説明

反応性染料を有する洗濯洗剤組成物

0.00001重量%〜0.01重量%の反応性染料を含む、洗濯洗剤組成物が開示されている。本洗濯洗剤組成物は、望ましくない布地上への染料の蓄積を伴わずに、布地に好ましい色調を付与する効果を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染料を含む洗濯洗剤組成物に関する。具体的には、本発明は、布地上に蓄積することなく布地に好ましい色調を付与する染料を含む洗濯洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
布地物品の着用及び洗濯は、布地物品の元の布地色からの変色をもたらし得る。例えば、繰り返し洗濯される白色の布地は、布地をより古く、汚れているように、及び/又は磨耗したように見せる黄ばんだ外観を示す可能性がある。白色布地の望ましくない黄ばみ及び他の薄い色の布地の同様の変色を克服するために、このような布地を洗濯洗剤組成物の水溶液中で洗濯することによって布地に好ましい色相を付与するように、洗濯洗剤組成物中に色相染料(hueing dye)を配合することが望ましい。
【0003】
洗濯洗剤組成物中に使用される色相染料は典型的に、酸性染料、塩基性染料、又はいくつかの場合には、直接染料である。しかしながら、こうした色相染料を含有する洗剤で織物を繰り返し洗濯した後では、色相染料が織物上に蓄積して織物にその染料の色合いを与える傾向がある。例えば、青い染料を含む洗濯洗剤組成物による白色布地物品の繰り返し洗濯は、その物品に、白色よりもむしろ青味がかった外観を与える傾向にある。パステルカラーの布地の色調も同様に、色相染料を含有する洗剤で繰り返し洗濯した際に変化する傾向にある。したがって、こうした染料の使用は、色相効果と色合いの蓄積との間の矛盾を呈する傾向にある。
【0004】
染料の別の群である反応性染料が、高いpH、高温、及び/又は高い染料濃度のような条件下で、布地に対して共有結合することによって織物を着色するために、及び織物のインクジェット印刷のために、織物製造産業において使用されてきたが、洗濯洗剤分野では使用されていない。事実、国際公開第2006/027086号などのいくつかの従来技術は、反応性染料における官能基が気道及び皮膚の炎症/感作を引き起こし得ると言われているため、反応性染料を洗濯処理組成物において使用することはできないと教示している。こうした従来技術は、それ故に、織物に所望の色調を付与するために加水分解された反応性染料を用いることを教示している。しかしながら、加水分解された反応性染料は、反応性染料程には市場での入手が容易ではない。加水分解反応性染料を調製するためには追加の加水分解プロセスが必要とされるため、加水分解反応性染料のコストは反応性染料よりも高くなり、かつ加水分解反応性染料の品質管理は反応性染料の品質管理よりもはるかに複雑である。要するに、加水分解反応性染料の洗濯洗剤組成物における応用は、反応性染料のそれよりも実用的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006/027086号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、布地を洗濯することによる望ましくない布地上への蓄積を伴わずに、布地に好ましい色相を付与することができる改善された洗濯洗剤組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、約3重量%〜約50重量%の界面活性剤及び約0.00001重量%〜約0.01重量%の反応性染料を含有する洗濯洗剤組成物を提供する。いくつかの反応性染料が、この特定の濃度における洗濯洗剤組成物中において、炎症及び/又は感作の問題を生じることを恐れずに使用できることが見出された。色相染料を含む既知の洗濯洗剤組成物と比較して、反応性染料を特定濃度で含む洗濯洗剤組成物は、望ましくない布地上への染料の蓄積を伴わずに布地に明るい色相を与えることも見出された。更に、本明細書の洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の水溶液中でのより少ない洗浄サイクルで前記布地に望ましい色調を付与する、即ち、本明細書の洗濯洗剤組成物を用いて布地を洗濯することにより、洗濯布地の染料平衡がより速く達成される。理論に束縛されるものではないが、反応性染料における反応基が染料に溶解性の増加をもたらし、色相効果と染料蓄積との均衡をとるのを助ける一方で、反応基の加水分解は染料に、性能の低下を引き起こし得る本明細書には記載しない異なる挙動を与えるものと考えられる。
【0008】
本発明の別の態様では、布地を処理するための方法を提供する。前記方法は、布地を40℃未満の温度及び約9〜10のpHで本明細書の洗濯洗剤組成物の水溶液と接触させる工程と、布地をすすぎ及び乾燥する工程とを包含し、本明細書の洗濯洗剤組成物の前記水溶液は、約0.0005重量ppm〜約0.5重量ppmの反応性染料を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
他に特に規定されない限り、本明細書における全ての割合、比又は部は、重量基準である。
【0010】
反応性染料
本明細書の洗濯洗剤組成物は、約0.00001重量%〜約0.01重量%、又は約0.0001重量%〜約0.005重量%の反応性染料を含む。
【0011】
反応性染料は、好適な染色条件下で、基材と共有結合を形成することが可能な染料の群である。化学構造の観点から、典型的な反応性染料は、発色団基、及びセルロース、ウール、絹、及びポリアミド繊維などの基材と染色条件下で反応し得る1つ以上の官能基、いわゆるアンカー基を含む。反応性染料の典型的な発色団基は、アゾ、アントラキノン、フタロシアニン、ホルマザン、及びトリフェンジオアキサジンである。反応性染料の典型的なアンカー基は、トリクロロピリミジニル、モノクロロトリアジニル、ビニルスルホニル、ジクロロキノキサリニル、モノフルオロトラジニル、ジフルオロクロロピリミジニル、及びジクロロトリアジニルである。付加及び置換反応は、反応性染料と織物繊維との間の2つの起こり得る反応機構である。しかしながら、織物業界においては、こうした反応は典型的に、染料浴中の反応性染料の高い濃度、40℃よりも高い温度、10〜12の染料浴pH、並びに染料浴中の他の構成成分の共存などの好適な染色条件下で起こる。洗浄条件は染色条件よりもはるかに穏やかであるため、反応性染料は本明細書の洗濯洗剤組成物の水溶液中で洗濯される布地と共有結合反応はしないと考えられる。理論に束縛されるものではないが、反応性染料はまた、疎水性の又は静電性の相互作用によって布地表面に付着して布地に望ましい色調を付与する場合があると考えられる。
【0012】
本明細書における一実施形態によれば、本明細書の洗濯洗剤組成物は、反応性青色染料、反応性紫色染料、反応性赤色染料、及び反応性緑色染料からなる群から選択される異なる色調の反応性染料の組み合わせを含有する。このような異なる色調の反応性染料の組み合わせは、色調及び輝度をより精密に選択する可能性を配合者に提供することになる。
【0013】
本明細書で使用するのに好適な非限定的な反応性染料としては、次のカラーインデックス(C.I.)名を有するものが挙げられる:C.I.リアクティブブルー268、C.I.リアクティブレッド238、C.I.リアクティブブルー224、C.I.リアクティブバイオレット33、C.I.リアクティブブルー209、C.I.リアクティブブルー19、及びC.I.リアクティブレッド239。これらの反応性染料は全て、種々の供給元から市販されている。
【0014】
非限定的な好ましい実施形態では、反応性染料は、重量比約1:9〜約9:1、又は約1:5〜約5:1の反応性青色染料及び反応性赤色染料の組み合わせである。この反応性青色染料と反応性赤色染料の組み合わせは、こうした組み合わせが一部の消費者に特に好まれる紫色の色相を布地に与えるため、特に好ましい。好ましくは、反応性青色染料は、C.I.リアクティブブルー268、C.I.リアクティブブルー224、C.I.リアクティブブルー209、C.I.リアクティブブルー19、及びこれらの混合物からなる群から選択され、反応性赤色染料は、C.I.リアクティブレッド238、C.I.リアクティブレッド239、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
界面活性剤
本明細書の洗濯洗剤組成物は、約3%〜約50%、又は約8%〜約30%、又は約10%〜約20%の、アニオン性、非イオン性、カチオン性、双極性、両性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む。より具体的な実施形態では、洗剤組成物にはアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む。
【0016】
本明細書で有用な好適なアニオン性界面活性剤は、液体及び/又は固体洗剤製品で典型的に使用される従来のアニオン性界面活性剤のあらゆる種類を含むことができる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びに、アルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質が挙げられる。代表的なアニオン性界面活性剤は、C10〜16アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。好ましくはアルキル基は線状であり、そのような線状アルキルベンゼンスルホネートは「LAS」として既知である。アルキルベンゼンスルホネート、特にLASは当該技術分野において周知である。そのような界面活性剤及びそれらの製造は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されている。特に好ましいものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14の線状直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。C11〜C14ナトリウム、例えば、C12、LASは、そのような界面活性剤の具体例である。
【0017】
他の代表的な種類のアニオン性界面活性剤にはエトキシ化アルキルサルフェート界面活性剤が含まれる。アルキルエーテルサルフェート類、又はアルキルポリエトキシレートサルフェート類としても既知のこのような物質は、式:R’−O−(CO)n−SOM、に従うものであり、式中、R’はC8〜C20アルキル基であり、nは約1〜20であり、及びMは塩生成カチオンである。
【0018】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、液体及び/又は固体洗剤製品で一般に使用される従来の非イオン性界面活性剤いずれかの種類を含むことができる。これらとしては、アルコキシル化脂肪族アルコール及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書で有用な好適なアルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤は、一般式:R(C2mO)OHに従う場合があり、式中、RはC8〜C16アルキル基であり、mは2〜4であり、及びnは約2〜12の範囲である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の好適な種類にはアミンオキシド界面活性剤類が含まれている。アミンオキシドは、しばしば当該技術分野において「半極性」非イオン性物質と呼ばれる物質である。アミンオキシドは、式:R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’)を有する。この式において、Rは、飽和でも不飽和でもよく、直鎖でも分岐鎖でもよい、比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20の、又は10〜16の炭素原子を含有することができる。R’は短鎖部分で、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、及びBOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤は、C12〜14アルキルジメチルアミンオキシドで示される。
【0019】
カチオン性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、これらの非限定例としては四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、それらは26までの炭素原子を有することができる。追加の例としてはa)米国特許第6,136,769号で説明されたようなアルコキシラート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤、b)同第6,004,922号(6,004,922)で説明されたようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム、c)国際公開第98/35002号、同第98/35003号、同第98/35004号、同第98/35005号、及び同第98/35006号で説明されたようなポリアミンカチオン性界面活性剤、d)米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260,529号、及び同第6,022,844号で説明されたようなカチオン性エステル界面活性剤、並びにe)同第6,221,825号及び国際公開第00/47708号で説明されたようなアミノ界面活性剤、具体的にはアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0020】
双極性界面活性剤の非限定的な例としては、二級及び三級アミンの誘導体、複素環式二級及び三級アミンの誘導体、又は四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物、若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性界面活性剤の例;アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインなどのベタイン、C8〜C18(好ましくはC12〜C18)アミンオキシド並びにスルホ及びヒドロキシベタイン、例えばアルキル基がC8〜C18、好ましくはC10〜C14であり得るN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートについては、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)、19欄38行目〜22欄48行目を参照されたい。
【0021】
漂白剤
非限定的な好ましい実施形態では、本明細書の洗濯洗剤組成物は漂白剤を含有する。漂白剤は、本明細書では、布地が色相染料を含有する洗濯洗剤組成物で複数回洗濯された後で問題となる場合がある、布地上でのこうした色相染料の蓄積を抑制するという意味で好ましい。存在する場合、漂白剤は典型的に、洗濯洗剤組成物の約1重量%〜約30重量%、又は約5重量%〜約20重量%の濃度で存在する。
【0022】
本明細書で使用される漂白剤は、現在既知である又は既知となる織物洗浄における洗浄組成物のために有用であるあらゆる漂白剤であることができる。これらには、酸素漂白剤並びに他の漂白剤が包含される。過ホウ酸塩漂白剤、例えば、過ホウ酸ナトリウム(例えば、モノ−又は四水和物)を本明細書で使用できる。制限なしに使用できる漂白剤の別の分類には、過カルボン酸漂白剤及びこれらの塩類が包含される。この部類の剤の好適な例としては、モノペルオキシフタル酸マグネシウム六水和物、メタクロロ過安息香酸のマグネシウム塩、4−ノニルアミノ−4−オキソペルオキシ酪酸、及びジペルオキシドデカン二酸が挙げられる。このような漂白剤は、米国特許第4,483,781号(ハートマン(Hartman)、1984年11月20日発行)、米国特許出願第740、446号(バーンズ(Burns)ら、1985年6月3日出願)、欧州特許出願第0,133,354号(バンクス(Banks)ら、1985年2月20日公開)、及び米国特許第4,412,934号(チャン(Chung)ら、1983年11月1日発行)に開示されている。極めて好ましい漂白剤としてはまた、米国特許第4,634,551号(バーンズ(Burns)ら、1987年1月6日発行)に記載されている6−ノニルアミノ−6−オキソペルオキシカプロン酸が挙げられる。過酸素漂白剤もまた使用できる。好適な過酸素漂白剤としては、炭酸ナトリウム過酸化水素化物及び等価の「ペルカーボネート」漂白剤、ピロリン酸ナトリウム過酸化水素化物、尿素過酸化水素化物、及び過酸化ナトリウムが挙げられる。ペルスルフェート漂白剤(例えば、オキソン(OXONE)、デュポン(DuPont)により製造市販されている)もまた使用できる。好ましいペルカーボネート漂白剤は、約500マイクロメートル〜約1,000マイクロメートルの範囲の平均粒子径を有する乾燥粒子を含み、前記粒子の約10重量%以下が約200マイクロメートルよりも小さく、前記粒子の約10重量%以下が約1,250マイクロメートルよりも大きい。所望により、ペルカーボネートを、シリケート、ボレート、又は水溶性界面活性剤でコーティングすることができる。ペルカーボネートはFMC社(FMC)、ソルベイ社(Solvay)及び東海電化(Tokai Denka)などの様々な市販の供給元から入手できる。漂白剤の混合物もまた使用できる。
【0023】
酸素漂白剤以外の漂白剤もまた当該技術分野で既知であり、本明細書において使用できる。特に興味深い非酸素漂白剤の一種としては、スルホン化亜鉛及び/又はアルミニウムフタロシアニン類のような光活性化漂白剤が挙げられる。米国特許第4,033,718号(ホルコンブ(Holcombe)ら、1977年7月5日発行)を参照のこと。使用される場合、洗剤組成物は典型的に、約0.025重量%〜約1.25重量%のこうした漂白剤、特にスルホン化亜鉛フタロシアニンを含有する。
【0024】
補助剤成分
本明細書の洗濯洗剤組成物はまた、いくつかの追加の添加剤成分を包含することも可能である。これらには洗浄性ビルダー、酵素、酵素安定剤(プロピレングリコール、ホウ酸、及び/又はホウ砂など)、泡抑泡剤、土壌懸濁剤、汚れ放出剤、他の布地ケア有益剤、pH調整剤、キレート化剤、スメクタイト粘土、溶媒、ヒドロトロープ及び相安定剤、構造剤、転染抑止剤、蛍光増白剤、香料、及び着色剤等の従来の洗濯用洗剤組成物構成成分が挙げられる。種々の任意の洗剤組成物成分は、本明細書の組成物中に存在する場合、それらの望ましい寄与を組成物又は洗濯操作にもたらすため、慣習的に使用されている濃度で利用されるべきである。多くの場合、こうした任意の洗剤組成物成分の総量は、組成物の約0.01重量%〜約90重量%、又は約1重量%〜約70重量%、又は約10重量%〜約30重量%の範囲であり得る。
【0025】
非限定的な好ましい実施形態では、本明細書の洗濯洗剤組成物は、錠剤の形態で提供され、発泡剤、非ゲル化結合剤のような、1種以上の成分を含有する。
【0026】
発泡剤は典型的に、洗濯洗剤錠剤中に、その洗剤錠剤の5重量%〜20重量%、又は10重量%〜15重量%の濃度で存在する。本明細書で定義するとき、発泡性とは、二酸化炭素ガスを生成するような溶解性酸源とアルカリ金属炭酸塩との化学反応の結果としての液体からの気泡の発生を意味する。酸及び炭酸塩源及び他の発泡系の例は、薬剤の剤系(Pharmaceutical Dosage Forms):錠剤(Tablets)、第1巻、287〜291ページに見出され得る。発泡剤は洗剤成分に加えて錠剤混合物に添加されてよい。この発泡剤を洗剤錠剤に添加することで、錠剤の崩壊時間が改善される。好ましくは、発泡剤は、異なる粒子の粒塊として、又は圧縮物として、添加すべきであり、分離粒子として添加すべきではない。
【0027】
非ゲル化結合剤は典型的に、洗濯洗剤錠剤中に、その洗剤錠剤の0.1重量%〜15重量%、又は0.5重量%〜5重量%の濃度で存在する。非ゲル化結合剤は、洗剤組成物に一体化されて溶解を更に促進することができる。好適な非ゲル化結合剤としては、ポリエチレングリコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリレート類、及び水溶性アクリレートコポリマー類のような合成有機ポリマーが挙げられる。薬剤賦形剤ハンドブック(The handbook of Pharmaceutical Excipients)、第2版は、以下の結合剤の分類を有する:アカシア、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、硬化植物油タイプI、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液体グルコース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプン、及びゼイン。カチオン性ポリマー、即ち、エトキシ化ヘキサメチレンジアミン第四級化合物、ビスヘキサメチレントリアミン類、又はペンタアミン類、エトキシ化ポリエチレンアミン類、マレイン系アクリル系ポリマーなどの他のもののような好ましい非ゲル化結合剤はまた、洗濯における活性洗浄機能を有する。非ゲル化結合剤物質は噴霧されるのが好ましく、そのため、マトリックス中の他の活性成分を損傷又は分解しないように、90℃未満の、好ましくは70℃未満の、更により好ましくは50℃未満の、適切な融点温度を有する。融解形態で噴霧され得る非水性液体結合剤(即ち、水溶液でないもの)が最も好ましい。しかしながら、それらはまた、乾燥添加によってマトリックス中に組み込まれるが錠剤内での結合特性を有する、固体結合剤であってもよい。
【0028】
製品形態
本明細書の洗濯洗剤組成物は、錠剤、若しくは粒子、フレーク等を包含するがこれらに限定されない粒子状形態のいずれかの固体の形態であってよく、又は組成物は液体の形態であってもよい。洗濯洗剤組成物の形態に応じて、反応性染料を、粉末として、顆粒として、液体溶液として、洗剤製品の一部又は全体にまぶすことによって、洗剤製品上に噴霧することによって、又は単に液体洗剤中に溶液として加えることによって、添加することができる。
【0029】
一実施形態では、本明細書の洗濯洗剤組成物は、錠剤形態で提供される。洗濯洗剤錠剤は典型的には、20mm〜60mmの直径を有し、及び典型的には10g〜100gの重量を有する。しかしながら、本明細書の一実施形態では、一回使用量を構成する錠剤の組み合わされた重量は、75g未満、好ましくは70g未満、より好ましくは65g未満であるが、10gよりも多く、好ましくは15gよりも多く、より好ましくは20gよりも多くするべきである。錠剤の高さと錠剤の幅との比率は典型的に1:3よりも大きく1:1未満である。錠剤は典型的に、少なくとも900g/L、好ましくは少なくとも950g/Lであり、好ましくは2,000g/L未満、より好ましくは1,500g/L未満、更により好ましくは1,200g/L未満の密度を有する。
【0030】
洗濯洗剤錠剤を形成するための種々の技術が当該技術分野において周知であり、本明細書で使用されてよい。錠剤を製造する第一の工程は通常、原料をスプレー乾燥及びアグロメレーションなどによって顆粒化することを伴う。当該技術分野で既知の典型的なスプレー乾燥又はアグロメレーションプロセスを本明細書で使用できる。一例として、米国特許第5,133,924号(1992年7月28日発行)、同第4,637,891号(1987年1月20日発行)、同第4,726,908号(1988年2月23日発行)、同第5,160,657号(1992年11月3日発行)、同第5,164,108号(1992年11月17日発行)、同第5,569,645号(1996年10月29日発行)に記載されるプロセスを参照されたい。次に顆粒を他の活性物質、結合剤と組み合わせて、例えばロータリープレスを用いて錠剤形態へと圧縮する。圧縮力に起因して、錠剤は同じ活性物質を有する粉末よりもゆっくりと溶解する。したがって、良好な機械的安定性と迅速な溶解との組み合わせが、重要課題である。いくつかの手法、例えば高濃度の水溶性塩、又は膨潤性ポリマーの使用が開発されてきた。別の手法は、水に曝したときに容易に破壊するより硬い保護「シェル」でコーティングされた、より柔らかくより容易に溶解するコアを有する錠剤を生成するものである。好ましいコーティングはジカルボン酸類及び崩壊剤を包含する。これらの錠剤の好ましい密度は1020〜1070g/Lの範囲であり、好ましい形状は長方形であり、及び好ましくは投入引き出しを介して使用される。
【0031】
別の実施形態では、洗濯洗剤組成物は、水性の非界面活性液体キャリアを含む液体形態で提供される。一般に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物構成成分を可溶化し、懸濁し、又は分散するのに有効である。例えば、組成物は約5重量%から約90重量%、又は約10重量%から約70重量%、又は約20重量%から約70重量%の、水などの水性非界面活性液体キャリアを含んでよい。本明細書の液体洗濯洗剤組成物は、それらの構成成分をいずれかの都合のよい順番で組み合わせて、生じた構成成分の組み合わせを混合、例えば撹拌し、相安定性液体洗剤組成物を形成することによって調製される。液体洗濯洗剤組成物を形成する別の実施形態においては、反応性染料は先ず1つ以上の液体構成成分と組み合わされ染料プレミックスを形成し、これが洗濯用洗剤組成物の構成成分の残部の実質部分、例えば50重量%を超える、より具体的には70重量%を超える、更により具体的には90重量%を超える部分を含有する組成物処方物に添加される。例えば、上述した方法論において、反応性染料プレミックスと酵素構成成分の両方が構成成分添加の最終段階で添加される。更なる実施形態においては、反応性染料は洗剤組成物に添加される前にカプセル化され、カプセル化された染料は構造化液体(structured liquid)中に懸濁され、この懸濁液が洗濯洗剤組成物の構成成分の残部の実質部分を含有する組成物処方物に添加される。
【0032】
使用方法
前述のように調製された本発明の組成物は、布地の洗濯に使用される水性洗浄溶液を形成するために使用できる。一般に、このような組成物の有効量を、好ましくは従来の布地洗濯用自動洗濯機中の、水中に加え、約0.0005ppm〜約0.5ppm、又は約0.005ppm〜約0.25ppmの反応性染料を含むこのような水性洗濯溶液を形成する。そのように形成された水性洗浄溶液を次に、好ましくは攪拌下で、布地と接触させて、40℃未満だが3℃を超える温度で、及び約9〜10のpHで洗濯する。界面活性剤及び特定の反応性染料を含む本洗濯洗剤組成物は、洗濯後に望ましくない蓄積を過剰に示すことなく洗濯サイクル中に良好な色合い効果を示すことが見出された。
【0033】
試験方法
このプロトコルは、洗濯洗剤組成物の白色性能の比較評価を提供する。試験条件は以下の通りである:ミールソフトロニック(Miele Softronic)W467洗濯機を40℃で使用し、「耐しわ(Crease Resistant)洗浄サイクル(全体で1時間の洗浄サイクル)を用いる。水の硬度は、水道水に必要量のCa2+/Mg2+を3:1の比率で追加することによって炭酸カルシウム359ppm(21gpg)に調節する。同一の白色テリータオル及び綿ニット見本を、投入ボール中の25gのAS1人工汚れと共に洗濯機に加え、白色綿バラスト洗濯物(清浄なテリータオル、Tシャツ、及び平坦な綿シーツで構成される)を加える。全体の乾燥洗濯物重量は3kgである。
【0034】
試験を始める前に、バラスト洗濯物をミールソフトロニック(Miele Softronic)W467洗濯機で、以下の標準サイクルを用いて前処理する:50gのドレフトレギュラーパウダー(Dreft regular powder)を用いて30℃で1回洗浄、50gのドレフトレギュラーパウダーを用いて90℃で3回洗浄、及び洗剤なしで90℃で3回洗浄。次いでバラスト洗濯物をミール(Miele)T490中で更なる乾燥サイクルを用いて乾燥する。第1サイクルを開始する前に、(白色見本ではない)洗濯物を濡らすために、乾燥バラスト洗濯物は炭酸カルシウム359ppmですすぎサイクルにかけられている。次のサイクルのために間の乾燥なしに同じ製品とともに濡らされた同じバラスト洗濯物が再使用されている。
【0035】
使用される洗濯機の数は、試験する製品の数と等しく、いくつかの内側及び外側の白さの再現を得るために、洗濯機を連続して使用する。洗濯機を充填するために、バラスト洗濯物を必須の白色見本と混合し、次いでこの洗濯物全部を洗濯機に加え、最後に投与ボール中の25gのAS1人工汚れを洗濯物の上に加える。各洗濯洗剤の推奨される使用量を、メーカーの推奨に応じてディスペンサーを介して又はドラム中に加える。サイクルの完了時に、空の投与ボールを取り出し、全ての白色見本を取り出し、それらをミール(Miele)T490中で更なる乾燥サイクルを用いて乾燥する。白色見本が全て乾燥されたら、それらをCM−3600dミノルタ(Minolta)分光分析装置及び「ポラリスホワイトスター(Polaris White Star)」ソフトウェアバージョン1.1(両方ともアキシホス社(Axiphos GmbH)により供給)により分析する。全ての測定は最後の洗濯サイクルが終わってから48時間以内に行う。この時間の間、見本をプラスチック袋中で光から離して保管する。全ての見本を好ましくは同日中に分析する。
【0036】
分光分析装置により、D65照射、CIE 10°観測器で、洗浄された白色見本のL、a、b値を測定する。
【0037】
白色見本及びAS1人工汚れは、ウォーウィック・イクエスト・リミテッド(Warwick Equest Limited)、(英国、DH8 6BN、ダーラム州、コンセット、ビリャレアル、コンセットビジネスパーク、ユニット55(Unit 55,consett Business Park, Villa Real, Consett, County Durham, DH8 6BN, United Kingdom))に発注される。
【実施例】
【0038】
本発明による洗濯洗剤組成物の例を以下に示す。表1中の百分率は全て、洗剤組成物全体の重量による。これらは本発明の範囲を限定することを決して意図しない。
【表1】

1.アニオン性粒塊は40%のアニオン性界面活性剤、40%のゼオライト、及び20%のカーボネートを含む。
2.非イオン性粒塊は、26%の非イオン性界面活性剤、6%のルテンジット(Lutensit)K−HD 96、40%の無水酢酸ナトリウム、20%のカーボネート、及び8%のゼオライトを含む。
3.カチオン性粒塊は、23%のカチオン性界面活性剤、62%のゼオライト、及び15%の水を含む。
4.漂白活性化剤粒塊は、81%のTAED、17%のアクリル系/マレイン系コポリマー(酸形態)、及び2%の水を含む。
5.泡抑制剤は11.5%のシリコーン油、60%のゼオライト、及び28.5%の水を含む。
【0039】
実施例1、実施例2、及び比較例1の洗濯洗剤組成物の白色性能を、上述の試験方法に従って試験する。以下の表2におけるデータは、本発明の反応性染料を含有する洗濯洗剤組成物が白色布地において1サイクルの洗浄で直接染料を含有するものよりも訴求的な色相(より高いL、より高いa、より低いb)をもたらすことを示している。
【表2】

【0040】
実施例3及び比較例2の洗濯洗剤組成物の蓄積性能を、上述の試験方法に従って試験する。洗濯洗剤組成物中の反応性染料及び直接染料の濃度を、1洗浄サイクル時に同様の初期L、a、及びb値をもたらすように調節する。以下の表3におけるデータは、反応性染料を含有する洗濯洗剤組成物が、複数サイクルの洗浄後に直接染料を含有するものよりも布地への染料の蓄積が少ないことを示している。
【表3】

【0041】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく限定されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味することを意図する。
【0042】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同じ用語のいずれかの意味又は定義と相反する範囲では、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0043】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるかような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約3重量%〜約50重量%の界面活性剤及び約0.00001重量%〜約0.01重量%の反応性染料を含む、洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
約0.0001重量%〜約0.005重量%の反応性染料を含む、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記反応性染料が、C.I.リアクティブブルー268、C.I.リアクティブレッド238、C.I.リアクティブブルー224、C.I.リアクティブバイオレット33、C.I.リアクティブブルー209、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブレッド239、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記反応性染料が、反応性青色染料、反応性赤色染料、反応性紫色染料、及び反応性緑色染料からなる群から選択される異なる色調の反応性染料の組み合わせである、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記反応性染料が、重量比1:9〜9:1の反応性青色染料及び反応性赤色染料の組み合わせである、請求項4に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記反応性青色染料が、C.I.リアクティブブルー268、C.I.リアクティブブルー224、C.I.リアクティブブルー209、C.I.リアクティブブルー19、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記反応性赤色染料が、C.I.リアクティブレッド238、C.I.リアクティブレッド239、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
前記洗濯洗剤組成物が錠剤の形態である、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
約1重量%〜約30重量%の漂白剤を更に含む、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
布地を処理するための方法であって、
i.前記布地を40℃未満の温度及び約9〜約10のpHで請求項1〜7のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物の水溶液と接触させる工程と、
ii.前記布地をすすぎ及び乾燥する工程と、
を含み、前記水溶液が、約0.0005重量ppm〜約0.5重量ppmの前記反応性染料を含む、方法。

【公表番号】特表2010−520351(P2010−520351A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552321(P2009−552321)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050998
【国際公開番号】WO2008/114203
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】