説明

即席食品用容器

【課題】外蓋が平板状に形成される接着タイプのもの、または浅い皿形状に形成される嵌合タイプのもののいずれをも採用することができ、嵌合タイプの外蓋を採用する場合でも保温性低下の問題が生じることのない即席食品用容器を提供する。
【解決手段】容器本体1、中皿2、および外蓋3からなる。容器本体1はこれの周壁5内面の上端縁寄り箇所の全周に中皿支持段部7を設ける。中皿2は底壁9の全周から周壁10を上方へ立ち上げて容器本体1の深さより浅い椀状に形成し、周壁10の上端縁全周からフランジ11を外方へ張り出し、該フランジ11を容器本体1の中皿支持段部7の上に載せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類など即席食品を収容する即席食品用容器に係り、より詳しくは容器本体の中に中皿を備える即席食品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の即席食品用容器として、例えば、図8に示すように、容器本体30の中に麺類を収容するとともに、麺類の上方に各種の具や液状あるいは粉末状のつけ汁材等を収容可能にし、且つつけ汁容器機能を備えた中皿(蓋体)31を収容配置したものがある。そして、中皿31は外周に湯切り口(図示せず)を有する嵌合フランジ32を形成し、この嵌合フランジ32を容器本体30の上面開口縁に形成されたフランジ33に着脱可能に嵌合させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−99982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記即席食品用容器では、中皿31の嵌合フランジ32が容器本体30のフランジ33に嵌合される構造であるため、容器本体30の開放上面を中皿31ごと閉塞する外蓋35として、平板状に形成されて剥離可能に熱融着等で接着されるタイプのものでは容器本体30の開放上面を閉塞できないためこれを採用することができない。このため、外蓋35としては、図示するごとき中皿31の嵌合フランジ32の外形に合う浅い皿形に形成されて容器本体30のフランジ33に前記嵌合フランジ32を介して外嵌される嵌合タイプのものに限られる。しかるに、嵌合タイプの外蓋35では、調理に際して保温或いは湯戻しする場合、一旦、外蓋35を取り外して中皿31を取り出し、容器本体30に熱湯を注ぎ、再度外蓋35で容器本体30の開放上面を閉塞した状態で容器本体30内の麺類等即席食品を保温或いは湯戻しすることになるが、中皿31を取り出すことにより容器本体30のフランジ33と外蓋35との間に、中皿31の嵌合フランジ32が存在しなくなる分だけ隙間が生じ、その隙間により閉塞性、保温性が低下するという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、上記のような、容器本体、中皿、および外蓋からなる即席食品用容器において、中皿の容器本体内への収まり構造に工夫を凝らすことにより外蓋が平板状に形成される接着タイプ、または浅い皿形状に形成される嵌合タイプのいずれのものでも使用することができ、嵌合タイプの外蓋を使用する場合でも保温性低下の問題が生じることのない即席食品用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の即席食品用容器は、底壁の全周から周壁を上方へ立ち上げて上面開放の椀状に形成し、前記周壁の上端縁全周からフランジを外方へ張り出した容器本体と、この容器本体の内部に収納される中皿と、前記容器本体の開放上面を塞ぐ外蓋とからなる即席食品用容器において、前記容器本体はこれの前記フランジより下方であって前記周壁内面の上端縁寄り箇所の全周に、該周壁の内面から内方へ膨出する中皿支持段部を設けており、前記中皿は底壁の全周から周壁を上方へ立ち上げて前記容器本体の深さより浅い椀状に形成し、前記周壁の上端縁全周からフランジを外方へ張り出し、該フランジを前記容器本体の中皿支持段部の上に載せていることに特徴を有するものである。
【0007】
ひとつの好適な態様として、本発明による即席食品用容器は、前記中皿の周壁外周面の上端縁寄り箇所の全周に、該周壁の外面から外方へ膨出して前記容器本体の周壁の中皿支持段部より下方の内面に近接ないし当接する径大膨出部を設けることができる。また、前記外蓋としては、平板状に形成され、前記容器本体のフランジの上面全周にわたって剥離可能に接着される接着タイプのもの、あるいは天板の外周縁から外周壁を前記容器本体のフランジの外周端縁に沿って弾性接当するよう連設して前記容器本体の開放上面に着脱可能に外嵌される嵌合タイプのものを採用することができる。
【0008】
外蓋として、容器本体の開放上面に着脱可能に外嵌される嵌合タイプのものを採用する場合は、前記中皿のフランジの上方に対応する前記外蓋の天板の外周寄り箇所には、前記容器本体内方に向かって落ち込む陥没部を設けたうえで、その陥没部の下面を前記中皿のフランジの上面に隙間をおいて近接させるか、または、その陥没部の下面を前記中皿のフランジの上面に隙間無く当接させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器本体のフランジより下方であって周壁内面の上端縁寄り箇所に中皿支持段部を設け、この中皿支持段部に中皿のフランジを載せることによって中皿が容器本体内に収められるという構造を採用した。したがって、即席食品の保温或いは湯戻しに際しては、一旦、外蓋を取り外して中皿を取り出し、熱湯を容器本体内に注ぎ、再度外蓋で容器本体の開放上面を塞ぐことにより保温や湯戻しが行われるが、このとき、外蓋が、容器本体のフランジの上面全周にわたって剥離可能に接着される接着タイプ、あるいは容器本体の開放上面に着脱可能に外嵌される嵌合タイプのいずれのものであっても容器本体の開放上面を元通り確実に塞ぐことができる。
とくに、保温或いは湯戻し時に、嵌合タイプの外蓋を使用する場合においても、中皿はフランジを中皿支持段部から外すことにより取り出されるので、前述した図8に示す従来の中皿31のようにその嵌合フランジ32を容器本体30のフランジ33から取り外すことにより生じるような問題、即ち、容器本体30のフランジ33と外蓋35との間に介在されていた中皿31の嵌合フランジ32を取り外すことにより容器本体30のフランジ33と外蓋35との間に、中皿31の嵌合フランジ32が存在しなくなる分だけ隙間が生じ、その隙間により保温性が低下するといった問題が生じるようなことはなく、再度被される外蓋により容器本体の開放上面は元通り確実に塞ぐことができて保温機能を全うできる。
また、中皿はフランジを中皿支持段部上に載せてあるだけであるので、その周壁内面の上端寄り箇所に手を掛けてフランジをつかむことにより簡単に容器本体から出し入れし易く使い勝手も良い。
【0010】
中皿の周壁外周面の上端縁寄り箇所の全周に径大膨出部を設け、この径大膨出部を容器本体の周壁の中皿支持段部より下方の内面に近接ないし当接させることにより、容器本体内において中皿がフランジを容器本体の中皿支持段部上に載せられて支持されることと相俟って、輸送途上などで中皿が妄りに動くのを確実に防止できるとともに、中皿内にかやく類や液体スープ、各種ソース等が大量に載せられる場合にもその重さに十分対応でき、不測に中皿が容器本体内に収容される麺類等即席食品の上に落下して該即席食品に型崩れや砕きを加えるのを防止することもできる。
【0011】
外蓋が容器本体の開放上面に着脱可能に外嵌されるタイプのものである場合において、中皿のフランジの上方に対応する外蓋の天板の外周寄り箇所には、容器本体内方に向かって落ち込む陥没部を設けたうえで、その陥没部の下面を中皿のフランジの上面に隙間をおいて近接させるか、または、その陥没部の下面を中皿のフランジの上面に隙間無く当接させることにより、陥没部の形成により外蓋の変形を抑止する補強効果を得るばかりか、中皿のフランジが外蓋の陥没部の下面と容器本体の中皿支持段部との間で上下に妄りに動くのを規制できるので、輸送途上などで容器本体において中皿が浮き上がったり、がたついたりするのを防止できる。特に、陥没部の下面を中皿のフランジの上面に隙間無く当接させることにより中皿の妄動を確実に防止でき、また中皿による容器本体内の閉塞性を向上できて麺類等即席食品の劣化、虫侵入を防止できて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例を示す即席食品用容器の平面図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図2におけるB部の拡大図、図4は同即席食品用容器の容器本体どうしの積み重ね状態を示す断面図、図5は同即席食品用容器の中皿どうしの積み重ね状態を示す断面図、図6は同即席食品用容器の外蓋どうしの積み重ね状態を示す断面図である。
【0013】
本発明に係る即席食品用容器は、図1、図2に示すように、上面開放状の合成樹脂製の容器本体1と、この容器本体1の内部に収容される同じく合成樹脂製の中皿2、および容器本体1の開放上面を塞ぐ外蓋3とからなる。
【0014】
容器本体1は、発泡ポリスチレン等の発泡樹脂材もしくは非発泡樹脂材等でもって底壁4と、この底壁4の全周から上方へ拡開状に立ち上げられた周壁5、および周壁5の上端縁全周から外方へ張り出したフランジ6とを有する上面開放の椀状に成形されている。このように上面開放の椀状に成形された容器本体1どうしは製造ライン上で図4に示すように嵩低く積み重ねることができる。
この容器本体1のフランジ6より下方であって周壁5内面の上端縁寄り箇所の全周には、該周壁5の内面から内方へ膨出する中皿支持段部7を設けている。また周壁5内面の中皿支持段部7より下方の深さ方向中間部には熱湯の注ぎ量深さを指示するラインに相当する指標段部8を設けている。
【0015】
中皿2は発泡ポリスチレン等の発泡樹脂材もしくは非発泡樹脂材等でもって底壁9と、この底壁9の全周から上方へ拡開状に立ち上げられた周壁10とを有して容器本体1の深さより浅い上面開放の椀状に成形され、周壁10の上端縁全周からフランジ11を外方へ張り出し、このフランジ11を容器本体1の中皿支持段部7の上に載せるようにしてある。
このように上面開放の椀状に成形された中皿2どうしは製造ライン上で図5に示すように嵩低く積み重ねることができる。必要に応じて、周壁10の深さ方向中間部には熱湯の注ぎ量深さを指示するラインに相当する指標段部12を設けている。
【0016】
図2に示すように、中皿2はフランジ11を容器本体1の中皿支持段部7の上に載せることにより容器本体1内に安定よく支持される状態に収容されるが、より安定よく支持するためには周壁10の外周面の上端縁寄り箇所の全周に径大膨出部13を設け、この径大膨出部13を容器本体1の周壁5の中皿支持段部7より下方の内面に近接ないし当接させるようにして中皿2の径方向移動を規制する。これにより中皿2はかやくや液体スープ等の別添物14を収容して重量が嵩む場合にも容器本体1内において妄りに動くことなく、フランジ11を中皿支持段部7の上に載せることと相俟って安定よく支持されることになる。
【0017】
中皿2はフランジ11を中皿支持段部7上に載せてあるだけであるので、その周壁10内面の上端寄り箇所に手を掛けてフランジ11をつかむことにより簡単に容器本体1から出し入れし易いが、よりスムーズに出し入れし易くするためには、図2に示すように、周壁10の底壁9と成す角度、即ち上方への拡開角度θ1を、容器本体1の周壁5の底壁4と成す角度、即ち上方への拡開角度θ2より大きく設定し、また、図3に示すように、容器本体1の中皿支持段部7と該中皿支持段部7より下方の周壁5内面との交わり部にアールR1を、径大膨出部13にアールR2をそれぞれつける。その場合、中皿支持段部7のアールR1の曲率半径を径大膨出部13のアールR2のそれよりも大きく設定することが好ましい。
【0018】
図2に示すように、中皿2を容器本体1に収容した状態では、中皿2が底壁9を容器本体1の指標段部8より下方に位置するよう収容される。このように中皿2を収容しても湯切り時には中皿2を容器本体1から取り出すので何ら問題が生じることがなく、そのように中皿2を容器本体1内にコンパクトに収容可能にすることにより容器本体1の小型化を可能にする。
また、図2に示すように、中皿2はこれの底壁9と容器本体1に収容される麺類等即席食品Sの上面との間に隙間tを形成するように収容される。その隙間tは麺類等即席食品S上面の起伏高さのばらつきを吸収し、底壁9により麺類等即席食品Sが壊されないようにするためである。
【0019】
外蓋3はポリスチレン系樹脂等の薄い合成樹脂シートを熱板成形などによって、図1、図2に示すように、湯切り部15を設けた天板16と、この天板16の外周縁に容器本体1のフランジ6の外周端縁に沿って弾性接当するよう連設した外周壁17とにより容器本体1のフランジ6の外形に合う浅い皿形に形成して、これを容器本体1の開放上面に着脱可能に外嵌できるようにしている。天板16に形成される湯切り部15はU字形状等の湯切り口18に切起し片19を折曲可能に形成して、使用前において切起し片19で湯切り口18を閉塞できるようにしている。
【0020】
上記中皿2のフランジ11の上方に対応する外蓋3の天板16の外周寄り箇所には、容器本体1内方に向かって落ち込む陥没部20を設けている。その陥没部20の下面は中皿2のフランジ11の上面に隙間をおいて近接させるか、または、その陥没部20の下面を中皿2のフランジ11の上面に隙間無く当接させる。
外蓋3の天板16は陥没部20を有する断面形状に形成することにより外蓋3の変形を抑止する補強効果を得るばかりか、外蓋3の陥没部20の下面と容器本体1の中皿支持段部7との間で中皿2のフランジ11が上下に妄りに動くのを規制できるので、輸送途上などで容器本体1において中皿2が浮き上がったり、がたついたりするのをよく防止できる。特に、陥没部20の下面を中皿2のフランジ11の上面に隙間無く当接させることにより中皿2の妄動を確実に防止でき、また中皿2による容器本体1内の閉塞性を向上できて麺類等即席食品Sの劣化、虫侵入を防止できる。
【0021】
また、図1、図6に示すように、外蓋3は天板16に切起し片21を有する吸気口22を湯切り部15と対向する箇所に設けている。また、天板16には湯切り時に押さえる手に熱感を与えないように一対の隆起部23を円弧状に形成している。また、外蓋3の変形防止を高めるために天板16の半径方向中間部に補強用の凹溝24を同心円状に付加している。なお、浅い皿形に形成された外蓋3どうしは製造ライン上において図6に示すように嵩低く積み重ねることができる。
【0022】
調理方法の表示については、容器本体1の周壁5の外面に曲面印刷しても見難いし、容器本体1や外蓋3とは別体の紙に印刷してこれを中皿2の中に封入するのはコスト高になる。そこで、調理方法の簡単かつ低コストの表示手段として、外蓋3の外表面上の凹溝24で囲まれる領域に、ダイレクトグラビア印刷などで調理方法を印刷する。これにより細かい文字や絵柄も表示可能である。
【0023】
次に、上記構成の即席食品用容器を用いてつけ麺調理をする仕方について説明する。
【0024】
まず、即席麺(中華そば、うどん、担担麺など)の収容された容器本体1のフランジから外蓋3を取り外し、かやく、スープ等の収容された中皿2を容器本体1から取り出す。
【0025】
次いで、容器本体1に外蓋3を被せて容器本体1内の麺を湯戻しし、また中皿2でつけ汁を作る。すなわち、麺を湯戻しするには、外蓋3の湯切り口18の切起し片19、および吸気口22の切起し片21をそれぞれ起こし、熱湯を容器本体1の指標段部8まで注ぎ入れ、外蓋3を容器本体1の開放上面に外嵌させる。この状態で数分間(例えば、5分)湯戻しした後、両手で外蓋3の隆起部23,23を押さえ、容器本体1を傾けて湯切り口18より湯切りする。その際、再度被される外蓋3は天板16の外周縁寄り箇所を容器本体1のフランジ6上面に隙間無く被される本来の閉塞状態に戻される。したがって、前述した図8に示す従来のように容器本体30のフランジ33と外蓋35との間に介在されていた中皿31の嵌合フランジ32を取り外すことにより容器本体30のフランジ33と外蓋35との間に、中皿31の嵌合フランジ32が存在しなくなる分だけ隙間が生じるといった問題がないため、湯切り時に熱湯が外蓋3の湯切り口18以外の箇所から漏れ出る恐れなく安全に湯切りが行われる。
【0026】
湯切り後、ほぐし油を入れ、麺をよくほぐして出来上がる。一方、袋入りかやくや袋入り液体スープを破ってそれらかやくや液体スープを中皿2に入れる。熱湯を中皿2の指標段部12にまで注ぎ入れ、よくかき混ぜて焼き海苔を入れてつけ汁が出来上がる。かくして、麺をつけ汁につけて食する。
つけ汁は麺が出来上がる2分前ぐらいに作ることが、おいしく食べるコツであるが、図8に示す従来のように湯切り口を中皿31に設け、この中皿31で湯切りする即席食品用容器では麺類を蒸らしている間には中皿31を使用してつけ汁調理することが不可能である。しかし、本発明では麺の湯戻し、湯切りは外蓋3と容器本体1で、つけ汁の作りは中皿2でそれぞれ同時に進行させることが可能であるため、つまり外蓋3で塞がれた容器本体1内で麺を熱湯で蒸らしている間に中皿2内でつけ汁を作ることが可能であるため、麺が出来上がる数分前につけ汁を作る調理が可能になる。
【0027】
その他の使い方のバリエーションを挙げると、外蓋3と容器本体1で即席焼きそばを作り、中皿2で中華スープを作ることができる。すなわち、外蓋3で塞がれる容器本体1内で即席焼きそばを熱湯で戻した後、湯切りし、ソースをからめ味付けして焼きそばを作り、中皿2内では中華スープを作ることができる。また、外蓋3と容器本体1で即席うどんを作り、中皿2で粥を作ることもできる。
【0028】
上記実施例では、外蓋3として、湯切り部15を有して容器本体1の開放上面に着脱可能に外嵌される嵌合タイプのものを使用する場合について説明したが、他の実施例として、湯切り部15を有しないこと以外は上記外蓋3と同じ形状の外蓋3、又は図7に示すように、湯切り部を有しない平板状に形成されて容器本体1のフランジ6の上面全周にわたって剥離可能に接着される接着タイプの外蓋25を使用して実施することもできる。接着タイプの外蓋25としては、例えば、紙製または合成樹脂製の蓋基材の内面側にヒートシール性樹脂層を形成した積層シートを容器本体1のフランジ6の大きさ、形状に合う平板状に形成し、これを容器本体1のフランジ6の上面全周にわたって熱融着により剥離可能に接着して容器本体1の開放上面を塞ぐといったものが使用される。この実施例においても容器本体1や中皿2は上記実施例のものと同じものが使用される。
【0029】
湯切り部を有しない嵌合タイプ又は接着タイプの外蓋3,25を備える即席食品用容器においては、湯切りを不要とする即席食品、例えばうどんや蕎麦、フライ麺などが本体容器1の中に収容され、中皿2にはうどんや蕎麦の具材やつけ汁材、フライ麺にかけるあん材などを収容する。たとえば、うどんや蕎麦の調理に際しては、一旦外蓋3,25を取り外し、中皿2を取り出したうえで、熱湯を容器本体1の指標段部8まで注ぎ入れ、外蓋3,25で容器本体1の開放上面を塞いでうどんや蕎麦を湯戻し或いは保温し、中皿2でつけ汁を作る。湯戻しや保温時には、中皿2はフランジ11を容器本体1の中皿支持段部7から外されることにより取り出され、容器本体1の開放上面は外蓋3,25で元通り確実に塞ぐことができる。したがって、湯戻しや保温時に、前述した図8に示す従来のように容器本体30のフランジ33と外蓋35との間に介在されていた中皿31の嵌合フランジ32を取り外すことにより容器本体30のフランジ33と外蓋35との間に、中皿31の嵌合フランジ32が存在しなくなる分だけ隙間が生じるようなことがなく、その隙間による保温性低下の問題は生じることがないため、湯戻しや保温が所要時間内に確実に行われる。
【0030】
なお、上記実施形態では、即席食品用容器全体が平面視において円形状に形成されているものについて図示するとともに説明したが、円形状以外に楕円形状や多角形状などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例を示す即席食品用容器の平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図2におけるB部の拡大図である。
【図4】同即席食品用容器の容器本体どうしの積み重ね状態を示す断面図である。
【図5】同即席食品用容器の中皿どうしの積み重ね状態を示す断面図である。
【図6】同即席食品用容器の外蓋どうしの積み重ね状態を示す断面図である。
【図7】他の実施例を示す即席食品用容器の断面図である。
【図8】従来例の即席食品用容器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 容器本体
2 中皿
3 嵌合タイプの外蓋
4 容器本体の底壁
5 容器本体の周壁
6 容器本体のフランジ
7 中皿支持段部
9 中皿の底壁
10 中皿の周壁
11 中皿のフランジ
13 径大膨出部
15 湯切り部
16 天板
17 外周壁
20 陥没部
25 平板状の外蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁の全周から周壁を上方へ立ち上げて上面開放の椀状に形成し、前記周壁の上端縁全周からフランジを外方へ張り出した容器本体と、この容器本体の内部に収納される中皿と、前記容器本体の開放上面を塞ぐ外蓋とからなる即席食品用容器において、
前記容器本体はこれの前記フランジより下方であって前記周壁内面の上端縁寄り箇所の全周に、該周壁の内面から内方へ膨出する中皿支持段部を設けており、
前記中皿は底壁の全周から周壁を上方へ立ち上げて前記容器本体の深さより浅い椀状に形成し、前記周壁の上端縁全周からフランジを外方へ張り出し、該フランジを前記容器本体の中皿支持段部の上に載せていることを特徴とする、即席食品用容器。
【請求項2】
前記中皿の周壁外周面の上端縁寄り箇所の全周に、該周壁の外面から外方へ膨出して前記容器本体の周壁の中皿支持段部より下方の内面に近接ないし当接する径大膨出部を設けている、請求項1記載の即席食品用容器。
【請求項3】
前記外蓋が平板状に形成され、前記容器本体のフランジの上面全周にわたって剥離可能に接着されている請求項1又は2に記載の即席食品用容器。
【請求項4】
前記外蓋が天板の外周縁から外周壁を前記容器本体のフランジの外周端縁に沿って弾性接当するよう連設して前記容器本体の開放上面に着脱可能に外嵌されている請求項1又は2に記載の即席食品用容器。
【請求項5】
前記中皿のフランジの上方に対応する前記外蓋の天板の外周寄り箇所には、前記容器本体内方に向かって落ち込む陥没部を設け、この陥没部の下面を前記中皿のフランジの上面に隙間をおいて近接させている、請求項4記載の即席食品用容器。
【請求項6】
前記中皿のフランジの上方に対応する前記外蓋の天板の外周寄り箇所には、前記容器本体内方に向かって落ち込む陥没部を設け、この陥没部の下面を前記中皿のフランジの上面に隙間無く当接させている、請求項4記載の即席食品用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−176519(P2007−176519A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374997(P2005−374997)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(593020108)エースコック株式会社 (13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(591007295)厚木プラスチック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】