取外し可能なカートリッジをもつ可搬型試料分析器
診察室、家庭、または当該分野における他の場所など、患者の治療現場で使用するための、取外し可能および/または使い捨てのカートリッジを備えた試料分析器。取外し可能および/または使い捨てのカートリッジに、必要な試薬および/または流体をすべて供給することによって、専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で試料分析器を信頼性高く使用することができる。1つまたは複数の白血球パラメータは第1のフローチャネル内で測定され、1つまたは複数の赤血球パラメータは第2のフローチャネル内で測定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年5月14日出願の仮出願60/571235の優先権を主張し、これに基づき、かつこれを参考により本明細書に組み込む。
本発明は、一般に、試料分析器に関し、より具体的には、診察室、家庭、または当該分野における他の場所など、患者の治療現場で使用できる、試料分析器およびカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
粒子識別方法は、血液試料中の細胞の数および型の判定、体液試料中のバクテリアまたはウィルス粒子の検出、ならびに細胞体積および密度の検査など、様々な臨床検査において有用である。例えば尿試料中の、たんぱく質および検体などの非細胞性粒子の検出も、特定の臨床試験において有益である。懸濁液中の結晶および他の粒子の分析も、重要な工業的用途を有する。
【0003】
粒子懸濁液試料中の粒子の迅速かつ効率的な識別を可能にする1つの方法は、フローサイトメトリーである。この方法では、粒子の懸濁液、通常は血液試料中の細胞は、フローチャネルを通して運搬され、このフローチャネルにおいて、試料中の個々の粒子は、1つまたは複数の集束されたビームによって照光される。フローチャネルを流れる個々の粒子とビームとの相互作用は、1つまたは複数の光検知器によって検出される。一般に、検出器は、特定のビーム波長または発光波長での吸光または蛍光発光、および/または特定の散乱角での光散乱を測定するように設計されている。したがって、フローチャネルを通過する各粒子を、その吸光、蛍光、光散乱、または他の光学的もしくは電気的特性に関する1つまたは複数の特徴に関して特徴付けることができる。検出器によって測定される特性により、光強度または検出器で測定される他の特性を軸とする特徴空間の中に、各粒子をマッピングすることができるようになる。理想的には、試料中の異なる粒子は、特徴空間の別個かつ重なり合わない領域内にマッピングされ、それによって、特徴空間内のそのマッピングに基づいて各粒子を分析することが可能になる。そのような分析としては、粒子の計数、識別、定量(1つまたは複数の物理的特性に関して)、および/または分類を挙げることができる。
【0004】
光散乱測定の2つの一般的なタイプは、フローサイトメトリーにおいて定期的に行われる。前方散乱または小角散乱と通常呼ばれる、小角度(入射ビームに対して約1.5〜13°)で行われる光強度測定は、細胞のサイズに関する情報を提供する。前方散乱は、細胞と細胞外媒質の間の屈折の違いに大きく依存するので、例えば細胞膜が損傷した細胞を識別することができる。直角散乱または大角散乱と通常呼ばれる、入射光から約65°〜115°の角度で行われる光強度測定は、粒子のサイズおよび構造度に関する情報を提供することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異なる角度で、または吸光もしくは蛍光測定と組み合わせて、同時に光散乱測定を行うことが、フローサイトメトリー方法において提案されてきた。例えば、フローサイトメトリーにおいて、光散乱と組み合わせて吸光を使用して、赤血球と血小板とを、ならびにリンパ球、単球、好塩基性顆粒球、好酸性顆粒球、および好中性顆粒球を識別することができる。しかし、この方法は、細胞の染色を必要とする場合があり、したがって比較的複雑であり、また、細胞の分類後にさらなる研究のために細胞を使用することが不可能なことがある。
【0006】
円偏光二色性(CD)および旋光分散(ORD)と組み合わせた光散乱測定もまた、ウィルス粒子または細胞の懸濁液中の粒子識別に対する可能性を有する。ウィルス粒子中のDNAのCDスペクトルおよびORDスペクトル上に対するミー(等方性粒子)散乱の影響に関する研究は、散乱測定を使用して、ウィルス粒子および細胞などのより大きな生物学的構造におけるORDおよびCD測定値を修正することができ、それによって、特徴的なORDおよびCD特性に基づいた粒子識別が可能になることを示唆している。多数の異なる微生物の識別のための、右円偏光および左円偏光の微分散乱もまた実証されてきた。円形強度微分散乱(CIDS)方法は、左円偏光および右円偏光の差分吸収を活用するCDに類似しているが、DNAなどの螺旋構造による右円偏光および左円偏光の微分散乱を利用する。
【0007】
通常、このような粒子識別方法は、本明細書では集合的に試料分析器と呼ばれる1つまたは複数の機器を少なくとも部分的に使用して実現される。多くの試料分析器は、訓練された作業者によって実験室環境で使用される、比較的大型の装置である。多くの試料分析器を使用するため、調製された試料を試料分析器に供給する前に、試料を所望のレベルまで希釈する、適切な試薬を添加する、試料を遠心分離して所望の分離を得るなどにより、収集した試料をまず処理しなければならない。正確な結果を得るため、そのような試料の処理は、通常、訓練された作業者によって実施されなければならず、それが、試料分析を実施するのに必要なコストと時間を増加させる場合がある。
【0008】
多くの試料分析器は、さらに、追加情報の入力または試料のさらなる処理を必要とするなど、分析フェーズの間に操作者の介入を必要とする。これは、所望の試料分析を実施するのに必要なコストと時間をさらに増加させる場合がある。さらに、多くの試料分析器は、単に生の分析データを出力として提供し、適切な臨床判断を下すため、訓練された作業者によるさらなる計算および/または解釈を実施しなければならないことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一般に、試料分析器に関し、より具体的には、診察室、家庭、および当該分野における他の場所など、患者の治療現場で使用するための、取外し可能および/または使い捨てのカートリッジを備えた試料分析器に関する。取外し可能および/または使い捨てのカートリッジに、必要な試薬および/または流体をすべて供給することによって、専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で試料分析器を信頼性高く使用することができる。これは、例えば、試料分析プロセスを能率化し、医療関係者または他の作業者のコストおよび負担を低減し、比較的頻繁な血液モニタリング/分析を必要とする患者を含む多くの患者に対する試料分析の利便性を増大させるのに役立つことがある。
【0010】
本発明の例示的な一実施形態では、収集された全血試料などの収集された試料を収容する取外し可能なカートリッジを有する試料分析器が提供され、また、取外し可能なカートリッジが取り付けられ、分析器が起動されると、分析器およびカートリッジは自動的に試料を処理し、分析器はユーザが臨床判断を下すのに十分な情報を提供する。いくつかの実施形態では、分析器は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷するので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。
【0011】
試料分析器は、例えば、血液試料中の細胞の数および/または型を判定し、流体、食物、または他の試料中のバクテリア粒子またはウィルス粒子を検出し、かつ/または試料中の細胞体積および密度を検査するのに使用することができる。試料分析器はまた、尿試料中の尿酸結晶などの非細胞性粒子、ならびに流体懸濁液中の結晶および他の粒子の検出、および/または所望によって他の任意の適切なタイプの分析にも使用することができる。
【0012】
例示的な一実施形態では、分析器は、ハウジングおよび取外し可能な流体カートリッジを含み、ハウジングは取外し可能な流体カートリッジを収容するように適合される。場合によっては、取外し可能な流体カートリッジは使い捨てカートリッジである。例示的な一実施形態では、取外し可能な流体カートリッジは、1つまたは複数の試薬(例えば、溶解試薬、球状化試薬、希釈剤など)、1つまたは複数の分析チャネル、1つまたは複数の流量センサ、1つまたは複数のバルブ、および/または、試料を処理(例えば、溶解、球状化、希釈、混合など)し、処理された試料をカートリッジ上の適切な分析チャネルに送達するように適合された流体回路を含んでもよい。カードを支援するため、ハウジングは、例えば、圧力源、1つまたは複数の光源、1つまたは複数の光検出器、プロセッサ、および電源を含んでもよい。圧力源は、取外し可能な流体カートリッジのポートに適切な圧力を提供して、流体回路を介して流体を必要に応じて推進してもよい。分析器の1つまたは複数の光源は、取外し可能なカートリッジの少なくとも選択された分析チャネル内の調製された試料を調査するために使用されてもよく、また、分析器の1つまたは複数の光検出器は、通過する光が、試料によって吸収および/または散乱されることを検出してもよい。プロセッサは、光源および検出器の少なくともいくつかに結合されてもよく、また試料の1つまたは複数のパラメータを判定してもよい。いくつかの実施形態では、取外し可能な流体のカートリッジ上の1つまたは複数の分析チャネルは、1つもしくは複数のフローサイトメトリーチャネルおよび/または1つもしくは複数の吸収チャネルを含んでもよいが、これはすべての実施形態に必須のものではない。
【0013】
いくつかの例示的な実施形態では、全血試料は取外し可能な流体カートリッジに供給されてもよく、また、取外し可能なカートリッジは完全血球算定(CBC)分析などの血液分析を実施するように適合されてもよい。例えば全血試料中の赤血球を計数し分類するため、全血試料の一部が分割され、取外し可能なカートリッジ内の赤血球測定チャネルに供給されてもよい。所望であれば、赤血球測定チャネルに供給される血液試料の部分は希釈されてもよく、赤血球はオンザフライで球状化されてもよく、結果として得られる試料は、コア形成のために流体力学的に集束され、最終的に取外し可能なカートリッジ内の第1のサイトメトリーチャネルに供給されてもよい。
【0014】
場合によっては、第1のサイトメトリーチャネルは、取外し可能なカートリッジ内の第1の透明なフローストリーム窓に沿ってまたはその下に位置してもよく、それにより、フローストリーム中の細胞/血小板が、第1の光源および第1の光検出器によって光学的に調査されてもよい。第1のサイトメトリーチャネルを通る流量の基準を提供するため、流量センサも取外し可能なカートリッジ上に提供されてもよい。
【0015】
場合によっては、測定されたパラメータは、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)持続時間、試料希釈係数(DF)、計数された赤血球数(NRB)、計数された血小板数(NPlt)、各細胞の直径(drbc)、および各細胞のヘモグロビン濃度(CHC)を含んでもよい。これらのパラメータから、例えば、赤血球数(RBC)、血小板数(Plt)、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC)、平均細胞体積(MCV)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH)、相対分布幅(RDW)、ヘマトクリットパラメータ(Hct)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb)など、多数の赤血球分析パラメータが計算されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、血液試料のいくらかはまた、取外し可能なカートリッジ上の吸収測定チャネルに向けられてもよい。吸収測定チャネルは、血液試料を対応する光源および光検出器によって光学的に調査することができるように、透明窓に沿って位置してもよい。所望であれば、取外し可能なカートリッジ上に別の流量センサが提供されて、吸収測定チャネル内への、またはそこを通る流量の基準を提供してもよいが、これは必須ではない。吸収チャネルは、入射光の吸収レベルを測定するのに使用されてもよい。吸収レベルは、例えば、血液試料中の平均またはバルク細胞ヘモグロビン濃度の基準を提供してもよい。
【0017】
白血球を計数し分類するため、全血試料の一部が分割され、取外し可能なカートリッジ内の白血球測定チャネルに供給されてもよい。所望であれば、白血球測定チャネルに供給される血液試料は、例えば希釈されてもよく、赤血球は、オンザフライで溶解されてもよく、結果として得られる試料は、コア生成のために流体力学的に集束され、最終的に第2のサイトメトリーチャネルに供給されてもよい。第2のサイトメトリーチャネルもまた、取外し可能なカートリッジの透明なフローストリーム窓に沿ってまたはその下に位置してもよく、それにより、フローストリーム中の細胞を、対応する光源および検出器によって光学的に調査することができる。場合によっては、第2のサイトメトリーチャネルを通る流量の基準を提供するため、流量センサを取外し可能なカートリッジ上に提供してもよい。
【0018】
場合によっては、白血球測定チャネルの例示的な測定されたパラメータは、例えば、3または5部分白血球分化、総白血球数、および/または軸上白血球体積を含んでもよい。所望の用途に応じて、他のパラメータも測定または計算されてもよい。場合によっては、試料を第2のサイトメトリーチャネルに供給する前に、染色剤および/または蛍光タグが試料に添加されてもよく、これは、場合によっては細胞分化の助けとなってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明による例示的な試料分析器およびカートリッジの斜視図である。例示的な試料分析器は、全体が10で示され、ハウジング12および取外し可能もしくは使い捨てのカートリッジ14を含む。例示的なハウジング12は、基部16、カバー18、および基部16をカバー18に取り付けるヒンジ20を含むが、これは必須ではない。例示的な実施形態では、基部16は、第1の光源22a、第2の光源22b、および第3の光源22cとともに、関連する光学素子および試料分析器の動作に必要なエレクトロニクスを含む。各光源は、用途に応じて単一の光源または複数の光源であってもよい。場合によっては、ハウジング全体の寸法は、要望に応じて、0.028cm3(1立方フィート)未満、0.014m3(2分の1立方フィート)未満、0.007m3(4分の1フィート)未満、またはそれより小さくてもよい。同様に、ハウジングの全重量は、要望に応じて、4.54kg(10ポンド)未満、2.27kg(5ポンド)未満、0.45kg(1ポンド)未満、またはそれより少なくてもよい。
【0020】
例示的なカバー12は、関連する光学素子およびエレクトロニクスをそれぞれ備えた、圧力源(例えば、制御マイクロバルブを備えた圧力チャンバ)、第1の光検出器24a、第2の光検出器22b、および第3光検出器22cを含む。各光検出器もまた、用途に応じて単一の光検出器または複数の光検出器であってもよい。所望であれば、用途に応じて偏光子および/またはフィルタも提供されてもよい。
【0021】
例示的な取外し可能なカートリッジ14は、例示的な実施形態ではランセット32を含む試料収集ポートを介して、試料流体を収容するように適合される。ランセット32は格納式であっても、かつ/またはいくつかの実施形態ではばね荷重式であってもよい。キャップ38は、取外し可能なカートリッジ14が使用されていないときに、試料収集ポートおよび/またはランセット32を保護するために使用されてもよい。
【0022】
例示的な実施形態では、取外し可能なカートリッジ14は、全血試料に対する血液分析を実施する。ランセット32は、ユーザの指を刺して血液の試料を作るのに使用されてもよく、血液の試料は、毛管作用によって取外し可能なカートリッジ14内の抗凝血性コーティングを施した毛管に引き込まれてもよい。取外し可能なカートリッジ14は、エッチングされたチャネルを備えた層状組織を使用して作製されるものもある、Micronics Technologiesから入手可能な流体回路に類似して構築されてもよい。しかし、取外し可能なカートリッジ14は、射出成形、または必要であれば他の適切な製造プロセスもしくは方法によるなど、任意の適切な方法で構築されてもよいことが考えられる。
【0023】
使用中、および血液試料が取外し可能なカートリッジ14に引き込まれた後、取外し可能なカートリッジ14は、カバー18が開位置にあるときにハウジングに挿入されてもよい。場合によっては、取外し可能なカートリッジ14は、基部16にある位置合わせピン28aおよび28bを受け入れる穴26aおよび26bを含んでもよく、これは、機器の異なる部品間の整列および結合の助けとなってもよい。取外し可能なカートリッジ14はさらに、第1の透明なフローストリーム窓30a、第2の透明なフローストリーム窓30b、および第3の透明窓30cを含んでもよく、これらは、第1、第2、および第3の光源22a、22b、および22c、ならびに第1、第2、および第3の光検出器24a、24b、および24cそれぞれと位置が揃う。
【0024】
カバーが閉位置に移動され、システムが加圧されると、例示的な取外し可能なカートリッジ14では、カバー18は、圧力提供ポート36a、36b、36c、および36dを介して、制御された圧力を圧力受取りポート34a、34b、34c、および34cにそれぞれ提供してもよい。用途に応じて、より多いまたはより少ない圧力提供ポートおよび圧力受取りポートが使用されてもよいことが考えられる。あるいは、またはそれに加えて、静電作動式のメソポンプなどの1つまたは複数のマイクロポンプを、取外し可能なカートリッジ14上またはその中に提供して、取外し可能なカートリッジ14の流体回路を動作させるのに必要な圧力を提供してもよいことが考えられる。いくつかの例示的な静電作動式のメソポンプは、例えば、すべて本発明の譲受人に譲渡された、米国特許第5836750号、第6106245号、第6179586号、第6729856号、および第6767190号に記載されており、それらすべてを参考により本明細書に組み込む。
【0025】
加圧されると、例示的な機器は、収集した血液試料に対して血液分析を実施してもよい。場合によっては、血液分析は、完全血球算定(CBC)分析を含んでもよいが、用途に応じて他のタイプの分析を実施することができる。
【0026】
赤血球を計数し分類するため、全血試料の一部が分割され、取外し可能なカートリッジ14内の赤血球測定チャネルに供給されてもよい。所望であれば、血液試料は次に希釈されてもよく、赤血球はオンザフライで球状化されてもよく、結果として得られる試料は、コア形成のために流体力学的に集束され、最終的に第1のサイトメトリーチャネルに供給されてもよい。第1のサイトメトリーチャネルは、取外し可能なカートリッジ14の第1の透明なフローストリーム窓30aに沿って位置してもよく、それにより、フローストリーム中の細胞を、第1の光源22aおよび第1の光検出器24aによって光学的に調査することができる。場合によっては、第1のサイトメトリーチャネルを通る流量の基準を提供するため、第1の流量センサが取外し可能なカートリッジ14上に提供されてもよい。
【0027】
場合によっては、測定されたパラメータは、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)持続時間、試料希釈係数(DF)、計数された赤血球数(NRB)、計数された血小板数(NPlt)、各細胞の直径(drbc)、および各細胞のヘモグロビン濃度(CHC)を含んでもよい。これらのパラメータから、例えば、赤血球数(RBC=NRB/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbc3>)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH=(π/6)×<drbc3×CHC>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbc3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)など、多数の赤血球分析パラメータが計算されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、血液試料のいくらかはまた、吸収測定チャネルに向けられてもよい。吸収測定チャネルは、取外し可能なカートリッジ14の第3の透明窓30cに沿って位置してもよく、それにより、血液試料を、第3の光源22cおよび第3の光検出器24cによって光学的に調査することができる。吸収測定チャネル内への、またはそこを通る流量の基準を提供するため、流量センサが取外し可能なカートリッジ14上に提供されてもよい。吸収測定チャネルは、第3の光源22cによって提供される入射光の吸収の基準を提供してもよい。測定された吸収レベルは、血液試料中のバルクまたは平均細胞ヘモグロビン濃度の指標を提供してもよい。
【0029】
白血球を計数し分類するため、全血試料の一部が分割され、取外し可能なカートリッジ14内の白血球測定チャネルに供給されてもよい。所望であれば、血液試料は次に希釈されてもよく、赤血球はオンザフライで溶解されてもよく、結果として得られる試料は、コア形成のために流体力学的に集束され、最終的に第2のサイトメトリーチャネルに供給されてもよい。第2のサイトメトリーチャネルは、取外し可能なカートリッジ14の第2の透明なフローストリーム窓30bに沿って位置してもよく、それにより、フローストリーム中の細胞を、第2の光源22bおよび第2の光検出器24bによって光学的に調査することができる。第2のサイトメトリーチャネルを通る流量の基準を提供するため、流量センサが取外し可能なカートリッジ14上に提供されてもよい。場合によっては、測定された白血球パラメータは、例えば、3または5部分白血球分化、総白血球数、および/または軸上白血球体積を含んでもよい。用途に応じて、他のパラメータも測定または計算されてもよい。
【0030】
図1は、1つの例示的な試料分析器およびカートリッジのアセンブリを示す。しかし、他の試料分析器構成が使用されてもよいことが考えられる。例えば、試料分析器10および取外し可能なカートリッジは、参考により本明細書に組み込まれる、Schwichtenbergらの米国特許出願2004/0211077に記載されているものに類似してもよい。
【0031】
場合によっては、試料分析器10は、診察室、家庭、または当該分野における他の場所など、患者の治療現場で使用されるように適合される。専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で信頼性高く使用することができる試料分析器10を提供する能力は、試料分析プロセスを能率化し、医療関係者のコストおよび負担を低減し、比較的頻繁な血液モニタリング/分析を必要とする患者を含む多くの患者に対する試料分析の利便性を増大させるのに役立つことがある。
【0032】
動作中、試料分析器10は、収集された全血試料などの収集された試料を収容してもよく、また、分析器が起動されると、試料分析器10は自動的に試料を処理し、ユーザが臨床判断を下すための情報を提供する。いくつかの実施形態では、試料分析器10は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷してもよいので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。
【0033】
図2は、図1の例示的な試料分析器およびカートリッジの概略図である。詳細に上述したように、また例示的な実施形態では、基部16は、多数の光源22、関連する光学素子、および分析器の動作に必要な制御および処理エレクトロニクス40を含んでもよい。基部16はさらに、バッテリー42、変圧器、または他の電源も含んでもよい。カバー12は、圧力源/フロー制御ブロック44、および関連する光学素子を備えた多数の光検出器24を有することが示される。
【0034】
取外し可能なカートリッジ14は、試料収集ポートまたはランセット32を介して試料流体を受け入れてもよい。圧力源/フロー制御ブロック44によって加圧されると、取外し可能なカートリッジ14は、受け入れた血液試料の血液分析を実施してもよい。いくつかの実施形態では、また上述したように、取外し可能なカートリッジ14は、多数の試薬49、および試薬を血液試料と混合して分析のために血液試料を調製する流体回路を含んでもよい。さらに、取外し可能なカートリッジ14は、流体回路の適切な動作を制御および/または確認する助けとなる多数の流量センサを含んでもよい。
【0035】
場合によっては、血液試料は、調製され(例えば、溶解され、球状化され、染色され、希釈され、かつ/または別の方法で処理され)、次に、サイトメトリーチャネル50などの1つまたは複数の搭載型サイトメトリーチャネルにおけるコア化成のために流体力学的に集束される。例示的な実施形態では、サイトメトリーチャネル50は、取外し可能なカートリッジ14内の第1の透明なフローストリーム窓30aなどの、透明なフローストリーム窓を越えて経路が決められる。基部16内の複数の光源22および関連する光学素子のアレイは、フローストリーム窓30aを介してコアストリームを通して光を提供してもよい。複数の光検出器24および関連する光学素子のアレイは、やはりフローストリーム窓30aを介してコアからの拡散光および非拡散光を受けてもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、検出器24のアレイからの出力信号を受けてもよく、また、コアストリーム中に存在する選択された細胞を分化および/または計数してもよい。
【0036】
取外し可能なカートリッジ14は、取外し可能なカートリッジ14上の流体の少なくとも一部の速度を制御するのを助ける流体制御ブロック48を含んでもよいことが考えられる。例示的な実施形態では、流体制御ブロック48は、様々な流体の速度を感知する流量センサを含んでもよく、またコントローラまたはプロセッサ40に速度を報告してもよい。その後、コントローラまたはプロセッサ40は、圧力源/フロー制御ブロック44に提供される1つまたは複数の制御信号を調節して、分析器の適切な動作のための所望の圧力、したがって所望の流体速度を達成してもよい。
【0037】
血液および他の生物学的排出物は疾病を拡散させる恐れがあるので、取外し可能なカートリッジ14は、例示的なサイトメトリーチャネル50の下流に排出物容器52を含んでもよい。排出物容器52は、取外し可能なカートリッジ14内のフローストリームの流体を収容し貯蔵してもよい。試験が完了すると、取外し可能なカートリッジ14は分析器から取り外され、好ましくは生物学的排出物と適合性を有する容器に廃棄されてもよい。
【0038】
図3は、図2の試料分析器およびカートリッジのフロー制御を示すより詳細な概略図である。例示的な実施形態では、カバー18内の圧力源/フローコントローラ44は、試料推進(P)圧力36a、溶解(L)圧力36b、球状化(SP)圧力36c、シース(SH)圧力36d、および希釈剤(D)圧力36eを含む5つの制御圧力を提供する。これらは単に例示的なものであり、用途に応じて、より多い、より少ない、または異なる圧力(例えば、染色剤容器への染色圧力)が、圧力源/フローコントローラ44によって提供されてもよい。さらに、カバー18は、圧力源/フローコントローラ44をまったく含まなくてもよいことが考えられる。代わりに、取外し可能なカートリッジ14は、圧縮空気容器、上述したような静電作動式のメソポンプなどの1つまたは複数のマイクロポンプ、または要望に応じて他の任意の適切な圧力源などの、搭載型圧力源を含んでもよい。光源および検出器のアレイは図3には示されない。
【0039】
例示的な実施形態では、圧力源36aはプッシャ流体65を介して血液試料容器62に圧力を提供し、圧力源36bは溶解容器64に圧力を提供し、圧力源36cは球状化容器66に圧力を提供し、圧力源36dはシース容器68に圧力を提供し、圧力源36eは希釈剤容器70に圧力を提供する。
【0040】
例示的な一実施形態では、圧力源はそれぞれ、入力圧力を受ける第1の圧力チャンバ、および取外し可能なカートリッジに制御圧力を提供する第2の圧力チャンバを含んでもよい。第1のバルブが、第1の圧力チャンバと第2の圧力チャンバの間に設けられて、第1の圧力チャンバ内の圧力を第2の圧力チャンバに可変に解放してもよい。第2の圧力チャンバと流体連通している第2のバルブは、第2の圧力チャンバ内の圧力を環境に制御可能に放出してもよい。これにより、圧力源/フローコントローラ44が、取外し可能なカートリッジ14上の圧力受取りポートそれぞれに制御圧力を提供することを可能にしてもよい。例えば、参考により本明細書に組み込まれる、「ADDRESSABLE VALVE ARRAYS FOR PROPORTIONAL PRESSURE OR FLOW CONTROL」という名称の同時係属中の米国特許出願09/404560に記載されるように、各バルブは、個別に取扱い可能かつ制御可能な静電作動式のマイクロバルブのアレイであってもよい。あるいは、各バルブは、制御可能なデューティサイクルでパルス変調されて、制御された「有効な」フローまたは漏れ速度を達成する、静電作動式のマイクロバルブのアレイであってもよい。所望であれば、他のバルブも使用されてもよい。
【0041】
例示的な取外し可能なカートリッジ14は、圧力源/フローコントローラ44から対応する制御圧力をそれぞれ受け取る、5つの圧力受取りポート34a、34b、34c、34d、および34eを含む。例示的な実施形態では、圧力受取りポート34a、34b、34c、34dおよび34eはそれぞれ、制御圧力を、血液容器62、溶解容器64、球状化容器66、シース容器68、および希釈剤容器70に向ける。溶解容器64、球状化容器66、シース容器68、および希釈剤容器70は、取外し可能なカートリッジ14が使用のために輸送される前に、充填されてもよく、血液容器62は、試料収集ポートまたはランセット32を介して現場で充填されてもよい。
【0042】
図に示すように、流量センサは各流体または選択された流体と直列で提供されてもよい。流量センサ80a〜80eはそれぞれ、対応する流体の速度を測定してもよい。流量センサ80a〜80eは、好ましくは熱式風速計タイプの流量センサであり、より好ましくはマイクロブリッジタイプの流量センサである。マイクロブリッジ流量センサは、例えば、米国特許第4478076号、米国特許第4478077号、米国特許第4501144号、米国特許第4651564号、米国特許第4683159号、および米国特許第5050429号に記載されており、これらをすべて参考により本明細書に組み込む。各流量センサ80a〜80eからの出力信号は、コントローラまたはプロセッサ40に提供されてもよい。図に示すように、コントローラまたはプロセッサ40は、圧力源/コントローラ44に制御信号を提供してもよい。例えば、血液試料に提供される圧力を制御するため、コントローラまたはプロセッサ40は、血液試料の速度が第1の所定値よりも下に低下すると、第1の圧力チャンバ内の圧力を第2の圧力チャンバに可変に放出するために、圧力源/コントローラ44内の第1の圧力チャンバと第2の圧力チャンバの間の第1のバルブを開いてもよい。同様に、コントローラまたはプロセッサ40は、血液試料の速度が第2の所定値よりも上に上昇すると、第2のバルブを開いて第2の圧力チャンバ内の圧力を放出してもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、同様のやり方で、溶解試薬、球状化試薬、シース流体、および希釈剤を制御してもよい。
【0043】
場合によっては、コントローラまたはプロセッサ40が、フローチャネルを通過する流量の1つまたは複数の変化を検出してもよい。流量の変化は、例えば、フローチャネル内の1つもしくは複数の泡、例えば血液試料の凝結によって生じるフローチャネルの閉塞もしくは部分的な閉塞、フローチャネル内の望ましくない物体もしくは異物、および/またはフローチャネルの好ましくない特性に対応する場合がある。コントローラまたはプロセッサ40は、流量からのそのような特性を検出し、場合によっては、警告を出す、かつ/または試料分析器を停止するようにプログラムされてもよい。
【0044】
熱式風速計タイプの流量センサは、通常、通電されると流体中に1つまたは複数の熱パルスを生成する加熱要素を含み、また、加熱要素の上流および/または下流に配置された、1つまたは複数の熱パルスを検出する1つまたは複数の熱センサをさらに含む。フローチャネルを通る流体の速度は、加熱要素から、間隔を空けられた熱センサの1つまで熱パルスが移動するのにかかる時間と関連する場合がある。
【0045】
場合によっては、熱式風速計タイプの流量センサは、流体の熱伝導率および/または比熱を検出するのに使用されてもよい。流体の熱伝導率および/または比熱の変化は、流体の状態変化(血液試料の凝結)、流体中の泡、流体中の望ましくない物体または異物などの、流体の特性の変化に対応する場合がある。したがって、またいくつかの実施形態では、コントローラまたはプロセッサ40は、熱式風速計タイプの流量センサを通過する流体の熱伝導率および/または比熱をモニタすることにより、流体の特性を検出してもよいことが考えられる。
【0046】
場合によっては、インピーダンスセンサがフローチャネルと流体連通して設けられてもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、インピーダンスセンサに連結されてもよい。流体のインピーダンスの変化は、流体の状態変化(血液試料の凝結)、流体中の泡、流体中の望ましくない物体または異物などの、流体の特性の変化を示してもよい。したがって、またいくつかの実施形態では、コントローラまたはプロセッサ40は、インピーダンスセンサを通過する流体のインピーダンスをモニタすることにより、液体の特性を検出してもよいことが考えられる。
【0047】
110で全体が示される下流のバルブも提供されてもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、要望に応じて下流のバルブ110を開閉してもよい。例えば、下流のバルブ110は、システムが十分に加圧されるまで閉じたままであってもよい。これは、システムが十分に加圧される前に、血液、溶解試薬、球状化試薬、シース流体、および希釈剤が流体回路86に流れ込むことを防ぐ助けとなり得る。さらに、下流のバルブ110は、ゼロフロー試験などの特定の試験の実施を助けるように制御されてもよい。別の実施形態では、下流のバルブ110は、例えば、カバーが閉じているとき、機械的動作によって開かれてもよい。
【0048】
図4は、本発明による例示的な取外し可能なカートリッジの特定の特徴の概略図である。例示的な取外し可能なカートリッジは、全体が100で示され、図1〜3を参照して示し上述した取外し可能なカートリッジ14に類似してもよい。取外し可能なカートリッジ100は単に例示的なものであり、本発明は、形態、機能、または構成に関わらず、多くのマイクロ流体カートリッジに適用できることが理解されるべきである。例えば、本発明は、フローサイトメトリー、血液学、臨床化学、血液化学分析、尿検査、血液ガス分析、ウィルス分析、バクテリア分析、電解質測定などに適合された取外し可能なカートリッジに適用されてもよい。取外し可能なカートリッジ100などの本発明の取外し可能なカートリッジは、例えば、ガラス、シリコン、1つまたは複数の重合体、または他の適切な材料もしくは材料システム、または材料もしくは材料システムの組合せなど、任意の適切な材料または材料システムから作られてもよいことも考えられる。
【0049】
例示的な取外し可能なカートリッジ100は、第1の測定チャネル102および第2の測定チャネル104を含むが、要望に応じて、より多いまたはより少ない測定チャネルが使用されてもよい。第1の測定チャネル102は、例示的な実施形態では赤血球測定チャネルであり、第2の測定チャネル104は、白血球測定チャネルである。全血試料は、血液受取りポート106を介して取外し可能なカートリッジ100に収容され、それが、毛管作用によって血液の既知量を抗凝血性コーティングを施した血液試料貯蔵毛管108に引き込む。図3の試料推進(P)圧力36aなどの試料推進(P)圧力は、図3の試料推進流体容器65などの試料推進流体容器に提供される。圧力が印加されると、試料推進流体は、試料推進流体容器から血液試料推進チャネル110へ押し込まれる。
【0050】
いくつかの例示的な実施形態では、バルブ112および流量センサ114は、血液試料推進チャネル110と直列で提供されてもよい。バルブ112は、流体回路を通して血液試料を押しやることが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ114は、血液試料推進流体の流量、およびすなわち抗凝血性コーティングを施した毛管108を通る血液試料の流量を測定してもよい。流量センサ114によって提供される流量は、取外し可能なカートリッジ100に提供される試料推進(P)圧力を制御するのを助けるために使用されてもよい。
【0051】
例示的な実施形態では、全血試料は分割され、分枝116を介して赤血球測定チャネル102および白血球測定チャネル104に供給される。例示的な実施形態では、バルブ118が分枝と直列で提供されて、赤血球測定チャネル102内への血液試料のフローを制御し、バルブ120が提供されて、白血球測定チャネル104内への血液試料フローを制御する。
【0052】
特に赤血球測定チャネル102を参照すると、図3の球状化圧力(SP)36cなどの赤血球球状化試薬圧力(SP)は、図3の球状化容器66などの球状化試薬容器に提供される。圧力が印加されると、球状化容器66内の球状化試薬は球状化試薬チャネル124へ押し込まれる。
【0053】
いくつかの例示的な実施形態では、バルブ126および流量センサ128も、球状化試薬チャネル124と直列で提供されてもよい。バルブ126は、流体回路に球状化試薬を押し込むことが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ128は、球状化試薬の流量を測定し、球状化試薬チャネル124を通る球状化試薬の流量の基準を提供してもよい。流量センサ128によって提供される流量は、圧力源/コントローラ44によって取外し可能なカートリッジ100に提供される球状化圧力(SP)を制御するのを助けるために使用されてもよい。
【0054】
例示的な取外し可能なカートリッジ100の正常な機能的動作の間、球状化試薬は、球状化試薬の流量で交差領域130に押し込まれ、血液試料は、血液試料の流量で交差領域130に押し込まれる。血液試料の流量および球状化試薬の流量は、図3の圧力源/コントローラ44によって制御されてもよい。
【0055】
交差領域130は、両方の流体が交差領域130を貫流しているときに球状化試薬が血液試料の周囲を流れるように形成されてもよい。場合によっては、球状化試薬の流量は血液試料の流量よりも高くてもよく、それが、下流のオンザフライ球状化チャネル132におけるフロー特性の改善を助け、また場合によっては、球状化試薬で完全かつ均一に取り囲まれた血液の薄い帯を形成する助けとなってもよい。そのような帯状のフローは、赤血球がオンザフライ球状化チャネル132を通ると、球状化試薬が赤血球を均一に球状化する助けとなってもよい。さらに、オンザフライ球状化チャネル132の長さは、球状化試薬および血液試料の流量とともに、血液試料が適正な量の時間、球状化試薬に晒されるように設定されてもよい。
【0056】
図3のシース(SH)圧力36dなどのシース流体(SH)圧力は、図3のシース流体容器68などのシース流体容器に提供されてもよい。圧力が印加されると、シース流体は、シース流体容器68からシースチャネル134へ押し込まれる。いくつかの例示的な実施形態では、バルブ136および流量センサ138は、シースチャネル134と直列で提供されてもよい。バルブ136は、シース流体を流体回路に押し込むことが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ138は、シース流体の流量を測定し、シースチャネル134を通るシース流量の基準を提供してもよい。流量センサ138によって提供される流量は、取外し可能なカートリッジ100に提供されるシース圧力(SH)を制御するのを助けるために使用されてもよい。
【0057】
例示的な実施形態では、シース流体は、シース流体の流量で交差領域140に供給され、また、球状化された血液試料は、球状化された血液試料の流量で交差領域140に供給される。球状化された血液試料の流量およびシース流量は、図3の圧力源/コントローラ44などの圧力源/コントローラによって制御されてもよい。
【0058】
交差領域140は、両方の流体が交差領域140を貫流しているときにシース流体が球状化された血液試料の周囲を流れるように形成されてもよい。場合によっては、シース流量は球状化された血液試料の流量よりも著しく高く、それが、下流のフローサイトメトリーチャネル142におけるコア形成を改善する助けとなってもよい。例えば、いくつかのフローサイトメトリー用途では、交差領域140は、球状化された血球を流体力学的に集束させ、かつ単一列のコアに整列させて、各赤血球が取外し可能なカートリッジ100内の光学窓領域144を通過すると、分析器によってそれを別個に光学的に調査できるように構成されてもよい。場合によっては、サイトメトリーチャネル142を通過する流体は、搭載型の排出物容器に向けられる。
【0059】
次に白血球測定チャネル104を参照すると、図3の溶解圧力(L)36bなどの白血球溶解試薬圧力(L)は、図3の溶解容器64などの溶解試薬容器に提供される。圧力が印加されると、溶解容器64内の溶解試薬は溶解試薬チャネル154へ押し込まれる。
【0060】
いくつかの例示的な実施形態では、バルブ156および流量センサ158は、溶解試薬チャネル154と直列で供給されてもよい。バルブ156は、溶解試薬を流体回路に押し込むことが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ158は、溶解試薬の流量を測定し、溶解試薬チャネル154を通る溶解試薬の流量の基準を提供してもよい。流量センサ158によって提供される流量は、圧力源/コントローラ44によって取外し可能なカートリッジ100に提供される溶解圧力(L)を制御するのを助けるために使用されてもよい。
【0061】
例示的な取外し可能なカートリッジ100の正常な機能的動作の間、溶解試薬は、溶解試薬の流量で交差領域160に供給され、また、血液試料は、血液試料の流量で交差領域160に供給される。血液試料の流量および溶解試薬の流量は、図3の圧力源/コントローラ44などの圧力源/コントローラによって制御されてもよい。
【0062】
交差領域160は、両方の流体が交差領域160を貫流しているときに溶解試薬が血液試料の周囲を流れるように構成されてもよい。場合によっては、溶解試薬の流量は血液試料の流量よりも高くてもよく、それが、下流のオンザフライ溶解チャネル162におけるフロー特性の改善を助け、また場合によっては、溶解試薬で完全かつ均一に取り囲まれた血液の薄い帯を形成する助けとなってもよい。そのような帯状のフローは、赤血球がオンザフライ溶解チャネル162を通ると、溶解試薬が赤血球を均一に球状化する助けとなってもよい。さらに、オンザフライ溶解チャネル162の長さは、溶解試薬および血液試料の流量とともに、血液試料が適正な量の時間、溶解試薬に晒されるように設定されてもよい。
【0063】
図3のシース(SH)圧力36dなどのシース流体(SH)圧力は、図3のシース流体容器68などのシース流体容器に提供されてもよい。圧力が印加されると、シース流体はシース流体容器68からシースチャネル164へ押し込まれる。いくつかの例示的な実施形態では、バルブ166および流量センサ168はシースチャネル164と直列で提供されてもよい。バルブ166は、シース流体を流体回路に押し込むことが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ168は、シース流体の流量を測定し、シースチャネル164を通るシース流量の基準を提供してもよい。流量センサ168によって提供される流量は、取外し可能なカートリッジ100に提供されるシース圧力(SH)を制御するのを助けるために使用されてもよい。場合によっては、シースチャネル164を通るシース流量はシースチャネル134を通るシース流量と同じである。しかし、他の場合では、シースチャネル164を通るシース流量は、シースチャネル134を通るシース流量とは異なっていてもよい。
【0064】
例示的な実施形態では、シース流体は、シース流体の流量で交差領域170に供給され、また、溶解された血液試料は、溶解された血液試料の流量で交差領域170に供給される。溶解された血液試料の流量およびシース流量は、図3の圧力源/コントローラ44などの圧力源/コントローラによって制御されてもよい。
【0065】
交差領域170は、両方の流体が交差領域170を貫流しているときにシース流体が溶解された血液試料の周囲を流れるように構成されてもよい。場合によっては、シース流量は溶解された血液試料の流量よりも著しく高く、それが、下流のフローサイトメトリーチャネル172におけるコア形成を改善する助けとなってもよい。例えば、いくつかのフローサイトメトリー用途では、交差領域170は、溶解された血液試料中の白血球を流体力学的に集束させ、かつ単一列のコアに整列させて、各白血球が取外し可能なカートリッジ100内の光学窓領域174を通過すると、分析器によってそれを別個に光学的に調査できるように構成されてもよい。場合によっては、サイトメトリーチャネル172を通過する流体は、搭載型の排出物容器に向けられる。
【0066】
場合によっては、吸収測定チャネルも提供されてもよい。例示的な実施形態では、溶解された血液試料の一部は吸収チャネル180に供給される。バルブ182は、溶解された血液試料の一部が吸収チャネルまたは領域184へ移動することを選択的に可能にするために、提供されてもよい。分析器は、吸収チャネルまたは領域184、ならびに、吸収チャネルまたは領域184内の溶解された血液試料によって吸収されない光を検出する検出器を照光する光源を含んでもよい。分析器は、次に、吸収レベルを判定してもよく、そこから、バルク吸収に基づいたヘモグロビン測定を行うことができる。場合によっては、また図8に示すように、吸収チャネル184は、所望であればサイトメトリーチャネル172の下流に位置していてもよい。他の場合では、全血試料は、分枝116からなど、吸収チャネルに直接供給されてもよい。そのような場合、吸収チャネルは、吸収測定を行う前に赤血球を溶解する機構を含んでもよい。例示的な取外し可能なカートリッジ100は、全血試料に対する完全血球算定(CBC)分析を行うように適合されるが、要望に応じて、他の取外し可能なカートリッジの構成および分析タイプが使用されてもよいことが考えられる。
【0067】
図5は、本発明による取外し可能なカートリッジに含むことができる、多数の例示的な貯蔵容器の概略図である。例示的な実施形態では、図4の取外し可能なカートリッジ100などの取外し可能なカートリッジは、例えば、溶解試薬容器64、プッシャ流体容器65、球状化試薬容器66、シース流体容器68、希釈剤流体容器70、染色剤容器190、および排出物容器52を含んでもよい。これらは単に例示的なものであり、より多い、より少ない、または異なる容器が取外し可能なカートリッジの上またはその中に提供されてもよい。
【0068】
各容器は、サイズ決めされてもよく、また、取外し可能なカートリッジの所望の動作を支援するのに適切な流体および/または試薬の量を含んでもよい。希釈剤容器70は、全血試料などの入ってくる試料を希釈する希釈剤流体を含んでもよい。図4の例示的な実施形態では、球状化試薬および/または溶解試薬は、希釈剤の機能を実施してもよく、したがって、別個の希釈剤容器70は不要であるか、または好ましいものでさえない場合がある。同様に、いくつかの実施形態では、染色剤容器190などの染色剤容器は、染色剤を白血球チャネルに添加して、白血球分化を支援することが望ましい場合がある。容器に貯蔵された試薬および/または流体は、用途に応じて、最初は液体または凍結乾燥された形態であってもよい。
【0069】
図6は、本発明による取外し可能なカートリッジを使用して、血液試料を分析する例示的な方法を示す概略フローチャートである。例示的な方法では、血液試料は最初に工程200で得られる。次に、血液試料は、取外し可能なカートリッジ内の抗凝血性コーティングを施した毛管に供給される。血液試料は、次に、分割され、赤血球および血小板(RBC/P)測定チャネル204および白血球(WBC)測定チャネル206に供給される。
【0070】
RBC/P測定チャネル204では、赤血球は、212に示すように最初に球状化され、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のRBC/Pサイトメトリーチャネル214を下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの光源216は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネル214の分析領域を通過するときに、それらに光を照射する。場合によっては、VCSEL装置の列が提供され、また、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネル214の分析領域を通過するときにそれらと一直線に並んだ1つまたは複数のVCSELのみが作動される。VCSELによって提供される入射光のいくらかは散乱し、検出器218は散乱光を検出する。場合によっては、検出器218は、前角散乱光(FALS)および小角散乱光(SALS)の両方を検出する。
【0071】
場合によっては、レーザー源(または他のソース)は、細長い線状のソースとしてまたは2つの別個のスポットソースとしてのいずれかで、RBC/P細胞計チャネル214に集束される。RBC/P細胞計チャネル214内のRBCおよび血小板は、集束光を通過する。高品質の集光光学素子は、細胞の鮮明な像と、長手方向軸が好ましくはRBC/P細胞計チャネル214のフロー方向に直交するように構成された1つ、2つ、またはそれ以上の平行なスリットを含む半透明スクリーン上に集束された照光とを形成するために使用されてもよい。スリット間の距離は、例えば、RBC/P細胞計チャネル214内において予測される平均細胞分離のオーダーであってもよい。スリットを含む半透明スクリーンは、1つまたは複数の検出器218の前に置かれてもよい。細胞の像がスリットを通過すると、それが、スリットに入射する光を不明瞭にし、検出器218上の信号の減少を引き起こして、細胞直径に比例する幅のパルス波形を生成する。2つの離間したスリットが提供される場合、2つの波形により、細胞のフロー速度、すなわち細胞サイズの計算が可能になることがある。高い信号対雑音は、この技術を使用して得られてもよく、それによって、容易な事象の計数および複数の細胞事象の識別が可能になる。パルス幅および振幅によって、さらに、いくつかの細胞タイプの区別が可能になることがある。
【0072】
場合によっては、細胞および光源の両方の像は、検出器218の前に置かれた複スリットアパーチャ上で結像される。複スリットアパーチャは、細胞を計数するため、良好に画定された幾何学的なアパーチャおよび高い信号対雑音比を提供する。上述したように、スリットからの信号によって、細胞のフロー速度の正確な測定が可能になることがあり、それによって次に、細胞直径の計算が可能になることがある。
【0073】
いくつかの場合には、また220で示すように、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)持続時間、および試料希釈係数(DF)を含む多数のパラメータは、この分析中に測定されてもよい。1つまたは複数の検出器の出力、および/または対応する散乱特性をモニタすることにより、赤血球数(NRB)、血小板数(NPlt)、各細胞の直径(drbc)、および各細胞のヘモグロビン濃度が測定されてもよい。
【0074】
これらのパラメータから、また282で示すように、例えば、赤血球数(RBC=NRB/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbc3>)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH=(π/6)×<drbc3×CHC>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbc3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む多数の赤血球分析パラメータが計算されてもよい。
【0075】
例示的なWBC測定チャネル206では、赤血球は232で示すように最初に溶解され、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のWBCサイトメトリーチャネル234を下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの光源236は、個々の細胞がWBCサイトメトリーチャネル234の分析領域を通過するときに、それらに光を照射する。場合によっては、VCSEL装置の列が提供され、また、個々の細胞がWBCサイトメトリーチャネル234の分析領域を通過するときにそれらと一直線に並んだ1つまたは複数のVCSELのみが作動される。VCSELによって提供される入射光のいくらかは散乱し、検出器238は散乱光を検出する。場合によっては、検出器238は、前角散乱光(FALS)、小角散乱光(SALS)、および大角散乱光(LASL)を検出する。場合によっては、また240で示すように、例えば、軸上細胞容積、総WBC数、およびWBC5部分分化を含む多数のパラメータが、分析中に測定されてもよい。
【0076】
図7は、本発明による多数の赤血球パラメータを得る例示的な方法を示すフローチャートである。例示的な方法では、血液試料は工程260で得られる。次に、血液試料は、所望の希釈係数(DF)に希釈され、264で示すように球状化される。希釈され球状化された血球は、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のRBC/Pサイトメトリーチャネルを下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの光源216は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネルの分析領域を通過するときに、それらに光を照射する。1つまたは複数のVCSELによって提供される入射光のいくらかは散乱し、検出器は散乱光を検出するのに使用されてもよい。場合によっては、検出器は、各細胞に対して前角散乱光(FALS)および小角散乱光(SALS)の両方を検出する。プロセッサなどは、次に、各細胞に対して2つの別個の散乱パラメータ、すなわちSALSおよびFALSを、次のように、細胞直径パラメータおよび細胞ヘモグロビン濃度パラメータにマッピングする。
【0077】
{SSALSi,SFALSi}−>{drbci,CHCi}
270で示すように、SSALSiにSFALSiを加えた散乱の強度が予め決められた検出閾値よりも大きくなければ、制御は工程268に戻される。しかし、SSALSiにSFALSiを加えた散乱の強度が予め決められた検出閾値よりも大きい場合、制御は工程272に移される。工程272は、SSALSiとSFALSiの和が予め決められた血小板閾値より大きいか否かを判断する。SSALSiとSFALSiの和が予め決められた血小板閾値よりも大きくなければ、粒子「i」が血小板であると判断され、制御は工程274に移される。工程274は、計数された血小板数(NPlt)を1つずつ増分し、制御を工程268に戻す。
【0078】
SSALSiとSFALSiの和が予め決められた血小板閾値よりも大きい場合、細胞は赤血球であり、制御は工程276に移される。工程276は、計数された赤血球数(NRBC)を1つずつ増分し、制御を工程278に移す。工程278は、予め決められた測定時間に到達したか否かを判断する。到達していなければ、制御は工程268に戻される。
【0079】
工程278で測定時間に到達すると、制御は工程280に移される。工程280は、例えば、試料流量(FR),測定時間(T)持続時間、試料希釈係数(DF)、計数された赤血球数(NRBC)、計数された血小板数(NPlt),各細胞の直径(drbci)、および各細胞のヘモグロビン濃度(CHCi)を含む、多数の測定されたパラメータを示す。これらのパラメータから、また工程282で示すように、例えば、赤血球数(RBC=NRBC/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbci3>)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH=(π/6)×<drbci3×CHCi>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbci3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の血球分析パラメータが計算されてもよく、ここで、表記<Xi>はすべての細胞Xiにわたる平均細胞パラメータを意味する。
【0080】
図8は、本発明による血液試料を分析する別の例示的な方法を示す概略フローチャートである。この例示的な方法では、血液試料が得られ、工程300で示すように血液試料容器に供給される。次に、血液試料は、取外し可能なカートリッジ内の抗凝血性コーティングを施した毛管に供給され、希釈される。血液試料は、次に、分割され、赤血球および血小板(RBC/P)測定チャネル304および白血球(WBC)測定チャネル340に供給される。
【0081】
RBC/P測定チャネル304では、赤血球は、306に示すように最初に球状化され、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のRBC/Pサイトメトリーチャネル308を下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの第1の光源310および関連付けられた光学素子は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネル308の分析領域を通過するときに、それらに集束光を照射する。場合によっては、VCSEL装置の列が提供され、また、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネル308の分析領域を通過するときにそれらと一直線に並んだ1つまたは複数のVCSELのみが作動される。
【0082】
個々の細胞/粒子が集束された入射ビームを通過するときに、光のいくらかは遮断されるか、散乱されるか、または別の方法で妨害され、それを検出器(図示なし)によって検出することができる。2つ以上の光源が、RBC/Pサイトメトリーチャネル308に沿った異なる離間したスポットに集束される場合、各細胞の前縁および/または後縁を検出することができる。細胞が1つの集束されたスポットから次までの距離を横断するのにかかる時間を測定することによって、流量、およびすなわち細胞速度を決定することができる。決定された細胞速度によって、細胞がビームを遮断、散乱、または別の方法で妨害する時間の長さを、細胞のサイズおよび/または細胞体積と相関させることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、別の光源314および関連付けられた光学素子が、分析器によって提供されてもよい。光源314の関連付けられた光学素子は、光を平行にし、SALSおよびFALS散乱などの軸外散乱を測定してもよい。上述したように、SALSおよびFALS散乱は、例えば、計数された赤血球数(NRBC)316、計数された血小板数(NPlt)322、各細胞の直径(drbci)、細胞体積318、および各細胞のヘモグロビン濃度(CHCi)320を測定するのに使用することができる。これらのパラメータから、また上述したように、例えば、赤血球数(RBC=NRBC/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbci3>)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH=(π/6)×<drbci3×CHCi>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbci3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の血球分析パラメータが計算されてもよく、ここで、表記<Xi>はすべての細胞Xiにわたる平均細胞パラメータを意味する。
【0084】
例示的なWBC測定チャネル340では、赤血球は溶解され、342で示すように、必要に応じて染色剤が注入される。細胞は、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のWBCサイトメトリーチャネル344を下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの光源346は、個々の細胞がWBCサイトメトリーチャネル344の分析領域を通過するときに、それらに光を照射する。場合によっては、VCSEL装置の列が提供され、また、個々の細胞がWBCサイトメトリーチャネル344の分析領域を通過するときにそれらと一直線に並んだ1つまたは複数のVCSELのみが作動される。
【0085】
個々の細胞/粒子が集束された入射ビームを通過するときに、光のいくらかは遮断されるか、散乱されるか、または別の方法で妨害され、それを検出器(図示なし)によって検出することができる。2つ以上の光源が、WBCサイトメトリーチャネル344に沿った異なる離間したスポットに集束される場合、各細胞の前縁および/または後縁を検出することができる。細胞が1つの集束されたスポットから次までの距離を横断するのにかかる時間を測定することによって、流量、およびすなわち細胞速度を決定することができる。決定された細胞速度によって、細胞がビームを遮断、散乱、または別の方法で妨害する時間の長さを、細胞のサイズおよび/または細胞体積と相関させることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、光源350および関連付けられた光学素子および/または偏光子が提供されてもよい。光源350の関連付けられた光学素子は、光を平行にし、354で示すように、SALS、FALS、およびLALS散乱などの軸外散乱を測定してもよい。上述のように、SALS、FALS、およびLALS散乱は、例えば、計数された白血球数(NWBC)352を測定し、ならびに356で示すように白血球分化の助けとするのに使用することができる。場合によっては、1つまたは複数の偏光子が提供されて、光源によって提供される光を偏光し、また、検出器で検出される偏光消光/回転のレベルを使用して、白血球分化を実施する助けとしてもよいが、これはすべての実施形態において必須ではない。
【0087】
例示的な実施形態では、WBCサイトメトリーチャネル344を出る細胞はバルク吸収チャネル360に供給されてもよい。光源362は、吸収チャネル360内に存在する細胞上に光を照射してもよく、検出器364は、常在細胞によって吸収されない光を検出してもよい。吸収チャネル360は、したがって、常在細胞のバルク吸収レベルを測定するために使用されてもよい。吸収レベルは、例えば、血液試料中のバルクまたは平均細胞ヘモグロビン濃度の基準を提供してもよい。
【0088】
図9は、本発明による試料分析器を操作する例示的な方法を示す概略フローチャートである。例示的な実施形態では、350で示すように、血液分析カートリッジが使用され分析されてもよく、対照カートリッジが使用され分析されて、370で示すように、分析器の性能を検証するのを助けてもよく、かつ/または、校正カートリッジが使用され分析されて、380で示すように、分析器を校正するのを助けてもよい。血液分析カートリッジは、血液分析が実施されるごとに装填されてもよい。対照カートリッジは、1日1回など周期的に分析器に装填されて、分析器が正確な結果を生成していることを検証してもよい。校正カートリッジは、3か月に1回などのより低い頻度で分析器に装填されて、分析器を再校正してもよい。
【0089】
カートリッジはそれぞれ、対応する機能を実施するために必要な流体および/または構成要素をすべて含んでもよい。このように、分析器を操作および/または維持するのにほとんど訓練が要らず、依然として正確な結果を得られることがある。専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で信頼性高く使用することができる、取外し可能および/または使い捨てのカートリッジを備えた試料分析器を提供する能力は、試料分析プロセスを能率化し、医療関係者のコストおよび負担を低減し、比較的頻繁な血液モニタリング/分析を必要とする患者を含む多くの患者に対する試料分析の利便性を増大させるのに役立つことがある。
【0090】
350で示すように、血液分析カートリッジが使用される場合、352および354で示すように、血液試料が収集され、血液分析カートリッジに装填される。血液試料は、所望であれば毛管作用または手動ポンピングによって血液分析カートリッジに引き込まれてもよい。血液分析カートリッジは、次に、分析器機器に装填されてもよい。例示的な実施形態では、分析器は次に、356で示すように、血液分析カートリッジおよび分析器の対応する構成要素(例えば、光源/光検出器など)を自己整列させてもよい。次に、1つまたは複数のボタンが押されて、血液分析プロセスを開始してもよい。ボタンなどを押すのではなく、また場合によっては、単にカートリッジを分析器に装填する工程により、分析器に整列および血液分析工程を開始させてもよい。
【0091】
分析器が作動されると、分析器は多数の試験を実施してもよい。例えば、分析器は、血液分析カード上のバルブをすべて閉じて、カード上の様々な流体ポートに圧力を印加してもよい。分析器は、次に、カード上の1つまたは複数の流量センサを越えて流れる流量を測定してもよい。バルブがすべて閉まっているので、フローはゼロであるべきである。ただし、流量センサがゼロではない流量を示す場合、分析器は流量センサをゼロフローに再校正してもよい。これは、流量センサ測定の精度を増大させる助けとなってもよい。あるいは、またはそれに加えて、分析器は、例えば、血液試料の流量を(例えば流量センサを使用して)印加された圧力とともに測定することによって、また、印加された圧力に対して流量が低すぎる場合は、血液試料が凝固していると判断することによって、取外し可能なカートリッジ中の血液凝固を検査してもよい。血液凝固が検出された場合、分析器は、測定が失敗したことを示すメッセージを表示してもよい。
【0092】
分析器は、次に、血液分析カートリッジタイミングプロトコルを実施してもよい。血液分析カートリッジタイミングプロトコルは、本発明の譲受人に譲渡され、参考により本明細書に組み込まれた、米国特許出願10/932662に示され記載されたものに類似してもよい。特定の血液分析カートリッジタイミングプロトコルは、血液分析カートリッジの特定の設計によって決まってもよい。分析器は、さらに、血液分析カートリッジ上のいずれのサイトメトリーチャネル内にも安定したコアフローがあることを検証し、コアフローがあればその位置を特定してもよい。
【0093】
血液分析カートリッジは、次に、例えば、白血球測定に使用される血液試料の部分中の赤血球を溶解し、赤血球測定に使用される血液試料の部分中の赤血球を球状化し、血液分析カートリッジ上の任意のサイトメトリーチャネル内にコアフローを形成し、かつ/または他の望ましい機能を実施してもよい。分析器は、任意のサイトメトリーチャネルなどの血液分析カートリッジの選択された領域に光を提供し、選択された領域を通過する光を検出してもよい。
【0094】
これから、分析器は、白血球、赤血球、血小板などの試料中の粒子を計数し分類し、次に、ユーザに対して血液分析の結果を表示、印刷、音声として生成、または別の方法でそれを示してもよい。いくつかの実施形態では、分析器は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷するので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。最後に、血液分析カートリッジは分析器から除去され、廃棄されてもよい。
【0095】
370で示すように、対照運転が実施されるべきである場合、対照カートリッジが使用されてもよい。場合によっては、対照運転は、1日1回または週1回など、周期的に実施されてもよい。対照カートリッジは、既知の特性を有する対照試料を含んでもよい。したがって、対照試料に対して分析器による分析が実施されると、既知の結果が得られるべきである。例示的な方法では、372で示すように対照カートリッジは分析器に装填される。次に、374で示すように分析器が作動され、分析器は分析を実施し、376で示すような結果を表示する。いくつかの実施形態では、分析器は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷するので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。最後に、対照カートリッジは分析器から除去され、廃棄されてもよい。対照運転の結果が予め定義された範囲外である場合、校正運転380などの校正運転を実施するのが望ましいことがある。
【0096】
380で示すように、校正運転が実施されるべきである場合、校正カートリッジが使用されてもよい。場合によっては、校正運転は、月1回など周期的に、または必要に応じて実施されてもよい。校正カートリッジは、既知の特性を備えた校正試料を含んでもよい。したがって、校正試料に対して分析器による分析が実施されると、既知の結果が得られるべきである。例示的な方法では、382で示すように校正カートリッジは分析器に装填される。次に、384で示すように分析器が作動され、また多くの結果が得られる。校正運転中に得られた結果を予測される結果と比較することにより、分析器は、メモリ内の1つまたは複数の校正係数を自動的に調節して、分析器を再校正してもよいので、後続の運転中、386で示すように、分析器は予測されるまたは所望の結果を生成する。
【0097】
図10は、本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。例示的な方法は、400で全体が示され、工程402で開始される。制御は工程404に移され、そこで、血液試料は使い捨ての流体カートリッジに供給される。制御は次に工程406に移され、そこで、使い捨ての流体カートリッジは血液試料分析器に挿入される。制御は次に工程408に移される。工程408は、血液試料分析器を作動させ、工程410は、血液試料分析器のユーザからのさらなる何らかの相互作用なしに、血液試料分析器から血液分析結果を得る。制御は次に工程412に移され、そこで方法は終了する。
【0098】
図11は、本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。例示的な方法は、500で全体が示され、工程502で開始される。制御は工程504に移され、そこで、血液試料は使い捨ての流体カートリッジに供給される。制御は次に工程506に移され、そこで、使い捨ての流体カートリッジは血液試料分析器に挿入される。制御は次に工程508に移される。工程508は、血液試料分析器を作動させ、工程510は、血液試料分析器のユーザからのさらなる何らかの相互作用なしに、血液試料分析器から血液分析結果を得る。制御は次に工程512に移される。工程512は、血液分析結果が予め定義された範囲内にあるか否かを判断する。上述したように、またいくつかの実施形態では、分析器は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷するので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。制御は次に工程514に移され、そこで方法は終了する。
【0099】
図12は、本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。方法は、600で全体が示され、工程602で開始される。例示的な方法では、604で示すように、血液分析カートリッジが使用され分析されてもよく、対照カートリッジが使用され分析されて、620で示すように、分析器の性能を検証するのを助けてもよく、かつ/または、校正カートリッジが使用され分析されて、640で示すように、分析器を校正するのを助けてもよい。血液分析カートリッジは、血液分析が実施されるごとに装填されてもよい。対照カートリッジは、1日1回など周期的に分析器に装填されて、分析器が正確な結果を生成していることを検証してもよい。校正カートリッジは、3か月に1回などのより低い頻度で、または必要に応じて分析器に装填されて、分析器を再校正してもよい。
【0100】
各カートリッジタイプは、対応する機能を実行するために必要な流体および/または構成要素をすべて含んでもよい。このように、分析器を操作および/または維持するのにほとんど訓練が要らず、依然として正確な結果を得られることがある。専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で信頼性高く使用することができる、取外し可能および/または使い捨てのカートリッジを備えた試料分析器を提供する能力は、試料分析プロセスを能率化し、医療関係者のコストおよび負担を低減し、比較的頻繁な血液モニタリング/分析を必要とする患者を含む多くの患者に対する試料分析の利便性を増大させるのに役立つことがある。
【0101】
図12の例示的な方法では、血液分析カートリッジが使用される場合、制御は工程604に移される。工程606で、血液試料は使い捨ての流体カートリッジに供給される。制御は次に工程608に移され、そこで、使い捨ての流体カートリッジは血液試料分析器に挿入される。制御は次に工程610に移される。工程610は、血液試料分析器を作動させ、工程612は、血液試料分析器から血液分析結果を得る。
【0102】
対照カートリッジが使用されるべきである場合、制御は工程620に移される。工程620は制御を工程622に移し、そこで、対照カートリッジは血液試料分析器に挿入される。制御は次に工程624に移される。工程624は、血液試料分析器を作動させ、工程626は、対照流体カートリッジを使用して対照分析結果を得る。制御は次に工程628に移される。工程628は、対照分析結果が予測された対照範囲内にあるか否かを判断する。対照分析結果が予測された範囲内にない場合、血液分析カートリッジに対して得られた結果は信頼されるべきでない。場合によっては、校正カートリッジが運転されて、試料分析器を再校正し、次に別の対照カートリッジで試料分析器の操作/校正を検証してもよい。
【0103】
校正カートリッジが使用されるべきである場合、制御は工程640に移される。工程640は制御を工程642に移す。工程642は、血液試料分析器に校正カートリッジを挿入する。制御は次に工程644に移される。工程644は、血液試料分析器を作動させ、工程646は校正流体カートリッジを使用して校正分析結果を得る。制御は次に工程648に移される。校正分析結果に基づいて、工程648は必要に応じて分析器を調節する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明による例示的な試料分析器およびカートリッジの斜視図である。
【図2】図1の例示的な試料分析器およびカートリッジの概略図である。
【図3】図2の試料分析器およびカートリッジのフロー制御を示すより詳細な概略図である。
【図4】本発明による例示的なカートリッジの特定の特徴の概略図である。
【図5】本発明によるカートリッジに含むことができる多数の例示的な貯蔵容器の概略図である。
【図6】本発明による血液試料を分析する例示的な方法を示す概略フローチャートである。
【図7】本発明による多数の赤血球パラメータを得る例示的な方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明による血液試料を分析する別の例示的な方法を示す概略フローチャートである。
【図9】本発明による試料分析器を操作する例示的な方法を示す概略フローチャートである。
【図10】本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年5月14日出願の仮出願60/571235の優先権を主張し、これに基づき、かつこれを参考により本明細書に組み込む。
本発明は、一般に、試料分析器に関し、より具体的には、診察室、家庭、または当該分野における他の場所など、患者の治療現場で使用できる、試料分析器およびカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
粒子識別方法は、血液試料中の細胞の数および型の判定、体液試料中のバクテリアまたはウィルス粒子の検出、ならびに細胞体積および密度の検査など、様々な臨床検査において有用である。例えば尿試料中の、たんぱく質および検体などの非細胞性粒子の検出も、特定の臨床試験において有益である。懸濁液中の結晶および他の粒子の分析も、重要な工業的用途を有する。
【0003】
粒子懸濁液試料中の粒子の迅速かつ効率的な識別を可能にする1つの方法は、フローサイトメトリーである。この方法では、粒子の懸濁液、通常は血液試料中の細胞は、フローチャネルを通して運搬され、このフローチャネルにおいて、試料中の個々の粒子は、1つまたは複数の集束されたビームによって照光される。フローチャネルを流れる個々の粒子とビームとの相互作用は、1つまたは複数の光検知器によって検出される。一般に、検出器は、特定のビーム波長または発光波長での吸光または蛍光発光、および/または特定の散乱角での光散乱を測定するように設計されている。したがって、フローチャネルを通過する各粒子を、その吸光、蛍光、光散乱、または他の光学的もしくは電気的特性に関する1つまたは複数の特徴に関して特徴付けることができる。検出器によって測定される特性により、光強度または検出器で測定される他の特性を軸とする特徴空間の中に、各粒子をマッピングすることができるようになる。理想的には、試料中の異なる粒子は、特徴空間の別個かつ重なり合わない領域内にマッピングされ、それによって、特徴空間内のそのマッピングに基づいて各粒子を分析することが可能になる。そのような分析としては、粒子の計数、識別、定量(1つまたは複数の物理的特性に関して)、および/または分類を挙げることができる。
【0004】
光散乱測定の2つの一般的なタイプは、フローサイトメトリーにおいて定期的に行われる。前方散乱または小角散乱と通常呼ばれる、小角度(入射ビームに対して約1.5〜13°)で行われる光強度測定は、細胞のサイズに関する情報を提供する。前方散乱は、細胞と細胞外媒質の間の屈折の違いに大きく依存するので、例えば細胞膜が損傷した細胞を識別することができる。直角散乱または大角散乱と通常呼ばれる、入射光から約65°〜115°の角度で行われる光強度測定は、粒子のサイズおよび構造度に関する情報を提供することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異なる角度で、または吸光もしくは蛍光測定と組み合わせて、同時に光散乱測定を行うことが、フローサイトメトリー方法において提案されてきた。例えば、フローサイトメトリーにおいて、光散乱と組み合わせて吸光を使用して、赤血球と血小板とを、ならびにリンパ球、単球、好塩基性顆粒球、好酸性顆粒球、および好中性顆粒球を識別することができる。しかし、この方法は、細胞の染色を必要とする場合があり、したがって比較的複雑であり、また、細胞の分類後にさらなる研究のために細胞を使用することが不可能なことがある。
【0006】
円偏光二色性(CD)および旋光分散(ORD)と組み合わせた光散乱測定もまた、ウィルス粒子または細胞の懸濁液中の粒子識別に対する可能性を有する。ウィルス粒子中のDNAのCDスペクトルおよびORDスペクトル上に対するミー(等方性粒子)散乱の影響に関する研究は、散乱測定を使用して、ウィルス粒子および細胞などのより大きな生物学的構造におけるORDおよびCD測定値を修正することができ、それによって、特徴的なORDおよびCD特性に基づいた粒子識別が可能になることを示唆している。多数の異なる微生物の識別のための、右円偏光および左円偏光の微分散乱もまた実証されてきた。円形強度微分散乱(CIDS)方法は、左円偏光および右円偏光の差分吸収を活用するCDに類似しているが、DNAなどの螺旋構造による右円偏光および左円偏光の微分散乱を利用する。
【0007】
通常、このような粒子識別方法は、本明細書では集合的に試料分析器と呼ばれる1つまたは複数の機器を少なくとも部分的に使用して実現される。多くの試料分析器は、訓練された作業者によって実験室環境で使用される、比較的大型の装置である。多くの試料分析器を使用するため、調製された試料を試料分析器に供給する前に、試料を所望のレベルまで希釈する、適切な試薬を添加する、試料を遠心分離して所望の分離を得るなどにより、収集した試料をまず処理しなければならない。正確な結果を得るため、そのような試料の処理は、通常、訓練された作業者によって実施されなければならず、それが、試料分析を実施するのに必要なコストと時間を増加させる場合がある。
【0008】
多くの試料分析器は、さらに、追加情報の入力または試料のさらなる処理を必要とするなど、分析フェーズの間に操作者の介入を必要とする。これは、所望の試料分析を実施するのに必要なコストと時間をさらに増加させる場合がある。さらに、多くの試料分析器は、単に生の分析データを出力として提供し、適切な臨床判断を下すため、訓練された作業者によるさらなる計算および/または解釈を実施しなければならないことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一般に、試料分析器に関し、より具体的には、診察室、家庭、および当該分野における他の場所など、患者の治療現場で使用するための、取外し可能および/または使い捨てのカートリッジを備えた試料分析器に関する。取外し可能および/または使い捨てのカートリッジに、必要な試薬および/または流体をすべて供給することによって、専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で試料分析器を信頼性高く使用することができる。これは、例えば、試料分析プロセスを能率化し、医療関係者または他の作業者のコストおよび負担を低減し、比較的頻繁な血液モニタリング/分析を必要とする患者を含む多くの患者に対する試料分析の利便性を増大させるのに役立つことがある。
【0010】
本発明の例示的な一実施形態では、収集された全血試料などの収集された試料を収容する取外し可能なカートリッジを有する試料分析器が提供され、また、取外し可能なカートリッジが取り付けられ、分析器が起動されると、分析器およびカートリッジは自動的に試料を処理し、分析器はユーザが臨床判断を下すのに十分な情報を提供する。いくつかの実施形態では、分析器は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷するので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。
【0011】
試料分析器は、例えば、血液試料中の細胞の数および/または型を判定し、流体、食物、または他の試料中のバクテリア粒子またはウィルス粒子を検出し、かつ/または試料中の細胞体積および密度を検査するのに使用することができる。試料分析器はまた、尿試料中の尿酸結晶などの非細胞性粒子、ならびに流体懸濁液中の結晶および他の粒子の検出、および/または所望によって他の任意の適切なタイプの分析にも使用することができる。
【0012】
例示的な一実施形態では、分析器は、ハウジングおよび取外し可能な流体カートリッジを含み、ハウジングは取外し可能な流体カートリッジを収容するように適合される。場合によっては、取外し可能な流体カートリッジは使い捨てカートリッジである。例示的な一実施形態では、取外し可能な流体カートリッジは、1つまたは複数の試薬(例えば、溶解試薬、球状化試薬、希釈剤など)、1つまたは複数の分析チャネル、1つまたは複数の流量センサ、1つまたは複数のバルブ、および/または、試料を処理(例えば、溶解、球状化、希釈、混合など)し、処理された試料をカートリッジ上の適切な分析チャネルに送達するように適合された流体回路を含んでもよい。カードを支援するため、ハウジングは、例えば、圧力源、1つまたは複数の光源、1つまたは複数の光検出器、プロセッサ、および電源を含んでもよい。圧力源は、取外し可能な流体カートリッジのポートに適切な圧力を提供して、流体回路を介して流体を必要に応じて推進してもよい。分析器の1つまたは複数の光源は、取外し可能なカートリッジの少なくとも選択された分析チャネル内の調製された試料を調査するために使用されてもよく、また、分析器の1つまたは複数の光検出器は、通過する光が、試料によって吸収および/または散乱されることを検出してもよい。プロセッサは、光源および検出器の少なくともいくつかに結合されてもよく、また試料の1つまたは複数のパラメータを判定してもよい。いくつかの実施形態では、取外し可能な流体のカートリッジ上の1つまたは複数の分析チャネルは、1つもしくは複数のフローサイトメトリーチャネルおよび/または1つもしくは複数の吸収チャネルを含んでもよいが、これはすべての実施形態に必須のものではない。
【0013】
いくつかの例示的な実施形態では、全血試料は取外し可能な流体カートリッジに供給されてもよく、また、取外し可能なカートリッジは完全血球算定(CBC)分析などの血液分析を実施するように適合されてもよい。例えば全血試料中の赤血球を計数し分類するため、全血試料の一部が分割され、取外し可能なカートリッジ内の赤血球測定チャネルに供給されてもよい。所望であれば、赤血球測定チャネルに供給される血液試料の部分は希釈されてもよく、赤血球はオンザフライで球状化されてもよく、結果として得られる試料は、コア形成のために流体力学的に集束され、最終的に取外し可能なカートリッジ内の第1のサイトメトリーチャネルに供給されてもよい。
【0014】
場合によっては、第1のサイトメトリーチャネルは、取外し可能なカートリッジ内の第1の透明なフローストリーム窓に沿ってまたはその下に位置してもよく、それにより、フローストリーム中の細胞/血小板が、第1の光源および第1の光検出器によって光学的に調査されてもよい。第1のサイトメトリーチャネルを通る流量の基準を提供するため、流量センサも取外し可能なカートリッジ上に提供されてもよい。
【0015】
場合によっては、測定されたパラメータは、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)持続時間、試料希釈係数(DF)、計数された赤血球数(NRB)、計数された血小板数(NPlt)、各細胞の直径(drbc)、および各細胞のヘモグロビン濃度(CHC)を含んでもよい。これらのパラメータから、例えば、赤血球数(RBC)、血小板数(Plt)、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC)、平均細胞体積(MCV)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH)、相対分布幅(RDW)、ヘマトクリットパラメータ(Hct)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb)など、多数の赤血球分析パラメータが計算されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、血液試料のいくらかはまた、取外し可能なカートリッジ上の吸収測定チャネルに向けられてもよい。吸収測定チャネルは、血液試料を対応する光源および光検出器によって光学的に調査することができるように、透明窓に沿って位置してもよい。所望であれば、取外し可能なカートリッジ上に別の流量センサが提供されて、吸収測定チャネル内への、またはそこを通る流量の基準を提供してもよいが、これは必須ではない。吸収チャネルは、入射光の吸収レベルを測定するのに使用されてもよい。吸収レベルは、例えば、血液試料中の平均またはバルク細胞ヘモグロビン濃度の基準を提供してもよい。
【0017】
白血球を計数し分類するため、全血試料の一部が分割され、取外し可能なカートリッジ内の白血球測定チャネルに供給されてもよい。所望であれば、白血球測定チャネルに供給される血液試料は、例えば希釈されてもよく、赤血球は、オンザフライで溶解されてもよく、結果として得られる試料は、コア生成のために流体力学的に集束され、最終的に第2のサイトメトリーチャネルに供給されてもよい。第2のサイトメトリーチャネルもまた、取外し可能なカートリッジの透明なフローストリーム窓に沿ってまたはその下に位置してもよく、それにより、フローストリーム中の細胞を、対応する光源および検出器によって光学的に調査することができる。場合によっては、第2のサイトメトリーチャネルを通る流量の基準を提供するため、流量センサを取外し可能なカートリッジ上に提供してもよい。
【0018】
場合によっては、白血球測定チャネルの例示的な測定されたパラメータは、例えば、3または5部分白血球分化、総白血球数、および/または軸上白血球体積を含んでもよい。所望の用途に応じて、他のパラメータも測定または計算されてもよい。場合によっては、試料を第2のサイトメトリーチャネルに供給する前に、染色剤および/または蛍光タグが試料に添加されてもよく、これは、場合によっては細胞分化の助けとなってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明による例示的な試料分析器およびカートリッジの斜視図である。例示的な試料分析器は、全体が10で示され、ハウジング12および取外し可能もしくは使い捨てのカートリッジ14を含む。例示的なハウジング12は、基部16、カバー18、および基部16をカバー18に取り付けるヒンジ20を含むが、これは必須ではない。例示的な実施形態では、基部16は、第1の光源22a、第2の光源22b、および第3の光源22cとともに、関連する光学素子および試料分析器の動作に必要なエレクトロニクスを含む。各光源は、用途に応じて単一の光源または複数の光源であってもよい。場合によっては、ハウジング全体の寸法は、要望に応じて、0.028cm3(1立方フィート)未満、0.014m3(2分の1立方フィート)未満、0.007m3(4分の1フィート)未満、またはそれより小さくてもよい。同様に、ハウジングの全重量は、要望に応じて、4.54kg(10ポンド)未満、2.27kg(5ポンド)未満、0.45kg(1ポンド)未満、またはそれより少なくてもよい。
【0020】
例示的なカバー12は、関連する光学素子およびエレクトロニクスをそれぞれ備えた、圧力源(例えば、制御マイクロバルブを備えた圧力チャンバ)、第1の光検出器24a、第2の光検出器22b、および第3光検出器22cを含む。各光検出器もまた、用途に応じて単一の光検出器または複数の光検出器であってもよい。所望であれば、用途に応じて偏光子および/またはフィルタも提供されてもよい。
【0021】
例示的な取外し可能なカートリッジ14は、例示的な実施形態ではランセット32を含む試料収集ポートを介して、試料流体を収容するように適合される。ランセット32は格納式であっても、かつ/またはいくつかの実施形態ではばね荷重式であってもよい。キャップ38は、取外し可能なカートリッジ14が使用されていないときに、試料収集ポートおよび/またはランセット32を保護するために使用されてもよい。
【0022】
例示的な実施形態では、取外し可能なカートリッジ14は、全血試料に対する血液分析を実施する。ランセット32は、ユーザの指を刺して血液の試料を作るのに使用されてもよく、血液の試料は、毛管作用によって取外し可能なカートリッジ14内の抗凝血性コーティングを施した毛管に引き込まれてもよい。取外し可能なカートリッジ14は、エッチングされたチャネルを備えた層状組織を使用して作製されるものもある、Micronics Technologiesから入手可能な流体回路に類似して構築されてもよい。しかし、取外し可能なカートリッジ14は、射出成形、または必要であれば他の適切な製造プロセスもしくは方法によるなど、任意の適切な方法で構築されてもよいことが考えられる。
【0023】
使用中、および血液試料が取外し可能なカートリッジ14に引き込まれた後、取外し可能なカートリッジ14は、カバー18が開位置にあるときにハウジングに挿入されてもよい。場合によっては、取外し可能なカートリッジ14は、基部16にある位置合わせピン28aおよび28bを受け入れる穴26aおよび26bを含んでもよく、これは、機器の異なる部品間の整列および結合の助けとなってもよい。取外し可能なカートリッジ14はさらに、第1の透明なフローストリーム窓30a、第2の透明なフローストリーム窓30b、および第3の透明窓30cを含んでもよく、これらは、第1、第2、および第3の光源22a、22b、および22c、ならびに第1、第2、および第3の光検出器24a、24b、および24cそれぞれと位置が揃う。
【0024】
カバーが閉位置に移動され、システムが加圧されると、例示的な取外し可能なカートリッジ14では、カバー18は、圧力提供ポート36a、36b、36c、および36dを介して、制御された圧力を圧力受取りポート34a、34b、34c、および34cにそれぞれ提供してもよい。用途に応じて、より多いまたはより少ない圧力提供ポートおよび圧力受取りポートが使用されてもよいことが考えられる。あるいは、またはそれに加えて、静電作動式のメソポンプなどの1つまたは複数のマイクロポンプを、取外し可能なカートリッジ14上またはその中に提供して、取外し可能なカートリッジ14の流体回路を動作させるのに必要な圧力を提供してもよいことが考えられる。いくつかの例示的な静電作動式のメソポンプは、例えば、すべて本発明の譲受人に譲渡された、米国特許第5836750号、第6106245号、第6179586号、第6729856号、および第6767190号に記載されており、それらすべてを参考により本明細書に組み込む。
【0025】
加圧されると、例示的な機器は、収集した血液試料に対して血液分析を実施してもよい。場合によっては、血液分析は、完全血球算定(CBC)分析を含んでもよいが、用途に応じて他のタイプの分析を実施することができる。
【0026】
赤血球を計数し分類するため、全血試料の一部が分割され、取外し可能なカートリッジ14内の赤血球測定チャネルに供給されてもよい。所望であれば、血液試料は次に希釈されてもよく、赤血球はオンザフライで球状化されてもよく、結果として得られる試料は、コア形成のために流体力学的に集束され、最終的に第1のサイトメトリーチャネルに供給されてもよい。第1のサイトメトリーチャネルは、取外し可能なカートリッジ14の第1の透明なフローストリーム窓30aに沿って位置してもよく、それにより、フローストリーム中の細胞を、第1の光源22aおよび第1の光検出器24aによって光学的に調査することができる。場合によっては、第1のサイトメトリーチャネルを通る流量の基準を提供するため、第1の流量センサが取外し可能なカートリッジ14上に提供されてもよい。
【0027】
場合によっては、測定されたパラメータは、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)持続時間、試料希釈係数(DF)、計数された赤血球数(NRB)、計数された血小板数(NPlt)、各細胞の直径(drbc)、および各細胞のヘモグロビン濃度(CHC)を含んでもよい。これらのパラメータから、例えば、赤血球数(RBC=NRB/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbc3>)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH=(π/6)×<drbc3×CHC>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbc3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)など、多数の赤血球分析パラメータが計算されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、血液試料のいくらかはまた、吸収測定チャネルに向けられてもよい。吸収測定チャネルは、取外し可能なカートリッジ14の第3の透明窓30cに沿って位置してもよく、それにより、血液試料を、第3の光源22cおよび第3の光検出器24cによって光学的に調査することができる。吸収測定チャネル内への、またはそこを通る流量の基準を提供するため、流量センサが取外し可能なカートリッジ14上に提供されてもよい。吸収測定チャネルは、第3の光源22cによって提供される入射光の吸収の基準を提供してもよい。測定された吸収レベルは、血液試料中のバルクまたは平均細胞ヘモグロビン濃度の指標を提供してもよい。
【0029】
白血球を計数し分類するため、全血試料の一部が分割され、取外し可能なカートリッジ14内の白血球測定チャネルに供給されてもよい。所望であれば、血液試料は次に希釈されてもよく、赤血球はオンザフライで溶解されてもよく、結果として得られる試料は、コア形成のために流体力学的に集束され、最終的に第2のサイトメトリーチャネルに供給されてもよい。第2のサイトメトリーチャネルは、取外し可能なカートリッジ14の第2の透明なフローストリーム窓30bに沿って位置してもよく、それにより、フローストリーム中の細胞を、第2の光源22bおよび第2の光検出器24bによって光学的に調査することができる。第2のサイトメトリーチャネルを通る流量の基準を提供するため、流量センサが取外し可能なカートリッジ14上に提供されてもよい。場合によっては、測定された白血球パラメータは、例えば、3または5部分白血球分化、総白血球数、および/または軸上白血球体積を含んでもよい。用途に応じて、他のパラメータも測定または計算されてもよい。
【0030】
図1は、1つの例示的な試料分析器およびカートリッジのアセンブリを示す。しかし、他の試料分析器構成が使用されてもよいことが考えられる。例えば、試料分析器10および取外し可能なカートリッジは、参考により本明細書に組み込まれる、Schwichtenbergらの米国特許出願2004/0211077に記載されているものに類似してもよい。
【0031】
場合によっては、試料分析器10は、診察室、家庭、または当該分野における他の場所など、患者の治療現場で使用されるように適合される。専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で信頼性高く使用することができる試料分析器10を提供する能力は、試料分析プロセスを能率化し、医療関係者のコストおよび負担を低減し、比較的頻繁な血液モニタリング/分析を必要とする患者を含む多くの患者に対する試料分析の利便性を増大させるのに役立つことがある。
【0032】
動作中、試料分析器10は、収集された全血試料などの収集された試料を収容してもよく、また、分析器が起動されると、試料分析器10は自動的に試料を処理し、ユーザが臨床判断を下すための情報を提供する。いくつかの実施形態では、試料分析器10は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷してもよいので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。
【0033】
図2は、図1の例示的な試料分析器およびカートリッジの概略図である。詳細に上述したように、また例示的な実施形態では、基部16は、多数の光源22、関連する光学素子、および分析器の動作に必要な制御および処理エレクトロニクス40を含んでもよい。基部16はさらに、バッテリー42、変圧器、または他の電源も含んでもよい。カバー12は、圧力源/フロー制御ブロック44、および関連する光学素子を備えた多数の光検出器24を有することが示される。
【0034】
取外し可能なカートリッジ14は、試料収集ポートまたはランセット32を介して試料流体を受け入れてもよい。圧力源/フロー制御ブロック44によって加圧されると、取外し可能なカートリッジ14は、受け入れた血液試料の血液分析を実施してもよい。いくつかの実施形態では、また上述したように、取外し可能なカートリッジ14は、多数の試薬49、および試薬を血液試料と混合して分析のために血液試料を調製する流体回路を含んでもよい。さらに、取外し可能なカートリッジ14は、流体回路の適切な動作を制御および/または確認する助けとなる多数の流量センサを含んでもよい。
【0035】
場合によっては、血液試料は、調製され(例えば、溶解され、球状化され、染色され、希釈され、かつ/または別の方法で処理され)、次に、サイトメトリーチャネル50などの1つまたは複数の搭載型サイトメトリーチャネルにおけるコア化成のために流体力学的に集束される。例示的な実施形態では、サイトメトリーチャネル50は、取外し可能なカートリッジ14内の第1の透明なフローストリーム窓30aなどの、透明なフローストリーム窓を越えて経路が決められる。基部16内の複数の光源22および関連する光学素子のアレイは、フローストリーム窓30aを介してコアストリームを通して光を提供してもよい。複数の光検出器24および関連する光学素子のアレイは、やはりフローストリーム窓30aを介してコアからの拡散光および非拡散光を受けてもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、検出器24のアレイからの出力信号を受けてもよく、また、コアストリーム中に存在する選択された細胞を分化および/または計数してもよい。
【0036】
取外し可能なカートリッジ14は、取外し可能なカートリッジ14上の流体の少なくとも一部の速度を制御するのを助ける流体制御ブロック48を含んでもよいことが考えられる。例示的な実施形態では、流体制御ブロック48は、様々な流体の速度を感知する流量センサを含んでもよく、またコントローラまたはプロセッサ40に速度を報告してもよい。その後、コントローラまたはプロセッサ40は、圧力源/フロー制御ブロック44に提供される1つまたは複数の制御信号を調節して、分析器の適切な動作のための所望の圧力、したがって所望の流体速度を達成してもよい。
【0037】
血液および他の生物学的排出物は疾病を拡散させる恐れがあるので、取外し可能なカートリッジ14は、例示的なサイトメトリーチャネル50の下流に排出物容器52を含んでもよい。排出物容器52は、取外し可能なカートリッジ14内のフローストリームの流体を収容し貯蔵してもよい。試験が完了すると、取外し可能なカートリッジ14は分析器から取り外され、好ましくは生物学的排出物と適合性を有する容器に廃棄されてもよい。
【0038】
図3は、図2の試料分析器およびカートリッジのフロー制御を示すより詳細な概略図である。例示的な実施形態では、カバー18内の圧力源/フローコントローラ44は、試料推進(P)圧力36a、溶解(L)圧力36b、球状化(SP)圧力36c、シース(SH)圧力36d、および希釈剤(D)圧力36eを含む5つの制御圧力を提供する。これらは単に例示的なものであり、用途に応じて、より多い、より少ない、または異なる圧力(例えば、染色剤容器への染色圧力)が、圧力源/フローコントローラ44によって提供されてもよい。さらに、カバー18は、圧力源/フローコントローラ44をまったく含まなくてもよいことが考えられる。代わりに、取外し可能なカートリッジ14は、圧縮空気容器、上述したような静電作動式のメソポンプなどの1つまたは複数のマイクロポンプ、または要望に応じて他の任意の適切な圧力源などの、搭載型圧力源を含んでもよい。光源および検出器のアレイは図3には示されない。
【0039】
例示的な実施形態では、圧力源36aはプッシャ流体65を介して血液試料容器62に圧力を提供し、圧力源36bは溶解容器64に圧力を提供し、圧力源36cは球状化容器66に圧力を提供し、圧力源36dはシース容器68に圧力を提供し、圧力源36eは希釈剤容器70に圧力を提供する。
【0040】
例示的な一実施形態では、圧力源はそれぞれ、入力圧力を受ける第1の圧力チャンバ、および取外し可能なカートリッジに制御圧力を提供する第2の圧力チャンバを含んでもよい。第1のバルブが、第1の圧力チャンバと第2の圧力チャンバの間に設けられて、第1の圧力チャンバ内の圧力を第2の圧力チャンバに可変に解放してもよい。第2の圧力チャンバと流体連通している第2のバルブは、第2の圧力チャンバ内の圧力を環境に制御可能に放出してもよい。これにより、圧力源/フローコントローラ44が、取外し可能なカートリッジ14上の圧力受取りポートそれぞれに制御圧力を提供することを可能にしてもよい。例えば、参考により本明細書に組み込まれる、「ADDRESSABLE VALVE ARRAYS FOR PROPORTIONAL PRESSURE OR FLOW CONTROL」という名称の同時係属中の米国特許出願09/404560に記載されるように、各バルブは、個別に取扱い可能かつ制御可能な静電作動式のマイクロバルブのアレイであってもよい。あるいは、各バルブは、制御可能なデューティサイクルでパルス変調されて、制御された「有効な」フローまたは漏れ速度を達成する、静電作動式のマイクロバルブのアレイであってもよい。所望であれば、他のバルブも使用されてもよい。
【0041】
例示的な取外し可能なカートリッジ14は、圧力源/フローコントローラ44から対応する制御圧力をそれぞれ受け取る、5つの圧力受取りポート34a、34b、34c、34d、および34eを含む。例示的な実施形態では、圧力受取りポート34a、34b、34c、34dおよび34eはそれぞれ、制御圧力を、血液容器62、溶解容器64、球状化容器66、シース容器68、および希釈剤容器70に向ける。溶解容器64、球状化容器66、シース容器68、および希釈剤容器70は、取外し可能なカートリッジ14が使用のために輸送される前に、充填されてもよく、血液容器62は、試料収集ポートまたはランセット32を介して現場で充填されてもよい。
【0042】
図に示すように、流量センサは各流体または選択された流体と直列で提供されてもよい。流量センサ80a〜80eはそれぞれ、対応する流体の速度を測定してもよい。流量センサ80a〜80eは、好ましくは熱式風速計タイプの流量センサであり、より好ましくはマイクロブリッジタイプの流量センサである。マイクロブリッジ流量センサは、例えば、米国特許第4478076号、米国特許第4478077号、米国特許第4501144号、米国特許第4651564号、米国特許第4683159号、および米国特許第5050429号に記載されており、これらをすべて参考により本明細書に組み込む。各流量センサ80a〜80eからの出力信号は、コントローラまたはプロセッサ40に提供されてもよい。図に示すように、コントローラまたはプロセッサ40は、圧力源/コントローラ44に制御信号を提供してもよい。例えば、血液試料に提供される圧力を制御するため、コントローラまたはプロセッサ40は、血液試料の速度が第1の所定値よりも下に低下すると、第1の圧力チャンバ内の圧力を第2の圧力チャンバに可変に放出するために、圧力源/コントローラ44内の第1の圧力チャンバと第2の圧力チャンバの間の第1のバルブを開いてもよい。同様に、コントローラまたはプロセッサ40は、血液試料の速度が第2の所定値よりも上に上昇すると、第2のバルブを開いて第2の圧力チャンバ内の圧力を放出してもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、同様のやり方で、溶解試薬、球状化試薬、シース流体、および希釈剤を制御してもよい。
【0043】
場合によっては、コントローラまたはプロセッサ40が、フローチャネルを通過する流量の1つまたは複数の変化を検出してもよい。流量の変化は、例えば、フローチャネル内の1つもしくは複数の泡、例えば血液試料の凝結によって生じるフローチャネルの閉塞もしくは部分的な閉塞、フローチャネル内の望ましくない物体もしくは異物、および/またはフローチャネルの好ましくない特性に対応する場合がある。コントローラまたはプロセッサ40は、流量からのそのような特性を検出し、場合によっては、警告を出す、かつ/または試料分析器を停止するようにプログラムされてもよい。
【0044】
熱式風速計タイプの流量センサは、通常、通電されると流体中に1つまたは複数の熱パルスを生成する加熱要素を含み、また、加熱要素の上流および/または下流に配置された、1つまたは複数の熱パルスを検出する1つまたは複数の熱センサをさらに含む。フローチャネルを通る流体の速度は、加熱要素から、間隔を空けられた熱センサの1つまで熱パルスが移動するのにかかる時間と関連する場合がある。
【0045】
場合によっては、熱式風速計タイプの流量センサは、流体の熱伝導率および/または比熱を検出するのに使用されてもよい。流体の熱伝導率および/または比熱の変化は、流体の状態変化(血液試料の凝結)、流体中の泡、流体中の望ましくない物体または異物などの、流体の特性の変化に対応する場合がある。したがって、またいくつかの実施形態では、コントローラまたはプロセッサ40は、熱式風速計タイプの流量センサを通過する流体の熱伝導率および/または比熱をモニタすることにより、流体の特性を検出してもよいことが考えられる。
【0046】
場合によっては、インピーダンスセンサがフローチャネルと流体連通して設けられてもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、インピーダンスセンサに連結されてもよい。流体のインピーダンスの変化は、流体の状態変化(血液試料の凝結)、流体中の泡、流体中の望ましくない物体または異物などの、流体の特性の変化を示してもよい。したがって、またいくつかの実施形態では、コントローラまたはプロセッサ40は、インピーダンスセンサを通過する流体のインピーダンスをモニタすることにより、液体の特性を検出してもよいことが考えられる。
【0047】
110で全体が示される下流のバルブも提供されてもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、要望に応じて下流のバルブ110を開閉してもよい。例えば、下流のバルブ110は、システムが十分に加圧されるまで閉じたままであってもよい。これは、システムが十分に加圧される前に、血液、溶解試薬、球状化試薬、シース流体、および希釈剤が流体回路86に流れ込むことを防ぐ助けとなり得る。さらに、下流のバルブ110は、ゼロフロー試験などの特定の試験の実施を助けるように制御されてもよい。別の実施形態では、下流のバルブ110は、例えば、カバーが閉じているとき、機械的動作によって開かれてもよい。
【0048】
図4は、本発明による例示的な取外し可能なカートリッジの特定の特徴の概略図である。例示的な取外し可能なカートリッジは、全体が100で示され、図1〜3を参照して示し上述した取外し可能なカートリッジ14に類似してもよい。取外し可能なカートリッジ100は単に例示的なものであり、本発明は、形態、機能、または構成に関わらず、多くのマイクロ流体カートリッジに適用できることが理解されるべきである。例えば、本発明は、フローサイトメトリー、血液学、臨床化学、血液化学分析、尿検査、血液ガス分析、ウィルス分析、バクテリア分析、電解質測定などに適合された取外し可能なカートリッジに適用されてもよい。取外し可能なカートリッジ100などの本発明の取外し可能なカートリッジは、例えば、ガラス、シリコン、1つまたは複数の重合体、または他の適切な材料もしくは材料システム、または材料もしくは材料システムの組合せなど、任意の適切な材料または材料システムから作られてもよいことも考えられる。
【0049】
例示的な取外し可能なカートリッジ100は、第1の測定チャネル102および第2の測定チャネル104を含むが、要望に応じて、より多いまたはより少ない測定チャネルが使用されてもよい。第1の測定チャネル102は、例示的な実施形態では赤血球測定チャネルであり、第2の測定チャネル104は、白血球測定チャネルである。全血試料は、血液受取りポート106を介して取外し可能なカートリッジ100に収容され、それが、毛管作用によって血液の既知量を抗凝血性コーティングを施した血液試料貯蔵毛管108に引き込む。図3の試料推進(P)圧力36aなどの試料推進(P)圧力は、図3の試料推進流体容器65などの試料推進流体容器に提供される。圧力が印加されると、試料推進流体は、試料推進流体容器から血液試料推進チャネル110へ押し込まれる。
【0050】
いくつかの例示的な実施形態では、バルブ112および流量センサ114は、血液試料推進チャネル110と直列で提供されてもよい。バルブ112は、流体回路を通して血液試料を押しやることが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ114は、血液試料推進流体の流量、およびすなわち抗凝血性コーティングを施した毛管108を通る血液試料の流量を測定してもよい。流量センサ114によって提供される流量は、取外し可能なカートリッジ100に提供される試料推進(P)圧力を制御するのを助けるために使用されてもよい。
【0051】
例示的な実施形態では、全血試料は分割され、分枝116を介して赤血球測定チャネル102および白血球測定チャネル104に供給される。例示的な実施形態では、バルブ118が分枝と直列で提供されて、赤血球測定チャネル102内への血液試料のフローを制御し、バルブ120が提供されて、白血球測定チャネル104内への血液試料フローを制御する。
【0052】
特に赤血球測定チャネル102を参照すると、図3の球状化圧力(SP)36cなどの赤血球球状化試薬圧力(SP)は、図3の球状化容器66などの球状化試薬容器に提供される。圧力が印加されると、球状化容器66内の球状化試薬は球状化試薬チャネル124へ押し込まれる。
【0053】
いくつかの例示的な実施形態では、バルブ126および流量センサ128も、球状化試薬チャネル124と直列で提供されてもよい。バルブ126は、流体回路に球状化試薬を押し込むことが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ128は、球状化試薬の流量を測定し、球状化試薬チャネル124を通る球状化試薬の流量の基準を提供してもよい。流量センサ128によって提供される流量は、圧力源/コントローラ44によって取外し可能なカートリッジ100に提供される球状化圧力(SP)を制御するのを助けるために使用されてもよい。
【0054】
例示的な取外し可能なカートリッジ100の正常な機能的動作の間、球状化試薬は、球状化試薬の流量で交差領域130に押し込まれ、血液試料は、血液試料の流量で交差領域130に押し込まれる。血液試料の流量および球状化試薬の流量は、図3の圧力源/コントローラ44によって制御されてもよい。
【0055】
交差領域130は、両方の流体が交差領域130を貫流しているときに球状化試薬が血液試料の周囲を流れるように形成されてもよい。場合によっては、球状化試薬の流量は血液試料の流量よりも高くてもよく、それが、下流のオンザフライ球状化チャネル132におけるフロー特性の改善を助け、また場合によっては、球状化試薬で完全かつ均一に取り囲まれた血液の薄い帯を形成する助けとなってもよい。そのような帯状のフローは、赤血球がオンザフライ球状化チャネル132を通ると、球状化試薬が赤血球を均一に球状化する助けとなってもよい。さらに、オンザフライ球状化チャネル132の長さは、球状化試薬および血液試料の流量とともに、血液試料が適正な量の時間、球状化試薬に晒されるように設定されてもよい。
【0056】
図3のシース(SH)圧力36dなどのシース流体(SH)圧力は、図3のシース流体容器68などのシース流体容器に提供されてもよい。圧力が印加されると、シース流体は、シース流体容器68からシースチャネル134へ押し込まれる。いくつかの例示的な実施形態では、バルブ136および流量センサ138は、シースチャネル134と直列で提供されてもよい。バルブ136は、シース流体を流体回路に押し込むことが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ138は、シース流体の流量を測定し、シースチャネル134を通るシース流量の基準を提供してもよい。流量センサ138によって提供される流量は、取外し可能なカートリッジ100に提供されるシース圧力(SH)を制御するのを助けるために使用されてもよい。
【0057】
例示的な実施形態では、シース流体は、シース流体の流量で交差領域140に供給され、また、球状化された血液試料は、球状化された血液試料の流量で交差領域140に供給される。球状化された血液試料の流量およびシース流量は、図3の圧力源/コントローラ44などの圧力源/コントローラによって制御されてもよい。
【0058】
交差領域140は、両方の流体が交差領域140を貫流しているときにシース流体が球状化された血液試料の周囲を流れるように形成されてもよい。場合によっては、シース流量は球状化された血液試料の流量よりも著しく高く、それが、下流のフローサイトメトリーチャネル142におけるコア形成を改善する助けとなってもよい。例えば、いくつかのフローサイトメトリー用途では、交差領域140は、球状化された血球を流体力学的に集束させ、かつ単一列のコアに整列させて、各赤血球が取外し可能なカートリッジ100内の光学窓領域144を通過すると、分析器によってそれを別個に光学的に調査できるように構成されてもよい。場合によっては、サイトメトリーチャネル142を通過する流体は、搭載型の排出物容器に向けられる。
【0059】
次に白血球測定チャネル104を参照すると、図3の溶解圧力(L)36bなどの白血球溶解試薬圧力(L)は、図3の溶解容器64などの溶解試薬容器に提供される。圧力が印加されると、溶解容器64内の溶解試薬は溶解試薬チャネル154へ押し込まれる。
【0060】
いくつかの例示的な実施形態では、バルブ156および流量センサ158は、溶解試薬チャネル154と直列で供給されてもよい。バルブ156は、溶解試薬を流体回路に押し込むことが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ158は、溶解試薬の流量を測定し、溶解試薬チャネル154を通る溶解試薬の流量の基準を提供してもよい。流量センサ158によって提供される流量は、圧力源/コントローラ44によって取外し可能なカートリッジ100に提供される溶解圧力(L)を制御するのを助けるために使用されてもよい。
【0061】
例示的な取外し可能なカートリッジ100の正常な機能的動作の間、溶解試薬は、溶解試薬の流量で交差領域160に供給され、また、血液試料は、血液試料の流量で交差領域160に供給される。血液試料の流量および溶解試薬の流量は、図3の圧力源/コントローラ44などの圧力源/コントローラによって制御されてもよい。
【0062】
交差領域160は、両方の流体が交差領域160を貫流しているときに溶解試薬が血液試料の周囲を流れるように構成されてもよい。場合によっては、溶解試薬の流量は血液試料の流量よりも高くてもよく、それが、下流のオンザフライ溶解チャネル162におけるフロー特性の改善を助け、また場合によっては、溶解試薬で完全かつ均一に取り囲まれた血液の薄い帯を形成する助けとなってもよい。そのような帯状のフローは、赤血球がオンザフライ溶解チャネル162を通ると、溶解試薬が赤血球を均一に球状化する助けとなってもよい。さらに、オンザフライ溶解チャネル162の長さは、溶解試薬および血液試料の流量とともに、血液試料が適正な量の時間、溶解試薬に晒されるように設定されてもよい。
【0063】
図3のシース(SH)圧力36dなどのシース流体(SH)圧力は、図3のシース流体容器68などのシース流体容器に提供されてもよい。圧力が印加されると、シース流体はシース流体容器68からシースチャネル164へ押し込まれる。いくつかの例示的な実施形態では、バルブ166および流量センサ168はシースチャネル164と直列で提供されてもよい。バルブ166は、シース流体を流体回路に押し込むことが望ましいときに開くように制御されてもよい。流量センサ168は、シース流体の流量を測定し、シースチャネル164を通るシース流量の基準を提供してもよい。流量センサ168によって提供される流量は、取外し可能なカートリッジ100に提供されるシース圧力(SH)を制御するのを助けるために使用されてもよい。場合によっては、シースチャネル164を通るシース流量はシースチャネル134を通るシース流量と同じである。しかし、他の場合では、シースチャネル164を通るシース流量は、シースチャネル134を通るシース流量とは異なっていてもよい。
【0064】
例示的な実施形態では、シース流体は、シース流体の流量で交差領域170に供給され、また、溶解された血液試料は、溶解された血液試料の流量で交差領域170に供給される。溶解された血液試料の流量およびシース流量は、図3の圧力源/コントローラ44などの圧力源/コントローラによって制御されてもよい。
【0065】
交差領域170は、両方の流体が交差領域170を貫流しているときにシース流体が溶解された血液試料の周囲を流れるように構成されてもよい。場合によっては、シース流量は溶解された血液試料の流量よりも著しく高く、それが、下流のフローサイトメトリーチャネル172におけるコア形成を改善する助けとなってもよい。例えば、いくつかのフローサイトメトリー用途では、交差領域170は、溶解された血液試料中の白血球を流体力学的に集束させ、かつ単一列のコアに整列させて、各白血球が取外し可能なカートリッジ100内の光学窓領域174を通過すると、分析器によってそれを別個に光学的に調査できるように構成されてもよい。場合によっては、サイトメトリーチャネル172を通過する流体は、搭載型の排出物容器に向けられる。
【0066】
場合によっては、吸収測定チャネルも提供されてもよい。例示的な実施形態では、溶解された血液試料の一部は吸収チャネル180に供給される。バルブ182は、溶解された血液試料の一部が吸収チャネルまたは領域184へ移動することを選択的に可能にするために、提供されてもよい。分析器は、吸収チャネルまたは領域184、ならびに、吸収チャネルまたは領域184内の溶解された血液試料によって吸収されない光を検出する検出器を照光する光源を含んでもよい。分析器は、次に、吸収レベルを判定してもよく、そこから、バルク吸収に基づいたヘモグロビン測定を行うことができる。場合によっては、また図8に示すように、吸収チャネル184は、所望であればサイトメトリーチャネル172の下流に位置していてもよい。他の場合では、全血試料は、分枝116からなど、吸収チャネルに直接供給されてもよい。そのような場合、吸収チャネルは、吸収測定を行う前に赤血球を溶解する機構を含んでもよい。例示的な取外し可能なカートリッジ100は、全血試料に対する完全血球算定(CBC)分析を行うように適合されるが、要望に応じて、他の取外し可能なカートリッジの構成および分析タイプが使用されてもよいことが考えられる。
【0067】
図5は、本発明による取外し可能なカートリッジに含むことができる、多数の例示的な貯蔵容器の概略図である。例示的な実施形態では、図4の取外し可能なカートリッジ100などの取外し可能なカートリッジは、例えば、溶解試薬容器64、プッシャ流体容器65、球状化試薬容器66、シース流体容器68、希釈剤流体容器70、染色剤容器190、および排出物容器52を含んでもよい。これらは単に例示的なものであり、より多い、より少ない、または異なる容器が取外し可能なカートリッジの上またはその中に提供されてもよい。
【0068】
各容器は、サイズ決めされてもよく、また、取外し可能なカートリッジの所望の動作を支援するのに適切な流体および/または試薬の量を含んでもよい。希釈剤容器70は、全血試料などの入ってくる試料を希釈する希釈剤流体を含んでもよい。図4の例示的な実施形態では、球状化試薬および/または溶解試薬は、希釈剤の機能を実施してもよく、したがって、別個の希釈剤容器70は不要であるか、または好ましいものでさえない場合がある。同様に、いくつかの実施形態では、染色剤容器190などの染色剤容器は、染色剤を白血球チャネルに添加して、白血球分化を支援することが望ましい場合がある。容器に貯蔵された試薬および/または流体は、用途に応じて、最初は液体または凍結乾燥された形態であってもよい。
【0069】
図6は、本発明による取外し可能なカートリッジを使用して、血液試料を分析する例示的な方法を示す概略フローチャートである。例示的な方法では、血液試料は最初に工程200で得られる。次に、血液試料は、取外し可能なカートリッジ内の抗凝血性コーティングを施した毛管に供給される。血液試料は、次に、分割され、赤血球および血小板(RBC/P)測定チャネル204および白血球(WBC)測定チャネル206に供給される。
【0070】
RBC/P測定チャネル204では、赤血球は、212に示すように最初に球状化され、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のRBC/Pサイトメトリーチャネル214を下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの光源216は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネル214の分析領域を通過するときに、それらに光を照射する。場合によっては、VCSEL装置の列が提供され、また、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネル214の分析領域を通過するときにそれらと一直線に並んだ1つまたは複数のVCSELのみが作動される。VCSELによって提供される入射光のいくらかは散乱し、検出器218は散乱光を検出する。場合によっては、検出器218は、前角散乱光(FALS)および小角散乱光(SALS)の両方を検出する。
【0071】
場合によっては、レーザー源(または他のソース)は、細長い線状のソースとしてまたは2つの別個のスポットソースとしてのいずれかで、RBC/P細胞計チャネル214に集束される。RBC/P細胞計チャネル214内のRBCおよび血小板は、集束光を通過する。高品質の集光光学素子は、細胞の鮮明な像と、長手方向軸が好ましくはRBC/P細胞計チャネル214のフロー方向に直交するように構成された1つ、2つ、またはそれ以上の平行なスリットを含む半透明スクリーン上に集束された照光とを形成するために使用されてもよい。スリット間の距離は、例えば、RBC/P細胞計チャネル214内において予測される平均細胞分離のオーダーであってもよい。スリットを含む半透明スクリーンは、1つまたは複数の検出器218の前に置かれてもよい。細胞の像がスリットを通過すると、それが、スリットに入射する光を不明瞭にし、検出器218上の信号の減少を引き起こして、細胞直径に比例する幅のパルス波形を生成する。2つの離間したスリットが提供される場合、2つの波形により、細胞のフロー速度、すなわち細胞サイズの計算が可能になることがある。高い信号対雑音は、この技術を使用して得られてもよく、それによって、容易な事象の計数および複数の細胞事象の識別が可能になる。パルス幅および振幅によって、さらに、いくつかの細胞タイプの区別が可能になることがある。
【0072】
場合によっては、細胞および光源の両方の像は、検出器218の前に置かれた複スリットアパーチャ上で結像される。複スリットアパーチャは、細胞を計数するため、良好に画定された幾何学的なアパーチャおよび高い信号対雑音比を提供する。上述したように、スリットからの信号によって、細胞のフロー速度の正確な測定が可能になることがあり、それによって次に、細胞直径の計算が可能になることがある。
【0073】
いくつかの場合には、また220で示すように、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)持続時間、および試料希釈係数(DF)を含む多数のパラメータは、この分析中に測定されてもよい。1つまたは複数の検出器の出力、および/または対応する散乱特性をモニタすることにより、赤血球数(NRB)、血小板数(NPlt)、各細胞の直径(drbc)、および各細胞のヘモグロビン濃度が測定されてもよい。
【0074】
これらのパラメータから、また282で示すように、例えば、赤血球数(RBC=NRB/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbc3>)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH=(π/6)×<drbc3×CHC>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbc3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む多数の赤血球分析パラメータが計算されてもよい。
【0075】
例示的なWBC測定チャネル206では、赤血球は232で示すように最初に溶解され、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のWBCサイトメトリーチャネル234を下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの光源236は、個々の細胞がWBCサイトメトリーチャネル234の分析領域を通過するときに、それらに光を照射する。場合によっては、VCSEL装置の列が提供され、また、個々の細胞がWBCサイトメトリーチャネル234の分析領域を通過するときにそれらと一直線に並んだ1つまたは複数のVCSELのみが作動される。VCSELによって提供される入射光のいくらかは散乱し、検出器238は散乱光を検出する。場合によっては、検出器238は、前角散乱光(FALS)、小角散乱光(SALS)、および大角散乱光(LASL)を検出する。場合によっては、また240で示すように、例えば、軸上細胞容積、総WBC数、およびWBC5部分分化を含む多数のパラメータが、分析中に測定されてもよい。
【0076】
図7は、本発明による多数の赤血球パラメータを得る例示的な方法を示すフローチャートである。例示的な方法では、血液試料は工程260で得られる。次に、血液試料は、所望の希釈係数(DF)に希釈され、264で示すように球状化される。希釈され球状化された血球は、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のRBC/Pサイトメトリーチャネルを下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの光源216は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネルの分析領域を通過するときに、それらに光を照射する。1つまたは複数のVCSELによって提供される入射光のいくらかは散乱し、検出器は散乱光を検出するのに使用されてもよい。場合によっては、検出器は、各細胞に対して前角散乱光(FALS)および小角散乱光(SALS)の両方を検出する。プロセッサなどは、次に、各細胞に対して2つの別個の散乱パラメータ、すなわちSALSおよびFALSを、次のように、細胞直径パラメータおよび細胞ヘモグロビン濃度パラメータにマッピングする。
【0077】
{SSALSi,SFALSi}−>{drbci,CHCi}
270で示すように、SSALSiにSFALSiを加えた散乱の強度が予め決められた検出閾値よりも大きくなければ、制御は工程268に戻される。しかし、SSALSiにSFALSiを加えた散乱の強度が予め決められた検出閾値よりも大きい場合、制御は工程272に移される。工程272は、SSALSiとSFALSiの和が予め決められた血小板閾値より大きいか否かを判断する。SSALSiとSFALSiの和が予め決められた血小板閾値よりも大きくなければ、粒子「i」が血小板であると判断され、制御は工程274に移される。工程274は、計数された血小板数(NPlt)を1つずつ増分し、制御を工程268に戻す。
【0078】
SSALSiとSFALSiの和が予め決められた血小板閾値よりも大きい場合、細胞は赤血球であり、制御は工程276に移される。工程276は、計数された赤血球数(NRBC)を1つずつ増分し、制御を工程278に移す。工程278は、予め決められた測定時間に到達したか否かを判断する。到達していなければ、制御は工程268に戻される。
【0079】
工程278で測定時間に到達すると、制御は工程280に移される。工程280は、例えば、試料流量(FR),測定時間(T)持続時間、試料希釈係数(DF)、計数された赤血球数(NRBC)、計数された血小板数(NPlt),各細胞の直径(drbci)、および各細胞のヘモグロビン濃度(CHCi)を含む、多数の測定されたパラメータを示す。これらのパラメータから、また工程282で示すように、例えば、赤血球数(RBC=NRBC/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbci3>)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH=(π/6)×<drbci3×CHCi>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbci3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の血球分析パラメータが計算されてもよく、ここで、表記<Xi>はすべての細胞Xiにわたる平均細胞パラメータを意味する。
【0080】
図8は、本発明による血液試料を分析する別の例示的な方法を示す概略フローチャートである。この例示的な方法では、血液試料が得られ、工程300で示すように血液試料容器に供給される。次に、血液試料は、取外し可能なカートリッジ内の抗凝血性コーティングを施した毛管に供給され、希釈される。血液試料は、次に、分割され、赤血球および血小板(RBC/P)測定チャネル304および白血球(WBC)測定チャネル340に供給される。
【0081】
RBC/P測定チャネル304では、赤血球は、306に示すように最初に球状化され、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のRBC/Pサイトメトリーチャネル308を下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの第1の光源310および関連付けられた光学素子は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネル308の分析領域を通過するときに、それらに集束光を照射する。場合によっては、VCSEL装置の列が提供され、また、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリーチャネル308の分析領域を通過するときにそれらと一直線に並んだ1つまたは複数のVCSELのみが作動される。
【0082】
個々の細胞/粒子が集束された入射ビームを通過するときに、光のいくらかは遮断されるか、散乱されるか、または別の方法で妨害され、それを検出器(図示なし)によって検出することができる。2つ以上の光源が、RBC/Pサイトメトリーチャネル308に沿った異なる離間したスポットに集束される場合、各細胞の前縁および/または後縁を検出することができる。細胞が1つの集束されたスポットから次までの距離を横断するのにかかる時間を測定することによって、流量、およびすなわち細胞速度を決定することができる。決定された細胞速度によって、細胞がビームを遮断、散乱、または別の方法で妨害する時間の長さを、細胞のサイズおよび/または細胞体積と相関させることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、別の光源314および関連付けられた光学素子が、分析器によって提供されてもよい。光源314の関連付けられた光学素子は、光を平行にし、SALSおよびFALS散乱などの軸外散乱を測定してもよい。上述したように、SALSおよびFALS散乱は、例えば、計数された赤血球数(NRBC)316、計数された血小板数(NPlt)322、各細胞の直径(drbci)、細胞体積318、および各細胞のヘモグロビン濃度(CHCi)320を測定するのに使用することができる。これらのパラメータから、また上述したように、例えば、赤血球数(RBC=NRBC/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbci3>)、平均細胞ヘモグロビン含量(MCH=(π/6)×<drbci3×CHCi>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbci3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の血球分析パラメータが計算されてもよく、ここで、表記<Xi>はすべての細胞Xiにわたる平均細胞パラメータを意味する。
【0084】
例示的なWBC測定チャネル340では、赤血球は溶解され、342で示すように、必要に応じて染色剤が注入される。細胞は、次に、流体力学的に集束され、取外し可能なカートリッジ内のWBCサイトメトリーチャネル344を下る単一の列に供給される。面発光レーザー(VCSEL)などの光源346は、個々の細胞がWBCサイトメトリーチャネル344の分析領域を通過するときに、それらに光を照射する。場合によっては、VCSEL装置の列が提供され、また、個々の細胞がWBCサイトメトリーチャネル344の分析領域を通過するときにそれらと一直線に並んだ1つまたは複数のVCSELのみが作動される。
【0085】
個々の細胞/粒子が集束された入射ビームを通過するときに、光のいくらかは遮断されるか、散乱されるか、または別の方法で妨害され、それを検出器(図示なし)によって検出することができる。2つ以上の光源が、WBCサイトメトリーチャネル344に沿った異なる離間したスポットに集束される場合、各細胞の前縁および/または後縁を検出することができる。細胞が1つの集束されたスポットから次までの距離を横断するのにかかる時間を測定することによって、流量、およびすなわち細胞速度を決定することができる。決定された細胞速度によって、細胞がビームを遮断、散乱、または別の方法で妨害する時間の長さを、細胞のサイズおよび/または細胞体積と相関させることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、光源350および関連付けられた光学素子および/または偏光子が提供されてもよい。光源350の関連付けられた光学素子は、光を平行にし、354で示すように、SALS、FALS、およびLALS散乱などの軸外散乱を測定してもよい。上述のように、SALS、FALS、およびLALS散乱は、例えば、計数された白血球数(NWBC)352を測定し、ならびに356で示すように白血球分化の助けとするのに使用することができる。場合によっては、1つまたは複数の偏光子が提供されて、光源によって提供される光を偏光し、また、検出器で検出される偏光消光/回転のレベルを使用して、白血球分化を実施する助けとしてもよいが、これはすべての実施形態において必須ではない。
【0087】
例示的な実施形態では、WBCサイトメトリーチャネル344を出る細胞はバルク吸収チャネル360に供給されてもよい。光源362は、吸収チャネル360内に存在する細胞上に光を照射してもよく、検出器364は、常在細胞によって吸収されない光を検出してもよい。吸収チャネル360は、したがって、常在細胞のバルク吸収レベルを測定するために使用されてもよい。吸収レベルは、例えば、血液試料中のバルクまたは平均細胞ヘモグロビン濃度の基準を提供してもよい。
【0088】
図9は、本発明による試料分析器を操作する例示的な方法を示す概略フローチャートである。例示的な実施形態では、350で示すように、血液分析カートリッジが使用され分析されてもよく、対照カートリッジが使用され分析されて、370で示すように、分析器の性能を検証するのを助けてもよく、かつ/または、校正カートリッジが使用され分析されて、380で示すように、分析器を校正するのを助けてもよい。血液分析カートリッジは、血液分析が実施されるごとに装填されてもよい。対照カートリッジは、1日1回など周期的に分析器に装填されて、分析器が正確な結果を生成していることを検証してもよい。校正カートリッジは、3か月に1回などのより低い頻度で分析器に装填されて、分析器を再校正してもよい。
【0089】
カートリッジはそれぞれ、対応する機能を実施するために必要な流体および/または構成要素をすべて含んでもよい。このように、分析器を操作および/または維持するのにほとんど訓練が要らず、依然として正確な結果を得られることがある。専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で信頼性高く使用することができる、取外し可能および/または使い捨てのカートリッジを備えた試料分析器を提供する能力は、試料分析プロセスを能率化し、医療関係者のコストおよび負担を低減し、比較的頻繁な血液モニタリング/分析を必要とする患者を含む多くの患者に対する試料分析の利便性を増大させるのに役立つことがある。
【0090】
350で示すように、血液分析カートリッジが使用される場合、352および354で示すように、血液試料が収集され、血液分析カートリッジに装填される。血液試料は、所望であれば毛管作用または手動ポンピングによって血液分析カートリッジに引き込まれてもよい。血液分析カートリッジは、次に、分析器機器に装填されてもよい。例示的な実施形態では、分析器は次に、356で示すように、血液分析カートリッジおよび分析器の対応する構成要素(例えば、光源/光検出器など)を自己整列させてもよい。次に、1つまたは複数のボタンが押されて、血液分析プロセスを開始してもよい。ボタンなどを押すのではなく、また場合によっては、単にカートリッジを分析器に装填する工程により、分析器に整列および血液分析工程を開始させてもよい。
【0091】
分析器が作動されると、分析器は多数の試験を実施してもよい。例えば、分析器は、血液分析カード上のバルブをすべて閉じて、カード上の様々な流体ポートに圧力を印加してもよい。分析器は、次に、カード上の1つまたは複数の流量センサを越えて流れる流量を測定してもよい。バルブがすべて閉まっているので、フローはゼロであるべきである。ただし、流量センサがゼロではない流量を示す場合、分析器は流量センサをゼロフローに再校正してもよい。これは、流量センサ測定の精度を増大させる助けとなってもよい。あるいは、またはそれに加えて、分析器は、例えば、血液試料の流量を(例えば流量センサを使用して)印加された圧力とともに測定することによって、また、印加された圧力に対して流量が低すぎる場合は、血液試料が凝固していると判断することによって、取外し可能なカートリッジ中の血液凝固を検査してもよい。血液凝固が検出された場合、分析器は、測定が失敗したことを示すメッセージを表示してもよい。
【0092】
分析器は、次に、血液分析カートリッジタイミングプロトコルを実施してもよい。血液分析カートリッジタイミングプロトコルは、本発明の譲受人に譲渡され、参考により本明細書に組み込まれた、米国特許出願10/932662に示され記載されたものに類似してもよい。特定の血液分析カートリッジタイミングプロトコルは、血液分析カートリッジの特定の設計によって決まってもよい。分析器は、さらに、血液分析カートリッジ上のいずれのサイトメトリーチャネル内にも安定したコアフローがあることを検証し、コアフローがあればその位置を特定してもよい。
【0093】
血液分析カートリッジは、次に、例えば、白血球測定に使用される血液試料の部分中の赤血球を溶解し、赤血球測定に使用される血液試料の部分中の赤血球を球状化し、血液分析カートリッジ上の任意のサイトメトリーチャネル内にコアフローを形成し、かつ/または他の望ましい機能を実施してもよい。分析器は、任意のサイトメトリーチャネルなどの血液分析カートリッジの選択された領域に光を提供し、選択された領域を通過する光を検出してもよい。
【0094】
これから、分析器は、白血球、赤血球、血小板などの試料中の粒子を計数し分類し、次に、ユーザに対して血液分析の結果を表示、印刷、音声として生成、または別の方法でそれを示してもよい。いくつかの実施形態では、分析器は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷するので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。最後に、血液分析カートリッジは分析器から除去され、廃棄されてもよい。
【0095】
370で示すように、対照運転が実施されるべきである場合、対照カートリッジが使用されてもよい。場合によっては、対照運転は、1日1回または週1回など、周期的に実施されてもよい。対照カートリッジは、既知の特性を有する対照試料を含んでもよい。したがって、対照試料に対して分析器による分析が実施されると、既知の結果が得られるべきである。例示的な方法では、372で示すように対照カートリッジは分析器に装填される。次に、374で示すように分析器が作動され、分析器は分析を実施し、376で示すような結果を表示する。いくつかの実施形態では、分析器は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷するので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。最後に、対照カートリッジは分析器から除去され、廃棄されてもよい。対照運転の結果が予め定義された範囲外である場合、校正運転380などの校正運転を実施するのが望ましいことがある。
【0096】
380で示すように、校正運転が実施されるべきである場合、校正カートリッジが使用されてもよい。場合によっては、校正運転は、月1回など周期的に、または必要に応じて実施されてもよい。校正カートリッジは、既知の特性を備えた校正試料を含んでもよい。したがって、校正試料に対して分析器による分析が実施されると、既知の結果が得られるべきである。例示的な方法では、382で示すように校正カートリッジは分析器に装填される。次に、384で示すように分析器が作動され、また多くの結果が得られる。校正運転中に得られた結果を予測される結果と比較することにより、分析器は、メモリ内の1つまたは複数の校正係数を自動的に調節して、分析器を再校正してもよいので、後続の運転中、386で示すように、分析器は予測されるまたは所望の結果を生成する。
【0097】
図10は、本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。例示的な方法は、400で全体が示され、工程402で開始される。制御は工程404に移され、そこで、血液試料は使い捨ての流体カートリッジに供給される。制御は次に工程406に移され、そこで、使い捨ての流体カートリッジは血液試料分析器に挿入される。制御は次に工程408に移される。工程408は、血液試料分析器を作動させ、工程410は、血液試料分析器のユーザからのさらなる何らかの相互作用なしに、血液試料分析器から血液分析結果を得る。制御は次に工程412に移され、そこで方法は終了する。
【0098】
図11は、本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。例示的な方法は、500で全体が示され、工程502で開始される。制御は工程504に移され、そこで、血液試料は使い捨ての流体カートリッジに供給される。制御は次に工程506に移され、そこで、使い捨ての流体カートリッジは血液試料分析器に挿入される。制御は次に工程508に移される。工程508は、血液試料分析器を作動させ、工程510は、血液試料分析器のユーザからのさらなる何らかの相互作用なしに、血液試料分析器から血液分析結果を得る。制御は次に工程512に移される。工程512は、血液分析結果が予め定義された範囲内にあるか否かを判断する。上述したように、またいくつかの実施形態では、分析器は、定量的結果(例えば、予め定義された範囲内および/または範囲外)を表示または印刷するので、ユーザによるさらなる計算または解釈が不要である。制御は次に工程514に移され、そこで方法は終了する。
【0099】
図12は、本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。方法は、600で全体が示され、工程602で開始される。例示的な方法では、604で示すように、血液分析カートリッジが使用され分析されてもよく、対照カートリッジが使用され分析されて、620で示すように、分析器の性能を検証するのを助けてもよく、かつ/または、校正カートリッジが使用され分析されて、640で示すように、分析器を校正するのを助けてもよい。血液分析カートリッジは、血液分析が実施されるごとに装填されてもよい。対照カートリッジは、1日1回など周期的に分析器に装填されて、分析器が正確な結果を生成していることを検証してもよい。校正カートリッジは、3か月に1回などのより低い頻度で、または必要に応じて分析器に装填されて、分析器を再校正してもよい。
【0100】
各カートリッジタイプは、対応する機能を実行するために必要な流体および/または構成要素をすべて含んでもよい。このように、分析器を操作および/または維持するのにほとんど訓練が要らず、依然として正確な結果を得られることがある。専門の訓練をほとんどまたはまったく受けずに、実験室環境外で信頼性高く使用することができる、取外し可能および/または使い捨てのカートリッジを備えた試料分析器を提供する能力は、試料分析プロセスを能率化し、医療関係者のコストおよび負担を低減し、比較的頻繁な血液モニタリング/分析を必要とする患者を含む多くの患者に対する試料分析の利便性を増大させるのに役立つことがある。
【0101】
図12の例示的な方法では、血液分析カートリッジが使用される場合、制御は工程604に移される。工程606で、血液試料は使い捨ての流体カートリッジに供給される。制御は次に工程608に移され、そこで、使い捨ての流体カートリッジは血液試料分析器に挿入される。制御は次に工程610に移される。工程610は、血液試料分析器を作動させ、工程612は、血液試料分析器から血液分析結果を得る。
【0102】
対照カートリッジが使用されるべきである場合、制御は工程620に移される。工程620は制御を工程622に移し、そこで、対照カートリッジは血液試料分析器に挿入される。制御は次に工程624に移される。工程624は、血液試料分析器を作動させ、工程626は、対照流体カートリッジを使用して対照分析結果を得る。制御は次に工程628に移される。工程628は、対照分析結果が予測された対照範囲内にあるか否かを判断する。対照分析結果が予測された範囲内にない場合、血液分析カートリッジに対して得られた結果は信頼されるべきでない。場合によっては、校正カートリッジが運転されて、試料分析器を再校正し、次に別の対照カートリッジで試料分析器の操作/校正を検証してもよい。
【0103】
校正カートリッジが使用されるべきである場合、制御は工程640に移される。工程640は制御を工程642に移す。工程642は、血液試料分析器に校正カートリッジを挿入する。制御は次に工程644に移される。工程644は、血液試料分析器を作動させ、工程646は校正流体カートリッジを使用して校正分析結果を得る。制御は次に工程648に移される。校正分析結果に基づいて、工程648は必要に応じて分析器を調節する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明による例示的な試料分析器およびカートリッジの斜視図である。
【図2】図1の例示的な試料分析器およびカートリッジの概略図である。
【図3】図2の試料分析器およびカートリッジのフロー制御を示すより詳細な概略図である。
【図4】本発明による例示的なカートリッジの特定の特徴の概略図である。
【図5】本発明によるカートリッジに含むことができる多数の例示的な貯蔵容器の概略図である。
【図6】本発明による血液試料を分析する例示的な方法を示す概略フローチャートである。
【図7】本発明による多数の赤血球パラメータを得る例示的な方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明による血液試料を分析する別の例示的な方法を示す概略フローチャートである。
【図9】本発明による試料分析器を操作する例示的な方法を示す概略フローチャートである。
【図10】本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明による試料分析器を操作する別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフローチャネル内に試料流体を流体力学的に集束させるように適合された第1のフローサイトメトリー分析チャネルと、第2のフローチャネル内に試料流体を流体力学的に集束させるように適合された第2のフローサイトメトリー分析チャネルとを含む使い捨ての流体カートリッジを、選択的に収容するように適合された本体と、
前記第1のフローチャネル内の前記試料流体の少なくとも一部に第1の光ビームを提供する第1の光源と、
前記第1のフローチャネル内の前記試料流体を通過する前記第1のビームの少なくともいくらかを受け取り、かつ1つまたは複数の第1の検出器出力信号を提供する1つまたは複数の第1の検出器と、
前記第2のフローチャネル内の前記試料流体の少なくとも一部に第2のビームを提供する第2の光源と、
前記第2のフローチャネル内の前記試料流体を通過する前記第2のビームの少なくともいくらかを受け取り、かつ1つまたは複数の第2の検出器出力信号を提供する1つまたは複数の第2の検出器と、
前記1つまたは複数の第1の検出器出力信号および前記1つまたは複数の第2の検出器出力信号に結合された処理ブロックとを備える、細胞分析システム。
【請求項2】
前記処理ブロックが、第1の測定期間の間に前記第1のフローチャネル内の前記試料流体から1つまたは複数の白血球パラメータと、第2の測定期間に前記第2のフローチャネル内の前記試料流体の1つまたは複数の赤血球パラメータとを決定するように適合された、請求項1に記載の細胞分析システム。
【請求項3】
前記処理ブロックが、前記第1の測定期間の間に前記第1のフローチャネル内の前記試料流体から総白血球数と、前記第1のフローチャネル内の前記試料流体中の前記総白血球数の一部として計数された前記白血球の少なくともいくらかのタイプとを決定するように適合された、請求項2に記載の細胞分析システム。
【請求項4】
前記処理ブロックが、前記第1のフローチャネル内の前記試料流体中の前記総白血球数の一部として計数された前記白血球の少なくともいくらかの白血球体積の基準を決定するように適合された、請求項3に記載の細胞分析システム。
【請求項5】
前記処理ブロックが、前記第2のフローチャネル内の前記試料流体中の血小板数を決定するように適合された、請求項2に記載の細胞分析システム。
【請求項6】
前記処理ブロックが、前記第2の測定期間の間に前記第2のフローチャネル内の前記試料流体から赤血球数を決定するように適合された、請求項2に記載の細胞分析システム。
【請求項7】
前記処理ブロックが、前記第2のフローチャネル内の前記試料流体中の前記赤血球数の一部として計数された前記赤血球の少なくともいくらかの赤血球体積の基準を決定するように適合された、請求項6に記載の細胞分析システム。
【請求項8】
前記処理ブロックが、ヘモグロビン濃度の基準を決定するように適合された、請求項2に記載の細胞分析システム。
【請求項9】
血液試料を収容し、少なくとも部分的に血液試料を処理するように適合された使い捨ての流体カートリッジと、
前記使い捨ての流体カートリッジを収容するように適合された分析器とを備え、
前記血液試料が前記使い捨ての流体カートリッジによって収容され、かつ前記分析器が作動されると、前記分析器および使い捨ての流体カートリッジが、前記血液試料を自動的に処理し、ユーザからのさらなる相互作用なしに1つまたは複数の血液分析パラメータを決定する、血液試料分析システム。
【請求項10】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが総白血球数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項11】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが、5タイプの白血球それぞれに対する微分白血球数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが平均白血球体積の基準を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項13】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが赤血球数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項14】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが血小板数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項15】
前記2つ以上の血液分析パラメータが平均赤血球体積に関する基準を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項16】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが、5タイプの白血球それぞれに対する微分白血球数、赤血球数、および血小板数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項17】
前記血液試料の前記処理が、前記血液試料の第1の部分および第2の部分を、前記使い捨てのカートリッジ内の白血球測定チャネルおよび赤血球測定チャネルにそれぞれ供給することを含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項18】
前記血液試料の前記第1の部分中の前記赤血球が前記白血球測定チャネル内で溶解される、請求項17に記載の血液試料分析システム。
【請求項19】
前記血液試料の前記第2の部分中の前記赤血球が前記赤血球測定チャネル内で球状化される、請求項18に記載の血液試料分析システム。
【請求項20】
前記球状化された赤血球が、光学的検出を用いてある期間にわたって前記赤血球測定チャネル内で計数される、請求項19に記載の血液試料分析システム。
【請求項21】
前記白血球が、光学的検出を用いてある期間にわたって前記白血球測定チャネル内で計数される、請求項18に記載の血液試料分析システム。
【請求項22】
前記分析器が前記使い捨ての流体カートリッジを収容するハウジングを含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項23】
前記使い捨ての流体カートリッジが白血球測定チャネルおよび赤血球測定チャネルを含む、請求項22に記載の血液試料分析システム。
【請求項24】
前記使い捨てのカートリッジ内の前記白血球測定チャネルが、白血球フローチャネルに沿って試料を流体力学的に集束させるように適合され、かつ前記白血球フローチャネル上の光学的光散乱測定を支援するようにさらに適合された、白血球フローサイトメトリー分析チャネルを含み、
前記使い捨てのカートリッジ内の前記赤血球測定チャネルが、赤血球フローチャネルに沿って試料を流体力学的に集束させるように適合され、かつ前記赤血球フローチャネル上の光学的光散乱測定を支援するようにさらに適合された、赤血球フローサイトメトリー分析チャネルを含み、
前記使い捨ての流体カートリッジが、前記血液試料の第1の部分のフローを前記白血球フローサイトメトリー分析チャネルへ、かつ前記血液試料の第2の部分を前記赤血球フローサイトメトリー分析チャネルへ向ける流体方向付け手段をさらに含む、請求項23に記載の血液試料分析システム。
【請求項25】
前記分析器がディスプレイを含み、1つまたは複数の出力メッセージが前記ディスプレイに表示される、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項26】
前記1つまたは複数の出力メッセージが、1つまたは複数の前記血液分析パラメータ、あるいは1つまたは複数のそれらの組合せが予め定義された範囲内にあるか否かを示す、請求項25に記載の血液試料分析システム。
【請求項27】
前記1つまたは複数の出力メッセージが、1つまたは複数の前記血液分析パラメータ、もしくは1つまたは複数のそれらの組合せが予め定義された範囲外にあるか否かを示す、請求項25に記載の血液試料分析システム。
【請求項28】
血液試料を収容するように適合された取外し可能なカートリッジと、
前記取外し可能なカートリッジを収容するように適合された分析器とを備え、
血液試料が前記取外し可能なカートリッジによって収容され、前記取外し可能なカートリッジが分析器によって収容され、かつ前記分析器が作動されると、前記分析器および取外し可能な流体カートリッジが、前記血液試料を自動的に処理し、ユーザからのさらなる相互作用なしに1つまたは複数の血液分析パラメータを決定し、さらに1つまたは複数の出力メッセージをディスプレイ上に表示し、前記1つまたは複数の出力メッセージが、1つまたは複数の前記血液分析パラメータ、あるいは1つまたは複数のそれらの組合せが予め定義された範囲内および/または範囲外にあるか否かを示す、血液試料分析システム。
【請求項29】
試料を使い捨ての流体カートリッジに供給する工程と、
前記使い捨ての流体カートリッジを分析器に装填する工程と、
前記分析器を作動させる工程と、
ユーザからのさらなる相互作用なしに前記分析器から試料分析結果を得る工程とを含む、試料分析の実施方法。
【請求項30】
前記分析器が血液試料分析器であり、前記試料が血液試料である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記使い捨ての流体カートリッジが対照使い捨て流体カートリッジであり、前記方法が、前記対照使い捨て流体カートリッジを使用して分析結果を得る工程と、前記分析結果が予測された範囲内にあるか否かを判断する工程とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記対照使い捨て流体カートリッジが比較的一定の間隔で挿入され分析される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
使い捨ての流体カートリッジを前記血液試料分析器に挿入する工程と、前記対照使い捨て流体カートリッジを前記分析器に挿入する前に、血液試料を前記使い捨ての流体カートリッジに1回または複数回供給する工程とをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
校正使い捨て流体カートリッジを前記分析器に挿入する工程と、前記校正使い捨て流体カートリッジを使用して分析結果を得る工程と、前記結果に基づいて前記分析器が前記分析器の1つまたは複数の校正パラメータを調節する工程とをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記校正使い捨て流体カートリッジが比較的一定の間隔で前記分析器に挿入される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
フローチャネルおよび前記フローチャネルと流体連通している流量センサとを有する流体カートリッジと、
前記フローチャネル内に流体のフローを提供する圧力源と、
前記流量センサに結合された、前記フローチャネルを通る流量の1つまたは複数の変化を検出するように適合されたコントローラとを備える、分析器。
【請求項37】
前記コントローラが、前記流量の前記1つまたは複数の変化から、前記フローチャネル内の1つまたは複数の泡を検出するように適合された、請求項36に記載の分析器。
【請求項38】
前記コントローラが、前記流量の前記1つまたは複数の変化から、前記フローチャネル内の閉塞または部分的な閉塞を検出するように適合された、請求項36に記載の分析器。
【請求項39】
前記流量センサが、通電されると前記流体中に1つまたは複数の熱パルスを生成する加熱要素を含み、前記加熱要素の上流および/または下流に配置されて、前記1つまたは複数の熱パルスを検出する1つまたは複数の熱センサをさらに含む、請求項36に記載の分析器。
【請求項40】
前記コントローラが、前記流体の熱伝導率の1つまたは複数の変化を検出するように適合された、請求項39に記載の分析器。
【請求項41】
前記コントローラが、前記流体の熱伝導率の前記1つまたは複数の変化によって、前記流体中の1つまたは複数の泡を検出するように適合された、請求項39に記載の分析器。
【請求項42】
前記コントローラが、前記流体の比熱の1つまたは複数の変化を検出するように適合された、請求項39に記載の分析器。
【請求項43】
前記コントローラが、前記流体の比熱の前記1つまたは複数の変化によって、前記流体中の1つまたは複数の泡を検出するように適合された、請求項42に記載の分析器。
【請求項44】
フローチャネルおよび前記フローチャネルと流体連通しているインピーダンスセンサとを有する流体カートリッジと、
前記フローチャネル内に流体のフローを提供する圧力源と、
前記インピーダンスセンサに結合された、前記フローチャネル内の前記流体のインピーダンスの1つまたは複数の変化を検出するように適合されたコントローラとを備える、分析器。
【請求項45】
前記コントローラが、前記フローチャネル内の前記流体のインピーダンスの前記1つまたは複数の変化から、前記フローチャネル内の1つまたは複数の泡を検出するように適合された、請求項43に記載の分析器。
【請求項46】
前記コントローラが、前記フローチャネル内の前記流体のインピーダンスの前記1つまたは複数の変化から、前記フローチャネル内に1つまたは複数の望ましくない物体が存在することを検出するように適合された、請求項44に記載の分析器。
【請求項1】
第1のフローチャネル内に試料流体を流体力学的に集束させるように適合された第1のフローサイトメトリー分析チャネルと、第2のフローチャネル内に試料流体を流体力学的に集束させるように適合された第2のフローサイトメトリー分析チャネルとを含む使い捨ての流体カートリッジを、選択的に収容するように適合された本体と、
前記第1のフローチャネル内の前記試料流体の少なくとも一部に第1の光ビームを提供する第1の光源と、
前記第1のフローチャネル内の前記試料流体を通過する前記第1のビームの少なくともいくらかを受け取り、かつ1つまたは複数の第1の検出器出力信号を提供する1つまたは複数の第1の検出器と、
前記第2のフローチャネル内の前記試料流体の少なくとも一部に第2のビームを提供する第2の光源と、
前記第2のフローチャネル内の前記試料流体を通過する前記第2のビームの少なくともいくらかを受け取り、かつ1つまたは複数の第2の検出器出力信号を提供する1つまたは複数の第2の検出器と、
前記1つまたは複数の第1の検出器出力信号および前記1つまたは複数の第2の検出器出力信号に結合された処理ブロックとを備える、細胞分析システム。
【請求項2】
前記処理ブロックが、第1の測定期間の間に前記第1のフローチャネル内の前記試料流体から1つまたは複数の白血球パラメータと、第2の測定期間に前記第2のフローチャネル内の前記試料流体の1つまたは複数の赤血球パラメータとを決定するように適合された、請求項1に記載の細胞分析システム。
【請求項3】
前記処理ブロックが、前記第1の測定期間の間に前記第1のフローチャネル内の前記試料流体から総白血球数と、前記第1のフローチャネル内の前記試料流体中の前記総白血球数の一部として計数された前記白血球の少なくともいくらかのタイプとを決定するように適合された、請求項2に記載の細胞分析システム。
【請求項4】
前記処理ブロックが、前記第1のフローチャネル内の前記試料流体中の前記総白血球数の一部として計数された前記白血球の少なくともいくらかの白血球体積の基準を決定するように適合された、請求項3に記載の細胞分析システム。
【請求項5】
前記処理ブロックが、前記第2のフローチャネル内の前記試料流体中の血小板数を決定するように適合された、請求項2に記載の細胞分析システム。
【請求項6】
前記処理ブロックが、前記第2の測定期間の間に前記第2のフローチャネル内の前記試料流体から赤血球数を決定するように適合された、請求項2に記載の細胞分析システム。
【請求項7】
前記処理ブロックが、前記第2のフローチャネル内の前記試料流体中の前記赤血球数の一部として計数された前記赤血球の少なくともいくらかの赤血球体積の基準を決定するように適合された、請求項6に記載の細胞分析システム。
【請求項8】
前記処理ブロックが、ヘモグロビン濃度の基準を決定するように適合された、請求項2に記載の細胞分析システム。
【請求項9】
血液試料を収容し、少なくとも部分的に血液試料を処理するように適合された使い捨ての流体カートリッジと、
前記使い捨ての流体カートリッジを収容するように適合された分析器とを備え、
前記血液試料が前記使い捨ての流体カートリッジによって収容され、かつ前記分析器が作動されると、前記分析器および使い捨ての流体カートリッジが、前記血液試料を自動的に処理し、ユーザからのさらなる相互作用なしに1つまたは複数の血液分析パラメータを決定する、血液試料分析システム。
【請求項10】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが総白血球数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項11】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが、5タイプの白血球それぞれに対する微分白血球数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが平均白血球体積の基準を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項13】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが赤血球数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項14】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが血小板数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項15】
前記2つ以上の血液分析パラメータが平均赤血球体積に関する基準を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項16】
前記1つまたは複数の血液分析パラメータが、5タイプの白血球それぞれに対する微分白血球数、赤血球数、および血小板数を含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項17】
前記血液試料の前記処理が、前記血液試料の第1の部分および第2の部分を、前記使い捨てのカートリッジ内の白血球測定チャネルおよび赤血球測定チャネルにそれぞれ供給することを含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項18】
前記血液試料の前記第1の部分中の前記赤血球が前記白血球測定チャネル内で溶解される、請求項17に記載の血液試料分析システム。
【請求項19】
前記血液試料の前記第2の部分中の前記赤血球が前記赤血球測定チャネル内で球状化される、請求項18に記載の血液試料分析システム。
【請求項20】
前記球状化された赤血球が、光学的検出を用いてある期間にわたって前記赤血球測定チャネル内で計数される、請求項19に記載の血液試料分析システム。
【請求項21】
前記白血球が、光学的検出を用いてある期間にわたって前記白血球測定チャネル内で計数される、請求項18に記載の血液試料分析システム。
【請求項22】
前記分析器が前記使い捨ての流体カートリッジを収容するハウジングを含む、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項23】
前記使い捨ての流体カートリッジが白血球測定チャネルおよび赤血球測定チャネルを含む、請求項22に記載の血液試料分析システム。
【請求項24】
前記使い捨てのカートリッジ内の前記白血球測定チャネルが、白血球フローチャネルに沿って試料を流体力学的に集束させるように適合され、かつ前記白血球フローチャネル上の光学的光散乱測定を支援するようにさらに適合された、白血球フローサイトメトリー分析チャネルを含み、
前記使い捨てのカートリッジ内の前記赤血球測定チャネルが、赤血球フローチャネルに沿って試料を流体力学的に集束させるように適合され、かつ前記赤血球フローチャネル上の光学的光散乱測定を支援するようにさらに適合された、赤血球フローサイトメトリー分析チャネルを含み、
前記使い捨ての流体カートリッジが、前記血液試料の第1の部分のフローを前記白血球フローサイトメトリー分析チャネルへ、かつ前記血液試料の第2の部分を前記赤血球フローサイトメトリー分析チャネルへ向ける流体方向付け手段をさらに含む、請求項23に記載の血液試料分析システム。
【請求項25】
前記分析器がディスプレイを含み、1つまたは複数の出力メッセージが前記ディスプレイに表示される、請求項9に記載の血液試料分析システム。
【請求項26】
前記1つまたは複数の出力メッセージが、1つまたは複数の前記血液分析パラメータ、あるいは1つまたは複数のそれらの組合せが予め定義された範囲内にあるか否かを示す、請求項25に記載の血液試料分析システム。
【請求項27】
前記1つまたは複数の出力メッセージが、1つまたは複数の前記血液分析パラメータ、もしくは1つまたは複数のそれらの組合せが予め定義された範囲外にあるか否かを示す、請求項25に記載の血液試料分析システム。
【請求項28】
血液試料を収容するように適合された取外し可能なカートリッジと、
前記取外し可能なカートリッジを収容するように適合された分析器とを備え、
血液試料が前記取外し可能なカートリッジによって収容され、前記取外し可能なカートリッジが分析器によって収容され、かつ前記分析器が作動されると、前記分析器および取外し可能な流体カートリッジが、前記血液試料を自動的に処理し、ユーザからのさらなる相互作用なしに1つまたは複数の血液分析パラメータを決定し、さらに1つまたは複数の出力メッセージをディスプレイ上に表示し、前記1つまたは複数の出力メッセージが、1つまたは複数の前記血液分析パラメータ、あるいは1つまたは複数のそれらの組合せが予め定義された範囲内および/または範囲外にあるか否かを示す、血液試料分析システム。
【請求項29】
試料を使い捨ての流体カートリッジに供給する工程と、
前記使い捨ての流体カートリッジを分析器に装填する工程と、
前記分析器を作動させる工程と、
ユーザからのさらなる相互作用なしに前記分析器から試料分析結果を得る工程とを含む、試料分析の実施方法。
【請求項30】
前記分析器が血液試料分析器であり、前記試料が血液試料である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記使い捨ての流体カートリッジが対照使い捨て流体カートリッジであり、前記方法が、前記対照使い捨て流体カートリッジを使用して分析結果を得る工程と、前記分析結果が予測された範囲内にあるか否かを判断する工程とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記対照使い捨て流体カートリッジが比較的一定の間隔で挿入され分析される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
使い捨ての流体カートリッジを前記血液試料分析器に挿入する工程と、前記対照使い捨て流体カートリッジを前記分析器に挿入する前に、血液試料を前記使い捨ての流体カートリッジに1回または複数回供給する工程とをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
校正使い捨て流体カートリッジを前記分析器に挿入する工程と、前記校正使い捨て流体カートリッジを使用して分析結果を得る工程と、前記結果に基づいて前記分析器が前記分析器の1つまたは複数の校正パラメータを調節する工程とをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記校正使い捨て流体カートリッジが比較的一定の間隔で前記分析器に挿入される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
フローチャネルおよび前記フローチャネルと流体連通している流量センサとを有する流体カートリッジと、
前記フローチャネル内に流体のフローを提供する圧力源と、
前記流量センサに結合された、前記フローチャネルを通る流量の1つまたは複数の変化を検出するように適合されたコントローラとを備える、分析器。
【請求項37】
前記コントローラが、前記流量の前記1つまたは複数の変化から、前記フローチャネル内の1つまたは複数の泡を検出するように適合された、請求項36に記載の分析器。
【請求項38】
前記コントローラが、前記流量の前記1つまたは複数の変化から、前記フローチャネル内の閉塞または部分的な閉塞を検出するように適合された、請求項36に記載の分析器。
【請求項39】
前記流量センサが、通電されると前記流体中に1つまたは複数の熱パルスを生成する加熱要素を含み、前記加熱要素の上流および/または下流に配置されて、前記1つまたは複数の熱パルスを検出する1つまたは複数の熱センサをさらに含む、請求項36に記載の分析器。
【請求項40】
前記コントローラが、前記流体の熱伝導率の1つまたは複数の変化を検出するように適合された、請求項39に記載の分析器。
【請求項41】
前記コントローラが、前記流体の熱伝導率の前記1つまたは複数の変化によって、前記流体中の1つまたは複数の泡を検出するように適合された、請求項39に記載の分析器。
【請求項42】
前記コントローラが、前記流体の比熱の1つまたは複数の変化を検出するように適合された、請求項39に記載の分析器。
【請求項43】
前記コントローラが、前記流体の比熱の前記1つまたは複数の変化によって、前記流体中の1つまたは複数の泡を検出するように適合された、請求項42に記載の分析器。
【請求項44】
フローチャネルおよび前記フローチャネルと流体連通しているインピーダンスセンサとを有する流体カートリッジと、
前記フローチャネル内に流体のフローを提供する圧力源と、
前記インピーダンスセンサに結合された、前記フローチャネル内の前記流体のインピーダンスの1つまたは複数の変化を検出するように適合されたコントローラとを備える、分析器。
【請求項45】
前記コントローラが、前記フローチャネル内の前記流体のインピーダンスの前記1つまたは複数の変化から、前記フローチャネル内の1つまたは複数の泡を検出するように適合された、請求項43に記載の分析器。
【請求項46】
前記コントローラが、前記フローチャネル内の前記流体のインピーダンスの前記1つまたは複数の変化から、前記フローチャネル内に1つまたは複数の望ましくない物体が存在することを検出するように適合された、請求項44に記載の分析器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−537453(P2007−537453A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513399(P2007−513399)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/016769
【国際公開番号】WO2005/114142
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/016769
【国際公開番号】WO2005/114142
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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