説明

反強誘電性粒子を含んでなる耐熱ポリマー複合材、並びにその製造方法

【課題】高い誘電定数及び高い絶縁破壊強度と、現状で存在する高誘電定数複合材を凌ぐ改善された材料加工性及び機械的特性とを兼ね備えた組成物を提供する。
【解決手段】組成物が、改質ポリマー材料とセラミック反強誘電性粒子とを含んでなる。改質ポリマー材料は耐熱ポリマーと第二のポリマーとを含んでなる。組成物は約10以上の誘電率を有する。組成物を製造する方法が、改質ポリマー材料を形成するように耐熱ポリマーを第二のポリマーと混合するステップと、複合材組成物を形成するように上述の改質ポリマー材料を反強誘電性粒子と混合するステップとを備えており、組成物は約10以上の誘電率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱ポリマー複合材に関する実施形態を含んでいる。本発明は、耐熱複合材を製造する方法及び耐熱複合材を含む物品に関する実施形態を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
薄膜キャパシタのような商用の応用及び装置においては、高い絶縁破壊電圧及びコロナ抵抗を有することが望ましい。特に、モータ及び発電機のようにキャパシタが高電圧及び高温の環境に耐えなければならないような高エネルギ密度電力変換応用の場合がそうである。また、電子機器業界では、キャパシタをプリント配線基板に組み入れるための電気的要件、信頼性要件及び加工要件を満たす適当な高誘電定数材料すなわち高誘電率材料を提供することが望ましい。従って、電子機器産業及び自動車産業では、高い誘電定数及び高い絶縁破壊強度、並びに良好な機械的強度及び加工性を有する新たなポリマー複合材に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】

【特許文献1】米国特許出願公開第20050161149号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、高い誘電定数及び高い絶縁破壊強度と、現状で存在する高誘電定数複合材を凌ぐ改善された材料加工性及び機械的特性とを兼ね備えた組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、組成物が、改質ポリマー材料とセラミック反強誘電性粒子とを含んでなる。改質ポリマー材料は、耐熱ポリマーと第二のポリマーとを含んでなり、組成物は約10以上の誘電率を有する。
【0006】
もう一つの実施形態では、組成物を製造する方法が、改質ポリマー材料を形成するように耐熱ポリマーを第二のポリマーと混合するステップを含んでいる。改質ポリマー材料は、複合材組成物を製造するように反強誘電性粒子と混合され、組成物は約10以上の誘電率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】誘電定数の増加を、ポリマー材料に含ませた異なるナノ粒度強誘電性粒子の量の関数として示すグラフである。
【図2】電場に整列した反強誘電性粒子を示す図である。
【図3】誘電定数の増加を、ポリマー材料に含ませたナノ粒度強誘電性粒子の量の関数として示すと共に、かかる増加に対するポリマー材料の誘電率の効果を示すグラフである。
【図4】反強誘電性粒子で充填されたシアノエチルプルランフィルムの複合的な誘電挙動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本書では、改質ポリマー材料及びセラミック反強誘電性粒子を含んでなる組成物を開示する。これらの組成物は、続くフィルム形成工程について高誘電定数、高エネルギ密度、可撓性及び押出し適性を有する。
【0009】
セラミック反強誘電性粒子は、活性化場の印加時に強誘電性粒子へ転化され得る。一実施形態では、活性化場は、バイアス印加電場を含み得る。もう一つの実施形態では、活性化場は、例えば炉のような熱エネルギ源の存在下で印加されるバイアス印加電場を含み得る。このように、反強誘電性粒子は、バイアス印加電場に晒されると低誘電状態(反強誘電状態)から高誘電状態(強誘電状態)への相転移を生じ得る場調整型(field tunable)非線形誘電性粒子である。これらの反強誘電性粒子の有利な特性は、組成物を場調整型とすることを可能にする。場調整型組成物は、利用される応用に依存して必要に応じて当該組成物の誘電特性を有利に調節することができる。
【0010】
強誘電性効果は、幾つかのイオン結晶が自発的双極子モーメントを呈し得るような電気的現象である。主に二つの形式の強誘電性が存在し、変位型及び秩序/無秩序型とされる。例えば、チタン酸バリウム(BT)及びチタン酸ストロンチウム(ST)における効果は変位型のものであって、分極破綻に起因し、この場合にはイオンが平衡から僅かに変位すると結晶のイオンによる局所電場からの力が弾性復元力よりも早く増加する。このため、平衡イオン位置に非対称なずれが生じ、従って永久双極子モーメントが生ずる。秩序/無秩序型強誘電体では、各々の単位セルに双極子モーメントが存在するが、高温では乱雑な方向に向いている。温度を低下させて相転移を起こさせると双極子が秩序を持ち、領域の内部では全て同じ方向を向く。
【0011】
強誘電性物質に生ずる上述の秩序化の結果として、これらの物質は約1000以上の高い誘電定数を有するものとなる。反強誘電性転移では、個々の双極子が隣接する双極子に対して反平行に配列し、結果として正味の自発的分極はゼロとなる。このように、反強誘電状態にある物質は一般的には、約100〜約1000といった比較的低い誘電定数を有する。反強誘電性粒子はナノ粒子又はマイクロメートル粒度の粒子の形態で存在し得る。これらの反強誘電性粒子は一般的には、改質ポリマー材料の誘電定数と類似した又は稍高い誘電定数を有する。このため、強誘電性粒子と比較すると粒子内への電場浸透をさらに大きくすることが可能になる。
【0012】
前述のように、反強誘電性粒子は本質的に、電場の印加時に反強誘電性から強誘電性へ相転移を起こす。反強誘電性粒子を改質ポリマー材料に分散させて、約100キロボルト/ミリメートル以下の電場を印加すると、反強誘電状態から強誘電状態へ相転移を起こす契機を反強誘電性粒子に与えることができる。結果として、改質ポリマー複合材の誘電定数は、反強誘電性粒子を含まない改質ポリマー材料と比較した場合に約300%以上の量で増加する。
【0013】
反強誘電性粒子は、組成物の誘電定数を増加させるために改質ポリマー材料に有利に分散させられ得る。改質ポリマー材料の内部に十分に分散した粒子は、反強誘電性粒子を含まない改質ポリマー材料を凌ぐ改善された特性を提供する。これらの改善された特性は、より高い誘電定数、より高いエネルギ密度、良好な絶縁破壊強度、コロナ抵抗、改善された衝撃強さ及び機械的硬度、並びに軟質ポリマーについての改善された加工容易性及びAクラス表面仕上げを含む。
【0014】
図1は、組成物の誘電定数に対して高誘電定数セラミック粒子が有する効果を示す。組成物における強誘電性粒子の体積%が増すにつれて、組成物の誘電定数は増加する。図1に示すように、誘電定数が3000のBaTiO粒子、及び誘電定数が300のSrTiO粒子は各々、特に相対的に高い配合量レベルにおいては類似の態様でポリマーの誘電定数を高める能力を有する。
【0015】
一実施形態では、組成物は約200キロボルト/ミリメートル以上の絶縁破壊強度を有する。組成物は、約1J/cm以上〜約10J/cm以上のエネルギ密度を有すると有利である。加えて、バイアス印加電場を利用することにより、組成物の誘電定数を組成物でのセラミック反強誘電性粒子の量に依存して一桁までの大きさで高めることができる。例えば、30体積%のnPZを含むポリ(ビニリデン−フルオリド−コ−ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF−HFP)フィルムは、電場に晒されたときに誘電定数の著しい向上を呈した。誘電定数は分極ループ測定から導かれ、5kV/mmでの約25から160kV/mmでの約90までの大きい増加を示した。
【0016】
改質ポリマー材料は、延性の第二のポリマーと配合された耐熱性高誘電定数ポリマーを含んでなる。改質ポリマー材料は、反強誘電性粒子のような非線形充填材のための母材を提供する。耐熱ポリマーは、広範な熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマーの配合物、熱硬化性ポリマーの配合物、又は熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーとの配合物から選択され得る。耐熱ポリマーは、単独重合体や、星形ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互ブロック共重合体若しくはランダム共重合体のような共重合体、イオノマー、デンドリマー、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせを含み得る。耐熱ポリマーはまた、各ポリマー若しくは各共重合体等の配合物、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせであってもよい。
【0017】
改質ポリマー材料において利用され得る耐熱性熱可塑性ポリマーの実例は、ポリアセタール類、ポリアクリル類、ポリカーボネート類、ポリアルキド類、ポリスチレン類、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリアラミド類、ポリアミドイミド類、ポリアリレート類、ポリウレタン類、エポキシ類、フェノール類、シリコーン類、ポリアリールスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリスルホン類、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリテトラフルオロエチレン類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリエーテルケトンケトン類、ポリベンゾキサゾール類、ポリオキサジアゾール類、ポリベンゾチアジノフェノチアジン類、ポリベンゾチアゾール類、ポリピラジノキノキサリン類、ポリピロメリットイミド類、ポリキノキサリン類、ポリベンズイミダゾール類、ポリオキシインドール類、ポリオキソイソインドリン類、ポリジオキソイソインドリン類、ポリトリアジン類、ポリピリダジン類、ポリピペラジン類、ポリピリジン類、ポリピペリジン類、ポリトリアゾール類、ポリピラゾール類、ポリカーボネート類、ポリオキサビシクロノナン類、ポリジベンゾフラン類、ポリフタリド類、ポリアセタール類、ポリ無水物類、ポリビニルエーテル類、ポリビニルチオエーテル類、ポリビニルケトン類、ポリハロゲン化ビニル類、ポリビニルニトリル類、ポリビニルエステル類、ポリスルホネート類、ポリスルフィド類、ポリチオエステル類、ポリスルホン類、ポリスルホンアミド類、ポリ尿素類、ポリホスファゼン類、ポリシラザン類、ポリプロピレン類、ポリエチレンテレフタレート類、ポリフッ化ビニリデン類、ポリシロキサン類、ポリフェニレンエーテル、シアノエチルセルロース若しくはセルローストリアセテート等、又はこれらの熱可塑性ポリマーの少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(polyacetals, polyacrylics, polycarbonates, polyalkyds, polystyrenes, polyolefins, polyesters, polyamides, polyaramides, polyamideimides, polyarylates, polyurethanes, epoxies, phenolics, silicones, polyarylsulfones, polyethersulfones, polyphenylene sulfides, polysulfones, polyimides, polyetherimides, polytetrafluoroethylenes, polyetherketones, polyether etherketones, polyether ketone ketones, polybenzoxazoles, polyoxadiazoles, polybenzothiazinophenothiazines, polybenzothiazoles, polypyrazinoquinoxalines, polypyromellitimides, polyquinoxalines, polybenzimidazoles, polyoxindoles, polyoxoisoindolines, polydioxoisoindolines, polytriazines, polypyridazines, polypiperazines, polypyridines, polypiperidines, polytriazoles, polypyrazoles, polycarboranes, polyoxabicyclononanes, polydibenzofurans, polyphthalides, polyacetals, polyanhydrides, polyvinyl ethers, polyvinyl thioethers, polyvinyl ketones, polyvinyl halides, polyvinyl nitriles, polyvinyl esters, polysulfonates, polysulfides, polythioesters, polysulfones, polysulfonamides, polyureas, polyphosphazenes, polysilazanes, polypropylenes, polyethylene terephthalates, polyvinylidene fluorides, polysiloxanes, polyphenylene ether, cyanoethyl cellulose, cellulose triacetate, or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing thermoplastic polymers)を含む。
【0018】
例示的な耐熱性熱可塑性ポリマーは、ポリエーテルイミド、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデンフルオリド−トリフルオロエチレンP(VDF−TrFE)、ポリビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体P(VDF−TFE)及びポリビニリデンヘキサフルオロプロピレン共重合体P(VDF−HFP)、エポキシ、ポリエステル、ポリイミド、ポリアリレート、ポリフェニルスルホン、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、シアノエチルセルロース若しくはセルローストリアセテート等、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(polyetherimide, polyvinylidene fluoride, polyvinylidine fluoride-trifluoroethylene P(VDF-TrFE), polyvinylidene-tetrafluoroethylene copolymers P(VDF-TFE), and polyvinylidine hexafluoropropylene copolymers P(VDF-HFP), epoxy, polyester, polyimide, polyarylate, polyphenylsulfone, polystyrene, polyethersulfone, polyamideimide, polyurethane, polycarbonate, polyetheretherketone, polyphenylene ether, cyanoethyl cellulose, cellulose triacetate, or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing)を含む。
【0019】
熱可塑性ポリマーの配合物の実例は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ナイロン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ポリアミド、ポリカーボネート/ポリエステル、ポリフェニレンエーテル/ポリオレフィン、セルロース系シアノ樹脂/セルローストリアセテート若しくはシアノエチルプルラン/ポリビニリデンフルオリド等、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(acrylonitrile-butadiene-styrene/nylon, polycarbonate/acrylonitrile-butadiene-styrene, polyphenylene ether/polystyrene, polyphenylene ether/polyamide, polycarbonate/polyester, polyphenylene ether/polyolefin, cellulosic cyanoresin/cellulose triacetate, cyanoethyl pullulan/ polyvinylidine fluoride or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing)を含む。好適実施形態では、耐熱ポリマーはセルロース系シアノ樹脂である。
【0020】
改質ポリマー材料において用いられ得る耐熱性熱硬化性ポリマーの実例は、エポキシ/アミン樹脂、エポキシ/無水物樹脂、イソシアネート/アミン樹脂、イソシアネート/アルコール樹脂、不飽和ポリエステル類、ビニルエステル類、不飽和ポリエステル及びビニルエステル配合物、不飽和ポリエステル/ウレタンハイブリッド樹脂、ポリウレタン−尿素類、熱硬化性ポリフェニレンエーテル、シリコーン、フルオロシリコーン、ベンズイミダゾール類、シアネートエステル類、ビスマレイミド類、反応性ジシクロペンタジエン樹脂若しくは反応性ポリアミド類等、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(resins of epoxy/amine, epoxy/anhydride, isocyanate/amine, isocyanate/alcohol, unsaturated polyesters, vinyl esters, unsaturated polyester and vinyl ester blends, unsaturated polyester/urethane hybrid resins, polyurethane-ureas, thermosetting polyphenylene ether, silicone, fluorosilicone, benzimidazoles, cyanate esters, bismaleimides, reactive dicyclopentadiene resin, reactive polyamides, or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing)である。
【0021】
一実施形態では、適当な耐熱性熱硬化性ポリマーは、エネルギ活性化可能型熱硬化性プレポリマー組成物から製造され得る熱硬化性ポリマーを含む。実例は、ウレタンポリエステル類のようなポリウレタン類、シリコーンポリマー類、フェノール系ポリマー類、アミノポリマー類、エポキシポリマー類、ビスマレイミド類、ポリイミド類及びフランポリマー類(urethane polyesters, silicone polymers, phenolic polymers, amino polymers, epoxy polymers, bismaleimides, polyimides, and furan polymers)を含む。エネルギ活性化可能型熱硬化性プレポリマー成分は、ポリマー前駆体及び硬化剤を含み得る。ポリマー前駆体は熱活性化が可能なものであってよく、触媒の必要を解消する。選択される硬化剤は熱硬化性ポリマーを形成するのに必要とされるエネルギ源の形式を決定するばかりでなく、熱硬化性ポリマーの得られる特性にも影響し得る。硬化剤の実例は、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、酸無水物類、過酸化物類若しくはルイス酸等、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせを含む。エネルギ活性化可能型熱硬化性プレポリマー組成物は、さらに高いスループット及びさらに低い温度を含めて押出し容易性のために組成物の粘度を低下させる溶剤又は加工助剤を含んでいてよい。溶剤は、架橋反応を遅らせるのを助け、重合の最中又は重合の後に部分的に又は全体的に蒸発することができる。溶剤はまた、反応性希釈液として作用することもでき、硬化工程時に硬化し反応して最終的なポリマーになる前には粘度助剤として作用することができる。
【0022】
一実施形態では、耐熱ポリマーは、改質ポリマー材料の総重量の約10重量%〜約99重量%の量で存在する。もう一つの実施形態では、耐熱ポリマーは、改質ポリマー材料の総重量の約50重量%〜約99重量%の量で存在する。もう一つの実施形態では、耐熱ポリマーは、改質ポリマー材料の総重量の約80重量%〜約99重量%の量で存在する。
【0023】
耐熱ポリマーは、ガラス転移温度又は軟化温度が約120℃以上であることが望ましい。一実施形態では、耐熱ポリマーは、ガラス転移温度又は軟化温度が約150℃以上であることが望ましい。もう一つの実施形態では、耐熱ポリマーは、ガラス転移温度又は軟化温度が約200℃以上であることが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、耐熱ポリマーは、ガラス転移温度又は軟化温度が約260℃以上であることが望ましい。
【0024】
また、耐熱ポリマーは、約4以上の誘電率を有することが望ましい。一実施形態では、耐熱ポリマーは、約7以上の誘電率を有することが望ましい。もう一つの実施形態では、耐熱ポリマーは、約10以上の誘電率を有することが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、耐熱ポリマーは、約15以上の誘電率を有することが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、耐熱ポリマーは、約20以上の誘電率を有することが望ましい。
【0025】
延性の第二のポリマーは、広範な熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマーの配合物、熱硬化性ポリマーの配合物、又は熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーとの配合物から選択され得る。この延性ポリマーは、単独重合体や、星形ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互ブロック共重合体若しくはランダム共重合体のような共重合体、イオノマー、デンドリマー、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせを含み得る。この延性ポリマーはまた、各ポリマー、各共重合体若しくは各三元共重合体等の配合物、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせであってもよい。
【0026】
改質ポリマー材料において用いられ得る延性熱可塑性ポリマーの実例は、セルローストリアセテート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル若しくはポリフェニレンエーテル等、又はこれらの熱可塑性ポリマーの少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(cellulose triacetate, polyimide, polyetherimide, polycarbonate, polyphenylene sulfide, polyetheretherketone, polyester, and polyphenylene ether or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing thermoplastic polymers)を含む。好適実施形態では、延性ポリマーはセルローストリアセテートである。
【0027】
延性熱可塑性ポリマーの配合物の実例は、ポリエチレン−シアノエチルセルロース等、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせを含む。
【0028】
改質ポリマー材料において用いられ得る延性熱硬化性ポリマーの実例は、フルオロシリコーン樹脂等、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせである。
【0029】
一実施形態では、適当な延性熱硬化性ポリマーは、エネルギ活性化可能型熱硬化性プレポリマー組成物から製造され得る熱硬化性ポリマーを含む。実例は、ウレタンポリエステルのようなポリウレタン類、シリコーンポリマー類、フェノール系ポリマー類、アミノポリマー類、エポキシポリマー類、ビスマレイミド類、ポリイミド類及びフランポリマー類(urethane polyesters, silicone polymers, phenolic polymers, amino polymers, epoxy polymers, bismaleimides, polyimides, and furan polymers)を含む。エネルギ活性化可能型熱硬化性プレポリマー成分は、ポリマー前駆体と硬化剤とを含み得る。ポリマー前駆体は熱活性化が可能なものであってよく、触媒の必要を解消する。選択される硬化剤は、熱硬化性ポリマーを形成するのに必要とされるエネルギ源の形式を決定するばかりでなく、熱硬化性ポリマーの得られる特性にも影響し得る。硬化剤の実例は、脂肪族アミン類、芳香族アミン類若しくは酸無水物類、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(aliphatic amines, aromatic amines, acid anhydrides, or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing)を含む。エネルギ活性化可能型熱硬化性プレポリマー組成物は、さらに高いスループット及びさらに低い温度を含めて押出し容易性のために組成物の粘度を低下させる溶剤又は加工助剤を含んでいてよい。溶剤は、架橋反応を遅らせるのを助け、重合の最中又は重合の後に部分的に又は全体的に蒸発することができる。
【0030】
一実施形態では、延性ポリマーは、改質ポリマー材料の総重量の約1重量%〜約90重量%の量で存在する。もう一つの実施形態では、延性ポリマーは、改質ポリマー材料の総重量の約1重量%〜約50重量%の量で存在する。もう一つの実施形態では、延性ポリマーは、改質ポリマー材料の総重量の約1重量%〜約20重量%の量で存在する。
【0031】
延性ポリマーの引張り強さは、ポリマーの可撓性及び延性の一つの尺度となる。延性ポリマーは、約2,000psi以上の引張り強さを有することが望ましい。もう一つの実施形態では、延性ポリマーは、約4,000psi以上の引張り強さを有する。もう一つの実施形態では、延性ポリマーは、約6,000psi以上の引張り強さを有する。さらにもう一つの実施形態では、延性ポリマーは、約8,000psi以上の引張り強さを有する。
【0032】
延性ポリマーの伸びは好ましくは、約2%以上である。一実施形態では、延性ポリマーの伸びは約4以上である。もう一つの実施形態では、延性ポリマーの伸びは約6以上である。さらにもう一つの実施形態では、延性ポリマーの伸びは約10以上である。
【0033】
耐熱ポリマーは、限定しないがグラフト、溶剤配合若しくは溶融配合のような配合、又はこれらの組み合わせを含めて当業者に公知の任意の方法によって延性ポリマーと混合され得る。
【0034】
耐熱ポリマー及び延性ポリマーから形成される改質ポリマー材料は好ましくは、ガラス転移温度が約100℃以上である。一実施形態では、改質ポリマー材料は、ガラス転移温度が約120℃以上であることが望ましい。もう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、ガラス転移温度が約150℃以上であることが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、ガラス転移温度が約180℃以上であることが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、ガラス転移温度が約200℃以上であることが望ましい。
【0035】
また、改質ポリマー材料は、約3以上の誘電定数を有することが望ましい。一実施形態では、改質ポリマー材料は、約5以上の誘電定数を有することが望ましい。もう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、約7以上の誘電定数を有することが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、約10以上の誘電定数を有することが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約15以上の誘電定数を有することが望ましい。
【0036】
改質ポリマー材料の引張り強さは、材料の可撓性及び延性の一つの尺度となる。改質ポリマー材料は、約2,000psi以上の引張り強さを有することが望ましい。もう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、約4,000psi以上の引張り強さを有する。もう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、約6,000psi以上の引張り強さを有する。さらにもう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、約8,000psi以上の引張り強さを有する。改質ポリマー材料は、耐熱ポリマーの延性以上の延性を有する。
【0037】
改質ポリマー材料の伸びは好ましくは、約3%以上である。一実施形態では、改質ポリマー材料の伸びは約5%以上である。もう一つの実施形態では、改質ポリマー材料の伸びは約7%以上である。さらにもう一つの実施形態では、改質ポリマー材料の伸びは約10%以上である。
【0038】
一実施形態では、改質ポリマー材料は、組成物の総重量の約5重量%〜約99.999重量%の量で存在する。もう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、組成物の総重量の約10重量%〜約99.99重量%の量で存在する。もう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、組成物の総重量の約30重量%〜約99.5重量%の量で存在する。もう一つの実施形態では、改質ポリマー材料は、組成物の総重量の約50重量%〜約99.3重量%の量で存在する。
【0039】
反強誘電性粒子は一般的には、組成物に含ませられる前には反強誘電性と強誘電状態との間にある。一般的には、反強誘電状態にある反強誘電性粒子は、改質ポリマー材料の誘電定数に可能な限り近い誘電定数を有することが望ましい。一実施形態では、反強誘電性粒子(反強誘電状態にある)は、改質ポリマー材料の誘電定数の値の10%の範囲内にあるような値の誘電定数を有する。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子(反強誘電状態にある)は、改質ポリマー材料の誘電定数の値の50%の範囲内にあるような値の誘電定数を有する。さらにもう一つの実施形態では、反強誘電性粒子(反強誘電状態にある)は、改質ポリマー材料の誘電定数の値の100%の範囲内にあるような値の誘電定数を有する。さらにもう一つの実施形態では、反強誘電性粒子(反強誘電状態にある)は、改質ポリマー材料の誘電定数の値の500%の範囲内にあるような値の誘電定数を有する。反強誘電性粒子の実例は、ペロブスカイトから誘導された粒子である。
【0040】
一実施形態では、反強誘電性粒子は、下記の式(I)
Pb(M,M,M,…)O (I)
を有するものであり、式中、M、M、Mは遷移金属又は希土類金属である。遷移金属の実例は、周期表の3d族、4d族及び5d族に存在するものであり、例えばスカンジウム、鉄、チタン、クロム若しくはジルコニウム等、又はこれらの遷移金属の少なくとも一つを含んでなる組み合わせのようなものである。希土類金属の実例は、ランタン、セリウム、ネオジム、ガドリニウム若しくはサマリウム等、又はこれらの希土類金属の少なくとも一つを含んでなる組み合わせである。
【0041】
反強誘電性粒子の一例は、下記の式(II)に示すチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含むものである。
【0042】
Pb(ZrTi1−x)O (II)
式中、xは約1以下である。一実施形態では、xは、約0.3〜約1の値を有し得る。もう一つの実施形態では、xは、約0.6〜約1の値を有し得る。さらにもう一つの実施形態では、xは、約0.9〜約1の値を有し得る。PZT反強誘電性粒子は、広い組成空間、従って広範な誘電特性にわたる固溶体の形態として存在する。PZTの相境界及び電気的特性をドーピングによってさらに変化させることもできる。例えば、Pb2+の代わりにLa3+を置き換えると、誘電定数が7000までの強誘電性粒子であって反強誘電性粒子に転化され得る強誘電性粒子が導かれ得る。PZT及びPZT誘導体の実例は、PbHfO、PbZrO、改質Pb(ZrTi)O、PbLa(ZrSnTi)O若しくはPbNb(ZrSnTi)O等、又はこれらの反強誘電性粒子の少なくとも一つを含んでなる組み合わせを含む。例示的な反強誘電性粒子は、ジルコン酸鉛(PbZrO)である。
【0043】
反強誘電性粒子のもう一つの実例は、式(III)のジルコン酸チタン酸ランタン鉛(PLZT)を含むものである。
【0044】
Pb1−xLa(ZrTi1−y1−x/4O (III)
式中、x及びyは各々、それぞれ1までの値を有することができ、x及びyは互いに独立である。一実施形態では、xは約0.1〜約0.3の値を有し、yは約0.8〜約1の値を有し得る。
【0045】
反強誘電性粒子のさらにもう一つの実例は、式(IV)のスカンジウムニオブ酸鉛(PSN)、又は式(V)のスカンジウムタンタル酸鉛(PST)を含むものである。
【0046】
PbScNb1−y (IV)
PbScTa1−x (V)
他の反強誘電性粒子は、PbSc1/2Nb1/2−PbLu1/2Nb1/2、SrTiO−PbZrO、スカンジウムニオブチタン酸鉛(PSNT)及びルテニウムニオブチタン酸鉛(PLuNT)である。
【0047】
もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は無鉛のものである。反強誘電性粒子の実例は、NaNbO、(K,Na)(Nb,Ta)O、KNbO、BaZrO、Na0.250.25Bi0.5TiO、Ag(Ta,Nb)O若しくはNa0.5Bi0.5TiO−K0.5Bi0.5TiO−BaTiO等、又はこれらの無鉛反強誘電性粒子の少なくとも一つを含んでなる組み合わせを含む。
【0048】
前述のように、これらの粒子は、バイアス印加電場に晒されると低誘電定数(反強誘電状態)から高誘電定数(強誘電状態)へ相転移を起こし得る。一実施形態では、反強誘電性粒子は、約4キロボルト/ミリメートル(kV/mm)以上のバイアス印加電場に晒されると反強誘電(低誘電定数)状態から強誘電性(高誘電定数)状態へ相転移を起こし得る。一実施形態では、反強誘電性粒子は、約60キロボルト/ミリメートル(kV/mm)以上のバイアス印加電場に晒されると反強誘電性(低誘電定数)状態から強誘電性(高誘電定数)状態へ相転移を起こし得る。さらにもう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、約200キロボルト/ミリメートル(kV/mm)以上のバイアス印加電場に晒されると反強誘電性(低誘電定数)状態から強誘電性(高誘電定数)状態へ相転移を起こし得る。
【0049】
一実施形態では、組成物の誘電定数は、相転移の際に50%以上増加する。もう一つの実施形態では、組成物の誘電定数は、相転移の際に100%以上増加する。もう一つの実施形態では、組成物の誘電定数は、相転移の際に500%以上増加する。
【0050】
前述のように、反強誘電性粒子は、ナノメートル範囲(10−9メートル範囲)又はマイクロメートル範囲(10−6メートル範囲)にある粒度を有し得る。一実施形態では、反強誘電性粒子は、粒度が約5ナノメートル〜約10マイクロメートルである。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、粒度が約10ナノメートル〜約1マイクロメートルである。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、粒度が約20ナノメートル〜約500ナノメートルである。さらにもう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、粒度が約40ナノメートル〜約200ナノメートルである。
【0051】
一実施形態では、粒子は、改質ポリマー材料との結合を容易にするように表面処理され得る。一実施形態では、表面処理は、シランカップリング剤によって粒子を被覆することを含み、又は所望に応じて、ホスホン酸を用いて粒子を表面処理してもよい。適当なシランカップリング剤の実例は、テトラメチルクロロシラン、ヘキサジメチレンジシラザン若しくはγ−アミノプロポキシシラン等、又はこれらのシランカップリング剤の少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(tetramethylchlorosilane, hexadimethylenedisilazane, gamma-aminopropoxysilane, or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing silane coupling agents)を含む。シランカップリング剤は一般的には、反強誘電性粒子と改質ポリマー材料との相溶性を高め、ホスホン酸は反強誘電性粒子とカップリング剤との間の強い結合の形成を促進する。これらの機能付与剤は、改質ポリマー材料の内部での反強誘電性粒子の分散を改善することができる。
【0052】
前述のように、反強誘電性粒子は、少なくとも一つの寸法がナノメートル範囲又はマイクロメートル範囲にある。一般的には、反強誘電性粒子は約10マイクロメートル以下の平均最大寸法を有することが望ましい。寸法は、径、面の辺又は長さ等であり得る。反強誘電性粒子は、次元が整数によって定義されるような形状を有することができ、例えば反強誘電性粒子は形状が1次元、2次元又は3次元のいずれかである。また、次元が整数によって定義されないような形状を有していてもよい(例えばフラクタルの形態で存在していてもよい)。反強誘電性粒子は、球形、フレーク、繊維若しくはウィスカー等の形態、又はこれらの形態の少なくとも一つを含んでなる組み合わせで存在し得る。反強誘電性粒子は、円形、楕円形、三角形、矩形、多角形又はこれらの幾何学的形状の少なくとも一つを含んでなる組み合わせであり得る断面の幾何学的形状を有し得る。市販されているような反強誘電性粒子は、改質ポリマー材料に含ませる前、又はポリマー材料に含ませた後にも、凝結体又は凝集体の形態で存在し得る。凝結体は互いに物理的に接触した1よりも多い粒子を含んでなり、凝集体は互いに物理的に接触した1よりも多い凝結体を含んでなる。
【0053】
反強誘電性粒子の厳密な粒度、形状及び組成を問わず、反強誘電性粒子は、所望に応じて組成物の総重量の約0.1重量%〜約85重量%の配合量で改質ポリマー材料に分散し得る。一実施形態では、反強誘電性粒子は、組成物の総重量の約1重量%以上の量で存在する。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、組成物の総重量の約10重量%以上の量で存在する。さらにもう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、組成物の総重量の約30重量%以上の量で存在する。一実施形態では、反強誘電性粒子は、組成物の総重量の85重量%以下の量で存在する。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、組成物の総重量の約70重量%以下の量で存在する。さらにもう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、組成物の総重量の約60重量%以下の量で存在する。
【0054】
改質ポリマー材料は、反強誘電性粒子及びその他任意の選択随意で望まれる充填材と併せて一般的には、限定しないがコンパウンディング、溶融配合若しくは溶液配合等のような幾つかの異なる方法、又はこれらの方法の少なくとも一つを含んでなる組み合わせで混合され得る。組成物の溶融配合は、剪断力、延伸力、圧縮力、超音波エネルギ、電磁エネルギ、熱エネルギ又はこれらの力若しくはエネルギの形態の少なくとも一つを含んでなる組み合わせの利用を含んでおり、これらの力が単軸スクリュー、多軸スクリュー、噛合い型同方向回転式若しくは反転方向回転式スクリュー、非噛合い型同方向回転式若しくは反転方向回転式スクリュー、往復スクリュー、ピン付きスクリュー、ピン付きバレル、ロール、ラム、螺旋ロータ、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(a single screw, multiple screws, intermeshing co-rotating or counter rotating screws, non-intermeshing co-rotating or counter rotating screws, reciprocating screws, screws with pins, barrels with pins, rolls, rams, helical rotors, or a combination comprising at least one of the foregoing)によって行使されるような加工設備において行なわれる。
【0055】
上述の力を用いる溶融配合は、限定しないが単軸か多軸のスクリュー押出し機、バス(Buss)ニーダー、ヘンシェル、ヘリコーン、ロス(Ross)ミキサー、バンベリー、ロールミル、若しくは射出成形機、真空形成機や吹込み成形機等の成形用機械等のような機械、又はこれらの機械の少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(single or multiple screw extruders, Buss kneader, Henschel, helicones, Ross mixer, Banbury, roll mills, molding machines such as injection molding machines, vacuum forming machines, blow molding machine, or then like, or a combination comprising at least one of the foregoing machines)において行なわれ得る。一般的には、組成物の溶融配合時又は溶液配合時には、組成物のキログラムについて約0.01キロワット時/キログラム(kwhr/kg)〜約10kwhr/kgの固有エネルギを付与することが望ましい。この範囲内では、組成物を配合するために、約0.05kwhr/kg以上、好ましくは約0.08kwhr/kg以上、さらに好ましくは約0.09kwhr/kg以上の固有エネルギが一般的には望ましい。また、組成物を配合するために、約9kwhr/kg以下、好ましくは約8kwhr/kg以下、さらに好ましくは約7kwhr/kg以下の固有エネルギの量が望ましい。
【0056】
粒子は、改質ポリマー材料に含ませられる前には反強誘電状態にあっても強誘電状態にあってもよい。改質ポリマー材料に含ませた後に強誘電状態にある粒子は、特定の応用での利用の前に反強誘電状態に転化される。一般的には、粒子は、特定の応用での利用の前には反強誘電状態にあることが望ましい。前述のように、約100キロボルト/ミリメートル以下のバイアス印加電場が一般的には用いられて、ポリマーに含ませた反強誘電性粒子の状態を(反強誘電状態から強誘電状態へ)変化させる。このバイアス印加電場は、標本に対する加熱を伴い得る。熱は、バイアス印加電場の印加時に標本に対して対流、伝導又は輻射の形態で加えられてよい。
【0057】
一実施形態では、粉末形態、ペレット形態又はシート形態等にある改質ポリマー材料は、押出し機又はバスニーダーのような溶融配合装置に供給される前に、先ず反強誘電性粒子及び所望に応じて他の選択随意の充填材とヘンシェル又はロールミルにおいて乾燥配合され得る。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、マスターバッチの形態で溶融配合装置に投入される。かかる工程では、マスターバッチは、改質ポリマー材料の下流で溶融配合装置に投入され得る。
【0058】
マスターバッチを用いる場合には、反強誘電性粒子は、マスターバッチの総重量の約10重量%〜約85重量%の量でマスターバッチに存在し得る。一実施形態では、反強誘電性粒子は、マスターバッチの総重量の約30重量%以上の量で用いられる。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、マスターバッチの総重量の約40重量%以上の量で用いられる。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、マスターバッチの総重量の約45重量%以上の量で用いられる。一実施形態では、反強誘電性粒子は、マスターバッチの総重量の約85重量%以下の量で用いられる。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、マスターバッチの総重量の約75重量%以下の量で用いられる。もう一つの実施形態では、反強誘電性粒子は、マスターバッチの総重量の約65重量%以下の量で用いられる。
【0059】
改質ポリマー材料及び反強誘電性粒子を含んでなる組成物は、所望に応じて多数の配合ステップ及び形成ステップに通すことができる。例えば、組成物を先ず押し出してペレットとして形成することができる。次いで、ペレットを成形機に供給し、ここで他の望ましい形態に形成することができる。代替的には、単一の溶融配合機から流出する組成物をシート又はストランドとして形成し、アニール、単軸延伸又は二軸延伸のような押出し後工程に通してもよい。
【0060】
また、溶液配合を用いて組成物を製造することもできる。溶液配合はまた、粒子のポリマー材料との均質化を促進するために、剪断、圧縮又は超音波振動等のような付加的なエネルギを用いてもよい。一実施形態では、流体(例えば溶剤)に懸濁した改質ポリマー材料を反強誘電性粒子と共に超音波処理機に投入することができる。混合物をビーズミリングによって溶液配合した後に、反強誘電性粒子を粉砕して改質ポリマー材料及び流体の内部に分散させるのに実効的な時間にわたって超音波処理する。次いで、改質ポリマー材料を反強誘電性粒子と共に乾燥させ、押し出して、所望に応じて成形する。一般的には、流体が、超音波処理工程時に改質ポリマー材料を膨潤させることが望ましい。改質ポリマー材料の膨潤は一般的には、溶液配合工程時に反強誘電性粒子が改質ポリマー材料に含浸する能力を高め、結果的に分散を改善する。
【0061】
溶液配合に関連するもう一つの実施形態では、反強誘電性粒子を改質ポリマー材料前駆体と共に超音波処理する。改質ポリマー材料前駆体は一般的には、反応してポリマー材料に組み込まれ得るような単量体、二量体又は三量体等である。溶剤のような流体が、選択随意で反強誘電性粒子及び改質ポリマー材料前駆体と共に超音波処理機に投入され得る。超音波処理の時間は一般的には、ポリマー材料前駆体による反強誘電性粒子の封入を促進するのに実効的な量とする。次いで、封入の後に、改質ポリマー材料前駆体を重合して、反強誘電性粒子を内部に分散させた組成物を形成する。
【0062】
この封入及び分散の方法を容易にするのに用いられ得る単量体の適当な実例は、ポリマーの合成に用いられるものであって、限定しないがポリアセタール類、ポリアクリル類、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリアミドイミド類、ポリアリレート類、ポリウレタン類、ポリアリールスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリアリーレンスルフィド類、ポリビニルクロリド類、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド類、ポリテトラフルオロエチレン類、ポリエーテルケトン類若しくはポリエーテルエーテルケトン類等のようなもの、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(polyacetals, polyacrylics, polycarbonates, polystyrenes, polyesters, polyamides, polyamideimides, polyarylates, polyurethanes, polyarylsulfones, polyethersulfones, polyarylene sulfides, polyvinyl chlorides, polysulfones, polyetherimides, polytetrafluoroethylenes, polyetherketones, polyether etherketones, or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing)である。一実施形態では、改質ポリマー材料前駆体、流体及び/又は粒子の混合物は、約1分間〜約24時間の時間にわたって超音波処理される。もう一つの実施形態では、混合物は、約5分間以上の時間にわたって超音波処理される。もう一つの実施形態では、混合物は、約10分間以上の時間にわたって超音波処理される。もう一つの実施形態では、混合物は、約15分間以上の時間にわたって超音波処理される。一実施形態では、混合物は、約15時間以下の時間にわたって超音波処理される。もう一つの実施形態では、混合物は、約10時間以下の時間にわたって超音波処理される。もう一つの実施形態では、混合物は、約5時間以下の時間にわたって超音波処理されるとさらに好ましい。
【0063】
組成物の溶液配合においては溶剤を選択随意で用いてよい。溶剤は、粘度調整剤として用いられてもよいし、粒子の分散及び/又は懸濁を促進するために用いられてもよい。プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチロラクトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、スルフォラン、ジメチルホルムアミド若しくはN−メチルピロリドン(NMP)等のような非プロトン性の極性液体溶剤、又はこれらの溶剤の少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(propylene carbonate, ethylene carbonate, butyrolactone, acetonitrile, benzonitrile, nitromethane, nitrobenzene, sulfolane, dimethylformamide, N-methylpyrrolidone (NMP), or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing solvents)を用いることができる。また、水、メタノール、アセトニトリル、ニトロメタン、エタノール、プロパノール、イソプロパノール若しくはブタノール等のような極性プロトン性溶剤、又はこれらの極性プロトン性溶剤の少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(water, methanol, acetonitrile, nitromethane, ethanol, propanol, isopropanol, butanol, or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing polar protic solvents)を用いてもよい。ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、四塩化炭素、ヘキサン、ジエチルエーテル若しくはテトラヒドロフラン等のような他の非極性溶剤、又はこれらの溶剤の少なくとも一つを含んでなる組み合わせ(benzene, toluene, methylene chloride, carbon tetrachloride, hexane, diethyl ether, tetrahydrofuran, or the like, or a combination comprising at least one of the foregoing solvents)を所望に応じて用いてもよい。少なくとも1種の非プロトン性極性溶剤と少なくとも1種の非極性溶剤とを含んでなる共溶剤を用いてもよい。一実施形態では、溶剤はキシレン又はn−メチルピロリドンである。
【0064】
溶剤を用いる場合には、組成物の総重量の約1重量%〜約90重量%の量で用いることができる。一実施形態では、溶剤を用いる場合には、組成物の総重量の約2重量%〜約50重量%の量で用いることができる。さらにもう一つの実施形態では、溶剤を用いる場合には、組成物の総重量の約3重量%〜約30重量%の量で用いることができる。さらにもう一つの実施形態では、溶剤を用いる場合には、組成物の総重量の約5重量%〜約20重量%の量で用いることができる。一般的には、組成物の配合の前、最中及び/又は後に溶剤を蒸発させることが望ましい。
【0065】
溶液配合の後に、所望の組成物を含んでなる溶液を所望の基材に対して流延、スピン流延、浸漬被覆、吹付け塗工、刷毛塗り及び/又は静電吹付け塗工することができる。次いで、溶液を乾燥させて表面に組成物を残す。もう一つの実施形態では、所望の組成物を含んでなる溶液を高速回転、圧縮成形、射出成形又は吹込み成形して、組成物を含んでなる物品を形成することができる。
【0066】
配合は、分散剤、結合剤、改質剤、洗浄剤及び添加剤のような様々な二次種を用いて支援され得る。また、組成物の特性の1又は複数を強化するために二次種を添加してもよい。また、ポリマー材料の薄層によって、又は改質ポリマー材料と相溶の例えばシラン層若しくはホスホン酸層のような相によって、粒子を予備的に被覆することにより配合を支援することもできる。
【0067】
一実施形態では、改質ポリマー材料と、乱雑な配向及び位置にある反強誘電性粒子とを含んでなる組成物は、反強誘電性粒子を配向させるために電場に晒され得る。電場の印加は、組成物が溶融状態にあるとき又は溶液内にあるときに実行され得る。電場の存在下で固化が生じ得る。電場に晒されると、反強誘電性粒子は好ましい配向に再整列することができる。一実施形態では、電場を用いて、さらに高い誘電定数を生ずるようにこれらの粒子を柱状構造に整列させることができる。図2は、電場に整列した反強誘電性粒子を示しており、これにより組成物の誘電定数は少なくとも50%だけ増加する。
【0068】
改質ポリマー材料及び低誘電定数状態にある反強誘電性粒子とを含んでなる組成物は、単独での改質ポリマー材料を凌ぐ利点を有する。一実施形態では、組成物は、単独でのポリマー材料を含んでなる組成物よりも少なくとも10%大きい誘電定数を有する。もう一つの実施形態では、組成物は、単独でのポリマー材料よりも少なくとも50%大きい誘電定数を有する。もう一つの実施形態では、組成物は、単独でのポリマー材料よりも少なくとも100%大きい誘電定数を有する。
【0069】
反強誘電性粒子を強誘電性粒子へ転化するための電場を印加すると、組成物は、単独での改質ポリマー材料よりも少なくとも200%大きい誘電定数を有し得る。一実施形態では、転化時に、組成物は、単独でのポリマー材料を含んでなる組成物よりも少なくとも300%大きい誘電定数を有する。もう一つの実施形態では、転化時に、組成物は、単独での改質ポリマー材料よりも少なくとも400%大きい誘電定数を有する。もう一つの実施形態では、転化時に、組成物は、単独での改質ポリマー材料よりも少なくとも500%大きい誘電定数を有する。
【0070】
改質ポリマー材料と高誘電定数状態(強誘電状態)にある粒子とを含んでなる組成物は、改質ポリマー材料及び低誘電定数状態(反強誘電状態)にある粒子を凌ぐさらに他の利点を有する。一実施形態では、組成物は、改質ポリマー材料と低誘電定数状態にある粒子とを含んでなる組成物よりも少なくとも50%大きい誘電定数を有する。もう一つの実施形態では、組成物は、改質ポリマー材料及び低誘電定数状態にある粒子よりも少なくとも100%大きい誘電定数を有する。もう一つの実施形態では、組成物は、改質ポリマー材料及び低誘電定数状態にある粒子よりも少なくとも500%大きい誘電定数を有する。
【0071】
組成物はまた、単独での改質ポリマー材料よりも有利なだけ大きい絶縁破壊電圧を有する。一実施形態では、組成物は、少なくとも50キロボルト/ミリメートルの絶縁破壊電圧を有する。絶縁破壊は一般的には、組成物の厚みに関して決定される。もう一つの実施形態では、組成物は、少なくとも100キロボルト/ミリメートルの絶縁破壊電圧を有する。もう一つの実施形態では、組成物は、少なくとも300キロボルト/ミリメートルの絶縁破壊電圧を有する。
【0072】
組成物はまた、単独での改質ポリマー材料よりも有利なだけ大きいコロナ抵抗を有する。一実施形態では、組成物は、約200時間〜約2000時間にわたって印加される約1000ボルト〜5000ボルトの電流に耐えるコロナ抵抗を有する。もう一つの実施形態では、組成物は、約250時間〜約1000時間にわたって印加される約1000ボルト〜5000ボルトの電流に耐えるコロナ抵抗を有する。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約500時間〜約900時間にわたって印加される約1000ボルト〜5000ボルトの電流に耐えるコロナ抵抗を有する。
【0073】
組成物は、約1ヘルツ〜約10ヘルツ(Hz)の周波数で測定したときの誘電定数が約3以上である。一実施形態では、組成物は、約1ヘルツ〜約10ヘルツ(Hz)の周波数で測定したときの誘電定数が約5以上である。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約1ヘルツ〜約10ヘルツ(Hz)の周波数で測定したときの誘電定数が約10以上である。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約1ヘルツ〜約10ヘルツ(Hz)の周波数で測定したときの誘電定数が約50以上である。
【0074】
組成物は、約100℃以上のガラス転移温度又は軟化点温度を有することが望ましい。一実施形態では、組成物は、約120℃以上のガラス転移温度又は軟化点温度を有することが望ましい。もう一つの実施形態では、組成物は、約150℃以上のガラス転移温度又は軟化点温度を有することが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約180℃以上のガラス転移温度又は軟化点温度を有することが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約200℃以上のガラス転移温度又は軟化点温度を有することが望ましい。
【0075】
また、ナノ粒子充填組成物は、約10以上の誘電率を有することが望ましい。一実施形態では、組成物は、約20以上の誘電率を有することが望ましい。もう一つの実施形態では、組成物は、約30以上の誘電率を有することが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約50以上の誘電率を有することが望ましい。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約100以上の誘電率を有することが望ましい。
【0076】
図3には、様々な耐熱ポリマーの誘電率に対するBaTiO強誘電性粒子の効果を示すグラフが示されている。図示のように、ポリマー複合材の誘電率は、複合材での強誘電性粒子の体積%が増加するにつれて増加する。かかる誘電率増加の実効性は、母材の誘電率に依存する。プロットに示すように、高い誘電率を有する母材を含んでなる複合材ほど高い全複合材誘電率を呈する。例えば、40%体積配合量のチタン酸バリウムでは、CR(誘電率19)を基剤とする複合材は、80の複合材誘電率を有する。同様に、40%体積配合量のチタン酸バリウムでは、PVDF(誘電率11)を基剤とする複合材は、40の複合材誘電率を有する。比較すると、シリコーン(誘電率2.7)を基剤とする複合材は、16の複合材誘電率を有するに留まる。
【0077】
ポリマー組成物の引張り強さは、組成物の可撓性及び延性の一つの尺度となる。組成物は、約3,000psi以上の引張り強さを有することが望ましい。もう一つの実施形態では、組成物は、約5,000psi以上の引張り強さを有する。もう一つの実施形態では、組成物は、約7,000psi以上の引張り強さを有する。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、約9,000psi以上の引張り強さを有する。
【0078】
組成物の伸びは好ましくは、約2%以上である。一実施形態では、組成物の伸びは約4%以上である。もう一つの実施形態では、組成物の伸びは約6%以上である。さらにもう一つの実施形態では、組成物の伸びは約8%以上である。
【0079】
ナノ粒子を含んでなる組成物はまた、光学的に透明であってよい。一実施形態では、組成物は、可視光に対する透過率が約70%以上である。もう一つの実施形態では、組成物は、可視光に対する透過率が約80%以上である。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、可視光に対する透過率が約90%以上である。さらにもう一つの実施形態では、組成物は、可視光に対する透過率が約95%以上である。さらにもう一つの実施形態では、組成物はまた、成形時にAクラス表面仕上を有する。射出成形、吹込み成形若しくは圧縮成形等、又はこれらの少なくとも一つを含んでなる組み合わせによって成形物品を製造することができる。
【0080】
組成物は、共振回路における過渡電圧クランプ、リプル電圧降下及び波形補正を含めた応用のためのエネルギ蓄積装置及び電力変換装置に有利に用いることができる。また、組成物は、点火プラグ/イグナイタ用キャパシタ、除細動装置及びX線発生器において有利に用いることができる。組成物は、電力変換応用、電力調節応用及びパルス電力応用のような広範な応用について、薄膜キャパシタを含めたキャパシタに特に有用である。
【0081】
以下の実施例は、本書に記載した様々な実施形態の幾つかの組成物及び製造の方法を限定的ではなく例示的に示すものである。
【実施例1】
【0082】
《改質ポリマー材料の形成》
ポリビニリデンフルオリド(PVDF)及びシアノエチルプルランから改質ポリマー材料を形成した。PVDF及びシアノエチルプルランは両者とも市販されている。PVDF及びシアノエチルプルランをボールミキサを用いて50/50比で溶融混合した。スクリュー速度を90rpmとして25分間を超える時間にわたって220℃で溶融混合した後に、均一な樹脂混合物が形成された。次いで、この改質ポリマー材料を圧縮成形して、20マクロメートル〜150マイクロメートルの範囲の厚みを有するフィルムとした。次いで、標準的な誘電性試験設定を用いてフィルムの誘電定数及び絶縁破壊強度を測定した。
【実施例2】
【0083】
《ポリマー母材の誘電定数に対する反強誘電性粒子の効果》
反強誘電性ジルコン酸鉛粉末を、ペイントシェーカーを用いて20分間にわたりアセトン内で微粉砕した。微粉砕した粉末を乾燥させて、200メッシュの篩で篩い分けした。シアノエチルプルラン(CRS)2gを先ず10mLのDMF溶剤に溶かしてCRS溶液を形成した。このCRS溶液に、ナノ粒度反強誘電性粒子を約20体積%の量で加えた。次いで、粒子を含むCRS溶液を高速遠心ミキサを用いて混合し、続いて高出力超音波処理を施した。次いで、溶液をクリーンフード下でガラス基材に流延した。フィルムが形成するまで溶液を乾燥させた。組成物フィルムを、ヒューレット・パッカード社製の誘電性分析器HP4285Aを用いて室温において1Hz〜10Hzの周波数で誘電定数試験に掛けた。フィルム厚は5マイクロメートル〜50マイクロメートルであり、このフィルムに白金をスパッタ被覆した。白金は誘電性分析器の電極との電気接点を確立した。反強誘電性粒子は、図4に示すようにCRSポリマーの誘電定数を増加させた。
【0084】
本書に開示した全ての範囲は端点を包含し、端点は互いに結合可能である。本書で用いた「第一」、「第二」等の用語は、如何なる序列、量又は重要性を意味するものでもなく、一つの要素を他の要素から識別するために用いた。「約」との修飾語、及び量に添えて用いた「約」は、所載の値を包含し、文脈によって規定される意味を有する(例えば特定の量の測定に関連する程度の誤差を含む)。また、本発明を記載する文脈において(特に後記の特許請求の範囲の文脈において)単数不定冠詞、定冠詞及び類似の指示対象を用いたが、特に記載がない限り、また文脈と明白に矛盾していない限り、単数及び複数の両方を包含するものとする。
【0085】
本発明を限定された数の実施形態にのみ関連して詳細に記載したが、本発明はかかる開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されよう。寧ろ、本発明は、本書では記載されていないが発明の要旨及び範囲に沿った任意の数の変形、代替構成、置換構成又は均等構成を組み入れるように改変することができる。加えて、本発明の様々な実施形態について記載したが、発明の各観点は所載の実施形態の幾つかのみを含んでいてもよいことを理解されたい。従って、本発明は、以上の記載によって制限されるのではなく、特許請求の範囲によってのみ制限されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱ポリマーと、
第二のポリマーと、
を含んでなる改質ポリマー材料と、
セラミック反強誘電性粒子と
を含んでなり、約10以上の誘電率を有する組成物。
【請求項2】
前記耐熱ポリマーは熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第二のポリマーは熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記改質ポリマー材料は約3以上の誘電定数を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物を含んでなる物品。
【請求項6】
改質ポリマー材料を形成するように耐熱ポリマーを第二のポリマーと混合するステップと、
組成物を形成するように前記改質ポリマー材料を反強誘電性粒子と混合するステップと
を備えており、約10以上の誘電率を有する組成物を製造する方法。
【請求項7】
前記耐熱ポリマーは熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第二のポリマーは熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記改質ポリマー材料は前記耐熱ポリマーの延性以上の延性を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法により製造される物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−299062(P2009−299062A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−139727(P2009−139727)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】