説明

反応性有効成分を含む安定歯ホワイトニング用ガム

【課題】カプセル化された活性成分を含む口腔用組成物を提供すること。
【解決手段】口腔用組成物は、第一反応性成分を含有する担体組成物を含む。口腔用組成物は活性組成物も含む。活性組成物は、コーティング内にカプセル化された1種以上の活性成分を含む。コーティングは、親水性材料と、1種以上の第二反応性成分とを含み、第一及び第二反応性成分の間の相互作用で、活性物の活性及び/又は効果が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、カプセル化された有効成分を含有する口腔用組成物に関する。特に、本発明は、組成物中の安定性制限配合成分が活性物と反応するのを実質的に防止するため、反応性バリアコーティング内にカプセル化された有効成分を含む口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
傷のない白い歯は長い間、美容上望ましいと考えられている。ところが、徹底的な歯牙清掃をしないと、食品、飲料、タバコ等に存在する着色性物質、並びに血液、アマルガム基剤の充填物、及び抗生物質(例えば、テトラサイクリン)等の内性要因で、歯は変色したり、汚れたりしてしまう可能性がある。
【0003】
現在、歯の汚れを除去するための方法が数多く存在している。これらの方法は一般に、汚染物質を分解するための研磨剤、加水分解剤又は酸化剤の使用に基づいている。例えば、歯面清掃の機械的な方法が知られており、練り歯磨き製剤で通常用いられる研磨剤又は艶出剤の使用によって汚れを機械的に擦過する。研磨剤を含有する代表的な製剤は、歯との緊密な接触を必要とする、練り歯磨き、ゲル、又は粉末歯磨剤である。ブラッシング及び類似の擦り落とし又は艶出し作用が、一般に、汚れ除去を成功させるために備えるべきものとして必要である。典型的な研磨剤としては、シリカ、カルボン酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、及びアルミナが挙げられる。
【0004】
タンパク質分解酵素を含む加水分解剤も、歯をホワイトニングするのに使用できる。これらの製品は、通常、ペースト又はゲルの形状を取り、汚れを閉じ込めているプラーク及び歯石を除去することにより歯をホワイトニングする機能を果たす。
【0005】
尿素パラクサイド、水素パラクサイド又はカルシウムパラクサイド等の酸化剤は、歯のエナメル質に対するホワイトニング剤の最も一般的なものの代表である。パラクサイドは、プラーク/汚れの複合体を研磨剤により洗い流し又は除去できる形状にまで分解することができるヒドロキシルラジカルを遊離することによって歯をホワイトニングすると考えられる。他の活性な汚れ除去成分として、アニオン性界面活性剤等の表面活性薬、及びキレート剤で、それらの汚れ除去性ゆえに汚れ除去組成物に配合されているものが挙げられる。例えば、歯磨剤組成物に通常用いられるアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、及びN−ラウリルサルコシン酸ナトリウムが挙げられる。更に、ポリリン酸塩等のキレート剤が、歯石除去用配合成分として歯磨剤組成物で通常用いられている。例えば、リン酸四ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムが、かかる組成物で見られる代表的な配合成分である。
【0006】
汚れ除去ガム組成物が知られている。例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びキシリトールを含むガム組成物が知られている。また、ヘキサメタリン酸塩及び研磨剤シリカ材料を含むガム組成物が知られている。更に、以下の配合成分、すなわち、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸四ナトリウム、シリカ研磨剤及び酢酸亜鉛を含む歯用ガムが知られている。ホワイトニング用ガム組成物も知られており、重炭酸ナトリウム及びカルボン酸カルシウムの研磨剤を含み、V6(登録商標)の商標名にて販売されている。
【0007】
更に、脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤を含む汚れ除去ガム組成物が知られている。例えば、ステアリン酸ナトリウムは、Trident White(登録商標)の商標名にて販売されているガム製品で用いられている脂肪酸塩である(米国特許第6471945号、6479071号、及び6696044号参照)。更に、共係属中で共有の米国特許出願第10/901511号では、リシノール酸の塩を含有する汚れ除去ガム組成物が開示されている。
【0008】
練り歯磨きと異なり、洗口剤及び他の歯磨剤組成物、歯ホワイトニング用ガム組成物には独自の問題がある。例えば、歯のホワイトニングに有効な特定の成分は、ガムの他の配合成分と不都合な反応をする可能性がある。これにより、有効期間が短くなり、望ましくない副産物が生産される結果がもたらされる。例えば、あるアニオン性界面活性剤は、別々の部分を良く混合するためにガム及び他の食品で頻繁に用いられるレシチンと相互作用する。更に、ポリリン酸塩等のリン酸塩、及び特定のアニオン性界面活性剤は、フルーツガム等の酸性製剤中で変化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の点から、歯面を清掃するための別のガム組成物を提供することが有益なはずである。特に、活性剤が他のガム配合成分と反応するのを実質的に防止するバリアコーティング内に汚れ除去活性剤がカプセル化された、歯ホワイトニング用ガムを提供することが有益なはずである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は広義には、組成物中の安定性制限配合成分と有効成分との反応が制限されるように、有効成分が効果的に配合された口腔用組成物に関する。これにより、口腔用組成物が安定化され、有効期間が増加し、活性物がその所期目的に利用可能なままで存在できる。
【0011】
本発明の一態様において、担体組成物及び活性組成物を含む口腔用組成物が提供される。担体組成物は、安定性制限成分とも称する第一反応性成分を含んでもよい。下記の反応性バリアコーティングの非存在下に第一反応性成分が活性組成物に曝されると、第一反応性成分はその活性物と反応して、活性物のその所期の目的への効果が低下し得る。
【0012】
活性組成物には、反応性バリアコーティングとも称するコーティングにカプセル化された1種以上の活性成分が含まれる。反応性バリアコーティングは、親水性材料及び第二反応性成分を含んでもよい。第一反応性成分と第二反応性成分との相互作用で、活性物の活性及び/又は効果が維持される。
【0013】
本明細書では、「第一反応性成分」及び「安定性制限成分」という用語は、互換的に使用し得る。第一反応性成分は、活性成分と良好に反応しないものでよい。
【0014】
「第二反応性成分」という用語は、「反応性バリア物質」、「反応性バリア成分」等という用語と互換的に用い得る。第二反応性成分は、第一反応性成分と活性物との間の何らかの望ましくない反応又は相互作用を防止するのに役立つ。
【0015】
本発明で用いる場合に「活性物の活性及び/又は効果を保持させる」なる表現には、本発明を実施しない類似の組成物と比較して、製造及び所定期間にわたる貯蔵の間でその活性を維持するか、又は少なくとも何らかの実質的な活性の喪失及び/もしくは活性物の分解が低減されるように活性成分を保護することが包含される。この表現には、本明細書に記載のように、活性物を化学的又は物理的に完全な状態に所定期間維持することが包含される。特に、口腔用組成物中の第一反応性成分と第二反応性成分との相互作用によって、活性成分と相互作用できる第一反応性成分(すなわち、安定性制限成分)が低減する。その結果、第一反応性成分による活性成分の分解の程度及び/又は速度が低減することになる。例えば、活性物がポリリン酸塩等のキレート剤であるいくつかの実施形態において、ポリリン酸塩は、バッファを含む反応性バリアコーティングで被覆される。バッファは、食物酸等の第一反応性成分と相互作用する第二反応性成分である。バッファ(第二反応性成分)と食物酸(第一反応性成分)との反応の結果、ポリリン酸塩活性物は化学的及び物理的に「保護される」。すなわち、その活性が維持されるか、又はバッファが反応しなかった場合に予測される程度よりもその活性の喪失が低減される。
【0016】
反応性バリアコーティングは、そのコーティングのない同じ組成物に比べて口腔用組成物の安定性を長期化する。特に、コーティングによって、口腔用組成物中の安定性制限成分と活性物との間の物理的且つ及び化学的なバリアが与えられる。
【0017】
本発明の口腔用組成物としては、特に限定されないが、ガム、菓子組成物、練り歯磨き及び洗口剤等の多くの組成物が挙げられる。例えば、本発明のある態様は、歯ホワイトニング用ガム組成物に関する。
【0018】
いくつかの実施形態において、歯ホワイトニング用ガム組成物はガム基剤及び活性組成物を含んでもよい。ガム基剤は、1種以上の活性成分に曝されると、それと反応して活性物の活性を低減する、1種以上の第一反応性成分を含む。活性組成物は、1種以上の活性成分カプセル化された反応性バリアコーティングを含む。反応性バリアコーティングは、親水性材料;並びに第一反応性成分と相互作用して活性物の活性及び/又は効果を保持する第二反応性成分を含む。
【0019】
本発明の別の態様は、本発明に係る口腔用組成物を調製及び使用するための方法に関する。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明は、歯から汚れを除去する方法を提供する。本方法は担体組成物及び活性組成物を含む口腔用組成物を準備することを含む。担体組成物は、1種以上の第一反応性成分を含む。活性組成物は、反応性バリアコーティングの中にカプセル化された1種以上の活性成分を含む。反応性バリアコーティングは、親水性材料及び1種以上の第二反応性成分を含み、第一反応性成分と第二反応性成分との相互作用で活性物の活性及び/又は効果が保持される。この方法は更に、歯から汚れを除去するのに充分な時間、準備した口腔用組成物に歯を接触させることを含む。例えば、一実施形態において、本発明により提供される有効量の汚れ除去ガム組成物を噛むことによって、歯から汚れを除去してもよい。
【0021】
本発明により提供されるガム組成物は、数多くの方法で調製できる。例えば、活性成分を、水溶性親水性材料及び反応性バリア物質で被覆でき、その後ガム基剤もしくはガム用コーティング又はその両方と組み合わせることができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明は、反応性バリアコーティング内に歯のホワイトニング活性成分をカプセル化することを含む歯ホワイトニング用ガム組成物の調製方法を提供する。反応性バリアコーティングは、ガム組成物中に、親水性材料、及び安定性制限成分との反応性を有する成分を含む。この方法は、ガム基剤を加温して基剤を軟化させ、軟化したガム基剤をカプセル化された歯のホワイトニング活性成分と混合して実質的に均一な混合物を得て、その混合物を冷却し、冷却した混合物を個々のガム片に成形することも含む。限定されないが、甘味料、香料、充填剤及び着色剤等の他の成分も、ガム基剤に配合してよい。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、流動式空気流の中に歯のホワイトニング活性粒子を懸濁させ、懸濁化した活性粒子上に反応性バリアコーティングをスプレーすることを含んでよい歯ホワイトニング用ガム組成物の調製方法であって、前記コーティングは、ガム組成物中に親水性材料、及び安定性制限成分と反応性を有する成分を含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本明細書で使用する場合、移行句「comprising(含有する)」(「including(含む)」と同義で、「comprises」等も同様)、「containing(含有する)」又は「characterized by(特徴とする)」は、包括的すなわちオープンエンド型であり、クレームの前文又は本文いずれでの使用に関わらず、記載していない付加的な要素又は方法の工程を除外するものではない。
【0025】
本明細書で使用する場合、「ガム組成物」という用語は、ガム組成物、「チューインガム」及び「風船ガム」等のあらゆるガム組成物も包含することを意図している。
【0026】
本明細書で使用する場合、「活性成分」という用語は、本発明の口腔用組成物に含められるあらゆるカプセル化材料を称し、この活性物がカプセル化から遊離すると(例えば、カプセル化された材料が咀嚼された場合)、何らかの望ましい性質がもたらされる。好適な活性物の例として、界面活性剤、キレート剤、加水分解剤、酸化剤、及び高甘味度甘味料等の歯ホワイトニング剤が挙げられる。好適な活性物の他の例として、香料、医薬品、ビタミン等が挙げられる。
【0027】
「脂肪酸塩」という用語は、脂肪酸の水素を金属(又は金属のように作用する遊離基)で置換することにより形成される化合物のことである。
【0028】
「リン酸塩」という用語は、ピロリン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩及びそれらの組合せを包含することた意図される。
【0029】
本発明は、汚れ除去性を備えた組成物であって、これで処理した歯の表面にホワイトニング効果を生じさせる組成物に関する。かかる組成物は、歯の表面に付着した、又は歯の表面の物質に閉じ込められた汚れを除去するため、並びに歯の表面で汚れと汚れを閉じ込める物質が蓄積されるのを防止するために特に好適である。本発明の組成物は、有益な歯への効果をもたらすことを目的として、歯の表面に接触するのに充分な時間、口腔内に保持される。
【0030】
本発明の組成物は、例えば、洗口剤、口腔用濯ぎ剤、練り歯磨き、歯磨き粉、歯牙硬化剤、プラーク防止用組成物、歯用クリーム剤、デンタルフロス、液剤、ゲル等を含む歯磨剤;中心充填ガム等のチューインガム類;及びミント菓子、舐剤等の菓子類から選択される形状であってよい。いくつかの実施形態において、本発明の組成物はチューインガムの形態をとる。
【0031】
本発明によれば、汚れ除去に有効な量のカプセル化された歯のホワイトニング活性物を本発明の組成物に用いて、効果的な汚れ除去活性を与える。例えば、カプセル化された歯のホワイトニング活性物は、リン酸塩等のキレート剤、脂肪酸塩等の界面活性剤、タンパク質分解酵素等の加水分解剤、及びパラクサイド等の酸化剤のうちの1種以上であってよい。かかる薬剤は、歯の汚れの効果的な除去を促進する。
【0032】
歯ホワイトニング剤は、口腔用組成物中の他の配合成分と実質的に相互作用できる。この結果、有効期間の短縮や、望ましくない副産物の生成を招くことになる。本発明はこの課題を解決しようとしたものである。
【0033】
例えば、反応性バリアコーティング内に活性物をカプセル化することによって、口腔用組成物中の安定性制限成分と活性物との物理的及び化学的相互作用が実質的に低減する。これにより、口腔用組成物が安定化する。反応性バリアコーティングは、有効成分と安定性制限配合成分との間に物理的バリアを与える水溶性親水性材料を含む。いくつかの実施形態では、水溶性親水性材料は、アラビアガム、スターチ、ゼラチン、アルギン酸塩、アルキル及びヒドロキシセルロース、カラギーナン、微結晶性セルロース、寒天ガム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、修飾スターチ、キサンタンガム、ゼイン、ポリオール、及びグアーガムの1種以上から選択される。
【0034】
有効成分と安定性制限成分との間の物理的バリアの付与に加え、バリアコーティングはこれら成分間に化学的バリアを更に与える。特に、反応性バリアコーティングは、活性物に対する効果を化学的に中和するように、組成物中で安定性制限成分と反応する反応性物質を含む。これにより活性物の成熟分解が防止され、口腔用組成物が安定化する。発明者らは、歯のホワイトニング活性成分を反応性バリアコーティング内にカプセル化することで、口腔用組成物の有効期間が長くなり、望ましくない副産物の生産が回避されることを発見している。
【0035】
いくつかの実施形態において、第一反応性成分と第二反応性成分との相互作用は、第一反応性成分が1種以上の活性成分と相互作用する能力を低下する。別の実施形態において、1種以上の活性成分の経時的な分解は、第一反応性成分と第二反応性成分との相互作用に起因し、かかる相互作用のない場合に比べて低下する。
【0036】
他の実施形態において、この第一反応性成分と第二反応性成分との相互作用は、多量の活性成分の存在により測定した場合に、かかる相互作用のない組成物に比べて口腔用組成物の有効期間が長くなる。別の他の実施形態において、第一反応性成分と第二反応性成分との相互作用で、75%以上の活性物残分の存在により測定した場合に、約1年以上の有効期間がもたらされる。更に他の実施形態において、第一反応性成分と第二反応性成分との相互作用で、90%以上の活性物残分の存在により測定して、約6月以上の有効期間がもたらされる。
【0037】
キレート剤は、本発明の組成物の使用に好適な、カプセル化された歯ホワイトニング剤の一群である。キレート剤は、カルシウム等の金属イオンと強く結合できる。例えば、キレート剤は、プラークの主成分である細菌の細胞壁に認められるカルシウムと複合化できる。キレート剤は、プラーク基質を結合保持する一助となるカルシウムブリッジからカルシウムを除去することによって、プラークを破壊できる。
【0038】
好適なキレート剤の例としては、リン酸塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、リン酸塩は、ピロリン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、及びこれらの混合物の1種以上から選択される。
【0039】
以下の表1に示すように、歯ホワイトニング用ガム組成物に通常用いられるトリポリリン酸ナトリウム(STP)及びヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)等のポリリン酸塩は、安定性制限酸(例えば、クエン酸)と反応する。これによって、口腔用組成物の有効期間が短くなり、望ましくない副産物の生産を招く。バリアコーティング内にポリリン酸塩活性物をカプセル化することによって、ポリリン酸塩に対する酸の悪影響が低減される。いくつかの実施形態において、ポリリン酸塩に対するバリアコーティングには、アラビアガム、デンプン又はゼラチンの1つである親水性材料が含まれる。ポリリン酸塩に対するバリアコーティングは、反応性物質としてリン酸バッファも含んでよい。リン酸バッファは、安定性制限酸の存在下、安定性制限酸と反応して口腔用組成物を安定化する。
【0040】
【表1】

【0041】
トリポリリン酸ナトリウム(STP)のカプセル化で、遊離のSTPと比較して酸性ガムにおける安定性が増大する。その結果もたらされるのは、ガムの有効期間の延長と、望ましくない副産物の生成の低減である。
【0042】
加水分解剤は、本発明の口腔用組成物での使用に好適な、カプセル化された歯ホワイトニング剤の別の一群である。加水分解剤は、汚れを閉じ込めるプラーク及び歯石を除去することによって歯をホワイトニングする機能を果たす。上記表1を参照すると、本発明の口腔用組成物で用いてもよい加水分解剤の例として、タンパク質分解酵素(例えば、パパイン)、リパーゼ、アミラーゼ及びグルコアミラーゼが挙げられる。かかる加水分解剤は、香料、パラクサイド、フロライド、及び水といった安定性制限成分と良好に反応するものではない。酵素をアラビアガム、デンプン又はゼラチン等の材料で被覆することで、安定性制限成分に対する物理的バリアが与えられる。好ましくは、酵素に対するバリアコーティングは、リン酸バッファ、クエン酸バッファ、シリカ又は還元剤の1つである反応性バリア物質を更に含む。これらの反応性物質は、安定性制限香料、パラクサイド、フロライド又は水の存在下、これらと反応して口腔用組成物を安定化する。
【0043】
更に表1を参照すると、パラクサイド等の酸化剤は、本発明の口腔用組成物での使用に好適なカプセル化された歯ホワイトニング剤の一群である。パラクサイドは、研磨剤により洗い流し又は除去できる形状にまで、プラークと汚れの複合体を分解することができるヒドロキシルラジカルを遊離することによって歯をホワイトニングすると考えられる。アラビアガム、デンプン又はグアーガム等の材料中にパラクサイドをカプセル化することで、口腔用組成物中に含まれることが多い安定性制限香料又はアルデヒドとパラクサイドとの相互作用が、実質的に物理的に防止される。コーティング中の反応性物質により、活性物と安定性制限成分との間に化学的バリアが与えられる。いくつかの実施形態において、パラクサイドに対するバリアコーティング中の反応性物質は、シリカ又はクエン酸バッファ等のバッファであり、バッファは安定性制限香料又はアルデヒドの存在下にそれと反応して、口腔用組成物を安定化する。
【0044】
アニオン性界面活性剤等の界面活性剤は、本発明の組成物における使用に好適なカプセル化された歯ホワイトニング剤の群の更に別の例として挙げられる。特定の脂肪酸塩は、ガム及び他の食品で頻繁に用いられ、別々の部分を良く混合するのに役立つレシチンと相互作用する。更に、脂肪酸塩はフルーツガム等の酸性製剤中で変化する可能性がある。アラビアガム、デンプン又はゼラチン等の水溶性親水性材料の物理的バリアコーティング内に界面活性剤をカプセル化することによって、これらの不都合な相互作用が実質的に低減する。好ましくは、化学的バリアも与えられる。例えば、いくつかの実施形態において、界面活性剤に対するバリアコーティングとして、安定性制限酸の効果を中和できるクエン酸バッファ等のバッファが挙げられる。あるいは、界面活性剤に対するバリアコーティングはリン酸バッファを含んでよく、これはレシチンと反応/相互作用でき、レシチンと界面活性剤活性物との相互作用が低減される。
【0045】
ネオテーム及びアスパルテーム等の高甘味度甘味料は、本発明の組成物における使用に好適な、カプセル化された活性剤の他の例として挙げられる。特に、かかる砂糖代用物は歯ホワイトニング用ガム組成物に用いるのが一般的である。表1に示すように、アラビアガム、デンプン又はグアーガム等の材料中に高甘味度甘味料をカプセル化することで、口腔用組成物中に含まれることが多い安定性制限香料、アルデヒド又はグリセリンとこれらの活性物との物理的な相互作用が実質的に防止される。甘味料に対するバリアコーティングは、更にクエン酸バッファ等のバッファを含んでよい。クエン酸バッファは、香料、アルデヒド又はグリセリンの存在下、これらと反応して口腔用組成物を更に安定化する。
【0046】
「汚れ除去に有効な量」という用語は、本明細書で使用する場合、ヒトを含む温血動物の歯の表面の汚れの存在を防止、排除、又は少なくとも低減するのに充分であるが望ましくない副作用の回避に足る低さである、本明細書に開示の汚れ除去剤(一種又は複数種)の量である。汚れ除去剤(一種又は複数種)の汚れ除去に有効な量は、個々の汚れのタイプ及び程度、処置対象のヒトを含む温血動物の年齢及び身体的条件、処置の期間、併用する治療の性質、具体的に用いる汚れ除去剤、並びに汚れ除去剤が適用される特定の担体に応じて変動してよい。
【0047】
本発明の組成物中の汚れ除去剤の濃度は、汚れ除去剤を歯の表面に施用するのに用いる組成物のタイプ(例えば、練り歯磨き、洗口剤及び濯ぎ剤、舐剤、チューインガム、菓子、等が挙げられる)に依存するが、これは歯に接触する組成物の効率の差に、そして一般的に使用する組成物の有効量にも起因する。この濃度は、存在する汚れのレベルにも依存するかもしれない。
【0048】
別途に述べない限り、本発明に係る組成物に配合する成分の量は、組成物の総質量に基づく質量%で示す。
【0049】
上記のとおり、本発明の口腔用組成物は、チューインガム組成物等のガム組成物であり得る。本発明のチューインガム組成物は、コーティングされていてもいなくてもよく、スラブ、スティック、ペレット、ボール等の形状であってよい。異なる形状のチューインガム組成物の組成は類似するであろうが、成分の比については変動してもよい。例えば、コーティングされたガム組成物は、低割合の軟化剤を含有してもよい。ペレット及びボールはチューインガムコアを有してよく、このコアは、固い殻を作成するための砂糖溶液又は砂糖不含の溶液でコーティングされている。通常、チューインガムコアよりも柔らかい食感になるように、スラブ及びスティックが処方される。
【0050】
中心充填ガムは、通常のガム形状の別の例である。ガム部分は、上記のものと類似の組成及び製造形態を有する。しかし、中心充填物は一般的に水性の液体又はゲルであり、加工の際にガムの中心に注入される。歯ホワイトニング剤(一種又は複数種)は、任意に充填物の製造の際に中心充填物に配合するか、ガム組成物全体のチューインガム部分に直接配合するか、又はその両方に配合できるであろう。中心充填ガムは、任意にコーティングしてもよく、ロリポップの形状等、様々な形状に調製してもよい。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態において、コーティングされたガムを形成してもよく、この場合歯ホワイトニング剤(一種又は複数種)はコア又はガムコーティングの少なくとも一方に入れる。例えば、研磨剤をコーティングに配合し、表面活性物(例えば、界面活性剤及び/又はキレート剤)をガム基剤に配合してもよい。コーティングに研磨剤を備えることによって、汚れは、まず咀嚼と相まって研磨剤で機械的に擦過されるが、これには歯との緊密な接触が必要である。特に、研磨剤は短時間で溶液に入ってしまう傾向がある。一方、研磨剤はコーティングから唾液に遊離された後、汚れを除去する化学的効果を有し続けるが、これをコーティング層に備えることによって初期に機械的な擦過を増強することが有利であるかもしれない。更に、コーティングは、表面活性物の送達に有効な他の媒介物を与える。
【0052】
歯ホワイトニング剤(一種又は複数種)をガム基剤の中に配合できる点も、本発明で企図する範囲に充分包含される。ガム基剤は、歯ホワイトニング剤と歯との長時間の接触が許容されるので、研磨剤及び表面活性剤等の歯ホワイトニング剤(一種又は複数種)の送達に有効な他の媒介物を与える。例えば、歯ホワイトニング剤(一種又は複数種)は、ひとたびガム基剤及び/又はガムコーティングから唾液に遊離されれば、汚れを化学的に除去できる。
【0053】
本発明のチューインガム組成物は、ガム基剤、並びに甘味料、軟化剤及び香料等、他の代表的なチューイング組成物成分のほとんどを含んでよい。ム組成物のいくつかの実施形態において、カプセル化された1種以上の歯のホワイトニング活性物がガ用いられる。
【0054】
いくつかの実施形態のガム組成物で、第二反応性成分の配合の結果、「有効期間」が延長される。第二反応性成分は安定性制限成分と反応し、これにより、活性物に対する安定性制限成分の効果が低減される。例えば、活性物の約90%以上が組成物中で約6月間残存し、約1年の有効期間で少なくとも約75%の活性物が残存する。
【0055】
界面活性剤本発明の口腔用組成物は、本明細書に示すようにカプセル化された歯ホワイトニング剤(一種又は複数種)を含む。例えば、組成物は、アニオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤、又はその混合物を含んでもよい。本発明で有用なアニオン性界面活性剤として、中鎖及び長鎖脂肪酸エステル及び塩が挙げられる。いくつかの実施形態において、アニオン性界面活性剤は、14〜25個の炭素原子を有する脂肪酸の水溶性塩である。塩としては金属イオンが挙げられ、これは二価の金属イオン又は一価の金属イオンであり得る。例えば、金属イオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びこれらの組合せから選択できる。
【0056】
脂肪酸塩の好適な例として、ステアリン酸、及びパルミチン酸の塩が挙げられる。他の例として、リシノール酸、ヒマシ油及びエルゴット油の塩等のヒドロキシ脂肪酸塩が挙げられる。リシノール酸は、ヒマシ油のトリグリセリド脂肪酸の約90%を占め、エルゴット油のグリセリド脂肪酸の約40%以下を占める。他の好適なヒドロキシ脂肪酸塩としては、特に限定されないが、レスケロリン酸、デンシポリン酸、オーリコリン酸、及びβ−ジモルフェコリン酸から誘導されるものが挙げられる。ヒドロキシ脂肪酸塩の混合物も使用してよい。
【0057】
ヒドロキシ脂肪酸の水溶性塩は、リシノール酸等、1種以上のヒドロキシル官能基を有する天然脂肪酸から誘導されるものでよい。
【0058】
更に、本発明で用いる界面活性剤、それらが由来する脂肪酸は、1種以上のヒドロキシル官能基を含むように、化学的又は酵素的に修飾されてもよい。
【0059】
脂肪酸塩は、例えば動物、植物、又は細菌に認められる脂肪酸から誘導されるものであってよい。短鎖脂肪酸(例えば、2〜4個の炭素原子)、更には中鎖(例えば、6〜10個の炭素原子)の極性−COOH基は、通常、これら脂肪酸を水に可溶とするのに充分である。しかし、鎖長が増加すると(例えば、14〜25炭素数)、脂肪酸のタイプは次第に水溶性が低いものになり、油脂の特性が出る傾向にある。長鎖脂肪酸にヒドロキシ基があれば、水溶性は増大する。従って、発明者らは、14〜25個の炭素原子を有するヒドロキシ脂肪酸の水溶性塩が本発明の組成物で有用であることを認めている。特に、ヒドロキシ脂肪酸塩の水溶性により、固着した汚れが唾液に可溶化して緩み、この結果、咀嚼、ブラッシング、又は唾液によって汚れを容易に除去できる。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明の口腔用組成物は、他のアニオン性又はノニオン性界面活性剤を含むことができる。例えば、他の好適な界面活性剤としては、硫酸オレイン酸ブチル、オレイン酸ナトリウム、フマル酸塩、カリウムグロメート、モノ及びジグリセリドの有機酸エステル、クエン酸ステアリルモノグリセリジル、コハク酸水素ステアロイルプロピレングリコール、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、トリステアリン酸グリセロール、レシチン、ヒドロキシル化レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、アセチル化モノグリセリド、コハク酸化モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、エトキシル化モノ及びジグリセリド、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリル−2−乳酸カルシウム、ステアリル乳酸ナトリウム、グリセロール及びプロピレングリセロールの乳酸化脂肪酸エステル、C−C24脂肪酸のグリセロール−ラクトエステル、C−C24脂肪酸のポリグリセリンエステル、アルギン酸プロピレングリコール、スクロースC−C24脂肪酸エステル、モノ及びジグリセリドのジアセチル酒石酸及びクエン酸エステル、トリアセチン、サルコシネート界面活性剤、イセチオン酸界面活性剤、タウテート界面活性剤、プルロニック、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドと、プロピレンオキシド及びエチレンジアミンとの縮合物由来の生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第3級アミン酸化物、長鎖第3級ホスフィン酸化物、長鎖ジアルキルスルホキシド、及びこれらの混合物といったアニオン性又はノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0061】
界面活性剤は、単独又は他の界面活性剤と組み合わせて、組成物全体の約0.001%〜約20質量%の濃度で本発明の口腔用組成物中に存在してよい。いくつかの実施形態において、界面活性剤は組成物全体の約0.05〜約10質量%で存在してよい。更に、いくつかの実施形態において、界面活性剤は組成物全体の約0.05〜約2質量%の量で存在してよい。
【0062】
キレート剤
上記のように、本発明の口腔用組成物は、カプセル化されたキレート剤を含んでもよい。キレート剤は、口内細菌の細胞壁に認められるカルシウム等の金属イオンと強く相互作用する。キレート剤は、このバイオマスを完全に保持する一助となるカルシウムブリッジからカルシウムを除去することによってプラークを破壊することもできる。
【0063】
本発明の組成物でキレート剤として使用するのに好適な物質の一群はリン酸塩である。いくつかの実施形態では、リン酸塩は、ピロリン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、及びこれらの混合物から選択される。キレート剤は、ジアルキル金属リン酸塩、テトラアルカリポリリン酸塩、又はこれらの混合物であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、キレート剤は、リン酸四ナトリウム、リン酸四カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択できる。本発明の組成物で使用できる他のキレート剤としては、酒石酸及びその塩、クエン酸及びアルカリ金属クエン酸塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、キレート剤は本発明の口腔用組成物の約0.001〜約5質量%の量で存在する。更に、いくつかの実施形態では、キレート剤は本発明の口腔用組成物の約0.5〜約3質量%の量で存在する。
【0065】
加水分解剤
いくつかの実施形態において、本発明の口腔用組成物は、カプセル化された加水分解剤を含む。好適な加水分解剤として酵素が挙げられる。例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ又はグルコアミラーゼが、本発明の組成物に含まれてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、酵素は本発明の口腔用組成物の約0.01質量%〜約5.0質量%で存在する。更に、いくつかの実施形態では、酵素は本発明の口腔用組成物の約0.01質量%〜約3.0質量%、より具体的には約0.1質量%〜約1.0質量%で存在する。
【0067】
酸化剤
本発明の口腔用組成物は、カプセル化された酸化剤を含んでもよい。好適な酸化剤としては、パラクサイド化合物が挙げられる。有用なパラクサイドはO−O結合を含むべきであり、この結合は分解して1種以上の活性物種を与えることができる。好適なパラクサイド化合物の例は、無機過酸化物(例えば、水素パラクサイド、ストロンチウムパラクサイド、亜鉛パラクサイド、もしくはマグネシウムパラクサイド)、及び有機過酸化物(特に限定されないが、カルバミドパラクサイド)である。本組成物に配合するパラクサイド化合物の量は、用いる汚れ除去剤又はその組合せ、及び他の成分もしくは組成物の成分のタイプ、並びにそれらの各量に応じて変動する。パラクサイド化合物は、本発明の組成物の全質量に対して、約0.01質量%〜10質量%、好ましくは約0.1質量%〜5質量%、より好ましくは約0.2質量%〜3質量%である汚れ除去有効量で存在してよい。
【0068】
高甘味度甘味料
いくつかの実施形態において、本発明の口腔用組成物は、カプセル化された高甘味度甘味料を含む。高甘味度甘味料として、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、アセサルフェームの塩等が挙げられる。かかる甘味料は、口腔用組成物の約1.0質量%以下の量で存在するのが望ましい。
【0069】
研磨剤
いくつかの実施形態において、本発明の口腔用組成物は研磨剤を含む。好適な研磨剤としては、シリカ、アルミナ、リン酸塩、カルボン酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、研磨剤は、沈降シリカ、シリカゲル、及びこれらの組み合わせから選択されるシリカである。更に、研磨剤は、カルボン酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、無水リン酸二カルシウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0070】
本発明の組成物での使用が企図される研磨艶出し材料は、象牙質を過度に擦過しない材料であれば、特に限定されない。しかし、シリカの歯の研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を極度に擦過することなく並外れた歯の清掃及び艶出し性能があるという、無比の利点を有している。
【0071】
本明細書でのシリカ研磨艶出し材料は、他の研磨剤と同様に、一般に、約0.1〜約30μm、好ましくは約5〜約15μmの平均粒子径を有する。研磨剤は、Pader, et al.の米国特許第3538230号、DiGiulioの米国特許第3862307号(いずれも援用によって本明細書の一部をなす)に記載されたシリカキセロゲルのような沈降シリカ又はシリカゲルであってよい。「Syloid(商品名)」(W.R.Grace & Company, Davison Chemical Division)で販売されているシリカキセロゲルが好ましい。「Zeodent(商品名)」(J.M.Huber Corporation)、特に「Zeodent 119」で販売されているような沈降シリカ材料も好ましい。本発明で有用なシリカ歯科研磨剤のタイプは、Wasonの米国特許第4340583号(援用によって本明細書の一部をなす)に記載されている。シリカ研磨剤は、1995年5月2日に出願された米国特許出願番号第08/434147号及び第08/434149号(援用によって本明細書の一部をなす)に記載されている。
【0072】
いくつかの実施形態では、研磨剤は、口腔用組成物の約0.1〜約30質量%の量で存在する。研磨剤は、より典型的には、口腔用組成物の約0.5〜約5質量%の量で使用され得る。本発明の練り歯磨き組成物の研磨剤は、通常、組成物の約0.5〜約10質量%のレベルで存在する。更に、本発明のチューインガムは、口腔用組成物の約1質量%〜約6質量%の研磨剤を含有してよい。
【0073】
本発明のチューインガム組成物を調製するのに使用するシリカは、その油吸収値によって差別化され、100cc/100g未満の油吸収値、好ましくは45cc/100gシリカ以上70cc/100gシリカ未満の油吸収値を有する。本発明の実施で特に有用なシリカは、商品名SYLODENT XWA GRACE Davison Co.、Columbia、DS 21044で市販されている。かかるシリカの例としてSYLODENT XWA 150が挙げられ、これは、水分含有量4.7質量%、平均約7〜約11μmの直径を有し、Einlehner硬度が5、BET表面積が390m/gシリカ、油吸収値が70cm/100gシリカ未満のシリカ沈渣である。このシリカは、歯のエナメル質に対する研磨性が低い。
【0074】
シリカ研磨剤は、本発明のチューインガムの調製において一種の研磨剤として使用してもよく、他の公知の研磨剤又は艶出し剤(カルボン酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、無水リン酸二カルシウム、他のシリカ材料、又はこれらの混合物等)と組み合わせて使用してもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明のチューインガム組成物中の研磨剤シリカの総量は、約0.1〜約20質量%の濃度である。更に、本発明のチューインガム組成物中の研磨剤シリカの総量は、約0.5質量%〜約5質量%である。
【0076】
口腔に許容できる担体組成物本発明の口腔用組成物は、口腔に許容できる担体組成物を、製剤の他の成分に適応する適切な量で含む。「口腔に許容できる担体組成物」という用語は、歯のホワイトニング及び清掃を目的として口腔に送達するための活性成分と混合でき、且つヒトを含む温血動物に悪影響を引き起こさない媒体をいう。口腔に許容できる担体は、本発明の組成物及び方法に従って、ヒト等の温血動物の口腔での歯の汚れ除去に対する組成物の安定性及び/又は効率を実質的に低減するように、相互作用することなく混合できる組成物の成分を更に含む。
【0077】
本発明の口腔に許容できる担体は、適合性の固体もしくは液体充填希釈剤又はカプセル化用物質であって経口投与に好適なものを1種以上含むことができる。本発明に用いる担体又は賦形剤は、送達の態様に適した如何なる形状であってもよく、例えば、液剤、コロイド分散剤、乳剤、懸濁剤、濯ぎ剤、ゲル剤、発泡剤、粉剤、固形剤等が挙げられ、練り歯磨き(ゲルを含む)、洗口剤及び濯ぎ剤、口内噴霧剤、チューインガム、舐剤、及び菓子類の慣用成分を含むことができる。本発明の組成物の調製に好適な担体は、当技術分野で周知である。これらは、味、価格、貯蔵安定性等といった二次的考察に応じて選択されるであろう。
【0078】
本発明の組成物に含めてよい添加剤又は配合成分のタイプとして、本明細書に示すような1種以上の望ましい汚れ除去剤が挙げられる。本発明の組成物は、エラストマー、エラストマー溶剤、ワックス、乳化剤、可塑剤、軟化剤、分散剤、甘味料、香料、保湿剤、活性成分、冷感剤、温熱剤、歯ホワイトニング剤、着色料、充填剤、フィラ、及びこれらの混合物から選択される成分を含んでもよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、活性剤はフッ化物化合物又は抗菌性化合物であり得る。例えば、既知の抗菌性化合物はトリクロサンである。
【0080】
更に、いくつかの実施形態において、膜形成性ポリマーを本発明の組成物に含めてもよい。例えば、膜形成性ポリマーは、合成アニオン性ポリマーのポリカルボン酸塩(SAPP)、PVM/MA共重合体(Gantrez S−97、GAF Corp.)等であってよい。かかるポリマーは、米国特許第5334375号及び第5505933号に記載され、これらは援用によって本明細書の一部をなす。SAPP類は、象牙質感受性の低減に有用であるとして以前に報告されている。更に、SAPP類は、口腔面への抗菌性剤の送達を増強し、口腔面での抗菌性剤の保持を増強する抗菌性増強剤として以前に報告されている。PVM/MA共重合体等の膜形成性ポリマーを、汚れの形成を低減する手段として本発明の組成物で用いてもよいことは、本発明で企図する範囲に充分包含される。
【0081】
上記のように、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ガム基剤及びカプセル化された活性物を含むガム組成物であってよい。
【0082】
上記のように、いくつかの実施形態において、本発明の組成物はガム基剤及びカプセル化された活性物を含むガム組成物であってよい。ガム基剤は、組成物全体の約20〜約40質量%の量で存在してもよい。ガム基剤は、チューインガム技術で公知のいかなる成分を含んでもよい。例えば、ガム基剤は、甘味料、エラストマー、増量剤、ワックス、エラストマー溶剤、乳化剤、可塑剤、充填剤、それらの混合物を含んでよく、また本明細書で示すような望ましい汚れ除去剤(一種又は複数種)を含んでもよい。
【0083】
いくつかの実施形態において、ガム基剤は好適な糖の増量剤を含んでもよい。例えば、ガム基剤は、ガム基剤の約30%〜約80質量%、望ましくは50%〜約60%の、1種以上のポリオールを含む特定のポリオール組成物を含んでよい。ポリオール組成物は、任意の公知のポリオールであってよく、特に限定されないが、マルチトール、ソルビトール、エリトリトール、キシリトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、及びこれらの混合物が挙げられる。ソルビトール及びマルチトール等の無水スターチ加水分解物であるLycasinも使用してよい。
【0084】
ガム基剤に用いられるエラストマー(ガム類)は、所望のガム基剤のタイプ、所望のガム組成物の粘稠度、及び最終的なチューインガム製品を作るために組成物に使用される他の成分等の様々な要因に応じて大幅に変更されよう。エラストマーは、当技術分野で知られている何れの水不溶性ポリマーでもよく、チューインガム及び風船ガムに利用されるようなガムポリマーが挙げられる。ガム基剤に好適なポリマーとして、天然及び合成エラストマーの双方が挙げられる。例えば、ガム基剤組成物において好適なポリマーとしては、特に限定されないが、チクル、天然ガム、クラウンガム、ニスペロ、rosidinha、ジェルトン、perillo、ニガーガッタ、tunu、バラタ、グタペルカ、lechi capsi、ソルバ、ガッタケイ等、及びこれらの混合物といった天然物質(植物由来)が挙げられる。合成エラストマーの例としては、特に限定されないが、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレーン共重合体、ポリエチレン、ポリビニルアセテート等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0085】
ガム基剤に用いるエラストマーの量は、使用するガム基剤のタイプ、所望のガム組成物の粘稠度、及び最終的なチューインガム製品を作るために組成物で使用する他の成分等の様々な要因に応じて変動してよい。一般に、エラストマーは、ガム基剤において、ガム部分の約10質量%〜約60質量%、望ましくは約35質量%〜約40質量%の量で存在するであろう
【0086】
ガム基剤中にワックスが存在する場合、ワックスはポリマーエラストマー混合物を軟化させ、ガム基剤の弾力性を向上させる。使用するワックスは、約60℃以下、好ましくは約45℃〜約55℃の融点を有するであろう。低融点ワックスはパラフィンワックスであってよい。ワックスは、ガム基剤において、ガム基剤の約6質量%〜約10質量%、好ましくは約7質量%〜約9.5質量%の量で存在する。
【0087】
低融点ワックスに加えて、ガム基剤の約5質量%以下の量で、高融点を有するワックスをガム基剤中に使用してもよい。かかる高融点ワックスとしては、蜜ろう、植物ろう、カンデリラろう、カルナバワックス、多くの石油ろう等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0088】
上記の成分に加えて、ガム基剤は、エラストマー溶剤、乳化剤、可塑剤、充填剤、及びそれらの混合物から選択される成分等、種々の他の成分を含んでもよい。
【0089】
ガム基剤は、エラストマー成分の軟化を補助するエラストマー溶剤を含有してもよい。かかるエラストマー溶剤として、当技術分野で公知のようなエラストマー溶剤、例えば、α−ピネン又はβ−ピネンのポリマー等のテルピネン樹脂、ロジンのメチル、グリセロール及びペンタエリスリトールエステル並びに水素化、二量化及び重合ロジン等の修飾ロジン及びガム、並びにそれらの混合物が挙げられる。本明細書での使用に好適なエラストマー溶剤の例としては、部分無水ウッド及びガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッド及びガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのグリセロールエステル、部分二量化ウッド及びガムロジンのグリセロールエステル、重合ウッド及びガムロジンのグリセロールエステル、トールオイルロジンのグリセロールエステル、ウッド及びガムロジンのグリセロールエステル、部分無水ウッド及びガムロジン、ウッド及びロジンの部分無水メチルエステル等、及びこれらの混合物が挙げられる。エラストマー溶剤は、ガム基剤の約2質量%〜約15質量%、好ましくは約7質量%〜約11質量%の量で、ガム基剤中で使用してよい。
【0090】
ガム基剤は、単一安定系への非混和性の成分の分散を補助する乳化剤も含んでよい。この発明で有用な乳化剤としては、モノステアリン酸グリセリル、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、モノステアリン酸プロピレングリコール等、及びこれらの混合物が挙げられる。乳化剤は、ガム基剤の約2質量%〜約15質量%、より具体的には約7質量%〜約11質量%の量で使用してよい。
【0091】
ガム基剤は、様々な望ましい食感と粘稠特性をもたらすように可塑剤又は軟化剤も含んでよい。これらの成分が低分子量であることから、可塑剤及び軟化剤はガム基剤の基本構造に侵入でき、ガム基剤を可塑性且つ低粘度にする。有用な可塑剤及び軟化剤としては、ラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセリルトリアセテート、グリセリルレシチン、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、アセチル化モノグリセリド、グリセリン等、及びこれらの混合物が挙げられる。ワックス、例えば、ポリウレタンワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、脂肪ワックス、モノステアリン酸ソルビタン、獣脂、プロピレングリコール、これらの混合物等といった天然及び合成ワックス、無水植物油、石油ろうも、ガム基剤中に配合してよい。可塑剤及び軟化剤は、ガム基剤の約20質量%以下、より具体的には約9質量%〜約17質量%の量でガム基剤において使用される。
【0092】
可塑剤としては、大豆油及び綿実油等の水素化植物油も挙げられ、単独又は組み合わせて用いてよい。これらの可塑剤により、ガム基剤に良好な食感及び柔らかい噛感特性がもたらされる。これら可塑剤及び軟化剤は、一般に、ガム基剤の約5質量%〜約14質量%、より具体的には約5質量%〜約13.5質量%の量で使用される。
【0093】
市販の米国薬局方(USP)等級等の無水グリセリンも、軟化剤として用いてよい。グリセリンは、甘く好ましい味のシロップのような液体であり、甘蔗糖の約60%の甘味を有する。グリセリンは吸湿性であるため、無水グリセリンはチューインガム組成物の調製の間中、無水条件下に保持してよい。
【0094】
軟化剤は、ガム組成物の食感を変えるために存在してよいが、代表的なガム組成物に比べて少量で存在してよい。例えば軟化剤は、組成物の総質量に対して約0.5〜約10質量%で存在し得るが、界面活性剤活性物が軟化剤として作用できることから、軟化剤は組成物中に存在しなくてもよい。
【0095】
本発明のガム基剤は、充填剤及び食感向上剤として作用し得る無機質アジュバント等の有効な量の増量剤も含んでよい。有用な無機質アジュバントとしては、カルボン酸カルシウム、カルボン酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム等、及びこれらの混合物が挙げられる。これら充填剤又はアジュバントは、種々の量でガム基剤組成物において使用してよい。好ましくは、充填剤の量(使用する場合)は、ガム基剤の約15質量%〜約40質量%、望ましくは約20質量%〜約30質量%の量で存在するであろう。
【0096】
着色剤、抗酸化剤、保存剤、着香剤等の様々な慣用の添加剤の有効な量を、任意にガム基剤に配合してもよい。例えば、F.D.& C.染料として知られる、食品、薬品、及び化粧品用途に好適な二酸化チタニウム及び他の染料を利用してもよい。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、及びこれらの混合物のような抗酸化剤も含有されてよい。チューインガム技術の当業者に公知の他の従来のチューインガム添加剤も、ガム基剤中で使用できる。
【0097】
いくつかの実施形態は、ガム組成物の製造方法にも及ぶ。ガム基剤成分を混合する様式は重要ではなく、当業者に公知の常法及び装置を用いて実施される。代表的な方法では、エラストマーをエラストマー溶剤及び/又は可塑剤及び/又は乳化剤と混合して、1〜30分間撹拌する。低融点ワックス等の残留成分は、その後、ガム基剤混合物を再度1〜30分間混和しながら、まとめて又は少しずつ混合する。
【0098】
ガム組成物は、特に限定されないが、甘味剤(甘味料)、可塑剤、軟化剤、乳化剤、ワックス、フィラ、充填剤(担体、増量剤、バルク甘味料)、無機質アジュバント、香料(香料、着香料)、着色剤(着色料、色素剤)、抗酸化剤、酸味料、増粘剤、薬剤等、及びこれらの混合物から選択される従来の添加剤を含んでよい。これら添加剤のいくつかは、1以上の目的を果たし得る。例えば、シュガーレスガム組成物では、マルチトール又は他の糖アルコール等の甘味料は、増量剤としても機能し得る。
【0099】
ガム基剤での使用に好適であるものとして上記した可塑剤、軟化剤、無機質アジュバント、ワックス及び抗酸化剤も、チューインガム組成物で使用してよい。使用し得る他の従来の添加剤の例としては、単独で又は他の軟化剤(メチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、イナゴマメ、トラガカント、ローカストビーン、及びカルボキシメチルセルロース等)と組み合わせて使用されるレシチン及びグリセリルモノステアリン酸等の乳化剤、増粘剤、酸味料(リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、及びこれらの混合物等)、及び無機質アジュバントの節で説明したようなフィラが挙げられる。
【0100】
いくつかの実施形態において、ガム領域は増量剤も含有してよい。好適な充填剤は、水溶性であって、特に限定されないが、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択される甘味剤;Pfizer、Inc., Groton, Connから「POLYDEXTROSE(商品名)」で販売されているポリマー等のランダム結合グルコースポリマー;イソマルト(Suddeutsche Zuckerによって「PALATINIT(商品名)」で製造されているα−D−グルコピラノシル−1,6−マンニトール及びα−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールのラセミ混合物)、マルトデキストリン;無水スターチ加水分解物;無水ヘキソース;無水二糖類;カルボン酸カルシウム、タルク、二酸化チタニウム、リン酸二カルシウム等の無機物;セルロース;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
好適な糖充填剤としては、キシロース、リブロース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(レブロース)、スクロース(糖)、マルトース、転化糖、部分加水分解スターチ及びコーンシロップ固形物、及びこれらの混合物等の単糖類、二糖類、及び多糖類が挙げられる。
【0102】
好適な糖アルコール充填剤としては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0103】
好適な無水スターチ加水分解物としては、米国特許第25959号、第3356811号、第4279931号に記載されるもの、ソルビトール、無水二糖類、無水高分子多糖類、又はこれらの混合物を含有する種々の無水グルコースシロップ及び/又は粉末が挙げられる。水素化デンプン加水分解物は、主に、触媒によるコーンシロップの制御水素化によって調製される。得られる無水スターチ加水分解物は、単量体、二量体、及び多量体糖類の混合物である。これらの糖類比を変更することによって、異なる性質の異なる水素化デンプン加水分解物が得られる。フランスのRoquette Freres製造の市販品LYCASIN、及びFairlawn、NJ.のLonza、Inc.、製造の市販品HYSTAR等の、水素化デンプン加水分解物の混合物も有用である。
【0104】
使用する甘味剤は、水溶性甘味料、水溶性人工甘味料、天然の水溶性甘味料由来の水溶性甘味料、ジペプチド系甘味料、及びタンパク質系甘味料、並びにこれらの混合物等の広範囲から選択してよい。特定の甘味料に限定するものではないが、代表的な分類及び例として以下の物が挙げられる。
【0105】
(a)デヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリシルリジン、ジヒドロフラバノール、及びソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール、及び米国特許第4619834号(援用によって本明細書の一部をなす)に開示されるようなL−アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミド、並びにこれらの混合物といった水溶性甘味剤;(b)溶性サッカリン塩、つまり、サッカリンナトリウム又はカルシウム、チクロ塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム、アンモニウム又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシド(アセルファム−K)のカリウム塩、サッカリンの遊離酸型、及びこれらの混合物等の水溶性人工甘味料;(c)L−アスパラチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、N−[N−(3,3−ジメチルブチル)−L−α−アスパラチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル(ネオテーム)、及び米国特許第3492131号に記載された材料等のL−アスパラギン酸誘導甘味料、L−αアスパラチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物(アリテーム)、L−アスパラチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパラチル−L−2,5−ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパラチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン;L−アスパラチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン、及びこれらの混合物等のジペプチド系甘味料;(d)通常の糖(スクロース)の塩素化誘導体、例えばクロロデオキシ糖誘導体(例えばスクラロースの商品名で知られるクロロデオキシスクロース又はクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体)等の天然発生水溶性甘味料から誘導される水溶性甘味料(クロロデオキシスクロース及びクロロデオキシガラクトスクロース誘導体の例としては、特に限定されないが、1−クロロ−1’−デオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−α−D−フルクトフラノシド、又は4−クロロ−4−デオキシガラクトスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−β−D−フルクト−フラノシド、又は4,1’−ジクロロ−4,1’−ジデオキシガラクトスクロース;1’,6’−ジクロロ1’,6’−ジデオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド、又は4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−β−D−フルクトフラノシド、又は4,6,6’−トリクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトスクロース;6,1’,6’−トリクロロ−6,1’,6’−トリデオキシスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクト−ピラノシル1−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド、又は4,6,1’,6’−テトラクロロ4,6,1’,6’−テトラデオキシガラクト−スクロース;及び4,6,1’,6’−テトラデオキシ−スクロース、及びこれらの混合物等が挙げられる);(e)thaumaoccous danielli(タウマチンI及びII)等のタンパク質系甘味料。
【0106】
高甘味度甘味剤は、甘味の初期噴出及び/又は甘味の実感の長期化をもたらす、当技術分野で周知の多くの別の物理的形状で使用してよい。限定されないが、かかる物理的形状として、スプレードライ、粉体、ビーズ形状等の遊離型、カプセル化型、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0107】
望ましくは、甘味料はアスパルテーム、スクラロース、及びアセサルフェームカリウム(Ace−K)等の高甘味度甘味料である。
【0108】
一般に、所望のレベルの甘みをもたらすために有効な量の甘味料を利用してよく、この量は選択した甘味料によって変動し得る。甘味料の量は、使用する甘味料又は甘味料の組合せに応じ、ガム組成物の約0.001質量%〜約3質量%の量で存在してよい。各タイプの甘味料の量の正確な範囲は、当業者によって選択されてよい。
【0109】
用いてもよい着香剤としては、天然及び人工香料等、当業者に公知の香料が挙げられる。これらの着香料は、合成香料油及び着香性芳香剤及び/又は油、樹脂油剤、並びに植物、葉、花、果実等、及びそれらの組合せに由来する抽出物から選択してよい。非限定の代表的香料油としては、スペアミント油、シナモン油、ウィンターガーデン油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズク及びオールスパイス油、セージ、ガマ油、苦扁桃油、及びカッシア油が挙げられる。同じく有用な着香料は、バニラ、レモン、オレンジ、ライム、ブドウ果実等の柑橘油、及びリンゴ、西洋ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、キイチゴ、サクランボ、深紫、パイナップル、アンズ等の果実精といった人工、天然、及び合成の果実香料である。これらの着香剤は、液体又は固体状で用いてよく、別々に又は混合物として用いてもよい。一般的に用いる香料として、ペパーミント、メントール、スペアミント等のミント類、人工バニラ、シナモン誘導体、及び様々な果物香料が挙げられ、別々又は混合物として用いてよい。
【0110】
他の有用な着香料としては、酢酸シンナミル、桂皮アルデヒド、シトラールジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセテート、オイゲニルギ酸塩、p−メチルアミソール等のアルデヒド及びエステルが挙げられる。一般に、National Academy of Sciencesの刊行物1274, 63−258頁の食物調製に用いる化合物に記載されるような、あらゆる着香性又は食品添加物を使用してよい。この刊行物は援用によって本明細書の一部をなす。
【0111】
アルデヒド着香料の他の例としては、特に限定されないが、アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(ブドウ、アーモンド)、アニスアルデヒド(甘草、アニス)、桂皮アルデヒド(シナモン)、シトラール、つまり、α−シトラール(レモン、ライム)、ネラール、つまり、β−シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ、つまり、ピペロナール(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、α−アミル桂皮アルデヒド(スパイシー果実香料)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラル(修飾、多型)、デカナール(柑橘果実)、アルデヒドC−8(柑橘果実)、アルデヒドC−9(柑橘果実)、アルデヒドC−12(柑橘果実)、2−エチルブチルアルデヒド(ベリー果実)、ヘキセナール、つまり、トランス−2(ベリー果実)、トリルアルデヒド(ブドウ、アーモンド)、ベラトルアルデヒド(バニラ)、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、つまり、メロナール(メロン)、2,6−ジメチルオクタナール(未熟果実)、及び2−ドデセナール(柑橘、マンダリン)、ブドウ、グレープ、ストロベリーショートケーキ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0112】
いくつかの実施形態において、着香剤は液体状及び/又は乾燥物形状の何れかで用いてよい。後者の形状で用いる場合、油をスプレードライする等、好適な乾燥手段を用いてよい。あるいは、着香剤をセルロース、デンプン、砂糖、マルトデキストリン、アラビアガム等の水溶性材料に吸収させ又はカプセル化してもよい。かかる乾燥物形状を調製するための現実的な技術は周知である。
【0113】
いくつかの実施形態において、着香剤は、香味の初期噴出及び/又は香味の実感の長期化をもたらす、当技術分野で周知の多くの別の物理的形状で使用してよい。限定されないが、かかる物理的形状として、スプレードライ、粉体、ビーズ形状等の遊離型、カプセル化型、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0114】
本発明で用いる着香剤の量は、最終チューインガム組成物のタイプ、個々の香味、用いるガム基剤、及び望まれる香味の強度等の要因の優先性の問題であり得る。よって、着香料の量は、最終品で望ましい結果を得るために変更してよく、かかる変更は必要以上の実験を必要とせず当業者が行える裁量の範囲内にある。ガム組成物では、着香料は、一般に、チューインガム組成物の約0.02質量%〜約5質量%、より具体的には約0.1質量%〜約2質量%、より更に具体的には約0.8質量%〜約1.8質量%の量で存在する。
【0115】
着色剤は、所望の色を生じさせるのに有効な量で使用してよい。着色剤として、色素が挙げられ、これはガム組成物に対して約6質量%を上限とする量で配合してよい。例えば、二酸化チタンは、ガム組成物の約2質量%を上限とする量、好ましくは約1質量%未満の量で配合してよい。着色剤は、天然食品着色料、並びに食品、薬物及び化粧品での適用に好適な染料も含んでよい。これらの着色剤は、F.D.&C.染料及びレーキ類として知られている。上記の使用に容認できる材料は、好ましくは水溶性である。非限定の例として、5,5−インジゴスズジスルホン酸の二ナトリウム塩である、F.D.&C.Blue No.2として知られるインジゴイド染料が例示される。同様に、F.D.&C.Green No.1として知られる染料は、トリフェニルメタン染料を含有し、4−[4−(N−エチル−p−スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]−[1−(N−エチル−N−p−スルホニウムベンジル)−デルタ−2,5−シクロヘキサジエンイミン]の一ナトリウム塩である。F.D.&C.着色剤、及びそれらの対応する化学構造の全ての完全な詳説は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻、857〜884頁に示され、この本文は援用によって本明細書の一部をなす。
【0116】
ガム組成物で使用できる好適な油脂として、部分水素化植物又は動物性脂肪、特にヤシ油、パーム核油、牛脂、及びラード等が挙げられる。これらの成分を使用する場合、一般的にガム組成物の約7質量%以下、好ましくは約3.5質量%以下の量で存在する。
【0117】
いくつかの実施形態は、チューインガム及び風船ガム組成物の双方を含むガム組成物を調製するための方法を包含し得る。チューインガム組成物は、当業者に知られた常法及び装置を用いて調製してよい。いくつかの実施形態に係る有用な装置は混合及び加温装置を備え、これら装置はチューインガム製造技術で周知であるため、具体的装置の選択は当業者に明らかなはずである。
【0118】
いくつかの実施形態において、歯ホワイトニング用ガム組成物を調製する方法は、反応性バリアコーティング内に組成物の歯のホワイトニング活性成分をカプセル化することを含む。コーティングは、ガム組成物の中に親水性材料、及び安定性制限成分と反応性を有する成分を含む。この方法は、ガム基剤を加温して基剤を軟化させ、その後実質的に均一な混合物を得るように、軟化したガム基剤を、カプセル化された歯のホワイトニング活性成分と混合することも含む。この方法は更に、混合物を冷却し、冷却した混合物を個々のガム片に成形することを含む。軟化したガム基剤に、別の成分を混合してもよい。例えば、一般に、増量剤、充填剤、湿潤剤、香料、着色剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、保存剤、温感剤、冷感剤、歯ホワイトニング剤及び甘味料の1種以上を添加してよい。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明の歯ホワイトニング用ガム組成物の調製方法は、流動式空気流の中に歯のホワイトニング活性粒子を懸濁させ、懸濁化した活性粒子上に反応性バリアコーティングをスプレーすることを含んでよい。コーティングは、ガムの中に親水性材料、及び安定性制限成分と反応性を有する成分を含む。好適な歯のホワイトニング活性物は上記と同様である。更に、バリアコーティングに好適な親水性材料及び反応性成分も、上記と同様である。1以上のバリアコーティング層を、懸濁化した活性粒子上にスプレーしてもよい。粒子上にスプレーしたコーティング組成物は、水溶性親水性材料を溶解できる任意の溶媒をコーティング中に含んでもよい。
【0120】
いくつかの実施形態のカプセル化された粒子は、当技術分野で公知の好適なスプレーコーティング法の何れで調製してもよい。好適な方法の1つはWursterプロセスである。このプロセスは、個々の微粒子材料をカプセル化する方法をもたらす。まず、通常はスプレーノズルの正面で循環流を与える流動式空気流中に、カプセル化すべき粒子を懸濁化させる。スプレーノズルは、コーティング溶液の霧状流をスプレーする。
【0121】
霧状のバリアコーティング溶液は、ノズルから運び出されて粒子と衝突し、コーティング溶液での粒子コーティングがもたらされる。被覆すべき粒子を懸濁化するのにも役立つ流動式空気流の温度は、コーティング溶液が粒子と接触した直後に溶媒が蒸発するように調整してもよい。この温度調整は粒子上でコーティングを固化するのに有用であり、その結果、所望のカプセル化された粒子が得られる。
【0122】
このプロセスは、所望の厚さのバリアコーティングが得られるまで繰り返すとよい。あるいは、異なるバリアコーティング溶液を用いてプロセスを繰り返すことで、カプセル化された粒子組成物中に、異なる別個のバリアコーティング層を設けてもよい。
【0123】
バリアコーティングプロセスの後、粒子を所望の、通常約50μm〜約800μmの平均粒子径の適切な大きさに成形してよい。この成形は、粒子の細切、粉砕、摩砕又は研削等の好適な手段の何れでなしてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態において、ガム片を水性ガムコーティング組成物で被覆してよく、この組成物は当技術分野で公知の何れの方法によって塗布してもよい。ガムコーティング組成物は、総ガム片の約25質量%〜約35質量%、更にはガム片の約30質量%の量で存在してよい。
【0125】
外側のガムコーティングは固くても、又はクランチタイプでもよい。典型的には、外側のガムコーティングとしては、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、イソマルト、他の微結晶化可能なポリオール;スクロース等を使用してよい。独自の製品特性を生じるように、香料を添加してもよい。更に、外側ガムコーティングは、本発明により提供される、カプセル化された活性剤の1種以上を含んでもよい。
【0126】
ガムコーティングは、存在する場合、コーティング自体を通してチューインガム組成物が見えなくなるように何層かの不透明層を含んでもよく、審美的、食感的及び保護の目的で更に1以上の透明層で任意に被覆することもできる。外側ガムコーティングは、少量の水及びアラビアガムも含有してよい。ガムコーティングは更に、ワックスでコーティングできる。ガムコーティングは、コーティング溶液の連続的な塗布により、各コーティングの間で乾燥しながら従来法にて塗布してよい。コーティングは乾燥するにつれて通常不透明になり、普通は白色であるが、他の着色剤を添加してもよい。ポリオールコーティングは、更にワックスでコーティングできる。ガムコーティングは、着色薄片又はスペックルを更に含むことができる。
【0127】
組成物がガムコーティングを含む場合、コーティング全体に1種以上の口腔ケア活性物を分散できる。これは、1種以上の口腔ケア活性物が単一相組成物中で他の活性物と非相溶性である場合に好ましいかもしれない。更に、ガムコーティングに1種以上の汚れ除去剤を与えることで、組成物全体の汚れ除去効率を増強できることは、本発明で企図する範囲に充分包含される。
【0128】
カプセル化された活性物は、ガムコーティング、ガム基剤、又はそれら両方等のチューインガム領域の1以上に含めることができる。更に、カプセル化された活性物は、製造の異なる段階で単独又は他の成分との予備混合物として添加できる。例えば、いくつかの実施形態では、汚れ除去ガム組成物を調製する方法は、ガム基剤を加熱して基剤を軟化させ;軟化したガム基剤を、エラストマー、ワックス、乳化剤、充填剤、フィラ、保湿剤、香料、着色料、分散剤、軟化剤、可塑剤、保存剤、温感剤、冷感剤、歯ホワイトニング剤及び甘味料の1種以上と混合して実質的に均質な混合物を得ることを含む。この方法は、混合物を冷却し、冷却した混合物を個々のガム片に成形し、そのガム片を、カプセル化された活性物を含むガムコーティング溶液でコーティングすることも含む。ヒドロキシ脂肪酸塩はリシノール酸塩であってよい。ガムコーティングには1種以上の他成分が含まれていてよく、特に限定されないが、アラビアガム、香料、着色料、甘味料、充填剤、フィラ、抗接着性化合物、分散剤、吸湿性化合物、温感剤、冷感剤、及びフィルム形成剤等が挙げられる。
【0129】
ガムコーティングは、ガム片の熱安定性の増大と、ガム製品が中心充填ガムである場合に液体充填物の漏出防止とを補助するように処方されるとよい。いくつかの実施形態において、ガムコーティングはゼラチン組成物を含んでもよい。ゼラチン組成物は、40質量%溶液として添加されてよく、ガムコーティング組成物の約5質量%〜約10質量%、より具体的には約7%〜約8%の量でガムコーティング組成物中に存在してよい。ゼラチンのゲル強度は、約130bloom〜約250bloomであってよい。
【0130】
生理学的冷感剤、喉鎮痛剤、温感剤、歯ホワイトニング剤、消口臭剤、ビタミン無機物、カフェイン、薬物、及び他の活性物といった添加剤を、チューインガム組成物の任意の部分又は全部に含ませてよい。かかる成分は、意図したそれらの効果を成し遂げるのに充分な量で用いてよい。
【0131】
冷感剤に関しては、周知の種々の冷感剤を用いてよい。例えば、中でも、有用な冷感剤として、メントール、キシリトール、メンタン、メントン、メンチルアセテート、メンチルサリシレート、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(WS−23)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、メンチルコハク酸、3,1−メントキシプロパン1,2−ジオールが挙げられる。これら及び他の好適な冷感剤は、Rowsell et al.の米国特許第4230688号及び第4032661号;Amano et alの第4459425号;Watson et al.の第4136163号;及びGrub et al.の第5266592号に更に記載されており、これらは援用によってその全体が本明細書の一部をなす。これらの冷感剤は、1以上の外側ガムコーティング、液体充填物を取り囲むガム領域、液体充填物自体、又はこれら3種のガム域の組合せの何れかに存在してよい。冷感剤は、ガム用の外側コーティング組成物に使用する場合、通常0.01%〜約1.0%の量で存在する。ガム領域又は中心充填物等、ガムの他の部位に用いる場合、冷感剤はチューインガム片の総質量の約0.001〜約10質量%の量で存在してよい。
【0132】
温感成分は、使用者に温感信号をもたらすことが知られている多種多様な化合物から選択されてよい。これらの化合物は、特に口腔内で暖かみを認知する感覚を与え、香料、甘味料、及びその他の感覚受容性成分の認知を増強することが多い。有用な温感化合物の中には、Takasago Perfumary Company Limited, Tokyo, Japanから販売されているバニリルアルコールn−ブチルエーテル(TK−1000)、バニリルアルコールn−プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn−アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、ジンジェロール、ショウガオール、パラドール、ジンゲロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソ−アミルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0133】
本発明の特徴及び利点は以下の実施例によってより充分に示されるが、実施例は例示目的で説明し、いかなる手法においても本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0134】
実施例1 ポリリン酸塩のカプセル化
ポリリン酸=トリポリリン酸ナトリウム(STP)
工程1:反応性バリアコーティング系 pH=7.4
水 78.807%
アラビアガム 20%
リン酸モノナトリウム、水和物 0.1558%
リン酸ジナトリウム、七水和物 1.0374%
撹拌しながら水にアラビアガム及びリン酸塩を溶解する。得られる溶液のpHは7.4とする。標準流動床装置で、上記の溶液を用いて10質量%にまでSTPをスプレーコーティングする。
【0135】
工程2:物理的バリアコーティング系
水 80%、アラビアガム 20%
撹拌しながら水にアラビアガムを溶解する。更に20%のコーティングにまで、STPをスプレーコーティングする。総コーティング量=10+20=30質量%
【0136】
カプセル化STPを含有するチューインガム製剤
実施例1で調製した、カプセル化されたSTPを用いてチューインガム組成物を調製した。チューインガムの成分は表2に示すとおりである。
【0137】
チューインガム
【表2】

【0138】
チューインガム組成物は、以下のとおりに調製した。ガム基剤を、混合機中で好適な温度にて融解させた。次いで、融解したガム基剤に残余の成分を添加し、成分が完全に分散するまで混合した。得られたチューインガム組成物のサイズ調整をした。
【0139】
実施例2 酵素のカプセル化
酵素=パパイン
工程1:反応性バリアコーティング系 pH=6.5
水 79.114% アラビアガム 20% リン酸モノナトリウム、水和物 0.482% リン酸ジナトリウム、七水和物 0.4039%
撹拌しながら水にアラビアガム及びリン酸塩を溶解する。得られる溶液のpHは6.5とする。標準流動床装置で、前記溶液を用いて10質量%にまで、パパインをスプレーコーティングする。
【0140】
工程2:物理的バリアコーティング系
水 80% アラビアガム 20%
撹拌しながら水にアラビアガムを溶解する。更に20%のコーティングまで、パパインをスプレーコーティングする。総コーティング量=10+20=30質量%
【0141】
カプセル化されたパパインを含有するチューインガムの調製
実施例2で調製した、カプセル化されたパパインを用いてチューインガム組成物を調製した。チューインガムの成分は表3に示すとおりである。
【0142】
チューインガム組成物
【表3】

【0143】
チューインガム組成物は、以下のとおりに調製した。ガム基剤を、混合機中で好適な温度にて融解させた。次いで、融解したガム基剤に残余の成分を添加し、成分が完全に分散するまで混合した。得られたチューインガム組成物のサイズ調整をした。
【0144】
実施例3 界面活性剤のカプセル化
界面活性剤=ステアリン酸ナトリウム
工程1:反応性バリアコーティング系 pH=8.0
水 78.114%アラビアガム 20%リン酸モノナトリウム、水和物 0.4712%リン酸ジナトリウム、七水和物 1.2485%
撹拌しながら水にアラビアガム及びリン酸塩を溶解する。得られる溶液のpHは8.0とする。標準流動床装置で、上記溶液を用いて10質量%まで、ステアリン酸ナトリウムをスプレーコーティングする。
【0145】
工程2:物理的バリアコーティング系
水 80% アラビアガム 20%
撹拌しながら水にアラビアガムを溶解する。更に20%のコーティングにまで、ステアリン酸ナトリウムをスプレーコーティングする。総コーティング量=10+20=30質量%
【0146】
カプセル化されたステアリン酸ナトリウムを含有するチューインガムの調製
実施例3で調製した、カプセル化されたステアリン酸ナトリウムを用いてチューインガム組成物を調製した。チューインガムの成分は表4に示すとおりである。
【0147】
チューインガム組成物
【表4】

【0148】
チューインガム組成物は、以下のとおりに調製した。ガム基剤を、混合機中で好適な温度にて融解させた。次いで、融解したガム基剤に残余の成分を添加し、成分が完全に分散するまで混合した。得られたチューインガム組成物のサイズ調整をした。
【0149】
実施例4 過酸化物のカプセル化
パラクサイド=カルバミドパラクサイド
工程1:反応性バリアコーティング系 pH=6.0
水 79.23%アラビアガム 20%リン酸モノナトリウム、水和物 0.607%リン酸ジナトリウム、七水和物 0.161%
撹拌しながら水にアラビアガム及びリン酸塩を溶解する。得られる溶液のpHは6.0とする。標準流動床装置で、前記溶液を用いて10質量%まで、カルバミドパラクサイドをスプレーコーティングする。
【0150】
工程2:物理的バリアコーティング系
水 80% アラビアガム 20%
撹拌しながら水にアラビアガムを溶解する。更に20%のコーティングにまで、カルバミドパラクサイドをスプレーコーティングする。総コーティング量=10+20=30質量%
【0151】
カプセル化されたカルバミドパラクサイドを含有するチューインガムの調製
実施例4で調製した、カプセル化されたカルバミドパラクサイドを用いてチューインガム組成物を調製した。チューインガムの成分は表5に示すとおりである。
【0152】
チューインガム組成物
【表5】

【0153】
チューインガム組成物は、以下のとおりに調製した。ガム基剤を、混合機中で好適な温度にて融解させた。次いで、融解したガム基剤に残余の成分を添加し、成分が完全に分散するまで混合した。得られたチューインガム組成物のサイズ調整をした。
【0154】
実施例5 甘味料のカプセル化
甘味料=ネオテーム
工程1:反応性バリアコーティング系 pH=4.0
水 79.50%アラビアガム 20%クエン酸、無水 0.17%クエン酸ナトリウム、二水和物 0.15%
撹拌しながら水にアラビアガム並びにクエン酸及びクエン酸塩を溶解する。得られる溶液のpHは8.0とする。標準流動床装置で、前記溶液を用いて10質量%まで、ネオテームをスプレーコーティングする。
【0155】
工程2:物理的バリアコーティング系
水 80% アラビアガム 20%
撹拌しながら水にアラビアガムを溶解する。更に20%のコーティングにまで、ネオテームをスプレーコーティングする。総コーティング量=10+20=30質量%
【0156】
カプセル化されたネオテームを含有するチューインガムの調製
実施例5で調製した、カプセル化されたネオテームを用いてチューインガム組成物を調製した。チューインガムの成分は表6に示すとおりである。
【0157】
チューインガム組成物
【表6】

【0158】
チューインガム組成物は、以下のとおりに調製した。ガム基剤は、混合機中で好適な温度にて融解させた。次いで、融解したガム基剤に残余の成分を添加し、成分が完全に分散するまで混合した。得られたチューインガム組成物のサイズ調整をした。
【0159】
本発明の好ましい実施形態であると現在考えられるものについて説明してきたが、本発明の技術的思想の範囲内で変更や修正をなし得ることを当業者は認識するであろうし、本発明の真の範囲に属するすべての変更及び修正を包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種以上の第一反応性成分を含有する担体組成物と、(b)コーティング内にカプセル化された1種以上の活性成分を含有する1種以上の活性組成物とを含有する口腔用組成物であって、
前記コーティングは、
(i)親水性材料と、
(ii)1種以上の第二反応性成分と、を含有し、
第一及び第二反応性成分の相互作用で、活性組成物の活性及び/又は効果が維持される口腔用組成物。
【請求項2】
前記コーティングは反応性バリアコーティングである請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】
第一及び第二反応性成分の相互作用で、第一反応性成分の1種以上の活性成分との相互作用能が低減する請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項4】
第一及び第二反応性成分の相互作用によって、1種以上の活性成分の経時的分解が前記相互作用のない組成物に比べて低減する請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項5】
第一及び第二反応性成分の相互作用によって、活性成分量の増加で測定する場合の前記口腔用組成物の有効期間が、前記相互作用のない組成物に比べて増加する請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項6】
第一及び第二反応性成分の相互作用によって、残存活性物の75%以上の存在によって測定する場合の前記口腔用組成物の有効期間が約1年以上となる請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項7】
第一及び第二反応性成分の相互作用によって、残存活性物の90%以上の存在によって測定する場合の前記口腔用組成物の有効期間が約6月以上となる請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項8】
第一反応性成分は、酸、香料、過酸化物、フッ化物、水、アルデヒド、及びグリセリンからなる群より選択される請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項9】
第二反応性成分は、バッファ、シリカ、及び還元剤からなる群より選択される請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項10】
第一反応性成分は酸である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項11】
第二反応性成分はバッファである請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項12】
第一反応性成分は、香料、アルデヒド、及びグリセリンからなる群より選択される請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項13】
第二反応性成分は、バッファ又はシリカである請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項14】
前記親水性材料は、アラビアガム、スターチ、ゼラチン、アルギン酸塩、アルキル及びヒドロキシセルロース、カラギーナン、微結晶性セルロース、寒天ガム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、修飾スターチ、キサンタンガム、ゼイン、ポリオール、及びグアーガムからなる群より選択される請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項15】
前記担体組成物は、ガム基剤、菓子基剤、練り歯磨き基剤、ゲル歯磨剤基剤、及び歯磨き粉基剤からなる群より選択される請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項16】
ガム組成物である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項17】
トローチ組成物である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項18】
ミント組成物である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項19】
キャンディ組成物請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項20】
練り歯磨き組成物である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項21】
ゲル歯磨組成物である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項22】
口腔用濯ぎ組成物又は洗口剤組成物である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項23】
歯磨き粉組成物である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項24】
前記活性成分は、キレート剤、酸化剤、界面活性剤、抗菌剤、加水分解剤、及び高甘味度甘味料からなる群より選択される請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項25】
前記キレート剤はリン酸塩である請求項24記載の口腔用組成物。
【請求項26】
前記リン酸塩は、ピロリン酸塩、三リン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項25記載の口腔用組成物。
【請求項27】
前記キレート剤はヘキサメタリン酸ナトリウムである請求項25記載の口腔用組成物。
【請求項28】
前記キレート剤はトリポリリン酸ナトリウムである請求項25記載の口腔用組成物。
【請求項29】
前記高甘味度甘味料は、アスパルテーム、ネオテーム、ASK、及びスクラロースからなる群より選択される請求項24記載の口腔用組成物。
【請求項30】
前記酸化剤はパラクサイドである請求項24記載の口腔用組成物。
【請求項31】
前記加水分解剤はタンパク質分解酵素である請求項24記載の口腔用組成物。
【請求項32】
前記界面活性剤は、中鎖又は長鎖脂肪酸の塩である請求項24記載の口腔用組成物。
【請求項33】
(a)1種以上の活性成分に曝露されると、前記活性成分と反応して1種以上の活性成分の活性を低減する1種以上の第一反応性成分を含有するガム基剤と、
(b)反応性バリアコーティング内にカプセル化された1種以上の活性成分を含有する活性組成物と、を含有する歯ホワイトニング用ガム組成物であって、前記コーティングは、
(i)親水性材料と、
(ii)前記1以上の第一反応性成分と反応して、活性物の活性及び/又は効果を維持する1種以上の第二反応性成分と、を含有する歯ホワイトニング用ガム組成物。
【請求項34】
歯から汚れを除去する方法であって、
口腔用組成物を準備し、
準備した口腔用組成物に前記歯を、前記歯から汚れを除去するのに充分な時間に亘り接触させることを含み、
前記口腔用組成物は、
(a)1種以上の第一反応性成分を含有する担体組成物と、
(b)コーティング内にカプセル化された1種以上の活性成分を含有する活性組成物と、を含有し、
前記コーティングは、
(i)親水性材料と、
(ii)1種以上の第二反応性成分と、を含有し、
第一及び第二反応性成分の相互作用で活性物の活性及び/又は効果が維持される方法。
【請求項35】
歯ホワイトニング用ガム組成物を調製する方法であって、
歯ホワイトニング用ガム活性成分を反応性バリアコーティング内にカプセル化し、
ガム基剤を加熱して軟化させ、
軟化したガム基剤を、カプセル化した歯ホワイトニング用活性成分と混合して、実質的に均質な混合物を得て、
前記混合物を冷却し、
冷却した混合物を個別のガム片に成形することを含み、
前記コーティングは、親水性材料と、前記ガム組成物中の安定性制限成分との反応性を有する成分と、を含有する方法。
【請求項36】
歯ホワイトニング用ガム組成物を調製する方法であって、
流動式空気流中に歯ホワイトニング活性粒子を懸濁し、
懸濁した活性粒子上に反応性バリアコーティングをスプレーすることを含み、
前記コーティングは、親水性材料と、前記ガム組成物中の安定性制限成分との反応性を有する成分と、を含有する方法。
【請求項37】
(a)1種以上の第一反応性成分を含有する担体組成物と、
(b)反応性バリアコーティング内にカプセル化された1種以上の活性成分を含有する活性組成物と、を含有する口腔用組成物であって、
前記コーティングは、
(i)親水性材料と、
(ii)1種以上の第二反応性成分と、を含有し、
第一及び第二反応性成分の相互作用で、活性物の活性及び/又は効果が維持される方法。

【公表番号】特表2008−530006(P2008−530006A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554077(P2007−554077)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/044990
【国際公開番号】WO2006/086061
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507265133)キャドバリー アダムス ユーエスエー エルエルシー (55)
【Fターム(参考)】