説明

口腔ケア組成物における使用のための抗バイオフィルムカーボネート化合物

本発明は、クオラムセンシングの阻害および/または殺菌活性により口のバイオフィルムの成長および形成を阻害するための口腔ケア組成物および方法を含む。一部の態様において、本発明は療法上有効量の少なくとも1種類の式(1)のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を開示する:


ここで、RおよびRは独立して次のものである:脂肪族基;ヒドロキシ脂肪族基;またはアリール基。一部の態様において、本発明は、口腔ケアの利益を提供する方法であって、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式(1)のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む方法を開示する。一部の態様において、本発明は、歯周疾患の代謝産物を上方制御または下方制御する方法であって、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式(1)のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯のプラークおよび齲食と関係するA.ネスランディイ(A. naeslundii)の増殖およびバイオフィルム形成を阻害するカーボネート化合物を含む口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
齲食および歯周疾患は人類を冒す最も一般的な慢性感染症の2つであり、常に歯の表面上にバイオフィルムとして形成された歯のプラークと関係している。歯のプラークは様々な細菌の連続的な付着により生成され、それは関係する種および表面組成の両方に依存している。アクチノマイセス・ネスランディイ(Actinomyces naeslundii)(A. naeslundii)はグラム陽性の棒の形状の細菌であり、それは口腔を占拠し、歯の表面を植民地化(colonize)する主要な種の1つである。A.ネスランディイは歯周疾患および歯根齲食に関与していることが示されている。
【0003】
クオラムセンシング(Quorum sensing)は細菌細胞間の細胞間情報交換の手段であり、それは細菌が遺伝子発現を制御し、集団の密度にグループとして応答することを可能にする。A.ネスランディイを含め、口腔を占拠している細菌は、外来のDNAの取り込み、耐酸性、バイオフィルムの形成、およびビルレンスを含むいくつかの生理的プロセスを制御するためにクオラムセンシング系を用いている。従って、クオラムセンシングを通して、A.ネスランディイはそれらの生理を環境刺激に適応するために最適化することができ、集合体として振る舞うことができ、それにより結果としてよりよい宿主の植民地化、種としての進化、ならびに力学的、物理的、および化学的ストレスに対する向上した応答をもたらす。結果として、バイオフィルム中の細菌は抗微生物物質および宿主の防御に対する増大した耐性を有している。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、クオラムセンシングの阻害および/または殺菌活性により口のバイオフィルムの成長および形成を阻害するための口腔ケア組成物および方法を含む。
一部の態様において、本発明は療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を開示する:
【0005】
【化1】

【0006】
ここで、
およびRは独立して次のものである:脂肪族基;ヒドロキシ脂肪族基;またはアリール基。
【0007】
一部の態様において、Rは10個までの炭素原子を有する環式または分枝状脂肪族基から選択され、Rは線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基から選択される。一部の態様において、Rは置換されていないアリール基であり、Rは10個までの炭素原子を有する線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基から選択される。
【0008】
一部の態様において、本発明は、口腔ケアの利益を提供する方法であって、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む方法を開示する。一部の態様において、その口腔ケアの利益にはバイオフィルムの抗付着、抗酸化、および抗微生物の利益が含まれる。
【0009】
一部の態様において、本発明は、歯周疾患の代謝産物を上方制御または下方制御する方法であって、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む方法を開示する。一部の態様において、その口腔ケア組成物は次のものから選択される少なくとも1つのメンバーを上方制御または下方制御する:アミノ酸代謝により生じる化合物、尿素サイクルにおいて生じる化合物;グルタチオン変換において生じる化合物;脂質代謝において生じる化合物;炭水化物代謝において生じる化合物;核酸代謝により生じる化合物;ビタミン類;および補因子。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のカーボネート化合物の抗酸化有効性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
全体において用いられるように、範囲はその範囲内にあるそれぞれおよび全ての値を記述するための略記として用いられる。範囲内のあらゆる値は、範囲の末端として選択することができる。加えて、本明細書において引用される全ての参考文献をそのまま本明細書に援用する。
【0012】
本明細書で用いられる用語“バイオフィルム形成”は、微生物の表面への付着およびそれに続く細胞の多数の層の発達を指す。
本明細書で用いられる用語“歯のプラーク”は、細菌および唾液由来のポリマー類の基質中に包埋された、歯の表面上で見つかる多様な微生物の共同体(主に細菌)を指す。さらに、“歯のプラークと関係するA.ネスランディイ”は、歯のプラークの構成要素であるA.ネスランディイを指す。
【0013】
本明細書で用いられる用語“阻害”は、歯のプラークと関係する細菌(例えばA.ネスランディイ)の増殖およびバイオフィルム形成の少なくとも減少を指す。
本明細書で用いられる用語“口腔ケア”は、口腔を冒す疾患および障害または関係する医学的な状態の療法的および予防的処置の両方を指す。口の疾患および障害には次のものが含まれるが、それらに限定されない:齲食;歯周疾患(例えば歯肉炎、成人性歯周炎、早発性歯周炎等);粘膜感染症(例えば口腔カンジダ症、単純ヘルペスウイルス感染症、慢性再発性アフタ等);口および咽頭の癌;ならびに前癌性病変。
【0014】
本明細書で用いられる用語“クオラムセンシング”は、細胞密度に応答する遺伝子発現の制御を指す。細菌細胞は分泌されるシグナル伝達分子を利用してバイオフィルムの細胞の間で情報交換する。典型的には、A.ネスランディイを含むグラム陽性細菌は小さいペプチドを作用因子であるシグナル伝達分子として利用する。
【0015】
本明細書で用いられる用語“療法上有効量”は、処置されるべき対象の状態(単数または複数)の有意にプラスの修正を提供するのに十分に高い組成物の量を指す。本明細書で用いられる“療法上有効量”には、予防的な量、例えば齲食および関連する疾患、ならびにそれらの症状を予防する、またはそれらに対して保護するのに有効な量、ならびに齲食、関連する疾患、およびそれらの症状を緩和する、または治すのに有効な量が含まれる。
【0016】
本明細書で用いられる用語“健康な口の状態”は、歯肉炎および/または歯周疾患が無いことを意味する。
本明細書で用いられる用語“歯周疾患”は、歯肉、または歯茎組織;セメント質、または歯の根の外側の層;歯槽骨、またはその中に歯が据えつけられている(anchored)骨性窩(bony sockets);ならびにセメント質および歯槽骨の間を通っている結合組織線維である歯周靭帯を含む歯周組織の炎症を意味し、歯肉炎を含む。
【0017】
本発明は、クオラムセンシングの阻害および/または殺菌活性により口のバイオフィルムの成長および形成を阻害するための口腔ケア組成物および方法を含む。
I.口腔ケア組成物
一部の態様において、本発明は口の健康のケアの利益を提供するための口腔ケア組成物を開示する。一部の態様において、本発明は、次のものから選択される少なくとも1種類の口の健康のケアの利益を提供するための口腔ケア組成物を開示する:口のバイオフィルムの抗付着、抗酸化、および抗微生物の利益。一部の態様において、本発明は、多数の口の健康のケアの利益を提供するための口腔ケア組成物を開示する。一部の態様において、本発明は、口のバイオフィルムの抗付着、抗酸化、および抗微生物の利益を含む口の健康のケアの利益を提供するための口腔ケア組成物を開示する。
【0018】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は少なくとも1種類の歯周疾患の代謝産物を上方制御および/または下方制御する。一部の態様において、本発明は、少なくとも1種類の歯周疾患の代謝産物を上方制御するための口腔ケア組成物を開示する。一部の態様において、本発明は、少なくとも1種類の歯周疾患の代謝産物を下方制御するための口腔ケア組成物を開示する。一部の態様において、本発明は、多数の歯周疾患の代謝産物を上方制御および/または下方制御するための口腔ケア組成物を開示する。
【0019】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は口腔中での使用に適している。一部の態様において、その口腔用組成物は口腔を通した摂取に適している。一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は次のものを含むが、それらに限定されない:クリーム(cremes)、ゲル、ペースト、泡状物質、エマルジョン、懸濁液、エアロゾル、スプレー、マウスウォッシュ(mouthwashes)、医薬、カプセル、顆粒、ロゼンジ、錠剤、甘味およびチューインガム。一部の態様において、その口腔ケア組成物は歯磨組成物である。一部の態様において、その歯磨組成物は次のものから選択されるメンバーである:練り歯磨き、ゲル、マウスウォッシュ、デンタルフロス、粉末、歯肉に接着する細片、歯ブラシ、および同様のもの。一部の態様において、その本発明に従う歯磨組成物は練り歯磨きである。
【0020】
A.カーボネート化合物
一部の態様において、本発明は、療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を開示する。本発明における使用に適したカーボネート化合物は、式1に従う:
【0021】
【化2】

【0022】
ここで、
およびRは独立して次のものである:脂肪族基;ヒドロキシ脂肪族基;またはアリール基。
【0023】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物を含み、ここでRおよびRは独立して次のものである:環式または分枝状脂肪族基;線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基;または置換されていないアリール基。一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物を含み、ここでRおよびRは独立して次のものである:10個までの炭素原子を有する環式または分枝状脂肪族基;10個までの炭素原子を有する線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基;または置換されていないアリール基。
【0024】
一部の態様において、Rは環式または分枝状脂肪族基である。一部の態様において、Rは10個までの炭素原子を有する環式または分枝状脂肪族基である。一部の態様において、Rは5〜10個の炭素原子を有する環式または分枝状脂肪族基である。一部の態様において、Rは5〜8個の炭素原子を有する環式または分枝状脂肪族基である。一部の態様において、Rは芳香環である。一部の態様において、Rは置換された、または置換されていないアリール基である。一部の態様において、Rは置換されていないアリール基である。
【0025】
一部の態様において、Rは線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基である。一部の態様において、Rは10個までの炭素原子を有する線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基である。一部の態様において、Rは6〜10個の炭素原子を有する線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基である。
【0026】
一部の態様において、Rは10個までの炭素原子を有する環式または分枝状脂肪族基から選択され、Rは線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基から選択される。一部の態様において、Rは置換されていないアリール基であり、Rは10個までの炭素原子を有する線状または分枝状ヒドロキシ脂肪族基から選択される。
【0027】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物を含み、ここでその少なくとも1種類のカーボネート化合物は次のものである:
【0028】
【化3】

【0029】

一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物を含み、ここでその少なくとも1種類のカーボネート化合物は次のものである:
【0030】
【化4】

【0031】

一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物を含み、ここでその少なくとも1種類のカーボネート化合物は次のものである:
【0032】
【化5】

【0033】

一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物はその少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物を0.05重量%から5重量%までの療法上有効量で含む。一部の態様において、その少なくとも1種類のカーボネート化合物は0.1重量%〜1.5重量%の有効量で存在する。一部の態様において、その少なくとも1種類のカーボネート化合物は0.3重量%〜1.2重量%の有効量で存在する。
【0034】
B.賦形剤
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は少なくとも1種類の賦形剤を含む。本発明における使用に適した賦形剤には、口腔ケア組成物において一般的に用いられるあらゆる化合物が含まれ、それは式1のカーボネート化合物の有効性を変化させない。
【0035】
本発明に従う口腔用組成物に関する適切な賦形剤は次のものから選択されてよい:保存剤、研磨剤(平滑剤)、さらなる抗細菌剤、炎症抑制剤、刺激予防剤、刺激抑制剤、さらなる抗微生物剤、抗酸化剤、結合剤、(鉱質)増量剤、緩衝剤、キャリヤー物質、キレート剤(キレート形成剤)、清浄剤、ケア剤、表面活性物質、乳化剤、酵素、泡形成剤、泡安定剤、起泡力増進剤(foam boosters)、ゲル化剤、ゲル形成剤、漂白剤、匂いおよび/または味を調節する薬剤、匂いおよび/または味を低減する薬剤、匂いおよび/または味を増進する薬剤、可塑剤、(粘膜)/皮膚冷却剤(冷却物質)、(粘膜)/皮膚無痛化薬、(粘膜)/皮膚クレンジング剤、(粘膜)/スキンケア剤、(粘膜)/皮膚治癒剤、粘膜保護剤、安定剤、懸濁化剤、ビタミン類、着色剤、色を保護する薬剤、顔料、界面活性剤、電解質、シリコン誘導体、ポリオール類、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化アルミニウム、フッ化物、亜鉛、スズ、カリウム、ナトリウムおよびストロンチウム塩類、ピロホスフェート類、ヒドロキシアパタイト類。
【0036】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は少なくとも1種類の賦形剤を含み、ここでその少なくとも1種類の賦形剤は次のものから選択される:界面活性剤、脱感作剤、白化剤、歯石制御剤、抗細菌剤、シリカを含む研磨剤、結合剤および増粘剤、洗浄剤、接着剤、発泡調節剤(foam modulators)、pH修正剤(pH modifying agents)、食感剤(mouth−feel agents)、甘味料、香味料、着色剤、保存剤、それらの組み合わせ、ならびに同様のもの。
【0037】
1.香味料
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は香味料を含む。一部の態様において、その香味料は次のものから選択されるメンバーである:粘膜冷却剤、粘膜昇温剤(warming agents)、幾分苦い物質(sharp−tasting substances)、甘味料、代替糖、有機性または無機性酸性化剤(例えば、リンゴ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸)、苦味素(例えば、キニーネ、カフェイン、リモニン(limonine)、アマロゲンチン(amarogentine)、フモロン類(humolones)、ルポロン類(lupolones)、カテコール類、タンニン類)、食用鉱物塩類(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムおよびリン酸ナトリウム類)、精油(例えばスペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、サッサフラス、チョウジ、セージ、ユーカリ、マヨラマ、桂皮、レモン、ライム、グレープフルーツ、およびオレンジの油)、メントール、カルボン(carvone)、アネトール、およびそれらの組み合わせ。
【0038】
2.研磨剤
本発明における使用に適した研磨剤には、シリカ物質ならびに特に100cc/100gシリカ未満の、好ましくは45/100gから70cc/100gシリカ未満までの範囲の油吸収値(oil absorption value)を有するシリカゲル類および沈降非晶質シリカが含まれる。油吸収値はASTAこすり落とし法(Rub−Out Method)D281を用いて測定される。本発明の実施において特に有用である低い油吸収のシリカ研磨剤は、商品名Sylodent(登録商標)XWA(W.R.Grace & Co.のDavison化学事業部、メリーランド州バルティモア 21203)の下で市場に出されている。29重量%の含水量を有し、直径が平均して7から10ミクロンまでであり、油吸収が70cc/100gシリカ未満であるコロイド状シリカの粒子からなるシリカヒドロゲルであるSylodent(登録商標)650 XWAは、本発明の実施において有用な低い油吸収のシリカ研磨剤の好ましい例である。本発明の実施において特に有用である別の低い油吸収のシリカ研磨剤は、商品名DP−105(商標)(J.M.Huber化学事業部、メリーランド州ハーバー デ グレース 21078)の下で市場に出されており、それは5から12ミクロンまでの平均粒径分布および50〜70cc/100gの範囲の油吸収を有する沈降非晶質シリカである。本発明の実施において用いることができる他の研磨剤には、20ミクロンまでの平均粒径を有する沈降シリカ類、例えばZeodent(登録商標)115(J.M.Huber化学事業部、メリーランド州ハーバー デ グレース 21078)、またはSylodent(登録商標)783(W.R.Grace&CompanyのDavison化学事業部)、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、ベントナイト、または他のシリカ性材料、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0039】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は研磨性賦形剤を含む。一部の態様において、その研磨性賦形剤はシリカ物質である。一部の態様において、そのシリカ物質は3ミクロンから12ミクロンまでの平均粒径を有するコロイド粒子である。一部の態様において、そのコロイド粒子は5から10ミクロンまでの範囲の平均粒径および5重量%スラリーとして測定した場合に4から10まで、好ましくは6から9までのpHの範囲を有する。一部の態様において、そのシリカ物質は低い油吸収のシリカ研磨剤である。一部の態様において、その低い油吸収のシリカ研磨剤は本発明の口腔ケア組成物中に5重量%〜40重量%の濃度で存在する。一部の態様において、その低い油吸収のシリカ研磨剤は10重量%〜30重量%の濃度で存在する。
【0040】
一部の態様において、その研磨性賦形剤は次のものから選択されるメンバーである:ケイ酸、炭酸カルシウム類、リン酸カルシウム類、酸化アルミニウム類および/またはヒドロキシアパタイト類、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、ベントナイト、表面活性物質(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムラウロイルサルコシネート、およびコカミドプロピルベタイン(cocamidopropylbetaine))、および他のシリカ性物質、およびそれらの組み合わせ。
【0041】
一部の態様において、その研磨性賦形剤はそれぞれ本発明の口腔ケア組成物の調製における唯一の研磨剤として、または他の既知の歯磨剤用研磨剤との組み合わせで用いることができる。一部の態様において、本発明の歯磨組成物中に存在する研磨性賦形剤の総量は5重量%〜60重量%である。一部の態様において、その歯磨組成物が練り歯磨きである場合、その研磨性賦形剤は10重量%〜55重量%の量で存在する。
【0042】
3.抗微生物剤
本発明における使用に適した抗微生物剤には、ハロゲン化ジフェニルエーテル化合物、例えば2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)および2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジブロモジフェニルエーテルを含む非イオン性抗細菌剤が含まれる。他の有用な非イオン性抗細菌剤には、フェノールおよびそれの同族体を含むフェノール化合物、モノおよびポリアルキルならびに芳香族ハロフェノール類、レゾルシノールおよびそれの誘導体ならびにビスフェノール系化合物が含まれ、そのようなフェノール化合物は米国特許第5,368,844号においてより完全に開示されており、その開示を本明細書に援用する。
【0043】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は抗微生物剤を含む。一部の態様において、その抗微生物剤は次のものから選択されるメンバーである:トリクロサン、クロルヘキシジンおよびその塩類(例えばその酢酸塩、グルコン酸塩または塩酸塩)、過酸化物、フェノール類およびそれらの塩類、臭化ドミフェン(臭化フェノドデシニウム)、ブロモクロロフェン(bromochlorophene)、Zn塩類、クロロフィル類、Cu塩類、Cuグルコネート、Cuクロロフィル、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級モノアンモニウム塩類、例えばココ脂肪族ベンジルジメチルアンモニウムクロリド(cocoaliphaticbenzyldimethylammonium chloride)、またはピリジニウム塩類、例えば塩化セチルピリジニウム、およびそれらの組み合わせ。
【0044】
一部の態様において、その抗微生物剤は非イオン性抗細菌剤である。一部の態様において、その非イオン性抗細菌剤は歯磨組成物中に0.10重量%〜5重量%の濃度で含まれる。一部の態様において、その非イオン性抗細菌剤は0.3重量%〜1.2重量%の量で存在する。
【0045】
4.抗齲食剤
一部の態様において、本発明に従う口腔用組成物は抗齲食剤を含む。一部の態様において、その抗齲食剤は次のものから選択されるフッ化物イオンの源である:無機フッ化物塩類、例えば可溶性アルカリ金属、アルカリ土類金属塩類(例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カルシウム)、フッ化銅、例えばフッ化第一銅(cuprous fluoride)、フッ化亜鉛、フッ化バリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フルオロジルコン酸ナトリウム、フルオロジルコン酸アンモニウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノ−およびジ−フルオロリン酸アルミニウム、フッ素化ナトリウムカルシウムピロホスフェート、ならびにそれらの組み合わせ。
【0046】
5.歯磨剤用ビヒクル
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は口に許容可能な歯磨剤用ビヒクルを含む。一部の態様において、その歯磨剤用ビヒクルはその中に湿潤剤を含む。本発明における使用に適した湿潤剤には、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、および/または200〜1,000の範囲の分子量のプロピレングリコールが含まれる。本明細書で用いられる“ソルビトール”は、典型的には70%水溶液として商業的に入手可能である物質を指す。一部の態様において、その湿潤剤の濃度はその口腔用組成物の5重量%から70重量%までである。
【0047】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は水を含む。商業的に適切な練り歯磨きの調製において用いられる水は、好ましくは脱イオン化されており、有機性不純物を含まない。一部の態様において、水はその口腔用組成物の15重量%〜30重量%の量で存在する。一部の態様において、水は10重量%の量で存在する。一部の態様において、水のこれらの量は、他の物質と共に、例えばソルビトールと共に導入される水に加えて添加される遊離水を含む。
【0048】
6.界面活性剤
本発明の組成物における使用に適した界面活性剤には、増大した予防作用を達成し、口腔ケア組成物をより美容的に許容可能なものにすることができるあらゆる物質が含まれる。その界面活性剤は好ましくは、その口腔ケア組成物に洗浄力があり(detersive)発泡する特性を与える、洗浄力のある物質である。
【0049】
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は界面活性剤を含む。一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は界面活性剤の組み合わせを含む。一部の態様において、その界面活性剤は高級アルキルサルフェート類、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含む陰イオン性界面活性剤である。一部の態様において、その界面活性剤は、次のものから選択される酵素と共存できる界面活性剤である:非陰イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤、例えばPluronic(登録商標)F127、Polyoxamer 407、Steareth 30、Polysorbate 20;ならびに両性界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインおよびコカミドプロピルベタインラウリルグルコシド。一部の態様において、本発明に従う口腔用組成物は、その歯磨組成物中の全界面活性剤の濃度で、2重量%〜10重量%の界面活性剤または界面活性剤の組み合わせを含む。一部の態様において、その界面活性剤または界面活性剤の組み合わせは重量により3.5重量%〜6.5重量%の量で存在する。
【0050】
7.抗歯石剤
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は抗歯石剤を含む。一部の態様において、その抗歯石剤は次のものから選択される:二アルカリまたは四アルカリ金属ピロリン酸塩類、例えばNa、K、Na、NaおよびKを含むピロリン酸塩類;トリポリリン酸ナトリウム;長鎖ポリホスフェート類、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム;および環式ホスフェート類、例えばトリメタリン酸ナトリウム。一部の態様において、抗歯石剤は本発明の歯磨組成物中に1重量%〜5重量%の濃度で存在する。
【0051】
8.増粘剤
一部の態様において、本発明に従う口腔ケア組成物は増粘剤を含む。一部の態様において、その増粘剤は次のものからなるグループから選択されるが、それらに限定されない:炭酸カルシウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、滑石、酸化アルミニウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、水酸化マグネシウム、セルロース系増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース類、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ガム類、例えばキサンタンガム、ポリグリコール類およびポリエチレングリコール、無機性増粘剤(例えば、非晶質シリカ化合物、天然および合成粘土、リチウムマグネシウムシリケートおよびマグネシウムアルミニウムシリケート)、ならびにそれらの組み合わせ。
【0052】
一部の態様において、その増粘剤は次のものから選択される有機性増粘剤である:次のものを含む、天然および合成ガム類およびコロイド類:セルロース系増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース類、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース;ガム類、例えばキサンタンガム;商品名Polyox(商標)の下で売られている、様々な分子量のポリグリコール類;およびポリエチレングリコール。一部の態様において、その増粘剤は次のものから選択される無機性増粘剤である:非晶質シリカ化合物、例えば次の商品名の下で入手可能であるコロイド性シリカ化合物:Cab−o−Sil(登録商標)(Cabot Corporationにより製造され、Lenape Chemical、ニュージャージー州バウンドブルックにより流通されている);Zeodent(登録商標)165(J.M.Huber化学事業部、メリーランド州ハーバー デ グレース 21078);Sylodent(登録商標)15(W.R.Grace&CompanyのDavison化学事業部、メリーランド州ボルチモア 21203);天然および合成粘土;リチウムマグネシウムシリケート(Laponite);およびマグネシウムアルミニウムシリケート(Veegum)。一部の態様において、その増粘剤は本発明の歯磨組成物中に0.1重量%〜10重量%の量で存在する。一部の態様において、その増粘剤は0.5重量%〜4.0重量%の量で存在する。
【0053】
9.抗酸化剤
一部の態様において、本発明に従う口腔用組成物は抗酸化剤を含む。一部の態様において、その抗酸化剤は次のものから選択される:天然に生じるトコフェロール類およびそれらの誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンCおよびその塩類および誘導体(例えばアスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)、トコトリエノール類、フラボノイド類、アルファ−ヒドロキシ酸類(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸)ならびにそれらのNa、KaおよびCa塩類、フラボノイド類、クエルセチン(quercetin)、フェノール性ベンジルアミン類、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA、E320)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT、2,6−ジ−tert.−ブチル−4−メチルフェノール、E321)、レシチン類、クエン酸でエステル化された食用脂肪酸のモノ−およびジグリセリド類、カロテノイド類、カロテン類(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびそれらの誘導体、フィチン酸、ラクトフェリン、EDTA、EGTA)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、フェルラ酸(ferulic acid)およびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えばセレニウムメチオニン)、オルトホスフェート類ならびにモノ−リン酸類のNa、KおよびCa塩類、ならびに植物から分離されたその成分、抽出物および画分(例えば茶、緑茶、藻類、ブドウ種子、麦芽、カモミール、ローズマリー、オレガノ)ならびにそれらの組み合わせ。
【0054】
II.口腔ケアの利益を提供する方法
一部の態様において、本発明は、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔用組成物を適用することを含む、口腔ケアの利益を提供する方法を開示する。一部の態様において、その口腔ケアの利益にはバイオフィルムの抗付着、抗酸化、および抗微生物の利益が含まれる。一部の態様において、口腔ケアの利益を提供する方法は、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および前に上記の節で論じたような少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔用組成物を適用することを含む。
【0055】
A.口のバイオフィルムの抗付着
口のバイオフィルム−細菌、細菌の細胞外副産物、タンパク質、脂質、および糖脂質を含む−は、口の表面上に形成され、歯石(calculus or tartar)の形成のための場所を提供する基質である。
【0056】
一部の態様において、本発明は、口のバイオフィルムの抗付着の利益を提供するための方法を開示する。一部の態様において、提供される口のバイオフィルムの抗付着の利益には式1のカーボネート化合物によるクオラムセンシングの阻害が含まれる。一部の態様において、提供される口のバイオフィルムの抗付着の利益には、式1のカーボネート化合物が口の細菌と相互作用してそれが口の表面に付着できないようにすることが含まれる。一部の態様において、式1のカーボネート化合物は、通常口の表面上の受容体または他の部分との結合を促進するであろう口の細菌の表面上のアドヘシン、リガンド、または他の部分と相互作用する。一部の態様において、提供される口のバイオフィルムの抗付着の利益には、式1のカーボネート化合物が口の表面と相互作用して細菌およびバイオフィルムの構成要素が口または歯の表面に接着できないように保護層を形成し、それにより口の表面上で最初の固着層(anchoring layer)が形成されるのを防ぐことが含まれる。一部の態様において、式1のカーボネート化合物は実質的に口の表面を覆い、細菌およびバイオフィルム基質の他の構成要素の付着を防ぐことができる。
【0057】
療法上有効量の本発明の少なくとも1種類のカーボネート化合物を含む口腔用組成物の口のバイオフィルムの抗付着の利益は、384ウェルプレートにおいて0.0004〜2500ppmの濃度範囲にわたってクリスタルバイオレットアッセイ(SOP番号ATO−5345−00)を用いて調べられた。
【0058】
B.抗酸化剤
酸化は電子を物質から酸化剤に移す化学反応であり、組織を損傷する連鎖反応および炎症を開始するフリーラジカルを生成する可能性がある。酸化的ストレスは活性酸素の生成およびその反応性中間体をすぐに解毒する、または結果として生じる損傷を修復する生物のシステムの能力の間の不均衡の結果であり、多くの疾患状態における重要な要因である可能性がある。抗酸化剤は、他の分子の酸化を遅くする、または防ぐことができる還元剤である。
【0059】
一部の態様において、本発明は抗酸化の利益を提供するための方法を開示する。一部の態様において、提供される抗酸化の利益には、式1のカーボネート化合物がフリーラジカルの連鎖反応を終結させることが含まれる。一部の態様において、式1のカーボネート化合物はフリーラジカル中間体を除去する。一部の態様において、式1のカーボネート化合物はフリーラジカルを生じること無くそれ自体が酸化されることにより他の酸化反応を阻害する。一部の態様において、式1のカーボネート化合物は既存の抗酸化剤に匹敵する抗酸化の利益の有効性を提供する。一部の態様において、式1のカーボネート化合物はビタミンEに匹敵する抗酸化の利益の有効性を提供する。
【0060】
その抗酸化活性は、脂質ペルオキシダーゼアッセイ(Kamiaya Biomedical Co.、ワシントン州シアトル)を用いて決定され、それはクメンヒドロペルオキシドラジカルの還元を測定する比色法である。
【0061】
C.抗微生物物質
一部の態様において、本発明は抗微生物の利益を提供するための方法を開示する。一部の態様において、提供される抗微生物の利益には、式1のカーボネート化合物が微生物の細胞膜の脂質画分を撹乱することが含まれる。一部の態様において、式1のカーボネート化合物は微生物の膜の透過性を変化させ、結果として細胞内物質の漏出および細胞の死をもたらす。一部の態様において、式1のカーボネート化合物は微生物の細胞膜を横切り、その細胞の内部に浸透し、抗微生物活性に関して重要な細胞内の部位と相互作用する。一部の態様において、提供される抗微生物の利益には、式1のカーボネート化合物が口のバイオフィルムの形成を阻害することが含まれる。
【0062】
その抗微生物試験は、最低阻止濃度(MIC)の決定に関してSOP番号ATO−5308−00に従って測定された。
III.歯周疾患の代謝産物を制御する方法
歯肉溝滲出液中の歯周疾患の代謝産物は健康な、および/または歯周疾患の口の状態に対応しており、口の健康の差次的診断を可能にする。歯周疾患の代謝産物は次のものから選択することができる:アミノ酸代謝により生じる化合物、尿素サイクルにおいて生じる化合物;グルタチオン変換において生じる化合物;脂質代謝において生じる化合物;炭水化物代謝において生じる化合物;核酸代謝により生じる化合物;ビタミン類;および補因子。
【0063】
本明細書で記述される歯周疾患の代謝産物はメタボロミクスプロファイリングの技法を用いて発見された。そのようなメタボロミクスプロファイリングの技法は米国特許第7,005,255号および第7,329,489号;ならびに米国特許出願番号11/357,732;11/301,077(公開番号2006/0134676);11/301,078(公開番号2006/0134677);11/301,079(公開番号2006/0134678)および11/405,033(公開番号2007/0072203)において記述されており、その内容全体を本明細書に援用する。
【0064】
一部の態様において、本発明は、歯周疾患の代謝産物を上方制御または下方制御する方法であって、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む方法を開示する。一部の態様において、その上方制御または下方制御される代謝産物は次のものから選択される少なくとも1種類の化合物である:アミノ酸代謝により生じる化合物、尿素サイクルにおいて生じる化合物;グルタチオン変換において生じる化合物;脂質代謝において生じる化合物;炭水化物代謝において生じる化合物;核酸代謝により生じる化合物;ビタミン類;および補因子。
【0065】
A.上方制御
一部の態様において、本発明は歯周疾患の代謝産物を上方制御するための方法を開示する。一部の態様において、歯周疾患の代謝産物を上方制御するための方法は、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む。一部の態様において、歯周疾患の代謝産物を上方制御する方法は、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および前に上記の節で論じたような少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔用組成物を適用することを含む。一部の態様において、その口腔ケア組成物は次のものからなるラジカル(radical)から選択される少なくとも1種類の代謝産物を上方制御する:尿酸、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン、アスコルビン酸、およびグルタミン。
【0066】
B.下方制御
一部の態様において、本発明は歯周疾患の代謝産物を下方制御するための方法を開示する。一部の態様において、歯周疾患の代謝産物を下方制御するための方法は、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む。一部の態様において、歯周疾患の代謝産物を下方制御する方法は、口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および前に上記の節で論じたような少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔用組成物を適用することを含む。一部の態様において、その口腔ケア組成物は次のものからなるラジカル(radical)から選択される少なくとも1種類の代謝産物を下方制御する:イノシン、ヒポキサンチン、グアノシン、グアニン、ロイシン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、フェニル酢酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸(α−hydroxyioscaproic acid)、5−アミノ吉草酸、コリン、グリセロール−3−リン酸、およびN−アセチルノイラミン酸。
【実施例】
【0067】
実施例1
表1.カーボネート部分を含む3種類の化合物のセットに関する構造情報および抗バイオフィルム/殺菌活性の要約。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例2
練り歯磨き中に配合される本発明のカーボネート化合物は、次のものから選択される少なくとも1つのメンバーを上方制御または下方制御する能力を有していてよい:アミノ酸代謝により生じる化合物、尿素サイクルにおいて生じる化合物;グルタチオン変換において生じる化合物;脂質代謝において生じる化合物;炭水化物代謝において生じる化合物;核酸代謝により生じる化合物;ビタミン類;および補因子。
【0070】
化合物58
本明細書および上記の実施例において論じたように、口腔を練り歯磨き中に配合された化合物58と接触させることは、次の代謝産物の1種類以上の産生を下方制御することができる:イノシン、ヒポキサンチン、グアノシン、グアニン、ロイシン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、フェニル酢酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸(α−hydroxyioscaproic acid)、5−アミノ吉草酸、コリン、グリセロール−3−リン酸、およびN−アセチルノイラミン酸。
【0071】
口腔を練り歯磨き中に配合された化合物58と接触させることは、次の代謝産物の1種類以上の産生を上方制御することができる:尿酸、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン、アスコルビン酸、およびグルタミン。
【0072】
化合物59
本明細書および上記の実施例において論じたように、口腔を練り歯磨き中に配合された化合物59と接触させることは、次の代謝産物の1種類以上の産生を下方制御することができる:イノシン、ヒポキサンチン、グアノシン、グアニン、ロイシン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、フェニル酢酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸(α−hydroxyioscaproic acid)、5−アミノ吉草酸、コリン、グリセロール−3−リン酸、およびN−アセチルノイラミン酸。
【0073】
口腔を練り歯磨き中に配合された化合物59と接触させることは、次の代謝産物の1種類以上の産生を上方制御することができる:尿酸、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン、アスコルビン酸、およびグルタミン。
【0074】
化合物60
本明細書および上記の実施例において論じたように、口腔を練り歯磨き中に配合された化合物60と接触させることは、次の代謝産物の1種類以上の産生を下方制御することができる:イノシン、ヒポキサンチン、グアノシン、グアニン、ロイシン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、フェニル酢酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸(α−hydroxyioscaproic acid)、5−アミノ吉草酸、コリン、グリセロール−3−リン酸、およびN−アセチルノイラミン酸。
【0075】
口腔を練り歯磨き中に配合された化合物60と接触させることは、次の代謝産物の1種類以上の産生を上方制御することができる:尿酸、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン、アスコルビン酸、およびグルタミン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物:
【化1】

ここで、
およびRは独立して以下のものである:脂肪族基;ヒドロキシ脂肪族基;またはアリール基。
【請求項2】
およびRが独立して以下のもの:環式もしくは分枝状脂肪族基;線状もしくは分枝状ヒドロキシ脂肪族基;または置換されていないアリール基である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項3】
およびRが独立して以下のもの:10個までの炭素原子を有する環式もしくは分枝状脂肪族基;10個までの炭素原子を有する線状もしくは分枝状ヒドロキシ脂肪族基;または置換されていないアリール基である、請求項2に記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
が10個までの炭素原子を有する環式もしくは分枝状脂肪族基から選択される、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
が線状もしくは分枝状ヒドロキシ脂肪族基から選択される、請求項4に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
が置換されていないアリール基である、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
が10個までの炭素を有する線状もしくは分枝状ヒドロキシ脂肪族基である、請求項6に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
その少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物が以下のもの:
【化2】

である、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
その少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物が以下のもの:
【化3】

である、請求項2に記載の口腔ケア組成物。
【請求項10】
その少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物が以下のもの:
【化4】

である、請求項2に記載の口腔ケア組成物。
【請求項11】
請求項2に記載の口腔ケア組成物であって、少なくとも1種類の賦形剤が以下のもの:界面活性剤、脱感作剤、白化剤、歯石制御剤、抗細菌剤、シリカを含む研磨剤、結合剤および増粘剤、洗浄剤、接着剤、発泡調節剤、pH修正剤、食感剤、甘味料、香味料、着色剤、保存剤、それらの組み合わせ、ならびに同様のものからなるグループから選択される口腔ケア組成物。
【請求項12】
口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む、口腔ケアの利益を提供する方法。
【請求項13】
少なくとも1種類の口腔ケアの利益が以下のもの:バイオフィルムの抗付着、抗酸化、および抗微生物の利益からなるグループから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
その口腔ケアの利益がバイオフィルムの抗付着である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
その口腔ケアの利益が抗酸化である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
その口腔ケアの利益が抗微生物である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
口腔に療法上有効量の少なくとも1種類の式1のカーボネート化合物および少なくとも1種類の賦形剤を含む口腔ケア組成物を適用することを含む、歯周疾患の代謝産物を上方制御または下方制御する方法。
【請求項18】
その口腔ケア組成物が以下のもの:アミノ酸代謝により生じる化合物、尿素サイクルにおいて生じる化合物;グルタチオン変換において生じる化合物;脂質代謝において生じる化合物;炭水化物代謝において生じる化合物;核酸代謝により生じる化合物;ビタミン類;および補因子から選択される少なくとも1つのメンバーを上方制御または下方制御する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
その口腔ケア組成物が以下のもの:尿酸、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン、アスコルビン酸、およびグルタミンから選択される少なくとも1種類の代謝産物を上方制御する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
その口腔ケア組成物が以下のもの:イノシン、ヒポキサンチン、グアノシン、グアニン、ロイシン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、フェニル酢酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸(α−hydroxyioscaproic acid)、5−アミノ吉草酸、コリン、グリセロール−3−リン酸、およびN−アセチルノイラミン酸から選択される少なくとも1種類の代謝産物を下方制御する、請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2012−522771(P2012−522771A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503386(P2012−503386)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/039140
【国際公開番号】WO2010/114533
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】