説明

取出装置及びこれを備えた紙葉類処理装置

【課題】 取出装置によって紙葉類を取り出すとき、紙葉類にクセがあり奥と手前の高さが違う場合であっても、紙葉類の角を折るなどのダメージを与えずに取り出す紙葉類の取出装置を提供する。
【解決手段】 固定吸着ユニット12は、取出ロータ21bの中心軸と最下部を結ぶ鉛直面より搬送方向下流側に距離L1離間し、かつ取出しローラ21bの紙葉類取出し面と略平行に配置された固定吸着ユニット12の吸着面との距離(ギャップ)L2離間して配置される。さらに固定吸着ユニット12の紙葉類取込口12cの紙葉類の搬送面と直行する奥行き方向が半径Rで面取りされている。このように構成された固定吸着ユニットを用いて配置し、紙葉類を取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類を検査し、検査結果に基づいて区分集積する紙葉類処理装置に関し、特に紙葉類にダメージを与えず取り出す取出装置及びこれを備えた紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、一括して投入された紙葉類を取出装置によって1枚ずつ取り出して搬送し、紙葉類検査装置によって当該紙葉類の品質(形状、損傷、印刷のかすれ及び汚れなど)を検査し、正常な券(以下、正紙と称する。)、不良券(以下、損紙と称する。)、及び検査が正しく行われているか確認するためにランダムに抽出する検査券(以下、オーデット券と称する。)に分類する装置である。
【0003】
上記紙葉類の取出装置には、紙葉類を1枚ずつ確実に取り出すため、紙葉類の2枚取りを防止する2枚取り防止機構(重送防止機構)が用いられている。以下に図7及び図8を参照して従来の重送防止機構を用いた取出装置を説明する。
【0004】
図7は、従来の固定吸着方式による重送防止を行う取出装置の一例である。図7(A)は、取出装置1Aの断面図で、図7(B)は、図7(A)を図示矢印X側から見た図である。従来、上記取出装置には、取出ロータ21B表面の穴からの負圧によって図示C方向に1枚ずつ吸着して取り出す取出ロータ方式が用いられている。この取出ロータ方式は、この取出ロータ21Bが図示矢印A方向に1回転する毎に図示矢印B方向に1枚取り出す方式で、取出ロータ21Bの回転に同期して紙葉類Pが所定の間隔で取り出される。
【0005】
この取出ロータ方式では、紙葉類の2枚取りなどを防止するための重送防止機構として、固定吸着方式が用いられてきた。この固定吸着方式には、取出ロータの対向する位置にエアー吸引穴を有する2枚取り防止ブロック(固定吸着ブロック)12Aが配置されている。この固定吸着ブロック12Aのエアー吸引穴から図示矢印D方向にエアーを吸引することによって、取出ロータ21Bで複数枚の紙葉類Pが取り出された場合に、取出ロータ12Aに吸着している1枚の紙葉類Pa以外の紙葉類Pを固定吸着ブロック12Aに吸着して重送を防止する(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
図8は、従来の逆送吸着ロー方式による重送防止を行う取出装置の一例である。この逆走吸着ローラ方式には、取出ロータ21Bの対向する位置に複数のエアー吸引穴を有するローラ22Bが配置されている。このローラ22Bは、ローラ22Bのエアー吸引穴からエアーを吸引しながら取出ロータ21Bが紙葉類Pを取り出す方向と逆方向である図示矢印E方向に回転することによって、取出しロー21Aで複数枚の紙葉類Pが取り出されたときに取出ロータ21Bに吸着している1枚の紙葉類Pb以外の紙葉類Pを吸着して元の位置に戻すことで重送を防止する。
【特許文献1】特開2004−137053号公報 (第4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記固定吸着方式では、取出ロータで取り出す最上面の紙葉類とその他の紙葉類を分離するために、固定吸着ブロックのゲート部入口が所定の角度をもって配置されているため、取出装置1Aの供給台11Aに積層された紙葉類(例えば、図7(B)に示す紙葉類Pa)にクセがあり奥と手前の高さが違い、ゲート部入口より低い位置にある紙葉類の端面が取出ロータと固定吸着ブロックの隙間のゲート部に入り込むときに、紙葉類の端面がゲート部入口にひっかかり折れることがあるという課題があった。
【0008】
また、逆走吸着ローラ方式では、紙葉類Pを吸着して戻すとき、紙葉類Pと逆走ローラ22Bの間の滑りによって紙葉類の端面に図8(B)に示す摩擦跡が残ってしまうという課題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、取出装置によって紙葉類を取り出すとき、紙葉類にクセがあり奥と手前の高さが違う場合であっても、紙葉類の角を折らずに取り出す紙葉類の取出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の取出装置は、紙葉類を載置する供給台と、この供給台に載置された紙葉類の最上面の位置が取出位置にあることを検知する取出位置検知手段と、前記供給台に載置された紙葉類の最上面の位置が取出位置になるように前記取出位置検知手段の検知結果に基づいて前記供給台の位置を上昇又は下降する駆動手段と、この駆動手段によって駆動された前記供給台に載置された紙葉類の最上面の紙葉類から円筒状のロータを回転することによって1枚ずつ取り出す取出手段と、この取出手段の回転軸とこの取出手段の外周面の最下端部を結ぶ鉛直面より搬送方向下流側に第1の距離離れた位置に前記鉛直面と平行な第1の面と、前記取出手段の最下端部から第2の距離離れた位置に吸着穴を有する第2の面と、を有し、前記第1の面と前記第2の面との接点を所定の半径で面取りして構成した固定吸着ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4記載の紙葉類処理装置は、供給された紙葉類を1枚ずつ取り出す取出装置と、この取出装置によって取り出された紙葉類を搬送して検査する検査手段と、この検査手段による検査結果に基づいて前記紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置であって、前記取出装置は、前記紙葉類を載置する供給台と、この供給台に載置された紙葉類の最上面の位置が取出位置にあることを検知する取出位置検知手段と、前記供給台に載置された紙葉類の最上面の位置が取出位置になるように前記取出位置検知手段の検知結果に基づいて前記供給台の位置を上昇又は下降する駆動手段と、この駆動手段によって駆動された前記供給台に載置された紙葉類の最上面の紙葉類から円筒状のロータを回転することによって1枚ずつ取り出す取出手段と、この取出手段の回転軸とこの取出手段の外周面の最下端部を結ぶ鉛直面より搬送方向下流側に第1の距離離れた位置に前記鉛直面と平行な第1の面と、前記取出手段の最下端部から第2の距離離れた位置に吸着穴を有する第2の面と、を有し、前記第1の面と前記第2の面との接点を所定の半径で面取りして構成した固定吸着ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取出装置によって紙葉類を取り出すとき、紙葉類にクセがあり奥と手前の高さが違う場合であっても、紙葉類の角を折らずに取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例による取出装置1を搭載した紙葉類処理装置100の概略構成図である。この紙葉類処理装置100には、供給された紙葉類Pを1枚ずつ取り出す取出装置1、この取出装置1によって所定の間隔で1枚ずつ取り出された紙葉類Pを搬送する搬送路3、この搬送路3によって搬送された紙葉類Pの印刷状態を検査する紙葉類検査装置(検査手段)4、この紙葉類検査装置4による検査結果に基づいて当該紙葉類Pを集積する集積装置及びこの集積装置で集積された紙葉類Pを紙帯で結束する結束装置からなる集積・結束手段としての集積・結束装置5、及び排除券を集積する排除券集積装置6が備えられている。
【0015】
取出装置1には、1投入単位である例えば1000枚の紙葉類Pを一括して供給する供給部10、供給された紙葉類Pを一定の間隔で1枚ずつ取り出す取出部20が備えられている。
【0016】
供給部10には、紙葉類Pを集積して載置する供給台としてのバックアッププレート11、このバックアッププレート11に積載された紙葉類Pの最上面の紙葉類Pが常に取り出し位置になるように紙葉類Pの取出位置を検知する取出位置検知手段としての取出位置検知センサS1、この取出位置検知センサS1に紙葉類Pの上面が当接するようにバックアッププレート11の位置を上昇又は下降する駆動手段(図示しない)が備えられている。
【0017】
取出部20は、取出ロータユニット21、固定吸着ユニット12及び紙葉類ガイド板13で構成される。
【0018】
取出ロータユニット21には、バックアッププレート11に集積された紙葉類Pの最上面の紙葉類Pから1枚ずつ取り出す正逆回転可能な取出手段としての取出ロータユニット21が備えられている。この取出ロータユニット21は、負圧によるエアーの吸い込みによって紙葉類Pを1回転する毎に1枚取り出す。取り出された紙葉類Pは、図示矢印A方向に所定の間隔を開けて連続的に取り出されて搬送される。なお、詳細は後述する。
【0019】
固定吸着ユニット12は、エアーを吸い込む吸着穴を備えた吸着面を有しており、取出ロータユニット21に対向した位置に配置されている。このような構成によって、取出ロータユニット21によって複数の紙葉類Pが取り出された場合に、重送を防止することができる。なお、詳細は後述する。
【0020】
紙葉類ガイド板13は、バックアッププレート11に載置された紙葉類Pが荷崩れしないように取出位置までガイドする。
【0021】
紙葉類検査装置4は、搬送される紙葉類の印刷状態を検査する。この検査結果印刷状態が正常な紙葉類は正紙と判別され、検査の結果印刷状態に異常がある券は損紙と判別され、搬送異常券、2枚取り券など検査不能券は排除券と判別される。
【0022】
集積・結束装置5には、正紙を集積して結束する複数の集積・結束装置51・52、損紙を集積して結束する複数の集積・結束装置53・54、及びオーデット券を集積して結束するオーデット集積装置55が備えられており、紙葉類Pが搬送される搬送路3から紙葉類Pを分離するために搬送路3の終端に紙葉類Pを集積する集積装置として羽根車集積装置がそれぞれ備えられている。
【0023】
例えば、集積・結束装置51の羽根車集積装置は、羽部車51a、一時集積庫51b、及びプッシャー(図示しない)などを備えている。羽根車51aは、複数の羽根が回転軸の周辺に組み込まれており、搬送されてきた紙葉類Pを羽根と羽根の間で受け取れるように紙葉類Pの搬送に同期して回転している。この羽根車51aを使用することによって、高速に搬送される紙葉類Pの運動エネルギーを吸収しながら、かつ、紙葉類Pを一時集積庫51bに集積する。
【0024】
結束装置51cは、一時集積庫51bに集積された紙葉類Pが例えば所定枚数として設定された100枚に達すると、この100枚紙葉類を紙帯で結束し、把を形成する。このとき用いられる紙帯には、結束された紙葉類Pの内容を示す属性、装置番号などが印字されるが、本発明の主旨ではないので、詳細は省略する。他の集積・結束装置52〜54も同様に構成されているため、ここでは、その説明を省略する。
【0025】
排除券は、排除券集積装置6に集積される。実施例では、羽根車集積装置を用いていないが、用いた場合であっても本発明の主旨に含まれる。
【0026】
上記結束装置51〜55で形成された把は、後工程7に渡される。後工程7には、一時保留手段としてのシュート装置71〜75、第1の搬送手段としてのコンベア76、第2搬送手段としてのコンベア77、大帯結束装置(図示されていない)などが備えられている。
【0027】
シュート装置71〜75は、開放された取り込み口を有する箱体のシュート部71a〜75aを有し、このシュート部71a〜75aに把Hを取り込むことができる。箱体の下面の略中央は、駆動モータ(図示しない)に軸支されている。この駆動モータは正逆回転可能に構成されており、この駆動モータを駆動することによって、駆動力を伝達するリンク機構が動作し、シュート部が回動される。この回動により、取り込まれた把Hの搬送方向が反転される。この結果図示矢印B方向に搬送されてきた把Hは、シュート部の動作によって図示矢印C方向に反転されてコンベア76に放出される。
【0028】
コンベア76は、上記シュート装置71〜75から放出される把Hを取り込み搬送する。このコンベア76の搬送速度は、コンベア76出口から各シュート装置71〜75の把放出口までの距離、及びその間搬送される把の搬送時間などによって設定され、本実施例の把の搬送速度は666mm/sになっている。
【0029】
コンベア76とコンベア77の間の隙間に透過センサ79が配置されている。このような構成により、コンベア76から搬送されてきた把Hを下流に搬送しながら把の長さなど把姿を検知する(以下、把姿検知と称する。)。この把姿検知によって把の結束状態を検知することができる。
【0030】
図2は、紙葉類処理装置100のシステム制御ブロック図である。上述した紙葉類処理装置100のシステムは、取出し・搬送手段201、紙葉類検査手段202、集積・結束手段203、後工程手段204、及びこれらの各制御部を統括するシステム統括制御部200で構成される。
【0031】
取出し・搬送手段201は、取出装置1、搬送路3、及びこれらを制御する取出・搬送制御部201aを備えている。この取出・搬送制御部201aは、紙葉類検査装置制御部202a及びシステム統括制御部200と接続され、システム統括制御部200から取出し開始許可を受信し、紙葉類検査装置制御部202aの検査結果に基づいて搬送される紙葉類の取り出しから集積・結束装置5までの紙葉類の流れを管理する。この管理の中で、集積・結束装置5に100枚集積された場合には、システム統括制御部200に対して100枚集積通知を行う。
【0032】
紙葉類検査手段202は、紙葉類検査装置4、及びこれを制御する紙葉類検査装置制御部202aを備えている。この紙葉類検査装置制御部202aは、取出・搬送制御部201a及びシステム統括制御部200と接続され、紙葉類Pの検査結果を取出・搬送制御部201a及びシステム統括制御部200に送信する。
【0033】
集積・結束手段203は、集積・結束装置5、排除券集積装置6、及びこれらを制御する集積・結束装置制御部203aを備えている。この集積・結束装置制御部203aは、システム統括制御部200と接続され、システム統括制御部200からの紙葉類結束指示を受信し、把を形成し、システム統括制御部200に対して紙葉類結束完了応答を行う。
【0034】
後工程手段は、シュート装置71〜75、コンベア76、コンベア77、把姿検知、大帯結束装置(図示しない)、及びこれらを制御する後工程制御部204aを備えている。この後工程制御部204aは、システム統括制御部200と接続され、システム統括制御部200からの搬送開始指示に基づいてシュート装置71〜75以降の後工程の動作を開始する。
【0035】
図3は、本実施例の取出装置1の取出部20及び供給部10を説明する正面図である。図4は、取出部20の取出ロータユニット21及び固定吸着ユニット12の斜視図である。図5は、取出ロータ21b及び固定吸着ユニット12の斜視図である。図6は、図5のD−D断面図を図示矢印側から見た図で、取出ロータ及び固定吸着ユニットの動作を説明する図である。以下、図3〜図6を参照して取出装置1の説明を行う。
【0036】
取出部20は、上述したように紙葉類Pを取り出すための取出ロータユニット21、2枚取りなど重送を防止するための固定吸着ユニット12及び供給台11に積載された紙葉類Pを紙葉類の取出し面まで移動するとき、この紙葉類Pをガイドする紙葉類ガイド板13で構成される。
【0037】
取出ロータユニット21は、吸着穴21aを持つ取出ロータ21b及びこの取出ロータ21bを回転駆動する回転駆動機構(図示しない)で構成される。また、この取出ロータ21bの内部には、エアー吸込口21c、固定式チャンバ21d及び切り欠き穴21eが設けられており、真空ポンプ(図示しない)でエアー吸込口21cからエアーを吸い込み吸着穴21aから紙葉類を吸い込むことができるように負圧に保たれている。
【0038】
固定吸着ユニット12には、取出ロータ21bの対向面側に複数の吸着穴12aが設けられている。また、紙葉類取込口12cは半径6mm以上の面取り(R6)が施されている。さらに吸着穴12aと連結したエアー吸込口12bは、真空ポンプ(図示しない)に接続されている。取出ロータ21bと固定吸着面12aとの間に複数の紙葉類Pが取り込まれた場合、真空ポンプによってエアー吸込口12bからエアーを吸い込むことにより、取出ロータ21bに吸着されていない紙葉類Pが吸着され停止する。この結果、複数枚の紙葉類Pが同時に搬送路に取り出されることを防止することができる。
【0039】
図7は図5に示す取出ロータ21b及び固定吸着ユニット12の配置を説明する概略断面図である。固定吸着ユニット12は、取出ロータ21bの中心軸と最下部を結ぶ鉛直面より搬送方向下流側に距離L1(第1の距離)離間した位置に平行な面(第1面)を有し、かつ取出ローラ21bの紙葉類取出面の下側に略平行に、距離L2(第2の距離)離間した位置に固定吸着面(第2の面)12aが位置するように配置される。さらに上述したように固定吸着ユニット12の紙葉類取込口12cの搬送面と直行する奥行き方向が半径Rで面取りされている。
【0040】
また、紙葉類ガイド板13は、固定吸着ユニット12の上記第1面の延長面上に配置される。供給台11が駆動手段(図示しない)によって上昇又は下降するとき、供給台に載置された紙葉類Pの搬送方向先端がこの紙葉類ガイド板13に沿ってスムーズに上昇又は下降することができる。また、供給台11に載置された最上位の紙葉類Pは、紙葉類取込口12cに達すると、取出ロータ21bに吸着され搬送方向に送られる。この際、この取込口12cは、最上面の紙葉類と次の紙葉類とを分離する機能を有している。また、この取込口12cに上記半径Rの面取りが施されているため、紙葉類にクセがあり奥と手前の高さ(集積高さ)が違う場合であっても、取出ロータ21bによって取り出され、搬送されるときに紙葉類Pの角を折るなどのダメージを与えることがない。
【0041】
本実施例では、上記配置位置に関する下式(1)〜(3)に示す値の場合に図7(B)に示す紙葉類Paに対して紙葉類Paの折れなどが発生せずに良好な取出しができる。
L1=4mm・・・・・・・(1)
L2=1.3mm・・・・・(2)
R≧6mm・・・・・・・・(3)
上式(1)〜(3)に示した値は厳密な値ではない。本実施例では、紙葉類の厚さが0.1mm程度で、紙葉類の大きさが160mm×76mm程度、紙葉類の品質が良い場合の一例である。処理される紙葉類Pの状態(厚さ、大きさ、品質)によって上記値を基準にして微調整が必要になることは当然である。
【0042】
以上述べたように、本発明によれば、取出装置によって紙葉類を取り出すとき、紙葉類の角を折るなどのダメージを与えることなく取り出すことができる。本実施例では、重送防止に固定吸着ユニットを用いた場合を説明したが、これに限定するものではなく、この固定吸着ユニットの位置に図8に示す逆走吸着ローラを用い、この逆送吸着ローラを搬送方向と逆に回転する方法によっても上記取込口部分を半径Rで面取りすることによって同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例による取出装置を搭載した紙葉類処理装置の概略構成図。
【図2】紙葉類処理システムシステム制御ブロック図。
【図3】取出装置の取出部及び供給部を説明する正面図。
【図4】取出装置の取出ロータユニット及び固定吸着ユニットの斜視図。
【図5】取出ロータユニットの取出ロータ及び固定吸着ユニットの斜視図。
【図6】図5のD−D断面図で、取出ロータ及び固定吸着ユニットの動作を説明する図。
【図7】図5に示す取出ロータ及び固定吸着ユニットの配置を説明する概略断面図。
【図8】従来の固定吸着方式による重送防止を用いた取出装置を説明する図。
【図9】従来の逆走吸着ローラ方式による重送防止を用いた取出装置を説明する図。
【符号の説明】
【0044】
H 把
P 紙葉類
1 取出装置
3 搬送路
4 紙葉類検査装置
5 集積・結束装置
6 排除券集積装置
7 後工程
10 供給部
20 取出部
21 取出ロータユニット
21a 吸着穴
21b 取出ロータ
12 固定吸着ユニット
12a 吸着穴
12c 紙葉類取込口
13 紙葉類ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を載置する供給台と、
この供給台に載置された紙葉類の最上面の位置が取出位置にあることを検知する取出位置検知手段と、
前記供給台に載置された紙葉類の最上面の位置が取出位置になるように前記取出位置検知手段の検知結果に基づいて前記供給台の位置を上昇又は下降する駆動手段と、
この駆動手段によって駆動された前記供給台に載置された紙葉類の最上面の紙葉類から円筒状のロータを回転することによって1枚ずつ取り出す取出手段と、
この取出手段の回転軸とこの取出手段の外周面の最下端部を結ぶ鉛直面より搬送方向下流側に第1の距離離れた位置に前記鉛直面と平行な第1の面と、前記取出手段の最下端部から第2の距離離れた位置に吸着穴を有する第2の面と、を有し、前記第1の面と前記第2の面との接点を所定の半径で面取りして構成した固定吸着ユニットと、
を備えたことを特徴とする取出装置。
【請求項2】
前記固定吸着ユニットの第1面の延長面上に紙葉類ガイド板を備え、前記供給台が前記駆動手段によって上昇又は下降するとき、前記供給台に載置された前記紙葉類の搬送方向先端が、前記紙葉類ガイド板にそって上昇又は下降することを特徴とする請求項1記載の取出装置。
【請求項3】
前記固定吸着ユニットは、
前記第1の面と前記第2の面との接点が少なくとも半径6mmで面取りして構成することを特徴とする請求項1記載の取出装置。
【請求項4】
供給された紙葉類を1枚ずつ取り出す取出装置と、この取出装置によって取り出された紙葉類を搬送して検査する検査手段と、この検査手段による検査結果に基づいて前記紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置であって、
前記取出装置は、
前記紙葉類を載置する供給台と、
この供給台に載置された紙葉類の最上面の位置が取出位置にあることを検知する取出位置検知手段と、
前記供給台に載置された紙葉類の最上面の位置が取出位置になるように前記取出位置検知手段の検知結果に基づいて前記供給台の位置を上昇又は下降する駆動手段と、
この駆動手段によって駆動された前記供給台に載置された紙葉類の最上面の紙葉類から円筒状のロータを回転することによって1枚ずつ取り出す取出手段と、
この取出手段の回転軸とこの取出手段の外周面の最下端部を結ぶ鉛直面より搬送方向下流側に第1の距離離れた位置に前記鉛直面と平行な第1の面と、前記取出手段の最下端部から第2の距離離れた位置に吸着穴を有する第2の面と、を有し、前記第1の面と前記第2の面との接点を所定の半径で面取りして構成した固定吸着ユニットと、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−204229(P2007−204229A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25782(P2006−25782)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】