説明

受信器における同調を改善する方法、装置、及びシステム

レシーバ/再生デバイスがコンテンツの再生を開始するのにかかる時間を短縮する方法、装置、及びシステムは、コンテンツを再生するレシーバにコンテンツを識別する情報を供給する段階を含む。一実施形態では、かかる情報はチューニングコマンドの一部として含まれてもよい。例えば、一実施形態では、再生するコンテンツは、オーディオ/ビデオコンテンツとそれを識別する情報を含み、オーディオおよびビデオコーデックパラメータを含んでもよい。オーディオおよびビデオコーデックパラメータにより、レシーバ/再生デバイスのデコーダをすぐに初期化でき、レシーバのチューニング時間を短縮できる。かかる情報の供給により、デコーダが複数のコンテンツパケットを解析して前記コンテンツのオーディオおよびビデオのタイプを識別する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、受信における同調時間に関し、より具体的には、セットトップボックス等の受信器の同調時間を改善する方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セットトップボックス(STB)等の受信器が、標準リアルタイムストリームプロトコル(RTSP)リダイレクトと、共有アプリケーションにおいて記述されたペイロードに同調するデバイスグループ制御プロトコル(DGCP)セッション記述プロトコルとのいずれかを用いて、新しいストリームに同調するとき、STBがその新しいストリームの再生を開始するには有限の時間遅れが生じる。すなわち、現在のシステムでは、STBに供給されるデータは、STBがオーディオとビデオをできるだけ素早く再生するのに、必要であるが十分ではない。
【0003】
かかる構成が特に問題になるのは、用いるRTSPプロファイルがMPEG2トランスポートストリームの場合である。トランスポートストリームはオーディオ及び/またはビデオコンテンツを符号化/復号する様々なデバイスを含み得る。このため、一般的な実装では、デコーダを正しく設定するために、入来ストリームをバッファして、情報を自動検出する。このバッファのために、オーディオやビデオを再生するのに遅延が生じる。
[関連出願との相互参照]
本出願は、2009年1月26日出願の米国仮出願第61/205,959号の利益を主張するものである。また、本出願は、2007年4月4日に米国特許商標庁に出願した米国仮出願第60/921,714号、及びこの米国仮出願第60/921,714号の優先権を主張して2007年6月13日に特許協力条約により出願した国際出願第PCT/US07/013949号(両方とも発明の名称は「デバイスグループ制御」である)にも関連する。これらは全体をここに参照援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、レシーバが受信コンテンツの再生開始にかかる時間を、一実施形態では数秒から数分の一秒に短縮する方法、装置、及びシステムを提供することにより、先行技術の欠点を解消する。
【0005】
本発明の一実施形態では、レシーバが受信コンテンツの再生開始にかかる時間を短縮する方法は、再生するコンテンツを受信したレシーバが、識別情報なしにコンテンツを受信した場合と比較して短い遅延で前記コンテンツの再生を開始できるように、前記コンテンツとともに、前記コンテンツを識別する情報を供給する段階を有する。かかる一実施形態では、コンテンツは、オーディオ/ビデオコンテンツとそれを識別する情報を含み、オーディオおよびビデオコーデックパラメータを含んでもよい。また、かかる実施形態では、コンテンツを識別する情報は、チューニングコマンドの一部としてレシーバ/再生デバイスに送信できる。本発明の様々な実施形態では、コンテンツとそれを識別する情報は、デバイスグループ制御プロトコルを用いて少なくとも1つのレシーバ/再生デバイスに送信できる。
【0006】
本発明の別の一実施形態では、レシーバが受信コンテンツの再生開始にかかる時間を短縮する方法は、コンテンツとそれを識別する情報を受信する段階と、コンテンツを識別情報なしに受信した場合と比較して、短い遅延で、レシーバ/再生デバイスがコンテンツを再生できるように、受信した情報を用いてデコーダを初期化する段階とを有する。かかる一実施形態では、コンテンツを識別する情報は、セッション記述プロトコルデータパックの一部としてレシーバ/再生デバイスに送信できる。
【0007】
本発明の別の一実施形態は、コンピュータ読み取り可能媒体を含む。該記憶媒体は、記録されたマルチメディアコンテンツと、前記マルチメディアコンテンツのレシーバ/再生デバイスが、識別情報なしにコンテンツを受信した場合と比較して短い遅延で前記マルチメディアコンテンツの再生を開始できるように記録された、前記マルチメディアコンテンツを識別する情報とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の教示は、添付した図面とともに以下の詳細な説明を読めば、容易に理解できる。
【図1】本発明の一実施形態による、本発明を様々に実装できる、コンテンツ配信システムを示すハイレベルのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるリテール広告ネットワークを示すハイレベルのブロック図である。
【図3】データを受信して解析する先行技術を示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態によるレシーバの同調の改善方法を示すフロー図である。 言うまでもなく、図面は本発明のコンセプトを例示する目的のものであり、本発明を例示する構成は必ずしもこれだけではない。理解を容易にするために、複数の図面で共通な同一要素を示すためには同じ参照数字を用いた。
【発明の実施するための形態】
【0009】
本発明は、レシーバが、受信したコンテンツの再生を開始するのにかかる時間を短縮する方法、装置、及びシステムを有利に提供する。主にリテール広告ネットワーク環境とセットトップボックスの場合に本発明を説明するが、本発明の具体的な実施形態を、本発明の範囲を限定するものとして扱ってはならない。当業者や本発明の教示を知った者には言うまでもないが、本発明のコンセプトは、様々なタイプのレシーバを有する実質的にどんなコンテンツ配信環境にも有利に適用できる。
【0010】
図示した様々な要素の機能は、専用ハードウェアを用いても、ソフトウェアを実行可能なハードウェアと適当なソフトウェアとを組み合わせても提供できる。プロセッサを設けるとき、機能を単一の専用プロセッサで提供してもよいし、共有された単一のプロセッサで提供してもよいし、一部が共有された複数の個別プロセッサで提供してもよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語を明示的に使用した場合、ソフトウェアを実行できるハードウェアのみをいうと解釈してはならず、限定はされないが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ソフトウェアを記憶するROM、RAM、不揮発性記憶装置を黙示的に含んでもよい。さらに、本発明の原理、態様、実施形態、及びその実施例のすべての記載は、その構成的等価物及び機能的等価物の両方を含むものである。また、かかる等価物は、現在知られている等価物及び将来開発される等価物を含み、すなわち、構成にかかわらず同じ機能を発揮する開発されるすべての要素を含む。
【0011】
このように、例えば、当業者には言うまでもなく、ここに説明したブロック図は本発明の原理を化体するシステムコンポーネント及び/または回路を概念的に示すものである。同様に、言うまでもなく、フローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等は、様々な方法(processes)を表し、これらの方法をコンピュータ読み取り可能媒体に実質的に表しても、(明示的に示していようがいまいが)コンピュータやプロセッサで実行してもよい。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による、本発明を様々に実装できる、コンテンツ配信システムを示すハイレベルのブロック図である。図1のコンテンツ配信システム100は、少なくとも1つのサーバ110と、同調/復号手段(セットトップボックス(STB)等)1201−120Nなどの複数の受信デバイスと、各セットトップボックス1201−120Nのディスプレイ1301−130Nと、その他のオーディオ出力デバイス(スピーカシステム等)1351−135Nなどの受信デバイスとを有する。各セットトップボックス1201−120Nは、図1のシステム100では、それぞれ1つのディスプレイに接続されているように描いたが、本発明の別の実施形態では、2つ以上のディスプレイに接続されていてもよい。また、同調/復号手段は、図1のコンテンツ配信システム100では、セットトップボックス120として描いたが、本原理の別の実施形態では、ディスプレイ130に組み込まれた同調/復号回路やその他のスタンドアロン同調/復号デバイスなどの別の同調/復号手段であってもよい。さらに、本発明の受信デバイスは、オーディオコンテンツ、ビデオコンテンツ、オーディオ/ビデオコンテンツなどのコンテンツを受信できるどんなデバイスも含み得る。
【0013】
一実施形態では、図1のコンテンツ配信システム100は、リテール広告ネットワークの一部であり得る。例えば、図2は、本原理の一態様による、リテール広告を提供するリテール広告ネットワークを示すハイレベルのブロック図である。図2の広告ネットワーク200では、広告ネットワーク200とサーバシステム100は、エンターテイメントコンテンツ、ニュース、及びインストア設定における同様のコンシューマ情報コンテンツとともに、音楽レコーディング、ホームビデオ、製品実演、広告コンテンツなどのカタログ配布、配信、プレゼンテーション、及び利用追跡を、提供するソフトウェアとハードウェアの組み合わせを利用する。コンテンツは、圧縮または非圧縮の、ビデオとオーディオストリームフォーマット(MPEG2、MPEG4パート10/AVC−H.264、VC−1、ウィンドウズ(登録商標)メディアなど)で表したコンテンツを含んでもよいが、本発明のシステムはこうしたフォーマットのみの利用に限定されない。
【0014】
一実施形態では、インストア広告ネットワーク200とコンテンツ配信/サーバシステム100の様々な要素を制御するソフトウェアは、ウィンドウズ(登録商標)環境を用いた32ビットオペレーティングシステム(例えば、MSウィンドウズ(登録商標)やXウィンドウ(登録商標)オペレーティングシステム)と、高性能コンピューティングハードウェアを含み得る。広告ネットワーク200は、分散アーキテクチャを利用して、集中コンテンツ管理を提供し、また一実施形態では衛星(または、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、一連のマイクロ波リンク、または同様のメカニズムなどのその他の方法)及びインストアを介した配信制御を提供できる。
【0015】
図2に示した通り、リテール広告ネットワーク200とコンテンツ配信システム100用のコンテンツは、アドバタイザ202、レコーディング企業204、映画スタジオ206、その他のコンテンツプロバイダ208により提供され得る。アドバタイザ202は、製品生産者、サービスプロバイダ、これらを代理する広告会社などである。アドバタイザ202アドバタイザ202からの広告コンテンツは、コマーシャル、「インフォマーシャル(info-mercials)」、製品情報、及び製品実演などを含むオーディオビジュアルコンテンツにより構成され得る。
【0016】
レコーディング会社204は、レコードレーベル、音楽出版社、ライセンシング/出版会社(例えば、BMIやASCAP)、アーティスト個人、その他の音楽関連コンテンツのコンテンツ源であり得る。レコーディング会社204は、音楽クリップ(レコーディングした音楽の短い一部分)、音楽ビデオクリップなどのオーディオビジュアルコンテンツを提供する。映画スタジオ206は、映画スタジオ、映画製作会社、評論家(publicist)、その他の映画産業に関係するコンテンツ源であり得る。映画スタジオ106は、映画クリップ、事前に録画した俳優・女優とのインタビュー、映画レビュー、「舞台裏」プレゼンテーションなどのコンテンツを提供できる。
【0017】
他のコンテンツプロバイダ208は、図1のコンテンツ配信システム100などを介して配信し、表示されるビデオ、オーディオ、またはオーディオビジュアルコンテンツのその他のプロバイダであり得る。
【0018】
一実施形態では、コンテンツは、例えば、従来の記録メデイア(テープ、CD、ビデオなど)を用いて、ネットワーク管理センタ(NMC)210を介して調達される。NMC210に供給されたコンテンツは、例えばローカル配信システム100への配信に好適な形式でコンパイルされる。ローカル配信システム100は、コンテンツを配信し(店内などの)ローカルサイトで表示する。
【0019】
NMC210は、受信したコンテンツをデジタル化し、デジタル化データファイル222の形式でネットワークオペレーションズセンタ(NOC)220に提供する。留意すべき点として、データファイル222は、デジタル化コンテンツとして説明するが、ストリーミングオーディオ、ストリーミングビデオなどの情報であってもよい。コンパイルされNMC210により受信されたコンテンツは、コマーシャル、バンパー(bumpers)、グラフィックス、オーディオなどを含み得る。全てのファイルは、一意的に識別できるように命名されることが好ましい。より具体的には、NMC210は、ストアロケーションなど特定のサイトに宛ての配信パックを生成し、スケジュールによって、またはオンデマンドでストアに配信する。配信パック(distribution packs)は、(サイトのシステムが初めて初期化されるのでない場合)利用するとき、すでにオンサイトにある既存のコンテンツを置き換え、または改良するコンテンツを含む(初めて初期化される場合、配信されたパッケージはそのサイトの最初のコンテンツとなる)。あるいは、ファイルは別々に圧縮され、転送されてもよいし、ある種のストリーミング圧縮プログラムを利用してもよい。
【0020】
図2に示した実施形態では、NOC220は、ひとまとまりとしてモニタされ、及び/または制御される一群のサーバを規定するリテールネットワークマネージャ(RNM)224を含む。すなわち、本発明の一実施形態では、デバイスグループ制御プロトコル(DGCP)に従ってRNM224によりグループ化される。デバイスグループ制御プロトコルは、米国特許商標庁に2007年4月4日に出願された共有に係る仮特許出願第60/921714号と、米国を指定してPCTにより2007年6月13日に出願された国際出願第07/013949号に記載されている。両文献の発明の名称はともに「デバイスグループ制御」である。両文献はその全体をここに参照援用する。
【0021】
すなわち、デバイスグループ制御プロトコルに従って、各サーバを、少なくとも1つのグループ(それ自身)に所属させ、他の多くのグループにも所属させるように構成することができる。このように、コマンドや要求を、1つまたは複数のサーバを含むグループごとに宛てる(target)ことができる。このように、一グループの各サーバは、同じブロードキャストチャネルまたはマルチキャストチャネルを用いて、送受信する。上記の発明の様々な実施形態では、サーバは、必要なだけ多くのグループのメンバーになることをサポートできる。また、サーバは、上記のプロトコルまたは外部手段を用いて、グループのメンバーになったり、メンバーから抜けたりするように構成できる。外部手段には、コンフィギュレーションファイルと、その他のSNMPやウェブ構成ページなどのトランザクションがある。本発明のさまざまな実施形態では、すべてのストアが、あるジップコードに属する、ある時間帯に属する、ある州に立地する、ある地域に立地する、ある人口統計的特徴を有するなどの共通の属性により、サーバをグループ化できる。システムのグループは、一意的な識別子を割り当てられ、一単位として通信、モニタ、制御を行う。
【0022】
図2のリテール広告ネットワーク200では、NOC220は、通信ネットワーク225を介して、コマーシャルセールスアウトレット230にある各サーバ/コンテンツ配信システム100に、デジタル化したデータファイル222を送信する。各サーバ100は、(NOC220などからの)入来メッセージを調べて、そのメッセージが適用されるターゲットグループにそのサーバが属しているか判断できるように構成されたグループ識別子ユニット102を含む。
【0023】
本発明の様々な実施形態では、通信ネットワーク225はどんな技術で実施してもよい。例えば、本発明の一実施形態では、通信ネットワーク225は、コマーシャルセールスアウトレット230などの各アプリケーションサーバシステム100にデジタル化したデータファイル222を配信する衛星リンク(衛星IPネットワーク)を含む。かかる構成により、有利にも、コンテンツを様々なロケーションに同時にマルチキャストして配信することができる。あるいは、インターネットを用いて、コマーシャルセールスアウトレット230にオーディオビジュアルコンテンツを配信し、そのコマーシャルセールスアウトレット230からフィードバックを得ることができる。本発明の他の実施形態では、専用線、マイクロ波ネットワークその他のメカニズムを用いるなどの通信ネットワーク225を実施するその他の方法や構成を用いることができる。
【0024】
インストアなどのローカルレベルでは、コンテンツ配信システム100のサーバ110は、配信パックなどのコンテンツを受信して、適宜そのコンテンツをセットトップボックス120とディスプレイ130とスピーカシステム135などの様々な受信器にインストア配信することができる。すなわち、コンテンツ配信システム100では、コンテンツは、受信されストリーミング用に構成される。ストリーミングは、共に、または調和して動作するように構成された1つ以上のサーバにより実行できる。ストリーミングコンテンツは、ストアなどのセールスアウトレット230中のいろいろなロケーションや製品用に構成されたコンテンツを含み得る。例えば、セットトップボックス120とディスプレイ130と様々なスピーカシステム135とは、セールスアウトレット230中のあるロケーションに位置し、各セットトップボックスとディスプレイのロケーションから所定距離内にある製品に関するコンテンツを表示し、オーディオをブロードキャストするように構成され得る。
【0025】
コンテンツ配信システム100のサーバ110は、コンテンツを受信して、テキスト、オーディオ、ビデオ、及びオーディオ/ビデオのストリーム(コンテンツチャネルなど)を生成し、ストア中のレシーバに送信する。ストリームは、無線周波数配信に変調されたオーディオ、ビデオ、及び/またはオーディオ/ビデオの個別チャネルでもよいし、ユニキャストまたはマルチキャストインターネットプロトコル(IP)ネットワーク内のデータフローとして送信してもよい。これらのストリームは、同じ論理的に一組の制御ソフトウェアで、1つ以上のサーバに始まるものであってもよい。
【0026】
例えば、本発明の一実施形態では、図1のコンテンツ配信システム100のサーバ110などの本発明のサーバは、受信したストリームをデバイスグループ制御プロトコルに従って送信できる。デバイスグループ制御プロトコルは、米国特許商標庁に2007年4月4日に出願された共有に係る仮特許出願第60/921714号と、米国を指定してPCTにより2007年6月13日に出願された国際出願第07/013949号に記載されている。両文献の発明の名称はともに「デバイスグループ制御」である。両文献はその全体をここに参照援用する。
【0027】
すなわち、サーバを、デバイスグループ制御プロトコルにより情報を送信するように構成することができる。レシーバは、かかるプロトコルを用いて、少なくとも1つのグループ、すなわち自分自身と、その他の多くのグループに属するように構成することもできる。このように、コマンド、要求、またはコンテンツの通信を、1つまたは複数のデバイスを含むグループごとに宛てる(target)ことができる。このように、一グループの各デバイスは、同じブロードキャストチャネルまたはマルチキャストチャネルを用いて、送受信する。上記の発明の様々な実施形態では、デバイスは、必要なだけ多くのグループのメンバーになることをサポートできる。また、デバイスは、上記のプロトコルまたは外部手段を用いて、グループのメンバーになったり、メンバーから抜けたりするように構成できる。外部手段には、コンフィギュレーションファイルと、その他のSNMPやウェブ構成ページなどのトランザクションがある。また、上記の発明のいくつかのアプリケーションでは、グループメンバーシップを予め設定することも望ましい。
【0028】
かかるプロトコルを用いる一実施形態では、ストックDGCPペイロードが、リアルタイムストリームプロトコル(RTSP)DESCRIBE応答と同様のフォーマットを用いて、セッション記述プロトコル(SDP)データブロックをセットトップボックス(STB)に配信する。SDPはIETF(http://tools.ietf.org/html/rfc2327)により規定されている。
【0029】
かかるデータブロックは次のフォーマットを含み得る:
c=IN IP4 233.192.0.101
a=control:rtsp://169.254.1.1/view0
a=type:scheduled
m=video 49162 RTP/AVP 33
a=fmtp:33 program_number=1
a=framerate:29.97
a=orient:portrait。
【0030】
上記のデータは次を含む:
IP address and port (233.192.0.101/49162)
Controlling RTSP URL (rtsp://169.254.1.1/view0)
Stream type (video)
RTP profile type (33 - MPEG2 Transport Stream)
Video frame rate (29.97)
Video orientation (portrait)。
【0031】
しかし、かかるデータブロックは次に関する情報を含んでいない:
ビデオ解像度
ビデオアスペクト比(4:3または16:9またはその他)
ビデオコーデック
ビデオビットレート
オーディオコーデック
オーディオビットレート
MPEG2トランスポートストリームなどを用いるアプリケーションでは、含まれていない情報が重要である。一通信ではビデオコーデックはMPEG2であるが、他の一通信では、ビデオコーデックはH.264(MPEG4パート10)であり得る。また、オーディオコーデックはMPEGオーディオを含むものであってもよいが、別の実施形態ではドルビーAC3を含むものであってもよい。
【0032】
このように、本発明の様々な実施形態により、STBやスピーカなどのレシーバと通信するときの遅延を最小にするため、上記の情報の少なくとも一部、またはそれ以上を、チューニングコマンドの一部としてレシーバに送信しなければならない。より具体的には、本発明の様々な実施形態では、レシーバに追加情報を送信することにより、そのレシーバが新しいストリームにチューニングするのにかかる時間を短くできる。
【0033】
本発明の一実施形態では、セッション記述プロトコル(SDP)拡張を用いて、データを送り、レシーバと通信する。かかる実施形態では、SDPを使用するため、メディア属性は次のものを含む:
a=vcodec:mpeg2-in-mpeg2ts
a=vcodecrate:19.39mbps
a=vcodecaspect:16x9
a=vcodecresolution:1920x1200
a=acodec:ac3
a=acodecrate:200kbps
a=acodecchannels:5.1
本発明の別の一実施形態では、バイナリDGCPペイロードは、上記と同様の、ビットフィールドで定義された情報を有してもよい。
【0034】
例えば、現在のシステムアーキテクチャでは、最初にトランスポートストリームを受け取り、そのトランスポートストリーム(MPEGトランスポートストリームなど)を解析して、ビデオコーデックとオーディオコーデックとコーデックパラメータとを調べる。これに0.5秒から数秒の時間がかかる。本発明の様々な実施形態では、有利にも、従来の方法と比較してチューニング時間を短縮できる。
【0035】
従来の方法に対する利点を示すため、まず、データを受信して解析する従来の方法のフロー図を説明する。次に、本発明の一実施形態によるレシーバのチューニングの改善方法を説明する。図3は、データを受信して解析する従来の方法を示すフロー図である。方法300は、ステップ302から始まり、RTSPまたはDGCPを用いて、ストリームを識別するセッション記述プロトコル(SDP)ブロックを受信する。かかるSDPの一例としては:
c=IN IP4 233.192.0.101
a=control:rtsp://169.254.1.1/view0
a=type:scheduled
m=video 49162 RTP/AVP 33
a=fmtp:33 program_number=1
a=framerate:29.97
a=orient:portrait。
そしてステップ304に進む。
【0036】
ステップ304において、SDPブロックを解析(parse)して、RTPセッションを送信するIPアドレスとポートを決定する。上記の例では、IPアドレスは解析の結果、233.192.0.101ポート49162である。そしてステップ306に進む。
【0037】
ステップ306において、SDPブロックを解析して、RTPペイロードタイプを決定する。上記の例では、ペイロードタイプは、解析の結果、RTP/AVTタイプ33であり、これはMPEG2トランスポートストリームである。そしてステップ308に進む。
【0038】
ステップ308において、受信ソケットをオープンにして、RTPストリームからパケットの受信を開始する。そしてステップ310に進む。
【0039】
ステップ310において、解像度などのパラメータを含む、オーディオとビデオのタイプについてストリーム中のMPEGシグネチャ(signature)を検出するのに十分なパケットを待ってから解析する。コーデックに関するこれらの詳細情報が分かると、ステップ312に進む。
【0040】
ステップ312において、オーディオ・ビデオデコーダチップを初期化して、復号を開始する。そしてステップ314に進む。
【0041】
ステップ314において、集積したパケットの再生を開始する。留意点として、これらのパケットは受信当初からバッファされていたものであってもよい。この時、デコーダチップは、圧縮ビットストリームを復号し、ディスプレイとスピーカなどの再生デバイスに出力するオーディオとビデオにする。このような従来技術の方法300では、SDPを受信してからビデオとオーディオを視聴するまでの遅延は、数分の一秒から数秒であり、これはMPEGトランスポートストリームをどのくらい解析して、デコーダチップを初期化するのに必要なデータを求めねばならないかに依存する。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態によるレシーバのチューニングの改善方法400を示すフロー図である。方法400は、ステップ402から始まり、RTSPまたはDGCPを用いて、ストリームを識別するセッション記述プロトコル(SDP)ブロックを受信する。かかるSDPの一例としては:
c=IN IP4 233.192.0.101
a=control:rtsp://169.254.1.1/view0
a=type:scheduled
m=video 49162 RTP/AVP 33
a=fmtp:33 program_number=1
a=framerate:29.97
a=orient:portrait
a=vcodec:mpeg2-in-mpeg2ts
a=vcodecrate:19.39mbps
a=vcodecaspect:16x9
a=vcodecresolution:1920x1200
a=acodec:ac3
a=acodecrate:200kbps
a=acodecchannels:5.1。
【0043】
上記のSDPの例から明らかなように、本発明の様々な実施形態では、事前に追加データを提供して、デコーダチップをすぐに初期化する。そしてステップ404に進む。
【0044】
ステップ404において、SDPブロックを解析(parse)して、RTPセッションを送信するIPアドレスとポートを決定する。上記の例では、IPアドレスは233.192.0.101であり、ポートは49162である。そしてステップ406に進む。
【0045】
ステップ406において、SDPブロックを解析して、RTPペイロードタイプを決定する。上記の例では、RTP/AVTタイプは33であり、これはMPEG2トランスポートストリームである。そしてステップ408に進む。
【0046】
ステップ408において、SDPブロックを解析して、オーディオコーデックとビデオコーデックのパラメータの詳細を求める。本発明の様々な実施形態では、追加のコーデック情報により、デコーダチップをすぐに初期化でき、レシーバのチューニング時間を短縮できる。すなわち、上記の従来方法では、解像度などのパラメータを含む、オーディオ・ビデオタイプのストリーム中のMPEGシグネチャを検出するために、十分多くのパケットを待ってから解析するが、これとは対照的に、本発明の実施形態では、SDPブロックを解析して、オーディオコーデックとビデオコーデックのパラメータの詳細を求め、これによりデコーダチップをすぐに初期化できるようにする。SDPブロックを解析してオーディオコーデックとビデオコーデックのパラメータの詳細を求めてから、ステップ410に進む。
【0047】
ステップ410において、オーディオ・ビデオデコーダチップを初期化して、復号を開始する。そしてステップ404に進む。
【0048】
ステップ412において、受信ソケットをオープンにして、RTPストリームからパケットの受信を開始する。そしてステップ414に進む。
【0049】
ステップ414において、メディアパケットを、到着したら再生する。デコーダチップは、圧縮されたビットストリームを、ディスプレイとスピーカなどの再生デバイスに出力するオーディオ及びビデオとして復号する。本発明の実施形態では、SDPを受信してからビデオとオーディオを視聴できるまでの遅延が、上記の従来方法300と比較して、短縮される。その理由は、少なくともMPEGトランスポートストリームを解析するまでの待ち時間がないからである。
【0050】
本発明の一実施形態では、本発明による(オーディオおよび/またはビデオコンテンツなどの)コンテンツを識別する、レシーバ/再生デバイスにより利用される情報は、図1のコンテンツ配信システム100のサーバ110などのコンテンツサーバから、および/または図2のリテール広告ネットワーク200のNOC220および/またはNMC210から、レシーバ/再生デバイスに送信できる。すなわち、本発明の一実施形態では、配信するコンテンツを識別する情報は、本発明のサーバのメモリ(図示せず)に記憶でき、コンテンツとともに、および/またはチューニングコマンドの一部として、レシーバに送信できる。すなわち、本発明のサーバは、上記の通り、サーバの様々な動作機能を実行するプロセッサ(図示せず)を含み、上記の通り、コンテンツおよび/またはそのコンテンツを識別する情報を記憶するメモリをさらに含む。
【0051】
レシーバが受信コンテンツの再生を開始するのにかかる時間を短縮する方法、装置、システムの様々な実施形態を説明したが、(これらは例示であって限定ではなく、)当業者は上記の教示を考慮して修正や変形をすることができることに留意すべきである。それゆえ、当然のことながら、本発明の範囲と精神において、開示した本発明の実施形態を変更することができる。上記は本発明の様々な実施形態に関するが、本発明のその他の実施形態やさらに別の実施形態を、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく工夫することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを受信したレシーバが、識別情報なしにコンテンツを受信した場合と比較して短い遅延で前記コンテンツの再生を開始できるように、前記コンテンツとともに、前記コンテンツを識別する情報を供給する段階を有する、方法。
【請求項2】
前記コンテンツがオーディオ/ビデオコンテンツを含み、前記コンテンツを識別する情報がオーディオおよびビデオコーデックパラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コーデックパラメータによりデコーダの初期化ができ、それによりレシーバのチューニング時間が短くなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンテンツを識別する情報を、セッション記述プロトコルデータパックでレシーバに送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コンテンツを識別する情報により、デコーダが複数のコンテンツパケットを解析して前記コンテンツのオーディオおよびビデオのタイプを識別する必要がなくなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コンテンツとそれを識別する情報を、デバイスグループ制御プロトコルを用いて少なくとも1つのレシーバに送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンテンツとそれを識別する情報をチューニングコマンドの一部としてレシーバに送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
再生するコンテンツを識別する情報を受信する段階と、
識別情報なしにコンテンツを受信した場合と比較して短い遅延で前記コンテンツを再生できるように、前記受信した情報を用いて、デコーダを初期化するために前記コンテンツを識別する段階とをさらに有する、方法。
【請求項9】
前記コンテンツがオーディオ/ビデオコンテンツを含み、前記コンテンツを識別する情報がオーディオおよびビデオコーデックパラメータを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテンツを識別する情報を、セッション記述プロトコルデータパックで再生デバイスに送信する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテンツを識別する情報により、デコーダが複数のコンテンツパケットを解析して前記コンテンツのオーディオおよびビデオのタイプを識別する必要がなくなる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記コンテンツとそれを識別する情報を、デバイスグループ制御プロトコルを用いて少なくとも1つの再生デバイスに送信する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記コンテンツとそれを識別する情報をチューニングコマンドの一部として受信する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
受信ソケットをオープンして、前記コンテンツを受信する段階と、
前記コンテンツを、受信したら再生する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
記録されたマルチメディアコンテンツと、
前記マルチメディアコンテンツの再生デバイスが、識別情報なしにコンテンツを受信した場合と比較して短い遅延で前記マルチメディアコンテンツの再生を開始できるように記録された、前記マルチメディアコンテンツを識別する情報とを有する、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項16】
前記コンテンツがオーディオ/ビデオコンテンツを含み、前記コンテンツを識別する情報がオーディオおよびビデオコーデックパラメータを含む、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−516106(P2012−516106A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547882(P2011−547882)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/004039
【国際公開番号】WO2010/085232
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】