説明

原稿読み取り装置

【課題】 読み取り面上を搬送される原稿から、安定して良好な画質の読み取りがなされる原稿読み取り装置。
【解決手段】 前後に搬送ローラ14,16と、下面に原稿を読み取る読み取り面15とを有し、上下に原稿を案内する円弧状の搬送案内板31,32をもった原稿搬送路の、読み取り面15を通過する原稿画像を読み取る原稿読み取り装置で、原稿搬送路の読み取り面15より下流側には、上側の搬送案内板31に原稿の挙動を制限する板状の弾性体33を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機等に用いられる原稿読み取り装置に関し、特に移動中の原稿の読み取りを行う原稿読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿読み取り装置には、原稿台上に原稿を載置し、載置した原稿に対して光学系を走査して原稿の読み取りを行う方法と、原稿読み取り面を通過する原稿に対して静止状態にある光学系によって読み取りを行う方法とがある。
【0003】
多数枚の原稿の読み取りを行うのには、効率が良好なことから、読み取り面を通過する原稿の読み取りを行う方法が多く用いられている。具体的には、原稿載置台上に載置した原稿を1枚宛分離搬送し、原稿は搬送路中に搬送路の下面に設けた透明ガラス板やスリット等の原稿読み取り面上を通過し、原稿排紙台上に排出するADFと、その下側にあって原稿読み取り面を通過する原稿の画像読み取りを行う画像読み取り部とから構成されている。
【0004】
原稿読み取り面前後の搬送経路は円弧状をなしていて、原稿は上下の搬送案内板にガイドされた状態で前後の搬送ローラによって搬送される。
【0005】
原稿読み取り装置で良好な画質の画像が読み取られるには、原稿読み取り面に対して、原稿の搬送軌道が安定して一定であることが必要である。しかし、例えば原稿後端が上流側のローラから外れた時点では、搬送軌道がそれ以前とは変化して読み取られた画像の画質が低下する。
【0006】
図4はこの状況を示す説明図で、14は上流側の搬送ローラ、16は下流側の搬送ローラで、15は原稿読み取り面で、原稿は上側の搬送案内板31と、下側の搬送案内板32とによってガイドされた状態で搬送され、点線は原稿の搬送軌道を示している。
【0007】
図4(a)は原稿が上流側と下流側の搬送ローラ14,16によって支持搬送されている状態を示し、図4(b)は原稿の後端が上流側の搬送ローラ14から外れた状態を示している。下流側の搬送ローラ16の回転速度が上流側の搬送ローラ14の回転速度より速くなった場合や、図示したように原稿が上流側の搬送ローラ14から抜けたときなどには、原稿は下側の搬送ローラ16に引っ張られる状態となり、原稿の挙動が搬送経路内で不安定となり、読み取り中の画質の悪化を招いている。
【0008】
特許文献1では、原稿読み取り部において原稿の搬送軌道が変動するのを防止する手段として、原稿読み取り面として透過性をもったガイド部を設け、このガイド部に原稿を挟むようにして回転する弾力をもったシート押さえローラを設けて原稿を搬送し、原稿読み取り面での原稿の搬送軌道を安定させることが提案される。
【特許文献1】特開2000−327168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1による提案は、原稿読み取り面での原稿の搬送軌道を安定させる。しかし、原稿は原稿読み取り面を通過時にガイド部に接触しながら移動するので、ガイド部の接触面は摩耗して透過性を失い、原稿についても記録面が損傷することとなる。
【0010】
本発明は、原稿読み取り近傍において徒らに原稿の搬送移動を拘束することなく、原稿全面にわたって読み取られる画質が安定して良好な原稿読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決し、かつ目的を達成するために、本発明は以下のように構成されている。
(請求項1)
前後に搬送ローラと、下面に原稿を読み取る読み取り面とを有し、上下に原稿を案内する円弧状の搬送案内板をもった原稿搬送路の、前記読み取り面を通過する原稿画像を読み取る原稿読み取り装置において、
前記原稿搬送路の前記読み取り面より下流側には、上側の前記搬送案内板に原稿を規制する弾性体を設けたことを特徴とする原稿読み取り装置。
(請求項2)
前記弾性体は、先端が下流側を向いて、下側の前記搬送案内板に当接する板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の原稿読み取り装置。
(請求項3)
前記弾性体は、先端が下流側を向いて、該弾性体を先端位置が原稿搬送軌道上となるように配設した板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の原稿読み取り装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によるときは、原稿読み取り面と下流側の搬送ローラとの間の搬送経路に弾性体を設けることによって、原稿に負荷を与えることなく原稿の軌道を一定に保つことが可能となり、原稿の挙動が安定して、原稿全面にわたって読み取られる画質を一様に向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によるときは、原稿読み取り面前後の搬送経路が円弧状をなしているので、上流側の搬送ローラから搬出される原稿先端は下側の搬送案内板に沿って進入することとなるが、本発明の板状をした弾性体は原稿先端の進入をガイドすると共に形成された原稿の軌道を一定に保つよう作用するので、原稿全面にわたって読み取られる画質を一様に向上させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によるときは、板状をした弾性体の先端位置を原稿搬送軌道上としているので、原稿の軌道を一定に保つよう作用して、原稿全面にわたって読み取られる画質を一様に向上させることができる。また、弾性体とすることで、多種多様な紙種の原稿においても画質の向上が可能で、かつ、原稿搬送中の紙つまりも防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に示すのは、本発明が適用される原稿読み取り装置の概略断面図である。図示した原稿読み取り装置は、画像形成装置の上部に取付けられる自動原稿搬送部と画像読み取り部より成る原稿読み取り装置であるが、本発明はかかる構成に限定されるものではない。
【0016】
自動原稿搬送部1は、原稿を1枚ずつ送り出し、原稿を読み取る原稿読み取り面へと搬送し、画像読み取りが終わった原稿を所定の場所に排紙処理することが行われる。即ち、原稿載置台11上に載置された不図示の複数枚の原稿は、原稿分離手段12によって1枚ずつ分離され、原稿搬送手段13によって画像読み取り位置に搬送される。
【0017】
原稿読み取りを行う原稿読み取り位置は、原稿搬送手段13の下方に設けられている。U字形状をした原稿搬送路の下面に原稿読み取り面15が設けられていて、原稿読み取り面15を挟んで前後には搬送ローラ14,16が設けられている。原稿読み取り面15を通過して画像が読み取られた原稿は、原稿排紙手段17によって原稿排紙台18上に排出される。
【0018】
画像読み取り部2は、原稿画像を読み取って画像データを得るための装置で、ランプ21で原稿読み取り面15を照射し、原稿読み取り面15上を移動する原稿の反射光を第1ミラーユニット22と、第2ミラーユニット23で反射させ、反射光を結像レンズ24で撮像素子であるライン状のCCD25に結像させて読み取られた原稿の光像を光電変換して出力している。
【0019】
かかる構成となっているので、原稿読み取り面15を移動する原稿の軌道が不安定であると、CCD25で読み取られる画質が低下する。
【0020】
本発明は、搬送ローラ14,16の間にあって、下面に原稿読み取り面15を有し、上下に原稿を案内する搬送案内板31,32をもった原稿搬送路の原稿読み取り面より下流側に上側の搬送案内板31に原稿の挙動を制御する弾性体33を設けて、原稿の軌道が不安定なることを防止している。
【0021】
(実施例1)
本実施例では、上側の搬送案内板31に取り付ける弾性体33として、樹脂材等を材料とする板状の弾性体を用い、弾性体33の先端は下流側を向いて取り付けられていて、その先端部は下側の搬送案内板32に弱い押圧力をもって当接する状態としている。図2(b)はこの状態を示す断面図である。
【0022】
かかる形状の弾性体33を設けた搬送経路では、上流側の搬送ローラ14から搬出される原稿先端は、搬送経路が円弧状をなしているので、下側の搬送案内板32に沿って進入し、原稿読み取り面15上面に沿って進行する。
【0023】
弾性体33は図示されたような姿勢で下側の搬送案内板32に軽く当接しているので、進行する原稿はガイドされてその間をくぐるようにして進入し、下流側の搬送ローラ16に支持搬送されて、原稿の軌道が形成される。
【0024】
本実施例においては、原稿後端が搬送ローラ14と係合関係にあるか否かに関係なく、弾性体33が形成された軌道を維持するよう作用するので、原稿読み取り面15で読み取られる原稿の画質は一様に良好となる。図2(a)は本実施例の原稿の搬送軌道(点線をもって示す)説明図で、上段は原稿が搬送ローラ14,16によって搬送されている間の状態を示し、下段は原稿が搬送ローラ14から外れて搬送ローラ16のみによって搬送される状態を示している。
【0025】
(実施例2)
本実施例では、上側の搬送案内板31に取り付ける弾性体33として、樹脂材等を材料とする板状の弾性体を用い、弾性体33の先端は下流側を向いて取り付けられていて、弾性体33の先端位置が原稿の搬送軌道上となるように配設されている。図3(b)はこの状態を示す断面図である。
【0026】
かかる形状の弾性体33を設けた搬送経路では、上流側の搬送ローラ14から搬出される原稿先端は、搬送経路が円弧状をなしているので、下側の搬送案内板32に沿って進入し、原稿読み取り面15上面に沿って進行する。但し図3(b)に示すように、下側搬送案内板32が32a,32bと段差を有しているときは、原稿は下流側の下側搬送案内板32から離間し、下流側の搬送ローラ16に支持搬送されて、原稿の搬送軌道が形成される。
【0027】
本実施例においては、弾性体33の先端位置が原稿の搬送軌道上となるよう設置されているので、原稿の搬送軌道の形成には殆ど邪魔することはない。一方、原稿の後端が搬送ローラ14との係合が外れると、原稿は搬送ローラ16によって引っ張られ、原稿は浮き上がろうとする傾向にあるが、弾性体33の先端部は浮き上がろうとする原稿背面に適度の弾力をもって当接し、形成された軌道を維持するよう作用する。この際、弾性体33は弾力をもって当接するので、多種多様の原稿に対しても形成された軌道を維持するよう作用し、原稿読み取り面15で読み取られる原稿の画質は一様に良好となる。図3(a)は本実施例の原稿の搬送軌道(点線をもって示す)説明図で、上段は原稿が14,16によって搬送されている間の状態を示し、下段は原稿が搬送ローラ14から外れて搬送ローラ16のみによって搬送される状態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】原稿読み取り装置の概略断面図。
【図2】実施例1の原稿の搬送軌道を示す説明図、及び弾性体近傍の断面図。
【図3】実施例2の原稿の搬送軌道を示す説明図、及び弾性体近傍の断面図。
【図4】従来の原稿の搬送軌道を示す説明図。
【符号の説明】
【0029】
1 自動原稿搬送部
2 画像読み取り部
14 搬送ローラ(上流側)
15 原稿読み取り面
16 搬送ローラ(下流側)
31 搬送案内板(上側)
32 搬送案内板(下側)
33 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に搬送ローラと、下面に原稿を読み取る読み取り面とを有し、上下に原稿を案内する円弧状の搬送案内板をもった原稿搬送路の、前記読み取り面を通過する原稿画像を読み取る原稿読み取り装置において、
前記原稿搬送路の前記読み取り面より下流側には、上側の前記搬送案内板に原稿を規制する弾性体を設けたことを特徴とする原稿読み取り装置。
【請求項2】
前記弾性体は、先端が下流側を向いて、下側の前記搬送案内板に当接する板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の原稿読み取り装置。
【請求項3】
前記弾性体は、先端が下流側を向いて、該弾性体を先端位置が原稿搬送軌道上となるように配設した板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の原稿読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−213474(P2006−213474A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28645(P2005−28645)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】