説明

卵胞刺激ホルモン受容体(FSH−R)アンタゴニストとしてのピロロベンゾジアゼピン、ヘテロアリール、アリールおよびシクロアルキルアミノケトン誘導体

本発明は、式(I)(式中、R、R1、R2、R3、AおよびBが本明細書中に定義されている通りである)の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供する。このような化合物を製造する方法も提供される。
【化168】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書に全体が組み込まれる、2005年5月12日出願の米国特許仮出願No.60/680,321の優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、FSH受容体に対するアンタゴニスト活性を有するピロロベンゾジアゼピンおよびこれらの誘導体、これらを製造する方法、ならびに避妊薬としてのこれらの使用に関する。
【0003】
発明の背景
女性の生殖は、女性の生殖系の数区画の動的な相互作用に依存する。視床下部−脳下垂体−性腺の軸は、成熟卵の産生、排卵および受精に必要な最終的に適切な条件を生じる卵巣および子宮内膜区画に影響を及ぼす、一連の事象を編成する。特に、視床下部から放出される黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)は、脳下垂体からゴナドトロピン、黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を開始させる。これらのホルモンは、卵巣に直接に作用して、顆粒膜および卵胞膜細胞の増殖および分化を誘起することにより、選択された卵胞の発達を促進する。FSHは、アンドロゲンのエストロゲンへの芳香族化を刺激し、そして卵胞膜細胞中のLH受容体の発現を増加させる。これらの卵胞は、次に、ステロイド(エストラジオール、プロゲステロン)およびペプチド(インヒビン、アクチビン)を分泌する。エストラジオールおよびインヒビンのレベルは、月経周期の卵胞期の間排卵まで漸次増加する。インヒビンは、脳下垂体からのFSH分泌を減少させ、一方エストラジオールは視床下部および脳下垂体に作用して、中間期におけるLHサージを誘起し、排卵を生じさせる。その後、排卵後の裂けた卵胞は、プロゲステロンを産生する黄体を形成する。卵巣ホルモンは、次に、古典的な長ループのネガティブフィードバック機構によりゴナドトロピンの分泌を調整する。これらのコントロール機構を解明することによって、受胎能の増進および避妊の両方を含む、受胎能をコントロールする有効な戦略を開発する機会が提供された。FSHの作用の最近の総説としては、「FSH Action and Intraovarian Regulation」, B.C.J.M.Fauser Editor, Parthenon Publishing Group, Vol.6, 1997 and A.J.Hsueh, T.Bicsak, X.-C.Ja, K.D.Dahl, B.C.J.M. Fauser, A.B.Galway, N.Czwkala, S.Pavlou, H.Pakoff, J.Keene, I.Boime, 「Granulosa Cells as Hormone Targets:The Role of Biologically Active Follicle-Stimulating Hormone in Reproduction」, Rec. Prog. Horm. Res., 45, 209-227, 1989を参照のこと。
【0004】
現行のホルモン避妊方法は、実際、ステロイド(プロゲスチンおよびエストロゲン)であり、ゴナドトロピン分泌の長ループフィードバック阻害を調整し、ならびに精子泳動および受精などの周辺の機構に影響を及ぼすものである。FSHに対する受容体(FSH−R)の特異的なアンタゴニストの開発は、ホルモン避妊に対する代替的な戦略を提供する。このようなアンタゴニストは、FSHにより仲介される卵胞発達を阻止し、排卵の阻止を導き、所望の避妊効果を生じる。この戦略の有効性に対する支持は、女性に不妊を生じる抵抗性卵巣症候群を引き起こす機構によりもたらされる。これらの女性が経験する不妊は、非機能性FSH受容体の結果である。(K.Aittomaki, J.L.D.Lucena, P.Pakarinen, P.Sistonen, J.Tapainainnen, J.Gromoll, R.Kashikari, E.-M.Sankila, H.Lehvaslaiho, A.R.Engel, E.Nieschlag, I.Huhtaniemi, A.de la Chapelle 「Mutations in the Follicle-Stimulating Hormone Receptor Gene Causes Hereditary Hypergonadotropic Ovarian Failure」Cell, 82, 959-968, 1995)。特発性男性不妊はFSH結合部位の減少と関連すると考えられるので、避妊に対するこのアプローチは男性にも適用可能であり得る。加えて、選択的なFSH欠乏の男性は、正常のテストステロンレベルで貧精子−あるいは無精子であり、正常な男性化を呈する(G.Lindstedt, E.Nystrom, C.Matthews, I.Ernest, P.O.Janson, K.Chattarjee, Clin. Lab. Med., 36, 664, 1998)。それゆえ、経口的に活性な低分子量FSHアンタゴニストは、避妊の有用な新規な方法を提供し得る。このようなアンタゴニストは、十分なエストロゲン産生および骨量におよぼす有益な影響を維持する一方で、卵胞発達と、したがって排卵を妨害すると予測可能である。
【0005】
FSHの作用は、卵巣中で排他的に発現される特異的な膜貫通Gタンパク結合受容体にこのホルモンを結合させて、アデニルシクラーゼ系を活性化させ、そして第2メッセンジャーcAMPの細胞内レベルを高めることにより仲介される(A.Mukherjee, O.K. Park-Sarge, K.Mayo, Endocrinology, 137, 3234(1996))。
【0006】
発明の概要
いくつかの実施形態においては、本発明は、式Iで表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩:
【化67】

[式中、
1およびR2が水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C1−C6)アルコキシ、−OCF3、カルボキシ、(C1−C6アルコキシ)カルボニル、−CONH2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノおよび−NHCO[(C1−C6)アルキル]からなる群より独立して選択され;
3が水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、−C(O)(C1−C6)アルキルおよびハロゲンからなる群より選択され;
BがB1またはB2であり、B1
【化68】

(式中、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は、水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、(C2−C7)アシルオキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6アルキル)カルボニル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、ホルミル、(C3−C8)シクロアルキルカルボニル、カルボキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C8)シクロアルキルオキシカルボニル、アリール(C1−C6)アルキルオキシカルボニル、カルバモイル、−O−CH2−CH=CH2、1〜3個のハロゲン原子により置換されている(C1−C6)アルキル、トリハロメチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、OCF3、チオ(C1−C6)アルキル、−C(O)(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルにより場合により置換されている−C(O)アリール、ヒドロキシ、−CH(OH)(C1−C6)アルキル、−CH(C1−C6)(アルコキシ)(C1−C6)アルキル、ニトロ、−SO2(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルスルホニル、アミノスルホニル、(C1−C6)アルキルアミノスルホニル、−SO2NHR11、−SO2N(R112、−OC(O)N[(C1−C6)アルキル]2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、−(CH2pCN、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ−(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)アルキルジ−(C1−C6)アルキルアミノ、−(CH2pNR1314、−(CH2pCONR1314、−(CH2pCOOR12、−CH=NOH、−CH=NO−(C1−C6)アルキル、トリフルオロメチルチオ、
【化69】

からなる群より独立して選択され;
11およびR12は、各々独立して水素、(C1−C6)アルキルまたはC3−C8シクロアルキルであり;
13およびR14は、各々独立して水素、(C1−C6)アルキルまたはC3−C8シクロアルキルであるか、あるいは
13およびR14はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、SまたはNから選択される2つまでの原子を場合により含有する4〜6員の飽和環を形成することができ;
pは0または1である)
であり;
AがA1またはA2であり、A1
【化70】

から選択され;そしてA2
【化71】

から選択され、但しAがA2である場合には、BはB2であり、B2
【化72】

(式中、R15およびR16は水素、(C1−C6)アルキルおよびハロゲンからなる群より独立して選択される)
であり;
式中、
17a、R17bおよびR17cは、水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アリールオキシおよびヒドロキシ(C1−C6)アルキルからなる群より各々独立して選択され;
uは整数0、1、2、3または4であり;
vは整数1、2、3または4であり;
rは0または1であり;
18は水素または(C1−C6)アルキルであり;そして
19はシクロアルキルアミンであり、
20aおよびR20bは、水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲンまたはアリールからなる群より各々独立して選択されるか、あるいはそれらが結合しているアリールと一緒になって、合計10個まで環原子を有する芳香族二環を形成することができる。]
を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態においては、本発明は、式II
【化73】

(式中、R1〜R3、A1およびB1は上記に定義した通りである)
により表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態においては、本発明は、下記式:
【化74】

により表される化合物を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態においては、本発明は、下記式III:
【化75】

(式中、R1〜R3、A2およびB2は上記に定義した通りである)
により表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態においては、本発明は、下記式:
【化76】

により表される化合物を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態においては、本発明は、式I
【化77】

(式中、R1〜R3、AおよびBは上記で定義されている通りである)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を調製する方法であって、
式(1)
【化78】

の三環ジアゼピンと式(4)
【化79】

(式中、Yはハロゲンである)
のアシルハライドとを、式Iの所望の化合物を生成するのに十分な条件下で反応させることを含む前記方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態においては、本発明は、
式(27)
【化80】

(式中、R1〜R3は上記で定義した通りであり、Pgは保護基であり、そしてAは
【化81】

から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を調製する方法であって、
式(26)
【化82】

(式中、YはClである)
の中間体と
【化83】

から選択される適切なアミン
とを、式(27)の中間体を提供するのに十分な条件下で反応させることを含む前記方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態においては、本発明は、式(27)の化合物を脱保護して、式(28)
【化84】

の中間体を得、次に式(28)の中間体をアシル化して、式(I)の化合物を得ることを更に含む、このような方法を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態においては、本発明は、式(26)の化合物が式(25)
【化85】

(式中、R1、R2およびR3は本明細書中で前に定義され、そしてPgは保護基である)の三環ジアゼピンと酸クロリドとを、式(26)の所望の中間体を提供するのに十分な条件下で反応させることにより調製される方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態においては、一般式II
【化86】

(式中、
1〜R3およびB1は上記で定義されている通りであり、
1
【化87】

からなる群より選択され;
17a、R17bおよびR17cは、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アリールオキシおよびヒドロキシアルキルからなる群より各々独立して選択され;
uは0、1、2、3または4であり;
vは1、2、3または4であり;
rは0または1であり;
18は水素またはアルキルであり;そして
19はシクロアルキルアミンである)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を調製する方法であって、
式(2)
【化88】

(式中、Yはハロ−(CH2v−である)
の化合物と
【化89】

から選択される適切なアミンとを、式IIの所望の化合物を生成するのに十分な条件下で反応させることを含む前記方法を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態においては、本発明は、式(2)の化合物が式(1)
【化90】

(式中、R1、R2およびR3は本明細書中で前に定義されている)
の三環ジアゼピンと式
XCOY
(式中、Xはハライドであり、そしてYはハロ−(CH2)v−である)
のアシルハライドとを、化合物(2)を生成するのに十分な条件下で反応させることにより調製される、このような方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態においては、本発明は、
式III
【化91】

(式中、R1〜R3、A2およびB2は上記で定義した通りである)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を調製する方法であって、式(5)
【化92】

の三環ジアゼピンと式6
【化93】

(式中、Yはハロゲンである)
の酸ハライドとを、式IIIの化合物を得るのに十分な条件下で反応させることを含む前記方法を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態においては、本発明は、
式(27)
【化94】

(式中、R1〜R3は上記で定義されている通りであり、Pgは保護基であり、そしてAはA2である)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を製造する方法であって、式(25)
【化95】

の化合物と式(4)
【化96】

の酸クロリドとを、式(27)
【化97】

(式中、Aは本明細書中で前に定義されているA2である)
のアミドを得るのに十分な条件下で処理することを含む前記方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態においては、本発明は、式(27)の化合物を脱保護して、式(28)
【化98】

の中間体を得、次に式(28)の中間体をアシル化して、式(I)
【化99】

(式中、Bは上記に定義されている通りである)
の化合物を得ることを更に含む、このような方法を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態においては、本発明は、この方法のいずれかにより製造される生成物を提供する。
【0021】
この明細書を読めば、これらの実施形態および他の実施形態は、当業者によって認識されるであろう。
【0022】
発明の詳細な説明
いくつかの実施形態においては、本発明は、
式Iで表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩:
【化100】

[式中、
1およびR2が水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C1−C6)アルコキシ、−OCF3、カルボキシ、(C1−C6アルコキシ)カルボニル、−CONH2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノおよび−NHCO[(C1−C6)アルキル]からなる群より独立して選択され;
3が水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、−C(O)(C1−C6)アルキルおよびハロゲンからなる群より選択され;
BがB1またはB2であり、B1
【化101】

(式中、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は、水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、(C2−C7)アシルオキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6アルキル)カルボニル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、ホルミル、(C3−C8)シクロアルキルカルボニル、カルボキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C8)シクロアルキルオキシカルボニル、アリール(C1−C6)アルキルオキシカルボニル、カルバモイル、−O−CH2−CH=CH2、1〜3個のハロゲン原子により置換されている(C1−C6)アルキル、トリハロメチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、OCF3、チオ(C1−C6)アルキル、−C(O)(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルにより場合により置換されている−C(O)アリール、ヒドロキシ、−CH(OH)(C1−C6)アルキル、−CH(C1−C6)(アルコキシ)(C1−C6)アルキル、ニトロ、−SO2(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルスルホニル、アミノスルホニル、(C1−C6)アルキルアミノスルホニル、−SO2NHR11、−SO2N(R112、−OC(O)N[(C1−C6)アルキル]2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、−(CH2pCN、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ−(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)アルキルジ−(C1−C6)アルキルアミノ、−(CH2pNR1314、−(CH2pCONR1314、−(CH2pCOOR12、−CH=NOH、−CH=NO−(C1−C6)アルキル、トリフルオロメチルチオ、
【化102】

からなる群より独立して選択され;
11およびR12は、各々独立して水素、(C1−C6)アルキルまたはC3−C8シクロアルキルであり;
13およびR14は、各々独立して水素、(C1−C6)アルキルまたはC3−C8シクロアルキルであるか、あるいはR13およびR14はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、SまたはNから選択される2つまでの原子を場合により含有する4〜6員の飽和環を形成することができ;
pは0または1である)
であり;
AがA1またはA2であり、A1
【化103】

から選択され;そしてA2
【化104】

から選択され、但しAがA2である場合には、BはB2であり、B2
【化105】

(式中、R15およびR16は水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、シアノ、−CF3およびハロゲンからなる群より独立して選択される)
であり;
式中、
17a、R17bおよびR17cは、水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アリールオキシおよびヒドロキシ(C1−C6)アルキルからなる群より各々独立して選択され;
uは整数0、1、2、3または4であり;
vは整数1、2、3または4であり;
rは0または1であり;
18は水素またはC1−C6アルキルであり;そして
19はシクロアルキルアミンまたはC4−C8シクロアルキルアミンであり、
20aおよびR20bは、水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲンまたはアリールからなる群より各々独立して選択されるか、あるいはR20aおよびR20bは、それらが結合しているアリールと一緒になって、合計10個まで環原子を有する芳香族二環を形成することができる。]
を提供する。
【0023】
この明細書および特許請求の範囲を読めば、他の実施形態は、当業者は容易に確かめ得るであろう。
【0024】
アルキルは、直鎖あるいは分岐鎖である飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例は、限定ではないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などを含む。アルキル基は、1〜約20個の、1〜約10個の、1〜約8個の、1〜約6個の、1〜約4個の、あるいは1〜約3個の炭素原子を含有することができる。アルキル基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態においては、アルキル基は、下記に述べるように4個までの置換基により置換可能である。
【0025】
アシルは、本明細書中で使用される時、Rが1〜6個の炭素原子のアルキル基である、基R−C(=O)−を指す。例えば、C2〜C7アシル基は、Rが1〜6個の炭素原子のアルキル基である、基R−C(=O)−を指す。
アルケニルは、本明細書中で使用される時、1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基を指す。アルケニル基は、好ましくは2〜6個の炭素原子を含有する。アルケニル基の例は、限定ではないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルなどを含む。いくつかの実施形態においては、アルケニル基は、下記に述べるように4個までの置換基により置換可能である。
【0026】
アルコキシは、本明細書中で使用される時、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の例は、限定ではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシなどを含む。アルコキシ基は、1〜約20個の、1〜約10個の、1〜約8個の、1〜約6個の、1〜約4個の、あるいは1〜約3個の炭素原子を含有することができる。アルコキシ基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態においては、アルコキシ基は、4個までの置換基により置換可能である。
【0027】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるアルコキシアルキルは、不飽和の(C1−C10)直鎖あるいは不飽和の(C3−C10)分岐鎖炭化水素に更に共有結合している、本明細書中で前に定義したアルコキシを指す。アルコキシアルキル基は、好ましくは、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキルである。アルコキシアルキル部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば、限定ではないが、メトキシメチル、−CH2CH(CH3)OCH2CH3および同族体、異性体などを含む。
【0028】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるアルコキシカルボニルは、特記しない限り、カルボニル基に更に結合してエステル部分を形成する、本明細書中で前に定義したアルコキシ基と定義される。アルコキシカルボニル部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば、限定ではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、デカノキシカルボニルおよび同族体、異性体などを含む。
【0029】
シクロアルキルは、本明細書中で使用される時、環化されたアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む非芳香族炭素環状基を指す。シクロアルキル基は、単環(例えば、シクロヘキシル)あるいは多環(例えば、2、3あるいは4個の融合環)の環系であることができる。シクロアルキル基は、好ましくは3〜8個の炭素原子を含有する。シクロアルキル基の例は、限定ではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカレニル(norcarnyl)、アダマンチルなどを含む。シクロアルキルの定義には、シクロアルキル環に融合した(すなわち、結合を共有する)1つまたはそれ以上の芳香族環を有する部分、例えばシクロペンタン(インダニル)、シクロヘキサン(テトラヒドロナフチル)などのベンゾ誘導体なども含まれる。
【0030】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるアルキルアミノは、アルキル基が非置換(C1−C6)直鎖の本明細書中で前に定義したアルキル基または非置換(C3−C8)の本明細書中で前に定義したシクロアルキル基である、1個のアルキル基を有する部分を指す。アルキルアミノ部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば−NH(CH3)、−NH(CH2CH3)、−NH−シクロペンチル、および同族体などを含む。
【0031】
アルキルアミノスルホニルは、スルホニル基に更に結合されている、本明細書中で前に定義したアルキルアミノ部分を指す。
【0032】
アルキルスルホニルは、本明細書中で使用される時、Rが本明細書中で前に定義したようなアルキル基である、基R−S(O)2−を指す。
【0033】
アルキニルは、本明細書中で使用される時、1個またはそれ以上の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基を指す。アルキニル基は、好ましくは2〜6個の炭素原子を含有する。アルキニル基の例は、限定ではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどを含む。いくつかの実施形態においては、アルキニル基は、下記に述べるように4個までの置換基により置換可能である。
【0034】
アリールは、本明細書中で使用される時、単環あるいは多環の芳香族炭化水素、例えば、限定ではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントラセニル、フェナントレニルなどを含む、芳香族の炭素環状基を指す。いくつかの実施形態においては、アリール基は5〜約20個の炭素原子を有する。アリール基は、好ましくは6〜14個の炭素原子を含有する。いくつかの好ましい実施形態においては、アリール基は、下記に述べるように4個までの、好ましくは2個までの置換基を場合により含有する、フェニルあるいはナフチル基である。
【0035】
アロイルは、本明細書中で使用される時、Arが上記に定義するようなアリールである、基Ar−C(=O)−を指す。例えば、C7−C15アロイル部分は、Arが芳香族の6〜14員の炭素環である、基Ar−C(=O)−を指す。
【0036】
アリールアルキルまたはアラルキルは、本明細書中で使用される時、式−アルキル−アリールの基を指す。好ましくは、このアリールアルキル基のアルキル部分は、低級アルキル基、すなわちC1-6アルキル基、更に好ましくはC1−C4アルキル基である。アラルキル基の例は、限定ではないが、ベンジルおよびナフチルメチル基を含む。いくつかの好ましい実施形態においては、アリールアルキル基は、4個までの、好ましくは2個までの置換基により場合により置換可能である。
【0037】
アリールオキシは、本明細書中で使用される時、アリールが本明細書中で定義されている通りであり、例えば、限定でないが、フェノキシである、−O−アリール基を指す。
【0038】
二環系は、本明細書中で使用される時、合計6〜20個の環原子、好ましくは合計8〜12個の環原子、そして最も好ましくは合計10個の環原子と、O、SおよびNから選択される0〜3個の環ヘテロ原子、好ましくは1個の環ヘテロ原子を有する飽和、部分飽和の、あるいは芳香族の二環を指す。例示の二環系は、限定ではないが、ナフチル、キノリンおよびイソキノリンを含む。
【0039】
カルバモイルは、本明細書中で使用される時、基−C(=O)N<を指す。
【0040】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるカルボニルは、二重結合により酸素原子と更に結合した二価の1個の炭素部分を指す。例は
【化106】

である。
【0041】
カルボキシは、本明細書中で使用される時、−COOHを指す。
シアノは、本明細書中で使用される時、CNを指す。
【0042】
シクロアルキルアルキルは、本明細書中で使用される時、式−アルキル−シクロアルキル(式中、アルキルおよびシクロアルキルが本明細書中で前に定義した通りである)の基、例えばシクロプロピルメチル基を指す。
【0043】
シクロアルキルカルボニルは、本明細書中で使用される時、式−カルボニル−シクロアルキル(式中、シクロアルキルが本明細書中で前に定義した通りである)の基、例えばシクロヘキシルカルボニルを指す。
【0044】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるジアルキルアミノは、アルキル基が非置換(C1−C6)直鎖の本明細書中で前に定義したアルキル基または非置換(C3−C8)の本明細書中で前に定義したシクロアルキル基である、2つの独立のアルキル基を有する部分を指す。この2つの基は、一緒に連結されて、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有する不飽和のシクロアルキルアミノ基を形成し得る。ジアルキルアミノ部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば、限定ではないが、−N(CH32、−N(CH2CH32、−NCH3(CH2CH3)、
【化107】

および同族体などを含む。
【0045】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるジアルキルアミノアルキルは、1〜6個の炭素原子の直鎖アルキル基に更に共有結合した、本明細書中で前に定義したジアルキルアミノ部分を指す。ジアルキルアミノアルキル部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば、限定ではないが、−CH2N(CH32、−CH2CH2N(CH2CH32、−CH2CH2CH2NCH3(CH2CH3)および同族体などを含む。
【0046】
ハロまたはハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0047】
ヒューニッヒ塩基は、本明細書中でi−Pr2NEtとも表示される、N,N−ジイソプロピルエチルアミンである。
【0048】
ヒドロキシまたはヒドロキシルは、本明細書中で使用される時、OHを指す。
【0049】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるヒドロキシアルキルは、(C1−C10)直鎖の炭化水素、好ましくはヒドロキシル基により末端置換されている(C1−C6)アルキルを指す。ヒドロキシアルキル部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば、限定ではないが、−CH2OH、−CH2CH2OH、−CH2CH2CH2OHおよび高級同族体を含む。
【0050】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるニトロは、−NO2として本明細書中で定義されている。
【0051】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるチオアルキルは、上記に定義したように、アルキル基、好ましくは、C1−C6アルキル基に共有結合したイオウとして本明細書中で定義されている。
【0052】
本明細書中で使用される時、「場合により置換されている」は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、C1−C6アルキル基またはC1−C6アルコキシ基から独立して選択される1〜約5個の置換基、好ましくは1〜約4個の置換基、更に好ましくは1〜約3個の置換基、最も好ましくは1〜約2個の置換基を有する部分を指す。好ましい置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1−C6アルキル基である。
【0053】
本明細書中の種々の個所で、本発明の化合物の置換基は、基または範囲で開示されている。本発明は、このような基と範囲の構成員の各々および全部の個別の下位組み合わせを含むということが特に意図されている。例えば、用語C1−C6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルなどを個別に開示すると特に意図されている。
【0054】
いくつかの実施形態においては、本発明は、AがA1である、化合物を提供する。
【0055】
いくつかの実施形態においては、A1
【化108】

である。
【0056】
いくつかの実施形態においては、A1
【化109】

である。
【0057】
いくつかの実施形態においては、A1
【化110】

である。
【0058】
いくつかの実施形態においては、BはB1であり、そしてB1
【化111】

である。
【0059】
いくつかの実施形態においては、BはB1であり、そしてB1
【化112】

である。
【0060】
いくつかの実施形態においては、本発明は、AがA2であり、そしてBがB2である、式Iの化合物を提供する。
【0061】
いくつかのこのような実施形態においては、A2
【化113】

である。
【0062】
他のこのような実施形態においては、A2
【化114】

である。
【0063】
いくつかの実施形態においては、本発明は、式II
【化115】

(式中、R1〜R3、A1およびB1は上記に定義されている通りである)
により表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態においては、本発明は、A1
【化116】

である、式IIのこのような化合物を提供する。
【0065】
いくつかの実施形態においては、本発明は、uが2である、式IIのこのような化合物を提供する。
【0066】
いくつかの実施形態においては、本発明は、rが0である、式IIのこのような化合物を提供する。
【0067】
いくつかの実施形態においては、本発明は、A1
【化117】

である、式IIのこのような化合物を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態においては、本発明は、B1
【化118】

である、式IIのこのような化合物を提供する。
【0069】
いくつかのこのような実施形態においては、R5〜R10の各々は水素である。いくつかの実施形態においては、R8〜R10の1つはアルキルであり、いくつかの好ましい実施形態においては、R8〜R10の1つはメチルである。
【0070】
他の実施形態においては、B1
【化119】

である。
【0071】
いくつかの実施形態においては、R8〜R10の1つはアルコキシであり、好ましくは、前記R8〜R10の1つはメトキシである。
【0072】
他の実施形態においては、B1
【化120】

である。
【0073】
いくつかの実施形態においては、本発明は、A1
【化121】

である、式Ilの化合物を提供する。
【0074】
いくつかのこのような実施形態においては、vは1である。他の実施形態においては、rは0である。更なる他の実施形態においては、vは1であり、そしてrは0である。いくつかのこのような実施形態においては、この環窒素は3位にある。
【0075】
1
【化122】

であり、そして
1
【化123】

である、式IIの化合物。
【0076】
いくつかのこのような実施形態においては、R5〜R10の各々は水素である。いくつかの実施形態においては、R8〜R10の1つはアルキルであり、好ましくは前記R8〜R10の1つはメチルである。
【0077】
いくつかの実施形態においては、本発明は、A1
【化124】

である、式IIの化合物を提供する。
【0078】
本発明の他の実施形態は、式III
【化125】

(式中、R1〜R3、A2およびB2は上記に定義されている通りである)
により表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0079】
いくつかのこのような実施形態においては、本発明は、A2
【化126】

である、式IIIの化合物を提供する。
【0080】
いくつかのこのような実施形態においては、uは0である。いくつかのこのような実施形態においては、R20aはハロゲン、好ましくは塩素である。
【0081】
いくつかの実施形態においては、本発明は、R20aおよびR20bは、それらが結合しているアリールと一緒になって、二環構造物を形成する、式IIIの化合物を提供する。いくつかの実施形態においては、この二環構造物はナフタレンである。
【0082】
いくつかの実施形態においては、本発明は、R20aがアリール、好ましくはフェニルである、式IIIの化合物を提供する。
【0083】
いくつかの実施形態においては、本発明は、A2
【化127】

である、式IIIの化合物を提供する。
【0084】
いくつかの実施形態においては、A2
【化128】

である、式IIIの化合物を提供する。
【0085】
いくつかの実施形態においては、本発明は、R20aがアルキル、特にC(CH33である、式IIIの化合物を提供する。
【0086】
いくつかの実施形態においては、本発明は、A2
【化129】

である、式IIIの化合物を提供する。
【0087】
いくつかのこのような実施形態においては、B2
【化130】

であり、そしてR15またはR16の1つはハロゲン、特に塩素である。
【0088】
いくつかのこのような実施形態においては、R15またはR16の他方はアルキル、特にメチルである。いくつかの好ましい実施形態においては、R15は4−クロロであり、そしてR16は2−メチルである。
【0089】
いくつかの例示の化合物は、限定ではないが、次の表中のものを含む。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【0090】
この技術を実施する者ならば、本発明の化合物のいくつかは、種々の置換基の定義によって1つまたはそれ以上の不斉中心を含有することができ、そしてエナンチオマーおよびジアステレオマーを生じることができるということを理解する。本発明は、個々のジアステレオマーと分割され、エナンチオマー的に純粋なRおよびS立体異性体を含むすべての立体異性体;ならびにラセミ体、すべてのRおよびS立体異性体の他の混合物およびこれらの医薬的に許容し得る塩であって、指示された活性を有するものを含む。光学異性体は、当業者には公知の標準の手順により純粋な形態で入手され得る。本発明は、すべての可能な位置異性体、E−Z異性体、エンド−エクソ異性体およびこれらの混合物であって、指示された活性を有するものを包含するということも理解される。このような異性体は、当業者ならば、公知の標準の手順により純粋な形態で入手可能である。
【0091】
この技術を実施する者ならば、本発明の化合物のいくつかは、種々の置換基の定義によって回転障害によりキラルであり得、そして当業者には公知の標準の手順により純粋な形態で分割および入手可能なアトロップ異性体を生じるということを理解する。本発明の化合物のすべての多形体および水和物も本発明に含まれる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書中で開示されている化合物の医薬的に許容し得る塩も含む。「医薬的に許容し得る塩」は、医薬的に許容し得る塩基と本明細書中で開示されている化合物の付加により形成されて、対応する塩を形成するいかなる化合物も意味する。用語「医薬的に許容し得る」とは、毒物学の観点から医薬適用での使用に許容し得、そして活性成分と有害な相互作用をしない物質の意味である。医薬的に許容し得る塩は、一塩および二塩を含めて、限定ではないが、有機および無機酸、例えば、限定ではないが、酢酸、乳酸、クエン酸、ケイ皮酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリシル酸、安息香酸および同様に公知の許容し得る酸から誘導されるものを含む。
【0093】
方法
化合物を調製するための一般的な合成スキーム
本発明の化合物は、下記に概述する一般的な方法の1つまたはそれ以上にしたがって調製可能である。
【0094】
Bが
【化131】

であるB1であり、そして
1
【化132】

である、一般式(II)の化合物は、スキームIに示すように好都合に調製可能である。
【0095】
【化133】

【0096】
上記の好ましい方法によれば、式(1)(式中、R1、R2およびR3が本明細書中で前に定義されている)の三環アゼピンは、非プロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、1,4−ジオキサン中で約−10℃〜還流の範囲の温度で、アシルハライド、好ましくは酸クロリド(式中、XはClである)と反応して、式(2)(式中、Yはハロアルキル、好ましくはクロロアルキルである)の所望の中間体を提供する。周囲温度〜溶媒の還流温度まで、または溶媒の不在下においては反応物の融点までの範囲の温度で、式(2)の中間体と式(3)の適切なアミンとを以降に反応させることによって、式(II)(式中、R1、R2、R3およびAは本明細書中で前に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。ここで、式(3)のアミンは、適切に置換されたピリジルアミンあるいはジアルキルアミンである。式(1)の化合物は、酸化剤、例えば、限定ではないが、文献で公知の過酸または他のピリジン酸化剤により−40℃〜周囲温度の範囲の温度で処理することによりこれらのN−オキシドに更に変換可能である。
【0097】
Bが
【化134】

であるB1であり、そしてA1
【化135】

である、一般式(II)の化合物を調製する好ましい方法を下記のスキームIlに示す。
【0098】
【化136】

【0099】
このように、式(1)(式中、R1、R2およびR3は本明細書中で前に定義されている)の三環アゼピンは、非プロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、N−メチル−2−ピロリジノンの存在下において周囲温度〜還流温度、または溶媒の不在下においては反応物の融点までの範囲の温度で、そして有機塩基、例えば、限定ではないが、2,6−ルチジンの存在下または不在下においてアシルハライド、好ましくは式(4)(式中、YはClである)の酸クロリドと反応して、式(II)(式中、R1、R2、R3およびA1は本明細書中で前に定義されている)の所望の中間体を提供する。スキームIIの式(II)の化合物は、酸化剤、例えば、限定ではないが、文献で公知の過酸または他のピリジン酸化剤により−40℃〜周囲温度の範囲の温度で処理することによりこれらのN−オキシドに更に変換可能である。
【0100】
式(III)(式中、R1、R2、R3、A2およびB2は本明細書中で前に定義されている)の化合物は、スキームIIIに示すように式(5)の三環ジアゼピンと酸ハライド、好ましくは式(4)(式中、YはClである)の酸クロリドとをスキームIIの条件下で反応させることにより調製可能である。
【0101】
【化137】

【0102】
スキームIIIの式(III)(式中、A2はピリジン部分を含有する)の化合物は、酸化剤、例えば、限定ではないが、文献で公知の過酸または他のピリジン酸化剤により−40℃〜周囲温度の範囲の温度で処理することによりこれらのN−オキシドに更に変換可能である。
【0103】
スキームIの式(1)(式中、Bは
【化138】

であるB1である)の三環ジアゼピンは、スキームIVに示すように好都合に調製可能である。
【0104】
【化139】

【0105】
このように、式(6)の三環ジアゼピンは、無機塩基、例えば、限定ではないが、炭酸カリウムの存在下において、あるいは有機塩基、例えば、限定ではないが、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンまたは三級アミン、例えば、限定ではないが、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはN,N−ジメチルアニリンの存在下において、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサン中、−5℃〜50℃の範囲の温度で、適切に置換されたアシル化剤、好ましくは適切に置換された式(7)(式中、JはそれぞれCOClまたはCOBrである)のアシルクロリドまたはアシルブロミドにより処理されて、一般式(1)(式中、B1は本明細書中で前に定義されている)の中間体を与える。
【0106】
あるいは、式(7)のアシル化種は、対応するカルボン酸の混合酸無水物、例えば、限定ではないが、Inanaga et al., Bull.Chem.Soc.Jpn.52, 1989(1979)の手順にしたがって前記酸を2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドにより非プロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中で処理することにより調製されるものであることができる。溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中、そして有機塩基、例えば、限定ではないが、4−(ジメチルアミノピリジン)の存在下において、0℃〜溶媒の還流温度の範囲の温度で、一般式(7)の前記混合酸無水物を式(6)の三環ジアゼピンにより処理することによって、スキームIVの中間体のアシル化誘導体(1)が得られる。
【0107】
式(7)のアシル化中間体は、B基との適合性と、式(6)の三環ジアゼピンとの反応性に基づいて最終的に選択される。
【0108】
スキームIVの式(7)(式中、BはB1であり、B1
【化140】

である)の所望の中間体は、スキームVに示すような方法により好都合に調製可能である。このように、式(8)(式中、Pgはカルボン酸保護基であり、好ましくはPgはアルキルまたはベンジルであり、MはI、Br、Cl、OTfであり、そしてR5、R6およびR7は本明細書中で前に定義されている)の適切に置換されているアリールアイオダイド、アリールブロミド、アリールクロリドまたはアリールトリフルオロメタンスルホネートは、Pd(0)触媒の存在下において、そして無機塩(例えば、LiClまたは銅(I)塩)の存在下または不在下において、式(9)(式中、TはSn(アルキル)3、好ましくはSn(n−Bu)3であり、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)のアリールトリ(アルキル)スズ(IV)誘導体と反応して、式(10)の中間体エステルを与える。カルボキル基を加水分解、水素化分解または当分野で公知の類似の方法により以降に脱マスキングし、続いて式(11)の中間体の酸を活性化することによって、式(6)の三環ジアゼピンとのカップリングに好適な、式(7)(式中、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の所望の化合物が得られる。
【0109】
【化141】

【0110】
スキームIVの式(7)(式中、BはB1であり、B1
【化142】

である)の所望の中間体は、式(9)の中間体を適切に置換されたナフチル中間体により置き換えることによりスキームVで例示されているものと類似の方法で調製可能である。
【0111】
あるいは、スキームVの式(10)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化143】

である)の所望の中間体は、パラジウム触媒、例えば、限定ではないが、酢酸パラジウム(II)またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および有機塩基、例えば、限定ではないが、トリエチルアミンまたは無機塩基、例えば、限定ではないが、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムもしくは炭酸セシウムの存在下において、テトラブチルアンモニウムブロミドまたはテトラブチルアンモニウムヨーディドを添加してまたは添加せず、溶媒混合物、例えば、限定ではないが、トルエン−エタノール−水、アセトン−水、水または水−アセトニトリル中、周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で、式(8)(式中、MはI、Br、ClまたはOTfである)の中間体と式(9)(好ましくは、TはB(OH)2である)の適切に置換されたアリールホウ素誘導体をカップリングすることによって調製可能である(Suzuki, Pure & Appl. Chem. 66, 213-222(1994), Badone et al., J. Org. Chem. 62, 7170-7173(1997), Wolfe et al. J. Am. Chem. Soc.121, 9559(1999), Shen, Tetr. Letters 38, 5575(1997))。このハライドおよびボロン酸中間体をスズキ型カップリングするための厳密な条件は、基質および置換基の性状に基づいて選択される。スキームVの式(10)の所望の中間体は、溶媒、例えば、限定ではないが、ジオキサン中、リン酸カリウムおよびPd(0)触媒の存在下において、スキームVの式(8)(式中、MはBrである)のブロミドおよび式(9)のボロン酸から同じように調製可能である。
【0112】
あるいは、式(9)(式中、TはBr、IまたはOTfである)のアリールハライド(またはトリフルオロメタンスルホネート)をピナコラトボロネート、またはボロン酸または式(8)(式中、Mは
【化144】

、B(OH)2またはSnBu3である)のトリアルキルスズ(IV)誘導体とパラジウム触媒により交差カップリング反応することによって、式(10)の所望の中間体が得られ、これはスキームVの方法で式(1)の化合物に変換される。
【0113】
スキームVの式(10)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化145】

である)の所望の中間体は、式(9)の中間体を適切に置換されたナフチル中間体により置き換えることにより類似の方法で調製可能である。
【0114】
スキームVの式(8)(式中、MはBrまたはIである)の必要とされる適切に置換されているアリールハライドは、市販されているか、あるいは当分野で公知であるか、あるいはStreet et al, J. Med. Chem.36, 1529(1993)およびCoffen et al., J. Org. Chem. 49, 296(1984)の手順に本質的にしたがって、式(8)(式中、PgはH、アルキルまたはベンジルであり、そしてMはNH2である)の対応する置換されたアニリンをジアゾ化し、続いて酸性の水性媒体中、中間体ジアゾニウム塩とヨードおよびヨウ化カリウムとを、あるいは臭化銅(I)とをそれぞれ反応させることにより定量的な収率と高い純度で容易に入手可能である(March, Advanced Organic Chemistry, 3rd Edn., p. 647-648, John Wiley & Sons, New York(1985))。
【0115】
あるいは、スキームVの式(11)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化146】

である)の所望の中間体は、式(13)(式中、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているピナコラトボロネートをIshiyamaら、Tetr. Lett. 38, 3447-3450(1997)およびGiroux et al., Tetr. Lett. 38, 3841-3844(1997)の一般的な手順にしたがって式(14)(式中、WはOTf、BrまたはIであり、R5、R6およびR7は本明細書中で上記に定義されている)のアリールトリフレートまたはアリールハライドと交差カップリング反応し、続いて式(15)の中間体ニトリルを塩基性あるいは酸性で加水分解することによりスキームVIに示すように好都合に調製可能である(March, Advanced Organic Chemistry,3rd Edn., John Wiley & Sons, New York, p.788(1985)を参照)。
【0116】
【化147】

【0117】
あるいは、式(12)(式中、LはBr、Cl、IまたはOTfである)中間体と式(13)(式中、WはB(OH)2またはSnBu3である)の誘導体とを反応させることによって、式(15)の所望の中間体が得られ、これはスキームVIの方法で中間体(11)に変換される。
【0118】
スキームVIの式(15)(式中、BはB1であり、B1
【化148】

である)の所望の中間体は、式(13)の中間体を適切に置換されたナフチル中間体により置き換えることにより類似の方法で調製可能である。
【0119】
スキームVIの式(13)の所望のフェニルボロン酸エステルは、式(16)のビス(ピナコラト)ジボロンと適切に置換されたアリールハライドまたは式(12)(式中、LはOTfである)のアリールトリフレートとをパラジウム触媒により交差カップリング反応させることにより好都合に調製可能である。式(12)の好ましいアリールハライドにおいては、LはBrまたはIである。この反応は、Ishiyamaら、J. Org. Chem. 60, 7508-7510(1995)およびGirouxら、Tetr.Lett.38, 3841-3844(1997)の記述手順にしたがって行われる。
【0120】
スキームIVの式(1)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化149】

である)の所望の化合物は、スキームVIIに示す方法により代替的に調製可能である。
【0121】
【化150】

【0122】
このように、式(6)の三環ジアゼピンは、適切に置換されたアシル化剤、例えば、限定ではないが、式(17)(式中、好ましくはJはCOClまたはCOBrであり、そしてKはIまたはBrであり、R5、R6およびR7は本明細書中で前に定義されている)のハロアロイルハライドにより本明細書中で前に述べた手順のいずれかを用いて処理されて、スキームVIIの一般式(18)のアシル化中間体を与える。
【0123】
あるいは、式(17)のアシル化種は、対応するカルボン酸の混合酸無水物であることができる。前記一般式(17)の混合酸無水物を式(6)の三環ジアゼピンにより前に述べた手順にしたがって処理することによって、中間体のアシル化誘導体(18)が得られる。
【0124】
式(17)のアシル化中間体は、R5、R6およびR7基との適合性と、式(6)の三環ジアゼピンとの反応性に基づいて最終的に選択される。
【0125】
触媒、例えば、限定ではないが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下において、非プロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、トルエンおよびN,N−ジメチルホルムアミド中、ほぼ周囲温度〜約150℃の範囲の温度で、式(18)(式中、KはIである)の化合物を適切に置換されている有機スズ試薬、例えば、限定ではないが、式(9)(式中、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)のトリアルキルスズ(IV)誘導体とスチル型カップリング反応することによって(Farina et.al,J.Org.Chem,59,5905(1994)および本明細書中に引用した参考文献を参照)、式(1)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。好ましくは、式(9)のトリアルキルスズ(IV)誘導体は、トリ−n−ブチルスズ(IV)誘導体(ここで、TはSnBu3である)である。
【0126】
あるいは、溶媒混合物、例えば、限定ではないが、トルエン−エタノール−水中でPd(0)触媒および塩基、例えば、限定ではないが、炭酸ナトリウムの存在下において周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で式(18)(式中、KはCl、BrまたはIである)の化合物と式(9)(式中、TはB(OH)2であり、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているアリールボロン酸とを反応させることによって、式(1)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。
【0127】
スキームVIIの式(17)(式中、KはI、Brであり;そしてJはCOClまたはCOBrであり、R5、R6およびR7は本明細書中で上記に定義されている)の好ましい置換されたアロイルクロリドまたはブロミドは、市販されているか、あるいは当分野で公知であるか、あるいは公知の化合物に対する文献中のものに類似の手順により容易に調製可能である。
【0128】
スキームVIIの式(9)(式中、TはSn(アルキル)3であり、そしてアルキルは好ましくはn−ブチルである)の中間体は、市販されているか、あるいは、式(19)(式中、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の対応するブロモ出発材料から、初めにこれらとn−ブチルリチウムとを反応させ、続いて中間体のリチウム化種とトリアルキルスズ(IV)クロリド、例えば、限定ではないが、トリメチルスズ(lV)クロリドまたはトリ−n−ブチルスズ(IV)クロリドとを反応させることにより、スキームVIIIに示すように好都合に調製可能である。
【0129】
【化151】

【0130】
式(9)(式中、TはB(OH)2である)の好ましい置換されたアリールボロン酸は、市販されているか、あるいは当分野で公知であるか、あるいは公知の化合物に対する文献中のものに類似の手順により容易に調製可能である。スキームVIIの式(1)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化152】

である)の所望の化合物は、式(9)の中間体を適切に置換されたナフチル中間体により置き換えることにより類似の方法で調製可能である。
【0131】
あるいは、スキームIXに示すように、適切に置換されているアロイルハライド、好ましくは式(20、J=COCl)(式中、R5、R6およびR7は本明細書中で上記に定義されている)のアロイルクロリドは、式(6)の三環ジアゼピンと反応して、式(21)の中間体ブロミドを与える。Pd(0)触媒、例えばテトラキス(トリ−フェニルホスフィン)パラジウム(0)および塩化リチウムまたは銅(I)塩の存在下において、(21)とヘキサアルキル−ジ−スズ(好ましくはヘキサ−n−ブチル−ジ−スズ(IV))とを以降に反応させることによって、式(22)のスタンナン(stannane)中間体が得られる。Pd(0)触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下においてトリ−n−ブチルスズ(IV)誘導体(22)と式(23、M=ブロモまたはヨードであり、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているアリールハライドとを更に反応させることによって、式(1)(式中、Bは
【化153】

であるB1であり、そしてR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の所望の化合物を得る。
【化154】

【0132】
スキームIXの式(1)(式中、BはB1であリ、B1
【化155】

である)の所望の化合物は、式(23)の中間体を適切に置換されたナフチル中間体により置き換えることにより類似の方法で調製可能である。
【0133】
あるいは、スキームIXの式(1)(式中、BはB1であリ、B1
【化156】

である)の所望の化合物は、スキームXに示すように調製可能である。
【化157】

【0134】
このように、式(24)(式中、R5、R6、R7は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているビフェニルは、溶媒、例えば、限定ではないが、アニソールまたはジオキサンの中、式(6)の三環ジアゼピン、パラジウム(0)触媒、好ましくはPdBr2(Ph3P)2および三級アミン、好ましくはn−トリブチルアミンの存在下において、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で、一酸化炭素により処理されて(Schoenberg et al., J. Org. Chem. 39, 3327(1974)を参照)、式(1)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の所望の化合物を与える。
【0135】
類似の方法で、式(24)の中間体が適切に置換されたナフチル中間体により置き換えられているという前提ならば、スキームXの式(1)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化158】

である)の化合物が調製可能である。
【0136】
スキームI〜IIIの一般式(I)と対応する式(II)および(III)(式中、BはB1またはB2であり、ここでB1は基
【化159】

から選択され、そしてB2は本明細書中で前に定義されている)の所望の化合物を調製するための好ましい方法をスキームXIに示す。
【0137】
【化160】

【0138】
このように、保護基(Pg)、例えば、限定ではないが、フルオレニルアルコキシカルボニル基、好ましくはフルオレニルメチルオキシカルボニル(PgはFmocである)基またはアルコキシカルボニル保護基、好ましくはtert−ブチルオキシカルボニル(PgはBocである)基を担持している、式(25)(式中、R1、R2およびR3は本明細書中で上記に定義されている)の三環ジアゼピンは、スキームIの条件下で酸クロリドと反応して、式(26)の所望の中間体を与える。スキームIの条件下で式(3)の適切なアミンと以降に反応させることによって、式(27)(式中、Aは本明細書中で前に定義されているA1である)の中間体が得られる。ここで、式(3)のアミンは、適切に置換されたピリジルアミンあるいはジアルキルアミンである。あるいは、スキームII〜IIIの条件下で(25)を式(4)の酸クロリドにより処理することによって、式(27)(式中、Aは本明細書中で前に定義されているA2である)の中間体も得られる。次に、式(27)の化合物は、脱保護されて、式(28)の中間体を与え、次に式(I)の所望の生成物にアシル化される。あるいは、式(26)の中間体の式(28)の中間体への変換は、適切な反応条件を選択することにより単一段階で実施可能である。
【0139】
スキームIの式(II)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化161】

であり、そしてR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の化合物を調製する好ましい方法は、スキームXIIに示すように、スキームXIの式(28)の中間体をスキームVIIの式(17)のアシル化剤によりアシル化することも使用する。溶媒混合物、例えば、限定ではないが、ジメトキシエタンおよび水あるいはアセトニトリルおよび水中、Pd(0)触媒、例えば、限定ではないが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはPd(Il)触媒、例えば、限定ではないが、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)の存在下において、そして塩基、例えば、限定ではないが、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムの存在下において、ほぼ周囲温度〜還流温度の範囲の温度で、式(29)(式中、KはBrまたはIである)の中間体を式(9)(式中、TはB(OH)2である)の適切に置換されたアリールボロン酸と以降にカップリングすることによって、式(II)の所望の化合物が得られる。
【0140】
【化162】

【0141】
あるいは、スキームIの式(II)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化163】

であり、そしてR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で前に定義されている)の好ましい化合物は、スキームXIの式(28)の中間体をスキームIXの式(20)のアシル化剤によりアシル化することによりスキームXIIIに示すように調製可能である。
【0142】
【化164】

【0143】
あるいは、スキーム(I)の式(II)(式中、BはB1であり、そしてB1
【化165】

であり、そしてR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で前に定義されている)の好ましい化合物は、スキームXIの式(28)の中間体をスキームVの式(7)(式中、Jは本明細書中で前に定義されている)のアシル化剤によりアシル化することによりスキームXIVに示すように調製可能である。
【0144】
【化166】

【0145】
スキームIIIの式(5)(式中、B2は本明細書中で前に定義されている)の三環ジアゼピンは、式(6)のジアゼピンと適切に置換されたアシル化剤、例えば、限定ではないが、式(32)(式中、JはCOClまたはCOBrである)のアリールオキシアセチルクロリドまたはアリールオキシアセチルブロミドとをスキームIVの条件下で反応させることによりスキームXVに示すように好都合に調製可能である。
【0146】
【化167】

【0147】
生物学的試験手順の簡単な説明および結果のテキスト要約
薬理学
本発明の代表的な化合物を次の試験手順で評価することにより、本発明の化合物のFSHアンタゴニスト活性を実証した。
【0148】
卵胞刺激ホルモン(FSH)アンタゴニストを同定するための卵胞刺激ホルモン受容体に依存するCRE−ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ
ヒトFSH受容体とcAMP応答性エレメントにより調整されるルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定に産生するチャイニーズハムスター卵巣細胞株を用いてヒトFSH受容体アンタゴニストの相対的な効力を同定し、決定するのにこの手順を使用した。
【0149】
材料および方法:試薬
化合物ビヒクル:適切なビヒクル、好ましくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)またはジメチルスルホキシド(DMSO)にストック化合物を30mMで可溶化した。2用量試験フォーマット用に1および20または30mMの、そして用量応答フォーマット用に1μM〜10mMの作用希釈液(working dilution)にDMSO中でこの化合物を以降に希釈した。無菌成長培地[15mM HEPES、2mM I−グルタミン、ピリドキシンヒドロクロリド、フェノールレッドおよび5% FetalCloneII(HyClone Laboratories,Inc(Logan,UT))、0.2% DMSO、100単位ペニシリンG/mlおよび100μgストレプトマイシンサルフェート/ml(GIBCO/BRL)を含有するD−MEM/F−12(GIBCO/BRL(Grand Island,NY)]中でこのDMSO希釈液を500倍に希釈した。この化合物希釈液の各々の中のビヒクルの濃度は同一であった。
【0150】
ポジティブコントロール:精製ヒトFSH(>98%)をCortex Biochem,Inc.(San Leandro,CA)から購入し、そしてWAY−162002(anFSH−Rチアゾリジノンアンタゴニスト)をWyeth Research化合物貯蔵所から入手した。
【0151】
細胞の作製
CHO FSH−R6 CRE−Luc細胞(1D7細胞)をAffymax(Palo Alto,CA)から入手した。cAMP応答性エレメントの6コピーの調節下で遺伝子組み換えのヒトFSH受容体遺伝子およびルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定に発現させるために、これらのチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)を遺伝子操作した。処理の1日前にこの細胞を96ウエルの白色不透明なプレートに成長培地中で50,000細胞/100μl/ウエルの密度で播種した。処理の日にこの成長培地を吸引によりウエルから除去し、そして50μlの新鮮な成長培地を各ウエルに添加した。この細胞を5% CO2/95%空気の加湿インキュベーター中で37℃でインキュベートした。
【0152】
アッセイ
2XEC50精製されたヒトFSH(0.8ng/ml)を含有する成長培地中で2Xの最終濃度まで希釈された試験化合物をこのウエルに添加して、100μlの0.25%(v/v)ビヒクルを含有する培地の最終容積を得た。この処理された細胞を5%CO2/95%空気の加湿インキュベーター中で37℃で4時間インキュベートした。100μlの混合試薬を各ウエルに添加する前に緩衝液1と緩衝液2を等しい比率で一緒に混合したことを除いて、メーカーの規格にしたがって市販のキット(LucScreen,Tropix,Inc.(Bedford,MA))を用いて、インキュベーション期間の終わりにルシフェラーゼ活性を化学発光により測定した。ルミノメーター(EG & GBerthold Microlumat LB96P(Wallac,Gaithersburg,MD))を用い、化学発光を1秒/ウエルの間測定して化学発光を検出した。
【0153】
LucScreen試薬の添加の前に、バックグラウンド発光を各ウエルについて測定した。
【0154】
実験群
96ウエルの2ドーズフォーマットにおいては、各化合物を各用量において二重で試験した。このコントロールも各プレート上で二重で試験した。これは、ビヒクルコントロールと3つのポジティブコントロール(EC50の精製ヒトFSHの存在におけるEC50のphFSH(0.4ng/ml)、EC100のphFSH(1000ng/ml)およびIC50の3−[(2S*,5R*)−5−{[2−(1H−インドール−3−イル)−エチルカルバモイル]−メチル}−4−オキソ−2−(5−フェニルエチニル−チオフェン−2−イル)−チアゾリジン−3−イル]−ベンザミド(2μM))からなるものであった。1つのプレートを使用して、最大22個の化合物を試験した。
【0155】
96ウエルの用量応答フォーマットにおいては、各化合物をEC50の精製ヒトFSHの存在における各々6用量で三重で試験した。精製ヒトFSH単独のEC50を各試験化合物と共に三重で試験した。初期の2用量スクリーング法から各化合物の試験に選択される用量を外挿した。ポジティブコントロールおよび品質コントロールに対する用量応答(0.03、0.1、0.3、1、3、10および30ng/ml)において、この試験化合物と共に精製ヒトFSHも試験した。1つのプレートを3つの試験化合物とFSHポジティブコントロールについて使用した。
【0156】
結果の分析
ルシフェラーゼ活性を相対的な光単位/秒/ウエルとして表す。アンタゴニストにおけるルシフェラーゼ活性を適切なネガティブおよびポジティブコントロールと比較した。2用量試験に対しては、結果をルシフェラーゼ活性として報告し、そしてEC50のFSHから得られる応答の%阻害として表した。用量応答試験に対しては、結果をIC50値として示した。適切な重み付けおよび変換の一元配置分散分析およびBiometrics(Wyeth Research(Princeton,NJ))により求められる関連の対応検定によりデータを統計的に解析した。適切な重み付けおよび変換とともに、Biometricsにより開発されたStat/Excelプログラムを用いて、IC50値を計算した。
【0157】
参照化合物
試験化合物を2用量フォーマットにおける精製ヒトFSHおよび3−[(2S*,5R*)−5−{[2−(1H−インドール−3−イル)−エチルカルバモイル]−メチル}−4−オキソ−2−(5−フェニルエチニル−チオフェン−2−イル)−チアゾリジン−3−イル]−ベンザミドおよび用量応答フォーマットにおけるEC50濃度の精製ヒトFSHの効果と比較した。
【0158】
参考文献
1. Kelton, C.A, Cheng, S.V.Y., Nugent, N.P., Schweickhardt, R.L., Rosenthal, J.L., Overton, S.A., Wands, G.D., Kuzeja, J.B., Luchette, C.A., and Chappel, S.C.(1992). The cloning of the human follicle stimulating hormone receptor and its expression in COS-7, CHO, and Y-1 cells. Mol. Cell. Endocrinol. 89:141-151.
2. Tilly, J.L., Aihara, T., Nishimori, K., Jia, X.-C., Billig, H., Kowalski, K.l., Perlas, E.A., and Hsueh, A.J.W.(1992). Expression of recombinant human follicle-stimulating hormone receptor: Species-specific ligand binding, signal transduction, and identification of multiple ovarian messenger ribonucleic acid transcripts. Endocrinology 131:799-806.
3. George, S.E., Bungay, P.J., and Naylor, L.H.(1997). Evaluation of a CRE-directed luciferase reporter gene assay as an alternative to measuring cAMP accumulation. J. Biomol. Screening 2:235-240.
【0159】
FSH受容体に対するアゴニストおよびアンタゴニストのインビトロバイオアッセイ:FSH受容体に対するアゴニストおよびアンタゴニストの選択性および依存性
このアッセイを使用して、FSH−R−CRE−ルシフェラーゼ駆動のレポーターを阻害すると判明したヒットのインビトロの効力、有効性、選択性および受容体依存性を証明した。
【0160】
方法:試薬
化合物ビヒクル:ストック化合物を30mMの濃度で100%DMSO(Sigma Chemical Co.)に可溶化した。バイオアッセイにおける使用に先立ち、この化合物を0.1%(w/v)BSA(Sigma)含有のOpti−MEM(登録商標)I(Life Technologies)からなる無菌アッセイ培地中で引き続いて希釈した。このアッセイ中のDMSOの最終濃度は0.1%である。
【0161】
CHO−3D2細胞の調製
この実験の前の日に、96ウエルの組織培養プレート(Falcon)の中でCHO−3D2細胞(hFSH−R)(1)を50%Fetal Clone II(Hyclone)、2mM L−グルタミン(Life Technologies)およびペニシリン/ストレプトマイシン(100U/ml,Life Technologies)により補完されたDMEM/F12培地(Life Technologies)中に30000細胞/ウエルの密度で播種した。次に、播種された細胞を5% CO2/95%空気の加湿雰囲気中37℃でインキュベートした。
【0162】
アッセイ
アッセイの日に、細胞を0.1%(w/v)BSA(Sigma)含有のOpti−MEM(登録商標)I(Life Technologies)からなる100μl/ウエルのアッセイ培地により3回洗浄した。培地を除去し、そして100μlのアッセイ培地を各ウエルに添加した。プレートを37℃で更に30分間インキュベートした。次に、培地を除去し、そしてビヒクル、精製hFSH(>95%pure;Cortex Biochem,Inc.(San Leandro,CA))を含有する50μlのアッセイ培地中で試験化合物の存在下または不在下において細胞を37℃で30分間暴露した。50μlの0.2N塩酸を各ウエルに添加することにより、反応を終結させ、そして市販のキット(Amersham)を用いるラジオイムノアッセイ(RIA)によりcAMP蓄積を測定した。
【0163】
実験群
すべての試験化合物を約0.01〜約30μMの範囲の用量応答パラダイムで評価した。コントロールおよび試験化合物を96ウエルのフォーマットで四重で評価した。細胞をビヒクル、EC20(1.85ng/mL=53pM)のhFSHまたはEC20用量のhFSHの存在下または不在下におけるこの化合物により処理した。この化合物のhFSHにより誘起されたcAMP蓄積の阻害能をRIAにより評価した。
【0164】
すべてのアッセイにおいて、EC20濃度を計算し、そしてEC20濃度が1.85±0.4ng/mLに等しい実験のみを有効と認めた。この96ウエルのフォーマットにおいては、第1のカラムはネガティブコントロール(アッセイ培地+0.1% DMSO)を含有し、第2のカラムはポジティブコントロール、EC20のhFSH+0.1% DMSO(1.85ng/mLまたは53pM)を含有し、続いてEC20濃度(1.85ng/mLまたは53pM)のhFSHの存在下において、約0.03〜30μMの範囲の6つの濃度のこの化合物を含有していた。
【0165】
約0.1〜1000ng/mlの範囲の濃度を用いるアゴニストモードで、この試験化合物と共にFSHもポジティブコントロールとして使用した。
【0166】
選択性試験
CHO−3D2細胞についてCHO−25(hTSH−R)細胞を用いるcAMP蓄積アッセイをCHO−25細胞を50,000細胞/ウエル(2)の密度で播種したことを除いて、上記のように行った。すべての試験化合物を0.01〜30μMの範囲の用量応答パラダイムで評価した。コントロールおよび試験化合物を四重で評価した。細胞をビヒクル、EC20のhTSH(5nM;hTSH純度>98%、Cortex Biochem,Inc.)またはEC20濃度のhTSHの存在下または不在下におけるこの化合物により処理した。この化合物のhTSHにより誘起されるcAMP蓄積の阻害能をRIAにより評価した。
【0167】
0.01μM〜1000μMの範囲の濃度を用いるアゴニストモードで、この試験化合物と共にhTSHもポジティブコントロールとして使用した。
【0168】
非受容体で仲介された応答
CHO−3D2細胞についてCHO−K1(親細胞株)細胞を用いるcAMP蓄積アッセイを上述のように行った。すべての試験化合物を約0.01〜30μMの範囲の用量応答パラダイムで評価した。コントロールおよび試験化合物を四重で評価した。ビヒクル、EC20(5μMフォルスコリン、Sigma Chemical Co;このバイオアッセイのキャラクタリゼーションの間に前に計算された)でhFSHにより誘起される等価のフェムトモル/ml濃度のcAMP蓄積を誘起する5μMフォルスコリンまたは5μMフォルスコリンの存在下または不在下におけるこの化合物により細胞を処理した。この化合物のフォルスコリンにより誘起されるcAMP蓄積の阻害能をRIAにより評価した。
【0169】
0.01μM〜1000μMの範囲の濃度を用いるアゴニストモードで、この試験化合物と共にフォルスコリンもポジティブコントロールとして使用した。
【0170】
結果の分析
cAMP蓄積をフェムトモル/mlで表す。アゴニストモードでのcAMP蓄積または、この化合物のアンタゴニストモードでのhFSH、hTSHまたはフォルスコリンにより誘起されるcAMP蓄積の阻害能を適切なネガティブおよびポジティブコントロールと比較した。一元配置分散分析および最小有意差検定により求められる処理とコントロールの間の有意差によりデータを分析した。
【0171】
参照化合物
試験化合物を精製ヒトFSHの効果と比較した。このパラダイムにおいては、hFSHは、cAMP蓄積の濃度依存性増加を誘起し、見掛けのEC80=22.55ng/ml、EC50=6.03ng/mlおよびEC20=1.85ng/mlが4パラメーターのロジスチック式を用いて計算された。同一の比較をhTSHとフォルスコリンについて行った。
【0172】
生物活性
標準の薬理学試験手順で得られる結果に基づいて、本発明の化合物は、ラット卵巣顆粒膜細胞中での第2メッセンジャーcAMPおよびエストラジオールの産生を含む、インビトロのFSHの細胞機能を阻止することが示された。本発明の代表的な化合物は、FSH受容体と選択的に相互作用すると判明したが、受容体に対するFSHの結合と拮抗しない(表1)。
【0173】
このように、本発明の化合物は女性の避妊薬として有効であり得る。
【表2】

【0174】
実施例
【実施例1】
【0175】
1−{10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}−2−(ピリジン−3−イルアミノ)エタノン・ギ酸塩
【0176】
段階A:(10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10−イル)−(2,2’−ジメチル−ビフェニル−4−イル)−メタノン
50mLの塩化チオニル中の0.45g(0.002モル)の2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−カルボン酸の溶液を還流下で一夜加熱した。過剰の塩化チオニルを真空中でストリッピングした。この残渣に0.37g(0.002モル)の10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと50mLの1,4−ジオキサンを、続いて0.24g(0.002モル)のN,N−ジメチルアニリンを添加した。3時間放置した後、この反応溶液を300mLの水の中に注いで、0.6gの標記化合物を得、これを乾燥後次の段階で直接に使用した。
MS[(+)ESI,m/z]:393[M+H]+
【0177】
段階B:2−クロロ−1−[10−(2,2’−ジメチル−ビフェニル−4−カルボニル)−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル]−エタノン
0.992g(0.001モル)の段階Aの(10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10−イル)−(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)−メタノンと20mLの1,4−ジオキサン中の0.16g(0.001モル)のクロロアセチルクロリドを含有する溶液を攪拌しながら還流下で2時間加熱した。この溶媒を真空中で除去し、そしてこの残渣を次の段階で直接に使用した。
MS[(+)ESI,m/z]:469[M+H]+
【0178】
段階C:1−{10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}−2−(ピリジン−3−イルアミノ)エタノン・ギ酸塩
段階Bの粗2−クロロ−1−[10−(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−カルボニル)−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル]−エタノンに0.94g(0.010モル)の3−アミノピリジンを添加した。この反応混合物を融解温度までニートで加熱し、そしてこの温度で20分間保った。次に、これを室温まで冷却し、そしてこの残渣を水により数回洗浄して、過剰の3−アミノピリジンを除去した。この残存する粗生成物をHPLC(ギ酸/アセトニトリル/水)により精製して、標記化合物をギ酸塩として得た。
MS[(+)ESI,m/z]:527[M+H]+
【実施例2】
【0179】
1−[10−(1,1’−ビフェニル−4−イルカルボニル)−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル]−3−ピリジン−3−イルプロパン−1−オン・ギ酸塩
【0180】
1.13g(0.003モル)の(5H,10)−[(1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと0.003モルの3−ピリジン−3−イル−プロピオニルクロリドヒドロクロリド(3−ピリジニル−3−イル−プロピオン酸と塩化チオニルとの反応により生成)の混合物を融点まで加熱し、この温度をこのレベルで20分間保った。この反応混合物を室温まで冷却し、そしてこの残渣を10%重炭酸ナトリウム水溶液により中和し、次に水により洗浄した。このように得られる粗生成物をHPLC(ギ酸/アセトニトリル/水)により精製して、標記化合物をギ酸塩として得た。
MS[(+)ESI,m/z]:498[M+H]+
【実施例3】
【0181】
1−{10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}−3−ピリジン−3−イルプロパン−1−オン
【0182】
(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−(5H,11H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10−イル)−メタノン(0.503g、1.27ミリモル)、3−ピリジン−3−イル−プロピオニルクロリドヒドロクロリド塩(0.473g、2.3ミリモル)、2,6−ルチジン(0.478g、4.46ミリモル)およびN−メチル−2−ピロリジノン(1.5mL)の混合物を窒素下120℃で30分間加熱した。この混合物を30mLのジクロロメタンにより希釈した。この有機相を1N水酸化ナトリウムおよび食塩水により洗浄し、そして無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶媒を真空中で除去し、そして分取HPLC(Primesphere 10 C18 5×25cmカラム、0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水中での48%アセトニトリル、100mL/分、254nm検出)によりこの残渣を精製した。この溶出液を水酸化ナトリウム水溶液により中和し、そしてこの揮発物を真空中で除去した。この残渣をジクロロメタンにより抽出し、この抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発して、標記化合物をオフホワイト色非晶質固体として得た。
MS[(+)ESI,m/z]:528.18[M+H]+
【実施例4】
【0183】
{10−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
【0184】
段階A:4−クロロ−o−トリルオキシ酢酸クロリド
40mLの乾燥ジクロロメタン中の4−クロロ−o−トリルオキシ酢酸(17.4ミリモル)の冷たい懸濁液にオキサリルクロリド(39.15ミリモル)を、続いて1滴のN,N−ジメチルホルムアミドを添加した。泡立ちが直ちに始まった。30分後、この反応混合物を45°の油浴中で1.5時間温めた。この溶液を室温まで冷却し、そしてすべての揮発物を蒸発により除去した。更なる乾燥ジクロロメタンを添加し、そしてこれを再度真空中で蒸発させた。最後に、乾燥トルエンをこの残渣に添加し、そしてこれを減圧で蒸発させた。この粗酸クロリドを次の段階で更なる精製無しで使用した。
【0185】
段階B:10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1c][1,4]ベンゾジアゼピン
ジクロロメタン(25mL)中の段階Aの粗酸クロリド(17.4ミリモル)の溶液にジクロロメタン(25mL)中の10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン(17.4ミリモル)とトリエチルアミン(19.14ミリモル)の溶液を迅速に滴加した。室温で1時間攪拌した後、この反応混合物を0.1N水性塩酸(2×)と水(1×)により洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。この生成物を熱エチルアセテート/tert−ブチルメチルエーテル(2/1)からの結晶化により単離した。mp166〜167℃
MS[(+)ESI,m/z]:367[M+H]+
分析。C2119ClN22に対する計算値:C68.76、H5.22、N7.64。実測値:C68.53、H5.18、N7.53
【0186】
段階C:{10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル}−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
N−メチル−2−ピロリジノン(0.33mL)中の段階Bの10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン(0.68ミリモル)、4−クロロベンゾイルクロリド(1.02ミリモル)および2,6−ルチジン(1.02ミリモル)の溶液を窒素雰囲気下115℃で16時間加熱した。この冷却した反応混合物にジクロロメタン(5mL)を添加した。この有機溶液を水(2×)、1N塩酸水溶液(1×)、0.5N水酸化ナトリウム水溶液(1×)および水(1×)により洗浄した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。標記化合物を精製するためにHPLCを使用し、次に熱エチルアセテート/ヘキサンから結晶化させた。mp175〜176℃
MS[(+)ESI,m/z]:505[M+H]+
分析。C2822Cl223に対する計算値:C66.54、H4.39、N5.54。実測値:C66.58、H4.60、N5.36。
【実施例5】
【0187】
1−{10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}−3−フェニルプロパン−1−オン
【0188】
標記化合物(m.p.130〜134℃)を実施例4、段階Bの10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンとフェニルプロピオニルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:499[M+H]+
分析。C3027ClN23・0.15C5102に対する計算値:C71.75、H5.55、N5.47。実測値:C71.77、H5.54、N5.46。
【実施例6】
【0189】
{10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}(1−ナフチル)メタノン
【0190】
標記化合物(m.p.130〜134℃)を実施例4、段階Bの10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと1−ナフトイルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:521[M+H]+
分析。C3225ClN23・1.2C5102に対する計算値:C70.52、H5.56、N4.47。実測値:C70.39、H5.30、N4.60。
【実施例7】
【0191】
1,1’−ビフェニル−4−イル{10−[4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}メタノン
【0192】
標記化合物(m.p.102〜105℃)を実施例4、段階Bの10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと4−(1,1’−ビフェニル)カルボニルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:547[M+H]+
分析。C3427ClN23・C5102に対する計算値:C73.43、H5.23、N4.81。実測値:C73.34、H4.93、N4.90。
【実施例8】
【0193】
(4−tert−ブチルフェニル){10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}メタノン
【0194】
標記化合物(m.p.168℃)を実施例4、段階Bの10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと4−tert−ブチルベンゾイルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:527[M+H]+
分析。C3231ClN23に対する計算値:C72.92、H5.93、N5.31。実測値:C72.53、H5.92、N5.20。
【実施例9】
【0195】
1,1’−ビフェニル−2−イル{10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}メタノン
【0196】
標記化合物を実施例4、段階Bの10−[(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと2−(1,1’−ビフェニル)カルボニルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:547.1[M+H]+
【実施例10】
【0197】
{10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
【0198】
段階A:l0[4−クロロフェノキシ]アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン
標記化合物(mp120〜122℃)を10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと4−クロロフェノキシアセチルクロリドから実施例4、段階Bの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:353[M+H]+
分析。C2017ClN22に対する計算値:C68.09、H4.86、N7.94。実測値:C67.82、H4.87、N7.87。
【0199】
段階B:{10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
標記化合物(m.p.195℃)を実施例14の10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと4−クロロベンゾイルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:491[M+H]+
分析。C2720Cl223に対する計算値:C66.00、H4.10、N5.70。実測値:C65.67、H4.07、N5.45。
【実施例11】
【0200】
1−{10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}−3−フェニルプロパン−1−オン
【0201】
標記化合物(m.p.126〜128℃)を実施例10、段階Aの10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンとフェニルプロピオニルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:485[M+H]+
分析。C2925ClN23に対する計算値:C71.82、H5.20、N5.78。実測値:C71.52、H5.31、N5.66。
【実施例12】
【0202】
(4−tert−ブチルフェニル){10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}メタノン
標記化合物(m.p.171℃)を実施例10、段階Aの10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと4−tert−ブチルベンゾイルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:513[M+H]+
分析。C3129ClN23・0.15C5102に対する計算値:C72.12、H5.78、N5.32。実測値:C72.04、H5.51、N5.30。
【実施例13】
【0203】
1,1’−ビフェニル−4−イル{10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}メタノン
【0204】
標記化合物(m.p.155〜157℃)を実施例10、段階Aの10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと4−(1,1’−ビフェニル)カルボニルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:533.1[M+H]+
【実施例14】
【0205】
1,1’−ビフェニル−2−イル{10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}メタノン
【0206】
標記化合物を実施例10、段階Aの10−[(4−クロロフェノキシ)アセチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンと2−(1,1’−ビフェニル)カルボニルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:533.1[M+H]+
【実施例15】
【0207】
1−{10−[(2’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}−3−ピリジン−3−イルプロパン−1−オン
【0208】
標記化合物(m.p.135〜136℃)を(2’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)−(5H,11H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10−イル)−メタノンと3−ピリジン−3−イル−プロピオニルクロリドから実施例4、段階Cの方法で調製した。
MS[(+)ESI,m/z]:512.18[M+H]+
分析。C342932・0.10C5102に対する計算値:C79.39、H5.77、N8.07。実測値:C79.29、H5.88、N8.16。
【0209】
本明細書中で引用された、限定ではないが論文、テキスト、特許、特許出願書および書籍を含む、すべての参考文献は、参照により本明細書に全体が組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩:
【化1】

[式中、
1およびR2が水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C1−C6)アルコキシ、−OCF3、カルボキシ、(C1−C6アルコキシ)カルボニル、−CONH2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノおよび−NHCO[(C1−C6)アルキル]からなる群より独立して選択され;
3が水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、−C(O)(C1−C6)アルキルおよびハロゲンからなる群より選択され;
BがB1またはB2であり、B1
【化2】

(式中、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は、水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、(C2−C7)アシルオキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6アルキル)カルボニル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、ホルミル、(C3−C8)シクロアルキルカルボニル、カルボキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C8)シクロアルキルオキシカルボニル、アリール(C1−C6)アルキルオキシカルボニル、カルバモイル、−O−CH2−CH=CH2、1〜3個のハロゲン原子により置換されている(C1−C6)アルキル、トリハロメチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、OCF3、チオ(C1−C6)アルキル、−C(O)(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルにより場合により置換されている−C(O)アリール、ヒドロキシ、−CH(OH)(C1−C6)アルキル、−CH(C1−C6)(アルコキシ)(C1−C6)アルキル、ニトロ、−SO2(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルスルホニル、アミノスルホニル、(C1−C6)アルキルアミノスルホニル、−SO2NHR11、−SO2N(R112、−OC(O)N[(C1−C6)アルキル]2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、−(CH2pCN、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ−(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)アルキルジ−(C1−C6)アルキルアミノ、−(CH2pNR1314、−(CH2pCONR1314、−(CH2pCOOR12、−CH=NOH、−CH=NO−(C1−C6)アルキル、トリフルオロメチルチオ、
【化3】

からなる群より独立して選択され;
11およびR12は、各々独立して水素、(C1−C6)アルキルまたはC3−C8シクロアルキルであり;
13およびR14は、各々独立して水素、(C1−C6)アルキルまたはC3−C8シクロアルキルであるか、あるいは
13およびR14はそれらが結合している窒素と一緒になって、O、SまたはNから選択される2つまでの原子を場合により含有する4〜6員の飽和環を形成することができ;
pは0または1である)
であり;
AがA1またはA2であり、A1
【化4】

から選択され;そしてA2
【化5】

から選択され、但しAがA2である場合には、BはB2であり、B2
【化6】

(式中、R15およびR16は水素、(C1−C6)アルキルおよびハロゲンからなる群より独立して選択される)
であり;
式中、
17a、R17bおよびR17cは、水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アリールオキシおよびヒドロキシ(C1−C6)アルキルからなる群より各々独立して選択され;
uは整数0、1、2、3または4であり;
vは整数1、2、3または4であり;
rは0または1であり;
18は水素または(C1−C6)アルキルであり;そして
19はシクロアルキルアミンであり、
20aおよびR20bは、水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲンまたはアリールからなる群より各々独立して選択されるか、あるいはそれらが結合しているアリールと一緒になって、合計10個まで環原子を有する芳香族二環を形成することができる。]
【請求項2】
AがA1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1
【化7】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1
【化8】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
1
【化9】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
BがB1であり、そしてB1
【化10】

である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
BがB1であり、そしてB1
【化11】

である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
AがA2であり、そしてBがB2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
2
【化12】

である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
2
【化13】

である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
式II
【化14】

(式中、R1〜R3、A1およびB1は請求項1において定義されている通りである)
により表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項12】
1
【化15】

である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
uが2である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
rが0である、請求項12または13に記載の化合物。
【請求項15】
1
【化16】

である、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
1
【化17】

である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
5〜R10の各々が水素である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
8〜R10の一つがアルキルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
前記R8〜R10の一つがメチルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
1
【化18】

である、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
8〜R10の一つがアルコキシである、請求項16に記載の化合物。
【請求項22】
前記R8〜R10の一つがメトキシである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
1
【化19】

である、請求項16に記載の化合物。
【請求項24】
下記式:
【化20】

により表される、請求項12に記載の化合物。
【請求項25】
下記式:
【化21】

により表される、請求項12に記載の化合物。
【請求項26】
下記式:
【化22】

により表される、請求項12に記載の化合物。
【請求項27】
1
【化23】

である、請求項11に記載の化合物。
【請求項28】
vが1である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
rが0である、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】
vが1であり、およびrが0である、請求項27に記載の化合物。
【請求項31】
環窒素が3位にある、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
下記式:
【化24】

により表される、請求項27に記載の化合物。
【請求項33】
1
【化25】

である、請求項27〜32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
5〜R10の各々が水素である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
8〜R10の一つがアルキルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
前記R8〜R10の一つがメチルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項37】
1
【化26】

である、請求項11に記載の化合物。
【請求項38】
式III
【化27】

(式中、R1〜R3、A2およびB2は請求項1において定義されている通りである)
により表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項39】
2
【化28】

である、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
uが0である、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
20aがハロゲンである、請求項39または40に記載の化合物。
【請求項42】
前記R20aが塩素である、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
下記式:
【化29】

により表される、請求項39に記載の化合物。
【請求項44】
下記式:
【化30】

により表される、請求項39に記載の化合物。
【請求項45】
下記式:
【化31】

により表される、請求項39に記載の化合物。
【請求項46】
下記式:
【化32】

により表される、請求項39に記載の化合物。
【請求項47】
20aおよびR20bは、それらが結合しているアリールと一緒になって、二環構造物を形成する、請求項40に記載の化合物。
【請求項48】
前記二環構造物がナフタレンである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】

【化33】

により表される、請求項40に記載の化合物。
【請求項50】
20aがアリールである、請求項39または40に記載の化合物。
【請求項51】
前記R20aがフェニルである、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
2
【化34】

である、請求項40に記載の化合物。
【請求項53】
2
【化35】

である、請求項40に記載の化合物。
【請求項54】

【化36】

により表される、請求項52に記載の化合物。
【請求項55】

【化37】

により表される、請求項52に記載の化合物。
【請求項56】

【化38】

により表される、請求項53に記載の化合物。
【請求項57】

【化39】

により表される、請求項53に記載の化合物。
【請求項58】
20aがアルキルである、請求項39または40に記載の化合物。
【請求項59】
前記R20aがC(CH33である、請求項58に記載の化合物。
【請求項60】

【化40】

により表される、請求項59に記載の化合物。
【請求項61】

【化41】

により表される、請求項59に記載の化合物。
【請求項62】
2
【化42】

である、請求項38に記載の化合物。
【請求項63】
2
【化43】

であり、およびR15またはR16の一つがハロゲンである、請求項38〜42、47、48、50〜53、58、59または62のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項64】
前記R15またはR16が塩素である、請求項63に記載の化合物。
【請求項65】
前記R15またはR16の他方がアルキルである、請求項63または64に記載の化合物。
【請求項66】
前記アルキルがメチルである、請求項65に記載の化合物。
【請求項67】
15が4−クロロであり、およびR16が2−メチルである、請求項63に記載の化合物。
【請求項68】
一般式II
【化44】

(式中、
1〜R3およびB1は請求項11〜37のいずれか一項において定義されている通りであり、
1
【化45】

からなる群より選択され;
17a、R17bおよびR17cは、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アリールオキシおよびヒドロキシアルキルからなる群より各々独立して選択され;
uは0、1、2、3または4であり;
vは1、2、3または4であり;
rは0または1であり;
18は水素またはアルキルであり;および
19はシクロアルキルアミンである)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を調製する方法であって、
式(2)
【化46】

(式中、Yはハロ−(CH2v−である)
の化合物と
【化47】

から選択される適切なアミンとを、式IIの所望の化合物を生成するのに十分な条件下で反応させることを含む前記方法。
【請求項69】
式(2)の化合物が式(1)
【化48】

(式中、R1、R2およびR3は前に定義されている)
の三環ジアゼピンと式
XCOY
(式中、Xはハライドであり、およびYはハロ−(CH2)v−である)
のアシルハライドとを、化合物(2)を生成するのに十分な条件下で反応させることにより調製される請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記反応が非プロトン性溶媒中で起こる、請求項68または69に記載の方法。
【請求項71】
前記非プロトン性溶媒が1,4−ジオキサンである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
反応温度が−10℃〜溶媒の還流温度である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
反応がほぼ周囲温度〜反応物の融点の温度で行われる、請求項68または69に記載の方法。
【請求項74】
XがClである、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
Yがクロロアルキルである、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
一般式I
【化49】

(式中、R1〜R3、AおよびBは請求項1〜10のいずれか一項において定義されている通りである)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を調製する方法であって、式(1)
【化50】

の三環ジアゼピンと式(4)
【化51】

(式中、Yはハロゲンである)
のアシルハライドとを、式Iの所望の化合物を生成するのに十分な条件下で反応させることを含む前記方法。
【請求項77】
式III
【化52】

(式中、R1〜R3、A2およびB2は請求項38〜67のいずれか一項において定義されている通りである)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を調製する方法であって、式(5)
【化53】

の三環ジアゼピンと式(6)
【化54】

(式中、Yはハロゲンである)
の酸ハライドとを、式IIIの所望の化合物を生成するための条件下で反応させることを含む前記方法。
【請求項78】
前記反応が非プロトン性溶媒の存在下において起こる、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記非プロトン性有機溶媒がN−メチル−2−ピロリジノンである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
反応温度が周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲にある、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
反応温度が周囲温度〜反応物の融点の範囲にある、請求項76または77に記載の方法。
【請求項82】
前記反応が有機塩基の存在下において起こる、請求項76〜80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記有機塩基が2,6−ルチジンである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
式27
【化55】

(式中、R1〜R3は請求項1〜10のいずれか一項において定義されている通りであり、Pgは保護基であり、およびAは
【化56】

から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を製造する方法であって、式(26)
【化57】

(式中、YはClである)
の中間体と
【化58】

から選択される適切なアミンとを、式(27)の中間体を提供するのに十分な条件下で反応させることを含む前記方法。
【請求項85】
式(27)の化合物を脱保護して、式(28)
【化59】

の中間体を得、次に式(28)の中間体をアシル化して、式(I)
【化60】

(式中、Bは請求項1〜10のいずれか一項において定義されている通りである)
の化合物を得ることを更に含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
Pgがフルオレニルアルコキシカルボニル基またはアルコキシカルボニル基からなる群より選択される、請求項84または85に記載の方法。
【請求項87】
Pgがフルオレニルメチルオキシカルボニルである、請求項84または85に記載の方法。
【請求項88】
Pgがtert−ブチルオキシカルボニル基である、請求項84または85に記載の方法。
【請求項89】
前記式(26)の化合物が式(25)
【化61】

(式中、R1、R2およびR3は前に定義され、Pgは保護基である)
の三環ジアゼピンと酸クロリドとを、式(26)の所望の中間体を提供するのに十分な条件下で反応させることにより調製される、請求項84〜88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
式(27)
【化62】

(式中、R1〜R3は請求項1〜10のいずれか一項において定義されている通りであり、Pgは保護基であり、およびAはA2である)
の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を製造する方法であって、
式(25)
【化63】

の化合物と式(4)
ACOY (4)
の酸クロリドとを、式(27)
【化64】

(式中、Aは前に定義したA2である)
のアミドを得るのに十分な条件下で処理することを含む前記方法。
【請求項91】
式(27)の化合物を脱保護して、式(28)
【化65】

の中間体を得、次に式(28)の中間体をアシル化して、式(I)
【化66】

(式中、Bは請求項1〜10のいずれか一項において定義されている通りである)
の生成物を得ることを更に含む、請求項90に記載の方法。

【公表番号】特表2008−540564(P2008−540564A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511367(P2008−511367)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018276
【国際公開番号】WO2006/124523
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】