説明

可逆熱変色性表示体

【課題】 温度変化に応じて変化するそれぞれの図柄から、コンテンツ情報に関する機械で判読可能なコードを付与することにより、複数のコンテンツ情報を提供可能な実用性に富む可逆熱変色性表示体を提供する。
【解決手段】 消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する可逆熱変色性材料を含む加熱発色型熱変色像と、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する可逆熱変色性材料を含む加熱消色型熱変色像とを支持体上に共存させてなり、前記加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像には、読み取り機能を備えた機械で判読可能な異なるコンテンツ情報に対するコードが付与されてなる可逆熱変色性表示体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆熱変色性表示体に関する。詳細には、機械で判読可能なコンテンツ情報に関するコードが付与された加熱発色型熱変色像と加熱消色型熱変色像とを共存させてなる可逆熱変色性表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱消色型の熱変色性材料、即ち、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する可逆熱変色性材料と、加熱発色型の熱変色性材料、即ち、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する可逆熱変色性材料を組み合わせた表示体が開示されている。
しかしながら、前記表示体は、意外性、変色の妙味、マジック性等を有するものの、それと共に、利用者に有用なコンテンツ情報を提供するものではなかった。
【特許文献1】特開2000−194295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、意外性、変化の妙味、マジック性を有すると共に、温度変化によって変化する図柄には、それぞれコンテンツ情報に関する機械で判読可能なコードを付与することにより、複数種のコンテンツ情報を提供できる表示体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する可逆熱変色性材料を含む加熱発色型熱変色像と、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する可逆熱変色性材料を含む加熱消色型熱変色像とを支持体上に共存させてなり、前記加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像には、読み取り機能を備えた機械で判読可能な異なるコンテンツ情報に対するコードが付与されてなる可逆熱変色性表示体を要件とする。
更には、前記加熱発色型熱変色像と加熱消色型熱変色像は、並設、或いは、重ね刷りされてなること、25℃において、加熱発色型熱変色像は消色状態であり、加熱消色型熱変色像は発色状態であること、25℃において、加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像が消色状態であること、45℃において、加熱発色型熱変色像は発色状態であり、加熱消色型熱変色像は消色状態であること、前記コンテンツ情報は、コンテンツ提供サーバのURL情報、コンテンツ提供サーバ内のコンテンツを特定する識別情報、ネットワークを特定する識別情報、属性情報のいずれかであること等を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の可逆熱変色性表示体は、意外性、変化の妙味、マジック性を有すると共に、温度変化に応じて変化するそれぞれの図柄から、コンテンツ情報に関する機械で判読可能なコードを付与することにより、複数のコンテンツ情報を提供可能な実用性に富む可逆熱変色性表示体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
前記発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する可逆熱変色性材料としては、例えば、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させた材料が有効であり、具体的には、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44708号公報、特公平1−29398号公報、特公平4−17154号公報等に記載のものが利用できる。
【0007】
前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物としては、公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が適用できる。
【0008】
前記(ロ)電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等があり、特に芳香環を2又は3個有する化合物が用いられる。
前記化合物としてはフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、更に置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
【0009】
前記(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
【0010】
前記消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する可逆熱変色性材料としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)特定の電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の三成分を含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させた材料が有効であり、具体的には、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物(特開平11−129623号公報)、ヒドロキシ安息香酸エステル(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル(特開2003−253149号公報)を用いた加熱発色型の可逆熱変色性材料を適用することができる。
なお、前記ヒドロキシ安息香酸エステルを用いる系においては、必要に応じて結晶化促進剤を加えて、加熱による発色後に特殊な冷却手段を適用することなく速やかに消色させることもできる。
【0011】
可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等が適宜、選択される。更に、マイクロカプセルの表面には、目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することができる。
前記マイクロカプセル化することにより、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持できるためであり、多様な使用条件下において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
マイクロカプセルの粒子径は1〜50μm、好ましくは、3〜30μm程度のものが分散性、発色性、持久性、加工性の面より有効である。
【0012】
本発明における加熱発色型熱変色像、加熱消色型熱変色像は、前記した発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する可逆熱変色性材料と、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する可逆熱変色性材料をそれぞれバインダー樹脂中に分散状態で固着させた熱変色像であり、支持体上に印刷又は吹き付け等の塗布手段により形成される。
前記熱変色像は、バインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油性の合成樹脂、紫外線硬化型樹脂、その他糊剤等から選ばれる樹脂を含むビヒクルに可逆熱変色性材料をそれぞれ分散させた印刷インキ又は塗料として、スクリーン印刷、グラビヤ印刷等の印刷手段或いはスプレー塗装等の手段により支持体の所望箇所に付着乾燥させて得られる。
【0013】
前記支持体の材質は、耐水性を有するものであれば特に限定されないが、合成紙、布帛、フィルム、プラスチック、ゴム、合成皮革、レザー、ガラス、陶磁器、木材、石材等が挙げられる。
前記支持体形態としては平面状のものが好ましいが、凹凸を有する形態であってもよい。
【0014】
本発明においては、加熱発色型熱変色像が25℃において消色状態を示す表示体の系においては、加熱消色型熱変色像が発色状態であり、加熱により前記加熱消色型熱変色像が消色し、加熱発色型熱変色像が発色する構成が挙げられる。
また、25℃において加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像が何れも消色状態を示す系においては、加熱により加熱発色型熱変色像が発色し、冷却により加熱消色型熱変色像が発色する構成が挙げられる。
更に、加熱消色型熱変色像が45℃において消色状態を示す表示体の系においては、加熱発色型熱変色像が発色状態であり、冷却により前記加熱発色型熱変色像が消色し、加熱消色型熱変色像が発色する構成が挙げられる。
【0015】
雑誌やカタログなどの印刷物には、商品の詳細情報を利用者に提示するWebサイトのURLの情報を符号化データに変換された2次元バーコード(例えばQRコード)が掲載されており、利用者は、カメラ付携帯電話等の読み取り装置を備えた機械で2次元バーコードを読み取り、通信機能によってサーバに送り出され、各種コンテンツ情報が得られる。
前記コンテンツ情報は、文字、数字、記号等であり、コンテンツ提供サーバのURL情報、コンテンツ提供サーバ内のコンテンツを特定する識別情報、ネットワークを特定する識別情報、属性情報等が挙げられる。
前記加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像は、所望の情報をコード化した像(図柄)であり、機械で判読してコンテンツ配信サイトへの誘導をするコンテンツ情報の提供を可能とする。
前記加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像は、それぞれ読み取り装置を備えた機械で読み取られ、機械、或いは、ネットワークを介して接続されるサーバを介して、読み取った機械で判読可能なコードのデコード処理を行われ、デコード処理結果からコンテンツ情報に再生される。
【実施例】
【0016】
以下に実施例を示す。なお、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1
加熱発色型可逆熱変色性材料の調製
6′−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−2′−(メチルフェニルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−(9H)キサンテン]−3−オン4.5部、没食子酸ドデシル8部、カプリン酸セチル12.5部、ミリスチルアルコール12.5部、ベヘン酸ベヘニル1部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール3部からなる加熱発色型可逆熱変色性組成物を、イソシアネート樹脂を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は、加熱発色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、加温すると34℃で発色し始め(T)、43℃で緑色の発色状態となり(T)、次に冷却すると36℃で消色し始め(T)、24℃で完全に消色状態となる(T)。
【0017】
加熱消色型可逆熱変色性材料の調製
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1.5部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール1部、セチルアルコール25部、カプリン酸ステアリル25部からなる加熱消色型可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱消色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は加熱消色型の変色挙動を示し、常温域では発色状態(青色)であり、加温すると30℃で消色し始め(t)、33℃以上で完全に消色(無色)状態となり(t)、次に冷却すると30℃で発色し始め(t)、27℃で完全に発色状態となる(t)。
【0018】
インキの調製
前記加熱発色型可逆熱変色性材料15部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂15部、紫外線吸収剤2部、シクロヘキサノン35部、高沸点芳香族溶剤35部、消泡剤1部を含むビヒクル中に分散して、加熱発色型油性スクリーンインキを得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性材料15部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂15部、紫外線吸収剤2部、シクロヘキサノン35部、高沸点芳香族溶剤35部、消泡剤1部を含むビヒクル中に分散して、加熱消色型油性スクリーンインキを得た。
【0019】
可逆熱変色性表示体の作製
白色合成紙上に、前記加熱発色型油性スクリーンインキを用いて、スクリーン印刷によりコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱発色型熱変色像を設け、更に、前記加熱消色型油性スクリーンインキを用いて、スクリーン印刷により前記加熱発色型熱変色像上に別のコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱消色型熱変色像を設けて可逆熱変色性表示体(可逆熱変色性印刷物)を得た。
【0020】
前記可逆熱変色性表示体は、室温下(25℃)では青色の加熱消色型熱変色像のみ視認される。
前記加熱消色型熱変色像を、読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
次に、前記可逆熱変色性表示体を43℃以上に加温すると、加熱消色型熱変色像が消色すると共に緑色の加熱発色型熱変色像が現出する。
前記加熱発色型熱変色像を、カメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供する前記とは別のWebページを表示、閲覧する。
前記状態は室温下で放置すると再び元の状態に戻り、温度変化により繰り返し再現させることができた。
【0021】
実施例2
加熱発色型可逆熱変色性材料の調製
2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H]−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3H)−イソベンゾフラン]−3−オン1部、没食子酸ドデシル8部、ラウリン酸ステアリル12.5部、ラウリルアルコール12.5部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール3部からなる加熱発色型可逆熱変色性組成物を、イソシアネート樹脂を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は、加熱発色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、加温すると28℃で発色し始め(T)、43℃でピンク色の発色状態となり(T)、次に冷却すると32℃で消色し始め(T)、24℃で完全に消色状態となる(T)。
【0022】
加熱消色型可逆熱変色性材料の調製
1,3−ジエチル−6−ジエチルアミノフルオラン1.5部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール1部、ステアリルアルコール5部、セチルアルコール20部、カプリン酸ステアリル25部からなる加熱消色型可逆熱変色性組成物を、エポキシ樹脂/アミン硬化剤を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱消色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は加熱消色型の変色挙動を示し、常温域では発色状態(橙色)であり、加温すると28℃で消色し始め(t)、31℃以上で完全に消色(無色)状態となり(t)、次に冷却すると29℃で発色し始め(t)、25℃で完全に発色状態となる(t)。
【0023】
インキの調製
前記加熱発色型可逆熱変色性材料40部を、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン50部、消泡剤3部、増粘剤1部、レベリング剤3部を含むビヒクル中に分散して、加熱発色型スクリーンインキを得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性材料40部を、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン50部、消泡剤3部、増粘剤1部、レベリング剤3部を含むビヒクル中に分散して、加熱消色型スクリーンインキを得た。
【0024】
可逆熱変色性表示体の作製
白色上質紙上に、前記加熱発色型スクリーンインキを用いて、スクリーン印刷によりコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱発色型熱変色像を設け、更に、前記加熱消色型スクリーンインキを用いて、スクリーン印刷により前記加熱発色型熱変色像の近傍に別のコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱消色型熱変色像を設けて可逆熱変色性表示体(可逆熱変色性印刷物)を得た。
【0025】
前記可逆熱変色性表示体は、室温下(25℃)では橙色の加熱消色型熱変色像のみ視認される。
前記加熱消色型熱変色像を、読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
次に、前記可逆熱変色性表示体を43℃以上に加温すると加熱消色型熱変色像が消色すると共にピンク色の加熱発色型熱変色像が現出する。
前記加熱発色型熱変色像を、カメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供する前記とは別のWebページを表示、閲覧する。
前記状態は室温下で放置すると再び元の状態に戻り、温度変化により繰り返し再現させることができた。
【0026】
実施例3
加熱発色型可逆熱変色性材料の調製
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2部、没食子酸ステアリル10部、カプリン酸ステアリル8.75部、n−ドコサン8.75部、ラウリルアルコール7.5部、オクタデシルエーテル1部、2−(5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール2部からなる加熱発色型可逆熱変色性組成物を、イソシアネート樹脂を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は、加熱発色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、加温すると44℃で発色し始め(T)、60℃で青色の発色状態となり(T)、次に冷却すると34℃で消色し始め(T)、30℃で完全に消色状態となる(T)。
【0027】
加熱消色型可逆熱変色性材料の調製
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール1部、ステアリルアルコール25部、ラウリン酸ステアリル25部からなる加熱消色型可逆熱変色性組成物を、エポキシ樹脂/アミン硬化剤を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱消色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は加熱消色型の変色挙動を示し、常温域では発色状態(黒色)であり、加温すると38℃で消色し始め(t)、43℃以上で完全に消色(無色)状態となり(t)、次に冷却すると38℃で発色し始め(t)、32℃で完全に発色状態となる(t)。
【0028】
インキの調製
前記加熱発色型可逆熱変色性材料40部を、硬質エポキシ樹脂60部、紫外線吸収剤1部、揺変性付与剤2部、添加剤8部を含むビヒクル中に分散した後、更に常温硬化型脂肪族ポリアミン28部を添加して加熱発色型エポキシインキを得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性材料40部を、硬質エポキシ樹脂60部、紫外線吸収剤1部、揺変性付与剤2部、添加剤8部を含むビヒクル中に分散した後、更に常温硬化型脂肪族ポリアミン28部を添加して加熱消色型エポキシインキを得た。
【0029】
可逆熱変色性表示体の作製
陶器製マグカップの側面に、前記加熱発色型エポキシインキを用いてコンテンツ情報に対するコードが付与された像を設け、70℃で1時間加熱硬化させて加熱発色型熱変色像を形成した。更に、前記加熱消色型エポキシインキを用いて、前記加熱発色型熱変色像上に別のコンテンツ情報に対するコードが付与された像を設けて70℃で1時間加熱硬化させて加熱消色型熱変色像を形成して可逆熱変色性表示体(可逆熱変色性マグカップ)を得た。
前記可逆熱変色性表示体は、室温環境下では加熱発色型熱変色像は視覚されず、黒色の加熱消色型熱変色像のみ視認される。
前記加熱消色型熱変色像を、読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
前記可逆熱変色性表示体に70℃の温水を注ぐと加熱消色型熱変色像が消色すると共に青色の加熱発色型熱変色像が現出する。
前記加熱発色型熱変色像を、カメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供する前記とは別のWebページを表示、閲覧する。
次に、温水を取り出して室温下で放置すると再び元の状態に戻り、温度変化により繰り返し再現させることができた。
【0030】
実施例4
加熱発色型可逆熱変色性材料の調製
6′−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−2′−(メチルフェニルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−(9H)キサンテン]−3−オン4.5部、没食子酸ドデシル8部、カプリン酸セチル12.5部、ミリスチルアルコール12.5部、ベヘン酸ベヘニル1部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール3部からなる加熱発色型可逆熱変色性組成物を、イソシアネート樹脂を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は、加熱発色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、加温すると34℃で発色し始め(T)、43℃で緑色の発色状態となり(T
)、次に冷却すると36℃で消色し始め(T)、24℃で完全に消色状態となる(T)。
【0031】
加熱消色型可逆熱変色性材料の調製
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1.5部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール1部、ミリスチルアルコール25部、ミリスチン酸デシル25部の相溶体からなる加熱消色型可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱消色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は加熱消色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、冷却すると15℃で着色し始め(t)、10℃以下で完全に着色(青色)状態となり(t)、次に加温すると16℃で消色し始め(t)、20℃で完全に消色状態となる(t)。
【0032】
インキの調製
前記加熱発色型可逆熱変色性材料20部を、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン45部、消泡剤3部、アルカリ増粘剤5部、防腐剤0.5部、アンモニア水(25%)3部、エポキシ系架橋剤6部を含むビヒクル中に分散して、加熱発色型スクリーンインキを得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性材料20部を、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン45部、消泡剤3部、アルカリ増粘剤5部、防腐剤0.5部、アンモニア水(25%)3部、エポキシ系架橋剤6部を含むビヒクル中に分散して、加熱消色型スクリーンインキを得た。
【0033】
可逆熱変色性表示体の作製
白色の50デニールポリエステルトリコット生地上に、前記加熱発色型スクリーンインキを用いて、スクリーン印刷によりコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱発色型熱変色像を設け、更に、前記加熱消色型スクリーンインキを用いて、スクリーン印刷により前記加熱発色型熱変色像の近傍に別のコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱消色型熱変色像を設けて可逆熱変色性表示体(可逆熱変色性布帛)を得た。
【0034】
前記可逆熱変色性表示体は室温環境下では何も視認されず、10℃以下に冷却すると青色の加熱消色型熱変色像が現出する。
前記加熱発色型熱変色像を、読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
次に、前記可逆熱変色性表示体を43℃以上に加温すると、加熱消色型熱変色像が消色すると共に緑色の加熱消色型熱変色像が現出する。
前記加熱消色型熱変色像を、カメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供する前記とは別のWebページを表示、閲覧する。
前記状態は室温下で放置すると再び元の状態に戻り、温度変化により繰り返し再現させることができた。
【0035】
実施例5
加熱発色型可逆熱変色性材料の調製
6′−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−2′−(メチルフェニルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−(9H)キサンテン]−3−オン4.5部、没食子酸ドデシル8部、カプリン酸セチル12.5部、ミリスチルアルコール12.5部、ベヘン酸ベヘニル1部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール3部からなる加熱発色型可逆熱変色性組成物を、イソシアネート樹脂を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は、加熱発色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、加温すると34℃で発色し始め(T)、43℃で緑色の発色状態となり(T)、次に冷却すると36℃で消色し始め(T)、24℃で完全に消色状態となる(T)。
【0036】
加熱消色型可逆熱変色性材料の調製
6−(N−エチルイソペンチルアミノ)ベンゾ〔a〕フルオラン3部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール1部、ステアリルアルコール5部、セチルアルコール20部、カプリン酸ステアリル25部からなる加熱消色型可逆熱変色性組成物を、エポキシ樹脂/アミン硬化剤を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱消色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は加熱消色型の変色挙動を示し、常温域では着色状態(ピンク色)であり、加温すると28℃で消色し始め(t)、31℃以上で完全に消色(無色)状態となり(t)、次に冷却すると29℃で発色し始め(t)、25℃でピンク色の発色状態となる(t)。
【0037】
インキの調製
前記加熱発色型可逆熱変色性材料5部、アクリル樹脂キシレン溶液(固形分50%)45部、キシレン15部、メチルイソブチルケトン25部、ポリイソシアネート系硬化剤6部からなるビヒクル中に分散し、加熱発色型塗料を得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性材料5部、アクリル樹脂キシレン溶液(固形分50%)45部、キシレン15部、メチルイソブチルケトン25部、ポリイソシアネート系硬化剤6部からなるビヒクル中に攪拌混合し、加熱消色型塗料を得た。
【0038】
可逆熱変色性表示体の作製
ABS樹脂製のミニチュアカーに、前記加熱発色型塗料を用いて、スプレー塗装によりコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱発色型熱変色像を設け、更に、前記加熱消色型塗料を用いて、スプレー塗装により前記加熱発色型熱変色像上に別のコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱消色型熱変色像を設けて可逆熱変色性表示体を得た。
【0039】
前記可逆熱変色性表示体は、室温下(25℃)ではピンク色の加熱消色型熱変色像のみ視認される。
前記加熱消色型熱変色像を、読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
前記可逆熱変色性表示体を43℃以上に加温すると加熱消色型熱変色像が消色すると共に緑色の加熱発色型熱変色像が現出する。
前記加熱発色型熱変色像を、カメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供する前記とは別のWebページを表示、閲覧する。
前記状態は室温下で放置すると再び元の状態に戻り、温度変化により繰り返し再現させることができた。
【0040】
実施例6
加熱発色型可逆熱変色性材料の調製
2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H]−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3H)−イソベンゾフラン]−3−オン1部、没食子酸ドデシル8部、ラウリン酸ステアリル12.5部、ラウリルアルコール12.5部、オクタデシルエーテル1部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール3部からなる加熱発色型可逆熱変色性組成物を、イソシアネート樹脂を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は、加熱発色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、加温すると30℃で発色し始め(T)、40℃でピンク色の発色状態となり(T)、次に冷却すると30℃で消色し始め(T)、22℃で完全に消色状態となる(T)。
【0041】
加熱消色型可逆熱変色性材料の調製
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1.5部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール1部、セチルアルコール5部、ミリスチルアルコール20部、カプリン酸セチル25部からなる加熱消色型可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱消色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は加熱消色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、冷却すると20℃で発色し始め(t)、17℃以下で完全に発色状態(青色)となり(t)、次に加温すると20℃で消色し始め(t)、22℃で完全に消色状態となる(t)。
【0042】
インキの調製
前記加熱発色型可逆熱変色性材料100部を、アクリル系樹脂80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散し、加熱発色型グラビアインキを得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性材料100部を、アクリル系樹脂80部、消泡剤2部を含むビヒクル中に分散し、加熱消色型グラビアインキを得た。
【0043】
可逆熱変色性表示体の作製
透明性熱収縮性ポリエステル樹脂フィルム上に前記加熱発色型グラビアインキを用いてコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱発色型熱変色像を設け、更に、前記加熱消色型グラビアインキを用いて、前記加熱発色型熱変色像の近傍に別のコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱消色型熱変色像を設けた。
次に、前記フィルムの端部を印刷面が内側になる様に円筒状に貼り合わせた後、ポリエステル樹脂製飲料容器に装着し加熱収縮加工を施し、可逆熱変色性表示体(可逆熱変色性飲料容器)を得た。
前記可逆熱変色性表示体にお茶を充填し、60℃に設定した加温器中で保存した。
前記可逆熱変色性表示体は、45℃以上の加温された状態では加熱消色型熱変色像は視覚されず、ピンク色の加熱発色型熱変色像のみ視認される。
前記加熱発色型熱変色像を、読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
この際、前記可逆熱変色性表示体中の「お茶」に関する原料、原産地等の情報が閲覧できた。
前記可逆熱変色性表示体の中味(お茶)を飲んだ後、冬期の15℃以下の環境下では加熱発色型熱変色像が消色すると共に青色の加熱消色型熱変色像が現出する。
前記加熱消色型熱変色像を、カメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供する前記とは別のWebページを表示、閲覧する。
この際、前記可逆熱変色性表示体中の「お茶」に関するアンケートフォーム、プレゼントキャンペーン等の情報が閲覧できた。
【0044】
実施例7
加熱発色型可逆熱変色性材料の調製
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2部、没食子酸ステアリル10部、カプリン酸ステアリル8.75部、n−ドコサン8.75部、ラウリルアルコール7.5部、オクタデシルエーテル1部、2−(5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール2部からなる加熱発色型可逆熱変色性組成物を、イソシアネート樹脂を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は、加熱発色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、加温すると44℃で発色し始め(T)、60℃で青色の発色状態となり(T)、次に冷却すると34℃で消色し始め(T)、30℃で完全に消色状態となる(T)。
【0045】
加熱消色型可逆熱変色性材料の調製
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1.5部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール1部、ミリスチルアルコール25部、ミリスチン酸デシル25部の相溶体からなる加熱消色型可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン硬化剤を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱消色型可逆熱変色性材料を得た。
前記可逆熱変色性材料は加熱消色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、冷却すると15℃で着色し始め(t)、10℃以下で完全に着色(青色)状態となり(t)、次に加温すると16℃で消色し始め(t)、20℃で完全に消色状態となる(t)。
【0046】
インキの調製
前記加熱発色型可逆熱変色性材料40部を、ウレタン樹脂ディスパージョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部、レベリング剤1部を含むビヒクル中に分散して、加熱発色型スクリーンインキを得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性材料40部を、ウレタン樹脂ディスパージョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部、レベリング剤1部を含むビヒクル中に分散して、加熱消色型スクリーンインキを得た。
【0047】
可逆熱変色性表示体の作製
裏面に粘着層を付与した白色ポリエステル基材上に、前記加熱発色型スクリーンインキを用いて、スクリーン印刷によりコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱発色型熱変色像を設け、更に、前記加熱消色型スクリーンインキを用いて、スクリーン印刷により前記加熱発色型熱変色像の近傍に別のコンテンツ情報に対するコードが付与された加熱消色型熱変色像を設けた。
次いで、前記加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像上に、透明ポリエステル樹脂からなる保護層をラミネートして設け、粘着層側を温冷両用蓄熱体に貼着して可逆熱変色性表示体(可逆熱変色性蓄熱体)を得た。
【0048】
前記可逆熱変色性表示体は、室温下(25℃)では何も視認されず、蓄冷用途に用いるために10℃以下に冷却すると青色の加熱消色型熱変色像が現出する。前記加熱消色型熱変色像を、読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
この際、前記可逆熱変色性表示体を蓄冷用途に用いる時の注意事項、及び効果的な使用
方法等の情報が閲覧できた。
次に、前記可逆熱変色性表示体を蓄熱用途に用いるために43℃以上に加温すると、加熱消色型熱変色像が消色すると共に青色の加熱発色型熱変色像が現出する。
前記加熱発色型熱変色像を、カメラ付携帯電話で撮像してコード情報を読み取り、読み取ったコード情報のデコード処理を行う。携帯電話はデコード情報をサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供する前記とは別のWebページを表示、閲覧する。
この際、前記可逆熱変色性表示体を蓄熱用途に用いる時の注意事項、及び効果的な使用
方法等の情報が閲覧できた。
前記状態は室温下で放置すると再び元の状態に戻り、温度変化により繰り返し再現させることができた。
【0049】
実施例8
加熱発色型可逆熱変色性材料の調製
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2部、没食子酸ステアリル10部、カプリン酸ステアリル8.75部、n−ドコサン8.75部、ラウリルアルコール7.5部、オクタデシルエーテル1部、2−(5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール2部からなる加熱発色型可逆熱変色性組成物を、イソシアネート樹脂を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱発色型可逆熱変色性材料Aを得た。
次に、前記加熱発色型可逆熱変色性材料A中の電子供与性呈色性有機化合物を3−シクロヘキシルアミノ−7−メチルフルオラン1部、6−(N−エチルイソペンチルアミノ)ベンゾ〔a〕フルオラン1部とした以外は同様の方法により加熱発色型可逆熱変色性材料Bを得た。
同様の方法により、電子供与性呈色性有機化合物を2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン3部とした加熱発色型可逆熱変色性材料C、電子供与性呈色性有機化合物を6′−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−2′−(メチルフェニルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−(9H)キサンテン]−3−オン4.5部とした加熱発色型可逆熱変色性材料Dをそれぞれ得た。
前記可逆熱変色性材料A乃至Dは、加熱発色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、加温すると44℃で発色し始め(T)、60℃で発色状態となり(T)、次に冷却すると34℃で消色し始め(T)、30℃で完全に消色状態となる(T)。
なお、前記可逆熱変色性材料A乃至Dの色調は、Aは青色、Bは赤色、Cは黒色、Dは緑色であった。
【0050】
加熱消色型可逆熱変色性材料の調製
電子供与性呈色性有機化合物として3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1.5部、4,4′−(2−メチル−プロピリデン)ビスフェノール6部、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール1部、ミリスチルアルコール25部、ミリスチン酸デシル25部からなる加熱消色型可逆熱変色性組成物を、エポキシ樹脂/アミン硬化剤を壁膜材料として内包し、マイクロカプセル形態の加熱消色型可逆熱変色性材料aを得た。
次に、前記加熱消色型可逆熱変色性材料a中の電子供与性呈色性有機化合物を3−シクロヘキシルアミノ−7−メチルフルオラン1.5部、6−(N−エチルイソペンチルアミノ)ベンゾ〔a〕フルオラン1.5部とした以外は同様の方法により加熱消色型可逆熱変色性材料bを得た。
同様の方法により、電子供与性呈色性有機化合物を3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン3部とした加熱消色型可逆熱変色性材料c、2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン2部とした加熱消色型可逆熱変色性材料dをそれぞれ得た。
前記可逆熱変色性材料a乃至dは、加熱消色型の変色挙動を示し、常温域では消色状態(無色)であり、冷却すると15℃で発色し始め(t)、10℃以下で完全に発色状態となり(t)、次に加温すると16℃で消色し始め(t)、20℃で完全に消色状態となる(t)。
なお、前記可逆熱変色性材料a乃至dの色調は、aは青色、bは赤色、cは黒色、dは緑色であった。
【0051】
インキの調製
前記加熱発色型可逆熱変色性材料40部を、硬質エポキシ樹脂60部、紫外線吸収剤1部、揺変性付与剤2部、添加剤8部を含むビヒクル中に分散し、更に常温硬化型脂肪族ポリアミン28部を添加して加熱発色型エポキシインキA乃至Dを得た。
前記加熱消色型可逆熱変色性材料40部を、硬質エポキシ樹脂60部、紫外線吸収剤1部、揺変性付与剤2部、添加剤8部を含むビヒクル中に分散した後、更に常温硬化型脂肪族ポリアミン28部を添加して加熱消色型エポキシインキa乃至dを得た。
【0052】
可逆熱変色性表示体の作製
耐熱性ガラスコップの側面に、前記加熱発色型エポキシインキA乃至Dを用いて予め登録済のコンテンツ情報に対するカラーコード1(5×5の正方形中に4色を配置)が付与された像を形成し、70℃で1時間加熱硬化させて加熱発色型熱変色像を設けた。更に、前記加熱消色型エポキシインキa乃至dを用いて前記加熱発色型熱変色像の近傍に、予め登録済の別のコンテンツ情報に対するカラーコード2(5×5の正方形中に4色を配置)が付与された像を形成し、70℃で1時間加熱硬化させて加熱消色型熱変色像を設けて可逆熱変色性表示体(可逆熱変色性コップ)を得た。
前記可逆熱変色性表示体は、室温下(25℃)では何も視認されず、冷やされた飲料を注いで10℃以下になると青色、赤色、黒色、緑色の加熱消色型熱変色像(カラーコード2)が現出する。
前記加熱消色型熱変色像を読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
この際、飲料に関する広告、四季に合わせた飲料の諸情報が閲覧できた。
次に、前記可逆熱変色性表示体に温められた飲料を注いで60℃以上になると、加熱消色型熱変色像が消色すると共に青色、赤色、黒色、緑色の加熱発色型熱変色像(カラーコード1)が現出する。
前記加熱発色型熱変色像を読み取り機能を備えた機械としてカメラ付携帯電話で撮像してサーバに送信し、サーバから返信されたコンテンツ情報を用いて、コンテンツサーバにアクセスし、撮影したコード情報に応じたコンテンツデータを提供するWebページを表示、閲覧する。
この際、前記加熱消色型熱変色像により得られる情報とは異なる飲料に関する広告、四季に合わせた飲料の諸情報が閲覧できた。
前記状態は室温下で放置すると再び元の状態に戻り、温度変化により繰り返し再現させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の変色挙動を示す説明図である。
【図2】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の変色挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
加熱消色型の可逆熱変色性材料の完全発色温度
加熱消色型の可逆熱変色性材料の発色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性材料の消色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性材料の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性材料の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性材料の消色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性材料の発色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性材料の完全発色温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの降温により消色する可逆熱変色性材料を含む加熱発色型熱変色像と、発色状態からの加熱により消色し、消色状態からの冷却により発色する可逆熱変色性材料を含む加熱消色型熱変色像とを支持体上に共存させてなり、前記加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像には、読み取り機能を備えた機械で判読可能な異なるコンテンツ情報に対するコードが付与されてなる可逆熱変色性表示体。
【請求項2】
前記加熱発色型熱変色像と加熱消色型熱変色像は、並設、或いは、重ね刷りされてなる請求項1記載の可逆熱変色性表示体。
【請求項3】
25℃において、加熱発色型熱変色像は消色状態であり、加熱消色型熱変色像は発色状態である請求項1又は2記載の可逆熱変色性表示体。
【請求項4】
25℃において、加熱発色型熱変色像及び加熱消色型熱変色像が消色状態である請求項1又は2記載の可逆熱変色性表示体。
【請求項5】
45℃において、加熱発色型熱変色像は発色状態であり、加熱消色型熱変色像は消色状態である請求項1又は2記載の可逆熱変色性表示体。
【請求項6】
前記コンテンツ情報は、コンテンツ提供サーバのURL情報、コンテンツ提供サーバ内のコンテンツを特定する識別情報、ネットワークを特定する識別情報、属性情報のいずれかである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆熱変色性表示体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−251440(P2009−251440A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101432(P2008−101432)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】