説明

合成ゴムとアクリルポリマーに結合した官能化合成ゴムとのブレンドを含む感圧性接着剤

非官能化(例えば、ポリイソブチレン)合成ゴムと、官能化ポリイソブチレンポリマーが結合しているアクリルポリマーアクリルポリマーと、を含む感圧性接着剤組成物が記載される。一部の実施形態では、官能化ポリイソブチレンポリマーは、アクリルポリマー主鎖中に存在する第二官能基と結合している第一官能基水素を有する。他の実施形態では、官能化ポリイソブチレンポリマーは、アクリルポリマー主鎖に共有結合している。テープなどの接着剤物品、接着結合方法及び感圧性接着剤製造方法も記載される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
感圧性接着剤(PSA)は、重要な部類の材料である。近年では、自動車、電化製品及び電子機器市場でのプラスチック、加硫ゴム、熱可塑性加硫物(「TPV」)の使用に有意な増加が見られている。通常、これらの材料は、加硫ゴムの望ましい特性を熱可塑性物質の加工容易性と組み合わせる。しかしながら、これらの及び他の低表面エネルギー基材への接着は、近年では、感圧性接着剤(「PSA」)との接着に先立っての、基材表面の下塗りを必要とする。下塗りプロセスは、高価であり得、労働集約的であり得、環境問題を呈する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
したがって、産業界は、低表面エネルギー基材などの様々な基材に対して良好な接着を呈することができる新規感圧性接着剤に利点を見出し得る。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、非官能化(例えば、ポリイソブチレン)合成ゴムと、官能化ポリイソブチレンポリマーが結合しているアクリルポリマーと、を含む感圧性接着剤組成物が記載される。一部の実施形態では、官能化ポリイソブチレンポリマーは、アクリルポリマー主鎖中に存在する第二官能基と結合している第一官能基水素を有する。他の実施形態では、官能化ポリイソブチレンポリマーは、アクリルポリマー主鎖に共有結合している。
【0004】
別の実施形態では、テープなどの、感圧性接着剤でコーティングされた物品が記載される。この物品は、基材と、基材の少なくとも1つの表面の上にコーティングされた本明細書に記載の感圧性接着剤と、を含む。
【0005】
別の実施形態では、基材を準備することと、基材の表面の上に本明細書に記載の感圧性接着剤を塗布することと、感圧性接着剤を別の基材に接触させることと、を含む接着方法が記載される。
【0006】
別の実施形態では、感圧性接着剤の製造方法が記載される。この方法は、非官能化合成ゴムと、官能化ポリイソブチレンポリマーが結合しているアクリルポリマーと、をブレンドすることを含む。
【0007】
これらの実施形態の各々では、官能化ポリイソブチレンは、典型的には、比較的低い分子量の液体ポリマーであり、10,000g/モル未満の数平均分子量を有する。非官能化(例えば、PIB)合成ゴムは、典型的には、比較的高い分子量のポリマーであり、約75,000g/モル〜4,000,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】合計50重量%の非官能化ポリイソブチレンと、50重量%のアクリルポリマーと、のブレンドの顕微鏡(10倍)写真。
【図2】合計50重量%の官能化ポリイソブチレン及び非官能化ポリイソブチレンと、50重量%のアクリルポリマーと、のブレンドの顕微鏡(10倍)写真。
【図3】合計75重量%の官能化ポリイソブチレン及び非官能化ポリイソブチレンと、25重量%のアクリルポリマーと、のブレンドの顕微鏡(20倍)写真。
【図4】合計50重量%の官能化ポリイソブチレン及び非官能化ポリイソブチレンと、50重量%のアクリルポリマーと、のブレンドの顕微鏡(20倍)写真。
【図5】合計25重量%の官能化ポリイソブチレン及び非官能化ポリイソブチレンと、75重量%のアクリルポリマーと、のブレンドの顕微鏡(20倍)写真。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当該技術分野で使用される用語「感圧性接着剤」とは、(1)侵襲性及び永久的粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着体に付着し続ける十分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り除くのに十分な貼着力を含む特性を有する接着剤組成物を指す。
【0010】
本明細書に記載の感圧性接着剤組成物は、本明細書で「官能化ポリイソブチレン」としても示される、第一官能基を有するポリイソブチレンを少なくとも一種含む。官能化ポリイソブチレンの官能基は、典型的には、アクリルポリマーの主鎖(の、例えば側枝カルボン酸基)に、あるいはアクリルポリマー(の、例えば主鎖)に付加されている官能基に、水素結合又は共有結合できる(例えば末端)基である。
【0011】
一部の実施形態では、官能化ポリイソブチレンは、イソブチレンの官能化ホモポリマーである。他の実施形態では、官能化ポリイソブチレンは、イソブチレン繰り返し単位と、少量の、例えば、スチレン、イソプレン、ブテン又はブタジエンなどの別のモノマー由来の単位と、を含む、コポリマーである。これらのコポリマーは典型的には、そのモノマー混合物中のモノマーの重量比ベースで、イソブチレンを少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、又は少なくとも95重量パーセント含むモノマー混合物から調製する。典型的には、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセントのポリイソブチレンコポリマーがイソブチレン繰り返し単位から生成される。代表的なコポリマーとしては、イソプレンと共重合化されたイソブチレンが挙げられる。
【0012】
官能化ポリイソブチレンは、典型的には、比較的低い〜中程度の数平均分子量(M)を有する液体ポリマーである。Mは、典型的には、少なくとも500g/モル、750g/モル、又は約1,000g/モルである。一部の実施形態では、官能化ポリイソブチレンのMは、25,000g/モル以下、又は10,000g/モル以下、又は5,000g/モル以下である。
【0013】
官能化ポリイソブチレンは、典型的には、示差走査熱量測定法(DSC)により測定されると、約−30℃以下、約−50℃以下、又は約−70℃以下のガラス転移温度を有する。
【0014】
官能化PIBの官能基は、アクリルポリマーの主鎖(の、例えば側枝カルボン酸基)と、あるいはアクリルポリマー(の、例えば主鎖)に付加されている官能基と、水素結合又は共有結合を形成する任意の官能基であることができる。
【0015】
一部の実施形態では、第一官能基と第二官能基は、水素結合を形成する。この実施形態では、ポリイソブチレンの官能基とアクリルポリマーとの間の優勢な結合は、水素結合である。それゆえに、この実施形態では、このような官能基は、共有結合を形成しない。水素結合は、1個の分子又は官能基の水素原子が別の非共有電子に引き付けられる、極性化合物において生じる引力又はブリッジである。水素原子は、1個の極性分子又は官能基の正の末端(水素結合供与体としても既知)であり、別の分子又は官能基の電子的に負の末端(水素結合受容体としても既知)と結合を形成する。非極性共有結合を有する官能基は、水素結合を形成しない。
【0016】
一般的な水素結合供与体としては、カルボン酸、ホスホン酸、リン酸エステル、スルホン酸、スルフィン酸、アルコール及びフェノールが挙げられる。
【0017】
一般的な水素結合受容体としては、アミン、アミド、イミド、ニトリル及び尿素などの窒素含有基、並びに、ピリジン、イミダゾールなどのような芳香族窒素系官能基が挙げられる。他の水素結合受容体としては、カルボキシレート基(カルボン酸、カルボン酸エステル)、ホスホネート、スルホキシド、スルホン及びカルバメートが挙げられる。
【0018】
一実施形態では、アクリルポリマーはカルボン酸官能基を有し、官能化PIBは、アクリル酸のカルボン酸基と水素結合する官能(例えば、末端)基を有する。この実施形態では、官能化PIBの官能基は、アクリレート、メタクリレートではなく、又は、遊離ラジカル重合を介して(メタ)アクリレート基と共有結合する任意の他の官能基ではない。このアプローチは、これが、アミン又はイミドなどの末端窒素含有基を有する、市販の官能化PIBを利用できるので、好ましいものであり得る。
【0019】
様々な官能化PIB材料が市販されている。例えば、約1,000グラム/モルの数平均分子量(M)を有し、モル質量分布(M/M)=1.6であるポリイソブチレンアミンは、BASF Corporation(Florham Park,NJ)から商品名「Kerocom(登録商標)PIBA03」で市販されている。更に、ポリイソブテンスクシンイミドは、BASFから商品名「Kerocom(登録商標)PIBSI」で入手可能である。Mが約1,000グラム/モルの無水物末端ポリイソブチレンは、BASFから商品名「Glissopal SA」で入手可能である。
【0020】
市販の官能化PIB材料は、カルボン酸基がプロトン供与体(すなわち、水素結合供与体)であり、窒素含有基(すなわち、アミン又はイミド)がプロトン受容体(すなわち、水素結合受容体)である、水素結合の形成に好適である。
【0021】
しかしながら、官能基が逆であり得ることも考えられる。例えば、アクリルポリマーのカルボン酸基が予め反応してこれらの基を、ある官能基に転化してそれが次いで今度はPIBのカルボン酸基と水素結合を形成するのであれば、官能化PIBは、(例えば、末端)カルボン酸基を有してもよい。
【0022】
例えば、ポリイソブチレンアミン(例えば、Kerocom(登録商標)PIBA03)は、無水物(コハク酸無水物又はグルタル酸無水物など)と反応して、カルボン酸官能化PIBを供給することもできる。カルボン酸官能化PIBはまた、無水物末端ポリイソブチレン(例えば、Glissopal SA)をアルコール(1−オクタノールなど)と反応させて、エステル及びカルボン酸の末端のPIBを供給することにより調製され得る。
【0023】
アミン官能化アクリルポリマーは、少なくとも一種のアミノコモノマーをアルキル(メタ)アクリレートモノマーと共重合することにより、調製することができる。好適なアミノコモノマーは、少なくとも1個の二級アミノ基を含有するオレフィン不飽和重合性化合物であり、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート又はメタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルアミンなどのアミノメタクリレートである。アミノ基はまた、酸ポリマーをエチレンイミンなどのアジリジンと反応させることにより、並びに、アミン官能基をポリマーに付加するための既知の他の技術により、得ることができる。
【0024】
様々なアミノコモノマーが既知であり、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMAm);N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド(DEAPMAm);N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA);N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA);N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート(DMAPA);N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート(DEAPA);N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA);N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA);N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAm);N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド(DMAEMAm);N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド(DEAEAm);N,N−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド(DEAEMAm);N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル(DMAEVE);N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル(DEAEVE);及びこれらの混合物が挙げられる。他の有用な塩基性モノマーとしては、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、三級アミノ官能化スチレン(例えば、4−(N,N−ジメチルアミノ)−スチレン(DMAS)、4−(N,N−ジメチルアミノ)−スチレン(DEAS))、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
他の官能化ポリイソブチレンは、当該技術分野において既知の様々な方法により調製することができる。例えば、ヒドロキシ官能化PIBはまた、無水物末端ポリイソブチレン(例えば、Glissopal SA)をアミノアルコール若しくはジオールと反応させることにより、又は、ポリイソブチレンアミン(例えば、Kerocom(登録商標)PIBA03)を2−クロロエタノール若しくはエポキシドと反応させることにより、合成することもできる。ピリジン官能化PIB系材料は、アミノ若しくはヒドロキシ含有ピリジン化合物をポリイソブチレン(例えば、コハク酸)無水物(例えば、Glissopal(登録商標)SA)と反応させることにより、合成することができる。あるいは、ポリイソブチレンアミン(例えば、Kerocom(登録商標)PIBA03)は、3−(クロロメチル)ピリジンと反応させて、ピリジル置換PIB誘導体を供給することができる。カルバメート官能化PIBは、ポリイソブチレンアミン(例えば、Kerocom(登録商標)PIBA03)をイソシアネート求電子試薬と反応させることにより、得ることもできる。
【0026】
あるいは、官能化PIBの第一官能基とアクリルポリマーの第二官能基は、共有結合を形成する。この実施形態では、官能化PIBの第一官能基は、アクリルポリマーの主鎖と共有結合を形成する任意の官能基であることができる。あるいは、官能化PIBの第一官能基は、典型的なアルキル(メタ)アクリレートモノマーと共重合することができる重合性(メタ)アクリレート官能基である。
【0027】
多くの一般的な官能基を使用して、PIB材料とアクリルモノマーとの間に共有結合を形成することができる。例えば、アミン官能化又はアルコール官能化PIB材料は、活性化エステル型官能基を含む(メタ)アクリレートポリマーと反応することもできる。このような活性化エステルとしては、無水物、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、及び酸塩化物が挙げられる。例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル官能基を含有するアクリレートポリマーは、アクリル酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルをアクリレートモノマーとして使用することにより、調製することができる。あるいは、(メタ)アクリレートポリマーのカルボン酸残基は、当該技術分野において既知の一般的方法により転化してエステルを活性化することもできる。共有結合したPIB−アクリレート材料を作製するための別の経路は、アミン官能化又はアルコール官能化PIB材料を、アズラクトン環を含有した(メタ)アクリレートポリマーと反応させることである。アズラクトン環を有する(メタ)アクリレートポリマーは、2−ビニル−4,4−ジメチル−5−オキサゾロンを使用することにより、調製することができる。好適なアミン官能化PIB材料は、Kerocom(登録商標)PIBA03である。
【0028】
共有結合したPIB−(メタ)アクリレート材料を作製するための更に別の戦略は、アミン官能化又はヒドロキシ官能化PIB材料を、イソシアネート官能化(メタ)アクリレートポリマーと反応させることである。このような(メタ)アクリレートポリマーは、2−イソシアナトエチルメタクリレートをコモノマーとして使用することにより、調製することができる。
【0029】
第一及び第二反応官能基を逆にすることも可能である。例えば、アミン官能化又はヒドロキシ官能化(メタ)アクリレートポリマーは、活性化エステルで官能化されているPIBポリマーと反応することができる。アミン官能化(メタ)アクリレートポリマーは、アミン官能化(メタ)アクリレートモノマー(上記を参照されたい)をコモノマーとして使用することにより、調製することができる。アルコール官能化(メタ)アクリレートポリマーは、例えば、(メタ)アクリレートポリマーの調製において2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレートをコモノマーとして使用することにより、調製することができる。アミン官能化又はアルコール官能化(メタ)アクリレートポリマーにとって好適な反応相手は、Glissopal(登録商標)SAなどの無水物官能化PIB材料であり得る。
【0030】
メタクリレート官能化及びアクリレート官能化PIBは、当該技術分野において既知のように、合成することができる。例えば、国際公開第2008/066914号、米国特許第5,171,760号、及び、「Sytheses and Characterization of Polyisobutylene Macromonomer with Methacrylate,Acrylate,Glycidyl Ether,or Vinyl Ether End−Functionality」(Macromolecules 2009,42,3958〜3964)を参照されたい。更に、米国特許第5665823号及び同第60554549号は、PIB鎖とアクリレート官能基との間にシロキサン結合を有するアクリレート官能化PIBポリマーを作製するために使用できるシラノール末端基を有するPIB系材料を記載している。
【0031】
官能化PIB材料内の官能基の存在及び濃度は、プロトン核磁気共鳴により決定することができる。典型的には、官能化PIB材料は、少なくとも3モル%の官能基を含む。官能基の濃度は、通常、10モル%以下である。
【0032】
感圧性接着剤組成物中の官能化PIB材料の量は、接着剤組成物の所望される最終用途に依存して、様々であり得る。しかしながら、典型的には、官能化PIB材料の濃度は、ポリオレフィンから調製されるものなどの低表面エネルギー基材との接着を改善するために、少なくとも2重量%、又は5重量%、又は10重量%である。官能化PIB材料の濃度は、典型的には、40重量%以下である。特に感圧性接着剤組成物がより高い表面エネルギー基材についての使用も意図される場合には、官能化PIB材料の濃度は、典型的には、5重量%〜30重量%であり、この場合、比較的低い分子量(例えば、10,000g/モル未満のM)を有する官能化PIB材料を利用する。
【0033】
図1〜2を参照すると、官能化PIB材料は、比較的高い分子量のPIB材料をアクリルポリマー材料と相溶させると推測される。官能化PIB材料と非官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料の重量比は、約1:1〜約1:3の範囲であることができる。
【0034】
本明細書に記載の感圧性接着剤組成物は、少なくとも1つのアクリルポリマーを更に含む。アクリルポリマーは、通常、少なくとも1つのアクリル(メタ)アクリレートと、アクリルポリマーの主鎖に沿った官能基を供給する少なくとも1つのコモノマー、最も一般的にはカルボン酸と、の反応生成物を含む。一部の実施形態では、接着剤組成物のアクリルコポリマーは、少なくとも約70重量%、一部の実施形態では少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は更には約98重量%の、少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートを含む。
【0035】
一部の実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートは、4〜20個の炭素原子、例えば、4〜8個の炭素原子を含有する。代表的なアルキル(メタ)アクリレートとしては、イソオクチルアクリレート(IOA)、2−オクチルアクリレート(2−OA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、ブチルアクリレート(BA)、イソボルニルアクリレート(IBA)及びこれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、PSAにおいて利用されるアクリルコポリマーは、イソオクチルアクリレート及びイソボルニルアクリレートなどのこのようなアルキル(メタ)アクリレートを少なくとも2つ含む。
【0036】
一部の実施形態では、アクリル接着剤組成物は、カルボン酸などのコモノマーを10部以下含む。一部の実施形態では、コモノマーが、PIBの官能性を補う官能基を供給するので、コモノマーの濃度は、典型的には少なくとも0.5、1、2、3、4又は5重量%である。代表的なコモノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸などのカルボン酸が挙げられる。一部の実施形態では、5重量%〜10重量%又は15重量%のコモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸)濃度は、剪断力値により明らかになるように、貼着力の増加をもたらす。
【0037】
感圧性接着剤組成物中のアクリルポリマーの量は、接着剤組成物の所望される最終用途に依存して、様々であり得る。しかしながら、典型的には、アクリルポリマーの濃度は、少なくとも20重量%又は25重量%である。アクリルポリマーの濃度は、最大75重量%又は80重量%の範囲であり得る。特に感圧性接着剤組成物がより高い表面エネルギー基材及びより低い表面エネルギー基材の両方についての使用も意図される場合には、アクリルポリマーの濃度は、典型的には、30重量%〜70重量%、35重量%〜65重量%、又は40重量%〜60重量%の範囲である。図3〜5を参照すると、アクリルポリマーとPIBポリマー全体(すなわち、官能化PIBと非官能化PIBの両方の総量)の重量比が1:1に迫るにつれて、ブレンドは共連続相モルホロジー(すなわち、半相互貫入網目)を有することができる。
【0038】
一部の実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートモノマーと官能化するコモノマーとをアクリルポリマーに予備重合し、次に官能化PIBと組み合わせる。
【0039】
他の実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートモノマーと官能化するコモノマーとを官能化PIBと組み合わせ、次にモノマーを重合する。アルキル(メタ)アクリレートモノマーと官能化PIBは、熱反応開始剤又は光開始剤の使用により、重合することができる。熱反応開始剤は、多くの場合、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、又はアゾ化合物である。あるいは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ベンゾイン又はベンゾインアルキルエーテルが挙げられるがこれらに限定されない、α−開裂型光開始剤の使用により紫外線を用いて重合することができる。いずれの調製方法も官能化PIBとアクリルポリマーのブレンドを含む組成物を生じ、ここで、官能化PIBは、アクリルポリマーの主鎖に沿った官能基に水素結合又は共有結合する。
【0040】
アルキル(メタ)アクリレートモノマーと官能化するコモノマーがアクリルポリマーに予備重合され、次に官能化PIBと組み合わされる実施形態では、官能化PIBとアクリルポリマーの反応生成物は、以下のように表すことができ、式中、Zは、補足的官能基間の水素結合又は共有結合を表す。
【化1】

【0041】
一部の実施形態では、接着剤は、架橋剤又はいかなる他の任意成分も不在の中で、アクリルポリマーに水素結合又は共有結合した官能化PIBと非官能化(例えば、PIB)合成ゴムだけを含んでもよい。
【0042】
他の実施形態では、本開示の接着剤は、これらの機械的特性を改善するために架橋されてもよい。多くの実施形態では、感圧性接着剤の貼着強度(静的剪断力により示される)を改善するためには、化学的架橋が好ましい。例えば、接着剤は、アクリルポリマーの(例えば、カルボン酸)官能基を互いに架橋する又はアクリルポリマーの官能基を官能化PIBの官能基と架橋するのに好適な化学的架橋剤を含んでもよい。アジリジン又はビスアジリジンなどの好適な架橋剤は、当該技術分野において既知である。1つの好適なビスアジリジン架橋剤は、米国特許仮出願第61/158,485号(2009年3月9日出願)(Peiwang Zhu et al.「AZIRIDINE CROSSLINKING AGENTS FOR ACRYLIC ADHESIVES」)に記載のように調製される。
【0043】
感圧性接着剤(例えば、前駆体)が化学的架橋剤を更に含む場合、官能化PIBとアクリルポリマーの反応生成物は、以下のように表すことができる。
【化2】

【0044】
存在する場合、感圧性接着剤組成物中の化学的架橋剤の濃度は、典型的には、少なくとも0.025重量%であり、2重量%以下である。
【0045】
接着剤は、少なくとも1つの非官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料を更に含む。非官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料は、典型的には、官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料よりも実質的に高い分子量を有する。一部の実施形態では、非官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料の重量平均分子量(M)は、少なくとも75,000グラム毎モル、少なくとも100,000グラム毎モル、少なくとも250,000グラム毎モル、少なくとも500,000グラム毎モル、又は更には少なくとも1,000,000グラム毎モルである。重量平均分子量は、典型的には、4,000,000g/モル以下である。
【0046】
非官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料は、ホモポリマー、コポリマー又はこれらの混合物であることができる。コポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであってよい。ブロックコポリマーは、高分子材料の主鎖中、側鎖中、又は主鎖及び側鎖の両方にポリイソブチレン部分を含むことができる。ポリイソブチレン材料は、典型的には、イソブチレンを単独で重合することにより、又は、塩化アルミニウム、三塩化ホウ素(共触媒としての四塩化チタンと共に)若しくは三フッ化ホウ素の存在下で追加のエチレン性不飽和モノマーを加えてイソブチレンを重合することにより、調製される。
【0047】
非官能化ポリイソブチレン材料は、複数のメーカーから市販されている。ホモポリマーは、例えば、BASF Corp.(Florham Park,NJ)から商品名OPPANOL(例えば、OPPANOL B10、B15、B30、B50、B100、B150、及びB200)で市販されている。これらのポリマーは、多くの場合、約40,000〜4,000,000グラム毎モルの範囲の重量平均分子量(M)を有する。更に他の代表的なホモポリマーは、United Chemical Products(UCP)(St.Petersburg,Russia)から、広範な分子量で市販されている。例えば、ホモポリマーは、約35,000〜65,000グラム毎モルの範囲の粘度平均分子量(M)を有する商品名SDGとしてUCPから市販されている。商品名EFROLENとしてUCPから市販されているホモポリマーは、約480,000〜約4,000,000グラム毎モルの範囲の粘度平均分子量(M)を有する。商品名JHYとしてUCPから市販されているホモポリマーは、約3000〜約55,000グラム毎モルの範囲の粘度平均分子量を有する。これらのホモポリマーは典型的には、反応性二重結合を有さない。非官能化(例えば、PIB)合成ゴムは、非常に低濃度で反応性二重結合又はその重合の残留物である他の官能基を有し得る。このような反応性二重結合又は他の官能基の濃度は、典型的には、5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満又は2モル%未満である。このようなオレフィン性不飽和は、通常、無極性であり、したがって、水素結合の形成に好適な官能基ではない。このようなオレフィン性不飽和はまた、典型的には、フリーラジカル重合を介しての共有結合の形成に好適な官能基ではない。
【0048】
感圧性接着剤組成物中の非官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料の濃度は、典型的には、少なくとも5重量%、10重量%、又は15重量%であり、40重量%又は50重量%以下である。一部の実施形態では、非官能化(例えば、PIB)合成ゴムの濃度の範囲は、約500,000g/モルの分子量を有する非官能化(例えば、PIB)合成ゴムに基づく。
【0049】
一部の実施形態では、接着剤は、アクリルポリマーに水素結合又は共有結合した官能化(例えば、PIB)合成ゴム、架橋剤、並びに、高分子量非官能化(例えば、PIB)合成ゴム及び低分子量非官能化(例えば、PIB)合成ゴムの両方を含む。低分子量非官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料は、室温で液体であり、様々なエラストマー材料と共に可塑剤として機能することができる。通常、このようなポリイソブチレン材料は、10,000g/モル以下、例えば、5,000g/モル以下、又は更には2,000g/モル以下の数平均分子量を有する。数平均分子量は、典型的には、約500g/モル又は1000g/モルである。重量平均分子量の数平均分子量に対する比は典型的には、約1.6〜2.0の範囲である。
【0050】
代表的な低分子量ポリイソブチレンホモポリマーは、BASF Corp.(Florham Park,NJ)から商品名GLISSOPAL(例えば、GLISSOPAL 1000、1300、及び2300)で市販されている。これらのポリイソブチレン材は通常、末端二重結合を有し、反応性ポリイソブチレン材とみなされる。
【0051】
存在する場合、感圧性接着剤組成物中の低分子量ポリイソブチレン(例えば、PIB)材料の濃度は、典型的には、少なくとも5重量%、10重量%、又は20重量%であり、30重量%以下である。
【0052】
一部の実施形態では、接着剤は、いかなる粘着付与剤又は可塑剤も不在の中、アクリルポリマーに水素結合した官能化(例えば、PIB)合成ゴム、架橋剤、高分子量非官能化(例えば、PIB)合成ゴム材料を含んでもよい。他の実施形態では、接着剤は、少なくとも1つの粘着付与剤、可塑剤又はこれらの混合物を含む。
【0053】
粘着付与剤は、任意の好適な軟化温度、つまり軟化点を有してよい。軟化温度は、多くの場合、200℃未満、180℃未満、160℃未満、150℃未満、125℃未満、又は120℃未満である。しかしながら、熱が発生する傾向がある用途において、粘着付与剤は、多くの場合、少なくとも75℃の軟化点を有するように選択される。接着剤組成物が、電子装置又は電子部品などからの熱に曝されるとき、このような軟化点は、粘着付与剤の、接着剤組成物の残りの部分からの分離を最小限にする。軟化温度は、多くの場合、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、又は少なくとも95℃であるように選択される。しかしながら、熱が発生しない用途において、粘着付与剤は、75℃未満の軟化点を有することができる。
【0054】
代表的な粘着付与剤としては、炭化水素樹脂及び水素添加炭化水素樹脂が挙げられ、例えば、水素添加脂環式樹脂、水素添加芳香族樹脂又はこれらの組み合わせである。好適な粘着付与剤は市販されており、例えば、荒川化学工業株式会社(日本、大阪)から商品名ARKONで入手可能なもの(例えば、ARKON P又はARKON M)、Exxon Mobil Corporation(Houston,TX)から商品名ESCOREZで入手可能なもの(例えば、ESCOREZ 1315、1310LC、1304、5300、5320、5340、5380、5400、5415、5600、5615、5637及び5690)、並びに、Eastman Chemical(Kingsport,TN)から商品名REGALREZで入手可能なもの(例えば、REGALREZ 1085、1094、1126、1139、3102及び6108)が挙げられる。
【0055】
粘着付与剤の濃度は、目的の接着剤組成物に依存して様々であることができる。一部の実施形態では、粘着付与剤の量は、少なくとも10重量%又は20重量%である。粘着付与剤の最大量は、典型的には40重量%以下、50重量%以下、又は60重量%以下である。
【0056】
他の任意の添加剤としては、例えば、開始剤、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール、オキサゾール酸(oxazolic acid)アミド、ベンゾフェノン、又はこれらの誘導体)、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミン又はその誘導体、イミダゾール又はその誘導体、リン系安定剤、及びイオウエステル系安定剤)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール化合物、リン酸エステル、又はこれらの誘導体)を挙げることができる。代表的な酸化防止剤としては、Ciba Specialty Chemicals Incorporated(Tarrytown,NY)から入手可能なものが挙げられる。
【0057】
本開示の接着剤は、基材と組み合わせて、任意の数の典型的な接着剤物品、例えば、単面接着テープ及び両面接着テープ、並びに貼り合わせ用接着剤を形成してもよい。通常、貼り合わせ用接着剤は、接着剤の遊離フィルム又は支持体(例えば、織布若しくは不織布スクリム)が埋め込まれた接着剤フィルムのいずれかを含んでもよい。このような製品は、接着剤を剥離ライナー上に塗布(例えば、コーティング、キャスティング又は押出)し、接着剤を乾燥及び/又は硬化することにより、形成することができる。
【0058】
本開示の接着剤はまた、基材の1つの側又は両側の基材に塗布されて、単面接着テープ又は両面接着テープを形成してもよい。紙、高分子フィルム及び金属(例えば、金属箔)の1つ以上を含む単層又は多層接着剤などの任意の既知の基材と金属(例えば、金属箔)を使用してもよい。一部の実施形態では、基材の1層以上は、発泡体であってもよい。一部の実施形態では、接着層の一方又は両方は、基材に直接接着されてもよい。一部の実施形態では、接着層の一方又は両方は、基材に間接的に接着されてもよい。例えば、一部の実施形態では、1つ以上の中間層(例えば、下塗層)は、基材と接着剤層の間に設けられ得る。
【0059】
接着剤は、様々な金属及び高分子材料に結合させるのに有用である。金属は、典型的には、少なくとも約500ダイン/cmの表面エネルギーを有する。例えば、ステンレス鋼は、約700〜1100ダイン/cmの表面エネルギーを有すると報告される。無機酸化物は、通常、金属の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する。例えば、ガラスは、約250〜500ダイン/cmの表面エネルギーを有すると報告される。この接着剤は、様々な高分子材料への接着に特に有用である。プラスチックなどの高分子材料は、通常、100ダイン/cm未満、75ダイン/cm未満、又は50ダイン/cm未満の表面エネルギーを有する。例えば、ポリエステルは43ダイン/cmの表面エネルギーを有し、ポリカーボネートは42ダイン/cmの表面エネルギーを有し、ポリ塩化ビニルは39ダイン/cmの表面エネルギーを有し、アクリルは38ダイン/cmの表面エネルギーを有する。更に低い表面エネルギーの材料は、37ダイン/cm未満の表面エネルギーを有する。これらとしては、例えば、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、アセタール、エチレンビニルアセテート及びポリエチレンが挙げられ、31ダイン/cmの表面エネルギーを有すると報告されている。
【0060】
感圧性接着剤は、目的の最終用途に依存して、様々な剥離及び剪断力特性を呈することができる。
【0061】
一部の実施形態では、ガラス、ステンレス鋼、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)又はEPDMに対する90度剥離は、一時的に取り外し可能なPSA又は低温PSAについて、少なくとも5オンス/インチ(5N/dm)である。マスキングテープについては、ガラス、ステンレス鋼、HDPE、PP又はEPDMに対する90度剥離は、典型的には15〜20オンス/インチ(16〜22N/dm)である。他の実施形態では、ガラス、ステンレス鋼、HDPE又はPPに対する90度剥離は、少なくとも50、60、70、80又は90オンス/インチ(55、66、77、88又は99N/dm)である。少なくとも一部の実施形態では、室温(23℃)での剪断力は、少なくとも300分、500分、又は800分である。一部の好ましい実施形態では、接着剤は、高表面エネルギー基材及び低表面エネルギー基材の両方に対して良好な接着を呈する。このような実施形態では、ガラス又はステンレス鋼に対する90度剥離は、少なくとも30、40、50又は60オンス/インチ(33、44、55又は66N/dm)であるPPに対する90度剥離と組み合わせて、少なくとも50、60、70、80又は90オンス/インチ(55、66、77、88又は99N/dm)である。更に、EPDMに対する90度剥離は典型的には少なくとも30、40又は50オンス/インチ(33、44又は55N/dm)であり、一方、HDPPに対する90度剥離は典型的には少なくとも30、40又は50オンス/インチ(33、44又は55N/dm)である。一部の好ましい実施形態では、室温(23℃)又は70℃での剪断力は、少なくとも2,000分、4,000分、8,000分、又は10,000分である。
【0062】
以下の非限定例は、本発明の代表的な接着剤及び接着剤物品、並びに、このような接着剤及び接着剤物品の代表的な製造方法を更に説明する。パーセントは、特に指示のない限りすべて重量による。
【0063】
試験方法:
90°角度剥離接着強度試験.90°の角度での剥離接着強度の評価は、ASTM国際規格D3330の方法Fに記載のように、1.3cm×20cm(1/2インチ×8インチ)試験試料を用いて、IMASS SP−200滑り/剥離試験機(IMASS,Inc.(Accord,MA)から入手可能)を305mm/分(12インチ/分)の剥離速度で使用して、行った。2.0kg(4.5ポンド)のゴムローラーでテープをロールダウンすることにより、4回の通過を用いて、試料を試験パネルに接着させた。試験パネルには以下のものが挙げられる。
【0064】
【表1】

【0065】
1:1のイソプロピルアルコール/水混合物で試験パネルを洗浄し、使用前に十分に乾燥させた。特に説明しない限り、試験パネルに対して制御された環境空間における15分の滞留時間後、剥離試験を行った。テープをパネルから取り外すのに必要とされる平均剥離接着力はオンス単位で測定され、2つの試験試料に基づいてオンス/インチで表される。
【0066】
23℃/50%相対湿度での静的な剪断力強度:ASTM国際規格D3654の手順Aに記載のように、1.3cm×2.5cm(1/2インチ×1インチ)の試験試料及び1000gのおもりを用いて、静的剪断力強度の評価を行った。試験パネルはステンレス鋼(「SS」)であった。破損するまでの時間を、分単位で記録した。10,000分後に破損が観察されなかった場合、試験を停止し、>10,000分の値を記録した。
【0067】
70℃での静的な剪断力強度:ASTM国際規格D3654の手順Aに記載のように、1.3cm×2.5cm(1/2インチ×1インチ)の試験試料及び500gのおもりを用いて、静的剪断力強度の評価を行った。試験パネルはステンレス鋼(「SS」)であった。破損するまでの時間を、分単位で記録した。10,000分後に破損が観察されなかった場合、試験を停止し、>10,000分の値を記録した。
【0068】
【表2】

【0069】
一般手順全ての反応は、入手したままの市販の試薬を用いて、丸底フラスコ又はガラス広口瓶/バイアル瓶で行った。
【0070】
以下の手順に従って、非官能化PIBを更に含む接着剤組成物を調製した:Kerocom(登録商標)PIBA03をガラスバイアル瓶に加えた。次に、イソオクチルアクリレート/アクリル酸コポリマー溶液(例えば、94:6のイソオクチルアクリレート:アクリル酸、又は、90:10のイソオクチルアクリレート:アクリル酸の35重量%酢酸エチル溶液)を添加し、続いて、非官能化PIB(15重量%トルエン溶液)を粘着付与剤(例えば、E1310)と共に添加した。追加のトルエンを添加して、固体全体の濃度を35重量%に等しくした。様々な配合物中の各成分の濃度は、表に示す。溶液が半透明になるまで振盪することにより成分をよく混合し、成分を均一に分散させた。コーティングの直前に、ビスアジリジン架橋剤(トルエン中15重量%溶液)を添加し、配合物を再び振盪してよく混合した。9ミルの間隙を用いて、シリコーン剥離ライナー(Silphan S36 M74A)上に手で広げた。このフィルムをオーブンで70℃にて30分にわたって乾燥させた。次に、接着剤フィルムを室温に放冷した。接着剤フィルムは、0.0019”(0.048mm)の厚さであった。貼着力及び接着力試験の間、2ミル(0.0020”)(0.051mm)の厚さの陽極化アルミニウムを接着剤の裏材としてPSAテープ上に積層した。
【0071】
【表3】

【0072】
図1〜2を参照すると、対照B及び実施例1の組成物のモルホロジーは、顕微鏡検査(10倍)を介して調査した。図2を参照すると、実施例1の接着剤は、アクリルポリマーに結合した官能化PIB(例えば、PIBA03)を含み、図1よりも均一に分散した相領域を呈し、対照Bの接着剤は官能化PIBを欠いている。理論に束縛されるものではないが、相領域の分散均一性は、接着特性に密接に関連すると推測される。例えば、対照Bは、PP及びEPDMなどの低表面エネルギー基材に対してより低い剥離接着を呈する。このような結果は、対照A、純粋なアクリル−PSAと比較可能である。しかしながら、実施例1及び2は、より均質な相及びより小さな相領域を呈する。したがって、官能化PIBの存在は、非官能化高分子量(例えば、PIB)合成ゴムとアクリルポリマーの2つの不混和性相を相溶化する。得られた接着剤組成物は、低エネルギー表面基材の剥離接着の改善を呈する。
【0073】
【表4】

【0074】
図3〜5を参照すると、実施例3〜5の組成物のモルホロジーも、顕微鏡検査(20倍)を介して調査した。図3は、75重量%のPIB(45重量%の非官能化PIB及び30重量%の官能化PIB)とのブレンドは、図3のより明るい領域により明らかなように連続的なPIB領域、及び、暗いアクリルコポリマー領域の凝集も呈した。図4では、50重量%のPIBとのブレンドは、モルホロジーを共連続相(すなわち、半相互貫入網目)に変えた。図5で明らかなように、25重量%のPIBを有するブレンドでは、PIB領域は、連続的なアクリルコポリマー相に埋め込まれた液滴になった。
【0075】
【表5】


a.1000gのおもりを用い、約30℃の室温にてステンレス鋼上の0.5”(12.7mm)×1.0”(25.4mm)片を使用して、剪断力データを得た。
b.及び10重量%のF85
【0076】
【表6】

【0077】
【表7】

【0078】
PIB−アクリレートマクロモノマー.およそ1/8”(7.9mm)の穴を有するプラスチックキャップを4オンス琥珀色薬瓶に取り付けた。Glissopal(登録商標)SA(60.0g)及び電磁撹拌棒を加えた。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(6.00mL、6.07g、52.2mmol)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.0520g、0.426mmol)を添加した。反応液にプラスチックキャップで蓋をし、一片のTeflon(登録商標)チューブを孔を通してねじ込み、反応混合物の底に押し入れた。チューブを通して空気を送り込み、反応工程の間、反応混合物中に気泡として通した。反応液を油浴槽に配置し、撹拌しながら100℃に加熱した。3日後、反応液を油浴槽から取り出し、室温に放冷した。淡黄色の非常に粘稠な液体として、アクリレート生成物を得た。
【化3】

【0079】
PIBマクロモノマーを用いるアクリレートコポリマー調製の一般手順Teflon(登録商標)被覆糸でPIBマクロモノマー(1.00g)を4オンス琥珀色薬瓶に加えた。ヘキサン(8.50mL、5.60g)を添加し、混合物を40分にわたって音波処理して、マクロモノマーを溶解させた。次に、イソオクチルアクリレート(2.00g)、アクリル酸(0.150g)及びVazo(登録商標)67(0.010g)を添加し、混合物を均質になるまで混合した。反応液を窒素で7分にわたって散布し、次にTeflon(登録商標)裏張りプラスチックキャップで素早く封止した。反応液を更にTeflon(登録商標)テープ及び絶縁テープで封止した。反応液を65℃で水浴槽/振盪機に配置し、穏やかに撹拌した。24時間後、反応液を水浴槽から取り出し、室温に放冷した。次に、反応混合物をメタノール(100mL)に撹拌しながら加えたところ、ポリマー生成物を沈殿した。濁ったメタノール溶液をデカントし、粘稠な淡黄色の物質をメタノールで洗浄した(3×5mL)。沈殿生成物を20mLガラスバイアル瓶にヘキサンと共に移し、次に、減圧下で乾燥させたところ、透明な淡黄色のゴム状固体としてポリマー生成物(2.31g、73.1%)を得た。
【化4】

【0080】
次に、アクリレート−PIBコポリマーを利用して、先述したのと同じ方法で接着剤組成物を調製した。
【0081】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非官能化合成ゴムと、
アクリルポリマーであって、官能化ポリイソブチレンポリマーが前記アクリルポリマーに結合しているアクリルポリマーと、を含む、感圧性接着剤組成物。
【請求項2】
前記官能化ポリイソブチレンポリマーが、前記アクリルポリマー主鎖中に存在する第二官能基と結合している第一官能基水素を有する、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項3】
前記第一又は第二官能基が水素結合受容体であり、前記官能基のうちのもう一方が水素結合供与体である、請求項2に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項4】
前記官能化ポリイソブチレンポリマーが、前記アクリルポリマー主鎖に共有結合している、請求項1に記載の感圧性接着剤。
【請求項5】
前記アクリルポリマー主鎖に結合している前記官能化ポリイソブチレンポリマーが、(メタ)アクリレート官能化PIBとアルキル(メタ)アクリレートモノマーから調製される、請求項4に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項6】
前記非官能化合成ゴムがポリイソブチレンを更に含む、請求項1に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項7】
前記官能化ポリイソブチレンが10,000g/モル未満の数平均分子量を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項8】
前記非官能化合成ゴムが約75,000g/モル〜4,000,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項9】
前記アクリルポリマーが少なくとも1つのアクリル(メタ)アクリレートと少なくとも1つのカルボン酸のコポリマーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項10】
前記アルキル(メタ)アクリレートがC4〜C20アルキル(メタ)アクリレートである、請求項9に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項11】
前記アルキル(メタ)アクリレートがC4〜C8アルキル(メタ)アクリレートである、請求項9に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項12】
前記接着剤組成物が、前記官能基と共有結合する化学的架橋剤を更に含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項13】
前記架橋剤がアジリジン架橋剤から選択される、請求項12に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項14】
前記組成物が、10,000g/モル未満の数平均分子量を有する非官能化ポリイソブチレンを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項15】
粘着付与樹脂、可塑剤又はこれらの混合物を更に含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項16】
基材と、
前記基材の少なくとも1つの表面の上にコーティングされた請求項1〜15のいずれか一項に記載の感圧性接着剤と、を含む物品。
【請求項17】
前記物品がテープである、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
基材を準備することと、
請求項1〜15のいずれか一項に記載の感圧性接着剤を前記基材の表面の上に塗布することと、
前記感圧性接着剤を別の基材に接触させることと、を含む、接着方法。
【請求項19】
少なくとも1つの基材が37ダイン/cm未満の表面エネルギーを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
非官能化合成ゴムと、
アクリルポリマーであって、官能化ポリイソブチレンポリマーが前記アクリルポリマーに結合しているアクリルポリマーと、をブレンドすることを含む、感圧性接着剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−511593(P2013−511593A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539955(P2012−539955)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/056646
【国際公開番号】WO2011/062851
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】