説明

反射防止コーティング組成物

【課題】 本発明は、特に遠紫外用に反射防止組成物(ARC)として使用するのに適する新規の光吸収性架橋型組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の反射防止組成物は、概ね、架橋剤、及び反射された遠紫外露光照射光を効果的に吸収する新規のARC樹脂バインダーからなる組成物である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板から上塗りされたフォトレジスト層(overcoatedphotoresist layer)への露光照射光の後戻りによる反射を減少させる組成物に関する。より詳細には、本発明は、遠紫外の露光照射光を効果的に吸収する樹脂バインダー組成物を含む反射防止被覆組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトレジストは、基板に画像を転写するために使用する感光膜である。フォトレジストの被覆層は基板の上に形成され、次いで、フォトレジスト層はフォトマスクを通して活性化された照射源に露光される。フォトマスクは、活性化された照射に対して不透明な領域と活性化された照射に対して透明な別の領域とを有する。活性化された照射に露光されると、フォトレジスト被膜が光に誘起された化学的変性(photoinduced chemical transformation)を生じ、それによってフォトマスクのパターンがフォトレジストにコーティングされた基板に転写される。露光の後、フォトレジストを現像すると、基板の選択的加工が可能なレリーフ画像が得られる。
【0003】フォトレジストはポジ型でもネガ型でも可能である。大抵のネガ型フォトレジストの場合、活性化された照射に露光されるフォトレジスト被覆層の部分は、フォトレジスト組成物の感光性化合物と、フォトレジスト組成物の重合可能な試薬との間の反応において重合又は架橋を行う。従って、露光された被覆部分は露光されない部分よりも現像溶液に溶解しにくくなる。ポジ型の場合は、露光された部分は現像溶液に、より溶解しやすくなり、一方、対照的に露光されない領域は,現像ではより溶解しにくくなる。フォトレジスト組成物は当業者には公知であり、デフォレスト(Deforest)による「フォトレジスト材料及び方法(Photoresist Materials and Prosesses)」(McGraw Hill Book Company,New York,1975)の第2章、及び、モーリー(Moreay)の「半導体リソグラフィー、原理、及び、材料(Semiconductor Lithography,Principles Practices and Materials,Plenum Press,New York)の第2章及び第4章に記載されていて、この両文献についてはは、フォトレジスト組成物及びその製法及び使用法に関し、本発明においても参照している。
【0004】フォトレジストの主な用途は半導体製造においてであり、1つの目的は、シリコン又はヒ化ガリウムなどのような高度に研磨された半導体の薄片を、回路としての機能を発現させるために、好ましくはミクロン又はサブミクロンの幾何学的な模様の、電子の伝導通路の複雑なマトリックスに変換することである。適切にフォトレジストを加工することがこの目的を達成するための鍵である。種々のフォトレジスト加工工程の間には強い相互依存性があるが、高解像度のフォトレジスト画像を得るにあたっては露光がより重要な工程の1つであると考えられている。しばしば、フォトレジストを露光するために使用する活性化された照射光の反射が、フォトレジスト層においてパターン化された画像の解像度の限度を呈することがある。照射光が基板/フォトレジスト界面から反射すると、露光の間フォトレジストの中の照射強度が変化することがあり、それによって現像時にフォトレジストの線幅が不均一になる。照射光が基板/フォトレジスト界面から露光の目的としないフォトレジスト領域へ散乱することもあり、この場合も線幅がばらつくことになる。一般的に散乱や反射の程度は領域によってまちまちであり、これによっても線幅が不均一になる。
【0005】また、活性化された照射(光)の反射は当業者には“定常波効果”(standing wave effect)として知られている。露光装置のレンズの色収差の影響をなくすために、フォトレジスト投映技術(photoresist projection techniques)では単色光又は準単色光が通常使用される。しかしながら、単色光又は準単色光がフォトレジスト露光に使用されると、フォトレジスト/基板界面における照射光反射によって、有益な干渉と有害な干渉とが特に顕著になる。そのような場合、反射光は入射光と干渉してフォトレジストの内部に定常波を形成する。大きい振幅の定常波が最小波において露光不足のフオトレジストの薄い層を作るので、反射性の大きい基板領域の場合には問題は更に深刻になる。露光不足の層は、フォトレジスト画像に縁部尖鋭化の問題(edge acuity problems)を起し、フォトレジストの完全な現像を阻害する。フォトレジストを露光するのに要する時間は、フォトレジストの量が増加すると露光するのに要する全照射量が増加するので、通常フォトレジストの厚さに対し増加する関数となる。しかしながら、定常波効果のために、露光時間はフォトレジストの厚さにより最大値と最小値の間を変化する調和的な要素をさらに含んでいる。もしフォトレジストの厚さが不均一な場合は、線幅が変動することになるので問題は更に深刻となる。
【0006】さらに、基板の微細構造(substrate topography)の変化は、解像度を低下させる反射の問題(resolution−limiting reflection problems)をも発生させる。基板上のどの画像も、種々の制御されない方向への散乱又は反射による照射光の侵入が生じ、フォトレジストの現像の不均一性が引き起こされることになる。より複雑な回路を設計しようとするために基板の微細構造が更に複雑になるにつれて、反射光の影響は更に重要になる。例えば、多くのマイクロエレクトロニクス基板で使用される金属接続部は、その微細構造及び高反射性の領域であるために特に問題となる。
【0007】半導体デバイスが高密度となっている最近の傾向から、産業界では露光源の波長を、遠紫外(DUV)光(300nm以下の波長)、KrFエキシマーレーザー光(248.4nm)、ArFエキシマーレーザー光(193nm)、電子ビーム及び軟X線へと短くする動きがある。フォトレジスト被膜をイメージングするために短くした波長を使用することから、結果として基底となる基板の表面と同様にレジスト表面上からも反射が一般的に増加した。従って、より短い波長を使用することが基板表面からの反射の問題を大きくしてきた。反射光の問題を少なくするため使用される別の手法では、基板表面とフォトレジスト被覆層との間に挿入する照射光吸収層を使用してきた。例えば、PCT出願公開公報第90/03598号(WO90/03598)、EPO出願公開公報第0639941号(EP,A1,0639,941)及び米国特許第4,910,122号、同第4,370,405号及び同第4,362,809号には、反射防止(ハレーション防止)組成物及びその使用法が開示されている。このような層は、前記文献中では反射防止層又はARC(反射防止組成物)とも表現されている。
【0008】前記のヨーロッパ特許出願公開公報第639941号(A1)のARCは、分子中に少なくとも1個のグリシジル基を持つ化合物、少なくとも1個のグリシジル基を持つ化合物と架橋するように誘導された少なくとも1個のアントラセン誘導体、及び溶媒を含有する。使用にあたっては、反射防止被膜を基板上に塗布した後に硬化させ、それによってアントラセン誘導体はグリシジル置換基を持つ化合物と架橋剤として作用する。この開示されたARCは、特に安定性又はコンシステンシー(consistency)に関して、幾つかの欠点を示すことがある。特に、グリシジル置換基を持つ化合物は比較的反応しやすく、例えば、グリシジル基は互いに、又はアントラセン誘導体と反応する場合がある。このことは、貯蔵期間中に被膜特性を変えるARC塗料溶液の粘度が変化することである。使用にあたっては、記載されているARC類は基板上で塗布された後、アントラセン誘導体とグリシジルを含む化合物のグリシジル基との間で架橋が起こり、硬化される。硬化条件には、150〜230℃の温度、最高30分間加熱することが含まれる。これらの温度において、アントラセン誘導体は塗布組成物の溶媒と共にこの被覆層から蒸発又は昇華することができる。アントラセン誘導体は発色団でもあり架橋剤でもあるから、ARCの中でこの誘導体の濃度が下がると、予測不能な吸収特性や予測不能な溶解性を示すことがある。シップレー社(Shipley Co.)のヨーロッパ特許出願公開公報第542008号(EP,A1,542,008)には樹脂バインダーと架橋剤化合物とから成る極めて有用なハレーション防止(反射防止)組成物が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】先行技術におけるARC組成物が多くの反射防止用途に有効であることが見出されている一方で、該組成物は、例えば反射防止組成物をレジスト組成物と共に使用してサブミクロン又はサブハーフミクロンスケールの図形をパターン化する等の際に、幾つかの性能上の制約があるという問題がある。特に、先行技術における幾つかの反射防止組成物の使用により、当業者には“ノッチング(notching)”として公知の、現像されたレジストレリーフ画像のアンダーカットが起こることがあった。別の問題には“フーチング(footing)”、即ち現像中の不十分な洗浄によりレリーフ画像側壁が上方に行くにつれ細くなってしまう現象を生じる。ノッチングもフーチングも、生地基板上にパターン化された画像の解像度を低化させることがある。従って、新規の反射防止コーティング組成物を得ることが望まれていた。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】本発明は、ARCとして使用するために、特に遠紫外用に使用するために、好適な新規の光吸収性架橋組成物を提供する。本発明のARC類は、通常、架橋剤及び遠紫外露光照射光を効果的に吸収してこの照射光の反射を減少させる樹脂バインダーを有する。本発明のARC類の樹脂バインダーは、上塗りされたレジスト組成物の露光照射光のための発色団である少なくとも1種の成分、即ち露光照射光を吸収することができ、それによって反射を減少させることができる成分を含む。例えば、遠紫外(DUV)フォトレジストと共に使用する好ましい反射防止組成物の場合、好ましい発色団としては、アントラセニル、特に、一般式−(C=O)O(CHアントラセン(式中、nは1から約6までの整数)で示される基のようなアルキレンアントラセンエステルが挙げられる。他の好ましい発色団としては、キノリニル、及び、ヒドロキシキノリニル、フェナントレニル及びアクリジン基のような環置換型キノリニル誘導体が挙げられる。好ましくは樹脂の単位の約5ないし90パーセント、より好ましくは約10ないし80パーセントがこのような発色団から成る。本発明の好ましい樹脂バインダーは、248nmにおいて少なくとも約4ユニット/μの光学密度を持つ。さらに、好ましい樹脂バインダーとしては、例えば、当該樹脂上のヒドロキシ又はカルボキシ成分、又は、酸の存在下などの条件下でそのような反応性の基を生成し得る例えばエステルのような“マスクされた(masked)”成分によって、架橋剤成分と反応することもできるものである。
【0011】発色団成分を含む反射防止組成物樹脂バインダーとしては、好ましくはコポリマーであり、そして、少なくとも1種が発色団基を含む少なくとも2種の異なるモノマーを重合することによって調製される。この調製方法は、予め調製されたポリマーに発色団を付加して機能化するよりも明らかに優れている方法であることが見出された。例えば、本発明のこの調製方法では、少なくとも1つの精製工程を省略し得るだけではなく、予め調製されたポリマーに発色団をグラフト化する追加の反応工程も省略することができる。さらに、この調製方法では生成された樹脂の組成物の正確な調整も可能である。
【0012】また、本発明のこの調製方法では、ポリマー上の発色団の量の良好な制御も可能である。対照的に、予め調製された樹脂上に発色団をグラフト化する場合には、発色団の含有率が異なるポリマーからなる樹脂混合物がしばしば得られる。発色団の差によって露光照射光が本質的に不規則な反射を引き起こす結果となるので、このような発色団の含有量の違いが上塗りされたフォトレジスト層にパターン化された画像の解像度を低下させることになる。本発明の調製方法によって、さらに、極めて種々のタイプのポリマーを調製できる。予め調製されたポリマーの少なくとも数種のタイプに発色団単位をグラフト化することは、特に大量生産においては、極めて困難か又は不可能に近い。例えば、反応を完結して所望の材料から望ましくない生成物を除去しなければならないような反応を取り扱うことは特に困難である。
【0013】さらに、本発明は、レリーフ画像を形成する方法、及び、本発明のARC組成物単独の、或いはフォトレジスト組成物と組み合わせた被覆基板を含有する新規製品を形成する方法も提供する。本発明の他の態様は以下に開示されている。
【0014】
【発明の態様】本発明の反射防止組成物の樹脂バインダー成分は、遠紫外画像作製システムと共に使用するのが好ましく、遠紫外領域(典型的には、約100から300nm)における反射を効果的に吸収する。従って、該樹脂バインダー成分は、遠紫外発色団である単位、即ち遠紫外照射光を吸収する単位を含むことが好ましい。高共役型成分が通常発色団として好適である。芳香族、特に多環式炭化水素又は複素環単位が一般的に好ましい遠紫外発色団であって、例えば、該芳香族は、各環の員数が3ないし8員環であり、各環当たり0ないし3個のN、O又はS原子の付いた2から3ないし4個の縮合型又は分離型環を有する。このような発色団には、置換又は非置換型フェナントリル、置換又は非置換型アントラル、置換又は非置換型アクリジン、置換又は非置換型ナフチル、置換又は非置換型キノリニル、及び、ヒドロキシキノリニルのような環置換型キノリニル類等が挙げられる。置換又は非置換型アントラシル基が特に好ましい。例えば、好ましい樹脂バインダーとしては、ペンダントなアントラシル基を持ち、特に次式(I)で示されるアクリル系樹脂が挙げられる。
【0015】
【化6】


【0016】式中、各R及びRは、各々独立して、水素、又は置換又は非置換の1個から約8個の炭素原子のアルキル基で、好ましくは置換又は非置換のC1−6アルキルであり、各Rは、独立して、置換又は非置換の1個ないし約10個の炭素原子、更に一般的には1個ないし約6個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、ハロゲン(特にF、Cl又はBr)、1個ないし約8個の炭素原子からなるアルキル基、1個ないし約8個の炭素原子からなるアルコキシ基、2個ないし約8個の炭素原子からなるアルケニル基、2個ないし約8個の炭素原子からなるアルキニル基、シアノ基、ニトロ基などの基であり、mは、0(アントラシル環が完全に水素置換されている場合)から9までの整数であって、mは0、1又は2が好ましく、xは、ポリマー中のアルキルアクリレート単位のモル分率又はパーセントであって約10から約80パーセントが好ましく、そして、yは、ポリマー中のアントラセン単位のモル分率又はパーセントであって、約5ないし10から約90パーセントが好ましい。)
【0017】このポリマーは、所望ならば、他のモノマー単位を含んでもよいが、少なくとも約10モルパーセントのアントラセン単位を含むのが好ましい。ヒドロキシアルキル基は特に好ましいR基であり、Rは2−ヒドロキシエチレン(−CHCHOH)のような一級のヒドロキシ基を有するアルキル基であることがより好ましい。該樹脂バインダーは9−(メチレン)アントラセンエステル(アントラセン−9−イルメチルエステル)単位を含むのが好ましい。別の好ましい樹脂バインダーは、ヒドロキシキノリニルのような少なくとも1個のN、O又はS環原子を持つ、置換又は非置換のキノリニル又はキノリニル誘導体からなるものである。このポリマーは、ポリマー骨格から吊り下がる(ペンダントな)カルボキシおよび/またはアルキルエステル単位のような別の単位を含んでよい。特に好ましいARC樹脂バインダーとしては次式(II)で示されるアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0018】
【化7】


【0019】式中、各R及びRは、各々独立して、水素、又は、置換又は非置換の1個から約8個の炭素原子のアルキル基で、好ましくは置換又は非置換のC1−6アルキル基であり、各Rは、独立して、置換又は非置換の1個ないし約10個の炭素原子、更に一般的には1個ないし約6個の炭素原子のアルキル基であり、Wは、結合手、又は、置換又は非置換の1個ないし約4個の炭素原子のアルキレン基であって、好ましくは結合手であり、Zは、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり、各Rは、独立して、ハロゲン(特にF、Cl又はBr)、1個ないし約8個の炭素原子のアルキル基、1個ないし約8個の炭素原子のアルコキシ基、2個ないし約8個の炭素原子のアルケニル基、2個ないし約8個の炭素原子のアルキニル基、シアノ基、ニトロ基などの基で、nは、0(この環が完全に水素置換されている場合)から9までの整数であって、nは0、1又は2が好ましい。x’は、ポリマー中のアルキルアクリレート単位のモル分率又はパーセントであって、10〜約80パーセントが好ましく、そして、y’は、ポリマー中のキノリニル又はヒドロキシキノリニル単位のモル分率又はパーセントであって、約5〜約90パーセントが好ましい。該ポリマーは、所望ならば、他のモノマー単位を含んでもよいが、少なくとも約10モルパーセントのキノリニルおよび/またはヒドロキシキノリニル単位を含むのが好ましい。ヒドロキシアルキルは特に好ましいR基であり、特に、アルキルが、Rは2−ヒドロキシエチルであるような一級のヒドロキシ基を有するのが好ましい。
【0020】前述の置換基(即ち、置換基RからR及びWまで)は、ハロゲン(特に、F、Cl又はBr);シアノ;ヒドロキシ、ニトロ、アシル又はその類縁体のようなアルカノイル基、例えば、C1−6アルカノイル基;1個ないし約8個の炭素原子を持つアルキル基;少なくとも1個の不飽和結合を有する2個ないし約8個の炭素原子を持つアルケニル又はアルキニル基;1個ないし約6個の炭素を持つアルコシキ基等の少なくとも1個の好適な基により少なくとも1個の置換可能な位置で置換されてもよい。
【0021】前述のように、ARC樹脂バインダーは、異なる少なくとも2種のモノマーを重合することによって合成することが好ましく、その場合には少なくとも1種のモノマーが発色団基、例えばアントラセニル、キノリニル又はヒドロキシキノリニル基を含んでいることが好ましい。反応温度は、使用する特定の試薬の反応性、及び反応溶媒(溶媒を使用する場合)の沸点によって変動し得るが、例えば、ラジカル開始剤の存在下で、好ましくは不活性雰囲気(例えば、N又はアルゴン)下、約70℃以上のような加熱された温度で、種々の単位を提供する複数のモノマーを反応させることによるフリーラジカル重合が好適に行われる。反応条件は後述の実施例を参照されたい。本発明の開示に基づき、当業者は経験的にあらゆる特定の系に対しても好適な反応温度を決めることができる。望むならば、反応溶媒を使用してもよい。好適な溶媒としては、プロパノール及びブタノールのようなアルコール、並びにベンゼン、クロロベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族溶媒等が挙げられる。ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びTHF等も好適である。また、重合反応は無溶媒で、好適に進めることができる。種々のフリーラジカル開始剤を使って本発明のコポリマーを調製してもよい。例えば、アゾ−ビス−2,2’−イソブチロニトリル(AIBN)及び1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)のようなアゾ化合物を使用してもよい。過酸化物、過酸エステル、過酸及び過硫酸塩も使用してよい。また、特に好ましいとはいえないが、予め調製した樹脂に発色団単位を用いて機能化することもできる。例えば、グリシジルノボラックのようなグリシジルフェノール樹脂をアントラニルカルボン酸と反応させることができる。
【0022】該ARC樹脂バインダーは、約1,000ないし約10,000,000ダルトン、更に一般的には約5,000ないし約1,000,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、及び約500ないし約1,000,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を持つことが好ましい。本発明のポリマーの分子量(MwでもMnでも)はゲル浸透クロマトグラフィによって測定するのが好ましい。
【0023】本発明の樹脂バインダーは、100から約300nmの領域内のような遠紫外波長で良好な吸光度を示すのが好ましい。より詳細には、本発明の好ましい樹脂バインダーは、約248nmにおいてミクロン当たり少なくとも約3光度単位(吸光度単位/μ)の光学密度、好ましくは248nmにおいてミクロン当たり約5〜20以上の吸光度単位、より好ましくは248nmにおいてミクロン当たり約8〜16以上の吸光度単位を持つ。特定の樹脂の発色団単位のパーセントを増やすことによって該樹脂の吸光度値を高めることができる。
【0024】また、本発明の反射防止組成物は、多環式発色団単位を持つ樹脂と共存する共樹脂(co−resin)として又はARC樹脂バインダー成分の単独樹脂として、多環式発色団単位を有していない樹脂を含有することができる。例えば、ポリ(ビニルフェノール)ようなフェノール樹脂、ノボラック樹脂、及び、本発明のARC類の樹脂バインダー成分の中で使用され得るフォトレジスト樹脂として以下に記されるような他の樹脂等がある。
【0025】本発明の反射防止組成物の樹脂バインダーの濃度は、比較的広い範囲で変化させることができ、樹脂バインダーは、通常、ARCの全乾燥成分の約50から95重量パーセント、更に一般的には全乾燥成分(溶媒キャリヤを除いた全成分)の約60から90重量パーセントまでの濃度で使用される。本発明のARC類は、さらに架橋剤成分をも含む。種々の架橋剤を使用することができ、その中には前記のシップレー社(Shipley Co.)のヨーロッパ特許出願第542008号に開示されているARC架橋剤類も挙げられる。架橋剤としては、メトキシメチル化グリコウリル(glycouril)のような低塩基度の架橋剤が特に好ましい。より好ましい架橋剤としては、次式(III)で示されるメトキシメチル化グリコウリルがある。
【0026】
【化8】


【0027】該メトキシメチル化グリコウリルは公知の手順で調製できる。この化合物は、アメリカンシアナミド社(American Cyanamid Co.)からパウダーリンク(Powderlink)1174の商品名で市販されている。他の適当な低塩基度架橋剤としては、ヒドロキシ化合物、特に、フェニル、又は少なくとも1個のヒドロキシもしくはC1−8ヒドロキシアルキル置換基のようなヒドロキシアルキル置換基を持つ芳香族、又は、他の芳香族等のような多官能化合物が挙げられる。フェノール化合物としては、ジメタノールフェノール(C(CHOH)OH)、及び隣接する(環の1−2の位置の原子)ヒドロキシ及びヒドロキシアルキル置換基を持つ他の化合物、特に少なくとも1個のメタノール又は他のヒドロキシアルキル環置換基及びヒドロキシアルキル置換基に隣接する少なくとも1個のヒドロキシを持つフェニルまたは他の芳香族化合物等が好ましい。
【0028】本発明の反射防止組成物で使用されるメトキシメチル化グリコウリルのような低塩基度架橋剤が、上塗りされたフォトレジストのレリーフ画像のアンダーカット又はフーチングを実質的に減少させるか又は消失さえもさせること(SEM検査)も含めて極めて優れたリトグラフ機能特性を提供し得ることが見出された。ARC被覆層を硬化させる間、該グリコウリル化合物の反応に対し触媒又は促進作用を引き起こすために、本発明の反射防止組成物は、好ましくは、さらに酸又は酸発生剤化合物を含有させるのがよい。好ましくは、酸発生化合物としては、光分解又は熱処理時に酸を発生する酸発生化合物を使用することがよい。熱による酸発生剤としては、熱処理時に酸を発生する化合物を使用することが好ましい。2,4,4,6−テトラブロムシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート及び有機スルホン酸の他のアルキルエステル等のような種々の公知の熱による酸発生剤を使用することが好ましい。活性化時にスルホン酸を発生する化合物が通常好適である。一般的に熱による酸発生剤は、好ましくは反射防止組成物の全乾燥成分の約0.5から15重量パーセント、より好ましくは全乾燥成分の約2重量パーセントの濃度で反射防止組成物の中に存在するのがよい。
【0029】光による酸発生剤も反射防止組成物で使用してもよく、例えばオニウム塩、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタンのようなハロゲン化非イオン系の光による酸発生剤、及びフォトレジスト組成物で使用するために本明細書に開示されている他の光による酸発生剤等が挙げられる。一般的に、反射防止組成物の中での光による酸発生剤の適当な量は、通常反射防止組成物の全乾燥成分の約1から15重量パーセントの範囲が好適である。光による酸発生剤を含む反射防止組成物の場合は、この組成物の被覆層を光によって酸を発生させるのに効果的な量で活性化照射光に露光した後、この被覆層を硬化させるのに充分な温度で露光後(post−exposure)ベーキングを行う。しかしながら、本発明の通常の好ましい実施態様では、反射防止組成物は、光による酸発生剤を完全に又は少なくとも本質的に含まずに(例えば、全乾燥成分基準で約1重量パーセント未満)、酸又は熱による酸発生剤を酸の供給源として使用し、露光工程を使用することなく、ARCを熱的に硬化させる。また、前述のように、酸発生剤よりはむしろ酸をARCの中へ単に調製する場合があり、特に、ARCの使用前に酸が組成物成分の望ましくない反応を促進しないように酸の存在で硬化させるのに加熱を必要とするARC類の場合などがある。好適な酸としては、例えば、トルエンスルホン酸、及びスルホン酸のようなスルホン酸類、トリフリック(triflic)酸のような強酸、又はそれらの混合物等が挙げられる。
【0030】本発明の反射防止組成物は、また、上塗りされたフォトレジスト層を露光するのに使用する照射光を吸収する追加の染料化合物を含んでもよい。必要に応じて使用する他の添加剤には、表面平滑化剤が挙げられ、例えばユニオンカーバイド社(Union Carbide)のシルウェット(Silwet)7604の商品名で市販されている平滑化剤、又はスリーエム社(3M)から市販されている界面活性剤FC171がある。液状コーティング組成物を作るのには、反射防止組成物の成分を好適な溶媒に溶解させるが、その溶媒としては、例えば酪酸エチル、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングルコールモノメチルエーテルのような少なくとも1種のグリコールエーテル;メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、及びエトキシプロパノールのようなエーテル成分もヒドロキシ成分も持つ溶媒;メチルセロソルブアセタート、エチルセロソルブアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートのようなエステル類、並びに二塩基酸エステル、炭酸プロピレン及びガンマーブチロラクトンのような他の溶媒である。溶媒中の乾燥成分の濃度は、塗布方法のような幾つかの因子によって決まる。一般的に、反射防止組成物の固形分は反射防止組成物の全量の約0.5から20重量パーセントの間の値をとり、好ましくは反射防止組成物の全量の約2から10重量パーセントまで変化する。
【0031】ポジ型及びネガ型の光による酸発生組成物を含めて、種々のフォトレジスト組成物が、本発明の反射防止組成物と共に使用できる。本発明のフォトレジストは、一般的に樹脂バインダー及び感光性成分、光による酸発生剤化合物を有する。該フォトレジスト樹脂バインダーは、画像レジスト組成物に対するアルカリ性水溶液による現像可能性を付与する官能基を持つのが好ましい。好ましくは、ヒドロキシ又はカルボキシレートのような極性官能基を有する樹脂バインダーであって、該樹脂バインダーはレジストをアルカリ水溶液で現像可能にする程の充分な量を該レジスト組成物の中で使用される。
【0032】通常好ましいレジスト樹脂バインダーは、ノボラック樹脂として当業者には公知のフェノールアルデヒド縮合物、アルケニルフェノールのホモポリマー又はコポリマー、並びにN−ヒドロキシフェニル−マレイミドのホモポリマー及びコポリマーを含めたフェノール樹脂である。ノボラック樹脂を形成するためにアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの縮合に好適なフェノール類の例としては、フェノール;m−クレゾール;o−クレゾール;p−クレゾール;2,4−キシレノール;2,5−キシレノール;3,4−キシレノール;3,5−キシレノール;チモール、及びそれらの混合物が挙げられる。酸触媒型縮合反応によって、分子量(Mw)で約500から100,000ダルトンまで変えることができ、好適なノボラックが形成される。ポリ(ビニルフェノール)は、例えば米国特許第4,439,516号に開示されているような方法で調製してよい。好ましい樹脂バインダー及びその調製法も米国特許第5,128,230号に開示されている。
【0033】ポリ(ビニルフェノール)は触媒の存在下で、対応するモノマーのブロック重合、乳化重合又は溶液重合によって生成されてよい。ポリビニルフェノールの製造に有用なビニルフェノール類は、例えば市販されているクマリン又は置換型クマリンを加水分解した後、生成するヒドロキシケイ皮酸を脱炭酸することにより調製してよい。さらに、有用なビニルフェノール類は、対応するヒドロキシアルキルフェノールの脱水又は置換型もしくは非置換型ヒドロキシベンズアルデヒドをマロン酸と反応させて生成するヒドロキシケイ皮酸の脱炭酸によっても調製されてよい。これらのビニルフェノール類から調製された好ましいポリビニルフェノール樹脂は、約2,000から約60,000ダルトンまでの分子量(Mw)範囲を持つ。
【0034】フェノールと、非芳香族環式アルコール単位を含むコポリマーも、本発明のレジスト用として好ましい樹脂バインダーであり、ノボラック又はポリ(ビニルフェノール)樹脂の部分水素添加によって好適に調製してよい。フォトレジスト組成物の中のこのようなコポリマー及びその使用法は、サッカレー(Thackeray etal.)の米国特許第5,128,232号に開示されている。更に好ましい樹脂バインダーとしては、ビスヒドロキシメチル化化合物、及びブロック型ノボラック樹脂から形成される樹脂が挙げられる。フォトレジスト組成物の中におけるこれらの樹脂及びそれらの使用法は米国特許第5,130,410号及び米国特許第5,128,230号に開示されている。加えて、フォトレジスト組成物のリトグラフィ特性を更に制御するため、同類又は異なる化合物の2種以上の樹脂バインダーを配合又は一緒に組み合わせることができる。例えば、樹脂の配合物を使用すると、光速度(photospeed)及び熱特性を調節でき、また現像液中のレジストの溶解挙動を制御できる。
【0035】本発明のARC類と共に使用するフォトレジストの1つの好適な部類としては“従来型”ポジ型レジストであって、このレジストは、光による酸発生剤、及びノボラックもしくはポリ(ビニルフェノール)又はそれらの部分水素添加誘導体のような樹脂バインダー成分を有しており、感光性成分が溶解速度禁止剤として作用する。該レジストの被覆層の感光性化は、結果として感光性成分から酸性物質へ変化させ、(非活性型)感光性成分だけを含む領域よりもこの酸性光生成物を含む被覆層の領域が現像液のアルカリ性水溶液に比較的よく溶けるようにする。これらのポジ型レジストの中で一般的に使用される感光性成分は、2,1,4−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステル及び2,1,5−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステルのようなキノンジアジド類である。
【0036】本発明の特に好ましい態様では、本発明のARC類を化学的に増幅されたポジ型レジスト組成物と共に使用する。そのようなレジスト組成物の多くが、例えば、米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;及び第4,491,628号;に記載されていて、化学的に増幅されたポジ型レジストの調整法及び使用について開示している。本発明のARCと共に使用するための特に好ましい化学増幅型フォトレジストは、光による酸発生剤と樹脂バインダーの混合物を有し、該樹脂バインダーはフェノール単位も非フェノール単位も含むコポリマーを有する。例えば、そのようなコポリマーの1つの好ましい部類は、そのコポリマーの非フェノール単位にのみ実質的に、本質的に又は完全に酸に不安定な基を持っている。1つの特に好ましいコポリマー樹脂バインダーは、次式で表される繰り返し単位xとyを持っている。
【0037】
【化9】


【0038】(式中、ヒドロキシル基は、コポリマー全体にわたってオルト、メタ又はパラ位のいずれにも存在し、そして、R’は1個ないし約18個の炭素原子、さらに代表的には1個から約6ないし8個の炭素原子を持つ置換型もしくは非置換型アルキルである。tert−ブチルが通常好ましいR’基である。R’基を必要に応じて、例えば1個以上のハロゲン(特にF、Cl又はBr)、C1−8アルコキシ、C2−8アルケニル等によって置換してよい。該単位x及びyはこのポリマーの中で規則的に交互でもよいし、或いはポリマー全体にランダムに散在していてもよい。)
【0039】このようなコポリマーは、容易に作ることができる。例えば、前式の樹脂の場合、ビニルフェノールと、tert−ブチルアクリレート等のような置換型もしくは非置換型アルキルアクリレートとを、当業者には公知のフリーラジカル条件下で縮合できる。該置換型エステル成分、即ちR’−O−C(=O)−、該アクリレート単位の成分は該樹脂の酸に不安定な基として作用して、該樹脂を含むフォトレジストの被覆層を露光すると、光による酸誘発型の開裂()が起こる。該コポリマーは、好ましくは約8,000から約50,000のMw、より好ましくは約15,000から約30,000のMwを有し、約3以下、より好ましくは約2以下の分子量分布を有する。非フェノール系樹脂、例えばtert−ブチルアクリレート、又はtert−ブチルメタクリレートのようなアルキルアクリレートと、ビニルノルボルニル又はビニルシクロヘキサノール化合物のようなビニル脂環式とのコポリマーも、本発明の組成物の樹脂バインダーとして使用してよい。このようなコポリマーは、また、前記フリーラジカル重合又は別の公知の手順で調製してもよく、約8,000から約50,000のMw、及び約3以下の分子量分布を持つのが好適であろう。化学増幅型の更に好ましいポジ型レジストは、シンタ(Sinta et al.)等の米国特許第5,258,257号に開示されている。
【0040】本発明のARCと共に使用するための好ましいネガ型レジスト組成物としては、酸に曝されると、硬化、架橋又は固化する物質と、光による酸発生剤との混合物を有する。特に好ましいネガ型レジスト組成物としては、本発明の、フェノール樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分及び感光性組成物を有する。このような組成物及びその使用法は、サッカレー(Thackeray et al.)等のヨーロッパ特許出願第0164248号及び第0232972号及び米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに好ましいフェノール樹脂には、前述のようなノボラックとポリ(ビニルフェノール)類が挙げられる。好ましい架橋剤としては、メラミン、グリコウリル、ベンゾグアナミン基物質及び尿素基物質を含めて、アミン基物質等が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が通常最も好ましい。このような架槁剤には、例えばシメル(Cymel)300、301、及び303の商品名でアメリカンシアナミド社(American Cyanamid Co.)から発売されているメラミン樹脂を市販品として購入できる。グリコウリル樹脂は、シメル(Cymel)1170、1171、1172、パウダーリンク(Powderlink)1174の商品名でアメリカンシアナミド(American Cyanamid Co.)から発売され、尿素基樹脂は、ビートル(Beetle)60、65及び80の商品名で発売され、そしてベンゾグアナミン樹脂はシメル(Cymel)1123及び1125の商品名で発売されている。
【0041】本発明のARC類と共に使用される好適なレジストの光酸発生剤(photoacidgenerator)化合物としては、米国特許第4,442,197号、第4,603,101号及び第4,624,912号に開示されているようなオニウム塩;及びサッカレー等(Thackeray et al)の米国特許第5,128,232号に開示されているハロゲン化感光性化合物のような非イオン系有機感光性化合物、並びにスルホン化エステル及びスルホニルオキシケトンを含めたスルホン酸の光による酸発生剤等が挙げられる。ベンゾイントシレート、tert−ブチルフェニルアルファ−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセタート及びtert−ブチルアルファ−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセタートを含む好適なスルホナートPAGSの開示については、「ジャーナル オブ フォトポリマー サイエンス アンド テクノロジー」(J.ofPhotopolymer Science and Technology4(3):337−340,1991)を参照されたい。好ましいスルホナートPAG類はシンタ(Sinta et al)の米国特許第5,344,742号にも開示されている。
【0042】本発明のARCと共に使用するフォトレジストは、また、他の物質をも含むことができる。例えば、必要に応じた他の添加剤として光化学作用(actinic)を持つ染料及びコントラスト向上用染料、条線防止剤、可塑剤、増速剤等が挙げられる。例えば、レジスト染料乾燥成分の全重量の5〜30重量パーセントの量のような比較的高濃度で存在することがある充填剤や染料を除いて、このような必要に応じた添加剤はフォトレジスト組成物の低濃度で存在するのが普通である。好適なグリコウリルのような低塩基度架橋剤を含む本発明のARC類は、トリフリック酸、スルホン酸ショウノウもしくは他のスルホン酸、又は約2以下のpKa(25℃)を持つ他の酸のような強酸光生成物を露光時に発生するフォトレジストと用いると特に有用である。理論に縛られることなく、より塩基性の架橋剤を含む同類のARCと比べ、レジストから移動してARC層の中に残る光発生型強酸はかなり少ないことから、本発明のARC類は、そのような強酸レジストと共に用いると特に有効であると考えられる。即ち、本発明の低塩基度架橋剤は、より塩基性のARC架橋剤ほどではないが、上塗りされたレジスト層の光発生型強酸と結合する。この結果、レジスト層からの酸の消失は減り、フーチングのような解像度上の問題は減少する。
【0043】使用にあたっては、本発明の反射防止組成物は、スピンコーチングのような種々の方法のいずれかによって基板へ塗布層として塗布される。反射防止組成物は、通常約0.02と0.5μmの間の乾燥層の厚さ、好ましくは約0.04と0.20μmの間の乾燥層の厚さで基板に塗布される。該基板は、フォトレジストを関連するプロセスにおいて従来から使用されているいずれの基板でも好適である。例えば、該基板としては、シリコン、二酸化シリコン、又はアルミニウム−酸化アルミニウムのマイクロ電子ウエハー等が可能である。ヒ化ガリウム、セラミック、石英、又は銅基板も使用してよい。液晶ディスプレー、又は、例えば、ガラス基板、インジウム酸化錫コーティング基板等の他の平板パネルディスプレー用に使用される基板も好ましく使用される。
【0044】好ましくはフォトレジスト組成物がARC上に塗布される前に反射防止性層を硬化するのがよい。硬化条件は、ARCの組成物によって変化する。従って、この組成物が酸又は酸発生剤を含まない場合は、硬化温度及び条件は、酸又は酸発生剤化合物を含む組成物の場合よりも厳しい。代表的な硬化条件は約120℃〜225℃、約0.5ないし40分間である。硬化条件としては、ARC被覆層を、フォトレジスト溶媒だけでなくアルカリ性現像水溶液にも実質的に不溶にさせるのが好ましい。更に、前述のように、ARCが光による酸発生剤を含む場合、この組成物被覆層は、活性化照射の有効量にこの被覆層を露光することによって、少なくとも部分的には、硬化させ(例えば、約10ないし300mJ/cm)、次いで50〜225℃で後露光ベーキング(post−exposurebake)をする。このような硬化の後に、フォトレジストをARCの表面に塗布する。ARCの塗布と同様に、回転、浸漬、メニスカス(meniscus)又はロール塗布によるような通常のいずれの手段によってもフォトレジストを塗布できる。塗布の後は、一般的にフォトレジスト被覆層を加熱によって乾燥して、好ましくはレジスト層が不粘着性になるまで溶媒を除去する。最も好ましくは、ARC層とフォトレジスト層が本質的に混じり合わないようにするべきである。
【0045】次に、従来の方法で、マスクを通して活性化照射でレジスト層をイメージングする。レジスト系の感光性成分を効果的に活性化するために充分な露光エネルギーによって、レジスト被覆層にパターン化された画像が作製される。より詳しくは、該露光エネルギーは、露光機器によるが、一般的に約3から300mJ/cmの範囲である。被覆層の露光された領域と露光されない領域の間の溶解度の差を作り出すためには、即ちその差を明確にするためには、露光されたレジスト層に後露光ベーキングを施してもよい。例えば、ネガ型の酸硬化型フォトレジストは酸促進型架槁反応を行うために一般的に露光後、加熱を必要とし、一方、多くの化学増幅型ポジ型レジストは酸促進型非保護反応を行うために露光後の加熱を必要とする。一般的に、露光後のベーキング条件としては、約50℃以上の温度、より詳しくは約50℃〜160℃の範囲の温度が挙げられる。
【0046】次いで、露光されたレジスト被覆層は現像されるが、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等を例とする無機アルカリのような水性現像液を用いるのが好ましい。別の方法として、有機現像液を使用できる。一般的に、現像は当業者によく知られている方法による。現像に続き、現像した露光被覆層領域を更に硬化させるために、しばしば酸硬化型フォトレジストの最終ベーキングが約100〜150℃までの温度で数分間行われる。次に、現像された基板はフォトレジストの露出された基板領域に、選択的加工、例えば当業者に公知の手順に従って、フォトレジストの露出された基板領域を化学的エッチング又はメッキをすることができる。好適なエッチング剤としては、フッ化水素酸エッチング溶液、及び酸素プラズマエッチング剤のようなプラズマガスエッチング剤が挙げられる。プラズマガスエッチング剤は架橋されたハレーション防止被覆層を除去する。以下の非限定的な実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
【実施例】
実施例1〜6:好ましいARC樹脂バインダーの調製1.発色団を含むモノマーの調製A.クロロキシンメタクリレートの調製磁気式撹はん機及び窒素導入口付きの500ml丸底フラスコに、5,7−ジクロロ−8−ヒドロキシキノリン(クロロキシン)5.0g(0.0234モル)、メタクリル酸2.01(0.0234モル)、塩化メチレン500ml、4−ジメチルアミノ−ピリジン(DMAP)1.43g(0.5当量)、及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボイミド(EDCI)6.72gを装入した。この反応混合物を窒素雰囲気下で25℃で12時間、撹はんした。この生成物をカラムクロマトグラフィ(塩化メチレン)で精製すると、淡黄色固体を得た(収率67%)。
B. メチルアントラセンメタクリレートの調製メチルアントラセンメタクリレート(CHC(=CH)COCH2−9−アントラセン)を、「マクロモレキュールズ」(Macromolecules,17(2):2351984)に開示されている方法で調製した。
【0048】2.樹脂の調製ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルアントラセンメタクリレート(ANTMA)コポリマー(前記式II)を次のように調製した。磁気式撹はん機、凝縮器、窒素導入及び真空接続口付きの300mlの3Nの丸底フラスコに、HEMA(蒸留による精製済み)16.0g(0.1229モル)、メチルアントラセンメタクリレート8.49g(0.0307モル)、AIBN 0.2449g(1重量%)、及びTHF180mlを装入した。窒素でパージしながら、反応フラスコを液体窒素の中で急冷した。この反応フラスコの内容物が凍結すると、反応フラスコを真空にした後、窒素でパージした(3回)。この反応混合物を還流下で18時間撹はんした。淡黄色ポリマーを3000mlのエーテルの中で沈澱させて、濾過した後、真空下で50℃で乾燥すると、−CHC(CH)(COCHCHOH)−単位が81モルパーセント及び−CHC(CH)(COCH−9−アントラセン)単位が19モルパーセントで、Mnが2295、Mwが19150及びTgが101℃のHEMA/ANTMAコポリマーを得た(収率86%)。追加のHEMA/ANTMAコポリマー、及び、HEMA/クロロキシンメタクリレートコポリマー(実施例2−6の樹脂)を、HEMA/クロロキシンメタクリレートコポリマーの調製の場合には、メチルアントラセンメタクリレートをクロロキシンメタクリレートに置き換えて同様な手順で調製した。
【0049】実施例7〜14は、本発明のARC類の調製及び使用法に関する。
実施例7本発明の好ましい反射防止組成物を、下記の成分を混合することにより調製した。成分の量は液状反射防止被覆組成物の全重量基準として、重量部で表している。
(1)樹脂バインダー:ポリマー 2.33%(約4%のグリシジル基がOH置換し、そして約80%のOH基が−O(C=O)CH−9−アントラセンによって置換されたノボラック基樹脂)
(2)架橋剤:Powderlink 1174 0.61%(アメリカンシアナミド社製)
(3)酸:p−トルエンスルホン酸 0.06%(4)溶媒:乳酸エチル 18%;シクロヘキサノン 10%;及びプロピレングリコールモノメチルエーテル 68.97%この反射防止組成物を、直径100mmの単結晶シリコン基板に3100rpmでスピンコーチングした後、真空加熱板上で205℃で60秒間ベーキングした。この時に生成した厚さは600オングストロームであった。このARC層の上に、市販のDUVネガ型フォトレジスト(IBM社製でCGR248の商品名で販売されている)を、95℃、60秒間の真空加熱板ベーキングの後で、8900オングストロームの厚さになるまで塗布した。ISI XLS投影ステッパーを用いて、細い線及び細い間隔でパターン化されたマスクを通して、9mJ/cmの照射量で上塗りされたレジスト層をKrFエキシマー照射光(248nm)に露光した。次でこのウェハーを真空加熱板上で95℃で60秒間ベーキングし、次にMF702現像液(シップレー社:アルカリ水溶液)で40秒間現像した。レジストのフーチングを断面SEMによって測定すると、個々の線に対しても肉厚線に対しても幅0.27μmで、平均12nmであった。
【0050】実施例8更に好ましい反射防止組成物を、下記の成分を混合することにより調製した。成分の量は反射防止被覆組成物の全固形分(溶媒を除く全成分)基準として、重量部で表している。
1)樹脂バインダー:ポリマー 2.33%(約4%のグリシジル基がOH置換し、そして約80%のOH基が−O(C=O)CH−9−アントラセンによって置換されたノボラック基樹脂)
2)架橋剤:Powderlink 1174 0.61%(アメリカン シアナミド社製)
3):p−トルエンスルホン酸 0.06%4)界面活性剤:FC171 0.03%(3M社製)
5)溶媒: 乳酸エチル 18%;シクロヘキサノン 10%;及び プロピレングリコールモノメチルエーテル 68.97%この反射防止組成物を、直径100mmの単結晶シリコン基板にスピンコーチングした後、真空加熱板上で205℃で60秒間ベーキングした。この時に生成した厚さは600オングストロームであった。このARC層の上にDUVネガ型フォトレジストの被覆層を塗布した。このレジストは以下のものを含んでいた(重量パーセントで表した量):即ち、12%のメシル化ポリ(ビニルフェノール)(Mw=5000)88.34%;トリアリールスルホニウムトリフラート2.65%;Powderlink 1174 8.83%;水酸化テトラブチルアンモニウム 0.177%;シルウェット 7604、 0.2%;90℃で60秒間の真空加熱板ベーキングの後で、厚さが7575オングストロームになる乳酸エチル溶媒。メシル化ポリ(ビニルフェノール)の調製は、1996年5月7日に発行された米国特許第5,514,520号に記載されている。ISI XLS投影ステッパーを用いて、細い線及び細い間隔でパターン化されたマスクを通して、17.9mJ/cmの照射量で上塗りされたレジスト層をKrFエキシマー照射光(248nm)に露光した。次でこのウェハーを真空加熱板上で130℃で60秒間ベーキングし、次にCD26(シップレー社製)現像液で35秒間現像した。レジストのフーチングを断面SEMによって測定すると、個々の線に対しても肉厚線に対しても幅0.25μmで、平均6nmであった。
【0051】実施例9本発明のより好ましい反射防止組成物を、下記の成分を混合することにより調製した。成分の量は液体反射防止被覆組成物の全重量基準として、重量部で表している。
1)樹脂バインダー:9−アントリルメチルメタクリレート(26モル%)と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(74モル%)のコポリマー 2.62%2)架橋剤:Powderlink 1174、 0.36%(アメリカンシアナミド社製)
3)加熱型酸架橋剤:2−ニトロベンジルトシレート 0.02%4)界面活性剤:FC431 0.003%(3M社製フッ化アルキルエステル)
5)溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 96%;シクロヘキサノン 1.0%この反射防止組成物を、直径100mmの単結晶シリコン基板にスピンコーチングした後、真空加熱板上で150℃で60秒間ベーキングした。この時に生成したARC被膜層の厚さは740オングストロームであった。このARC層の上に、市販のDUVポジ型フォトレジスト(Shipley社製、UVIIHSの商品名で販売されている)を、140℃、60秒間の真空加熱板ベーキングの後で、8900オングストロームの厚さになるまで塗布した。ISI XLS投影ステッパーを用いて、細い線及び細い間隔でパターン化されたマスクを通して、11.0mJ/cmの照射量でこの層をKrFエキシマー照射光(248nm)に露光した。次でこのウェハーを真空加熱板上で135℃で90秒間ベーキングし、次にCD26(Shipley)現像液で50秒間現像した。個々の線に対しても肉厚線に対してもレジストのフーチングを断面SEMによって測定した。
【0052】実施例10より好ましい反射防止組成物を、下記の成分を混合することにより調製した。成分の量は液体反射防止被覆組成物の全重量基準として、重量部で表している。
1)樹脂バインダー:ポリマー 3.88%(約4%のグリシジル基がOH置換し、約80%のOH基が−O(C=O)CH−9−アントラセン+残り約10%が9−アントラセンカルボン酸によって置換されたノボラック基樹脂)
2)架橋剤:Powderlink 1174 1.02%(アメリカンシアナミド社製)
3):p−トルエンスルホン酸 0.10%4)界面活性剤:FC171 0.05%(3M社製)
5)溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 94.97%;このARCを、直径100mmの単結晶シリコン基板にスピンコーチングした後、真空加熱板上で205℃で60秒間ベーキングした。この時に生成した厚さは988オングストロームであった。この層の上に、市販のDUVポジ型フォトレジスト、UVIIHS(シップレー社製)を、140℃、60秒間の真空加熱板ベーキングの後で、8620オングストロームの厚さになるまで塗布した。ISI XLS投影ステッパーを用いて、細い線及び細い間隔でパターン化されたマスクを通して、11.0mJ/cmの照射量でこの層をKrFエキシマー照射光(248nm)に露光した。次いでこのウェハーを真空加熱板上で140℃で90秒間ベーキングし、次にCD26(シップレー社製)現像液で50秒間現像した。レジストのフーチングを断面SEMによって測定すると、個々の線に対しても肉厚線に対しても幅0.25μmで、平均約4nmであった。
【0053】実施例11より好ましい反射防止組成物を、下記の成分を混合することにより調製した。成分の量は液体反射防止性被覆組成物の全重量基準として、重量部で表している。
1)樹脂バインダー:ポリマー 3.88%(約4%のグリシジル基がOH置換し、約45%のOH基が−O(C=O)CH−9−アントラセン、35%のOH基がCOHCHO(C=O)CH+残り約7%が9−アントラセンカルボン酸によって置換されたノボラック基樹脂)
2)架橋剤:Powderlink 1174 1.02%の(アメリカンシアナミド社製)
3):p−トルエンスルホン酸 0.10%4)界面活性剤:FC171(3M社製) 0.05%5)溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 94.97%;このARCを、直径100mmの単結晶シリコン基板にスピンコーチングした後、真空加熱板上で205℃で60秒間ベーキングした。この時に生成した厚さは1095オングストロームであった。この層の上に、市販のDUVポジ型フォトレジスト、APEX−E(シップレー社製)を、90℃、60秒間の真空加熱板ベーキングの後で、8394オングストロームの厚さになるまで塗布した。ISI XLS投影ステッパーを用いて、細い線及び細い間隔でパターン化されたマスクを通して、8.6mJ/cmの照射量でこの層をKrFエキシマー照射光(248nm)に露光した。次いでこのウェハーを真空加熱板上で90℃で60秒間ベーキングし、次にMF702(シップレー社製)現像液で60秒間現像した。レジストのフーチングを断面SEMによって測定すると、個々の線にも肉厚線に対しても幅0.30μmで、平均約5nmであった。
【0054】実施例12更に好ましい反射防止組成物を、下記の成分を混合することにより調製した。成分の量は液体反射防止被覆組成物の全重量基準として、重量部で表している。
1)樹脂バインダー:9−アントリルメチルメタクリレート(24モル%)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(54モル%)及びメタクリル酸(22%)のコポリマー 2.58%2)架橋剤:Powderlink 1174 0.38%(アメリカンシアナミド社製)
3)加熱型酸架橋剤:ベンゾイントシレート 0.038%4)界面活性剤:FC431 0.003%(3M社製)
5)溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 97%;このARCを、直径100mmの単結晶シリコン基板にスピンコーチングした後、真空加熱板上で175℃で60秒間ベーキングした。この時に生成した厚さは595オングストロームであった。この層の上に、市販のDUVポジ型フォトレジスト、UVIIHS(シップレー社)を、135℃、60秒間の真空加熱板によるベーキングの後で、7950オングストロームの厚さになるまで塗布した。ISI XLS投影ステッパーを用いて、この層をKrFエキシマー照射光(248nm)に露光した。次でこのウェハーを真空加熱板上で130℃で60秒間ベーキングし、次にCD26(シップレー社)現像液で50秒間現像した。レジストのフーチングを断面SEMによって測定すると、個々の線に対しても肉厚線に対しても幅0.25μmで、平均約19nmであった。
【0055】実施例 13より好ましい反射防止組成物を、下記の成分を混合することにより調製した。成分の量は液体反射防止被覆組成物の全重量基準として、重量部で表している。
1)樹脂バインダー:コポリマー 3.58%:メチルメタクリレート(39モル%)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(27モル%)、メタクリル酸(7%)、及びアクリル酸ブチル(27%)
2)架橋剤:Powderlink 1174 1.0%(アメリカン シアナミド社製)
3)加熱型酸発生剤:2−ニトリベンジルトシレート 0.0185%4)界面活性剤:Silwet 0.002%(Union Carbide)
5)溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 95%;このARCを、直径100mmの単結晶シリコン基板にスピンコーチングした後、真空加熱板上で150℃で60秒間ベーキングした。この時に生成した厚さは1180オングストロームであった。この層の上に、市販のDUVポジ型フォトレジスト、APEX−E(シップレー社製)を、90℃、60秒間の真空加熱板によるベーキングの後で、8400オングストロームの厚さになるまで塗布した。ISI XLS投影ステッパーを用いて、細い線及び細い間隔でパターン化されたマスクを通して、6.0mJ/cmの照射量でこの層をKrFエキシマー照射光(248nm)に露光した。次いでこのウェハーを真空加熱板上で90℃で90秒間ベーキングし、次にMF321(シップレー社製)現像液で60秒間現像した。レジストのフーチングを断面SEMによって測定すると、個々の線に対しても肉厚線に対しても幅0.30μmで、平均43nmであった。
【0056】実施例14より好ましい反射防止組成物を、下記の成分を混合することにより調製した。成分の量は液体反射防止被覆組成物の全重量基準として、重量部で表している。
1)樹脂バインダー:9−アントリルメチルメタクリレート(32モル%)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(68モル%)のコポリマー 3.8%2)架橋剤:Powderlink 1174 1.0%(アメリカンシアナミド社製)
3)加熱型酸発生剤:2−ニトロベンジルトシレート 0.185%4)界面活性剤:FC431 0.0015%(3M社製)
5)溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 95%;このARCを、直径100mmの単結晶シリコン基板にスピンコーチングした後、真空加熱板上で150℃で60秒間ベーキングした。この時に生成した厚さは1077オングストロームであった。この層の上に、市販のDUVポジ型フォトレジスト、APEX−E(シップレー社製)を、90℃、60秒間の真空加熱板によるベーキングの後で、8400オングストロームの厚さになるまで塗布した。ISI XLS投影ステッパーを用いて、細い線及び間隔でパターン化されたマスクを通して、7.3mJ/cmの照射量でこの層をKrFエキシマー照射光(248nm)に露光した。次でこのウェハーを真空加熱板上で90℃で90秒間ベーキングし、次にMF321(シップレー社製)現像液で60秒間現像した。レジストのフーチングを断面SEMによって測定すると、個々の線に対しても肉厚線に対しても幅0.30μmで、平均12nmであった。
【0057】本発明に関する前述の説明は、本発明における単なる実例に過ぎない。これらに基づいて、変更及び改良の実施も可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 架橋剤、及び、キノリニル基、N、O若しくはSの環置換基を持つキノリニル誘導体、フェナントレニル基、アクリジン基、又は、アルキレンアントラセン基を含有してなる樹脂バインダーからなる、上塗りされたフォトレジスト組成物(overcoated photoresist composition)と共に使用するための反射防止組成物。
【請求項2】 樹脂バインダーが248nmにおいて少なくとも約4ユニット/μの光学濃度を持つことを特徴とする請求項1に記載の反射防止組成物。
【請求項3】 樹脂バインダーが、キノリニル基、N、OもしくはSの環置換基を持つキノリニル誘導体、フェナントレニル基、アクリジン基又はアルキレンアントラセン基を含有する少なくとも1種のモノマーの重合によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の反射防止組成物。
【請求項4】 前記樹脂バインダーが次式で示されるポリマーから成ることを特徴とする請求項1に記載の反射防止組成物。
【化1】


(式中、各R及びRは、各々独立して、水素、又は、置換又は非置換の1個から約8個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、置換又は非置換の1個ないし約10個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、ハロゲン、1個ないし約8個の炭素原子のアルキル、1個ないし約8個の炭素原子のアルコキシ、2個ないし約8個の炭素原子のアルケニル、2個ないし約8個の炭素原子のアルキニル、シアノ、又はニトロであり、mは0から9までの整数であり、及び、xは約10から約80パーセント、そして、yは約5から90パーセントである。)
【請求項5】 Rがヒドロキシアルキルである請求項4に記載の反射防止組成物。
【請求項6】 xとyの和が約100パーセントである請求項4に記載の反射防止組成物。
【請求項7】 樹脂バインダーが次式で示されるポリマーから成ることを特徴とする請求項1に記載の反射防止組成物。
【化2】


(式中、x及びyは各単位のモル分率である。)
【請求項8】 樹脂バインダーが次式で示されるポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止組成物。
【化3】


(式中、各R及びRは、各々独立して、水素、又は、置換又は非置換の1個から約8個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、1個ないし約10個の炭素原子のアルキルであり、Wは、結合手、又は、置換又は非置換の1個ないし約4個の炭素原子のアルキレン基であり、Zは、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり、各Rは、独立して、ハロゲン、1個ないし約8個の炭素原子のアルキル基、1個ないし約8個の炭素原子のアルコキシ基、2個ないし約8個の炭素原子のアルケニル基、2個ないし約8個の炭素原子のアルキニル基、シアノ又はニトロであり、nは、0から7までの整数であり、及び、x’は、約10から約80パーセント、そして、y’は、約5から90パーセントである。)
【請求項9】 樹脂バインダーが次式で示されるポリマーから成ることを特徴とする請求項1に記載の反射防止組成物。
【化4】


(式中、x及びyは各単位のモル分率である。)
【請求項10】 架橋剤がメトキシメチル化グリコウリルである請求項1に記載の反射防止組成物。
【請求項11】 架橋剤化合物が次式で示される化合物である請求項1に記載の反射防止組成物。
【化5】


【請求項12】 架橋剤がポリヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止組成物。
【請求項13】 架橋剤が、少なくとも1個のヒドロキシと少なくとも1個のヒドロキシアルキル置換基を含む芳香族化合物である請求項12に記載の反射防止組成物。
【請求項14】 さらに酸又は酸発生化合物を含有してなる請求項1に記載の反射防止組成物。
【請求項15】 基板がその上に請求項1の反射防止組成物の被覆層、及び該反射防止層の上にフォトレジストの被覆層からなることを特徴とする被覆された基板。
【請求項16】 (a)請求項1の反射防止組成物の層を基板の上に塗布すること、(b)該ハレーション防止用組成物層を熱硬化させること、(c)該反射防止組成物層の上にフォトレジスト組成物層を塗布すること、(d)該フォトレジスト層を活性化照射で露光した後、該露光フォトレジスト層を現像すること、から成ることを特徴とするフォトレジストレリーフ画像の形成方法。
【請求項17】 前記活性化照射が遠紫外範囲内であり、かつ前記フォトレジストが露光時にスルホン酸を発生することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】 前記反射防止組成物が酸又は熱による酸発生剤も有し、かつ、光による酸発生化合物を本質的に含まないことを特徴とする請求項16に記載の方法。

【公開番号】特開平10−204328
【公開日】平成10年(1998)8月4日
【国際特許分類】
【外国語出願】有
【出願番号】特願平9−188850
【出願日】平成9年(1997)6月11日
【出願人】(596156668)シップレーカンパニー エル エル シー (31)
【氏名又は名称原語表記】Shipley Company,L.L.C.
【住所又は居所原語表記】455 Forest Street,Marlborough,MA 01752 U.S.A