説明

取引監視システム

【課題】顧客が存在しない状態でオペレータが不正に取引操作を行うことや取引を実行することを防止する。
【解決手段】金融機関の窓口に設置された窓口端末装置を操作するオペレータ及び顧客を検知する第1、第2のセンサ5、6を備えると共に、窓口端末1の記憶部に取引中少なくとも顧客の在席が必要な条件を保有させ、取引開始後、第1、第2のセンサ5、6を稼動し、第2のセンサ6が顧客を検知しなくなったとき、顧客の在席が必要な条件の場合は、取引を強制終了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関における窓口用端末での取引に対して不正防止等を図るための取引監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のシステムとして、窓口端末に離席キーを設けキーを挿入して正しい暗証番号を入力することで、窓口端末のキー入力をできるようにし、オペレータが席を離れる際、離席キーを窓口端末から抜くことで、窓口端末画のキー入力を受付けないようにしたものがある。
更に、この仕組みを補完するため、下記特許文献に示されているように、取引中のオペレータの存在をセンサにより検知し、離席キーを抜くのを忘れてオペレータが離席した場合、一定時間が経過してもオペレータの存在が検知されない場合に、窓口端末画のキー入力を受け付けないようにしたシステムが提案されている。
【特許文献1】特開2003−067117
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題がある。
例えば、金融機関においては、窓口用端末での取引に対し、取引の種類や、取引の状況等によって顧客の在席が要求されることがあるが、顧客の在席は検知できないため、顧客が離席した状態でオペレータにより取引が実行されてしまうことがあり、その場合オペレータが不正に取引操作を行うことを防止できないという問題がある。
【0004】
また、オペレータにより不正操作が行われた場合、それを後から確認できないという問題もある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、金融機関の窓口に設置された窓口端末装置をオペレータが操作して顧客が依頼した取引を行う場合の取引監視システムであって、オペレータ及び顧客を検知するセンサを備えると共に、窓口端末に取引中少なくとも顧客の在席が必要な条件を保有させ、取引開始後、前記センサを稼動し、センサによる顧客の検知状態を監視して、顧客が検知されなくなったとき前記顧客の在席が必要な条件の場合は、取引を強制終了させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、顧客の在席が必要なときに顧客が席から離れてセンサが顧客を検知しなくなった場合、取引を強制終了させるため、顧客が存在しない状態でオペレータが不正に取引操作を行うことや取引を実行することを防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による取引監視システムの実施例を説明する。
【実施例】
【0008】
図1は実施例を示すシステム構成図である。
図において1は金融機関(銀行等)の営業店の窓口に設けられた窓口端末、2は該営業店内に設けられた現金処理機、3は同じく営業店内に設けられた承認用端末で、これら1〜3はLAN等により接続されている。
窓口端末1は、オペレータが操作の際自身のオペレータ番号を入力した後、オペレータが操作して顧客から依頼された取引を実行するもので、図示しないホストコンピュータにオンライン接続され、現金処理機2は取引に伴う現金の入出金処理を行う機能を有し、承認用端末3は役席権限を有する行員(以下承認者)が操作して各種の承認処理等を行うもので、本実施例においては窓口端末1でオペレータや顧客の不在という事態が発生したとき取引継続の許可、不許可の承認処理を行うために操作されるものとなっている。
【0009】
窓口端末1は、オペレータに対して取引実行に必要な各種の画面や入力された情報等の表示を行うLCD等の表示部、キーボードやマウス等の入力部、制御プログラム等を格納した記憶部、その制御プログラムに基づいて取引時の制御を行う制御部等を有しており、この窓口端末1には、オペレータに取引を依頼した顧客が操作するタッチパネルつきの表示部4が顧客側に向けて設けられている他、窓口端末1を操作するオペレータを検知する第1のセンサ5、オペレータに取引を依頼した顧客を検知する第2のセンサ6、オペレータを録画する第1の録画装置7、オペレータに取引を依頼した顧客を録画する第2の録画装置8、及び取引内容等を記憶するジャーナル部9が設けられ、これらの動作の制御も前記制御部が行うものとなっている。
【0010】
また、本実施例において、窓口端末1でオペレータが処理する取引の種類や取引中の状況に応じて少なくとも顧客の存在が必要な条件が予め設定されていて、その条件が前記記憶部に記憶、保有されている。
例えば、税金や公共料金の納付等はオペレータと顧客の両方の在席が常に必要な取引、入金や出金及び振込等は取引の受付け時及び現金や通帳等の受取り時のみ顧客の在席が必要な取引等のように、取引の種類に応じてオペレータや顧客の存在が必要な条件が設定されていると共に、入金や出金等のように現金の処理が伴う取引においては金額入力時や現金の入出金処理動作中あるいは顧客による暗証番号入力時はオペレータと顧客の両方の在席が常に必要な状況というように、取引中の状況に応じてオペレータや顧客の存在が必要な条件が設定され、記憶部に記憶、保有されている。
【0011】
すなわち、取引種別(入金・出金等)と取引中の処理種別(金額入力時・暗証番号入力時・現金処理機動作時等)を管理してそれぞれにオペレータと顧客の在席の要否情報が設定されている。
窓口端末1の制御部は、これらの情報に基づいて第1、第2のセンサ5、6、及び第1、第2の録画装置7、8を稼動させると共に、例えば現金処理機2の動作時はオペレータと顧客が共に在席している必要がある等の条件に応じて、第1、第2のセンサ5、6の検知状態を判断して取引の継続や、承認依頼を実行する等の制御を行うものとなっている。
【0012】
ここでは、要の場合は在席必須、否の場合は在席必須でない、つまり在席していても不在でもよいものとする。
尚、取引種別と処理種別とで設定されている在席の要否が一致しない場合は、処理種別に設定されている要否情報が優先される。
【0013】
ここで、例えば取引種別=出金については在席情報がオペレータ=要、顧客=否であるとし、これにより前記制御部は、出金取引の処理そのものは顧客がいなくともオペレータのみで開始し、処理を実行するように制御する。
こうすることによって、例えば受付番号が発行されている顧客を呼び出した後に、顧客が窓口に到着する前に顧客が行う取引を開始して待つ、というようなことも可能である。(顧客が行う取引の情報は、例えば受付番号発行時に受付機で顧客に取引種別を指定させておき、呼び出し時に窓口端末1に表示するようにしてオペレータに知らせることが出来る)
ここでさらに出金取引中の処理種別=金額入力処理について、在席情報がオペレータ=要、顧客=要であるとする。
【0014】
この場合は、オペレータが出金取引処理を進めることが出来るのは金額入力画面までとなる。
すなわち、金額入力画面までは前記の条件によりオペレータのみで処理を進めることができるが、金額入力エリアへの入力操作は顧客も在席していない場合には受け付けないように制御され、そのため、金額入力はオペレータ、顧客ともに在席していないと行えないことになる。
【0015】
これにより、オペレータまたは顧客のどちらかが在席していない状態では必ず金額入力から先に処理が進められず、取引を成立させないようにでき、加えてオペレータは処理可能な範囲で顧客が窓口にいない状態でも取引処理を進めておくことができる。
また、出金取引中の処理種別=暗証番号入力処理について、在席情報がオペレータ=否、顧客=要であるとする。
【0016】
この場合は、暗証入力画面の暗証番号入力エリアへの入力操作は、顧客のみ在席状態であればよく、これにより、例えばオペレータが顧客の暗証番号を見ないように一旦席をはずす、というようなことが可能となる。
10は金融機関の地区センタ等に設けられた管理端末で、この管理端末10には窓口端末1の録画装置7、8で録画、録音された録画、録音情報を保存するデータベース(DB)11が設けられている。
【0017】
また、この管理端末10は通信回線12を介して窓口端末1や承認用端末3に接続され、相互に通信可能になっている。
上述した構成による実施例の作用について説明する。
尚、以下に説明する各部の窓口端末1、承認用端末3、及び管理端末10の動作は、各端末1、3、10にそれぞれ設けられている図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて、各端末1、3、10にそれぞれ設けられている図示しない制御部により制御されるものとする。
【0018】
図2は実施例の作用を示すフローチャートで、図中にSで示したステップに従って説明する。
営業店の窓口で顧客がオペレータに取引を依頼すると(S1)、オペレータは入力部を操作し、窓口端末1の表示部に表示されている取引選択画面上で顧客が依頼した取引を選択して、その選択した取引のオペレーションを開始する(S2)。
【0019】
窓口端末1の制御部はオペレータが選択した取引の種類を認識し、第1、第2のセンサ5、6と第1、第2の録画装置7、8を稼動させ、オペレータ及び顧客の検知を開始すると共に録画、録音を開始する(S3)。
この第1、第2のセンサ5、6の検知結果は稼動状況として、窓口端末1の表示部に表示されている取引情報を入力するための取引画面内に表示される。
【0020】
図3はこのセンサ稼働状況を表示した画面の例を示す図で、第1、第2のセンサ5、6によりオペレータと顧客がそれぞれ検知されている状態が「オペON」、「顧客ON」のように表示され、また取引が可能であることが「取引OK」として表示されている。
また、第1、第2のセンサ5、6の稼動と連動して稼動が開始された第1、第2の録画装置7、8により取引操作中のオペレータと取引を依頼した顧客がそれぞれ録画され、音声等が録音される。
【0021】
その録画、録音情報は逐次ジャーナル部9に記憶保存されると共に、通信回線12を介して管理端末10に送信され、データベース11に保存される。
窓口端末1を操作するオペレータが取引の処理を実行している間、窓口端末1の制御部は第1、第2のセンサ5、6の出力を監視し、第1、第2のセンサ5、6がオペレータまたは顧客を検知しなくなった場合、制御部は、記憶部に記憶された条件を参照して現在行われている取引がオペレータと顧客の両方の在席が常に必要な取引の受付け時及び現金等の受取り時のみ顧客の在席が必要な取引等のいずれのものかを調べ、取引継続か否かを判断する(S4)。
【0022】
例えば、第2のセンサ6が顧客を検知しなくなった場合、オペレータにより選択された現在の取引は、オペレータと顧客の両方の在席が常に必要な取引であるので、取引継続は不可と判断する。
尚、現在の取引がオペレータと顧客の両方の在席が常に必要な取引ではなく、顧客の在席が必要ではない状況等のときは、第2のセンサ6が顧客を検知しなくなった場合でも、取引は継続と判断する。
【0023】
取引継続は不可と判断した場合、制御部は表示部に表示されている取引画面上の第1、第2のセンサ5、6の稼動状況つまり検知結果を変更する(S5)。
図4はセンサの稼働状況を変更した画面の例を示す図で、この図に示したように図3に比べて「顧客ON」が「顧客OFF」に変更され、また「取引OK」が「取引NG」に変更される。
【0024】
続いて窓口端末1の制御部は、例えば以後の入力を無効にする等により取引を強制終了させ(S6)、同時に表示部の取引画面上に警告メッセージを表示する。
図5は取引画面上に警告メッセージを表示した場合の例を示す図で、この図に示したように取引画面上に、不正行為が検知されたため取引を強制終了した旨の警告メッセージが表示される。
【0025】
この画面を見てオペレータが画面上に表示されている「OK」ボタン13を入力部により操作すると、制御部は表示部に取引選択画面等を表示し、第1、第2のセンサ5、6と第1、第2の録画装置7、8の稼動を停止させて待機状態とする。
また、前記のように取引を強制終了すると、制御部は承認用端末3及び管理端末10に取引の強制終了が発生したことを通知する情報と、強制終了した取引の明細、例えば担当オペレータのオペレータ番号、取引種類、口座番号、取引金額、顧客の氏名等からなる明細と、現金処理実行時の顧客の不在席等の強制終了事由を送信する(S7)。
【0026】
承認用端末3及び管理端末10は窓口端末1から強制終了が発生したことを通知する情報と、強制終了した取引の明細、及び強制終了事由を受信すると、それぞれの制御部が表示部に強制終了発生メッセージを表示する。
図6は承認用端末3及び管理端末10のそれぞれの表示部に表示される強制終了発生メッセージの例を示す図で、この図に示したように表示部に表示された通常画面(承認者やオペレータが通常の業務を行う画面)上に、取引の強制終了が発生したことを知らせると共に、取引の確認を促す旨の内容のメッセージが表示される。
【0027】
この画面を見て承認用端末3を操作する承認者あるいは管理端末10を操作するオペレータが画面上に表示されている「OK」ボタン14を入力部により操作すると、承認用端末3あるいは管理端末10の制御部は表示部に確認画面を表示する。
図7はこの場合の確認画面の例を示す図で、この図に示したように確認画面には承認用端末3及び管理端末10が窓口端末1から受信した強制終了した取引の明細(例えば担当オペレータのオペレータ番号、取引種類、口座番号、取引金額、顧客の氏名等)と、強制終了事由(例えば現金処理実行時の顧客の不在席等)が表示される。
【0028】
そして、確認画面の内容を確認した承認用端末3を操作する承認者あるいは管理端末10を操作するオペレータが画面上に表示されている「確認」ボタン15を入力部により操作すると通常画面に戻されるが、このように承認用端末3及び管理端末10の表示部に確認画面を表示することで、どのオペレータがどの取引でどのタイミングで強制終了になったかを確認することができる。
【0029】
窓口端末1の制御部は、前記のように承認用端末3及び管理端末10に取引の強制終了が発生したことを通知する情報と、強制終了した取引の明細、及び強制終了事由を送信すると、強制終了した取引の明細、及び強制終了事由と共に、第1のセンサ5が顧客の不在席を検知したときのタイミング(金額等の入力中や現金処理中等)や時間等をジャーナル部9に保存する(S8)。
【0030】
一方、前記S4で制御部が第1、第2のセンサ5、6がオペレータまたは顧客を検知していると判断した場合、続いて取引終了か否かを判断し(S9)、取引終了でない場合はS4からの処理を繰返す。
この場合の取引終了か否かの判断は、窓口端末1を操作するオペレータの処理等がすべて終了して、オペレータが入力部により取引終了の旨の情報を入力したか否かにより判断する。
【0031】
窓口端末1の記憶部には、取引毎に第1、第2のセンサ5、6の稼動予想時間(取引実行に要する予想時間)が記憶、保有されており、取引終了の場合、窓口端末1の制御部は前記稼動予想時間と取引開始から終了までの実際の稼働時間(取引実行に要した時間)との比較を行い、センサ稼働時間が正常か否かを判断する。つまり、実際の稼働時間が稼動予想時間に対して予め定めた一定時間以下または一定時間以上相違するかどうかを判断する(S10)。
【0032】
センサ稼働時間が正常な場合、つまり実際の稼働時間が稼動予想時間に対して予め定めた一定時間以上ではなく、また一定時間以下でもない場合は、S8に進んで取引の明細(例えば担当オペレータのオペレータ番号、取引種類、口座番号、取引金額、顧客の氏名等)が第1、第2のセンサ5、6の稼動時間、正常終了情報等と共にジャーナル部9に保存される。
【0033】
センサ稼働時間が正常でない場合、つまり実際の稼働時間が稼動予想時間に対して予め定めた一定時間以上、また一定時間以下の場合、端末装置1の制御部は承認用端末3に承認を依頼する通知と共に、取引明細及び承認発生事由及び録画、録音情報を送信する。
承認用端末3は窓口端末1から承認依頼の通知と承認発生事由を受信すると、制御部が表示部に取引の承認を行うように促す旨のメッセージを表示する。
【0034】
図8は承認用端末3の表示部に表示される承認メッセージの例を示す図で、この図に示したように表示部に表示された通常画面上に、取引の承認を行うように促す旨のメッセージが表示され、承認者により以下の承認処理が実行される(S11)。
すなわち、承認用端末3を操作する承認者が表示部に表示されたメッセージを見て画面上に表示されている「OK」ボタン16を入力部により操作すると、承認用端末3の制御部は表示部に承認画面を表示する。
【0035】
図9はこの場合の承認画面の例を示す図で、この図に示したように承認画面には承認用端末3が窓口端末1から受信した取引明細(例えば担当オペレータのオペレータ番号、取引種類、口座番号、取引金額、顧客の氏名等)と、例えば取引実行時間が想定外である等の承認発生事由が表示され、また同一画面内に録画画像を見るための「録画」ボタン17、取引を承認する「承認OK」ボタン18、取引を承認しない「承認NG」ボタン19が表示される。
【0036】
承認者はこの承認画面の取引明細を見て取引を承認するか否かを判断し、取引を承認して取引を成立させる場合は入力部により「承認OK」ボタン18を操作し、取引を承認せず不成立とする場合は入力部により「承認NG」ボタン19を操作するが、録画録音情報を確認して判断したい場合は入力部により「録画」ボタン17を操作すると、承認用端末3の制御部は録画確認画面を表示部に表示する。
【0037】
図10はこの場合の録画確認画面の例を示す図で、この図に示したように録画確認画面には承認用端末3が窓口端末1から受信した録画情報の画像が表示されると共に、録音情報が承認用端末3に備えられたスピーカーから出力され、更に例えば税納付の取引において時間遅延が発生した等の情報が取引状況として表示される。
この録画確認画面を参考にして承認者は取引を承認するか否かを判断し、画面上に表示されている「確認」ボタン20を入力部により操作すると、承認用端末3の制御部は表示部に再び図9の承認画面を表示する。
【0038】
ここで承認者が取引を承認する場合は入力部により「承認OK」ボタン18を操作し、取引を承認しない場合は入力部により「承認NG」ボタン19を操作すると、その旨の通知が窓口端末1に送信される。
窓口端末1の制御部は取引を承認する旨の通知、または取引を中止する旨の通知を承認端末3から受信すると、表示部に取引成立または不成立の表示を行い、表示部に取引選択画面等を表示し、第1、第2のセンサ5、6と第1、第2の録画装置7、8の稼動を停止させて待機状態とする。
【0039】
尚、取引不成立の場合、顧客から入金現金等を受取っている場合はその現金等を返却し、出金現金が現金処理機2から放出されている場合は、現金処理機2に戻す処理が行われる。
そしてS8に進み、取引成立の場合、取引の明細(例えば担当オペレータのオペレータ番号、取引種類、口座番号、取引金額、顧客の氏名等)が第1、第2のセンサ5、6の稼動時間、取引成立情報等と共にジャーナル部9に保存され、取引不成立の場合は取引の明細(例えば担当オペレータのオペレータ番号、取引種類、口座番号、取引金額、顧客の氏名等)が第1、第2のセンサ5、6の稼動時間、取引不成立情報等と共にジャーナル部9に保存される。
【0040】
尚、上述の例ではオペレータと顧客の両方の在席が常に必要な取引のとき、顧客が席を離れて第2のセンサ6が顧客を検知しなくなったことで取引を強制終了させる場合を説明したが、入金や出金及び振込等は取引のように受付け時及び現金や通帳等の受取り時にのみ顧客の在席が必要なとき、顧客が席を離れて第2のセンサ6が顧客を検知しなくなった場合や、オペレータが離席キーを抜くことなく席を離れて第1のセンサ5がオペレータを検知しなくなった場合、入金や出金等のように現金の処理が伴う取引において現金の入出金処理中、あるいは顧客による暗証番号入力時に第1のセンサ5または第2のセンサ6がオペレータまたは顧客の検知しなくなった場合等にも、取引を強制終了させて承認端末3や管理端末10で取引を確認させることができる。
【0041】
以上説明した実施例によれば、顧客の在席が必要なときに顧客が席から離れてセンサが顧客を検知しなくなった場合や、窓口端末を操作して取引の処理を実行するオペレータが離席キーを抜くことなく席を離れてセンサがオペレータを検知しなくなった場合、取引を強制終了させるため、顧客が存在しない状態でオペレータが不正に取引操作を行うことや取引を実行することを防止することができると共に、顧客による不正行為を防止することができるという効果が得られる。
【0042】
また、取引中センサの稼働状況検知を窓口端末の表示部に表示しているため、オペレータにセンサが稼動していることを意識させることができ、それにより席を離れる際の離席キーの抜き忘れを防止することができるという効果が得られる。
また、録画装置によりオペレータと顧客の双方をそれぞれ録画、録音しているため、不正取引や不正行為等が発見されたとき、その不正取引や不正行為等を誰が行ったかを録画、録音情報により後で確認することができるだけでなく、取引中に録画装置が稼動していることで、不正取引や不正行為等を抑制できるという効果が得られる。
【0043】
また、顧客の存在をセンサにより検知しているため、取引中に顧客がタッチパネルつきの表示部を操作しなければならないときには、オペレータと顧客の両方のセンサが検知していなければタッチパネルつきの表示部の操作が許可されないようにする等、取引の内容や場面に応じた制御を実施することが可能となり、取引の堅確性を向上させることができるという効果が得られる。
【0044】
また、取引の強制終了が発生した場合、その旨の通知と共に、取引明細や強制終了事由等を承認用端末や管理端末に送信して承認者や別のオペレータ等に確認させるため、取引を行う窓口のオペレータの管理が強化されるという効果も得られる。
更に、近接センサの予想稼働時間(取引予想時間)と実際のセンサ稼動時間(取引時間)の間に大きなずれが生じた場合、承認端末で承認を行うようにしているため、取引の堅確性を向上させることができるという効果も得られる。
【0045】
更に、録画装置で録画、録音した録画録音情報を管理センタ等に設けられた管理端末へ送信してデータベースに保管するため、必要に応じて管理センタ等で取引の状況を検閲することが可能となり、この点でもオペレータの管理が強化されるという効果が得られる。
尚、上述した実施例では、金融機関における窓口端末での適用例を説明したが、相談端末等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例を示すシステム構成図
【図2】実施例の作用を示すフローチャート
【図3】センサの稼働状況を表示した画面の例を示す図
【図4】センサの稼働状況を変更した画面の例を示す図
【図5】取引画面上に警告メッセージを表示した場合の例を示す図
【図6】強制終了発生メッセージの例を示す図
【図7】確認画面の例を示す図
【図8】承認メッセージの例を示す図
【図9】承認画面の例を示す図
【図10】録画確認画面の例を示す図
【符号の説明】
【0047】
1 窓口端末
2 現金処理機
3 承認用端末
4 表示部
5 第1のセンサ
6 第2のセンサ
7 第1の録画装置
8 第2の録画装置
9 ジャーナル部
10 管理端末
11 データベース
12 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の窓口に設置された窓口端末装置をオペレータが操作して顧客が依頼した取引を行う場合の取引監視システムであって、
オペレータ及び顧客を検知するセンサを備えると共に、窓口端末に取引中少なくとも顧客の在席が必要な条件を保有させ、
取引開始後、前記センサを稼動し、センサによる顧客の検知状態を監視して、顧客が検知されなくなったとき前記顧客の在席が必要な条件の場合は、取引を強制終了させることを特徴とする取引監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の取引監視システムにおいて、
取引中、前記センサによるオペレータ及び顧客の検知結果を前記窓口端末の表示画面内に表示することを特徴とする取引監視システム。
【請求項3】
請求項1記載の取引監視システムにおいて、
ジャーナル部を備え、
取引終了時に、前記ジャーナル部にセンサの稼働時間を取引の明細と共に保存することを特徴とする取引監視システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の取引監視システムにおいて、
取引承認を行う承認者が操作する承認用端末を備え、
取引が強制終了された場合、強制終了された取引の明細及び強制終了理由を付加したデータを前記窓口端末から前記承認用端末に送信することを特徴とする取引監視システム。
【請求項5】
請求項4記載の取引監視システムにおいて、
前記窓口端末に取引毎のセンサの稼動予測時間を保有させ、
オペレータの処理終了後、該当取引におけるセンサの稼動予測時間と実際のセンサの稼働時間を比較し、センサの稼動予測時間に対して実際のセンサの稼働時間が一定の時間以下または一定の時間以上相違する場合、前記窓口端末から前記承認用端末に取引の明細と承認依頼事由を送信することを特徴とする取引監視システム。
【請求項6】
請求項5記載の取引監視システムにおいて、
オペレータ及び顧客を録画する録画装置を備え、
前記窓口端末から前記承認用端末に取引の明細と承認依頼事由を送信する際、前記録画装置で録画した録画情報も送信することを特徴とする取引監視システム。
【請求項7】
請求項6記載の取引監視システムにおいて、
データベースを有する管理端末を備え、
前記録画装置で録画した録画情報を前記管理端末へ送信して前記データベースに保管することを特徴とする取引監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−104470(P2009−104470A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276749(P2007−276749)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】