説明

合成樹脂製キャップ

【課題】キャップ全体を一体成形できると共に封緘時にその封緘部内への差込み板として使用する押圧板を開封後にあっては蓋体開蓋用の指掛け板として使用できるようにした合成樹脂製キャップの提供。
【解決手段】容器体口頸部外面へ嵌合させる周壁上面を、頂板外周から筒を垂下する蓋体で閉塞し、周壁の後部上端と筒後部の下端とをヒンジ連結し、かつ筒前部から開蓋用指掛け突条を前方突出させた合成樹脂製キャップにおいて、周壁前部に縦孔を穿設して縦孔前方縦孔部分を破断除去可能な封緘板部26に形成し、又筒前部の下端前縁から該前縁と第2ヒンジ32で連結し垂下させた押圧板33を、縦孔内へ挿入させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒンジを中心として開閉する蓋体付きの封緘式合成樹脂製キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器体口頸部外面へ嵌合させる周壁上面を、頂板外周から筒を垂下する蓋体で閉塞し、上記周壁の後部上端と筒後部下端とをヒンジ連結すると共に、筒前部下端へ指掛け突条を横設して、該指掛け突条により上記ヒンジを中心として蓋体の開閉が可能となし、又上記指掛け突条下方の周壁部分へ、縦板後面から後方突出させた棒状突起後端を剥離可能に接着させ、その縦板上端と上記指掛け突条前端部とを互いに噛合うフック状として、上記縦板を除去しなければ蓋体の開閉が不能とした合成樹脂製キャップが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】実公平8−275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来例は縦板を封緘体とするが、該封緘体をキャップに対して別成形してキャップの周壁へ接着するためその成形に面倒があった。
【0004】
本発明はキャップ全体を一体成形できると共に封緘時にその封緘部内への差込み板として使用する押圧板を開封後にあっては蓋体開蓋用の指掛け板として使用できるよう設けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として容器体口頸部2外面へ嵌合させる周壁上面を、頂板外周から筒を垂下する蓋体27で閉塞し、上記周壁の後面上部と筒後面下部とをヒンジ31で連結したキャップにおいて、
上記周壁前部に縦孔24を穿設して該縦孔前方の周壁部分を破断により除去可能な封緘板部26に形成し、又筒前部の下端面前縁から該前縁と押圧板上面の後縁とを第2ヒンジ32で連結垂下させた押圧板33を、上記縦孔24内へ抜出し不能に挿入させた。
【0006】
第2の手段として、上記第1の手段を有し、かつ上記筒29前部の下端部を左右方向へ延長する垂直面35として該垂直面の下端前縁と押圧板33の上面後端縁とを第2ヒンジ32で連結した。
【0007】
第3の手段として、上記第2の手段を有し、かつ上記垂直面の左右方向中間部前面に保持棒36を縦設すると共に、該保持棒前方の押圧板33上面前後方向へ溝38を穿設して、上記第2ヒンジ32を中心とする揺動により押圧板をほぼ水平としたとき、溝内へ保持棒36が嵌着可能に形成した。
【0008】
第4の手段として、上記第1、第2、又は第3の手段を有し、かつ上記キャップの周壁22を、容器体口部を密閉する開口機構付き中栓11の外周壁13と一体成形させた。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のようにすることで、蓋体の筒前部から第2ヒンジ32を介して垂下する押圧板33は周壁22前部の縦孔24内に抜出し不能に挿入されているからその縦孔前方の封緘板部26を除去しない限り開蓋できず、よってその封緘を確実にでき、又上記押圧板33はその封緘板部除去後は第2ヒンジ32を中心とする回動で水平とし、該水平とした押圧板押上げにより蓋体を容易に開くことが出来、よって該押圧板を大きめに作っておくことで、周壁上端に対する蓋体短周壁下端の嵌合が気密性保持のためにかた嵌め状態で行われていてもその開蓋を容易に行うことが出来る。又押圧板を大形化しても開蓋前は垂下させてあるため外方張出して輸送、陳列時に邪魔となることがなく、他物との接触による破損も防止される。
【0010】
請求項2のようにすることで、第2ヒンジ32の長さを大きくすることが出来、従って押圧板33の大きさも適正にできる。
【0011】
請求項3のようにすることで、溝内へ保持棒36を嵌着でき、従って押圧板33は、筒下端から前方突出する状態を保持することとなってその押圧板押上げによる開蓋が容易である。
【0012】
請求項4のようにすることで、中栓付きキャップを一体成形できる便利がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面について説明すると、1 は容器体で口頸部2を起立する。該口頸部外面の上部には凹溝3を、かつ該凹溝下方には突条4をそれぞれ周設している。
【0014】
11は公知のプルリング付き中栓で、頂板12外周から垂下させた外周壁13をその下部内面へ周設した突条を上記凹溝3内へ嵌合させて容器体口頸部2の上部外面へ嵌合させ、又頂板外周部下面を口頸部上端へ載置させると共に該載置部分内方から垂下させたシール筒14を口頸部内面へ嵌合させている。該シール筒上方の頂板部分のやや内方上面からは上端を上外方へ拡開させたノズル筒15を起立し、かつ該ノズル筒が囲む中栓頂板部分を下方へ下降させてその外周部下面へ溝16を周設すると共にその外周一部から上端へプルリング17を付設した連結棒18を起立し、そのプルリング上方引上げで溝上方の弱化部分が破断されて注出口を形成できるよう設けている。上記頂板外周よりもやや内方上面部分からは筒状部19を起立し、該筒状部の上部外面へ凹部を周設して筒状部19上端外周を大外径部としている。
【0015】
21はキャップで、図示例にあっては上記中栓11と一体成形している。22はキャップの周壁で、その周壁上部内へ中栓外周壁13を遊嵌させ、その外周壁下端と周壁内面とを複数の連結子23でほぼ等間隔に連結している。周壁22の前部は、図3、図4が示すようにその周壁上部を前方へ弓形に張出しさせて中栓外周壁13前部との間に縦孔24を形成している。その前方張出し部の両端と非張出し部の両端とは破断可能な複数の連結子25で連結されており、よってその張出し部は破断可能な封緘板部26とさせている。図示例のように周壁前部のうち、下端部を除く部分を外方張出しさせてもよい。尚中栓外周壁13と周壁22とは、一体化させてもよく、この場合は一体化された周壁に縦孔を穿設し、その縦孔前方の周壁部分を外方張出しさせて上記封緘板部26とする。
【0016】
27は上記周壁22上面を開閉する蓋体で、頂板28外周から筒29を垂下して、その下部内面を既述中栓の筒状部19外面へ嵌合させている。筒下端内面へは突条30を周設してその突条を筒状部外面の凹部内へ嵌合させている。キャップ周壁22の後部(図右方)上端と短筒29の後部下端とはヒンジ31で連結させている。
【0017】
筒29の前部下端縁からは第2ヒンジ32を介して押圧板33を垂下する。第2ヒンジは押圧板上面の後端縁と接続させるものであり、その押圧板33は閉塞時において既述縦孔24内へ挿入可能とする。図示例では図5が示すように筒29下端に外向きフランジ状壁34を付設し、かつ該フランジ状壁前部を左右方向へ直線状に除去し、該除去跡を左右方向へ延びる垂直面35とし、又該垂直面の左右方向中間部から上方の筒前面へ保持棒36を縦設している。該保持棒はほぼ垂直となるよう保持棒と接する筒前面部分と垂直面とは面一とする。保持棒は丸棒部分後面へ突条を付設した横断面形状とするとよい。
【0018】
押圧板33は図示のように半円形状の上板33a の外縁弧状部から半円状筒33b を垂下した形状とするとよく、その上板33a の保持棒36下方部分は開孔37とし、又該開孔前方部分は断面優弧状の溝38として図6が示すように押圧板33を第2ヒンジ32を中心として回動させ、上記保持棒36外面へ強制押付けすることで、その溝38内へ保持棒36が嵌着するよう設けている。
【0019】
蓋体27の頂板28下面からは既述ノズル筒15内面へ水密に嵌合させるシール筒39を垂下する。
【0020】
上記キャップは、図3、図4が示す蓋体開蓋状態で合成樹脂材で一体成形した後、図1のように閉蓋する。該閉蓋状態で上記シール筒39はノズル筒15内面へ嵌合され、又押圧板33は縦孔24内へ抜出し不能に挿入される。
【0021】
上記閉蓋状態では、押圧板33が縦孔24内へ挿入されているため開蓋できず、よって開蓋に際しては縦孔前方の周壁部分が形成する封緘板部26を除去することとなる。続いて図6のように押圧板33を水平状態に起すことで溝38内へ保持棒36を嵌着させ、その状態から押圧板33を押上げて開蓋する。開蓋後、プルリング17引き上げにより中栓頂板部分を開口させることが出来る。
【0022】
既述実施形態にあっては中栓11をプルリング付きとしたが、中栓頂板に注出孔を穿設し、その注出孔を蓋体から垂下する栓が開閉するよう設けてもよく、又中栓とキャップとを一体成形ではなく、別部材としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】中栓と一体成形した例で示す、本発明キャップの縦断面図である。
【図2】図1キャップの平面図である。
【図3】図1キャップを開蓋状態で示す断面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】キャップ要部の拡大斜視図である。
【図6】キャップ要部の操作説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 容器体 11 中栓
21 キャップ 22 周壁
23 連結子 24 縦孔
25 連結子 26 封緘板部
27 蓋体 28 頂板
29 筒 31 ヒンジ
32 第2ヒンジ 33 押圧板
36 保持棒 38 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体口頸部2外面へ嵌合させる周壁上面を、頂板外周から筒を垂下する蓋体27で閉塞し、上記周壁の後面上部と筒後面下部とをヒンジ31で連結したキャップにおいて、
上記周壁前部に縦孔24を穿設して該縦孔前方の周壁部分を破断により除去可能な封緘板部26に形成し、又筒前部の下端面前縁から該前縁と押圧板上面の後縁とを第2ヒンジ32で連結垂下させた押圧板33を、上記縦孔24内へ抜出し不能に挿入させた
ことを特徴とする合成樹脂製キャップ。
【請求項2】
上記筒29前部の下端部を左右方向へ延長する垂直面35として該垂直面の下端前縁と押圧板33の上面後端縁とを第2ヒンジ32で連結した
ことを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項3】
上記垂直面の左右方向中間部前面に保持棒36を縦設すると共に、該保持棒前方の押圧板33上面前後方向へ溝38を穿設して、上記第2ヒンジ32を中心とする揺動により押圧板をほぼ水平としたとき、溝内へ保持棒36が嵌着可能に形成した
ことを特徴とする請求項2記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項4】
上記キャップの周壁22を、容器体口部を密閉する開口機構付き中栓11の外周壁13と一体成形させた
ことを特徴とする、請求項1、2、又は3記載の合成樹脂製キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−151458(P2006−151458A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345660(P2004−345660)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】