説明

原稿搬送装置及び画像形成装置

【課題】安定した搬送及び正確かつ安定した画像読取を可能にすること。
【解決手段】原稿搬送装置10は、原稿搬送路13と、画像読取位置Pに圧縮コイルばね44により付勢された主ガイド部材40と、上流側及び下流側搬送ローラ対22及び24とを備えている。原稿搬送路13の、主ガイド部材44の上流側であって上流側搬送ローラ対22の下流側には、ローラ74が回転可能に支持された副ガイド部材70が圧縮コイルばね60によりガラス板34の上面に圧接される。ローラ74とガラス板34の上面との間に隙間S2が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体上面の一部領域を含む原稿搬送路と、該本体上面の該一部領域に設けられた画像読取位置に、ガイド部材付勢手段により隙間が形成されるよう付勢されて、搬送される原稿を該隙間を通してガイドするガイド部材とを備え、原稿搬送路の、ガイド部材よりも上流側には上流側搬送ローラ対が、また下流側には下流側搬送ローラ対がそれぞれ配設されている原稿搬送装置及び該原稿搬送装置を備えた画像形成装置(例えば、静電複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ、これらの複合機)に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置、例えば静電複写機に備えられている原稿搬送装置の一つの典型例は、画像形成装置本体上面の一部領域を含む原稿搬送路と、該本体上面の該一部領域に設けられた画像読取位置に、付勢部材により隙間が形成されるよう付勢されて、搬送される原稿を該隙間を通してガイドするガイド部材とを備えている。原稿搬送路の、ガイド部材よりも上流側には上流側搬送ローラ対が配設され、ガイド部材よりも下流側には下流側搬送ローラ対が配設されている。ガイド部材の底面の、原稿搬送方向に直交する水平方向両端にはそれぞれ突起(スペーサ)が設けられ、画像読取位置における該本体上面の該一部領域とガイド部材の底面との間に、原稿が通過しうる所定の該隙間が形成される。原稿搬送路の上流端には原稿給紙テーブルが配設され、原稿搬送路の下流端には原稿排出トレイが配設されている。原稿搬送路の、原稿給紙テーブルと上流側搬送ローラ対との間には、ピックアップローラ、分離ローラ対、レジストローラ対などの原稿搬送手段が配設されている。上記形態の原稿搬送装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
原稿給紙テーブル上にセットされた原稿は、原稿搬送手段によって1枚づつ順次、原稿搬送路を通して搬送され、原稿排出トレイ上に全数が排出される。原稿搬送手段によって1枚づつ搬送される原稿の画像は、原稿搬送路の途中に配設された画像読取位置を通過する過程において、複写機に配設された画像読取装置に含まれる画像読取手段によって読み取られ、記憶装置により画像情報として記憶される。記憶装置により記憶された画像情報は、原稿搬送装置の上記搬送動作に並行して行なわれる、複写機の画像形成手段の作動により、用紙に転写・定着される。画像形成手段による画像形成動作の繰り返しによって全原稿の画像の複写、すなわちコピーが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−030568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記原稿搬送装置において、原稿給紙テーブル上から原稿搬送手段によって送られた原稿は、上流側搬送ローラ対によって、画像読取位置における該本体上面の該一部領域とガイド部材の底面との間に設けられた該隙間に搬入されるが、原稿搬送路の、ガイド部材の直上流側には比較的大きな隙間が存在するため、原稿先端が該本体上面の該一部領域に突き当たって擦れる際の負荷、及び該本体上面の該一部領域とガイド部材の底面との間の該隙間を通過した原稿の先端が下流側搬送ローラ対のニップ部に進入する際の負荷、などにより、画像読取位置において原稿に振動やたわみが発生していた。また、原稿が、下流側搬送ローラ対及び上流側搬送ローラ対の両方によりニップされて搬送される際、張力によりガイド部材の底面の原稿搬送方向両端に押し付けられて中間部が下方に膨らむように湾曲させられかつ、原稿の上面がガイド部材の底面に擦られることによっても、画像読取位置において原稿に振動やたわみが発生していた。その結果、画像読取位置において、原稿が該本体上面の該一部領域に沿って安定して搬送されないので、画像読取が正しく行なわれず、画像不良が発生していた。
【0006】
本発明の主目的は、画像読取位置における原稿の振動やたわみを抑制し、安定した搬送及び正確かつ安定した画像読取を可能にする、新規な原稿搬送装置及び該原稿搬送装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
画像形成装置本体上面の一部領域を含む原稿搬送路と、該本体上面の該一部領域に設けられた画像読取位置に、主ガイド部材付勢手段により隙間が形成されるよう付勢されて、搬送される原稿を該隙間を通してガイドする主ガイド部材とを備え、原稿搬送路の、主ガイド部材よりも上流側には上流側搬送ローラ対が、また下流側には下流側搬送ローラ対がそれぞれ配設されている原稿搬送装置において、原稿搬送路の、主ガイド部材の上流側であって上流側搬送ローラ対の下流側には、該本体上面の該一部領域に副ガイド部材付勢手段により付勢されて又は自重により隙間が形成されるよう押圧されて、搬送される原稿を該隙間を通して主ガイド部材に係る該隙間に向けてガイドする副ガイド部材が配設され、副ガイド部材に係る該隙間は、主ガイド部材に係る該隙間よりも大きく設定され、副ガイド部材は、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線を有する支持軸回りに回動可能に支持された副ガイド部材本体と、副ガイド部材本体の、支持軸よりも下流側下方に回転自在に支持されたローラとを備え、ローラと該本体上面の該一部領域との間に副ガイド部材に係る該隙間が形成される、ことを特徴とする原稿搬送装置、が提供される。
発明によれば、
画像形成装置本体上面の一部領域を含む原稿搬送路と、該本体上面の該一部領域に設けられた画像読取位置に、主ガイド部材付勢手段により隙間が形成されるよう付勢されて、搬送される原稿を該隙間を通してガイドする主ガイド部材とを備え、原稿搬送路の、主ガイド部材よりも上流側には上流側搬送ローラ対が、また下流側には下流側搬送ローラ対がそれぞれ配設されている原稿搬送装置において、原稿搬送路の、主ガイド部材の下流側であって下流側搬送ローラ対の上流側には、該本体上面の該一部領域に副ガイド部材付勢手段により付勢されて又は自重により隙間が形成されるよう押圧されて、搬送される原稿を該隙間を通して下流側搬送ローラ対に向けてガイドする副ガイド部材が配設され、副ガイド部材に係る該隙間は、主ガイド部材に係る該隙間よりも大きく設定され、副ガイド部材は、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線を有する支持軸回りに回動可能に支持された副ガイド部材本体と、副ガイド部材本体の、支持軸よりも上流側下方に回転自在に支持されたローラとを備え、ローラと該本体上面の該一部領域との間に副ガイド部材に係る該隙間が形成される、ことを特徴とする原稿搬送装置、が提供される。
副ガイド部材本体の該本体上面の該一部領域に対する付勢力は、主ガイド部材の該本体上面の該一部領域に対する付勢力よりも弱く設定される、ことが好ましい。
該ローラの直径は、上流側搬送ローラ対を構成するローラのいずれの直径よりも小さく形成されている、ことが好ましい。
該ローラの直径は、下流側搬送ローラ対を構成するローラのいずれの直径よりも小さく形成されている、ことが好ましい。
副ガイド部材本体には、該副ガイド部材付勢手段により付勢されて又は自重により、該下流側が該本体上面の該一部領域に向かって支持軸回りに回動するモーメントが付与される、ことが好ましい。
副ガイド部材本体には、該副ガイド部材付勢手段により付勢されて又は自重により、該上流側が該本体上面の該一部領域に向かって支持軸回りに回動するモーメントが付与される、ことが好ましい。
該ローラは、副ガイド部材本体に配設されかつ該軸線に平行な軸線を有する静止軸に複数個、回転自在に支持されたローラ部材からなる、又は副ガイド部材本体に回転自在に支持されかつ該軸線に平行な軸線を有する回転軸に複数個、一体回転しうるよう配設されたローラ部材からなる、ことが好ましい。
副ガイド部材本体には、上流から下流に向かって下方に延びるガイド面が形成され、原稿搬送装置本体には、副ガイド部材本体のガイド面の下から間隔をおいて対向する下ガイド面が設けられ、副ガイド部材本体のガイド面は、原稿搬送装置本体の下ガイド面と協働して、上流側搬送ローラ対により搬送される原稿を該ローラと該本体上面の該一部領域との間の該隙間に向けてガイドする、ことが好ましい。
本発明によれば、
画像形成装置本体の上面に原稿搬送装置を備えた画像形成装置において、該原稿搬送装置は、上記した原稿搬送装置のうちのいずれか1つの原稿搬送装置から構成される、ことを特徴とする画像形成装置、が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像読取位置における原稿の搬送負荷の軽減、進入音の低減を可能にし、振動やたわみを抑制し、安定した搬送及び正確かつ安定した画像読取を可能にすると共に、組立て及び取り外しを容易にする。また、副ガイド部材付勢手段のばね力の調整をも容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図11に示す原稿搬送装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図2】図1に示す原稿搬送装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】図2に示す原稿搬送装置においいて、ガイド部材及び原稿押えローラユニットが備えられた部分を下方から見た拡大斜視図である。
【図4】図3に示す原稿押えローラユニットを下方から見た拡大斜視図である。
【図5】図3に示す原稿押えローラユニット及びガイド部材を並列して圧縮コイルばねと共に上方から見た斜視図である。
【図6】図2に示す原稿搬送装置に備えられたガイド部材及び原稿押えローラユニットの上方に位置するフレームを下方から見た斜視図である。
【図7】本発明に係る原稿搬送装置の他の実施形態における要部の構成を概略的に示す正面図であって、図2と同じ方向から見た正面図である。
【図8】本発明に係る原稿搬送装置の更に他の実施形態における要部の構成を概略的に示す正面図であって、図7と同様な正面図である。
【図9】本発明に係る原稿搬送装置の更に他の実施形態における要部の構成を概略的に示す正面図であって、図7と同様な正面図である。
【図10】図9に示されている原稿押え部材を下方から見た斜視図である。
【図11】本発明に係る原稿搬送装置の実施形態を備えた静電複写機の一部を示す正面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に従って構成された原稿搬送装置及び該原稿搬送装置を備えた画像形成装置の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図11を参照して、その一部のみを示す複写機100は、直方体形状を有する複写機本体102を備えている。複写機本体102の上面には原稿搬送装置10が配設されている。複写機本体102内に配設される各種機器類、装置類自体は周知の構成を利用することでよく、したがって以下にその概要を図示しないで説明する。
【0012】
複写機本体102内において、その最上部位置には画像読取装置103が配置されている。画像読取装置103は、原稿搬送装置10に対応した下方位置に配置され、画像読取手段、例えばCCDイメージセンサから構成される画像読取手段及び、光源を含む光学系等を備えている。原稿搬送装置10の原稿搬送路の途中には、画像読取装置103に対応して原稿読取位置P(図1及び図2参照)が設けられている。画像読取装置103よりも下方位置には、レーザ光走査手段が配設され、レーザ光走査手段よりも下方位置には、画像形成搬送路が、複写機本体102の横方向(図11において左右方向)に延在するよう配置されている。なお、複写機本体102の前後方向とは、図1、図2及び図11において紙面に垂直な方向である。複写機本体102内にはまた、画像形成搬送路に関連して、画像形成手段が配設されている。
【0013】
画像形成手段は、感光体ドラム、感光体ドラムの周囲に配置された、主帯電器、現像装置、転写ローラ、クリーニング装置、除電器などの作像エレメントを備えている。作像エレメントには、前記レーザ光走査手段も含まれる。画像形成搬送路における、感光体ドラムよりも下流位置には定着装置が配置され、定着装置よりも下流側には排出ローラ対が配設されている。画像形成搬送路における、感光体ドラムよりも上流位置(図11において右側の位置)には、その上流から下流に向かって、搬送ローラ対及びレジストローラ対等がその順に配置されている。複写機本体102内の下方位置には複数の給紙カセットが配設され、各給紙カセットに収容された用紙は、各給紙カセットに対応して配設されたピックアップローラ及び分離ローラ対により画像形成搬送路の上記搬送ローラ対に向けて送り出されるよう構成されている。画像形成搬送路における、感光体ドラムに対応した位置には搬送ベルト機構が配置されている。上記転写ローラは、搬送ベルト機構に含まれる搬送ベルトを挟んで感光体ドラムの外周面に下から対向するよう配置されている。
【0014】
後述する原稿搬送装置10によって所定数の原稿が原稿搬送路における画像読取位置P(図1及び図2参照)を通して移動させられる間に、画像読取装置103の画像読取手段によって各原稿の画像が読み取られ、記憶装置により画像情報として記憶される。記憶された画像情報は、レーザ光走査手段によって、主帯電器により一様に帯電された感光体ドラムの表面に照射される。感光体ドラムの表面には静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置によりトナー画像として現像される。他方、給紙カセットから送り出されて搬送ローラ対により搬送された用紙は、レジストローラ対により所定のタイミングで感光体ドラムと転写ローラとにより形成される転写部に向けて搬送される。用紙が転写部を通過する間に、用紙の上面には、感光体ドラムの表面に形成されたトナー画像が転写ローラによって転写される。片面にトナー画像が転写された用紙は搬送ベルト機構によって定着装置に搬送され、該トナー画像は定着装置を通過する間に用紙の片面に定着される。片面にトナー画像が定着された用紙は排出ローラ対によって図示しない排出トレイに排出される。以上のとおりにして、画像形成搬送路を用紙が搬送される間に、用紙の上面にトナー画像が形成される。
【0015】
図1を参照して、原稿搬送装置10は、原稿給紙テーブル11と、原稿給紙テーブル11の下方に間隔をおいて配設された原稿排出トレイ12と、原稿給紙テーブル11上にセットされた原稿を原稿搬送路13を通して搬送して原稿排出トレイ12上に排出する原稿搬送手段とを含んでいる。原稿搬送手段は、原稿搬送路13に沿って配置された、ピックアップローラ14、用紙分離機構16、レジストローラ対18を備えている。原稿搬送手段は更に、レジストローラ対18の下流側に配置された搬送ローラ対20、搬送ローラ対20の下流側における原稿搬送路13に設けられた画像読取位置Pの上流側に配置された上流側搬送ローラ対22、画像読取位置Pの下流側に配置された下流側搬送ローラ対24及び下流側搬送ローラ対24の下流側に配置された排出ローラ対26などを備えている。用紙分離機構16は、駆動ローラ16A及び従動ローラ16B間に巻き掛けられた給紙ベルト16Cと、給紙ベルト16Cに下方から圧接された分離ローラ16Dとを備えている。
【0016】
原稿搬送路13は、用紙分離機構16からレジストローラ対18までの間はほぼ水平に延びているが、レジストローラ対18から画像読取位置Pに至るまでの間においては下方に反転するよう湾曲して形成されている。排出ローラ対26は、原稿を原稿排出トレイ12上に排出しうるよう、原稿搬送路13の最下流位置に配置されている。ピックアップローラ14の下方位置にはセット原稿押さえ板28が配設されている。セット原稿押さえ板28は、図示しないソレノイドにより図1に示す非作用位置と、原稿給紙テーブル11上にセットされた原稿の先端部をピックアップローラ14に向けて下方から押圧する作用位置(不図示)とに選択的に位置付けられるよう又は強制されるよう構成されている。セット原稿押さえ板28の下流側には、原稿給紙テーブル11にセットされる原稿先端位置を規定する原稿ストップ壁29が配設されている。
【0017】
複写機本体102の上面にはガラス板30が水平に延在するよう配設され、原稿搬送装置10の、ガラス板30と対応する領域には原稿押さえ板32が配設されている。原稿搬送装置10は、その後側(図1及び図11において裏面側)の端部と、複写機本体102の対応する後側端部との間に配設された図示しないヒンジ手段を介して、複写機本体102のガラス板30及び後述するガラス板34を含む上面を上方に開く開位置(不図示)と、該上面を覆う閉位置(図1、図2及び図11に示される位置)との間を回動可能である。例えば本等の画像を読み取る場合には、原稿搬送装置10を開いて画像面がガラス板30に当接される。この場合、画像読取装置103の光学系が移動して画像の読み取り走査が行なわれる。
【0018】
図1及び図2を参照して、原稿搬送路13の画像読取位置Pには、一定の幅をもって複写機本体102の前後方向に延在しかつ、水平上面を有するガラス板34と、ガラス板34に対し所定の隙間をおいて上方から対向するよう配置されたガイド部材40とが備えられている。ガラス板34は複写機本体102側に設けられ、ガラス板34の上面は、複写機本体102の上面の一部領域を規定するとともに、原稿搬送路13の一部領域をも規定する。ガイド部材40は原稿搬送装置10側に設けられている。
【0019】
図2、図3及び図5を参照して、ガイド部材40は、上端が開放された箱形状をなす本体部42を有している。適宜の合成樹脂から一体に成形することができる本体部42は、一定の幅をもって直線状に長手方向に延在しかつ水平下面を有する底壁42Aと、底壁42Aの幅方向の一側から上方に向かって延びる一側壁42Bと、底壁42Aの幅方向の他側から外側にかつ上方に向かって傾斜して延びる傾斜壁42Cと、傾斜壁42Cの上端から上方に向かって延びる他側壁42Dと、底壁42A、一側壁42B、傾斜壁42C及び他側壁42Dの各々の長手方向両端を閉塞する端壁42Eとを備えている。一側壁42B、他側壁42D及び端壁42Eの各々の上端により上向きの開口端が形成される。
【0020】
端壁42Eの各々には、外側に水平に延び出すフランジ42F(図5において片方のフランジ42Fのみ図示されている)が形成されている。フランジ42Fの各々には、上下方向に延在する軸線を有する貫通穴42Faが形成されている。本体部42には隙間設定用の突起42Gが形成されている。突起42Gは、本体部42の底壁42Aにおける長手方向両端部の水平下面からそれぞれ同じ長さだけ下方に突出して底壁42Aの幅方向に延在するよう形成されている。ガイド部材40の底壁42Aの、開口側の上面における長手方向両端部には、位置決め柱42Hが直立して設けられ、位置決め柱42Hの各々には、上方からガイド部材付勢手段を構成する圧縮コイルばね44が位置決め柱42Hの各々の外周面を半径方向外方から覆うよう嵌合される。圧縮コイルばね44の各々の下端部は、対応する位置決め柱42Hに図示しない係止手段により係止される。
【0021】
ガイド部材40は、複写機本体102の上面の該一部領域(ガラス板34の上流端と下流端との間の領域)に設けられた画像読取位置Pの上面(ガラス板34の上面)に、ガイド部材付勢手段である一対の圧縮コイルばね44により隙間が形成されるよう付勢されて、搬送される原稿(不図示)を、該隙間を通してガイドするよう配設される。原稿搬送装置10が複写機本体102の上面を閉じた閉位置(図1、図2及び図11に示される位置)に位置付けられた状態で更に具体的に説明すると、ガイド部材40は、底壁42Aの幅方向中央がガラス板34の上面における画像読取位置Pに沿って、複写機本体102の前後方向に延在するよう位置付けられる。原稿搬送装置本体10Bの、ガイド部材40の上方にはフレーム46(図6参照)が配設され、フレーム46は水平部46Aを備えている。水平部46Aは、ガイド部材40の開口端の上方に間隔をおいて、ガイド部材40の長手方向(複写機本体102の前後方向と一致する)に一定の幅をもって平行に延在するよう配置されている。水平部46Aの長手方向両端部には、ガイド部材40の圧縮コイルばね44の各々に対応して貫通穴46Bが形成されている。ガイド部材40の圧縮コイルばね44の各々の上端部は、フレーム46の水平部46Aの、対応する貫通穴46Bを下から上に貫通して位置付けられ、水平部46Aの、貫通穴46Bの各々の上面側に設けられたリテーナ部(不図示)に保持される。
【0022】
明確に図示はされていないが、ガイド部材40の端壁42Eの各々に形成されたフランジ42Fの貫通穴42Faには、支持ねじ部材48(図3及び図6に、片方の支持ねじ部材48の頭だけが図示されている)が頭を下にして相対移動自在に挿入され、支持ねじ部材48の各々の先端部に形成された雄ねじ部が、フレーム46の長手方向両端部に設けられた図示しない水平フランジの雌ねじ部に下からねじ結合される。支持ねじ部材48の各々における頭の直径は、貫通穴42Faの各々の内径よりも大きい。
【0023】
原稿搬送装置10が上記閉位置から図示しない開位置に回動させられると、圧縮コイルばね44の各々のばね力により、ガイド部材40のフランジ42Fの各々における下面が、対応する支持ねじ部材48の頭に圧接され、ガイド部材40は原稿搬送装置10の本体に保持される。他方、原稿搬送装置10が開位置から閉位置に向かって回動させられると、ガイド部材40の本体部42に形成された突起42Gの各々がガラス板34の上面に当接させられて、ガイド部材40の下方への回動が阻止される。続いて、原稿搬送装置本体10Bが所定量だけ更に下方へ移動して、複写機本体102の上面を上方から覆う形で閉位置に位置付けられる。
【0024】
ガイド部材40の下方への回動が阻止された後の、原稿搬送装置本体10Bの下方への移動により、支持ねじ部材48の各々が各々の頭と共に、ガイド部材40の、対応するフランジ42Fに対し圧縮コイルばね44のばね力に抗して所定量だけ下方に相対移動させられ、支持ねじ部材48の各々の頭と、ガイド部材40のフランジ42Fの各々における下面との間に隙間が形成される。その結果、ガイド部材40の突起42Gの各々が、圧縮コイルばね44の各々のばね力により、ガラス板34の上面に圧接させられる。換言すれば、ガイド部材40は突起42Gの各々を介してガラス板34の上面に所定のばね力により圧接される。ガイド部材40の本体部42の底壁42Aにおける水平下面とガラス板34の水平上面の間には、一定の幅で原稿搬送方向に直交する水平方向(複写機本体102の前後方向と一致する)に延在する所定の隙間が形成される。この隙間は、原稿搬送方向に直交する水平方向における最大の原稿搬送領域以上の長さに設定される。ガラス板34の上面は原稿搬送路13の画像読取位置Pにおける下面を規定し、ガイド部材40の下面(底壁42Aの水平下面)は原稿搬送路13の画像読取位置Pにおける上面を規定する。ガラス板34とガイド部材40との間の上記所定の隙間は、少なくとも所定範囲内の厚さを有する原稿が画像読取位置Pをほぼ水平な姿勢に保持されて通過することができるように規定されている。
【0025】
原稿搬送装置10が閉位置に位置付けられた状態(図1及び図2)において、原稿搬送路13の、ガイド部材40の上流側であって上流側搬送ローラ対22の下流側には、回転可能な原稿押えローラ50が、原稿押えローラ付勢手段により付勢されて又は自重により(実施形態においては、原稿押えローラ付勢手段である圧縮コイルばね60(後述)により付勢されて)、該本体上面の該一部領域であるガラス板34の上面に圧接される。更に具体的に説明すると、原稿搬送路13の、ガイド部材40と上流側搬送ローラ対22との間には、原稿押えローラユニット50Uが配設されている。
【0026】
図2〜図5を参照して、原稿押えローラユニット50Uは、支持枠体52と、支持枠体52に回転自在に支持された上記原稿押えローラ50とを備えている。適宜の合成樹脂から一体に成形することができる支持枠体52は、長手方向に間隔をおいて対向する一対の側壁54を備えている。向き合った状態で相互に対称形状をなす側壁54の各々は概ね三角形状をなし、ほぼ水平方向に延在する上縁54Aと、上縁54Aの一側から下方に直線状に延びる上一側縁54Bと、上縁54Aの他側から下方に上一側縁54Bよりも長く直線状に延びる他側縁54Cと、上一側縁54Bの下端から下方にかつ他側縁54C側に延びる円弧状縁54Dと、円弧状縁54Dの下端から下方にかつ他側縁54C側に直線状に延びる傾斜縁54Eと、傾斜縁54Eの下端と他側縁54Cの下端との間を円弧状に延在する下縁54Fとを備えている。側壁54の各々間は、各々間を延在する連結枠56により一体に連結されている。
【0027】
側壁54の各々の下縁54Fの近傍位置間には静止軸57が装着され、静止軸57には、複数の原稿押えローラ部材50Aが回転自在に支持されている。実施形態において、側壁54の各々間には、更に静止軸57を支持する2個の支持壁54Wが、側壁54の各々と平行に配設されている。側壁54の各々と静止軸57の各々とは、それぞれ相互に等間隔に配置されている。複数の原稿押えローラ部材50Aは原稿押えローラ50を構成する。原稿押えローラ部材50Aの各々の直径は相互に実質的に同じでありかつ、上流側搬送ローラ対22を構成するローラのいずれの直径よりも小さく形成されている。なお、上流側搬送ローラ対22は、駆動ローラ22Aと、駆動ローラ22Aに圧接された従動ローラ22Bとから構成されている。側壁54の各々の、円弧状縁54D付近には、それぞれ支持軸58が相互に反対方向である水平外方に延び出すよう形成されている。支持軸58の各々は共通の軸線上に存在する。側壁54の各々の、上縁54Aの下方位置であって、他側縁54C近くの位置には、それぞれフランジ59が相互に反対方向である水平外方に延び出すよう形成されている。
【0028】
連結枠56は、支持枠体52を長手方向に見て、側壁54の各々の上一側縁54B、円弧状縁54D及び傾斜縁54Eとほぼ同一面上に存在するガイド面56Aを有している。ガイド面56Aは、側壁54の各々間を延在する。ガイド面56Aの、円弧状縁54D及び傾斜縁54Eとほぼ同一面上に存在する傾斜領域は、上方から原稿押えローラ50の外周面における下端領域に向かってほぼ接線方向に延在するよう位置付けられている。連結枠56はまた、側壁54の各々間を他側縁54Cに沿って延在する棚状部56Bを備えている。棚状部56Bは原稿押えローラ50の上方において側壁54の各々間を延在する。棚状部56Bの長手方向の中間位置における水平上面には、円柱状の位置決め突起56Cが直立して形成され、位置決め突起56Cには、原稿押えローラ付勢手段である圧縮コイルばね60の下端部が、位置決め突起56Cの外周面を外側から囲むよう圧入・係止されている。
【0029】
原稿搬送装置10が複写機本体102の上面を閉じた閉位置(図1、図2及び図11に示される位置)に位置付けられた状態で説明すると、原稿搬送路13の、ガイド部材40と上流側搬送ローラ対22との間において、原稿押えローラユニット50Uは、支持枠体52に設けられた支持軸58の各々を介して原稿搬送装置本体10Bの図示しないフレームの軸受に回動可能に支持される。支持軸58の軸線は、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する。原稿押えローラ50は、支持枠体52の、支持軸58よりも下流側にかつ下方に位置付けられる。
【0030】
原稿押えローラユニット50Uの支持枠体52には、原稿押えローラ付勢手段により付勢されて又は自重により(実施形態においては、原稿押えローラ付勢手段である圧縮コイルばね60(後述)により付勢されて)、下流側がガラス板34の上面に向かって支持軸58回りに回動するモーメントが付与される。回転可能な原稿押えローラ50(原稿押えローラ部材50Aの各々)は、ガラス板34の上面に圧接される。先に述べたように、原稿搬送装置本体10Bの、ガイド部材40の上方にはフレーム46(図6参照)が配設され、フレーム46は水平部46Aを備えている。水平部46Aの上流側領域は、原稿押えローラ50が支持された支持枠体52の下流側領域の上方に間隔をおいて、支持枠体52の長手方向に延在するよう位置付けられている。水平部46Aの上流側領域の長手方向中央位置には、支持枠体52の圧縮コイルばね60に対応して貫通穴46Cが形成されている。支持枠体52の圧縮コイルばね60の上端部は、フレーム46の水平部46Aの貫通穴46Cを下から上に貫通して位置付けられ、水平部46Aの、貫通穴46Cの上面側に設けられたリテーナ部(不図示)に保持される。支持枠体52の側壁54の各々に形成されたフランジ59に対応して、原稿搬送装置本体10Bには図示しないストッパが設けられている。
【0031】
図1及び図2を参照して、原稿搬送装置10が上記閉位置から図示しない開位置に回動させられると、原稿押えローラユニット50Uの下流側が圧縮コイルばね60のばね力により、支持軸58まわりに下方に回動させられる。支持枠体52の側壁54の各々に形成されたフランジ59の下面が、原稿搬送装置本体10Bに設けられた図示しないストッパの上面に圧接して下方への回動が阻止されて、原稿押えローラユニット50Uの下方への回動が阻止される。原稿押えローラユニット50Uは原稿搬送装置本体10Bに保持される。
【0032】
他方、原稿搬送装置10が開位置から閉位置に向かって回動させられると、原稿押えローラユニット50Uの原稿押えローラ50(原稿押えローラ部材50Aの各々)がガラス34の上面に当接させられて、原稿押えローラユニット50Uの下方への回動が阻止される。続いて、原稿搬送装置本体10Bが所定量だけ更に下方へ移動して、複写機本体102の上面を上方から覆う形で閉位置に位置付けられる。原稿押えローラユニット50Uの下方への回動が阻止された後の、原稿搬送装置本体10Bの下方への移動により、原稿搬送装置本体10Bに設けられた図示しないストッパが、支持枠体52のフランジ59に対し、圧縮コイルばね60のばね力に抗して所定量だけ下方に相対移動させられ、ストッパの各々の上面と、支持枠体52のフランジ59の各々の下面との間に隙間が形成される。その結果、原稿押えローラユニット50Uの回転可能な原稿押えローラ50(原稿押えローラ部材50Aの各々)が、圧縮コイルばね60のばね力により、ガラス板34の上面に圧接される。
【0033】
次に本発明による上記原稿搬送装置10の作用及び効果について説明する。図1〜図3を参照して、原稿給紙テーブル11から上流側搬送ローラ対22まで周知のとおりにして搬送された原稿は、上流側搬送ローラ対22により、支持枠体52のガイド面56Aと原稿搬送装置本体10Bの下ガイド面10Gとの間をそれらにガイドされて、原稿押えローラユニット50Uの原稿押えローラ50とガラス板34の上面との圧接部に指向される。原稿の先端は、上流側搬送ローラ対22の搬送力により、原稿押えローラ50とガラス板34の上面との圧接部を通過させられる。その際、原稿は、原稿押えローラ50を圧縮コイルばね60のばね力などに抗して原稿の厚さ分だけ押上げかつ相対回転させながらガラス板34の上面に沿って移動させられるので、原稿は、原稿押えローラ50によりガラス板34の上面に密着させられた状態で、ガラス板34の上面に沿って、ガイド部材40の底壁42Aの水平下面との間の隙間を通過させられる。原稿が画像読取位置Pを通過する際に、周知のとおりにして原稿の画像が読み取られる。上記隙間を通過した原稿は、下流側搬送ローラ対24にニップされ、上流側搬送ローラ対22と共に搬送される。下流側搬送ローラ対24のニップ部を通過した原稿は、排出ローラ対26により排出トレイ12上に排出される。
【0034】
上記説明から容易に理解されるように、上流側搬送ローラ対22により搬送された原稿は、ガイド部材40の底壁42Aの水平下面とガラス板34の上面との間の隙間に搬入される手前位置において、回転可能な原稿押えローラ50によりガラス板34の上面に圧接された状態で通過させられるので、ガラス板34の上面に密着させられた状態で、ガラス板34の上面に沿って、該隙間に向かって移動させられて該隙間を通過させられる。その結果、上流側搬送ローラ対22により搬送された原稿の先端がガラス板34の上面に突き当たって擦れる際の負荷が、原稿押えローラ50とガラス板34の上面とのニップ部を通過する間に軽減され、該隙間を通過する際にはガラス板34の上面に密着させられた状態に維持されるので、画像読取位置Pにおいて原稿に振動やたわみが発生することはない。原稿押えローラ50は原稿の移動と共に回転させられるので原稿搬送における負荷の軽減に寄与する。
【0035】
また、該隙間を通過した原稿の先端が下流側搬送ローラ対24のニップ部に進入する際の負荷も、原稿が、該隙間の直上流位置において原稿押えローラ50によりガラス板34の上面に押圧され、ガラス板34の上面に密着させられた状態で該隙間を通過させられていることに起因して著しく軽減され、画像読取位置Pにおける原稿の振動やたわみは、実用上問題がない程度に抑制される。以上の結果、画像読取位置Pにおいて、原稿がガラス板34の上面に沿って安定して搬送されるので、画像読取が正確にしかも安定して行なわれ、所望する良好な画像が得られる。
【0036】
原稿押えローラ50が、自重により、該本体上面の該一部領域であるガラス板34の上面に圧接される、他の実施形態においても、上記効果の達成は可能である。
【0037】
原稿押えローラ50による押圧の範囲は、原稿搬送方向に直交する水平方向(原稿搬送幅方向)における最大の原稿搬送領域以上に設定されることが好ましい。この構成は、原稿を、幅方向全域にわたる均一な搬送力をもって搬送することを可能にし、しわの発生を抑制し、原稿の安定した搬送に寄与する。
【0038】
原稿押えローラ50のガラス板34の上面に対する付勢力は、ガイド部材40のガラス板34の上面に対する付勢力よりも弱く設定される。この構成は、上流側搬送ローラ対22によって搬送された原稿が原稿押えローラ50とガラス板34の上面との圧接部に浸入して通過する際の搬送負荷を軽減し、伝票などの薄紙搬搬送時におけるしわの発生やジャムの発生を防止する。また、原稿の後端が原稿押えローラ50を抜けた際の原稿搬送速度変動を抑制することもできる。なお、上記付勢力とは、通過する原稿が押えローラ50及びガイド部材40を、それぞれ圧縮コイルばね60及び44のばね力に抗して上方に押し上げる力に対向する力であって、概ね、押えローラユニット50Uにおいては、押えローラユニット50Uの重量により押えローラ50を介してガラス板34の上面に作用する回転モーメントと圧縮コイルばね60のばね力との和により規定され、ガイド部材40においては、ガイド部材40の総重量と圧縮コイルばね60のばね力との和により規定される。
【0039】
上記原稿搬送装置10において、原稿押えローラ50の直径は、上流側搬送ローラ対22を構成するローラ、すなわち、駆動ローラ22A及び従動ローラ22Bのいずれの直径よりも小さく形成されているので、上流側搬送ローラ対22とガイド部材40との間のコンパクトなスペースに収容可能である。また、原稿の搬送負荷を軽減する効果も得られる。
【0040】
上記原稿搬送装置10において、原稿搬送路13の、ガイド部材40と上流側搬送ローラ対22との間には、原稿押えローラユニット50Uが配設され、原稿押えローラユニット50Uは、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線を有する支持軸58回りに回動可能に支持された支持枠体52(図4、図5)と、支持枠体52の、支持軸58よりも下流側下方に回転自在に支持された原稿押えローラ50とを備えている。この構成は、組立て及び取り外しを容易にし、また、原稿搬送装置本体10Bとの間に設けられる圧縮コイルばね60のばね力の調整をも容易にする。
【0041】
支持枠体52には、圧縮コイルばね60により付勢されて又は自重により、支持枠体52の、支持軸58よりも下流側がガラス板34の上面に向かって支持軸58回りに回動するモーメントが付与される。この構成は、原稿押えローラ50をガラス板34の上面に所定の圧力で押圧することを、実用上簡単かつ容易に可能にする。
【0042】
原稿押えローラ50は、支持枠体52に配設されかつ原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線に平行な軸線を有する静止軸57に複数個、回転自在に支持された原稿押えローラ部材50Aからなる。この構成は、原稿をガラス板34の上面に均一な圧力で押圧することを容易に可能にする。また、原稿の搬送負荷の軽減にも寄与する。原稿押えローラ50が支持枠体52に回転自在に支持されかつ原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線に平行な軸線を有する回転軸に複数個、一体回転しうるよう配設された原稿押えローラ部材からなる、他の実施形態もある。回転軸及び原稿押えローラ部材全体が軽量で回転負荷が小さければ、実用化可能である。
【0043】
支持枠体52には上流から下流に向かって下方に延びるガイド面56Aが形成され、原稿搬送装置本体10Bには、支持枠体52のガイド面56Aの下から間隔をおいて対向する下ガイド面10Gが設けられ、支持枠体52のガイド面56Aは、原稿搬送装置本体10Bの下ガイド面10Gと協働して、上流側搬送ローラ対22により搬送される原稿を原稿押えローラ50とガラス板34の上面との圧接部に向けてガイドする。この構成は、上流側搬送ローラ対22により搬送される原稿を、原稿押えローラ50とガラス板34の上面との圧接部に向けて円滑にガイドすることに寄与する。
【0044】
なお、原稿押えローラ50を、支持軸58を介して回動可能な支持枠体52(図4、図5)の下流側下端部に支持するのではなく、単に上下動し得るよう原稿搬送装置本体10Bに配設された図示しない支持枠体に回転自在に支持しかつ、圧縮コイルばね60により付勢して又は自重により、ガラス板34の上面に圧接させる他の実施形態もある。この実施形態においても、画像読取位置における原稿の振動やたわみを抑制し、安定した搬送及び正確かつ安定した画像読取を可能にする、との上記効果の達成は可能である。また、上流側搬送ローラ対22とガイド部材40との間のスペースは更にコンパクトとなる。
【0045】
原稿搬送路13の、ガイド部材40の下流側であって下流側搬送ローラ対24の上流側に、回転可能な原稿押えローラ50が圧縮コイルばね60により付勢されて又は自重により、原稿搬送装置本体10B上面の一部領域(ガラス板34をガイド部材40の下流側に更に延長することにより形成可能である)に圧接される、他の実施形態もある。この実施形態による効果は次のとおりである。
【0046】
すなわち、原稿が上流側搬送ローラ対22と下流側搬送ローラ対24とによりニップされて搬送された状態において、下流側搬送ローラ対24の線速度が上流側搬送ローラ対22の線速度よりも若干速く設定されている場合には、両ニップ部の間で原稿の引っ張り合いが生ずる。このため原稿には、徐々にガイド部材40を押し上げる方向の力が働くので、原稿がガラス板34の上面から上方に離れてゆき、読取画像の先端と後端とで色調が変わってしまう。原稿押えローラ50がガイド部材40の下流側であって下流側搬送ローラ対24の上流側に配置された場合には、原稿がガラス板34の上面から浮き上がる現象を抑制するので、上記不具合の発生を防止することができる。図2に示されているように、原稿押えローラ50がガイド部材40の上流側であって上流側搬送ローラ対22の下流側に配置された場合においても、上記不具合の発生を防止することができる。また、原稿押えローラ50がガイド部材40の上流側であって上流側搬送ローラ対22の下流側に配置されかつ、ガイド部材40の下流側であって下流側搬送ローラ対24の上流側に配置された場合には、上記不具合の発生を更に効果的に防止することができる。
【0047】
原稿押えローラ50がガイド部材40の下流側であって下流側搬送ローラ対24の上流側に配置される実施形態は、例えば、原稿押えローラユニット50Uを、原稿押えローラ50が上流側に位置するよう配設することでよい。もちろん、先に述べたように、原稿押えローラ50を単に上下動させるよう配設する他の実施形態もある。
【0048】
図7、図8及び図9には、それぞれ本発明に係る原稿搬送装置の他の実施形態における要部が図示されている。なお、図7、図8及び図9に示す実施形態が図1〜図6及び図11を参照して説明した先の実施形態と相違するところは、原稿押えローラユニット50Uに代えて、副ガイド部材70又は80、又は原稿押え部材90が設けられていることであって、その他の構成は、先に述べた原稿搬送装置10と実質的に同じであるので、同一部分は同一符号で示し、説明は省略する。なお、図7及び図8に示す実施形態の説明において、主ガイド部材40とは、先の実施形態において説明したガイド部材40と実質的に同じ構成を有するもので、それぞれ副ガイド部材70及び80を設けたことで、説明の便宜上、先のガイド部材40を主ガイド部材40と称したものである。
【0049】
図7及び図2を参照して、本発明に係る原稿搬送装置の他の実施形態において、原稿搬送路13の、主ガイド部材40の上流側であって上流側搬送ローラ対22の下流側には、ガラス板34の上面に副ガイド部材付勢手段である圧縮コイルばね60により付勢されて又は自重により(実施形態においては圧縮コイルばね60により付勢されて)、隙間S2が形成されるよう押圧されて、搬送される原稿を隙間S2を通して主ガイド部材40の底面(底壁42Aの底面)とガラス板34の上面との間の隙間S1に向けてガイドする副ガイド部材70が配設されている。
【0050】
副ガイド部材70は、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線を有する支持軸58回りに回動可能に支持された副ガイド部材本体72(適宜の合成樹脂で一体成形される支持枠体52に相当)と、副ガイド部材本体72の、支持軸58よりも下流側下方に回転自在に支持されたローラ74(押えローラ50に相当)とを備えている。ローラ74は、副ガイド部材本体72の側壁54の各々間に設けられた静止軸57に回転自在に支持されている。側壁54の各々の下端は、ローラ74の下端よりも下方に位置するよう構成されているので、側壁54の各々の下端がガラス板34の上面に押圧された状態で、ローラ74とガラス板34の上面との間に隙間S2が形成される。
【0051】
副ガイド部材70のローラ74とガラス板34の上面との間の隙間S2は、主ガイド部材40の底壁42Aの水平下面とガラス板34の上面との間の隙間S1よりも大きく設定されているので、上流側搬送ローラ対22により搬送される原稿の搬送負荷を軽減すると共に、上流側搬送ローラ対22により搬送される厚紙原稿の先端がローラ74とガラス板34の上面との間の隙間S2に進入する際に発生する進入音を低減することができる。
【0052】
図8及び図2を参照して、本発明に係る原稿搬送装置の更に他の実施形態において、副ガイド部材80は、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線を有する支持軸58回りに回動可能に支持された副ガイド部材本体82(適宜の合成樹脂で一体成形される支持枠体52に相当)を備えている。副ガイド部材本体82の、支持軸58よりも下流側下方に形成された底面82Aとガラス板34の上面との間に隙間S2が形成される。副ガイド部材本体82の側壁54の長手方向両端には、底面82Aから下方に延び出すリブ54Rが形成されている。副ガイド部材本体82のリブ54Rの各々が、ガラス板34の上面に圧接されることにより、底面82Aとガラス板34の上面との間に隙間S2が形成される。この隙間S2は、主ガイド部材40の底壁42Aの水平下面とガラス板34の上面との間の隙間S1よりも大きく設定されているので、先に述べたのと実質的に同じ効果を達成することができる。
【0053】
底面82Aは、原稿搬送方向に直交する水平方向に見て、ガラス板34の上面に向かって膨らむ曲面(例えば円弧面)からなるので、原稿の搬送負荷の軽減及び進入音の低減などに寄与する。
【0054】
上記副ガイド部材70又は80が、原稿搬送路13の、主ガイド部材40の下流側であって下流側搬送ローラ対24の上流側に配設される他の実施形態もある。この構成によれば、先に述べた、原稿搬送路13の、ガイド部材40の下流側であって下流側搬送ローラ対24の上流側に、回転可能な原稿押えローラ50を配設したことによる作用効果と実質的に同じ作用効果を達成することができる。
【0055】
図9、図10及び図2を参照して、本発明に係る原稿搬送装置の更に他の実施形態において、原稿搬送路13の、ガイド部材40の上流側であって上流側搬送ローラ対22の下流側には、原稿押え部材90が、原稿押え部材付勢手段である圧縮コイルばね60により付勢されて又は自重により(実施形態においては圧縮コイルばね60により付勢されて)、ガラス板34の上面に圧接される。
【0056】
原稿押え部材90は、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線を有する支持軸58回りに回動可能に支持された原稿押え部材本体92(適宜の合成樹脂で一体成形される支持枠体52に相当)を備えている。原稿搬送路に直交する水平方向に見て、原稿押え部材90の輪郭は、原稿押えローラユニット50Uとほぼ同じに形成され、ガイド面56Aと、ガイド面56Aに連続する底面92Aとを備えている。原稿押え部材本体92の、支持軸58よりも下流側下方に形成された底面92Aは、ガラス板34の上面に向かって膨らむ曲面(実施形態においては円弧面)からなる。原稿押え部材本体92の底面92Aの最下端がガラス板34の上面に圧接される。
【0057】
図9、図10及び図2を参照して説明した、本発明に係る原稿搬送装置の更に他の実施形態は、図1〜図6及び図11を参照して説明した先の実施形態における原稿押えローラ50に代えて、原稿押え部材90の一部を直接ガラス板34の上面に圧接させるよう構成したもので、実質的に同じ作用効果を達成することができる。底面92Aを、ガラス板34の上面に向かって膨らむ曲面から形成した場合、原稿の搬送負荷が軽減される。底面92Aの摩擦係数は可能な限り低いことが好ましい。必要に応じて、摩擦係数の低いシート部材を貼着する、摩擦係数の低い材料をコーティングする、などの手段を施すことにより、原稿の搬送負荷を更に軽減させることができる。
【0058】
原稿押え部材本体92の支持軸58を、原稿搬送装置本体10Bの図示しないフレームに形成した上下方向に長い長穴10C(図9)に回動可能及び上下動可能に嵌合・支持した場合には、底面92Aを、ガラス板34の上面に均一に密着させることを容易に可能にする。
【0059】
図7〜図10を参照して説明した本発明の他の実施形態において、副ガイド部材本体70及び80と原稿押え部材本体92は、それぞれ支持軸58により原稿搬送装置本体10Bに回動可能に支持されているが、適宜のガイド手段により原稿搬送装置本体10Bに上下動可能に支持する他の実施形態もある。
【0060】
上記原稿押え部材90が、原稿搬送路13の、ガイド部材40の下流側であって下流側搬送ローラ対24の上流側に配設される他の実施形態もある。この構成によれば、先に述べた、原稿搬送路13の、ガイド部材40の下流側であって下流側搬送ローラ対24の上流側に、回転可能な原稿押えローラ50を配設したことによる作用効果と実質的に同じ作用効果を達成することができる。
【0061】
本発明による原稿搬送装置10において、原稿押えローラ50を含む実施形態、副ガイド部材70を含む実施形態、副ガイド部材80を含む実施形態、原稿押え部材90を含む実施形態は、それぞれ、ガイド部材40の上流側及び下流側において、適宜に組み合せて実施することも可能である。また、図1〜図6及び図11を参照して説明した先の実施形態における種々の変形例は、図7〜図10を参照した実施形態においても適用可能なものは適用すればよい。
【0062】
本発明による原稿搬送装置10は、複写機100を含む画像形成装置に適用されるが、画像読取装置(スキャナ)にも適用可能である。その意味において、本明細書において、画像形成装置とは、広義には画像読取装置をも含むものである。
【符号の説明】
【0063】
10 原稿搬送装置、10B 原稿搬送装置本体、13 原稿搬送路、34 ガラス板、40 ガイド部材(主ガイド部材)、44 圧縮コイルばね(ガイド部材付勢手段)、22 上流側搬送ローラ対、24 下流側搬送ローラ対、50 原稿押えローラ、50U 原稿押えローラユニット、52 支持枠体、58 支持軸、60 圧縮コイルばね(原稿押えローラ付勢手段)、70 副ガイド部材、72 副ガイド部材本体、74 ローラ、80 副ガイド部材、82 副ガイド部材本体、90 原稿押え部材、92 原稿押え部材本体、100 複写機、102 複写機本体、P 画像読取位置、S1 隙間、S2 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体上面の一部領域を含む原稿搬送路と、該本体上面の該一部領域に設けられた画像読取位置に、主ガイド部材付勢手段により隙間が形成されるよう付勢されて、搬送される原稿を該隙間を通してガイドする主ガイド部材とを備え、原稿搬送路の、主ガイド部材よりも上流側には上流側搬送ローラ対が、また下流側には下流側搬送ローラ対がそれぞれ配設されている原稿搬送装置において、
原稿搬送路の、主ガイド部材の上流側であって上流側搬送ローラ対の下流側には、該本体上面の該一部領域に副ガイド部材付勢手段により付勢されて又は自重により隙間が形成されるよう押圧されて、搬送される原稿を該隙間を通して主ガイド部材に係る該隙間に向けてガイドする副ガイド部材が配設され、副ガイド部材に係る該隙間は、主ガイド部材に係る該隙間よりも大きく設定され、
副ガイド部材は、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線を有する支持軸回りに回動可能に支持された副ガイド部材本体と、副ガイド部材本体の、支持軸よりも下流側下方に回転自在に支持されたローラとを備え、ローラと該本体上面の該一部領域との間に副ガイド部材に係る該隙間が形成される、
ことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
画像形成装置本体上面の一部領域を含む原稿搬送路と、該本体上面の該一部領域に設けられた画像読取位置に、主ガイド部材付勢手段により隙間が形成されるよう付勢されて、搬送される原稿を該隙間を通してガイドする主ガイド部材とを備え、原稿搬送路の、主ガイド部材よりも上流側には上流側搬送ローラ対が、また下流側には下流側搬送ローラ対がそれぞれ配設されている原稿搬送装置において、
原稿搬送路の、主ガイド部材の下流側であって下流側搬送ローラ対の上流側には、該本体上面の該一部領域に副ガイド部材付勢手段により付勢されて又は自重により隙間が形成されるよう押圧されて、搬送される原稿を該隙間を通して下流側搬送ローラ対に向けてガイドする副ガイド部材が配設され、副ガイド部材に係る該隙間は、主ガイド部材に係る該隙間よりも大きく設定され、
副ガイド部材は、原稿搬送方向に直交する水平方向に延在する軸線を有する支持軸回りに回動可能に支持された副ガイド部材本体と、副ガイド部材本体の、支持軸よりも上流側下方に回転自在に支持されたローラとを備え、ローラと該本体上面の該一部領域との間に副ガイド部材に係る該隙間が形成される、
ことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項3】
副ガイド部材本体の該本体上面の該一部領域に対する付勢力は、主ガイド部材の該本体上面の該一部領域に対する付勢力よりも弱く設定される、請求項1又は請求項2記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
該ローラの直径は、上流側搬送ローラ対を構成するローラのいずれの直径よりも小さく形成されている、請求項1記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
該ローラの直径は、下流側搬送ローラ対を構成するローラのいずれの直径よりも小さく形成されている、請求項2記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
副ガイド部材本体には、該副ガイド部材付勢手段により付勢されて又は自重により、該下流側が該本体上面の該一部領域に向かって支持軸回りに回動するモーメントが付与される、請求項1記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
副ガイド部材本体には、該副ガイド部材付勢手段により付勢されて又は自重により、該上流側が該本体上面の該一部領域に向かって支持軸回りに回動するモーメントが付与される、請求項2記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
該ローラは、副ガイド部材本体に配設されかつ該軸線に平行な軸線を有する静止軸に複数個、回転自在に支持されたローラ部材からなる、又は副ガイド部材本体に回転自在に支持されかつ該軸線に平行な軸線を有する回転軸に複数個、一体回転しうるよう配設されたローラ部材からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項9】
副ガイド部材本体には、上流から下流に向かって下方に延びるガイド面が形成され、原稿搬送装置本体には、副ガイド部材本体のガイド面の下から間隔をおいて対向する下ガイド面が設けられ、副ガイド部材本体のガイド面は、原稿搬送装置本体の下ガイド面と協働して、上流側搬送ローラ対により搬送される原稿を該ローラと該本体上面の該一部領域との間の該隙間に向けてガイドする、請求項1、4又は6のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項10】
画像形成装置本体の上面に原稿搬送装置を備えた画像形成装置において、
該原稿搬送装置は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の原稿搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−31183(P2013−31183A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183143(P2012−183143)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【分割の表示】特願2008−220122(P2008−220122)の分割
【原出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】