説明

卵胞刺激ホルモン受容体(FSH−R)アンタゴニストとしてのピロロベンゾジアゼピンおよびヘテロ環状カルボキサミド誘導体

本発明は、式(I)(式中、R、R1、R2、R3およびBは添付の明細書に定義されている通りである)の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供する。このような化合物を製造する方法も提供されている。
【化112】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書に全体が組み込まれる、2005年5月12日出願の米国特許仮出願No.60/680,235の優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は、FSH受容体上でアンタゴニスト活性を有するピロロベンゾジアゼピンおよびこれらの誘導体ならびに避妊薬としてのこれらの使用に関する。
【0003】
女性の生殖は、女性の生殖系の数区画の動的な相互作用に依存する。視床下部−脳下垂体−性腺の軸は、成熟卵の産生、排卵および受精に必要な最終的に適切な条件を生じる卵巣および子宮内膜区画に影響を及ぼす、一連の事象を編成する。特に、視床下部から放出される黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)は、脳下垂体からゴナドトロピン、黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を開始させる。これらのホルモンは、卵巣に直接に作用して、顆粒膜および卵胞膜細胞の増殖および分化を誘起することにより、選択された卵胞の発達を促進する。FSHは、アンドロゲンのエストロゲンへの芳香族化を刺激し、そして卵胞膜細胞中のLH受容体の発現を増加させる。これらの卵胞は、次に、ステロイド(エストラジオール、プロゲステロン)およびペプチド(インヒビン、アクチビン)を分泌する。エストラジオールおよびインヒビンのレベルは、月経周期の卵胞期の間排卵まで漸次増加する。インヒビンは、脳下垂体からのFSH分泌を減少させ、一方エストラジオールは視床下部および脳下垂体に作用して、中間期におけるLHサージを誘起し、排卵を生じさせる。その後、排卵後の裂けた卵胞は、プロゲステロンを産生する黄体を形成する。卵巣ホルモンは、次に、古典的な長ループのネガティブフィードバック機構によりゴナドトロピンの分泌を調整する。これらのコントロール機構を解明することによって、受胎能の増進および避妊の両方を含む、受胎能をコントロールする有効な戦略を開発する機会が提供された。FSHの作用の最近の総説としては、「FSH Action and Intraovarian Regulation」、B.C.J.M.Fauser Editor, Parthenon Publishing Group, Vol.6, 1997 and A.J.Hsueh, T.Bicsak, X.-C.Ja, K.D.Dahl, B.C.J.M. Fauser, A.B.Galway, N.Czwkala, S.Pavlou, H.Pakoff, J.Keene, I.Boime, Granulosa 「Cells as Hormone Targets:The Role of Biologically Active Follicle-Stimulating Hormone in Reproduction」, Rec. Prog. Horm. Res., 45, 209-227, 1989を参照のこと。
【0004】
現行のホルモン避妊方法は、実際、ステロイド(プロゲスチンおよびエストロゲン)であり、ゴナドトロピン分泌の長ループフィードバック阻害を調整し、ならびに精子泳動および受精などの周辺の機構に影響を及ぼすものである。FSHに対する受容体(FSH−R)の特異的なアンタゴニストの開発は、ホルモン避妊に対する代替的な戦略を提供する。このようなアンタゴニストは、FSHにより仲介される卵胞発達を阻止し、排卵の阻止を導き、所望の避妊効果を生じる。この戦略の有効性に対する支持は、女性に不妊を生じる抵抗性卵巣症候群を引き起こす機構によりもたらされる。これらの女性が経験する不妊は、非機能性FSH受容体の結果である(K.Aittomaki, J.L.D.Lucena, P.Pakarinen, P.Sistonen, J.Tapainainnen, J.Gromoll, R.Kashikari, E.-M.Sankila, H.Lehvaslaiho, A.R.Engel, E.Nieschlag, I.Huhtaniemi, A.de la Chapelle 「Mutations in the Follicle-Stimulating Hormone Receptor Gene Causes Hereditary Hypergonadotropic Ovarian Failure」Cell, 82, 959-968, 1995)。特発性男性不妊はFSH結合部位の減少と関連すると考えられるので、避妊に対するこのアプローチは男性にも適用可能であり得る。加えて、選択的なFSH欠乏の男性は、正常のテストステロンレベルで貧精子−あるいは無精子であり、正常な男性化を呈する(G.Lindstedt, E.Nystrom, C.Matthews, I.Ernest, P.O.Janson, K.Chattarjee, Clin. Lab. Med., 36, 664, 1998)。それゆえ、経口的に活性な低分子量FSHアンタゴニストは、避妊の有用な新規な方法を提供し得る。このようなアンタゴニストは、十分なエストロゲン産生および骨量におよぼす有益な影響を維持する一方で、卵胞発達と、したがって排卵を妨害すると予測可能である。
【0005】
FSHの作用は、卵巣中で排他的に発現される特異的な膜貫通Gタンパク結合受容体にこのホルモンを結合させて、アデニルシクラーゼ系を活性化させ、そして第2メッセンジャーcAMPの細胞内レベルを高めることにより仲介される(A.Mukherjee, O.K. Park-Sarge, K.Mayo, Endocrinology, 137, 3234(1996))。
【0006】
発明の概要
本発明のいくつかの実施形態は式Iの化合物またはその医薬的に許容し得る塩を含む:
【化44】

式中、
1およびR2が水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C1−C6)アルコキシ、−OCF3、カルボキシ、(C1−C6アルコキシ)カルボニル、−CONH2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノまたは−NHCO[(C1−C6)アルキル]から独立して選択され;
3が水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、−C(O)(C1−C6)アルキルまたはハロゲンから選択される置換基であり;
Bが
【化45】

[ここで、Qは
【化46】

(式中、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は、水素、アルキル、(C1−C6)アルキル、アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、アルキルオキシアルキル、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、(C2−C7)アシルオキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6アルキル)カルボニル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、ホルミル、(C3−C8)シクロアルキルカルボニル、カルボキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C8シクロアルキル)オキシカルボニル、アリール(C1−C6)アルキルオキシカルボニル、カルバモイル、−O−CH2−CH=CH2、1〜3個のハロゲン原子により置換されている(C1−C6)アルキル、トリハロメチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、OCF3、チオアルキル、チオ(C1−C6)アルキル、−C(O)アルキル、アルキルにより場合により置換されている−C(O)アリール、ヒドロキシ、−CH(OH)アルキル、−CH(アルコキシ)アルキル、ニトロ、−SO2アルキル、(C1−C6)アルキルスルホニル、アミノスルホニル、(C1−C6)アルキルアミノスルホニル、−SO2NHR11、−SO2N(R112、−OC(O)N[(C1−C6)アルキル]2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、−(CH2PCN、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ−(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)アルキルジ−(C1−C6)アルキルアミノ、−(CH2PNR1314、−(CH2PCONR1314、−(CH2PCOOR12、−CH=NOH、−CH=NO−(C1−C6)アルキル、トリフルオロメチルチオ、
【化47】

からなる群より独立して選択され;
11およびR12は水素、C3−C8シクロアルキルはたは(C1−C6)アルキルであり;
13およびR14は水素、C3−C8シクロアルキルまたは(C1−C6)アルキルであるか、あるいはR13およびR14はそれらが結合している窒素と一緒なって、O、SまたはNを場合により含有する4〜6員の飽和環を形成することができ;
pは0または1である)
である]
であり;
Rが部分
【化48】

[R15は水素または(C1−C6)アルキルであり;
Zは式−L−M
(ここで、
Lは式
【化49】

(式中、tは1〜2の整数であり;
16は水素または(C1−C6)アルキルからなる群より選択される)
を有し、
Mは
【化50】

(式中、R17およびR18は、場合により置換されているアリールであり;
19、R20、R21およびR22は、各々独立して、(C1−C6)アルキルであり;
23は、アルキル、C1−C6アルキルまたは場合により置換されている(C6−C20)アラルキルである)
からなる群より選択される)
を有する]
である。
【0007】
本発明の他の実施形態は、このような化合物またはその医薬的に許容し得る塩を製造する方法を提供する。
【0008】
本明細書の残りおよび特許請求の範囲を読めば、本発明の他の実施形態は、当業者には明白であろう。
【0009】
発明の詳細な説明
いくつかの実施形態においては、本発明は、式Iの化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供する:
【化51】

式中、
1およびR2が水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C1−C6)アルコキシ、−OCF3、カルボキシ、(C1−C6アルコキシ)カルボニル、−CONH2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノまたは−NHCO[(C1−C6)アルキル]から独立して選択され;
3が水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、−C(O)(C1−C6)アルキルまたはハロゲンから選択される置換基であり;
Bが
【化52】

[ここで、Qは
【化53】

(式中、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は、水素、アルキル、(C1−C6)アルキル、アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、アルキルオキシアルキル、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、(C2−C7)アシルオキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6アルキル)カルボニル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、ホルミル、(C3−C8)シクロアルキルカルボニル、カルボキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C8シクロアルキル)オキシカルボニル、アリール(C1−C6)アルキルオキシカルボニル、カルバモイル、−O−CH2−CH=CH2、1〜3個のハロゲン原子により置換されている(C1−C6)アルキル、トリハロメチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、OCF3、チオアルキル、チオ(C1−C6)アルキル、−C(O)アルキル、アルキルにより場合により置換されている−C(O)アリール、ヒドロキシ、−CH(OH)アルキル、−CH(アルコキシ)アルキル、ニトロ、−SO2アルキル、(C1−C6)アルキルスルホニル、アミノスルホニル、(C1−C6)アルキルアミノスルホニル、−SO2NHR11、−SO2N(R112、−OC(O)N[(C1−C6)アルキル]2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、−(CH2PCN、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ−(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)アルキルジ−(C1−C6)アルキルアミノ、−(CH2PNR1314、−(CH2PCONR1314、−(CH2PCOOR12、−CH=NOH、−CH=NO−(C1−C6)アルキル、トリフルオロメチルチオ、
【化54】

からなる群より独立して選択され;
11およびR12は水素、C3−C8シクロアルキルはたは(C1−C6)アルキルであり;
13およびR14は水素、C3−C8シクロアルキルまたは(C1−C6)アルキルであるか、あるいはR13およびR14はそれらが結合している窒素と一緒なって、O、SまたはNを場合により含有する4〜6員の飽和環を形成することができ;
pは0または1である)
である]
であり;
Rが部分
【化55】

[R15は水素または(C1−C6)アルキルであり;
Zは式−L−M
(ここで、
Lは式
【化56】

(式中、tは1〜2の整数であり;
16は水素または(C1−C6)アルキルからなる群より選択される)
を有し、
Mは
【化57】

(式中、R17およびR18は、場合により置換されているアリールであり;
19、R20、R21およびR22は、各々独立して、(C1−C6)アルキルであり;
23は、アルキル、C1−C6アルキルまたは場合により置換されている(C6−C20)アラルキルである)
からなる群より選択される)
を有する]
である。
【0010】
アシルは、本明細書中で使用される時、Rが1〜6個の炭素原子のアルキル基である、基R−C(=O)−を指す。例えば、C2〜C7アシル基は、Rが1〜6個の炭素原子のアルキル基である、基R−C(=O)−を指す。1つの好適なアシルはアセチルである。
【0011】
アルケニルは、本明細書中で使用される時、1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基を指す。アルケニル基の例は、限定ではないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルを含む。いくつかの実施形態においては、アルケニル基は、下記に述べるように4個までの置換基により置換可能である。好適なこととしては、このアルケニルは2〜6個の炭素部分である。
【0012】
アルコキシは、本明細書中で使用される時、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシなどを含む。アルコキシ基は、1〜約20個の、1〜約10個の、1〜約8個の、1〜約6個の、1〜約4個の、あるいは1〜約3個の炭素原子を含有することができる。いくつかの実施形態においては、アルコキシ基は、下記に述べるように4個までの置換基により置換可能である。
【0013】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるアルコキシアルキルは、不飽和の(C1−C10)直鎖あるいは不飽和の(C2−C10)分岐鎖炭化水素に更に共有結合している、本明細書中で前に定義したアルコキシを指す。アルコキシアルキル部分の例は、限定ではないが、化学基、例えばメトキシメチル、−CH2CH(CH3)OCH2CH3および同族体、異性体などを含む。ある実施形態においては、このアルコキシアルキル部分は、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキルあるいは(C1−C4)アルコキシ(C1−C4)アルキル部分である。
【0014】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるアルコキシカルボニルは、特記しない限り、カルボニル基に更に結合してエステル部分を形成する、本明細書中で前に定義したアルコキシ基と定義される。アルコキシカルボニル部分の例は、限定ではないが、化学基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、デカノキシカルボニルおよび同族体、異性体などを含む。
【0015】
アルキルは、直鎖あるいは分岐鎖である、飽和炭化水素基を指すと意味される。アルキル基の例は、限定ではないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などを含む。アルキル基は、1〜約20個の、1〜約10個の、1〜約8個の、1〜約6個の、1〜約4個の、あるいは1〜約3個の炭素原子を含有することができる。いくつかの実施形態においては、アルキル基は、下記に述べるように4個までの置換基により置換可能である。低級アルキルは、6個までの炭素原子を有するアルキル基を意味すると意図されている。
【0016】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるアルキルアミノは、アルキル基が非置換(C1−C6)直鎖の本明細書中で前に定義したアルキル基または非置換(C3−C8)の本明細書中で前に定義したシクロアルキル基である、1個のアルキル基を有する部分を指す。アルキルアミノ部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば−NH(CH3)、−NH(CH2CH3)、−NH−シクロペンチル、および同族体などを含む。
【0017】
単独で使用されるアルキルアミノスルホニルは、特記しない限り、本明細書中で前に定義したように、スルホニル基に更に結合されているアルキルアミノ部分である。
【0018】
アルキルスルホニルは、本明細書中で使用される時、Rが本明細書中で前に定義したようなアルキル基である、基R−S(O)2−を指す。
【0019】
アルキニルは、本明細書中で使用される時、1個以上の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基を指す。アルキニル基の例は、限定ではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどを含む。いくつかの実施形態においては、アルキニル基は、下記に述べるように4個までの置換基により置換可能である。このアルキニル部分は、好適には2〜6個の炭素原子アルキニルである。
【0020】
アロイルは、本明細書中で使用される時、Arが下記に定義するようなアリールである、基Ar−C(=O)−を指す。例えば、C6〜C14アロイル部分は、Arが芳香族の6〜14員の、あるいは5〜13員の炭素環である、基Ar−C(=O)−を指す。
【0021】
アリールは、本明細書中で使用される時、単環あるいは多環の芳香族炭化水素、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントラセニル、フェナントレニルなどを含む、芳香族の炭素環状基を指す。いくつかの実施形態においては、アリール基は5〜約20個の炭素原子を有する。いくつかの好ましい実施形態においては、アリール基は、下記に述べるように4個までの、好ましくは2個までの置換基を場合により含有するフェニルあるいはナフチル基である。このアリール部分は、好適には6〜14個の炭素原子部分である。
【0022】
アリールアルキルまたはアラルキルは、本明細書中で使用される時、式−アルキル−アリール(式中、アリールが本明細書中で前に定義した通りである)の基を指す。好ましくは、このアリールアルキル基のアルキル部分は、低級アルキル基、すなわちC1-6アルキル基、更に好ましくはC1−C3アルキル基である。アラルキル基の例は、限定ではないが、ベンジルおよびナフチルメチル基を含む。いくつかの好ましい実施形態においては、アリールアルキル基は、4個までの、好ましくは2個までの置換基により場合によりは置換可能である。
【0023】
アリールオキシは、本明細書中で使用される時、−O−アリール基(ここで、アリールは本明細書中で定義されている通りである)を指し、例えば、限定でないが、フェノキシである。
【0024】
カルバモイルは、本明細書中で使用される時、基−C(=O)N<を指す。
【0025】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるカルボニルは、特記しない限り、二重結合により酸素原子と更に結合した二価の1個の炭素部分として本明細書中で定義される。例は
【化58】

である。
カルボキシは、本明細書中で使用される時、−COOHを指す。
【0026】
シアノは、本明細書中で使用される時、CNを指す。
【0027】
シクロアルキルは、本明細書中で使用される時、環化されたアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む非芳香族炭素環状基を指す。シクロアルキル基は、単環(例えば、シクロヘキシル)あるいは多環(例えば、2、3あるいは4個の融合環)の環系であることができる。シクロアルキル基の例は、限定ではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカレニル、アダマンチルなどを含む。シクロアルキルの定義には、シクロアルキル環に融合した(すなわち、結合を共有する)1つまたはそれ以上の芳香族環を有する部分、例えばシクロペンタン(インダニル)、シクロヘキサン(テトラヒドロナフチル)などのベンゾ誘導体なども含まれる。
【0028】
シクロアルキルアルキルは、本明細書中で使用される時、式−アルキル−シクロアルキルの基、例えばシクロプロピルメチル基を指す。このアルキル基は、好適には、上記に定義したようにC1〜C6アルキルであり、そしてシクロアルキル基は上記に定義した通りである。
【0029】
シクロアルキルカルボニルは、本明細書中で使用される時、式−カルボニル−シクロアルキルの基、例えばシクロヘキシルカルボニルを指す。このシクロアルキル部分は上記に定義した通りである。
【0030】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるジアルキルアミノは、特記しない限り、アルキル基が非置換(C1−C6)直鎖の本明細書中で前に定義したアルキル基または非置換(C3−C8)の本明細書中で前に定義したシクロアルキル基である、2つの独立のアルキル基を有する部分である。この2つの基は、一緒に連結されて、不飽和の(C1−C6)−アルキレン基を形成し得る。ジアルキルアミノ部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば−N(CH32、−N(CH2CH32、−NCH3(CH2CH3)、
【化59】

および同族体などを含む。
【0031】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるジアルキルアミノアルキルは、特記しない限り、1〜6個の炭素原子直鎖アルキル基に更に共有結合した、本明細書中で前に定義したジアルキルアミノ部分である。ジアルキルアミノアルキル部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば−CH2N(CH32、−CH2CH2N(CH2CH32、−CH2CH2CH2NCH3(CH2CH3)および同族体などを含む。
【0032】
ハロまたはハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0033】
ヒューニッヒ塩基は、本明細書中でi−Pr2NEtとも表示される、N,N−ジイソプロピルエチルアミンである。
【0034】
ヒドロキシまたはヒドロキシルは、本明細書中で使用される時、OHを指す。
【0035】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるヒドロキシアルキルは、特記しない限り、ヒドロキシル基により末端で置換されている(C1−C10)直鎖炭化水素、例えば(C1−C6)アルキルとして本明細書中で定義されている。ヒドロキシアルキル部分の例は、限定ではないが、化学基、例えば−CH2OH、−CH2CH2OH、−CH2CH2CH2OHおよび高級同族体を含む。
【0036】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるニトロは、−NO2として本明細書中で定義されている。
【0037】
本明細書中で使用される時、「置換されている」は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、C1−C6アルキル基またはC1−C6アルコキシ基から独立して選択される1〜約5個の置換基、更に好ましくは1〜約3個の置換基を有する、部分、例えばアリールまたはヘテロアリールを指す。好ましい置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはC1−C6アルキル基である。
【0038】
単独で、あるいは他の用語との組み合わせで使用されるチオアルキルは、上記に定義したように、アルキル基、例えば(C1−C6)アルキル基に共有結合したイオウとして本明細書中で定義されている。
【0039】
本明細書中の種々の個所で、本発明の化合物の置換基は、基または範囲で開示されている。本発明は、このような基および範囲の構成員の各々および全部の個別の下位組み合わせを含むということが特に意図されている。例えば、用語C1-6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルなどを個別に開示すると特に意図されている。
【0040】
いくつかの実施形態は、R15およびR16が各々水素であり;およびtが1である、そのような化合物を提供する。更なる実施形態は、Mが
【化60】

からなる群より選択される化合物を提供する。
【0041】
他の実施形態においては、本発明は、Mが
【化61】

からなる群より選択される、このような化合物を提供する。
【0042】
いくつかの実施形態においては、Qは
【化62】

であり、したがってBは式
【化63】

を有する。
【0043】
いくつかの実施形態においては、本発明は、R1、R2およびR3が各々水素である、化合物を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態においては、本発明は、式
【化64】

を有する式Iの化合物またはその医薬的に許容し得る塩を提供する。いくつかのこのような実施形態においては、R5は、HまたはC1−C3アルキルから選択される。いくつかの更なる実施形態においては、R8およびR9は、H、C1−C3アルキルまたはC1−C3アルコキシから独立して選択される。
【0045】
他のこのような実施形態においては、R5は、HまたはC1−C3アルキルから選択され;そしてR8およびR9は、H、C1−C3アルキルまたはC1−C3アルコキシから独立して選択される。いくつかの更なる実施形態においては、Mは
【化65】

(式中、R17は場合により置換されているアリールである)
である。いくつかの実施形態においては、R17は、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基により場合により置換されているフェニルである。いくつかの実施形態においては、C1−C3アルコキシはメトキシである。
【0046】
いくつかの実施形態においては、R5は、HまたはC1−C3アルキルから選択され;そしてR8およびR9は、H、C1−C3アルキルまたはC1−C3アルコキシから独立して選択され、そしてMは、
【化66】

(式中、R18は場合により置換されているアリールである)
である。いくつかのこのような実施形態においては、R18は、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基により場合により置換されているフェニルである。いくつかの実施形態においては、このハロゲンは塩素である。
【0047】
いくつかの実施形態においては、R5は、HまたはC1−C3アルキルから選択され;そしてR8およびR9は、H、C1−C3アルキル、またはC1−C3アルコキシから独立して選択され、そしてMは、
【化67】

(式中、R19はC1−C6アルキル、好ましくはメチルである)
である。
【0048】
いくつかの実施形態においては、R5はHまたはC1−C3アルキルから選択され;そしてR8およびR9は、H、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシから独立して選択され、そしてMは、
【化68】

(式中、R20はC1−C6アルキル、好ましくはメチルである)
である。
【0049】
いくつかの実施形態においては、R5は、HまたはC1−C3アルキルから選択され;そしてR8およびR9はH、C1−C3アルキル、またはC1−C3アルコキシから独立して選択され、そしてMは
【化69】

(式中、R21およびR22は各々独立してC1−C6アルキルである)
である。いくつかの実施形態においては、本発明は、R21およびR22が同一である、このような化合物を提供する。いくつかの実施形態においては、R21およびR22は各々メチルである。
【0050】
いくつかの実施形態においては、R5はHまたはC1−C3アルキルから選択され;そしてR8およびR9はH、C1−C3アルキル、またはC1−C3アルコキシから独立して選択され、そしてMは
【化70】

である。
【0051】
いくつかの実施形態においては、R5はHおよびC1−C3アルキルから選択され;そしてR8およびR9はH、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシから独立して選択され、そしてMは
【化71】

(式中、R23は場合により置換されているC6−C20アラルキル、好ましくはベンジルである)
である。
【0052】
いくつかの実施形態においては、本発明は、Mが
【化72】

(式中、R17は場合により置換されているアリールである)
である、請求項1に記載の化合物を提供する。いくつかの実施形態においては、本発明は、R17は、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基により場合により置換されているフェニルである、このような化合物を更に提供する。いくつかの実施形態においては、前記R17のC1−C3アルコキシはメトキシである。
【0053】
いくつかのこのような実施形態においては、Mは
【化73】

(式中、R18は場合により置換されているアリールである)
である。いくつかのこのような実施形態においては、R18は、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基、好ましくは塩素により場合により置換されているフェニルである。
【0054】
他の実施形態においては、本発明は、式Iの化合物およびその医薬的に許容し得る塩を提供し、Mは
【化74】

(式中、R19はC1−C6アルキル、好ましくはメチルである)
である。
【0055】
他の実施形態においては、本発明は、Mが
【化75】

(式中、R20はC1−C6アルキル、好ましくはメチルである)
である、式Iの化合物およびその医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0056】
他の実施形態においては、本発明は、Mが
【化76】

(式中、R21およびR22は各々独立してC1−C6アルキルである)
である、式Iの化合物およびその医薬的に許容し得る塩を提供する。いくつかの実施形態においては、R21およびR22は同一である。いくつかのこのような実施形態においては、R21およびR22は各々メチルである。
【0057】
他の実施形態においては、本発明は、Mが
【化77】

である、式Iの化合物およびその医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0058】
他の実施形態においては、本発明は、Mが
【化78】

(式中、R23は場合により置換されているC7−C2Oアラルキル、好ましくはベンジルである)
である、式Iの化合物およびその医薬的に許容し得る塩を提供する。
【0059】
いくつかの実施形態においては、Qは
【化79】

であり、したがってBは式
【化80】

を有する。
【0060】
本明細書および特許請求の範囲を読めば、他の実施形態は、当業者には容易に確かめ得るであろう。
【0061】
式Iによる例示の化合物は、限定ではないが、次の表中のものを含む。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【0062】
この技術を実施する者ならば、本発明の化合物のいくつかは、種々の置換基の定義によって1つまたはそれ以上の不斉中心を含有することができ、そしてエナンチオマーおよびジアステレオマーを生じることができるということを理解する。本発明は、個々のジアステレオマーと分割され、エナンチオマー的に純粋なRおよびS立体異性体を含むすべての立体異性体;ならびにラセミ体、すべてのRおよびS立体異性体の他の混合物およびこれらの医薬的に許容し得る塩であって、指示された活性を有するものを含む。光学異性体は、当業者には公知の標準の手順により純粋な形態で入手され得る。本発明は、すべての可能な位置異性体、E−Z異性体、エンド−エクソ異性体およびこれらの混合物であって、指示された活性を有するものを包含するということも理解される。このような異性体は、当業者ならば、公知の標準の手順により純粋な形態で入手可能である。
【0063】
この技術を実施する者ならば、本発明の化合物のいくつかは、Bの定義によって回転障害によりキラルであり得、そして当業者には公知の標準の手順により純粋な形態で分割および入手可能なアトロプ異性体を生じるということを理解する。本発明の化合物のすべての多形体および水和物も本発明に含まれる。
【0064】
本発明は、式Iの化合物の医薬的に許容し得る塩も含む。「医薬的に許容し得る塩」は、医薬的に許容し得る塩基と式Iの化合物の付加により形成されて、対応する塩を形成するいかなる化合物も意味する。用語「医薬的に許容し得る」とは、毒物学の観点から医薬適用での使用に許容し得、そして活性成分と有害な相互作用をしない物質の意味である。医薬的に許容し得る塩は、一塩および二塩を含めて、限定ではないが、有機および無機酸、例えば限定ではないが、酢酸、乳酸、クエン酸、ケイ皮酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリシル酸、安息香酸および同様に公知の許容し得る酸から誘導されるものを含む。
【0065】
本発明の他の実施形態は、式(2)
【化81】

(式中、R1、R2、R3およびBは上記に定義されている通りである)
のトリクロロアセチル化合物と式(3)
【化82】

(式中、Rは上記に定義されている通りである)
の適切に置換されている一級あるいは二級アミンとを式(I)の化合物を得るのに十分な条件下で反応させることを含む、上記に述べた式Iの化合物またはその医薬的に許容し得る塩を調製するための方法を提供する。いくつかの実施形態においては、この反応は、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシドまたはこれらの両方の存在下において起こる。いくつかの実施形態においては、この反応は、有機塩基の存在下において起こる。いくつかの実施形態においては、この有機塩基は、三級アミン、好ましくはトリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである。いくつかの実施形態においては、この反応は、溶媒、例えば、限定ではないが、アセトニトリル中で行われる。溶媒が存在する場合には、この反応は、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度において行われる。
【0066】
いくつかの実施形態においては、式(2)のトリクロロアセチル化合物は、式(1)
【化83】

(式中、R1、R2、R3およびBは上記に定義されている通りである)
の三環アゼピンとペルハロアルカノイルハライドとを式(2)の所望のトリクロロアセチル化合物を得るのに十分な条件下で反応させることにより調製される。いくつかの実施形態においては、このペルハロアルカノイルハライドはトリクロロアセチルクロリドである。いくつかの実施形態においては、この反応は、非プロトン性有機溶媒中、有機塩基、例えば、限定ではないが、N,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下において起こる。この有機溶媒は、限定ではないが、ジクロロメタンまたは1,4−ジオキサンなどのいかなる好適な非プロトン性有機溶媒でもあり得る。いくつかのこのような実施形態においては、この反応は、約−10℃〜ほぼ周囲温度で行われる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態は、式(4)
【化84】

(式中、R1、R2、R3およびBは上記に定義され、WはOHまたはハロゲンである)
の化合物を式(3)
【化85】

(式中、Rは上記に定義されている)
の適切に置換されている一級あるいは二級アミンと、請求項1の式(I)の化合物を得るのに十分な条件下でカップリングすることを含む、式Iの化合物を製造するための方法を提供する。いくつかの実施形態においては、WはClまたはBrである。いくつかの実施形態においては、式(4)のアシルハライドの式(3)の置換アミンとのカップリングは、非プロトン性溶媒中、三級アミンに存在下において行われる。好適な非プロトン性溶媒は、限定ではないが、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランを含む。例示の三級アミンはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである。いくつかの実施形態においては、式(4)のアシルハライドの式(3)の置換アミンとのカップリングは、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度において行われる。
【0068】
他の実施形態においては、WはOHである。
【0069】
アミド化
いくつかの実施形態においては、このカップリングは、カルボン酸(4)と式(3)の一級あるいは二級アミンとを、活性化試薬またはカップリング剤の少なくとも1つの存在下において、式(I)の化合物を得るのに十分な条件下で反応させることを含む。好適な活性化剤は、限定ではないが、非プロトン性溶媒中のトリホスゲン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下におけるN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミドヒドロクロリド;または非プロトン性溶媒中のN,N’−カルボニルジイミダゾールを含む。いくつかのこのような実施形態においては、この反応は、有機塩基、例えば、限定ではないが、三級アミンの存在下において起こる。この有機塩基は、限定ではないが、N,N−ジイソプロピルエチルアミンであることができる。
【0070】
いくつかの実施形態においては、この反応は、触媒、例えば、限定ではないが、4−(ジメチルアミノ)ピリジンの存在下において行われる。
【0071】
いくつかの実施形態においては、このカップリング剤は、ヒドロキシベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルホスホリルアジド、ジエチルシアノホスホネートまたはベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートから選択される。
【0072】
アシル化
本発明のいくつかの実施形態は、式4(式中、WはOHである)の化合物の変換により製造される、式(4)
【化86】

(式中、R1、R2、R3およびBは上記に定義され、WはClまたはBrである)
の化合物を式(3)
【化87】

(式中、Rは上記に定義されている)
の適切に置換されている一級あるいは二級アミンと、式(I)の化合物を得るのに十分な条件下でカップリングすることを含む、式Iの化合物を調製するための方法を提供する。いくつかのこのような実施形態においては、この変換方法は、式4(式中、WはOHである)の化合物とチオニルハライドまたはオキサリルハライドとを反応させることを含む。いくつかの実施形態においては、変換は、非プロトン性溶媒中、無機塩基、例えば限定ではないが炭酸カリウムおよび有機塩基の少なくとも1つの存在下において起こる。いくつかの実施形態においては、この有機塩基は、限定ではないが、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンまたは三級アミン、例えば、限定ではないがトリエチルアミンを含む。好適な非プロトン性溶媒は、限定ではないが、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランを含む。いくつかの実施形態においては、変換は、約−5℃〜約50℃の温度で行われる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態は、式(1)
【化88】

(式中、R1、R2、R3およびBは上記に定義されている)
の三環ジアゼピンとジホスゲンおよび式(3)
【化89】

(式中、Rは上記に定義されている)
の一級あるいは二級アミンとを、非プロトン性溶媒中、式(I)の化合物を得るのに十分な条件下で反応させることを含む、式Iの化合物を調製する方法を提供する。限定ではないが、ジクロロメタンを含む、いかなる好適な非プロトン性溶媒も使用可能である。いくつかの実施形態においては、この反応は、有機塩基、例えば限定ではないがトリエチルアミンの存在下において起こる。
【0074】
化合物の調製の一般的な合成スキーム
本発明の化合物は、下記に概述する一般的な方法の1つまたはそれ以上にしたがって調製可能である。Bが
【化90】

であり、そしてQが
【化91】

である、一般式(I)の化合物は、スキームIに示すように好都合に調製可能である。
【化92】

【0075】
上記の好ましい方法によれば、式(1)(式中、R1、R2、R3およびBが本明細書中で前に定義されている)の三環アゼピンは、ペルハロアルカノイルハライド、好ましくはトリクロロアセチルクロリドと、非プロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタンまたは1,4−ジオキサン中、有機塩基、例えば、限定ではないが、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)の存在下において、約−10℃〜ほぼ周囲温度の温度で反応して、式(2)の所望のトリクロロアセチル中間体を提供する。還流1,4−ジオキサン中、式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級アミンあるいはジメチルスルホキシドと、式(2)の中間体とを、溶媒、例えば、限定ではないが、アセトニトリル中場合により有機塩基、例えばトリエチルアミンの存在下において、ほぼ周囲温度から溶媒の還流温度の範囲の温度で、以降に反応させることによって、式(I)(式中、R1、R2、R3およびBは本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。
【0076】
別の好ましい方法を下記のスキームIIに示す。
【化93】

【0077】
上記の好ましい方法によれば、式(2)のトリクロロアセチル中間体は、水性塩基、例えば、限定ではないが、水酸化ナトリウムにより、有機溶媒、例えば、限定ではないが、テトラヒドロフランまたはアセトン中、約−10℃〜ほぼ周囲温度の範囲の温度で、加水分解されて、式(4)の中間体の酸を生成する。式(3)の一級あるいは二級アミンにより以降にカップリングさせるためのこのカルボン酸(4)の必要とされる活性化は、いくつかの方法で実施可能である。このように、式(4)の中間体は、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、ニートで、あるいは無機塩基、例えば、限定ではないが、炭酸カリウムの存在下において、あるいは有機塩基、例えば、限定ではないが、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンまたは三級アミン、例えば、限定ではないが、トリエチルアミンの存在下において、約−5℃〜約50℃の範囲の温度で、塩化チオニル、臭化チオニル、オキサリルクロリドまたはオキサリルブロミドまたは当分野で公知の類似の試薬と反応させることにより、式(5)(式中、JはCOClまたはCOBrである)のアシルハライド、好ましくはクロリドまたはブロミドに変換されて、中間体のアシル化誘導体(5)を生成することができる。式(5)(式中、JはCOClまたはCOBrである)のアシルクロリドまたはアシルブロミドを、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、化学量論的な量のヒューニッヒ塩基の存在下において、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で、式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級アミンと以降にカップリングすることによって、式(I)(式中、R1、R2、R3およびBは本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。
【0078】
あるいは、このアシル化種は、対応するカルボン酸の混合酸無水物、例えば、限定ではないが、Inanaga et al., Bull.Chem.Soc.Jpn.52, 1989(1979)の手順にしたがって式(4)の前記酸を2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドにより非プロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中で処理することにより調製されるものであることができる。非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で、式(5)の前記混合酸無水物を式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級アミンにより処理することによって、式(I)(式中、R1、R2、R3およびBは本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。
【0079】
あるいは、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中、前記酸をトリホスゲンにより処理し、続いて有機塩基、例えば、限定ではないが、ヒューニッヒ塩基の存在下において、約−10℃〜ほぼ周囲温度の範囲の温度で活性化された中間体と式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級アミンとを反応させることにより、式(4)のカルボン酸のアミド化が有効に実施可能である。
【0080】
式(I)(式中、R1、R2、R3およびBは本明細書中で上記に定義されている通りである)の本発明の化合物を調製するための別の好ましい方法は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下において、式(4)の酸を活性化試薬、例えば、限定ではないが、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミドヒドロクロリドにより処理し、続いて非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、好ましくは有機塩基、例えば、限定ではないが、ヒューニッヒ塩基と触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジンの存在下において、約−10℃〜ほぼ周囲温度の範囲の温度で、活性化された中間体と式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級アミンとを反応させることからなる。
【0081】
別の好ましい方法においては、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中、約−10℃〜溶媒の還流温度の範囲の温度で、前記式(4)の酸は、他の活性化剤、例えば、限定ではないが、N、N’−カルボニルジイミダゾールにより処理することにより活性化可能である。活性化された中間体のイミダゾリドと式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級のアミンとの以降の反応によって、式(I)(式中、R1、R2、R3およびBは本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。
【0082】
あるいは、式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級のアミンの式(4)の前記酸とのカップリングは、有機塩基、例えば、限定ではないが、ヒューニッヒ塩基の存在下において、そして溶媒、例えば、限定ではないが、N,N−ジメチルホルムアミド中、約−10℃〜ほぼ周囲温度の範囲の温度でヒドロキシベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートをカップリング剤として使用することにより、有効に実施可能であり、式(I)(式中、R1、R2、R3およびBは本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が良好な単離収率および純度で得られる。
【0083】
関連するカップリング剤、例えば、限定ではないが、ジフェニルホスホリルアジド、ジエチルシアノホスホネート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートおよびペプチド合成においてアミド結合の形成に使用されてきた文献で知られている他のすべてのものも式(I)(式中、R1、R2、R3およびBは本明細書中で上記に定義されている通りである)の化合物の調製に使用可能である。
【0084】
式(4)の中間体カルボン酸から式(I)の化合物を調製するのに使用される方法は、R1、R2、R3およびB基との適合性と、式(1)の三環ジアゼピンとの反応性に基づいて最終的に選択される。
【0085】
(I)を調製するための別の好ましい方法をスキームIIIに示す。式(1)の三環ジアゼピンは、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中、好ましくは有機塩基、例えば、限定ではないが、トリエチルアミンの存在下においてジホスゲンと反応し、続いて生成するアシル化中間体と式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級アミンとを反応させることによって、式(I)(式中、R1、R2、R3およびBは本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。
【化94】

【0086】
スキームIの式(1)(式中、Bは
【化95】

であり、そしてQは
【化96】

である)の三環ジアゼピンは、スキームIVに示すように好都合に調製可能である。
【化97】

【0087】
このように、式(6)の三環ジアゼピンは、非プロトン性溶媒、限定ではないが、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサン中、無機塩基、例えば、限定ではないが、炭酸カリウムの存在下において、あるいは有機塩基、例えば、限定ではないが、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンまたは三級アミン、例えば、限定ではないが、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはN,N−ジメチルアニリンの存在下において、約−5℃〜約50℃の範囲の温度で、適切に置換されているアシル化剤、例えば、限定ではないが、アロイルハライド、好ましくは式(7)(式中、JはCOClまたはCOBrであり、Bは本発明の反応スキームとの適合性に基づいて最終的に選択される)の適切に置換されているアシルクロリドあるいはアシルブロミドにより処理されて、一般式(1)の中間体を与える。
【0088】
あるいは、式(7)のアシル化種は、対応するカルボン酸、例えば、限定ではないが、Inanaga et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 52, 1989(1979)の手順にしたがって非プロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中、前記酸を2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリドにより処理することにより調製されるものの混合酸無水物であることができる。溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中、そして有機塩基、例えば、限定ではないが、4−(ジメチルアミノ)ピリジンの存在下において、約0℃〜溶媒の還流温度の範囲の温度で一般式(7)の前記混合酸無水物を式(6)の三環ジアゼピンにより処理することによって、スキームIVの式(1)の中間体のアシル化誘導体が生成する。
【0089】
式(7)のアシル化中間体は、B基との適合性と式(6)の三環ジアゼピンとの反応性に基づいて最終的に選択される。
【0090】
スキームIVの式(7)(式中、Bは(a)である)の所望の中間体は、スキームVに示すような方法により好都合に調製可能である。このように、式(8)(式中、Pgはカルボン酸保護基であり、好ましくはPgはアルキルまたはベンジルであり、MはI、Br、Cl、OTfであり、そしてR5、R6およびR7は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているアリールアイオダイド(iodide)、アリールブロミド、アリールクロリドまたはアリールトリフルオロメタンスルホネートは、Pd(0)触媒の存在下において、そして無機塩(例えば、LiClまたは銅(I)塩)の存在または不在下において、式(9)(式中、TはSn(アルキル)3、好ましくはSn(n−Bu)3であり、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)のアリールトリ(アルキル)スズ(lV)誘導体と反応して、式(10)の中間体エステルを与える。カルボキル基を加水分解、水素化分解または当分野で公知の類似の方法により以降に脱マスキングし(unmasking)、続いて式(11)の中間体の酸を活性化することによって、式(6)の三環ジアゼピンとのカップリングに好適な、式(7)(式中、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の所望の化合物が得られる。
【化98】

【0091】
スキームIVの式(7)(式中、Qは(b)である)の所望の中間体は、式(9)の中間体を適切に置換されているナフチル中間体により置き換えることによりスキームVに例示されているものに類似の方法で調製可能である。
【0092】
あるいは、スキームVの式(10)(式中、Qは(a)である)の所望の中間体は、パラジウム触媒、例えば、限定ではないが、酢酸パラジウム(II)またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および有機塩基、例えば、限定ではないが、トリエチルアミンまたは無機塩基、例えば、限定ではないが、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムの存在下において、テトラブチルアンモニウムブロミドまたはテトラブチルアンモニウムアイオダイドを添加してまたは添加せず、溶媒混合物、例えば、限定ではないが、トルエン−エタノール−水、アセトン−水、水または水−アセトニトリル中、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で、式(8)(式中、MはI、Br、ClまたはOTfである)のアイオダイド、ブロミド、クロリドまたはトリフルオロメタンスルホネートを式(9)(式中、好ましくはTはB(OH)2である)の適切に置換されているアリールボロン誘導体とカップリングすることにより調製可能である(Suzuki, Pure & Appl. Chem. 66, 213-222(1994), Badone et al., J. Org. Chem. 62, 7170-7173(1997), Wolfe et al. J. Am. Chem. Soc.121, 9559(1999), Shen, Tetr. Letters 38, 5575(1997))。このハライドおよびボロン酸中間体をスズキ型カップリングするための厳密な条件は、基質および置換基の性状に基づいて選択される。スキームVの式(10)の所望の中間体は、溶媒、例えば、限定ではないが、ジオキサン中、リン酸カリウムおよびPd(0)触媒の存在下において、式(8)(式中、MはBrである)のブロミドおよび式(9)のボロン酸から同じように調製可能である。
【0093】
あるいは、アリールハライドまたは式(9)(式中、TはBr、IまたはOTfである)のトリフルオロメタンスルホネートを式(8)(式中、Mは
【化99】

、B(OH)2またはSnBu3である)のピナコラト誘導体とパラジウム触媒により交差カップリング反応することによって、式(10)の所望の中間体が得られ、これはスキームVの方法において式(1)の化合物に変換される。
【0094】
スキームVの式(10)(式中、Qは(b)である)の所望の中間体は、式(9)の中間体を適切に置換されているナフチル中間体により置き換えることにより類似の方法で調製可能である。
【0095】
スキームVの式(8)(式中、MはBrまたはIである)の必要とされる適切に置換されているアリールハライドは、市販されているか、もしくは当分野で公知であるか、またはStreet et al, J. Med. Chem.36, 1529(1993)およびCoffen et al., J. Org. Chem. 49, 296(1984)の手順に本質的にしたがって、式(8)(式中、PgはH、アルキルまたはベンジルであり、そしてMはNH2である)の対応する置換されたアニリンをジアゾ化し、続いて酸性の水性媒体中、中間体ジアゾニウム塩とヨードまたはヨウ化カリウムと反応させるか、あるいは臭化銅(I)とそれぞれ反応させることにより定量的な収率と高い純度で容易に入手可能である(March, Advanced Organic Chemistry, 3rd Edn., p. 647-648, John Wiley & Sons, New York(1985))。
【0096】
あるいは、スキームVの式(11)(式中、Qは(a)である)の所望の中間体は、式(13)(式中、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているピナコラトボロネートをIshiyamaら、Tetr. Lett. 38, 3447-3450(1997)およびGiroux et al., Tetr. Lett. 38, 3841-3844(1997)の一般的な手順にしたがって式(14)(式中、WはOTf)のアリールトリフレートまたはアリールハライド(ここで、ハライドはBrまたはIである)(R5、R6およびR7は本明細書中で上記に定義されている)と交差カップリング反応し、続いて式(15)の中間体ニトリルを塩基性あるいは酸性で加水分解することによりスキームVlに示すように好都合に調製可能である(March, Advanced Organic Chemistry,3rd Edn., John Wiley & Sons, New York, p.788(1985)を参照)。
【化100】

【0097】
あるいは、式(12)(式中、LはBr、Cl、IまたはOTfである)のアイオダイド、ブロミド、クロリドまたはトリフルオロメタンスルホネートと式(14)(式中、WはB(OH)2またはSnBu3である)のボロン酸またはトリアルキルスズ(IV)誘導体とを反応させることによって、式(15)の所望の中間体が生成し、これはスキームVlの方法において式(11)の化合物に変換される。
【0098】
スキームVlの式(15)(式中、Qは(b)である)の所望の中間体は、式(13)の中間体を適切に置換されているナフチル中間体により置き換えることにより類似の方法で調製可能である。
【0099】
スキームVlの式(13)の所望のフェニルボロン酸エステルは、Ishiyamaら、J. Org. Chem. 60, 7508-7510(1995)およびGirouxら、Tetr.Lett.38, 3841-3844(1997)の公表された手順にしたがって、式(16)のビス(ピナコラト)ジボロンを式(12)(式中、LはBr、Iまたはアリールトリフレート(式中、LはOTfである))の適切に置換されているアリールハライドと、好ましくはブロミドまたはアイオダイドと、パラジウム触媒で交差カップリング反応することにより好都合に調製可能である。
【0100】
スキームIVの式(1)(式中、Qは(a)である)の所望の化合物は、別法としてスキームVIIに示す方法により調製可能である
【化101】

【0101】
このように、式(6)の三環ジアゼピンは、本明細書中で上記に述べられた手順のいずれかを用いて、適切に置換されているアシル化剤、例えば、限定ではないが、式(17)(式中、JはCOClまたはCOBrであり;そしてKはI、Brであり、R5、R6およびR7は本明細書中で上記に定義されている)のハロアロイルハライド、好ましくはヨードアロイルクロリドまたはブロモアロイルブロミドにより処理されて、スキームVIIの一般式(18)のアシル化中間体を与える。
【0102】
あるいは、式(17)のアシル化種は、対応するカルボン酸の混合酸無水物であることができる。本明細書中で上記に述べられた手順にしたがって一般式(17)の前記混合酸無水物を式(6)の三環ジアゼピンにより処理することによって、式(18)の中間体アシル化誘導体が生成する。
【0103】
式(17)のアシル化中間体は、R5、R6およびR7基との適合性と式(6)の三環ジアゼピンとの反応性に基づいて最終的に選択される。
【0104】
非プロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、トルエンおよびN,N−ジメチルホルムアミド中、触媒、例えば、限定ではないが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下において、ほぼ周囲温度〜約150℃の範囲の温度で、式(18)(式中、KはIである)の化合物を適切に置換されている有機スズ試薬、例えば、限定ではないが、トリアルキルスズ(IV)誘導体、好ましくは式(9)(式中、TはSnBu3であり、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)のトリ−n−ブチルスズ(IV)誘導体とスチル型カップリング反応することによって(Farinaら、J. Org. Chem, 59, 5905(1994)および本明細書中に引用した参考文献を参照)、式(1)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が得られる。
【0105】
あるいは、溶媒混合物、例えば、限定ではないが、トルエン−エタノール−水中でPd(0)−触媒および塩基、例えば、限定ではないが、炭酸ナトリウムの存在下において、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で式(18)(式中、KはCl、BrまたはIである)の化合物と式(9)(式中、TはB(OH)2であり、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているアリールボロン酸とを反応させることによって、式(1)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている通りである)の所望の化合物が生成する。
【0106】
スキームVIIの式(17)(式中、KはI、Brであり;そしてJはCOClまたはCOBrであり、R5、R6およびR7は本明細書中で上記に定義されている)の好ましい置換されたアロイルクロリド(ブロミド)は、市販されているか、あるいは当分野で公知であるか、あるいは公知の化合物に対する文献中のものに類似の手順により容易に調製可能である。
【0107】
スキームVIIの式(9)(式中、TはSn(アルキル)3であり、そしてアルキルは好ましくはn−ブチルである)の中間体は、市販されているか、あるいは、式(19)(式中、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の対応するブロモ出発材料から、初めにこれらとn−ブチルリチウムとを反応させ、続いて中間体リチウム化された種とトリアルキル(好ましくはトリメチルまたはトリ−n−ブチル)スズ(IV)クロリド、好ましくはトリメチルスズ(IV)クロリドまたはトリ−n−ブチルスズ(IV)クロリドとを反応させることにより、スキームVIIIに示すように好都合に調製可能である。
【化102】

【0108】
式(9)(式中、TはB(OH)2である)好ましい置換されたアリールボロン酸は、市販されているか、もしくは当分野で公知であるか、または公知の化合物に対する文献中のものに類似の手順により容易に調製可能である。
【0109】
スキームVIIの式(1)(式中、Bは(b)である)の所望の化合物は、式(9)の中間体を適切に置換されているナフチル中間体により置き換えることにより類似の方法で調製可能である。
【0110】
あるいは、スキームIXに示すように、適切に置換されているアロイルハライド、好ましくは式(20)(式中、J=COClであり、R5、R6およびR7は本明細書中で上記に定義されている)のアロイルクロリドは、式(6)の三環ジアゼピンと反応して、式(21)の中間体ブロミドを与える。Pd(0)触媒、例えばテトラキス(トリ−フェニルホスフィン)パラジウム(0)および塩化リチウムまたは銅(I)塩の存在下において、(21)とヘキサアルキル−ジ−スズ(好ましくはヘキサ−n−ブチル−ジ−スズ(IV))とを以降に反応させることによって、式(22)のスタナン中間体が得られる。Pd(0)触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)の存在下において、トリ−n−ブチルスズ(IV)誘導体(22)と式(23)(式中、M=ブロモまたはヨードであり、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているアリールハライドとを更に反応させることによって、式(1)(式中、Qは(a)であり、そしてR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の所望の化合物が生成する。
【化103】

【0111】
スキームIXの式(1)(式中、Qは(b)である)の所望の化合物は、式(23)の中間体を適切に置換されているナフチル中間体により置き換えることにより、類似の方法で調製可能である。
【0112】
あるいは、スキームIXの式(1)(式中、Qは(b)である)の所望の化合物は、スキームXで示すように調製可能である。
【化104】

【0113】
このように、式(24)(式中、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の適切に置換されているビフェニルは、溶媒、例えば、限定ではないが、アニソールまたはジオキサンの中、式(6)の三環ジアゼピン、パラジウム(0)触媒、好ましくはPdBr2(Ph3P)2および三級アミン、好ましくはn−トリブチルアミンの存在下において、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で、一酸化炭素により処理されて(Schoenberg et al., J. Org. Chem. 39, 3327(1974)を参照)、式(1)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の所望の化合物を与える。
【0114】
類似の方法においては、式(24)の中間体が適切に置換されているナフチル中間体により置き換えられるという前提ならば、スキームXの式(I)(式中、Qは(b)である)の化合物が調製可能である。
【0115】
スキームIの一般式(I)(式中、Bは本明細書中で上記に定義されている(a)または(b)の群から選択される)の所望の化合物を調製するための好ましい方法は、スキームXIに示されている。
【化105】

【0116】
このように、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン中で、有機塩基、例えば、限定ではないが、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)または三級アミン、例えば、限定ではないが、トリエチルアミンの存在下において、場合により触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジンの存在下において、約−10℃〜ほぼ周囲温度の温度で、保護基(Pg)、例えば、限定ではないが、フルオレニルアルコキシカルボニル基、好ましくはフルオレニルメチルオキシカルボニル(PgはFmocである)基またはアルコキシカルボニル保護基、好ましくはtert−ブチルオキシカルボニル(PgはBocである)基を担持している、式(25)(式中、R1、R2およびR3は本明細書中で上記に定義されている)の三環ジアゼピンは、ペルハロアルカノイルハライド、好ましくはトリクロロアセチルクロリドと反応して、式(26)の所望のトリクロロアセチル中間体を与える。スキームIの条件下で式(3)の一級あるいは二級のアミンとを以降に反応させることによって、式(27)(式中、PgはBocである)の中間体アミドが生成し、脱プロトン化(中間体28)され、式(I)の所望の生成物にアシル化される。あるいは、(26)の式(28)の中間体への変換は、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、アセトニトリル中ジメチルスルホキシドの存在下において、溶媒の還流温度で式(26)(式中、PgはFmocである)の中間体を式(3)の一級アミンにより処理することにより単一段階で実施可能である。
【0117】
あるいは、有機溶媒、例えば、限定ではないが、アセトン中、約−10℃〜ほぼ周囲温度の範囲の温度でトリクロロアセテート中間体(26)を水性塩基、例えば、限定ではないが、水酸化ナトリウムにより加水分解することに伴って、保護基(PgはFmocである)が同時に除去され、そしてスキームXIIに示すように式(29)の中間体の酸が生成する。1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下において、活性化試薬、例えば、限定ではないが、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミドヒドロクロリドにより式(29)のカルボン酸を処理し、続いて、好ましくは、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、ヒューニッヒ塩基または触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジンの存在下において、約−10℃〜ほぼ外周の範囲の温度で、活性化された中間体と式(3)の適切に置換されている一級あるいは二級アミンとを反応させることによって、式(29)のカルボン酸の必要とされるアミド化が有効に実施可能である。スキームIVの条件下での式(28)のアミドの以降のアシル化は、式(I)の所望の化合物を与える。
【化106】

【0118】
ペプチド合成においてアミド結合の形成に使用されてきた文献で公知の他のカップリング剤も式(28)の化合物の調製に使用可能である。式(29)の中間体カルボン酸から式(28)の化合物を調製するための推奨の方法は、R1、R2およびR3基との適合性に基づいて最終的に選択される。
【0119】
あるいは、スキームXIIの式(29)(式中、R1、R2およびR3は本明細書中で上記に定義されている)の中間体の酸は、スキームXIIlに例示するように、非プロトン性溶媒、例えば、限定ではないが、N,N−ジメチルホルムアミド中で無機塩基、例えば、限定ではないが、炭酸カリウムまたは有機塩基、例えば、限定ではないが、N,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下において、式(6)の三環ジアゼピンと過剰のアシル化剤、好ましくはトリフルオロ酢酸無水物またはトリクロロアセチルクロリドとを反応させ、続いて、スキームXIIIに例示されるような好ましくはプロトン性有機溶媒、例えば、限定ではないが、エタノール中、ほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度の範囲の温度で水酸化ナトリウム水溶液により式(30)の中間体のビス−トリフルオロアセチル(トリクロロアセチル)中間体を塩基性加水分解することにより入手可能である。
【化107】

【0120】
スキームIの式(I)(式中、Qは(a)であり、そしてR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の化合物を調製するための好ましい方法は、スキームXIVに示すように、スキームXIIの中間体(28)のスキームVIIの式(17)のアシル化剤によるアシル化も使用する。溶媒の混合物、例えば、限定ではないが、ジメトキシエタンおよび水またはアセトニトリルおよび水中でPd(0)触媒、例えば、限定ではないが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはPd(II)触媒、例えば、限定ではないが、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)および塩基、例えば、限定ではないが、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムの存在下において、ほぼ周囲温度〜還流の範囲の温度で、式(31)(式中、KはBrまたはIである)の中間体を式(9)(式中、TはB(OH)2である)の適切に置換されているアリールボロン酸により以降にカップリングすることによって、所望の化合物(I)が生成する。
【化108】

【0121】
あるいは、スキームIの式(I)(式中、Qは(a)であり、そしてR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の好ましい化合物は、スキームXIIの中間体(28)をスキームIXの式(20)のアシル化剤によりアシル化することによりスキームXVに示すように調製可能である。
【化109】

【0122】
あるいは、スキームIの式(I)(式中、Qは(a)であり、そしてR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は本明細書中で上記に定義されている)の好ましい化合物は、スキームXlIの式(28)のアミド中間体をスキームVの式(7)(式中、Jは本明細書中で上記に定義されている)のアシル化剤によりアシル化することによりスキームXVIに示すように調製可能である。
【化110】

【0123】
スキームXIVの式(31)のアミド中間体を調製するための好ましい方法をスキームXVIIに示す。式(6)の三環ベンゾジアゼピンは、式(17)(式中、KはBrまたはIである)のアシル化剤によりアシル化されて、式(34)の中間体を与える。これは、次に、スキームIの条件下でペルハロアルカノイルハライド、好ましくはトリクロロアセチルクロリドと反応して、式(35)のトリクロロアセチル中間体を与える。スキームIの条件下で式(35)の中間体と適切な一級あるいは二級のアミンとを以降に反応させることによっても、式(31)の所望の生成物が得られる。
【化111】

【0124】
生物学的試験手順の簡単な説明および結果のテキスト要約
薬理学
本発明の代表的な化合物を次の試験手順で評価することにより、本発明の化合物のFSHアンタゴニスト活性を実証した。
【0125】
卵胞刺激ホルモン(FSH)アンタゴニストを同定するための卵胞刺激ホルモン受容体に依存するCRE−ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ
ヒトFSH受容体とcAMP応答性エレメントにより調整されるルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定に産生するチャイニーズハムスター卵巣細胞株を用いてヒトFSH受容体アンタゴニストの相対的な効力を同定し、決定するのにこの手順を使用した。
【0126】
材料および方法:試薬
化合物ビヒクル:適切なビヒクル、好ましくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)またはジメチルスルホキシド(DMSO)にストック化合物を30mMで可溶化した。2用量試験フォーマット用(2-dose testing format)に1および20または30mMの、そして用量応答フォーマット用に1μM〜10mMの作用希釈液(working dilution)にまでDMSO中でこの化合物を以降に希釈した。15m MHEPES、2mM I−グルタミン、ピリドキシンヒドロクロリド、フェノールレッドおよび5% FetalCloneII(HyClone Laboratories,Inc(Logan,UT))、0.2% DMSO、100単位ペニシリンG/mlおよび100μgストレプトマイシンサルフェート/ml(GIBCO/BRL)]を含有する無菌成長培地[D−MEM/F−12(GIBCO/BRL(Grand Island,NY)中でこのDMSO希釈液を500倍に希釈した。この化合物希釈液の各々の中のビヒクルの濃度は同一であった。
【0127】
ポジティブコントロール:精製ヒトFSH(>98%)をCortex Biochem、Inc.(San Leandro,CA)から購入し、そして公知のFSH−RチアゾリジノンアンタゴニストをWyeth Research化合物貯蔵所から入手した。
【0128】
細胞の作製
CHO FSH−R 6CRE−Luc細胞(1D7細胞)をAffymax(Palo Alto,CA)から入手した。cAMP応答性エレメントの6コピーの調節下で遺伝子組み換えのヒトFSH受容体遺伝子およびルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定に発現させるために、これらのチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)を遺伝子操作した。処理の1日前にこの細胞を96ウエルの白色不透明なプレートに成長培地中で50,000細胞/100μl/ウエルの密度で播種した。処理の日にこの成長培地を吸引によりウエルから除去し、そして50□lの新鮮な成長培地を各ウエルに添加した。この細胞を5%CO2/95%空気の加湿インキュベーター中で37℃でインキュベートした。
【0129】
アッセイ
2X EC50精製ヒトFSH(0.8ng/ml)を含有する成長培地中で2Xの最終濃度まで希釈された試験化合物をこのウエルに添加して、100μlの0.25%(v/v)ビヒクルを含有する培地の最終容積を得た。この処理された細胞を5%CO2/95%空気の加湿インキュベーター中で37℃で4時間インキュベートした。市販のキット(LucScreen,Tropix,Inc.(Bedford,MA))を用いて、100μlの混合試薬を各ウエルに添加する前に緩衝液1と緩衝液2を等しい比率で一緒に混合したことを除いてメーカーの説明書にしたがって、インキュベーション期間の終わりにルシフェラーゼ活性を化学発光により測定した。ルミノメーター(EG&G Berthold Microlumat LB96P(Wallac,Gaithersburg,MD)を用い、化学発光を1秒/ウエルの間測定して化学発光を検出した。
【0130】
LucScreen試薬の添加の前に、バックグラウンド発光を各ウエルについて測定した。
【0131】
実験群
96ウエルの2用量フォーマットにおいては、各化合物を各用量において二重で試験した。このコントロールも各プレート上で二重で試験した。これは、ビヒクルコントロールと3つのポジティブコントロール(EC50の精製ヒトFSHの存在におけるEC50のphFSH(0.4ng/ml)、EC100のphFSH(1000ng/ml)およびIC50の3−[(2S*,5R*)−5−{[2−(1H−インドール−3−イル)−エチルカルバモイル]−メチル}−4−オキソ−2−(5−フェニルエチニル−チオフェン−2−イル)−チアゾリジン−3−イル]−ベンザミド(2μM))からなるものであった。1つのプレートを使用して、最大22個の化合物を試験した。
【0132】
96ウエルの用量応答フォーマットにおいては、各化合物をEC50の精製ヒトFSHの存在における各々6用量で三重で試験した。精製ヒトFSH単独のEC50を各試験化合物と共に三重で試験した。初期の2用量スクリーング法から各化合物の試験に選択される用量を外挿した。ポジティブコントロールおよび品質コントロールに対する用量応答(0.03、0.1、0.3、1、3、10および30ng/ml)において、この試験化合物と共に精製ヒトFSHも試験した。1つのプレートを3つの試験化合物とFSHポジティブコントロールについて使用した。
【0133】
結果の分析
ルシフェラーゼ活性を相対的な光単位/秒/ウエルとして表す。アンタゴニストにおけるルシフェラーゼ活性を適切なネガティブおよびポジティブコントロールと比較した。2用量試験に対しては、結果をルシフェラーゼ活性として報告し、そしてEC50のFSHから得られる応答の%阻害として表す。用量応答試験に対しては、結果をIC50値として示した。適切な重み付けおよび変換の一元配置分散分析およびBiometrics(Wyeth Research(Princeton,NJ))により求められる関連の対応検定によりデータを統計的に解析した。適切な重み付けおよび変換とともにBiometricsにより開発されたStat/Excelプログラムを用いて、IC50値を計算した。
【0134】
参照化合物
試験化合物を2用量フォーマットにおける精製ヒトFSHおよび3−[(2S*,5R*)−5−{[2−(1H−インドール−3−イル)−エチルカルバモイル]−メチル}−4−オキソ−2−(5−フェニルエチニル−チオフェン−2−イル)−チアゾリジン−3−イル]−ベンザミドおよび用量応答フォーマットにおけるEC50濃度の精製ヒトFSHの効果と比較した。
【0135】
(参考文献)
1. Kelton, C.A, Cheng, S.V.Y., Nugent, N.P., Schweickhardt, R.L., Rosenthal, J.L., Overton, S.A., Wands, G.D., Kuzeja, J.B., Luchette, C.A., and Chappel, S.C.(1992). The cloning of the human follicle stimulating hormone receptor and its expression in COS-7, CHO, and Y-1 cells. Mol. Cell. Endocrinol. 89:141-151.
2. Tilly, J.L., Aihara, T., Nishimori, K., Jia, X.-C., Billig, H., Kowalski, K.l., Perlas, E.A., and Hsueh, A.J.W.(1992). Expression of recombinant human follicle-stimulating hormone receptor: Species-specific ligand binding, signal transduction, and identification of multiple ovarian messenger ribonucleic acid transcripts. Endocrinology 131:799-806.
3. George, S.E., Bungay, P.J., and Naylor, L.H.(1997). Evaluation of a CRE-directed luciferase reporter gene assay as an alternative to measuring cAMP accumulation. J. Biomol. Screening 2:235-240.
【0136】
FSH受容体に対するアゴニストおよびアンタゴニストのインビトロバイオアッセイ:FSH受容体に対するアゴニストおよびアンタゴニストの選択性および依存性
このアッセイを使用して、FSH−R−CRE−ルシフェラーゼ駆動のレポーターを阻害すると判明したヒットのインビトロの効力、有効性、選択性および受容体依存性を証明した。
【0137】
方法:試薬
化合物ビヒクル:ストック化合物を30mMの濃度で100%DMSO(Sigma Chemical Co.)に可溶化した。バイオアッセイにおける使用に先立ち、この化合物を0.1%(w/v)BSA(Sigma)含有のOpti−MEM(登録商標)I(Life Technologies)からなる無菌アッセイ培地中で引き続いて希釈した。このアッセイ中のDMSOの最終濃度は0.1%である。
【0138】
CHO−3D2細胞の作製
この実験の前の日に、96ウエルの組織培養プレート(Falcon)の中でCHO−3D2細胞(hFSH−R)(1)を5%Fetal Clone II(Hyclone)、2mM L−グルタミン(Life Technologies)およびペニシリン/ストレプトマイシン(100U/ml、Life Technologies)により補完されたDMEM/F12培地(Life Technologies)中に30000細胞/ウエルの密度で播種した。次に、播種された細胞を5% CO2/95%空気の加湿雰囲気中37℃でインキュベートされる。
【0139】
アッセイ
アッセイの日に、細胞を0.1%(w/v)BSA(Sigma)含有のOpti−MEM(登録商標)I(Life Technologies)からなる100μl/ウエルのアッセイ培地により3回洗浄した。培地を除去し、そして100μlのアッセイ培地を各ウエルに添加した。プレートを37℃で更に30分間インキュベートした。次に、培地を除去し、そしてビヒクル、精製hFSH(>95%pure;Cortex Biochem,Inc.(San Leandro,CA))を含有する50μlのアッセイ培地中で試験化合物の存在または不在下において細胞を37℃で30分間暴露した。50μlの0.2N塩酸を各ウエルに添加することにより、反応を終結させ、そして市販のキット(Amersham)を用いるラジオイムノアッセイ(RIA)によりcAMP蓄積を測定する。
【0140】
実験群
すべての試験化合物を約0.01〜約30μMの範囲の用量応答パラダイムで評価した。コントロールおよび試験化合物を96ウエルのフォーマットで四重に評価した。細胞をビヒクル、EC20(1.85ng/mL=53pM)のhFSHまたはEC20用量のhFSHの存在または不在におけるこの化合物により処理した。この化合物のhFSHにより誘起されたcAMP蓄積の阻害能をRIAにより評価した。
【0141】
すべてのアッセイにおいて、EC20濃度を計算し、そしてEC20濃度が1.85±0.4ng/mLに等しい実験のみを有効と認めた。この96ウエルのフォーマットにおいては、第1のカラムはネガティブコントロール(アッセイ培地+0.1% DMSO)を含有し、第2のカラムはポジティブコントロール、EC20のhFSH+0.1% DMSO(1.85ng/mLまたは53pM)を含有し、続いてEC20濃度(1.85ng/mLまたは53pM)のhFSHの存在下において、約0.03〜30μMの範囲の6つの濃度のこの化合物を含有していた。
【0142】
約0.1〜1000ng/mlの範囲の濃度を用いるアゴニストモードで、この試験化合物と共にFSHもポジティブコントロールとして使用した。
【0143】
選択性試験
CHO−3D2細胞についてCHO−25(hTSH−R)細胞を用いるcAMP蓄積アッセイをCHO−25細胞を50,000細胞/ウエル(2)の密度で播種したことを除いて、上述のように行った。すべての試験化合物を約0.01〜30μMの範囲の用量応答パラダイムで評価した。コントロールおよび試験化合物を四重で評価した。細胞をビヒクル、EC20のhTSH(5nM;hTSH純度>98%、Cortex Biochem、Inc.)またはEC20濃度のhTSHの存在または不在におけるこの化合物により処理した。この化合物のhTSHにより誘起されるcAMP蓄積の阻害能をRIAにより評価した。
【0144】
約0.01μM〜1000μMの範囲の濃度を用いるアゴニストモードで、この試験化合物と共にhTSHもポジティブコントロールとして使用した。
【0145】
非受容体で仲介された応答
CHO−3D2細胞についてCHO−K1(親細胞株)細胞を用いるcAMP蓄積アッセイを上述のように行った。すべての試験化合物を約0.01〜30μMの範囲の用量応答パラダイムで評価した。コントロールおよび試験化合物を四重で評価した。ビヒクル、EC20のhFSH(5μMフォルスコリン、Sigma Chemical Co;このバイオアッセイのキャラクタリゼーションの間に前に計算された)により誘起される等価のフェムトモル(fmol)/ml濃度のcAMP蓄積を誘起する5μMフォルスコリンまたは5μMフォルスコリンの存在または不在におけるこの化合物により細胞を処理した。この化合物のフォルスコリンにより誘起されるcAMP蓄積の阻害能をRIAにより評価した。
【0146】
約0.01μM〜1000μMの範囲の濃度を用いるアゴニストモードで、この試験化合物と共にフォルスコリンもポジティブコントロールとして使用した。
【0147】
結果の分析
cAMP蓄積をフェムトモル/mlで表す。アゴニストモードでのcAMP蓄積またはこの化合物のアンタゴニストモードでのhFSH、hTSHまたはフォルスコリンにより誘起されるcAMP蓄積の阻害能を適切なネガティブおよびポジティブコントロールと比較した。一元配置分散分析および最小有意差検定により求められる処理とコントロールの間の有意差によりデータを分析した。
【0148】
参照化合物
試験化合物を精製ヒトFSHの効果と比較した。このパラダイムにおいては、hFSHは、cAMP蓄積の濃度依存性増加を誘起し、見掛けのEC80=22.55ng/ml、EC50=6.03ng/mlおよびEC20=1.85ng/mlが4パラメーターのロジスチック式を用いて計算された。同一の比較をhTSHとフォルスコリンについて行った。
【0149】
生物活性
標準の薬理学試験手順で得られる結果に基づいて、本発明の化合物は、ラット卵巣顆粒膜細胞中での第2メッセンジャーcAMPおよびエストラジオールの産生を含む、インビトロのFSHの細胞機能を阻止することが示された。本発明の代表的な化合物は、FSH受容体と選択的に相互作用すると判明したが、受容体に対するFSHの結合と拮抗しない(表1)。
【0150】
このように、本発明の化合物は女性の避妊薬として有効であり得る。
【表2】

【0151】
(実施例)
【実施例1】
【0152】
2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン
【0153】
トリクロロアセチルクロリド(2.63mL、23.6ミリモル)をジクロロメタン(60mL)中の(2’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−(5H,11H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10−イル)−メタノン(3.0g、7.60ミリモル)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.65mL、15.2ミリモル)の溶液に5分間にわたって滴加した。この反応物を窒素下で室温で一夜攪拌し、次に水によりクエンチした。この有機層を0.1N塩酸と水により洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮してオイルを得た。ジクロロメタン中の0〜5%のエチルアセテートの勾配を使用するシリカゲルMerck−60のフラッシュクロマトグラフィにより、このオイルを精製して、標記化合物(2.34g)を黄色泡として得た。
MS[(+)ESI,m/z]:539[M+H]+
分析。C2821Cl323+0.2C482に対する計算値:C62.05、H4.09、N5.03。実測値:C62.28、H4.47、N4.86
【実施例2】
【0154】
10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−N−[(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
【0155】
アセトニトリル(15mL)中の実施例1の2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン(1.175g、2.17ミリモル)の懸濁液に(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチルアミン(0.263g、2.38ミリモル)を添加し、続いてジメチルスルホキシド(0.710g、9.06ミリモル)およびトリエチルアミン(0.400g、4ミリモル)を添加した。この混合物を窒素下で80℃で4時間加熱した。この溶媒を真空で除去し、そしてこの残渣をジクロロメタン中の0〜25%のエチルアセテートの勾配を使用するシリカMerck−60でフラッシュクロマトグラフにかけて、黄色泡を得、エチルアセテートとヘキサンにより処理して固体(0.464g)を得た。mp148〜150℃。
MS[(+)ESI,m/z]:531.16[M+H]+
分析。C333043に対する計算値:C74.70、H5.70、N10.56。実測値:C74.56、H6.15、N10.20。
【実施例3】
【0156】
2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2,2’,6’−トリメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン
【0157】
段階A:2,2’,6’−トリメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル
2,6−ジメチルボロン酸(13.7g、91ミリモル)と3−メチル安息香酸メチルエステル(20.9g、91ミリモル)をトルエン(425mL)に溶解した。次に、エタノール(250mL)と水(250mL)を添加し、続いて炭酸ナトリウム(38.7g、365ミリモル)を添加した。この系を窒素によりパージし、次にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)触媒(10.5g、9ミリモル)を添加した。この混合物を窒素下で21時間加熱し、そしてセライトにより濾過した。このケーキを大量のエチルアセテートにより洗浄し、この混合濾過物を水と食塩水により洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮して、固体を得た。この残渣を溶出剤としてのヘキサン中、0〜20%のエチルアセテートの勾配を使用したシリカゲルMerck−60のフラッシュクロマトグラフィによって、標記化合物を白色固体(19.2g、83%)として得た。
分析。C17182に対する計算値:C80.28、H7.13。実測値:C80.37、H7.21。
【0158】
段階B:2,2’,6’−トリメチル−ビフェニル−4−カルボン酸
テトラヒドロフラン中の段階Aの2,2’,6’−トリメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル(18.5g、75.4ミリモル)の溶液を1N水酸化ナトリウム(250mL)により処理し、そして90℃で20時間加熱した。この混合物を濃塩酸によりpH〜1まで酸性とし、ジクロロメタンにより抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮して、標記化合物を白色粉末(15.63g)として得た。水性エタノールからの再結晶により白色プレートを得た。m.p.172〜173℃。
MS[(−)ES,m/z]:239.1[M−H]-
分析。C16162に対する計算値:C79.97、H6.71。実測値:C79.71、H6.70
【0159】
段階C:(5H,10(2,2’,6’−トリメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン
段階Bの2,2’,6’−トリメチル−ビフェニル−4−カルボン酸(11.4g、47.4ミリモル)を35mL(479ミリモル)の塩化チオニルと共に攪拌し、そして70℃で3時間加熱した。過剰の塩化チオニルをトルエンの助けを得て真空下で除去した。この粗酸クロリドをジクロロメタン(100mL)に溶解し、そしてジクロロメタン(50mL)中の10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン(12.23g、47.4ミリモル)の溶液を滴加した。室温で一夜攪拌した後、この混合物を水、1N塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液および食塩水により洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。この残渣を1:1から4:1までの勾配のヘキサン中のジクロロメタンを使用するシリカゲルMerck−60のフラッシュクロマトグラフィにかけて、純粋な標記化合物を得、これを水性エタノールから微細な半透明プレートとして再結晶した。m.p.170〜171℃。
MS[(+)ES,m/z]:407.2[M+H]+
分析。C28262O・0.15H2Oに対する計算値:C82.18、H6.48、N6.85。実測値:C82.28、H6.32、N6.76
【0160】
段階D:2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2,2’,6’−トリメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン・0.15水
ジクロロメタン(160mL)中の段階Cの(5H,10)−[(2,2’,6’−トリメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン(7.934g、19.5ミリモル)の溶液にトリクロロアセチルクロリド(11g、60.5ミリモル、3.1当量)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.54g、43ミリモル、2.2当量)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(10モル%)を添加した。この混合物を室温で16.5時間攪拌し、次に水(100mL)によりクエンチし、そして1時間攪拌した。この有機層を0.1N塩酸および食塩水により洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして黄色泡まで濃縮した。
MS[(+)ES,m/z]:551.1[M+H]+
分析。C3025Cl322・H2Oに対する計算値:C64.97、N4.60、H、5.05。実測値:C64.79、H4.97、H4.58
【実施例4】
【0161】
N−[(5−メチルイソキサゾール−3−イル)メチル]−10−[(2,2’,6’−トリメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
実施例2の手順にしたがって、20mLのアセトニトリル中の実施例3の2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2,2’,6’−トリメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン(1.8g、3.26ミリモル)、(5−メチル−3−イソキサゾリル)メチルアミン(0.305g、2.7ミリモル)、ジメチルスルホキシド(1.06g、13.6ミリモル)およびトリエチルアミン(0.605g、6ミリモル)から出発してこの標記化合物を調製した。この残渣を0〜35%の勾配のジクロロメタン中のエチルアセテートを使用したシリカMerck−60のフラッシュクロマトグラフィにかけて、黄橙色泡を得た。エチルアセテート/ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶によって白色粉末(0.334g)を得た。m.p.233〜234℃。
MS[(+)ESI,m/z]:545.2[M+H]+
分析。C343243・0.15C5102に対する計算値:C74.49、H6.00、N10.04。実測値:C74.46、H6.11、N10.06
【実施例5】
【0162】
10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−N−[(5−メチルイソキサゾール−3−イル)メチル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
実施例2の手順にしたがって、20mLのアセトニトリル中の実施例1の2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン(1.483g、2.75ミリモル)、(5−メチル−3−イソキサゾイル)メチルアミン(0.256g、1.0当量)、ジメチルスルホキシド(5.0当量、0.896g、11.45ミリモル)およびトリエチルアミン(2.2当量、0.510g、5ミリモル)から出発してこの標記化合物を調製した。この残渣をシリカゲルMerck−60上に吸着させ、そしてジクロロメタン中の0〜20%のエチルアセテートの勾配を使用して、フラッシュクロマトグラフィにかけて、泡(0.460g)を得、これをエチルアセテート/ヘキサンにより処理して、オフホワイト色固体を得た。m.p.111〜113℃。
MS[+)ESI,m/z]:533.12[M+H]+
分析。C322844に対する計算値:C72.17、H5.30、N10.52。実測値:C71.85、H5.27、N10.25
【実施例6】
【0163】
N−[(2,5−ジメチル−3−フリル)メチル]−10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
実施例2の手順にしたがって、20mLのアセトニトリル中の2,5−ジメチル−3−フリル)メチルアミン(0.264g、2.1ミリモル)、実施例1の2,2,2−トリクロロ−1−[10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル]エタノン(1.138g、2.1ミリモル)、トリエチルアミン(0.470g、2.2当量、4.6ミリモル)およびジメチルスルホキシド(1.1g、5.0当量、10.5ミリモル)から出発してこの標記化合物を調製した。ヘキサン中30〜45%の勾配溶出のエチルアセテートを使用してシリカゲルMerck−60でこの残渣をフラッシュクロマトグラフィにかけて、白色粉末(0.453g)を得た。分取HPLC(Primesphere C18、2×25cmカラム、トリフルオロ酢酸を含有する水中の68%アセトニトリル、100ml/分、254nm検出)により更なる精製を行った。この純粋な分画を水酸化アンモニウムにより中和し、非晶質固体(0.153g)まで蒸発した。
MS[(+)ESI,m/z]:546.2[M+H]+;MS[(−)ESI,m/z]:544.2[M−H]-
【実施例7】
【0164】
N−[(4−ベンジルモルホリン−2−イル)メチル]−10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
実施例2の手順にしたがって、15mLのアセトニトリル中の実施例1の2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン(0.619g、1.15ミリモル)、(4−ベンジル−1,4−オキサジナン−2−イル)−メチルアミン(01.97g、0.955ミリモル)、ジメチルスルホキシド(0.374g、4.8ミリモル)およびトリエチルアミン(0.213g、2.1ミリモル)から出発してこの標記化合物を調製した。この残渣をシリカMerck−60に吸着し、そしてフラッシュクロマトグラフィ(ジクロロメタン中の0〜75%のエチルアセテート)により精製して、オフホワイト色固体(0.241g)、m.p.180〜182℃を得た。
MS[(+)ESI,m/z]:627.19[M+H]+
分析。C393844・0.35C5102に対する計算値:C73.79、H6.25、N8.52。実測値:C73.62、H6.07、N8.55
【実施例8】
【0165】
N−[(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチル]−10−[(2,2’,6’−トリメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
実施例2の手順にしたがって、15mLのアセトニトリル中の実施例3の2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2,2’,6’−トリメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン(1.4g、2.5ミリモル)、(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチルアミン(0.234g、2.1ミリモル)、ジメチルスルホキシド(0.822g、10.5ミリモル)およびトリエチルアミン(0.470g、4.6ミリモル)から出発してこの標記化合物を調製した。この残渣をシリカゲルMerck−60上のフラッシュクロマトグラフィ(ジクロロメタン中の0〜25%のエチルアセテート)にかけて、泡(0.924g)を得た。これはエチルアセテート/ヘキサン/ジクロロメタンによる処理時に固化した。mp.222〜224℃。
MS[(+)ESI,m/z]:543.3[M+H]+;[(−)ESI、mz]:541.3[M−H]-
【実施例9】
【0166】
2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン
【0167】
段階A:メチル2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−カルボキシレート
ジオキサン:水(300mL:200mL)中のメチル4−ブロモ−3−メチルベンゾエート(25.0g、110ミリモル)、o−トリルボロン酸(16.5g、120ミリモル)および炭酸カリウム(50g、360ミリモル)の混合物を窒素により1時間パージした。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム[II](4.5g、5.5ミリモル)を添加し、そしてこの反応混合物を激しく攪拌しながら100℃まで3.5時間加熱した。この冷却した反応混合物をセライトにより濾過し、そしてこのケーキをエチルアセテート(500mL)により洗浄した。この混合有機相を1M水性水酸化ナトリウム(500mL)および食塩水(500mL)により洗浄し、無水炭酸カリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、暗色オイル(28.6g)を得た。溶媒としてヘキサン中の2%エチルアセテートを用いてフラッシュクロマトグラフィにより精製することにより標記化合物(24.7g)を淡黄色オイルとして得た。
HRMS。C16172に対する計算値:241.12231。実測値:[(+)ESI,m/z]:241.12205
分析。C16162に対する計算値:C79.97、H6.71。実測値:C79.67、H、6.61
【0168】
段階B:2,2’−ジメチル−ビフェニル−4−カルボン酸
5:1 テトラヒドロフラン:メタノール(200mL)中の段階Aのメチル2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−カルボキシレート(24.7g、103ミリモル)の溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(108mL、108ミリモル)を添加した。この反応混合物を1時間還流で加熱し、冷却し、次に真空中で濃縮して、有機溶媒を除去した。この生成水溶液を0℃まで冷却し、そして2M塩酸水溶液(60mL、120ミリモル)をゆっくりと添加し、続いて水(60mL)を添加して、沈澱した生成物の攪拌を容易にした。この懸濁液を0℃で1時間攪拌し、次に濾過して、標記化合物(22.6g)を白色固体として得た。m.p.140〜143℃。
MS[(+)ESI,m/z]:225[M−H]-
【0169】
段階C:(10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10−イル)−(2,2’−ジメチル−ビフェニル−4−イル)−メタノン
室温および窒素下の乾燥ジクロロメタン(500mL)中の段階Bの2,2’−ジメチル−ビフェニル−4−カルボン酸(22.4g、99.0ミリモル)の懸濁液に乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)を添加し、続いてジクロロメタン(60mL、120ミリモル)中のオキサリルクロリドの2.0M溶液を滴加した。この反応混合物を室温で2時間攪拌し、次に真空中で濃縮し、そしてこの残渣を乾燥ジクロロメタン(200mL)に再溶解した。この溶液を真空中で濃縮して、粗酸クロリドを褐色オイルとして得た。この酸クロリドをジクロロメタン(500mL)に溶解し、10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン(21.9g、119ミリモル)を加え、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(87mL、500ミリモル)を添加し、そしてこの反応混合物を窒素下室温で16時間攪拌した。次に、この反応混合物を1M塩酸水溶液(5×1L)、10%水酸化ナトリウム水溶液(1L)および食塩水(500mL)により洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、暗色泡を得た。2.5〜40%の溶媒勾配のヘキサン中のエチルアセテートを用いるフラッシュクロマトグラフィによる精製によって、標記化合物(12.4g)を淡オレンジ色固体として生成する、エチルアセテート/ヘキサンから再結晶化された褐色固体を得た。フラッシュクロマトグラフィによる母液の精製によって、更なる標記化合物(11.5g)を白色固体として得た。m.p.145〜148℃。
MS[(+)ESI,m/z]:393[M+H]+
分析。C27242Oに対する計算値:C82.62、H6.16、N7.14。実測値:C82.26、H5.83、N6.50
【0170】
段階D:2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン
〜5℃のジクロロメタン(30mL)中の段階Cの(10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−10−イル)−(2,2’−ジメチル−ビフェニル−4−イル)−メタノン(8.38ミリモル)およびトリエチルアミン(16.76ミリモル)の溶液にトリクロロアセチルクロリド(25ミリモル)を迅速に滴加した。この混合物を攪拌し、一晩で室温まで温めた。この混合物を0.1N塩酸および希薄食塩水により洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させて、淡緑色オイルを残した。この化合物をMerckシリカゲル−60のプラグ上で濾過し、ジクロロメタンにより溶離することにより精製し、次に熱エチルアセテート/ヘキサン(3/1)により処理して、淡黄色結晶性固体を得た。m.p.212〜214℃。
MS[(+)(ESI,m/z]:537[M+H]+
分析。C2923Cl322に対する計算値:C64.76、H4.31、N5.21。実測値:C64.70、H4.35、N4.96
【実施例10】
【0171】
10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−N−{[5−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]メチル}−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
【0172】
段階A:[5−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]メチルアミン
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の3−クロロメチル−5−(4−メトキシ−フェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール(8.90ミリモル)の溶液にアジ化ナトリウム(17.8ミリモル)を添加した。この混合物を室温で20時間攪拌した。この反応混合物を水(30mL)の中に注ぎ、そしてジクロロメタン(3×)により抽出した。この混合有機抽出物を合わせ、そして水(2×)により洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。次に、透明な油状残渣を高真空下に置き、そして18時間穏やかに温めた。冷却時この材料は固化した。この固体をテトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、そしてトリフェニルホスフィン(9.0ミリモル)により処理した。泡発生が直ちに明白となった。この混合物を16時間攪拌し、次に水(3.0mL)により処理した。これを45℃の油浴中で3時間加熱した。この生成物をフラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル;2:1エーテル/ジクロロメタン)により精製した。m.p.66〜68℃。
MS[(+)(ESI,m/z]:206[M+H]+
分析。C101132に対する計算値:C58.53、H5.40、N20.48。実測値:C58.5、H5.38、N20.59
【0173】
段階B:10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−N−{[5−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]メチル}−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
アセトニトリル(2.5mL)中の実施例9の2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン(0.26ミリモル)、ジメチルスルホキシド(100μL)および段階Aの[5−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]メチルアミン(0.546ミリモル)の混合物を85℃で16時間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させ、そして残渣をジクロロメタン(10mL)に取り込んだ。これを水(2×)により洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。この残渣をHPLC(Normal phase,Luna CN結合充填物)により精製し、そしてエチルアセテート/ヘキサンから結晶化させた。m.p.133〜135℃。
MS[(+)ESI,m/z]:622[M+H]+
分析。C383354に対する計算値:C73.18、H5.33、N11.23。実測値:C71.95、H5.64、N11.52
【実施例11】
【0174】
N−{[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}−10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
【0175】
段階A:2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチルアミン
実施例10、段階Aの手順にしたがってこの標記化合物を4−クロロメチル−2−(4−クロロ−フェニル)−チアゾールから調製した。m.p.61〜64℃。
MS[(+)ESI,m/z]:225[M+H]+
分析。C109ClN2Sに対する計算値:C53.45、H4.04、N12.47。実測値:C53.57、H4.05、N12.45
【0176】
段階B:N−{[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}−10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
実施例10、段階Bの手順にしたがって実施例9の2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノンおよび段階Aの2−(4−クロロ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−メチルアミンからこの標記化合物を合成した。m.p.198〜201℃。
MS[(+)ESI,m/z]:641[M+H]+
【実施例12】
【0177】
10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−N−(ピペリジン−3−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
【0178】
段階A:tert−ブチル3−{[({10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,1ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル−カルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート
乾燥アセトニトリル(5mL)中の実施例9の2,2,2−トリクロロ−1−{10−[(2、2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}エタノン(0.54g、1.0ミリモル)および3−アミノメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.43g、2.0ミリモル)の懸濁液にジメチルスルホキシド(0.35mL、4.9ミリモル)を添加し、そしてこの反応混合物を窒素下80℃で3日間加熱した。この冷却した反応混合物をジクロロメタン(25mL)により希釈し、水(2×25mL)および食塩水(25mL)により洗浄し、無水炭酸カリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、褐色オイル(0.81g)を得た。3〜20%の溶媒勾配のジクロロメタン中のエチルアセテートを用いるフラッシュクロマトグラフィによる精製により標記化合物(0.45g)を白色泡として得た。
HRMS。C394644に対する計算値:633.34354。実測値:[(+)ESI,m/z]:633.34262.
【0179】
段階B:10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−N−(ピペリジン−3−イルメチル)−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキサミド
乾燥ジクロロメタン(3mL)中の段階Aのtert−ブチル3−{[({10−[(2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−4−イル)カルボニル]−10,11−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル}カルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート(0.42g、0.66ミリモル)の溶液にトリフルオロ酢酸(0.51mL、6.6ミリモル)を添加し、そしてこの反応混合物を窒素下室温で20時間攪拌した。次に、この反応混合物をジクロロメタン(50mL)により希釈し、1M水酸化ナトリウム溶液(50mL)および食塩水(50mL)により洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、ピンク色のガラス状物質を得た。ジクロロメタン中2.5〜10%の溶媒勾配のアンモニアで飽和したメタノールを用いるフラッシュクロマトグラフィによる精製によって淡黄色オイル(0.31g)を得た。ジエチルエーテル(2mL)からの結晶化によって標記化合物(0.19g)を淡黄色固体として得た。
HRMS。C343742に対する計算値:533.29111。実測値[(+)ESI,m/z]:533.29102
【0180】
本明細書中で引用された、限定ではないが論文、テキスト、特許、特許出願書および書籍を含む、すべての参考文献は、参考により本明細書に全体が組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物またはその医薬的に許容し得る塩:
【化1】

式中、
1およびR2が水素、(C1−C6)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C1−C6)アルコキシ、−OCF3、カルボキシ、(C1−C6アルコキシ)カルボニル、−CONH2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノまたは−NHCO[(C1−C6)アルキル]から独立して選択され;
3が水素、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、−C(O)(C1−C6)アルキルまたはハロゲンから選択される置換基であり;
Bが
【化2】

[ここで、Qは
【化3】

(式中、
5、R6、R7、R8、R9およびR10は、水素、アルキル、(C1−C6)アルキル、アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、アルキルオキシアルキル、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、(C2−C7)アシルオキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6アルキル)カルボニル、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、ホルミル、(C3−C8)シクロアルキルカルボニル、カルボキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C8シクロアルキル)オキシカルボニル、アリール(C1−C6)アルキルオキシカルボニル、カルバモイル、−O−CH2−CH=CH2、1〜3個のハロゲン原子により置換されている(C1−C6)アルキル、トリハロメチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、OCF3、チオアルキル、チオ(C1−C6)アルキル、−C(O)アルキル、アルキルにより場合により置換されている−C(O)アリール、ヒドロキシ、−CH(OH)アルキル、−CH(アルコキシ)アルキル、ニトロ、−SO2アルキル、(C1−C6)アルキルスルホニル、アミノスルホニル、(C1−C6)アルキルアミノスルホニル、−SO2NHR11、−SO2N(R112、−OC(O)N[(C1−C6)アルキル]2、−CONH[(C1−C6)アルキル]、−CON[(C1−C6)アルキル]2、−(CH2PCN、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ−(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)アルキルジ−(C1−C6)アルキルアミノ、−(CH2PNR1314、−(CH2PCONR1314、−(CH2PCOOR12、−CH=NOH、−CH=NO−(C1−C6)アルキル、トリフルオロメチルチオ、
【化4】

からなる群より独立して選択され;
11およびR12は水素、C3−C8シクロアルキルはたは(C1−C6)アルキルであり;
13およびR14は水素、C3−C8シクロアルキルまたは(C1−C6)アルキルであるか、あるいはR13およびR14はそれらが結合している窒素と一緒なって、O、SまたはNを場合により含有する4〜6員の飽和環を形成することができ;
pは0または1である)
である]
であり;
Rが部分
【化5】

[R15は水素または(C1−C6)アルキルであり;
Zは式−L−M
(ここで、
Lは式
【化6】

(式中、tは1〜2の整数であり;
16は水素または(C1−C6)アルキルである)
を有し、
Mは
【化7】

(式中、R17およびR18は、各々独立して、場合により置換されているアリールであり;
19、R20、R21およびR22は、各々独立して、(C1−C6)アルキルであり;
23は、アルキル、C1−C6アルキルまたは場合により置換されている(C6−C20)アラルキルである)
からなる群より選択される)
を有する]
である。
【請求項2】
15およびR16が各々水素であり;およびtが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Mが
【化8】

からなる群より選択される、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Mが
【化9】

からなる群より選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
Bが式
【化10】

を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
1、R2およびR3が各々水素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】

【化11】

を有する、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項8】
5がHおよびC1−C3アルキルから選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
8およびR9がH、C1−C3アルキルおよびC1−C3アルコキシから独立して選択される、請求項7または8に記載の化合物。
【請求項10】
Mが
【化12】

(式中、R17は場合により置換されているアリールである)
である、請求項1、請求項2、または請求項5〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
17がC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基により場合により置換されているフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記R17の前記C1−C3アルコキシがメトキシである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
下記式:
【化13】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Mが
【化14】

(式中、R18は場合により置換されているアリールである)
である、請求項1、請求項2、または請求項5〜9のいずれか一項に記載の式Iの化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項15】
18がC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシおよびハロゲンから選択される1〜3個の置換基により場合により置換されているフェニルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記ハロゲンが塩素である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
下記式:
【化15】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Mが
【化16】

(式中、R19はC1−C6アルキルである)
である、請求項1、請求項2、または請求項5〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項19】
19がメチルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
下記式:
【化17】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
下記式:
【化18】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
Mが
【化19】

(式中、R20はC1−C6アルキルである)
である、請求項1、請求項2、または請求項5〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容し得る塩。
【請求項23】
20がメチルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
下記式:
【化20】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
下記式:
【化21】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
Mが
【化22】

(式中、R21およびR22は各々独立してC1−C6アルキルである)
である、請求項1、請求項2、または請求項5〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
21およびR22が同一である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
21およびR22が各々メチルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
下記式:
【化23】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
Mが
【化24】

である、請求項1、請求項2、または請求項5〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
下記式:
【化25】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
Mが
【化26】

(式中、R23は場合により置換されているC7−C20アラルキルである)
である、請求項1、請求項2、または請求項5〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
23がベンジルである、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
下記式:
【化27】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
式(2)
【化28】

のトリクロロアセチル化合物と式(3)
【化29】

の適切に置換されている一級あるいは二級アミンとを式(I)の化合物を得るのに十分な条件下で反応させることを含む、請求項1に記載の化合物を調製する方法。
【請求項36】
前記反応が1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシドまたはこの両方の存在下において起こる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記反応が有機塩基の存在下において起こる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記有機塩基が三級アミンである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記三級アミンがトリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記反応が溶媒中で行われる、請求項27〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記溶媒がアセトニトリルである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
反応がほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度で行われる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
式(2)の前記トリクロロアセチル化合物が式(1)
【化30】

の三環アゼピンとペルハロアルカノイルハライドとを式(2)の所望のトリクロロアセチル化合物を得るのに十分な条件下で反応させることにより調製される、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記ペルハロアルカノイルハライドがトリクロロアセチルクロリドである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記反応が非プロトン性有機溶媒中の有機塩基の存在下において起こる、請求項43または請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記有機塩基がN,N−ジイソプロピルエチルアミンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記非プロトン性有機溶媒がジクロロメタンまたは1,4−ジオキサンである、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記反応が約−10℃〜ほぼ周囲温度行われる、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
式(4)
【化31】

(ここで、WはOHまたはハロゲンである)
の化合物と式(3)
【化32】

の適切に置換されている一級あるいは二級アミンとを請求項1に記載の式(I)の化合物を得るのに十分な条件下で反応させることを含む、請求項1に記載の式(I)の化合物を製造する方法。
【請求項50】
WがClまたはBrである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
式(4)のアシルハライドの式(3)の置換されているアミンとのカップリングが非プロトン性溶媒中三級アミンの存在下において行われる、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記非プロトン性溶媒がジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランであり;かつ三級アミンがN,N−ジイソプロピルエチルアミンである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
式(4)のアシルハライドの式(3)の置換されているアミンとのカップリングがほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度で行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
WがOHである、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記カップリングが前記カルボン酸(4)と式(3)の一級あるいは二級アミンとを活性化試薬またはカップリング剤の少なくとも1つの存在下において式(I)の化合物を得るのに十分な条件下で反応させることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記活性化剤が非プロトン性溶媒中のトリホスゲン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下におけるN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドもしくは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミドヒドロクロリド;または非プロトン性溶媒中のN,N’−カルボニルジイミダゾールから選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記反応が有機塩基の存在下において起こる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記有機塩基が三級アミンである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記有機塩基がN,N−ジイソプロピルエチルアミンである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記反応が触媒の存在下において行われる、請求項57〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記触媒が4−(ジメチルアミノ)ピリジンである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記カップリング剤がヒドロキシベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルホスホリルアジド、ジエチルシアノホスホネートまたはベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートから選択される、請求項55〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
式4(式中、WがClまたはBrである)の前記化合物が式4(式中、WはOHである)の化合物を変換することにより調製される、請求項51に記載の方法。
【請求項64】
前記変換が式4(式中、WはOHである)の前記化合物とチオニルハライドまたはオキサリルハライドとを反応させることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
前記変換が非プロトン性溶媒中の無機塩基および有機塩基の少なくとも1つの存在下において起こる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記無機塩基が炭酸カリウムである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記有機塩基がピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンまたは三級アミンである、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記三級アミンがトリエチルアミンである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記非プロトン性溶媒がジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランである、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記変換が約−5℃〜約50℃の温度で行われる、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
式(1)
【化33】

の三環ジアゼピンとジホスゲンおよび式(3)
【化34】

の一級あるいは二級アミンとを非プロトン性溶媒中で式(I)の化合物を得るのに十分な条件下で反応させることを含む、請求項1に記載の式Iの化合物を調製する方法。
【請求項72】
前記溶媒がジクロロメタンである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記反応が有機塩基の存在下において起こる、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記有機塩基がトリエチルアミンである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
式(26)
【化35】

(ここで、Pgは保護基である)
のトリクロロアセチル化合物と式(3)
【化36】

の適切に置換されている一級あるいは二級アミンとを式(27)
【化37】

の中間体アミドを得るのに十分な条件下で反応させることを含む、請求項1に記載の化合物を調製する方法。
【請求項76】
Pgがフルオレニルアルコキシカルボニルおよびアルコキシカルボニルからなる群より選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
Pgがフルオレニルメチルオキシカルボニルである、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
Pgがtert−ブチルオキシカルボニルである、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記反応が1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシドまたはこの両方の存在下において起こる、請求項75〜78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記反応が有機塩基の存在下において起こる、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記有機塩基が三級アミンである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記三級アミンがトリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記反応が溶媒中で行われる、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記溶媒がアセトニトリルである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
反応がほぼ周囲温度〜溶媒の還流温度で行われる、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
式(27)の中間体アミドを式(28)
【化38】

の中間体を得るのに十分な条件下で脱保護することを更に含む、請求項75に記載の方法。
【請求項87】
式(28)の中間体を式Iの化合物を得るのに十分な条件下でアシル化することを更に含む、請求項88に記載の方法。
【請求項88】
式(26)の前記トリクロロアセチル化合物が式(1)
【化39】

(ここで、Pgは保護基である)
の三環アゼピンとペルハロアルカノイルハライドとを式(26)の所望のトリクロロアセチル化合物を得るのに十分な条件下で反応させることにより調製される、請求項75に記載の方法。
【請求項89】
前記ペルハロアルカノイルハライドがトリクロロアセチルクロリドである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記反応が非プロトン性有機溶媒中の有機塩基の存在下において起こる、請求項88または請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記有機塩基がN,N−ジイソプロピルエチルアミンである、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記非プロトン性有機溶媒がジクロロメタンまたは1,4−ジオキサンである、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記反応が約−10℃〜ほぼ周囲温度で行われる、請求項88〜92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
式(26)
【化40】

(ここで、Pgは保護基である)
の化合物と水性塩基とを反応させ、および
Pgを除去して、式(29)
【化41】

の中間体を生成させることを含む、請求項1に記載の化合物を調製する方法。
【請求項95】
式(29)の中間体を活性化剤および式(3)
【化42】

の適切に置換されている一級あるいは二級アミンにより式(28)
【化43】

の中間体を得るのに十分な条件下で処理することを更に含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
式(28)の中間体を式Iの化合物を得るのに十分な条件下でアシル化することを更に含む、請求項95に記載の方法。

【公表番号】特表2008−540567(P2008−540567A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511404(P2008−511404)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018420
【国際公開番号】WO2006/124581
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】