説明

収納ボックス

【課題】蓋部材の開閉操作を繰り返しても、蓋部材の安定的な開放変位が維持されるよう構成する。
【解決手段】固定フレーム部材30は、収納ボックスの本体部材に配設され、可動フレーム部材50は、固定フレーム部材30に支持軸60を介して回転可能に配設され、収納ボックスの蓋部材が配設される。可動フレーム部材50には、支持軸60の軸線方向を指向して、該支持軸60を中心とした円弧状の軌跡で移動する当接突部70が設けられる。固定フレーム部材30には、当接突部70の回転軌跡に対して支持軸60の軸線方向に重なり、該軸線方向で当接突部70に当接する当接案内部80が設けられる。当接突部70は、可動フレーム部材50の変形により前記軸線方向への変位が可能で、当接突部70の変位下に、該当接突部70と当接案内部80とが当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収納部を備えた本体部材と、この本体部材の上部に前記収納部を開閉可能に設けた蓋部材とを備え、付勢手段の付勢力により前記蓋部材が開放変位するよう構成された収納ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には、乗員室における前部座席間(運転席と助手席との間)のフロアに、身の回りの物品を出入れ可能に収納し得る収納ボックス(コンソールボックス)を設置したものがある。この収納ボックスは、内部に物品の収納部を画成した本体部材と、本体部材の上部に回転可能に配設されて、上方へ回転変位することで前記収納部の開口を開閉する蓋部材を備えている。
【0003】
前記収納ボックスでは、前記蓋部材を開放方向へ付勢する付勢手段を備えて、この付勢手段の付勢力を利用して蓋部材を自動的に開放変位可能としたタイプも実用化されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の収納ボックスは、ボックス本体(本体部材)に配設されたベースブラケットと、ベースブラケットにヒンジ軸を介して回転可能に連結されてコンソールドア(蓋部材)が配設されるヒンジアームと、前記ベースブラケットとヒンジアームとの間に配設されてコンソールドアを開放方向へ付勢するスプリングとを備えている。
【0004】
ところで、特許文献1に開示した収納ボックスのコンソールドアは、略水平姿勢の閉成位置から略垂直姿勢の開放位置まで上方へ回転変位するようになっており、閉成位置から開放位置に変位するに従い、自重によりヒンジ軸回りに作用する閉成方向のモーメント(以降「閉成モーメント」という)が変化する。すなわち閉成モーメントは、図12に示すように、コンソールドアの閉成位置において最大となり、該コンソールドアの開放角度が大きくなるに従って徐々に減少し、該コンソールドアの開放位置において最小となる。そして、コンソールドアの開放角度が小さい開放初期時には閉成モーメントの減少率は小さく、開放角度が大きくなるほど閉成モーメントの減少率が大きくなる。一方、スプリングの付勢力によりヒンジ軸回りに作用する開放方向のモーメント(以降「開放モーメント」という)は、コンソールドアの開放変位量に略比例して徐々に減少する。従って、コンソールドアの開放途中位置において、開放モーメントと閉成モーメントとの差が最小となるように設定した場合には、この開放途中位置から開放位置に近づくに従って開放モーメントが相対的に増加するようになる。この結果として、開放途中位置から開放位置までの間では、コンソールドアの開放速度が徐々に増加し、コンソールドアが開放位置に到達した際に部材同士の衝突による衝撃や異音が発生したり、該コンソールドアが衝突の反動で閉成方向へ跳ね返る等の現象が発生する。
【0005】
そこで、特許文献1の収納ボックスでは、ベースブラケットに設けたアッパーフレームとヒンジアームに設けた干渉部とを、ヒンジアームの回転変位時に当接させるよう構成してある。これにより、コンソールドアの開放変位時には、干渉部とアッパーフレームとの間に発生する摩擦抵抗により、スプリングの付勢力による該コンソールドアの開放速度の増加を抑え、衝撃や異音の発生および蓋部材の跳ね返り等を防止するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−285100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1に開示の構成では、ヒンジアームの端部に形成された干渉部が、ヒンジ軸を中心とする周方向へ延在している。また干渉部は、アッパーフレームのサイドフレームに隣接した端部部位に当接するようになっている。すなわち、アッパーフレームの干渉部が当接する部位は、サイドフレームに連設されていることで、干渉部から離間する方向への変形が困難となっている。このため、コンソールドアの開閉を繰り返すと、干渉部のアッパーフレームと当接する部分や、アッパーフレームの干渉部が当接する部分に摩耗が発生し易い。しかも、ヒンジアームの回転変位に際して干渉部が常にアッパーフレームに当接しながら回転するため、これら干渉部およびアッパーフレームの両方が極めて摩耗し易い構造となっている。従って、干渉部およびサイドフレームの摩耗により所期の摩擦抵抗が短期間で得られなくなり、コンソールドアの開放速度の増加を適切に抑えることができず、前述した衝撃や異音の発生を防止できないと共に、コンソールドアの跳ね返りも防止できなくなる問題を内在している。更に、摩擦抵抗を大きくするために干渉部とアッパーフレームとを強く当接させた場合には、ヒンジ軸およびヒンジ軸を支持する部分が径方向において強く接触するようになり、ヒンジアームとヒンジ軸との間にがたつきが発生して、コンソールドアをスムーズに開閉させ得なくなるおそれもある。
【0008】
そこで本発明では、蓋部材の開閉操作を繰り返しても、蓋部材の安定的な開放変位が維持されるよう構成した収納ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、
外方へ開口する収納部を内部に画成した本体部材と、前記本体部材に配設される固定フレーム部材と、前記固定フレーム部材に配設された支持軸を介して該固定フレーム部材に対して回転変位可能に配設された可動フレーム部材と、前記可動フレーム部材に配設されて収納部の開口部側に位置し、該可動フレーム部材の回転変位により前記収納部を閉成する閉成位置および該収納部を開放した開放位置へ姿勢変位する蓋部材と、前記可動フレーム部材を前記蓋部材の開放方向へ付勢する付勢手段とを備えた収納ボックスにおいて、
前記可動フレーム部材に前記支持軸の軸線方向を指向するように設けられ、該可動フレーム部材の回転変位により該支持軸を中心とした円弧状の軌跡で移動する第1当接部と、
前記固定フレーム部材に第1当接部の回転軌跡に対して前記軸線方向に重なるよう設けられ、前記蓋部材の開放途中位置から開放位置までの姿勢変位に亘って前記第1当接部に当接する第2当接部とを備え、
前記第1当接部および第2当接部は、前記可動フレーム部材の回転変位方向に重なるよう配置され、第1当接部および第2当接部の少なくとも一方は、他方の当接部との当接下に押し合いつつ前記軸線方向に変位可能に構成されることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1に係る発明によれば、蓋部材の開放途中位置から開放位置の間で、第1当接部と第2当接部とが支持軸の軸線方向で当接することで、蓋部材が開放位置に近づいた際に該蓋部材の開放速度が増加することを抑えることができる。従って、蓋部材が開放位置まで開放した際に衝撃や異音が発生しないと共に、蓋部材の跳ね返りも防止できる。そして、第1当接部または第2当接部の何れか一方が軸線方向に変位可能に構成されていることで、該一方の当接部の変位により該一方の当接部と他方の当接部とが押し合いながら当接するようになり、両当接部間に発生する摩擦抵抗を適正に設定することが可能である。また、第1当接部と第2当接部とが支持軸の軸線方向で当接するので、支持軸に負荷が掛からないと共に、固定フレーム部材および可動フレーム部材の該支持軸を支持する部分にがたつきが発生せず、蓋部材のスムーズな開閉変位を長期に亘って維持できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記第2当接部は、前記蓋部材の開放途中位置における前記第1当接部の当接位置から該蓋部材の開放位置における該第1当接部の当接位置に向け、前記第1当接部の回転軌跡に沿って前記可動フレーム部材側へ徐々に変位する傾斜面を備えたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、蓋部材が開放位置に近づくに従って第1当接部と第2当接部との当接強さが強くなって摩擦抵抗が増加するので、蓋部材が開放位置に近づいても開放速度が増加することを防止できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記可動フレーム部材は、前記支持軸に連結されて前記軸線方向へ変形可能なアームを備え、
前記第1当接部は、前記アームに突設されて前記第2当接部に対して点接触する半球面状の突部であることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、第1当接部が第2当接部に対して点接触しながら移動すると共にアームが軸線方向へ変形可能なので、両当接部の摩耗を最小限に抑えることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記固定フレーム部材は、前記可動フレーム部材のアームの移動経路を挟んで、前記第2当接部と対向する側に変形規制部を備え、
前記変形規制部は、前記蓋部材の開放方向における開放位置手前で前記アームに当接する位置に臨んでいることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、第1当接部と第2当接部との当接によりアームが過度に変形することを防止し得る。そして、蓋部材を開放位置で適切に保持し得る。また、蓋部材の開放位置手前で摩擦抵抗を好適に大きくでき、蓋部材の開放速度を好適に抑えることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記蓋部材の前記開放途中位置での開放姿勢では、該蓋部材の開放時に前記支持軸回りに作用する蓋部材の自重による閉成モーメントおよび前記付勢手段の付勢力による開放モーメントの差が最小となることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、蓋部材の開放変位において、開放モーメントと閉成モーメントの差が徐々に大きくなる位置から第1当接部と第2当接部とを当接させるため、蓋部材の開放速度が速くなったり遅くなったり、また蓋部材が開放途中で停止することを防止し得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る収納ボックスによれば、蓋部材の開閉操作を繰り返しても摩擦抵抗の低下がなく、よって蓋部材の安定的な開放変位が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例の収納ボックスを概略的に示す斜視図であって、(a)は、蓋部材が閉成位置にある状態を示し、(b)は、蓋部材が開放位置にある場合を示す。
【図2】図1に示す収納ボックスの本体部材内に配設される固定フレーム部材および蓋部材が配設される可動フレーム部材を、該可動フレーム部材が蓋部材の閉成位置に対応した姿勢で示す斜視図である。
【図3】図1に示す収納ボックスの本体部材内に配設される固定フレーム部材および蓋部材が配設される可動フレーム部材を、該可動フレーム部材が蓋部材の開放位置に対応した姿勢で示す斜視図である。
【図4】図2および図3に示す固定フレーム部材、可動フレーム部材、支持軸およびスプリングを示す分解斜視図である。
【図5】固定フレーム部材に対して可動フレーム部材が回転変位する姿勢を示す説明図である。
【図6】(a)は、蓋部材の閉成位置に対応した可動フレーム部材の姿勢において、当接突部が支持軸の略真下に位置する状態を示す部分側面図であり、(b)は(a)の部分正面図である。
【図7】(a)は、蓋部材の開放途中位置に対応した可動フレーム部材の姿勢において、当接突部が当接案内部に当接する位置まで移動した状態を示す部分側面図であり、(b)は(a)の部分正面図である。
【図8】(a)は、開放途中位置から更に蓋部材が開放した位置における可動フレーム部材の姿勢において、当接突部が当接案内部に当接すると共にアームがガイドフランジに当接する状態を示す部分側面図であり、(b)は(a)の部分正面図である。
【図9】(a)は、蓋部材の開放位置に可動フレーム部材の姿勢において、当接突部が当接案内部に当接すると当接突片部が固定フレーム部材に当接する状態を示す部分側面図であり、(b)は(a)の部分正面図である。
【図10】図6(a)の状態における部分平面図である。
【図11】図9(a)の状態における部分平面図である。
【図12】蓋部材の開閉角度において、蓋部材の支持軸回りにおける蓋部材の自重による閉成モーメントおよび付勢部材による開放モーメントの変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る収納ボックスにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、収納ボックスとしてコンソールボックスを例示する。なお、収納ボックスにおいて前後とは、車両に設置した際の車両の前後方向を基準として指称し、左右とは、車両の前進方向を基準とする左右方向を指称する。すなわち図1および図2では、図中左下側が車両の前側で、図中右上側が車両の後側である。
【実施例】
【0018】
図1に示すように、実施例に係る収納ボックスCBは、上方に開口する収納部11を画成した本体部材10と、本体部材10の上部に回転可能に配設されて収納部11を開閉可能な蓋部材20とを備えている。前記本体部材10の内部における収納部11の後部空間12には、図2に示す固定フレーム部材30が配設されている。蓋部材20は、固定フレーム部材30に支持軸60を介して回転可能に連結された図2の可動フレーム部材50に配設されている。すなわち、本体部材10内に配設された固定フレーム部材30に対して可動フレーム部材50が回転することで、蓋部材20が本体部材10に対して回転可能になっている。そして蓋部材20は、本体部材10の上部に倒伏して収納部11を覆蓋した閉成位置(図1(a))と、後方へ回転して本体部材10から起立して収納部11を露出させた開放位置(図1(b))との間で開閉変位可能となっている。なお、実施例の収納ボックスCBは、車両の乗員室における運転席と助手席との間のフロアに設置される。
【0019】
本体部材10は、図1に示すように、前部座席間のフロアに設置することを前提として、前後方向に長い箱体状に構成されており、図示省略した前端部が、乗員室前部に配設されたインストルメントパネルに連結される。そして本体部材10は、前後方向の略中間部を境とした前部本体10Aおよび後部本体10Bからなり、前部本体10Aにはシフトレバー、容器ホルダ、コインボックス、灰皿等が必要に応じて配設されている。また後部本体10Bは、前部本体10Aより上方へ突出した状態に形成され、上面に開口した前記収納部11が内部に画成されている。また、後部本体10Bの収納部11の後方に後部空間12が画成されており、この後部空間12には、前記固定フレーム部材30がビス等により強固に固定されている。
【0020】
蓋部材20は、図1および図2に示すように、後部本体10Bの上面全体を覆蓋し得る形状、サイズに形成された合成樹脂製の部材であり、後部本体10Bに対向するベース部材21と、このベース部材21の上方に組付けられるカバー部材22とを備えている。そして、ベース部材21とカバー部材22とにより画成された内部空間23に、前記可動フレーム部材50が該ベース部材21に固定された状態で収容されている。そして、カバー部材22の外面には、必要に応じて表皮材24が配設されている。なお、蓋部材20の前部には、後部本体10Bの上面前側に設けた係止受部に係脱可能に係合する開閉レバー25が配設されており、開閉レバー25の非操作状態では蓋部材20の前部が本体部材10に係止され、開閉レバー25の操作時に係止が解除されて蓋部材20の開放が許容される。
【0021】
固定フレーム部材30は、図2〜図4に示すように、全体的な形状が略倒伏コ字形に構成されており、左右方向へ水平に延在するアッパーフレーム31と、このアッパーフレーム31の左右両端から垂直下方へ延在し、左右方向において互いに対向する左サイドフレーム32および右サイドフレーム33とを備えている。この固定フレーム部材30は、例えばスチール製の金属板をプレス成形した成形部材や、強化樹脂から成形された成形部材である。
【0022】
アッパーフレーム31は、左右に延在すると共に後下方へ傾斜した傾斜部34と、前記傾斜部34の下端に沿って左右に延在すると共に前下方へ延出するステー部35と、傾斜部34の上端に沿って左右に延在すると共に水平前方へ延出する庇部36とを備えている。ステー部35の前端縁には、左右へ所要間隔離間した位置に、前方へ開口した掛止凹部37,37が形成されており、図3に示すように、左側の掛止凹部37には、後述する第1スプリング66の第1脚部66Aが掛止され、右側の掛止凹部37には、第2スプリング67の第1脚部67Aが掛止される。また、前記庇部36の左右両端には、後述するガイドフランジ38,38が、左側方および右側方へ突設されている。
【0023】
左サイドフレーム32および右サイドフレーム33は、図2〜図4に示すように、左右対称形状をなしており、下方に向かうに従い前方へ延出した略J字形に形成されている。前端には、上下に延在すると共に対向するサイドフレーム側へ折曲された取付リブ39を備えており、固定フレーム部材30は、各取付リブ39,39を前記本体部材10の所定位置にビス等を利用して固定するようになっている。また、各サイドフレーム32,33のアッパーフレーム31に隣接する上縁近傍には、左右方向において同一軸線状に第1軸支孔40,40が形成されており、可動フレーム部材50を枢支する支持軸60が挿通支持されるようになっている。また、各サイドフレーム32,33の上部からやや下がった前端には、後述する第2当接部としての当接案内部80,80が形成されている。なお、両取付リブ39,39間には、横方向へ延在する補強ステー41が固定されており、両サイドフレーム32,33がアッパーフレーム31に対して左右方向へ変形するのを規制して、固定フレーム部材30全体の強度向上が図られている。そして固定フレーム部材30は、本体部材10に固定されることで更に強度が向上する。
【0024】
可動フレーム部材50は、図2〜図4に示すように、蓋部材20の内部空間23に収納されてベース部材に固定される矩形板枠状の取付フレーム51と、この取付フレーム51の左右両端に立設されて前後方向へ延在する縦壁部52,52から後方へ延出する左アーム53および右アーム54とを備えている。この可動フレーム部材50は、例えばスチール製の金属板をプレス成形した成形部材や、強化樹脂から成形された成形部材である。
【0025】
取付フレーム51は、必要強度を確保したもとで、複数の開口部を形成して軽量化が図られている。各隅角部および左右中央部には、蓋部材20のベース部材21に固定するビスが挿通されるビス挿通孔55が形成されている。そして取付フレーム51は、左右両側の縦壁部52,52を備えることで捻れ剛性が向上しており、ベース部材21に固定することで蓋部材20の剛性向上を図る補強部材としても機能する。
【0026】
左アーム53および右アーム54は、図3および図4に示すように、左右対称形状をなしており、可動フレーム部材50の水平状態において、上下方向へ湾曲しながら後方へ延出する略倒伏S字形に形成されている。後端には、対向するアーム側へ折曲された掛止片部56を備えており、左アーム53に設けた掛止片部56には前記第1スプリング66の第2脚部66Bが掛止されると共に、右アーム54に設けた掛止片部56には前記第2スプリング67の第2脚部67Bが掛止されるようになっている。そして、各アーム53,54の後端やや前側における上縁には、上方へ延出する軸支持部57が一体的に形成されている。各軸支持部57,57には、左右方向において同一軸線状に第2軸支孔58,58が形成されており、前記支持軸60が挿通支持されるようになっている。また、各アーム53,54には、第2軸支孔58から所要距離離間した位置に、後述する当接突部(当接部)70が形成されている。更に、各アーム53,54には、軸支持部57の前端に、前記ガイドフランジ38および傾斜部34に当接可能な当接突片部59が形成されている。
【0027】
そして、前記左アーム53および右アーム54は、取付フレーム51(縦壁部52,52)の後端から片持ち状に延出しているので、該アーム53,54の後端側が左右方向(第2軸支孔58,58に挿通支持された支持軸60の軸線方向)へ変位するように全体的に変形が可能となっている。なお各アーム53,54は、後方へ平行に延出しており、両アーム53,54の左右方向における外側間距離H1は、前記固定フレーム部材30における両サイドフレーム32,33の左右方向における内側間距離H2より、小さく設定されている(図3参照)。
【0028】
前記支持軸60は、図2および図4に示すように、前記固定フレーム部材30の幅寸法より僅かに長く形成されており、一方端部にフランジ部61を備えると共に、他方端部にEリング63が係止する係止溝62が形成されている。このような支持軸60は、固定フレーム部材30の各第1軸支孔40,40と可動フレーム部材50の各第2軸支孔58,58とを夫々整合させたもとで、固定フレーム部材30の一側方から各軸支孔40,58,58,40に順次挿通させて、他側方においてEリング63を装着することで左右への抜け止めが図られ、固定フレーム部材30に対して可動フレーム部材50を回転可能に連結する。なお、固定フレーム部材30の各サイドフレーム32,33と可動フレーム部材50の各アーム53,54との間には、図4および図7(b)に示すように、スペーサ64が介在されるようになっており、両サイドフレーム32,33と両アーム53,54との接触防止を図るようになっている。
【0029】
第1スプリング66および第2スプリング67は、左右対称形状に形成されており、前記支持軸60に外装された状態で、前記第1脚部66A,67Aが固定フレーム部材30の掛止凹部37,37に夫々掛止されると共に、第2脚部66B,67Bが可動フレーム部材50の掛止片部56,56に夫々掛止される。両スプリング66,67は、常に図3に示す状態、すなわち蓋部材20の開放位置方向へ可動フレーム部材50を付勢するようになっている。また、第1スプリング66の第2脚部66Bは、図4に示すように、非装着時に側方へ斜めに延出しており、装着時には隣接する左アーム53を側外方へ付勢可能となっている。同様に第2スプリング67の第2脚部67Bも、非装着時に側方へ斜めに延出しており、装着時には隣接する右アーム54を側外方へ付勢可能となっている。
【0030】
前述のように支持軸60で相互に連結された固定フレーム部材30と可動フレーム部材50は、固定フレーム部材30に対して可動フレーム部材50が略水平前方へ延出した状態(図2)が、本体部材10に対する蓋部材20の閉成位置に対応する。また、固定フレーム部材30に対して可動フレーム部材50が略垂直上方へ延出した状態(図3)が、本体部材10に対する蓋部材20の開放位置に対応する。
【0031】
次に、蓋部材20の開放速度の増加を制御する蓋開放制御構造について説明する。実施例の収納ボックスCBは、前述した開閉レバー25のロックを解除すると、前記第1スプリング66および第2スプリング67の付勢力を利用して、蓋部材20が閉成位置から開放位置に向けて上方へ自動開放するよう構成されている。従って、実施例の収納ボックスCBは、蓋部材20の自重による閉成モーメントと両スプリング66,67の付勢力による開放モーメントとの特性が、図12に示したように、両モーメントの差が最小となる開放途中位置から開放位置までの間において、蓋部材20の開放速度が開放位置に近づくにつれて増加する特性を有している。そこで、後述する蓋開放制御構造を設けることで、開放途中位置から開放位置までにおいて蓋部材20の開放速度の増加を規制することが可能となっている。
【0032】
実施例の蓋開放制御機構は、具体的には図5〜図10に示すように、可動フレーム部材50に設けた第1当接部としての当接突部70と、固定フレーム部材30に設けた第2当接部としての当接案内部80とを備えている。すなわち、蓋部材20の開放途中位置から開放位置の間での開放姿勢において、可動フレーム部材50の回転変位に従って移動する当接突部70が当接案内部80へ当接しながら移動(摺動)するようになっており、これら当接突部70と当接案内部80との間に発生する摩擦抵抗を利用して、蓋部材20の開放速度の増加を規制するよう構成されている。
【0033】
当接突部70は、図4および図6に示すように、可動フレーム部材50の左アーム53および右アーム54において、前記支持軸60の軸線方向(左右方向)を指向するように突設されている。すなわち、左アーム53に設けた当接突部70は、第2軸支孔58から離間した位置において、該左アーム53の外側面から左外方へ突出して形成されている。同様に、右アーム54に設けた当接突部70は、第2軸支孔58から離間した位置において、該右アーム54の外側面から右外方へ突出して形成されている。これら当接突部70,70は、左右方向において同一位置に設けられており、可動フレーム部材50の製造時にエンボス成形されたもので、各々のアーム外側面から半球面状に突出している。従って各当接突部70,70は、対応の当接案内部80,80に対して頂部だけで点接触することが可能となっている。
【0034】
前記各当接突部70,70は、可動フレーム部材50が水平前方へ延出した状態(蓋部材20の閉成位置)では第2軸支孔58の略真下に位置している(図5および図6(a)参照)。そして各当接突部70,70は、可動フレーム部材50の後上方への回転変位に伴い、第2軸支孔58を中心とした円弧状に軌跡に沿って前上方へ移動する(図5および図7(a)参照)。更に各当接突部70,70は、可動フレーム部材50が垂直上方へ延出した状態(蓋部材20の開放位置)では、第2軸支孔58の略水平前方に位置する(図5および図9(a)参照)。すなわち各当接突部70は、可動フレーム部材50の回転変位に伴って円弧状の軌跡に沿って移動するようになる。
【0035】
当接案内部80は、図4〜図6に示すように、固定フレーム部材30の各サイドフレーム32,33において、該サイドフレーム32,33の前端から前方斜め上方へ円弧状に突設されている。すなわち、左サイドフレーム32に設けた当接案内部80は、第2軸支孔58を中心とした円弧状に延出形成され、左アーム53に設けた当接突部70の回転軌跡に前記軸線方向で重なるよう設けられている。また、右サイドフレーム33に設けた当接案内部80は、第2軸支孔58を中心とした円弧状に延出形成され、右アーム54に設けた当接突部70の回転軌跡に前記軸線方向で重なるよう設けられている。そして、各当接案内部80,80は、図5および図7〜図9に示すように、蓋部材20が開放途中位置から開放位置まで姿勢変位する間に、対応する当接突部70の回転軌跡と前記軸線方向で接触するように形成されている。すなわち各当接案内部80,80は、蓋部材20の閉成位置から開放位置まで開放変位する際の当接突部70の回転軌跡全長に亘って形成されるものではなく、蓋部材20が開放途中位置から開放位置まで開放変位する際の当接突部70の回転軌跡に沿う長さで形成されている。
【0036】
更に各当接案内部80は、図6(b)等に示すように、蓋部材20の開放途中位置における当接突部70の当接位置から蓋部材20の開放位置における該当接突部70の当接位置に向け、当接突部70の回転軌跡に沿ってアーム53,54側へ徐々に変位する傾斜面81を備えている。そして、当接案内部80の傾斜面81は、該当接案内部80の基端側から先端側に向けて、当接突部70の回転軌跡側へ偏倚し、かつ該当接案内部80の先端側が該当接突部70の回転軌跡へ突出する傾斜状に形成されている。すなわち、当接案内部80と当接突部70とは、可動フレーム部材50の回転変位方向で重なる関係に配設されている。従って、蓋部材20が開放途中位置から開放位置に向けて開放変位する際に、当接突部70と当接案内部80との当接度合が徐々に強まるよう構成されている。
【0037】
そして、実施例の蓋開放制御構造では、前記当接案内部80と前記当接突部70とが当接した際に、該当接案内部80が支持軸60の軸線方向において変位するのが困難に形成されており、蓋部材20の開閉時に当接突部70が当接しても変形しない。一方、前記各当接突部70,70は、各アーム53,54が前記軸線方向において撓み変形が可能となっているので、対応する当接案内部80,80に対し該軸線方向において近接および離間変位が可能となっている。従って、蓋部材20の開放変位につれて当接突部70が当接案内部80に当接しながら移動する際に、該当接突部70が軸線方向へ押されることでアーム53,54が撓み、これにより当接突部70と当接案内部80とが軸線方向において押し合いながら弾力的に当接する。
【0038】
更に、固定フレーム部材30における庇部36の左右両端に突設した前記ガイドフランジ38,38は、図8〜図11に示すように、可動フレーム部材50の各アーム53,54の移動経路を挟んで、前記当接案内部80と対向する側に位置している。そして各ガイドフランジ38,38は、可動フレーム部材50が回転変位して起立状態に近づく前、すなわち蓋部材20の開放位置手前で、各アーム53,54に形成されている前記当接突片部59,59に対して、該アーム53,54が変形する軸線方向から当接する。従って各アーム53,54は、当接突部70が当接案内部80に当接しながら移動する際に支持軸60の軸線方向へ撓み変形するものの、蓋部材20の開放位置手前から開放位置までの間においては、前記ガイドフランジ38の当接により該軸線方向への撓み変形が規制されるよう構成されている。
【0039】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例の収納ボックスCBの作用について説明する。閉成位置にある蓋部材20は、開閉レバー25が本体部材10に係止されることで、閉成位置に保持される。蓋部材20の閉成位置では、可動フレーム部材50は図5の実線位置にあり、該可動フレーム部材50に設けた当接突部70は、図6(a)および図6(b)に示すように、支持軸60の略真下に位置している。なお、第1スプリング66の第2脚部66Bおよび第2スプリング67の第2脚部67Bにより、左アーム53および右アーム54は、側外方へ付勢されてスペーサ64に当接している。
【0040】
開閉レバー25の操作により、蓋部材20と本体部材10との係止が解除されると、第1スプリング66および第2スプリング67の付勢力により、可動フレーム部材50が水平状態から起立状態に向けて回転変位を開始し、これにより蓋部材20が閉成位置から開放位置に向けて開放変位し始める。そして、可動フレーム部材50の回転変位に伴い、各当接突部70,70が、支持軸60を中心とする回転軌跡に沿って移動を開始する。そして、可動フレーム部材50が45〜50度程度の前上がり状態である開放途中位置まで回転変位すると(図5に一点鎖線表示)、各当接突部70,70が、各当接案内部80,80の傾斜面81に夫々当接する(図7(a)、図7(b))。
【0041】
そして、第1スプリング66および第2スプリング67の付勢力により可動フレーム部材50が更に回転変位すると、各当接突部70,70が各当接案内部80,80の傾斜面81に沿って移動することで、左アーム53および右アーム54が、支持軸60の軸線方向へ押されて互いに近接するように適宜変形する。従って当接突部70,70は、アーム53,54の変形による復帰弾力により当接案内部80,80に押し付けられ、該当接突部70,70と該当接案内部80,80とが軸線方向で押し合うことで摩擦抵抗が発生する。
【0042】
可動フレーム部材50が図8(a)および図8(b)に示す位置まで回転変位すると(例えば60〜70度程度)、変形した各アーム53,54の前記当接突片部59が、固定フレーム部材30の前記ガイドフランジ38に当接する。これによりアーム53,54は、当接突部70と当接案内部80との当接による支持軸60の軸線方向の変形が規制される。
【0043】
そして、可動フレーム部材50が図8の状態から更に回転変位する際は、ガイドフランジ38が各アーム53,54に当接しているので、各アーム53,54が過度に変形するのを防止し得る。但し、各アーム53,54は、ガイドフランジ38との当接部位より下側の部分が、当接突部70と当接案内部80との当接により適宜変形する(図9(b)参照)。従って、蓋部材20が開放位置まで開放する直前では、アーム53,54の変形可能な範囲が狭くなるので、当接突部70と当接案内部80との当接強さが大きくなって摩擦抵抗が高められ、所謂ブレーキ作用が働いて蓋部材20の開放を減勢させることが可能となる。
【0044】
従って、蓋部材20の開放途中位置から開放位置までの間において、第1スプリング66および第2スプリング67の付勢力により該蓋部材20の開放速度が徐々に増加する現象を適切に抑えることができる。これにより、蓋部材20が開放位置に到達する際に、アーム53,54の当接突片部59が固定フレーム部材30のアッパーフレーム31に対してゆっくりと当接し、可動フレーム部材50の回転が停止する。すなわち、当接突片部59とアッパーフレーム31とが強く衝突しないので、両部の衝突による衝撃や異音が発生しない。また、当接突片部59とアッパーフレーム31とが強く衝突することにより、蓋部材20が閉成方向へ跳ね返ることも防止される。更に、蓋部材20が開放位置に到来すると、各アーム53,54がガイドフランジ38と当接案内部80とで左右から挟持されるようになり、蓋部材20が開放位置において安定的に保持される。
【0045】
このように実施例の収納ボックスCBでは、次のような作用効果を奏する。
(1)蓋部材20の開放途中位置から開放位置の間で、当接突部70と当接案内部80とが支持軸60の軸線方向で当接することで、蓋部材20が開放位置に近づいた際の該蓋部材20の開放速度が増加することを抑えることができる。これにより、蓋部材20が開放位置まで開放した際に衝撃や異音の発生を防止し得ると共に、蓋部材20の閉成方向への跳ね返りも防止できる。
(2)当接突部70が、支持軸60の軸線方向へ変形可能なアーム53,54に形成されているので、当接突部70が当接案内部80に強く当接することを防止でき、当接突部70と当接案内部80との間に発生する摩擦抵抗を適正に設定することができると共に、蓋部材20の開放変位に支障を来たさない。また各アーム53,54は、取付フレーム51の後端から全体的に変形するので、当接突部70と当接案内部80との当接により塑性変形することはない。
(3)当接突部70と当接案内部80とが支持軸60の軸線方向で当接するので、支持軸60に負荷が掛からないと共に、固定フレーム部材30の第1軸支孔40および可動フレーム部材50の第2軸支孔58と該支持軸60との間にがたつきが発生せず、蓋部材20のスムーズな開閉変位を長期に亘って維持できる。
(4)当接案内部80が傾斜面81を備えているので、蓋部材20が開放位置に近づくに従って当接突部70と当接案内部80との当接強さを強くして摩擦抵抗を増加させることができ、蓋部材20が開放位置に近づいても開放速度が増加することを防止できる。
(5)当接突部70が半球面状に形成されているので、該当接突部70が当接案内部80に対して点接触しながら移動するようになり、当接突部70および当接案内部80の摩耗を最小限に抑えることができる。
(6)固定フレーム部材30に、可動フレーム部材50のアーム53,54に対して該アーム53,54の変位方向と反対方向から当接するガイドフランジ38を設けたので、当接突部70と当接案内部80との当接時にアーム53,54が過度に変形することを防止し得る。そして、蓋部材20が開放位置にある場合に、各アーム53,54がガイドフランジ38と当接案内部80とで左右両側から挟持されるようになり、蓋部材20を開放位置において安定的に保持し得る。
(7)蓋部材20の開放変位において、開放モーメントと閉成モーメントの差が徐々に大きくなる開放途中位置から当接突部70と当接案内部80とを当接させるようにしてあるので、蓋部材20の開放速度が速くなったり遅くなったり、また蓋部材20が開放途中で停止することを防止し得る。
【0046】
(変更例)
収納ボックスは、前記実施例に示した以外の形態であってもよい。
(1)実施例では、第1当接部としての当接突部70を変形可能なアーム53,54に設けることで、該当接突部70を支持軸60の軸線方向へ変位可能とし、第2当接部としての当接案内部80を、前記軸線方向において変形困難に構成したが、これらの変位可否は逆にしてもよい。すなわち、当接突部70を軸線方向において変位困難に形成すると共に、当接案内部80を軸線方向において変位可能に形成しても、前記実施例と同等の作用効果が得られる。また、前記当接突部70および当接案内部80の両方を支持軸60の軸線方向へ変位可能としても、前記実施例と同等の作用効果が得られる。
(2)当接突部70の周囲にC字形やコ字形のスリットを設けて、アーム53,54に対して当接突部70を変位可能としてもよい。
(3)当接案内部80の傾斜面81は、実施例に示した平面状に限らず、突曲面や凹曲面であってもよい。
(4)実施例では、付勢手段として2個のスプリング66,67を有した収納ボックスCBを示したが、スプリングの数はこれに限定されない。
(5)実施例では、可動フレーム部材50の各アーム53,54が、固定フレーム部材30の各サイドフレーム32,33の内側に位置する形態を例示したが、各アーム53,54が各サイドフレーム32,33の外側に位置する形態であっても実施可能である。この場合には、各アーム部53,54に設けた第1当接部としての当接突部70,70を、該アーム53,54の内側面に突設して、当接案内部80に当接するようにすればよい。
(6)実施例では、支持軸60が横向き(水平方向)に軸線を向けた姿勢で配設され、蓋部材20が上方へ開放する構成を例示したが、蓋部材20が下方へ開放される構成であってもよい。また、支持軸60が縦向き(垂直方向)に軸線を向けた姿勢で配設され、蓋部材20が横方向へ開放する構成であってもよい。更に、支持軸60が所要角度の傾斜状に軸線を向けた姿勢で配設され、蓋部材20が斜め方向へ開放する構成であってもよい。
(7)実施例では、収納ボックスとして、自動車室内における前部座席間のフロアに配設されるコンソールボックスを例示したが、後部座面上に着脱可能にセットされる単体の収納ボックス等も対象とされる。
【符号の説明】
【0047】
10 本体部材,11 収納部,20 蓋部材,30 固定フレーム部材
38 ガイドフランジ(変形規制部),50 可動フレーム部材,53,54 アーム
60 支持軸,66 第1スプリング(付勢手段),67 第2スプリング(付勢手段)
70 当接突部(第1当接部),80 当接案内部(第2当接部),81 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外方へ開口する収納部を内部に画成した本体部材と、前記本体部材に配設される固定フレーム部材と、前記固定フレーム部材に配設された支持軸を介して該固定フレーム部材に対して回転変位可能に配設された可動フレーム部材と、前記可動フレーム部材に配設されて収納部の開口部側に位置し、該可動フレーム部材の回転変位により前記収納部を閉成する閉成位置および該収納部を開放した開放位置へ姿勢変位する蓋部材と、前記可動フレーム部材を前記蓋部材の開放方向へ付勢する付勢手段とを備えた収納ボックスにおいて、
前記可動フレーム部材に前記支持軸の軸線方向を指向するように設けられ、該可動フレーム部材の回転変位により該支持軸を中心とした円弧状の軌跡で移動する第1当接部と、
前記固定フレーム部材に第1当接部の回転軌跡に対して前記軸線方向に重なるよう設けられ、前記蓋部材の開放途中位置から開放位置までの姿勢変位に亘って前記第1当接部に当接する第2当接部とを備え、
前記第1当接部および第2当接部は、前記可動フレーム部材の回転変位方向に重なるよう配置され、第1当接部および第2当接部の少なくとも一方は、他方の当接部との当接下に押し合いつつ前記軸線方向に変位可能に構成される
ことを特徴とする収納ボックス。
【請求項2】
前記第2当接部は、前記蓋部材の開放途中位置における前記第1当接部の当接位置から該蓋部材の開放位置における該第1当接部の当接位置に向け、前記第1当接部の回転軌跡に沿って前記可動フレーム部材側へ徐々に変位する傾斜面を備えた請求項1記載の収納ボックス。
【請求項3】
前記可動フレーム部材は、前記支持軸に連結されて前記軸線方向へ変形可能なアームを備え、
前記第1当接部は、前記アームに突設されて前記第2当接部に対して点接触する半球面状の突部である請求項1または2記載の収納ボックス。
【請求項4】
前記固定フレーム部材は、前記可動フレーム部材のアームの移動経路を挟んで、前記第2当接部と対向する側に変形規制部を備え、
前記変形規制部は、前記蓋部材の開放方向における開放位置手前で前記アームに当接する位置に臨んでいる請求項3記載の収納ボックス。
【請求項5】
前記蓋部材の前記開放途中位置での開放姿勢では、該蓋部材の開放時に前記支持軸回りに作用する蓋部材の自重による閉成モーメントおよび前記付勢手段の付勢力による開放モーメントの差が最小となる請求項1〜4の何れか一項に記載の収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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