説明

可変流ウェイストゲート

ターボ過給機用のウェイストゲートであって、典型的なウェイストゲートフラット弁によって可能であるよりも漸進的な、最適には、ほぼ線形の、ターボ過給機のブースト対弁開放の曲線を提供するために突起が弁に設けられるウェイストゲート。3次元の突起を流路に追加することは、弁の位置の非常に限られた正確な制御を含む方法よりもはるかに費用効果的な、線形流を得るための解決策である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より漸進的な弁の変位のための、定置のおよび動的な弁構成部材からなるオリフィスを通る流れがより漸進的な(一貫した、最適には、ほぼ線形の)曲線を形成するような、ウェイストゲート流路の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ過給機は、ある種の強制誘導システムである。ターボ過給機は、圧縮空気をエンジン吸気口に送り、より多量の燃料が燃焼することを可能にし、このようにして、エンジン重量を著しく増加させることなく、エンジンの馬力を増強する。このことは、より大きな物理的大きさの通常の吸気エンジンの代わりに、より小さなターボ過給機付きのエンジンの使用を可能にすることができ、したがって、車両の質量および空気力学的な前面領域を低減する。
【0003】
ターボ過給機は、エンジン排気マニホルドからの排気流を使用して、タービンハウジングに配置されたタービンホイールを駆動する。タービンホイールはシャフトの一端に堅固に取り付けられる。コンプレッサホイールは、シャフトの他端に取り付けられ、コンプレッサナットからのクランプ荷重によって所定位置に保持される。タービンホイールの主要な機能は、単に回転力を供給して、コンプレッサを駆動することである。EGRタイプのエンジンシステムにおいて、タービン段の機能は、排気システムの背圧を制御して、EGR流が排気システムからエンジン入口システムに流れることができるようにすることである。
【0004】
タービン段によって発生した動力は、タービン段全体の膨張比の関数である。すなわち、タービン入口からタービンエクスデューサまでの膨張比である。
【0005】
コンプレッサ段はホイールおよびそのハウジングからなる。ろ過された空気は、コンプレッサホイール(21)の回転によってコンプレッサカバー(20)の入口に軸方向に吸い込まれる。タービン段によってシャフトに送られた動力は、コンプレッサホイールを駆動して、静圧と、いくらかの残りの運動エネルギーおよび熱との組み合わせを形成する。
【0006】
ターボ過給機付きのエンジンシステムでは、エンジン出力とターボ過給機出力との間において基本的な不釣り合いが生じる。内燃(IC)機関は容積式装置であるので、流量はエンジン速度Nにほぼ比例する。ターボ過給機はロータダイナミック装置であり、その特性は簡単な絞りと同様であり、したがって、流量は、大部分がその速度Nに関係ない。ターボ過給機全体の膨張比は流量の2乗として増加する。このため、ターボ過給機は、実際には、1つの動作点においてエンジンに理想的に適合されるのみである。
【0007】
適合の観点から、エンジン用途が、例えばオンハイウェイトラックである場合、適合に関するスイートスポットがエンジン定格点である可能性が最も高い。適合に関するスイートスポットが定格点にあると決定することは、例えば、低いエンジン速度動作点では、それほど好ましくない適合をもたらす。このことは、エンジンの低い速度範囲において、エンジンが、(エミッション規制を満たすために)エンジン製造業者によって望まれるよりも多くの微粒子を発生させる可能性が高くなり、エンジンが運転者からの応答に応えないように感じることを意味する。他方、ターボ過給機がエンジンの低い速度点に適合される場合には、Nでのエンジン性能は良くなり、ターボ過給機とエンジンとの組み合わせにより、瞬間的な性能が向上して、微粒子エミッションが低減される。しかし、Nにおいて、ターボ過給機はエンジンをオーバーブーストさせる。Nでのオーバーブーストの問題を解決するために、ウェイストゲートを使用して、コンプレッサへのタービン出力を減少させ、このようにして、このエンジン動作点におけるブースト圧を減少させる。
【0008】
図2は、コンプレッサ段の典型的なマップを示している。Y軸(25)は圧力比であり、X軸(26)はKg/秒における質量流量である。左側の境界はサージ線(21)である。この線は、試験で生成された線である。各速度線において、サージ点が検出されて記され、ここで、マップ全体について補間される。サージ点においては、振動流の動作が流れの阻止をもたらす。サージ状態では、流れがブレードの吸引面から離れ、そのため流れが不安定になり、これにより、流れがブレードにくっつき、そこから離れるときに振動する。サージ状態は設置状態とともに動くので、各組の設置パラメータについてサージ状態を試験しなければならない。サージ状態では、ターボは激しく反応し、この動作状態から取り出さなければならない。
【0009】
右側の境界はチョーク線(24)である。この線は、音速に達する空気流によって生じる効率の急低下が起きる領域の各速度線において、効率の最小値(多くの場合65%)を選択することによって形成される。チョーク状態では、ターボは滑らかに動作するが、圧力比および効率が低下して、温度が上昇する。ほぼ水平な線(23)は、等しいターボ過給機速度の線である。
【0010】
線27は実施例のエンジン動作線である。この線は、所定の組の状態について、マップがエンジン動作状態の空気要求に適合している箇所を示している。図2は、エンジン動作線がマークされているターボ過給機マップを示している。このマップは、固定されたターボ過給機の場合についてのものである。固定されたとは、ターボ過給機が、ホイールおよびハウジングの選択によってのみ設定された適合制限を有することを意味し、制御装置は存在しない。図3は、同じ基本マップであるが、実施例においてブーストを3.43の圧力比に制限するウェイストゲートがターボ過給機に設けられるマップを示している。この場合のエンジン動作線(28)では、図3は、ウェイストゲートが開くまでは図2のエンジン動作線(27)に従い、次に、エンジン動作線はウェイストゲートが開くときに曲がって、より水平な線になり限界圧力比を示す。
【0011】
タービン段の設計は、コンプレッサを駆動するのに必要な動力と、段の空気力学的設計と、タービンが大部分を占める回転組立体の慣性と、設計の構造態様および材料態様に影響を与えるターボ過給機動作サイクルと、ブレード励振に対するタービンホイールの上流および下流の両方の近傍領域との妥協である。
【0012】
エンジンブースト要求はコンプレッサ段の選択の主要なドライバである。コンプレッサの選択および設計は、エンジンのブースト圧要求と、エンジンで必要とされる質量流量と、用途で必要とされる効率と、エンジンおよび用途で必要とされるマップ幅と、エンジンが従うこととなる高度および負荷サイクルと、エンジンのシリンダ圧限界等との妥協である。
【0013】
ターボ過給機に生じる制限の原因となる、ターボ過給機以外の多くの細目がある。シリンダ圧限界等のエンジンの制限は、エンジン動作状態の任意の点において、ブーストレベルを最大許容可能な圧力未満に保持することが必要であることを意味し得る。高度制限は、構造上の理由によりターボ過給機の速度を制御する必要性を生じさせることがある。市場力は、変更可能なブーストレベル制御の必要性を生じさせる場合がある。
【0014】
燃焼室の内部および外部の両方における燃焼事象の中に、エンジン制限要因が存在する。これらの要因のいくつかは、充填空気の吸気、充填空気の圧縮、エンジンの膨張行程および排気行程、圧縮比、燃料噴射、噴流の形状、タイミングおよび特性、燃料点火、および圧縮または火花によって開始される点火の特性、シールリングの位置および設計、ピストンクラウンおよびシリンダヘッドの設計、鉢形状、逆ボウル形状、平坦形状、半球形状、渦巻き開始部、非渦巻き形状、層形状、均一な形状、空気対燃料比等である。シリンダ圧限界は、通常、エンジン設計の特徴、例えば、排気シール方法および排気シール材料、弁、および弁座材料、ピストン設計、ピストンリング設計、シリンダ温度、シリンダヘッドの冷却および構造的制限、熱、火花点火エンジンの変速比およびノックによって制御される。上記のように、シリンダ圧限界はウェイストゲートの必要性の主要なドライバである。
【0015】
回転組立体の慣性は主にタービンホイールの慣性である。慣性モーメントは、部分を通る別個のスライスで得られた別々の慣性の和である。
慣性モーメント I=ΣM.R
式中、Mは当該部分の質量であり、
Rはその部分の半径である。
【0016】
このことがターボ過給機の動作に重要である理由は、ウェイストゲートをタービン段に追加することにより、タービンホイールおよびハウジングが小さくなり、低い速度範囲への適合が可能になり、したがって、ウェイストゲートを追加することが、慣性を減少させるための選択肢を追加することによるものである。回転組立体の慣性の減少が典型的に微粒子物質(PM)の減少をもたらすため。ウェイストゲートはオンハイウェイ車において一般的になっている。問題は、大部分のウェイストゲートが動作時に多少二元であり、このことがエンジン出力とエンジン速度との線形関係に十分に適合しないことである。
【0017】
上記のように、ウェイストゲートを組み込むには多くの理由がある。
1.最大シリンダ圧を制限するために、ウェイストゲートは、ブースト、したがって、燃焼室に供給される空気質量流量を簡単に制御する簡単な装置であることができる。
2.最大シリンダ温度を制限するために、ウェイストゲートを簡単な装置として使用して、空気質量流量の吸気、したがってA/F比および燃焼温度を制限することができる。
3.市場がエンジンの動力設定を変更することを許容するため。ターボ過給機の組立時に、アクチュエータのスプリングの座面圧を簡単に変更することによって、最小の部品数の変更で、ウェイストゲートが開き始める点を比較的容易に変更することができる。
4.エンジンの動力設定を微調整するため。エンジンが組み立てられるときに、エンジンによって発生される動力を変化させる公差の増加により、エンジンの全ての部分において、可変範囲が存在する。ディーゼルエンジンは、部分的な出力定格、例えば112kW、130kW、142kW、149kWで販売されるので、ウェイストゲートで利用可能な設定値の無数の変化を用いることが、強力な微調整ツールとなる。例えば、最初にエンジンが製造されるとき、プロトタイプの構成要素とは区別される全ての製造構成要素の公差により、しばしば、異なる出力およびトルクを有するエンジンが製造される。構成要素を変更して目標設定を行う代わりに、ウェイストゲートの設定だけを迅速に変更することができ、このようにして、認証されたエンジンの製造が遅延しない。この「簡単な修正」の問題は、簡単なフラット弁および座面という設計が弁の開放角度による流量をうまく調整しないため、ウェイストゲートの動作が粗くなることがあることである。
【0018】
ウェイストゲートには2つの基本構造、すなわち、ポペット弁タイプと揺動弁タイプとがある。図4は、弁が、ハウジング(30)内に加工された座面(32)に被さるように移動することができるべく、弁(31)が弁アーム(33)に取り付けられる典型的な揺動弁ウェイストゲートを示している。ハウジングは、典型的に、鋳鉄または鋼製のタービンハウジングまたは排気マニホルドであり、これらを通って、排気ガス(35)がタービンホイールの上流に流れる。ハウジング内には、弁アーム(33)が中心で回転し得る枢支軸(34)が加工される。ウェイストゲートが閉鎖指令を受けるときに、弁(31)が座面(32)に被さって、排気ガスがハウジング(30)から逃げることができなくなるように、弁アーム(33)が、それに機械的に接続されたアクチュエータによって閉鎖位置に駆動される。
【0019】
ウェイストゲートが開放指令を受けるとき、アクチュエータが移動して、弁アーム(33)が位置(33A)に回転し、排気ガス(35)がハウジング(30)から外への方向(35B)に弁オリフィスを通って流れ、さらに、残りの排気ガス(35A)がハウジング(30)内を移動することが可能になる。このようにして、ウェイストゲート弁が閉じた状態でハウジングを通る流れ(35)は、ウェイストゲート弁が開いた状態でハウジングを通る流れ(35A)よりも大きくなる。これにより、タービンホイールを駆動するのに利用可能なエネルギーが低減される。
【0020】
図5は、弁(41)が、その座面に垂直に移動することができるように、ハウジング(40)内に加工された座面(42)に被さるように、スリーブ(47)によってハウジング(48)に案内される、典型的なポペット弁ウェイストゲートを示している。ハウジングは、典型的に、鋳鉄または鋼製のタービンハウジングまたは排気マニホルドであり、これらを通して、排気ガス(45)がタービンホイールの上流に流れる。ウェイストゲートハウジング(48)は、典型的に、エンジンの選択に応じて、圧力または負圧により弁(41)を駆動することができる空気圧式ダイヤフラムを備え付けている。ウェイストゲートが閉鎖指令を受けるときに、弁(41)が座面(42)に被さって、排気ガスがハウジング(40)から逃げることができなくなるように、弁(41)が、それに機械的に接続されたアクチュエータによって閉鎖位置に駆動される。
【0021】
ウェイストゲートが開放指令を受けるときに、弁(41)が座面(42)から上昇して位置(41A)に至るように、アクチュエータが移動し、排気ガス(45)は、弁のカーテンを通って、ハウジング(48)から外へ、ハウジングに切り込まれたオリフィス(47)を通って方向(45B)に流れることが可能になり、ガス(46)は大気に逃げることが可能になり、さらに、残りの排気ガス(45A)はハウジング(40)を移動することができる。したがって、ウェイストゲート弁が閉じた状態でハウジングを通る流れ(45)は、ウェイストゲート弁が開いた状態でハウジングを通る流れ(45A)よりも大きい。これにより、タービンホイールを駆動するのに利用可能なエネルギーが低減される。逃げている排気ガスは弁ヘッドと弁座との間の円筒状オリフィスのみを通って流れることができるので、所定の弁変位に関する流れの変化はあまり線形ではない。
【0022】
図11において、典型的なタービンハウジング(2)には、典型的な揺動弁ウェイストゲート装置(31、33A)が設けられる。この場合、ウェイストゲートはタービンホイール(1)から遠いボリュートの側面に取り付けられる。そのウェイストゲートはタービンハウジングまたは排気マニホルドの任意の位置にあり得る。最も一般的な2つの位置は、図示されているようなものであるか、または図示されているその位置に垂直な位置にある。選択は、通常、アクチュエータが簡単なパッケージであるため、あまり不利でない環境に収容するよう行われる。本発明は、位置の選択、またはウェイストゲートのタイプとは無関係である。いずれにしろ、エンジンからの排気流(3)は、ダクトまたはタービンハウジングのボリュートに入り、ダクトまたはタービンハウジングのボリュートを通って流れる。ウェイストゲート弁(31)が開放位置(33A)にあるとき、流れ(3)は、ある比率で流れ(35B)と流れ(35A)とに分かれる。ボリュート内の流れ(35A)はタービンホイール(1)に移動し、ここで、流れ(35A)はタービンハウジング(2)からエクスデューサ(4)を通って車両のダウンパイプに、そして大気に排出する。バイパス流(35B)は、弁オリフィスを通って移動し、流れ(35A)がタービン(1)を通過し、したがってタービン(1)を迂回した後に、タービン(35A)を通って1つの流れに再び合流する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
高性能な制御およびフィードバックを弁位置に組み込むことによって、この未調整の動作を、より微細な調整に合わせることができる。しかし、そのことはエンジンに対して大きな費用を生じさせるが、その理由は、電子装置を、約860℃〜1050℃の排気ガスと振動がある不利な環境に置かなければならないからであり、排気ガスおよび振動の両方は電子装置にとって不利な環境である。したがって、微調整される簡単な排気ガス制御が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、典型的なウェイストゲート弁によって可能であるよりも漸進的な(一貫した、最適には、ほぼ線形の)、ターボ過給機のブースト対弁開放の曲線を提供する。ダクトから弁を通る流路に3次元形状を追加することは、弁の位置の非常に限られた正確な電気制御よりもはるかに費用効果的な、線形流を得るための解決策である。
【0025】
本発明は、一例として示されており、同一の参照番号が同様の部分を示す添付図面に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】典型的なターボ過給機の断面図を示している。
【図2】典型的なエンジン動作線が重ねられている典型的なコンプレッサマップである。
【図3】ウェイストゲートを取り付けることによって変化した典型的なエンジン動作線が重ねられている典型的なコンプレッサマップである。
【図4】揺動弁タイプのウェイストゲートが取り付けられているタービンハウジングまたはマニホルド内の流路の断面図である(上図では弁が閉じられており、下図では弁が開いている)。
【図5】ポペット弁タイプのウェイストゲートが取り付けられているタービンハウジングまたはマニホルド内の流路の断面図である(上図では弁が閉じられており、下図では弁が開いている)。
【図6】典型的な揺動弁の拡大詳細断面図である。
【図7】典型的な揺動弁構造に取り付けられた本発明の突起の拡大詳細断面図である。
【図8A】本発明の一対の実施形態を示しており、追加の内部流路を示している。
【図8B】本発明の一対の実施形態を示しており、追加の外部流路を示している。
【図9A】本発明の一対の実施形態を示しており、非対称の湾曲した放物線状の突起を示している。
【図9B】本発明の一対の実施形態を示しており、対称の放物線状の突起を示している。
【図10A】本発明の別の実施形態を示しており、雄型の放物線形状の図である。
【図10B】本発明の別の実施形態を示しており、円錐状の端部を有するシリンダの図である。
【図10C】本発明の別の実施形態を示しており、円錐状の突起のみの図である。
【図11】典型的なタービンハウジングに取り付けられた典型的なウェイストゲートの位置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、揺動弁タイプのおよびポペットタイプの両方のウェイストゲートに関する新しい変形例を示している。揺動弁はより一般的な種々のウェイストゲートであるので、大量生産に対して費用効果的であり、本出願に関する多様性がある。当業者は、揺動弁について示されている原理を、ポペットタイプのウェイストゲートまたは他の任意のタイプのウェイストゲートに容易に適用するであろう。
【0028】
3次元の突起を弁の面に組み込むことにより、低いおよび高い両方の開放度における弁の開放を行って、排気ガスの流れをより正確に調整することができる。
【0029】
図6は、典型的な揺動弁ウェイストゲートの構造を示している。弁ヘッド(31)は、典型的に、有効直径(36A)の平面36をシール面(32)に付与し、そうすることが、最も費用効果的な製造解決策である。弁が開いているとき(図5の33A参照)、排気ガスはダクトから、弁の面(36)に向かう方向(35)にポート(37)を通って流出する。ウェイストゲート弁の基本形状およびその弁の枢支は、枢支軸(34)を中心とする弁アーム(33)の動作により、弁の面が座面から上昇する前に、弁ヘッド(31)が面(32)で僅かに摺動することを意図する。座面を平らにする主要な理由は、タービンハウジングのウェイストゲートの特徴を鋳造する際に、コアシフトの場所を許容しなければならないことによるものである。ウェイストゲートでは、少なくとも2つの異なるコアの特徴が使用され、したがって、それらの特徴は、通常の鋳造の実施において1/16インチ〜1/8インチの相対移動を有し得る。この移動を迂回するには、十分な重なりを有する平面の弁が、費用効果的な解決策である。
【0030】
図7は、本発明を最も簡単な形で示している。弁を弁アーム(33)に取り付ける弁上部(31)は、図6のものと同様である。弁(90)の下部は突起状に変更されている。弁は上記のもの(図6)と同様の方法で開くが、図7では、ダクトからの空気流が突起(90)の周囲の方向(35)に流れ、その結果、漏出する空気が突起(90)の外面とポート(37)の内面との間の環状オリフィスに流入する。
【0031】
突起は、オリフィスと同じ寸法を有するベースを含む。オリフィスは、正方形、長円形、楕円形または円形あるいは任意の形状であることができる。突起のベースの直径は、地理的中心を通る最小断面積、したがって、矩形のベースの場合には幅(w)、または円形のベースの場合には直径(d)として測定される。弁が閉鎖方向に移動する方向において、突起の高さ(e)が測定される。その高さは、特に制限されないが、少なくとも幅の半分であることが好ましく、幅以上であることが最も好ましい。
【0032】
図8〜図10に示した突起形状は、突起が簡単な形状、例えば、角錐形状または円錐形状をとる必要がないことを示している。代わりの表面および構造を使用して、簡単に作動されるウェイストゲートに関するより制御しやすいブースト曲線を形成することが可能である。
【0033】
図8Aの実施形態では、弁システムを通る質量流量を増加させるために、1つ以上の入口ポート孔(91)に相互に接続された複数の排気ポート(92)が突起(90)に形成される。排気ポートは1つ以上の平面にあることができ、その結果、弁の突起がポートから上昇するときに、より多くの排気ポートが露出される。
【0034】
図8Bの実施形態では、内部ポートが、突起(90)の外壁に形成される凹部(95)に置き換えられる。費用を削減するために、凹部を突起に鋳造することが可能である。凹部は全長または部分長であり得る。凹部は、様々な数、形状および深さであることができる。
【0035】
図9の実施形態では、内部放物線形状を使用して、突起を形成する。一形態(101)では、放物線形状は突起の中心線に従い、この実施形態の別形態では、放物線形状は先の弁の面(36)に垂直な中心線に従う。
【0036】
図10に示した実施形態では、突起は、外部放物線形状(111)、あるいはシリンダの円錐端または尖端(112)、あるいは円錐体(113)の形状をとることができる。
【0037】
突起は中実または中空であってもよい。アクチュエータは、従来使用されてきた任意の電気アクチュエータまたは空気圧アクチュエータまたは機械的アクチュエータであってもよい。動作方法は当業者の範囲内にある。本発明は、従来のフラット弁よりもオリフィスを徐々に制限しなくなる(貫流断面積を減少させる)突起を追加しているという点で、先行技術とは異なる。
【0038】
本明細書では、自動車産業またはトラック産業に適切な実施形態を参照して、ウェイストゲートについて非常に詳細に説明してきたが、ウェイストゲートおよびその製造工程が、蒸気エンジンおよび燃料電池車両等の多数の他の用途で使用するのに適切であることが容易に明らかであろう。本発明は、特定の特徴を有する本発明の好ましい形態において、ウェイストゲート弁について説明しているが、好ましい形態の本開示が一実施例に過ぎないこと、および本発明の精神と範囲から逸脱することなく、構造の詳細と組み合わせの構成とにおいて多数の変更をなし得ることが理解される。
【0039】
以上、本発明について説明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ過給機付きの内燃機関システム用のウェイストゲートであって、前記ウェイストゲートが、
通路を有するウェイストゲートハウジングであって、前記通路が前記通路の入口端から前記通路の出口端までの排気ガスの流れに関する経路を画定するウェイストゲートハウジングと、
弁(31)であって、前記弁がオリフィス(32)に着座されて、前記排気ガスの流れが前記通路を通ることを阻止する閉鎖位置と、前記排気ガスの流れが前記通路を通ることを許容する開放位置との間の移動のための、前記通路に取り付けられた弁(31)と、
前記弁の前記移動を制御するアクチュエータとを備え、
前記弁(31)が、前記弁閉鎖方向に延びる突起(90)を含み、前記突起が、ベース直径と、前記ベースから測定される高さとを有し、前記弁閉鎖方向に測定される前記突起(90)の前記高さが前記ベースの前記直径の半分以上であり、前記閉鎖位置から前記開放位置に向かう前記突起の移動により前記オリフィスが徐々に制限されなくなるウェイストゲート。
【請求項2】
前記突起(90)が前記ベースから外側に向かって先細になる請求項1に記載のウェイストゲート。
【請求項3】
前記弁閉鎖方向に測定される前記突起(90)の前記高さが前記ベースの直径以上である請求項1に記載のウェイストゲート。
【請求項4】
前記突起(90)が少なくとも1つの貫通孔を含む請求項1に記載のウェイストゲート。
【請求項5】
前記突起(90)が、前記突起の移動方向に向けられた前記突起の表面の少なくとも一部にわたって溝または隆起部を含む請求項1に記載のウェイストゲート。
【請求項6】
前記弁が前記閉鎖位置から前記開放位置に向かって徐々に移動するにつれて、前記オリフィスで測定される流れ断面積が徐々に大きくなる請求項1に記載のウェイストゲート。
【請求項7】
前記弁を前記閉鎖位置から前記開放位置に向かって移動するにつれて、前記突起により前記オリフィスが徐々に制限されなくなる請求項1に記載のウェイストゲート。
【請求項8】
前記ウェイストゲートハウジング入口端がターボ過給機の上流の排気ガスの流れと連通し、前記ハウジングの前記出口端が前記ターボ過給機の下流の排気ガスの流れと連通する請求項1に記載のウェイストゲート。
【請求項9】
ターボ過給機付きの内燃機関システム用のウェイストゲートであって、前記ウェイストゲートが、
通路を有するウェイストゲートハウジングであって、前記通路が前記通路の入口端から前記通路の出口端までの排気ガスの流れに関する経路を画定するウェイストゲートハウジングと、
前記排気ガスの流れが前記通路を通ることを阻止する閉鎖位置と、前記排気ガスの流れが前記通路を通ることを許容する開放位置との間の移動のための、前記通路に枢支可能に取り付けられた揺動ゲートと、
前記揺動ゲートの前記移動を制御するために前記ウェイストゲートハウジングに接続されたアクチュエータとを備え、
前記揺動ゲートが、前記揺動ゲートからほぼ前記弁閉鎖方向に延びる突起を含み、前記突起が、ベース直径と、前記ベースから測定される高さとを有し、前記ベースに垂直な前記突起の前記高さが前記ベースの前記直径の半分以上であり、前記閉鎖位置から前記開放位置に向かう前記突起の前記移動により前記オリフィスが徐々に制限されなくなるウェイストゲート。
【請求項10】
内燃機関用のウェイストゲート排気ガス制御システムであって、前記内燃機関が、吸気マニホルドと排気マニホルドとを含み、さらに、
前記排気マニホルドに接続されかつ分岐点で第1の分岐部と第2の分岐部とに分かれる排気ダクトと、
ターボ過給機に接続された前記ダクトの前記第1の分岐部と、
任意選択的に排気浄化装置を通して大気に接続された前記ダクトの前記第2の分岐部と、
前記分岐点の前記排気ダクトに配置されたウェイストゲートと、
前記ダクトの前記第1の分岐部と第2の分岐部との間で、前記排気の比を変化させて案内するための前記ウェイストゲートを制御するための手段とを備え、
前記ウェイストゲートが、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な弁(31)と、前記閉鎖位置にあるときに前記弁を受けるように適合された座面(32)によって画定されたオリフィスとを備え、前記弁が前記閉鎖位置にあるときに、前記弁が前記オリフィス内に延びる突起(90)を含むウェイストゲート排気ガス制御システム。
【請求項11】
前記突起が、ベース直径と、前記ベースから測定される高さとを有し、前記突起が前記ベースから外側に向かって先細になる請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記突起が、ベース直径と、前記ベースから測定される高さとを有し、前記オリフィスに垂直な前記突起の前記高さが前記ベースの前記直径以上である請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記突起が、ベース直径と、前記ベースから測定される高さとを有し、前記ベースに垂直な前記突起の前記高さが前記ベースの前記直径の半分以上である請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記弁が前記閉鎖位置から前記開放位置に徐々に移動するにつれて、前記オリフィスで測定される流れ断面積が徐々に大きくなる請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記弁を前記閉鎖位置から前記開放位置に向かって移動するにつれて、前記突起により前記オリフィスが徐々に制限されなくなる請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
内燃機関に接続され、かつ前記内燃機関の吸気マニホルドに接続された空気出口と、排気ガス入口と、排気ガス出口とを有するターボ過給機のターボ過給圧力を制御するための器具であって、
前記排気ガス入口と前記排気ガス出口とを接続する排気ガスバイパス導管と、
前記排気ガスバイパス導管内に配置された流れ制御部材であって、前記排気ガスバイパス導管を通る排気ガスの流れを制御するように作動可能である流れ制御部材と、
吸気マニホルドと流体連通する吸気ポートと、空気出口ポートとを有する空気圧制御装置であって、前記空気圧制御装置が、前記吸気ポートと前記空気出口ポートとの間における複数の空気流経路を画定し、前記複数の空気流経路の少なくとも1つが、前記複数の空気流経路を通る連続的な空気流を前記空気出口ポートに供給し、前記複数の空気流経路の少なくとも別のものが、前記複数の空気流経路を通って前記空気出口ポートに向かう空気流を制御するための手段を中に含む空気圧制御装置と、
前記空気圧制御装置の前記空気出口ポートに接続された空気入口ポートと、前記空気圧制御装置によって前記流れ制御アクチュエータの入口ポートに供給される空気圧に従って、前記流れ制御部材を作動させるための手段とを有する流れ制御アクチュエータと、
を備える器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−504727(P2012−504727A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530119(P2011−530119)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/058322
【国際公開番号】WO2010/039596
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(500124378)ボーグワーナー インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】