説明

合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

【課題】発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜を提供する。
【解決手段】2層以上の積層構造の場合の合わせガラス用中間膜1は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第1,第2の層2,3を備える。第1の層2中の熱可塑性樹脂に占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分の割合は7.4%以上であるか、又は、第1の層2中の熱可塑性樹脂に占める、ポリスチレン換算分子量100万以上の高分子量成分の割合は9%以上である。中間膜1は、両側の2つの表面1a,1bの内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、合わせガラス用中間膜に関し、より詳細には、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含む合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
【0003】
上記合わせガラス用中間膜の一例として、下記の特許文献1には、ポリビニルアセタール樹脂100重量部と、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキサノエートとトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートとの混合物20〜60重量部とを含有する中間膜が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部以上の可塑剤とを含む遮音層が開示されている。この遮音層は、単層で中間膜として用いられ得る。
【0005】
さらに、下記の特許文献2には、上記遮音層と他の層とが積層された多層中間膜も記載されている。遮音層に積層される他の層は、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部以下の可塑剤とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−097745号公報
【特許文献2】特開2007−070200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2に記載の中間膜を用いて合わせガラスを構成した場合には、合わせガラスの2000Hz付近の周波数領域における遮音性が充分ではなく、従ってコインシデンス効果による遮音性の低下が避けられないことがある。特に、この合わせガラスの20℃付近での遮音性が充分ではないことがある。
【0008】
ここで、コインシデンス効果とは、ガラス板に音波が入射したとき、ガラス板の剛性と慣性とによって、ガラス面上を横波が伝播して横波と入射音とが共鳴し、その結果、音の透過が起こる現象をいう。
【0009】
上記特許文献2に記載の遮音層を単層で中間膜として用いて合わせガラスを構成した場合でも、合わせガラスの20℃付近での遮音性が十分ではないことがある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の遮音層と他の層とが積層された多層中間膜を用いて合わせガラスを構成した場合には、合わせガラスの20℃付近での遮音性をある程度高めることができる。しかし、多層中間膜が上記遮音層を有するため、該多層中間膜を用いた合わせガラスに発泡が生じることがある。
【0011】
さらに、近年、合わせガラスの遮音性を高めるために、中間膜中の可塑剤の含有量を多くすることが検討されている。中間膜中の可塑剤の含有量を多くすると、合わせガラスの遮音性を改善できる。しかしながら、可塑剤の含有量を多くすると、合わせガラスに発泡が生じることがある。
【0012】
本発明の目的は、発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することである。
【0013】
本発明の限定的な目的は、遮音性にも優れた合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の広い局面によれば、1層の構造又は2層以上の積層構造を有する合わせガラス用中間膜であって、1層の構造を有する合わせガラス用中間膜である場合には、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第1の層を備え、2層以上の積層構造を有する合わせガラス用中間膜である場合には、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、該第1の層の一方の表面に積層されており、かつ熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂が絶対分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分の割合が7.4%以上であるか、又は、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂がポリスチレン換算分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分の割合が9%以上であり、両側の2つの表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有する、合わせガラス用中間膜が提供される。
【0015】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が50重量部以上である。
【0016】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層のガラス転移温度が30℃以下である。
【0017】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂が絶対分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分の割合が7.4%以上である。
【0018】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂がポリスチレン換算分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分の割合が9%以上である。
【0019】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂である。
【0020】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は31モル%以下である。
【0021】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が40〜80重量部の範囲内である。
【0022】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、該合わせガラス用中間膜は、2層以上の積層構造を有し、上記第1の層と上記第2の層とを備える。
【0023】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに別の特定の局面では、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量は、上記第2の層中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量よりも多い。
【0024】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、3層以上の積層構造を有する合わせガラス用中間膜である場合には、上記第1の層と、上記第2の層と、上記第1の層の他方の表面に積層されており、かつ熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第3の層とがさらに備えられる。
【0025】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、該合わせガラス用中間膜は、3層以上の積層構造を有し、上記第1の層と上記第2の層と上記第3の層とを備える。
【0026】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量は、上記第3の層中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量よりも多い。
【0027】
なお、例えば、上記第1の層と上記第2の層との間で、可塑剤が移行することがある。また、上記第1の層と上記第3の層との間で、可塑剤が移行することがある。
【0028】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、該ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、かつアセタール化度が70モル%以上であるか、又は上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、該ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超える。上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、該ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、かつアセタール化度が70モル%以上であることが好ましい。さらに、上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、該ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超えることも好ましい。
【0029】
本発明に係る合わせガラスは、第1,第2の合わせガラス構成部材と、該第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備えており、該中間膜が、上記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に、本発明に従って構成された合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより形成されている。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第1の層を備える1層の構造を有するか、又は熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備える2層以上の積層構造を有し、更に上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂が絶対分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分の割合が7.4%以上であるか、又は上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂がポリスチレン換算分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ上記第1の層中の上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分の割合が9%以上であり、更に中間膜は両側の2つの表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有するので、中間膜を用いた合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0033】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する。該熱可塑性樹脂は、絶対分子量100万以上の高分子量成分(以下、高分子量成分Xと記載することがある)を含むか、又は上記熱可塑性樹脂は、ポリスチレン換算分子量(以下、分子量yと記載することがある)100万以上の高分子量成分(以下、高分子量成分Yと記載することがある)を含む。該高分子量成分X,Yは、熱可塑性樹脂である。本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Xの割合が7.4%以上であるか、又は上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Yの割合が9%以上である。また、本発明に係る合わせガラス用中間膜は、両側の2つの表面の内の少なくとも一方の表面に、凹凸形状を有する。
【0034】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に断面図で示す。
【0035】
図1に示す中間膜1は、2層以上の積層構造を有し、より詳細には3層以上の積層構造を有し、多層の中間膜である。具体的には、中間膜1は、3層の積層構造を有する。中間膜1は、第1の層2と、第1の層2の一方の表面2a(第1の表面)に積層された第2の層3と、第1の中間膜2の他方の表面2b(第2の表面)に積層された第3の層4とを備える。中間膜1は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。
【0036】
中間膜1は、一方の表面1a(第1の表面)と他方の表面1b(第2の表面)とを有する。一方の表面1a及び他方の表面1bは、中間膜1の両側の2つの表面である。中間膜1は、一方の表面1a及び他方の表面1b(両側の2つの表面)の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有する。なお、図1では、凹凸形状は模式的に示されている。一般に、凹凸形状は図1に示す形状よりも微細であることが多く、また凹凸形状は適宜変更され得る。中間膜1の一方の表面1aは第2の層3の外側の表面3aである。中間膜1の他方の表面1bは第3の層4の外側の表面4aである。
【0037】
中間膜1は、第2,第3の層3,4の外側の表面3a,4aの内の少なくとも一方の外側の表面に凹凸形状を有する。中間膜1は、第2の層3の外側の表面3aに凹凸形状を有することが好ましく、第2の層3の外側の表面3aと第3の層4の外側の表面4aとの双方に凹凸形状を有することが好ましい。
【0038】
第1の実施形態では、第1の層2は中間層であり、かつ第2,第3の層3,4は表面層である。このように、第2,第3の層3,4の双方を用いることが好ましい。ただし、第3の層4を用いずに、第2の層3のみを用いてもよい。第2,第3の層3,4の外側の表面3a,4aに、他の層がさらに積層されていてもよい。この場合には、中間膜は、該他の層の外側の表面に凹凸形状を有していてもよい。
【0039】
第1〜第3の層2〜4はそれぞれ、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する。第1の層2中の上記熱可塑性樹脂は、絶対分子量100万以上の高分子量成分Xを含み、かつ上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Xの割合は7.4%以上である。第1の層2中の上記熱可塑性樹脂は、分子量yが100万以上である高分子量成分Yを含み、かつ上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Yの割合が9%以上であってもよい。
【0040】
なお、第1の層2中の上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Xの割合は、上記絶対分子量を測定する際に得られる熱可塑性樹脂成分のピーク面積に占める、上記高分子量成分Xに相当する領域の面積の割合を百分率(%)で表した値で定義される。また、第1の層2中の上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Yの割合は、上記ポリスチレン換算分子量を測定する際に得られる熱可塑性樹脂成分のピーク面積に占める、上記高分子量成分Yに相当する領域の面積の割合を百分率(%)で表した値で定義される。
【0041】
第2,第3の層3,4の組成は、第1の層2の組成と異なることが好ましい。第2,第3の層3,4中の上記熱可塑性樹脂は、絶対分子量100万以上の高分子量成分Xを含み、かつ上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Xの割合が7.4%以上であってもよく、分子量yが100万以上である高分子量成分Yを含み、かつ上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Yの割合が9%以上であってもよい。
【0042】
図2に、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に断面図で示す。
【0043】
図2に示す中間膜21Aは、第1の層21を備える。中間膜21Aは、第1の層21のみの1層の構造を有し、単層の中間膜である。中間膜21Aは、第1の層21である。中間膜21Aは、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜21Aは、合わせガラス用中間膜である。
【0044】
中間膜21A及び第1の層21は、一方の表面21a(第1の表面)と他方の表面21b(第2の表面)とを有する。一方の表面21a及び他方の表面21bは、中間膜21A及び第1の層21の両側の2つの表面である。中間膜21A及び第1の層21は、一方の表面21a及び他方の表面21b(両側の2つの表面)の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有する。また、中間膜21Aは第1の層21のみであるので、中間膜21A及び第1の層21は、一方の表面21aに凹凸形状を有し、一方の表面21aと他方の表面21bとの双方に凹凸形状を有することが好ましい。なお、図2では、凹凸形状は模式的に示されている。一般に、凹凸形状は図2に示す形状よりも微細であることが多く、また凹凸形状は適宜変更され得る。
【0045】
中間膜21A及び第1の層21は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する。中間膜21A及び第1の層21中の上記熱可塑性樹脂は、絶対分子量100万以上の高分子量成分Xを含み、かつ熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Xの割合は7.4%以上である。中間膜21A及び第1の層21中の上記熱可塑性樹脂は、分子量yが100万以上である高分子量成分Yを含み、かつ上記熱可塑性樹脂に占める、上記高分子量成分Yの割合が9%以上であってもよい。
【0046】
単層の中間膜21Aよりも、多層の中間膜1の方が好ましい。第1の層2の両面に第2,第3の層3,4が積層されている場合には、第1の層2の接着力が低くても、第2,第3の層3,4の接着力を高くすることにより、多層の中間膜1と合わせガラス構成部材との接着力を高めることができる。このため、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。
【0047】
さらに、多層の中間膜1の場合には、単層の中間膜21Aの場合と比べて、合わせガラスに発泡が生じやすい傾向がある。特に、第1の層2中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が、第2,第3の層3,4中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量よりも多いと、発泡がより一層生じやすい傾向がある。さらに、発泡が一旦生じると、発生した発泡が核となり、発泡が成長する傾向がある。しかし、第1の実施形態では、第1の層2中の上記熱可塑性樹脂が絶対分子量100万以上の高分子量成分Xを上記特定の割合で含むので、合わせガラスに発泡が生じるのを抑制できる。第1の層2中の上記熱可塑性樹脂の分子量yが100万以上である高分子量成分Yを上記特定の割合で含んでいても、合わせガラスに発泡が生じるのを抑制できる。また、合わせガラス用中間膜の表面に凹凸形状を形成することにより、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を効果的に抑制できる。
【0048】
合わせガラスの遮音性をより一層高め、かつ発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制する観点からは、第1の層2,21中の上記熱可塑性樹脂に占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分Xの割合の好ましい下限は8%、より好ましい下限は8.5%、更に好ましい下限は9%、特に好ましい下限は9.5%、最も好ましい下限は10%である。合わせガラスの遮音性をより一層高め、かつ発泡の発生及び発泡の成長を更に一層抑制できることから、高分子量成分Xの割合は、好ましくは11%以上、より好ましくは12%以上、更に好ましくは14%以上、特に好ましくは16%以上である。上記高分子量成分Xの割合の好ましい上限は特に限定されないが、好ましい上限は40%、より好ましい上限は30%、更に好ましい上限は25%である。
【0049】
第1の層2,21中の上記熱可塑性樹脂が、分子量yが100万以上である高分子量成分Yを含む場合には、高分子量成分Yを含む第1の層2,21中の上記熱可塑性樹脂に占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Yの割合の好ましい下限は10%、より好ましい下限は11%、更に好ましい下限は11.5%、特に好ましい下限は12%である。合わせガラスの遮音性をより一層高め、かつ発泡の発生及び発泡の成長を更に一層抑制できることから、高分子量成分Yの割合は、好ましくは12.5%以上、より好ましくは13.5%以上、更に好ましくは14%以上、特に好ましくは15%以上、最も好ましくは18%以上である。上記高分子量成分Yの割合の上限は特に限定されないが、好ましい上限は40%、より好ましい上限は30%、更に好ましい上限は25%である。高分子量成分Yの割合が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高め、かつ発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制することができる。
【0050】
合わせガラスの耐貫通性をより一層高める観点からは、多層の中間膜1及び単層の中間膜21Aの厚みの好ましい下限は0.05mm、より好ましい下限は0.25mm、好ましい上限は3mm、より好ましい上限は1.5mmである。多層の中間膜1及び単層の中間膜21Aの厚みが上記好ましい下限及び上記好ましい上限をそれぞれ満たすと、合わせガラスの耐貫通性及び透明性をより一層高めることができる。
【0051】
以下、中間膜の上記第1〜第3の層に含まれている各成分の詳細を説明する。
【0052】
(熱可塑性樹脂)
上記第1〜第3の層に含まれている上記熱可塑性樹脂の種類は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0053】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
【0054】
上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は100,000、より好ましい下限は300,000、好ましい上限は10,000,000、より好ましい上限は5,000,000である。上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が上記好ましい下限以下であると、中間膜の強度が低下することがある。上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が上記好ましい上限を超えると、得られる中間膜の強度が強くなりすぎることがある。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
【0055】
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス構成部材に対する中間膜の接着力をより一層高くすることができる。上記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合には、上記高分子量成分X,Yはポリビニルアセタール樹脂である。
【0056】
さらに、上記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合には、中間膜を用いた合わせガラスに発泡が特に生じやすい傾向がある。しかし、ポリビニルアセタール樹脂が、絶対分子量100万以上の高分子量成分X又は分子量yが100万以上である高分子量成分Yを上記特定の割合で含むので、合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を充分に抑制できる。
【0057】
中間層である上記第1の層及び単層の中間膜である上記第1の層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合には、上記第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、31モル%以下であることが好ましい。この場合には、合わせガラスの遮音性をより一層高くすることができる。なお、ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が低いと、ポリビニルアセタール樹脂の親水性が低くなる。このため、可塑剤の含有量を多くすることができ、この結果、合わせガラスの遮音性をより一層高くすることができる。
【0058】
上記第1の層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率の好ましい下限は13モル%、より好ましい下限は18モル%、更に好ましい下限は20モル%、特に好ましい下限は21.5モル%、より好ましい上限は30モル%、更に好ましい上限は28モル%、特に好ましい上限は26モル%である。上記水酸基の含有率が上記好ましい下限を満たすと、上記第1の層の接着力をより一層高くすることができる。上記水酸基の含有率が上記好ましい上限を満たすと、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。さらに、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱性をより一層高めることができる。
【0059】
上記第2,第3の層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合には、上記第2,第3の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率の好ましい下限は25モル%、より好ましい下限は26モル%、更に好ましい下限は27モル%、特に好ましい下限は28モル%、最も好ましい下限は29モル%、好ましい上限は35モル%、より好ましい上限は33モル%、更に好ましい上限は32モル%、特に好ましい上限は31.5モル%である。上記水酸基の含有率が上記好ましい下限を満たすと、上記第2,第3の層の接着力をより一層高くすることができる。上記水酸基の含有率が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱性をより一層高めることができる。
【0060】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、上記第2,第3の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂の水酸基の各含有率よりも低いことが好ましい。合わせガラスの遮音性をさらに一層高める観点からは、上記第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、上記第2,第3の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂の水酸基の各含有率よりも1モル%以上低いことが好ましく、3モル%以上低いことがより好ましく、5モル%以上低いことが更に好ましく、7モル%以上低いことが特に好ましい。
【0061】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0062】
上記第1の層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合には、上記第1の層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.4モル%、更に好ましい下限は0.8モル%、好ましい上限は30モル%、より好ましい上限は25モル%、更に好ましい上限は20モル%、特に好ましい上限は15モル%である。上記第2,第3の層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合には、上記第2,第3の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.4モル%、好ましい上限は20モル%、より好ましい上限は5モル%、更に好ましい上限は2モル%、特に好ましい上限は1.5モル%である。上記アセチル化度が上記好ましい下限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ中間膜のガラス転移温度を十分に低下させることができる。上記アセチル化度が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の耐湿性をより一層高めることができる。
【0063】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、上記第2,第3の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも高いことが好ましい。合わせガラスの遮音性をさらに一層高める観点からは、上記第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、上記第2,第3の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも0.1モル%以上高いことが好ましく、1モル%以上高いことがより好ましく、5モル%以上高いことが更に好ましく、10モル%以上高いことが特に好ましい。
【0064】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、上記第2,第3の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度よりも高いことが好ましい。
【0065】
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0066】
絶対分子量100万以上の高分子量成分Xを上記特定の割合で含む上記第1の層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合には、上記第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は50モル%、より好ましい下限は53モル%、更に好ましい下限は60モル%、特に好ましい下限は63モル%、好ましい上限は85モル%、より好ましい上限は80モル%、更に好ましい上限は78モル%である。上記第2,第3の層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合には、上記第2,第3の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は55モル%、より好ましい下限は60モル%、更に好ましい下限は65モル%、特に好ましい下限は67モル%、好ましい上限は75モル%、より好ましい上限は72モル%、更に好ましい上限は71モル%である。上記アセタール化度が上記好ましい下限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ中間膜のガラス転移温度を十分に低下させることができる。上記アセタール化度が上記好ましい上限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0067】
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。
【0068】
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル基量とビニルアルコール量(水酸基の含有率)とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、ついで、100モル%からアセチル基量とビニルアルコール量とを差し引くことにより算出され得る。
【0069】
なお、ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル基量は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
【0070】
上記第1の層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合、中間膜の遮音性がより一層高くなることから、上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル化度aが8モル%以下であり、かつアセタール化度aが70モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂Aであるか、又はアセチル化度bが8モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂Bであることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル化度aが8モル%以下であり、かつアセタール化度aが70モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂Aであってもよく、アセチル化度bが8モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂Bであってもよい。
【0071】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aのアセチル化度aの上限は8モル%、好ましい上限は7.5モル%、より好ましい上限は7モル%、更に好ましい上限は6.5モル%、特に好ましい上限は5モル%、好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.5モル%、更に好ましい下限は0.8モル%、特に好ましい下限は1モル%である。上記アセチル化度aが上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0072】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aのアセタール化度aの下限は70モル%、好ましい下限は70.5モル%、より好ましい下限は71モル%、更に好ましい下限は71.5モル%、特に好ましい下限は72モル%、好ましい上限は85モル%、より好ましい上限は83モル%、更に好ましい上限は81モル%、特に好ましい上限は79モル%である。上記アセタール化度aが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセタール化度aが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Aを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0073】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aの水酸基の含有率aの好ましい下限は18モル%、より好ましい下限は19モル%、更に好ましい下限は20モル%、特に好ましい下限は21モル%、好ましい上限は31モル%、より好ましい上限は30モル%、更に好ましい上限は29モル%、特に好ましい上限は28モル%である。上記水酸基の含有率aが上記好ましい下限を満たすと、中間膜の接着力をより一層高くすることができる。上記水酸基の含有率aが上記好ましい上限を満たすと、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0074】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aはポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0075】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセチル化度bは、8モル%を超え、好ましい下限は9モル%、より好ましい下限は9.5モル%、更に好ましい下限は10モル%、特に好ましい下限は10.5モル%、好ましい上限は30モル%、より好ましい上限は28モル%、更に好ましい上限は26モル%、特に好ましい上限は24モル%である。上記アセチル化度bが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセチル化度bが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Bを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0076】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセタール化度bの好ましい下限は50モル%、より好ましい下限は53モル%、更に好ましい下限は55モル%、特に好ましい下限は60モル%、好ましい上限は80モル%、より好ましい上限は78モル%、更に好ましい上限は76モル%、特に好ましい上限は74モル%である。上記アセタール化度bが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセタール化度bが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Bを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0077】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bの水酸基の含有率bの好ましい下限は18モル%、より好ましい下限は19モル%、更に好ましい下限は20モル%、特に好ましい下限は21モル%、好ましい上限は31モル%、より好ましい上限は30モル%、更に好ましい上限は29モル%、特に好ましい上限は28モル%である。上記水酸基の含有率bが上記好ましい下限を満たすと、中間膜の接着力をより一層高くすることができる。上記水酸基の含有率bが上記好ましい上限を満たすと、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0078】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bはポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0079】
上記ポリビニルアセタール樹脂A及び上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数1〜10のアルデヒドであることが好ましく、炭素数4又は5のアルデヒドであることがより好ましい。
【0080】
上記ポリビニルアセタール樹脂A及び上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、重合度が1600〜3000のポリビニルアルコールXをアルデヒドでアセタール化することで得られるポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を充分に抑制できることから、上記ポリビニルアルコールXの重合度は、1700以上であることが好ましく、1700を超えることが好ましく、1800以上であることが好ましく、2000以上であることが好ましく、2100以上であることが好ましく、2200以上であることが好ましく、2900以下であることが好ましく、2800以下であることが好ましい。上記重合度は、平均重合度を示す。なお、上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0081】
(絶対分子量100万以上の高分子量成分X又は分子量yが100万以上である高分子量成分Yを含むポリビニルアセタール樹脂の製造方法)
絶対分子量100万以上の高分子量成分X又は分子量yが100万以上である高分子量成分Yを上記下限以上の割合で含む上記熱可塑性樹脂の一例として、絶対分子量100万以上の高分子量成分X又は分子量yが100万以上である高分子量成分Yを含むポリビニルアセタール樹脂の具体的な製造方法を以下説明する。
【0082】
まず、ポリビニルアルコールを用意する。該ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%の範囲内であり、75〜99.8モル%の範囲内であることが好ましく、80〜99.8モル%の範囲内であることがより好ましい。
【0083】
上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、より好ましい下限は500、更に好ましい下限は1,000、特に好ましい下限は1,500、好ましい上限は3,000、より好ましい上限は2,900、更に好ましい上限は2,800、特に好ましい上限は2,700である。上記重合度が低すぎると、合わせガラスの耐貫通性が低下する傾向がある。上記重合度が高すぎると、中間膜の成形が困難となることがある。
【0084】
次に、上記ポリビニルアルコールとアルデヒドとを触媒を用いて反応させ、ポリビニルアルコールをアセタール化する。このとき、上記ポリビニルアルコールを含む溶液を用いてもよい。該ポリビニルアルコールを含む溶液に用いられる溶媒としては、水等が挙げられる。
【0085】
上記第1の層に含まれているポリビニルアセタール樹脂の製造方法は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを触媒を用いて反応させ、ポリビニルアルコールをアセタール化することにより、ポリビニルアセタール樹脂を得る製造方法であることが好ましい。
【0086】
上記第1の層の製造方法は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを触媒を用いて反応させ、ポリビニルアルコールをアセタール化することにより、ポリビニルアセタール樹脂を得る工程と、得られたポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを混合した混合物を用いて、上記第1の層を得る工程とを備えることが好ましい。この第1の層を得る工程において、又は第1の層を得た後に、該第1の層に、第2の層を積層することにより、更に必要に応じて第3の層を積層することにより、多層の中間膜を得ることができる。また、第1の層及び第2の層を共押出することにより多層の中間膜を製造してもよく、第1の層、第2の層及び第3の層を共押出することにより多層の中間膜を製造してもよい。
【0087】
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0088】
絶対分子量100万以上又は分子量yが100万以上の高分子量成分X,Yを上記特定の割合で含むポリビニルアセタール樹脂を容易に得る観点からは、例えば、アルデヒドによるアセタール化反応の前又は途中で、隣接するポリビニルアルコールの主鎖を架橋させるために、ジアルデヒド等の架橋剤を添加する方法や、過剰のアルデヒドを投入することにより、分子間のアセタール化反応を進行させる方法や、重合度が高いポリビニルアルコールを添加する方法等が挙げられる。また、これらの方法は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0089】
上記触媒は、酸触媒であることが好ましい。該酸触媒としては、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸及びパラトルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0090】
上記ポリスチレン換算分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算での分子量を示す。上記熱可塑性樹脂に占める、上記分子量yが100万以上である高分子量成分Yの割合(%)は、上記熱可塑性樹脂のGPCによるポリスチレン換算分子量の測定時に、RI検出器で検出されるピーク面積のうち、分子量yが100万以上の領域に相当する面積の割合から算出される。なお、ピーク面積とは、測定の対象となる成分のピークとベースラインとの間の面積を意味する。
【0091】
ポリスチレン換算分子量は、例えば、以下のようにして測定される。
【0092】
ポリスチレン換算分子量を測定するために、分子量既知のポリスチレン標準試料のGPC測定を行う。ポリスチレン標準試料(昭和電工社製「Shodex Standard SM−105」、「Shodex Standard SH−75」)としては、重量平均分子量580、1,260、2,960、5,000、10,100、21,000、28,500、76,600、196,000、630,000、1,130,000、2,190,000、3,150,000、3,900,000の14試料を用いる。それぞれの標準試料ピークのピークトップが示す溶出時間に対して重量平均分子量をプロットし得られる近似直線を検量線として使用する。例えば、表面層と中間層と表面層とがこの順に積層された多層の中間膜における中間層中の熱可塑性樹脂に占める、上記分子量yが100万以上である高分子量成分Yの割合(%)を測定する場合、恒温恒湿室(湿度30%(±3%)、温度23℃)に1ヶ月放置した多層の中間膜から表面層と中間層とを剥離する。剥離された中間層をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、0.1重量%の溶液を調製する。得られた溶液をGPC装置により分析し、中間層中の熱可塑性樹脂のピーク面積を測定する。次いで、中間層中の熱可塑性樹脂の溶出時間と検量線から、中間層中の熱可塑性樹脂のポリスチレン換算分子量が100万以上の領域に相当する面積を算出する。中間層中の熱可塑性樹脂のポリスチレン換算分子量が100万以上の領域に相当する面積を、中間層中の熱可塑性樹脂のピーク面積で除算した値を百分率(%)で表すことにより、上記熱可塑性樹脂に占める、上記分子量yが100万以上である高分子量成分Yの割合(%)を算出できる。例えば、Gel Permeation Chromatography(GPC)装置(日立ハイテク社製「RI:L2490、オートサンプラー:L−2200、ポンプ:L−2130、カラムオーブン:L−2350、カラム:GL−A120−SとGL−A100MX−Sの直列」)を用いて、ポリスチレン換算分子量を測定することができる。
【0093】
(可塑剤)
上記第1〜第3の層に含まれている上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0094】
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0095】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0096】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0097】
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0098】
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0099】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。このジエステル可塑剤の使用により、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0100】
【化1】

【0101】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
【0102】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)の内の少なくとも一種を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0103】
合わせガラス用中間膜における上記可塑剤の含有量は特に限定されない。
【0104】
上記熱可塑性樹脂が絶対分子量100万以上の高分子量成分Xを上記特定の割合で含む上記第1の層の場合は、該第1の層中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量の好ましい下限は40重量部、より好ましい下限は50重量部、更に好ましい下限は55重量部、特に好ましい下限は60重量部、好ましい上限は80重量部、より好ましい上限は78重量部、更に好ましい上限は75重量部、特に好ましい上限は72重量部である。上記熱可塑性樹脂の分子量yが100万以上である高分子量成分Yを上記特定の割合で含む上記第1の層の場合にも、該第1の層中の上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量の好ましい下限は40重量部、より好ましい下限は50重量部、更に好ましい下限は55重量部、特に好ましい下限は60重量部、好ましい上限は80重量部、より好ましい上限は78重量部、更に好ましい上限は75重量部、特に好ましい上限は72重量部である。上記可塑剤の含有量が上記好ましい下限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。上記可塑剤の含有量が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の透明性をより一層高めることができる。
【0105】
上記第2,第3の層の場合には、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量の好ましい下限は25重量部、より好ましい下限は30重量部、更に好ましい下限は35重量部、好ましい上限は50重量部、より好ましい上限は45重量部、更に好ましい上限は43重量部、特に好ましい上限は38重量部である。上記可塑剤の含有量が上記好ましい下限を満たすと、中間膜の接着力が高くなり、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。上記可塑剤の含有量が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の透明性をより一層高めることができる。
【0106】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量は、上記第2,第3の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量よりも多いことが好ましい。合わせガラスの遮音性をさらに一層高める観点からは、上記第1の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量は、上記第2,第3の層中の熱可塑性樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量よりも5重量部以上多いことが好ましく、10重量部以上多いことがより好ましく、15重量部以上多いことが更に好ましく、20重量部以上多いことが特に好ましい。
【0107】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の層のガラス転移温度は30℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましく、10℃以下であることが更に好ましい。また、合わせガラスの耐貫通性をより一層高める観点からは、上記第2の層のガラス転移温度は、上記第1の層のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。さらに、上記第2,第3の層の内の少なくとも一方のガラス転移温度は、上記第1の層のガラス転移温度よりも高いことが好ましく、上記第2,第3の層の双方のガラス転移温度が上記第1の層のガラス転移温度よりも高いことがより好ましい。。また、合わせガラスの遮音性を広い温度領域にて高める観点からは、例えば、上記第1の層のガラス転移温度が30℃以下であり、上記第2の層のガラス転移温度が30℃を超え、かつ上記第3の層のガラス転移温度が上記第1の層のガラス転移温度より高く、上記第2の層のガラス転移温度より低いことが好ましい。ガラス転移温度を測定する方法として、例えば、合わせガラス用中間膜を23℃の環境下にて1ヶ月保管した後に、直径8mmの円形に切り抜き、粘弾性測定装置(レオメトリック社製「ARES」)を用いて、せん断法にて、歪み量1.0%及び周波数1Hzの条件で、昇温速度5℃/分で動的粘弾性の温度分散測定を行うことにより、ガラス転移温度を測定する方法が挙げられる。
【0108】
(凹凸形状)
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、両側の表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有する。中間膜が表面に凹凸形状を有することにより、多層構造を有する合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスを製造する際に、合わせガラス用中間膜とガラスとの間に残留する空気を効率的に脱気できる。この結果、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を充分に抑制できる。中間膜が両側の表面ではなく一方の表面のみに凹凸形状を有していても、該凹凸形状が形成されている一方の表面に由来して、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を抑制できる。
【0109】
第1〜第3の層のうちのいずれかが表面層である場合に、中間膜は、2つの表面層の各外側の表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有する。第1の層が表面層である場合に、中間膜は、第1の層の外側の表面に凹凸形状を有することが好ましい。第2の層が表面層である場合に、中間膜は、第2の層の外側の表面に凹凸形状を有することが好ましい。第3の層が表面層である場合に、中間膜は、第3の層の外側の表面に凹凸形状を有することが好ましい。第2の層は表面層であることが好ましく、第3の層は表面層であることが好ましい。また、第1の層が表面層であってもよい。
【0110】
例えば、上記第1の層のみの単層の中間膜である場合、中間膜は、上記第1の層の一方の表面に凹凸形状を有するか、上記第1の層の他方の表面に凹凸形状を有するか、又は上記第1の層の一方の表面に凹凸形状を有しかつ上記第1の層の他方の表面に凹凸形状を有する。例えば、上記第1の層と上記第2の層とが積層された多層中間膜である場合、中間膜は、上記第1の層の上記第2の層と接している表面とは反対側の表面(外側の表面)に凹凸形状を有するか、上記第2の層の上記第1の層と接している表面とは反対側の表面に凹凸形状を有するか、又は上記第1の層の上記第2の層と接している表面とは反対側の表面(外側の表面)に凹凸形状を有しかつ上記第2の層の上記第1の層と接している表面とは反対側の表面に凹凸形状を有する。上記第2の層と上記第1の層と上記第3の層とがこの順に積層されている場合、中間膜は、上記第2の層の上記第1の層と接している表面とは反対側の表面(外側の表面)に凹凸形状を有するか、上記第3の層の上記第1の層と接している表面とは反対側の表面(外側の表面)に凹凸形状を有するか、又は上記第2の層の上記第1の層と接している表面とは反対側の表面に凹凸形状を有しかつ上記第3の層の上記第1の層と接している表面とは反対側の表面に凹凸形状を有する。本発明に係る合わせガラス用中間膜が、上記第1〜第3の層以外の他の層を有し、該他の層が表面層である場合、中間膜は、該他の層の外側の表面に凹凸形状を有していてもよい。
【0111】
上記凹凸形状は特に限定されないが、凹部と凸部とを有する形状であることが好ましい。上記凹部の形状は特に限定されないが、直線状の凹部又は波線状の凹部等の線状の凹部や、点状の凹部が挙げられる。合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制できることから、上記凹部の形状は線状の凹部であることが好ましい。上記凸部の形状は特に限定されないが、直線状の凸部又は波線状の凸部等の線状の凸部や、点状の凸部が挙げられる。合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制できることから、上記凸部の形状は線状の凸部であることが好ましい。
【0112】
上記凹凸形状の粗さは特に限定されないが、上記凹凸形状の表面の十点平均表面粗さ(Rz(μm))の好ましい下限は5μm、より好ましい下限は10μm、更に好ましい下限は15μm、特に好ましい下限は20μm、最も好ましい下限は25μm、好ましい上限は100μm、より好ましい上限は90μm、更に好ましい上限は80μm、特に好ましい上限は70μm、最も好ましい上限は60μmである。十点平均表面粗さが上記下限以上であると、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制でき、上記上限以下であると、合わせガラスを容易に製造することができる。なお、十点平均表面粗さ(Rz(μm))は、JIS B0601−1994に準拠した方法により、測定することができる。
【0113】
上記凹凸形状は、合わせガラス用中間膜の両側の表面の内の少なくとも一方の表面に形成されている。合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制できることから、合わせガラス用中間膜は、一方の表面(第1の表面)と他方の表面(第1の表面とは反対側の第2の表面)との双方に、上記凹凸形状を有することが好ましい。すなわち、中間膜は両側の表面に上記凹凸形状を有することが好ましい。上記凹凸形状が線状の凹部と線状の凸部とを有し、かつ合わせガラス用中間膜が両側の表面に上記凹凸形状を有する場合、一方の表面の線状の凹部を基準とした場合、他方の表面の線状の凹部は該基準に対して、角度を有するように上記凹凸形状を形成することが好ましい。合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制できることから、一方の表面の線状の凹部に対する、他方の表面の線状の凹部の角度は、5度以上であることが好ましく、10度以上であることがより好ましく、15度以上であることが更に好ましく、20度以上であることが特に好ましく、25度以上であることが最も好ましく、90度以下であることが好ましく、80度以下であることがより好ましく、70度以下であることが更に好ましく、60度以下であることが特に好ましく、50度以下であることが最も好ましい。また、一方の表面の線状の凹部に対する、他方の表面の線状の凹部の角度が、5度未満である場合、一方の表面の線状の凹部の配置間隔と他方の表面の線状の凹部の配置間隔は異なることが好ましい。
【0114】
上記凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、エンボスロール法、カレンダーロール法、及び異形押出法等が挙げられる。中でも定量的に一定の凹凸模様である多数の凹凸形状のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法が好ましい。
【0115】
上記凹凸形状の形成方法は特に限定されず、130〜150℃に加熱した2本のエンボスロールの間に、90〜100℃に加熱した多層樹脂膜を通過させ、中間膜の両側の表面に凹凸形状を付与する方法が挙げられる。
【0116】
(他の成分)
上記第1〜第3の層はそれぞれ、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0117】
(合わせガラス用中間膜の製造方法、及び合わせガラス)
本発明に係る合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されない。上記単層の中間膜の場合に、本発明に係る合わせガラス用中間膜の製造方法としては、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤とを含む樹脂組成物を用いて、該樹脂組成物を、押出機を用いて押出することにより、上記第1の層である単層の中間膜を得、少なくとも一方の表面に凹凸形状を形成する方法等が挙げられる。上記多層の中間膜の場合に、本発明に係る合わせガラス用中間膜の製造方法としては、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤とを含む樹脂組成物を用いて、上記第1〜第3の層をそれぞれ形成した後に、例えば、上記第2の層と上記第1の層と上記第3の層とをこの順に積層し、少なくとも一方の表面に凹凸形状を形成する方法、並びに該樹脂組成物を、押出機を用いて共押出することにより、上記第2の層と上記第1の層と上記第3の層とをこの順に積層し、少なくとも一方の表面に凹凸形状を形成する方法等が挙げられる。中間膜の製造効率が優れることから、上記第2,第3の層に、同一の可塑剤が含まれていることが好ましく、同一のポリビニルアセタール樹脂が含まれていることが好ましく、上記第2,第3の層に、同一のポリビニルアセタール樹脂及び同一の可塑剤が含まれていることがより好ましく、上記第2,第3の層が同一の樹脂組成物により形成されていることが更に好ましい。
【0118】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、合わせガラスを得るために用いられる。
【0119】
図3に、図1に示す多層の中間膜1を用いた合わせガラスの一例を模式的に断面図で示す。
【0120】
図3に示す合わせガラス11は、第1の合わせガラス構成部材12と、第2の合わせガラス構成部材13と、多層の中間膜1Xとを備える。多層の中間膜1Xは、第1,第2の合わせガラス構成部材12,13の間に挟み込まれている。中間膜1Xは、第1,第2の合わせガラス構成部材12,13の間に中間膜1を挟み込むことにより形成されている。
【0121】
第1の合わせガラス構成部材12は、中間膜1Xの一方の表面1aに積層されており、第2の層3の外側の表面3aに積層されている。第2の合わせガラス構成部材13は、中間膜1Xの他方の表面1bに積層されており、第3の層4の外側の表面4aに積層されている。従って、合わせガラス11は、第1の合わせガラス構成部材12と、第2の層3と、第1の層2と、第3の層4と、第2の合わせガラス構成部材13とがこの順で積層されて構成されている。
【0122】
上記第1,第2の合わせガラス構成部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
【0123】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0124】
上記単層の中間膜及び上記多層の中間膜の厚みは特に限定されない。多層の中間膜である場合には、上記中間膜の厚みは、中間膜を構成する各層の合計の厚みを示す。よって、第1,第2,第3の層を備える多層の中間膜の場合には、中間膜の厚みは、第1,第2,第3の層の合計の厚みを示す。上記合わせガラスの耐貫通性をより一層高める観点からは、中間膜の厚みの好ましい下限は0.05mm、より好ましい下限は0.25mm、好ましい上限は3mm、より好ましい上限は1.5mmである。中間膜の厚みが上記好ましい下限及び上記好ましい上限をそれぞれ満たすと、合わせガラスの耐貫通性及び透明性をより一層高めることができる。実用面の観点、並びに耐貫通性を充分に高める観点からは、中間膜の厚みは好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みは好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは0.8mm以上である。
【0125】
上記多層の中間膜の場合に、上記第1の層の厚みの好ましい下限は0.01mm、より好ましい下限は0.04mm、更に好ましい下限は0.07mm、好ましい上限は0.3mm、より好ましい上限は0.2mm、更に好ましい上限は0.18mm、特に好ましい上限は0.16mmである。上記第1の層の厚みが上記下限を満たすと、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができ、上記上限を満たすと、合わせガラスの透明性をより一層高めることができる。実用面の観点、並びに耐貫通性を充分に高める観点からは、上記第1の層の厚みは好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下である。上記第1の層の厚みは好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.05mm以上である。
【0126】
上記多層の中間膜の場合に、上記第2,第3の層の厚みの好ましい下限は0.1mm、より好ましい下限は0.2mm、更に好ましい下限は0.25mm、特に好ましい下限は0.3mm、好ましい上限は0.6mm、より好ましい上限は0.5mm、更に好ましい上限は0.45mm、特に好ましい上限は0.4mmである。上記第2,第3の層の厚みが上記下限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができ、上記上限を満たすと、合わせガラスの透明性をより一層高めることができる。実用面の観点、並びに接着力及び耐貫通性を充分に高める観点からは、上記第2,第3の層の厚みはそれぞれ、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。上記第2,第3の層の厚みはそれぞれ、好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.2mm以上である。
【0127】
また、上記多層の中間膜の場合に、上記第1の層の厚みの中間膜の厚みに対する比((上記第1の層の厚み)/(上記中間膜の厚み))が小さく、上記第1の層に含まれる可塑剤の含有量が多いほど、合わせガラスにおける発泡が発生し、発泡が成長する傾向にある。特に、中間膜における上記比が0.05〜0.35であり、上記第1の層中の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が55重量部以上である場合に、本発明に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長を十分に抑制し、かつ合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記比((上記第1の層の厚み)/(中間膜の厚み))の好ましい下限は0.06、より好ましい下限は0.07、更に好ましい下限は0.08、特に好ましい下限は0.1、好ましい上限は0.3、より好ましい上限は0.25、更に好ましい上限は0.2、特に好ましい上限は0.15である。
【0128】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、透明又は不透明な着色領域と、該着色領域とは異なる第2の領域を有していてもよい。中間膜は、透明又は不透明な着色領域R1(第1の領域)と、該着色領域R1とは異なる第2の領域R2とを有していてもよい。中間膜は、一部の領域に着色帯を有していてもよい。多層の中間膜が着色帯を有する場合には、第2,第3の表面層のいずれか一方が着色帯を有することが好ましい。ただし、第1の層が着色帯を有していてもよい。上記着色帯は、例えば、合わせガラス用中間膜又は該中間膜の各層を押出成形する際に、着色剤を所定の領域に配合することにより形成できる。
【0129】
上記第1,第2の合わせガラス構成部材の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記合わせガラス構成部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、1〜3mmの範囲内であることが好ましい。上記合わせガラス構成部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、0.03〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
【0130】
合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に、中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、上記第1,第2の合わせガラス構成部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
【0131】
上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。合わせガラスは、これら以外にも使用できる。合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の合わせガラスであることがより好ましい。合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
【0132】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0133】
先ず、以下のポリビニルアセタール樹脂A〜F,I〜M,O,U〜Zを合成した。
【0134】
(合成例1)
ポリビニルアセタール樹脂Aの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水2700ml、平均重合度2300、けん化度87.5モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として35重量%塩酸を、塩酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド14.2gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド170gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、35重量%塩酸を、塩酸濃度が3.9重量%となるように添加し、45℃に加熱し、45℃で3時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Aを得た。
【0135】
得られたポリビニルブチラール樹脂Aに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は11.5%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Aに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は13.8%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Aの数平均分子量は102,000、重量平均分子量は750,000、水酸基の含有率は22.3モル%、アセチル化度は12.5モル%、ブチラール化度は65.2モル%であった。
【0136】
(合成例2)
ポリビニルアセタール樹脂Bの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水2700ml、平均重合度2300、けん化度87.5モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として35重量%塩酸を、塩酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド14.2gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド175gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、35重量%塩酸を、塩酸濃度が3.9重量%となるように添加し、45℃に加熱し、45℃で3時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Bを得た。
【0137】
得られたポリビニルブチラール樹脂Bに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は15.4%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Bに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は17.3%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Bの数平均分子量は105,000、重量平均分子量は1,175,000、水酸基の含有率は22.0モル%、アセチル化度は12.5モル%、ブチラール化度は65.5モル%であった。
【0138】
(合成例3)
ポリビニルアセタール樹脂Cの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水2700ml、平均重合度2300、けん化度87.5モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として35重量%塩酸を、塩酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド14.2gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド186gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、35重量%塩酸を、塩酸濃度が3.9重量%となるように添加し、45℃に加熱し、45℃で3時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Cを得た。
【0139】
得られたポリビニルブチラール樹脂Cに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は20.9%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Cに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は24.5%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Cの数平均分子量は120,000、重量平均分子量は2,565,000、水酸基の含有率は23.0モル%、アセチル化度は12.5モル%、ブチラール化度は64.5モル%であった。
【0140】
(合成例4)
ポリビニルアセタール樹脂Dの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水2400ml、平均重合度1700、けん化度99.2モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.45重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド27gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド181gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が2.1重量%となるように添加し、48℃に加熱し、48℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Dを得た。
【0141】
得られたポリビニルブチラール樹脂Dに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は8%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Dに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は9.1%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Dの数平均分子量は100,000、重量平均分子量は520,000、水酸基の含有率は21.7モル%、アセチル化度は0.8モル%、ブチラール化度は77.5モル%であった。
【0142】
(合成例5)
ポリビニルアセタール樹脂Eの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3000ml、平均重合度2300、けん化度87.5モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド14gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド165gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が1.3重量%となるように添加し、42℃に加熱し、42℃で3時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Eを得た。
【0143】
得られたポリビニルブチラール樹脂Eに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は16.4%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Eに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は18.7%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Eの数平均分子量は125,000、重量平均分子量は1,062,000、水酸基の含有率は27.0モル%、アセチル化度は12.5モル%、ブチラール化度は60.5モル%であった。
【0144】
(合成例6)
ポリビニルアセタール樹脂Fの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水2700ml、平均重合度1700、けん化度99.2モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として35重量%塩酸を、塩酸濃度が0.2重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド23gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド143gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、35重量%塩酸を、塩酸濃度が1.8重量%となるように添加し、60℃に加熱し、60℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Fを得た。
【0145】
得られたポリビニルブチラール樹脂Fの数平均分子量は125,000、重量平均分子量は1,062,000、水酸基の含有率は30.4モル%、アセチル化度は0.8モル%、ブチラール化度は68.8モル%であった。
【0146】
(合成例7)
ポリビニルアセタール樹脂Iの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3000ml、平均重合度2300、けん化度86.9モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド13gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド180gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が1.7重量%となるように添加し、52℃に加熱し、52℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Iを得た。
【0147】
得られたポリビニルブチラール樹脂Iに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は9%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Iに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は11.6%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Iの数平均分子量は165,000、重量平均分子量は550,000、水酸基の含有率は22.9モル%、アセチル化度は13.1モル%、ブチラール化度は64.0モル%であった。
【0148】
(合成例8)
ポリビニルアセタール樹脂Jの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水2700ml、平均重合度2500、けん化度99.2モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド13gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド200gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が2.0重量%となるように添加し、52℃に加熱し、52℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Jを得た。
【0149】
得られたポリビニルブチラール樹脂Jに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は9.5%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Jに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は11.8%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Jの数平均分子量は167,000、重量平均分子量は448,000、水酸基の含有率は21.2モル%、アセチル化度は0.8モル%、ブチラール化度は78.0モル%であった。
【0150】
(合成例9)
ポリビニルアセタール樹脂Kの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3000ml、平均重合度2320、けん化度94.4モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド13gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド205gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が2.3重量%となるように添加し、51℃に加熱し、51℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Kを得た。
【0151】
得られたポリビニルブチラール樹脂Kに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は9.8%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Kに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は12.0%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Kの数平均分子量は155,000、重量平均分子量は530,000、水酸基の含有率は21.9モル%、アセチル化度は5.6モル%、ブチラール化度は72.5モル%であった。
【0152】
(合成例10)
ポリビニルアセタール樹脂Lの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水2700ml、平均重合度1700、けん化度87.5モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド13gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド175gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が1.9重量%となるように添加し、53℃に加熱し、53℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Lを得た。
【0153】
得られたポリビニルブチラール樹脂Lに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は7.5%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Lに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は9.0%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Lの数平均分子量は158,000、重量平均分子量は546,000、水酸基の含有率は23.5モル%、アセチル化度は12.5モル%、ブチラール化度は64.0モル%であった。
【0154】
(合成例11)
ポリビニルアセタール樹脂Mの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3200ml、平均重合度2300、けん化度99.2モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.4重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド17gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド170gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が2.1重量%となるように添加し、55℃に加熱し、55℃で2.5時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Mを得た。
【0155】
得られたポリビニルブチラール樹脂Mに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は6.9%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Mに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は8.4%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Mの数平均分子量は148,000、重量平均分子量は410,000、水酸基の含有率は20.4モル%、アセチル化度は0.8モル%、ブチラール化度は78.8モル%であった。
【0156】
(合成例12)
ポリビニルアセタール樹脂O合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3000ml、平均重合度2000、けん化度93.5モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド11gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド170gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が1.8重量%となるように添加し、58℃に加熱し、58℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Oを得た。
【0157】
得られたポリビニルブチラール樹脂Oに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は6.6%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Oに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は7.6%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Oの数平均分子量は138,000、重量平均分子量は402,000、水酸基の含有率は20.4モル%、アセチル化度は6.5モル%、ブチラール化度は73.1モル%であった。
【0158】
(合成例13)
ポリビニルアセタール樹脂Uの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3200ml、平均重合度2380、けん化度90.5モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.55重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド13gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド180gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が1.8重量%となるように添加し、55℃に加熱し、55℃で3時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Uを得た。
【0159】
得られたポリビニルブチラール樹脂Uに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は9.4%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Uに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は11.5%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Uの数平均分子量は170,000、重量平均分子量は530,000、水酸基の含有率は23モル%、アセチル化度は9.5モル%、ブチラール化度は67.5モル%であった。
【0160】
(合成例14)
ポリビニルアセタール樹脂Vの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3400ml、平均重合度2450、けん化度82.5モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.65重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド13gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド175gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度1.9重量%となるように添加し、55℃に加熱し、55℃で2.5時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Vを得た。
【0161】
得られたポリビニルブチラール樹脂Vに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は8.5%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Vに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は10.9%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Vの数平均分子量は150,000、重量平均分子量は500,000、水酸基の含有率は23.2モル%、アセチル化度は17.5モル%、ブチラール化度は59.3モル%であった。
【0162】
(合成例15)
ポリビニルアセタール樹脂Wの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3500ml、平均重合度2500、けん化度77.7モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.5重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド15gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド185gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が2.0重量%となるように添加し、51℃に加熱し、51℃で2時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Wを得た。
【0163】
得られたポリビニルブチラール樹脂Wに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は12.5%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Wに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は15%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Wの数平均分子量は170,000、重量平均分子量は650,000、水酸基の含有率は24モル%、アセチル化度は22.3モル%、ブチラール化度は53.7モル%であった。
【0164】
(合成例16)
ポリビニルアセタール樹脂Xの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水2900ml、平均重合度1700、けん化度92.6モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.5重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド14gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド200gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が2.1重量%となるように添加し、50℃に加熱し、50℃で3時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Xを得た。
【0165】
得られたポリビニルブチラール樹脂Xに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は17.3%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Xに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は19.8%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Xの数平均分子量は160,000、重量平均分子量は670,000、水酸基の含有率は22モル%、アセチル化度は7.4モル%、ブチラール化度は70.6モル%であった。
【0166】
(合成例17)
ポリビニルアセタール樹脂Yの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3300ml、平均重合度2350、けん化度95.8モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド14gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド200gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が2.3重量%となるように添加し、52℃に加熱し、52℃で2.5時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Yを得た。
【0167】
得られたポリビニルブチラール樹脂Yに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は14.2%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Yに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は17.6%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Yの数平均分子量は160,000、重量平均分子量は620,000、水酸基の含有率は21.9モル%、アセチル化度は4.2モル%、ブチラール化度は73.9モル%であった。
【0168】
(合成例18)
ポリビニルアセタール樹脂Zの合成:
攪拌装置を備えた反応器に、イオン交換水3700ml、平均重合度2400、けん化度98.7モル%のポリビニルアルコールを300g投入し、攪拌しながら加熱溶解し、溶液を得た。次に、この溶液に触媒として60重量%硝酸を、硝酸濃度が0.6重量%となるように添加し、温度を15℃に調整した後、攪拌しながらn−ブチルアルデヒド17gを添加した。その後、n−ブチルアルデヒド205gを添加したところ、白色粒子状のポリビニルブチラール樹脂が析出した。析出してから15分後に、60重量%硝酸を、硝酸濃度が2.3重量%となるように添加し、53℃に加熱し、53℃で3時間熟成させた。次いで、溶液を冷却し、中和した後、ポリビニルブチラール樹脂を水洗し、乾燥させることにより、ポリビニルブチラール樹脂Zを得た。
【0169】
得られたポリビニルブチラール樹脂Zに占める、絶対分子量100万以上の高分子量成分X(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は11.3%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Zに占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Y(ポリビニルブチラール樹脂)の割合は15.3%であった。得られたポリビニルブチラール樹脂Zの数平均分子量は165,000、重量平均分子量は600,000、水酸基の含有率は20.5モル%、アセチル化度は1.3モル%、ブチラール化度は78.2モル%であった。
【0170】
また、下記のポリビニルブチラール樹脂R〜Tを用意した。
【0171】
ポリビニルブチラール樹脂R:水酸基の含有率:30.4モル%、アセチル化度:0.8モル%、ブチラール化度:68.8モル%
ポリビニルブチラール樹脂S:水酸基の含有率:30.5モル%、アセチル化度:0.8モル%、ブチラール化度:68.7モル%
ポリビニルブチラール樹脂T:水酸基の含有率:30.7モル%、アセチル化度:0.8モル%、ブチラール化度:68.5モル%
得られたポリビニルアセタール樹脂A〜Z(ポリビニルブチラール樹脂A〜Z)を用いて、以下のようにして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0172】
(実施例1)
(1)多層中間膜の作製
得られたポリビニルブチラール樹脂A100重量部に、可塑剤としてのトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)60重量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、中間層用樹脂組成物を得た。さらに、得られたポリビニルブチラール樹脂F100重量部に、可塑剤としてのトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)37.5重量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、表面層用樹脂組成物を得た。
【0173】
得られた中間層用樹脂組成物及び表面層用樹脂組成物を用いて、共押出することにより、表面層と中間層と表面層とが順に積層された多層樹脂膜(縦1000mm×横350mm)を作製した。さらに、140℃に加熱した2本のエンボスロールの間に、100℃に加熱した多層樹脂膜を通過させ、一方の表面及び他方の表面に凹凸形状を付与し、多層中間膜を作製した。凹凸形状は線状の凹部と線状の凸部とを有し、線状の凹部と線状の凸部とが平行になるように形成した。一方の表面の線状の凹部を基準とした場合、他方の表面の線状の凹部を、該基準に対して、30度の角度を有するように形成した。多層中間膜の一方の表面及び他方の表面の十点平均表面粗さ(Rz(μm))をJIS B0601−1994に準拠した方法により、小阪研究所製のSURFCORDER SE1700αを用いて測定したところ、35μmであった。
【0174】
(2)耐貫通性試験に用いる合わせガラスの作製
得られた多層中間膜を、縦30cm×横30cmの大きさに切断した。次に、透明なフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)2枚の間に、多層中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、耐貫通性試験に用いる合わせガラスを得た。
【0175】
(3)遮音性測定に用いる合わせガラスの作製
多層中間膜を、縦30cm×横2.5cmの大きさに切断し、透明なフロートガラス(縦30cm×横2.5cm×厚さ2.5mm)を用いたこと以外は耐貫通性試験に用いる合わせガラスと同様の方法で、遮音性測定に用いる合わせガラスを得た。
【0176】
(4)発泡試験A及びBに用いる合わせガラスの作製
得られた多層中間膜を、縦30cm×横15cmの大きさに切断し、温度23℃の環境下にて、10時間保管した。切断された多層中間膜において、多層中間膜の端部から縦方向にそれぞれ内側に向かって8cmの位置と、多層中間膜の端部から横方向にそれぞれ内側に向かって5cmの位置との交点4箇所に、直径6mmの貫通孔を作製した。
【0177】
透明なフロートガラス(縦30cm×横15cm×厚さ2.5mm)2枚の間に、貫通孔を有する多層中間膜を挟み込み、積層体を得た。積層体の外周縁は、熱融着により端部から幅2cmを封止することにより、エンボスに残留した空気及び貫通孔に残留した空気を封じ込めた。この積層体を135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着することで、残留した空気を多層中間膜中に溶かし込み、合わせガラスを得た。
【0178】
(実施例2〜21及び比較例1,2)
第1〜第3の層の組成を下記の表1〜3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0179】
(実施例22〜24)
多層中間膜の一方の表面及び他方の表面の十点平均表面粗さ(Rz(μm))を下記の表4に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、多層中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0180】
(評価)
(1)遮音性
合わせガラスをダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21−005D」)により加振し、そこから得られた振動特性を機械インピーダンス測定装置(リオン社製「XG−81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレッドパッカード社製「FFTアナライザー HP3582A」)により解析した。
【0181】
このようにして得られた損失係数と合わせガラスとの共振周波数との比から、20℃における音周波数(Hz)と音響透過損失(dB)との関係を示すグラフを作成し、音周波数2,000Hz付近における極小の音響透過損失(TL値)を求めた。このTL値が高いほど、遮音性が高くなる。TL値が35dB以上の場合を「○」、TL値が35dB未満の場合を「×」として、結果を下記の表1〜4に示した。
【0182】
(2)発泡試験A(発泡の状態)
発泡試験Aに用いる合わせガラスを、各多層中間膜について5枚作製し、50℃のオーブン内に100時間放置した。放置後の合わせガラスにおいて、発泡の有無及び発泡の大きさを平面視にて目視で観察し、発泡の状態を下記の判定基準で判定した。
【0183】
[発泡試験Aにおける発泡の状態の判定基準]
5枚の合わせガラスに発生した発泡を、楕円で近似し、その楕円面積を発泡面積とした。5枚の合わせガラスにて観察された楕円面積の平均値を求め、合わせガラスの面積(30cm×15cm)に対する楕円面積の平均値(発泡面積)の割合(百分率)を求めた。
【0184】
○○:5枚全ての合わせガラスに発泡が観察されなかった
○:楕円面積の平均値(発泡面積)の割合が5%未満であった
△:楕円面積の平均値(発泡面積)の割合が5%以上、10%未満であった
×:楕円面積の平均値(発泡面積)の割合が10%以上であった
【0185】
(3)発泡試験B(発泡の状態)
発泡試験Bに用いる合わせガラスを、各多層中間膜について30枚作製し、50℃のオーブン内に24時間放置した。放置後の合わせガラスにおいて、目視で発泡が観察された合わせガラスの枚数を確認し、下記の判定基準で判定した。
【0186】
[発泡試験Bにおける発泡の状態の判定基準]
○○:目視で発泡が観察された合わせガラスは5枚以下であった
○:目視で発泡が観察された合わせガラスは6枚以上10枚以下であった
△:目視で発泡が観察された合わせガラスは11枚以上15枚以下であった
×:目視で発泡が観察された合わせガラスは16枚以上であった
【0187】
(4)耐貫通性
耐貫通性試験に用いる合わせガラス(縦30cm×横30cm)を、表面温度が23℃となるように調整した。次いで、JIS R3212に準拠して、4mの高さから、6枚の合わせガラスに対してそれぞれ、質量2260g及び直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させた。6枚の合わせガラス全てについて、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが3枚以下であった場合は不合格とした。4枚の場合には、新しく6枚の合わせガラスの耐貫通性を評価した。5枚の場合には、新しく1枚の合わせガラスを追加試験し、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。同様の方法で、5m及び6mの高さから、6枚の合わせガラスに対してそれぞれ、質量2260g及び直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させ、合わせガラスの耐貫通性を評価した。
【0188】
(絶対分子量の測定)
上述した合成例1〜5,7〜18に記載の高分子量成分X,Yの割合を求めるための絶対分子量及びポリスチレン換算分子量は、得られた多層中間膜から表面層と中間層とを剥離して、以下のようにして求めた値である。
【0189】
絶対分子量を測定するために、まず多層中間膜を恒温恒湿室(湿度30%(±3%)、温度23℃)に1ヶ月放置した。1ヶ月放置後、多層中間膜から表面層と中間層とを剥離した。剥離された中間層をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、0.1重量%の溶液を調製した。得られた溶液をGel Permeation Chromatography(GPC)装置(日立ハイテク社製「RI:L2490、オートサンプラー:L−2200、ポンプ:L−2130、カラムオーブン:L−2350、カラム:GL−A120−SとGL−A100MX−Sの直列」)により分析した。また、このGPC装置にはGPC用光散乱検出器(VISCOTEK社製「Model270(RALS+VISCO)」)が接続されており、各検出器によるクロマトグラムの分析ができる。RI検出器及びRALS検出器のクロマトグラムにおけるポリビニルブチラール樹脂成分のピークを、解析ソフト(OmniSEC)を用いて解析することにより、ポリビニルブチラール樹脂の各溶出時間における絶対分子量を求めた。RI検出器で検出されるポリビニルブチラール樹脂のピーク面積に占める、ポリビニルブチラール樹脂の絶対分子量が100万以上となる領域の面積の割合を百分率(%)で表した。
【0190】
クロマトグラムにおける各成分のピークには以下の式が成り立つ。
【0191】
RI=c×(dn/dc)×KRI ・・・式(1)
RALS=c×M×(dn/dc)×KRALS ・・・式(2)
【0192】
ここで、cは溶液中のポリマー濃度、(dn/dc)は屈折率増分、Mは絶対分子量、Kは装置定数である。
【0193】
具体的な測定手順として、まず、c、M、および(dn/dc)が既知であるポリスチレン標準試料(VISCOTEK社製 PolyCAL(登録商標) TDS−PS−NB Mw=98390 dn/dc=0.185)を用い、0.1重量%のTHF溶液を調製する。得られたポリスチレン溶液のGPC測定結果から式(1)及び(2)を用いて、各検出器の装置定数Kを求める。
【0194】
次に、剥離した中間層をTHFに溶解させ、THF溶液を調製する。得られたポリビニルブチラール樹脂溶液のGPC測定結果から式(1)及び(2)を用いて、ポリビニルブチラール樹脂の絶対分子量Mを求めた。
【0195】
ただし、中間層(ポリビニルブチラール樹脂と可塑剤とを含む)について分析を行うためには、ポリビニルブチラール樹脂溶液中のポリビニルブチラール樹脂の濃度を求める必要がある。ポリビニルブチラール樹脂の濃度の求め方は、以下の(可塑剤の含有量の測定)の結果から計算した。
【0196】
(分子量yの測定)
上記絶対分子量の測定方法と同様にして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算分子量を測定して、RI検出器で検出されるピーク面積(GPCの測定結果)のうち、分子量が100万以上の領域に相当する面積の割合から、ポリビニルブチラール樹脂に占める、分子量yが100万以上である高分子量成分Yの割合(%)を算出した。
【0197】
ポリスチレン換算分子量を測定するために、分子量既知のポリスチレン標準試料のGPC測定を行う。ポリスチレン標準試料(昭和電工社製「Shodex Standard SM−105」、「Shodex Standard SH−75」)としては、重量平均分子量580、1,260、2,960、5,000、10,100、21,000、28,500、76,600、196,000、630,000、1,130,000、2,190,000、3,150,000、3,900,000の14試料を用いた。それぞれの標準試料ピークのピークトップが示す溶出時間に対して重量平均分子量をプロットし得られる近似直線を検量線として使用した。恒温恒湿室(湿度30%(±3%)、温度23℃)に1ヶ月放置した多層中間膜から表面層と中間層とを剥離した。剥離された中間層をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、0.1重量%の溶液を調製した。得られた溶液をGPC装置により分析し、中間層中の熱可塑性樹脂のピーク面積を測定した。次いで、中間層中の熱可塑性樹脂の溶出時間と検量線から、中間層中の熱可塑性樹脂のポリスチレン換算分子量が100万以上の領域に相当する面積を算出した。中間層中の熱可塑性樹脂のポリスチレン換算分子量が100万以上の領域に相当する面積を、中間層中の熱可塑性樹脂のピーク面積で除算した値を百分率(%)で表すことにより、上記熱可塑性樹脂に占める、上記分子量yが100万以上である高分子量成分Yの割合(%)を算出した。
【0198】
(可塑剤の含有量の測定)
可塑剤の含有量が、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%及び50重量%となるように、THFに可塑剤を溶解させ、可塑剤−THF溶液を調製した。得られた可塑剤−THF溶液をGPC測定し、可塑剤のピーク面積を求めた。可塑剤の濃度に対し可塑剤のピーク面積をプロットし、近似直線を得た。次に、中間層をTHFに溶解させたTHF溶液をGPC測定し、可塑剤のピーク面積から近似直線を用いることにより、可塑剤の含有量を求めた。
【0199】
結果を下記の表1〜4に示す。下記の表1〜4において、「PVB」はポリビニルブチラールを示し、「PVA」はポリビニルアルコールを示し、「3GO」はトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを示し、「3GH」はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートを示す。
【0200】
【表1】

【0201】
【表2】

【0202】
【表3】

【0203】
【表4】

【0204】
また、粘弾性測定装置(レオメトリック社製「ARES」)を用いて、せん断法にて、歪み量1.0%及び周波数1Hzの条件で、昇温速度5℃/分で動的粘弾性の温度分散測定を行い、実施例の中間膜の第1〜第3の層のガラス転移温度を測定した結果、全ての実施例の第1の層のガラス転移温度は30℃以下であり、第1の層のガラス転移温度は第2,第3の層のガラス転移温度より低かった。
【符号の説明】
【0205】
1…中間膜
1X…中間膜
1a…一方の表面
1b…他方の表面
2…第1の層
2a…一方の表面
2b…他方の表面
3…第2の層
3a…外側の表面
4…第3の層
4a…外側の表面
11…合わせガラス
12…第1の合わせガラス構成部材
13…第2の合わせガラス構成部材
21…中間膜
21A…第1の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1層の構造又は2層以上の積層構造を有する合わせガラス用中間膜であって、
1層の構造を有する合わせガラス用中間膜である場合には、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第1の層を備え、
2層以上の積層構造を有する合わせガラス用中間膜である場合には、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第1の層と、該第1の層の一方の表面に積層されており、かつ熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第2の層とを備え、
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂が絶対分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂に占める、前記高分子量成分の割合が7.4%以上であるか、又は、前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂がポリスチレン換算分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂に占める、前記高分子量成分の割合が9%以上であり、
両側の2つの表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有する、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が50重量部以上である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
前記第1の層のガラス転移温度が30℃以下である、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂が絶対分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂に占める、前記高分子量成分の割合が7.4%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂がポリスチレン換算分子量100万以上の高分子量成分を含み、かつ前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂に占める、前記高分子量成分の割合が9%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
前記第1の層中の前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率が31モル%以下である、請求項6に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が40〜80重量部の範囲内である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
2層以上の積層構造を有し、前記第1の層と前記第2の層とを備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第2の層中の前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも多い、請求項1〜9のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項11】
3層以上の積層構造を有する合わせガラス用中間膜である場合には、前記第1の層と、前記第2の層と、前記第1の層の他方の表面に積層されており、かつ熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する第3の層とをさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項12】
3層以上の積層構造を有し、前記第1の層と前記第2の層と前記第3の層とを備える、請求項11に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第3の層中の前記熱可塑性樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量よりも多い、請求項11又は12に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項14】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、該ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、かつアセタール化度が70モル%以上であるか、又は、前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、該ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超える、請求項1〜13のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項15】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、該ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%以下であり、かつアセタール化度が70モル%以上である、請求項14に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項16】
前記第1の層中の前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、該ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が8モル%を超える、請求項14に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項17】
第1,第2の合わせガラス構成部材と、
前記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備え、
前記中間膜が、前記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に、請求項1〜16のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより形成されている、合わせガラス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−6729(P2013−6729A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139852(P2011−139852)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】