説明

可変速揚水発電装置

【課題】
サージタンクを有し可変速ポンプ水車が管路の一部を他号機と共有する水路系の可変速揚水発電装置において、サージタンクの水位変動により時々刻々変化する実際の全揚程または有効落差に対応した制御上の模擬全揚程または模擬有効落差を精度よく算出し、上下限入出力範囲からの逸脱運転や適正回転速度と適正案内羽根開度からの逸脱運転を防止する。
【解決手段】
揚水モードにおいては、上下サージタンクの水位差信号H1から算出した静落差と電力指令または相当信号から揚水量信号を発生させて模擬全揚程信号を演算し、発電モードにおいては、上下サージタンクの水位差信号H1から算出した静落差と電力指令または相当信号から流量信号を発生させて模擬有効落差信号を演算し、これらの模擬全揚程信号または模擬有効落差信号に基づいて、可変速ポンプ水車の適正回転速度または適正案内羽根開度を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変速揚水発電装置に係り、特に電力指令または相当信号と水位差信号に応じて高効率で運転する可変速揚水発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可変速揚水発電装置を効率よく運転するために、電力指令または相当信号と水位信号によって決まる可変速ポンプ水車の最適回転速度と最適案内羽根開度を発信する関数発信器が制御装置に組み込まれる場合が多い。例えば、揚水モードについては特許文献2に、発電モードについては特許文献3にそのような制御装置が記載されている。水位信号としては、揚水モードにおいては全揚程、発電モードにおいては有効落差が用いられる。
【0003】
特許文献1には、複数台の可変速ポンプ水車が管路を共有する水路系における可変速ポンプ水車の制御装置において、水位信号として、制御系が発振する原因となる全揚程または有効落差の検出値を用いずに、それらと同等な精度を有する、計算によって求めた全揚程または有効落差を用いて可変速ポンプ水車を制御することが記載されており、この制御方法によって、有害な制御ループが形成されず、安定した可変速制御が可能となり、また、他号機の影響も反映した高精度な可変速制御が可能となると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3516113号公報
【特許文献2】特公平6-103023号公報
【特許文献3】特公平8-34717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、全揚程または有効落差を計算で求めるために、上池と下池の水位差を示す静落差を用いている。即ち、揚水モードにおいては、上下池水位差から算出した静落差と電力指令または相当信号から揚水量信号を発生させて模擬全揚程信号(計算で求めた全揚程を模擬全揚程と称する。)を演算し、発電モードにおいては、同様に上下池水位差から算出した静落差と電力指令または相当信号から流量信号を発生させて模擬有効落差信号(計算で求めた有効落差を模擬有効落差と称する。)を演算している。
【0006】
一方、長い導水路および/または鉄管路および/または放水路を共有しサージタンクを有する水路系に設けられた複数の水車を有する水力発電所を可変速揚水発電システムに改造することが考えられる。
【0007】
このような水路系における可変速ポンプ水車に、特許文献1に記載の制御方法を適用した場合、数分周期のサージタンクの水位変動により、ポンプ水車の鉄管側とドラフト側に作用する水圧が時々刻々変動するため、制御上の模擬全揚程または模擬有効落差と実際の全揚程または有効落差とに大きな差が発生する。これにより、有効落差による水車の上限出力、キャビテーション発生等から決められた下限出力、およびポンプ運転特性から定められた上下限入力範囲から逸脱して運転され、回転速度が可変速範囲から逸脱しやすくなり可変速範囲逸脱防止制御が頻繁に動作することや、キャビテーション発生領域での運転によりランナにキャビテーション壊食が発生することや、算出した適正回転速度と適正案内羽根開度の精度が悪化することによる適正回転速度と適正案内羽根開度からの逸脱運転が発生する可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、導水路および/または鉄管路および/または放水路を共有しサージタンクを有する水路系における可変速ポンプ水車の制御において、起動停止、入出力変化または可変速制御などによる水路系を流れる流量の変化によりサージタンクに発生する水位変動の影響で制御上の模擬全揚程または模擬有効落差と実際の全揚程または有効落差とに大きな差が発生することによる影響を低減可能な可変速揚水発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、上下サージタンク(又は上サージタンクと下池、上池と下サージタンク)の水位差信号を用いて、模擬全揚程または模擬有効落差を求めるようにしたものである。
【0010】
具体的には、本発明は、例えば、揚水モードにおいては、上下サージタンクの水位差信号から算出した静落差と電力指令または相当信号から揚水量信号を発生させて模擬全揚程信号を演算し、発電モードにおいては、上下サージタンクの水位差信号から算出した静落差と電力指令または相当信号から流量信号を発生させて模擬有効落差信号を演算し、これらの模擬全揚程信号または模擬有効落差信号に基づいて、可変速ポンプ水車の適正回転速度または適正案内羽根開度を演算するようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上下サージタンク(又は上サージタンクと下池、上池と下サージタンク)の水位差信号を用いることでサージタンクの水位変動により時々刻々変化する実際の全揚程または有効落差に対応した模擬全揚程または模擬有効落差を精度よくかつ安定に算出可能とすることができるので、例えば、上下限入出力範囲からの逸脱運転や適正回転速度と適正案内羽根開度からの逸脱運転を防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る可変速揚水発電装置における揚水モードの可変速制御装置の具体的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る可変速揚水発電装置における発電モードの可変速制御装置の具体的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明が適用される可変速揚水発電装置の水路系の一例を示すもので、2台の可変速ポンプ水車が共有水路を有し、かつ導水路側に上サージタンクと放水路側に下サージタンクを有する水路系の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例に係る可変速揚水発電装置における揚水モードの水位信号計算装置の一例を示すもので、図3に示す水路系を有する可変速揚水発電装置における揚水モードの水位信号計算装置の具体的構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例に係る可変速揚水発電装置における発電モードの水位信号計算装置の一例を示すもので、図3に示す水路系を有する可変速揚水発電装置における発電モードの水位信号計算装置の具体的構成を示すブロック図である。
【図6】本発明が適用される可変速揚水発電装置の水路系の他の一例を示すもので、2台の可変速ポンプ水車が共有水路を有し、かつ導水路側に上サージタンクを有する水路系の構成を示す説明図である。
【図7】本発明が適用される可変速揚水発電装置の水路系の他の一例を示すもので、2台の可変速ポンプ水車が共有水路を有し、かつ放水路側に下サージタンクを有する水路系の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図3に、本発明の実施例1が適用される可変速揚水発電装置の水路系の構成を示す。上池9と下池10の間には上サージタンク13と下サージタンク14が設けられている。上サージタンク13は導水路の途中に設けられ、下サージタンク14は放水路側の分岐点に設けられている。上サージタンク13と下サージタンク14の間に2台の可変速ポンプ水車11,12が設けられ、2台の可変速ポンプ水車11,12は管路B(上サージタンク13から分岐点まで鉄管路)を共有している。即ち、上池と下池とが共用管路(管路B,D)と非共用管路(管路A,C)とで連通され、上池側の共用管路の途中、下池側の共用管路と非共用管路の境界部である分岐点に、上サージタンク、下サージタンクがそれぞれ設けられ、非共用管路(管路A,C)に可変速ポンプ水車がそれぞれ設けられている。また、図示省略しているが、可変速ポンプ水車には周波数変換器を備えた可変速発電電動機が連結されており、可変速ポンプ水車の回転速度や案内羽根開度を制御する制御装置が備えられている。以下、このように上下サージタンク間の管路において2台の可変速ポンプ水車が管路を共有する水路系における可変速ポンプ水車の制御装置について説明する。
【0015】
図1は、本実施例に係る揚水モードにおける制御装置の構成を示す。同図において水位信号計算装置1、適正回転速度発信器3、適正案内羽根開度発信器4、可変速制御システム7は可変速ポンプ水車11の制御装置の構成要素であり、水位信号計算装置2、適正回転速度発信器5、適正案内羽根開度発信器6、可変速制御システム8は可変速ポンプ水車12の制御装置の構成要素である。基本的な構成要素は、特許文献1に記載されたものと同じであり、水位信号計算装置1および水位信号計算装置2への水位信号入力が、図3に示す上下池水位差信号H0ではなく、上下サージタンクの水位差信号H1となっている点が特許文献1と異なる。即ち、本実施例では、サージタンクの水位変動により時々刻々変化する実際の全揚程に対応した模擬全揚程を精度よくかつ安定に算出可能とするように、基準落差信号として、特許文献1で示された上下池水位差信号に代えて、時々刻々変化する上下サージタンクの水位差信号を用いることを最も主要な特徴とする。各構成要素の働きは特許文献1(特許第3516113号公報)に詳述されているが、構成要素の働きについて簡単に説明する。
【0016】
水位信号計算装置1は、可変速ポンプ水車11に入力される電力指令または相当信号P1と、可変速ポンプ水車12に入力される電力指令または相当信号P2と、上下サージタンクの水位差信号H1によって決まる全揚程相当水位信号(模擬全揚程信号)Heffp1を発信する。尚、電力指令の相当信号とは例えば電力指令信号に簡単な演算を施した信号が含まれる(以下、同じ。)。
【0017】
適正回転速度発信器3は、電力指令または相当信号P1と、全揚程相当水位信号Heffp1とによって決まる最適な揚水運転ができる回転速度Nを発信する関数発信器である。
【0018】
適正案内羽根開度発信器4は、電力指令または相当信号P1と、全揚程相当水位信号Heffp1とによって決まる最適な揚水運転ができる案内羽根開度Yを発信する関数発信器である。
【0019】
可変速制御システム7は、例えば、特許文献2(特公平6-103023号公報)にてその制御内容の詳細が述べられている。
【0020】
可変速ポンプ水車12についての水位信号計算装置2、適正回転速度発信器5、適正案内羽根開度発信器6および可変速制御システム8についても上述と同様の機能を持つ。
【0021】
このような構成にすれば、可変速ポンプ水車11に入力される電力指令または相当信号と、可変速ポンプ水車12に入力される電力指令または相当信号と、上下サージタンクの水位変動による落差変化を反映した水位差信号とによって決まる模擬全揚程信号で制御できるため、有害なループを構成することなく制御可能であり、かつ、全揚程が変動しても適正回転速度と適正案内羽根開度の精度が悪化することがなく適正回転速度と適正案内羽根開度からの逸脱運転を防止して制御可能である。
【0022】
水位信号計算装置1及び2の詳細を図4に示す。図1における水位信号計算装置1は揚水量発信器30,31、加算器38、乗算器32,33、比例要素35,36、加算器39,41から構成され、図1における水位信号計算装置2は揚水量発信器30,31、加算器38、乗算器33,34、比例要素36,37、加算器40,42から構成されている。水位信号計算装置の基本的な構成要素も特許文献1に記載されたものと同じである。水位信号入力が上下池水位差信号H0では無く上下サージタンクの水位差信号H1となっている点が特許文献1と異なる。
【0023】
水位信号計算装置の機能について説明する。特許文献1には、水位信号計算装置として、上下池水位差信号を静落差として用い、上下池間の全ての管路での損失を揚水量の2乗に損失係数を乗じて求めて模擬全揚程を求める方法が詳細に示されている。本実施例では、上下サージタンクの水位差信号を静落差として用いて、上下サージタンク間の共用および非共用の管路での損失を揚水量の2乗に損失係数を乗じて求めて、その求めた管路での損失を上下サージタンクの水位差信号に加算することで模擬全揚程を求めるものである。
【0024】
即ち、図3において、可変速ポンプ水車11、12は共に揚水運転中であり、可変速ポンプ水車11が汲み上げる揚水量をQ1、可変速ポンプ水車12が汲み上げる揚水量をQ2とする。図中の管路に流れる揚水量は、管路AではQ1,管路BではQ1+Q2、管路CではQ2となる。管路損失=(揚水量の2乗)×損失係数であるので、管路の損失係数を管路AではKa,管路BではKb、管路CではKcとすれば、この時の可変速ポンプ水車11に係る管路損失は[(Q1の2乗)×Ka+((Q1+Q2)の2乗)×Kb]で求めることができ、可変速ポンプ水車12に係る管路損失は[(Q2の2乗)×Kc+((Q1+Q2)の2乗)×Kb]で求めることができる。
【0025】
可変速ポンプ水車11が汲み上げる揚水量をQ1からQ3に変化させ、可変速ポンプ水車12の運転状態は変化させない場合、可変速ポンプ水車11に係る管路損失は、[(Q3の2乗)×Ka+((Q3+Q2)の2乗)×Kb]となる。一方、可変速ポンプ水車12に係る管路損失は[(Q2の2乗)×Kc+((Q3+Q2)の2乗)×Kb]となり、運転状態を変化させていないにもかかわらず、管路を共有する他号機の影響により全揚程が変化してしまう。
【0026】
全揚程=上下サージタンクの水位差信号による静落差+上下サージタンク間の管路損失でもあるので、本実施例の水位信号計算装置では、上述のそれぞれの可変速ポンプ水車に係る管路損失を計算により求めて、上下サージタンクの水位差信号H1による静落差に加算することにより、それぞれの可変速ポンプ水車の全揚程相当水位信号Heffp1,Heffp2を算出している。このようにすれば他号機の起動停止や揚水量変化の影響ばかりでなく自号機の揚水量変化の影響によるサージタンクの水位変動の影響も考慮にいれた全揚程相当水位信号を求めることができる。尚、管路D(上池9から上サージタンク13までの導水路及び下サージタンク14から下池10までの放水路)における管路損失については、上下サージタンクの水位差信号から得られる静落差と計算により求められた管路損失を加算することにより全揚程相当水位信号Heffp1,Heffp2を算出する本実施例の方法においては、考慮する必要はない。
【0027】
次に、上述の機能を実現する水位信号計算装置1及び2の各構成要素について説明する。各構成要素の働きは特許文献1にも詳述されている。
【0028】
揚水量発信器30は、可変速ポンプ水車11に関して、電力指令または相当信号P1と、上下サージタンクの水位差信号H1によって決まる揚水量を発信する関数発信器である。
【0029】
揚水量発信器31は、可変速ポンプ水車12に関して、電力指令または相当信号P2と、上下サージタンクの水位差信号H1によって決まる揚水量を発信する関数発信器である。
【0030】
乗算器32〜34は、管路損失=(揚水量の2乗)×損失係数における(揚水量の2乗)を求めるため、上下サージタンク間の共用および非共用の管路に対して、図4に示すように設置されている。そして図3の管路Aの損失係数が比例要素35に設定され、また管路Cの損失係数が比例要素37に設定されている。更に共有管Bの管路損失=[(可変速ポンプ水車11が汲み上げる揚水量+可変速ポンプ水車12が汲み上げる揚水量)の2乗]×損失係数と考え、損失係数が比例要素36に設定されている。即ち、比例要素35の値をKa、比例要素36の値をKb、比例要素37の値をKcとおくことにより、管路Aを乗算器32と比例要素35、管路Bを乗算器33と比例要素36、管路Cを乗算器34と比例要素37で模擬している。
【0031】
可変速ポンプ水車11がP1、H1で運転していれば揚水量Q1、可変速ポンプ水車12がP2、H1で運転していれば揚水量Q2であるので、同信号が入力されれば、揚水量発信器30の出力はQ1、揚水量発信器31の出力はQ2となる。この時、乗算器32、比例要素35に出力される揚水量の信号はQ1、乗算器34、比例要素37に出力される揚水量の信号はQ2、乗算器33、比例要素36に出力される揚水量の信号は加算器38で加算されるのでQ1+Q2となる。
【0032】
このようにして管路A、B、Cにおける揚水量から管路損失が計算される。可変速ポンプ水車11に係る上下サージタンク間の管路損失は、管路Aの損失+管路Bの損失であるので、比例要素35、36の出力信号が加算器39で加算され計算される。同様に可変速ポンプ水車12に係る上下サージタンク間の管路損失は、管路Cの損失+管路Bの損失であるので、比例要素36、37の出力信号が加算器40で加算され計算される。全揚程は、上下サージタンクの水位差信号による静落差+上下サージタンク間の管路損失で求められるので、最終的に可変速ポンプ水車11の全揚程相当水位信号(模擬全揚程信号)Heffp1は、上下サージタンクの水位差信号による静落差H1と管路損失信号である加算器39の出力信号が加算器41で加算されることにより計算される。
【0033】
同様に可変速ポンプ水車12の全揚程相当水位信号(模擬全揚程信号)Heffp2は、上下サージタンクの水位差信号からの静落差H1と管路損失信号である加算器40の出力信号が加算器42で加算されることにより計算される。
【0034】
可変速ポンプ水車11の電力指令をP1からP3に操作すれば、揚水発信器30から出力から出力される揚水量の信号はQ1からQ3に変化する。この時乗算器32、比例要素35に出力される揚水量の信号はQ3、乗算器34、比例要素37に出力される揚水量の信号はQ2、乗算器33、比例要素36に出力される揚水量の信号は加算器38で加算されるのでQ3+Q2となる。以降、電力指令がP1のときと同様に計算され、可変速ポンプ水車11の電力指令をP1からP3に操作したときの可変速ポンプ水車11の全揚程相当水位信号(模擬全揚程信号)Heffp1と、可変速ポンプ水車11の運転変化による影響を反映した可変速ポンプ水車12の全揚程相当水位信号(模擬全揚程信号)Heffp2が求められる。
【0035】
このようにして、管路を共有する他号機の影響もうまく模擬しており、可変速ポンプ水車12は運転状態が一定であったにもかかわらず、全揚程が他号機の影響に応じて変化するのである。同様に他号機の起動停止や揚水量変化の影響ばかりでなく自号機の揚水量変化の影響によるサージタンクの水位変動の影響による全揚程変化の影響も考慮した全揚程相当水位信号を求めて、可変速ポンプ水車の制御に反映できる。
【実施例2】
【0036】
次に、図3に示す水路系を有する可変速揚水発電装置の発電モードに本発明を適用した実施例について説明する。図2は本実施例に係る発電モードにおける制御装置の構成を示す。同図において水位信号計算装置15、適正回転速度発信器17、可変速制御システム19は可変速ポンプ水車11の制御装置の構成要素であり、水位信号計算装置16、適正回転速度発信器18、可変速制御システム20は可変速ポンプ水車12の制御装置の構成要素である。基本的な構成は、揚水モードの制御装置と同様に、特許文献1に記載されたものと同じであり、水位信号計算装置15および水位信号計算装置16への水位信号入力が、図3に示す上下池水位差信号H0ではなく、上下サージタンクの水位差信号H1となっている点が特許文献1と異なる。即ち、本実施例では、サージタンクの水位変動により時々刻々変化する実際の有効落差に対応した模擬有効落差を精度よくかつ安定に算出可能とするように、基準落差信号として、特許文献1で示された上下池水位差信号に代えて、時々刻々変化する上下サージタンクの水位差信号を用いることを最も主要な特徴とする。各構成要素の働きは特許文献1に詳述されているが、構成要素の働きについて簡単に説明する。
【0037】
水位信号計算装置15は、可変速ポンプ水車11に入力される電力指令または相当信号P1と、可変速ポンプ水車12に入力される電力指令または相当信号P2と、上下サージタンクの水位差信号H1によって決まる有効落差相当水位信号(模擬有効落差信号)Heffg1を発信する。
【0038】
適正回転速度発信器17は、電力指令または相当信号P1と、有効落差相当水位信号Heffg1とによって決まる最適な水車運転ができる回転速度Nを発信する関数発信器である。
【0039】
可変速制御システム19は、例えば、特許文献3(特公平8-34717号公報)にてその制御内容の詳細が述べられている。
【0040】
可変速ポンプ水車12についての水位信号計算装置16、適正回転速度発信器18、可変速制御システム20についても上述と同様の機能を持つ。
【0041】
次に水位信号計算装置15及び16の詳細を図5に示す。図2における水位信号計算装置15は流量発信器43,44、加算器51、乗算器45,46、比例要素48,49、加算器52,54から構成され、図2における水位信号計算装置16は流量発信器43,44、加算器51、乗算器46,47、比例要素49,50、加算器53,55から構成されている。水位信号計算装置の基本的な構成要素も特許文献1に記載されたものと同じである。水位信号入力が上下池水位差信号H0では無く上下サージタンクの水位差信号H1となっている点が特許文献1と異なる。即ち、本実施例では、上下サージタンクの水位差信号を静落差として用いて、上下サージタンク間の共用および非共用の管路での損失を流量の2乗に損失係数を乗じて求めて、その求めた管路での損失を上下サージタンクの水位差信号から減算することで模擬有効落差を求めている。
【0042】
流量発信器43は、可変速ポンプ水車11に関して、電力指令または相当信号P1と、上下サージタンクの水位差信号H1によって決まる流量を発信する関数発信器である。
【0043】
流量発信器44は、可変速ポンプ水車12に関して、電力指令または相当信号P2と、上下サージタンクの水位差信号H1によって決まる流量を発信する関数発信器である。管路損失=(流量の2乗)×損失係数であるので、上下サージタンク間の共用および非共用の管路に対して乗算器45〜47を図5のように設置する。そして図3の管路Aの損失係数を比例要素48に設定する。また管路Cの損失係数を比例要素50に設定する。更に共有管Bの管路損失=[(可変速ポンプ水車11に流れ込む流量+可変速ポンプ水車12に流れ込む流量)の2乗]×損失係数と考え、損失係数を比例要素49に設定する。有効落差=上下サージタンクの水位差信号による静落差−上下サージタンク間の管路損失であるので、上下サージタンクの水位差信号による静落差から計算により求められたそれぞれの可変速ポンプ水車の管路損失を減算することにより、それぞれの可変速ポンプ水車の有効落差相当水位信号Heffg1,Heffg2を算出する。このようにすれば他号機の起動停止や流量変化の影響ばかりでなく自号機の流量変化の影響によるサージタンクの水位変動の影響も考慮にいれた有効落差相当水位信号を求めることができる。
【0044】
本実施例によれば、揚水モードと同様に、可変速ポンプ水車11に入力される電力指令または相当信号と、可変速ポンプ水車12に入力される電力指令または相当信号と、上下サージタンクの水位変動による落差変化を反映した水位差信号とによって決まる模擬有効落差信号で制御できるため有害なループを構成することなく制御可能であり、かつ、有効落差が変動しても適正回転速度の精度が悪化することがなく適正回転速度からの逸脱運転を防止し、また、上下限出力制限からの逸脱運転を防止して制御可能である。
【実施例3】
【0045】
上述の実施例1および2における可変速ポンプ水車の動作は、他の水路系、例えば図6に示す水路系の可変速揚水発電装置おいても同様である。図6は、本発明が適用される可変速揚水発電装置の水路系の他の例を示すもので、導水路の途中に上サージタンク13を有し、2台の可変速ポンプ水車11,12が管路B(上サージタンク13から分岐点までの鉄管路と放水路側の分岐点から下池10までの放水路)を共有する水路系の構成を示す。即ち、上池と下池とが共用管路(管路B,D)と非共用管路(管路A,C)とで連通され、上池側の共用管路の途中に上サージタンクが設けられ、非共用管路(管路A,C)に可変速ポンプ水車がそれぞれ設けられている。
【0046】
可変速制御装置の基本的な構成要素は、図1及び図2に示す実施例1及び2の制御装置と同じであり、水位信号計算装置1および水位信号計算装置2への水位信号入力が、図3に示す上下サージタンクの水位差信号H1ではなく、図6に示す上サージタンク13と下池10との水位差信号H2となる点が実施例1と異なる。即ち、本実施例では、サージタンクの水位変動により時々刻々変化する実際の全揚程または有効落差に対応した模擬全揚程または模擬有効落差を精度よくかつ安定に算出可能とするように、基準落差信号として、特許文献1で示された上下池水位差信号に代えて、時々刻々変化する上サージタンクと下池との水位差信号を用いている。
【0047】
また、揚水モードおよび発電モードでの水位信号計算装置のブロック図も図4および図5と同じであり、図4において、揚水量発信器30,31および加算器41,42に入力される水位差信号、並びに図5において、流量発信器43,44および加算器54,55に入力される水位差信号が、図6に示す上サージタンク13と下池10との水位差信号H2となる。
【0048】
尚、本実施例では、上サージタンクと下池の水位差信号から得られる静落差と計算により求められた管路損失を加減算することにより全揚程相当水位信号Heffp1,Heffp2およびを有効落差相当水位信号Heffg1,Heffg2算出するので、管路D(上池9から上サージタンク13までの導水路)における管路損失については考慮する必要はない。
【実施例4】
【0049】
上述の実施例1および2における可変速ポンプ水車の動作は、他の水路系、例えば図7に示す水路系の可変速揚水発電装置おいても同様である。図7は、本発明が適用される可変速揚水発電装置の水路系の他の例を示すもので、放水路側の分岐点に下サージタンク14を有し、2台の可変速ポンプ水車11,12が管路B(上池9から分岐点までの導水路)を共有する水路系の構成を示す。即ち、上池と下池とが共用管路(管路B,D)と非共用管路(管路A,C)とで連通され、下池側の共用管路と非共用管路の境界部である分岐点に下サージタンクが設けられ、非共用管路(管路A,C)に可変速ポンプ水車がそれぞれ設けられている。
【0050】
可変速制御装置の基本的な構成要素は、図1及び図2に示す実施例1及び2の制御装置と同じであり、水位信号計算装置1および水位信号計算装置2への水位信号入力が、図3に示す上下サージタンクの水位差信号H1ではなく、図7に示す上池9と下サージタンク14との水位差信号H3となる点が実施例1と異なる。即ち、本実施例では、サージタンクの水位変動により時々刻々変化する実際の全揚程または有効落差に対応した模擬全揚程または模擬有効落差を精度よくかつ安定に算出可能とするように、基準落差信号として、特許文献1で示された上下池水位差信号に代えて、時々刻々変化する上池と下サージタンクとの水位差信号を用いている。
【0051】
また、揚水モードおよび発電モードでの水位信号計算装置のブロック図も図4および図5と同じであり、図4において、揚水量発信器30,31および加算器41,42に入力される水位差信号、並びに図5において、流量発信器43,44および加算器54,55に入力される水位差信号が、図7に示す上池9と下サージタンク14との水位差信号H3となる。
【0052】
尚、本実施例では、上池と下サージタンクの水位差信号から得られる静落差と計算により求められた管路損失を加減算することにより全揚程相当水位信号Heffp1,Heffp2および有効落差相当水位信号Heffg1,Heffg2を算出するので、管路D(下サージタンク14から下池10までの放水路)における管路損失については考慮する必要はない。
【0053】
上述の各実施例によれば、上下サージタンク(又は上サージタンクと下池、上池と下サージタンク)の水位差信号を用いることでサージタンクの水位変動により時々刻々変化する実際の全揚程または有効落差に対応した模擬全揚程または模擬有効落差を精度よくかつ安定に算出可能とすることが出来るので、上下限入出力範囲からの逸脱運転や適正回転速度と適正案内羽根開度からの逸脱運転を防止できるという利点がある。
【0054】
また、上述の各実施例ではポンプ水車が2台であるが、特許文献1に記載のように、3台以上が管路の一部を共有する場合や、3台のうち2台がさらに管路の一部を共有する場合にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0055】
1,2,15,16 … 水位信号計算装置、3,5,17,18 … 適正回転速度発信器、4,6 … 適正案内羽根開度発信器、7,8,19,20 … 可変速制御システム、9 … 上池、10 … 下池、11,12 … 可変速ポンプ水車、13 … 上サージタンク、14 … 下サージタンク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に上サージタンクと下サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、揚水モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記上サージタンクと前記下サージタンクの水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る全揚程を演算により求め、前記全揚程の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。
【請求項2】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に上サージタンクと下サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度及び案内羽根開度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、揚水モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記上サージタンクと前記下サージタンクの水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る全揚程を演算により求め、前記全揚程の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度と適正案内羽根開度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御するとともに前記適正案内羽根開度により前記一方のポンプ水車の案内羽根開度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。
【請求項3】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に上サージタンクと下サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、発電モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記上サージタンクと前記下サージタンクの水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る有効落差を演算により求め、前記有効落差の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。
【請求項4】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に上サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、揚水モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記上サージタンクと前記下池の水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る全揚程を演算により求め、前記全揚程の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。
【請求項5】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に上サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度及び案内羽根開度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、揚水モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記上サージタンクと前記下池の水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る全揚程を演算により求め、前記全揚程の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度と適正案内羽根開度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御するとともに前記適正案内羽根開度により前記一方のポンプ水車の案内羽根開度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。
【請求項6】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に上サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、発電モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記上サージタンクと前記下池の水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る有効落差を演算により求め、前記有効落差の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。
【請求項7】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に下サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、揚水モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記下サージタンクと前記上池の水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る全揚程を演算により求め、前記全揚程の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。
【請求項8】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に下サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度及び案内羽根開度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、揚水モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記下サージタンクと前記上池の水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る全揚程を演算により求め、前記全揚程の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度と適正案内羽根開度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御するとともに前記適正案内羽根開度により前記一方のポンプ水車の案内羽根開度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。
【請求項9】
上池と下池とが共用管路と非共用管路とで連通され、前記共用管路の途中または前記共用管路と前記非共用管路の境界部である分岐点に下サージタンクを有する水路系に設けられた可変速揚水発電装置であって、
前記非共用管路のそれぞれに設けられた可変速度で運転される複数のポンプ水車と、前記ポンプ水車のそれぞれに連結された複数の可変速発電電動機と、前記ポンプ水車の回転速度を制御する制御装置とを有する可変速揚水発電装置において、
前記制御装置は、発電モード時、前記複数のポンプ水車の一方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記複数のポンプ水車の他方のポンプ水車に係る電力指令信号と、前記下サージタンクと前記上池の水位差を示す静落差信号とを入力して、前記一方のポンプ水車に係る有効落差を演算により求め、前記有効落差の信号と前記一方のポンプ水車に係る前記電力指令信号とに基づいて適正回転速度を求め、前記適正回転速度により前記一方のポンプ水車の回転速度を制御することを特徴とする可変速揚水発電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate