説明

可撓性電子回路およびディスプレイ

電気光学的ディスプレイ用のバックプレーン(100,200,300,400)は、パタン化金属箔を含み、この箔は、貫通して広がる複数の窓を有し、少なくとも側面を絶縁ポリマ材料(104,106,108)で被覆され、絶縁ポリマ材料(104,106,108)上に設けられた複数の薄膜電子素子(302,402)を有する。発明は、可撓性電子回路およびディスプレイに関する。さらに具体的には、本発明は、電気光学的媒体を使った回路およびディスプレイに関する。本発明はまた、曲面上の電気光学的ディスプレイの製造に関する。これらの曲面は、一次元または二次元に曲がることができる。本発明は、とりわけ、カプセル化された電気泳動媒体を使用する電気光学的ディスプレイに関るが、これに限定されるものではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性電子回路およびディスプレイに関する。さらに具体的には、本発明は、電気光学的媒体を使った回路およびディスプレイに関する。本発明はまた、曲面上の電気光学的ディスプレイの製造に関する。これらの曲面は、一次元または二次元に曲がることができる。本発明は、とりわけ、カプセル化された電気泳動媒体を使用する電気光学的ディスプレイに関るが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
材料またはディスプレイに使われる“電気光学的”という用語は、ここでは、画像技術における従来の意味で使われており、一つ以上の光学的性質において異なる第一ディスプレイ状態および第二ディスプレイ状態を有する材料を指し、電界をその材料に印加することによって第一ディスプレイ状態から第二ディスプレイ状態に変わる材料のことを指している。この光学的性質は、通常、人間の目で識別できるが、それはまた、光伝送、反射率、ルミネッセンス、または、機械読取用ディスプレイの場合には、可視範囲外における電磁波長の反射率の変化という意味の偽色など、別の性質でもありうる。
【0003】
“双安定の”および“双安定性”という用語は、ここでは、当該技術における従来の意味で使われており、一つ以上の光学的性質において異なる第一ディスプレイ状態および第二ディスプレイ状態を有するディスプレイ要素を含み、有限期間のパルス照射によって、任意の所与の要素が駆動された後、パルスの照射が終わってから、その第一ディスプレイ状態または第二ディスプレイ状態をとり、その後数回の間、例えば4回以上、その状態が持続するようなディスプレイを指す。なお、パルス照射の期間は、ディスプレイ要素の状態を変化させるに必要な期間を少なくとも要する。公開された米国特許出願第2002/0180687号に示されているのは(対応する国際出願公報第WO02/079869号も参照のこと)、グレー・スケールの可能なある粒子ベース電気泳動ディスプレイが、それらの極端な白黒状態においてのみならず、中間的なグレー状態においても安定していることであり、他のタイプの電気光学的ディスプレイにおいても同じであることである。このタイプのディスプレイは、適正には、双安定と言うよりは、“多安定”と呼ぶべきであるが、便宜上、ここでは、双安定と多安定の両方をカバーするために“双安定”という用語を使用することにする。
【0004】
電気光学的ディスプレイにはいくつかのタイプが公知である。電気光学的ディスプレイの一タイプには、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、第6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号のような回転二色部材形である。(このタイプのディスプレイは、しばしば“回転二色球”ディスプレイと呼ばれるが、上述の特許のいくつかにおいては回転部材が球ではないので、より正確には“回転二色部材”と呼ぶのが好ましい。)この種のディスプレイは、二つ以上の異なる光学的特性を有するセクションを持ち内部双極子を持つ多数の小物体(通常は、球形または円筒形)を利用する。これらの物体は、マトリックス内の液胞内に浮遊しており、液胞は液体で満たされているので、物体は自由に回転する。ディスプレイの外見は、電界を印加することによって変化し、これによって物体を様々な位置に回転させ、物体のセクションの回転の変化が観察面を通して見える。
【0005】
別のタイプの電気光学的媒体は、有機発光ダイオード(OLED)であり、その媒体の発光は、有機材料でできた複数のダイオードの通過電流によって影響される。
【0006】
別のタイプの電気光学的媒体は、通電変色媒体を使用し、例えば、形態がナノクロミック・フィルム媒体であり、少なくとも部分的に半導体金属酸化物および電極に取付けられた逆色変化のできる複数の染料分子から形成された電極を含む通電変色媒体を使用する。例えば、O’Regan,B.,et al.,Nature 1991,353,737;およびWood,D.,Information Display,18(3),24(March 2002)を参照せよ。また、U.,et al.,Adv.Mater.,14(11),845を参照せよ。このタイプのナノクロミック・フィルムは、例えば、米国特許第6,301,038号、国際出願公報第WO01/27690号、および同時係属中の2003年3月18日出願の出願番号第10/249,128号中に記載されている。
【0007】
別のタイプの電気光学的ディスプレイは、ここ数年間、集中的な研究・開発の主題である。このディスプレイは、微粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、複数の荷電粒子が電界の影響下にある浮遊液体の中で動くものである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較した場合、すぐれた輝度とコントラスト、広視角、状態双安定性、および低電力消費の属性を持つことができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期画像品質に関する問題は、広範な使用を妨げてきた。例えば、電気泳動ディスプレイを作り上げている粒子は、沈み勝ちであり、これらのディスプレイの運転寿命に悪影響をもたらしている。
【0008】
カプセル化電気泳動媒体を記載し、マサチューセッツ工科大学およびEインク・コーポレーションに譲渡された、または名義がある数々の特許および出願が近年発行されている。このようなカプセル化媒体は、数多くの小カプセルを含むが、カプセル自体は、それぞれ液体浮遊媒体中に遊泳する電気泳動的移動微小粒子を含む内部位相、および内部位相を囲むカプセル・ウォールを含む。通常、カプセルは、それら自体がポリマ・バインダ内に保持され、二つの電極間に位置する粘着層を形成する。このタイプのカプセル化媒体は、例えば、米国特許第5,930,026号、第5,961,804号、第6,017,584号、第6,067,185号、第6,118,426号、第6,120,588号、第6,120,839号、第6,124,851号、第6,130,773号、第6,130,774号、第6,172,798号、第6,177,921号、第6,232,950号、第6,249,721号、第6,252,564号、第6,262,706号、第6,262,833号、第6,300,932号、第6,312,304号、第6,312,971号、第6,323,989号、第6,327,072号、第6,376,828号、第6,377,387号、第6,392,785号、第6,392,786号、第6,413,790号、第6,422,687号、第6,445,374号、第6,445,489号、第6,459,418号、第6,473,072号、第6,480,182号、第6,498,114号、第6,504,524号、第6,506,438号、第6,512,354号、第6,515,649号、第6,518,949号、第6,521,489号、第6,531,997号、第6,535,197号、第6,538,801号、第6,545,291号、第6,580,545号および第6,639,578号、および米国特許出願第2002/0019081号、第2002/0021270号、第2002/0053900号、第2002/0060321号、第2002/0063661号、第2002/0063677号、第2002/0090980号、第2002/0106847号、第2002/0113770号、第2002/0130832号、第2002/0131147号、第2002/0145792号、第2002/0171910号、第2002/0180687号、第2002/0180688号、第2002/0185378号、第2003/00011560号、第2003/0011867号、第2003/0011868号、第2003/0020844号、第2003/0025855号、第2003/0034949号、第2003/0038755号、第2003/0053189号、第2003/0076573号、第2003/0096113号、第2003/0102858号、第2003/0132908号、第2003/0137521号、第2003/0137717号、および第2003/01151702号、および国際出願第WO99/67678号、第WO00/05704号、第WO00/38000号、第WO00/38001号、第WO00/36560号、第WO00/67110号、第WO00/67327号、第WO01/07961号、および第WO01/08241号の中に記載されている。
【0009】
上述の特許および出願の多くによれば、カプセル化電気泳動媒体中の離散マイクロカプセルを取り巻く壁は連続的な位相によって取り替えることができ、このために、電気泳動媒体が電気泳動流体の複数の離散ドロップレットおよびポリマ材料の連続的な位相を含むいわゆるポリマ拡散電気泳動ディスプレイを生成し、このようなポリマ拡散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散ドロップレットは、各個のドロップレットに関連する離散カプセル・メンブレーンはないけれども、カプセルまたはマイクロカプセルとしてみなされうるとしている。例えば、上述の第2002/0131147号を参照されたい。したがって、本出願の目的のためには、そのようなポリマ拡散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の下位概念とみなされる。
【0010】
カプセル化電気泳動ディスプレイは通常、従来の電気泳動装置の故障モードをクラスタリングして、解消することを苦にせず、可撓性基板および固体基板上にディスプレイを印刷または被覆する能力があるなど、さらなる利点を提供する。(“被覆”という用語の使用は、すべての印刷およびコーティングの形態を含めることを意図しており、この中には、次のようなものが含まれるがこれらに限定されるものではない。パッチ・ダイ・コーティング、スロット・コーティングまたはエクストゥルージョン・コーティング、スライド・コーティングまたはカスケード・コーティング、カーテン・コーティングのようなプリ・メータド・コーティング、ナイフ・オーバ・ロール・コーティング、フォワード・アンド・リバース・コーティングのようなロール・コーティング、グラビュア・コーティング、ディップ・コーティング、スプレイ・コーティング、メニサス・コーティング、スピン・コーティング、ブラッシュ・コーティング、エア・ナイフ・コーティング、シルク・スクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インク・ジェット印刷プロセス、および他の類似技法。)このようにして、もたらされるディスプレイは、可撓性となしうる。さらに、ディスプレイ媒体は(いろいろな方法を使って)印刷可能であり、ディスプレイ自体はコストをあまりかけることなく作れる。
【0011】
電気泳動ディスプレイは、いわゆる“マイクロセル電気泳動ディスプレイ”である。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいては、荷電粒子および遊泳液体は、マイクロカプセル内でカプセル化されているのではなく、通常、ポリマ皮膜であるキャリア媒体内に形成された複数の空洞の中に保持されている。例えば、いずれもSipix Imaging,Inc.に譲渡されている国際出願公報第WO02/01281号、および米国出願公報第2002/0075556、を参照されたい。
【0012】
すでに述べたように、上に論じた電気泳動媒体の多くの主な利点は、それらの様々な可撓基板または固体基板に印刷されうる、または被覆されうる能力である。上述の米国出願公報第2002/0019081号は、ポリマ層でステンレス鋼(または類似の金属)箔を被覆することによって形成される可撓性カプセル化電気泳動ディスプレイを述べており、薄膜トランジスタをポリマ上に形成し、その後、トランジスタをカプセル化電気泳動媒体で被覆し、活性マトリクス・ディスプレイを形成している。類似のディスプレイに関連の他の公報には、
Chen,Y.,et al.,SID Intl.Symp.Digest Tech.Papers.San Jose 2001(Society of Information Display,San Jose),p.157;
Kazlas,P.,et al.,22nd Intl.Display Research Conference Nice 2002(Society of Information Display,San Jose);および
Au,J.,et al.,9th Intl.Display Workshops Hiroshima 2002(Society of Information Display,San Jose)がある。
【0013】
これらの公報中で述べられている好ましい可撓性ディスプレイは、薄い(75−250μm)連続ステンレス鋼箔を基板として使用している。鋼は、初期トランジスタ処理から最終動作ディスプレイまでのその総合的に性能が優れている故にトランジスタ基板材料として選ばれた。高品質、低コスト鋼箔は、大量に入手可能であり、鋼の高温特性およびすぐれた寸法安定性は、前処理(例えば、ベークアウトまたは薄膜キャッピング)なしで、従来のTFT製造技術を使って薄膜トランジスタ(TFT)の形成を可能にする。フロント・エンドおよびバック・エンド処理をとおして、鋼箔基板は、材料強度、平面度および導電性(処理中の基板上の静電電荷蓄積に起因する問題を回避する)に起因するすぐれた取扱特性を示す。
【0014】
しかしながら、ステンレス鋼および類似の金属箔は、それらがプラスチックのような他に見込みのある基板材料に比べて本質的に密度が高いという欠点を有する。その結果、上記の公報に記載のタイプのこのような金属基板を使った可撓性ディスプレイは、同じ厚さのプラスチック基板上に形成されたディスプレイよりさらに重くなるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
一側面において、本発明は、電気光学的ディスプレイ中での使用のためのバックプレーンを提供することを模索するもので、金属基板を使ったこのバックプレーンは、上述の金属ベース基板よりも重量的に軽い。
【0016】
別の側面において、本発明は、電気光学的ディスプレイ、とりわけ、一次元または二次元の曲面への、カプセル化された電気泳動ディスプレイのアセンブリに関する。このような曲面は、例えば、時計、電気剃刀、携帯電話および様々な他の消費者電子製品中に見られる。気のついたことは、もし曲面にカプセル化電気泳動ディスプレイを電気泳動媒体の層を平面上に被覆することによって形成し、その後で、電気泳動媒体を所望の曲面構成に変形させようとしたら(従来の印刷および類似のコーティング処理が要求するように)、正確な曲面構成によるが、電気泳動媒体に本質的な損傷が起こる可能性があることである。このような損傷は、電気泳動媒体の不均一切替えをもたらすクリープ、および/またはいくつかのカプセルの破壊を含み得、結果的には、コントラスト比および動作寿命の低下を含む、低劣な電気光学的性能をもたらす。類似の問題は、他のタイプの電気光学的媒体についても経験されうる。
【0017】
本発明は、上述の問題を低減または除去する一方で、曲面基板上の電気光学的ディスプレイのアセンブリを可能にするプロセスを提供する。
【0018】
したがって、本発明は、一側面において、電気光学的ディスプレイにおける使用のためのバックプレーンを提供し、そのバックプレーンは、貫通した複数のアパチャを有する、少なくとも一側面を絶縁ポリマ材料で被覆した、絶縁ポリマ材料上に設けられた複数の薄膜電子素子を有するパタン化金属箔を含む。本発明のこの側面は、今後“パタン化金属箔バックプレーン”と呼ぶことにする。
【0019】
このバックプレーンにおいて、アパチャは矩形の格子上に配列することもでき、パタン化金属箔の面積の、最低約30%を占めることができ、最低約60%を占めることが好ましい。通常、パタン化金属箔は、両側を絶縁ポリマ材料で被覆され、両方とも同じ絶縁ポリマ材料で被覆されても、両側を異なる絶縁ポリマ材料で被覆されてもよい。
【0020】
本発明のいくつかのバックプレーンにおいては、各薄膜電子素子は、金属箔中の一つのアパチャの面積の内部に完全に横たわっている。他のバックプレーンにおいては、パタン化金属箔は、金属箔中の複数のアパチャを横切って伸びている。
【0021】
本発明は、本発明のバックプレーンを含む電気光学的ディスプレイ、とりわけ、カプセル化電気泳動電気光学的媒体を含む電気光学的ディスプレイに広がる。
【0022】
別の側面においては、本発明は、電気光学的ディスプレイ中の使用のためのバックプレーンを提供し、このバックプレーンは、絶縁ポリマ材料の少なくとも一側面に被覆された金属箔を含み、絶縁ポリマ材料上に設けられた複数の薄膜電子素子を有し、そのバックプレーンはさらに、ポリマ材料を貫通して伸び、一つ以上の薄膜電子素子を金属箔に電気的に接続する一つ以上の伝導バイアを含む。本発明のこの側面を今後、“伝導バイア・バックプレーン”と呼ぶことにする。
【0023】
伝導バイア・バックプレーンにおいて、金属箔は、アンテナ、インダクタ・ループ、パワー・プレーン、キャパシタ、キャパシタ・コンタクト、ピクセル電極、および電磁誘導遮蔽の少なくとも一つとして働く。
【0024】
本発明は、本発明の伝導バイア・バックプレーンを含む電気光学的ディスプレイに広がる。そのような電気光学的ディスプレイは、その上に電気光学的ディスプレイを有するスマート・カードの形態を取り得、金属箔は、カードとカード読取装置間の通信のために働く。
【0025】
別の側面においては、本発明は、伝導層、絶縁層、および伝導層から絶縁層の反対側に配置された一つ以上のトランジスタを含むバックプレーンを駆動するためのプロセスを提供し、このプロセスは、トランジスタのゲートに印加される電圧を変化させること、およびトランジスタをオン状態とオフ状態との間で切替えることを含み、このプロセスはさらに、伝導層を接地から異なる電圧で、かつバックプレーンの駆動の間、トランジスタのソースに印加される電圧の範囲内に維持することを含む。本発明のこの側面を今後、“制御電圧伝導層”と呼ぶことにする。
【0026】
通常、このプロセスにおいては、伝導層に印加される電圧は、次の関係を満足させる:
(3*Vmax+Vmin)/4>Vc>(Vmax+3*Vmin)/4
ここに、Vmax、Vminはそれぞれ、駆動中にソースに印加される最大電圧および最小電圧、Vcは、伝導層に印加される電圧である。電圧は次の式を満足させるのが好ましい。
【0027】
(3*Vmax)+2*Vmin)/5>Vc>(2*Vmax+3*Vmin)/5
さらに、最も望ましいのは、次の関係を実質的に満たすことである。
【0028】
Vc=(Vmax+Vmin)/2
別の側面において、本発明は、金属基板を被覆するポリマ材料上に、複数の電子的構成要素を形成するプロセスを提供するものであって、このプロセスには金属基板上にポリマ材料の複数の離散エリアを形成した後、このポリマ材料の離散エリア上に複数の電子的構成部品を形成することが含まれる。下に述べる理由によって、本発明のこの側面は、今後、“メサ・プロセス”と呼ぶことにする。
【0029】
このメサ・プロセスにおいては、ポリマ材料の連続層が金属基板上に形成された後、この連続層は、ポリマ材料の離散エリアを形成するために分割されうる。このポリマ材料の離散エリアの少なくともいくつかは、アンダーカットされる。このようなポリマ材料の離散エリアのエッジのアンダーカットは、エッチング・ステップによって行いうる。
【0030】
別の側面においては、本発明は、金属基板を有する電気光学的ディスプレイを提供する。このディスプレイは、電気光学的材料およびこの電気光学的材料上に画像を書き込む手段、および中央部分の周辺の少なくとも部分の周りに広がる周辺部分を含む中央部分を有する。この周辺部分は、金属基板を貫通して伸びる複数のアパチャを有する。これらのアパチャを使って、電気光学的ディスプレイは、可撓性媒体に縫い付けられうる。本発明のこの側面は、今後、“縫付け可能なディスプレイ”と呼ぶことにする。
【0031】
このような縫付け可能なディスプレイにおいて、ディスプレイの周辺部分は、電気光学的材料がないことが望ましい。ディスプレイの周辺部分は、中央部分の周囲に完全に広がることができるので、電気光学的ディスプレイの全周辺は、繊維材料または他の可撓性材料に縫付けが可能である。
【0032】
別の側面において、本発明は、一元方向に曲がった基板上に電気光学的ディスプレイを形成するためのプロセスを提供する。そのプロセスは、
一つ以上のピクセル電極を有する、一元方向に曲がったバックプレーンを準備するステップ、
このバックプレーンを電気光学的媒体の層および光伝送電気的伝導層を含む積層体に、電気光学的媒体がバックプレーンと伝導層との間に横たわるように適用するステップ、および
この積層体をバックプレーンに熱および/または圧力を加えて接着するステップを含む。
【0033】
本発明のこの側面を今後、“第一1D曲面プロセス”と呼ぶことにする。このプロセスでは、積層体はさらに、電気光学的媒体に塗布する積層接着剤の層を含みうる。この積層接着剤の層は、バックプレーンに接触する。
【0034】
別の側面においては、本発明は、一元方向に曲がった基板上に電気光学的ディスプレイを形成するプロセスを提供する。このプロセスは、
一つ以上のピクセル電極を有する、一元方向に曲がったバックプレーンを準備するステップ、
反対側に第一接着剤層および第二接着剤層、その少なくとも一方はリリース・シートでカバーされている、を有する固体電気光学的媒体の層を含む両面リリース・フィルムを準備するステップ、
第一接着剤層および第二接着剤層の一方をさらし、両面リリース・シートをバックプレーンに積層するステップ、および
第一接着剤層および第二接着剤層の他方をさらし、さらされた接着剤層を伝導層に積層するステップを含む。
【0035】
本発明のこの側面は、今後、“第二1D曲面プロセス”と呼ぶことにする。
【0036】
最後に、本発明は、一つ以上のピクセル電極を有する曲がったバックプレーン上に電気光学的ディスプレイを形成するプロセスを提供する。このプロセスは、
被覆可能な電気光学的媒体をバックプレーンの表面に適用して、その上に電気光学的媒体の均一層を形成するステップ、
透明な伝導層をバックプレーン上の電気光学的媒体の表面上に適用し、その上に伝導層の均一層を形成するステップ、および
透明なカプセル材を伝導層の表面上に適用し、カプセル材の均一層を形成するステップを含む。
【0037】
本発明のこの側面を今後、“2D曲面プロセス”と呼ぶことにする。このプロセスはさらに、ディスプレイの少なくとも一端の周りに、エッジ・シーラントを適用するステップを含む。
【0038】
上述のように、本発明は、電気光学的ディスプレイ用のバックプレーンの改善をもたらすいくつかの異なる側面、およびこのようなバックプレーンおよびディスプレイを形成するプロセスを有する。理解を容易にするために、本発明の様々な異なる側面は今後、個別に記述するが、単一のバックプレーンまたはディスプレイでも本発明の一つを超える側面を利用しうることを理解されたい。例えば、本発明の1D曲面プロセスは、本発明のパタン化金属箔バックプレーンを使って実施されうる。
【0039】
パタン化金属箔バックプレーン
すでに述べたように、一側面によれば本発明は、電気光学的ディスプレイ中で使用するバックプレーンを提供する。このバックプレーンは、一側面または二側面に絶縁ポリマ材料で被覆された、パタン化金属箔を含み、この金属箔は、絶縁ポリマ材料上に設けられた複数の薄膜電子素子を有する。結果として得られるバックプレーンは、重量が軽くなっているにもかかわらず、連続的な金属箔の寸法安定性を実質的に維持する。
【0040】
添付図の図1は、本発明の好ましいパタン化金属箔バックプレーン(全体を100とする)の概略断面図である。このバックプレーン100は、好ましくは矩形または正方形の格子にパタン化されたパタン化金属箔102を含み、その両側はポリマ材料104で被覆されている。ポリマ材料104の露出面上にはTFTおよび/または他の電子的構成要素を含む電子層106がある。箔102は、鋼箔が好ましく、ステンレス鋼箔が望ましい。他方、ポリマ材料104は、例えば、HDマイクロシステム5878Gのような高温ポリイミドが望ましい。箔102は、パタンド・ローラによる冷間圧延溶融鋼、スタンピング、レーザ・パタニング、またはフォト・エッチングを含む数多くの方法でパタン化されうる。あるいは、パタン化金属箔は、細い金属繊維を製造し、それらを様々なパタンに織ることによって製造可能である。任意のウェット・コーティングまたはウェット・プリンティング法を利用して、ポリマ材料104をパタン化金属箔102に塗布することもできる。あるいは、例えば、Upilex VTのようなポリマ材料を金属箔に積層することも可能である。ポリマ材料は、従来からある熱重合法またはUV重合法によって重合することも可能である。いくつかの用途においては、金属箔を単に片側だけポリマ材料によって被覆するだけで十分でありうる。
【0041】
添付図の図2は、本発明の第二バックプレーン(全体を200とする)の概略断面図であり、二つの異なる材料が、金属箔102をカプセル化するのに使用される。第一材料204は、箔102と電子層106との間に使われる。他方、第二材料208が、箔102の反対側に使用される。材料204および208は、広範囲のポリマ材料および無機材料から選択できる。二つの異なる材料204および208の使用により、このバックプレーンは、図1に示す単一ポリマ材料だけを使って実現することが不可能ではないまでも、困難である総合的な特性を実現することができる。例えば、材料208は、ガラスおよび湿気に対するすぐれた隔壁特性のために選択されうる。他方、材料204は、最適重合特性のために選択されうる。この第二実施形態においても、箔102は、重大な寸法安定性および機械的強度をもたらす。
【0042】
本発明のバックプレーン中に使用の金属箔のパタン化は、バックプレーンの組みこまれるディスプレイのタイプによって大幅に変化しうる。添付図の図3および4は、本発明で有用なバックプレーンおよびパタン化金属箔の二つの異なる配列を示す。図3は、各バックプレーン302の電子的構成要素がすべて金属箔格子の一セル内に収まるように配列された複数のバックプレーンを含むシート300を示す。この実施形態においては、電子的構成要素エリアは、格子中のアパチャの内部に納まっている。この実施形態においては、電子的構成要素を形成するのに使われるプロセスによって、金属箔メッシュが効果的に各個のバックプレーンを囲みこむようになっている。その結果、電子的構成要素を支持するポリマ材料の寸法的安定性が、メッシュのアパチャの内部のエリアに限定される。電子的構成要素が形成された後(および、選択的には、電気光学的媒体が構成要素上を被覆した後)、個々のバックプレーンを枠取りする金属箔は、例えば、シアリングによって、ポリマ材料によってのみ支持される電子的構成要素を残すために、除去されうる。あるいは、複数のバックプレーン・シート300は、金属箔格子のセンターラインに沿って分割され得、これによって各バックプレーンが金属フレームと共に残る。このような金属フレームがあると、使用予定の電子的素子中に最終ディスプレイを取付ける際、有用となる。
【0043】
対照的に、図4は、バックプレーン402が各寸法において数セルに亘って延在するように金属箔格子の一セルより両寸法が実質的に大きい単一バックプレーン402を含むシート400を示す。この実施形態においては、バックプレーンの寸法安定性は、本質的には、連続した金属箔上に形成される比較可能なバックプレーンのそれと同等である。しかし、図4のバックプレーンは、本質的に軽量になろう。
【0044】
任意の具体的な用途に好ましい図3および4の実施形態のうちの一つは、ディスプレイの寸法、およびそれが蒙る機械的な取扱および/または使用の乱雑さを含む多くの要素によって変化する。例えば、上述の米国出願第2002/0090980号は、従来寸法の小型内部ディスプレイと大型可撓性外部ディスプレイとを有する携帯電話を記載しており、前記外部ディスプレイは巻上げ収納位置(電話のハウジング内に前記外部ディスプレイが収まる)と伸展位置(電話に沿って前記外部ディスプレイが平坦に延びる)との間を動き得るようになっており、これによって、とりわけ、長いEメール・メッセージを読むのに便利な大型画面を提供している。このような電話において、電話ハウジングで保護されて所定の位置に固定される内部画面は、図3の実施形態を使うことができよう。他方、伸展位置にあるときには、あまり保護されておらず、繰り返し動作にさらされる外部ディスプレイは、図4の実施形態を使うことができよう。
【0045】
本発明のパタン化金属箔バックプレーンは、電気光学的ディスプレイのバックプレーンにおける実質的な重量軽減を可能にする一方で、鋼または他の高強度金属箔を基にしたバックプレーンの寸法的安定性および構造的完全性が維持される。本発明のバックプレーンは、鋼がパタンに圧延可能であり、ポリマ材料または無機スラリーが連続的な様態でウェット・コーティングまたは積層されうるので、高価な製造費を費やさずに製造可能である。本発明はまた、製造融通性をもたらし、従来の材料の使用を可能にする。
【0046】
伝導バイア・バックプレーン
電気光学的ディスプレイのバックプレーン中の基板として金属箔を使う利点は、しかしながら、機械的支持に限らない。電子的構成要素の形成の間、機械的支持および寸法的安定性をもたらすことに加えて、このような金属箔は、バックプレーンの電子回路の部分として使用できる。
【0047】
したがって、すでに述べたように、本発明は、電気光学的ディスプレイ中での使用のための伝導バイア・バックプレーンを提供する。このバックプレーンは、絶縁ポリマ材料で片側または両側を被覆された金属箔を含み、絶縁ポリマ材料上に設けられた複数の薄膜電子素子を有する。このバックプレーンはさらに、ポリマ材料を貫通して伸び、薄膜電子素子を金属箔に電気的に接続する、一つ以上の伝導バイアを含む。このようなバックプレーンにおいて、金属箔は、バイアの形成のために要求されるアパチャの向こうにパタン化されうることもあれば、されえないこともある。
【0048】
本発明の伝導バイア・バックプレーンを形成する好ましいプロセスが、添付図面の図5A−5D中に図示されており、プロセスの連続的な段階におけるバックプレーンを貫通する概略的区分が示されている。このプロセスは、金属箔502で始まり、これはNo.304ステンレス鋼またはベリリウム銅から形成されうる。この箔502は、一面を、例えば、前述のHDマイクロシステムズ5878Gのような絶縁ポリマ材料504で被覆されており、ポリマ材料は、図5A中に示す構造を形成すべくキュアされる。(あるいは、ポリマ材料は、箔502に成層されうる)トランジスタおよびダイオードのような電子的構成要素は、その上で、ポリマ材料504の露出面上に従来の半導体製造技法を使って製造され、図5B中に示す構造を形成する。次に、箔502が、例えば、写真平板法またはレーザ・スクライビングを使ってパタン化され、図5C中に示すようなパタン化された金属層502Aを生成する。このステップにおいて、箔502の残部および/またはポリマ材料504の露出エリアは、もし望むなら、所望の厚さまたは重量に圧延することが可能である。また、この点で、追加的な導電性材料、半導体材料または絶縁材料が、堆積可能であり、パタン化可能であり、508で概略的に図示したように、ポリマ材料504の露出面上に受動性構成要素または能動性構成要素を生成することができる。
【0049】
プロセスの最終ステップは、ポリマ材料504を貫通するバイア・アパチャの形成、およびこれらのバイア・アパチャの導電材料による充填であり、結果として、電子的構成要素506とパタン化金属層502Aと、さらに選択的に、図5D中に示す構造を生成するすべての追加的な構成要素とを相互接続するバイア510を形成するものである。これらのバイア・アパチャは、電子的構成要素506の以前は隠れていた表面のエリアを露出させるために、ポリマ材料504を貫通して、例えば、エッチング、パンチング、またはレーザ・ドリリングにより加工される。その後バイア・アパチャは、印刷(例えば、インク・ジェット印刷、スクリーン印刷またはオフセット印刷)、導電性レジンの適用、シャドウマスク蒸発法または従来の写真平板法を含む様々な材料および技法を使って充填される。単純な電気的接続を、厚い皮膜導体を使って基板のエッジに沿って行うことも可能である。
【0050】
このプロセスの最後の2ステップの間(すなわち、箔のパタン化およびバイア・アパチャの充填)、箔への損傷をさけるために、露出した電子的構成要素506を保護または不動態化することが、必要になる、または望ましいこともある。半導体製造技術の当業者は、このような保護および/または不動態化のための従来からの技法、例えば、電子的構成要素506を犠牲的保護層または不動態化層でカバーし、後で構成要素へ損傷を与えることなくエッチングで除去する技法、を心得ているはずである。プロセスのこれらの2ステップの間、図5B中に示す構造を、分離された堅いキャリアまたは基板に取付けることが必要または望ましいかもしれない。特に、パタン化金属層502Aおよび/またはポリマ材料504の露出エリアが薄い場合にはそうである。
【0051】
図5D中に示す構造を生成するための代替的なプロセスの一つは、例えば、25−50μmのポリイミド箔(金属層の付いていない)のような薄いポリマ箔から開始される。この代替プロセスの第一ステップにおいて、電子的構成要素は、ポリマ箔の一表面上に製造される。その後、金属導体およびすべての望ましい追加的電子的構成要素は、箔の反対面上に形成され、次いで前述の技法によるバイア・アパチャの形成が行われ、最後にバイア・アパチャは充填されてバイアとなる。この代替的プロセスは、両面可撓性回路基板の製造のための、従来技法のあるプロセスに似ているけれども、可撓性回路基板の場合にはその上に置くのに対して、このプロセスでは、電子的構成要素がポリマ箔上に直接製造される点で前者と異なっている。この代替的プロセスにおいて、ポリマ箔は、電子的構成要素506とポリマ箔の反対側上の回路との間の絶縁体としてのみ働くが、もし望むなら、ポリマ箔は、下で詳しく論じるように、ポリマ箔の上面と底面上の二つの重なり合う伝導層間に形成されるキャパシタの誘電体層として働くこともできよう。
【0052】
パタン化金属層502Aおよび関連回路は、例えば、アンテナ、インタクタ・ループ、パワー・プレーン、キャパシタ、キャパシタ・コンタクト、ピクセル電極、および電磁誘導遮蔽などの広範囲の機能を果たすために働くことが可能である。
【0053】
本発明の伝導バイア・バックプレーンは、いわゆる“スマート・カード”における使用に特に、専用ではないが、志向している。このようなスマート・カードにおいては、カードの前面の電子的構成要素(図5D中の上面に対応する)は、電気光学的ディスプレイを駆動するために働くことができ、他方、カードの反対側のパタン化金属層502Aおよび関連回路は、アンテナ・ループ、信号線、およびカードとカード読取り/書込み機器間での通信のための他の構成要素として機能することができる。
【0054】
本発明の伝導バイア・バックプレーンは、基板の反対側を使用することによって改善された電子的構成要素集積および低減コストの利点を提供し、したがってよりコンパクトな(薄い)パッケージングを提供する。このような改善された集積はとりわけ、スマート・カードおよびクレジット・カード、ならびに電子的ラベル用途に有用である。
【0055】
制御電圧伝導層
すでに述べたように、本発明の第三側面は、伝導層、絶縁層および伝導層から絶縁層の反対側上の一つ以上のトランジスタを含むバックプレーンに印加される電圧を制御することに関し、バックプレーンはさらに、トランジスタのゲートに印加される電圧を変化させ、これによって、トランジスタをオン(導通)およびオフ(非導通)の間を切替える手段を備えている。本発明のこの側面によれば、伝導層は、接地から異なる電圧およびディスプレイの走査の間にトランジスタのソースに印加される電圧の範囲内に維持される。もし走査の間にソースに印加される最大電圧および最小電圧がそれぞれ、VmaxおよびVmin、伝導層に印加される電圧をVcとすれば、これらの電圧は次の関係式を満たすのが望ましい。
【0056】
(3*Vmax+Vmin)/4>Vc>(Vmax+3*Vmin)/4
次の式を満足させるのが非常に好ましい。
【0057】
(3*Vmax)+2*Vmin)/5>Vc>(2*Vmax+3*Vmin)/5
さらに、最適なのは、次の関係を実質的に満たすことである。
【0058】
Vc=(Vmax+Vmin)/2
大抵の電気光学的ディスプレイの電力消費の主要部分は、その形式の一連の容量性開閉条件によって占められる。
【0059】
P=0.5CV
ここに、Cは関連キャパシタンス、Vは、容量性負荷の両端の電圧差、fは駆動周波数である。このタイプの分離条件は、ソース線・キャパシタンス、ゲート線・キャパシタンス、およびピクセル・キャパシタンスに対して発生する。しかしながら、通常、ソース線・キャパシタンス(従来のように、ゲート線を行に、ソース線を列に、ドレーン・ラインをピクセル電極に割り当てると想定したときの、列電極キャパシタンスのこと)が、ディスプレイの電力消費を支配する。一例として、60H前記のフレーム・レートで走査されるSVGA(800x600)の場合、ソース線は28.8MH前記で、ゲート線は36MH前記で、ピクセルは60H前記で変調される。言い換えれば、このようなディスプレイでは、ディスプレイの新しいラインが書き込まれるたびごとに、ただ一行の電極が高から低へ、および/または低から高へ切替えられねばならず、これに対して、800列電極は、書き込まれる画像中の各ピクセルの値によってランダムな値の間で切替えられねばならない。
【0060】
添付図面の図6は、本発明のバックプレーンの断面(全体を600で表す)の概略断面図であり、断面600は、単に一個のトランジスタを含む。このバックプレーンは、金属箔602およびポリマ材料絶縁層604を含む。トランジスタは、薄膜型で、ポリマ材料604の露出面上に直接形成され、ゲート電極606、窒化珪素で形成されたゲート誘電体層608、アモルファス・シリコン半導体層610およびソース電極612およびドレーン電極614、従来のやり方で、ソース電極およびドレーン電極と半導体層610との間にそれぞれ設けられたn+アモルファス・シリコン612’および614’の層を含む。半導体層610は、前述の第WO00/67327号中に記載の隣接するトランジスタ間に連続的に伸びる。
【0061】
図6中に示すトランジスタは、列ドライバおよび行ドライバに従来のやり方で接続されており、ソース電極612は、列電極(示さず)上のデータ信号に接続され、ドレーン電極614は、ピクセル電極(これも示さず)に接続され、ゲートは行電極(これも示さず)上の選択信号に接続される。最終電気光学的ディスプレイにおいて、ピクセル電極は電気光学的媒体の層の隣に横たわり、ディスプレイの全てのピクセルを横切って伸びる透明前電極は、電気光学的媒体の反対側上に横たわり、観察者がディスプレイを通して見る観察面を形成する。
【0062】
ゲート電圧は、トランジスタがオフ状態において通常5V、オン状態において30Vであり、ソース電圧は、透明コモン電極がおよそ10Vに設定されていれば、通常0Vから20Vに変化する。
【0063】
上に述べたことから明らかになることは、ディスプレイの電力消費に影響する主要な原因は、ソース電極612と金属箔602との間のキャパシタンスによるエネルギ損失である。もし、共通して言えることであるが、ポリマ材料604の厚さが行電極および列電極および/またはピクセル電極の幅より小さいか同じオーダであれば、この容量性損失に起因する電力消費は、相当な値になる。すでに述べたように、このエネルギ損失は、ソース線電圧と金属箔602の電圧との間の電圧差の二乗に比例するので、またソース線電圧は動作電圧内にランダムに分布するものと想定できるので、もし金属箔が単純に接地電位に、または近辺にフロートすることが可能であれば、平均電圧差は、相当な値になり、エネルギ損失も同様となろう。このエネルギ損失を最小化するためには、金属箔602は、ソース線電圧の範囲の中央か、近辺に維持するべきで、この場合には10Vになる。このことは、金属箔602を共通前電極の電圧に等しくすることにより容易にできうる。
【0064】
もし金属箔602が高導電率を持たない金属(例えば、ステンレス鋼)でできていたら、例えば、アルミニウムのようなより高い導電率の薄層を、ポリマ材料604がその上に堆積する前に、箔602上に形成しうる。伝導層の導電率が高くなればなるほど、ディスプレイの動作中の金属箔両端の電圧分布を改善できる。
【0065】
前述より分かることは、本発明の制御電圧伝導層は、本質的に活性マトリクス電気光学ディスプレイ中の電力消費を低減しうることである。加えて、本発明の制御電圧伝導層は、これまで観測されてきた、そして金属箔が浮遊を許されているときに、バックプレーン中で使用される金属箔中に誘導される電圧に関係すると信じられている、ノイズおよびある種のディスプレイ遺物の除去または低減に有用でありうる。
【0066】
メサ・プロセス
本発明のメサ・プロセスは、薄膜歪を低減する方法を提供する。この薄膜は、アレーがポリマ被覆金属基板上で形成されるときに、電子的構成要素(特に、これに限らないが、電気光学的ディスプレイのバックプレーン)のアレーの形成の間に割れる。最近の製造においては、ディスプレイ基板は、1メートル平方にも及び、この大面積に亘って薄膜歪を最小化することは重要である。
【0067】
すでに述べたように、本発明のメサ・プロセスによれば、金属基板上にポリマ材料の連続層を形成する代わりに、ポリマ材料の複数の離散エリア(以後“メサ”と呼ぶ)が金属基板上に形成され、好ましくは電気光学的ディスプレイのバックプレーンを含む電子的構成要素の分離アレーが、離散エリアのおのおのの上に形成される。メサ・プロセスの好ましい形式においては、ポリマ材料の連続層が、金属基板の一表面の全ての部分に亘って形成される、この連続層は、離散メサを形成するために分割される。
【0068】
下の図7は、本発明の好ましいメサ・プロセスを描く。図7に示す構造(全体を700で表す)は、本質的なエリアの金属箔基板702、典型的には1メートル平方を含む。この箔702上には、二つのメサ704が配置される(図7は、図解の容易のために単純化されており、実際には、もっと多くのメサが存在し、各基板上に最大数の製品を製造するために、メサ間の間隙は、通常、図7に示すより狭い)、各メサ上には、電気光学的ディスプレイ用のバックプレーン706が形成される。構造700は、先ず全箔702を厚い(6−8μm)ポリイミドまたは他のポリマ層でコーティングすることにより形成され、このポリマ層を離散メサ704を形成するためにパタン化し、その上で、従来のやり方でバックプレーン706を製造する。このパタン化は、ウェット・エッチング技法またはドライ・エッチング技法を使った写真平板法、またはレーザ・パタンニングを含む多数の方法で行うことができる。
【0069】
メサ704は、バックプレーンの製造の間に、個々のバックプレーン706を互いから隔離するので、薄膜歪は、全基板702の関数というよりは、より小さいメサ・エリアの関数になる。金属基板702は、それでも、寸法的安定性が保存されていることを保障する。
【0070】
半導体製造技術の当業者の推測に難くないのは、このような製造中に使われる多くの薄膜堆積技法は、図7の構造に適用されたとき、基板702の離散メサ704巻のエリアを含む全面積に亘って皮膜を堆積するということである。隣り合うメサ間に広がるこのような皮膜の存在は、メサ上に形成されつつある構成要素上の薄膜歪を増す傾向があるので、望ましくない。バックプレーン706の製造のためには、堆積薄膜による基板のこのような非メサ・エリアの“ブリッジング”を防ぐためには、メサをオーバ・エッチングによって、少なくとも使われるプロセスの1エッチング・ステップの間、通常フォトレジスト・パタニングの後で、アンダーカットすることが好ましい。
図8Aおよび8Bは、このような“オーバ・エッチング”プロセスを示す。図8Aは、図7の構造に類似の構造800を示し、この中では、薄膜802が、メサ704を載せた基板702条に堆積している。図8A中に示すように、薄膜802は、メサ704の上面に亘って広がるのみならず、隣接するメサ間にも広がり、このように、メサをブリッジし、薄膜歪を増す(推測されることは、薄膜802は、二つのメサ間に存在するのみならず、基板702のエッジに隣接する他の露出部分上にも存在することである。しかしながら、薄膜802のこの部分は、理解を容易にするために、図8Aおよび8Bから省略されている。)図8Bは、図8Aの構造をオーバ・エッチングした結果を示し、したがって、メサ704をアンダーカットし、メサと薄膜802の干渉部分間の物理的接続を破る。図8Bから分かることは、オーバ・エッチングは、メサ704および薄膜802の干渉部分の間の接触を破ることであり、このようにして、メサ704を互いから物理的に隔離し、後の製造ステップ中の過剰な薄膜歪を回避することである。
【0071】
本発明の典型的なメサ・プロセスは、次のようになろう。
【0072】
(a)金属箔基板を清浄にする、
(b)6−8μmのポリイミド(例えば、前述のHDマイクロシステムズ5878G)で金属箔基板を被覆する、
(c)溶剤を除去するためにポリイミドを100℃で焼く、
(d)フォトレジストを塗布し、プリ・ベークし、パタン化し(望みのメサ・パタンを形成する)、現像し、ポスト・ベークする、
(e)ポリイミド・メサをメサのアンダータットをして/なしで、ウェット・エッチングする、
(f)ポリイミドを300℃でキュアする、および
(g)TFT製造プロセスの残りのステップを行う。
【0073】
すでに述べたように、本発明のメサ・プロセスは、薄膜歪を大きな基板に関しては、全基板の面積の代わりに、回路歪をメサ・エリアの関数にすることにより(本質的には、各個のバックプレーンのエリアまたは他の電子的アレー)、減じ、ディスプレイおよび他の用途のための可撓性マイクロエレクトロニクスの経済的な大量生産を可能にする。
【0074】
縫付け可能ディスプレイ
すでに述べたように、本発明のさらなる側面は、可撓性電気光学ディスプレイの繊維、他の織物材料、および他の可撓性材料(例えば、衣服に使われる革およびポリマ皮膜)への統合の方法に関する。このような可撓性電気光学ディスプレイを繊維および類似の材料に取付ける最も実用的な方法は、縫付けによるものである。しかしながら、可撓性電気光学ディスプレイは、容易に縫付けできない。ポリマ層または金属層に針を通すと、このような層に有害なよじれを生じ、ディスプレイの一部を形成する脆い薄膜回路に亀裂を入れる可能性がある。
【0075】
今分かっていることは、アパチャの明いた金属箔の使用が、この可撓性電気光学ディスプレイを繊維および類似の材料に取付ける問題への解決を提供することである。
【0076】
したがって、本発明は、金属基板を有する電気光学ディスプレイを提供する。このディスプレイは、電気光学的材料および電気光学的材料上に画像を書き込む手段、および中央部分の周辺の少なくとも一部の周りに広がる周辺部分を含む中央部分を有する。この周辺部分は、金属基板を貫通して伸びる複数のアパチャを有する。これらのアパチャを利用して、電気光学的ディスプレイは、可撓性媒体に縫付けることができる。非常に望ましいのは、このようなディスプレイの周辺部分が、電気光学的材料を含まないことである。本発明の好ましい形式においては、周辺部分は完全に中央部分の周りに広がっているので、電気光学的ディスプレイの全周辺が、繊維または類似の可撓性材料に縫付けられる。
【0077】
本発明の縫付け可能ディスプレイが、図9および10に図示されており、それぞれは、縫付け可能電気光学的ディスプレイの平面図および断面図である。
【0078】
図9は、電気光学的ディスプレイ(全体を900で示す)を示し、画像がディスプレイされる電気光学的材料を含む中央部分902を有する。中央部分902は、周辺部分904によって完全に囲まれている。周辺部分904は、電気光学的材料から独立しているが、複数のアパチャ906を備えており、これらを利用して電気光学的ディスプレイは、繊維または類似の可撓性材料に縫い付けられる。
【0079】
ディスプレイ900の構造は、図10にさらに詳しく示されており、図示の容易のために、ディスプレイの厚さは、図10では大きく誇張されているので、図9および10は、図10の構造のある詳細部を示すために、厳密には同じ尺度にはなっていない。この図からよく分かることは、ディスプレイ900は、アパチャ906が通る周辺部分を通して金属箔基板908を含むことである。基板908の上面(図10中の)は、ポリマ材料の層によって覆われており、その上面には、ディスプレイのバックプレーンを形成するTFTアレー912が形成される。TFTアレー912の上には、電気光学的材料914の層が配置され、電気光学的材料914の上には、単一の連続電極(示さず)を下面に着けた前保護層916が配置されている。保護層916の上面は、ディスプレイの観察面を形成する。電気光学的材料914の周辺の周りには端シール918が伸び、電気光学的材料914への湿気の侵入を防ぐ。いくつかのタイプの電気光学的媒体は湿度に敏感である。端シール918の外側には、接着された集積回路920が電気光学的材料914の上に配置されている。これらの回路920は、図9から省かれているが、例えば、データをTFTアレー912へ伝送するための回路である。
【0080】
すでに述べたように、電気光学的材料914は、ディスプレイ900の周辺部分904をカバーしない。すなわち、端シール918は、全体がアパチャ906で規定される矩形の内部にある。しかしながら、ポリマ材料910は、金属箔908の全表面積に亘って広がる。図10において、アパチャ906は、金属箔908およびポリマ材料910の両方を貫通して伸びるように示される。しかしながら、このことは重要ではない。というのは、ポリマ材料910は、ディスプレイの中央部分への損傷のリスクなしで縫付けの間、縫うことができるからである。アパチャ906は、例えば、レーザ融解、スタンピングまたはフォト・エッチングで形成することができる。あるいは、電気光学的ディスプレイは、本発明のパタン化金属箔バックプレーンを使うことができ、この場合、単に電気光学的材料の端の向こうに伸びる金属箔の追加的な周辺エリアを残すだけで、縫付けに必要なアパチャをもたらすであろう。
【0081】
本発明の縫付け可能ディスプレイは、衣服への適用を意図する電気光学的ディスプレイのために有用であるのみならず、“タイル”(小型のディスプレイ)から形成される大面積可撓性ディスプレイの構造中でも有用である。
【0082】
前述のことから明らかなことは、本発明の縫付け可能なディスプレイは、可撓性ディスプレイの適用の多くに望ましくない接着剤の使用なしで、繊維および類似の可撓性材料に金属箔を使う可撓性ディスプレイの容易で単純な取付けを可能にすることである。
【0083】
1D区曲面プロセス
すでに述べたとおり、本発明は、一元的に曲がった基板上に電気光学的ディスプレイを形成するための(第一)プロセスを提供する。このプロセスは、一元的に曲がった一つ以上のピクセルを含むバックプレーンで始まる。このバックプレーンは、この曲面構成に事前に形成されていてもよく、平面に形成されたものを曲面構成に曲げてもよく、または、一元方向に曲がった表面に、好ましくは永久に接着されてもよい。それから、電気光学的媒体層および光伝送電気的伝導層を含む積層体が曲がったバックプレーンに適用される。その積層体は、電気光学的媒体がバックプレーンと電気的伝導層で終わるように適用される。その積層体はまた、電気光学的媒体に塗布された積層接着剤層を含み、そのプロセスは、この積層接着剤層がバックプレーンに直ちに接触するように行われる。この積層体は、その上で、バックプレーンにブラッダ・プレスまたは加熱ロール積層機を使って熱および/または圧力を加えて接着され、その結果、電気光学的媒体がバックプレーンに電気光学的媒体上の最小限の応力で接着される。電気光学的媒体中のすべての内部応力は、材料が流動を許されるので、接着プロセス中に緩和されうる。その結果プロセスが完了した後、完成したディスプレイ中のその後の材料クリープは、最小限にとどまる。最後に、積層体の端およびバックプレーンは、適正なシーラントを使って切断および/またはシールされうる。
【0084】
このプロセスに使用される積層体は、2003年5月23日出願の同時係属出願第PCT/US03/16433号に記述の “前平面積層体”からリリース・シートを除去することにより準備されうる。あるいは、本発明の第二1D曲面プロセスによって、このプロセスは、2003年9月2日出願の同時係属出願第PCT/US03/27686号中に記載の“両面リリース・フィルム”を使うように修正されうる。このような両面リリース・フィルムは、両側に接着剤層を備えた固体電気光学的媒体の層(“固体”とは、内部には液体充填内部空洞または気体充填内部空洞を含むかもしれないが、固い外表面を持つことを意味する。)。これらの接着剤層の一方または両方は、リリース・シートで覆われうる。プロセス中にこのような両面リリース・シートを使うためには、接着層の一つが露出し、両面リリース・シートは、すでに述べたやり方でバックプレーンに積層される。その上で、第二接着剤層が露出され、電気的伝導層(通常、保護層および/またはフィルタ層によりカバーされる)が、第二積層ステップ中に電気光学媒体層上に積層される。
【0085】
添付図の図11から13は、本発明の1D曲面プロセスの好ましい変形を示す。すでに述べたとおり、このプロセスは、一次元に曲がったバックプレーン1000(図11)で始まる。図示されたバックプレーン1000は、実質的に、空洞半円筒の形状を有するが、明らかに、例えば、大きな直径の円筒の小さな弧、楕円筒の部分のような一次元に曲がった他の形状も使用可能である。バックプレーン1000は、事前成形することができ、平坦に成形して後に曲げるとか、一次元に曲がった表面に永久に接着することができる。さらにまた、バックプレーンは、複数のピクセル電極および各ピクセル電極に独立して印加される電圧を変化させる回路を備えた直接駆動タイプ、または能動的マトリクス・タイプでもよい。
【0086】
プロセスの第一ステップにおいて、図12に示すように、接着剤層1002(“外部”接着層の使用なしでバックプレーン1000に接着できるタイプが使われるため、この層は電気光学的媒体中では省かれうる)、電気光学的層1004(バインダ中に複数のカプセルを含むカプセル化電気泳動層として図示するが、他のタイプの電気光学的媒体も勿論使われうる)、および光伝送電気的伝導層1006を含む積層体は、圧力(図12中の矢印で示すように)および高温の下で、バックプレーン1000の表面に積層される。通常は、光伝送電気的伝導層1006は、図12中に図示されるものより他の層に比べてより薄いが、透明基板(示さず)上に設けられる。例えば、伝導層1006は、インジューム錫酸化物(ITO)の層、またはポリマ皮膜上に形成される導電性ポリマの形態を持ちうる。ITO被覆ポリマ皮膜は市場で入手可能であり、伝導層1006および透明基板として使用されうる。透明基板は、比較的薄く脆い伝導層1006の機械的支持および保護をもたらす。
【0087】
図12中に示す積層プロセスは、ブラダ・プレスまたは過熱ロール積層機を使って便利に実施される。曲面構成においてバックプレーンを使う積層を行うことによって、電気光学的媒体は、最小限の歪でバックプレーンに接着される。通常は、電気光学的媒体のバックプレーンへの積層は、電気光学的媒体中に存在するバインダのガラス遷移温度より高い積層接着剤層1002のキュア温度で行われる。その結果、電気光学的層内の内部応力が、電気光学的媒体が流動しうるため、積層工程中に緩和される。結果として、図12中に示す積層後の電気光学的媒体内のクリープは、最低限に抑えられ、このようなクリープに関連する問題も最小限度内に治まる。
【0088】
図12中に示す積層ステップの後、電気光学的媒体層およびバックプレーンの端は、図13中の1008として示すように、切断され、適正なカプセル剤を使って密封されうる。
【0089】
2D曲面プロセス
最後に、すでに述べたように、本発明は、電気光学的ディスプレイを曲面上に形成するプロセスを提供する。この表面は、一次元または二次元で曲がりうる。このプロセスは、曲がったバックプレーンで始まる。カプセル化電気泳動媒体のような被覆可能な電気光学的媒体は、バックプレーンの表面にスプレーされるか、印刷され、乾燥が必要なら、キュアされるか、別の方法で処理され、均一な層に形成される。透明電気的伝導層は、電気光学的媒体の表面にスプレーされるか、印刷され、乾燥が必要なら、キュアされるか、別の方法で処理され、均一な層に形成される。透明カプセル剤は、伝導層の表面にスプレーされるか、印刷されて、乾燥が必要なら、キュアされるか、別の方法で処理され、均一な層に形成される。選択的には、プロセスの最終ステップにおいて、端シーラントが、ディスプレイの端周辺にスプレーまたは印刷で施されて、電気光学的媒体およびディスプレイの他の構成要素が保護され、ディスプレイと周囲環境との間の、例えば、水分および/または酸素の交換を防ぐ。
【0090】
このプロセスは、一次元または二次元に曲がっている表面に適用できるけれども、このプロセスは、もともとは、二次元曲面に使用するために考えられている。このプロセスで形成されるディスプレイの基礎構造が図14中に示されていて、このディスプレイは、
(a)能動的マトリクス・トランジスタ、受動的マトリクス・トランジスタ、または直接駆動型マトリクス・トランジスタでありうる、かつ、典型的には、ポリマ皮膜、金属箔またはこれらの組合せ(ポリエチレン・ポリイミドでカバーされるステンレス鋼箔上に形成されるバックプレーンについては、前述の2002/0019081を参照)上に形成されうる、バックプレーン1200、
(b)典型的には、カプセル化電気光学的媒体層で、電気泳動タイプ、液晶タイプまたは放射タイプでありうる、電気光学的媒体層1202、
(c)有機材料または無機材料から形成されうる、光伝送(好ましくは透明)電気的伝導層1204、および
(d)有機材料または無機材料から形成されうる、光伝送(好ましくは透明)カプセル剤または保護層1206からなる。
【0091】
バックプレーン1200は、事前成形のバックプレーン、または示された構成に曲げられた元は平形のバックプレーンでもよい。バックプレーンは曲面に接着されてもよい。バックプレーンは、事前成形可撓性基板、例えば、ダイ中の注型材料で形成された基板、に印刷されてもよい。
【0092】
図14に示す好ましいディスプレイを形成するために、バックプレーン1200の表面上にカプセル化電気光学的材料がスプレーされるか、印刷される。殆どの場合、結果としての電気光学的媒体層1202は、均一層を形成するためには乾燥またはキュアを必要とする。カプセル化電気光学的材料は、例えば、スラリーまたはエーロゾルの形態のように、濡れた形態または乾いた形態でスプレーされうるか、印刷されうる。単一層または複数層の電気光学的材料が、最終層が乾燥されるかまたはキュアされる前に、バックプレーン1200に適用されうる。追加的な低応力下充填レジンまたは他のポリマ・バインダが、乾燥またはキュアリングの前または後に、コーティング中のボイドを埋めるために、またはコーティング表面を局部的に平面化するために適用されうる。
【0093】
電気光学的媒体層1202の形成の完了後、光伝送電気的伝導層1204が、例えば、スラリーまたはエーロゾルの形態のような、濡れた形態または乾いた形態で、適切な材料をスプレーまたは印刷によってその上に被せられる。いくつかの場合においては、材料の乾燥またはキュアリングが、均一な層を形成するために要求されうる。同様に、伝導層1204の形成の完了後、光伝送カプセル化層1206が例えば、スラリーまたはエーロゾルの形態のような、濡れた形態または乾いた形態で、適切な材料をスプレーまたは印刷によってその上に被せられる。いくつかの場合においては、材料の乾燥またはキュアリングが、均一な層を形成するために要求されうる。最後に、低応力端シール・カプセル剤(示さず)が、ディスプレイの端にスプレーされるか、印刷されて、ディスプレイ材料を湿気またはガス吸着から保護し、またはディスプレイを環境的に安定化させる。
【0094】
上に述べた本発明の好ましい2D曲面プロセスは、ディスプレイの各層を直接、事前成形された曲面バックプレーンにコーティングによって、材料応力、クリープ、およびそのためにディスプレイの不均一が、その後の動作および保管中に最小化されるという利点を有する。この方法はまた、平坦な基板上での使用にも適しており、極薄電子ディスプレイの製造を可能にする。このプロセスの全ステップは連続的な製造形式で実施でき、この方法は、大きな材料節約、およびスプレー・コータやキュアリング用赤外線ランプのような単純なウェブ・ベースのまたはシート・ベースの製造機器の使用による、等角ディスプレイ用の低コスト組立プロセスをもたらす。
【0095】
本発明は、主としてカプセル化電気泳動媒体の使用に関連して説明してきたが、上に述べた他の任意のタイプの電気光学的媒体も代替的に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明の第一パタン化金属箔バックプレーンの概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の第二パタン化金属箔バックプレーンの概略断面図である。
【図3】図3および4は、本発明の第三パタン化金属箔バックプレーンおよび第四パタン化金属箔バックプレーンの概略平面図である。
【図4】図3および4は、本発明の第三パタン化金属箔バックプレーンおよび第四パタン化金属箔バックプレーンの概略平面図である。
【図5】図5A−5Dは、本発明の伝導バイア・バックプレーンの形成中の様々な段階を示す概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の制御電圧伝導層バックプレーンの一つのトランジスタの概略断面図である。
【図7】図7は、本発明のメサ・プロセスによって準備されたバックプレーンの部分の概略断面図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、本発明の第二メサ・プロセス中の様々な段階を示す概略断面図であり、メサの端がアンダーカットされたものである。
【図9】図9は、本発明の縫付け可能ディスプレイの概略平面図である。
【図10】図10は、図9に示す縫付け可能ディスプレイの概略断面図である。
【図11】図11から13は、本発明の第一1D曲面プロセス中の様々な段階を示す概略断面図である。
【図12】図11から13は、本発明の第一1D曲面プロセス中の様々な段階を示す概略断面図である。
【図13】図11から13は、本発明の第一1D曲面プロセス中の様々な段階を示す概略断面図である。
【図14】図14は、本発明の2D曲面プロセスの等角投影概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学的ディスプレイに使用するためのバックプレーン(100,200,300,400)であって、貫通して伸びる複数のアパチャを有し、絶縁ポリマ材料(104,106,108)により少なくとも側面が被覆されている、且つパタン化金属箔(102)を含み、前記絶縁ポリマ材料(104,106,108)上に設けられた複数の薄膜電子素子(302,402)を有する前記バックプレーン。
【請求項2】
請求項1によるバックプレーンであって、前記アパチャが矩形格子上に配列された前記バックプレーン。
【請求項3】
請求項1によるバックプレーンであって、前記アパチャが前記パタン化金属箔の面積の約30パーセント以上を占める前記バックプレーン。
【請求項4】
請求項3によるバックプレーンであって、前記アパチャが前記パタン化金属箔の面積の約60パーセント以上を占める前記バックプレーン。
【請求項5】
請求項1によるバックプレーンであって、前記パタン化金属箔の両側が絶縁ポリマ材料によって被覆されている前記バックプレーン。
【請求項6】
請求項5によるバックプレーンであって、前記パタン化金属箔の両側が同一の絶縁ポリマ材料によって被覆されている前記バックプレーン。
【請求項7】
請求項5によるバックプレーンであって、前記パタン化金属箔の両側が異なる絶縁ポリマ材料によって被覆されている前記バックプレーン。
【請求項8】
請求項1によるバックプレーンであって、前記薄膜電子素子(302)のおのおのは、各全体が前記金属箔中の一つのアパチャの範囲内にある前記バックプレーン。
【請求項9】
請求項1によるバックプレーンであって、前記薄膜電子素子(402)のおのおのが前記金属箔中の複数のアパチャに亘って広がっている前記バックプレーン。
【請求項10】
請求項1によるバックプレーンを含む電気光学的ディスプレイ。
【請求項11】
カプセル化電気泳動電気光学的媒体を含む、請求項10による電気光学的ディスプレイ。
【請求項12】
電気光学的ディスプレイ中に使用するためのバックプレーンであって、前記バックプレーンは、絶縁ポリマ材料(504)により少なくとも側面が被覆された金属箔(502)を含み、絶縁ポリマ材料(504)上に設けられた複数の薄膜電子素子(506)を有し、さらに前記バックプレーンは、前記ポリマ材料(504)を貫通して伸び、且つ前記一つ以上の薄膜電子素子(506)を金属箔(502)へ電気的に接続する一つ以上の伝導バイア(510)を含む前記バックプレーン。
【請求項13】
請求項12によるバックプレーンであって、前記金属箔がアンテナ、インダクタ・ループ、パワー・プレーン、キャパシタ、キャパシタ・コンタクト、ピクセル電極、および電磁誘導遮蔽の少なくとも一つとして機能する前記バックプレーン。
【請求項14】
請求項12によるバックプレーンを含む電気光学的ディスプレイ。
【請求項15】
電気光学的ディスプレイを有するスマート・カードの形態をした、請求項14による電気光学的ディスプレイであって、前記金属箔が前記カードおよびカード読み取り装置との間の通信に寄与する前記電気光学的ディスプレイ。
【請求項16】
伝導層、絶縁層、および前記絶縁層の前記伝導層から反対側に配置された一つ以上のトランジスタを有するバックプレーンを駆動するためのプロセスであって、前記プロセスは、前記トランジスタのゲートに印加する電圧を変化させ、これによって前記トランジスタをオン状態とオフ状態との間で切り換えるためのステップを含み、前記プロセスはさらに、前記バックプレーンの駆動の間、前記伝導層を接地から異なる電圧に、かつ前記トランジスタのソースに印加される前記電圧の範囲内に維持するステップを含む前記プロセス。
【請求項17】
請求項16によるプロセスであって、前記伝導層に印加される前記電圧が、次の関係
(3*Vmax+Vmin)/4>Vc>(Vmax+3*Vmin)/4
を満たし、Vmax、Vminはそれぞれ、駆動中に前記ソースに印加される最大電圧および最小電圧であり、Vcは、前記伝導層に印加される前記電圧である前記プロセス。
【請求項18】
請求項17によるプロセスであって、前記伝導層に印加される前記電圧が、次の関係
(3*Vmax)+2*Vmin)/5>Vc>(2*Vmax+3*Vmin)/5
を満たす、前記プロセス。
【請求項19】
請求項17によるプロセスであって、前記伝導層に印加される前記電圧が、次の関係
Vc=(Vmax+Vmin)/2
を満たす、前記プロセス。
【請求項20】
金属基板を被覆するポリマ材料上に複数の電子的構成要素を形成するプロセスであって、前記プロセスは、前記金属基板上にポリマ材料の複数の離散エリアを形成するステップ、およびその後、前記複数の電子的構成要素をポリマ材料の前記離散エリア上に形成するステップを含む前記プロセス。
【請求項21】
請求項20によるプロセスであって、前記ポリマ材料の連続層が、前記金属基板上に形成され、その後、この連続層が分割されてポリマ材料の前記離散エリアを形成する前記プロセス。
【請求項22】
請求項20によるプロセスであって、ポリマ材料の前記離散エリアの前記端のいくつか以上がアンダーカットされるプロセス。
【請求項23】
請求項22によるプロセスであって、ポリマ材料の前記離散エリアの前記端の前記アンダーカットが、エッチング・ステップで行われるプロセス。
【請求項24】
金属基板を有する電気光学的ディスプレイ(900)であって、前記ディスプレイは、電気光学的材料および前記電気光学的材料上に画像を書き込む手段を含む中央部分(902)、および前記中央部分(902)の周辺の少なくとも一部の周りに伸びる周辺部分(904)を有し、前記周辺部分(904)が、前記金属基板を貫通して伸びる複数のアパチャ(906)を有し、これらのアパチャを使って前記電気光学的ディスプレイを可撓性媒体にスティッチ状に合わせることができるようになっていることを特徴とする前記電気光学的ディスプレイ。
【請求項25】
請求項24による電気光学的ディスプレイであって、前記ディスプレイの周辺部分が、電気光学的材料を持たない前記電気光学的ディスプレイ。
【請求項26】
請求項24による電気光学的ディスプレイであって、前記周辺部分が、前記中央部分の周りに完全に広がり、そのため前記電気光学的ディスプレイの全周辺を前記繊維または他の可撓性材料にステッチ状に合わせることができるようになっている前記電気光学的ディスプレイ。
【請求項27】
一次元に曲がった基板上の電気光学的ディスプレイを形成するためのプロセスであって、
一つ以上のピクセル電極を有し、一次元に曲がったバックプレーンを準備するステップ、
前記バックプレーンに電気光学的媒体の層および光伝送電気的伝導層を含む積層体を付けるステップ、ただし前記積層体は前記電気光学的媒体が前記バックプレーンと前記伝導層との間にあるように付けられるものとするステップ、および
前記積層体を熱および/または圧力の下で前記バックプレーンに接着するステップを含む前記プロセス。
【請求項28】
請求項27によるプロセスであって、前記積層体はさらに前記電気光学的媒体層を覆う積層体接着剤層を含み、前記積層体接着剤層が前記バックプレーンと接触する前記プロセス。
【請求項29】
一次元に曲がった基板上に電気光学的ディスプレイを形成するプロセスであって、前記プロセスは、
一つ以上のピクセル電極を有し、一次元に曲がったバックプレーンを準備するステップ、
両側上に第一接着剤層と第二接着剤層とを有する固体電気光学的媒体の層を含む両面リリース膜を準備するステップ、ただし前記接着剤層の少なくとも一方はリリース・シートでカバーされている、ステップ
第一接着剤層および第二接着剤層の一方を露出させ、前記両面リリース・シートを前記バックプレーンに積層するステップ、および
第一接着剤層および第二接着剤層の他方を露出させ、前記露出された接着層を電気的伝導層に積層するステップを含む前記プロセス。
【請求項30】
一つ以上のピクセル電極を有する曲がったバックプレーン上に電気光学的ディスプレイを形成するプロセスであって、前記プロセスは、
被覆可能な電気光学的媒体を前記バックプレーンの表面上に付けて、その上に前記電気光学的媒体の均一な層を形成するステップ、
透明電気的伝導層を前記電気光学的媒体の表面に付けて、その上に前記伝導層の均一な層を形成するステップ、および
透明カプセル剤を前記バックプレーン上の前記電気的伝導層の表面に適用して、その上に前記カプセル剤の均一な層を形成するステップを含む前記プロセス。
【請求項31】
端シーラントを前記ディスプレイの端の少なくとも一部の周りに付けるステップをさらに含む請求項30によるプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−508406(P2006−508406A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510343(P2005−510343)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/038009
【国際公開番号】WO2004/049045
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(500080214)イー−インク コーポレイション (148)
【Fターム(参考)】