説明

口腔スプレー用組成物及び口腔用製剤

【解決手段】(A)ポリグルタミン酸塩、(B)クエン酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、酒石酸及びその塩、コハク酸及びその塩から選ばれる1種以上の有機酸及びその塩、(C)l−メントール、(D)グリセリン、(E)界面活性剤、及び(F)モノメンチルサクシネートを含有し、かつ(A)成分を0.05〜5質量%、(B)成分を2〜6質量%、(D)成分を10〜50質量%、(F)成分を0.01〜0.3質量%配合してなる口腔スプレー用組成物。
上記口腔スプレー用組成物をスプレー容器に収容して口腔用製剤とする。
【効果】本発明の口腔スプレー用組成物及び口腔用製剤は、使用者が、口中の乾燥が気になったとき口腔内にスプレーするだけで、使用直後から口中が潤った感覚を実感できると同時に満足な冷涼感が感じられ、その潤い実感及び冷涼感の持続性が高く、製剤の経時保存安定性にも優れる。本発明製剤は、口腔乾燥症などの予防又は改善に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔乾燥症などによる口中の乾燥感を、使用直後から長時間に亘り持続的に改善することができ、同時に口中の冷涼感の持続性が高く、使用感が良好で、かつ経時保存安定性にも優れた口腔スプレー用組成物及び口腔用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内の乾燥は日常生活において経験され、不快感、口臭の発生等を伴い、更にはう蝕、歯周疾患を引き起こす場合もある。このような口腔内の乾燥は、口腔機能低下による唾液分泌量の減少に起因する場合が多い。
【0003】
唾液分泌を促進する技術としては、梅干や梅酢、有機酸などの酸の刺激により唾液分泌が促進されることが知られている(特許文献1;特開昭56−22719号公報、特許文献2;特開平7−101856号公報参照)。しかし、酸による刺激は一時的なものであり、抜本的な改善に繋がらず、更に酸を頻繁に適用した場合、歯牙の溶解や口腔粘膜に対する刺激など口腔組織への影響が危惧される。
【0004】
また、ヒアルロン酸等の保湿成分により、口腔内の非乾燥感を持続させ、乾燥感を抑制する方法も提案されている(特許文献3;国際公開第00/56344号パンフレット参照)が、これは唾液の分泌を促進するものではなく、効果の持続性や使用性が十分とは言い難かった。
【0005】
一方、特許文献4(国際公開第05/049050号パンフレット)には、口腔組織に対して刺激性無しに唾液分泌を促進する手段としてポリグルタミン酸(PGA)又はその塩の利用が提案されており、ポリグルタミン酸ナトリウム又はカリウムを配合した洗口液及び口中清涼剤、ポリグルタミン酸アンモニウム、クエン酸などを配合したうがい用錠剤、ポリグルタミン酸エタノールアミン塩、グリセリンなどを配合した給水吸引機能付き口腔ケアシステム用溶液などが開示されている。
【0006】
また、特許文献5(特開2005−015347号公報)には、皮膚の最外層に存在する角質層の保湿環境にかかわるフィラグリンの合成促進剤の有効成分としてポリ−γ−グルタミン酸又はその誘導体が有効であることが提案され、ポリ−γ−グルタミン酸又はその誘導体を有効成分とする外用組成物が各種剤型の化粧料に調製されること、具体的に口中清涼剤の組成などが開示されている。
【0007】
しかし、本発明者らが、ポリグルタミン酸又はその塩を配合した製剤について検討したところ、口腔内への適用において、使用直後から長時間に亘る効果の持続性が十分とは言えず、口中に潤い実感を与えるという点において改善の余地があった。更に、ポリグルタミン酸又はその塩を配合した製剤にグリセリンを配合すると、製剤の安定化には有効であるが、特に高濃度配合では熱感を伴う使用感が認められ、冷涼感、特に使用直後から長時間に亘る冷涼感の持続性が十分とは言い難く、口中での使用感に改善の余地があることがわかった。
【0008】
冷涼感を付与することを目的とした技術は数多く提案されており、例えば特許文献6(特開2005−8535号公報)には、l−メントール類と各種冷涼剤とを含有する毛髪及び身体洗浄剤組成物が優れた清涼感、冷感効果、及びその持続性を有すること、特許文献7(特開2007−2005号公報)には、l−メントール類と各種冷涼剤とを組み合わせた冷涼効果を有する香料組成物が、口腔用組成物に配合されることが記載されている。
【0009】
しかしながら、上記したようなポリグルタミン酸又はその塩を配合した製剤では、l−メントールの配合量を増量すると冷涼感が若干増強するもののその効果は十分ではなく、かえって苦味や刺激等が生じ使用感に劣るという問題が生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭56−22719号公報
【特許文献2】特開平7−101856号公報
【特許文献3】国際公開第00/56344号パンフレット
【特許文献4】国際公開第05/049050号パンフレット
【特許文献5】特開2005−015347号公報
【特許文献6】特開2005−8535号公報
【特許文献7】特開2007−2005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ポリグルタミン酸又はその塩を配合した製剤においては、口腔内へ使用直後から継続して口中の乾燥感を長時間に亘って抑制可能で、優れた潤い実感が持続し、かつ口中の冷涼感が満足に持続し、使用感が良好で、経時保存安定性にも優れることが、口中の乾燥感を満足にかつ持続的に改善するためにも有効かつ望ましいが、従来の技術では、これらをすべて満たすことは困難であった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、上記の課題を解決して、口腔乾燥症などによる口中の乾燥感を口腔内へ適用直後から長時間に亘って持続的に改善でき、口中の潤い実感持続効果に優れ、かつ冷涼感持続効果に優れ、良好な使用感で、経時保存安定性にも優れる口腔スプレー用組成物及びこれを用いた口腔用製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ポリグルタミン酸塩と、特定の有機酸及びその塩と、l−メントールと、グリセリンと、界面活性剤と、モノメンチルサクシネートとを組み合わせて配合し、スプレー用容器等に収容して口腔内に噴霧して適用することにより、口腔乾燥症などによる口中の乾燥感を口腔内へ適用直後から長時間に亘って持続的に改善でき、口中の潤い実感持続効果に優れ、かつ冷涼感持続効果に優れ、良好な使用感で、経時保存安定性にも優れる製剤が得られることを見出した。
【0014】
即ち、本発明では、ポリグルタミン酸塩と、有機酸及びその塩と、グリセリンとを相応しい量で配合し、かつl−メントールと、界面活性剤と、モノメンチルサクシネートとを併用し、これら全ての成分を組み合わせて配合して、スプレー用容器等に収容して口腔内に噴霧して適用することにより、ポリグルタミン酸塩に由来する唾液分泌促進効果が有効かつ持続的に発揮され、口中の潤い実感が使用直後から持続的に高まり、口中の乾燥感を適用直後から長時間に亘って持続的に改善できる上、グリセリンが高濃度で配合されていても熱感を伴う使用感の低下がほとんどなく、優れた冷涼感が使用直後から長時間に亘って持続し、使用時の苦味もほとんどなく、良好な使用感を有し、保存後に析出物やオリ、濁りが認められず経時保存安定性も良好となる。更に、本発明の口腔用組成物は、使用時に口腔粘膜等の口腔組織への刺激性やベタツキ感もなく、これをスプレー容器に収容した製剤は、必要なときに簡単に適用可能で携帯性や簡便性にも優れる。
【0015】
本発明では、後述する実施例からも明らかなように、下記の(A)〜(F)成分を組み合わせて配合し、口腔内に噴霧して適用することによって、本発明の必須要件のいずれかを欠く場合には達成できない優れた効果を兼ね備える。なお、冷涼感を与える成分として各種物質が従来から提案されているが、本発明では、l−メントールにモノメンチルサクシネートを選択的に併用することで格段の冷涼感が得られるもので、モノメンチルサクシネートの代わりにメンチルラクテートや、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドを配合しても、本発明の目的は達成されない。
【0016】
従って、本発明は、下記の口腔スプレー用組成物及び口腔用製剤を提供する。
請求項1;
(A)ポリグルタミン酸塩、(B)クエン酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、酒石酸及びその塩、コハク酸及びその塩から選ばれる1種以上の有機酸及びその塩、(C)l−メントール、(D)グリセリン、(E)界面活性剤、及び(F)モノメンチルサクシネートを含有し、かつ(A)成分を0.05〜5質量%、(B)成分を2〜6質量%、(D)成分を10〜50質量%、(F)成分を0.01〜0.3質量%配合してなることを特徴とする口腔スプレー用組成物。
請求項2;
(F)成分に対する(D)成分の質量比((D)/(F))が100〜3,000である請求項1記載の口腔スプレー用組成物。
請求項3;
(C)成分を0.01〜0.4質量%、(E)成分を1〜10質量%配合した請求項1又は2記載の口腔スプレー用組成物。
請求項4;
(E)界面活性剤が、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキル基の炭素数が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜50のポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸の炭素数が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である請求項1、2又は3記載の口腔スプレー用組成物。
請求項5;
請求項1乃至4のいずれか1項記載の口腔スプレー用組成物をスプレー容器に収容してなる口腔用製剤。
【発明の効果】
【0017】
本発明の口腔スプレー用組成物及び口腔用製剤は、使用者が、口中の乾燥が気になったとき口腔内にスプレーするだけで、使用直後から口中が潤った感覚を実感できると同時に満足な冷涼感が感じられ、その潤い実感及び冷涼感の持続性が高く、製剤の経時保存安定性にも優れる。本発明製剤は、口腔乾燥症などの予防又は改善に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかわるスプレー容器の一実施例を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明につき更に詳細に説明する。本発明の口腔スプレー用組成物は、(A)ポリグルタミン酸塩、(B)有機酸及びその塩、(C)l−メントール、(D)グリセリン、(E)界面活性剤、(F)モノメンチルサクシネートを含有する。
【0020】
ポリグルタミン酸塩は、唾液分泌促進の有効成分として配合されるもので、ポリグルタミン酸のナトリウム塩又はカリウム塩が好適である。
上記ポリグルタミン酸塩としては、化学的に合成されるα又はγ−ポリグルタミン酸のナトリウム又はカリウム塩、あるいは各種菌株からの発酵生産物として得られる天然のα又はγ−ポリグルタミン酸のナトリウム又はカリウム塩が使用できるが、口腔用として使用することから天然のものが好ましく、特に原料としての生産性が高いγ−ポリグルタミン酸ナトリウム又はカリウムがより好適である。
【0021】
ポリグルタミン酸塩の粘度は、特に限定されず、製品の種類に応じて各種粘度のものを使用できるが、後述する方法により測定される4質量%水溶液の粘度が10〜200mPa・s、特に30〜120mPa・sの範囲であることが好ましい。粘度が10mPa・s未満であると唾液分泌促進作用が不十分になる場合がある。200mPa・sを超えると製剤の粘度が高くなり、使用時のスプレーの噴霧性が悪くなる場合がある。
【0022】
粘度測定法
200mLビーカーに水96gをとり、スターラーで撹拌しながらこれにポリグルタミン酸又はその塩を4.0g加えて完全に溶解させた。次に、25℃恒温水槽中に1時間静置後、下記のBL型粘度計を用いて正確に1分後の粘度を測定した。
BL型粘度計:東京計器 B型粘度計 型式BL
ローター:No.2 回転数:60rpm 測定温度:25℃
【0023】
上記ポリグルタミン酸塩としては市販品を利用でき、例えばγ−ポリグルタミン酸ナトリウムとしては明治フードマテリアル社製の明治ポリグルタミン酸などを用いることができる。
【0024】
ポリグルタミン酸塩の配合量は、組成全体の0.05〜5質量%であり、好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.4〜1.5質量%である。0.05質量%未満では唾液分泌促進効果が十分発現せず、潤い感が十分に得られず、5質量%を超えると冷涼感が発現し難く、経時保存安定性に劣る。
【0025】
(B)成分は、有機酸とその塩であり、本発明では、(B)有機酸とその塩と(D)グリセリンとを併用することで、適用直後から持続的に口中に潤いを与えることができ、良好な製剤安定性となる。
有機酸及びその塩としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びコハク酸から選ばれる1種又は2種以上の有機酸とこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)が使用され、具体的にはクエン酸とその塩、リンゴ酸とその塩、酒石酸とその塩、コハク酸とその塩を組み合わせて配合する。中でもクエン酸とクエン酸ナトリウム、リンゴ酸とリンゴ酸ナトリウムの組み合わせが口中の潤い実感や製剤安定性の点から好ましい。
【0026】
有機酸及び有機酸塩の合計配合量は、組成全体の2〜6質量%、好ましくは2.5〜5質量%である。2質量%未満では製剤適用直後の潤い感が満足に得られず、6質量%を超えて配合しても更なる効果は得られず、苦味が強く生じたり、経時保存安定性に問題が生じる。
【0027】
更に、有機酸及び有機酸塩の配合量は、上記合計配合量の範囲内で(有機酸の配合量)≦(有機酸塩の配合量)、特に(有機酸の配合量)<(有機酸塩の配合量)であることが望ましい。
この場合、有機酸の配合量は0.01〜1.5質量%、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。0.01質量%未満では製剤適用直後の口中の潤い感が十分に得られず、1.5質量%を超えると歯牙の溶解や口腔粘膜に刺激を与えたり、苦味が強く生じる場合がある。
有機酸塩の配合量は1.5〜5.9質量%、特に1.8〜4.9質量%が好ましい。1.5質量%未満では製剤適用直後の口中の潤い感などの効果に劣り、5.9質量%を超えると苦味が強く生じたり、経時安定性に劣る場合がある。
【0028】
また、有機酸及び有機酸塩を組み合わせた(B)成分の配合量は、製剤の25℃におけるpHが5〜8になる範囲に調整することが好ましく、製剤のpHが5未満の場合、歯が溶解するリスクが顕著に高くなり、pHが8を超えた場合、口腔粘膜が刺激を受ける可能性がある。
【0029】
(C)l−メントールとしては、l−メントールをそのまま配合しても、l−メントールを含有する精油、例えばペパーミント油、薄荷油等を配合してもよく、l−メントールとl−メントール含有精油とを組み合わせて配合することもできるが、l−メントールをそのまま配合することが冷涼感付与の点でより好ましい。l−メントールは市販品、例えば高砂香料工業(株)製のメントールJP(商品名)等を使用できる。l−メントールを含有する精油としては、市販のペパーミント油(l−メントール含有量35〜60質量%)(高砂香料工業(株)製)や和種薄荷油(l−メントール含有量30〜50質量%)(東洋薄荷工業(株)製)などを使用してもよい。
【0030】
メントールの配合量は、純分換算で組成物全量に対して0.01〜0.4質量%、特に0.03〜0.3質量%が好ましい。配合量が0.01質量%未満では、十分な冷涼感が得られない場合があり、0.4質量%を超えると苦味や刺激が強く使用上好ましくない場合がある。なお、メントールを含有する精油は、メントールの含有量が上記範囲内となるように配合することが望ましい。
【0031】
(D)グリセリンの配合量は、組成全体の10〜50質量%であり、好ましくは15〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%である。10質量%未満では口中の潤い感に劣り、製剤の経時保存安定性が低下する場合があり、更に口腔粘膜への刺激が生じることがあり、50質量%を超えるとベタツキが生じて使用感に劣り、口中の冷涼感、製剤の経時保存安定性が満足に得られない。
【0032】
(E)界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上が好適である。
【0033】
非イオン性界面活性剤としては、ステアリン酸モノグリセリル、ラウリン酸デカグリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ミリスチン酸モノ又はジエタノールアミドなどの脂肪酸エタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が用いられる。特に酸化エチレンが付加したタイプが好ましく、とりわけエチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜50のポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、中でも上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
【0034】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル基の炭素数が8〜18であるアルキル硫酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウムなどのN−アシルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム、N−ミリストイルメチルタウリンナトリウムなどのN−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリルポリオキシエチレン(POE)硫酸ナトリウム、ラウリルPOE酢酸ナトリウム、ラウリルPOEリン酸ナトリウム、ステアリルPOEリン酸ナトリウム、サーファクチンナトリウム等が用いられる。これらの中ではアルキル硫酸塩(特にラウリル硫酸塩)が好適である。
【0035】
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシンなどのN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等が用いられる。
【0036】
界面活性剤としては、特に非イオン性界面活性剤、とりわけエチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキル基の炭素数が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜50のポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸の炭素数が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる酸化エチレンが付加したタイプを配合することが好ましい。
【0037】
界面活性剤の総配合量は、組成全体の1〜10質量%、特に1〜5質量%が好ましい。界面活性剤の配合量が1質量%未満では均一に溶解せず、10質量%を超えると苦味が生じ使用感が悪くなる場合がある。
【0038】
(F)モノメンチルサクシネートは、香料素材で、冷涼感を付与する成分として口腔用組成物のみでなく、食品等にも使用されるものである。モノメンチルサクシネートとしては、市販の合成品を使用でき、ヴェ・マンフィス香料(株)製フィスクール(商品名)などを使用することができる。
【0039】
モノメンチルサクシネートの配合量は、組成全体の0.01〜0.3質量%、特に0.02〜0.2質量%、とりわけ0.02〜0.1質量%が好ましい。配合量が0.01質量%未満では、十分な冷涼感が得られない場合があり、0.3質量%を超えるとむしろ冷涼感が抑えられ、香味発現の阻害や、苦味が生じ使用上好ましくない場合がある。
【0040】
本発明では、モノメンチルサクシネートに加えて、更に、冷涼感付与剤としてその他の公知の冷感剤を添加してもよい。例えば、3−L−メントキシプロパン−1,2−ジオール、メンチルラクテート、メンチルグリセリンアセタール、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を添加できる。具体的には、3−L−メントキシプロパン−1,2−ジオールは高砂香料工業(株)製 クーリングエージェントCA10(商品名)、メンチルラクテートはシムライズ(株)製 FRESCOLAT ML(商品名)、メンチルグリセリンアセタールはシムライズ(株)製 FRESCOLAT MGA(商品名)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドはジボダン(株)製 WS3などの市販のものを使用できる。これら冷涼剤を添加する場合の添加量は、モノメンチルサクシネートを含めて合計配合量が0.01〜0.3質量%となる範囲が望ましい。
【0041】
本発明において、(F)成分に対する(D)成分の質量比((D)/(F))は、100〜3,000、特に200〜1,000、とりわけ200〜800が好ましい。比率が100未満では苦味が強く発生する場合があり、3,000を超えると使用直後の冷涼感が減少し、使用感に劣る場合がある。
【0042】
本発明の口腔スプレー用組成物は、液体又は液状に調製されるが、上記成分に加え、必要に応じて本発明の効果を妨げない範囲で、その他の公知成分を配合できる。例えば、保湿成分、グリセリン以外の湿潤剤、水溶性高分子物質、溶剤、防腐成分、香料、ポリグルタミン酸塩及びモノメンチルサクシネート以外の有効成分等を配合可能である。
【0043】
具体的には、ヒアルロン酸塩などの保湿成分や、湿潤剤として、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、還元乳糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴等の糖アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリセリン以外の多価アルコール、更には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子物質などを併用できる。
【0044】
上記任意成分を配合する場合、保湿成分の配合量は0.001〜1質量%、糖アルコール類の配合量は0.1〜20質量%、多価アルコールの配合量は0.1〜10質量%、水溶性高分子物質の配合量は0.01〜1質量%が好ましい。
【0045】
また、有効成分として抗う蝕成分のフッ化物(フッ化ナトリウムなど)、デキストラナーゼ、ムタナーゼなどの酵素、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、ピロクトンオラミンなどの知覚過敏の予防又は抑制成分や、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノールや、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、ε−アミノカプロン酸などの抗炎症成分、その他、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなどの水溶性ポリリン酸塩、アスコルビン酸又はその塩、酢酸トコフェロール、ローズマリー、チョウジ、タイムなどの生薬抽出物などを有効量配合することができる。
【0046】
香料としては、スペアミント油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油等の天然精油及び、l−カルボン、1,8−シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール等の上記天然精油中に含まれる香料成分、また、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンツアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、マルトール、エチルマルトール、ガンマ/デルタデカラクトン、ガンマ/デルタウンデカラクトン、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール−l−メンチルカーボネート等の香料成分、更には、いくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなる、アップル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨーグルト等の調合フレーバーの1種又は2種以上を、本発明の効果を妨げない範囲で組成中0.00001〜3質量%配合することができる。
【0047】
更に、安息香酸及びそのナトリウム塩、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類(パラオキシ安息香酸エステル)を防腐成分として、赤色3号、赤色104号、赤色106号、黄色4号、青色1号、緑色3号、雲母チタン、弁柄などの色素又は着色剤、キシリトール、サッカリン及びそのナトリウム塩、スクラロース、ステビオサイド、グリチルリチン、アスパルテームなどの甘味剤等を配合し得る。
溶剤としては通常、精製水が用いられ、更にエタノール等の炭素数3以下の低級アルコールを添加することができる。
なお、本発明組成物の粘度は10〜60mPa・sが好適である。なお、粘度は、25℃恒温水槽中に1時間静置後、下記のBL型粘度計を用いて正確に1分後の粘度を測定した値である。
BL型粘度計:東京計器 B型粘度計 型式BL
ローター:No.2 回転数:60rpm 測定温度:25℃
【0048】
本発明の口腔スプレー用組成物は、上記成分を含有する液体又は液状の口腔用組成物が容器に収容され、使用時に口腔内に噴霧して適用される。この場合、収容容器としては、薬剤を噴霧できる構造を有しているものであれば特に制限されない。具体的には、内容物を収容するプラスチックボトル等の容器本体と、ポンプディスペンサー等の噴霧機構を有するスプレー部とを備え、容器本体の上部開口部に密着して装着されたスプレー部の押圧部を押圧することで、容器本体に収容された内容物が、スプレー部の内容物排出機構によって内容物排出口(ノズル)から噴霧、排出されるもの(以下、スプレー容器と略す。)が使用できる。
【0049】
このようなスプレー容器は、市販品を使用してもよく、例えばスプレー容器のディスペンサー部分は吉野工業所製のY−20(1プッシュ約0.02mL排出)、Y−70(1プッシュ約0.07mL排出)、Y−150(1プッシュ約0.15mL排出)等や、三谷バルブ社製Z−155(1プッシュ0.15mL排出)などのディスペンサーが、またボトル部については吉野工業所製の前記ディスペンサーに対応したポリエチレンテレフタレート製のボトルや竹本容器製PEI−30ボトル等が市販品として入手できる。スプレー容器のディスペンサー部については実公昭55−373号公報、実公昭56−21476号公報、特開昭60−32505号公報などが開示されている。
【0050】
図1は、本発明に使用し得るスプレー容器の一実施例を示す概略断面図である。このスプレー容器のディスペンサー部はY−70、ボトル部はY−70に対応したポリエチレンテレフタレート製ボトル(いずれも吉野工業所製)として市販されている。
図1の容器は、内容物を収容する容器本体1と噴霧機構を有するスプレー部2とを備え、容器本体1の上部開口部に、スプレー部2がパッキン3を備えたキャップ4によって密着して装着され、かつスプレー部2は、その内容物排出機構5の内容物流入路となるシリンダー6の下部突出部が、その先端開口部にチューブ7が備えられて容器本体1内に挿入されている。この容器は、スプレー部2の押圧部8を押圧することで、ピストン9がシリンダー6内をシリンダーガイド10に沿って上下することによって、容器本体1内の内容物が、チューブ7の下部開口部から、シリンダー6内の流量を調節するボール11を介して吸い上げられ、頭部シリンダー12を通って内容物排出口のノズル13から噴霧、排出されるものである。なお、必要に応じて、スプレー部2にオーバーキャップ14を被せることができる。
【0051】
上記スプレー容器を構成するスプレー部の形状や、内容物排出機構、ノズル等の口径や形状などは、一般に使用されているものであれば自由に使用でき、特に限定されるものではないが、内容物が排出されるノズル孔の口径は0.1〜1mm、特に0.3〜0.8mmが好適である。スプレーによる噴霧量は、1プッシュあたり0.01〜0.5mLであることが好ましい。また、容器本体は、高さが40〜100mm、幅が15〜50mmのものが好ましく、容量は5〜50mL程度が好適である。
このような容器を使用することは、より優れた噴霧性や口中への潤い感付与効果を発揮させるのに有効である。
【0052】
スプレー容器の材質は特に限定されないが、スプレー部の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール等が好適であり、容器本体の材質は、ポリエチレンテレフタレート等が好適である。
【0053】
図1のスプレー容器の各部の材質は、例えば下記の通りとすることができる。
容器本体1(ボトル)(ポリエチレンテレフタレート)
パッキン3(発泡ポリエチレン両面ポリプロピレン貼り)
キャップ4(ポリプロピレン)
シリンダー6、シリンダーガイド10、頭部シリンダー12(ポリプロピレン)
チューブ7(ポリエチレン)
押圧部8(ポリエチレン)
ピストン9(ポリエチレン)
ボール11(SUS304 ステンレス鋼材)
ノズル13(ポリアセタール)
【実施例】
【0054】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において%は特に記載のない限りいずれも質量%である。
【0055】
〔実施例1〜32、比較例1〜14〕
表1〜8に示す組成の口腔スプレー用組成物を下記方法で調製し、下記の評価を行った。結果を表1〜8に併記する。なお、下記例の組成物の粘度は、組成物を25℃恒温水槽中に1時間静置後、下記のBL型粘度計を用いて正確に1分後の粘度を測定した値が、いずれも10〜60mPa・sの範囲内であった。
BL型粘度計:東京計器 B型粘度計 型式BL
ローター:No.2 回転数:60rpm 測定温度:25℃
【0056】
製剤の調製:
各成分を量り採り、撹拌機で混合して調製した。調製した液30gを、スプレー容器(吉野工業所製Y−70ディスペンサー、ノズル孔0.55mm、1プッシュの噴霧量は約0.07mL、容量30mLポリエチレンテレフタレート製ボトル)に充填し、試験用製剤を得た。
なお、表中のγ−ポリグルタミン酸ナトリウムとしては、(株)明治フードマテリア製の天然品(商品名;明治ポリグルタミン酸)を使用した。クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸及びこれらの塩については、扶桑化学(株)製を使用した。l−メントールは高砂香料工業(株)製のメントールJP、ペパーミント油は高砂香料工業(株)製(l−メントール含有量42%)、和種薄荷油は東洋薄荷工業(株)製(l−メントール含有量38%)を使用した。グリセリンは阪本薬品工業(株)製の85%グリセリンを使用した。界面活性剤としては、POE硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ(株)製、HCO−60)を使用した。ポリオキシエチレン(30)セチルエーテルは日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL BC−30、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンは日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL TO−10Vを使用した。モノメンチルサクシネートとしてはヴェ・マンフィス香料(株)製のフィスクールを使用した。
比較品として使用したリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムについては、太平化学産業(株)製を使用した。メンチルラクテートは、シムライズ(株)製(商品名;FRESCOLAT)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドは、ジボダン(株)製(商品名;WS3)を使用した。
また、実施例1〜38及び比較例1〜14の中で、ペパーミント油と和種薄荷油以外の成分については、純分換算した値を示した。
【0057】
<使用時の口中の冷涼感及び潤い感、苦味のなさ>
日常生活において口腔乾燥が気になるパネラー10名が製剤を使用した。試験用製剤を5プッシュ(約0.35mL)口中に噴霧して、使用直後、10分後の口中の冷涼感、及び使用5分後、30分後の口中潤い感、使用時の苦味のなさを下記の基準にて評価し、10名の評価点を求めて下記基準で評価した。
【0058】
(i)使用直後の口中の冷涼感
比較例10を標準品として以下の基準で評価を行った。
(評点)
4点:比較例10と比べ、冷涼感が非常に強い
3点:比較例10と比べ、冷涼感が強い
2点:比較例10と比べ、冷涼感がやや強い
1点:比較例10と比べ、冷涼感が同等
パネラーの平均点を算出し、下記の通り評価した。
(評価基準)
◎:平均点が3.5点以上4.0点以下
○:平均点が3.0点以上3.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が1.0点以上2.0点未満
【0059】
(ii)使用10分後の口中の冷涼感
比較例10を標準品として以下の基準で評価を行った。
(評点)
4点:比較例10と比べ、冷涼感が非常に強い
3点:比較例10と比べ、冷涼感が強い
2点:比較例10と比べ、冷涼感がやや強い
1点:比較例10と比べ、冷涼感が同等
パネラーの平均点を算出し、下記の通り評価した。
(評価基準)
◎:平均点が3.5点以上4.0点以下
○:平均点が3.0点以上3.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が1.0点以上2.0点未満
【0060】
(iii)使用5分後、30分後の口中の潤い感
(評点)
7点:非常に感じる
6点:かなり感じる
5点:やや感じる
4点:どちらともいえない
3点:あまり感じない
2点:ほとんど感じない
1点:全く感じない
パネラーの平均点を算出し、下記の通り評価した。
(評価基準)
◎:平均点が6.0点以上
○:平均点が5.0点以上6.0点未満
△:平均点が4.0点以上5.0点未満
×:平均点が4.0点未満
【0061】
(iv)使用時の苦味のなさ
(評点)
4点:苦さを全く感じない
3点:苦さをやや感じる
2点:苦さを感じる
1点:苦さを非常に感じる
パネラーの平均点を算出し、下記の通り評価した。
(評価基準)
◎:平均点が3.5点以上4.0点以下
○:平均点が3.0点以上3.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が1.0点以上2.0点未満
【0062】
<製剤の安定性評価>
調製した製剤を容量30mLのスプレー容器に充填し、−5℃又は50℃の温度条件下に1ヶ月放置し、外観、性状を以下の基準で目視評価して製剤の安定性を評価した。
○:無色透明で析出物は認められない
△:僅かにオリが認められる
×:顕著に析出物もしくは濁りが認められる
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
【表7】

【0070】
【表8】

【0071】
表1〜8の結果から、本発明の口腔スプレー用組成物は適用直後から冷涼感、口中潤い感の持続性が高く、苦味が少なく、製剤について経時での劣化が少なく使用性に優れたものであることが確認できた。
【0072】
前述の製法と同様にして同様の原料を用い、下記組成の口腔用製剤を調製し、上記と同様のスプレー容器に充填し、上記の評価法に準じて評価した。なお、γ−ポリグルタミン酸ナトリウム、γ−ポリグルタミン酸カリウムとしては、(株)明治フードマテリア製の天然品を使用した。なお、下記組成物の粘度(25℃)はいずれも上記例と同様に10〜60mPa・sの範囲内であった。
【0073】
〔実施例33〕
A成分 γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 2.0%
(4%水溶液粘度:12mPa・s)
B成分 クエン酸 0.32
B成分 クエン酸ナトリウム 3.68
C成分 l−メントール 0.2
D成分 グリセリン 20
E成分 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 3
F成分 モノメンチルサクシネート 0.05
エタノール 15
キシリトール 5
還元乳糖 5
l−メントール 0.2
香料B 0.3
精製水 残
計 100%
D成分/F成分の質量比:400
冷涼感(直後、10分後共)◎、潤い感(5分後、30分後共)◎、苦味のなさ◎、保存安定性(−5℃、50℃共)○であった。
【0074】
〔実施例34〕
A成分 γ−ポリグルタミン酸カリウム 0.5%
(4%水溶液粘度:45mPa・s)
B成分 クエン酸 0.5
B成分 クエン酸ナトリウム 3.5
C成分 l−メントール
D成分 グリセリン 25
E成分 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 3
F成分 モノメンチルサクシネート 0.05
ポリビニルピロリドン(K90) 0.3
エタノール 10
ソルビトール 5
エリスリトール 5
フッ化ナトリウム 0.05
安息香酸ナトリウム 0.1
香料C 0.3
精製水 残
計 100%
D成分/F成分の質量比:500
冷涼感(直後、10分後共)◎、潤い感(5分後、30分後共)◎、苦味のなさ◎、保存安定性(−5℃、50℃共)○であった。
【0075】
〔実施例35〕
A成分 γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 0.5%
(4%水溶液粘度:84.5mPa・s)
B成分 クエン酸 0.2
B成分 クエン酸ナトリウム 3.8
C成分 l−メントール 0.1
D成分 グリセリン 25
E成分 ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル 3
F成分 モノメンチルサクシネート 0.05
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
エタノール 10
マルチトール 5
キシリトール 5
塩化セチルピリジニウム 0.02
香料D 0.3
精製水 残
計 100%
D成分/F成分の質量比:500
冷涼感(直後、10分後共)◎、潤い感(5分後、30分後共)◎、苦味のなさ◎、保存安定性(−5℃、50℃共)○であった。
【0076】
〔実施例36〕
A成分 γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 0.5%
(4%水溶液粘度:101mPa・s)
B成分 クエン酸 0.1
B成分 クエン酸ナトリウム 3.9
C成分 l−メントール 0.1
D成分 グリセリン 15
E成分 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 3
F成分 モノメンチルサクシネート 0.05
プロピレングリコール 2
ポリエチレングリコール#400 3
カルボキシメチルセルロースナトリウム(アーネストガム) 0.1
エタノール 10
ソルビトール 5
キシリトール 5
塩化セチルピリジニウム 0.02
香料E 0.3
精製水 残
計 100%
D成分/F成分の質量比:300
冷涼感(直後、10分後共)◎、潤い感(5分後、30分後共)◎、苦味のなさ◎、保存安定性(−5℃、50℃共)○であった。
【0077】
〔実施例37〕
A成分 γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 0.1%
(4%水溶液粘度:189mPa・s)
B成分 クエン酸 0.32
B成分 クエン酸ナトリウム 3.68
C成分 l−メントール 0.2
D成分 グリセリン 20
E成分 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 3
F成分 モノメンチルサクシネート 0.05
エタノール 10
ソルビトール 15
キシリトール 1
カルボキシメチルセルロースナトリウム(アーネストガム) 0.2
香料F 0.3
精製水 残
計 100%
D成分/F成分の質量比:400
冷涼感(直後、10分後共)◎、潤い感(5分後、30分後共)◎、苦味のなさ◎、保存安定性(−5℃、50℃共)○であった。
【0078】
〔実施例38〕
A成分 γ−ポリグルタミン酸ナトリウム 0.5%
(4%水溶液粘度:84.5mPa・s)
B成分 クエン酸 0.32
B成分 クエン酸ナトリウム 3.68
C成分 l−メントール 0.1
D成分 グリセリン 30
E成分 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 3
F成分 モノメンチルサクシネート 0.05
エタノール 10
キシリトール 5
カルボキシメチルセルロースナトリウム(アーネストガム) 0.1
レモン精油 0.1
香料A 0.1
精製水 残
計 100%
D成分/F成分の質量比:600
冷涼感(直後、10分後共)◎、潤い感(5分後、30分後共)◎、苦味のなさ◎、保存安定性(−5℃、50℃共)○であった。
なお、香料A〜Fは下記の通りの組成である。下記の香料組成中にメントール及びモノメンチルサクシネートは含有しない。
【0079】
【表9】

【0080】
【表10】

【0081】
【表11】

【0082】
【表12】

【0083】
【表13】

【0084】
【表14】

【0085】
【表15】

【符号の説明】
【0086】
1 容器本体
2 スプレー部
3 パッキン
4 キャップ
5 内容物排出機構
6 シリンダー
7 チューブ
8 押圧部
9 ピストン
10 シリンダーガイド
11 ボール
12 頭部シリンダー
13 ノズル
14 オーバーキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリグルタミン酸塩、(B)クエン酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、酒石酸及びその塩、コハク酸及びその塩から選ばれる1種以上の有機酸及びその塩、(C)l−メントール、(D)グリセリン、(E)界面活性剤、及び(F)モノメンチルサクシネートを含有し、かつ(A)成分を0.05〜5質量%、(B)成分を2〜6質量%、(D)成分を10〜50質量%、(F)成分を0.01〜0.3質量%配合してなることを特徴とする口腔スプレー用組成物。
【請求項2】
(F)成分に対する(D)成分の質量比((D)/(F))が100〜3,000である請求項1記載の口腔スプレー用組成物。
【請求項3】
(C)成分を0.01〜0.4質量%、(E)成分を1〜10質量%配合した請求項1又は2記載の口腔スプレー用組成物。
【請求項4】
(E)界面活性剤が、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキル基の炭素数が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜50のポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸の炭素数が16〜18で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である請求項1、2又は3記載の口腔スプレー用組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の口腔スプレー用組成物をスプレー容器に収容してなる口腔用製剤。

【図1】
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【公開番号】特開2011−105651(P2011−105651A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262771(P2009−262771)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】