説明

反射型光電センサおよび物体検出方法

【課題】誤判定の可能性を低減し、物体を安定的に検出する。
【解決手段】反射型光電センサは、光を放射する投光器1と、投光器1から放射された光の戻り光を受光する受光器2と、戻り光に基づいて投光器1の光放射方向に物体が存在するか否かを判定する判定部3と、投光器1から放射される光の光路上の位置で、かつ物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置に配置されたモスアイ構造の反射防止板5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体からの反射光によって物体の有無を検出する反射型光電センサおよび物体検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の反射型光電センサは、物体での反射によって生じる戻り光量の変化により、物体の有無を検出する。このため、物体と背景の反射率を比較したときに背景の反射率が大きく、物体の反射率が小さい場合、背景を物体として検出してしまう場合があった。
背景の影響を受けにくい反射型光電センサとしては、ポラライズド型光電センサ(例えば特許文献1参照)や距離設定反射型(Background Suppression、以下、BGSと略する)光電センサが知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
ポラライズド型光電センサでは、投受光器とリフレックスリフレクタとを対向配置し、さらに所定の偏光面を有する偏光を出射する偏光フィルタを投光器の前面に配置すると共に、投光器側と直交する偏光面を有する偏光を受光する偏光フィルタを受光器の前面に配置する。リフレックスリフレクタはコーナーキューブの集合体であり、入射光は3回の全反射の後、入射光と同じ方向に返される。
【0004】
投光器から照射された光は投光器側の偏光フィルタを通過することにより、直線偏光となる。この直線偏光がリフレックスリフレクタに入射すると、その反射光は楕円偏光となり、入射光と直交した偏光成分が生じる。したがって、この偏光成分は、受光器側の偏光フィルタを通過して受光器に入射する。一方、投受光器とリフレックスリフレクタとの間に物体が侵入すると、入射光と同一方向の直線偏光が反射される。この直線偏光は、受光器側の偏光フィルタを通過することができないので、受光器には入射しない。このように、ポラライズド型光電センサでは、受光器での入射の有無に基づいて物体の有無を検出することができる。
【0005】
BGS光電センサは、物体との距離を光学的に測定し、物体との距離が所定の基準距離より遠いか近いかを検知するものである。
【0006】
一方、レーザによる光の干渉を利用した距離計として、レーザの出力光と測定対象からの戻り光との半導体レーザ内部での干渉(自己結合効果)を利用したレーザ計測器が提案されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)。FP型(ファブリペロー型)半導体レーザの複合共振器モデルを図8に示す。図8において、101は半導体レーザ、102は半導体結晶の壁開面、103はフォトダイオード、104は測定対象である。
【0007】
レーザの発振波長をλ、測定対象104に近い方の壁開面102から測定対象104までの距離をLとすると、以下の共振条件を満足するとき、測定対象104からの戻り光と共振器101内のレーザ光は強め合い、レーザ出力がわずかに増加する。
L=qλ/2 ・・・(1)
式(1)において、qは整数である。この現象は、測定対象104からの散乱光が極めて微弱であっても、半導体レーザの共振器101内の見かけの反射率が増加することにより、増幅作用が生じ、十分観測できる。
【0008】
半導体レーザは、注入電流の大きさに応じて周波数の異なるレーザ光を放射するので、発振周波数を変調する際に、外部変調器を必要とせず、注入電流によって直接変調が可能である。図9は、半導体レーザの発振波長をある一定の割合で変化させたときの発振波長とフォトダイオード103の出力波形との関係を示す図である。式(1)に示したL=qλ/2を満足したときに、戻り光と共振器101内のレーザ光の位相差が0°(同位相)になって、戻り光と共振器101内のレーザ光とが最も強め合い、L=qλ/2+λ/4のときに、位相差が180°(逆位相)になって、戻り光と共振器101内のレーザ光とが最も弱め合う。そのため、半導体レーザの発振波長を変化させていくと、レーザ出力が強くなるところと弱くなるところとが交互に繰り返し現れ、このときのレーザ出力を共振器101に設けられたフォトダイオード103で検出すると、図9に示すように一定周期の階段状の波形が得られる。このような波形は一般的には干渉縞と呼ばれる。
【0009】
この階段状の波形、すなわち干渉縞の1つ1つをモードポップパルス(以下、MHP)と呼ぶ。MHPはモードホッピング現象とは異なる現象である。例えば、測定対象104までの距離がL1のとき、MHPの数が10個であったとすれば、半分の距離L2では、MHPの数は5個になる。すなわち、ある一定時間において半導体レーザの発振波長を変化させた場合、測定距離に比例してMHPの数は変わる。したがって、MHPをフォトダイオード103で検出し、MHPの周波数を測定すれば、容易に距離計測が可能となる。
【0010】
以上のような自己結合型のレーザ計測器を利用すれば、BGS光電センサを実現することができる。BGS光電センサは、所定の基準距離と比較して物体が近距離にあるか遠距離にあるかでオン/オフ判定すればよい。そこで、自己結合型のレーザ計測器をBGS光電センサとして用いる場合には、物体が基準距離の位置にあるときのMHPの既知の基準周期に対して、測定したMHPの平均周期が長いか短いかを判断すればよい。物体が基準距離の位置にあるときのMHPの既知の基準周期に対して、測定したMHPの平均周期が長い場合には、物体が基準距離よりも近距離に存在するとしてオン判定とし、また測定したMHPの周期が短い場合には、物体が基準距離よりも遠距離に存在するとしてオフ判定とする。
【0011】
【特許文献1】特開平6−111693号公報
【特許文献2】実開昭63−102135号公報
【特許文献3】実開昭63−187237号公報
【非特許文献1】上田正,山田諄,紫藤進,「半導体レーザの自己結合効果を利用した距離計」,1994年度電気関係学会東海支部連合大会講演論文集,1994年
【非特許文献2】山田諄,紫藤進,津田紀生,上田正,「半導体レーザの自己結合効果を利用した小型距離計に関する研究」,愛知工業大学研究報告,第31号B,p.35−42,1996年
【非特許文献3】Guido Giuliani,Michele Norgia,Silvano Donati and Thierry Bosch,「Laser diode self-mixing technique for sensing applications」,JOURNAL OF OPTICS A:PURE AND APPLIED OPTICS,p.283−294,2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のように、戻り光量に基づいて物体の有無を検出する反射型光電センサでは、背景の影響を受けやすいという問題点があった。
また、ポラライズド型光電センサは、背景(リフレックスリフレクタ)を積極的に検知するセンサであるため、背景の影響をうけることはないが、偏光を乱すような特性の物体の場合、この物体を検出できない可能性があった。
また、BGS光電センサは、基準距離よりも遠距離に存在する背景の影響を受けにくいが、背景に鏡面体や鏡面体に近い物体がある場合、鏡面体からの反射光によって動作が不安定になる可能性があった。
【0013】
また、自己結合型のレーザ計測器を利用したBGS光電センサでは、センサと背景との距離が近い場合、背景からの戻り光量が大きくなるが、戻り光量が大き過ぎると、レーザ内で生じるノイズが急激に増大して、レーザ動作が不安定になるコヒーレントコラップス現象が発生する。コヒーレントコラップス現象のノイズにより、MHPの計測に誤りが生じて、距離の計測に誤りが生じ、結果として誤判定が生じる可能性があった。
また、自己結合型のレーザ計測器を利用したBGS光電センサでは、背景が自己結合効果によるMHPを生じないような遠方にある場合、あるいはMHPの検出に十分な信号強度が得られない場合でも、背景からの微小な戻り光で光カオスなどのノイズが発生する可能性があり、このノイズによって誤判定が生じる可能性があった。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、誤判定の可能性を低減し、物体を安定的に検出することができる反射型光電センサおよび物体検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の反射型光電センサは、光を放射する投光手段と、この投光手段から放射された光の戻り光を受光する受光手段と、前記戻り光に基づいて前記投光手段の光放射方向に物体が存在するか否かを判定する判定手段と、前記投光手段から放射される光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置に配置されたモスアイ構造の反射防止板とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の反射型光電センサの1構成例において、前記判定手段は、戻り光量に基づいて前記光放射方向に物体が存在するか否かを判定することを特徴とするものである。
また、本発明の反射型光電センサの1構成例において、前記判定手段は、前記戻り光に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記光放射方向に物体が存在すると判定することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の反射型光電センサは、レーザ光を放射する半導体レーザと、この半導体レーザを駆動するレーザドライバと、前記半導体レーザから放射されたレーザ光とこのレーザ光の戻り光とを電気信号に変換する受光手段と、この受光手段の出力信号に含まれる、前記レーザ光と前記戻り光とによって生じる干渉波形の情報に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する距離判定処理手段と、前記半導体レーザから放射されるレーザ光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置に配置されたモスアイ構造の反射防止板とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の反射型光電センサは、レーザ光を放射する半導体レーザと、この半導体レーザを駆動するレーザドライバと、前記半導体レーザから放射されたレーザ光とこのレーザ光の戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の情報に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する距離判定処理手段と、前記半導体レーザから放射されるレーザ光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置に配置されたモスアイ構造の反射防止板とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の反射型光電センサの1構成例において、前記反射防止板は、前記半導体レーザ自体の共振器モードと外部共振器モードとのモード競合が生じる戻り光量の臨界点をΓc、コヒーレントコラップスによる戻り光量の臨界点をfextcとしたとき、前記物体が存在しないときの前記反射防止板からの戻り光量が臨界点Γc以上臨界点fextc以下となるように設置されることを特徴とするものである。
また、本発明の反射型光電センサの1構成例において、前記レーザドライバは、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、前記距離判定処理手段は、前記干渉波形の数を前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、この計数手段の計数結果に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する判定手段とからなることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の物体検出方法は、光を放射する投光手順と、この投光手順で放射された光の戻り光を受光する受光手順と、前記戻り光に基づいて前記投光手順の光放射方向に物体が存在するか否かを判定する判定手順とを備え、前記投光手順で放射される光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置にモスアイ構造の反射防止板が配置されることを特徴とするものである。
また、本発明の物体検出方法の1構成例において、前記判定手順は、戻り光量に基づいて前記光放射方向に物体が存在するか否かを判定することを特徴とするものである。
また、本発明の物体検出方法の1構成例において、前記判定手順は、前記戻り光に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記光放射方向に物体が存在すると判定することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の物体検出方法は、駆動電流を半導体レーザに供給して前記半導体レーザを動作させる発振手順と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光とこのレーザ光の戻り光とを電気信号に変換する受光手順と、この受光手順で得られた出力信号に含まれる、前記レーザ光と前記戻り光とによって生じる干渉波形の情報に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する距離判定処理手順とを備え、前記半導体レーザから放射されるレーザ光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置にモスアイ構造の反射防止板が配置されることを特徴とするものである。
また、本発明の物体検出方法は、駆動電流を半導体レーザに供給して前記半導体レーザを動作させる発振手順と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光とこのレーザ光の戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の情報に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する距離判定処理手順とを備え、前記半導体レーザから放射されるレーザ光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置にモスアイ構造の反射防止板が配置されることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の物体検出方法の1構成例において、前記反射防止板は、前記半導体レーザ自体の共振器モードと外部共振器モードとのモード競合が生じる戻り光量の臨界点をΓc、コヒーレントコラップスによる戻り光量の臨界点をfextcとしたとき、前記物体が存在しないときの前記反射防止板からの戻り光量が臨界点Γc以上臨界点fextc以下となるように設置されることを特徴とするものである。
また、本発明の物体検出方法の1構成例において、前記発振手順は、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、前記距離判定処理手順は、前記干渉波形の数を前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、この計数手順の計数結果に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する判定手順とからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モスアイ構造の反射防止板を設けることにより、誤判定の可能性を低減し、物体を安定的に検出することができる。また、モスアイ構造の反射防止板によれば、反射防止機能の低下を抑制することができるので、外気に晒された環境であっても、反射防止板への付着物による誤検出を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る反射型光電センサの構成を示すブロック図である。
本実施の形態の反射型光電センサは、光を放射する投光器1と、戻り光を受光する受光器2と、戻り光量に基づいて投光器1の光放射方向に物体が存在するか否かを判定する判定部3と、判定部3の判定結果を表示する表示部4と、投光器1から放射される光の光路上の位置で、かつ物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置に配置されたモスアイ(moth-eye)構造の反射防止板5とを有する。
【0023】
投光器1は、LEDなどの投光素子6と、投光素子6を駆動する投光回路7とから構成される。
受光器2は、フォトダイオードなどの受光素子8と、受光素子8の出力電流を電圧に変換して増幅する受光回路9とから構成される。
【0024】
投光器1は、物体検知用の光を放射する。投光器1と反射防止板5との間に物体が存在しない場合、投光器1から出射した光は、反射防止板5に入射する。
図2は反射防止板5の1構成例を示す断面図である。反射防止板5は、図2に示すように投光器側の表面に、可視光の波長以下の大きさの突起50を多数配置したモスアイ構造を有する。突起50は、例えば100nm間隔で規則的に配置されている。このようなモスアイ構造は、例えば樹脂によって形成することができる。
【0025】
モスアイ構造は、厚み方向の屈折率が連続的に変化するため、入射光を反射させることがほとんどなく、光の反射率は例えば0.1%以下である。この反射率は、従来の反射防止フィルムと比べても非常に小さい。したがって、投光器1からの光が反射防止板5に入射したとしても、反射防止板5からの戻り光量は非常に少ない。このようなモスアイ構造については、例えば特表2001−517319号公報に開示されている。
【0026】
一方、図1の破線で示すように、投光器1と反射防止板5との間に物体10が存在すると、物体10からの戻り光が受光器2に入射する。
判定部3は、受光器2の受光回路9から出力された電気信号によって戻り光量を検出する。投光器1と反射防止板5との間に物体10が存在しない場合、前記のとおり、戻り光量は非常に少なく、所定のしきい値以下となる。これに対して、投光器1と反射防止板5との間に物体10が存在すると、戻り光量はしきい値を超える。判定部3は、戻り光量がしきい値を超える場合、投光器1と反射防止板5との間に物体10が存在すると判定する。表示部4は、判定部3の判定結果を表示する。
【0027】
以上のように、本実施の形態では、モスアイ構造の反射防止板5を設けることにより、背景の反射率を非常に小さくすることができるので、背景を物体として検出してしまうことがなくなり、背景の影響を受けにくくすることができる。本実施の形態では、物体と反射防止板5との反射率の差を十分に確保することができるので、物体の反射率が小さい場合であっても、物体を検出することができる。
【0028】
また、反射防止板として従来の反射防止フィルムを用いる場合、表面に汚れが付くと、反射防止機能が低下することがあるが、モスアイ構造の反射防止板5では、撥水効果があり、汚れが表面に付くことを防止できるため、反射防止機能の低下を抑制することができ、外気に晒された環境であっても、反射防止板5への付着物による誤検出を防止することができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、拡散反射型の光電センサに本発明を適用したが、BGS光電センサに本発明を適用することも可能である。BGS光電センサの全体的な構成は、第1の実施の形態と同様であり、詳細な構成は特許文献2、特許文献3に開示されているので、詳細な説明は省略し、図1の符号を用いて簡単に説明する。
【0030】
BGS光電センサでは、投光器1と受光器2とを用いて、物体との距離を光学的に測定する。距離の光学的測定方法には、いくつかの原理が存在するが、例えば三角測距の原理を用いる場合について説明する。この場合は、受光素子8として2分割フォトダイオードまたは位置検出素子を使用する。物体10によって反射した戻り光は、受光素子8上で結像する。この結像位置は、受光素子8と物体10との距離によって異なる。これにより、物体10との距離を求めることができる。
【0031】
判定部3は、以上のような原理により、受光器2の受光回路9の出力信号から、受光素子8と戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合はオン(物体有り)と判定し、基準距離よりも遠い場合はオフ(物体無し)と判定する。
このようなBGS光電センサにおいて、第1の実施の形態で説明した反射防止板5を使用すれば、光電センサの動作を安定させることができる。
【0032】
なお、第1、第2の実施の形態の判定部3は、例えばCPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施の形態で説明した処理を実行する。
【0033】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図3は本発明の第3の実施の形態に係る反射型光電センサの構成を示すブロック図である。本実施の形態は、自己結合型のレーザ計測器を利用したBGS光電センサである。
図3の反射型光電センサは、レーザ光を放射する半導体レーザ11と、半導体レーザ11の光出力を電気信号に変換するフォトダイオード12と、半導体レーザ11からの光を集光して放射すると共に、物体からの戻り光を集光して半導体レーザ11に入射させるレンズ13と、半導体レーザ11を駆動するレーザドライバ14と、フォトダイオード12の出力電流を電圧に変換して増幅する電流−電圧変換増幅部15と、電流−電圧変換増幅部15の出力電圧から搬送波を除去するフィルタ部16と、フィルタ部16の出力電圧に含まれるMHPの数を数える計数部17と、計数部17の計数結果から物体が所定の基準距離よりも近距離にあるか遠距離にあるかを判定する判定部18と、判定部18の判定結果を表示する表示部19と、反射防止板20とを有する。
【0034】
フォトダイオード12と電流−電圧変換増幅部15とは、検出手段を構成し、フィルタ部16と計数部17と判定部18とは、距離判定処理手段を構成している。以下、説明容易にするために、半導体レーザ11には、モードホッピング現象を持たない型(VCSEL型、DFBレーザ型)のものが用いられているものと想定する。
【0035】
レーザドライバ14は、時間に関して一定の変化率で増減を繰り返す三角波駆動電流を注入電流として半導体レーザ11に供給する。これにより、半導体レーザ11は、注入電流の大きさに比例して発振波長が一定の変化率で連続的に増加する第1の発振期間と発振波長が一定の変化率で連続的に減少する第2の発振期間とを交互に繰り返すように駆動される。図4は、半導体レーザ11の発振波長の時間変化を示す図である。図4において、P1は第1の発振期間、P2は第2の発振期間、λaは各期間における発振波長の最小値、λbは各期間における発振波長の最大値、Tは三角波の周期である。本実施の形態では、発振波長の最大値λbおよび発振波長の最小値λaはそれぞれ常に一定になされており、それらの差λb−λaも常に一定になされている。
【0036】
半導体レーザ11から出射したレーザ光は、レンズ13によって集光され放射される。半導体レーザ11と反射防止板20との間に物体10が存在する場合、物体10で反射された光は、レンズ13によって集光され、半導体レーザ11に入射する。ただし、レンズ13による集光は必須ではない。フォトダイオード12は、半導体レーザ11の内部又はその近傍に配置され、半導体レーザ11の光出力を電流に変換する。電流−電圧変換増幅部15は、フォトダイオード12の出力電流を電圧に変換して増幅する。
【0037】
フィルタ部16は、変調波から重畳信号を抽出する機能を有するものである。図5(A)は電流−電圧変換増幅部15の出力電圧波形を模式的に示す図、図5(B)はフィルタ部16の出力電圧波形を模式的に示す図である。これらの図は、フォトダイオード12の出力に相当する図5(A)の波形(変調波)から、図4の半導体レーザ11の発振波形(搬送波)を除去して、図5(B)のMHP波形(干渉波形)を抽出する過程を表している。
【0038】
計数部17は、フィルタ部16の出力電圧に含まれるMHPの数を第1の発振期間P1と第2の発振期間P2の各々について数える。計数部17は、論理ゲートからなるカウンタを利用するものでもよいし、FFT(Fast Fourier Transform)を利用してMHPの周波数(すなわち単位時間あたりのMHPの数)を計測するものでもよい。
【0039】
次に、判定部18は、計数部17によって計測されたMHPの数に基づいて半導体レーザ11と戻り光の反射点との距離を求め、戻り光の反射点が所定の基準距離よりも近距離にあるか遠距離にあるかを判定する。一定期間におけるMHPの数は測定距離に比例する。そこで、一定の計数期間(本実施の形態では第1の発振期間P1と第2の発振期間P2の各々)におけるMHPの数と距離との関係を予め求めて判定部18のデータベース(不図示)に登録しておけば、判定部18は、計数部17によって計測されたMHPの数に対応する距離の値をデータベースから取得することにより、戻り光の反射点との距離を求めることができる。
【0040】
あるいは、計数期間におけるMHPの数と距離との関係を示す数式を予め求めて設定しておけば、判定部18は、計数部17によって計測されたMHPの数を数式に代入することにより、戻り光の反射点との距離を算出することができる。
【0041】
判定部18は、半導体レーザ11と戻り光の反射点との距離が所定の基準距離よりも近い場合はオン(物体有り)と判定し、基準距離よりも遠い場合はオフ(物体無し)と判定する。判定部18は、以上のような処理を第1の発振期間P1毎及び第2の発振期間P2毎に行う。
表示部19は、判定部18の判定結果を表示する。
【0042】
ここで、半導体レーザ11と反射防止板20との間に物体10が存在しない場合、半導体レーザ11から出射した光は反射防止板20に入射する。反射防止板20の構成は、第1の実施の形態で説明した反射防止板5と同じである。したがって、半導体レーザ11からの光が反射防止板20に入射したとしても、反射防止板20からの戻り光量は非常に少ない。
【0043】
前記のとおり、自己結合型のレーザ計測器を利用したBGS光電センサでは、戻り光量が大き過ぎると、コヒーレントコラップス現象が発生する。また、背景が自己結合効果によるMHPを生じないような遠方にある場合、あるいはMHPの検出に十分な信号強度が得られない場合でも、背景からの微小な戻り光で光カオスなどのノイズが発生する可能性がある。本実施の形態では、モスアイ構造の反射防止板20を設けることにより、このような問題を解消することができる。
【0044】
次に、本実施の形態において、反射防止板20に求められる条件について説明する。図6に示すように、半導体レーザ11内で生じる相対強度雑音は戻り光量の増大に伴って増大するが大きく2つの臨界点がある。1つは、半導体レーザ11自体の共振器モードと外部共振器モードとのモード競合が生じる臨界点Γcである。他の1つは、コヒーレントコラップスによる臨界点(臨界戻り光量)fextcである。戻り光量の増大に伴って臨界点Γcを過ぎると戻り光干渉現象である自己結合効果が生じ始め、臨界点fextcを過ぎると相対強度雑音は急激に増大する。光カオスなどによるノイズとコヒーレントコラップス現象とによるMHPの計測の誤りを回避し、外部共振器モードにおけるMHPを安定的に計測するためには、半導体レーザ11への戻り光量が臨界点Γc以上臨界点fextc以下であることが望ましい。したがって、物体10が存在しない場合でも、戻り光量が臨界点Γc以上臨界点fextc以下となるように反射防止板20を設置すればよい。
【0045】
文献「山田実,須原理彦,“半導体レーザにおける戻り光誘起雑音の解析”,金沢大学工学部研究報告,OQE89−50,p.85−90,1989年」によると、臨界点Γcは次式のようになる。
Γc≒22R2・[nrl/{L(1−R2)}]2 ・・・(2)
rは活性領域の屈折率、lはレーザ共振器長、Lは半導体レーザの出射側の端面と戻り光の反射点との距離、R2は半導体レーザの出射側の端面での電力反射率である。
【0046】
一方、特開2005−252032号公報によると、臨界点fextcは次式のようになる。
fextc=(τL2/16|Ce2)・(K・fr2+1/τe2
・((1+α2)/α4) ・・・(3)
τLはレーザ共振器の光閉じ込め時間、Ceはレーザ出射端での戻り光との結合効率、KはKファクタ、frは緩和振動周波数、τeは電子寿命、αはスペクトル線幅増大係数である。
【0047】
なお、本実施の形態の計数部17と判定部18とは、例えばCPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
【0048】
また、本実施の形態を自己結合型以外の外部干渉器型レーザセンサに適用する場合には、半導体レーザ11から放射されるレーザ光と戻り光とを例えばビームスプリッタ等により分離して、戻り光をフォトダイオード12で検出すればよい。こうして、自己結合型以外の外部干渉器型レーザセンサにおいても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
[第4の実施の形態]
第3の実施の形態では、受光器であるフォトダイオードの出力信号からMHP波形を抽出していたが、フォトダイオードを使用することなくMHP波形を抽出することも可能である。図7は本発明の第4の実施の形態に係る反射型光電センサの構成を示すブロック図であり、図3と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の反射型光電センサは、第3の実施の形態のフォトダイオード12と電流−電圧変換増幅部15の代わりに、電圧検出部21を用いるものである。
【0050】
電圧検出部21は、半導体レーザ11の端子間電圧、すなわちアノード−カソード間電圧を検出して増幅する。半導体レーザ11から放射されたレーザ光と物体10からの戻り光とによって干渉が生じるとき、半導体レーザ11の端子間電圧には、MHP波形が現れる。したがって、半導体レーザ11の端子間電圧からMHP波形を抽出することが可能である。
【0051】
フィルタ部6は、第3の実施の形態と同様に、変調波から重畳信号を抽出する機能を有するものであり、電圧検出部21の出力電圧からMHP波形を抽出する。
半導体レーザ11、レーザドライバ14、計数部17、判定部18および表示部19の動作は、第3の実施の形態と同じである。
【0052】
こうして、本実施の形態では、フォトダイオードを使用することなくMHP波形を抽出することができ、第3の実施の形態と比較して反射型光電センサの部品を削減することができ、反射型光電センサのコストを低減することができる。
なお、本発明は第1〜第4の実施の形態に限るものではなく、他の反射型光電センサに本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、反射型光電センサに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る反射型光電センサの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における反射防止板の1構成例を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る反射型光電センサの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における半導体レーザの発振波長の時間変化の1例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における電流−電圧変換増幅部の出力電圧波形およびフィルタ部の出力電圧波形を模式的に示す波形図である。
【図6】戻り光量に対する相対強度雑音の変化を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る反射型光電センサの構成を示すブロック図である。
【図8】従来のレーザ計測器における半導体レーザの複合共振器モデルを示す図である。
【図9】半導体レーザの発振波長と内蔵フォトダイオードの出力波形との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1…投光器、2…受光器、3,18…判定部、4,19…表示部、5,20…反射防止板、6…投光素子、7…投光回路、8…受光素子、9…受光回路、10…物体、11…半導体レーザ、12…フォトダイオード、13…レンズ、14…レーザドライバ、15…電流−電圧変換増幅部、16…フィルタ部、17…計数部、21…電圧検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放射する投光手段と、
この投光手段から放射された光の戻り光を受光する受光手段と、
前記戻り光に基づいて前記投光手段の光放射方向に物体が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記投光手段から放射される光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置に配置されたモスアイ構造の反射防止板とを備えることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項2】
請求項1記載の反射型光電センサにおいて、
前記判定手段は、戻り光量に基づいて前記光放射方向に物体が存在するか否かを判定することを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項3】
請求項1記載の反射型光電センサにおいて、
前記判定手段は、前記戻り光に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記光放射方向に物体が存在すると判定することを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項4】
レーザ光を放射する半導体レーザと、
この半導体レーザを駆動するレーザドライバと、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光とこのレーザ光の戻り光とを電気信号に変換する受光手段と、
この受光手段の出力信号に含まれる、前記レーザ光と前記戻り光とによって生じる干渉波形の情報に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する距離判定処理手段と、
前記半導体レーザから放射されるレーザ光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置に配置されたモスアイ構造の反射防止板とを備えることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項5】
レーザ光を放射する半導体レーザと、
この半導体レーザを駆動するレーザドライバと、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光とこのレーザ光の戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、
この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の情報に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する距離判定処理手段と、
前記半導体レーザから放射されるレーザ光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置に配置されたモスアイ構造の反射防止板とを備えることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項6】
請求項5記載の反射型光電センサにおいて、
前記反射防止板は、前記半導体レーザ自体の共振器モードと外部共振器モードとのモード競合が生じる戻り光量の臨界点をΓc、コヒーレントコラップスによる戻り光量の臨界点をfextcとしたとき、前記物体が存在しないときの前記反射防止板からの戻り光量が臨界点Γc以上臨界点fextc以下となるように設置されることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項7】
請求項4または5記載の反射型光電センサにおいて、
前記レーザドライバは、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、
前記距離判定処理手段は、
前記干渉波形の数を前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、
この計数手段の計数結果に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する判定手段とからなることを特徴とする反射型光電センサ。
【請求項8】
光を放射する投光手順と、
この投光手順で放射された光の戻り光を受光する受光手順と、
前記戻り光に基づいて前記投光手順の光放射方向に物体が存在するか否かを判定する判定手順とを備え、
前記投光手順で放射される光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置にモスアイ構造の反射防止板が配置されることを特徴とする物体検出方法。
【請求項9】
請求項8記載の物体検出方法において、
前記判定手順は、戻り光量に基づいて前記光放射方向に物体が存在するか否かを判定することを特徴とする物体検出方法。
【請求項10】
請求項8記載の物体検出方法において、
前記判定手順は、前記戻り光に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記光放射方向に物体が存在すると判定することを特徴とする物体検出方法。
【請求項11】
駆動電流を半導体レーザに供給して前記半導体レーザを動作させる発振手順と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光とこのレーザ光の戻り光とを電気信号に変換する受光手順と、
この受光手順で得られた出力信号に含まれる、前記レーザ光と前記戻り光とによって生じる干渉波形の情報に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する距離判定処理手順とを備え、
前記半導体レーザから放射されるレーザ光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置にモスアイ構造の反射防止板が配置されることを特徴とする物体検出方法。
【請求項12】
駆動電流を半導体レーザに供給して前記半導体レーザを動作させる発振手順と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光とこのレーザ光の戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、
この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の情報に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する距離判定処理手順とを備え、
前記半導体レーザから放射されるレーザ光の光路上の位置で、かつ前記物体が出現すると想定される所よりも遠方の位置にモスアイ構造の反射防止板が配置されることを特徴とする物体検出方法。
【請求項13】
請求項12記載の物体検出方法において、
前記反射防止板は、前記半導体レーザ自体の共振器モードと外部共振器モードとのモード競合が生じる戻り光量の臨界点をΓc、コヒーレントコラップスによる戻り光量の臨界点をfextcとしたとき、前記物体が存在しないときの前記反射防止板からの戻り光量が臨界点Γc以上臨界点fextc以下となるように設置されることを特徴とする物体検出方法。
【請求項14】
請求項11または12記載の物体検出方法において、
前記発振手順は、発振波長が連続的に単調増加する期間を少なくとも含む第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する期間を少なくとも含む第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させるものであり、
前記距離判定処理手順は、
前記干渉波形の数を前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、
この計数手順の計数結果に基づいて戻り光の反射点との距離を求め、この距離が所定の基準距離よりも近い場合に前記レーザ光の放射方向に物体が存在すると判定する判定手順とからなることを特徴とする物体検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−71926(P2010−71926A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242392(P2008−242392)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】