説明

印字装置及び印字方法並びに印字装置を備えた熱シール装置

【課題】 簡素な構造でありながら鮮明な印字を効率よく行うことの可能な印字装置及び印字方法並びに印字装置を備えた熱シール装置を提供すること。
【解決手段】被印字体を搬送する搬送装置と共に用いられ、搬送される被印字体に対し受け台64と印字ヘッド70との間に供給される印字テープ61を印字ヘッド70により押圧することで被印字体に印字を行う。印字ヘッド70に対し被印字体の搬送方向Xの上流側に被印字体の少なくとも一部を受け台64に押し付ける押付部材80を備える。押付部材80は、印字テープ61が被印字体に押圧される前に押し付けを開始し、印字テープ61が被印字体から離隔した後に押し付けを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字装置及び印字方法並びに印字装置を備えた熱シール装置に関する。さらに詳しくは、被印字体を搬送する搬送装置と共に用いられ、搬送される被印字体に対し受け台と印字ヘッドとの間に供給される印字テープを前記印字ヘッドにより押圧することで前記被印字体に印字を行う印字装置及び印字方法並びに印字装置を備えた熱シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の如き印字装置として、例えば特許文献1に記載の如きものが知られている。特許文献1に記載の印字装置では、搬送され移動中の被印字体に対し印字テープを印字ヘッドにより押圧して印字を行う。そのため、印字のズレやひげ、滲みが生じ、印字等が不鮮明となる場合や、美観を損ねる場合があった。
【0003】
また、特許文献1の如きホットスタンプ(箔押し)による印字装置の他、サーマルプリンタによる印字装置も知られている。サーマルプリンタでは、間欠搬送等によって、被印字体を停止させた状態で印字を行わなければならない。そのため、被印字体の搬送制御等が煩雑となり、作業性も非効率的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録3021236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡素な構造でありながら鮮明な印字を効率よく行うことの可能な印字装置及び印字方法並びに印字装置を備えた熱シール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る印字装置の特徴は、被印字体を搬送する搬送装置と共に用いられ、搬送される被印字体に対し受け台と印字ヘッドとの間に供給される印字テープを前記印字ヘッドにより押圧することで前記被印字体に印字を行う構成において、前記印字ヘッドに対し前記被印字体の搬送方向の上流側に前記被印字体の少なくとも一部を前記受け台に押し付ける押付部材を備え、前記押付部材は、前記印字テープが前記被印字体に押圧される前に押し付けを開始し、前記印字テープが前記被印字体から離隔した後に押し付けを解除することにある。
【0007】
上記構成によれば、押付部材は印字テープが被印字体に押圧される前に押し付けを開始するので、搬送される被印字体は、押付部材により搬送方向への移動が強制的に停止させられる。押付部材は、印字ヘッドに対し被印字体の搬送方向の上流側に位置するので、押し付けられた際にその下流側の被印字体には皺が生じにくい。そして、押し付けられた被印字体に対し印字テープが被印字体に押圧され、印字テープが被印字体から離隔した後に押し付けを解除する。よって、印字テープの押圧の直前から直後までの間、被印字体は受け台に対し固定された状態となる。これにより、印字ズレやヒゲ、滲み等の発生を抑制でき、鮮明な印字を行うことが可能となる。しかも、搬送装置を停止させる必要がなく、搬送制御が不要となり、簡便且つ効率よく印字することができる。
【0008】
前記搬送方向に略直交する水平方向に対し前記印字の位置を調整する印字位置調整機構をさらに備えるとよい。これにより、被印字体のサイズや形状等に合わせて位置調整を行うことができ、さらなる美観の向上が図られる。
【0009】
上記いずれかに記載の構成において、前記印字テープが箔テープであり、前記印字ヘッドがスタンプヘッドであってもよい。また、前記印字テープがサーマルリボンであり、前記印字ヘッドがサーマルヘッドであってもよい。これらホットプリンタやサーマルプリンタに適用することができる。
【0010】
前記印字テープの供給方向は、前記被印字体の搬送方向に対し略直交するとよい。特に、上述のサーマルプリンタにおいては、サーマルリボンの消費量を抑制することができる。例えば、前記被印字体は包装袋である。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る印字方法の特徴は、搬送装置により搬送される被印字体に対し受け台と印字ヘッドとの間に供給される印字テープを前記印字ヘッドにより押圧することで前記被印字体に印字を行う方法において、前記印字ヘッドに対し前記被印字体の搬送方向の上流側に前記被印字体の少なくとも一部を前記受け台に押し付ける押付部材を備え、前記押付部材は、前記印字テープが前記被印字体に押圧される前に押し付けを開始し、前記印字テープが前記被印字体から離隔した後に押し付けを解除することにある。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る印字装置を備えた熱シール装置の特徴は、上記いずれかに記載の印字装置を備えた熱シール装置において、前記印字装置に対し前記搬送方向の上流側に前記被印字体の一部をヒートシールする加熱装置を備えることにある。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明に係る印字装置及び印字方法並びに印字装置を備えた熱シール装置の特徴によれば、簡素な構造でありながら鮮明な印字を効率よく行うことが可能となった。
【0014】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る熱シール装置の概略正面図である。
【図2】図1の概略側面図である。
【図3】図1の概略平面図である。
【図4】印字ヘッド近傍の拡大正面図である。
【図5】印字ヘッド近傍の拡大側面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】印字ヘッド及び押付部材が取り付けられた状態の斜視図である。
【図8】第一実施形態の印字装置を模式的に示す図であり、(a)はX方向視図、(b)は(a)の平面図である。
【図9】第一実施形態の印字工程を説明する図である。
【図10】第二実施形態の印字装置を模式的に示す図であり、(a)は図8(a)相当図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)のY方向視図である。る。
【図11】従来のサーマルプリンタを模式的に示す図であり、(a)は間欠式サーマルプリンタ、(b)は連続式サーマルプリンタ、(c)は(b)の文字列近傍の拡大平面図である。
【図12】押付部材の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図1〜9を参照しながら、本発明の第一実施形態について詳しく説明する。
図1〜3に示すように、本発明の第一実施形態に係る熱シール装置1は、基礎フレーム2の上にコンベアユニット3,シールユニット4,コントロールユニット5及び印字装置6を順次取り付けてなる。主モーター7はコンベアユニット3及びシールユニット4を駆動させ、被印字体としての包装袋100を搬送する。なお、図示省略するが、コンベアユニット3及びシールユニット4は、水平面に対する傾斜角度及び高さを調整可能である。さらに、コンベアユニット3はシールユニット4に対して相対位置を上下方向に調整可能となっている。
【0017】
ここで、本発明の理解の便宜のため、相互に直交するX軸,Y軸,Z軸について説明する。図1の正面図において、Z軸を鉛直方向とし、このZ軸に直交するX軸を図1紙面の左右方向とする。また、Y軸はX軸に同一平面上で直交する軸である。そして、本実施形態においては、X軸を包装袋100の搬送方向Xとし、Y軸を印字テープ61の供給方向Yとする。また、図1右側が搬送方向Xの上流側Uとし、同左側が下流側Dとする。
【0018】
コンベアユニット3は、図1〜3に示すように、コンベアフレーム10の左右に支持された一対のローラー11,11間でコンベアベルト12を回転可能に支持してなる。コンベアフレーム10の上面は解放され、コンベアベルト12の上面が図1上右から左に移動し、載置された包装袋100を搬送支持する。
【0019】
シールユニット4は、図1,3に示すように、大略、包装袋100を加熱冷却部40へ搬送・通過させる第一搬送機構30と、包装袋100の袋口部101をヒールシールする加熱冷却部40と、ヒートシールされた包装袋100を印字装置6へ搬送・通過させる第二搬送機構50よりなる。
【0020】
第一搬送機構30は、図1,3に示すように、上下前プーリー31a,31bと上下後プーリー32a,32bとの間に上下耐熱ベルト33a,33bが掛け渡されている。上下耐熱ベルト33a,33bは、例えばフッ素樹脂のテープからなる。これら耐熱ベルト33a,33bが、上流側Uの挿入ガイド34から挿入された包装袋100を挟み込んで挟持し、加熱冷却部40を通過させてヒーター等の熱を伝導させる。
【0021】
これらのプーリーには、上下耐熱ベルト33a,33bの脱落を防止するフランジが設けられている。また、上下前プーリー31a,31bは、筐体8にスライド可能に固定されており、耐熱ベルト33a,33bのテンションを調整、維持することができる。
【0022】
加熱冷却部40は、図1,3に示すように、加熱装置としての加熱部41と、ローラー42及び冷却部43よりなる。加熱部41は、上下一対の加熱板41a,41bを上下耐熱ベルト33a,33bを挟むように設けている。ローラー42は、加熱部41及び冷却部43の間に位置する。上下加熱板41a,41bには横穴が形成されており、ヒーターがそれぞれ挿入配置されている。各ヒーターはリレー又はPID制御盤を介して電源に接続され、温度センサにより加熱板表面の温度がモニタリングされ、温度制御がなされる。
【0023】
冷却部43は、上下一対の冷却板を耐熱ベルト33a,33bを挟んで対向して設けている。上下冷却板43a,43bには複数の貫通孔が形成されており、筐体8の内部に設けたブロアから冷風を吹き付けられ、冷却される。この冷却された上下冷却板43a,43b間をシール部分が通過することで、硬化が促進される。上加熱板41a及び上冷却板43aは図示省略する取付機構により鉛直方向Zに付勢されて固定された対向する下側の各部材に圧接される。
【0024】
図1〜3に示すように、第二搬送機構50は、大略、先の上下後プーリー32b,32bと同軸上の上下前Vベルトプーリー51a,51bと上下後Vベルトプーリー52a,52bの間に上下Vベルト53a,53bが掛け渡されてなる。上下Vベルト53a,53bが、加熱冷却部40を通過した包装袋100を挟み込んで挟持し、押圧部55を経由させて後述の印字装置6へ送り出す。
【0025】
上下後Vベルトプーリー52a,52bは、印字装置6より下流側Dに位置する取付板54の長孔54aを介してスライド可能に取り付けられている。これにより、上下Vベルト53a,53bのテンションを調整、維持する。
【0026】
押圧部55は、加熱冷却された包装袋100の袋口部101を押圧してヒートシール部に模様を付与し、包装袋100に対するシール圧力を測定するロードセルを備える。図1に示すように、押圧部55の下流側Dには、印字装置6へ搬送される包装袋100を検出するセンサ56が設けられている。
【0027】
図4に示すように、センサ56は、後述する印字装置6の各部材が取り付けられる取付板60に取付部材56aを介して取り付けられている。センサ56近傍には、ガイド板57a,57bが鉛直方向Zに間隔をおいて対向して設けられている。このガイド板57a,57bは、印字装置6への袋口部101の移動をガイドする。
【0028】
次に、図2,4〜8を参照しながら、本発明の第一実施形態に係る印字装置6について説明する。
印字装置6は、大略、後述する各部材を取り付ける取付板60と、搬送される包装袋100に印字を行う印字ヘッド70と、搬送される包装袋100の一部を受け台64に押し付ける押付部材80とからなる。この印字装置6は、取付板60を介して加熱冷却部40より搬送方向Xの下流側Dに設けられ、袋口部101がヒートシールされた包装袋100に賞味期限、製造年月日、NET、ロット番号等の文字や記号等を印刷(刻印)する。
【0029】
この取付板60は、図2,5に示すように、筐体8に設けた受け部材92に対しスライド可能なスライド板91に固定されている。このスライド板91及び受け部92が、包装袋100に対する印字位置を調整する印字位置調整機構90となる。これにより、印字装置6は、取付板60を介して包装袋100の搬送方向Xに略直交する水平方向Yにスライド可能となり、印字位置の調整が可能となる。
【0030】
図2に示すように、本実施形態における印字装置6は、大略、印字テープとしてのホットスタンプ用の箔テープ61と、巻き出しリール62と、巻き取りリール63と、箔テープ61を包装袋100に押圧する印字ヘッド70としてのスタンプヘッド70Aと、スタンプヘッド70Aに対向して設られている受け台64と、スタンプヘッド70Aを鉛直方向Zに押圧する押圧装置65とからなる。このように、第一実施形態における印字装置6は、図8に模式的に示す如き、ホットスタンプ装置(箔押し装置)を構成する。
【0031】
図2,4,5に示すように、箔テープ61は、巻き出しリール62から複数のガイドローラー68を経由しスタンプヘッド70Aと受け台64との間に供給され巻き取りリール63によって巻き取られる。巻き取りリール63は、リール駆動装置67の駆動により回転駆動し、箔テープ61を巻き取る。押圧装置65は例えばクランク機構により上下動する。その一端側には後述のスタンプヘッド70A及び押付部材80を固定する固定板66が設けられている。また、箔テープ61は、テンション保持機構69により、供給途中におけるテープの弛みが防止される。
【0032】
この箔テープ61の供給方向は、包装袋100の搬送方向Xに略直交する方向Yである。一方、スタンプヘッド70Aと受け台64との間には、包装袋100も第二搬送装置50により搬送される。そして、箔テープ61と包装袋100とが重ね合わされた状態で、押圧装置65によってスタンプヘッド70Aを受け台64に押圧することで印字する。この受け台64には、弾性を有するゴム台64aが設けられている。
【0033】
図6,7に示すように、スタンプヘッド70Aは、大略、複数の活字71と、活字71を保持する活字ホルダー72と、活字71を適宜加熱する熱盤73とからなる。活字71は、活字ホルダー72の凹部72a内に配列され、ねじ74a及び挟持部材74bからなる固定手段74により活字ホルダー72に固定される。この活字ホルダー72は、熱盤73に対しハンドル76によりスライドさせて着脱可能である。図7に示すように、固定板66には、スタンプヘッド70Aと共に搬送される包装袋100を受け台64に押し付ける押付部材80が取り付けられている。なお、活字71は、電動又は空気圧等でスタンプヘッド70Aから鉛直方向Zへ上下動する。
【0034】
図4〜7に示すように、押付部材80は、例えば板状の略方形を呈し、略コの字状のアーム81、連結部材82及び支持部材83を介して固定板66に取り付けられている。この押付部材80は、先のスタンプヘッド70Aに対し搬送方向Xの上流側Uに位置する。
【0035】
支持部材83は、ばね等の弾性部材を設けた第一支持部材83aと、第二支持部材83bとからなる。第二支持部材83bには、弾性部材を設けていない。これら部材は、アーム81及び連結部材82の貫通孔に対しスライド自在に設けられている。これにより、押付部材80は、鉛直方向Zに沿って上下動し、搬送される包装袋100を受け台64に押し付ける。
【0036】
ここで、図9を参照しながら、搬送される包装袋100に対する印字工程について詳しく説明する。
加熱冷却部40でヒートシールされた包装袋100は、第二搬送機構50の上下Vベルト53a,53bに挟持されて印字装置6へ向けて搬送される。そして、受け台64とスタンプヘッド70Aの間に搬送される前に、センサ56によって検出される。このセンサ56の検出信号により、押圧機構65及びリール駆動機構67の駆動が開始される。包装袋100の袋口部101近傍は、上下ガイド板57a,57bに案内されて、受け台64とスタンプヘッド70Aの間に搬送される。
【0037】
押圧機構65は、固定板66を介してスタンプヘッド70A及び押付部材80を鉛直方向Zに降下させる。そして、図9(a)に示すように、スタンプヘッド70Aにより箔テープ61が押圧されるより前に、まず押付部材80が包装袋100の袋口部101の一部を受け台64に押し付ける。ここで、同図(b)に示すように、包装袋100は、その袋口部101近傍が上下Vベルト53a,53bにより挟持されている。よって、スタンプヘッド70Aに対向する印字領域Pの周囲は、押付部材80及び上下Vベルト53a,53bにより保持され、搬送方向Xへの移動が強制的に停止される。また、押付部材80は、スタンプヘッド70Aに対し搬送方向Xの上流側Uに位置する。従って、袋口部101上の印字領域Pの周囲に皺が生じにくく、印字を鮮明に行うことが可能となる。
【0038】
そして、同図(c)に示すように、印字領域Pの周囲が保持された状態で、スタンプヘッド70Aの活字71が箔テープ61を袋口部101に押圧させて印字を行う。これにより、印字の位置ズレが防止される。そして、同図(d)に示すように、先にスタンプヘッド70Aが箔テープ61から離隔し、その後に押付部材80の押圧が解される。これにより、活字71が箔テープ61から離隔する際に生じる印字のひげの発生を抑制でき、より明瞭な印字とすることができる。袋口部101に印字される文字列Cは、搬送方向X(テープ幅方向)に沿う。
【0039】
しかも、上述の一連の工程において、コンベアベルト12及び上下Vベルト53a,53bは停止することなく駆動している。図9(b)に示すように、押付部材80は、スタンプヘッド70Aに対し搬送方向Xの上流側Uに位置する。また、押付部材80が袋口部101を受け台64に押し付ける時間は、スタンプヘッド70Aにより箔テープ61が印字領域Aに押圧される僅かな時間である。そのため、上下Vベルト53a,53bを駆動させたとしても、印字への影響は少ない。
【0040】
また、図9(b)に示すように、押付部材80により強制的に袋口部101を停止させるので、本体部102が慣性により搬送方向Xに歪む。しかし、押付時間は僅かな時間であり、包装袋100の品質に影響はない。従って、熱シール装置1のコンベアユニット3や、第一、第二搬送機構30,50に対する複雑な駆動制御が不要となる。しかも、コンベアユニット3や、第一、第二搬送機構30,50を停止させる必要もないので、効率よく印字することができる。
【0041】
次に、図10,11を参照しながら、本発明の第二実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、上述の実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。上記第一実施形態において、印字装置6はホットスタンプ装置(箔押し装置)を構成した。しかし、第二実施形態における印字装置6は、いわゆるサーマルプリンタを構成する。
【0042】
ところで、図11(a)に示す如き間欠式サーマルプリンタ6’では、搬送される被印字体100’を停止させて、サーマルヘッド70B’を鉛直方向及び水平方向に移動させることで印字を行う。そのため、熱シール装置における印字装置6’として使用する場合、包装袋100を搬送する搬送機構を印字する度に停止させなければならず、複雑な制御が必要となる。しかも、作業性も非効率的となる。
【0043】
また、図11(b)に示す如き連続式サーマルプリンタ6’’では、サーマルリボン61’の供給方向Y’と被印字体100’の連続移動方向P’は、同一方向に設定される。そして、サーマルヘッド70B’’はその方向に対する鉛直方向Zに上下動する。そのため、図11(c)に示すように、印字される文字列C’の長さL分だけサーマルリボン61’を供給しなければならず、サーマルリボン61’の消費量が増え、コスト高となる。
【0044】
第二実施形態に係る印字装置6は、図10(a)に示すように、大略、印字テープとしてのサーマルリボン61を供給する巻き出しリール62及び巻き取りリール63と、サーマルリボン61を包装袋100に押圧して印字する印字ヘッド70としてのサーマルヘッド70Bと、サーマルヘッド70Bに対向して設られている受け台64とを備え、サーマルヘッド70Bは移動機構により水平方向及び鉛直方向に移動可能に取り付けられている。
【0045】
本実施形態のサーマルプリンタ6においても、印字テープとしてのサーマルリボン61の供給方向Yは、包装袋100の搬送方向Xに対し略直交させている。一方、サーマルヘッド70Bの移動方向は、搬送方向Xと同一方向としている。また、上記実施形態と同様に、サーマルヘッド70Bに対し包装袋100の搬送方向Xの上流側Uに押付部材80を備えている。
【0046】
この押付部材80が、包装袋100の一部を受け台64に押し付けて包装袋100の移動を強制的に停止させる。次に、サーマルヘッド70Bが鉛直方向Zに降下すると共に搬送方向Xに移動し、サーマルリボン61を包装袋100に押圧する。これにより、図10(b)に示すように、包装袋100に印字される文字列Cの方向は、サーマルリボン61の幅方向(搬送方向X)に沿う。よって、サーマルリボン61の消費量を抑制することができ、経済的である。
【0047】
また、上記第一実施形態と同様に包装袋100は、上下Vベルト53a,53bに挟持され搬送される。これにより、熱シール装置1の第一、第二搬送機構30,50を停止する必要がなく、煩雑な制御も不要となる。しかも、停止した状態で印刷することができるので、鮮明な印字となる。
【0048】
最後に、本発明のさらに他の実施形態の可能性について言及する。
上記第一、第二実施形態において、印字装置6としてホットスタンプ及びサーマルプリンタを用いた。しかし、これらの印字装置に限られるものではない。
【0049】
また、上記各実施形態において、包装袋100を搬送する第二搬送装置50の上下Vベルト53a,53bで挟持し印字装置6へ搬送した。しかし、上下Vベルト53a,53bを省略し、コンベアベルト12による搬送のみであってもよい。但し、上下Vベルト53a,53bによる挟持搬送の状態で印字する上記各実施形態の方が、位置ズレ等を防止し鮮明に印字する点で優れている。
【0050】
また、上記各実施形態において、押付部材80を板状の略方形に形成した。しかし、押付部材80の形状は特に限定されるものではない。例えば、図12(a)(b)に示すように、印字領域Pの周囲を囲むようL字形状、コの字形状としても構わない。但し、これらの形状は、印字領域P近傍で袋口部101を押し付けることが可能となるが、印字テープ61や印字ヘッド等と接触しないように設けなければならず、構造が複雑となる。この点で、上記実施形態が優れている。
【0051】
また、上記各実施形態において、押付部材80を印字ヘッド70に対し包装袋100の搬送方向Xの上流側Uに設けた。しかし、押圧部材80の設置位置は搬送方向Xの上流側Uにのみ限定されるものではない。例えば、図12(b)に一点鎖線で示す第二押付部材80Aの如く、押圧部材80と共に搬送方向Xの下流側Dに設けても構わない。
【0052】
係る場合、第二押止部材80Aは、押圧部材80と一体的に設けてもよく、また、独立して設けても構わない。但し、第二押止部材80Aは、印字ヘッド70の下流側Dに位置するため、押付部材80に対する上記押し付けの効果を妨げないことが必要である。例えば、押付部材80と同時に押し付けを開始し、押付部材80と同時に押し付けを解除する。押付部材80より後に押し付けを開始し、押付部材80より先に押し付けを解除してもよい。このように、押し付けのタイミングを調整し、押付部材80による印字ズレやヒゲ、滲み等の発生の抑制を阻害しないようにする必要があり、構造が複雑となると共に制御が必要となる。この点で、上記実施形態が優れている。
【0053】
さらに、上記各実施形態において、押付部材80を弾性部材を備えた第一支持部材83aと弾性部材を設けていない第二支持部材83bにより支持した。しかし、押付部材80の支持態様はこれらに限られるものではなく、例えば、図12(c)に示すように、弾性部材を備えた第一支持部材83aを一対設けてもよい。また、同図(d)に示す如く、弾性部材に代えてゴム等の緩衝材85を押付部材80に設けてもよく、押付部材80自体を緩衝材により構成しても構わない。しかし、搬送される包装袋100を確実に受け台64に押し付け可能である点で上記実施形態が優れている。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えば、食料品、医薬品、生活用品又は工業製品等の各種商品が収容された包装袋等の被印字体の印字装置及び印字方法として利用することができる。また、この印字装置を用いた熱シール装置、包装装置にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1:熱シール装置、2:基礎フレーム、3:コンベアユニット、4:シールユニット、5:コントロールユニット、6:印字装置、7:主モーター、8:筐体、10:コンベアフレーム、11:ローラー、12:コンベアベルト、30:第一搬送機構、31a:上前プーリー、31b:下前プーリー、32a:上後プーリー、32b:下後プーリー、33a:上耐熱ベルト、33b:下耐熱ベルト、34:挿入ガイド、40:加熱冷却部、41:加熱部(加熱装置)、41a:上加熱板、41b:下加熱板、42:ローラー、43:冷却部、43a:上冷却板、43b:下冷却板、50:第二搬送機構、51a:上前Vベルトプーリー、51b:下前Vベルトプーリー、52a:上後Vベルトプーリー、52b:下後Vベルトプーリー、53a:上Vベルト、53b:下Vベルト、54:取付板、54a:長孔、55:押圧部、56:センサ、56a:取付部材、57a:上ガイド板、57b:下ガイド板、60:取付板、61:印字テープ(箔テープ、サーマルリボン)、62:巻き出しリール、63:巻き取りリール、64:受け台、64a:ゴム台、65:押圧装置、66:固定板、67:リール駆動装置、68:ガイドローラー、69:テンション保持機構、70:印字ヘッド、70A:スタンプヘッド、70B,70B’,70B’’:サーマルヘッド、71:活字、72:活字ホルダー、72a:凹部、73:熱盤、74:固定手段、74a:ねじ、74b:挟持部材、75:固定板、76:ハンドル、80:押付部材、80A:第二押付部材、81:アーム、82:連結部材、83:支持部材、83a:第一支持部材、83b:第二支持部材、90:印字位置調整機構、91:スライド板、92:受け部材、100:包装袋(被印字体)、101:袋口部、102:本体部、C:文字列(印字)、D:下流側、P:印字領域、P’:連続移動方向、U:上流側、X:搬送方向、Y:供給方向、Z:鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字体を搬送する搬送装置と共に用いられ、搬送される被印字体に対し受け台と印字ヘッドとの間に供給される印字テープを前記印字ヘッドにより押圧することで前記被印字体に印字を行う印字装置であって、
前記印字ヘッドに対し前記被印字体の搬送方向の上流側に前記被印字体の少なくとも一部を前記受け台に押し付ける押付部材を備え、
前記押付部材は、前記印字テープが前記被印字体に押圧される前に押し付けを開始し、前記印字テープが前記被印字体から離隔した後に押し付けを解除する印字装置。
【請求項2】
前記搬送方向に略直交する水平方向に対し前記印字の位置を調整する印字位置調整機構をさらに備える請求項1記載の印字装置。
【請求項3】
前記印字テープが箔テープであり、前記印字ヘッドがスタンプヘッドである請求項1又は2記載の印字装置。
【請求項4】
前記印字テープがサーマルリボンであり、前記印字ヘッドがサーマルヘッドである請求項1又は2記載の印字装置。
【請求項5】
前記印字テープの供給方向は、前記被印字体の搬送方向に対し略直交する請求項1〜4のいずれかに記載の印字装置。
【請求項6】
前記被印字体は包装袋である請求項1〜5のいずれかに記載の印字装置。
【請求項7】
搬送装置により搬送される被印字体に対し受け台と印字ヘッドとの間に供給される印字テープを前記印字ヘッドにより押圧することで前記被印字体に印字を行う印字方法であって、
前記印字ヘッドに対し前記被印字体の搬送方向の上流側に前記被印字体の少なくとも一部を前記受け台に押し付ける押付部材を備え、
前記押付部材は、前記印字テープが前記被印字体に押圧される前に押し付けを開始し、前記印字テープが前記被印字体から離隔した後に押し付けを解除する印字方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の印字装置を備えた熱シール装置であって、
前記印字装置に対し前記搬送方向の上流側に前記被印字体の一部をヒートシールする加熱装置を備える熱シール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−240705(P2012−240705A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112464(P2011−112464)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(595123427)シール栄登株式会社 (3)
【Fターム(参考)】