説明

原料混合装置および原料混合方法

【課題】混合物の品質を確保し生産性を向上する上で有利な原料混合装置および原料混合方法を提供する。
【解決手段】重量として検出されたベース材Bの流量に基づいてギアポンプ30によるベース材Bの吐出量を制御すると共に、重量として検出された触媒Cの流量に基づいてシリンダポンプ32による触媒Cの吐出量を制御する。さらに、容器82に充填されたシーリング材を構成するベース材Bの重量と触媒Cの重量との比が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて容器に充填されたシーリング材の合否判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原料混合装置および原料混合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築資材に用いられるシーリング材や接着剤などの原料を一定の容積比で混合して吐出する原料混合装置が提供されている(特許文献1参照)。
上記従来装置で互いに組成が異なる粘性体であるベース材と触媒との2種類の原料を混合して混合物としてのシーリング材を製造する場合について説明する。
原料混合装置は、ベース材を貯えるバッファタンクと、触媒を貯えるバッファタンクと、ベース材を計量する計量容器と、触媒を計量する計量容器と、混合器とを備えている。
各計量容器は、シリンダとこのシリンダ内で往復移動するピストンとを備えるシリンダポンプで構成されている。
各シリンダポンプは、シリンダ内でピストンを往復移動させることにより、バッファタンクから原料を吸引してシリンダ内に移送する動作と、シリンダ内に移送された原料をシリンダから吐出して混合器に供給する動作との2つの動作を行う。
そして、各シリンダポンプが上記の動作を同時に繰り返して行うことにより、シリンダの容積およびピストンのストローク量によって定められた容積の原料がそれぞれ計量されたのち同時に混合器に供給され、混合器で各原料が混合され吐出される。
なお、混合器から吐出された混合物は、缶などの容器に充填されることで製品が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−156827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の原料混合装置では、各シリンダの容積およびピストンのストローク量によって定められた容積の原料を計量して混合することによりベース材と触媒の容積比を一定にしてシーリング材の品質を確保している。
しかしながら、このような原料混合装置が連続的に稼動している際に、混合器に供給されるベース材および触媒の比重が変動すると、仮に容積比が一定に保持されていたとしても混合されたシーリング材の品質にばらつきが生じる。また、このようなばらつきを生じると、シーリング材を別工程で検査する必要が生じ生産性の向上を図る上で不利となる。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は混合物の品質を確保し生産性を向上する上で有利な原料混合装置および原料混合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の原料混合装置は、互いに組成が異なる第1粘性体と第2粘性体とを一定の重量比で混合して吐出する原料混合装置であって、前記第1粘性体を吐出する第1ポンプと、前記第2粘性体を吐出する第2ポンプと、前記第1ポンプから吐出される前記第1粘性体と前記第2ポンプから吐出される前記第2粘性体とを混合して混合物として吐出する混合器と、前記第1ポンプと前記混合器との間に設けられ前記第1ポンプから吐出される前記第1粘性体の流量を検出する第1質量流量計と、前記第2ポンプと前記混合器との間に設けられ前記第2ポンプから吐出される前記第2粘性体の流量を検出する第2質量流量計と、前記混合器から吐出される前記混合物を多数の容器に充填していく充填ノズルと、前記第1質量流量計によって検出された第1粘性体の流量に基づいて前記第1ポンプによる前記第1粘性体の吐出量を制御すると共に、前記第2質量流量計によって検出された第2粘性体の流量に基づいて前記第2ポンプによる前記第2粘性体の吐出量を制御する制御部と、前記第1質量流量計で検出された前記第1粘性体の流量から前記容器に充填された混合物を構成する前記第1粘性体の重量を求めると共に、前記第2質量流量計で検出された前記第2粘性体の流量から前記容器に充填された混合物を構成する前記第2粘性体の重量を求める演算部と、前記演算部により求められた前記第1粘性体の重量と前記第2粘性体の重量との比が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて前記容器に充填された前記混合物の合否判定を行う判定部とを備える。
また本発明の原料混合方法は、第1ポンプから吐出される第1粘性体と第2ポンプから吐出される第2粘性体とを一定の重量比で混合して混合物としたのち、この混合物を多数の容器に充填していくに際して、前記第1ポンプから吐出される前記第1粘性体の流量を重量として検出し、前記第2ポンプから吐出される前記第2粘性体の流量を重量として検出し、前記検出された第1粘性体の流量に基づいて前記第1ポンプによる前記第1粘性体の吐出量を制御すると共に、前記検出された第2粘性体の流量に基づいて前記第2ポンプによる前記第2粘性体の吐出量を制御し、前記検出された前記第1粘性体の流量から前記容器に充填された混合物を構成する前記第1粘性体の重量を求めると共に、前記検出された前記第2粘性体の流量から前記容器に充填された混合物を構成する前記第2粘性体の重量を求め、前記求められた前記第1粘性体の重量と前記第2粘性体の重量との比が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて前記容器に充填された前記混合物の合否判定を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の原料混合装置および原料混合方法によれば、第1、第2ポンプから吐出される第1、第2粘性体に比重の変化が生じた場合であっても、それら比重の影響を受けることなく第1、第2粘性体の吐出量を正確に制御して混合させることができるので、混合物の品質を確保する上で有利となる。
さらに、容器に充填された混合物を構成する第1、第2粘性体の重量比が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて容器に充填された混合物の合否判定を行うようにしたので、生産性の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態の原料混合装置10の構成の一部を示す説明図である。
【図2】本実施の形態の原料混合装置10の構成の残りの部分を示す説明図である。
【図3】ギアポンプ30の構成を示す模式図である。
【図4】ギアポンプ30の特性を示す図である。
【図5】原料混合装置10の制御部38の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】シーリング材を3回に分けて単一の容器82に充填する場合の制御部38による制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態の原料混合方法を原料混合装置10と共に図1乃至図6を参照して説明する。
図1、図2に示すように、本実施の形態では、原料混合装置10は、ベース材Bと触媒Cとの2種類の原料を一定の重量比で混合することにより建築資材に用いられるシーリング材を製造する。
ベース材Bおよび触媒Cは、互いに組成が異なる粘性体(粘性液体)であり、ベース材Bの粘度よりも触媒Cの粘度は低い値を有している。
本実施の形態では、ベース材Bは特許請求の範囲の第1粘性体に相当し、触媒Cは特許請求の範囲の第2粘性体に相当する。
【0009】
図1、図2に示すように、原料混合装置10は、第1タンク12、第2タンク14、第1管路16、第2管路18、第3管路20、第4管路22、第1循環ポンプ24、第2循環ポンプ26、混合器28、ギアポンプ30、シリンダポンプ32、第1質量流量計34、第2質量流量計36、制御部38A、演算部38B、判定部38C、報知部38Dなどを含んで構成されている。
また、図2に示すように、原料混合装置10は、メイン搬送ライン84と、サブ搬送ライン86とを備えている。
【0010】
第1タンク12は、後述する移送装置50によって移送されたベース材Bを貯えるものである。
第1タンク12は、円形の底壁12Aと、底壁12Aの周囲から立設された円筒状の側壁12Bと、側壁12Bの上部を閉塞する円形の上壁12Cとを備える。
第1タンク12の内部には、ベース材Bの液面を覆う円形の可動蓋13が設けられている。
可動蓋13は、第1タンク12の内径に対応した外径で形成され液面上に載置されている。
可動蓋13は、ベース材Bの液面の上下方向への移動に伴い第1タンク12内で側壁12Bの内周面に沿って上下に移動可能に設けられている。
可動蓋13の中央には、第1循環ポンプ24の吸入部24Bが連通する開口が形成されている。
第1タンク12のベース材Bの増減に伴いベース材Bの液面の位置は上下に移動し、この際、液面上に載置された可動蓋13は液面に追従して上下に移動する。したがって、ベース材Bの液面は可動蓋13によって常に覆われており大気に触れないようになっている。
【0011】
ここで移送装置50について説明する。
移送装置50は、ドラム缶62に充填されているベース材Bを第1タンク12に移送するものである。
移送装置50は、移送ポンプ52、可動蓋54、フレーム56、一対のアクチュエータ58、ホース60などを含んでいる。
【0012】
移送ポンプ52は、軸状を呈するケース52Aと、ケース52Aの延在方向の一端に設けられ液体を吸入する吸入部52Bと、ケース52Aの他端に設けられ吸入部52Bで吸入した液体を吐出する吐出部52Cとを有している。
移送ポンプ52として、モーノポンプなど従来公知のさまざまな液体移送用のポンプが使用可能である。
【0013】
可動蓋54は、ドラム缶62に充填されたベース材Bの液面を覆う大きさで形成され、液面上に載置され、ベース材Bの液面が大気に触れないようになっている。
なお、可動蓋54には図示しない空気抜き用のバルブが設けられており、このバルブを介してベース材Bの空気抜きがなされるように構成されている。
可動蓋54は、液面の上下方向への移動に伴いドラム缶62内で上下に移動可能に設けられており、可動蓋54の中央に開口が設けられている。
移送ポンプ52は、吸入部52Bを可動蓋54の開口に連通させた状態でケース52Aが可動蓋54に一体的に取り付けられている。
【0014】
移送ポンプ52は、フレーム56と一対のアクチュエータ58とを介して床面Gに対して上下方向に移動可能に支持されている。
フレーム56は、水平方向に延在する板状を呈し、延在方向の中間部で移送ポンプ52のケース52Aを支持する。
各アクチュエータ58は、フレーム56の延在方向の両端と床面Gとの間に設けられており、アクチュエータ58が上下方向に伸縮することにより、移送ポンプ52および可動蓋54はフレーム56を介して上下方向に移動可能に支持される。
このようなアクチュエータ58として例えば空気圧で動作するエアシリンダなどが使用可能である。
したがって、ドラム缶62内部のベース部材Bの液面が上下方向に変位すると、この液面の変位に追従してアクチュエータ58が伸縮することにより、可動蓋54、移送ポンプ52、フレーム56も上下方向に変位する。
【0015】
ホース60は、可撓性を有し、ホース60の一端が移送ポンプ52の吐出部52Cに接続され、ホース60の他端が配管62を介して第1タンク12の底壁12Aの部分で第1タンク12の内部に連通している。
移送ポンプ52がモータM0により駆動されると、ドラム缶62のベース材Bが移送ポンプ42によりホース60、配管46を介して第1タンク12の内部に移送される。
ドラム缶62のベース材Bの減少に伴いベース材Bの液面の位置は下方に移動し、この際、液面上に載置された可動蓋54は、移送ポンプ52と共に液面に追従して下方に移動する。したがって、ベース材Bの液面は可動蓋54によって常に覆われており大気に触れないようになっている。
【0016】
第1循環ポンプ24は、軸状を呈するケース24Aと、ケース24Aの延在方向の一端に設けられ液体を吸入する吸入部24Bと、ケース24Aの他端に設けられ吸入部24Bで吸入した液体を吐出する吐出部24Cとを有している。
第1循環ポンプ24には、制御部38Aによって制御されるモータM1が接続されており、第1循環ポンプ24はモータM1の回転により動作する。
第1循環ポンプ24としては、モーノポンプなど従来公知のさまざまな液体移送用のポンプが使用可能である。
【0017】
第1循環ポンプ24は、フレーム40と一対のアクチュエータ42とを介して床面Gに対して上下方向に移動可能に支持されている。
フレーム40は、水平方向に延在する板状を呈し、延在方向の中間部で第1循環ポンプ24のケース24Aを支持する。
各アクチュエータ42は、フレーム40の延在方向の両端と床面Gとの間に設けられており、アクチュエータ42が上下方向に伸縮することにより、第1循環ポンプ24はフレーム40を介して上下方向に移動可能に支持される。
このようなアクチュエータ42として例えば空気圧で動作するエアシリンダなどが使用可能である。
【0018】
第1循環ポンプ24は、吸入部24Bを可動蓋13の開口に連通させた状態でケース24Aが可動蓋13に一体的に取り付けられている。
そして、第1タンク12内部のベース部材Bの液面が上下方向に変位すると、この液面の変位に追従してアクチュエータ42が伸縮することにより、可動蓋13、第1循環ポンプ24、フレーム40も上下方向に変位する。
【0019】
第1循環ポンプ24の吐出口24Cは、可撓性を有するホース15の一端に連通されており、ホース15の他端は、配管17を介して第1タンク12の底壁12Aの部分で第1タンク12の内部に連通している。
【0020】
第1管路16は、吸引口16Aと吐出口16Bとを有し、第1管路16に第1循環ポンプ24が設けられている。
本実施の形態では、第1管路16は、ホース15と配管17を含んでいる。
吸引口16Aは、第1タンク12に貯えられたベース材Bを吸引するものであり、本実施の形態では、第1循環ポンプ24の吸引部24Bで構成されている。
吐出口16Bは、吸引口16Aから吸引したベース材Bを第1タンク12内に戻すものであり、配管17の端部で構成されている。
モータM1が駆動され第1循環ポンプ24が動作すると、第1循環ポンプ24の吸引部24B(吸入口16A)から吸引された第1タンク12内のベース材Bは、吐出部24Cから吐出されホース15、配管17(吐出口16B)を介して第1タンク12の内部に戻される。
これにより、第1タンク12のベース材Bは第1管路16を介して第1タンク12とその外部との間で循環される。
【0021】
第2管路18は、第1管路16の中間部と混合器28とを連通している。
より詳細には、第2管路18が連通する第1管路16の中間部は、第1循環ポンプ24が設けられた第1管路16の部分と第1管路16の吐出口16Bとの間に位置する第1管路16の部分である。
【0022】
ギアポンプ30は、第2管路18に設けられ第1管路16の中間部からベース材Bを吸引して混合器28に吐出するものである。
本実施の形態では、ギアポンプ30が特許請求の範囲の第1ポンプを構成している。
ギアポンプ30は、図3に示すように、ケース30Aと、ギアポンプ吸入部30Bと、ギアポンプ吐出部30Cと、一対の歯車30Dとを備えている。
【0023】
ギアポンプ吸入部30Bは、ケース30Aに設けられ第2管路18を介して第1管路16の中間部に連通している。
ギアポンプ吐出部30Cは、ケース30Aに設けられ第2管路18を介して混合器28に連通している。
一対の歯車30Dは、ケース30Aに収容され互いに噛合している。
一対の歯車30Dには、制御部38Aによって制御される第1サーボモータM3が接続されている。
【0024】
一対の歯車30Dが第1サーボモータM3により回転駆動されることにより、ケース30A内において一対の歯車30Dの歯溝に収容されたベース材Bをギアポンプ吸入部30Bからギアポンプ吐出口30Cに移送する。
このようなギアポンプ30は、ベース材Bが歯溝に均一に収容されることから、移送する液体がベース材Bのように高粘度の粘性体であっても、歯車30Dの回転量に比例した容積の液体を安定して移送することができる。
すなわち、図4に示すように、横軸にギアポンプ移動量(歯車30Dの回転量)をとり、縦軸にギアポンプから吐出される液体の容積をとった場合、ギアポンプ移動量に対して吐出される液体の容積は直線的に変化する。
また、ギアポンプ30によって吐出されるベース材Bの吐出量は、歯車30Dの回転量によって決定される。
【0025】
第2管路18のうちギアポンプ吸入部30Bの吸入側(サンクション側)に、制御部38Aにより開閉制御される第1自動弁68が設けられている。
第1質量流量計34は、第2管路18のうちギアポンプ30の吐出側に設けられ、ギアポンプ30から吐出されるベース材Bの流量を重量で検出し、その検出結果を制御部38Aに供給するものである。
【0026】
第2タンク14は触媒Cを貯えるものである。
第2タンク14は、底壁14Aと、底壁14Aの周囲から立設された側壁14Bと、側壁14Bの上部を開閉可能に閉塞する上壁14Cと、上壁14Cに設けられた開口14Dと、開口14Dを開閉する蓋体14Eとを備えている。
【0027】
第2タンク14への触媒Cの移送は、蓋体14Eを開いて開口14Dを開放した状態で、所定の容器66に充填された触媒Cを開口14Dを介して第2タンク14の内部に注ぎ入れることでなされる。
【0028】
第2循環ポンプ26は、ケース26Aと、ケース26Aに設けられ液体を吸入する吸入部26Bと、ケース26Aに設けられ吸入部26Bで吸入した液体を吐出する吐出部26Cとを有している。
第2循環ポンプ26には、制御部38Aによって制御されるモータM2が接続されており、第2循環ポンプ26はモータM2の回転により動作する。
第2循環ポンプ26としては、第1循環ポンプ24と同様に、モーノポンプなど従来公知のさまざまな液体移送用のポンプが使用可能である。
第2の循環ポンプ26の吸入部26Bは、配管19を介して第2タンク14の底壁14Aの部分で第2タンク14の内部に連通されている。
第2の循環ポンプ26の吐出部26Cは、配管21を介して第2タンク14の底壁14Aの部分で第2タンク14の内部に連通されている。
【0029】
第3管路20は、吸引口20Aと吐出口20Bとを有し、第3管路20に第2循環ポンプ26が設けられている。
本実施の形態では、第2管路20は、配管19、21を含んでいる。
吸引口20Aは、第2タンク14に貯えられた触媒Cを吸引するものであり、本実施の形態では、配管19の端部で構成されている。
吐出口20Bは、吸引口20Aから吸引した触媒Cを第2タンク14内に戻すものであり、本実施の形態では、配管21の端部で構成されている。
モータM2が駆動され第2循環ポンプ26が動作すると、配管19の端部(吸入口20A)を介して第2循環ポンプ26の吸引部26Bから吸引された第2タンク14内の触媒Cは、吐出部26Cから吐出され配管21(吐出口20B)を介して第2タンク14の内部に戻される。
これにより、第2タンク14の触媒Cは第3管路20を介して第2タンク14とその外部との間で循環される。
【0030】
第4管路22は、第3管路20の中間部と混合器28とを連通している。
より詳細には、第4管路22が連通する第3管路20の中間部は、第3管路20の吸入口20Aと第2循環ポンプ26が設けられた第3管路20の部分との間に位置する第3管路20の部分である。
【0031】
シリンダポンプ32は、第4管路22に設けられ第3管路20の中間部から触媒Cを吸引して混合器28に吐出するものである。
本実施の形態では、シリンダポンプ32が特許請求の範囲の第2ポンプを構成している。
シリンダポンプ32は、シリンダ32Aと、シリンダポンプ吸入部32Bと、シリンダポンプ吐出部32Cと、ピストン32Dとを備えている。
シリンダ32Aは、軸状を呈し内部に液体を収容するものである。
シリンダポンプ吸入部32Bは、シリンダ32Aに設けられ第4管路22を介して第3管路20の中間部に連通するものである。
シリンダポンプ吐出部32Cは、シリンダ32Bに設けられ第4管路22を介して混合器28に連通するものである。
ピストン32Dは、シリンダ32Aに該シリンダ32Aの軸方向に往復移動可能に収容されたものである。
ピストン32Dには、制御部38Aによって制御される第2サーボモータM4が接続されている。
【0032】
また、第4管路22のうちシリンダポンプ吸入部32Bの上流側の箇所に制御部38Aによって制御される第2自動弁70が設けられている。
第4管路22のうちシリンダポンプ吐出部32Cの下流側の箇所に制御部38Aによって制御される第3自動弁72が設けられている。
すなわち、ピストン32DがモータM2によりシリンダ32A内で往復移動されることにより触媒Cがシリンダポンプ吸入部32Bからシリンダポンプ吐出部32Cに移送される。
【0033】
より詳細には、第2自動弁70が開放されかつ第3自動弁72が閉塞された状態でピストン32DがモータM2によりシリンダ32A内で一方に移動されることにより触媒Cがシリンダポンプ吸入部32Bからシリンダ32A内に吸入される。
そして、第2自動弁70が閉塞されかつ第3自動弁72が開放された状態でピストン32DがモータM2によりシリンダ32A内で他方に移動されることにより触媒Cがシリンダ32A内からシリンダポンプ吐出部32Cへ吐出される。
また、シリンダポンプ32によって吐出される触媒Cの吐出量は、ピストン32Dの移動量によって決定される。
【0034】
第2質量流量計36は、第4管路22のうちシリンダポンプ32の吐出側に設けられ、シリンダポンプ32から吐出される触媒Cの流量を重量で検出し、その検出結果を制御部38Aに供給するものである。
【0035】
混合器28は、第2管路18の端部と第4管路22の端部とに連通しベース材Bと触媒Cとを混合し混合物としてのシーリング材を吐出するものである。
図1、図2に示すように、混合器28は、軸状に形成されたケース28Aと、ケース28Aの延在方向の一端に設けられた液体導入部28Bと、ケース28Aの延在方向の他端に設けられた液体排出部28Cとを備えている。
本実施の形態では、混合器28は静止型混合器(スタティックミキサ)で構成されており、ケース28A内には、液体を撹拌、混合するための複数の部材が設けられている。
液体導入部28Bは、第2管路18の端部と第4管路22の端部とに連通している。
【0036】
ギアポンプ30によって第2管路18を介して移送されるベース材Bと、シリンダポンプ32によって第4管路22を介して移送される触媒Cとが液体導入部28Bからケース28Aの内部に供給される。
すると、それらベース材Bと触媒Cとは、ケース28A内を液体排出部28Cに向かって移動しつつ前記複数の部材により撹拌、混合されることによりシーリング材となり、このシーリング材が液体排出部28Cから排出される。
【0037】
液体排出部28Cは配管78を介して第4自動弁74、第5自動弁76に接続されている。
第4自動弁74、第5自動弁76は、制御部38Aによって制御されるものである。
第4自動弁74の吐出側および第5自動弁76の吐出側には、シーリング材を多数の容器82に充填していくための第1充填ノズル78、第2充填ノズル80が接続されている。
したがって、第4自動弁74が開放されかつ第5自動弁76が閉塞された状態で混合器28の液体排出部28Cからシーリング材が吐出されると、第1充填ノズル78からシーリング材が容器82に充填される。
また、第4自動弁74が閉塞されかつ第5自動弁76が開放された状態で混合器28の液体排出部28Cからシーリング材が吐出されると、第2充填ノズル80からシーリング材が容器82に充填される。
【0038】
制御部38Aは、第1質量流量計34によって検出されたベース材Bの流量に基づいて第1サーボモータM3を制御することで、ギアポンプ30によるベース材Bの吐出量を制御するものである。
また、制御部38Aは、第2質量流量計36によって検出された触媒Cの流量に基づいて第2サーボモータM4を制御することで、シリンダポンプ32によるベース材Bの吐出量を制御するものである。
そして、制御部38Aによるベース材Bおよび触媒Cの吐出量の制御は、ベース材Bと触媒Cとが混合器28により一定の容積比で混合するようになされる。
また、制御部38Aは、第1自動弁68、第2自動弁70、第3自動弁72、第4自動弁74、第5自動弁76の動作を制御することで、混合器28から吐出されるシーリング材を単一の容器82に充填するものである。
【0039】
図5を参照して、制御部38Aによる第1サーボモータM3,第2サーボモータM4の制御動作についてより詳細に説明する。
第1サーボモータM3の回転量に対応してギアポンプ30から吐出されるべきベース材Bの吐出量を第1サーボモータM3の回転量を制御するための第1サーボ移動量SVとして定義する。
第1サーボ移動量SVに対応して第1サーボモータM3が回転したときに第1質量流量計34によって検出されたベース材Bの流量の計測値を計測値PVとする。
第1サーボ移動量SVと計測値PVの差分を偏差値EV=SV−PVとする。
この場合、制御部38Aによるベース材Bの吐出量の制御は、第1サーボ移動量SVと、計測値PVと、偏差値EVとを用いてなされる。
すなわち、制御部38Aは、偏差値EVがゼロとなるように第1サーボ移動量SVを制御する。
【0040】
また、第2サーボモータM4の回転量に対応してシリンダポンプ32から吐出されるべき触媒Cの吐出量を第2サーボモータM4の回転量を制御するための第2サーボ移動量SVとして定義する。
第2サーボ移動量SVに対応して第2サーボモータM4が回転したときに第2質量流量計36によって検出された触媒Cの流量の計測値を計測値PVとする。
第2サーボ移動量SVと計測値PVの差分を偏差値EV=SV−PVとする。
この場合、制御部38Aによる触媒Cの吐出量の制御は、第2サーボ移動量SVと、計測値PVと、偏差値EVとを用いてなされる。
すなわち、制御部38Aは、偏差値EVがゼロとなるように第2サーボ移動量SVを制御する。
【0041】
演算部38Bは、第1質量流量計34で検出されたベース材Bの流量から容器82に充填されたシーリング材を構成するベース材Bの重量を求めると共に、第2質量流量計36で検出された触媒Cの流量から容器82に充填されたシーリング材を構成する触媒Cの重量を求めるものである。
【0042】
判定部38Cは、演算部38Bにより求められたベース材Bの重量と第2粘性体の重量との比が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて容器82に充填されたシーリング材の合否判定を行うものである。
なお、制御部38A,演算部38B、判定部38Cは、マイクロコンピュータやプログラマブルロジックコントローラなどの従来公知のさまざまな制御機器を用いて構成することができることは無論である。
【0043】
報知部38Dは、判定部38Cの判定結果に基づいて容器82に充填されたシーリング材の合否の報知を行うものである。
報知部38Dは、シーリング材の合否を作業者に報知するものであればよく、合否を報知する態様は任意である。
報知部38Dとしては、例えば、合格、不合格に対応する色でそれぞれ発光するランプ、あるいは、合格、不合格である旨を文字で表示するディスプレイ装置、あるいは、合格、不合格である旨を示す音声を発生する音声発生装置など、従来公知のさまざまな装置を使用することができる。
【0044】
図2に示すように、メイン搬送ライン84は、シーリング材が充填された多数の容器82を搬送するものである。
サブ搬送ライン86は、メイン搬送ライン84に接続され、判定部38Cにより判定結果が否と判定された場合に、否と判定されたシーリング材が充填された容器82をメイン搬送ライン84から取り除くものである。
なお、サブ搬送ライン86を設けずに、例えば、否と判定されたシーリング材が充填された容器82をプッシャーなどによりメイン搬送ライン84から取り除くようにしてもよい。
【0045】
次に、図1、図2、図5を参照して原料混合装置10の動作について説明する。
予め、第1タンク12にベース材Bが収容され、第2タンク14に触媒Cが収容されているものとする。
まず、制御部38Aの制御によりモータM1が回転し、第1循環ポンプ24により第1タンク12に収容されているベース材Bが第1管路16を介して循環する。
このようにベース材Bが第1管路16を介して循環すると、第1管路16に第2管路18を介して連通するギアポンプ吸入部30Bに加わるベース材Bの圧力、言い換えると、ギアポンプ30の吸引側(サンクション側)に加わるベース材Bの圧力が安定化される。
このようにギアポンプ30の吸引側の圧力が安定化されることによって、ギアポンプ30から吐出されるベース材Bの吐出量の安定化が図られている。
【0046】
また、制御部38Aの制御によりモータM2が回転し、第2循環ポンプ26により第2タンク14に収容されている触媒Cが第3管路20を介して循環する。
このように触媒Cが第3管路20を介して循環することにより、第2タンク14に収容されている触媒Cの空気抜きが図られている。
なお、ベース材Bおよび触媒Cの循環は、原料混合装置10によるベース材Bおよび触媒Cの混合動作、シーリング材の単一の容器82への充填動作を開始してから終了するまで継続して行われる。
【0047】
制御部38Aは、第1自動弁68を開放し、第1サーボモータM3を回転させてギアポンプ30によるベース材Bの移送を開始する。
これにより、ベース材Bは、第1タンク12、ギアポンプ30、第1質量流量計34を介して混合器28に移送される。
また、制御部38Aは、第2自動弁70を開放し第3自動弁72を閉塞した状態で、第2サーボモータM4を回転させてシリンダポンプ32による触媒Cの吸引を行う。次いで、第2自動弁70を閉塞し第3自動弁72を開放した状態で、第2サーボモータM4を回転させてシリンダポンプ32による触媒Cの吐出を行う。
【0048】
このような動作により、触媒Cは、第2タンク14、シリンダポンプ32、第2質量流量計36を介して混合器28に移送される。
混合器28に移送されたベース材Bおよび触媒Cは混合器28で撹拌、混合されシーリング材とされる。
制御部38Aは、第4自動弁74および第5自動弁76の一方を開放し他方を閉塞させる。
これにより、混合器28から吐出されたシーリング材は、配管78を介して第1充填ノズル78および第2充填ノズル80の一方から単一の容器82に充填される。
容器82への充填が終了したならば、制御部38Aは、第4自動弁74および第5自動弁76の一方を閉塞し他方を開放させる。
これにより、混合器28から吐出されたシーリング材は、配管78を介して第1充填ノズル78および第2充填ノズル80の他方から単一の容器82に充填される。
以下、このような動作を、シーリング材が充填された容器82を取り除き、代わりに空の容器82と交換したのち同様に繰り返して行う。
【0049】
次に、図5を参照して、ベース材Bと触媒Cとを一定の容積比で混合する制御動作について詳細に説明する。
この場合、1つの容器82に対するシーリング材の充填動作は1回でなされるものとする。
すなわち、ベース材Bについて説明すると、制御部38Aは、ギアポンプ30の第1サーボモータM3のサーボ移動量SVを設定する(ステップS10)。
次いで、演算部38Bは、1回分の充填動作において、第1質量流量計34によって検出されるベース材Bの流量である計測値PVを得る(ステップS12)。
すなわち、演算部38Bは、第1質量流量計34で検出されたベース材Bの流量から容器82に充填されたシーリング材を構成するベース材Bの重量を求める。
次に、制御部38Aは、サーボ移動量SVと計測値PVとの差分としての偏差値EVを演算する(ステップS14)。
すなわち、この偏差値EVがゼロならば、時間当たりに吐出されたベース材Bの容積が目標値と合致していることを示し、偏差値EVがゼロよりも大きいか小さいならば、時間当たりに吐出されたベース材Bの容積が目標値からずれていることを示す。
したがって、制御部38Aは、偏差値EVに基づいてサーボ移動量SVを演算して新たなサーボ移動量SVとして設定する(ステップS16)。
そして、ステップS10に戻り、ステップS16で設定されたサーボ移動量SVに基づいてギアポンプ30の第1サーボモータM3の移動量を制御する。すなわち、ステップS16で設定されたこのサーボ移動量SVは、次の回の充填動作に反映される。
このようなフィードバック制御を充填動作毎に繰り返して行うことにより、ギアポンプ30から吐出されるベース材Bの時間当たりの吐出量を目標値に正確に制御することができる。
【0050】
触媒Cについても同様に説明する。
制御部38Aは、シリンダポンプ32の第2サーボモータM4のサーボ移動量SVを設定する(ステップS20)。
次いで、演算部38Bは、1回分の充填動作において、第2質量流量計36によって検出される触媒Cの流量である計測値PVを得る(ステップS22)。
すなわち、演算部38Bは、第2質量流量計36で検出された触媒Cの流量から容器82に充填されたシーリング材を構成する触媒Cの重量を求める。
次に、制御部38Aは、サーボ移動量SVと計測値PVとの差分としての偏差値EVを演算する(ステップS24)。
すなわち、この偏差値EVがゼロならば、時間当たりに吐出された触媒Cの容積が目標値と合致していることを示し、偏差値EVがゼロよりも大きいか小さいならば、時間当たりに吐出された触媒Cの容積が目標値からずれていることを示す。
したがって、制御部38Aは、偏差値EVに基づいてサーボ移動量SVを演算して新たなサーボ移動量SVとして設定する(ステップS26)。
そして、ステップS20に戻り、ステップS26で設定されたサーボ移動量SVに基づいてシリンダポンプ32の第2サーボモータM4の移動量を制御する。
すなわち、ステップS26で設定されたこのサーボ移動量SVは、次の回の充填動作に反映される。
このようなフィードバック制御を充填動作毎に繰り返して行うことにより、シリンダポンプ32から吐出される触媒Cの時間当たりの吐出量を目標値に正確に制御することができる。
【0051】
このようにして、ギアポンプ30から吐出されるベース材Bの吐出量と、シリンダポンプ32から吐出される触媒Cの吐出量との双方を正確に制御することにより、ベース材Bと触媒Cとを一定の容積比で混合することができる。
【0052】
また、判定部38Cは、演算部38Bにより求められたベース材Bの重量と第2粘性体の重量との比率を求め(ステップS30)、この比率が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて容器82に充填されたシーリング材の合否判定を行う(ステップS32)。
許容範囲の一例を説明する。
ベース材Bの重量と触媒Cの重量との目標とする比率を100:5とする。
この場合、許容範囲を100:4.85以上100:5.15以下とする。
次いで、報知部38Dは、判定部38Cの判定結果に基づいて容器82に充填されたシーリング材の合否の報知を行う(ステップS34)。
さらに、サブ搬送ライン86は、判定部38Cにより判定結果が否と判定された場合に、否と判定されたシーリング材が充填された容器82をメイン搬送ライン84から取り除く(ステップS36)。
【0053】
ところで、原料混合装置10の立ち上がり動作時においては、ベース材Bおよび触媒Cの流動性が安定せず、時間経過とともにベース材Bおよび触媒Cの流動性が安定する傾向にあることが多い。
ベース材Bおよび触媒Cの流動性が安定していないと、ベース材Bと触媒Cとの重量比を正確に維持する上で不利がある。
そこで、原料混合装置10の立ち上がりの際には、ベース材Bと触媒Cとを一定の重量比で混合するための制御動作をきめ細かく行うことが、ベース材Bと触媒Cとの重量比を正確に維持する上で好ましい。
以下、原料混合装置10の立ち上がり動作時における制御動作について説明する。
【0054】
図6は、予め定められた量のシーリング材を3分の1ずつ3回に分けて単一の容器82に充填する場合の、言い換えると、単一の容器82に対して3回の充填動作を行う場合の制御部38Aによる制御動作を示すフローチャートである。
ベース材Bについて説明する。
まず、1回目の充填動作に対応して、ギアポンプ30の第1サーボモータM3のサーボ移動量SV(1)=M/Nを設定する(ステップS30)。
ここで、Mは容器82に最終的に充填すべきベース材Gの合計重量(合計容積)を示し、NはMの分割数であり、ここではシーリング材を3等分するため「3」となる。
次いで、上記サーボ移動量SV(1)に対応して第1サーボモータM3が回転されたときに第1質量流量計34によって検出されるベース材Bの流量である計測値PV(1)を得る(ステップS32)。
次に、サーボ移動量SVと計測値PV(1)との差分としての偏差値EV(1)を演算する(ステップS34)。
この場合、EV(1)=SV(1)−PV(1)となる。
【0055】
次に、2回目の充填動作に対応して、偏差値EV(1)に基づいてサーボ移動量SVを演算して新たなサーボ移動量SV(2)として設定する(ステップS36)。
この場合、SV(2)=M/N+EV(1)となる。
次いで、上記サーボ移動量SV(2)に対応して第1サーボモータM3が回転されたときに第1質量流量計34によって検出されるベース材Bの流量である計測値PV(2)を得る(ステップS38)。
次に、サーボ移動量SV(2)と計測値PV(2)との差分としての偏差値EV(2)を演算する(ステップS40)。
この場合、EV(2)=SV(2)−PV(2)となる。
【0056】
次に、3回目の充填動作に対応して、偏差値EV(2)に基づいてサーボ移動量SVを演算して新たなサーボ移動量SV(3)として設定する(ステップS42)。
この場合、SV(3)=M/N+EV(2)となる。
次いで、上記サーボ移動量SV(3)に対応して第1サーボモータM3が回転されたときに第1質量流量計34によって検出されるベース材Bの流量である計測値PV(3)を得る(ステップS44)。ここで、計測値PV(3)は容器82に充填されたベース材Bの合計重量に相当するものとなる。
このようにしてギアポンプ30の第1サーボモータM3のサーボ移動量SVを3回に分けて制御する。
【0057】
なお、触媒Cについても上述と同様の動作がなされる。
この場合、図6における、第1サーボモータM3のサーボ移動量SV、計測値PV、偏差値EVのそれぞれを、第2サーボモータM4のサーボ移動量SV、計測値PV、偏差値EVのそれぞれに置き換えればよいため、詳細な説明を省く。
【0058】
このように、容器82に対して3回に分けてシーリング材の充填を行うことにより、ベース材Bおよび触媒Cの混合器28への移送を3回に分けて行う。
これにより、混合器28に移送されるベース材Bおよび触媒Cの容積(重量)の制御をきめ細かく行うことができる。
したがって、原料混合装置10の立ち上がりの際に、ベース材Bおよび触媒Cの流動性が安定していない場合であっても、ベース材Bと触媒Cとの重量比を正確に維持する上で有利となる。
なお、原料混合装置10の立ち上がり後、ベース材Bおよび触媒Cの流動性が安定するに足る時間が経過したならば、図5に示したように、容器82に対して1回の動作でシーリング材を充填すればよく、その場合には、充填に要する時間の短縮化が図れる。
また、単一の容器82に対して3回に分けてシーリング材の充填を行う場合について説明したが、単一の容器82に対して2回に分けて、あるいは、4回以上に分けてシーリング材の充填を行うようにしてもよい。
【0059】
本実施の形態によれば、重量として検出されたベース材Bの流量に基づいてギアポンプ30によるベース材Bの吐出量を制御すると共に、重量として検出された触媒Cの流量に基づいてシリンダポンプ32による触媒Cの吐出量を制御する。
そのため、ギアポンプ30から吐出されるベース材Bあるいはシリンダポンプ32から吐出される触媒Cに比重の変化が生じた場合であっても、それら比重の影響を受けることなくベース材Bおよび触媒Cの吐出量を正確に制御して混合させることができる。
したがって、重量比を正確に維持した状態でベース材Bと触媒Cとを混合してシーリング材を得ることができ、品質の高いシーリング材を得る上で有利となる。
【0060】
さらに、容器82に充填されたシーリング材を構成するベース材Bの重量と触媒Cの重量との比が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて容器に充填されたシーリング材の合否判定を行うようにしたので、その判定結果を報知部38Dを用いて作業者に適切に報知することができる。
そのため、不合格品が発生した場合には、直ちに原料混合装置10の調整や点検を行うことができ、不合格品の発生を最低限にでき、生産性の向上を図る上で有利となる。
また、合否判定が否の場合に、否と判定されたシーリング材が充填された容器82をメイン搬送ライン82から取り除くようにすれば、不合格品を的確に排除でき、生産性の向上を図る上で有利となる。
また、従来、容器82に充填されたシーリング材の品質にばらつきが生じた場合には、シーリング材を別工程で検査する必要が生じ生産性の向上を図る上で不利であった。
これに対して、本実施の形態では、そのような検査を省くことができるため生産性の向上を図る上でより有利となる。
【0061】
なお、本実施の形態では、第1ポンプとしてギアポンプ30を用い、第2ポンプとしてシリンダポンプ32を用いる場合について説明したが、第1、第2ポンプとしてどのようなポンプを使用するかは任意である。
ただし、本実施の形態のように、粘度が高いベース材Bをギアポンプ30を用いて吐出し、ベース材Bよりも粘度が低い触媒Cをシリンダポンプ32を用いて吐出する構成とすると、ベース材Bの単位時間当たりの吐出量をより大きく確保することができる。
そのため、原料混合装置10による原料の混合および混合した原料の吐出を行う処理速度の向上を図れ、生産性の向上を図る上で有利となる。
特に、このような粘度の高いベース材Bおよび粘度の低い触媒Cの双方をそれぞれシリンダポンプを用いて混合器28に移送する場合は、ベース材Bが高い粘度を有していることから、シリンダポンプのピストンの移動速度を高速化して原料の移送速度を速める上で限界があった。また、シリンダポンプとして大掛かりでコストのかかるものが必要となる不利があった。
これに対して、本実施の形態のように粘度が高いベース材Bについてはギアポンプ30を用い、粘度が低い触媒Cについてはシリンダポンプ32を用いると、簡素な構成により、処理速度の向上を図れ、生産性の向上を図る上で有利となる。
【0062】
例えば、ベース材Bと触媒Cとの重量比が100:5であったとすると、容器82に充填するシーリング材が300g程度であった場合には、ベース材Bの重量は285g程度と極めて少ない重量である。
そのため、ベース材Bおよび触媒Cの双方をそれぞれシリンダポンプを用いて混合器28に移送したとしても生産性を確保する上で大きな支障はない。
しかしながら、容器82に充填するシーリング材が1000g単位、例えば、5000gといったような大容量となった場合には、ベース材Bの重量が4760gと大きな重量となる。
このように高い粘度を有した大量のベース材Bを移送するのにシリンダポンプを用いた場合、ピストンの移動速度を高速化することが難しく、移送速度を速めることは極めて難しい。
これに対して本実施の形態のようにギアポンプ30を用いれば、大容量の粘度が高いベース材Bを高速に移送することができるため、処理速度の向上を図れ、生産性の向上を図る上で有利となる。
【符号の説明】
【0063】
10……原料混合装置、28……混合器、30……ギアポンプ、32……シリンダポンプ、34……第1質量流量計、36……第2質量流量計、38A……制御部、38B……演算部、38C……判定部、B……ベース材(第1粘性体)、C……触媒(第2粘性体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組成が異なる第1粘性体と第2粘性体とを一定の重量比で混合して吐出する原料混合装置であって、
前記第1粘性体を吐出する第1ポンプと、
前記第2粘性体を吐出する第2ポンプと、
前記第1ポンプから吐出される前記第1粘性体と前記第2ポンプから吐出される前記第2粘性体とを混合して混合物として吐出する混合器と、
前記第1ポンプと前記混合器との間に設けられ前記第1ポンプから吐出される前記第1粘性体の流量を検出する第1質量流量計と、
前記第2ポンプと前記混合器との間に設けられ前記第2ポンプから吐出される前記第2粘性体の流量を検出する第2質量流量計と、
前記混合器から吐出される前記混合物を多数の容器に充填していく充填ノズルと、
前記第1質量流量計によって検出された第1粘性体の流量に基づいて前記第1ポンプによる前記第1粘性体の吐出量を制御すると共に、前記第2質量流量計によって検出された第2粘性体の流量に基づいて前記第2ポンプによる前記第2粘性体の吐出量を制御する制御部と、
前記第1質量流量計で検出された前記第1粘性体の流量から前記容器に充填された混合物を構成する前記第1粘性体の重量を求めると共に、前記第2質量流量計で検出された前記第2粘性体の流量から前記容器に充填された混合物を構成する前記第2粘性体の重量を求める演算部と、
前記演算部により求められた前記第1粘性体の重量と前記第2粘性体の重量との比が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて前記容器に充填された前記混合物の合否判定を行う判定部と、
を備える原料混合装置。
【請求項2】
前記判定部の判定結果に基づいて前記容器に充填された混合物の合否の報知を行う報知部をさらに備える請求項1記載の原料混合装置。
【請求項3】
前記多数の容器を搬送するメイン搬送ラインを備え、
前記判定部により判定結果が否と判定された場合に、否と判定された混合物が充填された容器を前記メイン搬送ラインから取り除くサブ搬送ラインをさらに備える、
請求項1記載の原料混合装置。
【請求項4】
前記第1粘性体の粘度は前記第2粘性体の粘度よりも高く、
前記第1ポンプはギアポンプで構成され、
前記第2ポンプはシリンダポンプで構成されている、
請求項1記載の原料混合装置。
【請求項5】
前記混合器は静止型混合器で構成されている、
請求項1記載の原料混合装置。
【請求項6】
前記第1ポンプは第1サーボモータによって駆動され、
前記第1サーボモータの回転量に対応して前記第1ポンプから吐出されるべき第1粘性体の吐出量を前記第1サーボモータの回転量を制御するための第1サーボ移動量として定義したとき、
前記制御部による前記第1粘性体の吐出量の制御は、前記第1サーボ移動量と、該第1サーボ移動量に対応して前記第1サーボモータが回転したときに前記第1質量流量計によって検出された第1粘性体の流量の計測値と、前記第1サーボ移動量と前記計測値の差分である偏差値とを用いてなされ、
前記第2ポンプは第2サーボモータによって駆動され、
前記第2サーボモータの回転量に対応して前記第2ポンプから吐出されるべき第2粘性体の吐出量を前記第2サーボモータの回転量を制御するための第2サーボ移動量として定義したとき、
前記制御部による前記第2粘性体の吐出量の制御は、前記第2サーボ移動量と、該第2サーボ移動量に対応して前記第2サーボモータが回転したときに前記第2質量流量計によって検出された第2粘性体の流量の計測値と、前記第2サーボ移動量と前記計測値の差分である偏差値とを用いてなされる、
請求項1記載の原料混合装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記充填ノズルによる前記混合物の前記単一の容器に対する充填に際して、前記第1粘性体の吐出量の制御および前記第2粘性体の吐出量の制御を少なくとも2回以上に分けて実行する、
請求項6記載の原料混合装置。
【請求項8】
第1ポンプから吐出される第1粘性体と第2ポンプから吐出される第2粘性体とを一定の重量比で混合して混合物としたのち、この混合物を多数の容器に充填していくに際して、
前記第1ポンプから吐出される前記第1粘性体の流量を重量として検出し、
前記第2ポンプから吐出される前記第2粘性体の流量を重量として検出し、
前記検出された第1粘性体の流量に基づいて前記第1ポンプによる前記第1粘性体の吐出量を制御すると共に、前記検出された第2粘性体の流量に基づいて前記第2ポンプによる前記第2粘性体の吐出量を制御し、
前記検出された前記第1粘性体の流量から前記容器に充填された混合物を構成する前記第1粘性体の重量を求めると共に、前記検出された前記第2粘性体の流量から前記容器に充填された混合物を構成する前記第2粘性体の重量を求め、
前記求められた前記第1粘性体の重量と前記第2粘性体の重量との比が予め定められた許容範囲を満たしているか否かを判定し、該判定結果に基づいて前記容器に充填された前記混合物の合否判定を行うようにした、
原料混合方法。
【請求項9】
前記合否判定に基づいて前記容器に充填された混合物の合否の報知を行う、
請求項8記載の原料混合方法。
【請求項10】
前記多数の容器はメイン搬送ライン上を搬送され、
前記合否判定が否の場合に、否と判定された混合物が充填された容器を前記メイン搬送ラインから取り除くようにした、
請求項8記載の原料混合装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−284615(P2010−284615A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142173(P2009−142173)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】