説明

印字装置

【課題】テンションバーの印字媒体に対する負荷を簡単に変更できるようにする。
【解決手段】テンションバーをロール状部から引き出され印字媒体に圧接し、該圧接力によって印字媒体にテンションを付与し、ロール状の印字媒体がプラテンに引き出されるときに斜行しないようにした印字装置において、揺動アームの軸体に、該軸体と該軸体の回転に対して抵抗力を付与するためのダンパーとを解除可能に結合する負荷掛け外し機構を取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のインクジェットプリンタ等の印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻回された作画媒体のロール部を回転可能に支承し、該ロール部の回転支承部をコントローラにより制御される送出モータに連係し、前記ロール部からくり出された作画媒体を駆動ローラとピンチローラとから成るグリップ部で挟持し、駆動ローラの回転によって作画媒体をX軸方向に送る一方、記録ヘッドで作画媒体を走査し該作画媒体に印字作画を行い、前記送出モータによって前記ロール部を送出方向に回転させ、ロール部から順次前記グリップ部に作画媒体を供給するようにした記録装置において、前記作画媒体の搬送経路の両側に位置させて一対の所定方向に付勢した揺動アームを回転自在に支持し、該一対の揺動アームの偏芯部間にテンションローラを支承し、該テンションローラを前記揺動アームの付勢力によって前記作画媒体の引き出し部に圧接し該圧接力によって該引き出し部にテンションを付与し、前記作画媒体の引き出し部のテンションの変化を前記揺動アームの付勢力に抗した揺動によって吸収するようにして用紙の搬送を安定させ、前記揺動アームに重りを脱着自在に取り付け可能とし、該重りによって前記揺動アームの付勢力の調整を行うことができるようにした記録装置が従来知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−314565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
印字媒体のテンションを重りを取り替えることで変更する構成では、重りの取り付け、取り外しが面倒であり、また、取り外した重りが紛失しないようにするための管理が煩わしいという問題点がある。また、用紙を交換する場合、用紙のセッティングだけでなく、重りの取り付けなどの作業を一緒に行うことになるため、作業性が悪くなるという問題点がある。
本発明は、上記問題点を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明は、ロール状に巻回された印字媒体のロール部を回転可能に支承し、該ロール部の回転支承部をコントローラにより制御される送出モータに連係し、前記ロール部から引き出された印字媒体をグリップ部で挟持し、該グリップ部の回転体の回転によって印字媒体を印字施行部に引き出し、ヘッド部で印字媒体を走査し該印字媒体に印字を行い、前記送出モータによって前記ロール部を送出方向に回転させ、ロール部から順次前記グリップ部に印字媒体を供給するようにし、前記印字媒体の前記グリップ部の上流側の搬送経路の側部に位置させてテンションバーを支持する揺動アームを配置し、該揺動アームに設けた軸体を回転自在に支持するとともに、前記揺動アームを前記軸体を中心として所定の回転方向に付勢し、前記テンションバーを前記印字媒体に圧接し、該圧接力によって前記印字媒体にテンションを付与するようにした印字装置において、前記揺動アームの軸体に、該軸体と該軸体の回転に対して抵抗力を付与するための負荷増加手段とを解除可能に結合する負荷掛け外し機構を取り付けたものである。
また本発明は、前記負荷掛け外し機構は、操作軸と、前記軸体に固着された第1の回転伝達体と、該第1の回転伝達体に対して接近及び離反する直線方向に移動自在に支承されたダンパーからなる負荷増加手段と、該ダンパーに取り付けられた第2の回転伝達体と、前記操作軸の回転運動を前記ダンパーの直線運動に変換する運動伝達機構とを備え、前記操作軸を正逆方向に回転することで前記第2の回転伝達体と第1の回転伝達体とを結合及び結合解除するようにしたものである。
また本発明は、前記第1と第2の回転伝達体をギアにより構成したものである。
また本発明は、前記運動伝達機構は、一方側が前記操作軸に結合するクランク部材と、一方側が前記クランク部材の他方側と回転自在に結合し、他方側が前記ダンパー側に回転自在に連結するリンク部材とから成るクランク機構により構成されているものである。
また本発明は、前記揺動アームを、前記グリップ部の上流側の搬送経路の両側部に配置し、前記負荷掛け外し機構を、前記一対の揺動アームの軸体のそれぞれに取り付けたものである。
また本発明は、前記負荷増加手段は、前記グリップ部の回転体の回転に伴う前記印字媒体のテンションの増大による前記軸体の回転に対してのみ抵抗力を付与し、前記軸体の他方向の回転に対しては抵抗力を付与しない構成としたものである。
また本発明は、前記印字済みの印字媒体を巻き取りモータに連係する巻き取りスクローラに自動的に巻き取るようになし、前記印字媒体の前記グリップ部の下流側の搬送経路の側部に位置させて排出側テンションバーを支持する排出側揺動アームを配置し、該排出側揺動アームに設けた軸体を回転自在に支持するとともに、前記揺動アームを前記軸体を中心として所定の回転方向に付勢し、前記排出側テンションバーを前記印字媒体に圧接し、該圧接力によって前記印字媒体にテンションを付与するようになし、前記排出側揺動アームの軸体に、該軸体と該軸体の回転に対して抵抗力を付与するための負荷増加手段とを解除可能に結合する負荷掛け外し機構を取り付けたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、簡単に負荷の変更ができるので、色々な種類や重さの印字媒体に簡単に対応することができる。また複数個設ける事により負荷を段階的に変更する事ができるので、更に細かな対応も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る大型インクジェットプリンターから成る印字装置の概略全体構成を示している。左右一対の脚台2上にそれぞれ脚体4が立設されている。前記脚体4には、それぞれブラケット6が支承され、該ブラケット6間に補強体8が架設されている。前記ブラケット6及び補強体8は、本装置の機体を構成している。前記補強体8には、前方用紙ガイド10、後方用紙ガイド12、プラテン14が固設されている。
【0007】
前記脚台2間には、レール16,18が架設され、該レール16,18の左右両端側に、送出ユニット20が取り付けられている。前記送出ユニット20は、それぞれ芯ホルダー軸22を有し、該芯ホルダー軸22は、送出ユニット20に内蔵されたモータに連係している。印字装置の後部には、芯体24に、紙、合成樹脂、ターポリン等からなる印字媒体がロール状に装着されたロール紙26が配置されている。前記ロール紙26の両端に開口する芯体24には、前記芯ホルダー軸22が装着され、ロール紙26は、印字装置後部の左右の送出ユニット20間に回転可能に支持されている。
【0008】
左右に配置された前記ブラケット6の各後部には、それぞれ負荷増加ユニット28(負荷掛け外し機構)の各基体30が固定されている。図1乃至図3には、左右の負荷増加ユニット28の中、一方の負荷増加ユニット28が図示されている。負荷増加ユニット28の各基体30には枠部材32が固設され、これにギア34(回転伝達体)が固着された軸体36が回転自在に支持されている。前記軸体36は、それぞれ、一対の揺動アーム38(他方は図示省略)の中、対応する揺動アーム38に固定されている。前記一対の揺動アーム38には、前記軸体36を支点とする回転中心の両側に位置して、一対の互いに平行な、ローラからなるテンションバー40,42が互いに所定の間隔を有し、且つ、床面に対して水平に、回転自在に軸支されている。
【0009】
また、前記一対の揺動アーム38間には、補強バー44が架設されている。前記一対の揺動アーム38は、その偏心部の重量によって軸体36を中心として、図1中、反時計方向に付勢されている。前記基体30に固設された枠体46の両側壁間には、ハウジングにギア48(回転伝達体)が固設されたディスクダンパー50(負荷増加手段)が配置されている。前記ディスクダンパー50のハウジングから突出するダンパー軸52の両端は、前記枠体46の両側壁に床面に対して水平に形成された長穴54,56に、回転止め機構を介して、スライド自在に挿入配置されている。前記回転止め機構は、前記ダンパー軸52の、前記長穴54,56の壁面に当接する部分に切り欠き平面部を形成することにより構成している。前記ダンパー軸52には、リンク部材58の一方が回転自在に連結している。
【0010】
前記枠体46の両側壁には、レバー60の付いた操作軸62が回転自在に支承されている。前記操作軸62には、クランク部材64の一方が固着され、該クランク部材64の他方に軸支されたガイド軸66の両端は、前記枠体46の両側壁に形成された弓状にわん曲するガイド溝68(他方は図示省略)にスライド自在に嵌挿されている。前記リンク部材58の他方は、前記ガイド軸66に回転自在に連結している。前記ガイド溝68は、前記クランク部材64の他方の、前記操作軸62を中心とした回転軌跡に沿って形成されている。前記左右一対のブラケット6の中、一方のブラケット6には、前記揺動アーム38の軸体36を中心とする傾斜角度を検出するための角度検出センサ(図示省略)が設けられている。
【0011】
前記脚体4の下部前方側には、ロール紙巻き取りスクローラ72の両端軸部が、左右の脚体4にそれぞれ回転自在に配置された一対の軸受部材74,76によって支承されている。前記一対の軸受部材74,76はそれぞれ脚体4に設けられた巻き取り装置の基板に回転自在に軸支され、一方の軸受部材74は、動力伝達機構を介してロール紙巻取りモータの出力軸に連結し、他方の軸受部材76は、動力伝達機構を介して、該軸受部材76の回転運動を検出するエンコーダのスリット盤に連結している。前記ブラケット6の前方部分即ち図1中、左側には、それぞれ揺動アーム78の一方が回転自在に軸80支され、該左右の揺動アーム78間に、ローラからなるテンションバー82が回転自在に且つ、床面に対して水平に架設されている。前記ブラケット6には、前記揺動アーム78の傾斜角度を検出するための角度検出センサ(図示省略)が設けられている。
【0012】
前記後方用紙ガイド12の後方には、図1中、紙面垂直方向即ちY軸方向に延びるガイドローラ84が配置され、該ガイドローラ84は、機体に回転自在に軸支されている。前記用紙ガイド12の上方には、紙面垂直方向即ちY軸方向に延びるY軸レール86が水平に配置され、両端が支持部材を介して機体に固定されている。前記Y軸レール86には、Yカーソル(キャリッジ)が移動可能に取り付けられ、該Yカーソルは、Y軸駆動モータに連結する無端状のスチールベルトを介して、機体に配設されたY軸駆動装置に連係している。
【0013】
前記プラテン14と後方用紙ガイド12との間には、Y軸方向に沿ってスリットが形成され、該スリットに駆動ローラ88が配置されている。駆動ローラ88の両端は、ブラケットを介して機体に配設されたX軸駆動装置に連係している。前記Y軸レール86には、多数のピンチローラアームが弾発機構(図示省略)を介して揺動可能に取り付けられ、該ピンチローラアームに回転自在に支承されたピンチローラ90は、前記駆動ローラ88の表面から離反した状態と、該表面に水平に弾接した状態のいずれか一方の状態に設定し得るように構成されている。前記駆動ローラ88とピンチローラ90は用紙を挟持するグリップ部を構成している。
【0014】
前記Yカーソルの一方側にはヘッド部92が連結し、これにインクの色ごとに用意された複数個の、それぞれ多数のノズルを備えたインクジェット印字ヘッドが取り付けられている。
次に本実施形態の動作について説明する。
作画を始める前に、プラテン14上にロール紙26の引き出し部26bをセットするには、ピンチローラ90を上昇させ、送出ユニット20にセットされているロール紙26のロール部26aからロール紙26を手操作で引き出し、この引き出し部26bをテンションバー40とテンションバー42の各表面に図4に示すようにジグザグ状に掛け渡す。このロール紙セット時、ディスクダンパー50のギア48は、ギア34に対して離反させておく。
【0015】
揺動アーム38は、該揺動アーム38の偏芯部にかかる重量により、図1中、軸体36を中心として反時計方向に付勢されている。
この揺動アーム38の下向き揺動限界位置において、テンションバー40,42に掛けられたロール紙26の引き出し部はジグザグ状に最も屈曲された状態となり、ロール部26aとガイドローラ84間の長さが最長となる。尚、図1には、揺動アーム38が床面に対して水平な状態を示している。ロール紙26の引き出し部をガイドローラ84,駆動ローラ88ピンチローラ90間、プラテン14、前方用紙ガイド10、テンションバー82を経て、巻き取りスクローラ72に導き、引き出し部の先端を巻き取りスクローラ72に係止する。
【0016】
次に、ピンチローラ90を下降させて、ピンチローラ90をロール紙26の引き出し部の上から駆動ローラ88に弾接する。これにより、駆動ローラ88とピンチローラ90とでロール紙26(印字媒体)をグリップし、印字媒体のセッティングが完了する。該状態においては、通常、前方用紙ガイド10と巻き取りスクローラ72との間及びガイドローラ84とロール紙26のロール部26aとの間に位置するロール紙26の引き出し部に弛みがあり、引き出し部にテンションが生じていない。そのため、ロール紙がセットされた状態で印字動作に入る前に、コントローラは、次の初期動作を行う。
【0017】
まず、巻き取りモータを巻き取り方向に駆動し、巻き取りスクローラ72を用紙巻き取り方向に回転し、ロール紙26の巻き取り側の引き出し部をテンションバー82に圧接し、この引き出し部にテンションを発生させる。テンションバー82がロール紙引き出し部からの圧力によって、揺動アーム78からの付勢力に抗して後退し、初期位置に達したところで、コントローラは、検出センサの信号に基づき、巻き取りモータの駆動を停止する。一方、コントローラは、送出モータを用紙送出方向とは逆方向に駆動し、送出ユニット20の芯ホルダー軸22を用紙巻き取り方向即ち、図1中、時計方向に逆回転させる。これにより、ロール紙26の引き出し部は、ロール部26aに巻き取られていく。この過程で、ロール紙26の引き出し部26bにテンションが発生し、揺動アーム38に、テンションバー40,42を介して図1中、時計方向に回転力が作用する。
【0018】
この回転力により、揺動アーム38が、図1中、時計方向に、自重による付勢力に抗して回転する。テンションバー40が送出動作位置に達すると、センサフラグがセンサの検出部に移動する。これにより、センサがテンションバー40の送出動作位置を検出する。コントローラは、センサからの検出信号に基づいて、送出モータをロール紙送出順方向に所定時間駆動する。この送出モータの駆動により、ロール紙26は、図1中、反時計方向即ちロール紙26の引き出し部分を送出する方向に回転し、ロール紙26がロール部から所定量引き出される。これにより、ロール紙引き出し部からのテンションバー40,42に対する圧力が低下し、揺動アーム38は自重による回転力により、図1中、反時計方向に回転する。
【0019】
テンションバー40が上限位置に達する手前で、送出モータの駆動が停止する。該状態において、ロール紙の引き出し部は、テンションバー40,42によって急角度でジグザグ状に屈曲された状態となる。該状態において、ロール紙26の引き出し部には、揺動アーム38の自重による、図1中、反時計方向の偏芯モーメントによってテンションが付与される。これにより、ロール紙セット時の初期状態におけるロール紙26の弛みが除去され、ロール紙26の引き出し部にテンションが付与された状態となる。ロール紙26の供給側と排出側のテンションは、ロール紙26のロール部26a及び巻き取りスクローラ72が回転しない程度に設定されている。
【0020】
プリンタが印字動作に移行すると、ロール紙26の引き出し部は、駆動ローラ88の一方向の間欠回転により、プラテン14上をY軸レール86の長手方向と直交するX軸方向に搬送される。また、ヘッド部92は、コントローラの制御により印字情報に基いて駆動され、印字ヘッドのノズルからインクを吐出するとともに、ヘッド部92のY軸レール86に沿った往復移動によって、Y軸に沿ってロール紙26を走査し、コントローラのメモリに展開された画像情報がロール紙26の印字施行表面に可視化される。印字中、駆動ローラ88とピンチローラ90とから成るグリップ部によってロール紙26が順次プラテン14上に引き出されると、テンションバー40,42は、ロール紙26の引き出し部によって加圧され、揺動アーム38は、軸体36を中心として、図1中、自重による偏芯モーメントに抗して、時計方向に回転し、グリップ部のロール紙引き出し運動に対して負荷がかかる。
【0021】
該状態において、グリップ部によるロール紙引き出し部に対する引っ張り搬送力即ちグリップの負荷はほぼ一定に保持される。テンションバー40が送出動作位置に達すると、コントローラは、センサからの信号によってこれを検知し、送出モータをロール紙26送出方向に一定時間駆動する。これにより、揺動アーム38は、自重により、図1中、反時計方向に回転し、ロール紙26の引き出し部が、テンションバー40,42によってジグザグ状に深く屈曲される。テンションバー40が上限位置に達する若干手前で、送出モータの駆動が停止し、この動作が繰り返される。
【0022】
一方、上記印字中、グリップ部にロール紙の印字済みの部分が用紙排出方向に送られると、前方用紙ガイド10の端部と巻き取りスクローラ72間のロール紙26の長さが徐々に増加する。この増加に伴って、揺動アーム78は、初期位置から軸体80を中心として、図1中、時計方向に自重により揺動する。ロール紙26がく字状に深く屈曲し、テンションバー82が、所定の巻き取り位置に達すると、検出センサが検出信号信号をコントローラに出力し、コントローラは、巻き取りモータを巻き取り方向に駆動する。巻き取りモータの駆動により、巻き取りスクローラ72が図1中、反時計方向に回転し、ロール紙26の引き出し部が巻き取りスクローラ72に巻き取られ、テンションバー82がロール紙26からの圧力によって、初期位置の方向に後退する。
【0023】
テンションバー82が初期位置に戻ったところで、コントローラは、検出センサからの信号に基づいて、巻き取りを停止する。印字中、この動作が繰り返される。
重量の大きなロール紙やターポリンなどを使用し、ロール紙の引き出し部のテンションを増大させたい場合には、ディスクダンパー50と、揺動アーム38の軸体36とを結合し、揺動アーム38の軸体36を中心とする回転運動に対して、ディスクダンパー50の抵抗力を付与させる。ディスクダンパー50を、揺動アーム38に結合するには、レバー60を手操作で、図2中、右方向に回転させる。レバー60のこの回転により、操作軸62と連動して、クランク部材64がガイド溝68に案内されて回転する。
【0024】
クランク部材64の回転運動は、リンク部材58を介して、ダンパー軸52の、長穴54,56に沿った直線運動に変換され、ギア48がギア34に向けて移動する。レバー60を、ガイド軸66がガイド溝68の終端に係止される位置まで回転させると、ギア48は、ギア34に当接し、互いに噛み合って結合する。ガイド軸66は、ガイド溝68の下部終端位置68aにおいて、安定的に係止され、レバー60から手を離しても、簡単に終端位置から外れることがない。該状態において、軸体36とディスクダンパー50は、ギア48,34を介して結合し、揺動アーム38の軸体36を中心とする、図1中、時計方向の揺動運動に対して、ディスクダンパー50のダンパー力が作用する。
【0025】
ディスクダンパー50は、方向性を有し、揺動アーム38の軸体36を中心とする、図1中、反時計方向の揺動運動に対しては、負荷がかからない構成となっている。ギア48をギア34から離し、軸体36とディスクダンパー50との結合を解除するには、レバー60を図2中、左回転方向に、ガイド軸66がガイド溝68の始端係止位置に係止されるまで回転させれば良い。図2及び図3に示す、ダンパー掛け外し機構は、テンションバー40,42の左右両方に設けてあるので、左右のディスクダンパー50を、選択的に、左右の揺動アーム38の回転部側に結合することで、該回転部に対して、複数の負荷の段階をレバーを回すだけで設定することができる。そしてディスクダンパー50は、同じギアに対して複数個設ける構造でも良い。なお、本実施形態は、ロール紙送出側の揺動アームにのみ、ダンパー掛け外し機構を設けたが、ロール紙排出側の揺動アームにもダンパー掛け外し機構を設けても良い。また、ギア32,48は摩擦車その他の回転伝達体を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る印字装置の全体概略構成図である。
【図2】ダンパー掛け外し機構の外観説明図である。
【図3】ダンパー掛け外し機構外観説明図である。
【図4】本発明の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
2 脚台
4 脚体
6 ブラケット
8 補強体
10 前方用紙ガイド
12 後方用紙ガイド
14 プラテン
16 レール
18 レール
20 送出ユニット
22 芯ホルダー軸
24 芯体
26 ロール紙
28 負荷増加ユニット
30 基体
32 枠部材
34 ギア
36 軸体
38 揺動アーム
40 テンションバー
42 テンションバー
44 補強バー
46 枠体
48 ギア
50 ディスクダンパー
52 ダンパー軸
54 長穴
56 長穴
58 リンク部材
60 レバー
62 操作軸
64 クランク部材
66 ガイド軸
68 ガイド溝
72 ロール紙巻き取りスクローラ
74 軸受け部材
76 軸受け部材
78 揺動アーム
80 軸
82 テンションバー
86 Y軸レール
88 駆動ローラ
90 ピンチローラ
92 ヘッド部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された印字媒体のロール部を回転可能に支承し、該ロール部の回転支承部をコントローラにより制御される送出モータに連係し、前記ロール部から引き出された印字媒体をグリップ部で挟持し、該グリップ部の回転体の回転によって印字媒体を印字施行部に引き出し、ヘッド部で印字媒体を走査し該印字媒体に印字を行い、前記送出モータによって前記ロール部を送出方向に回転させ、ロール部から順次前記グリップ部に印字媒体を供給するようにし、前記印字媒体の前記グリップ部の上流側の搬送経路の側部に位置させてテンションバーを支持する揺動アームを配置し、該揺動アームに設けた軸体を回転自在に支持するとともに、前記揺動アームを前記軸体を中心として所定の回転方向に付勢し、前記テンションバーを前記印字媒体に圧接し、該圧接力によって前記印字媒体にテンションを付与するようにした印字装置において、前記揺動アームの軸体に、該軸体と該軸体の回転に対して抵抗力を付与するための負荷増加手段とを解除可能に結合する負荷掛け外し機構を取り付けたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記負荷掛け外し機構は、操作軸と、前記軸体に固着された第1の回転伝達体と、該第1の回転伝達体に対して接近及び離反する直線方向に移動自在に支承されたダンパーからなる負荷増加手段と、該ダンパーに取り付けられた第2の回転伝達体と、前記操作軸の回転運動を前記ダンパーの直線運動に変換する運動伝達機構とを備え、前記操作軸を正逆方向に回転することで前記第2の回転伝達体と第1の回転伝達体とを結合及び結合解除するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記第1と第2の回転伝達体をギアにより構成したことを特徴とする請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記運動伝達機構は、一方側が前記操作軸に結合するクランク部材と、一方側が前記クランク部材の他方側と回転自在に結合し、他方側が前記ダンパー側に回転自在に連結するリンク部材とから成るクランク機構により構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の印字装置。
【請求項5】
前記揺動アームを、前記グリップ部の上流側の搬送経路の両側部に配置し、前記負荷掛け外し機構を、前記一対の揺動アームの軸体のそれぞれに取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項6】
前記負荷増加手段は、前記グリップ部の回転体の回転に伴う前記印字媒体のテンションの増大による前記軸体の回転に対してのみ抵抗力を付与し、前記軸体の他方向の回転に対しては抵抗力を付与しない構成としたことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項7】
前記印字済みの印字媒体を巻き取りモータに連係する巻き取りスクローラに自動的に巻き取るようになし、前記印字媒体の前記グリップ部の下流側の搬送経路の側部に位置させて排出側テンションバーを支持する排出側揺動アームを配置し、該排出側揺動アームに設けた軸体を回転自在に支持するとともに、前記揺動アームを前記軸体を中心として所定の回転方向に付勢し、前記排出側テンションバーを前記印字媒体に圧接し、該圧接力によって前記印字媒体にテンションを付与するようになし、前記排出側揺動アームの軸体に、該軸体と該軸体の回転に対して抵抗力を付与するための負荷増加手段とを解除可能に結合する負荷掛け外し機構を取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−269435(P2007−269435A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96382(P2006−96382)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000238566)MUTOHホールディングス株式会社 (29)
【Fターム(参考)】