受信装置
【課題】妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器の動作点を適正化する。
【解決手段】動作点適正化部6は、出力信号IFOUTに基づいて受信信号RFinの受信状態を判定し、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2からの出力信号を制御することにより、利得可変増幅器1の動作点を適正化させる。
【解決手段】動作点適正化部6は、出力信号IFOUTに基づいて受信信号RFinの受信状態を判定し、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2からの出力信号を制御することにより、利得可変増幅器1の動作点を適正化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受信装置に関し、特に、妨害波の状態に応じて利得可変増幅器の動作点を制御する方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の受信装置では、利得可変増幅器の動作点が妨害波によって最適な位置からずれるのを防止するため、利得可変増幅器の利得を制御する検波器の入力は妨害波を検出できるように十分広い帯域に固定されている。
【0003】
そして、妨害波が所望波より大きい時は、妨害波が検出されることで利得可変増幅器の利得が制御される。この時、受信装置の不要成分(ノイズ)の状態は、受信装置のNF(雑音指数)と妨害波によって生じた歪との総和で決まり、利得可変増幅器の動作点の変動に伴って変化する。このため、妨害波が所望波に対してある信号レベル及び離調周波数に固定されている場合、不要成分の総和が最小化される利得可変増幅器の最適な動作点が存在する。
【0004】
また、例えば、特許文献1には、IF検波方式AGC回路において、ミキサ出力のIFレベルを検出するために、検波器の前に可変ローパスフィルタをローパスフィルタとは別に設け、デジタルテレビのチャンネルに応じて妨害波となるアナログテレビのチャンネルを規定し、その妨害アナログテレビ信号を検波器にてレベル検波できるように可変ローパスフィルタのカットオフ周波数を設定し、かつミキサで出力される信号で検波器には入力したくない不要信号は抑圧するように可変ローパスフィルタのカットオフ周波数を設定する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、妨害波を検出できるように十分広い帯域に検波器の入力を固定すると、所望波に対する妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化した場合においても、これらの妨害波が等しく検出されるため、信号レベル及び離調周波数の異なる妨害波に対して利得可変増幅器の動作点を最適化することができないという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に開示された方法では、妨害波による歪の影響を抑えるためには、デジタルテレビのチャンネルに応じて妨害波となるアナログテレビのチャンネルを規定する必要があり、その規定されたチャンネル以外の妨害波は抑圧できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−281939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器の動作点を適正化することが可能な受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、受信信号を増幅する利得可変増幅器と、前記利得可変増幅器にて増幅された受信信号の周波数変換を行うミキサと、前記周波数変換された受信信号を検波する検波器と、前記検波器による検波レベルに基づいて前記利得可変増幅器の利得を制御する自動利得制御部と、前記受信信号の受信状態に基づいて前記ミキサからの出力信号を制御することにより、前記利得可変増幅器の動作点を適正化させる動作点適正化部とを備えることを特徴とする受信装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器の動作点を適正化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、ある信号レベルを持つ妨害波の離調周波数が異なる場合の所望波に対する妨害波の影響を示す図である。
【図3】図3は、図1の利得可変増幅器の動作点の設定方法を示す図である。
【図4】図4は、図1のミキサ出力帯域の可変方法を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、図6の適応制御部によるミキサ出力帯域の制御方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図7のフローチャートのMER値と判定ビットのイメージを示す図である。
【図9】図9は、本発明の第4実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明の第5実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の第6実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る受信装置について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。なお、この受信装置は、例えば、移動体通信用のデジタルテレビチューナに用いることができる。
図1において、この受信装置には、利得可変増幅器1、ミキサ2、検波器3、自動利得制御部4、バンドパスフィルタ5および動作点適正化部6が設けられている。ここで、動作点適正化部6は、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2からの出力信号を制御することにより、利得可変増幅器1の動作点を適正化させることができる。
【0014】
そして、無線周波数帯の受信信号RFinは利得可変増幅器1にて増幅された後、ミキサ2にて中間周波数帯またはベースバンド周波数帯に周波数変換される。そして、バンドパスフィルタ5にて不要な成分が減衰されることで、出力信号IFOUTが出力される。
【0015】
ここで、動作点適正化部6では、出力信号IFOUTに基づいて受信信号RFinの受信状態が判定される。そして、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2からの出力信号が制御されることにより、利得可変増幅器1の動作点が適正化される。
【0016】
なお、受信信号RFinの受信状態を判定する方法としては、例えば、MER(Modulation Error Ratio)を用いることができる。
【0017】
また、利得可変増幅器1の動作点を適正化させる方法としては、例えば、受信信号RFinに含まれる妨害波成分の帯域を制御するようにしてもよいし、ミキサ2からの出力信号のレベルを制御するようにしてもよい。
【0018】
また、ミキサ2にて周波数変換された受信信号RFinは検波器3にて検波され、その検波レベルが自動利得制御部4に出力される。そして、自動利得制御部4において、その検波レベルに基づいて利得可変増幅器1の利得が制御されることにより、ミキサ2からの出力レベルが一定になるように制御される。
【0019】
ここで、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2からの出力信号を制御することにより、受信信号RFinに含まれる妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器1の動作点を適正化することができ、受信装置のNF(雑音指数)と妨害波によって生じた歪との総和で決まる不要成分を減少させることができる。
【0020】
図2は、ある信号レベルを持つ妨害波の離調周波数が異なる場合の所望波に対する妨害波の影響を示す図である。
図2において、妨害波WUの2次歪WU2は所望波WDの近傍の帯域で発生し、妨害波WUの3次歪WU3は妨害波WUの近傍の帯域で発生する。このため、図2(a)に示すように、妨害波WUが所望波WDに対して数10MHz程度離調している場合は、3次歪WU3による近傍妨害の影響が強くなり、図2(b)に示すように、妨害波WUが所望波WDに対して数10MHz〜300MHz程度離調している場合は、2次歪WU2による遠方妨害の影響が強くなる。
【0021】
一方、受信装置の感度はSN比(ただし、Sは信号成分、Nは不要成分の総和)で決まり、妨害波WUがある場合の不要成分の総和Nは、受信装置自体のノイズ(NF)、妨害波WUの2次歪WU2、妨害波WUの3次歪WU3の和で決まる。このため、所望波WDに対する妨害波WUの信号レベル及び離調周波数によって不要成分の総和Nが変動し、利得可変増幅器1の最適な動作点も変動するため、利得可変増幅器1の動作点を最適化するには、所望波WDに対する妨害波WUの信号レベル及び離調周波数に応じて利得可変増幅器1の動作点を変化させる必要がある。
【0022】
図3は、図1の利得可変増幅器の動作点の設定方法を示す図である。
図3において、利得可変増幅器1の利得が上がると、受信装置自体のノイズ(NF)は減少し、妨害波WUの2次歪WU2および3次歪WU3は増大する。このため、利得可変増幅器1の利得は上がり過ぎても下がり過ぎても不要成分の総和Nは増大し、不要成分の総和Nが最小となる最適な動作点が存在する。
【0023】
ここで、ミキサ2の出力帯域FBが、信号レベル及び離調周波数にかかわりなく全ての妨害波WUを検出できるように十分広い帯域に固定されているものとすると、図2(a)の近傍妨害の影響が強い場合においては、受信装置の感度を確保するためには、3次歪WU3の影響が小さくなるように利得可変増幅器1の動作点を設定する必要があることから、利得可変増幅器1の動作点は図3のP1に設定される。
【0024】
利得可変増幅器1の動作点がP1に設定された場合、図2(b)の遠方妨害の影響が強い場合においては、受信装置自体のノイズ(NF)増加の影響が却って大きくなり、利得可変増幅器1の動作点がP2に設定された場合に比べて不要成分の総和Nが大きくなる。
【0025】
これに対して、ミキサ2の出力帯域FBを変化させ、図2(b)の遠方妨害の影響が強い場合においては、妨害波WUにかかるようにミキサ2の出力帯域FBを制限することにより、ミキサ2の出力信号に含まれる妨害波成分を減少させることができる。そして、ミキサ2の出力信号に含まれる妨害波成分が減少すると、検波器3による検波レベルが下がることから、利得可変増幅器1の利得が上がるように自動利得制御部4にて制御される。
【0026】
そして、利得可変増幅器1の利得が上がるように制御されると、利得可変増幅器1の動作点はP1からP2に移動し、不要成分の総和Nが最小化されるように利得可変増幅器1の動作点が最適化される。
【0027】
図4は、図1のミキサ出力帯域の可変方法を示す図である。
図4において、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2の出力帯域FBが変化されることで、利得可変増幅器1の動作点が最適化される。
【0028】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図5において、この受信装置には、受信アンテナ11、ローノイズアンプ12、フィルタ13、18、利得可変増幅器14、19、電圧/電流変換器15a、15c、ミキサ16a、16c、オペアンプ17a、17c、検波器20および自動利得制御部21が設けられている。
【0029】
ここで、自動利得制御部21の出力側はコンデンサC2を介して接地されている。また、オペアンプ17aの入出力端子間には抵抗R1とコンデンサC1との並列回路が接続されることで、ローパスフィルタが構成されている。また、オペアンプ17cの入出力端子間には抵抗R2が接続されており、オペアンプ17cの遮断周波数によるローパスフィルタが構成されている。
【0030】
なお、ローノイズアンプ12、利得可変増幅器14、19、電圧/電流変換器15a、15c、ミキサ16a、16c、オペアンプ17a、17c、フィルタ18、検波器20および自動利得制御部21は、半導体チップPに集積化することができる。コンデンサC2、及びフィルタ13は一般にサイズが大きくコストと汎用性の為、外付けが多いがこれらも半導体Pに集積しても構わない。
【0031】
そして、所望波は妨害波とともに受信アンテナ11にて受信され、ローノイズアンプ12にて増幅された後、フィルタ13を介して利得可変増幅器14に送られる。そして、受信信号RFinは利得可変増幅器14にて増幅された後、電圧/電流変換器15a、15cにて電流に変換され、ミキサ16a、16cにて別個に周波数変換される。
【0032】
ミキサ16aにて周波数変換された受信信号RFinは、オペアンプ17aを通過することで高域成分が減衰された後、フィルタ18にて所望の成分が選択され、利得可変増幅器19にて増幅されることで、出力信号IFOUTが出力される。
【0033】
一方、ミキサ16cにて周波数変換された受信信号RFinは、オペアンプ17cを通過することでオペアンプ17cの持つ遮断周波数により高域成分が減衰された後、検波器20にて検波され、その検波レベルが自動利得制御部21に出力される。そして、自動利得制御部21において、その検波レベルに基づいて利得可変増幅器14の利得が制御されることにより、ミキサ16a、16cからの出力レベルが一定になるように制御される。
【0034】
ここで、オペアンプ17aには、そのバイアス電流を制御する制御信号SC1が入力される。そして、受信信号RFinの受信状態に基づいてオペアンプ17aのバイアス電流が制御されることで、歪特性などが最適化される。妨害波がない場合のような、良好な歪特性が要求されない場合においては、バイアス電流を絞り消費電流が削減される。
【0035】
また、オペアンプ17cには、そのバイアス電流を制御する制御信号SC2が入力される。そして、受信信号RFinの受信状態に基づいてオペアンプ17cのバイアス電流が制御されることで、オペアンプ17cにて構成されるローパスフィルタの帯域が制御され、利得可変増幅器14の動作点が最適化される。なお、図4に示すように、オペアンプ17cのバイアス電流が増大すると遮断周波数が高くなる為、オペアンプ17cにて構成されるローパスフィルタの帯域は広くなり、逆にオペアンプ17cのバイアス電流が減少すると遮断周波数が低くなる為、オペアンプ17cにて構成されるローパスフィルタの帯域は狭くなる。
【0036】
これにより、受信信号RFinに含まれる妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器1の動作点を適正化することができ、低消費電力化を図りつつ、受信装置のNF(雑音指数)と妨害波によって生じた歪との総和で決まる不要成分を減少させることができる。
【0037】
また、出力信号IFOUT側のミキサ16aと検波器20側のミキサ16cのように出力信号経路と検波制御用の経路を別個に設けることにより、検波器20に入力される信号を制御した場合に生じる負荷変動が、出力信号IFOUTに影響が及ぶのを防止することができる。
【0038】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図6において、この受信装置には、利得可変増幅器31、38、ミキサ32a〜32c、検波器33、ローパスフィルタ34a、34b、帯域可変ローパスフィルタ34c、発振器35、移相器36、イメージリジェクションフィルタ37、OFDM(Orthogonal Frequency−Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)復調部39および自動利得制御部44が設けられている。ここで、自動利得制御部44の出力側はコンデンサC3を介して接地されている。
【0039】
また、OFDM復調部39には、A/Dコンバータ40、自動利得制御部41、適応制御部42およびデジタル復調部43が設けられている。なお、適応制御部42は、受信信号RFinの受信状態に基づいて、ローパスフィルタ34a、34bの特性を制御する制御信号SC1を生成したり、帯域可変ローパスフィルタ34cの帯域を制御する制御信号SC2を生成したりすることができる。この適応制御部42は、受信信号RFinの受信状態を判定する指標としてMERやSNを用いることができる。
【0040】
なお、利得可変増幅器31、38、ミキサ32a〜32c、検波器33、ローパスフィルタ34a、34b、帯域可変ローパスフィルタ34c、発振器35、移相器36、イメージリジェクションフィルタ37および自動利得制御部44は、半導体チップP2に集積化することができる。コンデンサC2は一般的にサイズが大きいため、外付けされることが一般的だがこれも半導体チップP2に集積しても構わない。なお、OFDM復調部39は、半導体チップP2に集積化してもよいし、外付けであってもよい。
【0041】
そして、受信信号RFinは利得可変増幅器31にて増幅された後、ミキサ32a〜33cに出力される。また、発振器35にて生成された局部発振信号LOは移相器36にて90°だけ位相がシフトされ、位相シフト前後の局部発振信号LOがミキサ32a、32bにそれぞれ出力される。
【0042】
そして、ミキサ32a、32bにおいて、利得可変増幅器31にて増幅された受信信号RFinが位相シフト前後の局部発振信号LOと混合されることで、周波数変換された同相成分Iと直交成分Qが生成され、ローパスフィルタ34a、34bにそれぞれ出力される。
【0043】
そして、ローパスフィルタ34a、34bにおいて高域成分が減衰された後、イメージリジェクションフィルタ37にて所望の成分が選択され、利得可変増幅器38にて増幅されることで、出力信号IFOUTがOFDM復調部39に出力される。
【0044】
そして、OFDM復調部39において、出力信号IFOUTはA/Dコンバータ40にてデジタル化された後、デジタル復調部43にて復調処理が行われる。また、自動利得制御部41において、デジタル化された出力信号IFOUTに基づいて利得可変増幅器38の利得が制御される。また、適応制御部42において、デジタル化された出力信号IFOUTに基づいて制御信号SC1、SC2が生成され、制御信号SC1はローパスフィルタ34a、34bに出力され、制御信号SC2は帯域可変ローパスフィルタ34cに出力される。
【0045】
また、ミキサ32cにおいて、利得可変増幅器31にて増幅された受信信号RFinは周波数変換され、帯域可変ローパスフィルタ34cに出力される。そして、帯域可変ローパスフィルタ34cにおいて高域成分が減衰された後、検波器33にて検波され、その検波レベルが自動利得制御部44に出力される。そして、自動利得制御部44において、その検波レベルに基づいて利得可変増幅器31の利得が制御されることにより、ミキサ32a、32bからの出力レベルが一定になるように制御される。
【0046】
図7は、図6の適応制御部によるミキサ出力帯域の制御方法を示すフローチャートの一例である。
図7において、ミキサ出力帯域の初期値を狭い方から始めて、MERを測定し(ステップS1)、MERが通常の場合は(ステップS2)、ステップS1に戻ってMERの測定を繰り返す。一方、MERが良の場合は、制御信号SC2にて帯域可変ローパスフィルタ34cの帯域を狭くすることにより、ミキサ32cの出力帯域を狭くする(ステップS3)。一方、MERが悪の場合は、制御信号SC2にて帯域可変ローパスフィルタ34cの帯域を広くすることにより、ミキサ32cの出力帯域を広くする(ステップS4)。
【0047】
図8は、図7のフローチャートのMER値と判定ビットのイメージを示す図である。
図8において、MERとSN比とは相関があるため、MERを測定することで受信信号RFinの受信状態の良悪を判定することができる。
【0048】
これにより、受信信号RFinに含まれる妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器31の動作点を適正化することができ、低消費電力化を図りつつ、受信装置のNF(雑音指数)と妨害波によって生じた歪との総和で決まる不要成分を減少させることができる。
【0049】
また、出力信号IFOUT側と検波器33側とでミキサ32a〜32cを別個に設けることにより、検波器33に入力される信号を帯域可変ローパスフィルタ34cにより制御した場合においても、同相成分Iと直交成分Qとのバランスが崩れるのを防止することができる。
【0050】
なお、上述した第3実施形態では、受信信号RFinの受信状態を判定するために、MERを測定する方法について説明したが、受信信号RFinの受信状態を判定する指標としては、MER以外の値を用いるようにしてもよい。
【0051】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図9において、この受信装置には、図6のOFDM復調部39の代わりにOFDM復調部39´が設けられ、A/Dコンバータ45が追加されている。ここで、OFDM復調部39´には、図6の適応制御部42の代わりに適応制御部42´が設けられている。この適応制御部42´は、検波器33による検波レベルに基づいて、ローパスフィルタ34a、34bの特性を制御する制御信号SC1を生成したり、帯域可変ローパスフィルタ34cの帯域を制御する制御信号SC2を生成したりすることができる。コンデンサC3は一般的にサイズが大きいため、外付けされることが一般的だがこれも半導体チップP2に集積しても構わない。尚、OFDM復調部39´は、半導体チップP2に集積化してもよいし、外付けであってもよい。
【0052】
そして、検波器33による検波レベルはA/Dコンバータ45にてデジタル化され、適応制御部42´に入力される。そして、適応制御部42´において、デジタル化された検波レベルに基づいて制御信号SC1、SC2が生成され、制御信号SC1はローパスフィルタ34a、34bに出力され、制御信号SC2は帯域可変ローパスフィルタ34cに出力される。
【0053】
(第5実施形態)
図10は、本発明の第5実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図10において、この受信装置には、図5のミキサ16cの一例として電界効果トランジスタ51が設けられている。また、抵抗R2には可変容量C4が並列に接続されている。ここで、可変容量C4には、その容量値を制御する制御信号SC5が入力される。そして、電界効果トランジスタ51のゲートには局部発振信号LOが入力され、電圧/電流変換器15cにて電流に変換された受信信号RFinが局部発振信号LOと混合されることで、周波数変換される。
【0054】
そして、受信信号RFinの受信状態に基づいて可変容量C4の容量値が制御されることで、オペアンプ17cにて構成されるローパスフィルタの帯域が制御され、図5の利得可変増幅器14の動作点が最適化される。
【0055】
(第6実施形態)
図11は、本発明の第6実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図11において、この受信装置には、図6の構成に検波レベル調整アンプ61が追加され、検波レベル調整アンプ61は検波器33の入力側に接続されている。
【0056】
なお、検波レベル調整アンプ61は、オペアンプ62、オペアンプ62の入力側に接続された可変抵抗R5およびオペアンプ62の入出力間に接続された可変抵抗R6にて構成することができる。
【0057】
ここで、検波レベル調整アンプ61には、検波器33の入力レベルを制御する制御信号SC3が入力される。そして、受信信号RFinの受信状態に基づいて検波器33の入力レベルが制御されることで、検波器33の検波レベルが制御され、利得可変増幅器31の動作点が最適化される。
【符号の説明】
【0058】
1、14、19、31、38 利得可変増幅器、2、16a、16c、32a〜32c ミキサ、3、20、33 検波器、4、21、41、44 自動利得制御部、5 バンドパスフィルタ、6 動作点適正化部、P、P2 半導体チップ、11 受信アンテナ、12 ローノイズアンプ、13、18 フィルタ、15a、15c 電圧/電流変換器、17a、17c、62 オペアンプ、R1、R2 抵抗、R5、R6 可変抵抗、C1〜C3 コンデンサ、34a、34b ローパスフィルタ、34c 帯域可変ローパスフィルタ、35 発振器、36 移相器、37 イメージリジェクションフィルタ、39、39´ OFDM復調部、40、45 A/Dコンバータ、42、42´ 適応制御部、43 デジタル復調部、51 電界効果トランジスタ、C4 可変容量、61 検波レベル調整アンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は受信装置に関し、特に、妨害波の状態に応じて利得可変増幅器の動作点を制御する方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の受信装置では、利得可変増幅器の動作点が妨害波によって最適な位置からずれるのを防止するため、利得可変増幅器の利得を制御する検波器の入力は妨害波を検出できるように十分広い帯域に固定されている。
【0003】
そして、妨害波が所望波より大きい時は、妨害波が検出されることで利得可変増幅器の利得が制御される。この時、受信装置の不要成分(ノイズ)の状態は、受信装置のNF(雑音指数)と妨害波によって生じた歪との総和で決まり、利得可変増幅器の動作点の変動に伴って変化する。このため、妨害波が所望波に対してある信号レベル及び離調周波数に固定されている場合、不要成分の総和が最小化される利得可変増幅器の最適な動作点が存在する。
【0004】
また、例えば、特許文献1には、IF検波方式AGC回路において、ミキサ出力のIFレベルを検出するために、検波器の前に可変ローパスフィルタをローパスフィルタとは別に設け、デジタルテレビのチャンネルに応じて妨害波となるアナログテレビのチャンネルを規定し、その妨害アナログテレビ信号を検波器にてレベル検波できるように可変ローパスフィルタのカットオフ周波数を設定し、かつミキサで出力される信号で検波器には入力したくない不要信号は抑圧するように可変ローパスフィルタのカットオフ周波数を設定する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、妨害波を検出できるように十分広い帯域に検波器の入力を固定すると、所望波に対する妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化した場合においても、これらの妨害波が等しく検出されるため、信号レベル及び離調周波数の異なる妨害波に対して利得可変増幅器の動作点を最適化することができないという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に開示された方法では、妨害波による歪の影響を抑えるためには、デジタルテレビのチャンネルに応じて妨害波となるアナログテレビのチャンネルを規定する必要があり、その規定されたチャンネル以外の妨害波は抑圧できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−281939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器の動作点を適正化することが可能な受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、受信信号を増幅する利得可変増幅器と、前記利得可変増幅器にて増幅された受信信号の周波数変換を行うミキサと、前記周波数変換された受信信号を検波する検波器と、前記検波器による検波レベルに基づいて前記利得可変増幅器の利得を制御する自動利得制御部と、前記受信信号の受信状態に基づいて前記ミキサからの出力信号を制御することにより、前記利得可変増幅器の動作点を適正化させる動作点適正化部とを備えることを特徴とする受信装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器の動作点を適正化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、ある信号レベルを持つ妨害波の離調周波数が異なる場合の所望波に対する妨害波の影響を示す図である。
【図3】図3は、図1の利得可変増幅器の動作点の設定方法を示す図である。
【図4】図4は、図1のミキサ出力帯域の可変方法を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、図6の適応制御部によるミキサ出力帯域の制御方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図7のフローチャートのMER値と判定ビットのイメージを示す図である。
【図9】図9は、本発明の第4実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明の第5実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の第6実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る受信装置について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。なお、この受信装置は、例えば、移動体通信用のデジタルテレビチューナに用いることができる。
図1において、この受信装置には、利得可変増幅器1、ミキサ2、検波器3、自動利得制御部4、バンドパスフィルタ5および動作点適正化部6が設けられている。ここで、動作点適正化部6は、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2からの出力信号を制御することにより、利得可変増幅器1の動作点を適正化させることができる。
【0014】
そして、無線周波数帯の受信信号RFinは利得可変増幅器1にて増幅された後、ミキサ2にて中間周波数帯またはベースバンド周波数帯に周波数変換される。そして、バンドパスフィルタ5にて不要な成分が減衰されることで、出力信号IFOUTが出力される。
【0015】
ここで、動作点適正化部6では、出力信号IFOUTに基づいて受信信号RFinの受信状態が判定される。そして、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2からの出力信号が制御されることにより、利得可変増幅器1の動作点が適正化される。
【0016】
なお、受信信号RFinの受信状態を判定する方法としては、例えば、MER(Modulation Error Ratio)を用いることができる。
【0017】
また、利得可変増幅器1の動作点を適正化させる方法としては、例えば、受信信号RFinに含まれる妨害波成分の帯域を制御するようにしてもよいし、ミキサ2からの出力信号のレベルを制御するようにしてもよい。
【0018】
また、ミキサ2にて周波数変換された受信信号RFinは検波器3にて検波され、その検波レベルが自動利得制御部4に出力される。そして、自動利得制御部4において、その検波レベルに基づいて利得可変増幅器1の利得が制御されることにより、ミキサ2からの出力レベルが一定になるように制御される。
【0019】
ここで、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2からの出力信号を制御することにより、受信信号RFinに含まれる妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器1の動作点を適正化することができ、受信装置のNF(雑音指数)と妨害波によって生じた歪との総和で決まる不要成分を減少させることができる。
【0020】
図2は、ある信号レベルを持つ妨害波の離調周波数が異なる場合の所望波に対する妨害波の影響を示す図である。
図2において、妨害波WUの2次歪WU2は所望波WDの近傍の帯域で発生し、妨害波WUの3次歪WU3は妨害波WUの近傍の帯域で発生する。このため、図2(a)に示すように、妨害波WUが所望波WDに対して数10MHz程度離調している場合は、3次歪WU3による近傍妨害の影響が強くなり、図2(b)に示すように、妨害波WUが所望波WDに対して数10MHz〜300MHz程度離調している場合は、2次歪WU2による遠方妨害の影響が強くなる。
【0021】
一方、受信装置の感度はSN比(ただし、Sは信号成分、Nは不要成分の総和)で決まり、妨害波WUがある場合の不要成分の総和Nは、受信装置自体のノイズ(NF)、妨害波WUの2次歪WU2、妨害波WUの3次歪WU3の和で決まる。このため、所望波WDに対する妨害波WUの信号レベル及び離調周波数によって不要成分の総和Nが変動し、利得可変増幅器1の最適な動作点も変動するため、利得可変増幅器1の動作点を最適化するには、所望波WDに対する妨害波WUの信号レベル及び離調周波数に応じて利得可変増幅器1の動作点を変化させる必要がある。
【0022】
図3は、図1の利得可変増幅器の動作点の設定方法を示す図である。
図3において、利得可変増幅器1の利得が上がると、受信装置自体のノイズ(NF)は減少し、妨害波WUの2次歪WU2および3次歪WU3は増大する。このため、利得可変増幅器1の利得は上がり過ぎても下がり過ぎても不要成分の総和Nは増大し、不要成分の総和Nが最小となる最適な動作点が存在する。
【0023】
ここで、ミキサ2の出力帯域FBが、信号レベル及び離調周波数にかかわりなく全ての妨害波WUを検出できるように十分広い帯域に固定されているものとすると、図2(a)の近傍妨害の影響が強い場合においては、受信装置の感度を確保するためには、3次歪WU3の影響が小さくなるように利得可変増幅器1の動作点を設定する必要があることから、利得可変増幅器1の動作点は図3のP1に設定される。
【0024】
利得可変増幅器1の動作点がP1に設定された場合、図2(b)の遠方妨害の影響が強い場合においては、受信装置自体のノイズ(NF)増加の影響が却って大きくなり、利得可変増幅器1の動作点がP2に設定された場合に比べて不要成分の総和Nが大きくなる。
【0025】
これに対して、ミキサ2の出力帯域FBを変化させ、図2(b)の遠方妨害の影響が強い場合においては、妨害波WUにかかるようにミキサ2の出力帯域FBを制限することにより、ミキサ2の出力信号に含まれる妨害波成分を減少させることができる。そして、ミキサ2の出力信号に含まれる妨害波成分が減少すると、検波器3による検波レベルが下がることから、利得可変増幅器1の利得が上がるように自動利得制御部4にて制御される。
【0026】
そして、利得可変増幅器1の利得が上がるように制御されると、利得可変増幅器1の動作点はP1からP2に移動し、不要成分の総和Nが最小化されるように利得可変増幅器1の動作点が最適化される。
【0027】
図4は、図1のミキサ出力帯域の可変方法を示す図である。
図4において、受信信号RFinの受信状態に基づいてミキサ2の出力帯域FBが変化されることで、利得可変増幅器1の動作点が最適化される。
【0028】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図5において、この受信装置には、受信アンテナ11、ローノイズアンプ12、フィルタ13、18、利得可変増幅器14、19、電圧/電流変換器15a、15c、ミキサ16a、16c、オペアンプ17a、17c、検波器20および自動利得制御部21が設けられている。
【0029】
ここで、自動利得制御部21の出力側はコンデンサC2を介して接地されている。また、オペアンプ17aの入出力端子間には抵抗R1とコンデンサC1との並列回路が接続されることで、ローパスフィルタが構成されている。また、オペアンプ17cの入出力端子間には抵抗R2が接続されており、オペアンプ17cの遮断周波数によるローパスフィルタが構成されている。
【0030】
なお、ローノイズアンプ12、利得可変増幅器14、19、電圧/電流変換器15a、15c、ミキサ16a、16c、オペアンプ17a、17c、フィルタ18、検波器20および自動利得制御部21は、半導体チップPに集積化することができる。コンデンサC2、及びフィルタ13は一般にサイズが大きくコストと汎用性の為、外付けが多いがこれらも半導体Pに集積しても構わない。
【0031】
そして、所望波は妨害波とともに受信アンテナ11にて受信され、ローノイズアンプ12にて増幅された後、フィルタ13を介して利得可変増幅器14に送られる。そして、受信信号RFinは利得可変増幅器14にて増幅された後、電圧/電流変換器15a、15cにて電流に変換され、ミキサ16a、16cにて別個に周波数変換される。
【0032】
ミキサ16aにて周波数変換された受信信号RFinは、オペアンプ17aを通過することで高域成分が減衰された後、フィルタ18にて所望の成分が選択され、利得可変増幅器19にて増幅されることで、出力信号IFOUTが出力される。
【0033】
一方、ミキサ16cにて周波数変換された受信信号RFinは、オペアンプ17cを通過することでオペアンプ17cの持つ遮断周波数により高域成分が減衰された後、検波器20にて検波され、その検波レベルが自動利得制御部21に出力される。そして、自動利得制御部21において、その検波レベルに基づいて利得可変増幅器14の利得が制御されることにより、ミキサ16a、16cからの出力レベルが一定になるように制御される。
【0034】
ここで、オペアンプ17aには、そのバイアス電流を制御する制御信号SC1が入力される。そして、受信信号RFinの受信状態に基づいてオペアンプ17aのバイアス電流が制御されることで、歪特性などが最適化される。妨害波がない場合のような、良好な歪特性が要求されない場合においては、バイアス電流を絞り消費電流が削減される。
【0035】
また、オペアンプ17cには、そのバイアス電流を制御する制御信号SC2が入力される。そして、受信信号RFinの受信状態に基づいてオペアンプ17cのバイアス電流が制御されることで、オペアンプ17cにて構成されるローパスフィルタの帯域が制御され、利得可変増幅器14の動作点が最適化される。なお、図4に示すように、オペアンプ17cのバイアス電流が増大すると遮断周波数が高くなる為、オペアンプ17cにて構成されるローパスフィルタの帯域は広くなり、逆にオペアンプ17cのバイアス電流が減少すると遮断周波数が低くなる為、オペアンプ17cにて構成されるローパスフィルタの帯域は狭くなる。
【0036】
これにより、受信信号RFinに含まれる妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器1の動作点を適正化することができ、低消費電力化を図りつつ、受信装置のNF(雑音指数)と妨害波によって生じた歪との総和で決まる不要成分を減少させることができる。
【0037】
また、出力信号IFOUT側のミキサ16aと検波器20側のミキサ16cのように出力信号経路と検波制御用の経路を別個に設けることにより、検波器20に入力される信号を制御した場合に生じる負荷変動が、出力信号IFOUTに影響が及ぶのを防止することができる。
【0038】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図6において、この受信装置には、利得可変増幅器31、38、ミキサ32a〜32c、検波器33、ローパスフィルタ34a、34b、帯域可変ローパスフィルタ34c、発振器35、移相器36、イメージリジェクションフィルタ37、OFDM(Orthogonal Frequency−Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)復調部39および自動利得制御部44が設けられている。ここで、自動利得制御部44の出力側はコンデンサC3を介して接地されている。
【0039】
また、OFDM復調部39には、A/Dコンバータ40、自動利得制御部41、適応制御部42およびデジタル復調部43が設けられている。なお、適応制御部42は、受信信号RFinの受信状態に基づいて、ローパスフィルタ34a、34bの特性を制御する制御信号SC1を生成したり、帯域可変ローパスフィルタ34cの帯域を制御する制御信号SC2を生成したりすることができる。この適応制御部42は、受信信号RFinの受信状態を判定する指標としてMERやSNを用いることができる。
【0040】
なお、利得可変増幅器31、38、ミキサ32a〜32c、検波器33、ローパスフィルタ34a、34b、帯域可変ローパスフィルタ34c、発振器35、移相器36、イメージリジェクションフィルタ37および自動利得制御部44は、半導体チップP2に集積化することができる。コンデンサC2は一般的にサイズが大きいため、外付けされることが一般的だがこれも半導体チップP2に集積しても構わない。なお、OFDM復調部39は、半導体チップP2に集積化してもよいし、外付けであってもよい。
【0041】
そして、受信信号RFinは利得可変増幅器31にて増幅された後、ミキサ32a〜33cに出力される。また、発振器35にて生成された局部発振信号LOは移相器36にて90°だけ位相がシフトされ、位相シフト前後の局部発振信号LOがミキサ32a、32bにそれぞれ出力される。
【0042】
そして、ミキサ32a、32bにおいて、利得可変増幅器31にて増幅された受信信号RFinが位相シフト前後の局部発振信号LOと混合されることで、周波数変換された同相成分Iと直交成分Qが生成され、ローパスフィルタ34a、34bにそれぞれ出力される。
【0043】
そして、ローパスフィルタ34a、34bにおいて高域成分が減衰された後、イメージリジェクションフィルタ37にて所望の成分が選択され、利得可変増幅器38にて増幅されることで、出力信号IFOUTがOFDM復調部39に出力される。
【0044】
そして、OFDM復調部39において、出力信号IFOUTはA/Dコンバータ40にてデジタル化された後、デジタル復調部43にて復調処理が行われる。また、自動利得制御部41において、デジタル化された出力信号IFOUTに基づいて利得可変増幅器38の利得が制御される。また、適応制御部42において、デジタル化された出力信号IFOUTに基づいて制御信号SC1、SC2が生成され、制御信号SC1はローパスフィルタ34a、34bに出力され、制御信号SC2は帯域可変ローパスフィルタ34cに出力される。
【0045】
また、ミキサ32cにおいて、利得可変増幅器31にて増幅された受信信号RFinは周波数変換され、帯域可変ローパスフィルタ34cに出力される。そして、帯域可変ローパスフィルタ34cにおいて高域成分が減衰された後、検波器33にて検波され、その検波レベルが自動利得制御部44に出力される。そして、自動利得制御部44において、その検波レベルに基づいて利得可変増幅器31の利得が制御されることにより、ミキサ32a、32bからの出力レベルが一定になるように制御される。
【0046】
図7は、図6の適応制御部によるミキサ出力帯域の制御方法を示すフローチャートの一例である。
図7において、ミキサ出力帯域の初期値を狭い方から始めて、MERを測定し(ステップS1)、MERが通常の場合は(ステップS2)、ステップS1に戻ってMERの測定を繰り返す。一方、MERが良の場合は、制御信号SC2にて帯域可変ローパスフィルタ34cの帯域を狭くすることにより、ミキサ32cの出力帯域を狭くする(ステップS3)。一方、MERが悪の場合は、制御信号SC2にて帯域可変ローパスフィルタ34cの帯域を広くすることにより、ミキサ32cの出力帯域を広くする(ステップS4)。
【0047】
図8は、図7のフローチャートのMER値と判定ビットのイメージを示す図である。
図8において、MERとSN比とは相関があるため、MERを測定することで受信信号RFinの受信状態の良悪を判定することができる。
【0048】
これにより、受信信号RFinに含まれる妨害波の信号レベル及び離調周波数が変化する場合においても、利得可変増幅器31の動作点を適正化することができ、低消費電力化を図りつつ、受信装置のNF(雑音指数)と妨害波によって生じた歪との総和で決まる不要成分を減少させることができる。
【0049】
また、出力信号IFOUT側と検波器33側とでミキサ32a〜32cを別個に設けることにより、検波器33に入力される信号を帯域可変ローパスフィルタ34cにより制御した場合においても、同相成分Iと直交成分Qとのバランスが崩れるのを防止することができる。
【0050】
なお、上述した第3実施形態では、受信信号RFinの受信状態を判定するために、MERを測定する方法について説明したが、受信信号RFinの受信状態を判定する指標としては、MER以外の値を用いるようにしてもよい。
【0051】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図9において、この受信装置には、図6のOFDM復調部39の代わりにOFDM復調部39´が設けられ、A/Dコンバータ45が追加されている。ここで、OFDM復調部39´には、図6の適応制御部42の代わりに適応制御部42´が設けられている。この適応制御部42´は、検波器33による検波レベルに基づいて、ローパスフィルタ34a、34bの特性を制御する制御信号SC1を生成したり、帯域可変ローパスフィルタ34cの帯域を制御する制御信号SC2を生成したりすることができる。コンデンサC3は一般的にサイズが大きいため、外付けされることが一般的だがこれも半導体チップP2に集積しても構わない。尚、OFDM復調部39´は、半導体チップP2に集積化してもよいし、外付けであってもよい。
【0052】
そして、検波器33による検波レベルはA/Dコンバータ45にてデジタル化され、適応制御部42´に入力される。そして、適応制御部42´において、デジタル化された検波レベルに基づいて制御信号SC1、SC2が生成され、制御信号SC1はローパスフィルタ34a、34bに出力され、制御信号SC2は帯域可変ローパスフィルタ34cに出力される。
【0053】
(第5実施形態)
図10は、本発明の第5実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図10において、この受信装置には、図5のミキサ16cの一例として電界効果トランジスタ51が設けられている。また、抵抗R2には可変容量C4が並列に接続されている。ここで、可変容量C4には、その容量値を制御する制御信号SC5が入力される。そして、電界効果トランジスタ51のゲートには局部発振信号LOが入力され、電圧/電流変換器15cにて電流に変換された受信信号RFinが局部発振信号LOと混合されることで、周波数変換される。
【0054】
そして、受信信号RFinの受信状態に基づいて可変容量C4の容量値が制御されることで、オペアンプ17cにて構成されるローパスフィルタの帯域が制御され、図5の利得可変増幅器14の動作点が最適化される。
【0055】
(第6実施形態)
図11は、本発明の第6実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図11において、この受信装置には、図6の構成に検波レベル調整アンプ61が追加され、検波レベル調整アンプ61は検波器33の入力側に接続されている。
【0056】
なお、検波レベル調整アンプ61は、オペアンプ62、オペアンプ62の入力側に接続された可変抵抗R5およびオペアンプ62の入出力間に接続された可変抵抗R6にて構成することができる。
【0057】
ここで、検波レベル調整アンプ61には、検波器33の入力レベルを制御する制御信号SC3が入力される。そして、受信信号RFinの受信状態に基づいて検波器33の入力レベルが制御されることで、検波器33の検波レベルが制御され、利得可変増幅器31の動作点が最適化される。
【符号の説明】
【0058】
1、14、19、31、38 利得可変増幅器、2、16a、16c、32a〜32c ミキサ、3、20、33 検波器、4、21、41、44 自動利得制御部、5 バンドパスフィルタ、6 動作点適正化部、P、P2 半導体チップ、11 受信アンテナ、12 ローノイズアンプ、13、18 フィルタ、15a、15c 電圧/電流変換器、17a、17c、62 オペアンプ、R1、R2 抵抗、R5、R6 可変抵抗、C1〜C3 コンデンサ、34a、34b ローパスフィルタ、34c 帯域可変ローパスフィルタ、35 発振器、36 移相器、37 イメージリジェクションフィルタ、39、39´ OFDM復調部、40、45 A/Dコンバータ、42、42´ 適応制御部、43 デジタル復調部、51 電界効果トランジスタ、C4 可変容量、61 検波レベル調整アンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号を増幅する利得可変増幅器と、
前記利得可変増幅器にて増幅された受信信号の周波数変換を行うミキサと、
前記周波数変換された受信信号を検波する検波器と、
前記検波器による検波レベルに基づいて前記利得可変増幅器の利得を制御する自動利得制御部と、
前記受信信号の受信状態に基づいて前記ミキサからの出力信号を制御することにより、前記利得可変増幅器の動作点を適正化させる動作点適正化部とを備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記動作点適正化部は、前記受信信号に含まれる妨害波成分の帯域を制御することにより、前記利得可変増幅器の動作点を適正化させることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記ミキサからの電流出力を電圧出力に変換するオペアンプを備え、
前記オペアンプのバイアス電流を制御することにより、前記受信信号に含まれる妨害波成分の帯域を制御することを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記動作点適正化部は、前記ミキサからの出力信号のレベルを制御することにより、前記利得可変増幅器の動作点を適正化させることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記ミキサは、検波用と復調用とで別個に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項1】
受信信号を増幅する利得可変増幅器と、
前記利得可変増幅器にて増幅された受信信号の周波数変換を行うミキサと、
前記周波数変換された受信信号を検波する検波器と、
前記検波器による検波レベルに基づいて前記利得可変増幅器の利得を制御する自動利得制御部と、
前記受信信号の受信状態に基づいて前記ミキサからの出力信号を制御することにより、前記利得可変増幅器の動作点を適正化させる動作点適正化部とを備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記動作点適正化部は、前記受信信号に含まれる妨害波成分の帯域を制御することにより、前記利得可変増幅器の動作点を適正化させることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記ミキサからの電流出力を電圧出力に変換するオペアンプを備え、
前記オペアンプのバイアス電流を制御することにより、前記受信信号に含まれる妨害波成分の帯域を制御することを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記動作点適正化部は、前記ミキサからの出力信号のレベルを制御することにより、前記利得可変増幅器の動作点を適正化させることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記ミキサは、検波用と復調用とで別個に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−244261(P2011−244261A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115292(P2010−115292)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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