個別に収容する複数のポリエチレンメンブレンポケットの形態である。例えば、フルカラー印刷用のシアン、マゼンダ、黄、黒のインクと、特定の印刷アプリケーション用の赤外線インクと、インクの定着を助けるインク定着剤とを収容する6つの個別のポリエチレンメンブレンリザーバを、カートリッジユニット80に設けることができる。リザーバ82のそれぞれは、カートリッジユニット80の本体の外面に形成されている補給ポート83に設けられている対応する注入口と流体連通している。従って、図15に示したように、インク補給注入器84を補給ポート83に接触させ、圧力下においてインクをリザーバ82に供給することによって、リザーバ82に個別に補給することができる。前述したように、インク補給注入器84には、カートリッジユニット80の本体に設けられている対応する読み取り器によって読み取られるQAチップを設けることができる。関連付けられているデータが、クレードルユニット71の制御電子回路72に設けられているSoPECデバイスに送信され、補給流体の完全性(integrity)及び品質が保証される。ポリエチレンメンブレンリザーバ82は、補給を容易にするため、補給されるときに膨張して流体を収容し、印刷プロセス中にインク又は流体が消費されるにつれて形が壊れるように構成されている。
【0139】
リザーバ82に収容されているインク及び印刷流体は、一連の導管を通じて印字ヘッド集積回路81に供給され、これらの導管は、特定の流体(特定のカラーインク或いは定着剤など)を運ぶようにされており、且つ、印字ヘッド集積回路81の長手方向に沿って設けられている正しいインク供給ノズルに流体を分配できるようにされている。これを達成する方法と、カートリッジユニット80の全般的な構造については、本出願人の米国特許出願である出願整理番号RRA01US及びRRA33USに説明してあり、これらの出願の開示は、すべて本文書に参考とすることにより組み込まれる。上記の出願は、出願整理番号によって識別されているが、これらの番号は、対応する出願番号が割り当てられた後、それらに置き換えられる。
【0140】
上述したように、カートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81は、最大で約21.6cm(標準A4又は米国レター形式の幅を持つ媒体に相当する)までの様々な幅の印刷媒体に対応するため、約22.4cm(8.8インチ)の幅にわたるようにされているページ幅印字ヘッド集積回路である。しかしながら、このページ幅印字ヘッド集積回路は、プリンタ装置2の用途と、使用する印刷媒体のタイプとに大きく依存して、上記よりも大きい幅、又は小さい幅を持つように作製することもできると考えられる。望ましい幅を達成する目的で、印字ヘッド集積回路81は、それぞれに複数のインク供給ノズルが設けられている、隣接して取り付けられている1つ以上の集積回路によって構成することができる。
【0141】
以下では、本発明に適する印字ヘッドノズル構造のタイプの一例として、ノズル及び対応するアクチュエータとを備えているタイプについて、図18〜図27を参照しながら説明する。図27は、シリコン基板8015上に形成されている一連のノズル構造部801を示している。ノズル構造部801のそれぞれは同一であるが、ノズル構造部801のグループごとに、異なるカラーインク又は定着剤が供給されるようにされている。これに関して、ノズル構造部は列状に配置されており、互い違いにされており、これにより、ノズルを一列に配置する場合に可能であるよりも印刷時のインクドットの間隔を狭くすることができる。そのような配置構成では、上述したノズルの密度を提供することが可能である。更に、複数の列では、(必要な場合に)冗長性を提供することもでき、これによって、ノズルあたりの所定の障害率が許容される。
【0142】
各ノズル構造部801は、集積回路製造技術によって作製されている。具体的には、ノズル構造部801は、MEMS(微小電子機械システム)である。
【0143】
以下では、説明を明瞭且つ容易にするため、1つのノズル構造部801の構造及び動作について、図18〜図26を参照しながら説明する。
【0144】
インクジェットプリンタチップ81は、0.35ミクロン、1 P4M、12ボルトのCMOSマイクロプロセッサ電子回路が上に配置されているシリコンウエハ基板8015を含んでいる。
【0145】
基板8015の上には、二酸化ケイ素(或いはガラス)層8017が配置されている。この二酸化ケイ素層8017は、CMOS誘電層を画成している。CMOSの最上位金属は、二酸化ケイ素層8017上に配置されている一対の整列したアルミニウム電極接触層8030を画成している。シリコンウエハ基板8015と二酸化ケイ素層8017のいずれも、エッチングされて、(平面図において)ほぼ円形の断面を有するインク吸入路8014を画成している。二酸化ケイ素層8017には、CMOS金属1、CMOS金属2、3、及びCMOS最上位金属のアルミニウム拡散バリア8028が、インク吸入路8014を中心に配置されている。拡散バリア8028は、駆動電子回路層8017のCMOS酸化膜を通じてヒドロキシルイオンが拡散することを阻止する役割を果たす。
【0146】
アルミニウム接触層8030及び二酸化ケイ素層8017の上には、窒化シリコン層8031の形態における不動態層が配置されている。不動態層8031のうち接触層8030の上に位置している部分のそれぞれには、接点8030へのアクセスを提供する開口8032が画成されている。
【0147】
ノズル構造部801は、環状ノズル壁8033によって画成されているノズル室8029を含んでおり、この環状ノズル壁8033は、その上端部がノズルルーフ8034にあり、半径方向のノズル内側縁部804(平面図において円形である)が形成されている。インク吸入路8014は、ノズル室8029と流体連通している。ノズル壁の下端部には、移動シールリップ8040を含んでいる移動縁部8010が配置されている。包囲壁8038は、可動ノズルを囲んでおり、静止シールリップ8039を含んでいる。静止シールリップ8039は、図10に示したようにノズルが静止しているときには、移動縁部8010に隣接している。静止シールリップ8039と移動シールリップ8040との間に捕捉されるインクの表面張力に起因して、流体シール8011が形成される。これにより、包囲壁8038とノズル壁8033との間には低抵抗結合(low resistance coupling)が提供されるが、ノズル室からのインクの漏れが防止される。
【0148】
図25において最も明らかであるように、ルーフ8034には、ノズル縁部804を中心に半径方向に延びている複数のくぼみ8035が画成されている。くぼみ8035は、インクがノズル縁部804を超えて流れ出たときの半径方向のインクの流れを収容する役割を果たす。
【0149】
ノズル壁8033は、キャリア8036に取り付けられているレバー構造部の一部を形成しており、キャリア8036はほぼU形状の輪郭を有し、その底部8037が窒化シリコン層8031に取り付けられている。
【0150】
レバー構造部は、ノズル壁から延びており且つ横補強梁8022が組み込まれているレバーアーム8018も含んでいる。レバーアーム8018は、窒化チタン(TiN)から形成されており且つノズル構造部の片側に配置されている一対の受動梁806に取り付けられている(図21及び図26において最も明らかである)。受動梁806の他方の端部は、キャリア8036に取り付けられている。
【0151】
レバーアーム8018は、TiNから形成されているアクチュエータ梁807にも取り付けられている。なお、アクチュエータ梁へのこの取り付けは、受動梁806に取り付けられている位置よりもわずかではあるが重要な距離だけ高い位置において行われている。
【0152】
図18及び図24において最も明らかあるように、アクチュエータ梁807は、平面図において実質的にU形状であり、電極809と反対の電極8041との間の電流経路を画成している。電極809及び8041のそれぞれは、接触層8030におけるそれぞれのポイントに電気的に接続されている。アクチュエータ梁は、接点809を介して電気的に結合されていることに加え、アンカー808に機械的に固定されている。アンカー808は、ノズル構造部が動作するときに、アクチュエータ梁807が図18〜図20における左に動くことを制約するように構成されている。
【0153】
アクチュエータ梁807のTiNは、導電性であるが、電極809と電極8041との間に電流が流れるときに自身が発熱するだけの十分な電気抵抗を持つ。受動梁806には電流が流れず、従って受動梁806は膨張しない。
【0154】
使用時、静止状態にあるデバイスがインク8013によって満たされ、このインクは、表面張力の影響下においてメニスカス803を画成している。インクは、メニスカスによって室8029に保持され、一般には何らかの他の物理的影響が存在しなければ外に漏れることはない。
【0155】
図19に示したように、ノズルからインクを発射させるため、接点809と接点8041との間に電流が流れ、このときアクチュエータ梁807を流れる。梁807は、その抵抗のため発熱し、これによって膨張する。アクチュエータ梁807の寸法及び設計は、図18〜図20における水平方向における膨張の大部分を意味する。膨張は、左側がアンカー808によって制約され、従って、レバーアーム8018に隣接する、アクチュエータ梁807の端部が右に進む。
【0156】
受動梁806は、水平方向の撓み性が相対的に小さいため、レバーアーム8018が水平に大きく動くことを阻止している。しかしながら、受動梁とアクチュエータ梁のそれぞれがレバーアームに取り付けられている位置がずれているため、ねじり運動が生じ、これに起因して、レバーアーム8018がほぼ下方に動く。この運動は、実質的に旋回運動又はヒンジ運動である。しかしながら、真の旋回中心が存在しないため、回転の中心は受動梁806の曲がりによって画成される旋回領域である。
【0157】
レバーアーム8018の下向きの運動(及びわずかな回転)は、受動梁806からノズル壁8033までの距離によって増幅される。ノズル壁及びルーフが下向きに動くことにより室29内の圧力が高まり、これにより図19に示したようにメニスカスが膨らむ。なお、インクの表面張力により、インクが漏れ出すことなくこの動きによって流体シール11が伸びる。
【0158】
図20に示したように、適切なタイミングにおいて駆動電流が止まり、アクチュエータ梁807が急速に冷えて収縮する。収縮によって、レバーアームがその静止位置に戻り始め、それによって室8029内の圧力が下がる。膨張するインクの勢い及び液体としての表面張力と、ノズル室8029が上向きに動くことによる負の圧力との相互作用に起因して、膨張中のメニスカスが細くなり最終的には切り離されてインク滴802が画成され、このインク滴は、隣接している印刷媒体に触れるまで上昇を続ける。
【0159】
滴802が切り離された直後、メニスカス803は、図20に示した凹形状を形成している。表面張力のため、インクが吸入口8014を通じて上向きに吸い込まれるまでは、室8029の圧力が比較的低いままとなり、吸い込まれると、ノズル構造部及びインクは図18に示した静止状態に戻る。
【0160】
印字ヘッド集積回路81は、印字ヘッド集積回路81の長さと要求される印刷特性とに応じて、その表面に沿って配置された5000個〜100,000個の間の上述したノズルを有するようにすることができる。例えば、幅の狭い媒体の場合、所望の印刷結果を達成するためには印字ヘッドの表面に沿って5000個のノズルを配置すればよいのに対し、より幅の広い媒体の場合、所望の印刷結果を達成するためには印字ヘッドの長手方向に沿って少なくとも10,000個、20,000個、又は50,000個のノズルを設ける必要がある。A4サイズ或いはUSレターサイズの媒体において約1600dpiのフルカラーの写真品質のイメージを得るためには、印字ヘッド集積回路81は、1色あたり13,824個のノズルを備えていることができる。従って、印字ヘッド集積回路81が4色(C、M、Y、K)によって印刷できるようにする場合、印字ヘッド集積回路81の表面に沿って53,396個のノズルを配置することができる。更に、印字ヘッド集積回路81が6つの印刷流体(C、M、Y、K、IR、定着剤)によって印刷できるようにする場合、印字ヘッド集積回路81の表面に82,944個のノズルを設けることができる。これらのいずれの配置構成においても、各ノズルをサポートする電子回路は同じである。
【0161】
以下では、印字ヘッド集積回路81において個々のノズル構造部101を制御する方式について、図28〜図33を参照しながら説明する。
【0162】
図28は、印字ヘッド集積回路81と、プリンタ装置2の制御電子回路72の中に設けられているSoPECデバイスとの接続の概要を示している。上述したように、印字ヘッド集積回路81は、各ノズルを発射させるための繰り返しロジック(repeated logic)を含んでいるノズルコア配列401と、ノズルを発射させるためのタイミング信号を生成するノズル制御ロジック402とを含んでいる。ノズル制御ロジック402は、高速リンクを介してSoPECデバイスからデータを受信する。
【0163】
ノズル制御ロジック402は、印刷のためシリアルデータをリンク407を介してノズル配列コアに送るように構成されており、リンク407は、電気コネクタの形態とすることができる。ノズル配列コア401のステータス及びその他の動作情報は、別のリンク408を介してノズル制御ロジック402に伝えられ、このリンクも電気コネクタに提供することができる。
【0164】
図29及び図30は、ノズル配列コア401を更に詳しく示している。図29に示したように、ノズル配列コア401はノズル列501の配列を備えている。この配列は、発射及び選択シフトレジスタ502と、それぞれ対応するドットシフトレジスタ503によって表されている最大6つのチャンネルとを含んでいる。
【0165】
図30に示したように、発射及び選択シフトレジスタ502は、順方向路発射シフトレジスタ(forward path fire shift register)600と、逆方向路発射シフトレジスタ(reversepath fire shift register)601と、選択シフトレジスタ602とを含んでいる。ドットシフトレジスタ503のそれぞれは、奇数ドットシフトレジスタ(odd dot shift register)603と偶数ドットシフトレジスタ(even dot shift register)604とを含んでいる。奇数ドットシフトレジスタ603及び偶数ドットシフトレジスタ604は、一端において接続されており、従って、データは一方向において奇数シフトレジスタ603を通じてクロック同期され、次いで、逆方向において偶数シフトレジスタ604を通じてクロック同期される。最後の偶数ドットシフトレジスタ以外の出力は、マルチプレクサ605の一方の入力に送られる。マルチプレクサのこの入力は、製造後のテスト時には信号(コアスキャン(corescan))によって選択される。通常の動作においては、コアスキャン信号は、マルチプレクサ605の他方の入力に供給されるドットデータ入力Dot[x]を選択する。これに起因して、各色のDot[x]がそれぞれのドットシフトレジスタ503に供給される。
【0166】
以下では、1つの列Nについて図30を参照しながら説明する。図示した実施形態においては、列Nは、6つのドットシフトレジスタそれぞれの奇数データ値606及び偶数データ値607を含めて、12個のデータ値を有する。列Nは、順発射シフトレジスタ600からの奇数発射値608と、逆発射シフトレジスタ601からの偶数発射値609も含んでおり、これらはマルチプレクサ610への入力として供給される。マルチプレクサ610の出力は、選択シフトレジスタ602における選択値611によって制御される。選択値が0であるときには偶数発射値が出力され、選択値が1であるときには奇数発射値が出力される。
【0167】
奇数データ値606及び偶数データ値607は、それぞれ、対応する奇数ドットラッチ612及び偶数ドットラッチ613への入力として供給される。
【0168】
各ドットラッチ及び関連付けられているデータ値は、ユニットセル(ユニットセル614など)を形成する。図31は、ユニットセルを詳しく示している。ドットラッチ612は、データ値606の出力を受け取るD型フリップフロップであり、このデータ値は、奇数ドットシフトレジスタ603の要素を形成しているD型フリップフロップ614によって保持されている。フリップフロップ614に入力されるデータは、奇数ドットシフトレジスタにおける前の要素の出力から供給される(ただし該当要素がシフトレジスタにおける最初の要素ではない場合であり、最初の要素であるときは入力はDot[x]値である)。LsyncLに供給される負のパルスが受信されると、ラッチ612へのフリップフロップ614の出力からデータがクロック同期される。
【0169】
ラッチ612の出力は、3入力ANDゲート65への入力の1つとして供給される。ANDゲート615への別の入力は、(マルチプレクサ610の出力からの)Fr信号とパルスプロファイル信号Prである。ノズルの発射タイミングは、パルスプロファイル信号Prによって制御され、例えば、(リムーバル型電源の実施形態において)低電源(low power supply)に起因して生じる低電圧条件が考慮されるように長くすることができる。このことは、インクが発射されるとき、各ノズルから比較的一貫した量のインクが効果的に発射されるようにするためである。説明している実施形態においては、プロファイル信号Prは、ドットシフトレジスタのそれぞれについて同じであり、この形態では、複雑さ、コスト、及びパフォーマンスのバランスが良好である。しかしながら、別の実施形態においては、Pr信号をグローバルに流す(すなわち全ノズルについて同じである)、或いは、各ユニットセルごと、場合によっては各ノズルごとに個々に調整することができる。
【0170】
データがラッチ612にロードされると、発射イネーブル信号Fr及びパルスプロファイル信号PrがANDゲート615に流され、これらの信号の組合せによりノズルがトリガーされ、ロジック1が含まれている各ラッチ612についてインクのドットが発射される。
【0171】
次の表は、各ノズルチャンネルの信号についてまとめてある。
【表3】
【0172】
図31に示したように、発射信号Frは対角経路で送られ、現在の列における1つの色の発射をイネーブルした後、次の列における次の色の発射をイネーブルし、以下同様である。これによって、その時点の需要を時間遅延式に6つの列に拡散させることによって、需要が平均化される。
【0173】
この実施形態においては、ドットラッチと、様々なシフトレジスタを形成しているラッチは完全に静的であり、CMOSベースである。ラッチの設計及び構造は、集積回路の工学及び設計の当業者には周知であり、本文書において詳しくは説明しない。
【0174】
約60ppmで印刷することのできるプリンタ装置2の場合、ノズル速度は20kHzという速さになり、印刷速度がそれ以上であれば更に速くなる。このオーダーのノズル速度においては、印字ヘッド81全体で発射することのできるインクの量は、少なくとも毎秒5000万滴である。しかしながら、より高速且つより高い品質の印刷を提供するためにノズルの数を増大させると、少なくとも毎秒1億滴、好ましくは少なくとも毎秒3億滴、より好ましくは少なくとも毎秒10億滴を供給することができる。従って、これらの速度での印刷に対応するためには、制御電子回路72は、ノズルからインク滴を発射させるかを同等の速さで決定できなくてはならない。これに関して、いくつかの場合、制御エレクトロニクスは、ノズルがインク滴を発射するかを、少なくとも毎秒5000万回の判断速度で判断できなくてはならない。この速度は、より高速且つより高品質の印刷アプリケーションの場合、少なくとも毎秒1億回の判断速度、又は少なくとも毎秒3億回の判断速度、多くの場合には少なくとも毎秒10億回の判断速度に増大させることができる。
【0175】
本発明のカラープリンタ100の場合、印字ヘッドチップ81に設けられている上述したオーダーのノズル数と、ノズル発射速度とが組み合わされる結果として、印刷速度は少なくとも毎秒50cm2の印刷面積速度となり、印刷速度に応じて、すなわち更に高い速度においては、少なくとも毎秒100cm2、好ましくは少なくとも毎秒200cm2、より好ましくは少なくとも毎秒500cm2となる。そのような配置構成では、従来のプリンタ装置によってこれまで達成できなかった速度で媒体を印刷できるプリンタ装置100が提供される。
【0176】
前述したように、上述したノズル構造部は、印刷エンジン70の1つの部分を形成しているカートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81に形成されている。カートリッジユニット80が機能するためには、クレードルユニット71の制御電子回路72からデータ及び電力が伝えられる必要があり、また、クレードルユニット71によって印字ヘッド集積回路81が印刷ポジションに支持され、印刷のため印刷媒体が印字ヘッド集積回路81を通過する必要がある。
【0177】
これに関して、クレードルユニット71は、印刷エンジン70の第2の部分を形成しており、上側フレームユニット7及び下側フレームユニット6に設けられている取付け部材(図示していない)によって主本体3の内部空洞12に保持されている。このポジションにおいては、クレードルユニット71は、図13〜図16に示したように、主本体3の後部9に設けられているデータコネクタソケット17と電気通信状態にあるコネクタ要素73を介して、外部のデータ源からデータを受信することができる。コネクタ要素73は、クレードルユニット71に設けられている対応するコネクタと位置が合うように配置されているフレキシブルプリント基板(PCB)であることが好ましい。同様に、電力は、内部空洞12の中に延びている電力接点74を介して、電源ユニット15からクレードルユニット71に供給される。クレードルユニット71には、電力接点74と接続してクレードルユニット71に電力を供給する適切なコネクタ要素(図示していない)が設けられている。
【0178】
図14に明らかに示したように、クレードルユニット71は、カートリッジユニット80と結合されたときに両方のユニットによって図13に示したような印刷エンジンアセンブリ70が形成されるように、カートリッジユニット80を受け入れる形状を持つ。この配置構成においては、前述したようにユニット71とユニット80との間でデータ及び電力を伝送することができ、これにより、印字ヘッド集積回路81のノズルを前述した方式で制御することができる。
【0179】
クレードルユニット71の本体は、駆動モーター75と、紙を印刷エンジン70を通過させる駆動ローラー76及びピンチローラー77と、印字ヘッド集積回路81にキャッピング及びその他の形式のメンテナンスを提供する印字ヘッドメンテナンスユニット78と、プリンタ装置2の全体的な動作を制御するSoPECデバイスを含んでいる制御電子回路72とを備えている。
【0180】
駆動モーター75は、両方向に回転することのできる標準的なブラシレスDCモーターである。印字ヘッド集積回路81を通過させる印刷媒体の供給が制御されるように、駆動モーター75は駆動ローラー76と歯車によって係合しており、駆動ローラー76に駆動運動(driving motion)を提供する。モーター75によって駆動ローラー76が駆動される速度は、所望の速度(一般には60ppm若しくはそれ以上の速度)で紙が印字ヘッド81を通過するように、制御電子回路72によって制御される。駆動ローラー76はピンチローラー77と係合しており、これらのローラー76、77は協働して、ピッカー機構60によって供給される印刷媒体を捕捉し、その印刷媒体を印字ヘッド集積回路81を通過させる。
【0181】
クレードルユニット71には、同じく歯車によって駆動モーター75と係合している印字ヘッドメンテナンスユニット78も設けられている。印字ヘッドメンテナンスユニット78は、所定の位置に動いてカートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81を覆うようにされているキャッピング要素を含んでいる。この場合、プリンタ装置2がアイドル状態であると判断された時点で、制御電子回路72が、印字ヘッドメンテナンスユニット78と駆動モーター75とを係合させ、印字ヘッドメンテナンスユニット78を動かして印字ヘッド集積回路81とのキャッピング係合(capping engagement)の状態にする。キャッピング係合状態では、基本的に、印字ヘッド集積回路81のインク供給ノズルの周りに周辺シール(perimeter seal)が形成され、これによって、インク供給ノズルに存在しているインクからの水分の蒸発が減少し、インクが乾燥してノズルが詰まることが防止される。同様に、印刷が開始されると判断された時点で、制御電子回路72は、印字ヘッド集積回路81のキャッピング解除を開始し、これによって印字ヘッドメンテナンスユニット78は、図16に示したような非キャッピングポジションに戻ることができる。印字ヘッドメンテナンスユニット78は、必要であれば印字ヘッド81の拭取り或いは吸取りなど別の機能を実行することもできる。
【0182】
図16に示したように、クレードルユニット71の本体は、印字ヘッド集積回路81の上流、ピッカー機構60に隣接して設けられている入口67を有する。入口67は、ピッカー機構60によって供給される印刷媒体の先端部を受け入れ、また、印刷媒体の先端部を駆動ローラー76及びピンチローラー77の方に導くことを支援するガイド部材69を含んでいる。
【0183】
クレードルユニット71の本体には、印刷媒体が印刷エンジン70から出るための経路を提供する出口68が、印字ヘッド集積回路81の下流に設けられている。印字ヘッド集積回路81による印刷後、印刷された媒体の先端部は、駆動ローラー76及びピンチローラー77の作用下において出口68から印刷エンジン70を出る。出口68の横には、印刷された紙を捕捉して媒体出力アセンブリ5に供給する紙排出機構85が設けられている。
【0184】
紙排出機構85は、プリンタ装置2の主本体3に形成されており、排出ローラー86と複数のアイドラーホイール87とから成る。排出ローラー86は、下側フレームユニット6の前面にわたって延びている細長い軸によって形成されており、下側フレームユニット6に設けられているローラー支持部88によってその端部において支持されている。排出ローラー86には、軸の長手方向に沿って等間隔に配置されている複数の環要素89が設けられており、この環要素89は、媒体を捕捉して媒体出力アセンブリ5に供給することを支援する。排出ローラー86は、下側支持フレーム6の一端に配置されている駆動歯車90を介して、クレードルユニット71の駆動モーター75によって駆動される。この配置構成においては、クレードルユニット71の制御電子回路72は、クレードルユニット71の駆動ローラー76の速度及びタイミングに対応する適切なタイミング及び速度において紙排出機構85が動作するように、紙排出機構85の動作を制御することができる。
【0185】
紙排出機構85のアイドラーホイール87は、排出ローラー86と協働して、印刷された媒体を捕捉して媒体出力アセンブリ5に供給する。アイドラーホイール87は、蓋21の内面にフレキシブルに結合されており、排出ローラー86の軸に沿って設けられている環要素89と回転接触するようにされている。図13に示したように、アイドラーホイール87は、スターホイール91の形態であり、このホイールは、環要素89の表面上を回転してその間に媒体を捕捉し、従って、印刷された媒体を排出ローラー86の作用下において媒体出力アセンブリ5に供給することができる。この配置構成では、印刷に続いて、印刷された媒体を印刷エンジン70から排出するときの制御が支援される。
【0186】
なお、紙排出機構85は印刷エンジン70とは個別の要素として図示及び説明したが、紙排出機構85を印刷エンジン70に組み込むこともできることを理解されたい。更に、紙排出機構85はスターホイール91を有するものとして示したが、当業者には明らかであるように別のタイプのアイドラーローラーを使用することもでき、その形態も依然として本発明の範囲に含まれる。
【0187】
説明した配置構成においては、印刷エンジン70は、主本体3の内部空洞12の中に、ピッカー機構60と紙排出機構85との間に配置されている。この配置構成では、媒体入力アセンブリ4から印刷エンジン70を経て媒体出力アセンブリ5までの印刷媒体の搬送経路を単純にすることができる。
【0188】
図16に示したように、印刷媒体がプリンタ装置2の中を移動するときの経路を単純にする目的で、印刷エンジン70は、主本体3の内部空洞12の中に、ある角度をなして配置されている。印刷エンジン70が角度をなして配置されている結果として、印字ヘッド集積回路81も角度をなして配置されており、従って、印刷ゾーンが角度をなして配置され、このことは、印刷媒体が媒体入力アセンブリ4から印刷ゾーンを経て媒体出力アセンブリ5まで通過するときの経路を浅くする役割を果たす。そのような単純且つ浅い印刷媒体経路によって、様々な厚さ及びタイプの媒体、すなわち最大約300gsmの紙をプリンタ装置2によって印刷することができ、従来のデスクトッププリンタ装置では、一般にはそのような広範囲の媒体を扱うことはできない。この配置構成では、印刷媒体が経路上で詰まる可能性が減少するが、絶え間ない監視及び調整が要求され、媒体が印字ヘッド集積回路81に接触した場合、修理又は交換が必要となることがある。
【0189】
印刷エンジン70の配置角度と、従って印字ヘッド集積回路81の傾き角度は、印刷媒体10がプリンタ装置2に供給される角度、具体的には媒体入力アセンブリ4の傾き角度に大きく依存する。図16に示したように、印刷媒体入力アセンブリ4は、正のx軸から左回りに測定した傾き角度として(水平面の傾き角度を0°とする)約120°を有する。印刷媒体入力アセンブリのこの傾き角度は、90°〜160°の間の値をとることができる。図16に示した配置構成においては、印刷エンジン70と、従って印字ヘッド集積回路81は、約145°の傾き角度を有し、この角度は、印刷媒体入力アセンブリ4の傾き角度より大きい。すなわち、様々な重量及び厚さの印刷媒体を扱うことのできる浅い印刷媒体経路を提供する目的で、印字ヘッド集積回路81は、印刷媒体入力アセンブリの傾き角度よりも大きい傾き角度を持つようにされている。
【0190】
プリンタ装置2の上述した特性によって、画線率が少なくとも80%であり、1600dpi、高品質のフルプロセスカラーイメージを60ppm程度の速度で印刷することのできるデスクトッププリンタ装置を提供することが可能である。前述したようにプリンタ装置2のサイズ及び設置面積が小さいことと、これらの特性とが組み合わされる結果として、これまで商業的に実現しなかった高速且つ高品質でコンパクトなプリンタが提供される。
【0191】
例えば、プリンタ装置2は、約300mmの全幅と、約165mmの全高と、約170mmの全奥行きとを有するように構築することができる。しかしながら、プリンタの用途に応じて、それ以外の寸法も可能である。
【0192】
従って、完全に組み立てられたプリンタ装置2は、最小総容積、すなわち、主本体3、媒体入力アセンブリ4、媒体出力アセンブリ5など、プリンタ装置2のコンポーネントによって占有される実際の容積の合計が、約8,000cm3であり、最大総容積、すなわち、プリンタ装置2によって占有される全空間が約14,000cm3である(媒体出力アセンブリ及び媒体入力アセンブリを延ばした状態)ことが予想される。本発明は、占有容積が3000cm3〜30,000cm3の間となるようにパッケージ化(packaged)できると考えられる。その結果として、60ppmで印刷する場合、プリンタのサイズ(容積)に対する印刷速度の比が少なくとも約0.002ppm/cm3となる。プリンタ装置が更に高い速度、すなわち60ppmを超えて、前述したような両面印刷の場合の500ppmもの高さで印刷できる場合には、プリンタのサイズに対する印刷速度の比として、少なくとも約0.005ppm/cm3、好ましくは少なくとも約0.01ppm/cm3、より好ましくは少なくとも約0.02ppm/cm3が可能である。
【0193】
更に、ハウジング101、ヘッドユニット102、媒体トレイアセンブリ103、ベースユニット112、その他の様々なコンポーネントなど、プリンタ100のコンポーネントは、ほとんどの部分をプラスチックなどの軽量材料から成形することができる。従って、上述したようにサイズが小さくなっていることに加えて、プリンタ100の重量も低減することができる。例えば、好ましい形態においては、プリンタ100の重量は、約1.5kg〜約4.6kgの重量、好ましくは約1.8〜2.3kgとすることができる。従って、約30ppm〜60ppm以上であるカラープリンタ100の上述した可能な印刷速度においては、プリンタ重量に対する印刷速度の比として約0.5ppm/kgが可能である。プリンタ100のコンポーネントがより重い別の材料を使用して構築されている場合であっても、印刷速度が増すにつれて、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも約1.0ppm/kg、好ましくは少なくとも約2ppm/kg、より好ましくは少なくとも約5ppm/kgが可能である。プリンタ重量に対する印刷速度のこのような比は、画線率が少なくとも80%であるフルプロセスカラープリントを印刷する市販されている既存のプリンタ装置よりも大幅に向上している。
【0194】
本発明のプリンタ装置2は、画線率が少なくとも80%であるフルプロセスカラーイメージを約60ページ/分(オフラインの大型専用プリンタ装置の代表的な速度)で印刷することのできるデスクトッププリンタ装置を提供することが理解されるであろう。本発明のプリンタ装置の寸法は、本発明と同じ速度及び印刷品質では動作できない従来のデスクトッププリンタと同程度、或いはそれ以下である。
【0195】
本発明は、その例示的な実施形態に関連して図示及び説明したが、当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更形態が明らかであり、容易に変更することができるであろう。従って、本明細書に添付されている請求項の範囲は、本明細書に記載した説明に制限されるものではなく、請求項は広く解釈されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、プリンタ装置に関し、より詳細には、高品質のイメージを高速で印刷することができ、且つデスク上に容易に収容される大きさのインクジェットプリンタ装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリザーバを規定する印字ヘッドカートリッジであって、複数の微小電子機械式ノズル配列を含む印字ヘッド集積回路を有する印字ヘッドカートリッジと、
前記印字ヘッドカートリッジを取り外し可能に受け入れるクレードルであって、前記印字ヘッドカートリッジにデータ及び電力を供給するクレードルと、
前記ノズルが前記リザーバから印刷媒体へインクを発射させることが可能な開位置と、前記ノズルが保護のため塞がれる閉位置との間で、前記印字ヘッドカートリッジに対して作動可能なキャッピング機構であって、前記クレードルに取り付けられているキャッピング機構と、
印刷用の前記媒体を支持する媒体入力アセンブリであって、使用時に、ほぼ直立方向に配置される媒体入力アセンブリと、
印刷された媒体を集めておく媒体出力アセンブリであって、使用時に、ほぼ水平方向に配置される媒体出力アセンブリと、
前記媒体を、前記媒体入力アセンブリから前記印字ヘッドカートリッジを通過させて前記媒体出力アセンブリへと媒体の伝送経路に沿って伝送するように構成されている伝送機構と、
を備え、前記キャッピング機構は、前記媒体の伝送経路の幅にまで実質的にわたっている、デスクトッププリンタ。
【請求項2】
前記印字ヘッドカートリッジの前記キャッピング機構は、更に、当該キャッピング機構が前記ノズルを吸取る吸取り位置にまで作動可能である、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項3】
前記媒体入力アセンブリは、90°と160°との間の傾き角度で、ほぼ直立方向である、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項4】
前記印字ヘッド集積回路は、前記媒体入力アセンブリの傾き角度より大きい傾き角度で配置されている、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項5】
前記印字ヘッド集積回路は、少なくとも20,000個のノズルを有する、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項6】
前記印字ヘッド集積回路は、少なくとも50,000個のノズルを有する、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項7】
前記プリンタの動作を制御する制御システムを有する、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項8】
前記制御システムは、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも2ppm/kgが提供されるように前記プリンタを制御するように構成されている、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項9】
前記制御システムは、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも5ppm/kgが提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項10】
前記制御システムは、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.01ppm/cm3が提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項11】
前記制御システムは、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.02ppm/cm3が提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項12】
前記制御システムは、少なくとも200cm2/秒の印刷面積速度が提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項13】
前記制御システムは、少なくとも500cm2/秒の印刷面積速度が提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項1】
インクリザーバを規定する印字ヘッドカートリッジであって、複数の微小電子機械式ノズル配列を含む印字ヘッド集積回路を有する印字ヘッドカートリッジと、
前記印字ヘッドカートリッジを取り外し可能に受け入れるクレードルであって、前記印字ヘッドカートリッジにデータ及び電力を供給するクレードルと、
前記ノズルが前記リザーバから印刷媒体へインクを発射させることが可能な開位置と、前記ノズルが保護のため塞がれる閉位置との間で、前記印字ヘッドカートリッジに対して作動可能なキャッピング機構であって、前記クレードルに取り付けられているキャッピング機構と、
印刷用の前記媒体を支持する媒体入力アセンブリであって、使用時に、ほぼ直立方向に配置される媒体入力アセンブリと、
印刷された媒体を集めておく媒体出力アセンブリであって、使用時に、ほぼ水平方向に配置される媒体出力アセンブリと、
前記媒体を、前記媒体入力アセンブリから前記印字ヘッドカートリッジを通過させて前記媒体出力アセンブリへと媒体の伝送経路に沿って伝送するように構成されている伝送機構と、
を備え、前記キャッピング機構は、前記媒体の伝送経路の幅にまで実質的にわたっている、デスクトッププリンタ。
【請求項2】
前記印字ヘッドカートリッジの前記キャッピング機構は、更に、当該キャッピング機構が前記ノズルを吸取る吸取り位置にまで作動可能である、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項3】
前記媒体入力アセンブリは、90°と160°との間の傾き角度で、ほぼ直立方向である、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項4】
前記印字ヘッド集積回路は、前記媒体入力アセンブリの傾き角度より大きい傾き角度で配置されている、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項5】
前記印字ヘッド集積回路は、少なくとも20,000個のノズルを有する、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項6】
前記印字ヘッド集積回路は、少なくとも50,000個のノズルを有する、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項7】
前記プリンタの動作を制御する制御システムを有する、請求項1に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項8】
前記制御システムは、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも2ppm/kgが提供されるように前記プリンタを制御するように構成されている、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項9】
前記制御システムは、プリンタ重量に対する印刷速度の比として少なくとも5ppm/kgが提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項10】
前記制御システムは、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.01ppm/cm3が提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項11】
前記制御システムは、プリンタ容積に対する印刷速度の比として少なくとも0.02ppm/cm3が提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項12】
前記制御システムは、少なくとも200cm2/秒の印刷面積速度が提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【請求項13】
前記制御システムは、少なくとも500cm2/秒の印刷面積速度が提供されるように前記プリンタを制御する、請求項7に記載のデスクトッププリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−20456(P2011−20456A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232911(P2010−232911)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2006−549769(P2006−549769)の分割
【原出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2006−549769(P2006−549769)の分割
【原出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
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