説明

収納ケース

【課題】 収納物品を容易に出し入れすることのできる収納ケースであって、収納ケースとしての保管性及び携帯性を具備し、販売用ケース及びコレクションケースとしても利用できる収納ケースを提供する。
【解決手段】 収納ケース1は、物品を収納するケースであって、透明の材質から成る円筒部2と、該円筒部2の開口端に係着される上蓋3及び底蓋4と、を備え、前記上蓋3及び底蓋4は、収納物品の端部を嵌挿可能な保持部を該蓋3,4の内側に有し、前記上蓋3及び底蓋4の保持部に収納物品の両端部を夫々嵌挿させて保持するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具等の物品が収納されるケースであって、収納ケースとしての保管性及び携帯性を具備し、販売用ケース及びコレクションケースとしても利用できる収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具等の物品に用いられてきた販売用ケースは、紙製の矩形箱状のケースであることが多いため、物品を取り出した後の販売用ケースは、廃棄されることが多い。又、この紙製の販売用ケースを廃棄せずに収納ケースとして利用したとしても、外側からケースの中の物品を観賞することができないため、ケースに入れたまま物品を飾るといったコレクションケースとしての利用ができないといった問題点があった。特に、ミニチュアカーやラジオコントロールカーでは、実車の再現性などの観賞性も商品価値に影響し、玩具としての実用性と装飾性との両立が望まれることが多かった。
【0003】
そして、プラスチック等から成る透明のケースであって、物品をケースの外側から視認することのできる販売用ケースもあるが、それらは専ら販売や展示のためのものであり、何度も出し入れすることのできる保管性及び携帯性を具備する収納ケースとして利用するには不向きである。したがって、玩具を室内装飾品の一つとして飾る際には、透明の材質から成り、又、ケースの中に埃や塵等が入らないように形成され、容易に物品を出し入れ可能なコレクションケースを別に用意して物品を飾っていた。
【0004】
そこで、例えば、実用新案登録第3129864号公報(特許文献1)では、商品を載置する台座と、この台座を支持する側板及び台座後方に立設した背板からなる陳列体と、前記陳列体を収納する、透明の材質から成り上端の蓋部が開閉自在なケースとから成る販売用ケースとコレクションケースを兼ねた展示具が提案されている。
【0005】
この考案においては、商品の陳列とパッケージを同時に行うことができ、又陳列時には内部の商品が見えると共にケースが商品を保護するため埃や塵がつかず盗難の恐れもなく、更には購入後自宅でプライベートなコレクションとして楽しむこともできる。
【特許文献1】実用新案登録第3129864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の考案は、指輪等の小物類を収納する場合には、針金により固定することができるため位置のずれを防ぐことができるも、物品が大きくなるにつれ、固定箇所を増やし、更に針金では無く接着剤等を用いることによって確実に固定するものであるため、ラジオコントロールカーなどの物品がある程度大きい場合、物品をケースから出し入れするのに不便であるといった問題点がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、収納物品を容易に出し入れすることのできる収納ケースであって、収納ケースとしての保管性及び携帯性を具備し、販売用ケース及びコレクションケースとしても利用できる収納ケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の収納ケースは、物品を収納するケースであって、透明の材質から成る円筒部と、該円筒部の開口端に係着される上蓋及び底蓋と、を備え、前記上蓋及び底蓋は、収納物品の端部を嵌挿可能な保持部を該蓋の内側に有し、前記上蓋及び底蓋の保持部に収納物品の両端部を夫々嵌挿させて保持するものである。
【0009】
そして、前記上蓋及び/又は底蓋は、前記保持部と共に補助収納物品を嵌挿可能な挟持部を該蓋の内側に有し、該挟持部は、弾性体を備え、前記上蓋及び/又は底蓋の挟持部に前記補助収納物品を嵌挿させて、前記弾性体により前記補助収納物品を挟持するものである。
【0010】
更に、前記上蓋及び/又は底蓋は、当該蓋に備えられた前記挟持部に挟持される補助収納物品を当該蓋の内側に完全に収納することができるように周縁部が十分な高さに形成されるものである。
【0011】
又、前記円筒部は、外側から内部を視認することのできる透明部と、絵柄等を描いた装飾部と、を備えることもある。
【0012】
そして、前記収納ケースは、既存の缶飲料用自動販売機で販売可能な大きさと形状に形成されていることもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納物品を容易に出し入れすることのできる収納ケースであって、収納物品の両端を保持して収納ケースとしての保管性及び携帯性を具備し、販売用ケース及びコレクションケースとしても利用できる収納ケースを提供することができるものである。
【0014】
又、保持部と共に挟持部を有する収納ケースは、主たる収納物品と共に付属品とする補助収納物品も合せて収納することができる。そして、蓋の周縁部を十分に高くして補助収納物品を蓋の内側に完全に収納する場合は、補助収納物品を外側から見せることなく主な収納物品を美しく見せて装飾効果の高い収納ケースとすることができる。
【0015】
又、装飾部を設けることにより、ケース自体にコレクション性を付加させると共に、装飾部と収納物品とを一体として購入者に視認させることにより購入者の美感を刺激させることもできる。更に、収納ケースを既存の缶飲料用自動販売機で販売可能な大きさと形状に形成すれば、既存の缶飲料用自動販売機を利用しての販売も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態の収納ケース1は、透明の樹脂材等から成る矩形状の薄板を巻くことにより円筒状に形成される円筒部2と、該円筒部2の開口端に嵌着される上蓋3及び底蓋4と、を備え、上蓋3及び底蓋4は、収納物品の端部を嵌挿可能な保持部5を該蓋3,4の内側に有し、上蓋3及び底蓋4の保持部5に収納物品の両端部を夫々嵌挿させて保持するものである。
【0017】
そして、上蓋3は、保持部5と共に補助収納物品を嵌挿可能な挟持部6も該上蓋3の内側に有し、該挟持部6は、係止部26を有する板バネ25である弾性体を備え、上蓋3の挟持部6に補助収納物品を嵌挿させて、板バネ25により補助収納物品を押圧することにより補助収納物品を挟持するものである。
【0018】
又、上蓋3は、該上蓋3に備えられた挟持部6に挟持される補助収納物品を該上蓋3の内側に完全に収納することができるように周縁部が十分な高さに形成されるものである。
【0019】
更に、この収納ケース1は、既存の缶飲料用自動販売機で販売可能な大きさと形状に形成されているものである。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明に係る収納ケース1は、図1に示すように、収納物品である玩具10を収納するケースであって、矩形状の薄板により円筒状に形成される円筒部2と、該円筒部2の開口端に係着される上蓋3及び底蓋4を備えているものである。
【0021】
円筒部2は、透明の樹脂材等から成る矩形状の薄板を巻いて、該薄板の両端辺を接合することにより円筒状に形成されるものである。これにより、収納ケース1の外側から透明の材質から成る円筒部2を通して、玩具10の一物品であって装飾性を具備する自動車模型を観賞することができる。尚、透明円筒チューブを所定の長さで切断して円筒部2とすることもある。
【0022】
そして、上蓋3及び底蓋4は、略円筒状の周縁部を有し、一端を円形開口とし、他端を略円形平面部として形成されるものである。そして、図2に示すように、上蓋3及び底蓋4は、蓋3,4の開口端側において円筒部2に嵌挿させる部分である円筒状の嵌挿部9を備えている。この嵌挿部9の外径は、円筒部2の内径と略同じ寸法となるように形成されている。
【0023】
又、上蓋3及び底蓋4は、円筒部2に嵌挿部9を嵌挿させる際、円筒部2の中に蓋3,4が入り込みすぎないように、嵌挿部9から円周外方に向かって突出するように形成されている係止部17を備えているものである。この係止部17は、円筒部2の外径よりも大きな外径となるように形成されているため、円筒部2に蓋3,4の嵌挿部9を嵌挿させる際、円筒部2の端面を当該係止部17に接触させることで、円筒部2の中に蓋3,4が入り込みすぎることを防止するものである。
【0024】
このように、上蓋3及び底蓋4に嵌挿部9及び係止部17を設けることで、蓋3,4を円筒部2に嵌着した際に、埃や塵等が内部に侵入することを防止し得るに十分な機密性を確保できる収納ケース1を形成するものである。
【0025】
そして、この収納ケース1は、図3に示すように、上蓋3を外して収納ケース1の一端を開放することで、収納ケース1の中の玩具10の出し入れを可能としているものである。同様に、底蓋4を外して、玩具10の出し入れをしてもよいが、本実施例においては、底蓋4の嵌挿部9を円筒部2に嵌着させた後、当該嵌着部を接着しており、上蓋3のみを着脱自在としている。これにより、底蓋4を下方に向け、更に底蓋4を支えていない状態にあっても、自然に底蓋4が外れてしまうことを防止できるため、容易に玩具10を出し入れすることができる。
【0026】
尚、嵌挿部9に代えて、例えば螺着によって着脱可能な係着手段である螺子部を蓋3,4及び円筒部2に夫々設けることで、上蓋3及び底蓋4の両方を着脱自在として、収納ケース1の両端を開放できるように形成してもよい。これにより、蓋3,4を下方に位置させた状態にあっても、自然に蓋3,4が外れてしまうことを防止できるため、容易に玩具10を出し入れすることができる。
【0027】
そして、収納ケース1に収納される物品である玩具10は、図4に示すように、無線操縦可能な自動車玩具であって、自動車玩具である被操作体11と、被操作体11の動作を指示する操作体12と、操作体12に接続されるアンテナ12aと、補助収納物品とする付属品である4個のパイロン13を備えるものである。
【0028】
操作体12は、CPU、メモリ(RAM、ROM)、I/Oなどを収めたマイクロコントローラや、乾電池等の電源、並びにレギュレータなどを内蔵する送信機であって、前進、後退、左右方向転換を被操作体11に指示するためのスイッチキー15と、電力の有又は無を表示する電力インジケータ、充電中又は非充電中を表示する充電インジケータを上面に有し、電波を送信するアンテナ12aを螺着するための螺子部を側面に有しているものである。又、この操作体12の筺体は、略直方体形状に形成されているものである。
【0029】
被操作体11は、操作体12から発信される無線信号を検波して復調する無線受信回路と、増幅回路と、検波された無線制御信号を復号してそれに応答するデータ処理回路と、駆動回路などから成る電子パッケージを備え、又、電源としてのコンデンサと、歯車や車軸を介して車輪に動力を伝える伝動モータなども備えているものである。そして、操作体12から発信される無線信号に応じて伝動モータを駆動させることにより、車輪を回転させ、或いは車軸を傾動させることにより、前進、後退、左右方向転換等の動作を行うものである。
【0030】
そして、主たる収納物品とする操作体12と被操作体11は、互いに係着可能とされているものであり、操作体12においては操作体12の上面の中央付近に係着部16を設け、被操作体11においては図示しない自動車の下面の中央付近に係着部を設けている。又、操作体12と被操作体11が係着された状態にあっては、操作体12の上面に突出した金具18が図示しない被操作体11の下面に設けられた金具に接触しており、操作体12の電源である電池及び被操作体11の電源であるコンデンサを含む電気回路を形成するものである。これにより、被操作体11のコンデンサに電流が流れ、コンデンサに電荷が蓄積されると共に操作体12の充電インジケータも点灯する。
【0031】
そして、操作体12と被操作体11は係着して一体となった状態で収納ケース1に収納され、アンテナ12aは操作体12から分離して収納され、パイロン13は2個ずつ積重されて収納される。このとき、操作体12及びアンテナ12aの両端部は、上蓋3及び底蓋4の内側に形成される後述の保持部により保持され、パイロン13の台座部は、後述の挟持部により挟持された状態で収納される。尚、被操作体11である自動車玩具の長さは操作体12である送信機よりも短く、送信機の両端を上蓋3及び底蓋4の保持部で保持することにより主たる収納物品としての自動車玩具及び送信機を収納ケース1内に収納固定している。
【0032】
この保持部5は、図5に示すように収納物品の端部を嵌挿可能な凹状として形成されるものである。本実施例においては、1枚の略矩形状板材の両端近傍を直角に曲げることにより断面コ字状に成形し、該板材を底蓋4の内側における平面部に対して垂直に接着した上側保持部材20と、当該上側保持部材20の両端部に直交するように別の略矩形状板材を底蓋4の内周面に接着した下側の保持部材である下面板22によって、凹状の矩形保持部5aを形成しているものである。
【0033】
そして、この矩形保持部5aは、略直方体形状である操作体12の端部近傍における断面形状に合せて形成されており、更に操作体12を嵌挿可能なように操作体12の外形寸法よりも僅かに大きく形成され、底蓋4の円形平面部における略半円の部分に設けるように上側保持部材20の上面板21を円形平面部の中心近傍に配置しているものである。尚、4枚の矩形状の板材を底蓋4の内側における平面部に対して垂直に接着し、更に板材の端部を相互に直交させて接着するなどして、凹状の矩形保持部5aを形成とすることもある。
【0034】
これにより、底蓋4の矩形保持部5aに操作体12の端部を嵌挿させると、矩形保持部5aが操作体12の外形寸法よりも僅かに大きい凹状に形成されているため、図6に示すように、円筒部2の中心軸がテーブルなどの平面台と平行となるように円筒部2を載置した状態であっても、操作体12の端部近傍を底蓋4の矩形保持部5aのみで保持することが可能となる。尚、底蓋4を下方に向けて、収納ケース1を載置した状態にあっては、より安定した状態で操作体12及び被操作体11を保持することができる。これにより、操作体12及び被操作体11を手指等で支持せずとも、円筒部2に上蓋3を着脱させることができる。
【0035】
そして、図5に示したように、矩形保持部5aを形成する板材の一部に開口を形成することもある。本実施例においては、図4に示した操作体12の上面に突出される円形のスイッチキー15の形状に合せた半円状の開口を矩形保持部5aの上面板21に設けている。これにより、操作体12を矩形保持部5aに嵌挿させる際にスイッチキー15が矩形保持部5aの上面板21に引っ掛かることもなく、又、スイッチキー15が矩形保持部5aに入り込んでしまったときに、矩形保持部5aの上面板21により当該スイッチキー15が押し込まれて、被操作体11が誤動作することも防止できる。
【0036】
又、操作体12の下面を支持する保持部材である下面板22のみを収納ケース1の長手方向である円筒中心軸方向に長く形成している。これにより、操作体12を収納ケース1に収納する際、操作体12の下面角部を矩形保持部5aの下面板22に接触させ且つ下面板22に沿って移動させれば、矩形保持部5aの凹部に操作体12を容易に案内することができる。更に、下面板22を他の板材よりも下方になるように配置させた状態で底蓋4の矩形保持部5aに操作体12の端部近傍を嵌挿させたとき、操作体12の傾きを少なくして、より安定性を保つことができるため、より容易に上蓋3を円筒部2に装着することができるものである。
【0037】
そして、この保持部5は、矩形状の保持部5aのみでなく、図5に示すように円形状の保持部5bを合せて形成することもある。この円形保持部5bは、丸棒形状のアンテナ12aの外径よりも僅かに大きい内径を有する筒状体であって、この筒状体を底蓋4の平面部において該筒状体の中心軸が底蓋4の平面部と垂直になるように該筒状体の一端を接着することにより、凹状の円形保持部5bを形成しているものである。これにより、前述した操作体12と同様、図6に示すように、アンテナ12aの端部近傍を底蓋4の円形保持部5bに嵌挿させることで、アンテナ12aも底蓋4に保持させることができ、容易に上蓋3を装着することができる。
【0038】
そして、図7に示すように、上蓋3の内側における平面部には、前述の底蓋4に形成される矩形保持部5a及び円形保持部5bと対向した位置に、略同形状の矩形保持部5a及び円形保持部5bを有している。したがって、収納ケース1に操作体12及びアンテナ12aを収納する際は、底蓋4の保持部5に操作体12及びアンテナ12aの一端を嵌挿させた後、操作体12及びアンテナ12aの他端を上蓋3の保持部5に嵌挿させて上蓋3を装着することとなる。これにより、収納ケース1は、上蓋3及び底蓋4の保持部5に操作体12及びアンテナ12aの両端部を夫々嵌挿させて保持するものである。
【0039】
尚、上蓋3の保持部5は、底蓋4の保持部5と略対称の形状とされるものであるから、操作体12及びアンテナ12aを収納ケース1に収納する際、先に上蓋3の保持部5に操作体12及びアンテナ12aを嵌挿させ、次いで底蓋4の保持部5に操作体12及びアンテナ12aを嵌挿させることもできる。
【0040】
そして、保持部5には、玩具10を収納ケース1に収納した際、ケース内で玩具10が収納ケース1の長手方向に移動することの無いように、矩形の平板材である位置調整部材14を設けることもある。この位置調整部材14は、当該位置調整部材14の3辺が夫々矩形保持部5aの上面板21、下面板22、及び上蓋3の平面部に直交して接着されているものである。
【0041】
そして、この位置調整部材14は、どの板材にも接触していない当該位置調整部材14の1辺から底蓋4に形成される凹状の矩形保持部5aの底面までの長さと、操作体12の長さが略一致するような大きさに形成されているものである。即ち、操作体12は、図2に示したように、収納ケース1に収納された状態において、底蓋4の平面部と上蓋3の位置調整部材14によって挟まれて、収納ケース1の長手方向の移動が制限されるものである。
【0042】
したがって、操作体12が収納ケース1に収納された状態にあっては、底蓋4の平面部と位置調整部材14によって長手方向における操作体12の移動が制限されると共に、上蓋3及び底蓋4の矩形保持部5aによって円周方向における操作体12の移動も制限される。これにより、収納ケース1を揺動させても、操作体12及び被操作体11は、収納ケース1の中で揺動することがないため、持ち運びの際に収納ケース1の中で操作体12が移動して破損することも無く、携帯性に優れている。
【0043】
又、どんな配置状態にあっても、収納ケース1と被操作体11の相対距離は変わることが無いため、収納ケース1を室内装飾として様々な配置状態で飾ることができる。尚、操作体12の長さが、上蓋3及び底蓋4の矩形保持部5aの底面相互間と略同じ長さであれば、位置調整部材14を省略することもできる。そして、同様にアンテナ12aを保持する円形保持部5bの凹部に位置調整部材14を設置すれば、アンテナ12aの保持において、同様の効果を奏するものである。
【0044】
そして、挟持部6が、上蓋3及び/又は底蓋4に形成されることもある。この挟持部6は、図7に示すように上蓋3に複数枚の平板材を上蓋3の平面部や周縁部に接着するなどして直方体空間を形成しているものである。該直方体空間は、玩具10の付属品であって補助収納物品とされたパイロン13の形状に合わせて形成されている。尚、該空間は、補助収納物品の形状に合わせて形成されるものであるため、直方体空間に限らず、様々な形状となり得るものである。
【0045】
本実施例においては、直方体空間の高さ及び幅は、パイロン13の台座部19の高さ及び幅の2倍の寸法と略同寸法となるように形成され、又直方体空間の奥行きは、パイロン13の台座部19の幅と略同寸法となるように形成されている。更に、挟持部6の下面板24には、パイロン13の台座部19近傍における円錐部の外径よりも僅かに大きい開口が形成されている。そして、この開口は、上蓋3の平面部に接着される下面板24の一端近傍から他端にかけて形成されており、上蓋3の開口端側から、パイロン13を嵌挿できるものとなっている。
【0046】
尚、この挟持部6は上蓋3又は底蓋4の何れか一方で物品を挟持するものであるため、当該蓋3,4の開口を下方に向けた際にも、物品が落下しないように形成させることが好ましい。本実施例においては、挟持部6の上面板23の中央に開口を設け、該開口には、図2に示すように弾性体である断面略U字状の板バネ25が備えられている。この板バネ25は、該板バネ25の下面と挟持部6の下面板24との間隔を、パイロン13の台座部19の高さの2倍の長さよりも僅かに短くなるように配置されるものである。これにより、積重させたパイロン13を嵌挿させる際、板バネ25が僅かに上方へ弾性変形するように、パイロン13を押入すれば、板バネ25の弾性力によってパイロン13の台座部19を押圧して挟持することができる。更に、板バネ25の先端において、係止部26を下方に突出するように形成すれば、挟持部6に嵌挿された収納物品の脱落をより確実に防止することもできる。
【0047】
尚、パイロン13は、台座部19が挟持部6に嵌挿されて板バネ25によって挟持されることにより脱落し難いものとなっているが、板バネ25を手指等により弾性変形させてパイロン13を引き抜くことにより、容易に取り外すことができるものである。
【0048】
このように、収納ケース1に保持部5及び挟持部6を備えることにより、収納物品及び補助収納物品を容易に出し入れすることができ、又、保持部5及び挟持部6に物品を嵌挿させて収納することで、物品が収納ケース1の中において確実に固定されるため、持ち運びに適した携帯用ケースとして利用することができると共に、様々な配置状態で飾ることのできるコレクションケースとしての利用が可能である。更に、上蓋3及び底蓋4は、夫々円筒部2の開口端に嵌着されているため、埃や塵が内部に侵入することを防止し得るに十分な機密性を確保することのできる保管用ケースとして利用することもできる。
【0049】
又、保持部5を蓋3,4の平面部における半円部分に設けて操作体12を支持しており、操作体12よりも短い小型の被操作体11を操作体12に載置固定しているため、収納物品の重心を操作体12側として円筒状の収納ケース1を横置きとしても安定した状態で平坦な棚などに置くことができる。
【0050】
そして、上蓋3及び/又は底蓋4は、当該蓋3,4に備えられた挟持部6に挟持される補助収納物品を当該蓋3,4の内側に完全に収納することができるように略円筒状の周縁部を十分な高さに形成することが好ましい。これにより、挟持部6に補助収納物品を嵌挿させ、当該蓋3,4を円筒部2に係着させた状態において、収納ケース1の外側から挟持部6に挟持される補助収納物品を購入者に視認されないように隠すことができ、主たる収納物品である被操作体11によって購入者の美感を刺激させることができる。
【0051】
尚、補助収納物品を完全に収納するために周縁部を十分な高さに形成しても、操作体12の長さを被操作体11の長さよりも長く形成し、且つ操作体12及び被操作体11を係着した状態で操作体12の両端を上蓋3及び底蓋4の保持部5により収納ケース1内に収納固定しているため、被操作体11の美感が損なわれるほどに蓋3,4の周縁部によって被操作体11の一部が隠れてしまうこともない。
【0052】
又、この円筒部2は、外周の一部を不透明な材質から成る矩形状のシートで覆うことにより、外側から内部を視認することのできる透明部と、絵柄を描いた装飾部を形成することもある。このシートは、円筒部2の半周程度の幅と円筒部2の長さに等しい長さの矩形とすることにより、円筒部2をシートで覆った際、シートで覆われる部分と覆われない部分が円筒部2に形成される。これにより、円筒部2は、シートで覆われない半周部分を透明部、シートで覆われる半周部分を装飾部とすることができるものである。
【0053】
そして、収納物品のうち自動車玩具である被操作体11を主に視認できるように円筒部2の自動車玩具側の略半分を透明部として形成し、その他の部分である装飾部に絵柄等を描いてケース自体に装飾性を付加させれば、不透明部である装飾部によって、操作体12の多くの部分を意図して視認できないようにすることができる。これにより、収納ケース1に玩具10が収納された状態にあっては、主に透明部を通して外側から視認される自動車玩具と、ケースの装飾部によって購入者の美感を刺激させることができる。
【0054】
尚、円筒部2の外周を不透明なシートで覆わないで、内周面にシートを貼着してもよいし、円筒部2に直に彩色を施すことによって透明部及び装飾部を形成してもよい。更に、透明部及び装飾部は収納物品に合せて様々な形状として複数に区分させてもよい。
【0055】
このように、透明部と装飾部を収納物品によって、その割合や区分数、形状を工夫することにより、装飾部及び収納物品が一体となった収納ケース1によって購入者の美感を刺激することができるのみならず、ケース自体にコレクション性を付加させた収納ケース1を提供することができる。尚、収納ケース1に描かれる絵柄や彩色は、装飾部のみに限定されるものでなく、上蓋3及び底蓋4に有してもよい。
【0056】
そして、この収納ケース1は、販売用ケースとしても利用できるも、その販売形態は店頭に陳列するのみならず、上蓋3及び底蓋4を円筒部2の開口端に係着した状態における収納ケース1を既存の缶飲料用自動販売機で販売可能な大きさと形状として形成することにより、既存の缶飲料用自動販売機を利用しての販売が可能となるため、物品の販売形態の拡張も可能である。
【0057】
そして、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。尚、本発明は、玩具である無線操縦可能な自動車模型用のケースとして用いるだけでなく、様々な物品の収納ケースとして利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例に係る収納ケースの正面図。
【図2】本発明の実施例に係る収納ケースの断面図。
【図3】本発明の実施例に係る収納ケースの上蓋を外した状態を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る収納ケースの分解斜視図。
【図5】本発明の実施例に係る収納ケースの上蓋及び玩具を取り除いた状態を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る収納ケースの上蓋を取り除いた状態を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る収納ケースの上蓋の斜視図。
【符号の説明】
【0059】
1 収納ケース 2 円筒部
3 上蓋 4 底蓋
5 保持部 5a 矩形保持部
5b 円形保持部 6 挟持部
9 嵌挿部
10 玩具 11 被操作体
12 操作体 12a アンテナ
13 パイロン 14 位置調整部材
15 スイッチキー 16 係着部
17 係止部 18 金具
19 台座部
20 上側保持部材 21 上面板
22 下面板 23 上面板
24 下面板 25 板バネ
26 係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納するケースであって、
透明の材質から成る円筒部と、
該円筒部の開口端に係着される上蓋及び底蓋と、を備え、
前記上蓋及び底蓋は、収納物品の端部を嵌挿可能な保持部を該蓋の内側に有し、
前記上蓋及び底蓋の保持部に収納物品の両端部を夫々嵌挿させて保持することを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
前記上蓋及び/又は底蓋は、前記保持部と共に補助収納物品を嵌挿可能な挟持部を該蓋の内側に有し、
該挟持部は、弾性体を備え、
前記上蓋及び/又は底蓋の挟持部に前記補助収納物品を嵌挿させて、前記弾性体により前記補助収納物品を挟持することを特徴とする請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記上蓋及び/又は底蓋は、当該蓋に備えられた前記挟持部に挟持される補助収納物品を当該蓋の内側に完全に収納することができるように周縁部が十分な高さに形成されることを特徴とする請求項2に記載の収納ケース。
【請求項4】
前記円筒部は、外側から内部を視認することのできる透明部と、絵柄等を描いた装飾部と、を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の収納ケース。
【請求項5】
収納ケースが既存の缶飲料用自動販売機で販売可能な大きさと形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の収納ケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−137588(P2009−137588A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312303(P2007−312303)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(307024004)株式会社タイヨー (6)
【Fターム(参考)】