説明

原子炉振動監視装置及びその監視方法

【課題】原子炉圧力容器の内部機器に反射板を取り付けることなく、傾きや曲率がある内部機器の振動を検出することのできる原子炉振動監視装置を提供する。
【解決手段】原子炉振動監視装置15は、原子炉圧力容器1の外側表面に設置されて原子炉圧力容器1の内部へ超音波パルスを送信する超音波送信手段3aと、原子炉圧力容器1の外側表面に設置されて、超音波パルスが原子炉圧力容器1内の検査対象2で反射した超音波を含む反射パルスを受信する超音波受信手段3bと、原子炉圧力容器1の壁厚さ、超音波送信手段3aおよび超音波受信手段3bの取り付け位置に基づいて、超音波受信手段3bが受信した反射パルス信号から原子炉圧力容器1の壁内部で生じた反射超音波パルスを特定して削除処理する前処理手段9と、前処理手段9で処理された反射パルス信号から検査対象2の観測時間に基づいて検査対象2の振動を求める演算手段5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて原子炉圧力容器の外側から内部機器の振動監視を行う原子炉振動監視装置及びその監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉運転中に原子炉内部の機器振動を監視する原子炉振動監視装置について、超音波を用いて原子炉圧力容器の外側から内部機器の振動監視を行う手法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
この原子炉振動監視装置について、図16を用いて説明する。
【0004】
図16は、従来の原子炉振動監視装置107の概略構成を示す構成図である。
【0005】
図16に示すように、この原子炉振動監視装置107は、原子炉圧力容器100の外側面に設置され、原子炉圧力容器100の内部機器101に取り付けられた反射板102へ超音波パルスを送信して反射パルスを受信する超音波トランスジューサ103を備えている。
【0006】
この超音波トランスジューサ103において受信した反射パルスは、超音波受信器104を介して受信信号に変換される。超音波受信器104からの信号は、信号処理装置105で受信して処理される。この信号処理装置105により処理された振動情報は表示装置106において表示される。
【0007】
この原子炉振動監視装置107において、内部機器101へ反射板102を取り付けることにより、超音波トランスジューサ103から送信された超音波パルスは、この反射板102で反射して再び超音波トランスジューサ103へ戻される。このため、内部機器101に傾きや曲率がある場合であっても、1つの超音波トランスジューサ103によって高感度かつ確実に超音波パルスの送受信が可能である。この超音波トランスジューサ103が信号を受信する時間の変化に基づいて振動監視を行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−068987号公報
【特許文献2】特開平11−125688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この原子炉振動監視装置107おいては、傾きや曲率がある内部機器101の振動を精度よく監視するためには、超音波が効率よく反射させるために反射板102を内部機器101へ取り付ける必要があり、水中において遠隔操作により取り付けなければならないという課題があった。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、原子炉圧力容器の内部機器に反射板を取り付けることなく、傾きや曲率がある内部機器の振動を高精度に検出することのできる原子炉振動監視装置及びその監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の原子炉振動監視装置は、原子炉圧力容器の外側表面に設置されて前記原子炉圧力容器の内部へ超音波パルスを送信する超音波送信手段と、前記原子炉圧力容器の外側表面に設置されて、前記超音波パルスが原子炉圧力容器内の検査対象で反射した超音波を含む反射パルスを受信する超音波受信手段と、前記原子炉圧力容器の壁厚さ、前記超音波送信手段および前記超音波受信手段の取り付け位置に基づいて、前記超音波受信手段が受信した反射パルス信号から前記原子炉圧力容器の壁内部で生じた反射超音波パルスを特定して除外処理する前処理手段と、前記前処理手段で処理された前記反射パルス信号から前記検査対象の観測時間に基づいて前記検査対象の振動を求める演算手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の原子炉振動監視方法は、超音波送信手段が原子炉圧力容器の外側表面に設置されて前記原子炉圧力容器の内部へ超音波パルスを送信する超音波送信ステップと、超音波受信手段が前記原子炉圧力容器の外側表面に設置されて、前記超音波パルスが原子炉圧力容器内の検査対象で反射した超音波を含む反射パルスを受信する超音波受信ステップと、前記原子炉圧力容器の壁厚さ、前記超音波送信手段および前記超音波受信手段の取り付け位置に基づいて、前記超音波受信手段が受信した反射パルス信号から前記原子炉圧力容器の壁内部で生じた反射超音波パルスを特定して削除処理する前処理ステップと、前記前処理ステップで処理された前記反射パルス信号から前記検査対象の観測時間に基づいて前記検査対象の振動を求める演算ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の原子炉振動監視装置及びその監視方法によれば、原子炉圧力容器の内部機器に反射板を取り付けることなく、高精度に内部機器の振動を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態の原子炉振動監視装置の概略構成を示す構成図。
【図2】部分レプリカの概略構造を示す縦断面図。
【図3】曲面における反射超音波パルスの反射を示す横断面図。
【図4】傾き面における反射超音波パルスの反射を示す縦断面図。
【図5】壁内における反射超音波パルスの反射を示す縦断面図。
【図6】前処理手段の出力を示す説明図で、(a)はその処理前のグラフ、(b)はその遮断または散乱させた場合の記憶されているグラフ、(c)はその差分処理した結果のグラフ。
【図7】部分レプリカを用いた前処理手段の出力を示すグラフ。
【図8】本発明の第2の実施の形態の原子炉振動監視装置の概略構成を示す構成図。
【図9】図8の前処理手段の第1の例の出力を示すグラフ。
【図10】図8の前処理手段の第2の例の出力を示すグラフ。
【図11】本発明の第3の実施の形態の原子炉振動監視装置の概略構成を示す構成図。
【図12】図11のパルス列生成手段が生成するパルス列状の超音波パルスを示すグラフ。
【図13】図11の前処理手段の遮断または散乱させた場合の記憶されているグラフ。
【図14】図11の前処理手段の差分処理した結果のグラフ。
【図15】本発明の原子炉振動監視方法の概略構成を示すブロック図。
【図16】従来の原子炉振動監視装置の概略構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る原子炉振動監視装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態の原子炉振動監視装置14の概略構成を示す構成図である。
【0017】
まず、原子炉振動監視装置14の基本構成について、図1を用いて説明する。
【0018】
本図に示すように、原子炉振動監視装置14は、原子炉圧力容器1の外側表面に設置されて、原子炉圧力容器1の内部へ超音波パルスを送信する超音波送信手段3a及び原子炉圧力容器1内部の検査対象2から反射する反射パルスを受信する超音波受信手段3bを有する超音波送受信手段3を備えている。すなわち、この超音波送信手段3aから原子炉圧力容器1の内部へ超音波パルスが送信され、検査対象2で反射した超音波パルスは、超音波受信手段3bにより受信される。
【0019】
この超音波受信手段3bは、反射超音波パルスを受信し、受信信号を前処理手段4に送信する。前処理手段4は、超音波送受信手段3bの受信信号をアナログ−デジタル変換し、反射超音波パルス信号を含む受信信号の波形と予め記憶している波形との差分処理を行う。この前処理手段4で差分処理された受信信号は、演算手段5に送信される。演算手段5は、検査対象2からの反射超音波パルスの観測時間の変化に基づき検査対象2の振動を求める。
【0020】
さらに、原子炉圧力容器1の内側表面と検査対象2との間において、通常浸水されている検査対象2へ送信される超音波パルスを任意の時間だけ遮断する遮断手段6が設けられている。この遮断手段6は、例えば、圧縮空気を供給する空気圧縮機6a及び圧縮空気を噴出する気泡噴出手段6bから構成されている。
【0021】
この原子炉振動監視装置14は、沸騰型原子炉や加圧水型原子炉など各種の原子炉に適用可能である。運転時の原子炉圧力容器1の外側表面は、高温かつ高放射線環境となる。例えば、外側表面の温度は、沸騰水型原子炉の場合は約300℃、加圧水型原子炉の場合は約325℃に達する。また、原子炉圧力容器1の内側表面には、超音波の伝播を阻害するクラッド溶接層8が存在する。
【0022】
検査対象2は、原子炉内の水中に設置されている内部機器であり、例えば、沸騰水型原子炉の場合、シュラウドやジェットポンプが挙げられる。これらの内部機器は複雑な形状をしており、振動を測定する超音波が照射される部位は曲率や傾きを有する形状になっている箇所が多い。図1の例では立断面で示しているが、検査対象2は、鉛直方向面は傾きを、かつ水平方向断面は曲率を有する形状となっている。
【0023】
超音波送信手段3aは、圧電効果を用いた振動子であり、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸リチウム(LN)、タンタル酸リチウム(LT)等の圧電素子から作製される。超音波受信手段3bにおいて送受信される超音波の周波数は、超音波が鋼材中及び水中を伝播するように、例えば数百kHz〜数十MHzの間に設定される。また、超音波送受信手段3bは、Au、Ag、Cu、Al、Ni等の軟性金属の接触媒体として原子炉圧力容器1の外側表面に固定される。
【0024】
なお、超音波受信手段3bは、磁歪効果による超音波の受信素子によって構成することもできる。
【0025】
また、超音波送信手段31a及び超音波受信手段31bからなる超音波送受信手段31について説明したが、送信手段及び受信手段を兼用する超音波送受信手段を用いてもよい。
【0026】
次に、前処理手段4は、入力信号を電気的に増幅した後にデジタルデータへ変換するための図示しないアナログ・デジタル変換器、デジタルデータを記憶する記憶回路、デジタルデータへ変換された入力信号と記憶されたデジタルデータとの間で差分演算を行って出力する演算回路によって構成されている。
【0027】
このアナログ・デジタル変換器は、Δt(sec)の時間間隔で動作し、反射超音波パルスを含む所定時間幅の入力信号をf(Hz)のサンプリング周波数によりデジタルデータに変換する。このとき、f(Hz)は、サンプリング定理に基づき、送受信する超音波の周波数の2倍以上に設定される。また、記憶回路に記憶されるデジタルデータについても、送受信する超音波の周波数の2倍以上に設定されたサンプリング周波数のデータとする。
【0028】
次に、演算手段5は、検査対象2において反射した反射超音波パルスから検査対象2の振動及び振幅を求める信号処理回路である。検査対象2が振動すると、検査対象2からの反射超音波パルスの伝搬時間が変化する。この時、反射超音波パルスを含む所定時間幅の入力信号はΔt(sec)の時間間隔で得られるため、順次得られる入力信号から反射超音波パルスの伝搬時間を抽出して時系列に従って並べると、Δt(sec)の時間間隔で反射超音波パルスの伝搬時間変化に関するデータを取得することができる。
【0029】
そして、取得データに対して周波数解析を行うことにより検査対象2の振動周波数を求めることができる。
【0030】
また、取得データにおける伝搬時間の時間変化幅を求め、これに音速を乗算して2で割ることによって振動振幅の大きさを求めることができる。他方、伝搬時間の時間変化幅は、取得データを補完したデータから求めるか、または取得データを関数近似した時の係数から求めることもできる。
【0031】
なお、伝搬時間は検査対象2までの往復時間であるため、検査対象2の振動振幅を求めるには2で割る必要がある。ここで、1/Δt(Hz)は、サンプリング定理に基づき、検査対象2の振動周波数の2倍以上になるように設定する。
【0032】
次に、遮断手段6は、原子炉圧力容器1と検査対象2との間の炉水中を伝搬する超音波を遮断または散乱させ、検査対象2からの反射超音波パルスが超音波受信手段3bに到達しないようにする手段である。上述した構成例では、空気圧縮機6aから圧縮空気を気泡噴出手段6bへ送り、流量及び気泡径を調整してノズルである気泡噴出手段6bから超音波の伝搬経路へ気泡を噴出することで超音波を遮断する。このとき、気泡径は、送受信する超音波の波長に比べて十分大きくなるように設定される。
【0033】
遮断手段6の別の例として、超音波を反射または散乱させる鋼板などを伝搬経路中に挿入して遮断手段とすることもできる。この場合は、挿入される鋼板等が落下しないように注意する必要がある。その他にも、炉水レベルを下げて伝搬経路を気中とすることによって超音波を遮断することもできる。
【0034】
このように構成された本実施の形態において、超音波送信手段3aから送信された超音波パルスは、原子炉圧力容器1の壁内及びクラッド溶接層8を透過して炉水中へ垂直入射される。このとき、超音波パルスは、原子炉圧力容器1の壁とクラッド溶接層8の境界、クラッド溶接層8と炉水との境界において反射し、減衰し、さらに、クラッド溶接層8の内部において減衰する。
【0035】
この後、炉水中へ侵入した超音波パルスは直進して検査対象2において反射するが、検査対象2が傾きと曲率を有するために、反射超音波パルスは拡がりと角度が付加されて伝搬する。例えば、検査対象2が図3に示すように曲率を有する場合、反射超音波パルスは検査対象2の曲率の影響を受けて水平方向に拡がる。また、検査対象2が図4に示すように傾いている場合、反射超音波パルスは検査対象2の傾きの影響を受けて鉛直方向に拡がる。
【0036】
さらに、図5に示すように、超音波パルスの一部は、原子炉圧力容器1の壁内において反射を繰り返して超音波受信手段3bに到達する。
【0037】
また、送信された超音波パルスと同様に反射超音波パルスについても、原子炉圧力容器1の壁とクラッド溶接層8の境界、クラッド溶接層8と炉水との境界において反射し、減衰し、さらに、クラッド溶接層8の内部において減衰する。
【0038】
このように検査対象2からの反射超音波パルスは、原子炉圧力容器1の壁とクラッド溶接層8の境界、クラッド溶接層8と炉水との境界において反射し、減衰し、さらに、クラッド溶接層8の内部において減衰し、加えて、検査対象2の傾きと曲率によって拡がるために大きく減衰する。また、原子炉圧力容器1の壁内で反射して超音波送受信手段3bに到達した超音波パルスも観測される。このため、超音波受信手段3bの受信信号において、検査対象2からの反射超音波パルスが小さくなり、原子炉圧力容器1の壁内を反射した超音波パルス等のノイズとの識別が困難となる。
【0039】
ここで、前処理手段4が行う処理について、図6を用いて説明する。
【0040】
図6は、前処理手段4の出力例を示す説明図で、(a)は超音波受信手段3bから前処理手段4に入力される処理前の波形、(b)は予め前処理手段4に記憶されている波形、(c)は(a)と(b)を差分処理した結果のグラフである。なお、振幅の単位は任意である。
【0041】
前処理手段4においては、反射超音波パルスをデジタルデータへ変換した図6(a)に示す波形と、図6(b)に示す差分処理用の波形との間で差分演算を行う。図6(b)に示す波形は、検査対象2からの反射超音波パルスが超音波受信手段3bによって受信されない状態の波形である。すなわち、図6(b)に示す波形は、原子炉圧力容器1の壁内での反射超音波等に起因するもので、図6(a)の波形のうち反射超音波パルス以外のノイズに相当する。
【0042】
図6(b)の波形は、例えば原子炉圧力容器1と検査対象2の間の炉水中を伝搬する超音波パルス及び反射超音波パルスを遮断または散乱させた場合のデータ又は等価のデジタルデータが予め用意し(例えば、過去の運転で取得されたデータやシミュレーションによって求める)、前処理手段4に記憶させておく。
【0043】
したがって、図6(a)と図6(b)の差分処理によって図6(a)からノイズが除去されて図6(c)に示すような波形となり、検査対象2からの反射超音波パルスについて高SN比(SIGNAL−NOISE RATIO:信号雑音比)の波形が得られる。
【0044】
また、差分処理に用いる波形を予め用意するのが困難な場合や、より正確な波形を得るために実機から取得する場合、遮断手段6を用いて図6(b)に相当する波形を取得することが可能である。この方法について、以下説明する。
【0045】
まず、上述した空気圧縮機6aと気泡噴出手段6bから構成される遮断手段6を用いて図6(b)の波形を取得する方法について、以下説明する。図1に示す遮断手段6の空気圧縮機6aを任意の時間動作させて気泡噴出手段6bから伝搬経路中へ気泡を送り込み、伝搬経路を気泡で充満させる。この結果、超音波パルス及び反射超音波は、伝搬経路中の気泡によって散乱するため、実質的に遮断される。この状態では超音波が超音波送信手段3aから送信された超音波パルスが検査対象2で反射して超音波受信手段3bに到達しないので、超音波受信手段3bの出力は図6(b)のような波形となる。このようにして、図6(b)に示されるデジタルデータを必要なデータ数だけ取得することができる。
【0046】
また、遮断手段が上述したように鋼板等を超音波送受信手段3と検査対象2の間に挿入する構成である場合でも、挿入された鋼板等によって超音波が反射・減衰するため、空気圧縮機6aおよび気泡噴出手段6bを用いた場合と同様に超音波を遮断してデータを取得することが可能である。
【0047】
また、上述したような遮断手段6の適用が困難なときには、代替として図2に示す部分レプリカ7を用いることができる。なお、この部分レプリカ7には、レプリカ用の超音波送信手段31a及び超音波受信手段31bからなる超音波送受信手段31が設けられている。部分レプリカ7として、実物のサンプリングを用いてもよい。
【0048】
図2に示すように、原子炉圧力容器1に取り付けられた超音波送受信手段3の近傍に設置されている部分レプリカ7に、図1の超音波送受信手段3と同一の相対位置関係になるように超音波送受信手段31を配置して超音波を送受信する。
【0049】
すなわち、部分レプリカ7は、原子炉圧力容器1の壁を部分的に模擬した部分レプリカであり、図1に示す原子炉圧力容器1の壁と同一の材料と厚み、クラッド溶接層8を有する。また、部分レプリカ7の大きさは、超音波送受信手段31の超音波送信手段31aと超音波受信手段31bが設置可能な寸法とする。そして、この部分レプリカ7は、超音波送信手段3aと超音波受信手段3bが設置されている原子炉圧力容器1の壁と同一の温度環境となるように、超音波送受信手段3の近傍に設置されることが望ましい。当然ながら、設置位置が超音波送受信手段3の近傍でなくとも、ヒータ等を用いて近い温度環境とすることも可能である。
【0050】
この結果、部分レプリカ7に設置された超音波送受信手段31bを用いて取得される受信信号は、主に原子炉圧力容器1の壁内部での反射超音波に起因するものであり、図6(b)に相当する波形を取得することができる。
【0051】
このように構成された本実施の形態において、図7に示す部分レプリカ7の壁内部の反射超音波パルスをデジタルデータとして前処理手段4に記憶することにより、その伝搬時間を求めることができる。かくして、波形の差分処理によって原子炉圧力容器1の壁内部を反射した超音波に起因するノイズを除外することができ、検査対象2からの反射超音波パルスの特定が容易となる。
【0052】
また、原子炉圧力容器1の壁内部で反射した超音波に起因するノイズを回避する別の方法について、以下説明する。図5には、原子炉圧力容器1の壁内部で1回反射して超音波受信手段3bに到達する超音波の経路を実線で、3回反射して超音波送受信手段3bに到達する超音波の経路を破線で示している(クラッド溶接層8は図示省略)。これら超音波の経路長さは、原子炉圧力容器1の壁の厚さ、超音波送信手段3aと超音波送受信手段3bの設置位置、超音波の反射回数から求めることができる。さらに、温度が分かれば、音速が分かるため超音波送受信手段3bでの観測時間を求めることができる。また、温度が不明な場合であっても、超音波受信手段3bの受信波形における最初のピークが判別できる場合は、当該最初のピークが原子炉圧力容器1の壁内部で1回反射して超音波受信手段3bに到達する超音波であるため、最初のピークの観測時間に基づいて、壁内で3回以上反射した超音波の観測時間を求めることができる。
【0053】
壁内部の反射超音波パルスの観測時間を求めることにより、原子炉圧力容器1の壁内部の反射超音波パルスを除外することができ、壁内部の反射超音波によるピークを検査対象2からの反射超音波パルスと誤判定することを回避することが可能である。なお、原子炉圧力容器1の壁内部の反射超音波パルスの除外は、例えば該当する観測時間の信号を低減する処理を行う、あるいは検査対象2からの反射超音波パルスを特定する際に、該当する観測時間は検査対象からの反射超音波パルスの判定の対象としないようにする、等の処理によって行なう。
【0054】
この原子炉圧力容器1の壁内部の反射超音波パルスを除外する処理は、上述した波形の差分処理と併用することが可能である。
【0055】
この結果、演算手段5において、図6(3)に示すように、検査対象2からの反射超音波パルスを容易に抽出できる。
【0056】
なお、反射超音波パルスの抽出は、最大値や最小値の検索、振幅強度の閾値判定、送信した超音波パルスとの相関演算における最大値の検索等の各種手法が適用できる。そして、抽出された反射超音波パルスの伝搬時間変化に関するデータから検査対象2の振動周波数及び振動振幅を求めることができる。
【0057】
また、検査対象2からの反射超音波パルスの特定は、例えば、しきい値判定や波形の重心に基づいて行うこともできる。
【0058】
本実施の形態によれば、原子炉圧力容器1内の傾きや曲率がある内部機器の振動を検出するときであっても、内部機器からの反射超音波パルスを含む測定データと予め記憶された反射超音波パルスを含まない記憶データとの間の差分処理により、内部機器からの反射超音波パルスを高SN比で得ることができ、高精度に振動を検出することが可能となる。
【0059】
また、超音波の遮断手段によって超音波パルス及び反射超音波を任意の時間だけ遮断することにより、かつ迅速に内部機器からの反射超音波パルスを含まない差分処理に用いるデータを取得できる。そして、内部機器からの反射超音波パルスを含む測定データとの間の差分処理により、内部機器からの反射超音波パルスを高SN比で得ることができ、高精度な振動検出が可能となる。
【0060】
また、原子炉圧力容器1に取り付けられた超音波送受信手段3の近傍に設置された部分レプリカ7において壁内部の反射超音波パルスを測定することにより、原子炉圧力容器1の壁内部の反射超音波パルスとほぼ同一又は極めて近い伝搬時間の測定データを取得できる。そして、上述した差分処理を行うことにより、検査対象2の反射超音波パルスを高SN比にすることができ、高精度な振動検出が可能となる。
【0061】
加えて、超音波送受信手段3の位置関係、原子炉圧力容器1の壁厚及び温度を用いて壁内部の反射超音波パルスを計算によって特定する、または最短時間で観測されるピークが原子炉圧力容器1の内側表面で1回反射した超音波によるものであることから、この当該ピークの観測時間に基づき音速を求めることができ、また壁内部で複数回反射した超音波パルスの観測時間を実験的に特定することができる。そして、内部機器からの反射超音波パルスを含む測定データから壁内部での反射超音波パルスを除外することにより、ノイズの中でも振幅の大きい成分による影響を回避することができ、高精度な振動検出が可能となる。
【0062】
図8は、本発明の第2の実施の形態の原子炉振動監視装置の概略構成を示す構成図である。図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0063】
本図に示すように、原子炉振動監視装置15は、原子炉圧力容器1の外側表面に設置されて原子炉圧力容器2の内部へ超音波パルスを送信して検査対象2から反射する反射パルスを受信する超音波送受信手段3と、原子炉圧力容器1の壁厚さ、超音波送受信手段3を構成する超音波送信手段3a及び超音波受信手段3bの取り付け位置に基づいて、超音波受信手段3bが受信した反射パルス信号を処理する前処理手段9と、前処理手段9で処理された反射パルス信号から検査対象2の観測時間に基づいて検査対象2の振動を求める演算手段5と、を備えている。
【0064】
この前処理手段9は、図1の前処理手段4のように、デジタルデータへ変換する図示しないアナログ・デジタル変換器に加え、変換されたデジタルデータの中から開始位置および終了位置を指定してデジタルデータを抜き出すマスク回路、デジタルデータの四則演算を行う演算回路、デジタルデータに対して周波数フィルタリングを行うフィルタリング回路を備えている。
【0065】
なお、このアナログ・デジタル変換器のサンプリング周波数がf(Hz)であるために、フィルタリング回路におけるフィルタリング周波数の上限は、サンプリング定理に基づいてf/2(Hz)に制限される。
【0066】
本実施形態による前処理手段9は、反射超音波パルスをデジタルデータへ変換し、このデジタルデータ値を2乗した後に、送信される超音波の周波数を含んだ低周波数域を通過する周波数フィルタリング処理を行う。一般的に高周波数は概ね電気ノイズであるので、超音波のみを通過させるように、超音波の周波数に基づいて周波数フィルタリング処理を行う。この処理により、図9に示すように電気ノイズが低減された高SN(信号雑音比)の反射超音波パルスが得られる。
【0067】
また、検査対象2の寸法及び配置を、図面または実測によって知ることができる場合は、超音波送信手段3a及び超音波受信手段3bの位置関係、原子炉圧力容器1の温度により、検査対象2の位置関係から壁内部の反射超音波パルスの伝搬時間を計算によって求めることができる。
【0068】
また、前処理手段9が行う別の処理として、超音波送受信手段3bの出力波形において、最短時間で観測される反射超音波パルスが原子炉圧力容器1の内側表面で1回反射した超音波であることから温度を知ることなく音速を求めることができる。したがって、この音速、超音波送受信手段3と検査対象2との距離を用いて、検査対象2からの反射超音波パルスの観測時間を求めることができる。
【0069】
この結果、前処理手段9においては、検査対象2からの反射超音波パルスの伝搬時間を求めることができ、これに温度や距離による誤差を考慮し、一定の時間領域を抽出する。この処理結果は図10に示すようになり、ノイズに起因するピークを検査対象2からの反射超音波パルスと誤判定することを回避し、検査対象2からの反射超音波パルスをより確実に検出できる。
【0070】
上述のように、演算手段5においては、図9や図10に示すように、反射超音波パルスを容易に抽出でき、抽出された反射超音波パルスの伝搬時間変化に関するデータから検査対象2の振動周波数及び振動振幅を求めることができる。
【0071】
本実施の形態によれば、原子炉圧力容器1内の傾きや曲率がある内部機器2の振動を検出する場合に、寸法及び配置の誤差、熱変形や温度の測定誤差が生じるときであっても、反射パルス信号を含む受信波形から検査対象2からの反射超音波パルス観測時間を抽出することにより、原子炉圧力容器1の壁内部で生じた反射超音波パルスを削除し、内部機器2からの反射超音波パルスを高SN比にすることができ、高精度な検査対象2の振動検出が可能である。
【0072】
また、原子炉圧力容器1内の傾きや曲率がある内部機器の振動を検出するときであっても、内部機器からの反射超音波パルスを含む測定データの振幅を2乗した後に、送信される超音波の周波数を含んで低周波数域を通過する周波数フィルタリング処理を行うことにより、内部機器2からの反射超音波パルスを高SN比で得ることができ、高精度な振動検出が可能である。
【0073】
さらに、検査対象の寸法及び配置から反射超音波パルスの伝搬時間を求めることができる場合は、これに温度や距離による誤差を加え、一定の時間領域を抽出することにより、内部機器からの反射超音波パルスを確実に検出することができ、高精度な振動検出が可能である。
【0074】
図11は、本発明の第3の実施の形態の原子炉振動監視装置16の概略構成を示す構成図である。
【0075】
図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0076】
本図に示すように、原子炉振動監視装置16は、原子炉圧力容器1の外側表面に設置されて原子炉圧力容器1の内部の検査対象2へ超音波パルス列(バーストパルス)を送信するパルス列生成手段10と、検査対象2で反射した反射超音波パルスを受信する超音波受信手段3bとを備えている。また、この超音波受信手段3bによって受信されるパルス列の反射パルス信号を含む受信波形と、送信された超音波パルス列の波形との相関を計算する前処理手段11と、反射パルス信号を抽出して観測時間の時間変化から検査対象2の振動が求める演算手段5と、超音波受信手段3bの位置関係を調整する位置調整手段12とを備えている。
【0077】
上述のパルス列生成手段10は、図1に示す超音波送信手段3aと同様に、圧電効果や磁歪効果を用いた超音波の送信素子であるが、任意の数だけ連続した電気パルスの入力を受け、図12に示されるパルス列状の超音波を生成する。図12の例では10パルスのパルス列としているが、超音波のパルス列数と超音波の周波数は任意に設定可能である。
【0078】
前処理手段11は、図1と同様の図示しないアナログ・デジタル変換器及び記憶回路に加え、デジタルデータへ変換された入力信号と記憶されたデジタルデータとの間で相関演算を行って出力する演算回路によって構成される。
【0079】
位置調整手段12は、超音波受信手段3bの位置を変える移動機構であり、車輪又は送風反力等によって原子炉圧力容器1の外側表面を移動する一方、磁力や吸引力等によって超音波受信手段3bを固定する。
【0080】
なお、この位置調整手段12は、図1に示す原子炉振動監視装置14、図8に示す原子炉振動監視装置15にも適用することができる。
【0081】
このように構成された本実施の形態において、パルス列生成手段10から送信されたパルス列状の超音波は、第1の実施形態と同様に、原子炉圧力容器1の壁とクラッド溶接層8の境界、クラッド溶接層8と炉水との境界において反射し、減衰し、さらに、クラッド溶接層8の内部で減衰し、加えて、検査対象2の傾きや曲率によって拡がり、超音波受信手段3bでは、図13に示すパルス列状の反射超音波パルスが受信される。
【0082】
パルス列生成手段10と超音波送受信手段3bの位置関係は、原子炉圧力容器1及び検査対象2の寸法及び配置の誤差や熱変形、温度の測定誤差等の影響を受けることが考えられる。これに対して、位置調整手段12によって超音波送受信手段3bの相対位置を調整することにより、誤差や熱変形等の影響を避けることが可能である。
【0083】
このために、位置調整手段12を操作して超音波送受信手段3bの位置を変えることにより、図13に示されるパルス列状の反射超音波パルスのSN比を向上させることができる。
【0084】
次に、前処理手段11においては、図13に示す超音波パルスをアナログ−デジタル変換し、パルス列生成手段10から送信された図12に示される超音波パルス列の波形との相関値を算出する演算を行う。図14に、相関演算の結果の例を示す。相関値は、超音波パルス列の観測時間付近で段階的に相関値が大きくなり、最大値を示した後に段階的に相関値が小さくなっていく。この相関値が最大値となる時間が、超音波パルス列が受信された時間である。このように、相関値を求めることによって検査対象2からの超音波パルス列の観測時間を特定することができる。
【0085】
この結果、演算手段5においては、図14に示すように、超音波パルス列と反射パルス信号との相関値を算出することにより、検査対象2の反射超音波パルスを容易に特定でき、抽出された反射超音波パルスの伝搬時間変化に関するデータから検査対象2の振動周波数及び振動振幅を求めることができる。
【0086】
本実施の形態によれば、原子炉圧力容器10内の傾きや曲率がある内部機器2の振動を検出する場合に、寸法及び配置の誤差や熱変形、温度の測定誤差が生じるときであっても、位置調整手段12を操作して超音波受信手段3bの位置を変えることにより、内部機器2からの反射超音波パルスを高SN比にすることができ、内部機器2に反射板を取り付けることなく、振動を検出することができる。
【0087】
また、超音波受信手段3bによって受信される超音波パルス列と削除処理後の反射パルス信号との相関値を算出することにより、内部機器2からの反射超音波パルスを特定することができ、高精度な振動検出が可能となる。
【0088】
ここで、原子炉振動監視方法について、図8及び図15を用いて説明する。
【0089】
まず、超音波送信ステップS1においては、超音波送信手段3aが原子炉圧力容器1の外側表面に設置されて原子炉圧力容器1の内部へ超音波パルスを送信する。
【0090】
次に、超音波受信ステップS2においては、超音波受信手段3bが原子炉圧力容器1の外側表面に設置されて、超音波パルスが検査対象2で反射した超音波を含む反射パルスを受信する。
【0091】
そして、前処理ステップS3においては、原子炉圧力容器1の壁厚さ、超音波送受信手段3を構成する超音波送信手段3a及び超音波受信手段3bの位置関係に基づいて、超音波受信手段3bが受信した反射パルス信号から原子炉圧力容器1の壁内部で生じた反射超音波パルスを特定して削除処理する。
【0092】
さらに、演算ステップS4においては、前処理ステップS3で処理された反射パルス信号から検査対象2の観測時間に基づいて検査対象2の振動を求める。
【0093】
本実施の形態によれば、原子炉圧力容器1内の傾きや曲率がある内部機器2の振動を検出する場合に、寸法及び配置の誤差、熱変形や温度の測定誤差が生じるときであっても、反射パルス信号を含む受信波形から原子炉圧力容器1の壁内部で生じた反射超音波パルスを削除処理することにより、内部機器2からの反射超音波パルスを高SN比にすることができ、内部機器2に反射板を取り付けることなく、内部機器2の振動を高精度に検出することができる。
【0094】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、各実施の形態の構成を組み合わせて、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0095】
1…原子炉圧力容器、2…検査対象、3…超音波送受信手段、3a…超音波送信手段、3b…超音波受信手段、4…前処理手段、5…演算手段、6…遮断手段、6a…空気圧縮機、6b…気泡噴出手段、7…部分レプリカ、8…クラッド溶接層、9…前処理手段、10…パルス列生成手段、11…前処理手段、12…位置調整手段、14,15,16…原子炉振動監視装置、31…超音波送受信手段、31a…超音波送信手段、31b…超音波受信手段、100…原子炉圧力容器、101…内部機器、102…反射板、103…超音波トランスジューサ、104…超音波受信器、105…信号処理装置、106…表示装置、107…原子炉振動監視装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器の外側表面に設置されて前記原子炉圧力容器の内部へ超音波パルスを送信する超音波送信手段と、
前記原子炉圧力容器の外側表面に設置されて、前記超音波パルスが原子炉圧力容器内の検査対象で反射した超音波を含む反射パルスを受信する超音波受信手段と、
前記原子炉圧力容器の壁厚さ、前記超音波送信手段および前記超音波受信手段の取り付け位置に基づいて、前記超音波受信手段が受信した反射パルス信号から前記原子炉圧力容器の壁内部を反射した反射超音波パルスを特定して除外処理する前処理手段と、
前記前処理手段で処理された前記反射パルス信号から前記検査対象の観測時間に基づいて前記検査対象の振動を求める演算手段と、
を備えることを特徴とする原子炉振動監視装置。
【請求項2】
前記超音波送信手段は前記原子炉圧力容器に超音波パルス列を送信するパルス列生成手段であり、
前記前処理手段は、前記超音波パルス列の波形と前記反射パルス信号の各時間におけるとの相関値を算出すること、を特徴とする請求項1記載の原子炉振動監視装置。
【請求項3】
前記前処理手段は、前記反射パルス信号の振幅を2乗した後に所定の周波数より小さい成分を抽出する低周波数成分抽出処理を行うこと、を特徴とする請求項1または請求項2記載の原子炉振動監視装置。
【請求項4】
前記前処理手段は、前記超音波送信手段、前記検査対象、前記超音波受信手段の位置に基づいて、前記反射パルス信号から前記検査対象で反射した超音波パルスが含まれる時間範囲を特定して抽出する抽出処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の原子炉振動監視装置。
【請求項5】
前記前処理手段は予め差分処理用波形を記憶しており、前記反射パルス信号と前記差分処理用波形を差分処理することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の原子炉振動監視装置。
【請求項6】
前記原子炉圧力容器の内面と前記検査対象の間で、前記超音波送信手段から送信される超音波パルスを任意の時間だけ遮断する遮断手段を備え、
前記前処理手段は、前記遮断手段により前記超音波パルスを遮断した状態で前記超音波受信手段が受信した信号を前記差分処理用波形として記憶することを特徴とする請求項5記載の原子炉振動監視装置。
【請求項7】
前記原子炉圧力容器の部分レプリカと、この部分レプリカに前記超音波送信手段および前記超音波受信手段の位置関係と同一となるよう設けられたレプリカ用超音波送信手段およびレプリカ用超音波受信手段を備え、
前記前処理手段は、前記レプリカ用超音波送信手段が前記部分レプリカに超音波を送信して前記レプリカ用超音波受信手段が受信した信号を前記差分処理用波形として記憶することを特徴とする請求項5記載の原子炉振動監視装置。
【請求項8】
前記超音波送受信手段と前記超音波受信手段の相対位置を調整する位置調整手段を備えること、を特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の原子炉振動監視装置。
【請求項9】
超音波送信手段が原子炉圧力容器の外側表面に設置されて前記原子炉圧力容器の内部へ超音波パルスを送信する超音波送信ステップと、
超音波受信手段が前記原子炉圧力容器の外側表面に設置されて、前記超音波パルスが原子炉圧力容器内の検査対象で反射した超音波を含む反射パルスを受信する超音波受信ステップと、
前記原子炉圧力容器の壁厚さ、前記超音波送信手段および前記超音波受信手段の取り付け位置に基づいて、前記超音波受信手段が受信した反射パルス信号から前記原子炉圧力容器の壁内部で生じた反射超音波パルスを特定して除外処理する前処理ステップと、
前記前処理ステップで処理された前記反射パルス信号から前記検査対象の観測時間に基づいて前記検査対象の振動を求める演算ステップと、
を備えることを特徴とする原子炉振動監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−133241(P2011−133241A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290391(P2009−290391)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】