原料ガス発生装置
【課題】原料ガスの濃度の低下を抑制する。
【解決手段】原料ガス発生装置101は、容器111内の固体原料102を加熱し、CVD加工用の原料ガスを発生させる。通気管113を介して容器111内に導入されたキャリアガスは、ガス拡散部材115の拡散体131により拡散され、開口部115Aから鉛直下方向に噴出される。固体原料102から発生した原料ガスは、キャリアガスとともに固体原料102の上方から、通気管116を介して容器111の外に排出される。本発明は、例えば、CVD加工用の原料ガスを発生する原料ガス発生装置に適用できる。
【解決手段】原料ガス発生装置101は、容器111内の固体原料102を加熱し、CVD加工用の原料ガスを発生させる。通気管113を介して容器111内に導入されたキャリアガスは、ガス拡散部材115の拡散体131により拡散され、開口部115Aから鉛直下方向に噴出される。固体原料102から発生した原料ガスは、キャリアガスとともに固体原料102の上方から、通気管116を介して容器111の外に排出される。本発明は、例えば、CVD加工用の原料ガスを発生する原料ガス発生装置に適用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ガス発生装置に関し、特に、CVD(Chemical Vapor Deposition)加工用の原料ガスを発生させる原料ガス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CVD加工用の原料ガスを発生させる原料ガス発生装置では、例えば、金属カルボニルなどの粉末状の固体原料を入れた容器を加熱し、原料ガスを発生させるとともに、容器内にキャリアガスを導入し、そのキャリアガスとともに原料ガスを容器の外に排出し、CVD加工を行うレーザ加工装置に供給している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、そのような原料ガス発生装置の構成の一例を示している。
【0004】
図1の原料ガス発生装置1は、円筒形の容器11、円板上の蓋12、通気管13,バルブ14、拡散体15、通気管16、および、バルブ17を含むように構成される。
【0005】
容器11は、図示せぬ加熱手段により所定の温度に設定され、この熱により容器11内の固体原料2が昇華し、原料ガスが発生する。
【0006】
一方、キャリアガスは、通気管13を介して容器11内に導入され、通気管13の先端に設けられている拡散体15により、拡散体15より上を除く各方向にほぼ均等に拡散される。そして、拡散されたキャリアガスが、容器11内を流れ、固体原料2から発生した原料ガスを、通気管16を介して図示せぬCVD加工を行うレーザ加工装置まで搬送する。
【0007】
このとき、拡散体15の働きにより、キャリアガスが固体原料2の表面付近をほぼくまなく流れるため、固体原料2は、場所によらずほぼ均等に消費される。
【0008】
また、容器11に固体原料2を充填した直後は、固体原料2の表面の粒子径が小さなものが昇華し、容器11内の原料ガスの濃度が高くなるため、通気管16から排出され、レーザ加工装置に供給されるガス(以下、供給ガスと称する)に占める原料ガスの濃度(以下、供給原料ガス濃度と称する)が高くなる。その後、固体原料2の粒子径が小さなものが消費され、容器11内の原料ガスの濃度が低下するにつれて、供給原料ガス濃度が安定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−59178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、原料ガス発生装置1では、キャリアガスの流量を増加させると、供給原料ガス濃度が低下するとともに、固体原料2の消費により供給原料ガス濃度が低下する量が大きくなる。
【0011】
具体的には、キャリアガスの流量が少ない場合、キャリアガスが容器11内に滞在する時間が長くなり、固体原料2の表面から発生する原料ガスが、キャリアガスにより通気管16の開口部16Aまで十分搬送される。そのため、容器11内の原料ガスの濃度の差が小さくなり、通気管16の開口部16A付近の原料ガスの濃度の低下が抑制される。その結果、供給原料ガス濃度の低下が抑制される。
【0012】
また、図2に示されるように、固体原料2の消費が進み、固体原料2の表面と通気管16の開口部16Aとの距離が広がっても、容器11内の原料ガスの濃度の差が小さいため、供給原料ガス濃度の低下量は小さく抑えられる。
【0013】
一方、キャリアガスの流量を増加させると、拡散体15の側面から噴出され、固体原料2の表面付近を通過せずに、そのまま通気管16に流入したり、容器11内の上部に停滞するキャリアガスが増加する。このキャリアガスの流れにより、固体原料2の表面から通気管16の開口部16Aへのキャリアガスの流れが妨げられ、原料ガスが固体原料2の表面付近に停滞する。そのため、容器11内の上下方向の原料ガスの濃度の差が大きくなり、通気管16の開口部16A付近の原料ガスの濃度が低下する。その結果、供給原料ガス濃度が低下する。
【0014】
また、図2に示されるように、固体原料2の消費が進み、固体原料2の表面と通気管16の開口部16Aとの距離が広がるにつれて、固体原料2の表面付近を流れるキャリアガスの割合が小さくなり、容器11内の上下方向の原料ガスの濃度の差がより大きくなる。その結果、固体原料2の消費に伴う供給原料ガスの濃度の低下量が大きくなる。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、原料ガスの濃度の低下を抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一側面の原料ガス発生装置は、容器内の固体の原料から原料ガスを発生させる原料ガス発生装置であって、原料ガスを搬送するためのキャリアガスを容器内に導入する導入部材と、原料の上方において、容器内に導入されたキャリアガスを拡散し、拡散したキャリアガスを開口部から鉛直下方向に噴出する拡散部材と、原料ガスをキャリアガスとともに原料の上方から容器の外に排出する排出部材とを備える。
【0017】
本発明の一側面においては、容器内に導入されたキャリアガスが拡散され、拡散されたキャリアガスが開口部から鉛直下方向に噴出され、原料ガスがキャリアガスとともに原料の上方から容器の外に排出される。
【0018】
従って、原料ガスの濃度の低下を抑制することができる。
【0019】
この導入部材および排出部材は、例えば、通気管により構成される。この拡散部材は、例えば、焼結金属等の拡散体を含むガス拡散部材により構成される。
【0020】
拡散部材の開口部は、容器の水平方向の略中央に配置することができる。
【0021】
これにより、原料ガスの濃度の低下をより効果的に抑制することができる。
【0022】
拡散部材は複数の開口部を備えるようにすることができ、複数の開口部は、容器の水平方向の中央を中心に略対称に配置するようにすることができる。
【0023】
これにより、原料ガスの濃度の低下をより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一側面によれば、原料ガスの濃度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の原料ガス発生装置の構成の一例を示す図である。
【図2】従来の原料ガス発生装置の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明を適用した原料ガス発生装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図4】本発明を適用した原料ガス発生装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図5】本発明を適用した原料ガス発生装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明を適用した原料ガス発生装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図7】従来の原料ガス発生装置と本発明を適用した原料ガス発生装置の原料ガスの濃度を比較するグラフである。
【図8】本発明を適用した原料ガス発生装置の第3の実施の形態を示す図である。
【図9】ガス拡散部材の開口部の位置の例を示す図である。
【図10】ガス拡散部材の開口部の位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.変形例
【0027】
<1.第1の実施の形態>
[原料ガス発生装置101の構成例]
図3は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第1の実施の形態である原料ガス発生装置101の構成例を模式的に示す断面図である。
【0028】
原料ガス発生装置101は、容器111内に入れた固体原料102を加熱し、CVD加工用の原料ガスを発生させる装置である。固体原料102は、例えば、金属カルボニルなど、室温から50℃付近で、1hPa程度の比較的高い飽和蒸気圧を持つ粉末状の物質からなる。
【0029】
原料ガス発生装置101は、円筒形の容器111、円板上の蓋112、通気管113,バルブ114、ガス拡散部材115、通気管116、および、バルブ117を含むように構成される。
【0030】
容器111は、図示せぬ加熱手段により、適切な温度に設定され、容器111の熱により固体原料102が昇華し、原料ガスが発生する。
【0031】
蓋112は、容器111に対して着脱自在であり、例えば、容器111内に固体原料102を充填するときに、容器111から取り外される。また、容器111と蓋112が接触する部分には、容器111内のガスが外に漏れ出さないように気密シールが施されている。
【0032】
また、蓋112には、垂直方向に貫通するように通気管113および通気管116が設けられている。
【0033】
通気管113は、原料ガスを搬送するためのキャリアガスを容器111内に導入するために用いられる。なお、キャリアガスには、例えば、アルゴンガスなどの不活性ガスが用いられる。
【0034】
また、通気管113には、バルブ114が設けられており、キャリアガスを流したり、遮断したりすることができる。
【0035】
さらに、通気管113の先端には、ガス拡散部材115が設けられている。このガス拡散部材115は、拡散体131および枠132により構成される。
【0036】
拡散体131は、例えば、焼結金属により構成され、通気管113の先端の開口部113Aを塞ぐように設けられている。従って、通気管113の開口部113Aから排出されたキャリアガスは、全て拡散体131に流入し、拡散体131により拡散される。
【0037】
また、拡散体131は、上面の通気管113の開口部113Aを塞ぐ部分、および、下面以外は枠132に覆われている。従って、拡散体131により拡散されたキャリアガスは、拡散体131の下面から排出され、枠132により形成されるガス拡散部材115の開口部115Aから、鉛直下方向に噴出する。
【0038】
通気管116は、気密継ぎ手等によりCVD加工を行うレーザ加工装置(不図示)に接続されており、原料ガスおよびキャリアガス(すなわち、供給ガス)を、容器111から搬出し、レーザ加工装置に供給する。また、通気管116には、バルブ117が設けられており、供給ガスを流したり、遮断したりすることができる。
【0039】
[原料ガス発生装置101におけるガスの流れ]
ここで、原料ガス発生装置101におけるガスの流れについて説明する。
【0040】
通気管113を介して容器111内に導入されたキャリアガスは、通気管113の開口部113Aから排出された後、ガス拡散部材115の拡散体131を通過することにより拡散され、開口部115Aから鉛直下方向に噴出される。ガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスは、固体原料102の表面までほぼ鉛直下方向に下降し、固体原料102の表面に吹き付けられて、固体原料102の表面を容器111の内壁方向に拡散する。そして、キャリアガスは、容器111の内壁に沿って上昇する。
【0041】
このキャリアガスの流れにより、固体原料102から発生する原料ガスが、通気管116の開口部116Aまで搬送され、キャリアガスとともに通気管116に流入する。そして、原料ガスおよびキャリアガス(すなわち、供給ガス)は、通気管116を介してCVD加工装置に供給される。
【0042】
このように、原料ガス発生装置101では、ガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスの大部分が固体原料102の表面付近を流れ、原料ガスの搬送に用いられる。一方、固体原料102の表面付近を通過せずに、そのまま通気管116に流入したり、容器111内の上部に停滞するキャリアガスは、ほとんど発生しない。
【0043】
従って、固体原料102の表面で発生した原料ガスが、キャリアガスにより効率よく通気管116の開口部116Aまで搬送されるため、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差が小さくなる。その結果、レーザ加工装置に供給される供給ガスに占める原料ガスの濃度(供給原料ガス濃度)の低下が抑制される。
【0044】
また、固体原料102のガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスが直接吹き付けられる部分は、その周辺部分よりも速く消費されるため、図4に示されるように、固体原料102の表面に凹みが生じる。しかし、凹みが生じて固体原料102の表面と通気管116の開口部116Aとの距離が広がっても、上述したキャリアガスの流れにより、原料ガスが効率よく通気管116の開口部116Aまで搬送されるため、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差の拡大が抑制される。その結果、固体原料102の消費に伴う供給原料ガス濃度の低下量が小さく抑えられる。
【0045】
従って、レーザ加工装置に供給する供給ガスの供給原料ガス濃度を長期に渡って安定させることができる。
【0046】
さらに、キャリアガスの流量を増加しても、同様に大部分のキャリアガスが原料ガスの搬送に用いられ、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差がほとんど広がらないため、供給原料ガス濃度の低下を抑制することができる。
【0047】
従って、容器111の容量を増加せずに、かつ、供給原料ガス濃度を低下させずに、キャリアガスの流量を増加することができる。
【0048】
また、特に高価な備品や複雑な構成を用いずに、簡単な構成により実現することが可能である。
【0049】
<2.第2の実施の形態>
[原料ガス発生装置201の構成例]
図5は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第2の実施の形態である原料ガス発生装置201の構成例を模式的に示す断面図である。なお、図中、図3と対応する部分には、同じ符号を付してある。
【0050】
原料ガス発生装置201は、図3の原料ガス発生装置101と比較して、通気管113およびガス拡散部材115の配置が異なる。すなわち、原料ガス発生装置201では、通気管113およびガス拡散部材115が、容器111の水平方向の略中央に配置されている。
【0051】
なお、原料ガス発生装置201におけるガスの流れは、ガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスが、固体原料102の表面のほぼ中央に吹き付けられる以外は、原料ガス発生装置101とほぼ同じである。従って、原料ガス発生装置201では、固体原料102の消費に伴い、図6に示されるように、固体原料102の表面のほぼ中央に凹みが生じる。
【0052】
上述した原料ガス発生装置101では、固体原料102の表面の凹みが容器111の内壁の近くに形成されるため、凹みが大きくなると、容器111の内壁にぶつかり、凹みの表面積の拡大が抑制される。
【0053】
一方、原料ガス発生装置201では、固体原料102の表面のほぼ中央に凹みが形成されるため、凹みが大きくなっても、容器111の内壁にぶつからない。そのため、凹みの表面積の拡大が抑制されない。
【0054】
従って、原料ガス発生装置201の方が、原料ガス発生装置101と比較して、固体原料102の消費が進んだ時点において、固体原料102の表面積が大きくなるため、原料ガスの濃度の低下を抑制することができる。
【0055】
また、図7は、原料ガス発生装置201と従来の原料ガス発生装置1の供給原料ガス濃度を比較したグラフである。横軸が使用時間を示し、縦軸が供給原料ガス濃度を示している。また、上側のグラフが、原料ガス発生装置201の供給原料ガス濃度の推移を示し、下側のグラフが、原料ガス発生装置1の供給原料ガス濃度の推移を示している。
【0056】
このように、原料ガス発生装置201は、原料ガス発生装置1と比較して、固体原料102の消費に伴う供給原料ガス濃度の低下を抑制することができる。
【0057】
<3.第3の実施の形態>
[原料ガス発生装置301の構成例]
図8は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第3の実施の形態である原料ガス発生装置301の構成例を模式的に示す断面図である。なお、図中、図5と対応する部分には、同じ符号を付してある。
【0058】
原料ガス発生装置301は、図5の原料ガス発生装置201と比較して、通気管113の先端に、ガス拡散部材115の代わりにガス拡散部材311が設けられている点が異なる。
【0059】
ガス拡散部材311は、ガス拡散部材115と比較して、拡散体の数が異なっている。具体的には、ガス拡散部材311は、拡散体331a乃至331d(ただし、拡散体331bおよび331dは不図示)、および、枠332により構成される。
【0060】
図9は、ガス拡散部材311を下から見た図である。ガス拡散部材311の下面には、中心軸Cを中心に略対称になるように、枠332により形成される開口部311A乃至311Dが設けられている。従って、ガス拡散部材311が容器111の水平方向の略中央に配置されているので、開口部311A乃至311Dは、容器111の水平方向の中央を中心に略対称に配置されることになる。また、図9では図示していないが、開口部311A乃至311Dの上部には、拡散体331a乃至331dがそれぞれ設けられている。
【0061】
また、枠332は、通気管113の開口部113Aから排出されたキャリアガスが、拡散体331a乃至331dの上面に流入し、下面から排出される経路を形成している。従って、ガス拡散部材311に流入したキャリアガスは、拡散体331a乃至331dにより拡散され、拡散体331a乃至331dの下面から排出され、開口部311A乃至311Dから、鉛直下方向に噴出する。
【0062】
これにより、原料ガス発生装置301では、原料ガス発生装置101および原料ガス発生装置201と比較して、キャリアガスが固体原料102の表面に、より均等に吹き付けられる。そのため、固体原料102の表面に生じる凹みの大きさおよび深さが小さくなる。
【0063】
従って、固体原料102の表面で発生した原料ガスを、より効率よくキャリアガスにより通気管116の開口部116Aまで搬送することができ、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差を小さくすることができる。その結果、供給原料ガス濃度の低下をより効果的に抑制することができる。
【0064】
なお、開口部311A乃至311Dおよび拡散体331a乃至331dの位置は、ガス拡散部材115の中心軸Cを中心に略対称になるような他の配置にすることができる。
【0065】
例えば、図10に示されるように、開口部311Aをガス拡散部材311の中心軸C上に配置し、開口部311B乃至311Dおよび拡散体331a乃至331d(不図示)を、中心軸Cを中心に略対称となるように配置するようにしてもよい。
【0066】
また、開口部(拡散体)の数は、1または4に限定されるものではなく、任意の数に設定することができる。なお、開口部(拡散体)を複数設ける場合には、図9および図10の例のように、ガス拡散部材の中心軸を中心に略対称に配置するようにすることが望ましい。
【0067】
さらに、ガス拡散部材の開口部の口径および数量は、キャリアガスの流量、容器111の大きさ等に基づいて最適な値に設定することが望ましい。
【0068】
<2.変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0069】
[変形例1]
例えば、原料ガス発生装置101乃至301のように、キャリアガスが固体原料102の上方から鉛直下方向に噴出される構成であれば、通気管113の形状や位置は特に限定されるものではない。例えば、通気管113をL字型にして、容器111の側面を貫通させ、容器111の側面からキャリアガスを導入するようにしてもよい。
【0070】
[変形例2]
また、通気管116の形状および位置は、開口部116Aが容器111内の固体原料102の表面より高い位置に設置され、供給ガスを容器111の外に排出できるのであれば、特に限定されるものではない。
【0071】
[変形例3]
さらに、容器111の形状は円筒形に限定されるものではなく、他の形状とすることも可能である。
【0072】
[変形例4]
また、ガス導入用およびガス排出用の通気管の数は、それぞれ1つに限定されるものではなく、2つ以上設けるようにしてもよい。
【0073】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
101 原料ガス発生装置
102 固体原料
111 容器
112 蓋
113 通気管
115 ガス拡散部材
115A 開口部
116 通気管
131 拡散体
132 枠
201 原料ガス発生装置
301 原料ガス発生装置
311 ガス拡散部材
311A乃至311D 開口部
331a乃至331d 拡散体
332 枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ガス発生装置に関し、特に、CVD(Chemical Vapor Deposition)加工用の原料ガスを発生させる原料ガス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CVD加工用の原料ガスを発生させる原料ガス発生装置では、例えば、金属カルボニルなどの粉末状の固体原料を入れた容器を加熱し、原料ガスを発生させるとともに、容器内にキャリアガスを導入し、そのキャリアガスとともに原料ガスを容器の外に排出し、CVD加工を行うレーザ加工装置に供給している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、そのような原料ガス発生装置の構成の一例を示している。
【0004】
図1の原料ガス発生装置1は、円筒形の容器11、円板上の蓋12、通気管13,バルブ14、拡散体15、通気管16、および、バルブ17を含むように構成される。
【0005】
容器11は、図示せぬ加熱手段により所定の温度に設定され、この熱により容器11内の固体原料2が昇華し、原料ガスが発生する。
【0006】
一方、キャリアガスは、通気管13を介して容器11内に導入され、通気管13の先端に設けられている拡散体15により、拡散体15より上を除く各方向にほぼ均等に拡散される。そして、拡散されたキャリアガスが、容器11内を流れ、固体原料2から発生した原料ガスを、通気管16を介して図示せぬCVD加工を行うレーザ加工装置まで搬送する。
【0007】
このとき、拡散体15の働きにより、キャリアガスが固体原料2の表面付近をほぼくまなく流れるため、固体原料2は、場所によらずほぼ均等に消費される。
【0008】
また、容器11に固体原料2を充填した直後は、固体原料2の表面の粒子径が小さなものが昇華し、容器11内の原料ガスの濃度が高くなるため、通気管16から排出され、レーザ加工装置に供給されるガス(以下、供給ガスと称する)に占める原料ガスの濃度(以下、供給原料ガス濃度と称する)が高くなる。その後、固体原料2の粒子径が小さなものが消費され、容器11内の原料ガスの濃度が低下するにつれて、供給原料ガス濃度が安定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−59178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、原料ガス発生装置1では、キャリアガスの流量を増加させると、供給原料ガス濃度が低下するとともに、固体原料2の消費により供給原料ガス濃度が低下する量が大きくなる。
【0011】
具体的には、キャリアガスの流量が少ない場合、キャリアガスが容器11内に滞在する時間が長くなり、固体原料2の表面から発生する原料ガスが、キャリアガスにより通気管16の開口部16Aまで十分搬送される。そのため、容器11内の原料ガスの濃度の差が小さくなり、通気管16の開口部16A付近の原料ガスの濃度の低下が抑制される。その結果、供給原料ガス濃度の低下が抑制される。
【0012】
また、図2に示されるように、固体原料2の消費が進み、固体原料2の表面と通気管16の開口部16Aとの距離が広がっても、容器11内の原料ガスの濃度の差が小さいため、供給原料ガス濃度の低下量は小さく抑えられる。
【0013】
一方、キャリアガスの流量を増加させると、拡散体15の側面から噴出され、固体原料2の表面付近を通過せずに、そのまま通気管16に流入したり、容器11内の上部に停滞するキャリアガスが増加する。このキャリアガスの流れにより、固体原料2の表面から通気管16の開口部16Aへのキャリアガスの流れが妨げられ、原料ガスが固体原料2の表面付近に停滞する。そのため、容器11内の上下方向の原料ガスの濃度の差が大きくなり、通気管16の開口部16A付近の原料ガスの濃度が低下する。その結果、供給原料ガス濃度が低下する。
【0014】
また、図2に示されるように、固体原料2の消費が進み、固体原料2の表面と通気管16の開口部16Aとの距離が広がるにつれて、固体原料2の表面付近を流れるキャリアガスの割合が小さくなり、容器11内の上下方向の原料ガスの濃度の差がより大きくなる。その結果、固体原料2の消費に伴う供給原料ガスの濃度の低下量が大きくなる。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、原料ガスの濃度の低下を抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一側面の原料ガス発生装置は、容器内の固体の原料から原料ガスを発生させる原料ガス発生装置であって、原料ガスを搬送するためのキャリアガスを容器内に導入する導入部材と、原料の上方において、容器内に導入されたキャリアガスを拡散し、拡散したキャリアガスを開口部から鉛直下方向に噴出する拡散部材と、原料ガスをキャリアガスとともに原料の上方から容器の外に排出する排出部材とを備える。
【0017】
本発明の一側面においては、容器内に導入されたキャリアガスが拡散され、拡散されたキャリアガスが開口部から鉛直下方向に噴出され、原料ガスがキャリアガスとともに原料の上方から容器の外に排出される。
【0018】
従って、原料ガスの濃度の低下を抑制することができる。
【0019】
この導入部材および排出部材は、例えば、通気管により構成される。この拡散部材は、例えば、焼結金属等の拡散体を含むガス拡散部材により構成される。
【0020】
拡散部材の開口部は、容器の水平方向の略中央に配置することができる。
【0021】
これにより、原料ガスの濃度の低下をより効果的に抑制することができる。
【0022】
拡散部材は複数の開口部を備えるようにすることができ、複数の開口部は、容器の水平方向の中央を中心に略対称に配置するようにすることができる。
【0023】
これにより、原料ガスの濃度の低下をより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一側面によれば、原料ガスの濃度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の原料ガス発生装置の構成の一例を示す図である。
【図2】従来の原料ガス発生装置の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明を適用した原料ガス発生装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図4】本発明を適用した原料ガス発生装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図5】本発明を適用した原料ガス発生装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明を適用した原料ガス発生装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図7】従来の原料ガス発生装置と本発明を適用した原料ガス発生装置の原料ガスの濃度を比較するグラフである。
【図8】本発明を適用した原料ガス発生装置の第3の実施の形態を示す図である。
【図9】ガス拡散部材の開口部の位置の例を示す図である。
【図10】ガス拡散部材の開口部の位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.変形例
【0027】
<1.第1の実施の形態>
[原料ガス発生装置101の構成例]
図3は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第1の実施の形態である原料ガス発生装置101の構成例を模式的に示す断面図である。
【0028】
原料ガス発生装置101は、容器111内に入れた固体原料102を加熱し、CVD加工用の原料ガスを発生させる装置である。固体原料102は、例えば、金属カルボニルなど、室温から50℃付近で、1hPa程度の比較的高い飽和蒸気圧を持つ粉末状の物質からなる。
【0029】
原料ガス発生装置101は、円筒形の容器111、円板上の蓋112、通気管113,バルブ114、ガス拡散部材115、通気管116、および、バルブ117を含むように構成される。
【0030】
容器111は、図示せぬ加熱手段により、適切な温度に設定され、容器111の熱により固体原料102が昇華し、原料ガスが発生する。
【0031】
蓋112は、容器111に対して着脱自在であり、例えば、容器111内に固体原料102を充填するときに、容器111から取り外される。また、容器111と蓋112が接触する部分には、容器111内のガスが外に漏れ出さないように気密シールが施されている。
【0032】
また、蓋112には、垂直方向に貫通するように通気管113および通気管116が設けられている。
【0033】
通気管113は、原料ガスを搬送するためのキャリアガスを容器111内に導入するために用いられる。なお、キャリアガスには、例えば、アルゴンガスなどの不活性ガスが用いられる。
【0034】
また、通気管113には、バルブ114が設けられており、キャリアガスを流したり、遮断したりすることができる。
【0035】
さらに、通気管113の先端には、ガス拡散部材115が設けられている。このガス拡散部材115は、拡散体131および枠132により構成される。
【0036】
拡散体131は、例えば、焼結金属により構成され、通気管113の先端の開口部113Aを塞ぐように設けられている。従って、通気管113の開口部113Aから排出されたキャリアガスは、全て拡散体131に流入し、拡散体131により拡散される。
【0037】
また、拡散体131は、上面の通気管113の開口部113Aを塞ぐ部分、および、下面以外は枠132に覆われている。従って、拡散体131により拡散されたキャリアガスは、拡散体131の下面から排出され、枠132により形成されるガス拡散部材115の開口部115Aから、鉛直下方向に噴出する。
【0038】
通気管116は、気密継ぎ手等によりCVD加工を行うレーザ加工装置(不図示)に接続されており、原料ガスおよびキャリアガス(すなわち、供給ガス)を、容器111から搬出し、レーザ加工装置に供給する。また、通気管116には、バルブ117が設けられており、供給ガスを流したり、遮断したりすることができる。
【0039】
[原料ガス発生装置101におけるガスの流れ]
ここで、原料ガス発生装置101におけるガスの流れについて説明する。
【0040】
通気管113を介して容器111内に導入されたキャリアガスは、通気管113の開口部113Aから排出された後、ガス拡散部材115の拡散体131を通過することにより拡散され、開口部115Aから鉛直下方向に噴出される。ガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスは、固体原料102の表面までほぼ鉛直下方向に下降し、固体原料102の表面に吹き付けられて、固体原料102の表面を容器111の内壁方向に拡散する。そして、キャリアガスは、容器111の内壁に沿って上昇する。
【0041】
このキャリアガスの流れにより、固体原料102から発生する原料ガスが、通気管116の開口部116Aまで搬送され、キャリアガスとともに通気管116に流入する。そして、原料ガスおよびキャリアガス(すなわち、供給ガス)は、通気管116を介してCVD加工装置に供給される。
【0042】
このように、原料ガス発生装置101では、ガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスの大部分が固体原料102の表面付近を流れ、原料ガスの搬送に用いられる。一方、固体原料102の表面付近を通過せずに、そのまま通気管116に流入したり、容器111内の上部に停滞するキャリアガスは、ほとんど発生しない。
【0043】
従って、固体原料102の表面で発生した原料ガスが、キャリアガスにより効率よく通気管116の開口部116Aまで搬送されるため、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差が小さくなる。その結果、レーザ加工装置に供給される供給ガスに占める原料ガスの濃度(供給原料ガス濃度)の低下が抑制される。
【0044】
また、固体原料102のガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスが直接吹き付けられる部分は、その周辺部分よりも速く消費されるため、図4に示されるように、固体原料102の表面に凹みが生じる。しかし、凹みが生じて固体原料102の表面と通気管116の開口部116Aとの距離が広がっても、上述したキャリアガスの流れにより、原料ガスが効率よく通気管116の開口部116Aまで搬送されるため、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差の拡大が抑制される。その結果、固体原料102の消費に伴う供給原料ガス濃度の低下量が小さく抑えられる。
【0045】
従って、レーザ加工装置に供給する供給ガスの供給原料ガス濃度を長期に渡って安定させることができる。
【0046】
さらに、キャリアガスの流量を増加しても、同様に大部分のキャリアガスが原料ガスの搬送に用いられ、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差がほとんど広がらないため、供給原料ガス濃度の低下を抑制することができる。
【0047】
従って、容器111の容量を増加せずに、かつ、供給原料ガス濃度を低下させずに、キャリアガスの流量を増加することができる。
【0048】
また、特に高価な備品や複雑な構成を用いずに、簡単な構成により実現することが可能である。
【0049】
<2.第2の実施の形態>
[原料ガス発生装置201の構成例]
図5は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第2の実施の形態である原料ガス発生装置201の構成例を模式的に示す断面図である。なお、図中、図3と対応する部分には、同じ符号を付してある。
【0050】
原料ガス発生装置201は、図3の原料ガス発生装置101と比較して、通気管113およびガス拡散部材115の配置が異なる。すなわち、原料ガス発生装置201では、通気管113およびガス拡散部材115が、容器111の水平方向の略中央に配置されている。
【0051】
なお、原料ガス発生装置201におけるガスの流れは、ガス拡散部材115から噴出されたキャリアガスが、固体原料102の表面のほぼ中央に吹き付けられる以外は、原料ガス発生装置101とほぼ同じである。従って、原料ガス発生装置201では、固体原料102の消費に伴い、図6に示されるように、固体原料102の表面のほぼ中央に凹みが生じる。
【0052】
上述した原料ガス発生装置101では、固体原料102の表面の凹みが容器111の内壁の近くに形成されるため、凹みが大きくなると、容器111の内壁にぶつかり、凹みの表面積の拡大が抑制される。
【0053】
一方、原料ガス発生装置201では、固体原料102の表面のほぼ中央に凹みが形成されるため、凹みが大きくなっても、容器111の内壁にぶつからない。そのため、凹みの表面積の拡大が抑制されない。
【0054】
従って、原料ガス発生装置201の方が、原料ガス発生装置101と比較して、固体原料102の消費が進んだ時点において、固体原料102の表面積が大きくなるため、原料ガスの濃度の低下を抑制することができる。
【0055】
また、図7は、原料ガス発生装置201と従来の原料ガス発生装置1の供給原料ガス濃度を比較したグラフである。横軸が使用時間を示し、縦軸が供給原料ガス濃度を示している。また、上側のグラフが、原料ガス発生装置201の供給原料ガス濃度の推移を示し、下側のグラフが、原料ガス発生装置1の供給原料ガス濃度の推移を示している。
【0056】
このように、原料ガス発生装置201は、原料ガス発生装置1と比較して、固体原料102の消費に伴う供給原料ガス濃度の低下を抑制することができる。
【0057】
<3.第3の実施の形態>
[原料ガス発生装置301の構成例]
図8は、本発明を適用した原料ガス発生装置の第3の実施の形態である原料ガス発生装置301の構成例を模式的に示す断面図である。なお、図中、図5と対応する部分には、同じ符号を付してある。
【0058】
原料ガス発生装置301は、図5の原料ガス発生装置201と比較して、通気管113の先端に、ガス拡散部材115の代わりにガス拡散部材311が設けられている点が異なる。
【0059】
ガス拡散部材311は、ガス拡散部材115と比較して、拡散体の数が異なっている。具体的には、ガス拡散部材311は、拡散体331a乃至331d(ただし、拡散体331bおよび331dは不図示)、および、枠332により構成される。
【0060】
図9は、ガス拡散部材311を下から見た図である。ガス拡散部材311の下面には、中心軸Cを中心に略対称になるように、枠332により形成される開口部311A乃至311Dが設けられている。従って、ガス拡散部材311が容器111の水平方向の略中央に配置されているので、開口部311A乃至311Dは、容器111の水平方向の中央を中心に略対称に配置されることになる。また、図9では図示していないが、開口部311A乃至311Dの上部には、拡散体331a乃至331dがそれぞれ設けられている。
【0061】
また、枠332は、通気管113の開口部113Aから排出されたキャリアガスが、拡散体331a乃至331dの上面に流入し、下面から排出される経路を形成している。従って、ガス拡散部材311に流入したキャリアガスは、拡散体331a乃至331dにより拡散され、拡散体331a乃至331dの下面から排出され、開口部311A乃至311Dから、鉛直下方向に噴出する。
【0062】
これにより、原料ガス発生装置301では、原料ガス発生装置101および原料ガス発生装置201と比較して、キャリアガスが固体原料102の表面に、より均等に吹き付けられる。そのため、固体原料102の表面に生じる凹みの大きさおよび深さが小さくなる。
【0063】
従って、固体原料102の表面で発生した原料ガスを、より効率よくキャリアガスにより通気管116の開口部116Aまで搬送することができ、容器111内の上下方向の原料ガスの濃度の差を小さくすることができる。その結果、供給原料ガス濃度の低下をより効果的に抑制することができる。
【0064】
なお、開口部311A乃至311Dおよび拡散体331a乃至331dの位置は、ガス拡散部材115の中心軸Cを中心に略対称になるような他の配置にすることができる。
【0065】
例えば、図10に示されるように、開口部311Aをガス拡散部材311の中心軸C上に配置し、開口部311B乃至311Dおよび拡散体331a乃至331d(不図示)を、中心軸Cを中心に略対称となるように配置するようにしてもよい。
【0066】
また、開口部(拡散体)の数は、1または4に限定されるものではなく、任意の数に設定することができる。なお、開口部(拡散体)を複数設ける場合には、図9および図10の例のように、ガス拡散部材の中心軸を中心に略対称に配置するようにすることが望ましい。
【0067】
さらに、ガス拡散部材の開口部の口径および数量は、キャリアガスの流量、容器111の大きさ等に基づいて最適な値に設定することが望ましい。
【0068】
<2.変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0069】
[変形例1]
例えば、原料ガス発生装置101乃至301のように、キャリアガスが固体原料102の上方から鉛直下方向に噴出される構成であれば、通気管113の形状や位置は特に限定されるものではない。例えば、通気管113をL字型にして、容器111の側面を貫通させ、容器111の側面からキャリアガスを導入するようにしてもよい。
【0070】
[変形例2]
また、通気管116の形状および位置は、開口部116Aが容器111内の固体原料102の表面より高い位置に設置され、供給ガスを容器111の外に排出できるのであれば、特に限定されるものではない。
【0071】
[変形例3]
さらに、容器111の形状は円筒形に限定されるものではなく、他の形状とすることも可能である。
【0072】
[変形例4]
また、ガス導入用およびガス排出用の通気管の数は、それぞれ1つに限定されるものではなく、2つ以上設けるようにしてもよい。
【0073】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
101 原料ガス発生装置
102 固体原料
111 容器
112 蓋
113 通気管
115 ガス拡散部材
115A 開口部
116 通気管
131 拡散体
132 枠
201 原料ガス発生装置
301 原料ガス発生装置
311 ガス拡散部材
311A乃至311D 開口部
331a乃至331d 拡散体
332 枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の固体の原料から原料ガスを発生させる原料ガス発生装置において、
前記原料ガスを搬送するためのキャリアガスを前記容器内に導入する導入部材と、
前記原料の上方において、前記容器内に導入された前記キャリアガスを拡散し、拡散した前記キャリアガスを開口部から鉛直下方向に噴出する拡散部材と、
前記原料ガスを前記キャリアガスとともに前記原料の上方から前記容器の外に排出する排出部材と
を備えることを特徴とする原料ガス発生装置。
【請求項2】
前記拡散部材の前記開口部は、前記容器の水平方向の略中央に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の原料ガス発生装置。
【請求項3】
前記拡散部材は複数の前記開口部を備え、
複数の前記開口部は、前記容器の水平方向の中央を中心に略対称に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の原料ガス発生装置。
【請求項1】
容器内の固体の原料から原料ガスを発生させる原料ガス発生装置において、
前記原料ガスを搬送するためのキャリアガスを前記容器内に導入する導入部材と、
前記原料の上方において、前記容器内に導入された前記キャリアガスを拡散し、拡散した前記キャリアガスを開口部から鉛直下方向に噴出する拡散部材と、
前記原料ガスを前記キャリアガスとともに前記原料の上方から前記容器の外に排出する排出部材と
を備えることを特徴とする原料ガス発生装置。
【請求項2】
前記拡散部材の前記開口部は、前記容器の水平方向の略中央に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の原料ガス発生装置。
【請求項3】
前記拡散部材は複数の前記開口部を備え、
複数の前記開口部は、前記容器の水平方向の中央を中心に略対称に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の原料ガス発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−251179(P2012−251179A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122689(P2011−122689)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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