説明

可撓性電子および光電子素子用の熱安定化されたポリ(エチレンナフタレート)フィルム

【課題】30分、230℃で1%未満の収縮率を有するフィルムを含む基板層およびその表面上のバリアー層を含む複合フィルムを使用して共役導電性ポリマーを含む電子または光電子素子内の基板を提供する。
【解決手段】ポリエチレンナフタレートを含む層を、延伸、ヒートセット、および熱安定化処理することにより、30分、230℃で1%未満の収縮率を有するフィルムを含む基盤層を製造し、その表面上にバリアー層を形成して複合フィルムを入手する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性電子および光電子素子、特に、エレクトロルミネッセント(EL)ディスプレイ素子、とりわけ有機発光ディスプレイ(OLED)素子中で基板としての使用に適する、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)フィルムに関する。
【0002】
本発明は、EL素子(特にOLED)、光電池および半導体素子(一般に、有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタおよび集積回路のような)を含めた、共役導電性ポリマーを含む電子または光電子素子の絶縁および支持基板に関する。本発明は、特に、光電子素子、特にEL素子(特にOLED)または光電池素子、および特にEL素子(特にOLED)の基板に関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロルミネッセント(EL)ディスプレイは、優れた視認性(高い輝度、高いコントラスト、非常に早い応答スピードおよび広い視野角を含む)、非常に薄いプロフィルおよび非常に低い電力の消費を特徴とする自発光ディスプレイ方式である。ELディスプレイ素子自体が、陰極線管(CRT)、蛍光体およびプラズマディスプレイと同様に発光する。液晶ディスプレイ(LCDs)とは異なり、バックライトは必要ない。ELの応答スピードは、LCDの応答スピードの1000倍程度の速さとすることができ、そのため、この方式は、動画での使用に特に適する。ELディスプレイは、航空機および船の操縦、自動車オーディオ機器、計算機、携帯電話、ポータブルコンピュータ、計測器、工場のモニターおよび電子医療装置を含む多様な用途に用いられてもよい。その他のELディスプレイの主な用途は、周囲の光が弱い条件でもLCDパネルを容易に読むことができるようにするために光源として、特に、小さなLCDパネル用のバックライトとしてである。
【0004】
ELディスプレイは、あらかじめ決定されたパターンで導電性成分を含むそれぞれ2つのプレート、すなわち電極の間に燐光または他のエレクトロルミネッセント物質の薄いフィルムをはさむことによって作動し、これにより、ディスプレイ上でアドレス可能なピクセルを形成する。電極は、エレクトロルミネッセント物質の上、または別々の支持体の上のいずれかにコーティングとして形成される。一方またはそれぞれの電極が光を透過させることを意図する場合、電極は半透明または透明なコーティング、例えば、透明な導電性金属酸化物を使用して、形成される。同様に、必要に応じて、一方またはそれぞれの支持体が半透明または透明であってもよい。一般に、少なくともアノードが透明である。支持体は、一般に、電極の基盤、および絶縁層の両方として機能する。基板はまた、使用、保管および運搬中の化学的および物理的損傷に対して保護を与える。ポリマーフィルムばかりでなく、ガラスも絶縁支持体として使用されてきた。
【0005】
ELディスプレイ素子は、種々のカソード材料を利用してきた。初期の研究はアルカリ金属を用いた。他のカソード材料は、真鍮および導電性金属酸化物(例えば、インジウムスズ酸化物)のような金属の組み合わせを含む。インジウム、銀、スズ、鉛、マグネシウム、マンガンおよびアルミニウムのような種々の単一金属カソードも使用されてきた。
【0006】
EL構造における比較的最近の発見は、有機ルミネッセント媒質が、アノードとカソードとを分離する2つの非常に薄い層(組み合わされた厚さが<1.0μm)から成る素子を含む。OLED素子の代表的なものは、例えば特許文献1に開示されている。
【0007】
電流が導電性要素に通される場合、エレクトロルミネッセント材料が発光する。LCDディスプレイのように光源を遮断するのではなく、放射技術であるELディスプレイは、あらゆる光の条件で高い視認性が重要である応用分野において、もっとも有用である。
【0008】
非常に高い純度で三原色を作ることができる、新しい有機エレクトロルミネッセント材料の開発は、輝度と長寿命の均一なレベルを持つフルカラーディスプレイを可能にしてきた。このような特性を有するポリマーは、溶媒に溶解され、および溶液から加工されることができ、電子素子のプリントを可能にする。導電性共役ポリマーは、特に関心のあるものである。本明細書で使用されるように、「共役導電性ポリマー」という用語は、ポリマーの主鎖に沿ったπ電子の非局在化を有するポリマーを指す。このタイプのポリマーは、非特許文献1によって概説される。好ましい具体例では、共役導電性ポリマーは以下から選択される。:
(i)ポリアセチレン類、ポリフェニレン類およびポリ(p−フェニレンビニレン)類のような炭化水素共役ポリマー類;
(ii)ポリチオフェン類、ポリピロール類およびポリアニリン類のような主鎖にヘテロ原子を持つ共役複素環ポリマー類;および、
(iii)少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは6つかそれ以上の繰り返しサブユニットを含むオリゴチオフェン類、オリゴピロール類、オリゴアニリン類、オリゴフェニレン類およびオリゴ(フェニレンビニレン)類のような共役オリゴマー類。
【0009】
EL素子中での使用に加え、光電池および半導体素子(一般的に、有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタおよび集積回路のような)を含めた種々の他の電子および光電子素子中での使用についてこのような共役導電性ポリマーが提案されてきた。
【0010】
基板は、透明、半透明または不透明とすることができるが、典型的には透明である。基板は、通常、光学的透明性、平坦性および最小限の複屈折に対する厳しい規格に合致することが要求される。典型的には、7%未満のヘイズと対をなす、400〜800nmにわたっての85%の全光線透過率(total light transmission)(TLT)がディスプレイの用途に対して望まれる。表面平滑性および平坦性は、電極の導電性コーティングのような、引き続いて適用されるコーティングの完全性を保証するために必要である。基板もまた、良好なバリアー特性、すなわち、気体および溶媒の浸透に対して高い抵抗性を有するべきである。電子ディスプレイの用途で使用するための基板は、10-6g/m2/日未満の水蒸気透過速度および10-5mL/m2/日未満の酸素透過速度を適切に示す。可撓性、衝撃抵抗、硬度および引っかき抵抗のような機械的特性もまた、重要な考慮すべき事柄である。
【0011】
光学的良質ガラスまたはクオーツは、以前より電子ディスプレイの用途では、基板として使用されてきた。これらの材料は、光学上および平坦性の要求に合致し、良好な熱および化学的抵抗およびバリアー特性を有することが可能である。しかしながら、これらの材料は、いくつかの所望の機械的特性、もっとも特筆すべきは、低密度、可撓性および衝撃抵抗を有さない。
【0012】
機械的特性を向上するために、プラスチック材料がガラスまたはクオーツシートの代わりとして提案されてきた。プラスチック基板は、より優れた可撓性および向上された衝撃抵抗を有しており、および同様の厚さのガラスまたはクオーツシートより軽量である。加えて、可撓性プラスチック基板は、たとえば上述した共役ポリマーを使用して、オープンリール法での基板上への電子素子のプリントを可能し、これにより、経費を削減し、曲面の素子の製造を可能にする。しかしながら、ポリマー材料の使用の不利益は、ポリマー材料の、より低い化学的抵抗およびより劣るバリアー特性である。それにもかかわらず、種々のバリアーコーティングがこの問題を最小限にするために開発されてきた。これらのコーティングは、典型的には、高い温度でのスパッタリングプロセスで適用され、その方法では、コーティングの密度および形態が制御され、要求されたバリアー特性を与えることができる。バリアー層は、有機または無機であってもよく、その上に堆積される層に対して良好な親和性を示すべきであり、および、平滑な表面を形成することができるべきである。バリアー層の形成に使用するために適する材料は、例えば、特許文献2に開示されている。その中で、バリアー層の完全性を保証するため、および「ピンのような傷(pin-pricks)」を避けるために、ポリマー基板の表面は、良好な平滑性を示さなければなない。
【0013】
それにもかかわらず、プラスチック基板をコーティングされるバリアー層に関して種々の限界が残る。特に、スパッタリングのような、バリアー層を堆積するための高い温度技術の使用は、ポリマー基板が高温で寸法安定性を保持しなければならないことを意味する。ディスプレイ素子の製造の間、加工条件、特に高い温度にさらされたとき、ポリマー基板の多くのタイプは、巻き付きのような受け入れられない寸法の歪を受ける。この要因は、ポリマーフィルムの一定のタイプのみが、このような素子中の基板として適していることを意味する。さらに、寸法の不安定性を最小限にするために、バリアー層の堆積プロセスの温度のような製造プロセスの温度を制御することがまだ必要である。一般的に、コーティング層の質が、堆積プロセスの温度と共に高まるため、寸法安定性を保持すると同時に、高温で加工できる基板の提供が望まれる。加えて、一般にポリマー基板に要求される付加的なバリアー層のために、ポリマー基板の膨張とバリアーコーティングの膨張とを相関させることが要求され、これにより、巻き付きを避け、平坦性を保持する。これらの理由のため、基板の膨張特性は、比較的小さいか予測可能であるかのいずれか、および、好ましくは両方であることが要求される。
【0014】
電子ディスプレイ素子を組み込む装置、特に、携帯電話のようなハンディタイプの装置の製造業者は、ディスプレイ素子の性能を評価するため、「熱サイクル」として既知のテストをしばしば利用する。本テストは、各温度であらかじめ決められた「保持時間(hold time)」および温度間の一定の移行期間を含む、約−40℃から約80℃までの温度へディスプレイを周期的にさらすことを含み、およびもっとも厳しい操作条件をシミュレートすることが意図される。
【0015】
要求される寸法安定性を有するポリマー基板の製造は困難であった。
【0016】
従来、電子ディスプレイの用途に適するポリマー基板は、一般に、ポリエーテルスルホン類およびポリイミド類のような、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを含むアモルファス、キャストポリマーフィルムであった。ポリマーの挙動がTgより上では変化し、特に、Tgより上では寸法安定性がさらに予想可能でなく、より制御できないため、高いTgを有するポリマーは好まれてきた。一般に、要求される寸法安定性および平坦性を有するフィルムの製造に関連する問題と並んで、既知のフィルムも湿気を吸収する傾向を有してもよく、これは、不定のおよび予測できない膨張特性を導く。加えて、溶媒−キャスト技術を使用して製造されてきたフィルムは、残留溶媒を含み、脱ガス処理を必要とすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第4720432号明細書
【特許文献2】米国特許第6198217号明細書
【特許文献3】欧州特許公開第0419400号明細書
【特許文献4】英国特許公開第838708号明細書
【特許文献5】米国特許第5328755号明細書
【特許文献6】欧州特許公開第0408197号明細書
【特許文献7】米国特許第5925428号明細書
【特許文献8】米国特許第5882798号明細書
【特許文献9】欧州特許公開第0429179号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】W.J.Feast in Polymer,Vol.37(22),5017-5047,1996.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前述の問題の少なくとも1つを克服するフィルムの提供が本発明の目的である。特に、EL素子(特にOLED)、光電池、および半導体素子(一般に、有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタおよび集積回路のような)を有する共役伝導性ポリマーを含む電子または光電子素子の製造において、基板、特に可撓性基板としての使用に適する、良好な高温寸法安定性を有するポリマーフィルムを提供することが本発明の目的である。良好な高温寸法安定性、高い光学的透明性および良好な表面平滑性/平坦性を有するポリマーフィルムを提供することがさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によると、共役導電性ポリマーを含む光電子素子または電子素子であって、その基板として、配向され、ヒートセットされ、次いで熱安定化された、ポリ(エチレンナフタレート)を含むフィルムを含む、光電子素子または電子素子、またはそれらの製造方法を提供する。ここで、前記フィルムが、30分、230℃で1%未満の収縮率を有し、好ましくは、前記フィルムが、8℃〜200℃にフィルムを加熱し、次いで、8℃まで冷却した前後で、元の寸法の0.75%未満の、25℃で測定された残余寸法変化ΔLTを有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用されるように、共役導電性ポリマーを含む素子は、好ましくは、EL素子(特にOLED)光電池、および半導体デバイス(一般に、有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタおよび集積回路のような)を指す。本明細書で使用されるように、共役導電性ポリマーを含む光電子素子は、好ましくは、EL素子(特にOLED)および光電池素子、および、特にEL素子(特にOLED)を指す。本明細書で使用されるように、共役導電性ポリマーを含む電子素子という用語は、光電子素子を除き、好ましくは、一般に有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタおよび集積回路、特に、有機電解効果トランジスタのような半導体素子を指す。
【0022】
前記素子の製造中で、一般的に使用される温度と比較して、および、本用途で以前に使用されたポリマーのTgと比較して、PENの低いTg(約120℃)のために、PENがこのような用途の基板として適することは予測されない。熱安定化した、配向PENフィルムの特に有利な点は、バリアー層の堆積の間、比較的高い温度を使用できることである。加えて、高い透明性および良好な表面平滑性を有するPENフィルム表面を実現することが可能である。PENフィルムのさらなる有利な点は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと比較して、PENフィルムの低い水蒸気透過速度およびその低い酸素透過速度である。PENフィルムは、その著しく、より低い水分吸収速度により、上記で議論された非晶質の高Tgポリマーフィルムを超えて有利であることがわかってきた。
【0023】
フィルムは、好ましくは、30分、230℃で、0.75%未満、好ましくは、0.5%未満、および、さらに好ましくは、0.25%未満の収縮率を有する。一実施形態では、フィルムは30分、230℃で0.1%未満の収縮率を有する。8℃から200℃にフィルムを加熱し、次いで、8℃まで冷却した前後で、25℃で測定された残余寸法変化ΔLTが元の寸法の好ましくは0.5%未満、好ましくは0.25%未満、およびより好ましくは0.1%未満である。好ましくは、フィルムが、−40℃〜+100℃の温度範囲内で、40×10-6/℃未満、好ましくは、30×10-6/℃未満、より好ましくは、25×10-6/℃未満、より好ましくは、20×10-6/℃未満の線形熱膨張係数(CLTE)を有する。
【0024】
そのフィルムは、自立であり、自立とは、支持基盤なしに独立して存在できることを意味する。
【0025】
フィルムの厚さは、好ましくは、約12と300μmとの間、より好ましくは約25と250μmとの間、より好ましくは、約50と250μmとの間である。
【0026】
従来の方法でPENポリエステルを合成することができる。典型的なプロセスは、直接エステル化またはエステル交換反応、次いで、重縮合を伴う。それゆえ、PENポリエステルは、2,5−、2,6−、または2,7−ナフタレンジカルボン酸、好ましくは、2,6−ナフタレンジカルボン酸、または、その低級アルキル(6炭素原子まで)ジエステルを、エチレングリコールとともに縮合することによって得ることができる。典型的には、重縮合は、固相重合段階を含む。固相重合は、たとえば窒素で流動化された流動床、または、真空流動床上で、ロータリー真空乾燥機を使用して行うことができる。適切な固相重合技術は、例えば、特許文献3に開示され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0027】
好ましい実施形態では、PENはGe触媒を使用して調製され、この触媒は、触媒残留物、望まれない無機沈積物およびポリマー製造の他の副生物のような低減されたレベルの汚染物質を有するポリマー材料を提供する。「クリーナー」ポリマー組成物の結果として、クリーナーポリマーから製造されたフィルムは、向上した光学的透明性および表面平滑性を示す。
【0028】
本発明に従ってフィルムの調製に使用されるPENは、0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.5、および、特に0.79〜1.0のPETと等価の固有粘度(IV;本明細書で記述されたように測定された)を適切に有する。0.5未満のIVは、機械的特性のような所望の特性が欠如しているポリマーフィルムとなる。一方、1.5より大きなIVは、実現するのが困難であり、および、原材料の加工の困難性をまねくであろう。
【0029】
基板の形成は、本技術分野でよく知られた従来の技術によって実施されてもよい。便利には、基板の形成は、以下に開示される手順に従って、押し出すことによって実施される。基本的には、プロセスは、溶融ポリマーの層を押し出すことと、押し出し物を急冷することと、および急冷された押し出し物を少なくとも1つの方向に配向すること、の工程を含む。
【0030】
基板は、一軸配向であってもよいが、好ましくは、二軸配向である。配向は、配向されたフィルムを生産する技術で既知のいずれかのプロセス、例えば、管状プロセスまたは平坦フィルムプロセスによって実施されてもよい。二軸配向は、機械的および物理的特性の満足な組み合わせを実現するために、フィルムの面内で、2つの互いに垂直な方向に引っ張ることによって実施される。
【0031】
管状プロセスでは、同時の二軸配向は、熱可塑性ポリエステルチューブを押し出し、このチューブが続いて急冷され、再加熱され、および次に内部ガス圧力によって伸ばされて、横方向の配向を誘導し、次に長手方向の配向を誘導する速度で引くことにより実施されてもよい。
【0032】
好ましい平坦フィルムプロセスでは、基板形成ポリエステルは、スロットダイを通って押し出され、および、冷却されたキャスティングドラム上で急速に急冷されて、ポリエステルが非晶質状態まで急冷されることを保証する。次に、配向は、ポリエステルのガラス転移温度より上の温度で、少なくとも1つの方向に、急冷された押し出し物を延伸することにより実施される。連続した配向は、最初に1つの方向に、通常は長手方向に、すなわち、フィルム延伸機を通って前方向に、次いで横方向に、平坦な急冷された押し出し物を延伸することによって実施されてもよい。便利には、押し出し物の前方への延伸は、一連の回転するロール上で、または2対のニップロールの間で実施され、次に、横方向の延伸は、ステンター装置で実施される。別法として、配向は、同時の延伸により押し出されたフィルム中で作られてもよい。この時、フィルムは、基本的にプロセスの同じ段階のところで、即ちステンターオーブン中で、長手方向および横方向に延伸される。連続した、および同時の延伸の両経路について、延伸の程度は、部分的には、ポリエステルの特質によって決定される。しかしながら、通常、フィルムは、配向されるフィルムの寸法が、延伸される各方向で元の寸法の2〜5、より好ましくは2.5〜4.5倍となるように延伸される。典型的には、延伸は、70〜150℃、典型的には、70〜140℃の範囲の温度で実施される。もし、1つの方向のみの配向が要求される場合は、より大きな引っ張り比率(例えば、約8倍まで)が使用されてもよい。機械方向および横方向に均一に延伸することは、均衡のとれた特性が望まれている場合には好ましいが、これらの方向に一様に延伸することは必要ではない。
【0033】
特許文献4に開示されているように、延伸されたフィルムは、ポリエステルの結晶化を誘発するために、ポリエステルのガラス転移温度より上の温度であるがその溶融温度よりも下の温度で、寸法制限下でヒートセットすることによって、寸法的に安定化される。寸法制限の張力は、一般に、フィルム幅に関して約19〜約75kg/m、好ましくは、約45〜約50kg/mの範囲内であり、約2.6mの幅を有するフィルムについては、約50〜約190kgの範囲内、好ましくは、120〜130kgの範囲内の張力である。実際のヒートセット温度および時間は、フィルムの組成物に依存して変化するが、フィルムの引き裂き抵抗特性を実質的に劣化させないように選択されるべきである。これらの制限の中で、約135℃〜250℃のヒートセット温度が一般的に望まれ、より好ましくは、235℃〜240℃である。加熱の継続時間は、使用される温度に依存するが、典型的には5〜40秒、好ましくは、8〜30秒の範囲である。
【0034】
次に、完成したフィルムは、フィルムに内在する収縮の大部分を発生させ(緩和させる)、それにより、非常に低い残留収縮量および結果として高い寸法安定性を有するフィルムを生産するために、低い張力の下(すなわち、最低限可能な寸法制限を用いて)、ポリエステルのガラス転移温度より上の温度であるが溶点よりも下の温度で加熱することによってさらに熱安定化される。この熱安定化段階の間に、フィルムが受ける張力は、典型的には、フィルム幅に関して5kg/m未満、好ましくは3.5kg/m未満、さらに好ましくは1〜約2.5kg/mの範囲内、および典型的には1.5〜2kg/mの範囲内である。熱安定化段階の間、フィルムの横の寸法の増加はない。熱安定化段階に使用される温度は、最終的なフィルムから所望される特性の組み合わせに依存して変化することができ、ここで、より高い温度がより良い、すなわちより低い残留収縮特性を与える。一般的に、135℃〜250℃の温度が望ましく、好ましくは、190℃〜250℃、より好ましくは、200℃〜230℃、およびより好ましくは、少なくとも215℃、典型的には215℃〜230℃の温度である。加熱の継続時間は、使用される温度に依存するが、典型的には、10〜40秒の範囲であり、20〜30秒の継続時間が好ましい。平坦および垂直配置、並びにフィルム製造プロセスの、分離したプロセス段階のような「オフ−ライン」または継続のような「イン−ライン」のいずれかを含む種々の方法により、この熱安定化プロセスを行うことができる。一実施形態では、熱安定化は「オフ−ライン」で行われる。
【0035】
基板は、1つまたは複数の分離した層を含むことができる。それぞれの層の組成は、同一または異なっていてもよい。例えば、基板は1つ、2つ、3つ、4つまたは5つまたはそれ以上の層を含むことができ、典型的な多層構造はAB、ABA、ABC、ABAB、ABABAまたはABCBA型とすることができる。好ましくは、基板は1つの層のみを含む。基板が2以上の層を有する場合、基板の調製は、共押し出しによって都合よく実施される。その共押し出しは、複数オリフィスのダイの独立したオリフィスを通して各フィルム形成層を同時共押し出し、この後、まだ溶融している層を結合することによるか、または、好ましくは、各々のポリマーの溶融流が、ダイのマニホルドに繋がっているチャネルの中で、最初に一体化され、この後混合することのない層流条件の下でダイオリフィスから一緒に押し出しされ、これによって、先に説明したように配向されヒートセットされた多層ポリマーフィルムを生産する、シングルチャネル共押し出しによるかのいずれかである。多層基板の形成も、従来の積層技術によって、例えば、前もって形成された1番目の層と、前もって形成された2番目の層を共に積層することによって、または、例えば、あらかじめ形成された2番目の層の上に1番目の層をキャスティングすることによって実施することができる。
【0036】
ポリマーフィルムは、便利には、ポリマーフィルムの製造で従来利用されたいずれかの添加物を含むことができる。したがって、架橋剤、染料、顔料、空隙剤、潤滑剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤(ラジカルスカベンジャー)、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、粘着防止剤、界面活性剤、スリップ助剤、蛍光剤、光沢向上剤、分解前駆体、粘度調節剤、および、分散安定剤のような薬剤が、適宜、混合されてもよい。特に、1つの層は、製造の間の取扱い、および巻き取り可能性を向上させることができる粒状充填材を含むことができる。例えば、粒状充填材は、粒状無機充填材または非相溶性樹脂充填材、または、このような充填材の2つまたはそれ以上の混合物とすることができる。
【0037】
「非相溶性樹脂」とは、フィルムの押し出し成形および製造の間に遭遇する最も高い温度で、溶解しないか、または実質的にポリマーと不混和性であるかのいずれかの樹脂を意味する。非相溶性樹脂の存在は、通常、空隙層を生じる。空隙層とは、その層が少なくともある比率の分離した、独立気泡を含む気泡構造を含むことを意味する。適切な非相溶性樹脂は、ポリアミド類およびオレフィンポリマー類、特に、その分子中に6炭素原子までを含むモノ−α−オレフィンの単独重合体または共重合体である。好ましい材料は、低密度または高密度のオレフィン単独重合体、特にポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリ−4−メチルペンテン−1、オレフィン共重合体、特にエチレン−プロピレン共重合体、またはこれらの2つまたはそれ以上の混合物を含む。ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体を用いることができる。
【0038】
粒状無機充填材は、従来の無機充填材、および、特にアルミナ、シリカ(特に、沈降された、または珪藻土のシリカおよびシリカゲル)およびチタニア、焼成白土およびカルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩のようなアルカリ金属塩、のような金属またはメタロイド酸化物を含む。ガラス粒子が使用されてもよい。粒状無機充填材は、空隙または非空隙型であってもよい。適切な粒状無機充填材は、均質であってもよく、二酸化チタンまたは硫酸バリウム単独のような単一の充填材材料または化合物から本質的に成っていてもよい。あるいはまた、少なくとも充填材の比率は、不均質であってもよく、および、追加の改質成分と混在させた主な充填材材料であってもよい。例えば、主な充填材粒子を、顔料、石鹸、界面活性剤、カップリング剤、または、他の改質剤のような表面改質剤で処理して、充填材が基板層ポリエステルと相溶性になる度合を促進または変更することができる。
【0039】
好ましい粒状無機充填材は、二酸化チタンおよびシリカを含む。
【0040】
二酸化チタン粒子は、アナタースまたはルチル結晶形であってもよい。二酸化チタン粒子は、好ましくはルチルの大部分、より好ましくは少なくとも60重量%、特に少なくとも80%、および、とりわけルチルの約100重量%を含む。塩化物プロセスまたは硫化物プロセスのような標準の手順で粒子を調製できる。二酸化チタン粒子は、好ましくは、アルミニウム、シリコン、亜鉛、マグネシウムまたはこれらの混合物のような無機酸化物でコーティングされてもよい。好ましくは、コーティングは、適切には、8〜30、好ましくは12〜24の炭素原子を有する、脂肪酸および好ましくはアルカノール類のような有機化合物を付加的に含む。ポリジメチルシロキサンまたはポリメチルハイドロジェンシロキサンのような、ポリジオルガノシロキサンまたはポリオルガノハイドロジェンシロキサンが適切な有機化合物である。コーティングは、水性懸濁液中で二酸化チタン粒子に適切に適用される。無機酸化物は、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ケイ酸またはケイ酸ナトリウムのような水溶性化合物から水性懸濁液中で析出させられる。二酸化チタン粒子上のコーティング層は、二酸化チタンの重量を基準として、好ましくは、1〜12重量%の範囲の無機酸化物、および好ましくは、0.5〜3重量%の範囲の有機化合物である。
【0041】
無機充填材は、微粉砕されるべきであり、およびその体積分布メジアン粒径(粒子の直径と体積%の関連を示す累積分布曲線を読み取ると、全ての粒子の体積の50%相当に等しい球径−しばしば「D(v,0.5)」値として参照される)は、好ましくは0.01〜7.0μm、より好ましくは0.05〜4.5μm、および特に0.15〜1.5μmの範囲である。
【0042】
無機充填材粒子のサイズ分布も重要な要素であり、例えば、過度に大きい粒子の存在は、見かけが悪い「斑点」を示すフィルムを生じる。すなわち、その箇所ではフィルム中の個々の充填材粒子の存在が肉眼で識別され得る。1つの充填材粒子も、30μmを超える実際の粒子サイズを有するべきではないことが好ましい。このようなサイズを超える粒子は、本技術分野で既知のふるい分けプロセスによって取り除くことができる。しかしながら、ふるい分け操作は、選択されたサイズより大きい全ての粒子の除去に、常に完全に成功するわけではない。したがって、実際には、無機充填材粒子の数の99.9%のサイズが、30μmを超えるべきではなく、好ましくは20μmを超えるべきではなく、および、より好ましくは10μmを超えるべきではない。好ましくは、少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%の無機充填材粒子が、平均粒子サイズ±3.0μm、および特に±2.5μmの範囲内である。
【0043】
充填材粒子の粒子サイズは、電子顕微鏡、コールターカウンター、沈降分析および静的または動的光散乱によって測定することができる。レーザー光回折を基本とする技術が好ましい。メジアン粒子サイズは、選択された粒子サイズより下の粒子体積のパーセンテージを表す累積的な分布曲線をプロットすることにより、および第50百分位数を測定することにより決定することができる。
【0044】
フィルムの成分は、従来の方法で互いに混合すればよい。例えば、層ポリマーを誘導する単量体反応剤と混合することによるか、または、その成分を、タンブルもしくはドライブレンドすることにより、または、押し出し機中で配合し、続いて冷却し、および、通常、微粒またはチップに粉砕することにより、ポリマーと混合してもよい。マスターバッチング技術も利用できる。
【0045】
好ましい実施形態では、本発明のフィルムは、光学的に透明であり、好ましくは、標準ASTM D1003により測定される、<3.5%、好ましくは<2%、より好ましくは<1.5%、より好ましくは≦1%、および特に0.7%未満の散乱可視光の%(ヘイズ)を有する。一実施形態では、ヘイズは0.6〜1%の範囲内である。好ましくは、標準ASTM D1003により測定して、400〜800nmの範囲の全光線透過率(total light transmission)(TLT)が、少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、および、より好ましくは少なくとも85%である。この実施形態では、充填材は、典型的には少量のみ存在し、一般的には、与えられる層の0.5重量%を超えず、および好ましくは0.2重量%未満である。
【0046】
一実施形態では、フィルムは、上述したように光学的に透明であるばかりでなく、良好な取扱可能性および巻き取り可能性を明確に示す。この実施形態では、フィルムは、1.0〜7.0μmの体積分布メジアン粒径を有するガラス粒子を約50〜1000ppm、および、0.01〜0.09μmの平均一次粒子サイズ(数平均粒径を意味する)を有するシリカ粒子約200〜2000ppmを含む。ガラス粒子は、好ましくは固体ガラスビーズであり、好ましくは、選択される視点にかかわらず、実質的に円形断面である。望ましくは、個々のガラス粒子は、1:1〜1:0.5、好ましくは1:1〜1:0.8、および特に1:1〜1:0.9の範囲内の縦横比d1:d2(それぞれ、d1およびd2は粒子の上限および下限寸法である)を示す。ガラス粒子は、ガラス粒子の化学組成物によって制限されないが、好ましくはクラウンガラス、および/またはホウケイ酸ガラスを含む。シリカ粒子は、好ましくは、選択される視点にかかわらず、実質的に円形断面である。望ましくは、典型的な一次シリカ粒子は、1:1〜1:0.5、および好ましくは1:1〜1:0.8の範囲内の縦横比d1:d2を示す。ガラスおよびシリカを含む層の更なる実施形態は、特許文献5に開示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0047】
別の実施形態では、フィルムは不透明であり、高度に充填され、好ましくは、0.1〜2.0、より好ましくは0.2〜1.5、より好ましくは0.25〜1.25、より好ましくは0.35〜0.75および特に0.45〜0.65の範囲内の、透過光学濃度(TOD)(Sakura Densitometer;PDA65型;透過方式)を示す。フィルムは、便利には、効果的な量の不透明剤のポリマーブレンドへ取り込みにより不透明にされる。適切な不透明剤は、非相溶性樹脂充填材、特に無機充填材、または本明細書で前述したような2つまたはそれ以上の充填材の混合物を含む。所与の層中に存在する充填材の量は、層ポリマーの重量を基準として、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは3重量%〜20重量%、特に4重量%〜15重量%、とりわけ5重量%〜10重量%の範囲内である。
【0048】
不透明フィルムの表面は、好ましくは、60〜120、より好ましくは80〜110、特に90〜105、およびとりわけ95〜100単位の範囲内の、本明細書で開示されるように測定される白色度指数を示す。
【0049】
PENフィルムは、さらに、1つまたは複数の追加のポリマー層またはコーティング材料を含むことができる。いくつかのコーティングは、好ましくは「インライン」で行われる。
【0050】
一実施形態では、フィルムの一方の側に、追加のコーティングは、フィルムの取扱性および巻き取り可能性を向上させるために、「スリップコーティング」を含んでもよい。適切なスリップコーティングは、特許文献6(その開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする)に開示されているように、例えば任意に架橋剤をさらに含むアクリルおよび/またはメタクリルポリマー樹脂の不連続層であってもよい。例えば、特許文献7および特許文献8(その開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする)に開示されるように、別のスリップコーティングは、ケイ酸カリウムコーティングを含んでもよい。
【0051】
一実施形態では、フィルムは、続いて適用される層に対するフィルムの接着性を向上する下塗層でコーティングされる。下塗層または接着層の独自性および特質は、次に適用される層の独自性に依存するが、典型的にはアクリレートまたはメタクリレートポリマー樹脂から選択されてもよい。適切な材料は以下を含む;
(i)(a)35〜40モル%のアルキルアクリレート、(b)35〜40%のアルキルメタクリレート、(c)10〜15モル%の、イタコン酸のような遊離性カルボキシル基を含む共重合体、および(d)15〜20モル%の、p−スチレンスルホン酸のような芳香族スルホン酸および/またはそれらの塩の共重合体であって、その例が、特許文献9(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)に開示されるように、37.5/37.5/10/15モル%の比率でエチルアクリレート/メチルメタクリレート/イタコン酸/p−スチレンスルホン酸および/またはそれらの塩を含む共重合体であるもの、および
(ii)アクリルおよび/またはメタクリルポリマー樹脂であって、その例が、特許文献6(その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする)に開示されるような約35〜60モル%のエチルアクリレート、約30〜55モル%のメチルメタクリレート、および約2〜20モル%のメタクリルアミドを含むポリマーであるもの。
【0052】
下塗層または接着層はまた、組成物を架橋するように作用する架橋剤を含み、基板に対する接着性を向上し、組成物内での内部架橋を可能にすべきである。適切な架橋剤は、メラミンのホルムアルデヒドでのアルコキシル化縮合生成物を任意に含む。下塗層または接着層はまた、架橋剤の架橋を容易にするために、硫酸アンモニウムのような架橋触媒を含んでもよい。他の適切な架橋剤および触媒は、特許文献9に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0053】
使用には、上述したように、フィルムもバリアー層でコーティングされる。このようなコーティングは、本技術分野で既知であり、および典型的には、高い温度でのスパッタリングプロセスで適用される。バリアー層を形成するための使用に適した材料は、例えば特許文献2に開示されている。有機バリアー層は、例えば、光硬化性モノマーまたはオリゴマー、または熱可塑性樹脂から形成されてもよい。光硬化性モノマーまたはオリゴマーは、低い揮発性および高い融点を有するべきである。このようなモノマーの例は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等のようなトリメチロールアクリレート類、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等のような長鎖アクリルレート類、およびジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニロキシアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のようなシクロヘシキルアクリレート類を含む。このようなオリゴマーの例は、アクリレートオリゴマー類、エポキシアクリレートオリゴマー類、ウレタンアクリレートオリゴマー類、エーテルアクリレートオリゴマー類等を含む。ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ケタール類等のような光重合開始剤を使用して樹脂を硬化してもよい。適切な熱可塑性樹脂の例は、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート等を含む。これらの有機材料は、真空蒸着のような、本技術分野で既知であるいずれかの従来技術によって適用されてもよい。
【0054】
無機バリアー層は、低い透湿性を示し、且つ水分に対し安定である材料で作られるべきである。例は、SiO2、SiO、GeO、Al23等のような酸化物、TiN、Si34等のような窒化物、およびAl、Ag、Au、Pt、Ni等のような金属を含む。無機材料は、標準状態下での真空蒸着、スパッタリングなどのような気相技術を使用して適用されてもよい。
【0055】
バリアー層は、それ自体、1つまたは複数の別々の層を含むことができ、および1つまたは複数の有機層および1つまたは複数の無機層を含でもよい。
【0056】
好ましい実施形態では、バリアー層は、光電子素子中の基板の水蒸気透過速度を10-6g/m2/日未満に、および酸素透過速度を10-5/mL/m2/日未満に減らす層である。別の実施形態では、バリアー層は、電子素子中の基板の水蒸気透過速度を10-2g/m2/日未満(好ましくは、10-6g/m2/日未満)に、および酸素透過速度を10-3/mL/m2/日未満(好ましくは、10-5/mL/m2/日未満)に減らす層である。
【0057】
一度、バリアー層が堆積されれば、電極及び導電性共役ポリマーを含む次の層が、当該技術分野で既知である従来の製造技術に従って適用され得る。電極は、当該技術分野で既知であるいずれかの適切な電極、例えば、本明細書に言及されているものから選択された電極であればよい。一実施形態では、電極は導電性金属酸化物、好ましくはインジウムスズ酸化物である。
【0058】
一般的に本明細書で言及される電子および光電子素子は、1つの(または複数の)導電性共役ポリマーの層、2つ以上の電極、および1つまたは複数の基板層を含む。
【0059】
本発明の一実施形態では、エレクトロルミネッセントディスプレイ素子、特に有機発光ディスプレイ(OLED)素子という語は、それぞれが電極を含む二つの層の間に配置される発光導電性共役ポリマー材料の層を含み、得られた複合構造が2つの基板(または支持または被膜)層の間に配置されるディスプレイ素子を意味する。
【0060】
本発明の一実施形態では、光電池という語は、それぞれが電極を含む2つの層の間に配置される導電性共役ポリマー材料の層を含み、得られた複合構造が2つの基板(または支持または被膜)層の間に配置される素子を意味する。
【0061】
本発明の一実施形態では、トランジスタという語は、少なくとも1つの導電性共役ポリマーの層、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極、および1つまたは複数の基板層を含む素子を意味する。
【0062】
本発明のさらなる側面によると、基板層およびその表面上にバリアー層を含む複合フィルムが提供され、前記基板は、230℃において、30分で1%未満の収縮率を有し、好ましくは、8℃から200℃にフィルムを加熱し、次いで、8℃まで冷却した前後で、元の寸法の0.75%未満の、25℃で測定された残留寸法変化ΔLTを有し、および好ましくは、−40℃〜+100℃の温度範囲内で、40×10-6/℃未満の線形熱膨張係数が有する、配向され、ヒートセットされ、次いで熱安定化された、ポリ(エチレンナフタレート)を含むフィルムである。一実施形態では、前記基板が以下の段階を含むプロセスにより得られる。
(i) ポリ(エチレンナフタレート)を含む層を形成すること;
(ii) 少なくとも1つの方向に層を延伸すること;
(iii) ポリエステルのガラス転移温度より上の温度であるがその溶融温度よりも下の温度で、フィルム幅に関して約19〜約75kg/mの範囲の張力で、寸法制限下でヒートセットをすること;および
(iv) フィルム幅に関して5kg/m未満の張力の下で、およびポリエステルのガラス転移温度より上であるがその溶融温度よりも下の温度で熱安定化すること。
【0063】
本発明のさらなる側面によると、本明細書に記載された通りの基板層と、その表面上の本明細書に記載された通りのバリアー層を含み、バリアー層の表面の少なくとも一部上に電極層をさらに含み、共役導電性ポリマーの層をさらに任意に含む、複合フィルムが提供される。
【0064】
本発明のさらなる側面によると、本明細書に記載された通りの共役導電性ポリマーおよび基板を含有する電子または光電子素子の製造のための方法が提供され、前記方法は以下の段階を含む。
(i) ポリ(エチレンナフタレート)を含む基板層を形成すること;
(ii) 少なくとも1つの方向に層を延伸すること;
(iii) ポリエステルのガラス転移温度より上であるがその溶融温度よりも下の温度で、フィルム幅に関して約19〜約75kg/m、好ましくは約45〜約50kg/mの範囲の張力で、寸法制限下でヒートセットすること;
(iv) 低い張力の下、すなわちフィルム幅に関して、好ましくは5kg/m未満の張力で、より好ましくは3.5kg/m未満の張力で、より好ましくは1.0〜2.5kg/mの範囲の張力で、典型的には1.5〜2.0kg/mの範囲の張力で、およびポリエステルのガラス転移温度より上であるが溶融温度よりも下の温度で熱安定化すること;および
(v) 素子中の基板として、配向され、ヒートセットされ、次いで熱安定化されたフィルムを提供すること。
【0065】
電子または光電子素子の製造の段階は、配向され、ヒートセットされ、次いで熱安定化されたフィルム基板をバリアー層でコーティングすること、バリアー層の少なくとも一部に導電性材料を適用することによって電極を提供すること、および導電性共役ポリマーの層を提供することをさらに含んでもよい。
【0066】
次の試験方法は、ポリマーフィルムの一定の特性を決定するのに使用されてもよい。
(i)フィルムの透明性は、ASTM D−1003−61により、Gardner XL 211透過率計を使用して、フィルムの全厚を通した、全光線透過率(total luminance transmission)(TLT)およびヘイズ(分散され透過された可視光の%)を測定することにより評価できる。
(ii)フィルムの透過光密度(TOD)は、透過方式でMacbeth Densitometer TR927(Dent & Woods Ltd,Basingstoke,UK)を使用して測定できる。
(iii)寸法安定性は、(a)線形熱膨張係数(CLTE)、または(b)所与の軸に沿った長さの残留変化量が、所与の温度までフィルムを加熱し、次いでフィルムを冷却した後に測定される温度循環方法のいずれかによって評価できる。
両測定方法は、温度、変位、力、固有変形、ベースラインおよび炉の温度アライメントについて既知の手順に従って、校正およびチェックされたThermomechanical Analyser PE−TMA−7(Perkin Elmer)を使用して行われた。フィルムは、伸張分析用クランプを使用して試験された。伸張クランプに必要とされるベースラインは、非常に低い膨張係数の試験片(石英)を使用して得られ、CLTE精度および正確性(スキャン後のベースラインの減算に依存する)は、CLTE値がよく知られている標準材料、例えば純アルミ箔を使用して評価された。元のフィルムサンプルの中で既知の配向軸から選択された試験片は、約12mmのクランプ分離を使用する装置に据えられ、5mm幅にわたって、75mNの印加力にさらされた。印加力は、フィルムの厚さの変化に関して調整され、すなわち、均一な張力を保証し、およびフィルムは、分析の軸に沿って曲げられなかった。試験片の長さは、23℃の温度で測定される長さに標準化された。CLTE試験方法では、試験片は、8℃まで冷却され、安定化され、次いで5℃/分で8℃から+240℃まで加熱された。CLTE値(α)は、以下の公式から導き出された。
【0067】
α=ΔL/(Lx(T2−T1))
【0068】
ΔLは、(T2−T1)の温度範囲にわたって、測定された試験片の長さの変化であり、Lは、23℃での元の試験片の長さである。CLTE値は、Tg(120℃)の温度まで信頼できると考えられる。データを、温度に伴う試験片の長さの%変化の関数としてプロットし、23℃に規格化することができる。温度循環テスト方法(b)では、方法(a)と同等の手順が使用され、該温度は、8℃といくつかの上昇した温度の間で循環された。したがって、フィルムサンプルは、8℃から140℃、160℃、180℃または200℃へ加熱され、次いで、8℃まで冷却された。横方向および機械方向のそれぞれに沿った長さは、本熱処理の前後、25℃で測定され、長さΔLTの変化は、元の長さのパーセンテージとして計算された。その結果を、第2表に示す。
(iv)固有粘度(IV)は、溶融粘度計により、次の手順を使用して測定された。既知の温度および圧力で、校正されたダイを通る、あらかじめ乾燥された押し出し物を流す速度は、コンピューターに接続される変換器によって測定される。コンピュータープログラムは、溶融粘度値(log10粘度)および実験的に決定された回帰式により等価のIVsを計算する。分の時間に対するIVのプロットは、コンピューターにより作成され、分解速度が計算される。ゼロ時間に対するグラフの推定は、初期のIVおよび等価の溶融粘度を与える。ダイの開口部の直径は、0.020インチであり、284℃の溶融温度でIVが0.80までであり、295℃でIV>0.80である。
(v)所与の温度での収縮率は、所与の時間周期の間、加熱されたオーブン内にサンプルを据えることにより測定される。収縮率%は、加熱の前後で所与の方向でのフィルム寸法の%変化として計算される。
(vi)表面粗さ(粗度)は、当該技術分野では良く知られている従来の非接触、白色光、相シフト干渉技術を使用して測定された。使用される装置は、Wyko NT3300表面プロファイラーであった。その技術を用いて得ることができる有用な特性データは、以下を含む。
【0069】
粗さ平均(Roughness Average)(Ra):測定される表面領域にわたり計算される相加平均ピーク高さ
自乗平均粗さ(Root Mean Square Roughness)(Rq):測定される表面領域にわたり計算される自乗平均の平均ピーク高さ
最大プロフィルピーク高さ(Maximum Profile Peak Height)(Rp):測定される表面領域中の最も高いピーク高さ
平均最大プロフィルピーク高さ(Average Maximum Profile Peak Height)(Rpm):測定される表面領域の、10個の最も高いピークの平均値
【0070】
粗さパラメーターおよびピーク高さは、従来の技術に従って、サンプル表面領域の平均レベル、または「平均線」に相関して測定される。(ポリマーフィルム表面は、完全に平坦でなくてもよく、その表面の端から端まで、しばしばゆるやかな起伏を有する。平均線は、波状の起伏および表面高さの離隔(departures)の中央を通る直線であり、平均線より上および下の等しい領域があるようにプロフィルを分ける。)
表面プロフィル分析は、一回の測定でスキャンされる領域である、表面プロファイラー機の「視野」内でフィルム表面の別々の範囲をスキャンすることによって行われる。フィルムサンプルは、別々の視野を使用して、または配列を形成するために連続した視野をスキャンすることにより分析されてもよい。本明細書で行われた分析は、それぞれの視野が736×480ピクセルを含むWyko NT3300表面プロファイラーの最大限の分解能を利用した。
RaおよびRqの測定のために、分解能は、50倍の倍率を有する対物レンズを使用して向上された。得られた視野は、0.163μmのピクセルサイズで、90μm×120μmの寸法を有する。
RpおよびRpmの測定のために、便利には、分解能は「0.5倍の視野の倍率器」と組み合わせて、10倍の倍率を有する対物レンズを使用して向上され、5倍の全倍率を与える。得られた視野は、0.163μmのピクセルサイズで、0.9mm×1.2mmの寸法を有する。それぞれの測定について、5回の連続するスキャンの結果を組み合わせて平均値を与える。
測定は、10%の調整閾値(信号:ノイズ比)を使用して行われた。すなわち、閾値未満のデータポイントは無視される。本発明のフィルムは、ここで測定される場合、0.8未満、好ましくは0.7未満、好ましくは0.65、および最も好ましくは0.6nm未満のRa値を有することが好ましい。本発明のフィルムは、ここで測定される場合、1.0nmまたはそれ以下、好ましくは0.9nmまたはそれ以下、好ましくは0.85nmまたはそれ以下、最も好ましくは0.75nmまたはそれ以下のRq値を有することが好ましい。
(vii)ASTM D3985を使用して、酸素透過速度を測定することができる。
(viii)ASTM F1249を使用して、水蒸気透過速度を測定することができる。
(ix)フィルムの外部表面の白色度指数は、ASTM D313に従って、Colorgard System2000、Model/45(Pacific Scientific)を使用して測定される。
【0071】
本発明は、次の実施例によってさらに説明される。その例は説明の目的のためであり、上述したように本発明を制限することを意図しない。細部の変更は、本発明の目的から逸脱することなく行うことができる。
【実施例1】
【0072】
400ppmの酢酸マンガン4水和物触媒の存在下で、ジメチルナフタレートをエチレングリコールと反応させ、標準のエステル交換反応で、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびその低級オリゴマー類を得た。エステル交換反応の最後に、0.025%の燐酸安定剤を加え、引き続いて、0.04%の三酸化アンチモン重縮合触媒を添加した。ポリエチレンナフタレートの固有粘度(IV)が約0.50〜0.675(実際のPEN IV;PETと等価のIV0.75〜1.00)になるまで標準バッチ重縮合反応を行った。
【0073】
PENを含むポリマー組成物を、押し出し、熱い、回転している研磨済ドラム上にキャストした。次に、フィルムを、前方引張ユニットへ供給し、そこで、フィルムを、一連の温度制御されたローラー上で、押し出す方向にその元の寸法の約3.34倍まで延伸する。引っ張り温度は、約133℃であった。次に、フィルムを138℃の温度のステンターオーブンの中を通過させ、そこでフィルムを、元の寸法の約4倍まで横方向に延伸した。次に、二軸に延伸されたフィルムを、冷却し、リールに巻き揚げる前に、従来の手段によって約238℃に達した温度でヒートセットした。フィルム全厚は、125μmであった。
【0074】
次に、ヒートセットされ二軸に延伸されたフィルムを、巻きをほどき、一連の4つの浮遊オーブン(flotation oven)を通し、ウェブの輸送を制御するのに適した最低限のラインの張力を適用することによって弛緩させる。次に、熱安定化されたフィルムを巻き揚げた。それぞれの4つのオーブンは、横方向(左、中央および右)に3つの制御された温度区域を有する。
【0075】
【表1】

【0076】
熱安定化段階の間のフィルムのラインスピードは15m/分であった。フィルム(元の巻き幅1360mm)に使用される張力は、24〜25Nであった。
【実施例2】
【0077】
例1の手順を、熱安定化段階中に以下の温度を使用して繰り返した。
【0078】
【表2】

【実施例3】
【0079】
400ppmの酢酸マンガン触媒の存在下で、ジメチルナフタレートをエチレングリコール(グリコール:エステル モル比2.1:1)と反応させ、標準のエステル交換反応でビス−(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびその低級オリゴマー類を得た。エステル交換反応の最後で、0.025%の燐酸安定剤を加え、引き続いて0.020%の二酸化ゲルマニウム重縮合触媒(133ppm Ge金属)を加えた。ポリエチレンナフタレートの固有粘度(IV)が約0.50〜0.675(実際のPEN IV;PETと等価のIV0.75〜1.00)になるまで標準バッチ式重縮合反応を行った。得られたポリエステルを使用して、実施例1に記載された一般の手順に従って、フィルムを製造した。
【実施例4】
【0080】
210ppmの酢酸マンガン4水和物触媒の存在下で、ジメチルナフタレートをエチレングリコールと反応させ、標準エステル交換反応で、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびその低級オリゴマー類を得た。エステル交換反応の最後で、0.025wt%の燐酸安定剤を加え、続いて0.036wt%の三酸化アンチモン重縮合触媒を加えた。ポリエチレンナフタレートの固有粘度(IV)が約0.50〜0.675(実際のPEN IV;PETと等価のIV0.75〜1.0)の範囲になるまで標準バッチ式重縮合反応を行った。前方への引っ張りを、引っ張り比率3.1および150℃〜155℃の温度で行い;横方向への引っ張りを引っ張り比率3.5および145℃の温度で行い、;およびヒートセット温度を234℃としたことを除き、本実施例のポリエステルを使用して、実施例1の手順に従って、フィルムを製造した。最終のフィルム厚さは、125μmであり、ヘイズは0.6%であった。
【0081】
実施例1および2のフィルムの収縮率は、本明細書に記載された試験を使用して分析され、その結果を第1表に示す。熱安定化を行わなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で製造されたPENフィルムを、対照として使用した(対照1)。
【0082】
【表3】

【0083】
第1表の結果は、配向され、ヒートセットされ、次いで熱安定化されたフィルムが比較的高温であっても、良好な寸法安定性を有することを示す。この結果はまた、より高い温度の熱安定性の向上された収縮率特性を示す(実施例2)。
【0084】
実施例3および4のフィルムを、上述の寸法安定性試験方法(iii)(b)を使用して分析した。実施例4と同様の方法であるが、熱安定化を行わずに製造されたPENフィルムを対照として使用した(対照2)。フィルムの横方向(TD)および機械方向(MD)に沿って測定を行った。マイナスの値は、フィルムの収縮を示す。その結果を第2表に示す。
【0085】
【表4】

【0086】
第2表のデータは、熱安定化されたPENフィルムが、高温にさらされたときに、非常に小さい永続的な寸法の変化のみを示すことを明確に示している。したがって、このようなフィルムは、温度の関数としての寸法安定性に関して、有利で予測可能な特性を有し、電子ディスプレイの基板として適するであろう。これに対し、熱安定化されていないPENフィルムは、特に最初の加熱段階の後に、比較的より大きい永続的なフィルムの変形を引き起こす収縮および膨張効果を示す。
【0087】
また、本明細書に記載された手順を使用してフィルムの表面粗さを測定し、その結果を第3表に示す。
【0088】
【表5】

【0089】
第3表の結果は、優れた平滑性がGeで触媒されたポリエステルで得られることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板層およびその表面上にバリアー層を含む複合フィルムの製造方法であって、前記基板が、30分、230℃で0.5%未満の収縮率を有する、ポリ(エチレンナフタレート)を含む熱安定化され、ヒートセットされ、配向されたフィルムであり、前記製造方法が、
(i) ポリ(エチレンナフタレート)を含む層を形成する工程、
(ii) 少なくとも一つの方向にその層を延伸する工程、
(iii) ポリ(エチレンナフタレート)のガラス転移温度より高いが溶融温度よりも低い温度で、フィルム幅に関して19〜75kg/mの範囲内の張力の下で、寸法制限下でヒートセットする工程、
(iv) ポリ(エチレンナフタレート)のガラス転移温度より高いが溶融温度よりも低い、190℃から250℃の範囲内の温度で、フィルム幅に関して5kg/m未満の張力の下、熱安定化する工程、
(v) 基板の表面上にバリアー層を配置する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記熱安定化工程が、オフラインで行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱安定化が、フィルム幅に関して1.0〜2.5kg/mの範囲内の張力で実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒートセットが、フィルム幅に関して45〜50kg/mの範囲内の張力の下で実施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記熱安定化が、200℃から230℃の範囲内の温度で実施されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ヒートセットが、235℃から240℃の範囲内の温度で実施されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
(vi)前記バリアー層の少なくとも一部上に導電性材料を適用する工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記導電性材料が、導電性金属酸化物を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記導電性材料が、インジウムスズ酸化物を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(vii)導電性共役ポリマーの層を提供する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
基板層およびその表面上にバリアー層を含む複合フィルムであって、前記基板が、30分、230℃で0.5%未満の収縮率を有する、ポリ(エチレンナフタレート)を含む熱安定化され、ヒートセットされ、配向されたフィルムであり、前記バリアー層の少なくとも一部上に電極層をさらに含むことを特徴とする複合フィルム。
【請求項12】
前記電極層が、導電性金属酸化物を含むことを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
前記電極層が、インジウムスズ酸化物を含むことを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
【請求項14】
導電性共役ポリマーの層をさらに含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のフィルム。
【請求項15】
前記ポリ(エチレンナフタレート)が、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の方法またはフィルム。
【請求項16】
前記ポリ(エチレンナフタレート)が、0.5−1.5の固有粘度を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の方法またはフィルム。
【請求項17】
前記熱安定化されたフィルムが、<1.5%の散乱可視光の%(ヘイズ)を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の方法またはフィルム。
【請求項18】
前記熱安定化されたフィルムが、二軸配向であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の方法またはフィルム。
【請求項19】
前記基板が、8℃から200℃に加熱され、次いで、8℃まで冷却した前後で、元の寸法の0.75%未満の、25℃で測定された残余寸法変化ΔLTを有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の方法またはフィルム。
【請求項20】
前記基板が、−40℃〜+100℃の温度範囲内で、40×10-6/℃未満の線形熱膨張係数(CLTE)を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の方法またはフィルム。
【請求項21】
前記バリアー層が、無機層を含むことを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の方法またはフィルム。
【請求項22】
前記無機層が、SiO2、SiO、GeO、Al23、TiNおよびSi34からなる群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
共役導電性ポリマーを含む電子または光電子素子であって、前記素子が、前記請求項11〜22のいずれかに記載された複合フィルムであることを特徴とする素子。
【請求項24】
前記素子が、エレクトロルミネッセントディスプレイ素子であることを特徴とする請求項23に記載の素子。
【請求項25】
前記素子が、有機発光ディスプレイ素子であることを特徴とする請求項23に記載の素子。
【請求項26】
前記素子が、光電池または半導体素子であることを特徴とする請求項23に記載の素子。
【請求項27】
前記半導体素子が、有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタおよび集積回路からなる群から選択されることを特徴とする請求項26に記載の素子。

【公開番号】特開2010−114096(P2010−114096A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−25571(P2010−25571)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【分割の表示】特願2003−526680(P2003−526680)の分割
【原出願日】平成14年9月10日(2002.9.10)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】