説明

取得プロトコル評価装置

ある方法が、線量推定器208を介して、撮像システム100の取得プロトコルの取得プロトコルパラメータ値に基づき、対象者に関して堆積される推定線量を示す線量マップを生成するステップと、ノイズ推定器210を介して、上記取得プロトコルパラメータ値に基づかれる推定された画像ノイズを示すノイズマップ、又は上記ノイズマップ及び減衰マップに基づかれるコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つを生成するステップとを含む。この方法は更に、ディスプレイ216を介して、上記線量及びノイズマップを人間が読める形式で表示するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、取得プロトコル評価装置に関し、コンピュータ断層撮影(CT)に関する特定の用途を用いて説明される。しかしながら、本発明は、他の医療撮像用途及び非医学的な撮像用途にも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)スキャナは、長手方向又はz軸の周りの検査領域の周りを回転する回転可能なガントリに取り付けられるX線管を含む。X線管は、検査領域を横断し、そこで患者を照射する電離放射線を放出する。検出器アレイは、X線管から検査領域の反対側の弧に内在する。検出器アレイは、検査領域を横断し、それを示す投影データを生成する放射線を検出する。再構成器は、投影データを処理し、それを示すボリュメトリック画像データを再構成する。ボリュメトリック画像データは、患者の1つ又は複数の画像を生成するために処理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述されるように、X線管は、患者を照射する電離放射線を放出する。患者に堆積される放射線量は、例えば管電流(mA)、管電圧(kVp)、ピッチ/露出時間(ヘリカルスキャンに関して)、スライス厚及び間隔(軸方向スキャンに関して)、及び患者サイズといった様々な取得プロトコルパラメータに基づかれる。放射線量は、管電流及び管電圧を減少させ、及び/又はピッチ、スライス厚及びスライス間隔を増加させることにより減らされることができる。しかしながら、画像ノイズは放射線量に反比例し、及び従って、放射線量を減らすとノイズは増加し、画像品質を低下させる。
【0004】
1つの提案されたCTシステムでは、ノイズ閾値が予め設定され、このシステムは、予め設定されたノイズ閾値を維持しつつ、放射線量を減らすよう最適化される取得プロトコルパラメータ値の単一の最良のセットを自動的に決定する。残念なことに、これは、コンピュータプロセッサによりバックグラウンドにおいて実行される剛性的な手法である。結果として、1つの例において、CTスキャナは、自動的に決定された最適な取得プロトコルパラメータ値の下で作動することができない場合がある。例えば、コンピュータ実現によるアルゴリズムは、CTシステムのスキャニングシステム制約(例えば、利用可能なkVp、mA等の設定)を考慮することができないことがある。更に、斯かる手法は、撮像手順を考慮せず、及び従って、特定の撮像手順及び/又は患者とっては、異なる取得プロトコルパラメータ値が、より好適な場合がある。これは、長年の経験に基づかれる、放射線科医による主観的判断であることがある。更に、放射線科医は、使いなれている取得プロトコルパラメータ値、例えば、線量予測(CTDI)に基づかれる取得プロトコルパラメータ値、メーカの推奨値又は施設が決定する取得プロトコルパラメータ値を使いたいと望むことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の側面は、上述した事項その他に対処する。
【0006】
1つの側面によれば、ある方法が、線量推定器を介して、撮像システムの取得プロトコルの取得プロトコルパラメータ値に基づき、対象者に関して堆積される推定線量を示す線量マップを生成するステップと、ノイズ推定器を介して、上記取得プロトコルパラメータ値に基づかれる推定された画像ノイズを示すノイズマップ、又は上記ノイズマップ及び減衰マップに基づかれるコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つを生成するステップとを含む。この方法は更に、ディスプレイを介して、上記線量及びノイズマップを人間が読める形式で表示するステップを含む。
【0007】
別の実施形態では、取得プロトコル評価装置が、線量推定器、ノイズ推定器及び解析要素を含む。この線量推定器は、撮像システムの取得プロトコルのパラメータ値に基づき、対象者に関して堆積される推定線量を示す線量マップを生成する。このノイズ推定器は、上記パラメータ値に基づき、上記対象者に関して推定された画像ノイズを示すノイズマップを生成する。この解析要素は、ディスプレイを介して、上記線量及びノイズマップを人間が読める形式で表示する。
【0008】
別の実施形態では、ある方法が、上記撮像システムの少なくとも2つの異なる取得プロトコルを特定するステップを含む。この方法は更に、上記プロトコルの上記対応するパラメータ値に基づき上記少なくとも2つの取得プロトコルに関する第1及び第2の線量を生成するステップと、上記プロトコルの上記対応するパラメータ値に基づき上記少なくとも2つの取得プロトコルに関する第1及び第2のノイズマップ又は第1及び第2のコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つを生成するステップとを更に含む。この方法は更に、上記第1及び第2の線量マップと、上記第1及び第2のノイズマップ又は上記第1及び第2のコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つとを人間が読める形式で同時に表示するステップを含む。
【0009】
別の実施形態では、ある方法が、撮像システムの第1の取得プロトコルに関する第1の線量マップを生成するステップと、上記第1の取得プロトコルに関する第1のノイズマップを生成するステップと、利用可能なkVp値に基づき減衰マップを生成するステップと、上記第1のノイズマップ及び上記減衰マップに基づき、第1のコントラスト対ノイズマップを生成するステップとを含む。この方法は更に、プロトコルパラメータ最適化基準を特定するステップであって、上記基準が、関心コントラスト媒体、関心エネルギー範囲及び関心撮像作業の1つ又は複数を特定する、ステップを含む。この方法は更に、上記最適化基準と、上記線量マップ、上記ノイズマップ、上記コントラスト対ノイズマップ及び上記減衰マップの1つ又は複数とに基づき最適化される、上記データ取得プロトコルに関する上記プロトコルパラメータ値のセットを生成するステップを含む。
【0010】
別の実施形態では、ある方法が、上記第1及び第2の線量マップ、上記第1及び第2のノイズマップ又は上記第1及び第2のコントラスト対ノイズマップに基づき、差分線量マップ、差分ノイズマップ又は差分コントラスト対ノイズマップの少なくとも1つを生成するステップと、上記生成された差分マップの少なくとも1つを表示するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像データ評価装置に関連して、例示的な撮像システムを示す図である。
【図2】例示的な画像データ評価装置を示す図である。
【図3】例示的な方法を説明する図である。
【図4】例示的な方法を説明する図である。
【図5】例示的な方法を説明する図である。
【図6】例示的な方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、様々な要素及び要素の配列の形式並びに様々なステップ及びステップの配列の形式を取ることができる。図面は、好ましい実施形態を説明するためだけにあり、本発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【0013】
図1は、例えばコンピュータ断層撮影(CT)スキャナといった撮像システム100を示す。撮像システム100は、一般に静止したガントリ102及び回転ガントリ104を含む。回転ガントリ104は、静止したガントリ102により回転可能に支持され、長手方向又はz軸108の周りの検査領域106の周りを回転する。例えば寝台といった患者支持部110が、例えば検査領域106における人間の患者といった対象者又は被検者を支持する。
【0014】
例えばX線管といった放射線源112が、回転ガントリ104により支持される。放射線源112は、焦点スポットから電離放射線を放出し、この放射線は、検査領域106及び対象者又は被検者を横断する。一般にコーン、くさび、ファン、又は、他の形状の放射線ビームを形成するよう、ソースコリメータが放射線を平行化する。
【0015】
2次元放射線感知検出器アレイ114が、検査領域106を横切って放射線源112の反対側の弧に内在する。検出器アレイ114は、z軸方向に沿って延在する検出器の複数の行を含む。検出器アレイ114は、検査領域106を横断する放射線を検出し、これを示す投影データを生成する。
【0016】
汎用のコンピュータシステム又はコンピュータが、オペレータ端末118として機能する。端末118のプロセッサは、端末118上でコンピュータ可読命令を実行する。これは、取得プロトコル(例えば、診断、3D低線量非診断等)の選択、スキャンプロトコルパラメータ値の設定、スキャンの開始といったシステム100の動作をオペレータが制御することを可能にする。
【0017】
再構成器120は、投影データを再構成し、これを示す3次元(3D)ボリュメトリック画像データを生成する。ボリュメトリック画像データは、対象者又は被検者の1つ又は複数の画像を生成するよう処理されることができる。
【0018】
取得プロトコル評価装置124は、取得プロトコルパラメータ値を評価する。後述されるが、取得プロトコル評価装置124は、1つ又は複数の取得プロトコルに関して対象者に堆積される線量を推定し、1つ又は複数の取得プロトコルに関して線量、画像ノイズ及び/又はコントラスト対ノイズプロファイル又はマップを決定し、及び/又は、最適化基準及び/又はスキャンパラメータ方針に基づき取得プロトコルパラメータ値を決定する。
【0019】
例えば、これは、対象者をスキャンするのに使用されるプロトコル及びこのスキャンからの画像データに基づき、臨床医が対象者に関する線量を推定することを可能にする。別の例では、これは、システム100に利用可能な複数のプロトコルに関する線量を臨床医が推定することを可能にする。この情報は、過去に向かって及び/又は将来に向かって、2つ又はこれ以上の取得プロトコルの間の線量を比較するために用いられることができる。更に別の例では、これは、例えば線量、ノイズ、関心物質のコントラスト、撮像手順の目的等の最適化基準に基づき、臨床医がプロトコルパラメータをチューニングすることを可能にする。
【0020】
図示される実施形態において、取得プロトコル評価装置124は、システム100の一部であるが、端末118とは別である。別の実施形態では、取得プロトコル評価装置124は、端末118の一部である。更に別の実施形態において、取得プロトコル評価装置124は、システム100から離れて配置される。例えば、システム100がある検査室の外側のワークステーションに配置される。
【0021】
取得プロトコル評価装置124は、1つ又は複数のプロセッサと、この1つ又は複数のプロセッサにより実行可能なコンピュータ実行可能な命令を格納するコンピュータ可読ストレージ媒体とを含むことができる。1つの非限定的な例において、1つ又は複数のプロセッサは、取得プロトコル評価装置124の以下に説明される要素の1つ又は複数を実現するための命令を実行する。
【0022】
図2は、取得プロトコル評価装置124の例を示す。
【0023】
モデルバンク202は、線量及び/又は画像ノイズを推定し、線量及び/又は画像ノイズプロファイルを決定し、及び/又は、最適化された取得プロトコルパラメータ値を生成するのに使用されることができるモデルを含む生体構造モデルを格納する。図示されるように、モデルバンク202は、コンピュータ生成による生体構造モデルを格納することができる。斯かるモデルは、メッシュ、ベクタグラフィックス、有限要素解析、及び/又は他に基づかれるモデルを含む。他に基づかれるモデルは、グラフィック及び/又は式ベースモデルを含む。
【0024】
モデラー204は、例えばシステム100(図1)の再構成器120により再構成されるボリュメトリック画像データといったボリュメトリック画像データに基づき、生体構造モデルを生成する。同様に、これらのモデルは、メッシュ、ベクタグラフィックス、有限要素解析、及び/又は、他に基づかれるモデルであり、モデルバンク202に格納されることができる。この図示されたモデラー204は、例えば、生体構造モデルにおける生体構造の表現をボリュメトリック画像データにおける対応する生体構造に対して適合させるのに、コンピュータ生成モデルを追加的に用いることができる。逆もまた同じである。
【0025】
セグメンタ206は、関心生体構造(例えば骨、空気、組織等)、関心物質又は媒体(例えば、コントラスト媒体等)及び/又はその他に基づき、ボリュメトリック画像データをセグメント化するのに用いられることができる。モデラー204は、セグメント化データに基づき、生体構造及び/又は物質特有のモデルを生成することができる。これらのモデルは、モデルバンク202に格納されることもできる。
【0026】
線量推定器208は、関心領域に関して堆積される放射線量を推定し、線量分布マップを生成する。このマップは、特定の生体構造に関して堆積される線量の空間分布を示す情報を含む。図示される線量推定器208は、1つ又は複数の取得プロトコルに関する1つ又は複数の取得プロトコルパラメータ値(例えば、kVp、mA等)に基づき、線量を推定するよう構成される。
【0027】
例えば、線量推定器208は、対象者をスキャンするのに使用される取得プロトコルパラメータ値及びこのスキャンから生成されるボリュメトリック画像データに基づき、線量を推定する。推定された線量は、撮像手順に関して堆積される線量、対象者の特定の生体構造(例えば、特有の器官)、生涯累積線量、及び/又は他の情報を推定するために用いられることができる。追加的又は代替的に、他の対象者がスキャンされる前に、推定された線量が、同様な物理的な特性(例えば、身長、体重等)、病理学等を持つ別の対象者に関する線量を予測するために用いられることができる。
【0028】
ボリュメトリック画像データは、診断スキャン又はプレスキャンからのものとすることができる。プレスキャンは、例えば3D低線量プレスキャン又は他のプレスキャンとすることができる。ボリュメトリック画像データが診断スキャンからのものである場合、推定された線量は、この対象者又は同様な物理的な特性を持つ別の対象者のフォローアップスキャンを計画するのを容易にするために使用されることもできる。ボリュメトリック画像データがプレスキャンからのものである場合、推定された線量は、診断スキャンを計画するのを容易にするために用いられることができる。別の例において、モデルバンク202からのモデルが、ボリュメトリック画像データの代わりに用いられる。スカウト/パイロットスキャン及び/又は他のデータが、モデルに基づき線量を推定するのを容易にするために用いられることができる。
【0029】
線量推定器208は、ここでもボリュメトリック画像データ又はモデルを用いて、システム100の1つ又は複数の取得プロトコルのパラメータ値に基づき、線量を推定するよう構成される。推定された線量は、1つ又は複数の取得プロトコルに関して予想された堆積線量を比較するために用いられることができる。これは、臨床医が、対象者をスキャンするために選択される取得プロトコルを検証し、及び/又は関心線量特性に基づき取得プロトコルを選択することを可能にする。同様に、推定された線量は、1人又は複数の対象者の将来のスキャンに関する線量を予測するために用いられることができる。
【0030】
線量推定器208は、様々なアルゴリズムを用いて、線量を推定し及び線量マップを生成することができる。線量マップを生成するのに用いられる適切なアルゴリズムの例は、モンテカルロアルゴリズム、例えばMcNutt, T.による「Dose Calculations: Collapsed Cone Convolution Superposition and Delta Pixel Beam」、Pinnacle White Paper Nr. 4535 983 02474 Philips 2002に記載される高速線量アルゴリズムといった高速線量アルゴリズム、及び/又は他のアルゴリズムを含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
ノイズ推定器210は、関心領域に関する画像ノイズを推定し、これに基づきノイズ分布プロファイル又はマップを生成する。ノイズ推定器210は、ノイズマップ及び1つ又は複数の減衰マップに基づき、コントラスト対ノイズマップも生成する。これは、より低線量の取得に基づき、より高線量の取得に関するノイズを推定することを含む。逆もまた同じである。ノイズ推定器210は、様々なアルゴリズムを使用して、ノイズを推定することができる。これは、ノイズ分布に基づき再構成画像におけるノイズの空間分解計算を可能にするノイズ伝搬モデルを含む。適切なノイズ伝搬モデルの例は、2009年6月23日に出願された国際特許出願PCT/IB2009/052686号において説明される。これは、本書にて完全に参照により含まれる。
【0032】
線量推定器208に類似するものとして、ノイズ推定器210は、対象者をスキャンするのに使用される取得プロトコルパラメータ値、及び/又は撮像システム100による使用に関して利用可能な取得プロトコルパラメータ値に基づき、ノイズを推定することができる。更に、ノイズ推定器210は、対象者又は別の対象者及び/又はモデルバンク202における1つ又は複数の生体構造モデルに対応するボリュメトリック画像データ(セグメント化画像データを含む)に基づき、ノイズを推定することができる。
【0033】
オプティマイザ212は、最適化された取得プロトコルパラメータ値(例えば、kVp、くさびタイプ、最適な線量変調、ROIにおいて所定のノイズレベルに達するのに必要とされる総mA)のセットを決定する。図示されるパラメータオプティマイザ212は、最適化基準とボリュメトリック画像データ又はモデルとに基づき、取得プロトコルパラメータ値の最適化されたセットを生成する。パラメータオプティマイザ212は、最適化されたパラメータ値を決定するために、1つ又は複数の線量マップ、ノイズマップ、コントラスト対ノイズマップ、及び/又は、シミュレーションされた減衰マップも用いる。
【0034】
オプティマイザ212が、あるプロトコルに関するkVp値を推奨することができるようプログラムされる場合、オプティマイザ212は、異なる構造の間の実際のコントラストを決定するために使用されることができる線量マップ及び減衰マップを用いる。これらは、画像において、kVpに基づき変化することができる。適切な最適化基準の例は、所定のノイズ閾値又は範囲、放射線量閾値又は範囲、これらの組み合わせ、撮像手順の特定の目的又は作業、撮像手順の間に使用される異なる物質の間の画像コントラスト、コントラスト対ノイズ比及び/又は他の基準を含むが、これらに限定されるものではない。
【0035】
例えば、適切な作業最適化基準は、オプティマイザ212が、関心組織(例えば、骨、軟組織等)、関心エネルギー、システム構成(単一又は複数管、単一又は複数層検出器等)等に基づき、取得プロトコルパラメータ値のセットを生成すべきであることを示すことができる。適切な物質特有の最適化基準は、オプティマイザ212が、コントラスト媒体、石灰化、腫瘍等に基づき、取得プロトコルパラメータ値のセットを生成すべきであることを示すことができる。
【0036】
オプティマイザ212は、最適化された取得プロトコルパラメータ値を生成するとき、及び/又はオプティマイザ212が取得プロトコルパラメータ値に対する修正を決定するような取得プロトコルパラメータ値を生成した後、斯かる基準を考慮することができる。これは、作業及び/又は物質に関する取得プロトコルパラメータ値を最適化する。
【0037】
スペクトル撮像用途に対して、エネルギー範囲又はビンの1つ又は複数に関して最適化された取得プロトコルパラメータ値(例えば、光電効果、コンプトン、kエッジ等)が、個別に決定されることができる。すると、個別に最適化された値が、撮像手順に関して最適化されたパラメータ値のセットを生成するために組み合わせられることができる。エネルギー範囲の1つ又は複数を強調する又は抑制するため、個別のエネルギー範囲に関する値は、さまざまに重み付けされることができる。
【0038】
介入的な撮像用途に対して、例示的な最適化基準は、介入操作者に対する線量を減らすこととすることができる。最適化は、操作者の腕及び手が手順の間にある場所を含む、手順を実行している介入操作者の予想される位置に基づかれることができる。別の例において、介入操作者の位置を決定するために用いられることができる信号を生成するカメラ又は他のデバイスが、介入操作者の位置を示す適応フィードバックを提供するために用いられる。
【0039】
解析要素214は、ボリュメトリック画像データ、セグメント化ボリュメトリック画像データ、生体構造のモデル、線量推定、線量マップ、ノイズ推定、ノイズマップ、コントラスト対ノイズ比、コントラスト対ノイズマップ、最適化されたデータ取得パラメータ値、及び/又は他の情報の1つ又は複数を、個別に又は組合せで解析する。
【0040】
図示された解析要素214は、ユーザー入力を受け入れるよう構成される。適切な入力は、取得プロトコルパラメータ値、取得プロトコルパラメータ値に対する変化、1つ又は複数の特定の取得プロトコルの選択等を含む。これは、線量、ノイズ、線量及びノイズの組合せ及び/又は他の特徴に基づき、臨床医が取得プロトコルを特定することを可能にする。
【0041】
表示要素216は、ボリュメトリック画像データ、セグメント化ボリュメトリック画像データ、線量推定、線量マップ、ノイズ推定、ノイズマップ、コントラスト対ノイズ比、コントラスト対ノイズマップ、最適化されたデータ取得パラメータ値及び/又は他の情報の1つ又は複数を、個別に又は組合せで示す。表示要素216は、ディスプレイ又はモニタのグラフィックユーザ又は他のインタフェースを介して、斯かる情報を示すことができる。
【0042】
表示された情報は、臨床医が、ノイズ及び/又は線量に関する様々な取得プロトコルパラメータ値の影響を視覚的に検査及び比較することを可能にする。例えば、1つ又は複数のプロトコルに関して、所定の総(又は、器官)線量が設定されることができ、対応するノイズマップが比較されることができる。代替的に、1つ又は複数のプロトコルに関して、所定の関心領域(ROI)に対する所定のノイズ範囲が設定され、対応する線量マップがこれに従ってスケール化され、比較されることができる。
【0043】
図3は、撮像手順に基づき対象者に関して堆積される線量を決定する方法を示す。
【0044】
ステップ302において、撮像手順に基づき生成されるボリュメトリック画像データが得られる。本書で述べられるように、ボリュメトリック画像データは、診断スキャン又は診断スキャンを計画するために使用されるプレスキャンに対応することができる。
【0045】
ステップ304において、ボリュメトリック画像データは、モデルへと変換される。代替的に、適切なコンピュータ生成による生体構造モデルが得られる。
【0046】
ステップ306において、線量マップは、撮像手順の間に使用されるモデル及び取得プロトコルパラメータ値に基づき生成される。
【0047】
ステップ308において、線量マップ及びボリュメトリック画像データが表示される。線量マップ及びボリュメトリック画像データは、個別に又は同時に表示されることができる(例えば、重畳されて、並んで等)。
【0048】
図4は、撮像システム100の代替的なデータ取得プロトコルに関する線量及び/又はノイズ特性を決定する方法を示す。
【0049】
ステップ402において、撮像システム100の少なくとも2つの異なる取得プロトコルが特定される。
【0050】
ステップ404において、第1及び第2の線量マップが、プロトコル及びボリュメトリック画像データの対応するパラメータ値に基づき、又は少なくとも1つの生体構造モデルに基づき、少なくとも2つの取得プロトコルに関してそれぞれ生成される。
【0051】
ステップ406において、第1及び第2のノイズマップが、プロトコル及びボリュメトリック画像データの対応するパラメータ値に基づき、又は少なくとも1つの生体構造モデルに基づき、少なくとも2つの取得プロトコルに関してそれぞれ生成される。
【0052】
ステップ408において、第1及び第2の線量マップ及び第1及び第2のノイズマップが、人間が読める形式で同時に表示される。第1及び第2の線量マップは、差分線量マップを生成するために用いられることもできる。これが、追加的に又は代替的に表示されることができる。
【0053】
第1及び第2のコントラスト対ノイズマップ及び/又はコントラスト対ノイズ差分マップが、生成され、個別に、又は線量若しくはノイズマップの1つ若しくは複数と同時に表示されることもできる。本書において述べられるように、コントラスト対ノイズマップは、ノイズ及び減衰マップに基づき生成されることができる。
【0054】
図5は、最適化されたデータ取得プロトコルパラメータ値のセットを生成する方法を示す。
【0055】
ステップ500において、線量マップが、撮像システム100の少なくとも1つの取得プロトコルに関して生成される。
【0056】
ステップ502において、ノイズマップが、少なくとも1つの取得プロトコルに関して生成される。
【0057】
ステップ504において、減衰マップが生成される。本書で述べられるように、減衰マップは、kVpの関数として、画像における構造の実際のコントラストを示す。
【0058】
ステップ506において、プロトコルパラメータ最適化基準が特定される。本書において述べられるように、この基準は、線量、ノイズ、作業、物質、コントラスト対ノイズ比等の1つ又は複数に基づかれることができる。
【0059】
ステップ508において、プロトコルパラメータ値のセットが、線量マップ、ノイズマップ、減衰マップ及びパラメータ最適化基準の1つ又は複数に基づき最適化されるデータ取得プロトコルに関して生成される。
【0060】
図6は、1つ又は複数の利用可能な取得プロトコルに基づきスキャンされる対象者に関して、線量を推定する方法を示す。
【0061】
ステップ602において、対象者の前のスキャンからのボリュメトリック画像データ、異なる対象者に関するボリュメトリック画像データ、又は生体構造モデルの1つ又は複数が得られる。
【0062】
ステップ604において、対象者の前のスキャンからのボリュメトリック画像データ、異なる対象者に関するボリュメトリック画像データ、又は生体構造モデルの1つ又は複数に基づき、1つ又は複数の線量マップが生成される。
【0063】
ステップ606において、1つ又は複数のノイズマップが、対象者の前のスキャンからのボリュメトリック画像データ、異なる対象者に関するボリュメトリック画像データ、又は生体構造モデルの1つ又は複数に基づき生成される。
【0064】
ステップ608において、撮像手順が、線量マップ及びノイズマップに基づき対象者に関して計画される。
【0065】
第1及び第2のコントラスト対ノイズマップが、本書に述べられるように生成され、及び、個別に、又は線量若しくはノイズマップの1つ若しくは複数と同時に表示されることもできる。撮像手順の計画(ステップ608)は、追加的に又は代替的に、コントラスト対ノイズマップに基づかれることができる。
【0066】
別の実施形態では、スキャンパラメータ方針に従うスキャンパラメータプロトコルが、1つ又は複数スキャン・プロトコルに関する線量、画像ノイズ、減衰及び/又はコントラスト対ノイズマップの1つ又は複数と共に、追加的に示されることができる。従うことが決定されるスキャンパラメータ方針を生成及び使用する例は、2009年10月22日に出願の「Scan Parameter Policy」というタイトルの仮出願番号第61/253,880号に関連して説明され、この全体は、参照により本書に組み込まれる。
【0067】
上記は、コンピュータ可読命令を用いて実現されることができる。これは、コンピュータプロセッサにより実行されるとき、プロセッサに本書に記載されるステップを実行させる。斯かる場合、この命令は、関連するコンピュータに関連付けられる及び/又は他の態様でコンピュータがアクセス可能なメモリといったコンピュータ可読ストレージ媒体に格納される。
【0068】
本発明は、様々な実施形態を参照して本書において説明された。本書の記載を読めば、第三者は、修正及び変動を思いつくことができる。それらの修正及び変更が添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、本発明は、すべての斯かる修正及び変更を含むものとして構築されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線量推定器を介して、撮像システムの取得プロトコルの取得プロトコルパラメータ値に基づき、対象者に関して堆積される推定線量を示す線量マップを生成するステップと、
ノイズ推定器を介して、前記取得プロトコルパラメータ値に基づかれる推定された画像ノイズを示すノイズマップ、又は前記ノイズマップ及び減衰マップに基づかれるコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つを生成するステップと、
ディスプレイを介して、前記線量及びノイズマップを人間が読める形式で表示するステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記取得プロトコルが、前記撮像システムを用いて前記対象者をスキャンするために使用される取得プロトコルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得プロトコルが、前記対象者をスキャンするために、選択可能な前記撮像システムの取得プロトコルのセットの1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記撮像システムの2つ又はこれ以上の取得プロトコルに関する2つ又はこれ以上の線量マップを生成するステップと、
前記2つ又はこれ以上の取得プロトコルに関する2つ又はこれ以上のノイズマップ又は2つ又はこれ以上のコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つのを生成するステップと、
前記線量マップと、前記ノイズマップ又は前記コントラスト対ノイズマップの少なくとも1つとを同時に表示するステップとを更に有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記取得プロトコルの少なくとも1つのパラメータ値に対する変化を示す入力を受信するステップと、前記変化に基づき線量マップ及びノイズマップを生成及び表示するステップとを更に有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ボリュメトリック画像データに基づき、前記線量及びノイズマップの少なくとも1つを生成するステップを更に有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ボリュメトリック画像データが、前記取得プロトコルを用いて取得されるデータに基づき生成される前記対象者に関する画像データに対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ボリュメトリック画像データが、異なる対象者に関して取得される画像データに対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
生体構造モデルに基づき、前記線量及びノイズマップの少なくとも1つを生成するステップを更に有する、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記線量マップ、前記コントラスト対ノイズマップ、前記ノイズマップ及び最適化基準の少なくとも1つに基づき、取得パラメータ値のセットを決定するステップを更に有する、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記最適化基準が、関心放射線エネルギー範囲に基づかれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記最適化基準が、関心媒体のコントラストに基づかれる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記最適化基準が、関心撮像作業に基づかれる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記最適化基準が、放射線量閾値、画像ノイズ閾値、コントラスト対ノイズ比の閾値又はこれらの組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
取得プロトコル評価装置であって、
撮像システムの取得プロトコルのパラメータ値に基づき、対象者に関して堆積される推定線量を示す線量マップを生成する線量推定器と、
前記パラメータ値に基づき、前記対象者に関して推定された画像ノイズを示すノイズマップを生成するノイズ推定器と、
ディスプレイを介して、前記線量及びノイズマップを人間が読める形式で表示する解析要素とを有する、取得プロトコル評価装置。
【請求項16】
前記ノイズ推定器が、前記ノイズマップ及び減衰マップに基づきコントラスト対ノイズマップを生成し、前記線量及びノイズマップは更に、前記対象者に対応するボリュメトリック画像データ、異なる対象者に対応するボリュメトリック画像データ、又は生体構造モデルの1つ又は複数に基づき生成される、請求項15に記載の取得プロトコル評価装置。
【請求項17】
前記取得プロトコルが、前記対象者をスキャンするために使用されるプロトコル、異なる対象者をスキャンするために使用されるプロトコル、又は前記撮像システムの少なくとも2つのプロトコルの1つ又は複数を含む、請求項15又は16に記載の取得プロトコル評価装置。
【請求項18】
関心コントラスト媒体、関心エネルギー及び関心撮像目的の少なくとも1つに基づき、取得パラメータ値のセットを決定するオプティマイザを更に有する、請求項15乃至17のいずれかに記載の取得プロトコル評価装置。
【請求項19】
前記解析要素が、1つ又は複数の異なる取得プロトコルに関する線量及びノイズマップを同時に表示する、請求項15乃至18のいずれかに記載の取得プロトコル評価装置。
【請求項20】
前記解析要素が、異なる線量マップ、2つの線量マップ間の差をそれぞれ示す差分ノイズマップ又は差分コントラスト対ノイズマップ、異なる取得プロトコルに関する2つの2つのノイズマップ又は2つのコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つを表示する、請求項15乃至18のいずれかに記載の取得プロトコル評価装置。
【請求項21】
撮像システムの代替的なデータ取得プロトコルに関する線量及び/又はノイズプロファイルを特定する方法において、
前記撮像システムの少なくとも2つの異なる取得プロトコルを特定するステップと、
前記プロトコルの対応するパラメータ値に基づき、前記少なくとも2つの取得プロトコルに関する第1及び第2の線量を生成するステップと、
前記プロトコルの前記対応するパラメータ値に基づき前記少なくとも2つの取得プロトコルに関する第1及び第2のノイズマップ又は第1及び第2のコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つを生成するステップと、
前記第1及び第2の線量マップと、前記第1及び第2のノイズマップ又は前記第1及び第2のコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つとを人間が読める形式で同時に表示するステップとを有する、方法。
【請求項22】
前記線量及びノイズマップ、減衰マップ及び最適化基準の1つ又は複数に基づき、取得プロトコルパラメータ値のセットを最適化するステップを更に有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
関心コントラスト媒体、関心エネルギー範囲又は関心撮像作業の1つ又は複数に基づき、取得プロトコルパラメータ値のセットを最適化するステップを更に有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記対象者に対応するボリュメトリック画像データ、異なる対象者に対応するボリュメトリック画像データ又は生体構造モデルの1つ又は複数に基づき、前記線量又はノイズマップの少なくとも1つを生成するステップを更に有する、請求項21乃至23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
最適化基準に基づき、最適化されたデータ取得プロトコルパラメータ値のセットを生成する方法において、
撮像システムの第1の取得プロトコルに関する第1の線量マップを生成するステップと、
前記第1の取得プロトコルに関する第1のノイズマップを生成するステップと、
利用可能なkVp値に基づき減衰マップを生成するステップと、
前記第1のノイズマップ及び前記減衰マップに基づき、第1のコントラスト対ノイズマップを生成するステップと、
プロトコルパラメータ最適化基準を特定するステップであって、前記基準が、関心コントラスト媒体、関心エネルギー範囲及び関心撮像作業の1つ又は複数を特定する、ステップと、
前記最適化基準と、前記線量マップ、前記ノイズマップ、前記コントラスト対ノイズマップ及び前記減衰マップの1つ又は複数とに基づき最適化される、前記データ取得プロトコルに関する前記プロトコルパラメータ値のセットを生成するステップとを有する、方法。
【請求項26】
前記撮像システムの第2の取得プロトコルに関する第2の線量マップを生成するステップと、
前記第2の取得プロトコルに関する第2のノイズマップを生成するステップと、
前記第2の取得プロトコルに関する第2のコントラスト対ノイズマップを生成するステップと、
前記第1及び第2の線量マップと、前記第1及び第2のノイズマップ又は前記第1及び第2のコントラスト対ノイズマップの少なくとも1つとを人間が読める形式で同時に表示するステップとを更に有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1及び第2の線量マップ、前記第1及び第2のノイズマップ又は前記第1及び第2のコントラスト対ノイズマップに基づき、差分線量マップ、差分ノイズマップ又は差分コントラスト対ノイズマップの少なくとも1つを生成するステップと、
前記生成された差分マップの少なくとも1つを表示するステップとを更に有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象者に対応するボリュメトリック画像データ、異なる対象者に対応するボリュメトリック画像データ又は生体構造モデルの1つ又は複数に基づき、前記線量又はノイズマップの少なくとも1つを生成するステップを更に有する、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−508061(P2013−508061A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534799(P2012−534799)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054194
【国際公開番号】WO2011/048515
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】