説明

取引システム、情報入力方法及び情報入力プログラム

【課題】 カナ漢字混じり文が苦手な顧客が、振込取引を単独で容易に実行できる自動取引装置を提供する。
【解決手段】 この自動取引装置において、振込先の金融機関名や本支店名を候補からの選択によって入力させる画面には、カナ漢字混じりの候補表記を、ローマ字の候補表記に切り替えるためのキーアイコンを設けておく。このキーアイコンが操作されたときには、カナ漢字混じりに対応するカナ列を、カナ・ローマ字変換ルーチンを用いてローマ字に変換し、ローマ字による候補表記に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引システム、情報入力方法及び情報入力プログラムに関し、例えば、自動取引装置(ATM;Automatic Teller Machine)による振込取引の振込先の入力方法に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
自動取引装置やインターネットバンキングやネット決済システム等の取引システムにおいては、金融機関名や本支店名を含めた口座情報を入力しなければならないことも多い。また、公共料金等の自動振替の契約を行う自動振替契約システムも、金融機関名や本支店名を含めた口座情報を入力しなければならないこともある。
【0003】
例えば、自動取引装置における振込取引では、振込先の口座情報を入力しなければならない。この場合において、金融機関名や本支店名を文字入力させるのは、顧客の負担が大きく、また、1取引当たりに要する時間も長くなる。そのため、従来、金融機関名や本支店名を顧客に選択させるための振込先選択用ファイルデータを自動取引装置が保持し、処理段階に応じて、金融機関名の名称や本支店名の名称を選択候補として表示し、顧客に選択させることが行われている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−307667号公報
【特許文献2】特開2006−79512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の場合、金融機関名や本支店名の候補表示は、振込先入力用ファイルデータとして記憶されているものをそのまま表示するため、例えば、振込先入力用ファイルデータが日本語の漢字とカナで構成されている場合には、日本語で表示する。
【0006】
しかしながら、日本語が不得意な顧客もおり、そのような顧客は、振込先を選択、入力できないか、過去に記載したメモ等を見て長時間をかけて選択、入力し、又は、ロビーアシスタントに補助してもらって振込先を入力していた。補助入力の場合、顧客は正しく入力されたか不安が付きまとう。日本語から英語等の他言語に切り替えてガイダンス表示などを行うことができる自動取引装置もある。しかし、このような自動取引装置は、振込取引については、他言語のガイダンス表示などの対象になっていなかったり、他言語のガイダンス表示などの対象になっていても金融機関名や本支店名の選択の候補表示は、振込先入力用ファイルデータの記述言語である日本語のままであったりする。
【0007】
そのため、所定言語の文字で記述されたデータの内容を適宜表示して情報を入力させる取引を、上記所定言語が不得意な者であっても、単独で容易に実行することができる取引システム、情報入力方法及び情報入力プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、利用者に入力画面を提示して利用者に取引に係る情報を入力させる取引システムにおいて、(1)上記入力画面の全面又は一部における文字列表記を、基本文字の文字列から、第1の表音文字の文字列へ変換する利用者からの指示を取り込む変換指示取込手段と、(2)上記基本文字そのものである、若しくは、基本文字の要素となっていて基本文字の文字列を当該文字だけの文字列に置き換えられる第2の表音文字を、上記第1の表音文字に変換する表音文字変換手段と、(3)上記変換指示取込手段が利用者からの指示を取り込んだときに、上記表音文字変換手段による上記第2の表音文字から上記第1の表音文字への変換を実行させ、上記入力画面を、上記第1の表音文字の文字列を含むものに構成し直す入力画面変換手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明は、利用者に入力画面を提示して利用者に取引に係る情報を入力させる取引システムの情報入力方法において、(1)変換指示取込手段は、上記入力画面の全面又は一部における文字列表記を、基本文字の文字列から、第1の表音文字の文字列へ変換する利用者からの指示を取り込み、(2)表音文字変換手段は、上記基本文字そのものである、若しくは、基本文字の要素となっていて基本文字の文字列を当該文字だけの文字列に置き換えられる第2の表音文字を、上記第1の表音文字に変換し、(3)入力画面変換手段は、上記変換指示取込手段が利用者からの指示を取り込んだときに、上記表音文字変換手段による上記第2の表音文字から上記第1の表音文字への変換を実行させ、上記入力画面を、上記第1の表音文字の文字列を含むものに構成し直すことを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の情報入力プログラムは、利用者に入力画面を提示して利用者に取引に係る情報を入力させる取引システムに搭載されるコンピュータを、(1)上記入力画面の全面又は一部における文字列表記を、基本文字の文字列から、第1の表音文字の文字列へ変換する利用者からの指示を取り込む変換指示取込手段と、(2)上記基本文字そのものである、若しくは、基本文字の要素となっていて基本文字の文字列を当該文字だけの文字列に置き換えられる第2の表音文字を、上記第1の表音文字に変換する表音文字変換手段と、(3)上記変換指示取込手段が利用者からの指示を取り込んだときに、上記表音文字変換手段による上記第2の表音文字から上記第1の表音文字への変換を実行させ、上記入力画面を、上記第1の表音文字の文字列を含むものに構成し直す入力画面変換手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定言語の文字で記述されたデータの内容を適宜表示して情報を入力させる取引を、上記所定言語が不得意な者であっても、単独で容易に実行することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態の自動取引装置の外観を示す斜視図である。
【図2】実施形態の自動取引装置における制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態の自動取引装置における振込先入力用ファイルデータの一構成例を示す説明図(その1)である。
【図4】実施形態の自動取引装置における振込先入力用ファイルデータの一構成例を示す説明図(その2)である。
【図5】実施形態の自動取引装置における振込取引動作を示すフローチャートである。
【図6】実施形態の自動取引装置における金融機関種類の第1の選択画面を示す説明図である。
【図7】実施形態の自動取引装置における金融機関種類の第2の選択画面を示す説明図である。
【図8】実施形態の自動取引装置におけるカナ・ローマ字変換フラグが「ON」のときの金融機関名の選択画面の下半分の表示例を示す説明図である。
【図9】実施形態の自動取引装置におけるカナ・ローマ字変換フラグが「ON」のときの本支店名の第1音選択画面の下半分の表示例を示す説明図である。
【図10】実施形態の自動取引装置におけるカナ・ローマ字変換フラグが「ON」のときの本支店名の選択画面の下半分の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による取引システム、情報入力方法及び情報入力プログラムを、自動取引装置(ATM)に適用した一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態に係る自動取引装置1の外観を示す斜視図である。実施形態の自動取引装置1は、表示・入力部2、紙幣入出金口3、硬貨入出金口4、カード出入口5、通帳出入口6などを備えている。
【0015】
表示・入力部2は、表示部と、その上面側に設けられているタッチパネル式の入力部とを備え、顧客の操作により各種の入力を行なうと共に、操作ガイダンス等が表示されるものである。
【0016】
紙幣入出金口3は、紙幣が投入されると共に、紙幣が排出される開口部である。紙幣入出金口3にはシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより紙幣入出金口3が開閉される。
【0017】
硬貨入出金口4は、硬貨が投入されると共に、硬貨が排出される開口部である。硬貨入出金口4にもシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより硬貨入出金口4が開閉される。
【0018】
カード出入口5は、取引で使用されるカード(磁気カード、ICカードなど記録方式は問われない;キャッシュカード、クレジットカードなど発行元は問われない)がここから挿入され、取引が終了するとカードが排出される出入り口である。なお、カード出入口5から、取引内容が記載された明細票が排出されることもあり得る。
【0019】
通帳出入口6は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了すると通帳が排出される出入り口である。
【0020】
図2は、実施形態の自動取引装置1における制御系の構成を示すブロック図である。図2において、自動取引装置1は、各部の制御を司る主制御部20と、上述した表示・入力部2、キャッシュカード等のカードに記録された情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を音声出力する音声案内部22、通帳の磁気ストライプのリードライトや通帳への印字制御を行う通帳処理部23、取引明細を明細票に印字して排出する明細票処理部24、紙幣の取込みや排出を行う紙幣処理部25、硬貨の取込みや排出を制御する硬貨処理部26を有する。また、自動取引装置1は、各部に電源を供給する電源部27、主制御部20の記憶部としてのメモリ部28、図示しない当該金融機関のホストコンピュータとのインタフェースを制御するインタフェース部29を有する。
【0021】
主制御部20は、例えば、主にマイクロコンピュータなどで構成されており、当該自動取引装置1の動作全体を制御するものである。メモリ部28は、例えば、プログラムメモリやワーキングメモリや設定データメモリとして適用される。主制御部20(マイクロコンピュータ)は、プログラムメモリに格納されているプログラムや設定データメモリに設定されているデータに従い、ワーキングメモリを、情報を一時的に記憶するメモリとして用いながら、各部を制御する。
【0022】
メモリ部28に記憶されているプログラムとしては、振込取引プログラム28aなどがある。振込取引プログラム28aを構成するサブルーチン(サブプログラム)の一つとして、カナ・ローマ字変換ルーチンがある。メモリ部28に記憶されている設定データとしては振込先入力用ファイルデータ28bやカナ・ローマ字変換用データ28cやローマ字選択用配列データ28dがある。メモリ部28に適宜記憶される作業データ(ワーキングデータ)としては、金融機関名、本支店名、口座種類、口座番号、口座名義人などの振込先口座に係るデータ28eや、カナ・ローマ字変換フラグ28fがある。
【0023】
図3及び図4はそれぞれ、振込先入力用ファイルデータ28bの一構成例を示す説明図である。振込先入力用ファイルデータ28bは、図3に示す当該自動取引装置1が所属する金融機関(以下、当該金融機関と呼ぶ)のデータ部28b1と、図4に示す他の金融機関のデータ部28b2とからなる。両データ28b1、28b2はそれぞれ、機能的には、階層構造のデータとなっている。金融機関名や本支店名などの名称データは、カナ(ここでは「ひらがな」とする)表記と漢字表記の併記データとなっている。図3は、当該金融機関名の漢字表記が「沖銀行」でカナ表記が「おきぎんこう」である場合を示している。
【0024】
当該金融機関のデータ部28b1は、当該金融機関名をトップノードとし、その下位ノードとしてカナの50音がそれぞれ設けられている(但し、その音をカナ表記の第1番目の音としている本支店がない場合、その音のノードは省略されている)。各音のノードには、その音をカナ表記の第1番目の音としている本支店の本支店名データのノードが接続されている(このような接続ノードが複数ある場合には、第2番目の音を50音順に整理した順序にノードが整理されている)。
【0025】
他の金融機関のデータ部28b2は、漢字表記が「他の金融機関」でカナ表記が「たのきんゆうきかん」をトップノードとし、その下位ノードには、金融機関を分類したグループ名のノードが設けられている。図4は、グループ名ノードが「銀行;ぎんこう」、「信託銀行;しんたくぎんこう」、…、「漁業協同組合;ぎょぎょうきょうどうくみあい」、「外国銀行;がいこくぎんこう」である場合を示している。グループ名ノードの下位ノートして、そのグループ名に属する金融機関名(カナ表記及び漢字表記で表閾されている)のそれぞれが、カナの50音順に整列されて設けられている。各金融機関名のノードの下位側は、当該金融機関のデータ部28b1と同様な構造をしている。すなわち、各金融機関名のノードの下位ノードとしてカナの50音がそれぞれ設けられており、各音のノードには、その音をカナ表記の第1番目の音としている本支店の本支店名データのノードが接続されている。
【0026】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る自動取引装置1の振込取引動作を説明する。ここで、図5は、自動取引装置1における振込取引の特徴動作(振込先入力動作)を示すフローチャートである。主制御部20が、振込取引プログラム28aを実行することによって図5に示すような振込先入力動作を行う。なお、自動取引装置1は、振込取引については、日本語以外の他言語のガイダンス表示の対象になっていないものとする。
【0027】
表示・入力部2に図示しない取引選択画面を表示させているときに、顧客によって、「振込取引」が選択されると、主制御部20は、振込取引動作を実行する。振込取引動作は、振込金額を現金で賄うか口座の残高から賄うかを選択させる動作や、口座の残高から賄う場合に通帳やキャッシュカードから口座を特定させる動作や、振込先を入力させる動作や、振込金額を指定させる動作や、振込先へ振込金額を移動させるためホストコンピュータ側と通信する動作などを含む。
【0028】
この実施形態の自動取引装置1は、振込先を入力させる動作に特徴を有する。顧客が振込先を入力する方法としては、予め登録している過去に振込を行った振込先候補から選択する方法と、金融機関名や本支店名や口座種類や口座番号など振込先口座の情報を入力していく方法とがある。
【0029】
振込先の入力動作に入り、振込先口座情報を入力する方法が選択されたときに、主制御部20は、図5に示す動作を開始する。そしてまず、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fを初期値のOFFにセットした後(ステップS100)、図6に示す金融機関種類の選択画面を表示・入力部2に表示させる(ステップS101)。
【0030】
金融機関種類の選択画面は、選択肢を漢字やカナで表記している図6に示すような第1の選択画面と、選択肢をローマ字(アルファベット)で表記している図7に示すような第2の選択画面とがある。
【0031】
金融機関種類の第1の選択画面は、図6に示すように、「お振込先の金融機関種類を押してください。」というガイダンスメッセージ、「沖銀行」、「銀行」、「信託銀行」、…、「漁業協同組合」、「外国銀行」などの金融機関の種類を選択させるためのキーアイコン、「The Roman alphabet:ローマ字入力」という2段書きの表記切替キーアイコン30、入力された金融機関名を表示するフィールド、入力された本支店名を表示するフィールドなどを含んでいる。金融機関の種類として、当該自動取引装置1が属する金融機関名「沖銀行」を表示して選択可能としたのは、同一の金融機関の口座を振込先として指定することが多いことに基づいている。表記切替キーアイコン30は、漢字やカナで表記されている選択肢をローマ字(アルファベット)で表記することに切り替えることを指示するためのものである。「沖銀行」、「銀行」、「信託銀行」、…、「漁業協同組合」、「外国銀行」などの選択肢のキーアイコンに表記する文字列は、振込先入力用ファイルデータ28bから取出したものである。
【0032】
金融機関種類の第2の選択画面は、図7に示すように、「お振込先の金融機関種類を押してください。」というガイダンスメッセージ、「OKIGINKOU」、「GINKOU」、「SINTAKUGINKOU」、…、「GYOGYOUKYOUDOUKUMIAI」、「GAIKOKUGINKOU」などの金融機関の種類を選択させるためのキーアイコン、「漢字・カナ入力」と記載されている表記切替キーアイコン31、入力された金融機関名を表示するフィールド、入力された本支店名を表示するフィールドなどを含んでいる。表記切替キーアイコン31は、ローマ字(アルファベット)で表記されている選択肢を漢字やカナで表記することに切り替えることを指示するためのものである。「OKIGINKOU」、「GINKOU」、「SINTAKUGINKOU」、…、「GYOGYOUKYOUDOUKUMIAI」、「GAIKOKUGINKOU」などの選択肢のキーアイコンに表記する文字列は、振込先入力用ファイルデータ28bから取出したカナを、カナ・ローマ字変換ルーチンを適用してローマ字に変換したものである。
【0033】
図6又は図7に示す金融機関種類の選択画面を表示させている場合においては、主制御部20は、いずれかのキーアイコンが操作されることを待ち受け、操作されると、どのキーアイコンが操作されたかを判別する(ステップS102)。
【0034】
表記切替キーアイコン30又は31が操作された場合には、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値を反転し(ステップS103)、反転した後のカナ・ローマ字変換フラグ28fの値に応じて定まる金融機関種類の第1又は第2の選択画面を表示させた後(ステップS104)、ステップS102の判別に戻る。ステップS104によって、第1の選択画面が新たな表示画面になる場合には、主制御部20は、「沖銀行」、「銀行」、「信託銀行」、…、「漁業協同組合」、「外国銀行」などの選択肢の文字列を、振込先入力用ファイルデータ28bから取出す。一方、ステップS104によって、第2の選択画面が新たな表示画面になる場合には、主制御部20は、振込先入力用ファイルデータ28bから選択肢に対応するカナを取り出し、カナ・ローマ字変換ルーチンを適用してローマ字に変換した、「OKIGINKOU」、「GINKOU」、「SINTAKUGINKOU」、…、「GYOGYOUKYOUDOUKUMIAI」、「GAIKOKUGINKOU」などの選択肢の文字列として表記させる。
【0035】
金融機関種類の選択画面を表示させている場合において、いずれかの金融機関の種類を特定しているキーアイコンが選択された場合には、主制御部20は、選択された金融機関の種類に属する金融機関名を選択させる選択画面を表示させる(ステップS105)。
【0036】
金融機関名の選択画面の図示は省略するが、図6及び図7に示す金融機関種類の選択画面と同様な構成を有する。すなわち、金融機関名の選択画面は、上半分に、「お振込先の金融機関名を押してください。」というガイダンスメッセージ、「The Roman alphabet:ローマ字入力」若しくは「漢字・カナ入力」と記載されている表記切替キーアイコン、入力された金融機関名を表示するフィールド、入力された本支店名を表示するフィールドなどを含み、下半分に、金融機関名を選択させるためのキーアイコン(選択肢アイコン)が配列されている。なお、選択された金融機関の種類に属する金融機関名が多い場合には、金融機関名の選択画面として複数画面構成とし、画面を前後に切り替えられるようにする。若しくは、金融機関名の選択肢部分をスクロールできるようにしても良い。
【0037】
金融機関名の選択画面を表示させる際に、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「OFF」であれば、主制御部20は、表記切替キーアイコンとして「The Roman alphabet:ローマ字入力」と記載されているものを表示すると共に、金融機関名の選択肢として漢字やカナで表記されたものを表示する。この選択肢に表示する漢字やカナは、振込先入力用ファイルデータ28bから取出したものである。金融機関名の選択画面を表示させる際に、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「ON」であれば、主制御部20は、表記切替キーアイコンとして「漢字・カナ入力」と記載されているものを表示すると共に、金融機関名の選択肢としてローマ字で表記されたものを表示する。この選択肢に表示するローマ字は、振込先入力用ファイルデータ28bから取出された選択肢に対応するカナを、カナ・ローマ字変換ルーチンを適用してローマ字に変換したものである。図8は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「ON」のときの金融機関名の選択画面における下半分の表示例を示す説明図である。図8における「MIZUHO」、「MITO」、「MINATO」、…などは、振込先入力用ファイルデータ28bから取出された「みずほ」、「みと」、「みなと」などが、カナ・ローマ字変換ルーチンによってローマ字に変換されたものである。
【0038】
金融機関名の選択画面を表示させている場合においては、主制御部20は、いずれかのキーアイコンが操作されることを待ち受け、操作されると、どのキーアイコンが操作されたかを判別する(ステップS106)。
【0039】
金融機関名の選択画面における表記切替キーアイコン(図6、図7の符号30、31参照)が操作された場合には、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値を反転し(ステップS107)、反転した後のカナ・ローマ字変換フラグ28fの値に応じて定まる金融機関名の選択画面を表示させた後(ステップS108)、ステップS106の判別に戻る。
【0040】
金融機関名の選択画面を表示させている場合において、いずれかの金融機関名を特定しているキーアイコンが選択された場合には、主制御部20は、選択された金融機関名を、金融機関名を表示するフィールドに書き入れた後(ステップS109)、その金融機関の本支店名の第1音を選択させる選択画面を表示させる(ステップS110)。
【0041】
ここで、選択された金融機関名を、金融機関名を表示するフィールドに表示させる場合において、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値に拘わらず、常に、漢字、カナで記述された金融機関名を表示させるようにしても良い。また、選択された金融機関名を、金融機関名を表示するフィールドに表示させる場合において、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fがOFFであれば漢字、カナで記述された金融機関名を表示させ、カナ・ローマ字変換フラグ28fがONであればローマ字で記述された金融機関名を表示させるようにしても良い。
【0042】
金融機関の本支店名の第1音選択画面における上半分は、図6及び図7に示す金融機関種類の選択画面の上半分と同様な構成を有する。すなわち、金融機関の本支店名の第1音選択画面の上半分は、「本支店名の最初の1音を押してください。」というガイダンスメッセージ、「The Roman alphabet:ローマ字入力」若しくは「漢字・カナ入力」と記載されている表記切替キーアイコン、入力された金融機関名を表示するフィールド(このフィールドには文字列が記述されている)、入力された本支店名を表示するフィールド(このフィールドは空のフィールドになっている)などを含む。金融機関の本支店名の第1音選択画面における下半分は、本支店名の最初の1音を選択させる選択肢が配列されている。
【0043】
金融機関の本支店名の第1音選択画面を表示させる際に、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「OFF」であれば、主制御部20は、表記切替キーアイコンとして「The Roman alphabet:ローマ字入力」と記載されているものを表示すると共に、金融機関の本支店名の第1音の選択肢としてカナで表記されたものを表示する。これに対して、金融機関の本支店名の第1音選択画面を表示させる際に、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「ON」であれば、主制御部20は、表記切替キーアイコンとして「漢字・カナ入力」と記載されているものを表示すると共に、金融機関名の本支店名の第1音選択肢としてローマ字で表記されたものを表示する。図9は、金融機関の本支店名の第1音選択画面を表示させる際にカナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「ON」であった場合に、下半分に表示される第1音選択肢のローマ字配列の一例を示す説明図である。このようなローマ字配列データは、ローマ字選択用配列データ28dとしてメモリ部28に格納されている。ローマ字配列データとカナ配列データとは、ローマ字と対応するカナの選択肢位置が同じになっているものであっても良いが、例えば、カナ「フ」に対応するローマ字として「FU」や「HU」の両方を認めるように、ローマ字配列データとカナ配列データとは、ローマ字と対応するカナの選択肢位置が異なっているものであっても良い。
【0044】
金融機関の本支店名の第1音選択画面を表示させている場合においては、主制御部20は、いずれかのキーアイコンが操作されることを待ち受け、操作されると、どのキーアイコンが操作されたかを判別する(ステップS111)。
【0045】
金融機関の本支店名の第1音選択画面における表記切替キーアイコン(図6、図7の符号30、31参照)が操作された場合には、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値を反転し(ステップS112)、反転した後のカナ・ローマ字変換フラグ28fの値に応じて定まる第1音選択画面を表示させた後(ステップS113)、ステップS111の判別に戻る。
【0046】
金融機関の本支店名の第1音選択画面を表示させている場合において、いずれかの音を特定しているキーアイコンが選択された場合には、主制御部20は、選択された音を第1音としているいずれかの本支店名を選択させる選択画面を表示させる(ステップS114)。
【0047】
金融機関の本支店名の選択画面における上半分は、図6及び図7に示す金融機関種類の選択画面の上半分と同様な構成を有する。すなわち、金融機関の本支店名の選択画面の上半分は、「本支店名を選択してください。」というガイダンスメッセージ、「The Roman alphabet:ローマ字入力」若しくは「漢字・カナ入力」と記載されている表記切替キーアイコン、入力された金融機関名を表示するフィールド(このフィールドには文字列が記述されている)、入力された本支店名を表示するフィールド(このフィールドは空のフィールドになっている)などを含む。金融機関の本支店名の選択画面における下半分は、選択された音を最初の音としている本支店名を選択させる選択肢が配列されている。なお、選択された音を最初の音としている本支店名が多い場合には、本支店名の選択画面として複数画面構成とし、画面を前後に切り替えられるようにする。若しくは、本支店名の選択肢部分をスクロールできるようにしても良い。
【0048】
本支店名の選択画面を表示させる際に、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「OFF」であれば、主制御部20は、表記切替キーアイコンとして「The Roman alphabet:ローマ字入力」と記載されているものを表示すると共に、本支店名の選択肢として漢字やカナで表記されたものを表示する。この選択肢に表示する漢字やカナは、振込先入力用ファイルデータ28bから取出したものである。本支店名の選択画面を表示させる際に、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「ON」であれば、主制御部20は、表記切替キーアイコンとして「漢字・カナ入力」と記載されているものを表示すると共に、本支店名の選択肢としてローマ字で表記されたものを表示する。この選択肢に表示するローマ字は、振込先入力用ファイルデータ28bから取出された選択肢に対応するカナを、カナ・ローマ字変換ルーチンを適用してローマ字に変換したものである。図10は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値が「ON」のときの本支店名の選択画面における下半分の表示例を示す説明図であり、本支店名の最初の音として「A」が選択された場合の図面である。図10における「AOYAMA」、「AKASAKA」、「AKIHABARA」、…などは、振込先入力用ファイルデータ28bから取出された「あおやま」、「あかさか」、「あきはばら」、…などが、カナ・ローマ字変換ルーチンによってローマ字に変換されたものである。
【0049】
本支店名の選択画面を表示させている場合においては、主制御部20は、いずれかのキーアイコンが操作されることを待ち受け、操作されると、どのキーアイコンが操作されたかを判別する(ステップS115)。
【0050】
本支店名の選択画面における表記切替キーアイコン(図6、図7の符号30、31参照)が操作された場合には、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値を反転し(ステップS116)、反転した後のカナ・ローマ字変換フラグ28fの値に応じて定まる本支店名の選択画面を表示させた後(ステップS117)、ステップS115の判別に戻る。
【0051】
本支店名の選択画面を表示させている場合において、いずれかの本支店名を特定しているキーアイコンが選択された場合には、主制御部20は、選択された本支店名を、本支店名を表示するフィールドに表示させた後(ステップS118)、振込先の口座種類(普通、当座など)を選択させる選択画面を表示させる(ステップS119)。
【0052】
ここで、選択された本支店名を、本支店名を表示するフィールドに表示させる場合において、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値に拘わらず、常に、漢字、カナで記述された本支店名を表示させるようにしても良い。また、選択された本支店名を、本支店名を表示するフィールドに表示させる場合において、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fがOFFであれば漢字、カナで記述された本支店名を表示させ、カナ・ローマ字変換フラグ28fがONであればローマ字で記述された本支店名を表示させるようにしても良い。
【0053】
上述した図6又は図7に示す金融機関種類の選択画面を表示させている場合において、当該自動取引装置1が所属する金融機関(すなわち、沖銀行)を特定しているキーアイコンが選択された場合には、主制御部20は、その金融機関名を、金融機関名を表示するフィールドに書き入れる上述したステップS109に移行する。
【0054】
振込先の口座種類を選択させ、口座番号を入力させる処理や、振込先の口座名義人を入力させる処理(なお、振込先の金融機関側から口座種類や口座番号に基づいて取出す処理であっても良い)や、振込人を入力させる処理や、取引送信電文や取引履歴情報をホストコンピュータ側に送信したりする処理は、既存の自動取引装置の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0055】
なお、カナ・ローマ字変換フラグ28fがONになっていて、振込先の金融機関名や本支店名をローマ字で表示する場合であっても、取引送信電文や取引履歴情報における金融機関名や本支店名の記述は、カナ・ローマ字変換元の振込先入力用ファイルデータ28bにおけるカナ・漢字の表記(カナ・漢字データ)を適用する。ローマ字表記は、あくまでも顧客の便宜のためのものである。
【0056】
振込取引における最後の方の処理として、主制御部20は、振込取引の内容を印刷した明細票を発行する処理を実行する(ステップS120)。
【0057】
ここで、振込先の金融機関名や本支店名を明細票に印刷させる際に、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値に拘わらず、常に、漢字、カナで記述された金融機関名や本支店名を印刷させるようにしても良い。また、振込先の金融機関名や本支店名を明細票に印刷させる際に、主制御部20は、カナ・ローマ字変換フラグ28fがOFFであれば漢字、カナで記述された金融機関名や本支店名を明細票に印刷させ、カナ・ローマ字変換フラグ28fがONであればローマ字で記述された金融機関名や本支店名を明細票に印刷させるようにしても良い。
【0058】
以上のように、顧客は、カナ・漢字若しくはローマ字のうちの所望する方で、振込先に係る金融機関の種類、金融機関名、本支店名の候補を表示させて、選択入力することができる。
【0059】
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態によれば、金融機関名や本支店名などの発音(ローマ字)は知っているが、カナ・漢字を読むことができないようなカナ・漢字が不得意な顧客であっても、単独で容易に振込取引を実行することができる。
【0060】
ここで、金融機関名のローマ字をファイルデータとして持たせておくと記憶すべきデータ量が多く、メモリとして大容量のものが必要となるが、上記実施形態によれば、カナを記憶しておき、それをローマ字に変換するようにしたので、ローマ字による入力方法を適用しても記憶容量をほとんど増大させることはない。
【0061】
(B)他の実施形態
上記実施形態では、カナを変換するローマ字が1種類のものを示したが、ローマ字の複数の体系の中から、顧客が希望するローマ字の体系を選択できるようにしても良い。例えば、カナ「し」を、「si」に変換するローマ字体系と、「shi」に変換するローマ字体系との中から、顧客がローマ字体系を選択できるようにしても良い。
【0062】
カナを変換する表音文字は、ローマ字に限定されるものではなく、ハングル(朝鮮語)やピンイン(中国語)に変換し得るようにしても良い。さらに、変換元の表音文字もカナに限定されるものではない。例えば、ハングルを基本的な表記に用いる自動取引装置の場合、ハングルをローマ字に変換する機能を設けるようにしても良い。
【0063】
上記実施形態では、ガイダンスメッセージは、カナ・ローマ字変換フラグ28fの値に拘わらずカナ漢字混じり文で表示するものを示したが、カナ・ローマ字変換フラグ28fがONのときには、ガイダンスメッセージもローマ字で表示するようにしても良い。この場合も、ガイダンスメッセージのカナ文字列を記憶しておき、カナ・ローマ字変換を通じてローマ字列を得るようにしても良い。他の表示文字列についても、同様に、ローマ字で表示するようにしても良い。例えば、振込先や依頼人などを確認させる画面に表示するカナ文字列も、カナ・ローマ字変換フラグ28fがONのときには、ローマ字に変換して表示するようにしても良い。
【0064】
上記実施形態では、振込取引は英語(若しくは他の外国語)の表示対象でないものを示したが、取引選択画面を英語表記に切り替えた後、振込取引が選択された場合には、カナ・ローマ字変換フラグ28fの初期値をONとするようにしても良い。
【0065】
上記実施形態では、自動取引装置に本発明を適用したものを示したが、本発明の適用対象は自動取引装置に限定されるものではない。例えば、インターネットバンキングにおける振込取引で振込先を入力する場合に本発明を適用することができる。また例えば、ネット決済システムで決済口座を入力する際に本発明を適用することができる。さらに、例えば、公共料金等の自動振替の契約を行う自動振替契約システムで、振替元や振替先の口座情報を入力する際に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…自動取引装置、2…表示・入力部、20…主制御部、28…メモリ部、28a…振込取引プログラム、28b…振込先入力用ファイルデータ、28c…カナ・ローマ字変換用データ、28d…ローマ字選択用配列データ、28f…カナ・ローマ字変換フラグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に入力画面を提示して利用者に取引に係る情報を入力させる取引システムにおいて、
上記入力画面の全面又は一部における文字列表記を、基本文字の文字列から、第1の表音文字の文字列へ変換する利用者からの指示を取り込む変換指示取込手段と、
上記基本文字そのものである、若しくは、基本文字の要素となっていて基本文字の文字列を当該文字だけの文字列に置き換えられる第2の表音文字を、上記第1の表音文字に変換する表音文字変換手段と、
上記変換指示取込手段が利用者からの指示を取り込んだときに、上記表音文字変換手段による上記第2の表音文字から上記第1の表音文字への変換を実行させ、上記入力画面を、上記第1の表音文字の文字列を含むものに構成し直す入力画面変換手段と
を備えることを特徴とする取引システム。
【請求項2】
上記入力画面が振込取引における振込先に係る金融機関情報を入力させるものであり、上記入力画面変換手段は、上記入力画面における複数の選択肢の文字列を、上記第1の表音文字で表記させることを特徴とする請求項1に記載の取引システム。
【請求項3】
上記基本文字の文字列がカナ漢字混じりの文字列であって、上記第1の表音文字がローマ字であることを特徴とする請求項1又は2に記載の取引システム。
【請求項4】
当該取引システムが自動取引装置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の取引システム。
【請求項5】
利用者に入力画面を提示して利用者に取引に係る情報を入力させる取引システムの情報入力方法において、
変換指示取込手段は、上記入力画面の全面又は一部における文字列表記を、基本文字の文字列から、第1の表音文字の文字列へ変換する利用者からの指示を取り込み、
表音文字変換手段は、上記基本文字そのものである、若しくは、基本文字の要素となっていて基本文字の文字列を当該文字だけの文字列に置き換えられる第2の表音文字を、上記第1の表音文字に変換し、
入力画面変換手段は、上記変換指示取込手段が利用者からの指示を取り込んだときに、上記表音文字変換手段による上記第2の表音文字から上記第1の表音文字への変換を実行させ、上記入力画面を、上記第1の表音文字の文字列を含むものに構成し直す
ことを特徴とする情報入力方法。
【請求項6】
利用者に入力画面を提示して利用者に取引に係る情報を入力させる取引システムを構成するコンピュータを、
上記入力画面の全面又は一部における文字列表記を、基本文字の文字列から、第1の表音文字の文字列へ変換する利用者からの指示を取り込む変換指示取込手段と、
上記基本文字そのものである、若しくは、基本文字の要素となっていて基本文字の文字列を当該文字だけの文字列に置き換えられる第2の表音文字を、上記第1の表音文字に変換する表音文字変換手段と、
上記変換指示取込手段が利用者からの指示を取り込んだときに、上記表音文字変換手段による上記第2の表音文字から上記第1の表音文字への変換を実行させ、上記入力画面を、上記第1の表音文字の文字列を含むものに構成し直す入力画面変換手段と
して機能させることを特徴とする情報入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−20552(P2013−20552A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155181(P2011−155181)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【Fターム(参考)】