受信装置
【課題】送信装置から一方向伝送路を介して受信したIPパケットを、FLUTEのIPパケットに変換する。
【解決手段】受信装置2のSDP生成部23は、UDPヘッダの宛先ポート番号に基づいてIPパケットからダウンロード制御情報を取り出し、SDP情報を生成する。FDT生成部24は、UDPヘッダの宛先ポート番号に基づいてメディアファイルのIPパケットを選定し、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号に基づいてIPパケットからメディアファイルの伝送ファイル属性情報を取り出し、FDTインスタンスを生成する。ALC/LCTヘッダ生成部25は、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケット等に基づいてALC/LCTヘッダを生成し、FLUTEのIPパケットを生成する。これにより、IPパケットをFLUTEのIPパケットに変換でき、ファイルを再構成することができる。
【解決手段】受信装置2のSDP生成部23は、UDPヘッダの宛先ポート番号に基づいてIPパケットからダウンロード制御情報を取り出し、SDP情報を生成する。FDT生成部24は、UDPヘッダの宛先ポート番号に基づいてメディアファイルのIPパケットを選定し、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号に基づいてIPパケットからメディアファイルの伝送ファイル属性情報を取り出し、FDTインスタンスを生成する。ALC/LCTヘッダ生成部25は、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケット等に基づいてALC/LCTヘッダを生成し、FLUTEのIPパケットを生成する。これにより、IPパケットをFLUTEのIPパケットに変換でき、ファイルを再構成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置から一方向伝送路を介して受信装置へパケットが伝送される伝送システムにおいて、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)クライアント機能を有する受信装置が、受信したIPパケットを、FLUTEの規格に準拠したIPパケットに変換するパケットフォーマット変換技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送伝送路等の一方向伝送路を用いてコンテンツをダウンロードするサービスが知られている。コンテンツダウンロードサービスにおいては、ファイルを分割し複数のパケットに格納して伝送する方式がとられている。このファイル伝送方式では、送信装置が、FEC(Forward Error Correction)と呼ばれる誤り訂正手法によって、ファイルを分割して生成したパケットに基づいて、冗長なパケットを生成し送信する。そして、受信装置が、送信装置から冗長パケットを受信し、欠損したパケットを復元する。これにより、リターンチャネル(受信装置から送信装置への上り回線)を用いることなく、一方向伝送路において一定のファイル伝送品質を維持することができる。
【0003】
このような一方向伝送路を用いたファイル伝送方式として、FLUTEが知られている(非特許文献1及び特許文献1を参照)。FLUTEは、ファイルをパケット化して伝送する際に、ファイルの属性情報及びファイル本体を、それぞれ一つのオブジェクトとして伝送する規格である。ファイルの属性情報は、FDT(File Delivery Table)インスタンスとして記述され、ファイル本体と同様に一つのオブジェクトとして扱われる。つまり、送信装置は、ファイルの属性情報のFLUTEパケットをオブジェクトとして送信し、その後に引き続いて、ファイル本体のFLUTEパケットをオブジェクトとして送信する。
【0004】
このFLUTEは、DVB−H IPデータキャストサービス及び3GPP MBMSサービスに用いられている(非特許文献2,3を参照)。したがって、FLUTEの規格に準拠したIPパケット(以下、FLUTEのIPパケットという。)を処理し、ファイルを再構成するFLUTEクライアント機能を有する受信装置は多数存在し、国際的に広く普及しているものと想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0153468号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IETF RFC3926、“FLUTE - file delivery over unidirectional transport”、Oct.,2004
【非特許文献2】ETSI TS 102 472、“Digital Video Broadcasting (DVB); IP Datacast over DVB-H: Content Delivery Protocols”、2006-12
【非特許文献3】3GPP TS 26.346、“3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Multimedia Broadcast/Multicast Service (MBMS); Protocols and codecs (Release 8)”、2008-09
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、放送伝送路等の一方向伝送路を用いたファイル伝送方式のうち、FLUTE以外の規格に準拠した送信装置も多数存在している。例えば、本出願と同一の出願人によりなされた、本出願時に未公開の特願2008−304375号公報には、特に衛星放送等の高速伝送路に適用があり、オーバーヘッドの少ない効率的なファイル伝送方式である高度BSダウンロード方式が提案されている。このようなオーバーヘッドの少ない効率的なファイル伝送方式を用いた送信装置に対し、それに対応可能な受信装置を開発することは可能である。
【0008】
しかしながら、このような送信装置に対応した新たな受信装置を開発するのではなく、現在多数存在し広く普及している、FLUTEクライアント機能を有する受信装置を用いることができれば、受信機会を増やすことができ、開発コスト及び開発負荷が低減され有用である。
【0009】
そこで、本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、FLUTEパケットからファイルを再構成するFLUTEクライアント機能を有する受信装置において、送信装置から一方向伝送路を介して受信したIPパケットを、FLUTEのIPパケットに変換可能な受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による受信装置は、ファイルを複数のデータユニットに分割し、前記ファイルに基づいて伝送ファイル属性情報を生成すると共に、前記ファイルをダウンロードするために必要なダウンロード制御情報を複数のデータユニットに分割し、前記ダウンロード制御情報に基づいて伝送ファイル属性情報を生成し、前記ファイル及びダウンロード制御情報の識別子と前記データユニット及び伝送ファイル属性情報を送信する際の番号とを含むダウンロードヘッダを生成し、前記ファイルのデータユニット、前記ファイルの伝送ファイル属性情報、前記ダウンロード制御情報のデータユニットまたは前記ダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報を、前記ダウンロードヘッダと共にパケットに格納して送信する送信装置と、一方向伝送を介して前記パケットを受信し、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)の規格に準じた処理を行うクライアント機能により、前記ファイルを復元する受信装置と、を含む伝送システムにおける前記受信装置であって、前記ダウンロード制御情報のデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記ファイルがFLUTEのパケットとして伝送される場合のセッションに関するSDP(Session Description Protocol)情報を生成するSDP生成部と、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記ファイルがFLUTEのパケットとして伝送される場合の属性に関するFDT(File Delivery Table)インスタンスを生成するFDT生成部と、前記ファイルのデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ、及び前記ファイルをエンコーディングシンボルとして伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成し、前記FDT生成部により生成されたFDTインスタンス及び前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを含むFLUTEのパケットを生成し、前記パケットに格納されたファイルのデータユニットを取り出して前記エンコーディングシンボルとして扱い、前記エンコーディングシンボル及び前記エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを含むFLUTEのパケットを生成するALC/LCTヘッダ生成部と、前記SDP生成部により生成されたSDP情報を用いて、前記ALC/LCTヘッダ生成部により生成されたFLUTEのパケットから、元のファイルを復元するFLUTEクライアントと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による受信装置は、前記送信装置により送信されるパケットには、前記ファイル及びダウンロード制御情報の送信において異なる宛先ポート番号が設定されたUDPヘッダが付加され、前記パケットに付加されたUDPヘッダの宛先ポート番号に基づいて、ファイルのデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットと、ダウンロード制御情報のデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットとを区別する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による受信装置は、前記SDP生成部が、前記ダウンロード制御情報から、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、宛先ポート番号、前記ファイルの配信開始時刻及び配信終了時刻を取り出し、前記SDP情報の各項目に設定する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明による受信装置は、前記FDT生成部が、前記ファイルの伝送ファイル属性情報から、コンテンツロケーション及びエクスパイア属性を取り出し、前記FDTインスタンスの各項目に設定する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による受信装置は、前記送信装置により送信されるパケットのダウンロードヘッダが、前記ファイル及びダウンロード制御情報の識別子と、前記データユニット及び伝送ファイル属性情報を送信する際に複数のデータユニット及び伝送ファイル属性情報からなるブロックの番号と、ブロック内における送信単位の番号を示すシーケンス番号とにより構成され、前記ALC/LCTヘッダ生成部が、前記ファイルの伝送ファイル属性情報から伝送ファイル属性情報の最終パケット番号を取り出して、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのダウンロードヘッダにおけるシーケンス番号及び前記最終パケット番号に基づき、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納された最終パケットであるか否かを示す情報を生成し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのUDPヘッダから宛先ポート番号を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットにおける前記データユニット長を算出し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号を取り出して、前記ブロック番号及びシーケンス番号に基づき、FLUTEにより規定されたソースブロック番号及びエンコーディングシンボル番号を算出し、前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダの各項目に設定し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報からブロック内のパケット数を取り出して、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダにおけるシーケンス番号及び前記ブロック内のパケット数に基づき、前記ファイルのデータユニットが格納された最終パケットであるか否かを示す情報を生成し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのUDPヘッダから宛先ポート番号を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダから識別子を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号を取り出して、前記ブロック番号及びシーケンス番号に基づき、FLUTEにより規定されたソースブロック番号及びエンコーディングシンボル番号を算出し、前記エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の受信装置によれば、送信装置から一方向伝送路を介して受信したIPパケットを、FLUTEのIPパケットに変換し、ファイルを再構成することができる。したがって、オーバーヘッドの少ない効率的なファイル伝送方式を用いた送信装置に対し、それに対応した新たな受信装置を開発することなく、現在多数存在し広く普及している、FLUTEクライアント機能を有する受信装置を用いてファイルを再構成することができる。つまり、開発コスト及び開発負荷を低減することができる。また、高度BSダウンロード方式にて送信装置から送信されたコンテンツを、DVB−H、3GPP、ISDB−Tmm等の方式に対応した受信装置において受信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による受信装置を含む伝送システムの概略構成を示す図である。
【図2】送信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ダウンロード制御情報の構成を示す図である。
【図4】IPパケット化部の構成を示すブロック図である。
【図5】IPパケット化部の処理を説明する図である。
【図6】伝送ファイル属性情報の構成を示す図である。
【図7】ダウンロードヘッダの構成を示す図である。
【図8】TLV(Type−Length−Value)パケットとして伝送されるダウンロード制御情報及びメディアファイルを概念的に示した図である。
【図9】本発明の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】FLUTEのIPパケットへの変換手順を示すフローチャートである。
【図11】FDTインスタンスを伝送するFLUTEのIPパケットの構成を示す図である。
【図12】エンコーディングシンボルを伝送するFLUTEのIPパケットの構成を示す図である。
【図13】SDP(Session Description Protocol)情報の項目及び記述方法を説明する図である。
【図14】FDTインスタンスの項目及び記述方法を説明する図である。
【図15】FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダの項目及び記述方法を説明する図である。
【図16】図15の続きである。
【図17】エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダの項目及び記述方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔伝送システム〕
まず、本発明の実施形態による受信装置を含む伝送システムについて説明する。図1は、伝送システムの概略構成を示す図である。この伝送システムは、例えば、高度BSダウンロード方式によるファイルのダウンロードサービスを実現するシステムであり、送信装置1及び受信装置2により構成される。送信装置1及び受信装置2は一方向伝送路3により接続される。
【0018】
送信装置1は、メディアファイル、コンテンツファイル、メタデータファイル、ファイルパッケージ等のファイル及びダウンロード制御情報(ファイルをダウンロードするために必要な制御情報)を送信する際に、伝送ファイル属性情報及びデータユニットをIPパケットに格納し、IPパケットをTLVパケットにカプセル化し、一方向伝送路3を介して受信装置2へ送信する装置である。受信装置2は、FLUTEクライアント機能を有しており、送信装置1により送信されたTLVパケットを、一方向伝送路3を介して受信し、TLVパケットをIPパケットにデカプセル化し、IPパケットをFLUTEのIPパケットに変換し、元のファイルを再構成する装置である。
【0019】
〔送信装置〕
次に、図1に示した送信装置1について詳細に説明する。図2は、送信装置1の構成を示すブロック図である。この送信装置1は、IPパケット化部11,12、IP/UDPヘッダ圧縮部13及びTLVパケット化部14を備えており、ダウンロード制御情報及びメディアファイルを伝送する際に、ダウンロード制御情報及びメディアファイルからデータユニット及び伝送ファイル属性情報をそれぞれ生成し、ダウンロードヘッダを付加してIPパケットを生成し、IPパケットをTLVパケットにカプセル化し、受信装置2へ送信する。尚、本発明の実施形態において、送信装置1はTLVパケットを送信するが、IPパケットを送信するようにしてもよい。以下、メディアファイルを送信装置1から受信装置2へ送信する例について説明する。
【0020】
IPパケット化部11は、ダウンロード制御情報を入力し、データユニット及び伝送ファイル属性情報を生成し、データユニット及び伝送ファイル属性情報にダウンロードヘッダをそれぞれ付加し、IPパケットを生成してIP/UDPヘッダ圧縮部13に出力する。ここで、IPパケット化部11がIP/UDPヘッダ圧縮部13へ出力するIPパケットには、ダウンロード制御情報のデータユニットが格納されたIPパケットと、ダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットとの2種類がある。
【0021】
図3は、ダウンロード制御情報の構成を示す図である。ダウンロード制御情報は、1つのコンテンツであるメディアファイルに対応した情報であり、メディアファイルを送信装置1から受信装置2へダウンロードするために必要な制御情報である。ダウンロード制御情報は、「コンテンツ所在情報」「送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、宛先ポート番号」「配信開始時刻及び配信終了時刻」「コンテンツID」「ライセンスID」「ECGメタデータの所在情報」「再生制御情報所在情報」「購入属性メタデータの所在情報」「ライセンス所在情報」等により構成される。
【0022】
図2に戻って、IPパケット化部12は、メディアファイルを入力し、IPパケット化部11と同様に、データユニット及び伝送ファイル属性情報を生成し、ダウンロードヘッダをそれぞれ付加し、IPパケットを生成してIP/UDPヘッダ圧縮部13に出力する。ここで、IPパケット化部12がIP/UDPヘッダ圧縮部13へ出力するIPパケットには、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットと、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットとの2種類がある。
【0023】
図4は、IPパケット化部11,12の構成を示すブロック図である。図5は、IPパケット化部11,12の処理を説明する図である。このIPパケット化部11,12は、データユニット生成部31、属性情報生成部32、ダウンロードヘッダ付加部33及びIPパケット生成部34を備えている。
【0024】
データユニット生成部31は、ダウンロード制御情報またはメディアファイルを入力し、予め設定された一定長単位のサイズのデータユニットに分割し、複数のデータユニットを生成する。そして、データユニット生成部31は、生成した複数のデータユニットに基づいてパリティユニットを生成し、データユニット及びパリティユニットからなるブロックを生成し、ブロック毎のデータユニット及びパリティユニットをデータユニット#1〜#N(データユニット及びパリティユニットを総称してデータユニットという。)としてダウンロードヘッダ付加部33に出力する(ステップS501)。データユニットのサイズは自由に設定することができ、例えば、1344バイト、4032バイトとする。
【0025】
属性情報生成部32は、ダウンロード制御情報またはメディアファイルを入力し、ダウンロード制御情報またはメディアファイルに基づいて、ダウンロード制御情報またはメディアファイルの識別情報及び大きさ等を含む伝送ファイル属性情報を生成し、ダウンロードヘッダ付加部33に出力する(ステップS502)。この場合、属性情報生成部32は、生成した伝送ファイル属性情報のサイズが、データユニット生成部31により生成されるデータユニットのサイズ(一定長単位のサイズ)よりも大きいときに、生成した伝送ファイル属性情報を、データユニットと同じサイズに分割する。
【0026】
図6は、伝送ファイル属性情報の構成を示す図である。伝送ファイル属性情報は、「ダウンロードヘッダにおけるブロック番号(Block Number)フィールドのビット数」「ブロック内のパケット数」「伝送ファイル属性情報パケットの最終シーケンス番号」「FEC方式を特定するための識別子」「コンテンツロケーション(Content−Location)(URI/ファイル本体の名前)」「ファイル長(File Length)」「コンテンツタイプ(Content Type)」「ファイルを伝送する最終ブロック番号及び最終ブロックの最終シーケンス番号」「格納先のディレクトリ構成」「コンテンツエンコーディング(Content Encoding)」「伝送長(Transfer Length)」「コンテンツMD5(Content MD5)」「エクスパイア(Expires)属性」から構成される。図6の説明において、ダウンロード制御情報及びメディアファイルをファイルという。
【0027】
属性情報生成部32は、一方向伝送路3の種類及び特性に応じて予め設定されたビット長を、「ダウンロードヘッダにおけるブロック番号(Block Number)フィールドのビット数」に設定する。このブロック番号フィールドのビット数及びブロック番号の詳細については後述する。また、属性情報生成部32は、予め設定された、ブロック内のパケット数を、「ブロック内のパケット数」に設定する。「ブロック内のパケット数」とは、ファイルから分離されたデータユニットとデータユニットから生成されたパリティユニットとの集合体であるブロックにおいて、そのブロック内で送信され得るパケットの数である。
【0028】
また、属性情報生成部32は、生成した伝送ファイル属性情報を分割した場合、分割した伝送ファイル属性情報の数である伝送ファイル属性情報の最終パケットの番号を「伝送ファイル属性情報パケットの最終シーケンス番号」に設定する。尚、伝送ファイル属性情報のサイズがデータユニットのサイズ以下の場合は、「属性情報パケットの最終シーケンス番号」は0となる。
【0029】
また、属性情報生成部32は、ファイルのサイズを「ファイル長(File Length)」に設定し、ファイルのコンテンツタイプを「コンテンツタイプ(Content Type)」に設定する。また、属性情報生成部32は、データユニット生成部31により生成されるデータユニット及びパリティユニットの数、予め設定されたデータユニットのサイズ等に基づいて、ブロックの数及びシーケンスの数を算出し、これらを「ファイルを伝送する最終ブロック番号及び最終ブロックの最終シーケンス番号」に設定する。
【0030】
また、属性情報生成部32は、ファイルを符号化して伝送する場合、その方式を「コンテンツエンコーディング(Content Encoding)」に設定し、符号化して伝送する場合に元のファイルの長さと伝送時のファイルの長さが異なるため、伝送時のファイルの長さ「伝送長(Transfer Length)」を設定する。また、受信装置2がファイルを正しく受信できたか否かをチェックするためのチェックサム「コンテンツMD5(Content MD5)」を設定する。さらに、「FEC方式を特定するための識別子」「コンテンツロケーション(Content−Location)(URI/ファイル本体の名前)」「格納先のディレクトリ構成」「エクスパイア(Expires)属性」も設定する。
【0031】
図4及び図5に戻って、ダウンロードヘッダ付加部33は、データユニット生成部31からデータユニット#1〜#Nを入力し、属性情報生成部32から伝送ファイル属性情報を入力し、データユニット#1〜#N及び伝送ファイル属性情報に対し、ダウンロードヘッダを付加する(ステップS503)。
【0032】
図7は、ダウンロードヘッダの構成を示す図である。ダウンロードヘッダは、3つのフィールドからなる64ビットのヘッダであり、「トランスポートファイル識別子(TFID:Transport File ID)」「ブロック番号(Block Number)」「シーケンス番号(Sequence Number)」から構成される。「TFID」フィールドに割り当てられるビット数(フィールド幅)は32である。「ブロック番号」及び「シーケンス番号」フィールドに割り当てられるビット数は合計32であるが、それぞれ可変長であり、一方向伝送路3の種類及び特性に応じて、または、伝送されるダウンロード制御情報またはメディアファイルに応じて予め設定される。また、同じダウンロード制御情報またはメディアファイルを伝送中は、これらのフィールド幅は変更されず、固定値が用いられる。この「ブロック番号」フィールドに割り当てられるビット数は、属性情報生成部32により、図6に示した伝送ファイル属性情報の「ダウンロードヘッダにおけるブロック番号(Block Number)フィールドのビット数」に設定される。例えば、「ブロック番号」フィールドのビット数を0とすることにより、32ビットの全てを「シーケンス番号」フィールドとして用いることができる。
【0033】
「TFID」は、伝送するダウンロード制御情報またはメディアファイルを一意に識別するためのラベルの役割を果たす。したがって、ダウンロードヘッダ付加部33は、同一のダウンロード制御情報に対して同一の「TFID」を設定し、同一のメディアファイルに対して同一の「TFID」を設定する。
【0034】
「ブロック番号」は、伝送するダウンロード制御情報またはメディアファイルにおけるデータユニットをまとめた単位であるブロックの番号を示す。また、「シーケンス番号」は、ブロック内のデータユニット#1〜#Nの番号、及び伝送ファイル属性情報(分割した場合はそれぞれの伝送ファイル属性情報)の番号を示す。例えば、最初の伝送ファイル属性情報に対してはブロック番号=0,シーケンス番号=0が設定され、次の伝送ファイル属性情報が存在する場合、ブロック番号=0,シーケンス番号=1が設定され、最終の伝送ファイル属性情報までシーケンス番号がインクリメントされて設定される。また、伝送ファイル属性情報に続くデータユニットには、最終の伝送ファイル属性情報に対して設定されたシーケンス番号に引き続くシーケンス番号が設定される。
【0035】
具体的に説明すると、属性情報生成部32により1つの伝送ファイル属性情報が生成された場合、ダウンロードヘッダ付加部33は、最初のブロック(ブロック番号=0)において、伝送ファイル属性情報に対しブロック番号=0,シーケンス番号=0を設定する。そして、ダウンロードヘッダ付加部33は、最初のブロックの先頭のデータユニットに対しブロック番号=0,シーケンス番号=1を設定し、その次のデータユニットに対しブロック番号=0,シーケンス番号=2を設定する。シーケンス番号は、データユニットの数に応じて1ずつ増加する。そして、ダウンロードヘッダ付加部33は、次のブロック(ブロック番号=1)においても、最初のブロックにおける伝送ファイル属性情報と同一の伝送ファイル属性情報に対しブロック番号=0,シーケンス番号=0を設定する。そして、ダウンロードヘッダ付加部33は、そのブロック(ブロック番号=1)の先頭のデータユニットに対しブロック番号=1,シーケンス番号=1を設定し、その次のデータユニットに対しブロック番号=1,シーケンス番号=2を設定する。
【0036】
このように、ダウンロードヘッダ付加部33は、伝送ファイル属性情報及びデータユニットに対し、TFID、ブロック番号及びシーケンス番号からなるダウンロードヘッダを付加する。この場合、ダウンロードヘッダ付加部33は、データユニット生成部31により生成された複数のブロックに対して同一の伝送ファイル属性情報を割り付け、一つのブロックに対応する伝送ファイル属性情報のうちの最初の伝送ファイル属性情報に対し、ブロック番号=0,シーケンス番号=0を統一して設定するようにした。これにより、受信端末2は、受信したパケットについて、ダウンロードヘッダにおけるブロック番号及びシーケンス番号の両フィールドを連結した32ビットのデータが0x00000000であるか否かを判定し、0x00000000であると判定した場合、ブロック番号フィールドのビット数及びシーケンス番号フィールドのビット数の設定に関わらず、このようなダウンロードヘッダを持つパケットが、伝送ファイル属性情報を含むパケット(最初の伝送ファイル属性情報を含むパケット)であることを認識することができる。
【0037】
図4及び図5に戻って、IPパケット生成部34は、ダウンロードヘッダ付加部33によりダウンロードヘッダが付加されたデータユニット及び伝送ファイル属性情報にIPヘッダ及びUDPヘッダを付加してIPパケットを生成し、IP/UDPヘッダ圧縮部13に出力する(ステップS504)。ここで、IPパケット生成部34は、ダウンロード制御情報を格納するIPパケット及びメディアファイルを格納するIPパケットに対し、異なる宛先ポート番号のUDPヘッダを付加する。
【0038】
図2に戻って、IP/UDPヘッダ圧縮部13は、IPパケット化部11からダウンロード制御情報のデータユニットが格納されたIPパケット及びダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを入力し、IPパケット化部12からメディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケット及びメディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを入力する。そして、IP/UDPヘッダ圧縮部13は、IPパケットに付加されたIPヘッダ及びUDPヘッダを圧縮して圧縮ヘッダを生成し、IPヘッダ及びUDPヘッダの代わりに圧縮ヘッダを付加したIPパケットを生成し、TLVパケット化部14に出力する。
【0039】
TLVパケット化部14は、IP/UDPヘッダ圧縮部13からIPパケットを入力し、IPパケットをTLVパケットにカプセル化してTLVパケットを生成し、一方向伝送路3を介して受信装置2へ送信する。
【0040】
尚、TLVパケット化部14は、IPパケット化部11及びIPパケット化部12からIPパケットを直接入力し、圧縮されていないIPヘッダ及びUDPヘッダが付加されたIPパケットをカプセル化し、TLVパケットを受信装置2へ送信するようにしてもよい。
【0041】
図8は、TLVパケットとして伝送されるダウンロード制御情報及びメディアファイルを概念的に示した図である。送信装置1から受信装置2へ送信されるTLVパケットには、ダウンロード制御情報のパケットとメディアファイルのパケットとの2種類があり、具体的には、ダウンロード制御情報のデータユニットが格納されたTLVパケット及びダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報が格納されたTLVパケットと、メディアファイルのデータユニットが格納されたTLVパケット及びメディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたTLVパケットとがある。図8に示すように、例えば、ダウンロード制御情報のTLVパケットにおける宛先ポート番号は50000であり、メディアファイルのTLVパケットの宛先ポート番号は50001であり、IPパケット化部11,12のIPパケット生成部34によって異なる番号に設定される。これにより、受信装置2は、UDPヘッダの宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報とメディアファイルとを区別することができる。尚、送信元ポート番号は任意の番号が設定される。
【0042】
このように、送信装置1は、ダウンロード制御情報及びメディアファイルを伝送する際に、ダウンロード制御情報及びメディアファイルからデータユニット及び伝送ファイル属性情報をそれぞれ生成し、ダウンロードヘッダを付加してIPパケットを生成し、TLVパケットを生成して受信装置2へ送信するようにした。このファイル伝送方式は、放送固有の伝送に特化することで、オーバーヘッドの少ない効率的な処理が可能であるから、特に、衛星放送のような高速伝送路に利用することができる。
【0043】
〔受信装置〕
次に、図1に示した本発明の実施形態による受信装置2について詳細に説明する。図9は、受信装置2の構成を示すブロック図である。この受信装置2は、TLVデパケット化部21、IP/UDPヘッダ復元部22、SDP生成部23、FDT生成部24、ALC/LCTヘッダ生成部25及びFLUTEクライアント26を備えている。受信装置2は、送信装置1から一方向伝送路3を介して、ダウンロード制御情報のTLVパケット及びメディアファイルのTLVパケットを受信し、TLVパケットをIPパケットにデカプセル化し、IPパケットをFLUTEのIPパケットに変換し、元のメディアファイルを再構成する。これにより、送信装置1におけるメディアファイルを復元することができる。
【0044】
TLVデパケット化部21は、送信装置1から一方向伝送路3を介してTLVパケットを受信し、TLVコンテナ形式のTLVパケットをIPパケットにデカプセル化し、圧縮ヘッダが付加されたIPパケットを生成し、IP/UDPヘッダ復元部22に出力する。
【0045】
IP/UDPヘッダ復元部22は、TLVデパケット化部21から圧縮ヘッダが付加されたIPパケットを入力し、圧縮ヘッダからIPヘッダ及びUDPヘッダを復元し、IPヘッダ及びUDPヘッダを付加したIPパケットを生成し、SDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25に出力する。
【0046】
尚、送信装置1から送信されたTLVパケットのIPヘッダ及びUDPヘッダが圧縮されていない場合、TLVデパケット化部21は、受信したTLVパケットをデカプセル化し、IPヘッダ及びUDPヘッダが付加されたIPパケットを生成し、SDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25に直接出力する。また、送信装置1からTLVパケットではなく、圧縮ヘッダが付加されたIPパケットが直接送信された場合、IP/UDPヘッダ復元部22は、送信装置1からIPパケットを直接受信し、圧縮ヘッダからIPヘッダ及びUDPヘッダを復元し、IPヘッダ及びUDPヘッダを付加したIPパケットをSDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25に出力する。
【0047】
ここで、IP/UDPヘッダ復元部22からSDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25に出力されるIPパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ及びダウンロードヘッダに加え、ペイロードに以下のデータが格納された4種類のパケットである。
(1)ダウンロード制御情報のデータユニット
(2)ダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報
(3)メディアファイルのデータユニット
(4)メディアファイルの伝送ファイル属性情報
【0048】
SDP生成部23は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号が50000であるか50001であるかを判定し、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別して選定し、ダウンロード制御情報等に基づいてSDP情報を生成し、SDP情報のIPパケットをFLUTEクライアント26に出力する。ここで、図8に示したように、UDPヘッダの宛先ポート番号が50000の場合、IPパケットにはダウンロード制御情報が格納されており、50001の場合、IPパケットにはメディアファイルが格納されている。SDP情報は、メディアファイルがどのようなIPパケットで伝送されるかを示す情報であり、メディアファイルがFLUTEのIPパケットに格納されて伝送される場合のセッションに関する情報である。SDP情報は、FLUTEクライアント26がファイルを再構成する処理を行うために、前もって必要な情報である。SDP情報の詳細については後述する。
【0049】
FDT生成部24は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別して選定し、メディアファイルの伝送ファイル属性情報等に基づいてFDTインスタンスを生成し、ALC/LCTヘッダ生成部25に出力する。FDTインスタンスは、メディアファイル本体の属性情報であり、FDTインスタンスを伝送するFLUTEのIPパケットにおいてペイロードに格納される。FDTインスタンスの詳細については後述する。尚、FLUTEのIPパケットには、メディアファイル本体の属性情報であるFDTインスタンスを伝送するパケット、及び、メディアファイル本体であるエンコーディングシンボルを伝送するパケットの2種類がある。詳細については後述する。
【0050】
ALC/LCTヘッダ生成部25は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、FDT生成部24からFDTインスタンスを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別して選定し、UDPヘッダ等に基づいて、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する。また、IPパケットに格納されたメディアファイルのデータユニットをエンコーディングシンボルとして扱う。そして、ALC/LCTヘッダ生成部25は、メディアファイル本体の属性情報であるFDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケットを生成し、FLUTEクライアント26に出力する。また、ALC/LCTヘッダ生成部25は、メディアファイル本体であるエンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを生成し、FLUTEクライアント26に出力する。
【0051】
FLUTEの規定では、送信側において、ファイルはソースシンボルに分割され、FECによりパリティシンボルが生成され、ソースシンボル及びパリティシンボルがエンコーディングシンボルとしてパケットに格納される。また、エンコーディングシンボルをファイルに復元するためのFDTインスタンスがパケットに格納される。エンコーディングシンボル及びFDTインスタンスは、両者とも同様のオブジェクトとして受信側へ伝送される。また、各オブジェクトを伝送するパケットには、ALC/LCTヘッダが付加される。このように、FLUTEのIPパケットには、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンスを含むパケットと、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを含むパケットとの2種類がある。
【0052】
図11は、FDTインスタンスを伝送するFLUTEのIPパケットの構成を示す図である。図11に示すように、このFLUTEのIPパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ、ALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンス(FDT Instance)により構成される。ALC/LCTヘッダは、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)に加え、LCTヘッダエクステンション(LCT Header Extension)のうちのEXT_FDT及びEXT_FTI、並びにFECペイロード(Payload)IDが必要であり、V、C、・・・、エンコーディングシンボルID(Encoding Symbol ID)の各項目により構成される。ALC/LCTヘッダの各項目の詳細については後述する。
【0053】
図12は、エンコーディングシンボルを伝送するFLUTEのIPパケットの構成を示す図である。図12に示すように、このFLUTEのIPパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ、ALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボル(Encoding Symbol)により構成される。ALC/LCTヘッダは、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)及びFECペイロード(Payload)IDが必要であり、V、C、・・・、エンコーディングシンボルID(Encoding Symbol ID)の各項目により構成される。ALC/LCTヘッダの各項目の詳細については後述する。
【0054】
図9に戻って、FLUTEクライアント26は、SDP生成部23からSDP情報のIPパケットを入力し、SDP情報に基づいてFLUTEクライアントを起動し、ALC/LCTヘッダ生成部25からFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケット及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを入力し、FLUTEのIPパケットのFDTインスタンス及びエンコーディングシンボルに基づいて、ファイルを再構成する。
【0055】
図10は、IP/UDPヘッダ復元部22により出力されたIPパケットからFLUTEのIPパケットへの変換手順を示すフローチャートである。この変換処理は、SDP生成部23、FDT生成部24、ALC/LCTヘッダ生成部25及びFLUTEクライアント26によって行われる。
【0056】
FLUTEクライアント26は、前述の非特許文献1に規定されたFLUTEのIPパケットを入力し、ファイルを再構成する処理部である。FLUTEクライアント26は、このファイル再構成処理にあたり、ファイルがどのようなIPパケットで伝送されるかを示すSDP情報が必要となる。そこで、最初に、SDP生成部23がSDP情報を生成する。
【0057】
まず、SDP生成部23は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケットを選定し、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号に基づいて、ダウンロード制御情報のデータユニットが格納されたIPパケット及びダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットをそれぞれ選定し、データユニット及び伝送ファイル属性情報からダウンロード制御情報を生成する。そして、SDP生成部23は、ダウンロード制御情報及び予め設定された情報に基づいてSDP情報を生成し、SDP情報のIPパケットをFLUTEクライアント26に出力する(ステップS1001)。尚、前述したとおり、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号がいずれも0の場合は、IPパケットには伝送ファイル属性情報が格納されており、伝送ファイル属性情報が分割された場合には、伝送ファイル属性情報の「伝送ファイル属性情報パケットの最終シーケンス番号」が示すシーケンス番号までのIPパケットに、伝送ファイル属性情報が格納されている。それ以降のIPパケットにはデータユニットが格納されている。
【0058】
このように、SDP生成部23がダウンロード制御情報等からSDP情報を生成することにより、SDP情報のみに対応する受信装置2においても、FLUTEクライアント26は、ファイルの再構成を開始することができる。
【0059】
(SDP情報)
図13は、SDP情報の項目及び記述方法(SDP生成部23による設定方法)を説明する図である。SDP情報は、「送信元IPアドレス」「セッションに用いるチャンネル数」「チャンネル毎の宛先IPアドレス及び宛先ポート番号」「セッション識別子(Transport Session Identifier)」「セッションの開始時刻及び終了時刻」「プロトコルID」から構成される。
【0060】
「送信元IPアドレス」は、送信されるメディアファイルの送信元IPアドレスであり、この項目には、ダウンロード制御情報から送信元IPアドレス(図3を参照)が取り出されて設定される。「セッションに用いるチャンネル数」の項目には、ダウンロード制御情報にかかわらず、1が設定される。「チャンネル毎の宛先IPアドレス及び宛先ポート番号」の項目には、ダウンロード制御情報から宛先IPアドレス及び宛先ポート番号(図3を参照)が取り出されて設定される。「セッション識別子(Transport Session Identifier)」は、メディアファイルを伝送するIPパケットの宛先ポート番号であり、この項目には、ダウンロード制御情報から宛先ポート番号が取り出されて設定される。「セッションの開始時刻及び終了時刻」の項目には、ダウンロード制御情報から配信開始時刻及び配信終了時刻が取り出されて設定される。「プロトコルID」の項目には、ダウンロード制御情報にかかわらず、FLUTE/UDPが設定される。尚、SDP情報の詳細については、非特許文献「IETF RFC2327、“SDP: Session Description Protocol”、April,1998」を参照されたい。
【0061】
図10に戻って、次に、FLUTEクライアント26は、SDP生成部23からSDP情報を入力し、FLULEクライアントを起動する(ステップS1002)。これにより、FLUTEクライアント26は、SDP情報によって、メディアファイルが格納されたFLUTEのIPパケットを取得することができる。つまり、送信装置1は、SDP情報を送信する代わりに、ダウンロード制御情報を送信し、受信装置2は、受信したダウンロード制御情報を解釈し、ダウンロード制御情報に基づいてSDP情報を仮想的に生成する。これにより、FLUTEクライアント26は、メディアファイルが格納されたFLUTEのIPパケットを取得することができ、ファイルの再構成を開始することができる。
【0062】
FLUTEでは、メディアファイルがソースシンボルに分割され、FECによりパリティシンボルが生成され、ソースシンボル及びパリティシンボルがエンコーディングシンボルとしてパケットに格納される。一方、エンコーディングシンボルをメディアファイルに復元するために必要なFDTインスタンスがメディアファイルと同様のオブジェクトとして伝送される。図11及び図12に示したように、各オブジェクトを伝送するパケットは、ALC/LCTヘッダを備える。
【0063】
そこで、ALC/LCTヘッダ生成部25において、データユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを、FLUTEクライアント26が処理可能なFLUTEのIPパケットに変換するために、FLUTEのIPパケットを構成するFDTインスタンス、エンコーディングシンボル、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ、及びエンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する必要がある。ここで、エンコーディングシンボルは、IPパケットに格納されたメディアファイルのデータユニットがそのまま用いられるから、このエンコーディングシンボルを除き、以下の処理が必要となる。
(a)伝送ファイル属性情報等からFDTインスタンスを生成する。
(b)ダウンロードヘッダ及び伝送ファイル属性情報等から、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する。
(c)ダウンロードヘッダ等から、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する。
【0064】
FDT生成部24は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、メディアファイルが格納されたIPパケットを選定し、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号に基づいて、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを選定する。そして、FDT生成部24は、メディアファイルの伝送ファイル属性情報及び予め設定された情報に基づいてFDTインスタンスを生成し、FDTインスタンスをALC/LCTヘッダ生成部25に出力する(ステップS1003)。
【0065】
このように、FDT生成部24がメディアファイルの伝送ファイル属性情報等からFDTインスタンスを生成することにより、ALC/LCTヘッダ生成部25において、FDTインスタンスを伝送するFLUTEのIPパケットを生成することができる。
【0066】
(FDTインスタンス)
図14は、FDTインスタンスの項目(属性)及び記述方法(FDT生成部24による設定方法)を説明する図である。FDTインスタンスは、「コンテンツロケーション(Content−Location)」「TOI(Transport Object Identifier)」「エクスパイア(Expires)」から構成される。
【0067】
「コンテンツロケーション(Content−Location)」の項目には、メディアファイルの伝送ファイル属性情報からコンテンツロケーション(Content−Location)(URI/ファイル本体の名前)(図6を参照)が取り出されて設定される。「TOI(Transport Object Identifier)」の項目には、メディアファイルの伝送ファイル属性情報にかかわらず、0が設定される。「エクスパイア(Expires)」の項目には、メディアファイルの伝送ファイル属性情報からエクスパイア(Expires)属性(図6を参照)が取り出されて設定される。
【0068】
図10に戻って、次に、ALC/LCTヘッダ生成部25は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、FDT生成部24からFDTインスタンスを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別して選定する。そして、ALC/LCTヘッダ生成部25は、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成し、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する(ステップS1004)。
【0069】
(FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ)
図15及び図16は、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダの項目(フィールド名)、サイズ(ビット長)、項目の概要及び記述方法(ALC/LCTヘッダ生成部25による設定方法)を説明する図である。FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダは、図11に示したように、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)に加え、LCTヘッダエクステンション(LCT Header Extension)のうちのEXT_FDT及びEXT_FTI、並びにFECペイロード(Payload)IDが必要であり、「V」「C」「R」「S」「O」「H」「T」「R」「A」「B」「HDR長(HDR_LEN)」「コードポイント(Code_Point)」「CCI」「TSI」「TOI」「SCT」「ERT」「V」「FDTインスタンス(Instance)ID」「HEL」「伝送長(Transfer Length)」「FECインスタンス(Instance)ID」「エンコーディングシンボル長(Encoding Symbol Length)」「最大ソースブロック番号(Maximum Source Block Length)」「ソースブロック番号(Source Block Number)」「エンコーディングシンボル番号(Encoding Symbol Number)」から構成される。
【0070】
図15を参照して、「V」の項目には、バージョン番号である1が設定される。「C」の項目には、CCIフィールド長である0が設定される。「R」は予約(Reserved)フィールドであり、その項目には0が設定される。「S」の項目には、TSIフィールド長である1が設定される。「O」の項目には、TOIフィールド長である1が設定される。「H」の項目には、TSI/TOIフィールド長である0が設定される。「T」の項目には、SCTフィールドの有無のうち0(無)が設定される。「R」の項目には、ERTフィールドの有無のうち0(無)が設定される。
【0071】
「A」の項目には、クローズセッションフラグ(Close Session Flag)として0が設定される。「B」の項目には、クローズオブジェクトフラグ(Close Object Flag)として、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットについて、伝送ファイル属性情報が格納された最終のIPパケットに対応して1が設定され、それ以外のIPパケットに対応して0が設定される。具体的には、伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットのダウンロードヘッダのシーケンス番号(図7を参照)が、伝送ファイル属性情報に含まれる「伝送ファイル属性情報パケットの最終シーケンス番号」(図6を参照)と同一の場合に、1が設定される。図7において説明したとおり、送信装置1において、最初の伝送ファイル属性情報に対してはダウンロードヘッダのブロック番号=0,シーケンス番号=0が設定され、次の伝送ファイル属性情報が存在する場合、ブロック番号=0,シーケンス番号=1が設定され、最終の伝送ファイル属性情報までシーケンス番号が設定され、伝送ファイル属性情報に続くデータユニットには、最終の伝送ファイル属性情報に対して設定されたシーケンス番号に引き続くシーケンス番号が設定されるからである。
【0072】
「HDR長(HDR_LEN)」の項目には、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)、EXT_FDT及びEXT_FTI長である9(9×32ビットを意味する)が設定される。「コードポイント(Code_Point)」の項目には、FECによるパリティシンボルの生成を行わないこと(Compact No code_FEC)を示すFECエンコーディング(Encoding)IDとして0が設定される。「CCI」の項目には、コンジェスション制御情報(Congestion Control Information)として、輻輳制御を行わないことを示す0が設定される。「TSI」の項目には、トランスポートセッション(Transport Session)IDとして、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットに付加されたUDPヘッダから宛先ポート番号が取り出されて設定される。「TOI」の項目には、トランスポートオブジェクト(Transport Object)IDとして、0が設定される。「SCT」「ERT」は使用されない。
【0073】
図16を参照して、「V」の項目には、バージョン番号である1が設定される。「FDTインスタンス(Instance)ID」はFDTインスタンスの番号であり、この項目には、0で始まりFDTインスタンス毎(FDTインスタンスが格納されたFLUTEのIPパケット毎)に1ずつインクリメントした値が設定される。「HEL」はヘッダエクステンション長(Header Extension Length)であり、この項目には4が設定される。「伝送長(Transfer Length)」はファイル長であり、この項目にはFDTインスタンスの長さが設定される。「FECインスタンス(Instance)ID」の項目には、FECエンコーディング(Encoding)ID=0のときに0が設定される。
【0074】
「エンコーディングシンボル長(Encoding Symbol Length)」は、エンコーディングシンボルの長さであるデータユニット長であり、この項目には、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットからデータユニットの長さが算出されて設定される。「最大ソースブロック番号(Maximum Source Block Length)」は、ソースブロックにおけるソースシンボル数であり、この項目には、メディアファイルの伝送ファイル属性情報からブロック内のパケット数(図6を参照)が取り出されて設定される。
【0075】
「ソースブロック番号(Source Block Number)」は、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき16ビット長の番号であり、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号が取り出され、これらの番号に基づいて算出される。「エンコーディングシンボル番号(Encoding Symbol Number)」は、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき16ビット長の番号であり、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号が取り出され、これらの番号に基づいて算出される。
【0076】
図7に示したように、送信装置1において、IPパケットに付加されるダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号のフィールドに割り当てられるビット数は合計32であるが、それぞれ可変長である。これに対し、FLUTEでは、ソースブロック番号がダウンロードヘッダのブロック番号に対応し、エンコーディングシンボル番号がダウンロードヘッダのシーケンス番号に対応し、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき、それぞれ固定長の16ビットである。ALC/LCTヘッダ生成部25は、BNをブロック番号、SNをシーケンス番号、xをブロック番号のビット長とし、A=BN×2x+SNとした場合、以下の式により、ソースブロック番号(SBN)及びエンコーディングシンボル番号(ESN)を算出する。
SBN=INT(A/216)
ESN=A−SBN
【0077】
(エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ)
図17は、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダの項目(フィールド名)、サイズ(ビット長)、項目の概要及び記述方法(ALC/LCTヘッダ生成部25による設定方法)を説明する図である。エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダは、図12に示したように、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)及びFECペイロード(Payload)IDが必要であり、「V」「C」「R」「S」「O」「H」「T」「R」「A」「B」「HDR長(HDR_LEN)」「コードポイント(Code_Point)」「CCI」「TSI」「TOI」「SCT」「ERT」「ソースブロック番号(Source Block Number)」「エンコーディングシンボル番号(Encoding Symbol Number)」から構成される。
【0078】
「V」「C」「R」「S」「O」「H」「T」「R」「コードポイント(Code_Point)」「CCI」「SCT」「ERT」は、図15に示したものと同様であるので、説明を省略する。「A」の項目には、クローズセッションフラグ(Close Session Flag)として、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットについて、最終ブロックの最終シーケンス番号を持つIPパケットに対応して1が設定され、それ以外のIPパケットに対応して0が設定される。具体的には、メディアファイルが格納されたIPパケットのダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号(図7を参照)が、伝送ファイル属性情報に含まれる「ファイルを伝送する最終ブロック番号及び最終ブロックの最終シーケンス番号」(図6を参照)と同一の場合に、1が設定される。「B」の項目には、「A」の項目と同様に、クローズオブジェクトフラグ(Close Object Flag)として、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットについて、最終ブロックの最終シーケンス番号を持つIPパケットに対して1が設定され、それ以外のIPパケットに対して0が設定される。「HDR長(HDR_LEN)」の項目には、LCTヘッダ長である4が設定される。「TSI」の項目には、トランスポートセッション(Transport Session)IDとして、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットに付加されたUDPヘッダから宛先ポート番号が取り出されて設定される。「TOI」の項目には、トランスポートオブジェクト(Transport Object)IDとして、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからトランスポートファイルID(Transport File ID)(図7を参照)が取り出されて設定される。
【0079】
「ソースブロック番号(Source Block Number)」は、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき16ビット長の番号であり、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号が取り出され、これらの番号に基づいて算出される。「エンコーディングシンボル番号(Encoding Symbol Number)」は、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき16ビット長の番号であり、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号が取り出され、これらの番号に基づいて算出される。算出手法については、図16にて説明したものと同様である。
【0080】
図10に戻って、ALC/LCTヘッダ生成部25は、FDTインスタンスを生成し(ステップS1003)、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成(ステップS1004)した後に、FLUTEのIPパケットを生成する(ステップS1005)。具体的には、ALC/LCTヘッダ生成部25は、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケットを生成し、FLUTEクライアント26に出力する。また、IPパケットに格納されたメディアファイルのデータユニットをエンコーディングシンボルとして扱い、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを生成し、FLUTEクライアント26に出力する。
【0081】
FLUTEクライアント26は、ALC/LCTヘッダ生成部25からFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケット及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを入力し、FLUTEのIPパケットのFDTインスタンス及びエンコーディングシンボルに基づいて、ファイルを再構成する。これにより、送信装置1におけるメディアファイルを復元することができる(ステップS1006)。
【0082】
以上のように、本発明の実施形態による受信装置2によれば、送信装置1から一方向伝送路3を介して送信されたダウンロード制御情報及びメディアファイルを、伝送ファイル属性情報及びデータユニットを含むIPパケットとして受信し、SDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25において、IPパケットをFLUTEのIPパケットに変換し、FLUTEクライアント26において、元のメディアファイルを再構成するようにした。
【0083】
具体的には、SDP生成部23は、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別し、IPパケットからダウンロード制御情報を取り出し、ダウンロード制御情報等に基づいてSDP情報を生成するようにした。また、FDT生成部24は、前述と同様にUDPヘッダの宛先ポート番号に基づいて、メディアファイルが格納されたIPパケットを選定し、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号に基づいて、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを選定し、メディアファイルの伝送ファイル属性情報等に基づいて、FDTインスタンスを生成するようにした。また、ALC/LCTヘッダ生成部25は、メディアファイルのダウンロードヘッダ及びメディアファイルの伝送ファイル属性情報等から、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成し、メディアファイルのダウンロードヘッダ等から、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成するようにした。そして、ALC/LCTヘッダ生成部25は、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケットを生成し、IPパケットに格納されたメディアファイルのデータユニットをエンコーディングシンボルとして扱い、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを生成するようにした。これにより、受信装置2は、送信装置1から一方向伝送路3を介して受信したIPパケットを、FLUTEのIPパケットに変換することができる。
【0084】
そして、FLUTEクライアント26は、FLUTEのIPパケットに基づいて、元のメディアファイルを再構成する。これにより、FLUTEクライアント機能を有する受信装置2は、送信装置1におけるメディアファイルを復元することができる。したがって、オーバーヘッドの少ない効率的なファイル伝送方式を用いた送信装置1に対し、それに対応した新たな受信手段を開発することなく、現在多数存在し広く普及している、FLUTEクライアント機能を有する受信装置を用いることができる。つまり、受信装置2の開発コスト及び開発負荷を低減することができる。また、高度BSダウンロード方式にて送信装置1から送信されたコンテンツを、DVB−H、3GPP、ISDB−Tmm等の方式に対応した受信装置2において受信することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1 送信装置
2 受信装置
3 一方向伝送路
11,12 IPパケット化部
13 IP/UDPヘッダ圧縮部
14 TLVパケット化部
21 TLVデパケット化部
22 IP/UDPヘッダ復元部
23 SDP生成部
24 FDT生成部
25 ALC/LCTヘッダ生成部
26 FLUTEクライアント
31 データユニット生成部
32 属性情報生成部
33 ダウンロードヘッダ付加部
34 IPパケット生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置から一方向伝送路を介して受信装置へパケットが伝送される伝送システムにおいて、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)クライアント機能を有する受信装置が、受信したIPパケットを、FLUTEの規格に準拠したIPパケットに変換するパケットフォーマット変換技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送伝送路等の一方向伝送路を用いてコンテンツをダウンロードするサービスが知られている。コンテンツダウンロードサービスにおいては、ファイルを分割し複数のパケットに格納して伝送する方式がとられている。このファイル伝送方式では、送信装置が、FEC(Forward Error Correction)と呼ばれる誤り訂正手法によって、ファイルを分割して生成したパケットに基づいて、冗長なパケットを生成し送信する。そして、受信装置が、送信装置から冗長パケットを受信し、欠損したパケットを復元する。これにより、リターンチャネル(受信装置から送信装置への上り回線)を用いることなく、一方向伝送路において一定のファイル伝送品質を維持することができる。
【0003】
このような一方向伝送路を用いたファイル伝送方式として、FLUTEが知られている(非特許文献1及び特許文献1を参照)。FLUTEは、ファイルをパケット化して伝送する際に、ファイルの属性情報及びファイル本体を、それぞれ一つのオブジェクトとして伝送する規格である。ファイルの属性情報は、FDT(File Delivery Table)インスタンスとして記述され、ファイル本体と同様に一つのオブジェクトとして扱われる。つまり、送信装置は、ファイルの属性情報のFLUTEパケットをオブジェクトとして送信し、その後に引き続いて、ファイル本体のFLUTEパケットをオブジェクトとして送信する。
【0004】
このFLUTEは、DVB−H IPデータキャストサービス及び3GPP MBMSサービスに用いられている(非特許文献2,3を参照)。したがって、FLUTEの規格に準拠したIPパケット(以下、FLUTEのIPパケットという。)を処理し、ファイルを再構成するFLUTEクライアント機能を有する受信装置は多数存在し、国際的に広く普及しているものと想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0153468号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IETF RFC3926、“FLUTE - file delivery over unidirectional transport”、Oct.,2004
【非特許文献2】ETSI TS 102 472、“Digital Video Broadcasting (DVB); IP Datacast over DVB-H: Content Delivery Protocols”、2006-12
【非特許文献3】3GPP TS 26.346、“3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Multimedia Broadcast/Multicast Service (MBMS); Protocols and codecs (Release 8)”、2008-09
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、放送伝送路等の一方向伝送路を用いたファイル伝送方式のうち、FLUTE以外の規格に準拠した送信装置も多数存在している。例えば、本出願と同一の出願人によりなされた、本出願時に未公開の特願2008−304375号公報には、特に衛星放送等の高速伝送路に適用があり、オーバーヘッドの少ない効率的なファイル伝送方式である高度BSダウンロード方式が提案されている。このようなオーバーヘッドの少ない効率的なファイル伝送方式を用いた送信装置に対し、それに対応可能な受信装置を開発することは可能である。
【0008】
しかしながら、このような送信装置に対応した新たな受信装置を開発するのではなく、現在多数存在し広く普及している、FLUTEクライアント機能を有する受信装置を用いることができれば、受信機会を増やすことができ、開発コスト及び開発負荷が低減され有用である。
【0009】
そこで、本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、FLUTEパケットからファイルを再構成するFLUTEクライアント機能を有する受信装置において、送信装置から一方向伝送路を介して受信したIPパケットを、FLUTEのIPパケットに変換可能な受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による受信装置は、ファイルを複数のデータユニットに分割し、前記ファイルに基づいて伝送ファイル属性情報を生成すると共に、前記ファイルをダウンロードするために必要なダウンロード制御情報を複数のデータユニットに分割し、前記ダウンロード制御情報に基づいて伝送ファイル属性情報を生成し、前記ファイル及びダウンロード制御情報の識別子と前記データユニット及び伝送ファイル属性情報を送信する際の番号とを含むダウンロードヘッダを生成し、前記ファイルのデータユニット、前記ファイルの伝送ファイル属性情報、前記ダウンロード制御情報のデータユニットまたは前記ダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報を、前記ダウンロードヘッダと共にパケットに格納して送信する送信装置と、一方向伝送を介して前記パケットを受信し、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)の規格に準じた処理を行うクライアント機能により、前記ファイルを復元する受信装置と、を含む伝送システムにおける前記受信装置であって、前記ダウンロード制御情報のデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記ファイルがFLUTEのパケットとして伝送される場合のセッションに関するSDP(Session Description Protocol)情報を生成するSDP生成部と、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記ファイルがFLUTEのパケットとして伝送される場合の属性に関するFDT(File Delivery Table)インスタンスを生成するFDT生成部と、前記ファイルのデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ、及び前記ファイルをエンコーディングシンボルとして伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成し、前記FDT生成部により生成されたFDTインスタンス及び前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを含むFLUTEのパケットを生成し、前記パケットに格納されたファイルのデータユニットを取り出して前記エンコーディングシンボルとして扱い、前記エンコーディングシンボル及び前記エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを含むFLUTEのパケットを生成するALC/LCTヘッダ生成部と、前記SDP生成部により生成されたSDP情報を用いて、前記ALC/LCTヘッダ生成部により生成されたFLUTEのパケットから、元のファイルを復元するFLUTEクライアントと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による受信装置は、前記送信装置により送信されるパケットには、前記ファイル及びダウンロード制御情報の送信において異なる宛先ポート番号が設定されたUDPヘッダが付加され、前記パケットに付加されたUDPヘッダの宛先ポート番号に基づいて、ファイルのデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットと、ダウンロード制御情報のデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットとを区別する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による受信装置は、前記SDP生成部が、前記ダウンロード制御情報から、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、宛先ポート番号、前記ファイルの配信開始時刻及び配信終了時刻を取り出し、前記SDP情報の各項目に設定する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明による受信装置は、前記FDT生成部が、前記ファイルの伝送ファイル属性情報から、コンテンツロケーション及びエクスパイア属性を取り出し、前記FDTインスタンスの各項目に設定する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による受信装置は、前記送信装置により送信されるパケットのダウンロードヘッダが、前記ファイル及びダウンロード制御情報の識別子と、前記データユニット及び伝送ファイル属性情報を送信する際に複数のデータユニット及び伝送ファイル属性情報からなるブロックの番号と、ブロック内における送信単位の番号を示すシーケンス番号とにより構成され、前記ALC/LCTヘッダ生成部が、前記ファイルの伝送ファイル属性情報から伝送ファイル属性情報の最終パケット番号を取り出して、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのダウンロードヘッダにおけるシーケンス番号及び前記最終パケット番号に基づき、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納された最終パケットであるか否かを示す情報を生成し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのUDPヘッダから宛先ポート番号を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットにおける前記データユニット長を算出し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号を取り出して、前記ブロック番号及びシーケンス番号に基づき、FLUTEにより規定されたソースブロック番号及びエンコーディングシンボル番号を算出し、前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダの各項目に設定し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報からブロック内のパケット数を取り出して、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダにおけるシーケンス番号及び前記ブロック内のパケット数に基づき、前記ファイルのデータユニットが格納された最終パケットであるか否かを示す情報を生成し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのUDPヘッダから宛先ポート番号を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダから識別子を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号を取り出して、前記ブロック番号及びシーケンス番号に基づき、FLUTEにより規定されたソースブロック番号及びエンコーディングシンボル番号を算出し、前記エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の受信装置によれば、送信装置から一方向伝送路を介して受信したIPパケットを、FLUTEのIPパケットに変換し、ファイルを再構成することができる。したがって、オーバーヘッドの少ない効率的なファイル伝送方式を用いた送信装置に対し、それに対応した新たな受信装置を開発することなく、現在多数存在し広く普及している、FLUTEクライアント機能を有する受信装置を用いてファイルを再構成することができる。つまり、開発コスト及び開発負荷を低減することができる。また、高度BSダウンロード方式にて送信装置から送信されたコンテンツを、DVB−H、3GPP、ISDB−Tmm等の方式に対応した受信装置において受信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による受信装置を含む伝送システムの概略構成を示す図である。
【図2】送信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ダウンロード制御情報の構成を示す図である。
【図4】IPパケット化部の構成を示すブロック図である。
【図5】IPパケット化部の処理を説明する図である。
【図6】伝送ファイル属性情報の構成を示す図である。
【図7】ダウンロードヘッダの構成を示す図である。
【図8】TLV(Type−Length−Value)パケットとして伝送されるダウンロード制御情報及びメディアファイルを概念的に示した図である。
【図9】本発明の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】FLUTEのIPパケットへの変換手順を示すフローチャートである。
【図11】FDTインスタンスを伝送するFLUTEのIPパケットの構成を示す図である。
【図12】エンコーディングシンボルを伝送するFLUTEのIPパケットの構成を示す図である。
【図13】SDP(Session Description Protocol)情報の項目及び記述方法を説明する図である。
【図14】FDTインスタンスの項目及び記述方法を説明する図である。
【図15】FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダの項目及び記述方法を説明する図である。
【図16】図15の続きである。
【図17】エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダの項目及び記述方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔伝送システム〕
まず、本発明の実施形態による受信装置を含む伝送システムについて説明する。図1は、伝送システムの概略構成を示す図である。この伝送システムは、例えば、高度BSダウンロード方式によるファイルのダウンロードサービスを実現するシステムであり、送信装置1及び受信装置2により構成される。送信装置1及び受信装置2は一方向伝送路3により接続される。
【0018】
送信装置1は、メディアファイル、コンテンツファイル、メタデータファイル、ファイルパッケージ等のファイル及びダウンロード制御情報(ファイルをダウンロードするために必要な制御情報)を送信する際に、伝送ファイル属性情報及びデータユニットをIPパケットに格納し、IPパケットをTLVパケットにカプセル化し、一方向伝送路3を介して受信装置2へ送信する装置である。受信装置2は、FLUTEクライアント機能を有しており、送信装置1により送信されたTLVパケットを、一方向伝送路3を介して受信し、TLVパケットをIPパケットにデカプセル化し、IPパケットをFLUTEのIPパケットに変換し、元のファイルを再構成する装置である。
【0019】
〔送信装置〕
次に、図1に示した送信装置1について詳細に説明する。図2は、送信装置1の構成を示すブロック図である。この送信装置1は、IPパケット化部11,12、IP/UDPヘッダ圧縮部13及びTLVパケット化部14を備えており、ダウンロード制御情報及びメディアファイルを伝送する際に、ダウンロード制御情報及びメディアファイルからデータユニット及び伝送ファイル属性情報をそれぞれ生成し、ダウンロードヘッダを付加してIPパケットを生成し、IPパケットをTLVパケットにカプセル化し、受信装置2へ送信する。尚、本発明の実施形態において、送信装置1はTLVパケットを送信するが、IPパケットを送信するようにしてもよい。以下、メディアファイルを送信装置1から受信装置2へ送信する例について説明する。
【0020】
IPパケット化部11は、ダウンロード制御情報を入力し、データユニット及び伝送ファイル属性情報を生成し、データユニット及び伝送ファイル属性情報にダウンロードヘッダをそれぞれ付加し、IPパケットを生成してIP/UDPヘッダ圧縮部13に出力する。ここで、IPパケット化部11がIP/UDPヘッダ圧縮部13へ出力するIPパケットには、ダウンロード制御情報のデータユニットが格納されたIPパケットと、ダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットとの2種類がある。
【0021】
図3は、ダウンロード制御情報の構成を示す図である。ダウンロード制御情報は、1つのコンテンツであるメディアファイルに対応した情報であり、メディアファイルを送信装置1から受信装置2へダウンロードするために必要な制御情報である。ダウンロード制御情報は、「コンテンツ所在情報」「送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、宛先ポート番号」「配信開始時刻及び配信終了時刻」「コンテンツID」「ライセンスID」「ECGメタデータの所在情報」「再生制御情報所在情報」「購入属性メタデータの所在情報」「ライセンス所在情報」等により構成される。
【0022】
図2に戻って、IPパケット化部12は、メディアファイルを入力し、IPパケット化部11と同様に、データユニット及び伝送ファイル属性情報を生成し、ダウンロードヘッダをそれぞれ付加し、IPパケットを生成してIP/UDPヘッダ圧縮部13に出力する。ここで、IPパケット化部12がIP/UDPヘッダ圧縮部13へ出力するIPパケットには、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットと、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットとの2種類がある。
【0023】
図4は、IPパケット化部11,12の構成を示すブロック図である。図5は、IPパケット化部11,12の処理を説明する図である。このIPパケット化部11,12は、データユニット生成部31、属性情報生成部32、ダウンロードヘッダ付加部33及びIPパケット生成部34を備えている。
【0024】
データユニット生成部31は、ダウンロード制御情報またはメディアファイルを入力し、予め設定された一定長単位のサイズのデータユニットに分割し、複数のデータユニットを生成する。そして、データユニット生成部31は、生成した複数のデータユニットに基づいてパリティユニットを生成し、データユニット及びパリティユニットからなるブロックを生成し、ブロック毎のデータユニット及びパリティユニットをデータユニット#1〜#N(データユニット及びパリティユニットを総称してデータユニットという。)としてダウンロードヘッダ付加部33に出力する(ステップS501)。データユニットのサイズは自由に設定することができ、例えば、1344バイト、4032バイトとする。
【0025】
属性情報生成部32は、ダウンロード制御情報またはメディアファイルを入力し、ダウンロード制御情報またはメディアファイルに基づいて、ダウンロード制御情報またはメディアファイルの識別情報及び大きさ等を含む伝送ファイル属性情報を生成し、ダウンロードヘッダ付加部33に出力する(ステップS502)。この場合、属性情報生成部32は、生成した伝送ファイル属性情報のサイズが、データユニット生成部31により生成されるデータユニットのサイズ(一定長単位のサイズ)よりも大きいときに、生成した伝送ファイル属性情報を、データユニットと同じサイズに分割する。
【0026】
図6は、伝送ファイル属性情報の構成を示す図である。伝送ファイル属性情報は、「ダウンロードヘッダにおけるブロック番号(Block Number)フィールドのビット数」「ブロック内のパケット数」「伝送ファイル属性情報パケットの最終シーケンス番号」「FEC方式を特定するための識別子」「コンテンツロケーション(Content−Location)(URI/ファイル本体の名前)」「ファイル長(File Length)」「コンテンツタイプ(Content Type)」「ファイルを伝送する最終ブロック番号及び最終ブロックの最終シーケンス番号」「格納先のディレクトリ構成」「コンテンツエンコーディング(Content Encoding)」「伝送長(Transfer Length)」「コンテンツMD5(Content MD5)」「エクスパイア(Expires)属性」から構成される。図6の説明において、ダウンロード制御情報及びメディアファイルをファイルという。
【0027】
属性情報生成部32は、一方向伝送路3の種類及び特性に応じて予め設定されたビット長を、「ダウンロードヘッダにおけるブロック番号(Block Number)フィールドのビット数」に設定する。このブロック番号フィールドのビット数及びブロック番号の詳細については後述する。また、属性情報生成部32は、予め設定された、ブロック内のパケット数を、「ブロック内のパケット数」に設定する。「ブロック内のパケット数」とは、ファイルから分離されたデータユニットとデータユニットから生成されたパリティユニットとの集合体であるブロックにおいて、そのブロック内で送信され得るパケットの数である。
【0028】
また、属性情報生成部32は、生成した伝送ファイル属性情報を分割した場合、分割した伝送ファイル属性情報の数である伝送ファイル属性情報の最終パケットの番号を「伝送ファイル属性情報パケットの最終シーケンス番号」に設定する。尚、伝送ファイル属性情報のサイズがデータユニットのサイズ以下の場合は、「属性情報パケットの最終シーケンス番号」は0となる。
【0029】
また、属性情報生成部32は、ファイルのサイズを「ファイル長(File Length)」に設定し、ファイルのコンテンツタイプを「コンテンツタイプ(Content Type)」に設定する。また、属性情報生成部32は、データユニット生成部31により生成されるデータユニット及びパリティユニットの数、予め設定されたデータユニットのサイズ等に基づいて、ブロックの数及びシーケンスの数を算出し、これらを「ファイルを伝送する最終ブロック番号及び最終ブロックの最終シーケンス番号」に設定する。
【0030】
また、属性情報生成部32は、ファイルを符号化して伝送する場合、その方式を「コンテンツエンコーディング(Content Encoding)」に設定し、符号化して伝送する場合に元のファイルの長さと伝送時のファイルの長さが異なるため、伝送時のファイルの長さ「伝送長(Transfer Length)」を設定する。また、受信装置2がファイルを正しく受信できたか否かをチェックするためのチェックサム「コンテンツMD5(Content MD5)」を設定する。さらに、「FEC方式を特定するための識別子」「コンテンツロケーション(Content−Location)(URI/ファイル本体の名前)」「格納先のディレクトリ構成」「エクスパイア(Expires)属性」も設定する。
【0031】
図4及び図5に戻って、ダウンロードヘッダ付加部33は、データユニット生成部31からデータユニット#1〜#Nを入力し、属性情報生成部32から伝送ファイル属性情報を入力し、データユニット#1〜#N及び伝送ファイル属性情報に対し、ダウンロードヘッダを付加する(ステップS503)。
【0032】
図7は、ダウンロードヘッダの構成を示す図である。ダウンロードヘッダは、3つのフィールドからなる64ビットのヘッダであり、「トランスポートファイル識別子(TFID:Transport File ID)」「ブロック番号(Block Number)」「シーケンス番号(Sequence Number)」から構成される。「TFID」フィールドに割り当てられるビット数(フィールド幅)は32である。「ブロック番号」及び「シーケンス番号」フィールドに割り当てられるビット数は合計32であるが、それぞれ可変長であり、一方向伝送路3の種類及び特性に応じて、または、伝送されるダウンロード制御情報またはメディアファイルに応じて予め設定される。また、同じダウンロード制御情報またはメディアファイルを伝送中は、これらのフィールド幅は変更されず、固定値が用いられる。この「ブロック番号」フィールドに割り当てられるビット数は、属性情報生成部32により、図6に示した伝送ファイル属性情報の「ダウンロードヘッダにおけるブロック番号(Block Number)フィールドのビット数」に設定される。例えば、「ブロック番号」フィールドのビット数を0とすることにより、32ビットの全てを「シーケンス番号」フィールドとして用いることができる。
【0033】
「TFID」は、伝送するダウンロード制御情報またはメディアファイルを一意に識別するためのラベルの役割を果たす。したがって、ダウンロードヘッダ付加部33は、同一のダウンロード制御情報に対して同一の「TFID」を設定し、同一のメディアファイルに対して同一の「TFID」を設定する。
【0034】
「ブロック番号」は、伝送するダウンロード制御情報またはメディアファイルにおけるデータユニットをまとめた単位であるブロックの番号を示す。また、「シーケンス番号」は、ブロック内のデータユニット#1〜#Nの番号、及び伝送ファイル属性情報(分割した場合はそれぞれの伝送ファイル属性情報)の番号を示す。例えば、最初の伝送ファイル属性情報に対してはブロック番号=0,シーケンス番号=0が設定され、次の伝送ファイル属性情報が存在する場合、ブロック番号=0,シーケンス番号=1が設定され、最終の伝送ファイル属性情報までシーケンス番号がインクリメントされて設定される。また、伝送ファイル属性情報に続くデータユニットには、最終の伝送ファイル属性情報に対して設定されたシーケンス番号に引き続くシーケンス番号が設定される。
【0035】
具体的に説明すると、属性情報生成部32により1つの伝送ファイル属性情報が生成された場合、ダウンロードヘッダ付加部33は、最初のブロック(ブロック番号=0)において、伝送ファイル属性情報に対しブロック番号=0,シーケンス番号=0を設定する。そして、ダウンロードヘッダ付加部33は、最初のブロックの先頭のデータユニットに対しブロック番号=0,シーケンス番号=1を設定し、その次のデータユニットに対しブロック番号=0,シーケンス番号=2を設定する。シーケンス番号は、データユニットの数に応じて1ずつ増加する。そして、ダウンロードヘッダ付加部33は、次のブロック(ブロック番号=1)においても、最初のブロックにおける伝送ファイル属性情報と同一の伝送ファイル属性情報に対しブロック番号=0,シーケンス番号=0を設定する。そして、ダウンロードヘッダ付加部33は、そのブロック(ブロック番号=1)の先頭のデータユニットに対しブロック番号=1,シーケンス番号=1を設定し、その次のデータユニットに対しブロック番号=1,シーケンス番号=2を設定する。
【0036】
このように、ダウンロードヘッダ付加部33は、伝送ファイル属性情報及びデータユニットに対し、TFID、ブロック番号及びシーケンス番号からなるダウンロードヘッダを付加する。この場合、ダウンロードヘッダ付加部33は、データユニット生成部31により生成された複数のブロックに対して同一の伝送ファイル属性情報を割り付け、一つのブロックに対応する伝送ファイル属性情報のうちの最初の伝送ファイル属性情報に対し、ブロック番号=0,シーケンス番号=0を統一して設定するようにした。これにより、受信端末2は、受信したパケットについて、ダウンロードヘッダにおけるブロック番号及びシーケンス番号の両フィールドを連結した32ビットのデータが0x00000000であるか否かを判定し、0x00000000であると判定した場合、ブロック番号フィールドのビット数及びシーケンス番号フィールドのビット数の設定に関わらず、このようなダウンロードヘッダを持つパケットが、伝送ファイル属性情報を含むパケット(最初の伝送ファイル属性情報を含むパケット)であることを認識することができる。
【0037】
図4及び図5に戻って、IPパケット生成部34は、ダウンロードヘッダ付加部33によりダウンロードヘッダが付加されたデータユニット及び伝送ファイル属性情報にIPヘッダ及びUDPヘッダを付加してIPパケットを生成し、IP/UDPヘッダ圧縮部13に出力する(ステップS504)。ここで、IPパケット生成部34は、ダウンロード制御情報を格納するIPパケット及びメディアファイルを格納するIPパケットに対し、異なる宛先ポート番号のUDPヘッダを付加する。
【0038】
図2に戻って、IP/UDPヘッダ圧縮部13は、IPパケット化部11からダウンロード制御情報のデータユニットが格納されたIPパケット及びダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを入力し、IPパケット化部12からメディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケット及びメディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを入力する。そして、IP/UDPヘッダ圧縮部13は、IPパケットに付加されたIPヘッダ及びUDPヘッダを圧縮して圧縮ヘッダを生成し、IPヘッダ及びUDPヘッダの代わりに圧縮ヘッダを付加したIPパケットを生成し、TLVパケット化部14に出力する。
【0039】
TLVパケット化部14は、IP/UDPヘッダ圧縮部13からIPパケットを入力し、IPパケットをTLVパケットにカプセル化してTLVパケットを生成し、一方向伝送路3を介して受信装置2へ送信する。
【0040】
尚、TLVパケット化部14は、IPパケット化部11及びIPパケット化部12からIPパケットを直接入力し、圧縮されていないIPヘッダ及びUDPヘッダが付加されたIPパケットをカプセル化し、TLVパケットを受信装置2へ送信するようにしてもよい。
【0041】
図8は、TLVパケットとして伝送されるダウンロード制御情報及びメディアファイルを概念的に示した図である。送信装置1から受信装置2へ送信されるTLVパケットには、ダウンロード制御情報のパケットとメディアファイルのパケットとの2種類があり、具体的には、ダウンロード制御情報のデータユニットが格納されたTLVパケット及びダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報が格納されたTLVパケットと、メディアファイルのデータユニットが格納されたTLVパケット及びメディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたTLVパケットとがある。図8に示すように、例えば、ダウンロード制御情報のTLVパケットにおける宛先ポート番号は50000であり、メディアファイルのTLVパケットの宛先ポート番号は50001であり、IPパケット化部11,12のIPパケット生成部34によって異なる番号に設定される。これにより、受信装置2は、UDPヘッダの宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報とメディアファイルとを区別することができる。尚、送信元ポート番号は任意の番号が設定される。
【0042】
このように、送信装置1は、ダウンロード制御情報及びメディアファイルを伝送する際に、ダウンロード制御情報及びメディアファイルからデータユニット及び伝送ファイル属性情報をそれぞれ生成し、ダウンロードヘッダを付加してIPパケットを生成し、TLVパケットを生成して受信装置2へ送信するようにした。このファイル伝送方式は、放送固有の伝送に特化することで、オーバーヘッドの少ない効率的な処理が可能であるから、特に、衛星放送のような高速伝送路に利用することができる。
【0043】
〔受信装置〕
次に、図1に示した本発明の実施形態による受信装置2について詳細に説明する。図9は、受信装置2の構成を示すブロック図である。この受信装置2は、TLVデパケット化部21、IP/UDPヘッダ復元部22、SDP生成部23、FDT生成部24、ALC/LCTヘッダ生成部25及びFLUTEクライアント26を備えている。受信装置2は、送信装置1から一方向伝送路3を介して、ダウンロード制御情報のTLVパケット及びメディアファイルのTLVパケットを受信し、TLVパケットをIPパケットにデカプセル化し、IPパケットをFLUTEのIPパケットに変換し、元のメディアファイルを再構成する。これにより、送信装置1におけるメディアファイルを復元することができる。
【0044】
TLVデパケット化部21は、送信装置1から一方向伝送路3を介してTLVパケットを受信し、TLVコンテナ形式のTLVパケットをIPパケットにデカプセル化し、圧縮ヘッダが付加されたIPパケットを生成し、IP/UDPヘッダ復元部22に出力する。
【0045】
IP/UDPヘッダ復元部22は、TLVデパケット化部21から圧縮ヘッダが付加されたIPパケットを入力し、圧縮ヘッダからIPヘッダ及びUDPヘッダを復元し、IPヘッダ及びUDPヘッダを付加したIPパケットを生成し、SDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25に出力する。
【0046】
尚、送信装置1から送信されたTLVパケットのIPヘッダ及びUDPヘッダが圧縮されていない場合、TLVデパケット化部21は、受信したTLVパケットをデカプセル化し、IPヘッダ及びUDPヘッダが付加されたIPパケットを生成し、SDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25に直接出力する。また、送信装置1からTLVパケットではなく、圧縮ヘッダが付加されたIPパケットが直接送信された場合、IP/UDPヘッダ復元部22は、送信装置1からIPパケットを直接受信し、圧縮ヘッダからIPヘッダ及びUDPヘッダを復元し、IPヘッダ及びUDPヘッダを付加したIPパケットをSDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25に出力する。
【0047】
ここで、IP/UDPヘッダ復元部22からSDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25に出力されるIPパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ及びダウンロードヘッダに加え、ペイロードに以下のデータが格納された4種類のパケットである。
(1)ダウンロード制御情報のデータユニット
(2)ダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報
(3)メディアファイルのデータユニット
(4)メディアファイルの伝送ファイル属性情報
【0048】
SDP生成部23は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号が50000であるか50001であるかを判定し、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別して選定し、ダウンロード制御情報等に基づいてSDP情報を生成し、SDP情報のIPパケットをFLUTEクライアント26に出力する。ここで、図8に示したように、UDPヘッダの宛先ポート番号が50000の場合、IPパケットにはダウンロード制御情報が格納されており、50001の場合、IPパケットにはメディアファイルが格納されている。SDP情報は、メディアファイルがどのようなIPパケットで伝送されるかを示す情報であり、メディアファイルがFLUTEのIPパケットに格納されて伝送される場合のセッションに関する情報である。SDP情報は、FLUTEクライアント26がファイルを再構成する処理を行うために、前もって必要な情報である。SDP情報の詳細については後述する。
【0049】
FDT生成部24は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別して選定し、メディアファイルの伝送ファイル属性情報等に基づいてFDTインスタンスを生成し、ALC/LCTヘッダ生成部25に出力する。FDTインスタンスは、メディアファイル本体の属性情報であり、FDTインスタンスを伝送するFLUTEのIPパケットにおいてペイロードに格納される。FDTインスタンスの詳細については後述する。尚、FLUTEのIPパケットには、メディアファイル本体の属性情報であるFDTインスタンスを伝送するパケット、及び、メディアファイル本体であるエンコーディングシンボルを伝送するパケットの2種類がある。詳細については後述する。
【0050】
ALC/LCTヘッダ生成部25は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、FDT生成部24からFDTインスタンスを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別して選定し、UDPヘッダ等に基づいて、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する。また、IPパケットに格納されたメディアファイルのデータユニットをエンコーディングシンボルとして扱う。そして、ALC/LCTヘッダ生成部25は、メディアファイル本体の属性情報であるFDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケットを生成し、FLUTEクライアント26に出力する。また、ALC/LCTヘッダ生成部25は、メディアファイル本体であるエンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを生成し、FLUTEクライアント26に出力する。
【0051】
FLUTEの規定では、送信側において、ファイルはソースシンボルに分割され、FECによりパリティシンボルが生成され、ソースシンボル及びパリティシンボルがエンコーディングシンボルとしてパケットに格納される。また、エンコーディングシンボルをファイルに復元するためのFDTインスタンスがパケットに格納される。エンコーディングシンボル及びFDTインスタンスは、両者とも同様のオブジェクトとして受信側へ伝送される。また、各オブジェクトを伝送するパケットには、ALC/LCTヘッダが付加される。このように、FLUTEのIPパケットには、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンスを含むパケットと、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを含むパケットとの2種類がある。
【0052】
図11は、FDTインスタンスを伝送するFLUTEのIPパケットの構成を示す図である。図11に示すように、このFLUTEのIPパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ、ALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンス(FDT Instance)により構成される。ALC/LCTヘッダは、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)に加え、LCTヘッダエクステンション(LCT Header Extension)のうちのEXT_FDT及びEXT_FTI、並びにFECペイロード(Payload)IDが必要であり、V、C、・・・、エンコーディングシンボルID(Encoding Symbol ID)の各項目により構成される。ALC/LCTヘッダの各項目の詳細については後述する。
【0053】
図12は、エンコーディングシンボルを伝送するFLUTEのIPパケットの構成を示す図である。図12に示すように、このFLUTEのIPパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ、ALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボル(Encoding Symbol)により構成される。ALC/LCTヘッダは、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)及びFECペイロード(Payload)IDが必要であり、V、C、・・・、エンコーディングシンボルID(Encoding Symbol ID)の各項目により構成される。ALC/LCTヘッダの各項目の詳細については後述する。
【0054】
図9に戻って、FLUTEクライアント26は、SDP生成部23からSDP情報のIPパケットを入力し、SDP情報に基づいてFLUTEクライアントを起動し、ALC/LCTヘッダ生成部25からFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケット及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを入力し、FLUTEのIPパケットのFDTインスタンス及びエンコーディングシンボルに基づいて、ファイルを再構成する。
【0055】
図10は、IP/UDPヘッダ復元部22により出力されたIPパケットからFLUTEのIPパケットへの変換手順を示すフローチャートである。この変換処理は、SDP生成部23、FDT生成部24、ALC/LCTヘッダ生成部25及びFLUTEクライアント26によって行われる。
【0056】
FLUTEクライアント26は、前述の非特許文献1に規定されたFLUTEのIPパケットを入力し、ファイルを再構成する処理部である。FLUTEクライアント26は、このファイル再構成処理にあたり、ファイルがどのようなIPパケットで伝送されるかを示すSDP情報が必要となる。そこで、最初に、SDP生成部23がSDP情報を生成する。
【0057】
まず、SDP生成部23は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケットを選定し、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号に基づいて、ダウンロード制御情報のデータユニットが格納されたIPパケット及びダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットをそれぞれ選定し、データユニット及び伝送ファイル属性情報からダウンロード制御情報を生成する。そして、SDP生成部23は、ダウンロード制御情報及び予め設定された情報に基づいてSDP情報を生成し、SDP情報のIPパケットをFLUTEクライアント26に出力する(ステップS1001)。尚、前述したとおり、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号がいずれも0の場合は、IPパケットには伝送ファイル属性情報が格納されており、伝送ファイル属性情報が分割された場合には、伝送ファイル属性情報の「伝送ファイル属性情報パケットの最終シーケンス番号」が示すシーケンス番号までのIPパケットに、伝送ファイル属性情報が格納されている。それ以降のIPパケットにはデータユニットが格納されている。
【0058】
このように、SDP生成部23がダウンロード制御情報等からSDP情報を生成することにより、SDP情報のみに対応する受信装置2においても、FLUTEクライアント26は、ファイルの再構成を開始することができる。
【0059】
(SDP情報)
図13は、SDP情報の項目及び記述方法(SDP生成部23による設定方法)を説明する図である。SDP情報は、「送信元IPアドレス」「セッションに用いるチャンネル数」「チャンネル毎の宛先IPアドレス及び宛先ポート番号」「セッション識別子(Transport Session Identifier)」「セッションの開始時刻及び終了時刻」「プロトコルID」から構成される。
【0060】
「送信元IPアドレス」は、送信されるメディアファイルの送信元IPアドレスであり、この項目には、ダウンロード制御情報から送信元IPアドレス(図3を参照)が取り出されて設定される。「セッションに用いるチャンネル数」の項目には、ダウンロード制御情報にかかわらず、1が設定される。「チャンネル毎の宛先IPアドレス及び宛先ポート番号」の項目には、ダウンロード制御情報から宛先IPアドレス及び宛先ポート番号(図3を参照)が取り出されて設定される。「セッション識別子(Transport Session Identifier)」は、メディアファイルを伝送するIPパケットの宛先ポート番号であり、この項目には、ダウンロード制御情報から宛先ポート番号が取り出されて設定される。「セッションの開始時刻及び終了時刻」の項目には、ダウンロード制御情報から配信開始時刻及び配信終了時刻が取り出されて設定される。「プロトコルID」の項目には、ダウンロード制御情報にかかわらず、FLUTE/UDPが設定される。尚、SDP情報の詳細については、非特許文献「IETF RFC2327、“SDP: Session Description Protocol”、April,1998」を参照されたい。
【0061】
図10に戻って、次に、FLUTEクライアント26は、SDP生成部23からSDP情報を入力し、FLULEクライアントを起動する(ステップS1002)。これにより、FLUTEクライアント26は、SDP情報によって、メディアファイルが格納されたFLUTEのIPパケットを取得することができる。つまり、送信装置1は、SDP情報を送信する代わりに、ダウンロード制御情報を送信し、受信装置2は、受信したダウンロード制御情報を解釈し、ダウンロード制御情報に基づいてSDP情報を仮想的に生成する。これにより、FLUTEクライアント26は、メディアファイルが格納されたFLUTEのIPパケットを取得することができ、ファイルの再構成を開始することができる。
【0062】
FLUTEでは、メディアファイルがソースシンボルに分割され、FECによりパリティシンボルが生成され、ソースシンボル及びパリティシンボルがエンコーディングシンボルとしてパケットに格納される。一方、エンコーディングシンボルをメディアファイルに復元するために必要なFDTインスタンスがメディアファイルと同様のオブジェクトとして伝送される。図11及び図12に示したように、各オブジェクトを伝送するパケットは、ALC/LCTヘッダを備える。
【0063】
そこで、ALC/LCTヘッダ生成部25において、データユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを、FLUTEクライアント26が処理可能なFLUTEのIPパケットに変換するために、FLUTEのIPパケットを構成するFDTインスタンス、エンコーディングシンボル、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ、及びエンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する必要がある。ここで、エンコーディングシンボルは、IPパケットに格納されたメディアファイルのデータユニットがそのまま用いられるから、このエンコーディングシンボルを除き、以下の処理が必要となる。
(a)伝送ファイル属性情報等からFDTインスタンスを生成する。
(b)ダウンロードヘッダ及び伝送ファイル属性情報等から、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する。
(c)ダウンロードヘッダ等から、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する。
【0064】
FDT生成部24は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、メディアファイルが格納されたIPパケットを選定し、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号に基づいて、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを選定する。そして、FDT生成部24は、メディアファイルの伝送ファイル属性情報及び予め設定された情報に基づいてFDTインスタンスを生成し、FDTインスタンスをALC/LCTヘッダ生成部25に出力する(ステップS1003)。
【0065】
このように、FDT生成部24がメディアファイルの伝送ファイル属性情報等からFDTインスタンスを生成することにより、ALC/LCTヘッダ生成部25において、FDTインスタンスを伝送するFLUTEのIPパケットを生成することができる。
【0066】
(FDTインスタンス)
図14は、FDTインスタンスの項目(属性)及び記述方法(FDT生成部24による設定方法)を説明する図である。FDTインスタンスは、「コンテンツロケーション(Content−Location)」「TOI(Transport Object Identifier)」「エクスパイア(Expires)」から構成される。
【0067】
「コンテンツロケーション(Content−Location)」の項目には、メディアファイルの伝送ファイル属性情報からコンテンツロケーション(Content−Location)(URI/ファイル本体の名前)(図6を参照)が取り出されて設定される。「TOI(Transport Object Identifier)」の項目には、メディアファイルの伝送ファイル属性情報にかかわらず、0が設定される。「エクスパイア(Expires)」の項目には、メディアファイルの伝送ファイル属性情報からエクスパイア(Expires)属性(図6を参照)が取り出されて設定される。
【0068】
図10に戻って、次に、ALC/LCTヘッダ生成部25は、IP/UDPヘッダ復元部22からIPパケットを入力し、FDT生成部24からFDTインスタンスを入力し、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別して選定する。そして、ALC/LCTヘッダ生成部25は、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成し、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する(ステップS1004)。
【0069】
(FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ)
図15及び図16は、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダの項目(フィールド名)、サイズ(ビット長)、項目の概要及び記述方法(ALC/LCTヘッダ生成部25による設定方法)を説明する図である。FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダは、図11に示したように、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)に加え、LCTヘッダエクステンション(LCT Header Extension)のうちのEXT_FDT及びEXT_FTI、並びにFECペイロード(Payload)IDが必要であり、「V」「C」「R」「S」「O」「H」「T」「R」「A」「B」「HDR長(HDR_LEN)」「コードポイント(Code_Point)」「CCI」「TSI」「TOI」「SCT」「ERT」「V」「FDTインスタンス(Instance)ID」「HEL」「伝送長(Transfer Length)」「FECインスタンス(Instance)ID」「エンコーディングシンボル長(Encoding Symbol Length)」「最大ソースブロック番号(Maximum Source Block Length)」「ソースブロック番号(Source Block Number)」「エンコーディングシンボル番号(Encoding Symbol Number)」から構成される。
【0070】
図15を参照して、「V」の項目には、バージョン番号である1が設定される。「C」の項目には、CCIフィールド長である0が設定される。「R」は予約(Reserved)フィールドであり、その項目には0が設定される。「S」の項目には、TSIフィールド長である1が設定される。「O」の項目には、TOIフィールド長である1が設定される。「H」の項目には、TSI/TOIフィールド長である0が設定される。「T」の項目には、SCTフィールドの有無のうち0(無)が設定される。「R」の項目には、ERTフィールドの有無のうち0(無)が設定される。
【0071】
「A」の項目には、クローズセッションフラグ(Close Session Flag)として0が設定される。「B」の項目には、クローズオブジェクトフラグ(Close Object Flag)として、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットについて、伝送ファイル属性情報が格納された最終のIPパケットに対応して1が設定され、それ以外のIPパケットに対応して0が設定される。具体的には、伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットのダウンロードヘッダのシーケンス番号(図7を参照)が、伝送ファイル属性情報に含まれる「伝送ファイル属性情報パケットの最終シーケンス番号」(図6を参照)と同一の場合に、1が設定される。図7において説明したとおり、送信装置1において、最初の伝送ファイル属性情報に対してはダウンロードヘッダのブロック番号=0,シーケンス番号=0が設定され、次の伝送ファイル属性情報が存在する場合、ブロック番号=0,シーケンス番号=1が設定され、最終の伝送ファイル属性情報までシーケンス番号が設定され、伝送ファイル属性情報に続くデータユニットには、最終の伝送ファイル属性情報に対して設定されたシーケンス番号に引き続くシーケンス番号が設定されるからである。
【0072】
「HDR長(HDR_LEN)」の項目には、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)、EXT_FDT及びEXT_FTI長である9(9×32ビットを意味する)が設定される。「コードポイント(Code_Point)」の項目には、FECによるパリティシンボルの生成を行わないこと(Compact No code_FEC)を示すFECエンコーディング(Encoding)IDとして0が設定される。「CCI」の項目には、コンジェスション制御情報(Congestion Control Information)として、輻輳制御を行わないことを示す0が設定される。「TSI」の項目には、トランスポートセッション(Transport Session)IDとして、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットに付加されたUDPヘッダから宛先ポート番号が取り出されて設定される。「TOI」の項目には、トランスポートオブジェクト(Transport Object)IDとして、0が設定される。「SCT」「ERT」は使用されない。
【0073】
図16を参照して、「V」の項目には、バージョン番号である1が設定される。「FDTインスタンス(Instance)ID」はFDTインスタンスの番号であり、この項目には、0で始まりFDTインスタンス毎(FDTインスタンスが格納されたFLUTEのIPパケット毎)に1ずつインクリメントした値が設定される。「HEL」はヘッダエクステンション長(Header Extension Length)であり、この項目には4が設定される。「伝送長(Transfer Length)」はファイル長であり、この項目にはFDTインスタンスの長さが設定される。「FECインスタンス(Instance)ID」の項目には、FECエンコーディング(Encoding)ID=0のときに0が設定される。
【0074】
「エンコーディングシンボル長(Encoding Symbol Length)」は、エンコーディングシンボルの長さであるデータユニット長であり、この項目には、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットからデータユニットの長さが算出されて設定される。「最大ソースブロック番号(Maximum Source Block Length)」は、ソースブロックにおけるソースシンボル数であり、この項目には、メディアファイルの伝送ファイル属性情報からブロック内のパケット数(図6を参照)が取り出されて設定される。
【0075】
「ソースブロック番号(Source Block Number)」は、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき16ビット長の番号であり、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号が取り出され、これらの番号に基づいて算出される。「エンコーディングシンボル番号(Encoding Symbol Number)」は、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき16ビット長の番号であり、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号が取り出され、これらの番号に基づいて算出される。
【0076】
図7に示したように、送信装置1において、IPパケットに付加されるダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号のフィールドに割り当てられるビット数は合計32であるが、それぞれ可変長である。これに対し、FLUTEでは、ソースブロック番号がダウンロードヘッダのブロック番号に対応し、エンコーディングシンボル番号がダウンロードヘッダのシーケンス番号に対応し、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき、それぞれ固定長の16ビットである。ALC/LCTヘッダ生成部25は、BNをブロック番号、SNをシーケンス番号、xをブロック番号のビット長とし、A=BN×2x+SNとした場合、以下の式により、ソースブロック番号(SBN)及びエンコーディングシンボル番号(ESN)を算出する。
SBN=INT(A/216)
ESN=A−SBN
【0077】
(エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ)
図17は、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダの項目(フィールド名)、サイズ(ビット長)、項目の概要及び記述方法(ALC/LCTヘッダ生成部25による設定方法)を説明する図である。エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダは、図12に示したように、デフォルトLCTヘッダ(Default LCT Header)及びFECペイロード(Payload)IDが必要であり、「V」「C」「R」「S」「O」「H」「T」「R」「A」「B」「HDR長(HDR_LEN)」「コードポイント(Code_Point)」「CCI」「TSI」「TOI」「SCT」「ERT」「ソースブロック番号(Source Block Number)」「エンコーディングシンボル番号(Encoding Symbol Number)」から構成される。
【0078】
「V」「C」「R」「S」「O」「H」「T」「R」「コードポイント(Code_Point)」「CCI」「SCT」「ERT」は、図15に示したものと同様であるので、説明を省略する。「A」の項目には、クローズセッションフラグ(Close Session Flag)として、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットについて、最終ブロックの最終シーケンス番号を持つIPパケットに対応して1が設定され、それ以外のIPパケットに対応して0が設定される。具体的には、メディアファイルが格納されたIPパケットのダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号(図7を参照)が、伝送ファイル属性情報に含まれる「ファイルを伝送する最終ブロック番号及び最終ブロックの最終シーケンス番号」(図6を参照)と同一の場合に、1が設定される。「B」の項目には、「A」の項目と同様に、クローズオブジェクトフラグ(Close Object Flag)として、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットについて、最終ブロックの最終シーケンス番号を持つIPパケットに対して1が設定され、それ以外のIPパケットに対して0が設定される。「HDR長(HDR_LEN)」の項目には、LCTヘッダ長である4が設定される。「TSI」の項目には、トランスポートセッション(Transport Session)IDとして、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットに付加されたUDPヘッダから宛先ポート番号が取り出されて設定される。「TOI」の項目には、トランスポートオブジェクト(Transport Object)IDとして、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからトランスポートファイルID(Transport File ID)(図7を参照)が取り出されて設定される。
【0079】
「ソースブロック番号(Source Block Number)」は、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき16ビット長の番号であり、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号が取り出され、これらの番号に基づいて算出される。「エンコーディングシンボル番号(Encoding Symbol Number)」は、FECエンコーディング(Encoding)IDが0のとき16ビット長の番号であり、メディアファイルのデータユニットが格納されたIPパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号が取り出され、これらの番号に基づいて算出される。算出手法については、図16にて説明したものと同様である。
【0080】
図10に戻って、ALC/LCTヘッダ生成部25は、FDTインスタンスを生成し(ステップS1003)、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成(ステップS1004)した後に、FLUTEのIPパケットを生成する(ステップS1005)。具体的には、ALC/LCTヘッダ生成部25は、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケットを生成し、FLUTEクライアント26に出力する。また、IPパケットに格納されたメディアファイルのデータユニットをエンコーディングシンボルとして扱い、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを生成し、FLUTEクライアント26に出力する。
【0081】
FLUTEクライアント26は、ALC/LCTヘッダ生成部25からFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケット及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを入力し、FLUTEのIPパケットのFDTインスタンス及びエンコーディングシンボルに基づいて、ファイルを再構成する。これにより、送信装置1におけるメディアファイルを復元することができる(ステップS1006)。
【0082】
以上のように、本発明の実施形態による受信装置2によれば、送信装置1から一方向伝送路3を介して送信されたダウンロード制御情報及びメディアファイルを、伝送ファイル属性情報及びデータユニットを含むIPパケットとして受信し、SDP生成部23、FDT生成部24及びALC/LCTヘッダ生成部25において、IPパケットをFLUTEのIPパケットに変換し、FLUTEクライアント26において、元のメディアファイルを再構成するようにした。
【0083】
具体的には、SDP生成部23は、IPパケットのUDPヘッダに格納された宛先ポート番号に基づいて、ダウンロード制御情報が格納されたIPパケット及びメディアファイルが格納されたIPパケットを区別し、IPパケットからダウンロード制御情報を取り出し、ダウンロード制御情報等に基づいてSDP情報を生成するようにした。また、FDT生成部24は、前述と同様にUDPヘッダの宛先ポート番号に基づいて、メディアファイルが格納されたIPパケットを選定し、ダウンロードヘッダのブロック番号及びシーケンス番号に基づいて、メディアファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたIPパケットを選定し、メディアファイルの伝送ファイル属性情報等に基づいて、FDTインスタンスを生成するようにした。また、ALC/LCTヘッダ生成部25は、メディアファイルのダウンロードヘッダ及びメディアファイルの伝送ファイル属性情報等から、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成し、メディアファイルのダウンロードヘッダ等から、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成するようにした。そして、ALC/LCTヘッダ生成部25は、FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びFDTインスタンスを含むFLUTEのIPパケットを生成し、IPパケットに格納されたメディアファイルのデータユニットをエンコーディングシンボルとして扱い、エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダ及びエンコーディングシンボルを含むFLUTEのIPパケットを生成するようにした。これにより、受信装置2は、送信装置1から一方向伝送路3を介して受信したIPパケットを、FLUTEのIPパケットに変換することができる。
【0084】
そして、FLUTEクライアント26は、FLUTEのIPパケットに基づいて、元のメディアファイルを再構成する。これにより、FLUTEクライアント機能を有する受信装置2は、送信装置1におけるメディアファイルを復元することができる。したがって、オーバーヘッドの少ない効率的なファイル伝送方式を用いた送信装置1に対し、それに対応した新たな受信手段を開発することなく、現在多数存在し広く普及している、FLUTEクライアント機能を有する受信装置を用いることができる。つまり、受信装置2の開発コスト及び開発負荷を低減することができる。また、高度BSダウンロード方式にて送信装置1から送信されたコンテンツを、DVB−H、3GPP、ISDB−Tmm等の方式に対応した受信装置2において受信することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1 送信装置
2 受信装置
3 一方向伝送路
11,12 IPパケット化部
13 IP/UDPヘッダ圧縮部
14 TLVパケット化部
21 TLVデパケット化部
22 IP/UDPヘッダ復元部
23 SDP生成部
24 FDT生成部
25 ALC/LCTヘッダ生成部
26 FLUTEクライアント
31 データユニット生成部
32 属性情報生成部
33 ダウンロードヘッダ付加部
34 IPパケット生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルを複数のデータユニットに分割し、前記ファイルに基づいて伝送ファイル属性情報を生成すると共に、前記ファイルをダウンロードするために必要なダウンロード制御情報を複数のデータユニットに分割し、前記ダウンロード制御情報に基づいて伝送ファイル属性情報を生成し、前記ファイル及びダウンロード制御情報の識別子と前記データユニット及び伝送ファイル属性情報を送信する際の番号とを含むダウンロードヘッダを生成し、前記ファイルのデータユニット、前記ファイルの伝送ファイル属性情報、前記ダウンロード制御情報のデータユニットまたは前記ダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報を、前記ダウンロードヘッダと共にパケットに格納して送信する送信装置と、
一方向伝送を介して前記パケットを受信し、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)の規格に準じた処理を行うクライアント機能により、前記ファイルを復元する受信装置と、を含む伝送システムにおける前記受信装置であって、
前記ダウンロード制御情報のデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記ファイルがFLUTEのパケットとして伝送される場合のセッションに関するSDP(Session Description Protocol)情報を生成するSDP生成部と、
前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記ファイルがFLUTEのパケットとして伝送される場合の属性に関するFDT(File Delivery Table)インスタンスを生成するFDT生成部と、
前記ファイルのデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ、及び前記ファイルをエンコーディングシンボルとして伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成し、前記FDT生成部により生成されたFDTインスタンス及び前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを含むFLUTEのパケットを生成し、前記パケットに格納されたファイルのデータユニットを取り出して前記エンコーディングシンボルとして扱い、前記エンコーディングシンボル及び前記エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを含むFLUTEのパケットを生成するALC/LCTヘッダ生成部と、
前記SDP生成部により生成されたSDP情報を用いて、前記ALC/LCTヘッダ生成部により生成されたFLUTEのパケットから、元のファイルを復元するFLUTEクライアントと、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記送信装置により送信されるパケットには、前記ファイル及びダウンロード制御情報の送信において異なる宛先ポート番号が設定されたUDPヘッダが付加され、
前記パケットに付加されたUDPヘッダの宛先ポート番号に基づいて、ファイルのデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットと、ダウンロード制御情報のデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットとを区別する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の受信装置において、
前記SDP生成部は、前記ダウンロード制御情報から、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、宛先ポート番号、前記ファイルの配信開始時刻及び配信終了時刻を取り出し、前記SDP情報の各項目に設定する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の受信装置において、
前記FDT生成部は、前記ファイルの伝送ファイル属性情報から、コンテンツロケーション及びエクスパイア属性を取り出し、前記FDTインスタンスの各項目に設定する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項2に記載の受信装置において、
前記送信装置により送信されるパケットのダウンロードヘッダは、前記ファイル及びダウンロード制御情報の識別子と、前記データユニット及び伝送ファイル属性情報を送信する際に複数のデータユニット及び伝送ファイル属性情報からなるブロックの番号と、ブロック内における送信単位の番号を示すシーケンス番号とにより構成され、
前記ALC/LCTヘッダ生成部は、前記ファイルの伝送ファイル属性情報から伝送ファイル属性情報の最終パケット番号を取り出して、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのダウンロードヘッダにおけるシーケンス番号及び前記最終パケット番号に基づき、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納された最終パケットであるか否かを示す情報を生成し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのUDPヘッダから宛先ポート番号を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットにおける前記データユニット長を算出し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号を取り出して、前記ブロック番号及びシーケンス番号に基づき、FLUTEにより規定されたソースブロック番号及びエンコーディングシンボル番号を算出し、前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダの各項目に設定し、
前記ファイルの伝送ファイル属性情報からブロック内のパケット数を取り出して、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダにおけるシーケンス番号及び前記ブロック内のパケット数に基づき、前記ファイルのデータユニットが格納された最終パケットであるか否かを示す情報を生成し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのUDPヘッダから宛先ポート番号を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダから識別子を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号を取り出して、前記ブロック番号及びシーケンス番号に基づき、FLUTEにより規定されたソースブロック番号及びエンコーディングシンボル番号を算出し、前記エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項1】
ファイルを複数のデータユニットに分割し、前記ファイルに基づいて伝送ファイル属性情報を生成すると共に、前記ファイルをダウンロードするために必要なダウンロード制御情報を複数のデータユニットに分割し、前記ダウンロード制御情報に基づいて伝送ファイル属性情報を生成し、前記ファイル及びダウンロード制御情報の識別子と前記データユニット及び伝送ファイル属性情報を送信する際の番号とを含むダウンロードヘッダを生成し、前記ファイルのデータユニット、前記ファイルの伝送ファイル属性情報、前記ダウンロード制御情報のデータユニットまたは前記ダウンロード制御情報の伝送ファイル属性情報を、前記ダウンロードヘッダと共にパケットに格納して送信する送信装置と、
一方向伝送を介して前記パケットを受信し、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)の規格に準じた処理を行うクライアント機能により、前記ファイルを復元する受信装置と、を含む伝送システムにおける前記受信装置であって、
前記ダウンロード制御情報のデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記ファイルがFLUTEのパケットとして伝送される場合のセッションに関するSDP(Session Description Protocol)情報を生成するSDP生成部と、
前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記ファイルがFLUTEのパケットとして伝送される場合の属性に関するFDT(File Delivery Table)インスタンスを生成するFDT生成部と、
前記ファイルのデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットに基づいて、前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダ、及び前記ファイルをエンコーディングシンボルとして伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成し、前記FDT生成部により生成されたFDTインスタンス及び前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダを含むFLUTEのパケットを生成し、前記パケットに格納されたファイルのデータユニットを取り出して前記エンコーディングシンボルとして扱い、前記エンコーディングシンボル及び前記エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを含むFLUTEのパケットを生成するALC/LCTヘッダ生成部と、
前記SDP生成部により生成されたSDP情報を用いて、前記ALC/LCTヘッダ生成部により生成されたFLUTEのパケットから、元のファイルを復元するFLUTEクライアントと、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、
前記送信装置により送信されるパケットには、前記ファイル及びダウンロード制御情報の送信において異なる宛先ポート番号が設定されたUDPヘッダが付加され、
前記パケットに付加されたUDPヘッダの宛先ポート番号に基づいて、ファイルのデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットと、ダウンロード制御情報のデータユニット及び伝送ファイル属性情報が格納されたパケットとを区別する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の受信装置において、
前記SDP生成部は、前記ダウンロード制御情報から、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、宛先ポート番号、前記ファイルの配信開始時刻及び配信終了時刻を取り出し、前記SDP情報の各項目に設定する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の受信装置において、
前記FDT生成部は、前記ファイルの伝送ファイル属性情報から、コンテンツロケーション及びエクスパイア属性を取り出し、前記FDTインスタンスの各項目に設定する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項2に記載の受信装置において、
前記送信装置により送信されるパケットのダウンロードヘッダは、前記ファイル及びダウンロード制御情報の識別子と、前記データユニット及び伝送ファイル属性情報を送信する際に複数のデータユニット及び伝送ファイル属性情報からなるブロックの番号と、ブロック内における送信単位の番号を示すシーケンス番号とにより構成され、
前記ALC/LCTヘッダ生成部は、前記ファイルの伝送ファイル属性情報から伝送ファイル属性情報の最終パケット番号を取り出して、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのダウンロードヘッダにおけるシーケンス番号及び前記最終パケット番号に基づき、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納された最終パケットであるか否かを示す情報を生成し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのUDPヘッダから宛先ポート番号を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットにおける前記データユニット長を算出し、前記ファイルの伝送ファイル属性情報が格納されたパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号を取り出して、前記ブロック番号及びシーケンス番号に基づき、FLUTEにより規定されたソースブロック番号及びエンコーディングシンボル番号を算出し、前記FDTインスタンスを伝送する場合のALC/LCTヘッダの各項目に設定し、
前記ファイルの伝送ファイル属性情報からブロック内のパケット数を取り出して、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダにおけるシーケンス番号及び前記ブロック内のパケット数に基づき、前記ファイルのデータユニットが格納された最終パケットであるか否かを示す情報を生成し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのUDPヘッダから宛先ポート番号を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダから識別子を取り出し、前記ファイルのデータユニットが格納されたパケットのダウンロードヘッダからブロック番号及びシーケンス番号を取り出して、前記ブロック番号及びシーケンス番号に基づき、FLUTEにより規定されたソースブロック番号及びエンコーディングシンボル番号を算出し、前記エンコーディングシンボルを伝送する場合のALC/LCTヘッダを生成する、ことを特徴とする受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−101156(P2011−101156A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253814(P2009−253814)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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