説明

可変利得装置を具備するワイヤレス通信装置およびその方法

【課題】アンテナから送受信する信号を2経路に分け、それらの信号の振幅と位相を独立して制御し、所望の信号を得ることのできるワイヤレス通信装置を提供する。
【解決手段】入力信号200を2つの経路に分け、一方の経路210の信号は振幅を制御し、他方の経路211の信号は振幅と位相を制御し、これらの制御された出力信号を加算して所望の特性を有する信号を形成し、アンテナから送信する。また、アンテナで受信した信号を2経路に分け、それらの信号の振幅と位相を独立して制御し、所望の受信信号を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変利得装置を具備するワイヤレス通信装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明として扱われる主題が指摘され、明細書の結論の部分で明確に請求される。しかしながら、本発明は、その構成および動作方法の双方に関して、その目的、機能および利点とともに、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによって最もよく理解されるであろう。
【0003】
図示を単純かつ明瞭にするために、図面中に示された要素は必ずしも実際の寸法で描かれていないことに注意すべきであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は明瞭にするために他の要素と比べて誇張されている。さらに、適切であると考えられる場合、参照数字は対応または類似する要素を示すために図中で繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−97602号公報
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】実施例に従うワイヤレス装置の概要図面である。
【図2】他の実施例に従うワイヤレス装置の一部分の概要図面である。
【図3】他の実施例に従うワイヤレス装置の一部分の概要図面である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明では、本発明についての完全な理解を提供するために特定の多数の詳細な事項が述べられる。しかしながら、本発明はこれらの特定の詳細事項がなくても当業者は実施できることを理解すべきであろう。他の実施例では、周知の方法、手順、要素および回路は本発明を不明瞭にしないように詳細には記述されていない。
【0007】
後続の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータ・メモリ内のデータ・ビットまたは2進デジタル信号に対する動作アルゴリズムおよび記号表現で示される。これらのアルゴリズムおよび記号表現は、データ処理技術の当業者によって、その成果を他の当業者に伝えるために用いられる技術である。
【0008】
アルゴリズムは、ここでは一般的に、所要の結果を導く一連の動作シーケンスまたは行為であると考えられる。これらは、物理量を物理的に操作することを含む。通常、必然的ではないにしても、これらの量は、格納され、転送され、組み合わされ、比較され、および他の操作され得る電気的または磁気的信号の形式をとる。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数またはそれらと同種のものと称することが主に一般的な使用上の理由から、しばしば便宜なことがある。しかしながら、これらおよび同種の用語のすべてが適切な物理量と関連付けられ、これらの量に適用される単に便利なラベルであると理解すべきである。
【0009】
次の議論から明らかなように、特に他の方法で述べられない限り、明細書を通して、「処理」、「コンピューティング」、「計算する」、「決定する」または同種の用語を利用する議論は、コンピュータまたは計算機システム、または同様の電子コンピューティング装置の動作および/または処理に関連するものであり、それによって計算機システムのレジスタおよび/またはメモリ内の電子のような物理量として表わされるデータが計算機システムのメモリ、レジスタあるいは他のそのような情報ストレージ、伝送または表示装置内の物理量として同様に表わされるデータへ操作されることが理解される。
【0010】
本発明の実施例は、ここにおける動作を行なうために装置を含む。装置は所望の目的のために特に構成されるものであり、それはその装置に格納されたプログラムによって選択的に起動されたあるいは再構成された汎用コンピューティング装置を含んでいてもよい。そのようなプログラムは記憶媒体上に格納されるが、そのようなものとしてフレキシブルディスク、光ディスク、コンパクト・ディスク・リード・オンリ・メモリ(CD−ROM)、光磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、リード・オンリ・メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的プログラム可能リード・オンリ・メモリ(EPROM)、電気的消去かつプログラム可能リード・オンリ・メモリ(EEPROM)、磁気または光カード、あるいは電子命令を格納するのに適していて、コンピューティング装置用システム・バスに結合されるあらゆるタイプの媒体を含むが、しかしこれらに限定されるものではない。
【0011】
ここに示されたプロセスや表示は、本質的に、他の特定のコンピューティング装置または他の装置と関係するものではない。様々な汎用システムが、以下の説明に従うプログラムと使用されてもよく、また、所望の方法を行なうためにより特別な仕様を有する装置を構築することが便宜であろう。これらの様々なシステムのための所望の構造が、以下の説明から明らかになるであろう。さらに、本発明の実施例は、いかなる特定のプログラミング言語に関連して記述されているものではない。ここに記述されるような本発明の内容を実施するために、あらゆるプログラミング言語が使用できることが、認識されるであろう。さらに、ハードウェア(個別あるいは集積回路)およびソフトウェアのあらゆる組合せをもってここに記述された動作、能力、および機能を実行することができることが理解されるであろう。
【0012】
以下の説明および請求項では、用語「coupled」および「connected」は、それらの派生語と共に使用されてもよい。これらの用語は互いに同義語として意図されていないことを理解すべきである。もっと正確に言えば、特定の実施例では、「connected」は2つ以上の要素が互いに直接の物理的電気的な接触にあることを示すために使用されることがある。「coupled」は、2つ以上の要素が直接の物理的電気的な接触にあることを意味してもよい。しかしながら、さらに「coupled」は、2つ以上の要素が互いに直接の接触はないが、まだ互いに協動するか、または影響を及ぼし合うことを意味してもよい。
【0013】
本発明の実施例は、様々なアプリケーションの中で使用できることが理解されるであろう。ここに示された装置は、無線システムの送受信機、送信機および/または受信機のような多くの装置の中で使用することができるが、本発明はこの点に制限されるものではない。図1を参照して、本発明に従う実施例100が示される。実施例100は、移動通信装置(例えば携帯電話)、2方向ワイヤレス通信装置、1方向ページャ、2方向ページャ、パーソナル移動通信システム(PCS)、個人用デジタル情報処理端末(PDA)、ポータブル・コンピュータまたは同種の装置のポータブル・コンピューティングまたは通信装置50を含む。別の実施例では、あらゆるネットワークにおける基地局、アクセス・ポイントまたは他のワイヤレス通信機器を含んでいてもよい。
【0014】
他の実施例では、例えば、受信できるワイヤレス通信能力を具備するラップトップおよびポータブル通信機、ウェブ・タブレット、ワイヤレス・ヘッドセット、インスタント・メッセージング装置、MP3プレーヤ、デジタル・カメラおよびワイヤレスに情報を送受信できる他の装置のあらゆる組合せを含む。本発明の範囲およびアプリケーションがこれらの実施例に制限されないことを理解すべきである。本発明の他の実施例は、ポータブルであってもポータブルでなくてもよく、あるいは、例えばデスクトップまたはポータブル・コンピュータ、サーバ、ネットワーク・スイッチング機器などのような通信システムを含む他の計算機システムを含んでいてもよい。
【0015】
特にこの実施例では、ワイヤレス通信装置50は、メモリ40に格納された命令のような命令を実行するプロセッサ10を含む。プロセッサ10は、例えばマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセサ、マイクロコントローラ、縮小命令型コンピュータ(RISC)、複雑命令型コンピュータ(CISC)または同種のものの様々な集積回路のうちの1つであってよいが、本発明の範囲は特定の設計またはプロセッサ10によって実行される機能に限定されることはない。さらに、いくつかの他の実施例では、ワイヤレス通信装置50は、同じかあるいは異なるタイプの複数のプロセッサを含んでいてもよい。
【0016】
ワイヤレス通信装置50は、前述したあらゆるタイプの格納媒体を含む揮発性または不揮発性メモリからなるメモリ40によって構成されるが、この列挙は完全であることを意味するものではなく、本発明の範囲がこの点に制限されることはない。また、メモリ40は、アプリケーション・プログラム、オペレーティング・システム・プログラム、通信プロトコル・プログラムなどに関連した命令からなる命令セットを格納するために使用される永続性のあるメモリを含む。例えば、メモリ40に格納される命令は、ワイヤレス通信を行なうために使用され、ワイヤレス通信装置50のためのセキュリティ機能やカレンダー、電子メール、インターネット・ブラウジングなどのユーザ機能を提供してもよい。
【0017】
ワイヤレス通信装置50は、さらにユーザに情報を提供するためにディスプレイ20を含む。それに代えてあるいは追加して、ワイヤレス通信装置50は、入出力装置、音声出力などの他のコンポーネントを含んでいてもよい。しかしながら、本発明の範囲は、図1に示されるコンポーネントのいかなる特定の組合せを要求するものではないことを理解しなければならない。
【0018】
ワイヤレス通信装置50は、さらに他の装置、サービス、ネットワークなどへのアクセスを提供するための送受信機85を含み、それはワイヤレス通信装置50によってワイヤレスリンクを介して他のネットワークと通信することができる。図示されるように、送受信機85は、ネットワーク60とワイヤレスに通信するためにアンテナ86−88によって構成される多くのアンテナを使用することがある。本発明の範囲は、通信が単一のネットワークで形成されるだけでなく、他の実施例として2つ以上のネットワークと通信を行なう場合も含むが、これらの実施例に制限されるものではないことを理解しなければならない。更に、本発明の範囲は、3つのアンテナを具備する実施例に制限されるものではない。別の実施例では、1、2、4またはそれより多くのアンテナを具備する装置を含んでいてもよい。
【0019】
特にこの実施例では、送受信機85は、アンテナ86−88にそれぞれ結合された可変利得モジュレータ(変復調器)76−78を含んでいる。以下より詳細に説明されるように、制御器80は、特定あるいは全方角に送信された信号の相対的強度(つまり改善された信号対雑音比)が高まるように可変利得モジュレータ76−78によって信号の送信を調整する一方、別の特定あるいは全方角における信号の影響を弱めるために使用されるが、本発明の範囲はこの点に制限されるものではない。同様に本発明の範囲が信号を受信するために可変利得モジュレータを使用する他の実施例を含むように、アンテナ・アレイからの信号の送信に関するアプリケーションに本発明の範囲が制限されないことを理解しなければならない。さらに他の実施例では、可変利得モジュレータは信号の送信および受信の両方に用いられてもよい。
【0020】
通信送受信機85は、セルラーのような様々なワイヤレス通信プロトコル(例えば、符号分割多元接合(CDMA)のセルラー無線電話通信システム、グローバル移動体通信システム(GSM)のセルラー無線電話システム、北米のデジタルセルラー(NADC)のセルラー無線電話システム、時分割多元接続(TDMA)システム、拡張TDMA(E−TDMA)のセルラー無線電話システム、広帯域CDMA(WCDMA)のような第3世代(3G)システム、CDMA−2000、および同種のシステム。)を使用することができるが、本発明の範囲はこの点に制限されるものではない。さらに、ワイヤレス通信装置50は、さらに異なる通信プロトコルを使用する複数の送受信機を含んでいてもよい。
【0021】
さらに、送受信機85は、電気電子学会(IEEE)の802.11標準規格、BluetoothTM、赤外線など(BluetoothはBluetooth特別利益団体の登録商標である)からの、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)、広域ネットワーク(WAN)またはローカル・エリア・ネットワーク(LAN)のプロトコルのような他のプロトコルを使用することができる。
【0022】
ワイヤレス通信装置50によって使用される通信プロトコルのタイプ、数または周波数によって、本発明の範囲が制限されることはないことを理解しなければならない。更に、他の実施例は2を越える通信モジュール(有線かワイヤレスかのいずれか)を具備していてもよく、また、通信モジュールは個別のアンテナを有する必要はなく、さらに、そのいくつかまたはすべては共通アンテナを共有していてもよい。ワイヤレス通信装置50は、他のオプションとしてのコンポーネント、例えば音声データなどを符号化するためのボコーダーを含んでいてもよいことを理解しなければならない。
【0023】
さて、図2を参照して、可変利得モジュレータ220のための特定の実施例が提供される。可変利得モジュレータ220は、モジュレータ76−77(図1を参照)がどのように実現されるかの例であり、可変利得モジュレータの全部が同じ方法で配備されなければならないことを理解しなければならない。可変利得モジュレータ220および/または送受信機85(図1を参照)は、低ノイズのアンプ(LNA)、フィルタ、発振器などの他のコンポーネントを含んでもよいが、本実施例を不明瞭にしないように示されていないことを理解すべきである。
【0024】
可変利得モジュレータ220は、入力信号200を処理し、かつ出力信号290を提供するために使用される2つの信号処理経路(矢印210,211で示される)を含むが、他の実施例が2つを越える信号処理経路を含んでいてもよいことを理解しなければならない。本発明の範囲はこの点で制限されていないが、信号処理経路210,211は、可変利得増幅器のような可変利得装置250,251を含んでいてもよい。信号処理経路211は、さらに位相シフト要素252を含む。
【0025】
図2に示されるように、入力信号200は、可変利得装置250および位相シフト要素252の両方に提供される。位相シフト要素は、約1度から180度の範囲の量だけ入力信号200の位相を調整し、入力信号を提供する。特にこの実施例では、位相シフト要素は、約90度だけ入力信号200をシフトする。位相のシフトは、様々な技術を使用して達成することができる。例えば、位相シフト要素252は、ハイブリッド分相器またはLC位相シフトネットワークを含んでもよい。あるいは、位相シフト要素は、長さを変更できる伝送路を含めてもよい。例えば、位相シフト要素252は、入力信号200の位相をおよそ90度だけ調整するために入力信号200の波長のおよそ4分の1である伝送路を含めてもよい。他の波長および入力信号200に対応するシフトが可能であることを理解しなければならない。
【0026】
特にこの実施例では、位相シフト要素252の出力は、可変利得増幅器に提供される。したがって、可変利得装置251の入力は、可変利得装置250の入力に対してシフトしている。他の実施例では、位相シフト要素は、可変利得装置251の後に位置することがある。したがって、位相シフト要素252は、可変利得装置251の出力を受け取り、入力信号200が可変利得装置251によって処理された後に位相シフトを行なう。このような他の配置では、位相シフト要素は信号処理経路211の出力信号を提供することになるが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。
【0027】
特にこの実施例では、可変利得装置250,251の出力は、信号処理経路210,211からの信号を加える加算器270によってともに合計されるが、本発明の範囲はこの点に制限されるものではない。このように、加算器270(つまり出力信号290)の出力は、2つの要素、すなわち、入力信号200の増幅されたバージョンを表わす一方の要素と、入力信号200の増幅と位相シフトされたバージョンの他方の要素との加算を表わす。したがって、以下に説明されるように、可変利得モジュレータ220の出力290は、可変利得装置250,251の利得を調整することにより変更されて、提供される。
【0028】
可変利得装置250,251によって適用された利得の量または角度は、信号線261,262によってそれぞれ制御される。信号ライン261,262は、例えば制御器80のような制御ユニットによって提供され調整されるが(図1を参照)、本発明の範囲はこの点に制限されるものではない。しかしながら、可変利得装置250,251の利得がどのように調整されるか、または、その信号がどこで調整を行なうかによって、本発明の範囲が制限されることはないことを理解すべきである。更に、本発明の範囲は、利得の調整が周期的、動的またはワイヤレス通信装置50内で生じる他のいくつかのトリガメカニズムの発生で行なわれるように、利得の調整がどの周波数によってなされるかに制限されることはない。
【0029】
例えば、プロセッサまたはステート・マシンは、アンテナ86−88(図1を参照)によって送受信される信号をモニターし、どんな調整が可変利得装置250,251の利得に対し行われるかを決めるために使用される。あるいは、ワイヤレス通信装置50が、所望の特性を備える信号を送信し、アンテナ86−88で信号を受信できるように適合し、あるいはその双方ができるように、その調整はビーム形成演算に従って行われる。リアルタイムの手法で送信されまたは受信される信号に依存して、適切な調整が決定され行われるように、ワイヤレス通信装置50はさらに自由にフィードバック・メカニズムを使用することができるが、本発明の範囲はこの点に制限されるものではない。他の実施例では、調整によって、信号がワイヤレス通信装置50を通過し、および/または、たとえあるにしてもどんな変化を成すべきかを決定することができるための時間的遅延がなされる。
【0030】
本発明の別の実施例では、可変利得モジュレータ76−78(図1を参照)は、アンテナ86−88によって送信される信号を変更するために独立して動作され、あるいは調整されてもよい。したがって、制御装置(例えば制御器80)は、バスによって可変利得モジュレータに結合され、他のものと無関係にそれらの動作を調整するために可変利得モジュレータに制御信号を提供するように適合してもよい。そのような実施例では、信号はデジタルでもアナログでもよく、また、送受信機85は適切なアナログ・デジタル(AD)またはデジタル・アナログ変換(DA)コンバータを含む。さらに別の実施例では、送受信機85は各アンテナへ結合された2つまたはそれ以上の可変利得モジュレータを含み、1つの可変利得モジュレータはアンテナによって受信された信号を処理するために使用され、また、別の可変利得モジュレータは同じアンテナから送信される信号を処理してもよい。
【0031】
図3へ移って、可変利得モジュレータのための別の実施例が提供される。可変利得モジュレータ330は、入力信号300を信号処理経路310,311へ提供するためのパワー・スプリッタを含む。信号処理経路310は可変利得装置331を含んでいてもよいが、本発明の範囲はこの点に制限されるものではない。信号処理経路311は、上述したものおよび可変利得装置332のうちの1つのような位相シフト要素252を含めることができる。可変利得装置331,332は、可変利得増幅器、減衰器、双方向減衰器または同種のものを含んでいてもよい。更に、可変利得装置331は、可変利得装置332とは異なる装置であってもよい。
【0032】
可変利得装置331,332が一種の減衰器である場合、この特定の実施例では、可変利得モジュレータがアンテナから信号を送信し受信するために使用できるように、信号処理経路310,311は双方向性であるという利点を備えるが、本発明の範囲はこの点に制限されることはない。可変利得モジュレータ330は、さらにパワー・スプリッタ370を含めてもよく、それは出力信号390を提供するために可変利得装置331,332の出力を合計または加算する。他の実施例では、位相シフト要素252が可変利得装置332の出力を受信し、かつ信号処理経路311の出力を提供するために配置されても良いことが理解されなければならない。さらに他の実施例では、必要なら、異なる特性を有する可変利得モジュレータを提供するために、図2および図3に示されるいくつかまたはすべてのコンポーネントが取り替えられてもよい。
【0033】
本発明のある機能がここに図示され説明されたが、多くの修正、代替、変更および均等が当業者に想起されるであろう。したがって、添付の請求項は、本発明の真の技術的思想に入るものとして、そのような修正及び変更の全てをカバーすると意図されていることを理解されなければならない。
【符号の説明】
【0034】
10 プロセッサ
50 ワイヤレス通信装置
85 送受信機
76,77,78 可変利得モジュレータ
86,87,88 アンテナ
210,211,310,311 信号処理経路
220,330 可変利得モジュレータ
250,251,331,332 可変利得装置
252 位相シフト要素
270 加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアンテナおよび第2のアンテナを具備するアンテナ・アレイと、
前記第1のアンテナに結合された第1の利得モジュレータ、および、前記第2のアンテナに結合された第2の利得モジュレータであって、前記第1および第2の利得モジュレータは、各々、
第1の信号経路であって、前記第1の信号経路を通過する信号の位相を予め定める固定された量だけ双方向においてシフトする位相シフト要素、および、前記第1の信号経路を通過する信号の振幅を双方向において変えるための第1の可変利得装置を含む、第1の信号経路、および
第2の信号経路であって、前記第2の信号経路を通過する信号の振幅を双方向において変えるための第2の可変利得装置を含む第2の信号経路からなり、前記第1の信号経路を通過する信号の振幅および前記第2の信号経路を通過する信号の振幅の各々は、他の信号経路の信号の振幅に対して独立してかつ同時に制御され、前記第1の利得モジュレータの前記第1の信号経路は前記第1の利得モジュレータの前記第2の信号経路と結合され、前記第1および第2信号経路中の信号の振幅の合計に基づく振幅、および、前記予め定める固定された位相シフトに基づく位相から成る合計信号を形成し、前記合計信号は、前記第1のアンテナまたは前記第2のアンテナのそれぞれのアンテナに結合される、第1および第2の利得モジュレータと、
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナによって所望の特性の信号を送信し、あるいは受信するために、またはそれらの組合せを行なうビーム形成演算に従って、前記第1の利得モジュレータおよび前記第2の利得モジュレータの少なくとも1つにおける前記第1の信号経路および前記第2の信号経路の少なくとも1つ、またはそれら信号経路の組合せ中を通過する信号の振幅を調整することのできるプロセッサと、
を含むことを特徴とするワイヤレス通信装置。
【請求項2】
前記第1の可変利得装置は、双方向性の可変利得増幅器を含むことを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項3】
前記ワイヤレス通信装置は、基地局、ポータブル通信装置、アクセス・ポイント、およびそれらの組合せを含むグループから選択された装置であることを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項4】
前記位相シフト要素の予め定める固定された量の双方向における位相シフトは、約1度ないし約180度から選択されることを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項5】
前記位相シフト要素の予め定める固定された量の双方向における位相シフトは、約90度に選択されることを特徴とする請求項4記載のワイヤレス通信装置。
【請求項6】
前記第1の可変利得装置は、双方向性の減衰器を含むことを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項7】
前記第2の可変利得装置は、双方向性の減衰器を含むことを特徴とする請求項6記載のワイヤレス通信装置。
【請求項8】
前記第1の利得モジュレータおよび前記第2の利得モジュレータの少なくとも1つにおける前記第1の信号経路および前記第2の信号経路から前記合計信号を形成するパワー・コンバイナをさらに含み、前記パワー・コンバイナは、前記合計信号を前記第1のアンテナまたは前記第2のアンテナのそれぞれのアンテナに結合することを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項9】
前記位相シフト要素への入力信号は、前記第2の可変利得装置への入力信号と実質的に等しいことを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項10】
前記第1の利得モジュレータおよび前記第2の利得モジュレータの少なくとも1つにおける前記位相シフト要素および前記第2の可変利得装置に結合されたパワー・スプリッタをさらに含み、前記パワー・スプリッタは、前記入力信号を前記利得モジュレータの前記位相シフト要素および前記第2の可変利得装置に提供することを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項11】
前記位相シフト要素は、ハイブリッド分相器または誘導−キャパシタ(LC)位相シフトネットワーク、あるいはそれらの組合せからなることを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項12】
前記位相シフト要素は、伝送路からなることを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項13】
前記伝送路は、前記第2の可変利得装置への入力信号の波長のほぼ4分の1である長さを有することを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項14】
前記ワイヤレス通信装置は、前記第1の可変利得装置および前記第2の可変利得装置の1つの利得を動的に変更するのに適合していることを特徴とする請求項1記載のワイヤレス通信装置。
【請求項15】
前記ワイヤレス通信装置は、前記第1の可変利得装置の利得を前記第2の可変利得装置の利得から独立して変更できるように適合していることを特徴とする請求項14記載のワイヤレス通信装置。
【請求項16】
第1のアンテナおよび第2のアンテナと、
前記第1のアンテナに結合された第1の利得モジュレータ、および、前記第2のアンテナに結合された第2の利得モジュレータであって、前記第1および第2の利得モジュレータは、各々、
第1の双方向性の可変減衰器を含む第1の信号処理経路であって、前記第1の信号処理経路は第1の信号処理経路を通過する信号の振幅を双方向において変化させるように適合した、第1の信号処理経路と、
双方向性の位相シフト要素および第2の双方向性の可変減衰器を含む第2の信号処理経路であって、前記第2の信号処理経路は前記第2の信号処理経路を通過する信号の位相を予め定める固定された量だけ双方向においてシフトし、かつ前記第2の信号処理経路を通過する信号の振幅を双方向において変えるように適合し、前記第2の信号処理経路を通過する信号の振幅および前記第1の信号処理経路を通過する信号の振幅の各々は、他の信号処理経路の信号の振幅に対して独立してかつ同時に制御され、前記第1の利得モジュレータの前記第1の信号処理経路は前記第1の利得モジュレータの前記第2の信号処理経路と結合され、前記第1および第2信号処理経路中の信号の振幅の合計に基づく振幅、および、前記予め定める固定された位相シフトに基づく位相から成る合計信号を形成し、前記合計信号は、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナのそれぞれのアンテナに結合される、第2の信号処理経路と、を含み、
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナによって所望の特性の信号を送信し、あるいは受信するために、またはそれらの組合せを行なうビーム形成演算に従って、前記第1の利得モジュレータおよび前記第2の利得モジュレータの少なくとも1つにおける前記第1の信号経路および前記第2の信号経路の少なくとも1つ、またはそれら信号経路の組合せ中を通過する信号の振幅を調整することができるプロセッサと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項17】
前記双方向性の位相シフト要素は、前記第2の信号処理経路のための入力信号を受信することを特徴とする請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記双方向性の位相シフト要素は、前記第2の信号処理経路の出力信号を提供することを特徴とする請求項16記載の装置。
【請求項19】
2またはそれ以上のアンテナのアレイ中の各アンテナに対して、前記アレイ中の前記アンテナで信号を変調する段階において、
第1の信号処理経路および第2の信号処理経路を提供する段階であって、前記第1の信号処理経路は双方向性の可変利得装置を含み、前記第2の信号処理経路は双方向性の位相シフト要素および双方向性の第2の可変利得装置を含む、段階と、
各双方向性の可変利得装置によって決められるように、それぞれ他の信号経路から独立して第1および第2信号処理経路の少なくとも1つを通過する信号の振幅を双方向において変える段階と、
前記第2の信号処理経路を通過する信号の位相を予め定める固定された量だけ双方向においてシフトする段階と、
前記第1の信号処理経路を通過する信号および前記第2の信号処理経路を通過する信号を合計し、前記第1および第2信号処理経路中の信号の振幅の合計に基づく振幅、および、前記予め定める固定された位相シフトに基づく位相からなる合計信号を形成し、前記合計信号を前記アンテナのアレイ中の各アンテナに結合する段階と、
前記アンテナのアレイによって所望の特性の信号を送信し、あるいは信号を受信するために、またはそれらの組合せを行なうビーム形成演算に従って、前記第1の信号処理経路および前記第2の信号処理経路の少なくとも1つ、またはそれら信号処理経路の組合せ中を通過する信号の振幅を調整する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記第2の信号処理経路を通過する信号の位相を双方向においてシフトする段階は、前記第2の信号処理経路への入力信号の位相を予め定める固定された量だけ双方向においてシフトする段階を含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第2の信号処理経路を通過する信号の位相を双方向においてシフトする段階は、前記第2の信号処理経路の出力信号を提供する信号の位相を予め定める固定された量だけ双方向においてシフトする段階を含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項22】
命令を格納した記憶媒体を含む物品において、計算機プラットホームによって実行した場合、前記命令は、
2またはそれ以上のアンテナのアレイ中の各アンテナに対して、前記アレイ中の前記アンテナで信号を変調する段階において、
第1の信号処理経路および第2の信号処理経路を提供する段階であって、前記第1の信号処理経路は双方向性の可変利得装置を含み、前記第2の信号処理経路は双方向性の位相シフト要素および双方向性の第2の可変利得装置を含む、段階と、
各双方向性の可変利得装置によって決められるように、それぞれ他の信号経路から独立して第1および第2信号処理経路の少なくとも1つを通過する信号の振幅を双方向において変える段階と、
前記第2の信号処理経路を通過する信号の位相を予め定める固定された量だけ双方向においてシフトする段階と、
前記第1の信号処理経路を通過する信号および前記第2の信号処理経路を通過する信号を合計し、前記第1および第2信号処理経路中の信号の振幅の合計に基づく振幅、および、前記予め定める固定された位相シフトに基づく位相からなる合計信号を形成し、前記合計信号を前記アンテナのアレイ中の各アンテナに結合する段階と、
前記アンテナのアレイによって所望の特性の信号を送信し、あるいは信号を受信するために、またはそれらの組合せを行なうビーム形成演算に従って、前記第1の信号処理経路および前記第2の信号処理経路の少なくとも1つ、またはそれら信号処理経路の組合せ中を通過する信号の振幅を調整する段階と、
ことを実行することを特徴とする物品。
【請求項23】
前記第2の信号処理経路を通過する信号の位相を双方向においてシフトする段階は、前記第2の信号処理経路への入力信号の位相を予め定める固定された量だけ双方向においてシフトする段階を含むことを特徴とする請求項22記載の物品。
【請求項24】
前記第2の信号処理経路を通過する信号の位相を双方向においてシフトする段階は、前記第2の信号処理経路の出力信号を提供する信号の位相を予め定める固定された量だけ双方向においてシフトする段階を含むことを特徴とする請求項22記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−246980(P2009−246980A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108196(P2009−108196)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【分割の表示】特願2004−564980(P2004−564980)の分割
【原出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】