説明

合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラス

【課題】ネオジム化合物を含有させて防眩性を付与した合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを長期間使用した際に発生する黄変を抑制した合わせガラス用中間膜およびこれを用いた合わせガラスを提供する。
【解決手段】ネオジム化合物と、ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤とを含有する樹脂膜からなることを特徴とする合わせガラス用中間膜および少なくとも2枚のガラス板がこの合わせガラス用中間膜を介して互いに接着された構造を有する合わせガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
玄関ドア等の建材用あるいは自動車用のガラスとして、少なくとも一対の板ガラスの間に、可塑化ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の樹脂からなる中間膜を介在させ、これらを一体化させた合わせガラスが多用されている。
【0003】
これらの積層ガラスは、外部からの衝撃を受けてもガラスの破片が飛散しにくく安全であるが、良好な透明性を有しているため、例えば自動車用ガラスとして使用した場合に、太陽光線や路面からの照り返し、照明あるいは対向車のライトによりドライバーの目に眩しいという問題があった。
【0004】
この問題を解決する手段として、合わせガラス用中間樹脂膜に波長580nm付近および525nm付近の光を選択的に吸収する特性をもつネオジム化合物を含有させて、合わせガラスに防眩性を付与する技術が知られている(特許文献1参照、特許文献2参照)。しかしながら、ネオジム化合物を添加した樹脂膜からなる中間膜を合わせガラスに用いると、長期使用において合わせガラスの周縁部で黄変を発生するという問題があった。
【特許文献1】WO2006/077884国際公開パンフレット
【特許文献2】特許公開2007−55839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、ネオジム化合物を含有させて防眩性を付与した合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを長期間使用した際に発生する黄変を抑制した合わせガラス用中間膜およびこれを用いた合わせガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の合わせガラス用中間膜は、ネオジム化合物と、ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤とを含有する樹脂膜からなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、少なくとも2枚のガラス板が前記本発明の合わせガラス用中間膜を介して互いに接着された構造を有する合わせガラスを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ネオジム化合物を含有することで防眩性が付与された合わせガラス用中間膜において、合わせガラスとして長期間使用した際に発生する黄変を抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、本発明の合わせガラス用中間膜、これを用いた合わせガラスの順に以下に説明する。
[本発明の合わせガラス用中間膜]
本発明の合わせガラス用中間膜は、ネオジム化合物、ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびチオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤を含有する樹脂膜からなる。
【0010】
(1)樹脂膜を構成する樹脂成分
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂膜は、樹脂を主成分とする樹脂組成物を製膜してなる。このような樹脂としては、従来から中間膜用として用いられている樹脂、具体的には、ポリビニルアルコール樹脂、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、可塑化飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、可塑化ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂等が挙げられる。
【0011】
これらのなかでも、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性および遮音性等の諸性能のバランスに優れる中間膜が得られることから、本発明においては、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。上記可塑化ポリビニルアセタール系樹脂における「可塑化」とは、可塑剤の添加により可塑化されていることを意味する。その他の可塑化樹脂についても同様である。
【0012】
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(以下、必要に応じて「PVA」と記す)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、必要に応じて「PVB」と記す)等が挙げられ、なかでも、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性および遮音性等の諸性能のバランスにより優れる中間膜を得られることから、PVBが好適に用いられる。これらのポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0013】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の原料となるPVAは、通常ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度は80〜99.8モル%のPVAが一般的に用いられる。また本発明に用いられるPVBの分子量および分子量分布は特に制限されるものではないが、成形性、物性などから、原料となるPVAの重合度が500〜2000程度の樹脂が好ましく用いられる。また本発明で用いられるPVBのブチラール化度は通常40〜85%であり、好ましくは50〜75%である。
【0014】
上記樹脂についてはいずれも汎用の樹脂であり、本発明においては、例えば、商品名:BH−3(PVB、積水化学工業社製)、商品名:BM−1(PVB、積水化学工業社製)、商品名:BM−5(PVB、積水化学工業社製)等の市販品を使用することも可能である。
【0015】
また上記可塑化樹脂、好ましくは可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が含有する可塑剤としては、可塑剤として作用するものであれば特に限定されないが、例えば、一塩基性有機酸エステル系、多塩基性有機酸エステル系などの有機酸エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系などのリン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0016】
さらに、一塩基性有機酸エステル系可塑剤として、具体的には、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキシル酸などの一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステル等が挙げられ、多塩基性有機酸エステル系可塑剤として、具体的には、炭素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状アルコールとアジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などの多塩基性有機酸との反応によって得られるエステル等が挙げられる。また、リン酸系可塑剤として、具体的には、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0017】
また、樹脂への可塑剤の添加量としては、通常、可塑化樹脂を製造する際に添加する量であれば特に制限されないが、例えば、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂の場合、PVB量に対して20〜100質量%の量を好ましい可塑剤添加量として挙げることができる。
【0018】
(2)ネオジム化合物
本発明の合わせガラス用中間膜に用いるネオジム化合物は、赤緑境界波長領域である波長580nm付近および緑青境界波長領域である波長525nm付近の光を選択的に吸収する特性を有し、この特性によって合わせガラスの防眩性を高めることを可能にしている。また、この防眩性の向上の効果は、ネオジム化合物を溶解した状態で合わせガラス用中間膜を構成する樹脂膜に含有させることにより一層顕著となる。
【0019】
本発明に用いるネオジム化合物として、具体的には、以下に示す有機化合物または無機化合物を挙げることができる。ここで、ネオジム化合物を構成するネオジムの原子価は通常3価であり、本明細書におけるネオジム化合物とは、特に断りがない限りネオジム(III)化合物をいう。
【0020】
本発明に用いる有機ネオジム化合物としては、酢酸ネオジム、蓚酸ネオジム、プロピオン酸ネオジム、酪酸ネオジム、イソ酪酸ネオジム、n−吉草酸ネオジム、イソ吉草酸ネオジム、カプロン酸ネオジム、オクタン酸ネオジム、オクチル酸ネオジム、ヘプタン酸ネオジム、2−エチルヘキサン酸ネオジム、ラウリル酸ネオジム、ステアリン酸ネオジム、オレイン酸ネオジム、ナフテン酸ネオジム、安息香酸ネオジム、エチレンジアミン四酢酸ネオジム、アセチルアセトンネオジム、(メタ)アクリル酸ネオジム、ネオジム(III)ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオネート、ネオジム(III)オキサレート、ネオジムアルコキシド、ネオジム(III)トリフルオロメタンスルホネート、ネオジム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ネオジム(III)トリス(6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネート)、トリス[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミド]ネオジム(III)、トリス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ネオジム(III)、多価エステルモノカルボン酸ネオジム塩等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いる無機ネオジム化合物として、具体的には、酸化ネオジム、塩化ネオジム、硫酸ネオジム、硝酸ネオジム、炭酸ネオジム、リン酸ネオジム、水酸化ネオジム、フッ化ネオジム、塩化ネオジム、臭化ネオジム、ヨウ化ネオジム、水素化ネオジム、ネオジム(III)パークロレート等が挙げられる。
【0022】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、より高い防眩性の発現のためにネオジム化合物を溶解状態で樹脂膜に存在させることが好ましく、好適には、このような溶解状態を得るための上記(1)で説明した樹脂成分と上記ネオジム化合物の組み合わせが適宜選択される。
【0023】
例えば、本発明の合わせガラス用中間膜に好ましく用いられる可塑化ポリビニルブチラール樹脂に対する溶解性に優れたネオジム化合物としては、多価エステルモノカルボン酸ネオジム塩が挙げられる。ここで、本明細書における「多価エステルモノカルボン酸」とは、分子内に少なくとも1つのエステル基を有するカルボン酸を意味する。具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸のモノエステル、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸のモノエステル、トリカルバリル酸、トリメリット酸等のトリカルボン酸のジエステルなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0024】
このような本発明に用いる多価エステルモノカルボン酸ネオジム塩として、好ましくは、下記一般式(1)で表される多価エステルモノカルボン酸ネオジム塩が挙げられる。
[(ROCO)xRCOO]m(RCOO)nNd …(1)
(ただし、式(1)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基を表し、Rは炭素数1〜12のアルキレン基またはアリーレン基を表し、Rは、飽和または不飽和の炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基、あるいは、(R’OCO)xR’−(ただし、R’およびR’は、各々、RおよびRと同義であるが、R≠R’またはR≠R’である)を表し、xは、1〜3の整数であり、mは、0<m≦3を満たす正の数であり、nは、m+n=3の条件を満たす数である)
【0025】
上記一般式(1)におけるRの炭素数は、1〜12であるが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8である。このようなRとして、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基、およびフェニル基、ベンジル基等のアリール基が挙げられる。
【0026】
上記一般式(1)におけるRの炭素数は、1〜12であるが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8である。このようなRとして、具体的には、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖状または分岐状のアルキレン基、およびフェニレン基等のアリーレン基が挙げられる。また、上記一般式(1)におけるRの炭素数は、1〜12であるが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8である。xは1〜3の整数であるが、好ましくは1または2である。
【0027】
ここで、上記一般式(1)で示される多価エステルモノカルボン酸ネオジム塩は、Rが(R’OCO)xR’−である場合には、2種以上の多価エステルモノカルボン酸を含むネオジム塩である。一方、上記一般式(1)において、Rが(R’OCO)xR’−ではなく、飽和または不飽和の炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基である場合、一般式(1)で示される化合物は、少なくとも1種の多価エステルモノカルボン酸と、少なくとも1種の脂肪族あるいは芳香族モノカルボン酸の混成ネオジム塩に相当する。なお、本明細書における「混成ネオジム塩」とは、少なくとも1種の多価エステルモノカルボン酸および少なくとも1種の脂肪族または芳香族モノカルボン酸のネオジム塩を意味する。
【0028】
混成ネオジム塩を形成する脂肪族または芳香族モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸などの脂肪族モノカルボン酸、あるいは安息香酸などの芳香族モノカルボン酸などを挙げることができる。
【0029】
なお、上記一般式(1)におけるxが2または3である場合、すなわち、エステル基(ROCO−)を2個以上有する塩である場合、各々の残基のR基は同一であっても異なっていてもよい。また、本発明に用いるネオジム塩は、上記一般式(1)で表される複数の化合物の混合物であってもよい。従って、一般式(1)におけるmおよびnは平均値として定義されている。また、一般式(1)におけるmとnの範囲は、m+n=3という関係を満たす限り特に限られるものではない。
【0030】
上記一般式(1)においてRが(R’OCO)xR’−であるネオジム塩(2種以上の多価エステルモノカルボン酸のみを含むネオジム塩)については、例えば、2種以上の多価エステルモノカルボン酸を混合し、そのトリエチルアミン塩を形成した後、得られたトリエチルアミン塩と硝酸ネオジムとをエタノール等の非水溶媒中で攪拌混合する、あるいは、2種以上の多価エステルカルボン酸のトリエチルアンモニウム塩を別々に調製し、各々をネオジム塩とした後、得られたネオジム塩を溶媒もしくは可塑剤中で混合することにより合成することができる。
【0031】
一方、上記一般式(1)においてRが飽和または不飽和の炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であるネオジム塩(多価エステルモノカルボン酸および脂肪族または芳香族モノカルボン酸との混成ネオジム塩)については、以下に示すいずれかの方法によって合成することができる。
(A)多価エステルモノカルボン酸と脂肪族または芳香族モノカルボン酸との混合酸を酸化ネオジム等のネオジム化合物と混合して直接反応させ、過剰の酸を晶析などの方法により精製除去する。
(B)多価エステルモノカルボン酸のネオジム塩と脂肪族または芳香族モノカルボン酸のネオジム塩とを媒体中で混合して酸交換反応を行なわせる。酸交換に用いる媒体として、可塑化樹脂、例えば、ポリビニルブチラール樹脂中間膜に用いる可塑剤を用いれば、酸交換後の精製が不要となり効率的である。
【0032】
(C)液状の多価エステルモノカルボン酸中に脂肪族または芳香族モノカルボン酸のネオジム塩を溶解して酸交換反応を行なわせ、過剰の酸および遊離した酸を晶析などの方法により精製する。
(D)多価エステルモノカルボン酸と脂肪族または芳香族モノカルボン酸との混合物をアミン塩とした後、硝酸ネオジムあるいは塩化ネオジムをエタノール等の非水溶媒中で攪拌混合して反応を行なわせ、副生するアミンの硝酸塩あるいは塩酸塩を水洗などの方法で除去し、精製する。
【0033】
本発明の合わせガラス用中間膜に係る樹脂膜におけるネオジム化合物の含有量は、樹脂膜構成成分全量に対して、5〜25質量%であることが好ましく、7〜20質量%であることがより好ましい。上記含有量が5質量%未満では、合わせガラスとした際に十分な防眩性が得られないことがあり、25質量%を超えるとネオジム化合物のブリードアウトや水分による白濁が発生するおそれがある。
【0034】
(3)ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂膜は、ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有する。ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、後述するチオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤とともに作用して、上記(2)のネオジム化合物の配合に起因する合わせガラス用中間膜の長期使用による黄変を抑制する成分である。
【0035】
このようなハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、具体的には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(2H−ベンゾチリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等が挙げられる。
【0036】
本発明においては、これらのなかでも、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールが好ましく用いられる。
【0037】
また、本発明においては、ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、市販品、例えば、商品名:TINUVIN 329(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)、TINUVIN PS(2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール)、TINUVIN 900(2−(2H−ベンゾチリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール)、TINUVIN 928(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)、いずれもチバ・ジャパン社製等を用いることも可能である。
【0038】
本発明の合わせガラス用中間膜に係る樹脂膜におけるハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量は、前記樹脂膜中のネオジム化合物の含有量に対して、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。上記含有量が0.1質量%未満では、合わせガラスとして長期使用した際の中間膜の黄変を抑制する効果が十分でない場合があり、5質量%を超えると、中間膜を長期保管した際、前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がブリードアウトしてしまう可能性がある。
【0039】
(4)チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂膜は、チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤を含有する。チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤は、上記(3)に記載のハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とともに作用して、上記(2)のネオジム化合物の配合に起因する合わせガラス用中間膜の長期使用による黄変を抑制する成分である。
【0040】
このようなチオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤として、具体的には、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、チオジエチレンビス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール等が挙げられる。
【0041】
本発明においては、これらのなかでも、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールが好ましく用いられる。
【0042】
また、本発明においては、チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤として、市販品、例えば、商品名:IRGANOX 1520L(4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール)、IRGANOX 1035(チオジエチレンビス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、IRGANOX 565(2,6−ジ−tert−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール)、いずれもチバ・ジャパン社製等を用いることも可能である。
【0043】
本発明の合わせガラス用中間膜に係る樹脂膜におけるチオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤の含有量は、前記樹脂膜中のネオジム化合物の含有量に対して、0.1〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。上記含有量が0.1質量%未満では、合わせガラスとして長期使用した際の中間膜の黄変を抑制する効果が十分でない場合があり、15質量%を超えると、中間膜を長期保管する際、前記チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤がブリードアウトしてしまうおそれがある。
【0044】
(5)合わせガラス用中間膜
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記(1)で説明した樹脂成分を主成分とし、上記(2)ネオジム化合物、(3)ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、および(4)チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤を必須成分として含有する樹脂膜からなる。
【0045】
ここで、前記樹脂膜が含有する成分のうちネオジム化合物については特に、溶解した状態で樹脂膜中に存在することが好ましく、用いるネオジム化合物が用いる樹脂成分に溶解する組み合わせの場合はそのまま含有させるが、用いるネオジム化合物が用いる樹脂成分に溶解しない組み合わせの場合は、本発明の効果を損なわない範囲で、ネオジム化合物を溶解する溶媒、例えば、水、無機酸水溶液、イオン性有機溶媒等を用いて溶解した状態で樹脂膜に含有させることも可能である。
【0046】
このような例として、水溶性のネオジム化合物を水溶液として調製して、これをポリビニルアルコール樹脂等の水溶性高分子に含有させる等があるが、樹脂膜本来の特性を保持できる点で追加の溶媒を用いずに樹脂成分自体、すなわち、樹脂および/または可塑剤にネジウム化合物を溶解させて樹脂膜に含有させることが本発明においては好ましい。
【0047】
さらに、本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂膜は、上記必須成分や任意に用いる溶媒以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、蛍光剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上を含有していてもよい。
【0048】
このような各種成分を含有する樹脂膜からなる本発明の合わせガラス用中間膜を製造する方法としては、従来公知の方法を特に制限なく用いることができる。具体的には、樹脂成分に所定量のネオジム化合物または必要に応じてこれを溶媒に溶解させたネオジム化合物溶液、ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、およびチオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤、さらに必要に応じて添加される任意成分の適当量を配合し、十分に混合し、溶解成分は溶解させた後、任意に加熱しながら混錬し、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、押出成形等によりシート状に成形する方法が挙げられる。さらに、シート状に成形した樹脂膜に、表面を平滑化する、膜厚を均一化する等の目的でプレス機等で加圧処理を施してもよい。なお、樹脂膜組成成分を混合する方法として、樹脂成分が可塑化樹脂である場合には、上記樹脂膜の樹脂成分以外の組成成分を可塑剤に溶解・混合した後、これを樹脂と混合する方法をとることも可能であり、好ましい方法である。
【0049】
このようにして製造される本発明の合わせガラス用中間膜の厚さは、特に限定されるものではないが、通常の合わせガラス用中間膜同様、0.3〜1.6mmであることが好ましい。中間膜の厚さが0.3mm未満であると、中間膜自体の強度が不十分となることがあり、逆に中間膜の厚さが1.6mmを超えると、後述する合わせガラス作製時のオートクレーブ等による本接着(本圧着)工程においてガラス板のずれが生じる現象、いわゆる板ずれ現象が発生することがある。
【0050】
[本発明の合わせガラス]
本発明の合わせガラスは、少なくとも2枚のガラス板が上記本発明の合わせガラス用中間膜を介して積層され一体に接着された構造を有する合わせガラスである。
【0051】
上記ガラス板の種類としては、通常合わせガラス用として使用できるものであればどのようなガラス板でもよく、特に限定されるものではないが、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、平板ガラス、曲板ガラス、並板ガラス、型板ガラス、金網入り型板ガラス、着色されたガラス板等の各種無機ガラス板や有機ガラス板(例えば、ポリカーボネート板やポリメチルメタクリレート板)等が挙げられ、これらの1種類もしくは2種類以上が好適に用いられる。また、上記ガラス板の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、車両用の合わせガラスの場合、通常1.8〜2.5mm程度のガラス板が用いられるというように、合わせガラスの用途により適宜選択されればよい。さらに、本発明の合わせガラス用のガラス板として、撥水機能、親水機能、防曇機能、熱線反射機能等を付与するコーティングが施されたものを用いることも可能である。
【0052】
本発明の合わせガラスの製造方法は、特別なものではなく、通常の合わせガラスと同様の製造方法をとることができる。すなわち、例えば、2枚の透明なガラス板の間に本発明の合わせガラス用中間膜を挟み、この合わせガラス構成体を例えばゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、この真空バッグを排気系に接続して、真空バッグ内の圧力が約−65〜−100kPaの減圧度(絶対圧力約36〜1kPa)となるように減圧吸引(脱気)しながら、温度約70〜120℃で予備接着(予備圧着)を行った後、この予備接着された合わせガラス構成体をオートクレーブの中に入れ、温度約120〜150℃、圧力約0.98〜1.47MPaの条件で加熱加圧して本接着(本圧着)を行うことにより、所望の合わせガラスを得ることができる。なお、上記温度や圧力条件は、これに限定されるものではなく、用いる合わせガラス用中間膜を構成する樹脂成分により適宜調整することが可能である。
【実施例】
【0053】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例]
[1]混成ネオジム塩の作製
(1−1)モノイソブチルフタル酸ネオジム塩の合成
攪拌翼、温度計およびジムロート型冷却器を備えた500mLガラス製丸底フラスコで、モノイソブチルフタル酸70.0gに無水のエタノールを30mL加えた溶液を攪拌しつつ、氷水のバスで冷やして20℃を維持させながらトリエチルアミンを30.4g滴下した。滴下後、40℃、30分間の加熱を行いモノイソブチルフタル酸−トリエチルアミン塩の合成液を作製した。次いで、この合成液を20℃とし、攪拌しながら、予め43.8gの硝酸ネオジムを100mLのエタノールに溶解した溶液を滴下した。
【0054】
滴下後、40℃、30分間の加熱を行いモノイソブチルフタル酸ネオジム塩の合成液を作製した。続いてこの合成液からエタノールを留去して濃縮し、この濃縮液に150mLのクロロフォルムと200mLの水を加えて攪拌し、生成したモノイソブチルフタル酸ネオジム塩を抽出洗浄した。このクロロフォルムの溶液をさらに水で2回洗浄した後、2Lの円筒型セパラブルフラスコに移し、攪拌しながら800mLのヘキサンを少しずつ加えて晶析した。このスラリー液をろ過して結晶を分離し、さらに濾別した結晶に400mLのヘキサンを加え、攪拌して洗浄し、再び濾別した結晶を50℃で減圧乾燥してモノイソブチルフタル酸ネオジム塩((CHCH(CH)CHOCOPhCOO)Nd)を68.1g得た。
【0055】
(1−2)イソ酪酸ネオジム塩の合成
攪拌翼、温度計およびジムロート型冷却器を備えた1Lガラス製丸底フラスコの中に酸化ネオジム80.0gとイソ酪酸251.0gを加え、攪拌しながら100℃に加熱して反応させ、イソ酪酸ネオジム塩を合成した。発熱開始後2時間で反応液は透明化し、その時点で冷却した。40℃に冷却後800mLのメタノールを少しずつ加え、生成したイソ酪酸ネオジム塩を晶析した。このスラリー液をろ過して、析出したイソ酪酸ネオジムを分別し、このケーキを500mLのメタノールで2回洗浄した後、50℃で減圧乾燥し、イソ酪酸ネオジム塩((CHCH(CH)COO)Nd)を189.0g得た。
【0056】
(1−3)モノイソブチルフタル酸−イソ酪酸の混成ネオジム塩の合成
上記(1−1)で得られたモノイソブチルフタル酸ネオジム塩の4.00g(4.95mmol)と上記(1−2)で得られたイソ酪酸ネオジム塩の1.00g(2.47mmol)を50mLスクリュウ瓶中の20.00gのジクロロメタンに添加し、マグネチックスタラーで攪拌を続けたところ、ネオジム塩粉末のスラリーの濁りがしだいに薄れて行き、20分後に完溶した。このジクロロメタンの溶液を濃縮し、さらに50℃で真空乾燥してジクロロメタンを除いて以下の化学式で示されるモノイソブチルフタル酸−イソ酪酸の混成ネオジム塩を得た。
(CHCH(CH)CHOCOPhCOO)m(CHCH(CH)COO)nNd
(ただし式中、mは0<m≦3を満たす数であり、nはn+m=3の条件を満たす数である。また、Phはフェニレン基を表す。)
【0057】
[2]合わせガラス用中間膜の作製
可塑剤であるトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート40質量部に、上記[1]で得られた混成ネオジウム塩を15質量部、酸化防止剤として商品名:IRGANOX 1520L(チバ・ジャパン社製)を1.16質量部、および紫外線吸収剤として商品名:TINUVIN 329(チバ・ジャパン社製)を0.2質量部溶解させ、この溶液をポリビニルブチラール(BH−3、積水化学工業社製)100質量部に添加し混合して樹脂組成物Aを得た。
【0058】
次いで、115℃に加熱した二本ロールを使用して上記で得られた樹脂組成物Aを5分間混練した後、シート状に切出して放冷した。さらにこのシートを0.76mm厚さのスペーサーを介して130℃に加熱したプレスで10分間加圧成形し、続いて水冷したプレスで加圧して冷却し、厚さが約0.76mmの透明な可塑化ポリビニルブチラール樹脂シートを作製した。
【0059】
[3]合せガラスの作製
2枚の透明フロートガラス(縦横サイズ:100mm×100mm、厚さ2.0mm)の間に、上記[2]で作製した合わせガラス用中間膜を前記ガラスと同サイズに切断して挟み、真空包装機にて常温で真空脱気した後、120℃のオーブンの中に30分間放置した。その後、オートクレーブにて130℃、1.3MPaの条件で20分間圧着し、合せガラスサンプルを得た。
【0060】
[比較例1]
トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(可塑剤)40質量部に、上記実施例の[1]で得られた混成ネオジウム塩を15質量部、酸化防止剤(以下、BHTという。)を0.6質量部、および紫外線吸収剤として2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(チバ・ジャパン社製、商品名:TINUVIN 326)を0.2質量部溶解させ、この溶液をポリビニルブチラール(BH−3、積水化学工業社製)100質量部に添加、混合して樹脂組成物Bを得た。上記実施例の[2]において、樹脂組成物Aの替わりに樹脂組成物Bを用いた以外は同様にして樹脂シートを作製し、得られた樹脂シートを用いて上記[3]と同様にして合せガラスサンプルを作製した。
【0061】
[比較例2]
トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(可塑剤)40質量部に上記実施例の[1]で得られた混成ネオジウム塩を15質量部、酸化防止剤としてBHTを0.6質量部、および紫外線吸収剤としてTINUVIN 329(チバ・ジャパン社製)を0.2質量部溶解させ、この溶液をポリビニルブチラール(BH−3、積水化学工業社製)100質量部に添加、混合して樹脂組成物Cを得た。上記実施例の[2]において、樹脂組成物Aの替わりに樹脂組成物Cを用いた以外は同様にして樹脂シートを作製し、得られた樹脂シートを用いて上記[3]と同様にして合せガラスサンプルを作製した。
【0062】
上記実施例および各比較例で得られた合せガラスサンプルについて、以下の項目を評価した。
(合せガラスの耐熱試験)
80℃のオーブンに合せガラスサンプルを43日間放置して黄変の発生度合いを調べる耐熱試験を行った。まず、試験開始前に合わせガラスの外周端から10mmの箇所の黄色度を測定した。また、試験開始後それぞれ14日目、21日目、28日目、35日目、および試験終了後(43日目)に、合せガラスサンプルをオーブンから取り出し常温まで放冷した後、合わせガラスの外周端から10mmの箇所の黄色度を測定した。なお、黄色度の測定は、分光光度計を用い、JIS K7373(プラスチック−黄色度及び黄変度の求め方)に準拠して行った。結果を表1および図1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表1および図1から明らかなように、実施例で得られた合わせガラスサンプルが80℃耐熱試験において長期にわたり殆ど黄変の発生がないのに比べ、実施例と同じネオジム化合物を含み、さらに含有する紫外線吸収剤、酸化防止剤の一方または両方が本発明のものではない比較例1、2で得られた合わせガラスサンプルでは、日ごとに黄変が進行していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施例および比較例の合わせガラスサンプルについて80℃耐熱試験における黄変度の経時変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネオジム化合物と、ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤とを含有する樹脂膜からなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
前記樹脂膜が可塑剤を用いて成形してなるポリビニルブチラール系樹脂膜であり、前記ネオジム化合物が多価エステルモノカルボン酸ネオジム塩である請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
前記多価エステルモノカルボン酸ネオジム塩が下記一般式(1)で表わされる化合物である請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜。
[(ROCO)xRCOO]m(RCOO)nNd …(1)
(ただし、式(1)中、Rは炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基を表し、Rは炭素数1〜12のアルキレン基またはアリーレン基を表し、Rは、飽和または不飽和の炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基、あるいは、(R’OCO)xR’−(ただし、R’およびR’は、各々、RおよびRと同義であるが、R≠R’またはR≠R’である)を表し、xは、1〜3の整数であり、mは、0<m≦3を満たす正の数であり、nは、m+n=3の条件を満たす数である)
【請求項4】
前記ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールであり、チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤が4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
前記ネオジム化合物の含有量が、樹脂膜構成成分全量に対して5〜25質量%であり、前記ハロゲン原子を含まないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が、前記樹脂膜中のネオジム化合物含有量に対して0.1〜5質量%であり、チオエーテル基含有フェノール系酸化防止剤の含有量が前記樹脂膜中のネオジム化合物含有量に対して0.1〜15質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
少なくとも2枚のガラス板が請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を介して互いに接着された構造を有する合わせガラス。

【図1】
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【公開番号】特開2010−150099(P2010−150099A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332182(P2008−332182)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】