説明

台車式搬送装置

【課題】自動車組立てラインでの自動車車体の搬送に活用出来る、特に搬送台車を牽引車で牽引するタイプの台車式搬送装置を提供する。
【解決手段】台車走行経路に沿って走行可能な搬送台車(2)と、前記台車走行経路上で各搬送台車(2)を互いに連続する状態で推進させる台車駆動手段(牽引車)(1)を備えた台車式搬送装置において、各搬送台車(2)は、支持する被搬送物(W)の左右両側に作業者が歩行出来る張出し床部を持たない横巾で且つ支持する被搬送物(W)の全長より長い全長を有し、この各搬送台車(2)上に、被搬送物(W)の長さ方向の一端部が、平面視において前後に隣接する他の搬送台車(2)上に重なる位置に支持する被搬送物支持手段(3)が設けられ、前記台車走行経路の左右両側に、前記搬送台車(2)上に支持された被搬送物(W)に対する作業床(31a,31b)が並設された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車走行経路に沿って走行可能な搬送台車と、前記台車走行経路上で各搬送台車を互いに連続する状態で推進させる台車駆動手段を備えた台車式搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような台車式搬送装置は、特許文献1に記載されるように、従来周知のものであって、主として自動車組立てラインなどにおいて汎用されている。而して従来周知の台車式搬送装置は、台車走行経路において各搬送台車が互いに連続する状態で定速走行するものであるが、各搬送台車上の被搬送物支持手段により支持される被搬送物は、その前後両端より搬送台車の前後両端部が前後に突出するように、搬送台車に対してセンタリングされた状態又はこれに近い状態で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−51289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来周知の台車式搬送装置では、台車走行経路上で前後に一定間隔を隔てて定速搬送される各被搬送物の中間に、前後の搬送台車の端部が隣接状態で位置することになる。一方、この台車式搬送装置が自動車組立てラインに使用される場合、被搬送物(自動車車体)の前後両端部に対する作業を行うときに作業者は前後に隣り合う被搬送物間の搬送台車上に立ち入ることになる。従って、前後に隣り合う被搬送物間の搬送台車上に立ち入る作業者は、前後の搬送台車の端部が隣接する場所を作業エリアとしなければならず、前後の搬送台車の端部間に僅かでも隙間があると、或いはその隙間を塞ぐカバープレートが併設されている場合、前後に隣り合う被搬送物間に立ち入った作業者が前記隙間やカバープレートの側縁に足をとられてけつまずいたり転倒する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することの出来る台車式搬送装置を提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係る台車式搬送装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、台車走行経路に沿って走行可能な搬送台車(2)と、前記台車走行経路上で各搬送台車(2)を互いに連続する状態で推進させる台車駆動手段(牽引車)(1)を備えた台車式搬送装置において、各搬送台車(2)は、支持する被搬送物(W)の左右両側に作業者が歩行出来る張出し床部を持たない横巾で且つ支持する被搬送物(W)の全長より長い全長を有し、この各搬送台車(2)上に、被搬送物(W)の長さ方向の一端部が、平面視において前後に隣接する他の搬送台車(2)上に重なる位置に支持する被搬送物支持手段(3)が設けられ、前記台車走行経路の左右両側に、前記搬送台車(2)上に支持された被搬送物(W)に対する作業床(31a,31b)が並設された構成になっている。
【0006】
上記本発明を実施する場合、具体的には請求項2に記載のように、前記台車駆動手段は、搬送台車(2)の下側に入り込んだ状態で当該搬送台車(2)に連結された自走可能な牽引車(1)で構成することが出来る。この場合、請求項3に記載のように、前記牽引車(1)の前半部が直前の搬送台車(2)の後端部下側に入り込むと共に、当該牽引車(1)の後半部が牽引する搬送台車(2)の前端部下側に入り込むように構成することが出来る。更に請求項4に記載のように、前記被搬送物支持手段(3)は、平面視において、支持する被搬送物(W)が搬送台車(2)の後半部上と直後の搬送台車(2)の前端部上とに跨って位置するように、搬送台車(2)の後半部上に配設し、搬送台車(2)の後半部の下側にこの搬送台車(2)を水平に支持する車輪(5,6)を配設することが出来る。
【発明の効果】
【0007】
上記の本発明の構成によれば、台車走行経路上で互いに連続する状態で走行する各搬送台車の隣接端部が、その前後何れかの搬送台車上で支持される被搬送物によってカバーされる状態となる。従って、各搬送台車上に支持されて搬送される前後2つの被搬送物間に各搬送台車の隣接端部が位置することがなくなる。又、被搬送物の左右両側には、台車走行経路の左右両側に並設された作業床が位置することになる。換言すれば、台車走行経路上で適当間隔おきに搬送される各被搬送物の前後左右の全周囲において、搬送台車間の隣接端部が位置することはない。従って、この台車式搬送装置を自動車の組立てラインに使用した場合、台車走行経路の左右両側に並設された作業床と各被搬送物間の搬送台車上の作業エリアとの間の乗り移り時さえ注意を払えば、各被搬送物の前後両端部及び左右両側部に対する作業中に、従来のように搬送台車間の隣接端部によって足をとられるというような危険な事態に陥る恐れが解消し、作業を安全且つ容易に行うことが出来る。
【0008】
尚、本発明の台車式搬送装置を実施するとき、台車駆動手段は如何なる構成のものでも良いが、特に請求項2に記載のように、自走可能な牽引車によって各搬送台車を牽引走行させる構成では、牽引される搬送台車の走行速度に僅かといえどもばらつきが生じ易い。換言すれば、上記のような牽引車を台車駆動手段として利用する場合、前後に隣接する搬送台車間に隙間が生じ易い。従って、本発明は特に、請求項2に記載のように牽引車を台車駆動手段として利用する場合に効果を発揮するものである。
【0009】
上記のように牽引車を台車駆動手段として利用する場合、請求項3に記載の構成によれば、低床構造であるために全長が長くなる牽引車の後半部のみを、牽引する搬送台車の下側に入り込ませれば良いので、牽引車との連結を解いても搬送台車を自立させることが出来るように車輪を配設しながら、当該車輪と牽引車とを干渉させないで牽引車を、例えば90度というような大きな角度で旋回させることも可能になる。更に、請求項4に記載の構成によれば、牽引車に被搬送物の大きな重量がかからないようにすることが出来、牽引車の構成に好都合となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1Aは、牽引車付き搬送台車の平面図、図1Bは、同側面図である。
【図2】図2Aは、牽引車の上部カバープレートを取り外した状態の平面図、図2Bは、牽引車の縦断側面図である。
【図3】図3は、牽引車付き搬送台車の正面図である。
【図4】図4は、牽引車付き搬送台車の駆動車輪位置での縦断正面図である。
【図5】図5は、牽引車付き搬送台車の自在車輪位置での縦断背面図である。
【図6】図6は、搬送台車の被連結軸体を牽引車の牽引用垂直軸体に嵌合させる直前の状態を示す要部の縦断正面図である。
【図7】図7は、搬送台車の被連結軸体を牽引車の牽引用垂直軸体に嵌合させた状態を示す要部の縦断正面図である。
【図8】図8Aは、台車走行経路中の牽引車付き搬送台車を示す平面図、図8Bは、図8Aの手前の作業床を省いた状態の側面図である。
【図9】図9は、図8Aの要部の拡大縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1において、1は牽引車、2は牽引車1によって牽引される搬送台車である。搬送台車2には、自動車車体などの被搬送物Wを支持する被搬送物支持手段3が、搬送台車2の矩形上面の後半部に設けられている。図示の被搬送物支持手段3は、被搬送物Wの前端側を支持する左右一対の前側被搬送物支持具4aと、同被搬送物Wの後端側を支持する左右一対の後ろ側被搬送物支持具4bとから構成されたものであるが、この被搬送物支持手段3は如何なる構成のものでも良く、例えば先の特許文献1に記載されるように、被搬送物Wの支持高さを自在に変更出来るものであっても良い。搬送台車2の横巾は、被搬送物支持手段3によって支持される被搬送物Wの横巾とほぼ同一であり、被搬送物支持手段3によって支持された被搬送物Wの後端部は搬送台車2の後端から所要長さ突出し、搬送台車2の前半部が被搬送物Wの前端より前方に突出している。この被搬送物Wの前端より前方に突出する搬送台車2の前半部の長さは、搬送台車2の後端からの被搬送物Wの突出長さよりも十分に長い。
【0012】
搬送台車2の被搬送物支持手段3が設けられた後半部の下側には、前側被搬送物支持具4aの下側近傍位置に位置する左右一対の前側自在車輪5と、後ろ側被搬送物支持具4bの下側近傍位置に位置する、前進方向に向きが固定された左右一対の後ろ側向き固定車輪6が設けられている。牽引車1は、搬送台車2の下側空間を走行通過出来るほどの低床構造のもので、その横巾も、搬送台車2の左右一対の後ろ側向き固定車輪6の間に進入出来る程度に狭く、その長さ方向の中央位置付近に、前進方向に向きが固定され且つ各別に駆動自在な左右一対の駆動車輪7a,7bが設けられると共に、後端近傍位置の巾方向中央位置に、自在車輪8が設けられたものである。
【0013】
牽引車1の詳細構造を、図2、図4及び図5に基づいて説明すると、図2に示すように、牽引車1は、前端側に制御機器9を収容し、後端側で自在車輪8よりも前側に複数台のバッテリー10を平面上に分散配置して収容している。制御機器9を収納する領域とバッテリー10を収納する領域との中間に左右一対の駆動ユニット11a,11bが設けられている。これら左右一対の駆動ユニット11a,11bは、前記駆動車輪7a,7bとこれら各駆動車輪7a,7bを各別に正逆任意の方向に駆動する減速機付きモーター12a,12bとから構成され、左右一対の駆動車輪7a,7bが牽引車1のセンターラインに対して左右対称となるように取り付けられている。自在車輪8は、牽引車1に垂直軸心の周りに自転可能に支持された垂直回転軸体13と、この垂直回転軸体13の下端部左右両側に、牽引車1のセンターラインに対して左右対称となるように軸支された左右一対の遊転車輪14a,14bから構成されている。
【0014】
牽引車1の左右一対の駆動ユニット11a,11bの中間で牽引車1のセンターライン上に、平面視において左右両側の駆動ユニット11a,11bの駆動車輪7a,7bの共通軸心と牽引車1のセンターラインとが交わる交点と同心状に牽引用垂直軸体15が突設されている。又、牽引車1の前端には、牽引車1の横巾全域をカバー出来る長さの障害物衝突検知用エッジスイッチ16と、前方一定領域内の障害物を検出する障害物センサー17が取り付けられている。
【0015】
搬送台車2には、その前端のセンターライン上に、牽引車1側の前記牽引用垂直軸体13との連結手段18が設けられている。この連結手段18は、図6及び図7に示すように、搬送台車2に高さ調整自在に取り付けられた円筒形の支持部材19、この支持部材19の下端中央から下向きに突出する被連結軸体20、支持部材19の中央孔部21に内装された圧縮コイルバネ22、支持部材19の中央孔部21の上端領域に形成されたネジ孔部21aに高さ調整自在に螺嵌するバネ受け23、及び支持部材19に高さ調整固定自在に取り付けられたリング状の下降限ストッパー24から構成されている。
【0016】
前記円筒形の支持部材19は、下端の大径フランジ部19aから上端の回転操作用角軸部19bまでの外周面がネジ軸部19cとなっており、下端の大径フランジ部19aの上に牽引車吊上げ板25をこの支持部材19の周りに回転自在に遊嵌支持させると共に、当該牽引車吊上げ板25の上にリング状のディスタンスピース26を遊嵌支持させて、これら牽引車吊上げ板25とリング状ディスタンスピース26とで上昇限ストッパー27を形成させた状態で、当該支持部材19のネジ軸部19cを、搬送台車2側の水平支持板28に設けられた垂直に貫通するネジ孔29に対して下側から上向きに螺合させ、水平支持板28から上向きに突出している支持部材19のネジ軸部19cに前記リング状の下降限ストッパー24を螺嵌させている。このリング状の下降限ストッパー24は、回転させて支持部材19に対する高さを調整した後に、周方向の二つ割部を締結ボルト24aで締結して縮径させることにより、支持部材19に対して固定することが出来る。
【0017】
前記被連結軸体20は、上端の大径フランジ部20aにおいて支持部材19の中央孔部21の下端で受け止められるもので、牽引車1側の牽引用垂直軸体15が相対回転自在に上向きに内嵌する連結孔30が下端から同心状に刻設され、この連結孔30の下向きの底面30aに牽引車1側の牽引用垂直軸体15の尖端部15aが当接するように構成されている。前記圧縮コイルバネ22は、バネ受け23と被連結軸体20との間に介装され、その圧縮反力で被連結軸体20を下向きに付勢する。而して、バネ受け23の上面中央には、回転操作用の角孔部23aが設けられ、このバネ受け23を回転させて支持部材19に対する高さを調整することにより、圧縮コイルバネ22の初期圧縮力を調整することが出来る。
【0018】
以上のように構成された牽引車1と搬送台車2とを連結するときは、図6に示すように、搬送台車2の連結手段18における支持部材19を上端の回転操作用角軸部19bを利用してネジ戻し方向に回転させ、下端の上昇限ストッパー27のディスタンスピース26が水平支持板28に当接する上昇限まで支持部材19を上昇させる。このとき、支持部材19に支持されている被連結軸体20は、圧縮コイルバネ22の付勢力で大径フランジ部20aが支持部材19の中央孔部21の底部で支持される下降限位置まで降下しており、このときの当該被連結軸体20の下端の床面上高さは、牽引車1の上面から突出している牽引用垂直軸体15の尖端部15aの床面上高さより少し高くなるように構成されている。この状態で、床面上に待機させている牽引車1に被さるように搬送台車2を手押し移動させ、搬送台車2側の上昇限位置に保持されている支持部材19の下端から突出している被連結軸体20が、牽引車1側の牽引用垂直軸体15の尖端部15aの真上に位置する状態で搬送台車2を停止させる。
【0019】
次に、図7に示すように、支持部材19を上端の回転操作用角軸部19bを利用してネジ込み方向に回転させ、当該支持部材19を下降させる。この支持部材19の下降により、最初に被連結軸体20の連結孔30が牽引車1側の牽引用垂直軸体15に外嵌し、この牽引用垂直軸体15の尖端部15aが連結孔30の底面30aに当接した高さで被連結軸体20の下降が止められるので、それ以降は被連結軸体20に対して支持部材19のみが下降し、この下降に伴い被連結軸体20とバネ受け23との間の間隔が狭まることにより、圧縮コイルバネ22が圧縮され、その圧縮反力が被連結軸体20を介して牽引車1側の牽引用垂直軸体15に下向きに作用することになる。そして下降する支持部材19が、図7に示すようにその下降限ストッパー24が水平支持板28の上側面に当接する下降限に達したとき、牽引車1側の牽引用垂直軸体15と搬送台車2側の連結孔30との嵌合による連結が完了する。このとき、牽引車1側の左右一対の駆動車輪7a,7bには、搬送台車2側の連結手段18の圧縮コイルバネ22の圧縮反力が、被連結軸体20から牽引用垂直軸体15を介して牽引車1に伝えられ、牽引車1の駆動車輪7a,7bの接地圧が増大される。
【0020】
上記のように牽引車1と搬送台車2とを連結すれば、牽引車1の左右一対の駆動車輪7a,7bをそれぞれ減速機付きモーター12a,12bにより前進方向に等速で回転駆動させることにより、牽引車1が直進し、搬送台車2は、牽引車1側の牽引用垂直軸体15により、当該牽引用垂直軸体15の周りに左右方向に揺動出来る状態で牽引され、追従走行することになる。牽引車1の操向は、左右一対の駆動車輪7a,7bの回転速度に差を生じさせることにより自在に行えるので、牽引車1とこれに牽引される搬送台車2を床面上に設定された台車走行経路に沿って走行させることが出来る。このとき、上記のように牽引車1の左右一対の駆動車輪7a,7bの接地圧が高められているので、仮に搬送台車2が自動車車体などの大重量の被搬送物Wを積載している場合でも、このときの牽引負荷に応じた接地圧を牽引車1の左右一対の駆動車輪7a,7bに生じさせることが出来るように、搬送台車2側の連結手段18における圧縮コイルバネ22の強さや初期圧縮応力を設定しておくことにより、牽引車1をしてスリップさせることなく確実に搬送台車2を牽引走行させることが出来る。
【0021】
上記のようにして牽引車1により搬送台車2を牽引走行させる台車走行経路には、図8及び図9に示すように、当該台車走行経路を挟むように固定の作業床31a,31bが、搬送台車2の上面とほぼ同一レベルで架設されている。この2列の作業床31a,31b間を各搬送台車2がそれぞれ牽引車1に牽引されて走行するが、このとき、各搬送台車2の前端から前方に突出している牽引車1の前半部が直前を走行する搬送台車2の後端部の下側に入り込み、各搬送台車2が互いに連続する(前後に隣り合う搬送台車2が少しの隙間を隔てて互いに隣接する)状態を保って一定の低速度で連続走行するように、各搬送台車2を牽引する牽引車1の走行速度が制御される。この結果、各搬送台車2に支持されて台車走行経路上で搬送される各被搬送物Wは、搬送台車2の後端から後方に突出している後端部が、当該搬送台車2の直後を走行する搬送台車2の前端部上に被さった状態となる。このとき前後に隣り合う被搬送物W間に、作業者が立ち入って前後の被搬送物Wの前端部又は後端部に対して作業を行うことが出来る作業空間が確保されるように、各搬送台車2上の被搬送物Wから前方に突出している前半部の長さが設定されている。
【0022】
以上のように被搬送物Wを搬送出来る本発明の台車式搬送装置によれば、各被搬送物Wの左右両側には、平面視において固定の作業床31a,31bが並列し、各搬送台車2間の隙間は、この隙間の前側の搬送台車2の被搬送物支持手段3で支持されて当該前側の搬送台車2から後方に突出している被搬送物Wの後端部が被さっている。従って、前後に隣り合う被搬送物W間にあって後ろ側の被搬送物Wを支持している搬送台車2の前半部で形成される前記作業空間内に立ち入って前後の被搬送物Wの前端部又は後端部に対して作業を行う作業者や、被搬送物Wの左右両側の固定の作業床31a,31b上で、搬送される被搬送物Wと等速で歩行しながら当該被搬送物Wの側面に対して作業を行う作業者は、搬送台車2間の隙間を全く意識せずに安全に作業を行うことが出来る。
【0023】
尚、固定の作業床31a,31b間に形成される台車走行経路には、牽引車1や搬送台車2を直進させるためのガイドレールを併設することも出来る。又、固定の作業床31a,31bは、図9に示すように床面上に配設された架台で構成することが出来るが、床面に台車走行経路となるピットを形成し、このピットの左右両側の床面が固定の作業床31a,31bとなるように構成しても良い。又、本発明の構成では、上記のように前後の搬送台車2の端部間に隙間があっても、この隙間を前側の搬送台車2から後方に突出している被搬送物Wの後端部が覆っているので、この前後の搬送台車2の端部間の隙間が前後に隣り合う被搬送物W間に立ち入る作業者に悪影響を及ぼすことはないが、当該前後の搬送台車2の端部間の隙間を塞ぐカバープレートを前後何れかの搬送台車2の端部に付設しておくことにより、作業中の部品・部材など(ボルトなど)が作業者の取り扱いミスなどにより搬送台車2上に落下して転がった場合でも、前記搬送台車2間の隙間から搬送台車2の走行経路中に落下するのを防止することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の台車式搬送装置は、特に牽引車によって各搬送台車を牽引走行させるタイプの台車式搬送装置を自動車組立てラインでの自動車車体の搬送に活用する場合に好適なものである。
【符号の説明】
【0025】
1 牽引車
2 搬送台車
3 被搬送物支持手段
4a,4b 被搬送物支持具
5 前側自在車輪
6 後ろ側向き固定車輪
7a,7b 駆動車輪
8 自在車輪
9 制御機器
10 バッテリー
11a,11b 駆動ユニット
12a,12b 減速機付きモーター
15 牽引用垂直軸体
18 連結手段
19 円筒形の支持部材
20 被連結軸体
22 圧縮コイルバネ
24 下降限ストッパー
27 上昇限ストッパー
31a,31b 固定の作業床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車走行経路に沿って走行可能な搬送台車と、前記台車走行経路上で各搬送台車を互いに連続する状態で推進させる台車駆動手段を備えた台車式搬送装置において、各搬送台車は、支持する被搬送物の左右両側に作業者が歩行出来る張出し床部を持たない横巾で且つ支持する被搬送物の全長より長い全長を有し、この各搬送台車上に、被搬送物の長さ方向の一端部が、平面視において前後に隣接する他の搬送台車上に重なる位置に支持する被搬送物支持手段が設けられ、前記台車走行経路の左右両側に、前記搬送台車上に支持された被搬送物に対する作業床が並設されている、台車式搬送装置。
【請求項2】
前記台車駆動手段は、搬送台車の下側に入り込んだ状態で当該搬送台車に連結された自走可能な牽引車で構成されている、請求項1に記載の台車式搬送装置。
【請求項3】
前記牽引車は、その前半部が直前の搬送台車の後端部下側に入り込むと共に、その後半部が、牽引する搬送台車の前端部下側に入り込んでいる、請求項2に記載の台車式搬送装置。
【請求項4】
前記被搬送物支持手段は、平面視において、支持する被搬送物が搬送台車の後半部上と直後の搬送台車の前端部上とに跨って位置するように、搬送台車の後半部上に配設し、搬送台車の後半部の下側にこの搬送台車を水平に支持する車輪が配設されている、請求項3に記載の台車式搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−35321(P2013−35321A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170628(P2011−170628)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】