反応器の製造方法およびその筐体
【課題】 内筒1と、外筒2と、上蓋3および下蓋4とを有する反応器の製造をより容易に行なうこと。
【解決手段】 上蓋3および下蓋4の面積に比べて小さい面積の充填孔7を外筒2または上蓋3あるいは下蓋4に予め形成しておき、その外筒2と内筒1と上蓋3と下蓋4とを組立てて、全体を炉内に挿入し、一体にろう付け固定する。次いで、充填孔7から触媒6を充填し、その充填孔7を小蓋8を介して溶接により閉塞する。
【解決手段】 上蓋3および下蓋4の面積に比べて小さい面積の充填孔7を外筒2または上蓋3あるいは下蓋4に予め形成しておき、その外筒2と内筒1と上蓋3と下蓋4とを組立てて、全体を炉内に挿入し、一体にろう付け固定する。次いで、充填孔7から触媒6を充填し、その充填孔7を小蓋8を介して溶接により閉塞する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外筒と内筒とを有する反応器の製造方法および、その筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から原料ガスと水蒸気の混合物(以下単に原料ガスいう)を改質触媒の存在下に水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを生成する反応器が知られている。また、その原料ガスを脱硫触媒により脱硫する反応器も知られている。
この改質反応に必要な熱を供給する方式として、外部加熱型と、内部加熱型がある。外部加熱型としては、下記特許文献1のように、バーナ等による加熱部を設け、その熱源で原料ガスと水蒸気を反応させて、改質ガスを生成するようになっている。
【0003】
内部加熱型反応器は、その供給側に部分酸化反応層を設け、その部分酸化反応層で発生した熱を用いて、下流側に配置した水蒸気改質反応層を水蒸気改質反応が生じる温度まで加熱し、加熱された水蒸気改質反応層で、水蒸気改質反応をさせて水素リッチな改質ガスを生成するようになっている。この例としては、下記特許文献2に記載されている。
いずれの場合にも、内筒と、外筒とを有するとともに、それらの間に1つ以上の中間筒を有する。なお、基本的には内筒と外筒のみで、反応器を構成することも可能である。
また、脱硫用の反応器は、内筒と外筒との間に脱硫触媒を充填し、内筒内に加熱ガスを流通させ、原料ガスを脱硫触媒に流通させつつ、原料ガスの加熱行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4145785号公報
【特許文献2】特開2007−204343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記何れの反応器も、内筒と外筒とが同軸上に存在し、両筒体間を上蓋と下蓋で閉塞し、内部を気密に維持する必要がある。そして、その内部に触媒が充填される。
このような構造の反応器は、内筒と外筒との間を下蓋で一体に接合し、上蓋を開放した状態で、そこから内部に触媒を挿入し、次いで、上蓋を溶接により接合していた。その上蓋は、少なくともその外周の全周を外筒に溶接する必要があり、その溶接長さが比較的長く、その溶接作業が面倒である欠点があった。
そこで、本発明は可能な限り炉内のろう付け作業で、反応器の大部分を一体に制作し、溶接作業を可及的に少なくすることができる反応器の製造方法および、その筐体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明は、内筒(1)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、それら両筒(1)(2)間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の充填孔(7)を、外筒(2)の側壁(2a)または上蓋(3)あるいは下蓋(4)に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記充填孔(7)から、触媒(6)を筐体内に充填する工程と、
次いで、その充填孔(7)を小蓋(8)を介して溶接により閉塞する工程と、を具備する反応器の製造方法である。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、内筒(1)と、その外側を被嵌する中間筒(10)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、その内筒(1)と外筒(2)との間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の第1充填孔(7a)および第2充填孔(7b)を中間筒(10)および外筒(2)の各側壁に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、中間筒(10)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記ろう付け工程の後に、前記第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と内筒(1)との間に第1触媒(6a)を充填する工程と、
次いで、その第1充填孔(7a)に第1小蓋(8a)を被嵌して、それらを溶接により閉塞する工程と、
次いで、中間筒(10)と外筒(2)との間に第2触媒(6b)を充填した後に、第2充填孔(7b)を第2小蓋(8b) を介して溶接により閉塞する工程と、を具備する反応器の製造方法である。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、内筒(1)と、その外側を被嵌する中間筒(10)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、その内筒(1)と外筒(2)との間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の一対の第2充填孔(7b)を、中間筒(10)の半径方向の内側および外側で、上蓋(3)または下蓋(4)に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、中間筒(10)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記ろう付け工程の後に、前記半径方向の内側の第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と内筒(1)との間に第1触媒(6a)を充填すると共に、前記半径方向の外側の第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と外筒(2)との間に第2触媒(6b)を充填する工程と、
次いで、一対の第2充填孔(7b)に夫々小蓋(8) を被嵌して、各第2充填孔(7b)と各小蓋(8) との間を溶接により閉塞する工程と、
を具備する反応器の製造方法。
である。
【0009】
請求項4に記載の本発明は、請求項1または請求項3に記載の反応器の製造方法において、
上蓋(3)または下蓋(4)に対向して内部に通気用のパンチングメタル(16)が介装され、その上蓋(3)または下蓋(4)とパンチングメタル(16)とに、それぞれ充填孔 (7) (20)が設けられ、触媒(6)が各充填孔 (7) (20)を通過して内部に充填された後に、各充填孔(7) (20)が小蓋(8) で閉塞される反応器の製造方法である。
請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の反応器の製造方法において、
上蓋(3)または下蓋(4)の 充填孔 (7)に嵌着される小蓋(8)が有底の筒状に形成され、その底面によりパンチングメタル(16)の充填孔(20)を閉塞する反応器の製造方法である。
【0010】
請求項6に記載の本発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の反応器の製造方法において、
前記外筒(2)または中間筒(10)または上蓋(3)あるいは下蓋(4)の充填孔の口縁部を、予め外側に突出しておき、その突出縁(9)に前記小蓋(8)を溶接することを特徴とする反応器の製造方法である。
請求項7に記載の本発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の製造方法により製造され、その外筒(2)の外周または上蓋(3)または下蓋(4)に充填孔を有し、それが溶接により小蓋(8)で閉塞された反応器の筐体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の反応器の製造方法は、上蓋等に比べて小さな面積の充填孔7を外筒2の側壁2aまたは上蓋3あるいは下蓋4に予め形成し、その外筒2と、内筒1と、上蓋3と、下蓋4とを組立て、一体的にろう付け固定した後に、その充填孔7から触媒6を充填し、その充填孔7を小蓋8で閉塞するものである。
このようにすることにより、比較的小さな充填孔7と小蓋8のみの溶接によって、全体の気密性を図ることができる。即ち、筐体5の大部分を炉内で一体にろう付けし、僅かな残り部分の後工程で反応器を完成することができる。しかも、外筒2の側壁2aまたは上蓋3あるいは下蓋4に充填孔7を設けるので、その充填孔7を上方に位置すれば、筐体内に略隙間なく触媒6を充填できる。
従来の製造方法では、上蓋3を開放した状態で、触媒6を内部に充填し、上蓋3と外筒2とを溶接していたので、その溶接長さが極めて長くなっていた。その溶接長さを本発明では、短くできる効果がある。
【0012】
請求項2に記載のように、内筒1と外筒2との間に中間筒10が存在する場合にも、筐体5の大部分を炉内で一体的にろう付けし、小蓋8の部分を後工程で溶接することができ、製造が容易且つ、迅速で量産性に優れている。それと共に、中間筒10および外筒2の各側壁にそれぞれ充填孔を設けるので、その各充填孔を上方に位置することにより、筐体内に略隙間なく触媒6を充填できる。
請求項3に記載のように、内筒1と外筒2との間に中間筒10を有し、上蓋3または下蓋4に予め一対の第2充填孔7bを設けた場合にも、触媒6の充填が容易で且つ、後工程の一対の小蓋8の部分の溶接で、一対の第2充填孔7bを閉塞することができる。しかも、上蓋3および下蓋4は平面とすることができ、その平面に設ける一対の第2充填孔7bと一対の小蓋8との溶接はより容易である。
【0013】
請求項4に記載のように、上蓋3または下蓋4に対向してパンチングメタル16が介装され、それらに充填孔7、20を設けた場合にも、より容易に触媒6を充填し、各充填孔7、20を小蓋8で閉塞することができる。
請求項5に記載のように、上蓋3または下蓋4の充填孔7に嵌着される小蓋8を有底の筒状に形成し、その底面によりパンチングメタル16の充填孔20を閉塞する場合には、一つの小蓋8によって、充填孔7と充填孔20とを同時に閉塞することができる。そのため、部品点数が少なく、製造が容易となる。
【0014】
請求項6に記載のように、外筒2または中間筒10または上蓋3あるいは下蓋4の充填孔の孔縁部を予め外側に突出しておき、その突出縁9に小蓋8を溶接する場合には、その溶接熱により、触媒が変質することを可及的に防止できる。
また、上記製造方法により製造された反応器の筐体は、溶接部分が少ないため量産性の高いものを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例の反応器の製造方法の説明図。
【図2】同軸断面図。
【図3】本発明の第2実施例の反応器の軸断面図。
【図4】同反応器の製造方法の説明図。
【図5】本発明の第3実施例の反応器の軸断面略図。
【図6】本発明の第4実施例の製造方法の説明図。
【図7】同軸断面図。
【図8】本発明の第5実施例の反応器の軸断面図。
【図9】本発明の第6実施例の反応器の軸断面図。
【図10】本発明の第7実施例の反応器の軸断面略図。
【図11】本発明の第8実施例の反応器の軸断面略図。
【図12】本発明の第9実施例の反応器の軸断面略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
(第1実施例)
図1および図2は本発明の第1実施例の反応器を示す。この反応器は、内筒1と外筒2と上蓋3および下蓋4とで、筐体5を構成し、その筐体5の内部に触媒6が介装されるものである。なお、この例は、外部加熱型の反応器である。
外筒2の外周2aには、予め上蓋3、下蓋4の面積に比べて小さな面積の充填孔7が形成され、その孔縁部が外側に膨出して、突出縁9を形成する。この突出縁9の高さは一例として、2〜3mm程度とすることができる。この突出縁9には、その周縁部に整合する小蓋8が被着される。
【0017】
(製造方法)
内筒1と外筒2と、上蓋3および下蓋4とを図1のごとく組立てた状態で、全体を炉内に挿入する。この例では、各部品はステンレス鋼で形成されており、互いに接触する接触部には粉末ろう材がバインダーを介して保持されている。そして、高温の炉内でろう材を溶融し、それを冷却硬化することにより、各部品間が一体にろう付け固定される。
ろう付け完了の後、外筒2に設けた充填孔7を上方に向け、そこから触媒6を内筒1と外筒2との間に充填する。このとき、触媒6は充填孔7の突出縁9の根元以下まで充填される。次いで、充填孔7の突出縁9に小蓋8を当接し、小蓋8の外周を突出縁9に溶接固定する。その突出縁9の近傍には触媒6が存在しないので、溶接熱で触媒が変質するおそれはない。
【0018】
なお、この例では下蓋4に供給パイプ12が貫通し、上蓋3に出力パイプ13が貫通する。そして、内筒1および外筒2の軸線が重力方向に向くように配置される。このとき、触媒6は、重力により充填孔7の突出縁9内にも充填される。図2はそれを省略している。実際には、その突出縁9内の体積分、そこに触媒6が充填されるので、その分だけ触媒6の上端位置が僅かに低くなる。
その内筒1内にはバーナ11が設けられ、その熱により触媒6が加熱される。供給パイプ12から原料ガス14が触媒6に供給され、それが触媒6内で水蒸気改質されて、出力パイプ13から改質ガス15が取り出され、それが図示しない燃料電池に供給される。
【0019】
(第2実施例)
次に、図3および図4は、内筒1と外筒2との間に中間筒10を配置し、さらに上蓋3と下蓋4との間に一対のパンチングメタル16(多孔プレート)を配置したものである。そして、中間筒10と内筒1との間に第1触媒6aを充填し、中間筒10と外筒2との間に第2触媒6bを充填するものである。なお、この例も外部加熱型の反応器である。
この例では、中間筒10の側壁に第1充填孔7aを、外筒2の側壁に第2充填孔7bを形成しておく。なお、第1充填孔7aと第2充填孔7bとは、それらの中心軸が整合するように突設するとともに、第2充填孔7bの孔径は第1充填孔7aのものよりも大きく形成される。
これは、第2充填孔7bの開口径を溶接機の先端が入る大きさに形成して、第1充填孔7aの溶接作業を容易に行うためである。
【0020】
(製造方法)
この例では、中間筒10の側壁に第1充填孔7aを、外筒2の側壁に第2充填孔7bを形成しておく。そして、内筒1と外筒2との間に中間筒10を配置するとともに、それらの軸方向上下に一対のパンチングメタル16および上蓋3、下蓋4を配置し、全体を一体的にろう付け固定する。
ろう付け固定後、内筒1と中間筒10との間に第1触媒6aを充填し、第1充填孔7aに小蓋8aを被嵌して、それらの接触部間を溶接により閉塞する。この第1充填孔7aの孔縁部にも前記第1実施例同様の突出縁9が形成されている。次いで、第2充填孔7bより第2触媒6bを中間筒10と外筒2との間に充填し、その第2充填孔7bを第2小蓋8bを介して溶接により閉塞する。
【0021】
そして、供給パイプ12を外筒2の下端部に貫通させ、そこから原料ガス14を供給する。供給された原料ガス14は、中間筒10と外筒2との間を上昇し、その上端でUターンし、中間筒10と内筒1との間を下降する。そして、出力パイプ13から改質ガス15が図示しない燃料電池に供給される。このとき、内筒1内にはバーナ11が設けられ、その燃焼ガスによって、第1触媒6a、第2触媒6bが加熱される。
【0022】
(第3実施例)
次に、図5は自己酸化内部加熱型の反応器であり、この例は、内筒1が空気の供給管を形成し、その外周に小孔18が穿設されている。そして、中間筒10と内筒1との上部に酸化触媒が配置され、その下方に触媒が配置されている。また、中間筒10と外筒2との間にも触媒が充填されたものである。この例も、図3および図4と同様に製造される。そして、内筒1の上端は端蓋19で閉塞される。
【0023】
(第4実施例)
図6および図7は、本発明の第4実施例であり、この実施例が図1および図2のそれと異なる点は、充填孔7が上蓋3に設けられた点である。この上蓋3に替えて、下蓋4に充填孔7を設けても良い。上蓋3、下蓋4は平面に形成され、そこに充填孔7を設けるとともに、その孔縁部に突出縁9を設けている。また、突出縁9の上縁は一平面上に存在するため、そこに小蓋8を被着して、それらの間を溶接固定することも容易である。
この例においては、充填孔7を上方位置にして、そこから内部に触媒6を挿入し、次いで突出縁9に小蓋8を溶接固定すればよい。
【0024】
(第5実施例)
次に図8は、上蓋3および下蓋4に対向して一対のパンチングメタル16が配置されたものである。そして、各パンチングメタル16と上蓋3、下蓋4との間に原料ガス14および改質ガス15の入口タンク、出口タンクを形成したものである。
それぞれのパンチングメタル16には、ステンレス鋼板に多数の孔が穿設され、その孔の直径は、触媒6のそれよりも小に形成されている。そして、上側のパンチングメタル16と上蓋3とにそれぞれ第1充填孔7a、第2充填孔7bが穿設され、それらを介して、一対のパンチングメタル16間に触媒6を充填する。その後、第1充填孔7aに第1小蓋8aを被嵌し、その外周を溶接固定する。次いで、上蓋3の第2充填孔7bに第2小蓋8bを被嵌し、その外周を溶接固定したものである。それらの作業性を良好にするため、外側の第2小蓋8bを内側の小蓋8aより大きくしている。上記の例に代えて、下側のパンチングメタル16と下蓋4とにそれぞれ第1充填孔7a、第2充填孔7bを穿設してもよい。
【0025】
(第6実施例)
次に図9は、本発明の第6実施例であり、この例が図8のそれと異なる点は、一つの小蓋8によって、上蓋3の第2充填孔7bとパンチングメタル16の第1充填孔7aとを同時に閉塞したものである。この小蓋8は、有底の筒状に形成され、その底面がパンチングメタル16の第1充填孔7aに嵌着する。そして、外周面が上蓋3の第2充填孔7bに嵌着し、その第2充填孔7bと、小蓋8外周とが溶接固定されるものである。
【0026】
(第7実施例)
次に図10は本発明の第7実施例であり、この例は図3の実施例同様に、中間に中間筒10を有し、その中間筒10の両側において、そのパンチングメタル16には一対の第1充填孔7aを、上蓋3には一対の第2充填孔7bをそれぞれ設け、それらの孔を介して中間筒10の半径方向の両側に第1触媒6aと第2触媒6bとを充填する。その後に、一対の小蓋8によって、一対の第1充填孔7aと、一対の第2充填孔7bとを同時に閉塞したものである。
【0027】
(第8実施例)
次に図11は本発明の第8実施例であり、この例が図9の実施例と異なる点は、小蓋8とパンチングメタル16の第1充填孔7aとの間に隙間を設けた点である。この小蓋8と第1充填孔7aとの隙間は、触媒の粒径よりも小にされ、そこからも原料ガスが流通する。さらには、その孔縁に立ち上げられたバーリング加工部にもパンチングメタルの小孔が存在する。
【0028】
(第9実施例)
次に図12は本発明の第9実施例であり、この例が図8の実施例と異なる点は、第1小蓋8aがパンチングメタルで形成され、そこからも原料ガスが流通することである。
【0029】
(他の実施例)
上記各例は改質器としての反応器について述べたが、脱硫器としての反応器にも本発明は上記各実施例を利用できる。その場合、改質触媒の代わりに、脱硫触媒が内筒と外筒との間に充填される。そして、原料ガスが内筒と外筒との間に供給され、脱硫された原料ガスが図示しない水蒸気と混合されて、その混合ガスが改質器に供給される。
【符号の説明】
【0030】
1 内筒
2 外筒
2a 外周
3 上蓋
4 下蓋
5 筐体
【0031】
6 触媒
6a 第1触媒
6b 第2触媒
7 充填孔
7a 第1充填孔
7b 第2充填孔
【0032】
8 小蓋
8a 第1小蓋
8b 第2小蓋
9 突出縁
10 中間筒
11 バーナ
12 供給パイプ
13 出力パイプ
14 原料ガス
【0033】
15 改質ガス
16 パンチングメタル
17 空気
18 小孔
19 端蓋
20 充填孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、外筒と内筒とを有する反応器の製造方法および、その筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から原料ガスと水蒸気の混合物(以下単に原料ガスいう)を改質触媒の存在下に水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを生成する反応器が知られている。また、その原料ガスを脱硫触媒により脱硫する反応器も知られている。
この改質反応に必要な熱を供給する方式として、外部加熱型と、内部加熱型がある。外部加熱型としては、下記特許文献1のように、バーナ等による加熱部を設け、その熱源で原料ガスと水蒸気を反応させて、改質ガスを生成するようになっている。
【0003】
内部加熱型反応器は、その供給側に部分酸化反応層を設け、その部分酸化反応層で発生した熱を用いて、下流側に配置した水蒸気改質反応層を水蒸気改質反応が生じる温度まで加熱し、加熱された水蒸気改質反応層で、水蒸気改質反応をさせて水素リッチな改質ガスを生成するようになっている。この例としては、下記特許文献2に記載されている。
いずれの場合にも、内筒と、外筒とを有するとともに、それらの間に1つ以上の中間筒を有する。なお、基本的には内筒と外筒のみで、反応器を構成することも可能である。
また、脱硫用の反応器は、内筒と外筒との間に脱硫触媒を充填し、内筒内に加熱ガスを流通させ、原料ガスを脱硫触媒に流通させつつ、原料ガスの加熱行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4145785号公報
【特許文献2】特開2007−204343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記何れの反応器も、内筒と外筒とが同軸上に存在し、両筒体間を上蓋と下蓋で閉塞し、内部を気密に維持する必要がある。そして、その内部に触媒が充填される。
このような構造の反応器は、内筒と外筒との間を下蓋で一体に接合し、上蓋を開放した状態で、そこから内部に触媒を挿入し、次いで、上蓋を溶接により接合していた。その上蓋は、少なくともその外周の全周を外筒に溶接する必要があり、その溶接長さが比較的長く、その溶接作業が面倒である欠点があった。
そこで、本発明は可能な限り炉内のろう付け作業で、反応器の大部分を一体に制作し、溶接作業を可及的に少なくすることができる反応器の製造方法および、その筐体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明は、内筒(1)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、それら両筒(1)(2)間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の充填孔(7)を、外筒(2)の側壁(2a)または上蓋(3)あるいは下蓋(4)に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記充填孔(7)から、触媒(6)を筐体内に充填する工程と、
次いで、その充填孔(7)を小蓋(8)を介して溶接により閉塞する工程と、を具備する反応器の製造方法である。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、内筒(1)と、その外側を被嵌する中間筒(10)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、その内筒(1)と外筒(2)との間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の第1充填孔(7a)および第2充填孔(7b)を中間筒(10)および外筒(2)の各側壁に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、中間筒(10)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記ろう付け工程の後に、前記第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と内筒(1)との間に第1触媒(6a)を充填する工程と、
次いで、その第1充填孔(7a)に第1小蓋(8a)を被嵌して、それらを溶接により閉塞する工程と、
次いで、中間筒(10)と外筒(2)との間に第2触媒(6b)を充填した後に、第2充填孔(7b)を第2小蓋(8b) を介して溶接により閉塞する工程と、を具備する反応器の製造方法である。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、内筒(1)と、その外側を被嵌する中間筒(10)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、その内筒(1)と外筒(2)との間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の一対の第2充填孔(7b)を、中間筒(10)の半径方向の内側および外側で、上蓋(3)または下蓋(4)に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、中間筒(10)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記ろう付け工程の後に、前記半径方向の内側の第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と内筒(1)との間に第1触媒(6a)を充填すると共に、前記半径方向の外側の第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と外筒(2)との間に第2触媒(6b)を充填する工程と、
次いで、一対の第2充填孔(7b)に夫々小蓋(8) を被嵌して、各第2充填孔(7b)と各小蓋(8) との間を溶接により閉塞する工程と、
を具備する反応器の製造方法。
である。
【0009】
請求項4に記載の本発明は、請求項1または請求項3に記載の反応器の製造方法において、
上蓋(3)または下蓋(4)に対向して内部に通気用のパンチングメタル(16)が介装され、その上蓋(3)または下蓋(4)とパンチングメタル(16)とに、それぞれ充填孔 (7) (20)が設けられ、触媒(6)が各充填孔 (7) (20)を通過して内部に充填された後に、各充填孔(7) (20)が小蓋(8) で閉塞される反応器の製造方法である。
請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の反応器の製造方法において、
上蓋(3)または下蓋(4)の 充填孔 (7)に嵌着される小蓋(8)が有底の筒状に形成され、その底面によりパンチングメタル(16)の充填孔(20)を閉塞する反応器の製造方法である。
【0010】
請求項6に記載の本発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の反応器の製造方法において、
前記外筒(2)または中間筒(10)または上蓋(3)あるいは下蓋(4)の充填孔の口縁部を、予め外側に突出しておき、その突出縁(9)に前記小蓋(8)を溶接することを特徴とする反応器の製造方法である。
請求項7に記載の本発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の製造方法により製造され、その外筒(2)の外周または上蓋(3)または下蓋(4)に充填孔を有し、それが溶接により小蓋(8)で閉塞された反応器の筐体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の反応器の製造方法は、上蓋等に比べて小さな面積の充填孔7を外筒2の側壁2aまたは上蓋3あるいは下蓋4に予め形成し、その外筒2と、内筒1と、上蓋3と、下蓋4とを組立て、一体的にろう付け固定した後に、その充填孔7から触媒6を充填し、その充填孔7を小蓋8で閉塞するものである。
このようにすることにより、比較的小さな充填孔7と小蓋8のみの溶接によって、全体の気密性を図ることができる。即ち、筐体5の大部分を炉内で一体にろう付けし、僅かな残り部分の後工程で反応器を完成することができる。しかも、外筒2の側壁2aまたは上蓋3あるいは下蓋4に充填孔7を設けるので、その充填孔7を上方に位置すれば、筐体内に略隙間なく触媒6を充填できる。
従来の製造方法では、上蓋3を開放した状態で、触媒6を内部に充填し、上蓋3と外筒2とを溶接していたので、その溶接長さが極めて長くなっていた。その溶接長さを本発明では、短くできる効果がある。
【0012】
請求項2に記載のように、内筒1と外筒2との間に中間筒10が存在する場合にも、筐体5の大部分を炉内で一体的にろう付けし、小蓋8の部分を後工程で溶接することができ、製造が容易且つ、迅速で量産性に優れている。それと共に、中間筒10および外筒2の各側壁にそれぞれ充填孔を設けるので、その各充填孔を上方に位置することにより、筐体内に略隙間なく触媒6を充填できる。
請求項3に記載のように、内筒1と外筒2との間に中間筒10を有し、上蓋3または下蓋4に予め一対の第2充填孔7bを設けた場合にも、触媒6の充填が容易で且つ、後工程の一対の小蓋8の部分の溶接で、一対の第2充填孔7bを閉塞することができる。しかも、上蓋3および下蓋4は平面とすることができ、その平面に設ける一対の第2充填孔7bと一対の小蓋8との溶接はより容易である。
【0013】
請求項4に記載のように、上蓋3または下蓋4に対向してパンチングメタル16が介装され、それらに充填孔7、20を設けた場合にも、より容易に触媒6を充填し、各充填孔7、20を小蓋8で閉塞することができる。
請求項5に記載のように、上蓋3または下蓋4の充填孔7に嵌着される小蓋8を有底の筒状に形成し、その底面によりパンチングメタル16の充填孔20を閉塞する場合には、一つの小蓋8によって、充填孔7と充填孔20とを同時に閉塞することができる。そのため、部品点数が少なく、製造が容易となる。
【0014】
請求項6に記載のように、外筒2または中間筒10または上蓋3あるいは下蓋4の充填孔の孔縁部を予め外側に突出しておき、その突出縁9に小蓋8を溶接する場合には、その溶接熱により、触媒が変質することを可及的に防止できる。
また、上記製造方法により製造された反応器の筐体は、溶接部分が少ないため量産性の高いものを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例の反応器の製造方法の説明図。
【図2】同軸断面図。
【図3】本発明の第2実施例の反応器の軸断面図。
【図4】同反応器の製造方法の説明図。
【図5】本発明の第3実施例の反応器の軸断面略図。
【図6】本発明の第4実施例の製造方法の説明図。
【図7】同軸断面図。
【図8】本発明の第5実施例の反応器の軸断面図。
【図9】本発明の第6実施例の反応器の軸断面図。
【図10】本発明の第7実施例の反応器の軸断面略図。
【図11】本発明の第8実施例の反応器の軸断面略図。
【図12】本発明の第9実施例の反応器の軸断面略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
(第1実施例)
図1および図2は本発明の第1実施例の反応器を示す。この反応器は、内筒1と外筒2と上蓋3および下蓋4とで、筐体5を構成し、その筐体5の内部に触媒6が介装されるものである。なお、この例は、外部加熱型の反応器である。
外筒2の外周2aには、予め上蓋3、下蓋4の面積に比べて小さな面積の充填孔7が形成され、その孔縁部が外側に膨出して、突出縁9を形成する。この突出縁9の高さは一例として、2〜3mm程度とすることができる。この突出縁9には、その周縁部に整合する小蓋8が被着される。
【0017】
(製造方法)
内筒1と外筒2と、上蓋3および下蓋4とを図1のごとく組立てた状態で、全体を炉内に挿入する。この例では、各部品はステンレス鋼で形成されており、互いに接触する接触部には粉末ろう材がバインダーを介して保持されている。そして、高温の炉内でろう材を溶融し、それを冷却硬化することにより、各部品間が一体にろう付け固定される。
ろう付け完了の後、外筒2に設けた充填孔7を上方に向け、そこから触媒6を内筒1と外筒2との間に充填する。このとき、触媒6は充填孔7の突出縁9の根元以下まで充填される。次いで、充填孔7の突出縁9に小蓋8を当接し、小蓋8の外周を突出縁9に溶接固定する。その突出縁9の近傍には触媒6が存在しないので、溶接熱で触媒が変質するおそれはない。
【0018】
なお、この例では下蓋4に供給パイプ12が貫通し、上蓋3に出力パイプ13が貫通する。そして、内筒1および外筒2の軸線が重力方向に向くように配置される。このとき、触媒6は、重力により充填孔7の突出縁9内にも充填される。図2はそれを省略している。実際には、その突出縁9内の体積分、そこに触媒6が充填されるので、その分だけ触媒6の上端位置が僅かに低くなる。
その内筒1内にはバーナ11が設けられ、その熱により触媒6が加熱される。供給パイプ12から原料ガス14が触媒6に供給され、それが触媒6内で水蒸気改質されて、出力パイプ13から改質ガス15が取り出され、それが図示しない燃料電池に供給される。
【0019】
(第2実施例)
次に、図3および図4は、内筒1と外筒2との間に中間筒10を配置し、さらに上蓋3と下蓋4との間に一対のパンチングメタル16(多孔プレート)を配置したものである。そして、中間筒10と内筒1との間に第1触媒6aを充填し、中間筒10と外筒2との間に第2触媒6bを充填するものである。なお、この例も外部加熱型の反応器である。
この例では、中間筒10の側壁に第1充填孔7aを、外筒2の側壁に第2充填孔7bを形成しておく。なお、第1充填孔7aと第2充填孔7bとは、それらの中心軸が整合するように突設するとともに、第2充填孔7bの孔径は第1充填孔7aのものよりも大きく形成される。
これは、第2充填孔7bの開口径を溶接機の先端が入る大きさに形成して、第1充填孔7aの溶接作業を容易に行うためである。
【0020】
(製造方法)
この例では、中間筒10の側壁に第1充填孔7aを、外筒2の側壁に第2充填孔7bを形成しておく。そして、内筒1と外筒2との間に中間筒10を配置するとともに、それらの軸方向上下に一対のパンチングメタル16および上蓋3、下蓋4を配置し、全体を一体的にろう付け固定する。
ろう付け固定後、内筒1と中間筒10との間に第1触媒6aを充填し、第1充填孔7aに小蓋8aを被嵌して、それらの接触部間を溶接により閉塞する。この第1充填孔7aの孔縁部にも前記第1実施例同様の突出縁9が形成されている。次いで、第2充填孔7bより第2触媒6bを中間筒10と外筒2との間に充填し、その第2充填孔7bを第2小蓋8bを介して溶接により閉塞する。
【0021】
そして、供給パイプ12を外筒2の下端部に貫通させ、そこから原料ガス14を供給する。供給された原料ガス14は、中間筒10と外筒2との間を上昇し、その上端でUターンし、中間筒10と内筒1との間を下降する。そして、出力パイプ13から改質ガス15が図示しない燃料電池に供給される。このとき、内筒1内にはバーナ11が設けられ、その燃焼ガスによって、第1触媒6a、第2触媒6bが加熱される。
【0022】
(第3実施例)
次に、図5は自己酸化内部加熱型の反応器であり、この例は、内筒1が空気の供給管を形成し、その外周に小孔18が穿設されている。そして、中間筒10と内筒1との上部に酸化触媒が配置され、その下方に触媒が配置されている。また、中間筒10と外筒2との間にも触媒が充填されたものである。この例も、図3および図4と同様に製造される。そして、内筒1の上端は端蓋19で閉塞される。
【0023】
(第4実施例)
図6および図7は、本発明の第4実施例であり、この実施例が図1および図2のそれと異なる点は、充填孔7が上蓋3に設けられた点である。この上蓋3に替えて、下蓋4に充填孔7を設けても良い。上蓋3、下蓋4は平面に形成され、そこに充填孔7を設けるとともに、その孔縁部に突出縁9を設けている。また、突出縁9の上縁は一平面上に存在するため、そこに小蓋8を被着して、それらの間を溶接固定することも容易である。
この例においては、充填孔7を上方位置にして、そこから内部に触媒6を挿入し、次いで突出縁9に小蓋8を溶接固定すればよい。
【0024】
(第5実施例)
次に図8は、上蓋3および下蓋4に対向して一対のパンチングメタル16が配置されたものである。そして、各パンチングメタル16と上蓋3、下蓋4との間に原料ガス14および改質ガス15の入口タンク、出口タンクを形成したものである。
それぞれのパンチングメタル16には、ステンレス鋼板に多数の孔が穿設され、その孔の直径は、触媒6のそれよりも小に形成されている。そして、上側のパンチングメタル16と上蓋3とにそれぞれ第1充填孔7a、第2充填孔7bが穿設され、それらを介して、一対のパンチングメタル16間に触媒6を充填する。その後、第1充填孔7aに第1小蓋8aを被嵌し、その外周を溶接固定する。次いで、上蓋3の第2充填孔7bに第2小蓋8bを被嵌し、その外周を溶接固定したものである。それらの作業性を良好にするため、外側の第2小蓋8bを内側の小蓋8aより大きくしている。上記の例に代えて、下側のパンチングメタル16と下蓋4とにそれぞれ第1充填孔7a、第2充填孔7bを穿設してもよい。
【0025】
(第6実施例)
次に図9は、本発明の第6実施例であり、この例が図8のそれと異なる点は、一つの小蓋8によって、上蓋3の第2充填孔7bとパンチングメタル16の第1充填孔7aとを同時に閉塞したものである。この小蓋8は、有底の筒状に形成され、その底面がパンチングメタル16の第1充填孔7aに嵌着する。そして、外周面が上蓋3の第2充填孔7bに嵌着し、その第2充填孔7bと、小蓋8外周とが溶接固定されるものである。
【0026】
(第7実施例)
次に図10は本発明の第7実施例であり、この例は図3の実施例同様に、中間に中間筒10を有し、その中間筒10の両側において、そのパンチングメタル16には一対の第1充填孔7aを、上蓋3には一対の第2充填孔7bをそれぞれ設け、それらの孔を介して中間筒10の半径方向の両側に第1触媒6aと第2触媒6bとを充填する。その後に、一対の小蓋8によって、一対の第1充填孔7aと、一対の第2充填孔7bとを同時に閉塞したものである。
【0027】
(第8実施例)
次に図11は本発明の第8実施例であり、この例が図9の実施例と異なる点は、小蓋8とパンチングメタル16の第1充填孔7aとの間に隙間を設けた点である。この小蓋8と第1充填孔7aとの隙間は、触媒の粒径よりも小にされ、そこからも原料ガスが流通する。さらには、その孔縁に立ち上げられたバーリング加工部にもパンチングメタルの小孔が存在する。
【0028】
(第9実施例)
次に図12は本発明の第9実施例であり、この例が図8の実施例と異なる点は、第1小蓋8aがパンチングメタルで形成され、そこからも原料ガスが流通することである。
【0029】
(他の実施例)
上記各例は改質器としての反応器について述べたが、脱硫器としての反応器にも本発明は上記各実施例を利用できる。その場合、改質触媒の代わりに、脱硫触媒が内筒と外筒との間に充填される。そして、原料ガスが内筒と外筒との間に供給され、脱硫された原料ガスが図示しない水蒸気と混合されて、その混合ガスが改質器に供給される。
【符号の説明】
【0030】
1 内筒
2 外筒
2a 外周
3 上蓋
4 下蓋
5 筐体
【0031】
6 触媒
6a 第1触媒
6b 第2触媒
7 充填孔
7a 第1充填孔
7b 第2充填孔
【0032】
8 小蓋
8a 第1小蓋
8b 第2小蓋
9 突出縁
10 中間筒
11 バーナ
12 供給パイプ
13 出力パイプ
14 原料ガス
【0033】
15 改質ガス
16 パンチングメタル
17 空気
18 小孔
19 端蓋
20 充填孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒(1)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、それら両筒(1)(2)間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の充填孔(7)を、外筒(2)の側壁(2a)または上蓋(3)あるいは下蓋(4)に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記充填孔(7)から、触媒(6)を筐体内に充填する工程と、
次いで、その充填孔(7)を小蓋(8)を介して溶接により閉塞する工程と、を具備する反応器の製造方法。
【請求項2】
内筒(1)と、その外側を被嵌する中間筒(10)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、その内筒(1)と外筒(2)との間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の第1充填孔(7a)および第2充填孔(7b)を、中間筒(10)および外筒(2)の各側壁に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、中間筒(10)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記ろう付け工程の後に、前記第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と内筒(1)との間に第1触媒(6a)を充填する工程と、
次いで、その第1充填孔(7a)に第1小蓋(8a)を被嵌して、それらを溶接により閉塞する工程と、
次いで、中間筒(10)と外筒(2)との間に第2触媒(6b)を充填した後に、第2充填孔(7b)を第2小蓋(8b) を介して溶接により閉塞する工程と、を具備する反応器の製造方法。
【請求項3】
内筒(1)と、その外側を被嵌する中間筒(10)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、その内筒(1)と外筒(2)との間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の一対の第2充填孔(7b)を、中間筒(10)の半径方向の内側および外側で、上蓋(3)または下蓋(4)に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、中間筒(10)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記ろう付け工程の後に、前記半径方向の内側の第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と内筒(1)との間に第1触媒(6a)を充填すると共に、前記半径方向の外側の第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と外筒(2)との間に第2触媒(6b)を充填する工程と、
次いで、一対の第2充填孔(7b)に夫々小蓋(8) を被嵌して、各第2充填孔(7b)と各小蓋(8) との間を溶接により閉塞する工程と、
を具備する反応器の製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載の反応器の製造方法において、
上蓋(3)または下蓋(4)に対向して内部に通気用のパンチングメタル(16)が介装され、その上蓋(3)または下蓋(4)とパンチングメタル(16)とに、それぞれ充填孔 (7) (20)が設けられ、触媒(6)が各充填孔 (7) (20)を通過して内部に充填された後に、各充填孔(7) (20)が小蓋(8) で閉塞される反応器の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の反応器の製造方法において、
上蓋(3)または下蓋(4)の 充填孔 (7)に嵌着される小蓋(8) が有底の筒状に形成され、その底面によりパンチングメタル(16)の充填孔(20)を閉塞する反応器の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の反応器の製造方法において、
前記外筒(2)または中間筒(10)または上蓋(3)あるいは下蓋(4)の充填孔の口縁部を、予め外側に突出しておき、その突出縁(9)に前記小蓋(8)を溶接することを特徴とする反応器の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の製造方法により製造され、その外筒(2)の外周または上蓋(3)または下蓋(4)に充填孔を有し、それが溶接により小蓋(8)で閉塞された反応器の筐体。
【請求項1】
内筒(1)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、それら両筒(1)(2)間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の充填孔(7)を、外筒(2)の側壁(2a)または上蓋(3)あるいは下蓋(4)に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記充填孔(7)から、触媒(6)を筐体内に充填する工程と、
次いで、その充填孔(7)を小蓋(8)を介して溶接により閉塞する工程と、を具備する反応器の製造方法。
【請求項2】
内筒(1)と、その外側を被嵌する中間筒(10)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、その内筒(1)と外筒(2)との間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の第1充填孔(7a)および第2充填孔(7b)を、中間筒(10)および外筒(2)の各側壁に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、中間筒(10)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記ろう付け工程の後に、前記第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と内筒(1)との間に第1触媒(6a)を充填する工程と、
次いで、その第1充填孔(7a)に第1小蓋(8a)を被嵌して、それらを溶接により閉塞する工程と、
次いで、中間筒(10)と外筒(2)との間に第2触媒(6b)を充填した後に、第2充填孔(7b)を第2小蓋(8b) を介して溶接により閉塞する工程と、を具備する反応器の製造方法。
【請求項3】
内筒(1)と、その外側を被嵌する中間筒(10)と、その外側を被嵌する外筒(2)と、その内筒(1)と外筒(2)との間の軸方向両端を閉塞する上蓋(3)および下蓋(4)とで筐体(5)を構成し、その筐体(5)の内部に触媒(6)が介装される反応器の製造方法において、
上蓋(3)および下蓋(4)の面積に比べて小さい面積の一対の第2充填孔(7b)を、中間筒(10)の半径方向の内側および外側で、上蓋(3)または下蓋(4)に予め形成する工程と、
その外筒(2)と、中間筒(10)と、内筒(1)と、上蓋(3)と、下蓋(4)とを組立て、その組立て体を炉内に挿入し、その組立て体の各部品間を一体にろう付けする工程と、
前記ろう付け工程の後に、前記半径方向の内側の第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と内筒(1)との間に第1触媒(6a)を充填すると共に、前記半径方向の外側の第1充填孔(7a)から、中間筒(10)と外筒(2)との間に第2触媒(6b)を充填する工程と、
次いで、一対の第2充填孔(7b)に夫々小蓋(8) を被嵌して、各第2充填孔(7b)と各小蓋(8) との間を溶接により閉塞する工程と、
を具備する反応器の製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載の反応器の製造方法において、
上蓋(3)または下蓋(4)に対向して内部に通気用のパンチングメタル(16)が介装され、その上蓋(3)または下蓋(4)とパンチングメタル(16)とに、それぞれ充填孔 (7) (20)が設けられ、触媒(6)が各充填孔 (7) (20)を通過して内部に充填された後に、各充填孔(7) (20)が小蓋(8) で閉塞される反応器の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の反応器の製造方法において、
上蓋(3)または下蓋(4)の 充填孔 (7)に嵌着される小蓋(8) が有底の筒状に形成され、その底面によりパンチングメタル(16)の充填孔(20)を閉塞する反応器の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の反応器の製造方法において、
前記外筒(2)または中間筒(10)または上蓋(3)あるいは下蓋(4)の充填孔の口縁部を、予め外側に突出しておき、その突出縁(9)に前記小蓋(8)を溶接することを特徴とする反応器の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の製造方法により製造され、その外筒(2)の外周または上蓋(3)または下蓋(4)に充填孔を有し、それが溶接により小蓋(8)で閉塞された反応器の筐体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−17987(P2013−17987A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170951(P2011−170951)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]