受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラム
【課題】アバランシェ・フォトダイオードの増倍率変動に対応し、受光パワーを精度よく測定する光受信器を提供。
【解決手段】アバランシェ・フォトダイオード14で検出した光バースト信号に応じた電流がカレントミラー回路15から電流電圧変換回路20に入力されて電圧変換され、この電圧が、一方はアナログ/ディジタル変換回路22に印加されて受光パワー値Ppが取得され、他方はローパスフィルタ30に印加されて、その低域周波数成分がアナログ/ディジタル変換回路32に印加されて平均受光パワー値Praveが取得される。これら受光パワー値Ppと平均受光パワー値Praveとは制御演算回路24に入力され、制御演算回路24は、補正係数設定部38が設定した最新の平均受光パワー値に対応する補正係数k(Prave)を用いて受光パワー値Ppの値を補正する。
【解決手段】アバランシェ・フォトダイオード14で検出した光バースト信号に応じた電流がカレントミラー回路15から電流電圧変換回路20に入力されて電圧変換され、この電圧が、一方はアナログ/ディジタル変換回路22に印加されて受光パワー値Ppが取得され、他方はローパスフィルタ30に印加されて、その低域周波数成分がアナログ/ディジタル変換回路32に印加されて平均受光パワー値Praveが取得される。これら受光パワー値Ppと平均受光パワー値Praveとは制御演算回路24に入力され、制御演算回路24は、補正係数設定部38が設定した最新の平均受光パワー値に対応する補正係数k(Prave)を用いて受光パワー値Ppの値を補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バースト伝送される光バースト信号を受信する受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラムに係り、とくに光バースト信号の受光パワーを測定する受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信システムには、たとえば図10に示すように、利用者側の加入者宅100内に設置された通信端末装置102が接続される光加入者装置(ONU:Optical Line Unit)104から、インターネットサービスプロバイダなどの通信事業者側の局舎装置に備えられる光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination)106に光ファイバを介してアクセスするアクセス系光通信システムがある。このアクセス系光通信システムは、たとえば、光回線終端装置に接続した伝送路である1本の光ファイバFを光スプリッタ108で複数の光ファイバGに分岐し、分岐して接続された各光ファイバGにそれぞれ光加入者装置を接続するPON(Passive Optical Network)方式を採用するものがある。
【0003】
上述のPON方式が採用された光回線終端装置106には、上位の通信網としてIP(Internet Protocol)ネットワーク112及び他の通信網114が接続されて、加入者宅の通信端末装置102は、加入者装置104、光スプリッタ108及び光回線終端装置106を介してIPネットワーク112などへアクセスすることができる。この光回線終端装置106には、情報を送受信するための光トランシーバ機能を有する光モジュール120が備えられて、この光モジュール120は、加入者装置104から光ファイバを介して送信された光バースト信号を受信して電気信号の主信号に変換する光受信器122と、加入者装置104へ送信する主信号を光バースト信号に変換して光ファイバに送出する光送信器124とを有している。これら光バースト信号を使用する伝送方式は、送信する光信号をバーストセルの単位で間欠的に送信することにより、光ファイバ伝送路の散乱光の影響や光スプリッタなどの接続点における反射の影響を受けないようにする伝送方式である。
【0004】
このような光モジュール120には、光バースト信号を検出する光電変換素子として、たとえば、アバランシェ・フォトダイオード(APD:Avalanche Photo-Diode)が備えられている。アバランシェ・フォトダイオードは、高い逆バイアス電圧を印加して発生するなだれ増倍を利用するので、受光された光バースト信号を高感度で光電変換し、光バースト信号を良好に検出して電流信号に変換することができる。
【0005】
ところで、上述のようなPON方式では、複数の加入者装置104が受動的構成である光スプリッタ108を介して光回線終端装置106に接続されているので、加入者装置104の接続数、及び各加入者装置104と光回線終端装置106との間の接続距離に応じて、光回線終端装置106側で受光する光バースト信号の受光強度(受光パワー)が大きく変動する。この受光パワーを監視して測定する光パワーモニタ回路126が光回線終端装置106に備えられて、この光パワーモニタ回路126にて測定する際に、その監視結果のパワーモニタ値が上述の理由から大きく変動するという問題が発生する。このパワーモニタ値は、たとえば、光伝送路の損失を測定するために用いられ、また、加入者装置104の送信状態を確認することに用いられることがある。
【0006】
このような光バースト信号の強度を検出する回路が、たとえば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載のバースト光受信器では、アバランシェフォトダイオード(APD)で光電変換した電流信号がプリアンプに入力されて、プリアンプは入力された電流信号を電圧信号に変換し、この電圧信号から光バースト信号の強度をレベル検出回路で判定し、この強度に応じてプリアンプ利得及びAPD増倍率を段階的に切り替えるものである。
【0007】
また、上述のようなアバランシェフォトダイオード(APD)を使用し、バースト光を受信するバースト光受信器として、たとえば、特許文献2に記載のバースト光受信器がある。このバースト光受信器は、アバランシェフォトダイオードと、電流信号を電圧信号に変換し増幅しバースト信号を出力するトランス・インピーダンス・アンプと、バースト信号の平均電圧を出力するランプ電圧出力ローパスフィルタと、ランプ電圧出力ローパスフィルタの出力(レファレンス電圧)及びバースト信号の差の電圧を増幅する識別器とを備えて構成されている。
【0008】
ここで、このような光バースト信号の受光パワーを測定する受光パワーモニタ回路の関連技術を図11に示す。図示するように、受信機能を有する受光パワーモニタ回路1は、光バースト信号を受光するフォトダイオード2を有し、受光した光バースト信号に応じた電流信号がトランス・インピーダンス・アンプ(TIA:Trans Impedance Amplifier)3に入力される。
【0009】
トランス・インピーダンス・アンプ3の入出力端子には帰還抵抗R1が並列に接続され、フォトダイオード2からの電流信号を帰還抵抗R1の値に応じた利得で増幅して電圧信号に変換する。この電圧信号は、リミッティング・アンプ(LIM:Limiting Amplifier)3の入力に印加され、予め設定されたリミット電圧に制限して増幅されて、主信号として出力Sに出力される。この例では受光パワーモニタ回路1は、図10に示した光受信器124の機能を含んでいる。
【0010】
また、図11において、フォトダイオード2に流れる電流に応じた電流がカレントミラー回路5から電流電圧変換回路6に入力される。この電流電圧変換回路6は、入力電流を電圧に変換して出力し、変換した電圧をその出力に接続されたアナログ/ディジタル変換回路7の入力に印加する。
【0011】
このアナログ/ディジタル変換回路7は、その入力に表れるアナログ電圧の信号をディジタル値の信号に変換する変換回路であり、制御回路8の入力Iに外部から入力される制御信号をトリガとして、測定対象となる光バースト信号を特定してディジタル値に変換し、変換されたディジタル信号を出力する。アナログ/ディジタル変換回路7の出力は制御回路8に接続されている。
【0012】
制御回路8は、データを一時記憶する内部メモリ9を備えており、入力Iに外部から与えられる制御信号の入力タイミングをトリガとしてアナログ/ディジタル変換回路7で変換されたディジタル電圧値を示すデータを内部メモリ9の指定の領域に取り込む。内部メモリ9に取り込まれたデータはメモリアクセス入出力端子Mから出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−218852号公報
【特許文献2】特開2010−226627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、たとえば、図11に示したフォトダイオード2にアバランシェ・フォトダイオード(APD)を適用した場合、後述するように光バースト信号の受光パワーに応じてアバランシェ・フォトダイオードの増倍率(M値)が変動し、この変動を受けるため受光パワーモニタ機能の精度が悪化するという問題があった。
【0015】
具体的な例として、一般的なアバランシェ・フォトダイオードについて説明すると、受光パワーが小さい条件でたとえば値10程度の増倍率(M=10)にアバランシェ・フォトダイオードのバイアス電圧を設定する。しかし、同じバイアス電圧の条件で受光パワーが変動して受光パワーが大きくなると増倍率が低くなる。この場合、たとえば大入力の受光パワー条件に変化すると、値5以下の増倍率(M=5以下)となることがある。このように、同じバイアス電圧の設定条件であるにもかかわらず増倍率(M値)が約半分以下の値になってしまうために受光感度が低下することになって、受光パワーモニタ値も半分以下となり、受光パワーモニタ値に3[dB]以上の誤差を生じ、これがモニタ精度が悪化する原因となっていた。
【0016】
〔発明の目的〕
本発明は、このような関連技術の有する課題を解決するために成されたもので、光電変換素子の増倍率(M値)の変動に対応し、精度のよい受光パワーモニタ値が得られる受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る受光パワーモニタ回路は、バースト伝送された光バースト信号を受光し増倍して電流信号に変換する光電変換素子と、当該光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて光バースト信号の受光パワー値を検出する受光パワー検出部と、光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて受光パワー値の平均を表す平均受光パワー値を検出する平均受光パワー検出部と、受光パワー検出部にて検出された受光パワー値の誤差を補正する補正制御部とを備え、補正制御部は、光電変換素子の増倍率と光バースト信号の平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から、平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択された補正係数に基づいて受光パワー値を補正することを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る受光パワーモニタ回路用モニタ方法は、加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、光バースト信号の受光パワー値を受光パワー検出部が検出し(受光パワー検出工程)、電流信号から、光バースト信号の平均受光パワー値を平均受光パワー検出部が検出し(平均受光パワー検出工程)、光電変換素子の増倍率と平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から平均受光パワーに対応する補正係数を、制御部が選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて受光パワー検出部が検出した受光パワー値を補正する(補正処理工程)ことを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る受光パワーモニタ回路用モニタプログラムは、加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、光バースト信号の受光パワー値を検出する機能、光電変換素子にて光電変換された電流信号から、光バースト信号の平均受光パワー値を検出する機能、及び光電変換素子の増倍率と平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて受光パワー値を補正する機能を設け、これらの各機能をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上のように構成したので、光バースト信号を受光し増倍して電流信号に変換する光電変換素子の増倍率(M値)の変動に対応し、精度のよい受光パワーモニタ値を得ることができるという優れた受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態における光受信器の構成例を示すブロック図である。
【図2】平均受光パワー値に応じて変動する増倍率(M値)の特性を示すグラフである。
【図3】光バースト信号の受光パワー値に応じて変化する平均受光パワー値と、アバランシェ・フォトダイオードの出力電流とを示すタイミングチャートである。
【図4】平均受光パワー値の大小に対応して変化する補正係数kを示すグラフである。
【図5】第1の実施形態における制御演算回路内に備えられた一時記憶部の記憶領域の一例を示す図である。
【図6】第1の実施形態における光受信器内の光パワーモニタ回路の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態における光受信器の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における光受信器の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態における光受信器の構成例を示すブロック図である。
【図10】関連技術における光通信システムの全体構成例を示す図である。
【図11】関連技術における受光パワーモニタ回路の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る光受信器の第1の実施形態を、図1乃至図5を参照して説明する。
【0023】
〔第1の実施形態〕
図1に示すように、本第1の実施形態における光受信器10は、PON(Passive Optical Network)方式の光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination)内に備えられ、複数の加入者装置(ONU:Optical Line Unit)11から光ファイバFを通して光回線終端装置に間欠的に伝送された光バースト信号(バーストセル)を受信する装置である。図示するように光受信器10は、光バースト信号を受信する光受信回路12と、光バースト信号の受光パワーを測定する受光パワーモニタ回路13とを備えている。また、同図では複数の加入者装置11を1つの加入者装置11で代表して示している。
【0024】
光受信回路12に備えられているアバランシェ・フォトダイオード(APD:Avalanche Photo-Diode)14は、複数の加入者装置11から送出される光バースト信号を検出し、検出した光バースト信号の強度に応じた電流信号を生成する光検出器である。このアバランシェ・フォトダイオード14は、逆バイアス電圧に応じた増倍率(M値)にて光電流を増倍する光増倍型光電変換素子である。アバランシェ・フォトダイオード14のカソード側にはカレントミラー回路15の一方の出力が接続され、アバランシェ・フォトダイオード14のカソードには予め設定された逆バイアス電圧が印加される。
【0025】
このアバランシェ・フォトダイオード14は、受光する光バースト信号の強度、すなわち受光パワーの値が大きくなればなるほど増倍率が小さくなる特性を持っている。これはその内部抵抗の影響を受けるためである。このような特性例を図2に示す。同図には、バースト伝送された光バースト信号の受光パワー値を平均化した平均受光パワー値の変化に応じて、アバランシェ・フォトダイオード14の増倍率(M値)がどのように変化するかを表す特性曲線200が示されている。この図では、横軸に光バースト信号の平均受光パワー値をとり、縦軸に増倍率(M値)をとっている。図示するようにアバランシェ・フォトダイオード14は、平均受光パワー値が小さいときに、たとえば値10の増倍率(M値)であり、平均受光パワー値が大きくなるほど、増倍率(M値)が低下し、たとえば値5の増倍率まで低下するという特性を有している。
【0026】
また、図1において、アバランシェ・フォトダイオード14のアノードにはトランス・インピーダンス・アンプ(TIA:Trans Impedance Amplifier)16が接続されている。トランス・インピーダンス・アンプ16の入出力端子には帰還抵抗Rが並列接続され、トランス・インピーダンス・アンプ16は、アバランシェ・フォトダイオード14から入力される電流信号を帰還抵抗Rの抵抗値に応じた利得で増幅して電圧信号に変換する前置増幅回路である。
【0027】
トランス・インピーダンス・アンプ16の出力には、リミッティング・アンプ(LIM:Limiting Amplifier)18が接続され、リミッティング・アンプ18は、トランス・インピーダンス・アンプ16の出力信号を予め設定されたリミット電圧に制限して増幅し、主信号として出力Sに出力する振幅制限増幅回路である。この主信号は、光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination)内の他の処理回路にて必要な処理がなされる。受光パワーモニタ回路10は、これらアバランシェ・フォトダイオード14と、トランス・インピーダンス・アンプ16と、リミッティング・アンプ18とを含み、光バースト信号を受信して電気信号に復調する光受信器12の基本的機能を備えている。
【0028】
他方の受光パワーモニタ回路13は、光受信器12のアバランシェ・フォトダイオード14にて検出される光バースト信号に応じた電流信号を利用して、その信号強度を表す受光パワーを測定するように構成されている。詳細には、アバランシェ・フォトダイオード14のカソードには、カレントミラー回路15の一方の出力が接続され、このカレントミラー回路15は、アバランシェ・フォトダイオード14に流れる電流信号に応じた電流を他方の出力に出力する回路であり、その出力は電流電圧変換回路20に接続されている。本実施形態におけるカレントミラー回路15は、アバランシェ・フォトダイオード14のカソードに逆バイアス電圧を印加する機能も有している。
【0029】
電流電圧変換回路20は、カレントミラー回路15から入力される電流信号を電圧信号に変換する回路である。電流電圧変換回路20は、変換した電圧信号をその出力に接続されたアナログ/ディジタル変換回路22の入力に印加する。
【0030】
アナログ/ディジタル変換回路22(受光パワー検出部)は、その入力に表れる電圧信号を、接続線Tを介して接続された演算制御回路24から与えられるトリガ信号の入力タイミングにてホールドし、そのホールド値をディジタル値に変換し、これを受光パワー値として検出し演算制御回路24に出力する変換回路である。この受光パワーの電圧値は、上述したように、光バースト信号の平均受光パワーの変化に応じて変動する増倍率の影響を受けている。
【0031】
この様子を図3に示すと、同図には、光バースト信号の平均受光パワー値が低い場合と高い場合とのそれぞれにおける平均受光パワーと、アバランシェ・フォトダイオード(APD)14の出力電流とを表すタイミングチャートが示されている。図示するように平均受光パワーが低い場合では、測定対象外の光バースト信号300に続いて測定対象の光バースト信号302がアバランシェ・フォトダイオード14(図1参照)に受光すると、アバランシェ・フォトダイオード14は、設定されたバイアス電圧に応じた増倍率にて光バースト信号を増倍し、それぞれ出力電流304及び306として出力する。このときの平均受光パワー値を破線308で示している。この場合は、希望する増倍率にて生成された電流が生成される。
【0032】
これに対し、光バースト信号の受光パワーが大きい測定対象外の光バースト信号310に続いて測定対象の光バースト信号312がアバランシェ・フォトダイオード14(図1参照)に受光すると、平均受光パワーが高くなり、増倍率が低下するので、アバランシェ・フォトダイオード14は、設定されたバイアス電圧に応じた増倍率よりも小さい増倍率にて光バースト信号を増倍し、それぞれ出力電流314及び316として出力する。この場合は、上記と比べて平均受光パワー値318が上昇して高くなっているので、図2に示したように増倍率が低下し、希望する増倍率よりも低い増倍率にて生成された出力電流316がアバランシェ・フォトダイオード14から出力される。
【0033】
また、図1において、そこで制御演算回路24は、光バースト信号の平均受光パワーが大きくなると増倍率(M値)が低下するアバランシェ・フォトダイオード14の出力特性に対処するために、アナログ/ディジタル変換回路22にてディジタル値に変換された受光パワー値の誤差を、光バースト信号の平均受光パワーをモニタして得られる平均受光パワーモニタ値に基づいて補正する機能を有している。
【0034】
この平均受光パワーモニタ値は、電流電圧変換回路20の出力に分岐して接続したローパスフィルタ30と、ローパスフィルタ30の出力に接続されたアナログ/ディジタル変換回路32(平均受光パワー検出部)とを経て生成される。
【0035】
ローパスフィルタ30は、電流電圧変換回路20の出力から印加される電圧信号(光バースト信号)の高周波数成分を遮断し、低域周波数成分を通過させる低域通過型フィルタであり、光バースト信号の振幅を平均化した平均受光パワー値Praveとして出力する。
【0036】
アナログ/ディジタル変換回路32は、ローパスフィルタ30から出力される平均受光パワー値Praveを継続して検出し順次ディジタル信号に変換する変換回路であり、変換されたディジタル値の平均受光パワー値Praveを制御演算回路24(補正制御部)に出力する。
【0037】
制御演算回路24は、アナログ/ディジタル変換回路22の入力信号をホールドするタイミングを制御するためのトリガ信号を光回線終端装置内の他の回路から与えられる制御信号に応じて生成する制御機能と、このトリガ信号のタイミングで取得されてアナログ/ディジタル変換回路22から出力される受光パワー値Ppを取り込んで一時記憶する機能とを有している。また、制御演算回路24は、アナログ/ディジタル変換回路32から順次出力される平均受光パワー値Praveを取り込んで更新的に記憶する機能と、平均受光パワーの変化に応じて変動する受光パワー値Ppが予め設定した増倍率に対応する値となるように演算する演算処理機能とを有し、本光受信器10の各部の動作を制御する主制御部である。
【0038】
詳しくは、制御回路24は、受光パワーモニタ回路13の外部回路25から与えられる制御信号を入力Cに入力し、この制御信号に応動してトリガ信号を生成し、生成したトリガ信号をアナログ/ディジタル変換回路22に出力することで、測定対象となる光バースト信号を特定する特定制御機能を有している。制御回路24は、取得した受光パワー値と、平均受光パワー値と、受光パワー値の誤差を補正するための補正係数とを予め指定された記憶領域に一時記憶するための一時記憶部34を含む。
【0039】
この一時記憶部34の記憶領域の構成例を図5に示す。図示するように一時記憶部34の記憶領域500は、一方のアナログ/ディジタル変換回路22から出力された受光パワー値Ppを記憶する記憶領域502と、他方のアナログ/ディジタル変換回路32から出力された平均受光パワー値Praveを記憶する記憶領域504と、平均受光パワー値Praveの各値に対応する補正係数k(Prave)を記憶する記憶領域506と、補正後の受光パワーモニタ値を一時記憶する記憶領域508とを含んでいる。
【0040】
また、図1において、制御演算回路24は、アナログ/ディジタル変換回路22へのトリガ信号の出力タイミングで特定した受光パワー値Ppをアナログ/ディジタル変換回路22から取り込み、そのデータを一時記憶部34の記憶領域502(図5参照)に一時格納する。制御回路24の動作サイクルよりも受信信号の光バースト信号の周期が短い場合、また、一時記憶部34に格納されたデータが外部取り出しされるまでの時間に長い時間が必要である場合に、このように外部回路25からの制御信号に応動してトリガ信号を生成し、測定対象とする光バースト信号を特定する方式を用いる。
【0041】
また、制御回路24は、アナログ/ディジタル変換回路32から出力される平均受光パワー値Praveを順次入力し、入力した平均受光パワー値Praveを一時記憶部34の領域506(図5参照)に一時格納する。
【0042】
制御回路24は、このようにして一時記憶部34の各記憶領域に格納した受光パワー値Ppの誤差を平均受光パワー値Praveに基づいて補正するための演算処理部36を備えている。
【0043】
詳しくは演算処理部36は、補正係数設定部38から与えられる補正係数k(Prave)と受光パワー値Ppとを乗算して、受光パワー値Ppを補正する。このときの補正係数kは、アナログ/ディジタル変換回路32から順次出力されて一時記憶部34に格納した最新の平均受光パワーPraveに対応する補正係数であり、これを補正係数k(Prave)と表している。このような機能構成を制御回路24が有しているので、平均受光パワーの変動が発生してもその変動に対応して受光パワー値Ppの誤差を補正することができる。
【0044】
この補正係数kは、予め作成されて制御演算回路24に接続されたメモリ回路40に記録されて保持され、保持された補正係数kは補正係数設定部38に読み出される。補正係数設定部38はメモリ回路40に保持されている補正係数kのうち、現在の平均受光パワーPraveに対応する補正係数kを選択して一時記憶部34の指定された記憶領域506に一時格納して設定し、演算処理部36は、この設定された補正係数k(Prave)と受光パワー値Ppとの積を演算により求める。
【0045】
すなわち、演算処理部36は、
(数1)
補正後の受光パワーモニタ値=Pp×k(Prave)
を演算する。
【0046】
演算処理部36の演算結果、つまり補正後の受光パワーモニタ値は一時記憶部34の指定された記憶領域508に一時格納される。本実施形態では補正係数設定部38は現在の平均受光パワーPraveに対応する補正係数kをメモリ回路40から読み出して一時記憶部34の記憶領域506に格納しているが、これに限らず、たとえばメモリ回路40に記録されている各平均受光パワーの補正係数kをすべてをメモリ回路40から読み出して一時記憶部34の他の記憶領域に格納するように構成してもよい。この場合は、補正係数設定部38は一時記憶部34の他の記憶領域に格納した補正係数から現在の平均受光パワーPraveに対応する補正係数kを選択して記憶領域506に一時格納するとよい。
【0047】
この補正係数kの例を図5に示す。同図では横軸に平均受光パワーPraveをとり、縦軸に補正係数kをとっている。図示するように、補正係数kは、平均受光パワーPraveが最も小さい部分では、係数1の値となっていて、平均受光パワーPraveが大になるほど上昇し、たとえば補正係数kが値2まで上昇する特性となっている。補正係数kは図2に示した平均受光パワーPraveに応じて変化する増倍率の逆数に基づいて決定される。このような補正係数kを演算処理部36が受光パワー値Ppに乗算することで、一定の増倍率で増倍した場合に相当する値の受光パワーモニタ値を得ることができる。
【0048】
一時記憶部34の記憶領域508に格納された補正後の受光パワーモニタ値は、メモリアクセス入出力端子Mに光回線終端装置内の他の回路からアクセスを受けると、このアクセスに応じて記憶領域508から読み出され、その受光パワーモニタ値がメモリアクセス端子Mに出力される。こうして光受信器10から出力されたパワーモニタ値は、たとえば、光伝送路の損失を測定するために用いられ、また加入者装置の送信状態を確認することに用いられる。
【0049】
(光受信回路の動作及び受光パワーモニタ回路のモニタ動作)
次に、本第1の実施形態における光受信器10の動作を説明する。まず、複数の加入者装置11から光ファイバFを通してバースト伝送された光バースト信号がアバランシェ・フォトダイオード14にて検出され、検出された光バースト信号に応じた電流信号がアバランシェ・フォトダイオード14からトランス・インピーダンス・アンプ16に入力される。また、この電流信号に応じた電流信号がカレントミラー回路15にて生成され、生成された電流信号が電流電圧変換回路20に入力される(図6:ステップS60/電流検出工程)。
【0050】
一方のトランス・インピーダンス・アンプ16に入力した電流信号は、帰還抵抗Rに応じた利得で増幅され、電圧信号としてリミッティング・アンプ18の入力に印加される。この電圧信号はリミッティング・アンプ18で、その振幅が制限されて増幅され、増幅された電圧信号が主信号として出力Sから出力される。
【0051】
他方の電流電圧変換回路20に入力した電流信号は、電圧信号に変換され、変換された電圧信号がアナログ/ディジタル変換回路22の入力に印加される(図6:ステップS61/電流電圧変換処理工程)。
【0052】
このアナログ/ディジタル変換回路22の入力に印加された電圧信号は、演算制御回路24からトリガ信号が出力されるとホールドされてホールド値が特定される(図6:ステップS62/受光パワー特定制御工程)。その特定されたホールド値はさらにディジタル値に変換される(図6:ステップS63/受光パワー値ディジタル変換処理工程)。このディジタル値は受光パワー値Ppとして演算制御回路24に取り込まれて、一時記憶部34の記憶領域502に格納される(図6:ステップS64/受光パワー値格納処理工程)。
【0053】
また、電流電圧変換回路20にて変換された電圧信号がローパスフィルタ30の入力に印加され、その低周波数成分が平均受光パワー値としてアナログ/ディジタル変換回路32の入力に印加される(図6:ステップS65/平均受光パワー検出処理工程)。
【0054】
アナログ/ディジタル変換回路32の入力に印加される平均受光パワー値は、順次ディジタル信号に変換され、変換された受光パワー平均値Praveは制御演算回路24に入力される(図6:ステップS66/平均受光パワー値ディジタル変換処理工程)。
【0055】
制御回路24に入力した平均受光パワー値Praveは、一時記憶部34の領域504に一時格納される(図6:ステップS67/受光パワー平均値格納処理工程)。
【0056】
受光パワー平均値Praveが領域504に一時記憶されると、さらに、現在の平均受光パワーPraveに対応する補正係数k(Prave)が補正係数設定部38によって選択され記憶領域506に一時格納される(図6:ステップS68/補正係数設定処理工程)。
【0057】
次に、領域502に格納された受光パワー値Ppと、記憶領域506に格納された補正係数kとが演算処理部36にて乗算され、それらの積が算出される(図6:ステップS69/演算処理工程)。
【0058】
その演算結果は、補正後の受光パワーモニタ値として一時記憶部34の領域508に一時格納され(図6:ステップS70/格納処理工程)、保持された受光パワーモニタ値は、メモリアクセス入出力端子Mに外部回路25からアクセスを受けると、このアクセスに応じて記憶領域508から読み出され、メモリアクセス端子Mから出力される(図6:ステップS71/出力制御工程)。このようにして、平均受光パワー値に応じて補正した補正後の受光パワーモニタ値が得られる。
【0059】
これらの動作を継続する場合には上記の処理を繰り返し(図6:ステップS60〜ステップS72/継続判定工程)、平均受光パワー値が変動した場合でも、その変動した平均受光パワー値に対応する補正係数kに基づいて受光パワー値Ppの誤差が補正され、精度のよい補正後の受光パワーモニタ値を得ることができる。継続しない場合には全体の処理動作を停止する。
【0060】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本第1の実施形態の光受信器10内のパワーモニタ回路13によれば、受光パワーPpと平均受光パワー値Praveとがそれぞれ取得されて、それぞれが制御演算回路24に一時格納され、平均受光パワー値Praveに対応する補正係数kが補正係数設定部38によって選択されて設定され、受光パワーPpと補正係数k(Prave)との演算処理が演算処理部36にて実行されることにより、予め設定された増倍率に対応する補正後の受光パワーモニタ値が得られる。したがって、光バースト信号の受光パワーを高精度に測定することができる。
【0061】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態を図7に示す。同図を参照すると図1に示した光受信器10の他の構成例が示されている。
【0062】
図示するように本実施形態における光受信器70は、図1に示した受光パワーモニタ回路13の構成からローパスフィルタ30とアナログ/ディジタル変換回路32とを取り除いた受光パワーモニタ回路71を備えている。この受光パワーモニタ回路71の制御演算回路74は、1つのアナログ/ディジタル変換回路72の出力に基づいて受光パワー値Ppを取得し、ローパスフィルタ30(図1参照)の処理機能をソフトウエア処理に従って演算することにより平均受光パワー値Praveを取得する。
【0063】
その他の点については、図1に示した第1の実施形態と同じ構成であるので同じ参照符号を付すものとし、主に異なる部分について以下に説明する。
【0064】
電流電圧変換回路20の出力に接続されたアナログ/ディジタル変換回路72は、図1に示したアナログ/ディジタル変換回路22と同様に、入力に表れる電圧信号を、演算制御回路74から出力されるトリガ信号に応動してホールドし、そのホールド値をディジタル値に変換し、これを受光パワー値として演算制御回路74に出力する機能を有している。さらにアナログ/ディジタル変換回路72は、演算制御回路74から出力されるトリガ信号に応動して入力電圧値をホールドし受光パワー値を制御回路74に出力している期間以外の期間では、図1に示したアナログ/ディジタル変換回路32と同様に、入力に表れる電圧信号を継続的に順次ディジタル信号に変換し、変換された受光パワー値を制御演算回路74に順次出力する機能を有している。この順次アナログ/ディジタル変換回路72から出力される受光パワー値に基づいて、平均受光パワー値が制御演算処理回路74にて算出される。
【0065】
制御演算回路74は、図1に示した制御演算回路24の機能構成に加えて、アナログ/ディジタル変換回路72から与えられる受光パワー値から平均受光パワー値を算出する演算処理機能を備えている。
【0066】
詳しくは制御演算回路74は、順次入力される受光パワー値の平均値を算出する平均化処理部76を備えている。平均化処理部76は、順次入力される受光パワー値の移動平均を算出する演算処理機能を有し、順次平均化した平均受光パワー値を一時記憶部34の記憶領域504(図5参照)に更新的に格納する。
【0067】
このような制御演算回路74の機能構成によって求められた平均受光パワー値Praveを用いて、対応する補正係数kと受光パワー値Ppとが演算処理部36にて乗算され、その乗算の結果が補正後の受光パワーモニタ値として一時記憶部34の記憶領域508に格納される。その他の動作は、図1に示した第1の実施形態における光受信器10の動作と同じ動作となっている。
【0068】
(第2の実施形態の効果)
以上のような機能構成を演算制御回路74が有することによって、本実施形態における光受信器70内の受光パワーモニタ回路71では、図1に示した第1の実施形態における効果に加えて、図1に示したローパスフィルタ30とアナログ/ディジタル変換回路32との各構成を削減することができる。したがって、受光パワーモニタ回路を少ない部品数にて構成することができると共に、光バースト信号の受光パワーを高精度に測定することができる。
【0069】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明に係る光受信器の第2の実施形態を、図8を参照して説明する。
【0070】
図示するように、本第3の実施形態における光受信器80は、図1に示した受光パワーモニタ回路10の構成からカレントミラー回路15を取り除き、さらに、光受信器12に備えられているトランス・インピーダンス・アンプ16の出力を分岐してアンプ82の入力に接続した構成である。また、アバランシェ・フォトダイオード14のカソードには、カレントミラー回路15(図1参照)に代えて、逆バイアス電圧をそのカソードに印加するバイアス電圧供給回路84が接続されている。同図において、図1に示した第1の実施形態の構成と同様の構成には同じ参照符号を付している。
【0071】
本第3の実施形態の受光パワーモニタ回路81では、光受信回路12内のトランス・インピーダンス・アンプ16にて電流/電圧変換された電圧信号(光バースト信号)が受光パワーモニタ回路81内のアンプ82に入力される。このアンプ82は、入力に印加される電圧信号をアナログ/ディジタル変換回路22の最大入力レベルに適合する増幅率にて増幅する回路であり、増幅された電圧信号が、アナログ/ディジタル変換回路22の入力と、ローパスフィルタ30の入力とにそれぞれ印加される。その他の構成及びその動作は、前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0072】
(第3の実施形態の効果)
本第3の実施形態の受光パワーモニタ回路81によれば、第1の実施形態における受光パワーモニタ回路10と比べて構成が簡略化されている。その他の作用効果については、前述した第1の実施形態と同じである。したがって、受光パワーモニタ回路を簡略化することができると共に、光バースト信号の受光パワーを高精度に測定することができる。
【0073】
〔第4の実施形態〕
次に、第4の実施形態を図9に示す。同図を参照すると図8に示した光受信器80の他の構成例が示されている。
【0074】
図示するように本構成例における光受信器90は、図8に示した受光パワーモニタ回路81の構成から、ローパスフィルタ30とアナログ/ディジタル変換回路32とを取り除いた受光パワーモニタ回路91を有している。また、図9には、図8に示した第3の実施形態における光受信器80と同じ構成には同じ参照符号を付し、図7に示した光受信器70と同じ構成には同じ参照符号を付している。
【0075】
本実施形態における制御演算回路74は、1つのアナログ/ディジタル変換回路72の出力に基づいて受光パワー値Ppと、平均受光パワー値Praveとを取得する構成である。また、制御演算回路74は、図7に示した制御演算回路74と同じ機能構成を有し、ローパスフィルタ30(図8参照)の処理機能をソフトウエア処理に従って演算することにより平均受光パワー値Praveを取得する動作も図7に示した制御演算回路74と同じ動作となっている。
【0076】
(第4の実施形態の効果)
以上のような機能構成によって、本構成例における光受信器回路90では、図8に示した第3の実施形態における効果に加えて、図7に示した光受信器70における効果と同様にローパスフィルタ30とアナログ/ディジタル変換回路32との各構成を削減する効果がある。したがって、受光パワーモニタ回路を少ない部品数にて構成することができると共に、光バースト信号の受光パワーを高精度に測定することができる。
【0077】
ここで、上述した第1及び第4の各実施形態における動作にあって、上記各工程で実行される各実行内容を、コンピュータに機能させるプログラムとして構成してもよい。この場合、本プログラムは、非一時的な記録媒体、たとえば、DVD(商標)、CD(商標)、フラッシュメモリなどに読み出し可能に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0078】
上述した各実施形態については、その新規な技術内容をまとめると、以下の付記のようになる。
【0079】
ここで、上記各実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
(付記1)
バースト伝送された光バースト信号を受光し増倍して電流信号に変換する光電変換素子と、
当該光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて前記光バースト信号の受光パワー値を検出する受光パワー検出部と、
前記光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて前記受光パワー値の平均を表す平均受光パワー値を検出する平均受光パワー検出部と、
前記受光パワー検出部にて検出された受光パワー値の誤差を補正する補正制御部とを備え、
前記補正制御部は、
前記光電変換素子の増倍率と前記光バースト信号の平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から、前記平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択された補正係数に基づいて前記受光パワー値を補正することを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記2)
付記1に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記補正制御部は、前記測定対象の光バースト信号の検出タイミングを特定するためのトリガ信号を生成する機能を有し、前記平均受光パワー検出部は、前記光電変換素子の電流信号から生成される電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、
前記電圧信号を前記トリガ信号に従ってホールドし、当該ホールドした電圧信号をディジタル値に変換する受光パワー変換回路とを備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記3)
付記2に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記平均受光パワー検出部は、前記受光パワー値の振幅を平均化して平均受光パワー値を生成する平均化回路と、前記平均受光パワー値をディジタル値に変換する平均受光パワー変換回路とを備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記4)
付記2に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記平均受光パワー検出部の機能が前記補正制御部内の機能として含まれ、
前記受光パワー変換回路は、前記電圧信号を順次ディジタル値に変換する機能を有し、
前記補正制御部は、前記平均受光パワー検出部の機能として、前記受光パワー変換回路にて順次変換されるディジタル値の振幅を平均化して前記平均値を生成する平均化処理部を備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記5)
付記1に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記光電変換素子の電流信号を帰還抵抗に応じた利得で増幅して電圧信号に変換するトランス・インピーダンス・アンプと、前記トランス・インピーダンス・アンプにて変換された電圧信号を増幅する増幅回路とを設けると共に、
前記受光パワー検出部は、前記増幅回路にて増幅された電圧信号を前記受光パワー値として検出することを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の受光パワーモニタ回路を、前記光電変換素子にて変換された電流信号から主信号を復調する受信回路に備えたことを特徴とする光受信器。
(付記7)
加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の受光パワー値を受光パワー検出部が検出し(受光パワー検出工程)、
前記電流信号から、前記光バースト信号の平均受光パワー値を平均受光パワー検出部が検出し(平均受光パワー検出工程)、
前記光電変換素子の増倍率と前記平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から前記平均受光パワーに対応する補正係数を、制御部が選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて前記受光パワー検出部が検出した前記受光パワー値を補正する(補正処理工程)ことを特徴とする受光パワーモニタ回路用モニタ方法。
(付記8)
加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の受光パワー値を検出する機能、
前記光電変換素子にて光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の平均受光パワー値を検出する機能、
及び前記光電変換素子の増倍率と前記平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から前記平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて前記受光パワー値を補正する機能を設け、
これらの各機能をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする受光パワーモニタ回路用モニタプログラム。
【符号の説明】
【0080】
10 光受信器
11 加入者装置
12 光受信回路
13 受光パワーモニタ回路
14 アバランシェ・フォトダイオード(光電変換素子)
15 カレントミラー回路
16 トランス・インピーダンス・アンプ
18 リミッティング・アンプ
20 電流電圧変換回路(受光パワー検出部、電流電圧変換回路)
22 アナログ/ディジタル変換回路(受光パワー検出部、受光パワー変換回路)
24 演算制御回路(補正制御部)
30 ローパスフィルタ(平均受光パワー検出部、平均化回路)
32 アナログ/ディジタル変換回路(平均受光パワー検出部、平均受光パワー変換回路)
34 一時記憶部
36 演算処理部(補正制御部)
38 補正係数設定部(補正制御部)
40 メモリ回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、バースト伝送される光バースト信号を受信する受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラムに係り、とくに光バースト信号の受光パワーを測定する受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信システムには、たとえば図10に示すように、利用者側の加入者宅100内に設置された通信端末装置102が接続される光加入者装置(ONU:Optical Line Unit)104から、インターネットサービスプロバイダなどの通信事業者側の局舎装置に備えられる光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination)106に光ファイバを介してアクセスするアクセス系光通信システムがある。このアクセス系光通信システムは、たとえば、光回線終端装置に接続した伝送路である1本の光ファイバFを光スプリッタ108で複数の光ファイバGに分岐し、分岐して接続された各光ファイバGにそれぞれ光加入者装置を接続するPON(Passive Optical Network)方式を採用するものがある。
【0003】
上述のPON方式が採用された光回線終端装置106には、上位の通信網としてIP(Internet Protocol)ネットワーク112及び他の通信網114が接続されて、加入者宅の通信端末装置102は、加入者装置104、光スプリッタ108及び光回線終端装置106を介してIPネットワーク112などへアクセスすることができる。この光回線終端装置106には、情報を送受信するための光トランシーバ機能を有する光モジュール120が備えられて、この光モジュール120は、加入者装置104から光ファイバを介して送信された光バースト信号を受信して電気信号の主信号に変換する光受信器122と、加入者装置104へ送信する主信号を光バースト信号に変換して光ファイバに送出する光送信器124とを有している。これら光バースト信号を使用する伝送方式は、送信する光信号をバーストセルの単位で間欠的に送信することにより、光ファイバ伝送路の散乱光の影響や光スプリッタなどの接続点における反射の影響を受けないようにする伝送方式である。
【0004】
このような光モジュール120には、光バースト信号を検出する光電変換素子として、たとえば、アバランシェ・フォトダイオード(APD:Avalanche Photo-Diode)が備えられている。アバランシェ・フォトダイオードは、高い逆バイアス電圧を印加して発生するなだれ増倍を利用するので、受光された光バースト信号を高感度で光電変換し、光バースト信号を良好に検出して電流信号に変換することができる。
【0005】
ところで、上述のようなPON方式では、複数の加入者装置104が受動的構成である光スプリッタ108を介して光回線終端装置106に接続されているので、加入者装置104の接続数、及び各加入者装置104と光回線終端装置106との間の接続距離に応じて、光回線終端装置106側で受光する光バースト信号の受光強度(受光パワー)が大きく変動する。この受光パワーを監視して測定する光パワーモニタ回路126が光回線終端装置106に備えられて、この光パワーモニタ回路126にて測定する際に、その監視結果のパワーモニタ値が上述の理由から大きく変動するという問題が発生する。このパワーモニタ値は、たとえば、光伝送路の損失を測定するために用いられ、また、加入者装置104の送信状態を確認することに用いられることがある。
【0006】
このような光バースト信号の強度を検出する回路が、たとえば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載のバースト光受信器では、アバランシェフォトダイオード(APD)で光電変換した電流信号がプリアンプに入力されて、プリアンプは入力された電流信号を電圧信号に変換し、この電圧信号から光バースト信号の強度をレベル検出回路で判定し、この強度に応じてプリアンプ利得及びAPD増倍率を段階的に切り替えるものである。
【0007】
また、上述のようなアバランシェフォトダイオード(APD)を使用し、バースト光を受信するバースト光受信器として、たとえば、特許文献2に記載のバースト光受信器がある。このバースト光受信器は、アバランシェフォトダイオードと、電流信号を電圧信号に変換し増幅しバースト信号を出力するトランス・インピーダンス・アンプと、バースト信号の平均電圧を出力するランプ電圧出力ローパスフィルタと、ランプ電圧出力ローパスフィルタの出力(レファレンス電圧)及びバースト信号の差の電圧を増幅する識別器とを備えて構成されている。
【0008】
ここで、このような光バースト信号の受光パワーを測定する受光パワーモニタ回路の関連技術を図11に示す。図示するように、受信機能を有する受光パワーモニタ回路1は、光バースト信号を受光するフォトダイオード2を有し、受光した光バースト信号に応じた電流信号がトランス・インピーダンス・アンプ(TIA:Trans Impedance Amplifier)3に入力される。
【0009】
トランス・インピーダンス・アンプ3の入出力端子には帰還抵抗R1が並列に接続され、フォトダイオード2からの電流信号を帰還抵抗R1の値に応じた利得で増幅して電圧信号に変換する。この電圧信号は、リミッティング・アンプ(LIM:Limiting Amplifier)3の入力に印加され、予め設定されたリミット電圧に制限して増幅されて、主信号として出力Sに出力される。この例では受光パワーモニタ回路1は、図10に示した光受信器124の機能を含んでいる。
【0010】
また、図11において、フォトダイオード2に流れる電流に応じた電流がカレントミラー回路5から電流電圧変換回路6に入力される。この電流電圧変換回路6は、入力電流を電圧に変換して出力し、変換した電圧をその出力に接続されたアナログ/ディジタル変換回路7の入力に印加する。
【0011】
このアナログ/ディジタル変換回路7は、その入力に表れるアナログ電圧の信号をディジタル値の信号に変換する変換回路であり、制御回路8の入力Iに外部から入力される制御信号をトリガとして、測定対象となる光バースト信号を特定してディジタル値に変換し、変換されたディジタル信号を出力する。アナログ/ディジタル変換回路7の出力は制御回路8に接続されている。
【0012】
制御回路8は、データを一時記憶する内部メモリ9を備えており、入力Iに外部から与えられる制御信号の入力タイミングをトリガとしてアナログ/ディジタル変換回路7で変換されたディジタル電圧値を示すデータを内部メモリ9の指定の領域に取り込む。内部メモリ9に取り込まれたデータはメモリアクセス入出力端子Mから出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−218852号公報
【特許文献2】特開2010−226627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、たとえば、図11に示したフォトダイオード2にアバランシェ・フォトダイオード(APD)を適用した場合、後述するように光バースト信号の受光パワーに応じてアバランシェ・フォトダイオードの増倍率(M値)が変動し、この変動を受けるため受光パワーモニタ機能の精度が悪化するという問題があった。
【0015】
具体的な例として、一般的なアバランシェ・フォトダイオードについて説明すると、受光パワーが小さい条件でたとえば値10程度の増倍率(M=10)にアバランシェ・フォトダイオードのバイアス電圧を設定する。しかし、同じバイアス電圧の条件で受光パワーが変動して受光パワーが大きくなると増倍率が低くなる。この場合、たとえば大入力の受光パワー条件に変化すると、値5以下の増倍率(M=5以下)となることがある。このように、同じバイアス電圧の設定条件であるにもかかわらず増倍率(M値)が約半分以下の値になってしまうために受光感度が低下することになって、受光パワーモニタ値も半分以下となり、受光パワーモニタ値に3[dB]以上の誤差を生じ、これがモニタ精度が悪化する原因となっていた。
【0016】
〔発明の目的〕
本発明は、このような関連技術の有する課題を解決するために成されたもので、光電変換素子の増倍率(M値)の変動に対応し、精度のよい受光パワーモニタ値が得られる受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る受光パワーモニタ回路は、バースト伝送された光バースト信号を受光し増倍して電流信号に変換する光電変換素子と、当該光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて光バースト信号の受光パワー値を検出する受光パワー検出部と、光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて受光パワー値の平均を表す平均受光パワー値を検出する平均受光パワー検出部と、受光パワー検出部にて検出された受光パワー値の誤差を補正する補正制御部とを備え、補正制御部は、光電変換素子の増倍率と光バースト信号の平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から、平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択された補正係数に基づいて受光パワー値を補正することを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る受光パワーモニタ回路用モニタ方法は、加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、光バースト信号の受光パワー値を受光パワー検出部が検出し(受光パワー検出工程)、電流信号から、光バースト信号の平均受光パワー値を平均受光パワー検出部が検出し(平均受光パワー検出工程)、光電変換素子の増倍率と平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から平均受光パワーに対応する補正係数を、制御部が選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて受光パワー検出部が検出した受光パワー値を補正する(補正処理工程)ことを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る受光パワーモニタ回路用モニタプログラムは、加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、光バースト信号の受光パワー値を検出する機能、光電変換素子にて光電変換された電流信号から、光バースト信号の平均受光パワー値を検出する機能、及び光電変換素子の増倍率と平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて受光パワー値を補正する機能を設け、これらの各機能をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上のように構成したので、光バースト信号を受光し増倍して電流信号に変換する光電変換素子の増倍率(M値)の変動に対応し、精度のよい受光パワーモニタ値を得ることができるという優れた受光パワーモニタ回路、光受信器、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態における光受信器の構成例を示すブロック図である。
【図2】平均受光パワー値に応じて変動する増倍率(M値)の特性を示すグラフである。
【図3】光バースト信号の受光パワー値に応じて変化する平均受光パワー値と、アバランシェ・フォトダイオードの出力電流とを示すタイミングチャートである。
【図4】平均受光パワー値の大小に対応して変化する補正係数kを示すグラフである。
【図5】第1の実施形態における制御演算回路内に備えられた一時記憶部の記憶領域の一例を示す図である。
【図6】第1の実施形態における光受信器内の光パワーモニタ回路の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態における光受信器の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における光受信器の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態における光受信器の構成例を示すブロック図である。
【図10】関連技術における光通信システムの全体構成例を示す図である。
【図11】関連技術における受光パワーモニタ回路の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る光受信器の第1の実施形態を、図1乃至図5を参照して説明する。
【0023】
〔第1の実施形態〕
図1に示すように、本第1の実施形態における光受信器10は、PON(Passive Optical Network)方式の光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination)内に備えられ、複数の加入者装置(ONU:Optical Line Unit)11から光ファイバFを通して光回線終端装置に間欠的に伝送された光バースト信号(バーストセル)を受信する装置である。図示するように光受信器10は、光バースト信号を受信する光受信回路12と、光バースト信号の受光パワーを測定する受光パワーモニタ回路13とを備えている。また、同図では複数の加入者装置11を1つの加入者装置11で代表して示している。
【0024】
光受信回路12に備えられているアバランシェ・フォトダイオード(APD:Avalanche Photo-Diode)14は、複数の加入者装置11から送出される光バースト信号を検出し、検出した光バースト信号の強度に応じた電流信号を生成する光検出器である。このアバランシェ・フォトダイオード14は、逆バイアス電圧に応じた増倍率(M値)にて光電流を増倍する光増倍型光電変換素子である。アバランシェ・フォトダイオード14のカソード側にはカレントミラー回路15の一方の出力が接続され、アバランシェ・フォトダイオード14のカソードには予め設定された逆バイアス電圧が印加される。
【0025】
このアバランシェ・フォトダイオード14は、受光する光バースト信号の強度、すなわち受光パワーの値が大きくなればなるほど増倍率が小さくなる特性を持っている。これはその内部抵抗の影響を受けるためである。このような特性例を図2に示す。同図には、バースト伝送された光バースト信号の受光パワー値を平均化した平均受光パワー値の変化に応じて、アバランシェ・フォトダイオード14の増倍率(M値)がどのように変化するかを表す特性曲線200が示されている。この図では、横軸に光バースト信号の平均受光パワー値をとり、縦軸に増倍率(M値)をとっている。図示するようにアバランシェ・フォトダイオード14は、平均受光パワー値が小さいときに、たとえば値10の増倍率(M値)であり、平均受光パワー値が大きくなるほど、増倍率(M値)が低下し、たとえば値5の増倍率まで低下するという特性を有している。
【0026】
また、図1において、アバランシェ・フォトダイオード14のアノードにはトランス・インピーダンス・アンプ(TIA:Trans Impedance Amplifier)16が接続されている。トランス・インピーダンス・アンプ16の入出力端子には帰還抵抗Rが並列接続され、トランス・インピーダンス・アンプ16は、アバランシェ・フォトダイオード14から入力される電流信号を帰還抵抗Rの抵抗値に応じた利得で増幅して電圧信号に変換する前置増幅回路である。
【0027】
トランス・インピーダンス・アンプ16の出力には、リミッティング・アンプ(LIM:Limiting Amplifier)18が接続され、リミッティング・アンプ18は、トランス・インピーダンス・アンプ16の出力信号を予め設定されたリミット電圧に制限して増幅し、主信号として出力Sに出力する振幅制限増幅回路である。この主信号は、光回線終端装置(OLT:Optical Line Termination)内の他の処理回路にて必要な処理がなされる。受光パワーモニタ回路10は、これらアバランシェ・フォトダイオード14と、トランス・インピーダンス・アンプ16と、リミッティング・アンプ18とを含み、光バースト信号を受信して電気信号に復調する光受信器12の基本的機能を備えている。
【0028】
他方の受光パワーモニタ回路13は、光受信器12のアバランシェ・フォトダイオード14にて検出される光バースト信号に応じた電流信号を利用して、その信号強度を表す受光パワーを測定するように構成されている。詳細には、アバランシェ・フォトダイオード14のカソードには、カレントミラー回路15の一方の出力が接続され、このカレントミラー回路15は、アバランシェ・フォトダイオード14に流れる電流信号に応じた電流を他方の出力に出力する回路であり、その出力は電流電圧変換回路20に接続されている。本実施形態におけるカレントミラー回路15は、アバランシェ・フォトダイオード14のカソードに逆バイアス電圧を印加する機能も有している。
【0029】
電流電圧変換回路20は、カレントミラー回路15から入力される電流信号を電圧信号に変換する回路である。電流電圧変換回路20は、変換した電圧信号をその出力に接続されたアナログ/ディジタル変換回路22の入力に印加する。
【0030】
アナログ/ディジタル変換回路22(受光パワー検出部)は、その入力に表れる電圧信号を、接続線Tを介して接続された演算制御回路24から与えられるトリガ信号の入力タイミングにてホールドし、そのホールド値をディジタル値に変換し、これを受光パワー値として検出し演算制御回路24に出力する変換回路である。この受光パワーの電圧値は、上述したように、光バースト信号の平均受光パワーの変化に応じて変動する増倍率の影響を受けている。
【0031】
この様子を図3に示すと、同図には、光バースト信号の平均受光パワー値が低い場合と高い場合とのそれぞれにおける平均受光パワーと、アバランシェ・フォトダイオード(APD)14の出力電流とを表すタイミングチャートが示されている。図示するように平均受光パワーが低い場合では、測定対象外の光バースト信号300に続いて測定対象の光バースト信号302がアバランシェ・フォトダイオード14(図1参照)に受光すると、アバランシェ・フォトダイオード14は、設定されたバイアス電圧に応じた増倍率にて光バースト信号を増倍し、それぞれ出力電流304及び306として出力する。このときの平均受光パワー値を破線308で示している。この場合は、希望する増倍率にて生成された電流が生成される。
【0032】
これに対し、光バースト信号の受光パワーが大きい測定対象外の光バースト信号310に続いて測定対象の光バースト信号312がアバランシェ・フォトダイオード14(図1参照)に受光すると、平均受光パワーが高くなり、増倍率が低下するので、アバランシェ・フォトダイオード14は、設定されたバイアス電圧に応じた増倍率よりも小さい増倍率にて光バースト信号を増倍し、それぞれ出力電流314及び316として出力する。この場合は、上記と比べて平均受光パワー値318が上昇して高くなっているので、図2に示したように増倍率が低下し、希望する増倍率よりも低い増倍率にて生成された出力電流316がアバランシェ・フォトダイオード14から出力される。
【0033】
また、図1において、そこで制御演算回路24は、光バースト信号の平均受光パワーが大きくなると増倍率(M値)が低下するアバランシェ・フォトダイオード14の出力特性に対処するために、アナログ/ディジタル変換回路22にてディジタル値に変換された受光パワー値の誤差を、光バースト信号の平均受光パワーをモニタして得られる平均受光パワーモニタ値に基づいて補正する機能を有している。
【0034】
この平均受光パワーモニタ値は、電流電圧変換回路20の出力に分岐して接続したローパスフィルタ30と、ローパスフィルタ30の出力に接続されたアナログ/ディジタル変換回路32(平均受光パワー検出部)とを経て生成される。
【0035】
ローパスフィルタ30は、電流電圧変換回路20の出力から印加される電圧信号(光バースト信号)の高周波数成分を遮断し、低域周波数成分を通過させる低域通過型フィルタであり、光バースト信号の振幅を平均化した平均受光パワー値Praveとして出力する。
【0036】
アナログ/ディジタル変換回路32は、ローパスフィルタ30から出力される平均受光パワー値Praveを継続して検出し順次ディジタル信号に変換する変換回路であり、変換されたディジタル値の平均受光パワー値Praveを制御演算回路24(補正制御部)に出力する。
【0037】
制御演算回路24は、アナログ/ディジタル変換回路22の入力信号をホールドするタイミングを制御するためのトリガ信号を光回線終端装置内の他の回路から与えられる制御信号に応じて生成する制御機能と、このトリガ信号のタイミングで取得されてアナログ/ディジタル変換回路22から出力される受光パワー値Ppを取り込んで一時記憶する機能とを有している。また、制御演算回路24は、アナログ/ディジタル変換回路32から順次出力される平均受光パワー値Praveを取り込んで更新的に記憶する機能と、平均受光パワーの変化に応じて変動する受光パワー値Ppが予め設定した増倍率に対応する値となるように演算する演算処理機能とを有し、本光受信器10の各部の動作を制御する主制御部である。
【0038】
詳しくは、制御回路24は、受光パワーモニタ回路13の外部回路25から与えられる制御信号を入力Cに入力し、この制御信号に応動してトリガ信号を生成し、生成したトリガ信号をアナログ/ディジタル変換回路22に出力することで、測定対象となる光バースト信号を特定する特定制御機能を有している。制御回路24は、取得した受光パワー値と、平均受光パワー値と、受光パワー値の誤差を補正するための補正係数とを予め指定された記憶領域に一時記憶するための一時記憶部34を含む。
【0039】
この一時記憶部34の記憶領域の構成例を図5に示す。図示するように一時記憶部34の記憶領域500は、一方のアナログ/ディジタル変換回路22から出力された受光パワー値Ppを記憶する記憶領域502と、他方のアナログ/ディジタル変換回路32から出力された平均受光パワー値Praveを記憶する記憶領域504と、平均受光パワー値Praveの各値に対応する補正係数k(Prave)を記憶する記憶領域506と、補正後の受光パワーモニタ値を一時記憶する記憶領域508とを含んでいる。
【0040】
また、図1において、制御演算回路24は、アナログ/ディジタル変換回路22へのトリガ信号の出力タイミングで特定した受光パワー値Ppをアナログ/ディジタル変換回路22から取り込み、そのデータを一時記憶部34の記憶領域502(図5参照)に一時格納する。制御回路24の動作サイクルよりも受信信号の光バースト信号の周期が短い場合、また、一時記憶部34に格納されたデータが外部取り出しされるまでの時間に長い時間が必要である場合に、このように外部回路25からの制御信号に応動してトリガ信号を生成し、測定対象とする光バースト信号を特定する方式を用いる。
【0041】
また、制御回路24は、アナログ/ディジタル変換回路32から出力される平均受光パワー値Praveを順次入力し、入力した平均受光パワー値Praveを一時記憶部34の領域506(図5参照)に一時格納する。
【0042】
制御回路24は、このようにして一時記憶部34の各記憶領域に格納した受光パワー値Ppの誤差を平均受光パワー値Praveに基づいて補正するための演算処理部36を備えている。
【0043】
詳しくは演算処理部36は、補正係数設定部38から与えられる補正係数k(Prave)と受光パワー値Ppとを乗算して、受光パワー値Ppを補正する。このときの補正係数kは、アナログ/ディジタル変換回路32から順次出力されて一時記憶部34に格納した最新の平均受光パワーPraveに対応する補正係数であり、これを補正係数k(Prave)と表している。このような機能構成を制御回路24が有しているので、平均受光パワーの変動が発生してもその変動に対応して受光パワー値Ppの誤差を補正することができる。
【0044】
この補正係数kは、予め作成されて制御演算回路24に接続されたメモリ回路40に記録されて保持され、保持された補正係数kは補正係数設定部38に読み出される。補正係数設定部38はメモリ回路40に保持されている補正係数kのうち、現在の平均受光パワーPraveに対応する補正係数kを選択して一時記憶部34の指定された記憶領域506に一時格納して設定し、演算処理部36は、この設定された補正係数k(Prave)と受光パワー値Ppとの積を演算により求める。
【0045】
すなわち、演算処理部36は、
(数1)
補正後の受光パワーモニタ値=Pp×k(Prave)
を演算する。
【0046】
演算処理部36の演算結果、つまり補正後の受光パワーモニタ値は一時記憶部34の指定された記憶領域508に一時格納される。本実施形態では補正係数設定部38は現在の平均受光パワーPraveに対応する補正係数kをメモリ回路40から読み出して一時記憶部34の記憶領域506に格納しているが、これに限らず、たとえばメモリ回路40に記録されている各平均受光パワーの補正係数kをすべてをメモリ回路40から読み出して一時記憶部34の他の記憶領域に格納するように構成してもよい。この場合は、補正係数設定部38は一時記憶部34の他の記憶領域に格納した補正係数から現在の平均受光パワーPraveに対応する補正係数kを選択して記憶領域506に一時格納するとよい。
【0047】
この補正係数kの例を図5に示す。同図では横軸に平均受光パワーPraveをとり、縦軸に補正係数kをとっている。図示するように、補正係数kは、平均受光パワーPraveが最も小さい部分では、係数1の値となっていて、平均受光パワーPraveが大になるほど上昇し、たとえば補正係数kが値2まで上昇する特性となっている。補正係数kは図2に示した平均受光パワーPraveに応じて変化する増倍率の逆数に基づいて決定される。このような補正係数kを演算処理部36が受光パワー値Ppに乗算することで、一定の増倍率で増倍した場合に相当する値の受光パワーモニタ値を得ることができる。
【0048】
一時記憶部34の記憶領域508に格納された補正後の受光パワーモニタ値は、メモリアクセス入出力端子Mに光回線終端装置内の他の回路からアクセスを受けると、このアクセスに応じて記憶領域508から読み出され、その受光パワーモニタ値がメモリアクセス端子Mに出力される。こうして光受信器10から出力されたパワーモニタ値は、たとえば、光伝送路の損失を測定するために用いられ、また加入者装置の送信状態を確認することに用いられる。
【0049】
(光受信回路の動作及び受光パワーモニタ回路のモニタ動作)
次に、本第1の実施形態における光受信器10の動作を説明する。まず、複数の加入者装置11から光ファイバFを通してバースト伝送された光バースト信号がアバランシェ・フォトダイオード14にて検出され、検出された光バースト信号に応じた電流信号がアバランシェ・フォトダイオード14からトランス・インピーダンス・アンプ16に入力される。また、この電流信号に応じた電流信号がカレントミラー回路15にて生成され、生成された電流信号が電流電圧変換回路20に入力される(図6:ステップS60/電流検出工程)。
【0050】
一方のトランス・インピーダンス・アンプ16に入力した電流信号は、帰還抵抗Rに応じた利得で増幅され、電圧信号としてリミッティング・アンプ18の入力に印加される。この電圧信号はリミッティング・アンプ18で、その振幅が制限されて増幅され、増幅された電圧信号が主信号として出力Sから出力される。
【0051】
他方の電流電圧変換回路20に入力した電流信号は、電圧信号に変換され、変換された電圧信号がアナログ/ディジタル変換回路22の入力に印加される(図6:ステップS61/電流電圧変換処理工程)。
【0052】
このアナログ/ディジタル変換回路22の入力に印加された電圧信号は、演算制御回路24からトリガ信号が出力されるとホールドされてホールド値が特定される(図6:ステップS62/受光パワー特定制御工程)。その特定されたホールド値はさらにディジタル値に変換される(図6:ステップS63/受光パワー値ディジタル変換処理工程)。このディジタル値は受光パワー値Ppとして演算制御回路24に取り込まれて、一時記憶部34の記憶領域502に格納される(図6:ステップS64/受光パワー値格納処理工程)。
【0053】
また、電流電圧変換回路20にて変換された電圧信号がローパスフィルタ30の入力に印加され、その低周波数成分が平均受光パワー値としてアナログ/ディジタル変換回路32の入力に印加される(図6:ステップS65/平均受光パワー検出処理工程)。
【0054】
アナログ/ディジタル変換回路32の入力に印加される平均受光パワー値は、順次ディジタル信号に変換され、変換された受光パワー平均値Praveは制御演算回路24に入力される(図6:ステップS66/平均受光パワー値ディジタル変換処理工程)。
【0055】
制御回路24に入力した平均受光パワー値Praveは、一時記憶部34の領域504に一時格納される(図6:ステップS67/受光パワー平均値格納処理工程)。
【0056】
受光パワー平均値Praveが領域504に一時記憶されると、さらに、現在の平均受光パワーPraveに対応する補正係数k(Prave)が補正係数設定部38によって選択され記憶領域506に一時格納される(図6:ステップS68/補正係数設定処理工程)。
【0057】
次に、領域502に格納された受光パワー値Ppと、記憶領域506に格納された補正係数kとが演算処理部36にて乗算され、それらの積が算出される(図6:ステップS69/演算処理工程)。
【0058】
その演算結果は、補正後の受光パワーモニタ値として一時記憶部34の領域508に一時格納され(図6:ステップS70/格納処理工程)、保持された受光パワーモニタ値は、メモリアクセス入出力端子Mに外部回路25からアクセスを受けると、このアクセスに応じて記憶領域508から読み出され、メモリアクセス端子Mから出力される(図6:ステップS71/出力制御工程)。このようにして、平均受光パワー値に応じて補正した補正後の受光パワーモニタ値が得られる。
【0059】
これらの動作を継続する場合には上記の処理を繰り返し(図6:ステップS60〜ステップS72/継続判定工程)、平均受光パワー値が変動した場合でも、その変動した平均受光パワー値に対応する補正係数kに基づいて受光パワー値Ppの誤差が補正され、精度のよい補正後の受光パワーモニタ値を得ることができる。継続しない場合には全体の処理動作を停止する。
【0060】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本第1の実施形態の光受信器10内のパワーモニタ回路13によれば、受光パワーPpと平均受光パワー値Praveとがそれぞれ取得されて、それぞれが制御演算回路24に一時格納され、平均受光パワー値Praveに対応する補正係数kが補正係数設定部38によって選択されて設定され、受光パワーPpと補正係数k(Prave)との演算処理が演算処理部36にて実行されることにより、予め設定された増倍率に対応する補正後の受光パワーモニタ値が得られる。したがって、光バースト信号の受光パワーを高精度に測定することができる。
【0061】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態を図7に示す。同図を参照すると図1に示した光受信器10の他の構成例が示されている。
【0062】
図示するように本実施形態における光受信器70は、図1に示した受光パワーモニタ回路13の構成からローパスフィルタ30とアナログ/ディジタル変換回路32とを取り除いた受光パワーモニタ回路71を備えている。この受光パワーモニタ回路71の制御演算回路74は、1つのアナログ/ディジタル変換回路72の出力に基づいて受光パワー値Ppを取得し、ローパスフィルタ30(図1参照)の処理機能をソフトウエア処理に従って演算することにより平均受光パワー値Praveを取得する。
【0063】
その他の点については、図1に示した第1の実施形態と同じ構成であるので同じ参照符号を付すものとし、主に異なる部分について以下に説明する。
【0064】
電流電圧変換回路20の出力に接続されたアナログ/ディジタル変換回路72は、図1に示したアナログ/ディジタル変換回路22と同様に、入力に表れる電圧信号を、演算制御回路74から出力されるトリガ信号に応動してホールドし、そのホールド値をディジタル値に変換し、これを受光パワー値として演算制御回路74に出力する機能を有している。さらにアナログ/ディジタル変換回路72は、演算制御回路74から出力されるトリガ信号に応動して入力電圧値をホールドし受光パワー値を制御回路74に出力している期間以外の期間では、図1に示したアナログ/ディジタル変換回路32と同様に、入力に表れる電圧信号を継続的に順次ディジタル信号に変換し、変換された受光パワー値を制御演算回路74に順次出力する機能を有している。この順次アナログ/ディジタル変換回路72から出力される受光パワー値に基づいて、平均受光パワー値が制御演算処理回路74にて算出される。
【0065】
制御演算回路74は、図1に示した制御演算回路24の機能構成に加えて、アナログ/ディジタル変換回路72から与えられる受光パワー値から平均受光パワー値を算出する演算処理機能を備えている。
【0066】
詳しくは制御演算回路74は、順次入力される受光パワー値の平均値を算出する平均化処理部76を備えている。平均化処理部76は、順次入力される受光パワー値の移動平均を算出する演算処理機能を有し、順次平均化した平均受光パワー値を一時記憶部34の記憶領域504(図5参照)に更新的に格納する。
【0067】
このような制御演算回路74の機能構成によって求められた平均受光パワー値Praveを用いて、対応する補正係数kと受光パワー値Ppとが演算処理部36にて乗算され、その乗算の結果が補正後の受光パワーモニタ値として一時記憶部34の記憶領域508に格納される。その他の動作は、図1に示した第1の実施形態における光受信器10の動作と同じ動作となっている。
【0068】
(第2の実施形態の効果)
以上のような機能構成を演算制御回路74が有することによって、本実施形態における光受信器70内の受光パワーモニタ回路71では、図1に示した第1の実施形態における効果に加えて、図1に示したローパスフィルタ30とアナログ/ディジタル変換回路32との各構成を削減することができる。したがって、受光パワーモニタ回路を少ない部品数にて構成することができると共に、光バースト信号の受光パワーを高精度に測定することができる。
【0069】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明に係る光受信器の第2の実施形態を、図8を参照して説明する。
【0070】
図示するように、本第3の実施形態における光受信器80は、図1に示した受光パワーモニタ回路10の構成からカレントミラー回路15を取り除き、さらに、光受信器12に備えられているトランス・インピーダンス・アンプ16の出力を分岐してアンプ82の入力に接続した構成である。また、アバランシェ・フォトダイオード14のカソードには、カレントミラー回路15(図1参照)に代えて、逆バイアス電圧をそのカソードに印加するバイアス電圧供給回路84が接続されている。同図において、図1に示した第1の実施形態の構成と同様の構成には同じ参照符号を付している。
【0071】
本第3の実施形態の受光パワーモニタ回路81では、光受信回路12内のトランス・インピーダンス・アンプ16にて電流/電圧変換された電圧信号(光バースト信号)が受光パワーモニタ回路81内のアンプ82に入力される。このアンプ82は、入力に印加される電圧信号をアナログ/ディジタル変換回路22の最大入力レベルに適合する増幅率にて増幅する回路であり、増幅された電圧信号が、アナログ/ディジタル変換回路22の入力と、ローパスフィルタ30の入力とにそれぞれ印加される。その他の構成及びその動作は、前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0072】
(第3の実施形態の効果)
本第3の実施形態の受光パワーモニタ回路81によれば、第1の実施形態における受光パワーモニタ回路10と比べて構成が簡略化されている。その他の作用効果については、前述した第1の実施形態と同じである。したがって、受光パワーモニタ回路を簡略化することができると共に、光バースト信号の受光パワーを高精度に測定することができる。
【0073】
〔第4の実施形態〕
次に、第4の実施形態を図9に示す。同図を参照すると図8に示した光受信器80の他の構成例が示されている。
【0074】
図示するように本構成例における光受信器90は、図8に示した受光パワーモニタ回路81の構成から、ローパスフィルタ30とアナログ/ディジタル変換回路32とを取り除いた受光パワーモニタ回路91を有している。また、図9には、図8に示した第3の実施形態における光受信器80と同じ構成には同じ参照符号を付し、図7に示した光受信器70と同じ構成には同じ参照符号を付している。
【0075】
本実施形態における制御演算回路74は、1つのアナログ/ディジタル変換回路72の出力に基づいて受光パワー値Ppと、平均受光パワー値Praveとを取得する構成である。また、制御演算回路74は、図7に示した制御演算回路74と同じ機能構成を有し、ローパスフィルタ30(図8参照)の処理機能をソフトウエア処理に従って演算することにより平均受光パワー値Praveを取得する動作も図7に示した制御演算回路74と同じ動作となっている。
【0076】
(第4の実施形態の効果)
以上のような機能構成によって、本構成例における光受信器回路90では、図8に示した第3の実施形態における効果に加えて、図7に示した光受信器70における効果と同様にローパスフィルタ30とアナログ/ディジタル変換回路32との各構成を削減する効果がある。したがって、受光パワーモニタ回路を少ない部品数にて構成することができると共に、光バースト信号の受光パワーを高精度に測定することができる。
【0077】
ここで、上述した第1及び第4の各実施形態における動作にあって、上記各工程で実行される各実行内容を、コンピュータに機能させるプログラムとして構成してもよい。この場合、本プログラムは、非一時的な記録媒体、たとえば、DVD(商標)、CD(商標)、フラッシュメモリなどに読み出し可能に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0078】
上述した各実施形態については、その新規な技術内容をまとめると、以下の付記のようになる。
【0079】
ここで、上記各実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
(付記1)
バースト伝送された光バースト信号を受光し増倍して電流信号に変換する光電変換素子と、
当該光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて前記光バースト信号の受光パワー値を検出する受光パワー検出部と、
前記光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて前記受光パワー値の平均を表す平均受光パワー値を検出する平均受光パワー検出部と、
前記受光パワー検出部にて検出された受光パワー値の誤差を補正する補正制御部とを備え、
前記補正制御部は、
前記光電変換素子の増倍率と前記光バースト信号の平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から、前記平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択された補正係数に基づいて前記受光パワー値を補正することを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記2)
付記1に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記補正制御部は、前記測定対象の光バースト信号の検出タイミングを特定するためのトリガ信号を生成する機能を有し、前記平均受光パワー検出部は、前記光電変換素子の電流信号から生成される電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、
前記電圧信号を前記トリガ信号に従ってホールドし、当該ホールドした電圧信号をディジタル値に変換する受光パワー変換回路とを備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記3)
付記2に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記平均受光パワー検出部は、前記受光パワー値の振幅を平均化して平均受光パワー値を生成する平均化回路と、前記平均受光パワー値をディジタル値に変換する平均受光パワー変換回路とを備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記4)
付記2に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記平均受光パワー検出部の機能が前記補正制御部内の機能として含まれ、
前記受光パワー変換回路は、前記電圧信号を順次ディジタル値に変換する機能を有し、
前記補正制御部は、前記平均受光パワー検出部の機能として、前記受光パワー変換回路にて順次変換されるディジタル値の振幅を平均化して前記平均値を生成する平均化処理部を備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記5)
付記1に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記光電変換素子の電流信号を帰還抵抗に応じた利得で増幅して電圧信号に変換するトランス・インピーダンス・アンプと、前記トランス・インピーダンス・アンプにて変換された電圧信号を増幅する増幅回路とを設けると共に、
前記受光パワー検出部は、前記増幅回路にて増幅された電圧信号を前記受光パワー値として検出することを特徴とする受光パワーモニタ回路。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の受光パワーモニタ回路を、前記光電変換素子にて変換された電流信号から主信号を復調する受信回路に備えたことを特徴とする光受信器。
(付記7)
加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の受光パワー値を受光パワー検出部が検出し(受光パワー検出工程)、
前記電流信号から、前記光バースト信号の平均受光パワー値を平均受光パワー検出部が検出し(平均受光パワー検出工程)、
前記光電変換素子の増倍率と前記平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から前記平均受光パワーに対応する補正係数を、制御部が選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて前記受光パワー検出部が検出した前記受光パワー値を補正する(補正処理工程)ことを特徴とする受光パワーモニタ回路用モニタ方法。
(付記8)
加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の受光パワー値を検出する機能、
前記光電変換素子にて光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の平均受光パワー値を検出する機能、
及び前記光電変換素子の増倍率と前記平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から前記平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて前記受光パワー値を補正する機能を設け、
これらの各機能をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする受光パワーモニタ回路用モニタプログラム。
【符号の説明】
【0080】
10 光受信器
11 加入者装置
12 光受信回路
13 受光パワーモニタ回路
14 アバランシェ・フォトダイオード(光電変換素子)
15 カレントミラー回路
16 トランス・インピーダンス・アンプ
18 リミッティング・アンプ
20 電流電圧変換回路(受光パワー検出部、電流電圧変換回路)
22 アナログ/ディジタル変換回路(受光パワー検出部、受光パワー変換回路)
24 演算制御回路(補正制御部)
30 ローパスフィルタ(平均受光パワー検出部、平均化回路)
32 アナログ/ディジタル変換回路(平均受光パワー検出部、平均受光パワー変換回路)
34 一時記憶部
36 演算処理部(補正制御部)
38 補正係数設定部(補正制御部)
40 メモリ回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バースト伝送された光バースト信号を受光し増倍して電流信号に変換する光電変換素子と、
当該光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて前記光バースト信号の受光パワー値を検出する受光パワー検出部と、
前記光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて前記受光パワー値の平均を表す平均受光パワー値を検出する平均受光パワー検出部と、
前記受光パワー検出部にて検出された受光パワー値の誤差を補正する補正制御部とを備え、
前記補正制御部は、
前記光電変換素子の増倍率と前記光バースト信号の平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から、前記平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択された補正係数に基づいて前記受光パワー値を補正することを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項2】
請求項1に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記補正制御部は、前記測定対象の光バースト信号の検出タイミングを特定するためのトリガ信号を生成する機能を有し、前記平均受光パワー検出部は、前記光電変換素子の電流信号から生成される電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、
前記電圧信号を前記トリガ信号に従ってホールドし、当該ホールドした電圧信号をディジタル値に変換する受光パワー変換回路とを備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項3】
請求項2に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記平均受光パワー検出部は、前記受光パワー値の振幅を平均化して平均受光パワー値を生成する平均化回路と、前記平均受光パワー値をディジタル値に変換する平均受光パワー変換回路とを備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項4】
請求項2に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記平均受光パワー検出部の機能が前記補正制御部内の機能として含まれ、
前記受光パワー変換回路は、前記電圧信号を順次ディジタル値に変換する機能を有し、
前記補正制御部は、前記平均受光パワー検出部の機能として、前記受光パワー変換回路にて順次変換されるディジタル値の振幅を平均化して前記平均値を生成する平均化処理部を備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項5】
請求項1に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記光電変換素子の電流信号を帰還抵抗に応じた利得で増幅して電圧信号に変換するトランス・インピーダンス・アンプと、前記トランス・インピーダンス・アンプにて変換された電圧信号を増幅する増幅回路とを設けると共に、
前記受光パワー検出部は、前記増幅回路にて増幅された電圧信号を前記受光パワー値として検出することを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の受光パワーモニタ回路を、前記光電変換素子にて変換された電流信号から主信号を復調する受信回路に備えたことを特徴とする光受信器。
【請求項7】
加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の受光パワー値を受光パワー検出部が検出し、
前記電流信号から、前記光バースト信号の平均受光パワー値を平均受光パワー検出部が検出し、
前記光電変換素子の増倍率と前記平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から前記平均受光パワーに対応する補正係数を、制御部が選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて前記受光パワー検出部が検出した前記受光パワー値を補正することを特徴とする受光パワーモニタ回路用モニタ方法。
【請求項8】
加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の受光パワー値を検出する機能、
前記光電変換素子にて光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の平均受光パワー値を検出する機能、
及び前記光電変換素子の増倍率と前記平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から前記平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて前記受光パワー値を補正する機能を設け、
これらの各機能をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする受光パワーモニタ回路用モニタプログラム。
【請求項1】
バースト伝送された光バースト信号を受光し増倍して電流信号に変換する光電変換素子と、
当該光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて前記光バースト信号の受光パワー値を検出する受光パワー検出部と、
前記光電変換素子にて変換された電流信号に基づいて前記受光パワー値の平均を表す平均受光パワー値を検出する平均受光パワー検出部と、
前記受光パワー検出部にて検出された受光パワー値の誤差を補正する補正制御部とを備え、
前記補正制御部は、
前記光電変換素子の増倍率と前記光バースト信号の平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から、前記平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択された補正係数に基づいて前記受光パワー値を補正することを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項2】
請求項1に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記補正制御部は、前記測定対象の光バースト信号の検出タイミングを特定するためのトリガ信号を生成する機能を有し、前記平均受光パワー検出部は、前記光電変換素子の電流信号から生成される電流を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、
前記電圧信号を前記トリガ信号に従ってホールドし、当該ホールドした電圧信号をディジタル値に変換する受光パワー変換回路とを備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項3】
請求項2に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記平均受光パワー検出部は、前記受光パワー値の振幅を平均化して平均受光パワー値を生成する平均化回路と、前記平均受光パワー値をディジタル値に変換する平均受光パワー変換回路とを備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項4】
請求項2に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記平均受光パワー検出部の機能が前記補正制御部内の機能として含まれ、
前記受光パワー変換回路は、前記電圧信号を順次ディジタル値に変換する機能を有し、
前記補正制御部は、前記平均受光パワー検出部の機能として、前記受光パワー変換回路にて順次変換されるディジタル値の振幅を平均化して前記平均値を生成する平均化処理部を備えることを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項5】
請求項1に記載の受光パワーモニタ回路において、
前記光電変換素子の電流信号を帰還抵抗に応じた利得で増幅して電圧信号に変換するトランス・インピーダンス・アンプと、前記トランス・インピーダンス・アンプにて変換された電圧信号を増幅する増幅回路とを設けると共に、
前記受光パワー検出部は、前記増幅回路にて増幅された電圧信号を前記受光パワー値として検出することを特徴とする受光パワーモニタ回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の受光パワーモニタ回路を、前記光電変換素子にて変換された電流信号から主信号を復調する受信回路に備えたことを特徴とする光受信器。
【請求項7】
加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の受光パワー値を受光パワー検出部が検出し、
前記電流信号から、前記光バースト信号の平均受光パワー値を平均受光パワー検出部が検出し、
前記光電変換素子の増倍率と前記平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から前記平均受光パワーに対応する補正係数を、制御部が選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて前記受光パワー検出部が検出した前記受光パワー値を補正することを特徴とする受光パワーモニタ回路用モニタ方法。
【請求項8】
加入者装置からバースト伝送された光バースト信号を光電変換素子が受光して増倍して光電変換し、この光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の受光パワー値を検出する機能、
前記光電変換素子にて光電変換された電流信号から、前記光バースト信号の平均受光パワー値を検出する機能、
及び前記光電変換素子の増倍率と前記平均受光パワー値との関係に基づいて予め作成して保持された補正係数から前記平均受光パワーに対応する補正係数を選択すると共に、当該選択した補正係数に基づいて前記受光パワー値を補正する機能を設け、
これらの各機能をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする受光パワーモニタ回路用モニタプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−175228(P2012−175228A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33038(P2011−33038)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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