説明

合成枕木及び該合成枕木の製造方法

【課題】難燃性に優れた合成枕木及び合成枕木の製造方法を提供する。
【解決手段】合成枕木本体12の表面に付着した離型剤9fを、発泡母材13の表層13aの一部と共に、#120以下の粗さのサンドペーパー15を用いて研削する。
研削により構成された研削層18では、サンドペーパー15の粗さに合わせて、無数の凹凸18a…が形成される。
そして、この研削層18の表面側に、無機系充填材を配合したウレタン樹脂系塗料19が、スプレーガン21dから塗布されて、難燃層22が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に鉄車輪支持式のリニアモーターカー等の鉄道に用いられて、特に、難燃性に優れた合成枕木及び合成枕木の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄道に用いられる枕木の製造方法として、図6に示すような引き抜き成型機10が、知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
このようなものでは、多数の長尺ガラス繊維1…が、長尺ガラス繊維供給部2から所定間隔に引き揃えられながら、一方方向に進行される。
【0004】
これらの長尺ガラス繊維1…は、進行途中で、ウレタン樹脂液含浸部3に設けられた揉み板4及び含浸板5との間に挿通される。
【0005】
このうち、前記揉み板4は、前記長尺ガラス繊維1…の進行方向とは直交する方向に往復運動可能に構成されている。
【0006】
また、前記長尺ガラス繊維供給部2と、前記ウレタン樹脂液含浸部3との間には、散布器6が設けられている。
【0007】
この散布器6には、散布ノズル6aが設けられていて、各移送ポンプ6b,6cを介して、ポリオール混合液を貯留する第一貯留部6dと、ポリイソシアネート液を貯留する第二貯留部6eとが各々、この散布ノズル6aに接続されている。
【0008】
そして、前記移送ポンプ6b,6cの駆動により、前記ポリオール混合液及び、ポリイソシアネート液が、混合されてウレタン樹脂液7となり、進行途中で引き揃えられたガラス繊維1…群の上方から散布されるように構成されている。
【0009】
この際、発泡剤が混入されるか或いは、液体発泡剤噴霧器8により上面側の表層部に散布されることにより、所望の発泡度が、全体或いは、上面側の表層部に与えられた繊維樹脂強化品が、成型用通路9を構成するエンドレスベルト9a〜9dによって囲まれて、断面形状を略四角形形状とするように成型されながら、硬化して引き出される。
【0010】
次に、この従来の合成枕木の作用について説明する。
【0011】
このように構成された前記従来の合成枕木では、枕木として用いられる繊維樹脂強化品の全体に、所望の発泡度で、独立気泡が形成される高発泡部分を設けることが出来、断熱材として機能させることができる。
【0012】
また、内部の長尺ガラス繊維1…は、無機材料であり、合成枕木本体13の重量のうち、例えば、約50%を占めている。このため、この長尺ガラス繊維1…の噴煙製と共に、前記外側から炎を当てても内部温度が上昇せず、自己消火性が良好である。 なお、金属板表面に、最下層に化成処理層、その上に有機樹脂系塗料の下塗り層が設けられており、その上に変性ポレオレフィン樹脂の接着層とポリオレフィン樹脂層の二層が複合された50〜300μmの中間樹脂層で、該樹脂層の表面は表面改質で官能基の量が、官能基中の酸素量と表面の炭素量の比を表すO/Cで値0.05〜0.30存在しており、さらに、その上にウレタン硬化型ポリエステル樹脂又はウレタン硬化型フッ素樹脂で8〜35μm厚の上塗り塗膜を有することを特徴とする複合金属板も知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【0013】
更に、所定形状を有する木材に難燃剤を含浸せしめた後、その木材表面に基剤と硬化剤から成る二液混合型の難燃性ポリウレタン樹脂塗料を塗布する。これによれば、基剤と硬化剤との架橋反応により、表面に難燃性ポリウレタンから成る硬質の塗膜を有する難燃処理木材が得られるものも知られている(例えば、特許文献3等参照)。
【0014】
このようなものでは、高温多湿の環境下でも難燃剤が溶脱せず、長期に亙って所定の難燃性能を維持することのできる難燃処理木材が提供される。
【0015】
また、難燃剤(燃焼抑制剤、防火剤)としては、主にリン酸化合物及びハロゲン化合物、具体的には、リン酸アンモニウム、リン酸グアニジン、ジシアンジアミドなどが用いられる(例えば、特許文献4参照)。
【0016】
そして、その種の難燃剤を含浸せしめた木材によれば、高い難燃性を有する建築用防火材料として、大規模建築物をはじめ一般家屋の内外装に広く利用することができる。
【特許文献1】特許公開2001−252938号公報(0024段落乃至0041段落、図1)
【特許文献2】特開平8−57417号公報 (0016段落乃至0098段落)
【特許文献3】特開平5−77207号公報 (0014段落乃至0028段落、図1乃至図4)
【特許文献4】特許公開2005−271309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前記合成枕木では、外側から炎を当てると、内部の長尺ガラス繊維1が、無機材料であるので、内部温度の上昇が抑制されて、完全に燃焼してしまうことはないものの、接炎部分では、僅かな厚さではあるが、表面層が焦げてしまう。
【0018】
このような僅かな焦げでも、少量の発煙が発生するため、地下鉄構内や、トンネル内等の略閉塞されている空間に使用する場合、排煙設備等を別途用意しなければならず、全体の施工コストが上昇してしまう虞があった。
【0019】
また、金属板表面に有機樹脂系塗料の下塗り層を設ける場合、最下層に化成処理層を設けなければならない。このため、別途化成処理層を構成するための施設等が、建築工程で必要となり、製造コストが上昇してしまう虞もあった。
【0020】
更に、木材を主材料として用いた枕木では、鉄道用の軌道に敷設される際、軌道に敷き詰められるバラスト(砕石)側の表面が、バラストの突き固め状態が良好ではない部分と接触する場合があった。
【0021】
このため、列車通過時に、前記バラストに擦りつけられて、摩耗し、この摩耗した部分から難燃性能が低下してしまう虞もあった。
【0022】
また、この繊維樹脂強化品を、一定の長さで、切断して得られる枕木11全体を不燃化、難燃化するためには、枕木11全体に不燃材が万遍なく行き渡るように、ウレタン樹脂液7内に混入される分量を設定しなければならない。
【0023】
このため、枕木11の製造コストが増大してしまうといった問題もあった。
【0024】
そこで、この発明は、難燃性に優れた合成枕木及び合成枕木の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、ウレタン系合成樹脂材料を発泡成形した合成枕木本体を有する合成枕木であって、前記合成枕木本体を発泡成形する際、該合成枕木本体の表面に付着した離型剤を研削して形成された研削層と、該研削層の表面側に、無機系充填材を配合したウレタン樹脂系塗料を塗布することにより構成される難燃層とを有する合成枕木を特徴としている。
【0026】
また、請求項2に記載されたものは、前記ウレタン樹脂系塗料の塗布時の塗料粘度を、50〜500cps(at20℃)とする請求項1記載の合成枕木の製造方法を特徴としている。
【0027】
更に、請求項3に記載されたものは、前記合成枕木本体の表面に付着した離型剤を、研削する際に、#120以下の粗さのサンドペーパーを用いる請求項1又は2記載の合成枕木の製造方法を特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
このように構成された請求項1記載のものは、前記成型金型との間の離型に用いられた離型剤が、前記研削層を研削して形成する際に、前記合成枕木本体の表面から除去される。
【0029】
しかも、該研削層は、表面が荒らされて、細かな凹凸を有するので、前記ウレタン樹脂系塗料を塗布する際にも、接着面積が増大している。
【0030】
このため、合成枕木と同一材質のウレタン樹脂系塗料を、研削層に塗布することにより得られる接着性を更に向上させることができると共に、剥離にも強く、良好な耐候性を得られる。
【0031】
該ウレタン樹脂系塗料には、無機系充填材が配合されている。
【0032】
ここで、無機系充填材とは、具体的には、シリカや炭酸カルシウム(ケイ酸塩、カルシウム塩)、或いは水酸化アルミニウムAl(OH)等のアルミニウム塩等である。
【0033】
このため、ウレタン樹脂系塗料によって形成された難燃層が、外方からの炎によっても焦げたり、煙を出す虞がなくなり、例えば、地下鉄構内や、トンネル内等の略閉塞されている空間に使用する場合にも好適である。
【0034】
更に、バラストによって、合成枕木本体の表面が摩耗しても、合成枕木本体の難燃性によって、難燃性の低下が抑制される。
【0035】
従って、少量の無機系充填材によって、難燃性に優れた合成枕木が提供出来るので、製造コストの増大が抑制される。
【0036】
また、請求項2に記載されたものは、前記ウレタン樹脂系塗料の塗布時の塗料粘度が、50〜500cps(at20℃)となるように設定されているので、前記研削層の凹凸が、充分覆われると共に、難燃性を発揮できる塗膜の厚さまで容易に到達させることが出来る。
【0037】
更に、請求項3に記載されたものは、前記合成枕木本体の表面に付着した離型剤が、研削される際に、#120以下の粗さのサンドペーパーが用いられる。
【0038】
このため、別途、化成処理層を設けたり、下塗り層を形成する為の施設を必要としない。
【0039】
また、化成処理や下塗りを行う際に必要とされる乾燥、養生の為の時間を必要とせず、作製時間を大幅に短縮出来、この点においても、製造コストの増大が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、図1乃至図5に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の合成枕木及び合成枕木の製造方法について説明する。
【0041】
なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0042】
まず、この実施の形態の合成枕木の引き抜き成型機20の構成から説明すると、この実施の形態の引き抜き成型機20では、図2に示すように、多数の長尺ガラス繊維1…を供給する長尺ガラス繊維供給部2と、揉み板4,4及び含浸板5を有するウレタン樹脂液含浸部3との間には、散布器6が設けられている。
【0043】
この散布器6には、散布ノズル6aが設けられていて、各移送ポンプ6b,6cを介して、ポリオール混合液を貯留する第一貯留部6dと、ポリイソシアネート液を貯留する第二貯留部6eとが各々、この散布ノズル6に接続されている。
【0044】
そして、前記移送ポンプ6b,6cの駆動により、前記ポリオール混合液及び、ポリイソシアネート液が、混合されてウレタン樹脂液7となり、進行途中で引き揃えられたガラス繊維1…群の上方から、この散布ノズル6aを介して散布されるように構成されている。
【0045】
また、前記ウレタン樹脂液含浸部3内のウレタン樹脂液若しくは、この散布されるウレタン樹脂液7内には、発泡剤が混入されて、成型硬化時の合成枕木本体13の発泡母材13の比重を約0.74程度とするように混合比が調整されている。
【0046】
所定間隔に引き揃えられながら、一方方向に進行される前記長尺ガラス繊維1…は、進行途中で、ウレタン樹脂液含浸部3に設けられた揉み板4及び含浸板5との間に挿通される。
【0047】
このうち、前記揉み板4は、前記長尺ガラス繊維1…の進行方向とは、直交する方向に往復運動可能に構成されている。
【0048】
また、前記成型金型としての成型用通路9近傍には、離型剤9fを、この成型用通路9を構成するエンドレスベルト9a〜9dに接触させて塗布する図示省略の布材(ウエス)が設けられている。
【0049】
この布材によって、塗布される離型剤9fは、前記成型用通路9内を、発泡母材13が、引き抜かれて通過する際に、これらのエンドレスベルト9a〜9dに貼り付くことの無いように、離型を促進させるものである。
【0050】
そして、成型用通路9を構成するエンドレスベルト9a〜9dによって囲まれながら、断面形状を略四角形形状とするように成型された発泡母材13が、硬化されて引き出された後、この発泡母材13は、図2中(a)に示すような丸鋸若しくは、レーザーカッタ装置等の切断装置14によって、所定の長さに切り揃えられて、合成枕木本体12…が形成されるように構成されている。
【0051】
次に、この実施の形態の作用効果について説明する。
【0052】
このように構成された実施の形態の合成枕木及び合成枕木の製造方法では、前記合成枕木の製造工程で、前記発泡母材13が、引き抜き成型される際に、前記合成枕木本体12の表層に、前記離型剤9fが、付着している。
【0053】
このため、このまま、塗料を塗布しても、この離型剤9fが、合成枕木本体12と、塗装層との間に介在しているため、良好な接着性が得られず、一定の接着力に留まる。
【実施例1】
【0054】
この実施の形態の実施例1では、図2中(c)に示すように、合成枕木本体12の表層に、ウレタン塗料を塗布する塗装機21が用いられる。
【0055】
この塗装機21は、ウレタン樹脂系塗料19を供給する供給タンク21aと、この供給タンク21a内に収容されるウレタン樹脂ベース塗料19bに混合される無機系充填材19aを供給する材料供給器21bと、この供給タンク21a内で、混合されたウレタン樹脂系塗料19を、圧力ホース21c及びスプレーガン21dへ圧送する圧送ポンプ21eとにより、主に構成されている。
【0056】
この実施例1では、この無機系充填材19aとして、シリカ又は、炭酸カルシウム(ケイ酸塩、カルシウム塩)若しくは、これらの混合物が用いられる。
【0057】
また、前記合成枕木本体12の発泡母材13は、引き抜き成型されたままの状態では、図3に示すように、この発泡母材13の表面に、離型剤9fが付着している。
【0058】
このため、この実施例1では、図2(b)及び図4に示すように、前記合成枕木本体12の表面に付着した離型剤9fを、この発泡母材13の表層13aの一部と共に、#120以下の粗さのサンドペーパー15を用いて研削する。
【0059】
この実施例1では、サンドペーパー15のヤスリ面が設けられたペーパー本体16が、サンドペーパーホルダ17に装着されて、発泡母材13の表面が研削される。
【0060】
このようにして、研削により構成された研削層18では、前記サンドペーパー15の粗さに合わせて、無数の凹凸18a…が形成される。
【0061】
そして、図2(c)及び図5に示すように、この研削層18の表面側に、無機系充填材を配合したウレタン樹脂系塗料19が、前記スプレーガン21dから塗布される。
【0062】
このウレタン樹脂系塗料19は、無機系充填材19aを前記材料供給器21bから、供給タンク21a内に収容されるウレタン樹脂ベース塗料19bに配合されて、混合されることにより構成されている。
【0063】
このため、このウレタン樹脂系塗料19を塗布することにより構成される図5に示すような難燃層22内には、前記ウレタン樹脂ベース塗料19bに配合された無機系充填材19a…が、混在されている。
【0064】
次に、この実施例1の合成枕木及び合成枕木の製造方法の作用効果について説明する。
【0065】
この実施例1の合成枕木では、前記引き抜き成型機20の成型用通路9から引き抜かれた合成枕木本体12には、成型用通路9との間の離型に用いられた離型剤9fが、付着しているが、前記研削層18が、前記サンドペーパー15によって研削されて形成される際に、前記合成枕木本体12の表面から、表層13aの一部と共に、完全に除去される。
【0066】
しかも、この研削層18は、表面が荒らされて、細かな凹凸18a…を多数有するので、前記ウレタン樹脂系塗料19が塗布される際にも、接着面積が増大している。
【0067】
このため、合成枕木本体12の発泡母材13を構成するウレタン樹脂と同一材質のウレタン樹脂系塗料19を構成するウレタン樹脂ベース塗料19bが、この研削層18に塗布されることにより得られる親和性を伴う接着性を、更に向上させることができる。
【0068】
従って、研削層18に塗布されたウレタン樹脂系塗料19によって形成される難燃層22は、剥離にも強く、良好な耐候性を得られる。
【0069】
しかも、この実施例1では、図2中(c)に示されるように、合成枕木本体12の両端部の端面12a,12aにも、前記ウレタン樹脂系塗料19を、塗布することにより、難燃層22を形成することが出来る。
【0070】
また、このウレタン樹脂系塗料19には、シリカ又は、炭酸カルシウム(ケイ酸塩、カルシウム塩)或いは水酸化アルミニウムAl(OH)等のアルミニウム塩、若しくは、これらの混合物によって構成される無機系充填材19a…が配合されている。
【0071】
このため、ウレタン樹脂系塗料19によって形成された難燃層22が、外方からの炎によっても焦げたり、煙を出す虞がなくなり、例えば、地下鉄構内や、トンネル内等の略閉塞されている空間に、合成枕木として用いて好適である。
【0072】
更に、路面に敷設されたバラスト等によって、合成枕木本体12の表面が摩耗しても、合成枕木本体12の内部の長尺ガラス繊維1…が、無機材料であり、合成枕木本体12の重量のうち、例えば、約50%を占めている。
【0073】
このため、外側から炎を当てても、この長尺ガラス繊維1…が不燃性であると共に、内部に独立気泡を有するウレタン樹脂も、発泡体であるので、熱伝導性が悪いため、内部温度が上昇せず、自己消火性が良好である。
【0074】
よって、この合成枕木本体12の難燃性によって、難燃性の低下が抑制されて、塗装によって形成される塗膜程度の難燃層22であっても、充分に難燃性能を発揮させることが出来、少量の無機系充填材19a…によって、難燃性に優れた合成枕木が提供出来るので、製造コストの増大が抑制される。
【0075】
また、この実施例1では、前記ウレタン樹脂系塗料19の塗布時の塗料粘度が、50〜500cps(at20℃)cpsとなるように設定されているので、前記研削層18の凹凸18a…が、充分覆われると共に、難燃性を発揮できる塗膜の厚さまで容易に到達させることが出来る。
【0076】
しかも、この実施例1では、図2中(c)に示されるように、合成枕木本体12の両端部の端面12a,12aにも、前記ウレタン樹脂系塗料19が、塗布されることにより、難燃層22が形成される。
【0077】
このため、引き抜き成型機20を用いて連続成型した後、所定の長さに切断する工程によって成型される生産効率の良好な合成枕木本体であっても、容易に難燃層22を、前記合成枕木本体12の両端部の端面12a,12aに形成出来る。
【0078】
更に、この実施例1では、前記合成枕木本体12の表面に付着した離型剤9fが、研削される際に、#120以下の粗さのサンドペーパー15が用いられる。
【0079】
このため、別途、化成処理層を設けたり、下塗り層を形成する為の施設を必要としない。
【0080】
また、化成処理や下塗りを行う際に必要とされる乾燥、養生の為の時間を必要とせず、作製時間を大幅に短縮出来、この点においても、製造コストの増大が抑制される。
【0081】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0082】
即ち、前記実施の形態及び実施例1では、研削層18を形成する為に、サンドペーパー15を用いて、前記合成枕木本体12の発泡母材13の表層13aを研削しているが、特にこれに限らず、例えば、サンドブラストや鉄ヤスリを用いる等、他の研削装置や研削工具を用いても良いことは当然であり、ヤスリの目の粗さも、特に、#120以下の粗さに限定されるものではなく、前記合成枕木本体12の発泡母材13の表面に付着した離型剤9fを研削して除去出来るものであればよい。
【0083】
また、前記ウレタン樹脂系塗料19の塗布時の塗料粘度を、50〜500cps(at20℃)cpsとするように構成されているが、特にこれに限らず、前記研削層18の凹凸18a…が、充分覆われると共に、難燃性を発揮できる塗膜の厚さまで容易に到達させることが出来る塗料粘度であれば、限定されるものではない。
【0084】
さらに、前記実施の形態では、発泡母材13の四側面に、研削層18を設けて、難燃層22を各々塗装により形成するように構成しているが、例えば、一面、二面若しくは三面等、合成枕木本体12の表面に、研削層18を設けて、難燃層22を各々塗装により形成するものであれば、特に面数、面積及び形状が限定されるものではない。
【0085】
そして、前記実施例1では、前記塗装機21を用いて、ウレタン樹脂系塗料19を、前記圧力ホース21c及びスプレーガン21dへ圧送して、塗装するように構成されているが、特にこれに限らず、例えば、刷毛による塗装や、浸漬による塗装並びに、これらによる塗装方法に、電着方法を併用する等、どのような塗装方法であってもよい。
【0086】
更に、この実施の形態では、引き抜き成型機20を用いた成型装置により、発泡母材13を、引き抜き成型しているものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、成型金型を用いたバッチ成型によって、発泡母材13若しくは、合成枕木本体12を直接、成型するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態の実施例1の合成枕木を示し、発泡母材の周囲に難燃層が塗装により形成されている構成を説明する縦断面斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1の合成枕木の製造方法に用いられる引き抜き製造機及び難燃化工程を説明する模式的な斜視図で、(a)は、切断工程、(b)は、研削工程、(c)は、塗装工程、(d)は、養生工程を示すものである。
【図3】本発明の実施の形態の実施例1の合成枕木の製造工程で、発泡母材に付着した離型剤の積層状の構成を説明する拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の実施例1の合成枕木の製造工程で、研削工程を説明する拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の実施例1の合成枕木の製造工程で、塗装工程を説明する拡大断面図である。
【図6】従来例の合成枕木の製造装置を示し、全体の構成を説明する模式的な斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
9 成型用通路(成型金型)
9f 離型剤
12 合成枕木本体
13 発泡母材
13a 表層
15 サンドペーパー
18 研削層
18a… 凹凸
19 ウレタン樹脂系塗料
19a 無機系充填材
19b ウレタン樹脂ベース塗料
22 難燃層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン系合成樹脂材料を発泡成形した合成枕木本体を有する合成枕木であって、
前記合成枕木本体を発泡成形する際、該合成枕木本体の表面に付着した離型剤を研削して形成された研削層と、該研削層の表面側に、無機系充填材を配合したウレタン樹脂系塗料を塗布することにより構成される難燃層とを有することを特徴とする合成枕木。
【請求項2】
前記ウレタン樹脂系塗料の塗布時の塗料粘度を、50〜500cps(at20℃)とすることを特徴とする請求項1記載の合成枕木の製造方法。
【請求項3】
前記合成枕木本体の表面に付着した離型剤を、研削する際に、#120以下の粗さのサンドペーパーを用いることを特徴とする請求項1又は2記載の合成枕木の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−260652(P2007−260652A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93320(P2006−93320)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】