説明

卵ほぐし器

【課題】親子丼等を調理する際、短時間で効率良く生卵をほぐすことができる卵ほぐし器を提供する。
【解決手段】卵ほぐし器10は、複数の生卵1が投入される筒状の胴部11と、胴部11の底面11aに設けられ、生卵1をほぐして下方へ通過可能なカッター部12とを備えている。また押込体13は、胴部11上方から胴部11内へ挿入可能となっており、この押込体13により胴部11内の生卵1が押込まれる。これにより、カッター部12下方からほぐされた生卵1を取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生卵の中身(以下単に生卵ともいう)をほぐすための卵ほぐし器に係り、とりわけ飲食店で親子丼等を調理する際、短時間で効率良く多数の生卵をほぐすことができる卵ほぐし器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲食店において多数の生卵をほぐす作業が行なわれている。例えば飲食店で親子丼等を調理する際、まず複数の殻付の生卵を割卵して生卵を取り出し、これを手作業で適度にほぐす作業を行なう。次に、このようにしてほぐされた生卵と他の食材(鶏肉等)とを併せ、生卵が半熟状になるまで小さなフライパン等を用いて加熱調理する。
【0003】
このうち生卵をほぐす作業について図3を用いて説明する。まず、約20個の殻付の生卵を割卵し、この生卵1をメジャーカップ(卵収容容器)2A内に投入する。次に、メジャーカップ2A内の生卵1を、ワイヤースキンマー3のステンレス製ネット3a上に徐々に流し込む。次に、箸4をワイヤースキンマー3のステンレス製ネット3a上で左右(図3の矢印方向)に往復移動させ、生卵1がステンレス製ネット3aを下方へ通過できる程度になるまで生卵1をかき混ぜてほぐす。このようにして、生卵1がほぐされて、ワイヤースキンマー3下方に配置されたメジャーカップ2B内に収容される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般にワイヤースキンマー3のステンレス製ネット3aは十分な大きさを有していないため、ワイヤースキンマー3を用いて一度にほぐすことができる生卵1の数は限られている。したがって、生卵1をほぐす作業の作業効率は必ずしも良いとは言えない。また上述したように、生卵1をかき混ぜてほぐす際、ワイヤースキンマー3を一方の手で持ち、他方の手で箸4を迅速に多数回動かす必要がある。したがって、この作業により手が疲労しやすく、作業者の作業負担が大きくなっている。さらに、箸4を左右に動かす早さや回数により、生卵1がほぐされる程度がばらつくため、ほぐされた生卵1の品質が安定しないという問題もある。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、親子丼等を調理する際、短時間で効率良く生卵をほぐすことができる卵ほぐし器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の生卵が投入される筒状の胴部と、胴部の底面に設けられ、生卵をほぐして下方へ通過可能なカッター部と、胴部上方から胴部内へ挿入可能な押込体と、を備え、押込体により胴部内の生卵を押込み、これによりカッター部下方からほぐされた生卵を取り出すことを特徴とする卵ほぐし器である。
【0007】
本発明は、カッター部は、格子状の上向きのカッター刃を有することを特徴とする卵ほぐし器である。
【0008】
本発明は、卵ほぐし器はほぐされた生卵を収容する卵収容容器上で用いられ、胴部の底面に、卵収容容器に取付可能な取付部材が設けられていることを特徴とする卵ほぐし器である。
【0009】
本発明は、押込体は、胴部内の形状に対応する形状からなる押込板と、この押込板に取付けられた細長い長棒とからなっていることを特徴とする卵ほぐし器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手を疲労させることなく短時間で効率良く複数の生卵をほぐすことができる。
【0011】
また、本発明によれば、生卵がほぐされる程度を均一化することができ、ほぐされた生卵の品質を安定させることができる。
【0012】
さらに、本発明によれば、卵収容容器に取付可能な取付部材が設けられているので、作業の際、誤って胴部が卵収容容器から外れて生卵をこぼすおそれがない。
【0013】
さらにまた、本発明によれば、胴部内の形状に対応する形状からなる押込板により胴部内の生卵を押込むので、胴部内に投入された生卵のほとんどをほぐして卵収容容器に収容することができ、生卵のロスを減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による卵ほぐし器の一実施の形態について、図1および図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明の一実施の形態を示す斜視図であり、図2は、カッター部の一部を示す拡大斜視図である。
【0015】
まず、図1および図2により、本実施の形態による卵ほぐし器の概略について説明する。
図1および図2に示すように、卵ほぐし器10は、複数の生卵1が投入される矩形筒状の胴部11と、胴部11の底面11aに設けられ、正方格子状の上向きの多数のカッター刃12aを有するとともに生卵1をほぐして下方へ通過可能なカッター部12と、胴部11上方から胴部11内へ挿入可能な押込体13とを備えている。この押込体13により、胴部11内の生卵1を上方から押込み、これによりカッター部12下方からほぐされた生卵1を取り出すことができる。この場合、ほぐされた生卵1とは、生卵1内に黄身等の大きな塊が存在せず、例えば親子丼等の調理に適する程度に生卵1がくずされた状態をいう。
【0016】
また押込体13は、胴部11内の形状に対応する形状、すなわち胴部11内面と略同一の矩形形状からなる押込板13aと、この押込板13aに取付けられた細長い長棒13bとからなっている。
【0017】
また胴部11の上部に、胴部11に生卵1を流し込み易くするための傾斜部14が設けられ、さらに胴部11は、側面に胴部11を把持するための把手15を有している。
【0018】
ところで、卵ほぐし器10は、ほぐされた生卵1を収容する卵収容容器(メジャーカップ)2上で用いられる。すなわち、カッター部12下方から取り出されたほぐされた生卵1は、直接卵収容容器2に収容されるようになっている。
【0019】
また、胴部11の底面11aに、卵収容容器2に取付可能な取付部材16が設けられている。これにより、卵ほぐし器10の胴部11と卵収容容器2とがしっかり固定され、作業の際、誤って胴部11が卵収容容器2から外れないようになっている。なお、取付部材16は胴部11と一体に構成されていても良く、あるいは胴部11に着脱自在に取付けられていても良い。
【0020】
また図2に示すように、卵ほぐし器10のカッター部12は、上述したように、一辺が長さLの正方格子状に配置された多数のカッター刃12aを有しており、また各カッター刃12aは上下方向に一定の高さTを有している。
【0021】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
まず図1に示すように、例えば20個程度の殻付の生卵1Aを割卵して、この生卵1を卵ほぐし器10の胴部11内に投入する。
【0022】
次に、一方の手で胴部11の把手15を把持しながら、他方の手で押込体13を胴部11内に沿って上方から挿入する。この際、押込体13の押込板13aにより、胴部11内の生卵1が上方から押込まれる。このようにして、カッター部12下方からほぐされた生卵1を取り出し、卵収容容器2内に投入することができる。
【0023】
このように、本実施の形態によれば、手を疲労させることなく短時間で効率良く複数の生卵1をほぐすことができる。すなわち図3に示す従来の方法と比べて、生卵1をほぐす作業に要する時間を半分程度に削減することができる。
【0024】
また、本実施の形態によれば、生卵1がほぐされる程度を均一化することができ、ほぐされた生卵1の品質を安定させることができる。
【0025】
さらに、本実施の形態によれば、卵収容容器2に取付可能な取付部材16が設けられているので、作業の際、誤って胴部11が卵収容容器2から外れて生卵1をこぼすおそれがない。
【0026】
さらにまた、本実施の形態によれば、胴部11内の形状に対応する形状からなる押込板13aにより胴部11内の生卵1を押込むので、胴部11内に投入された生卵1のほとんどをほぐして卵収容容器2に収容することができ、生卵1のロスを減少させることができる。
【0027】
なお、図1および図2に示す本実施の形態において、カッター部12は一辺が長さLの正方格子状の構造を有しているが、これに限らず、長方格子状、三角格子状、渦巻放射状、あるいは生卵を下方へ通過可能な一定の間隙を有する他の形状からなっていても良い。すなわちカッター部12の構造およびカッター部12の各カッター刃12aの間隔は、生卵1をほぐす程度に応じて適宜変更することができる。また図2において、カッター部12は、両刃のカッター刃12aを有しているが、カッター部12が片刃のカッター刃12aを有していても良い。さらに、本実施の形態において、カッター部12は高さTのカッター刃12aを有しているが、カッター刃12aは必ずしも必要でない。この場合カッター部12は、例えば生卵1が切れる程度に強度がある細い網からなっていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による卵ほぐし器の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】カッター部の一部を示す拡大斜視図。
【図3】従来技術による生卵をほぐす作業を示す斜視図。
【符号の説明】
【0029】
1 生卵
2 卵収容容器
10 卵ほぐし器
11 胴部
12 カッター部
12a カッター刃
13 押込体
13a 押込板
13b 長棒
14 傾斜部
15 把手
16 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生卵が投入される筒状の胴部と、
胴部の底面に設けられ、生卵をほぐして下方へ通過可能なカッター部と、
胴部上方から胴部内へ挿入可能な押込体と、を備え、
押込体により胴部内の生卵を押込み、これによりカッター部下方からほぐされた生卵を取り出すことを特徴とする卵ほぐし器。
【請求項2】
カッター部は、格子状の上向きのカッター刃を有することを特徴とする請求項1に記載の卵ほぐし器。
【請求項3】
卵ほぐし器はほぐされた生卵を収容する卵収容容器上で用いられ、
胴部の底面に、卵収容容器に取付可能な取付部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の卵ほぐし器。
【請求項4】
押込体は、胴部内の形状に対応する形状からなる押込板と、この押込板に取付けられた細長い長棒とからなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の卵ほぐし器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−168046(P2008−168046A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5860(P2007−5860)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(591186176)株式会社ゼンショー (16)
【Fターム(参考)】