説明

原稿圧着板開閉装置

【課題】原稿の端部がグリスを塗布させた固定ピンに接触して汚れない原稿圧着板開閉装置の提供。
【解決手段】装置本体2への取付部材4と、両側板の外側へ第1ヒンジピン11を介して連結した支持部材5と、原稿圧着板3の取付る上板の両側より垂設した両側板を支持部材の両側板の自由端側へ第2ヒンジピン12を介して逆方向へ回動可能に連結したリフト部材6と、両側板に設けられた固定ピン13と、リフト部材の両側板に設けられた作動ピン14と、一端部側を固定ピンに当接させ支持部材の両側板の間に抱持片53に抱えられて摺動可能に設けられた第2スライダー32と、一端部側を作動ピンに当接し支持部材の両側板の間に抱持片に抱えられて摺動可能に設けられた第1スライダー31と、両スライダーとの間のコイルスプリング21とから成り、原稿の端部が固定ピンに接触するのを防止する延出片38を第2スライダーの下部側から固定ピンより前側に突出設置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器に用いて好適な原稿圧着板開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器の装置本体には、その装置本体の上面後部に対し原稿圧着板が原稿圧着板開閉装置を介して回動可能に取り付けられている。この原稿圧着板開閉装置は、一種のヒンジ機構であり、下記特許文献1に記載されたように、原稿圧着板をヒンジ軸まわりに回動可能に軸支して、装置本体の上面のコンタクトガラス面上に原稿圧着板を密着させることができると共に、そのコンタクトガラス上面を露出させることができる。原稿をコンタクトガラス面上にセットするには、原稿圧着板を回動させて(上方に開いて)コンタクトガラス面を露出(開放)させ、そのコンタクトガラスの面上に原稿を載置した後、原稿圧着板を回動させて(下方に閉じて)、原稿圧着板で原稿をコンタクトガラス面上に圧着させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−95339号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公知構成の事務機器においては、原稿圧着板を開くと、当該原稿圧着板を装置本体へ開閉可能に取り付けている原稿圧着板開閉装置の内部構造、とくに取付部材の両側板間に取り付けた固定ピンの部分が外部へ露出することになる。しかるに、この固定ピンの部分には、スライダーのカム面との摺接を円滑にする潤滑用のグリスが塗布されていることから、コンタクトガラス上へ載置した原稿の端部がコンタクトガラスよりはみ出してグリスを塗布させた固定ピンに接触して汚してしまうという問題が生じた。この発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、原稿圧着板を開いて原稿をコンタクトガラス上に載置させた際に、当該原稿の端部がグリスを塗布させた固定ピンに接触して汚れてしまわないように工夫した、原稿圧着板開閉装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するためにこの発明の原稿圧着板開閉装置は、事務機器の装置本体へ取り付けられる底板とこの底板の両側より立設させたところの両側板を有する取付部材と、上板とこの上板の両側より垂設されたところの下端部側に内側に折り曲げた抱持片を設けた両側板を有し、この両側板を前記取付部材の前記両側板の外側へ第1ヒンジピンを介して回動可能に連結して成る支持部材と、原稿圧着板を取り付ける上板とこの上板の両側より垂設した両側板を有し、この両側板を前記支持部材の自由端側へ第2ヒンジピンを介して前記支持部材の回動方向とは逆方向へ回動可能に連結したリフト部材と、前記取付部材の前記両側板に取り付けられた固定ピンと、前記リフト部材の前記両側板に設けられた作動ピンと、一端部側を前記固定ピンに当接させ前記支持部材の前記両側板の間に前記抱持片に抱えられて摺動可能に設けられた第2スライダーと、その一端部側を前記作動ピンに当接し前記支持部材の両側板の間に前記抱持片に抱えられて摺動可能に設けられた第1スライダーと、前記第2スライダーと第1スライダーとの間に弾設された圧縮コイルスプリングとから成り、前記コンタクトガラス上へ載置した原稿の端部が前記固定ピンに接触するのを防止する延出片を前記第2スライダーの下部側から前記固定ピンより前側に突出させて設けたことを特徴とする。
【0006】
その際に本発明は、取付部材の両側板の外側に支持部材の両側板が第1ヒンジピンによって回動可能に連結されると共に、取付部材の両側板の側部には、湾曲凹部が設けられ、原稿圧着板を閉じた際に湾曲凹部へ前記支持部材の抱持片の側が嵌入するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述したように、本発明によれば、固定ピンと摺接する第1カムスライダーを有する原稿圧着板開閉装置において、コンタクトガラス上へ載置した原稿の端部が固定ピンに接触するのを防止する延出片を第2スライダーの下部側から固定ピンより前側に突出させて設けたことにより、原稿圧着板を開いた時に、固定ピンより前側に突出した延出片によって、コンタクトガラス上へ載置した原稿の端部がグリスを附着させた固定ピンの部分に接触して汚れてしまうのを防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す側面図である。
【図2】この発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す側断面図である。
【図3】この発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す側面図である。
【図4】この発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す側断面図である。
【図5】この発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す側面図である。
【図6】この発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す側断面図である。
【図7】この発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す側断面図である。
【図8】この発明の取付部材の一例を示す図で、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【図9】この発明の第2スライダーの一例を示す図で、(a)は側面図、(b)は背面図、(c)は正面図、(d)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の原稿圧着板開閉装置を添付図面に基づいて詳述する。
【実施例1】
【0010】
図1〜図7はこの発明の原稿圧着板開閉装置の一例を示す図である。この発明の原稿圧着板開閉装置は、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器の装置本体に、その装置本体の上面に対し原稿圧着板を回動可能に取り付ける一種のヒンジ機構である。この発明の原稿圧着板開閉装置は、図1〜図7に示すように、装置本体2に取り付けられる取付部材4と、その取付部材4に回動自在に連結され、原稿圧着板3に取り付けられてこれを支持する支持部材5とを備え、支持部材5が、通常使用時、原稿圧着板3を装置本体2の上面に接触する閉位置から最大使用開放位置まで回動し、かつ、支持部材5が、メンテナンス時、さらに最大使用開放位置から最大開放位置まで回動するものである。
【0011】
取付部材4は、図8に示すように、装置本体2に取り付けられる底板41と、底板41の両側端部からそれぞれ底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる両側板42と、底板41の一端部(後端部)から底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に延びる略矩形状の後板43と、さらに図1乃至図7にも示したように、両側板42の一側部に形成された湾曲凹部44と、から構成され、両側板42の後板43側にストッパー部48が設けられている。
【0012】
底板41は、略矩形状に形成され、ビス等で装置本体2に取り付けるための取付孔45が設けられている。側板42は、略L字状に形成され、底板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に立設された取付片42aの先端部(上部)に第1ヒンジピン孔46が設けられている。取付片42aの第1ヒンジピン孔46より底板41側(下方)で、かつ、内側(前方)に偏した位置には固定ピン孔47が設けられている。両取付片42aの固定ピン孔47に固定ピン13が挿通されている。また、取付片42aの先端面は、第1ヒンジピン孔46と固定ピン孔47とを結ぶ直線と略平行に延びる傾斜部42bとして形成されている。
【0013】
支持部材5は、図1〜図7に示すように、上板51と、上板51の両側端部からそれぞれ上板51に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に垂設された両側板52と、側板52の先端部を互いに対向する側に90°折り曲げてなる抱持片53と、から構成されている。上板51の他端部(前端部)は、側板52と反対方向に折り曲げて成る当接部55が設けられている。
【0014】
両側板52の一端部(後端部)には、第2ヒンジピン12が挿通される第2ヒンジピン孔(図示せず)が設けられていると共に、後述する作動ピン14が入り込む切欠部54が設けられている。両側板52の他端部(前端部)には、第1ヒンジピン挿通孔(図示せず)が設けられている。両側板52の第1ヒンジピン挿通孔と取付部材4の第1ヒンジピン孔46とが軸合わせされてこれらの孔に第1ヒンジピン11が挿通されることによって、支持部材5が取付部材4に第1ヒンジピン11を軸に回動自在に連結されている。
【0015】
支持部材5は、原稿圧着板3に取り付けられるが、原稿圧着板3に回動自在に取り付けられることが好ましい。このように、支持部材5が原稿圧着板3に回動自在に取り付けられることにより、厚さが厚い原稿も装置本体2の上面に安定して密着させることができる。また、支持部材5は、装置本体2に直接取り付けてもよいが、リフト部材6を介して原稿圧着板3に取り付けられることが特に好ましい。
【0016】
リフト部材6は、原稿圧着板3の後端側にビス等で取り付けられる上板61と、この上板61の両端部からそれぞれ上板61に対して直交する方向(略直交する方向も含む)に垂設された両側板62とから成る略コ字状のものであって、支持部材5を覆うように形成されている。リフト部材6の一端部(後端部)の中央より上板61側の箇所には第2ヒンジピン挿通孔(図示せず)が設けられていると共に、第2ヒンジピン挿通孔より他端部側で、かつ、中央より上板61側とは反対側の箇所には作動部材、例えば作動ピン14が挿通される作動ピン孔(図示せず)が設けられている。両側板62の作動ピン孔に作動ピン14が挿通されて固定されている。リフト部材6の両側板62の第2ヒンジピン挿通孔と支持部材5の両側板52の第2ヒンジピン孔とが軸合わせされてこれらの孔に第2ヒンジピン12が挿通されることによって、リフト部材6が支持部材5の回動方向とは逆方向へ回動するように第2ヒンジピン12によって連結されている。
【0017】
支持部材5内には、一対の第1スライダー31と第2スライダー32が摺動可能に収装されている。この一対の第1スライダー31と第2スライダー32は、断面矩形の有底筒体状に形成されている。第1スライダー31と第2スライダー32は、互いの開口部が向き合うように支持部材5内にそれぞれ抱持片53に抱えられることによって個別に摺動自在に収装されている。この一対の第1スライダー31と第2スライダー32との間に圧縮コイルスプリング21が設けられている。すなわち、第1スライダー31と第2スライダー32の凹状の内部が圧縮コイルスプリング21を収容するスプリング収容部31c、32cとして形成されている。圧縮コイルスプリング21は、1個でも2個以上でもよく、例えば2個並列、或は重合して設けられ、一対の第1スライダー31と第2スライダー32をそれぞれ互いに離間する方向に付勢するものである。
【0018】
一対の第1スライダー31と第2スライダー32は、取付部材4の底板41と支持部材5(上板51)が略平行になっているとき(例えばこの発明の原稿圧着板開閉装置1を複写機等に取り付けた場合において装置本体2の上面のコンタクトガラス2a面上に原稿圧着板3を密着させたとき(原稿圧着板密着時))、支持部材5内に嵌合される長さで形成されている。
【0019】
先端部側の第1スライダー31の底面である閉塞面31aの外表面は平坦面に形成されている。この閉塞面31aが圧縮コイルスプリング21の付勢力によって作動ピン14を押圧して、支持部材5とリフト部材6とが重なり合うようになっている。
すなわち、圧縮コイルスプリング21の付勢力によってリフト部材6の上板61が支持部材5の当接部55に当接して、支持部材5の上板51とリフト部材6の上板61とが略平行で、かつ近接するようになっている。
【0020】
後端部側の第2スライダー32の閉塞面の外表面の略中央部には、図1〜図7、図9に示すように、突部33が設けられている。この突部33は、支持部材5の上板51に略平行に延びて形成されている。突部33の抱持片53側は漸次傾斜された傾斜部34として形成され、原稿圧着板密着時、突部33が固定部材例えば固定ピン13に当接し、リフト部材6が第2ヒンジピン12を軸に回動することによって、固定ピン13が当接する箇所が突部33から傾斜部34に徐々に摺動する。この固定ピン13の外周には通常潤滑用のグリスが塗布されているが、第2スライダー32の下部側から前記固定ピン13より前側に突出させて延出片38が設けられている。
【0021】
装置本体2の上面のコンタクトガラス2a面上に原稿圧着板3が密着している状態(閉位置(図1及び図2参照))において支持部材5の、抱持片53の部分が取付部材4の湾曲凹部44内に嵌入し、延出片38は固定ピン13の回り、とくにコンタクトガラス2a側を覆っている。この状態から原稿圧着板3の手前側を手に持って、装置本体2の上面から離間する方向(上方)に第1ヒンジピン11を軸に回動させると、固定ピン13に当接する箇所が突部33から傾斜部34へと徐々に摺動すると共に、第2スライダー32が圧縮コイルスプリング21によって支持部材5内を後端部側へと押圧されて摺動し、圧縮コイルスプリング21が徐々に伸びる。そして、原稿圧着板3が装置本体2の上面に対する最大使用開放位置になると(図3及び図4参照)、第2スライダー32の両側に設けた突起部71が、受け部72の手前に落ち込む際のクリック感を原稿圧着板3を介して操作者の手に感じ取ることができる。勿論、ここのところはその他の公知構成の原稿圧着板回動規制機構(図示せず)によって規制しても良い。なお、図1〜図7、図9中、38は延出片を示し、原稿圧着板3の最大使用開放角度において、図3と図4に示したように、延出片38が、固定ピン13のコンタクトガラス2a側の部分より前側に突出している。
【0022】
原稿圧着板回動規制機構は、原稿圧着板3(支持部材5)の回動を規制するもので、原稿圧着板3の通常使用時における装置本体2の上面に対する最大使用開放角度を60°〜70°(略60°〜略70°)に規制するものである(図3及び図4参照)。また、原稿圧着板回動規制機構は、装置本体2の点検、修理等のメンテナンスを行う際にコンタクトガラス2aを容易に取り外すことができるように、取付部材4の両側板に設けたストッパー部48と支持部材5の断面L形状を呈した当接部55によって、原稿圧着板3(支持部材5)の上面に対する最大開放角度を90°に規制することができる最大開放機能を有している(図5及び図6参照)。尚、当接部55は、これを支持部材5の他の個所としても良く、リフト部材6の側に設けても良い。
【0023】
トルク発生手段7は、支持部材5に作用するトルクを大きくできれば特に限定されず、例えば、弾性部材である前記の圧縮コイルスプリング21と、第2スライダー32に設けられた突起部71と、取付部材4に設けられた受け部72とから構成されている。
【0024】
突起部71は、第2スライダー32の閉塞面の外表面の両側部が中央部より窪んだ段状に形成され、この両側段部32bの略中央部に設けられている。突起部71は、例えば略半円状に形成されている。受け部72は、取付部材4の取付片42aの傾斜部42bの略中央部に凸状に形成されており、圧縮コイルスプリング21の付勢力によって、支持部材5が最大使用開放位置から最大開放位置までの間に位置されているときに、突起部71が受け部72に当接して押圧されるようになっている(図3〜図6参照)。
【0025】
このように、圧縮コイルスプリング21の付勢力によって突起部71が受け部72に当接して押圧されることにより、支持部材5(原稿圧着板3)が最大開放位置(図5及び図6参照)から最大使用開放位置(図3及び図4参照)へと回動するとき、支持部材5(原稿圧着板3)に作用するトルクが大きくなる。従って、この発明の原稿圧着板開閉装置1は、原稿圧着板3が最大開放位置から最大使用開放位置へと倒れる際の速度を緩和することができる。
【0026】
また、第2スライダー32の両側段部32bの支持部材5の上板51側には、湾曲状に窪んだ凹部36が設けられている。この凹部36は、取付部材4の取付片42aの先端部が面接触する凹状に形成されている。この凹部36は、支持部材5(原稿圧着板3)が最大開放位置(図5及び図6参照)に達したとき、取付片42aの先端部が面接触するように形成されている。これにより、支持部材5(原稿圧着板3)が最大使用開放位置(図3及び図4参照)から最大開放位置(図5及び図6参照)へと回動したとき、取付片42aの先端部が面接触するので、支持部材5(原稿圧着板3)が安定した状態で立たせることができる。
【0027】
また、この発明の原稿圧着板開閉装置1は、厚さに関係なく原稿を装置本体2の上面に安定して密着させることができる。
【0028】
すなわち、圧縮コイルスプリング21の付勢力によってリフト部材6の上板61が支持部材5の当接部55に当接して、支持部材5の上板51とリフト部材6の上板61とが略平行で、かつ近接するので、リフト部材6の後端部が下方に回動することがない。このため、原稿圧着板3を持ち上げて装置本体2の上面のコンタクトガラス2a面に原稿を載置する場合、通常、原稿圧着板3のリフト部材6が取り付けられている箇所とは反対側の端部又はその近傍等に設けられている把持部を持って原稿圧着板3を上方に持ち上げると、原稿圧着板3は第1ヒンジピン11を軸にのみ回動してコンタクトガラス2a面が外部に露出する。その露出したコンタクトガラス2aの面上に原稿を載置する。この際に原稿の端部が固定ピン13の側の方へはみ出しても、延出片38によってグリスが塗布されている固定ピン13に接触することを防止できる。
【0029】
載置後、持ち上げた原稿圧着板3を降ろすと、原稿圧着板3はコンタクトガラス2a面と接触する方向に第1ヒンジピン11を軸に回動する(下方に移動する)。このとき、圧縮コイルスプリング21の付勢力によってリフト部材6の上板61が支持部材5の当接部55に当接した状態のまま、つまり、原稿圧着板3(リフト部材6)が第2ヒンジピン12を軸に回動することないまま、原稿圧着板3が移動する。
【0030】
このとき、コンタクトガラス2a面に載置されている原稿が紙のように厚さが薄い場合には、原稿圧着板3は、紙に接触するときには面接触する。その結果、原稿の全体が原稿圧着板3に接触して原稿がコンタクトガラス2a面に押し付けられるので、原稿が安定してコンタクトガラス2a面に密着することになる。そして、この際に、原稿圧着板3によって押圧されることによって変形した原稿の端部が固定ピン13側へはみ出しても、その端部は延出片38によってグリスが塗布されている固定ピン13に接触することがない。
【0031】
原稿が図7に示すように本のように厚さが厚い場合、原稿圧着板3を回動させる(下方に移動させる)と、原稿80の支持部材5側の端部80a又はその近傍に原稿圧着板3の支持部材5の近傍の一部が接触し、原稿80の支持部材5側の端部とは反対側の端部と原稿圧着板3との間に空間が形成される。すなわち、把持部側の端部の原稿圧着板3は浮いた状態となる。その浮いている原稿圧着板3の例えば把持部側の端部近傍をコンタクトガラス2a面側に押圧すると、作動ピン14が第1スライダー31を第2スライダー32側に押圧して圧縮コイルスプリング21の付勢力に抗して第1スライダー31が第2スライダー32側に移動すると共に、原稿圧着板3(リフト部材6)が第2ヒンジピン12を軸に回動する。すなわち、原稿80の上部を覆うように原稿圧着板3が移動する。例えば、その原稿80の上部が平坦面である場合には、この上部に原稿圧着板3が面接触する。よって、厚さが厚い原稿80が安定してコンタクトガラス2a面に密着することになる。
【0032】
従って、この発明の原稿圧着板開閉装置1は、厚さに関係なく原稿を装置本体2の上面に安定して密着させることができる。この原稿が本のような厚物原稿であっても、原稿圧着板3の開閉時に延出片38が固定ピン13の外周を覆うので、厚物原稿の端部がグリスが附着している固定ピン13に接触して汚れてしまうことはない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上詳細に説明したようにこの発明は、簡単な構成で、とくに複写機の原稿自動送り装置付きの重量のある原稿圧着板開閉装置に実施して好適である。
【符号の説明】
【0034】
1 原稿圧着板開閉装置
2 装置本体
2a コンタクトガラス
3 原稿圧着板
4 取付部材
5 支持部材
6 リフト部材
7 トルク発生手段
11 第1ヒンジピン
12 第2ヒンジピン
13 固定ピン
14 作動ピン
21 圧縮コイルスプリング
31 第1スライダー
32 第2スライダー
38 延出片
41 底板
42 両側板
44 湾曲凹部
51 上板
52 両側板
53 抱持片
61 上板
62 両側板
71 突起部
72 受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事務機器の装置本体へ取り付けられる底板とこの底板の両側より立設させたところの両側板を有する取付部材と、上板とこの上板の両側より垂設されたところの下端部側に内側に折り曲げた抱持片を設けた両側板を有し、この両側板を前記取付部材の前記両側板の外側へ第1ヒンジピンを介して回動可能に連結して成る支持部材と、原稿圧着板を取り付ける上板とこの上板の両側より垂設した両側板を有し、この両側板を前記支持部材の自由端側へ第2ヒンジピンを介して前記支持部材の回動方向とは逆方向へ回動可能に連結したリフト部材と、前記取付部材の前記両側板に取り付けられた固定ピンと、前記リフト部材の前記両側板に設けられた作動ピンと、一端部側を前記固定ピンに当接させ前記支持部材の前記両側板の間に前記抱持片に抱えられて摺動可能に設けられた第2スライダーと、その一端部側を前記作動ピンに当接し前記支持部材の両側板の間に前記抱持片に抱えられて摺動可能に設けられた第1スライダーと、前記第2スライダーと第1スライダーとの間に弾設された圧縮コイルスプリングとから成り、前記コンタクトガラス上へ載置した原稿の端部が前記固定ピンに接触するのを防止する延出片を前記第2スライダーの下部側から前記固定ピンより前側に突出させて設けたことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。
【請求項2】
前記取付部材の両側板の外側に前記支持部材の両側板が第1ヒンジピンによって回動可能に連結されると共に、前記取付部材の両側板の側部には、湾曲凹部が設けられ、前記原稿圧着板を閉じた際に前記湾曲凹部へ前記支持部材の抱持片の側が嵌入するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−8038(P2013−8038A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171028(P2012−171028)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2007−138135(P2007−138135)の分割
【原出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】