説明

吊り下げ具

【課題】詰替用シャンプー液パック等のパウチのように重くて表面が滑り易いパウチを確実に保持することができ、構成が簡単な吊り下げ具を提供する。
【解決手段】本体1には、下方に開口する差込口3と側方に開口する保持筒6がある。この保持筒6には、支持針21を有するつまみ部17が押し込み若しくは引き出し可能に挿入されている。つまみ部17は、引き出した際、保持筒6に形成した係止部15に係合する係止爪24を有している。この係止爪24が内方に撓まないよう係止爪24の背面側には変形阻止片26が挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰替用のシャンプー液パック、トリートメント液パック、リンス液パックや洗剤パックその他の表面が滑り易い素材で形成され、重量があるパウチ等のような物品を吊り下げできるようにした吊り下げ具に関し、特に構成が簡単で経済的に得れるようにした吊り下げ具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
詰替用のシャンプー液パック、トリートメント液パック、リンス液パックや洗剤パックその他の各種パウチを、ボトルに詰め替えないで使用できるようパックを逆さに吊り下げるようにしたホルダーが知られている。このようなホルダーは、種々提案されており、本件出願人は、パウチの一部に支持針を刺し込んで保持できるようにした吊り下げ具を提案した(特許文献1参照)。この吊り下げ具は、支持針がパウチの一部に貫通するので、落下するおそれはなく、しっかりとパウチを吊り下げることができる。しかし、この吊り下げ具は、保持筒を有する本体と、この保持筒に挿入固定されスリットを有する内筒と、この内筒に押し込み若しくは引き出し可能に挿入されるつまみ部で構成されている。組み立てに際しては、内筒を押し広げ、ストッパーを有するつまみ部の軸部を内筒の挿通口から内筒内に押し込み、内筒の先端に形成した係止爪を本体の掛止孔に差し込んで係合させなければならないので、組立が面倒であり、構造が複雑で経済的に得にくかった。また、内筒の先端に形成した係止爪は、掛止孔の孔周縁に係合した状態でも、内方に撓む(傾斜)ことが可能であるから、つまみ部を強く引くと、係止爪が内方に撓んで係合が外れ、内筒及びつまみ部が本体から脱落するおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−1111号公報(請求項6、段落0011、0012、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決課題は、上記のように詰替用シャンプー液パック等のパウチのように重く表面が滑り易い物品を確実に吊り下げでき、構成が簡単で、つまみ部を強く引いても吊り下げ具本体からつまみ部が脱落するおそれのない吊り下げ具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、下方に開口する差込口を吊り下げ部の下方に形成し該差込口に臨んで側方に開口する保持筒を形成した本体と、該保持筒内に押し込み若しくは引き出し可能に挿入され上記差込口を貫通可能な支持針を有するつまみ部を具備し、該保持筒の内面には係止部が形成され、該つまみ部には引き出した際係止部に係合可能な係止爪と、該係止爪が内方に撓むことを許容する挿入間隙と、係止爪が内方に撓まないよう該挿入間隙に挿入される変形阻止片が設けられていることを特徴とする吊り下げ具が提供され、上記課題が解決される。
【0006】
また、本発明によれば、上記吊り下げ具の保持筒には上記つまみ部を押し込んだ際上記係止爪が離脱可能に仮係合する内方段部が設けられている上記吊り下げ具が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記のように構成され、下方に開口する差込口を吊り下げ部の下方に形成し該差込口に臨んで側方に開口する保持筒を形成した本体と、該保持筒内に押し込み若しくは引き出し可能に挿入され上記差込口を貫通可能な支持針を有するつまみ部を具備し、該保持筒の内面には係止部が形成され、該つまみ部には引き出した際上記係止部に係合可能な係止爪と、該係止爪が内方に撓むことを許容する挿入間隙と、係止爪が内方に撓まないよう該挿入間隙に挿入される変形阻止片が設けられているので、上記変形阻止片を挿入間隙に差込んだ状態では係止爪は内方に撓むことはできず、そのためつまみ部を強く引っ張っても係止爪と係止部の係合は外れることはなく、確実につまみ部を本体に組み込むことができる。その上、従来のように内筒を設けることなく、つまみ部を直接本体に組み込むようにしたので、部品点数が少なく、製造が簡単である。組み立てる際も、従来のようにスリットを設けた内筒を押し広げてつまみ部を内筒内に押し込むというような面倒な作業が省略され、容易に組み立てでき、経済的に作ることができる。物品を吊り下げる際は、つまみ部を保持筒から引き出した状態で差込口に詰替えパック等の物品の一部、例えばパックの底部を折り畳んで挿入し、その後該つまみ部を保持筒内に押し込むと、つまみ部に設けた支持針が差込口を横切ってパックの一部を貫通し、パックを確実に保持して吊り下げることができる。上記つまみ部を上記係止爪が係止部に当る位置まで保持筒から引き出せば、上記支持針は上記パックから抜き出されるから、該パックを差込口から取り出し、交換することができる。
【0008】
また、上記保持筒に上記つまみ部を押し込んだ際、係止爪が離脱可能に仮係合する内方段部を設けると、つまみ部をパックの保持位置まで挿入したことを確認でき、保持位置につまみ部を仮保持できるから、吊り下げた状態の物品が不意に脱落するようなおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】分解斜視図。
【図3】つまみ部を示し、(A)は半断面図、(B)は平面図、(C)は底面図
【図4】変形阻止片を示し、(A)は半断面図、(B)は底面図
【図5】一部の拡大断面図。
【図6】使用状態を示し、つまみを引き出した状態の説明図。
【図7】つまみを押し込んだ状態の説明図。
【図8】パックを吊り下げた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例を示す図1〜図6を参照し、本体1は、上方に吊り下げ部2を有し、その下部には下方に開口する差込口3を具備している。該本体は、図1に示す実施例では、対向する側壁4、5を張り合わせて構成され、該差込口に臨む一方の側壁4側には側方に開口する保持筒6が設けられている。他方の側壁5側には上記保持筒6に対向する位置に突部7が形成され、その内面には受孔8が設けられている。上記本体1は全体を一体的に構成することもできるが、実施例においては、側壁4、5を有する一対の本体要素9、10を形成し、これを組み合わせて接合面11を超音波溶接している。超音波溶接に代えて接着剤で接着したり、両者をねじ止めしてもよい。また、一対の本体要素を形成しないで差込口を構成するいずれか一方の側壁の一部を切り欠いた本体と、該切欠部に相当する別部材を設け、これらを組み合わせて、差込口を形成するようにしてもよい(図示略)。吊り下げ部は、フック状に形成してあるが、ピンや軸(図示略)等に掛け止めるための掛け孔を設けたり、吸盤や磁石等を設けて吊り下げできるようにしてもよい(図示略)。
【0011】
上記保持筒6は、図に示す実施例では、一端が開口する略楕円筒状に設けられ、内方に形成した底板12には針貫通孔13が設けられ、底板の両側には挿通孔14が設けられている。該挿通孔14は保持筒の内側面に連通し、該保持筒の開口端の内面には、内側面を凹ませた係止部15が形成され、該係止部15よりも深さの浅い内方段部16が上記底板12側の内面に形成されている。なお、係止部15は保持筒6の開口端よりも内方に形成することもできる。
【0012】
上記保持6筒内には、押し込み若しくは引き出し可能につまみ部17が挿入される。該つまみ部17は、周縁が上記保持筒6の開口縁に当接する形状で外側側に凹み部18を有する前面板19と、上記保持筒6内に内接状態で挿入される軸部20を有し、該軸部20には上記差込口3を水平方向に貫通するよう支持針21が2本設けられている。該軸部20の両側には挿入間隙22を空けて側方片23が設けられ、該側方片23の先端には係止爪24が形成されている。該係止爪24はつまみ部17を引き出した際、上記保持筒6の係止部15に係合し、つまみ部17を押し込んだ際、上記内方段部16に離脱可能に仮係合する。上記軸部20のほぼ中央には、両端が開口する貫通孔25が形成されている。
【0013】
上記挿入間隙22に面する軸部20の外側面及び側方片23の内側面は平面に形成され、両面間の幅は側方片23(係止爪24)が内方に撓むことができる幅に形成されている。この構成により、つまみ部17を保持筒6に挿入する際、保持筒6の係止部15を越えて側方片23及び係止爪24を内方に撓ませることができ、組み立てが容易である。側方片23の外側面は保持筒6の両端側の内側面に摺接するよう弧状に形成されている。係止爪24は、上記係止部15に確実に係合するよう前面板19側の高さ(厚さ)が大きく、先端側が前面板19側の高さ(厚さ)に比べて低く(薄く)なるよう傾斜している。これにより、上記保持筒6につまみ部17を挿入する際、側方片23は保持筒6内に容易に入り込む。
【0014】
上記つまみ部17の挿入間隙22には、上記側方片23が内方に撓まないよう変形阻止片26が挿入される。該変形阻止片26は、上記つまみ部17の凹み部18に入り込むフロントプレート27の内側に対向状態に形成されている。該フロントプレート27には上記軸部20の貫通孔25に挿入される一対の軸片28が対向状態に形成され、該軸片28の先端外側には該貫通孔25の内方の開口端に係合するよう係合突起29が設けられている。また、フロントプレート27には、上記支持針21の頭部30を押えることができるよう突部31が形成されている。該変形阻止片26の長さは、適宜の長さに形成することもできるが、好ましくは上記挿入間隙22に挿入した際、変形阻止片26の先端が側方片23の先端まで達しない程度の長さ、図に示す実施例では変形阻止片26の先端が係止爪24の肉厚部の背面に位置するが、先端との間には空間が形成される程度の長さにするとよい。このようにすると、つまみ部17を押し込んで上記内方段部16に係止爪24を仮係合させたとき、係止爪24の先端をわずかに内方に撓ませる(傾ける)ことができるから、つまみ部17を強く引いて係合を離脱させることが容易である。また、つまみ部17に変形阻止片26を挿入した状態でも係止爪24の先端をわずかに撓ませることができるので、予めつまみ部17に変形阻止片26を挿入してから保持筒6につまみ部17を挿入することができる。なお、上記支持針21は金属材料で形成されているが、その他の部材、上記本体1、つまみ部16、変形阻止片26等はプラスチック材料で構成してあるので、弾力性を有し、上記の係合、離脱作用に支障を生じることがなく、簡単に形成することができる。
【0015】
上記の構成により、保持筒6につまみ部17を挿入してから変形阻止片26をつまみ部17に挿入し、若しくは変形阻止片26を挿入間隙22に差し込んだつまみ部17を保持筒6に挿入すると、つまみ部17の係止爪24は、図5に示すように保持筒6の奥部に形成された内方段部16に仮係合し、つまみ部17は押し込み位置に仮保持される。そして、つまみ部17を強く引き出すと、係止爪24は仮係合が外れて保持筒6の開口端側に形成した係止部15に係合し、つまみ部17を引き出し位置に保持することができる。この際、側方片23の背面側に変形阻止片26が入り込んで係止爪24の内方側への撓み(傾斜)が阻止されているので、係止爪24が係止部15から外れない。
【0016】
したがって、図6に示すようにつまみ部17を引き出して支持針21を後退させた後、差込口3の下方から、吊り下げたいパック等の物品32を差し込み、図7に示すようにつまみ部17を押し込めば、支持針21が上記物品32の一部を貫通してその先端が対向する側壁に設けた受孔8に入り込み、物品32を確実に保持することができる。そして、図8に示すように、上記フック等の吊り下げ部2を適宜のハンガー33に引っ掛ければ、全体を吊り下げることができる。その後、詰替用のシャンプー液パック等の場合は、その下端にポンプ34を設けておけば、このポンプ34を操作してパック内の内容物を取り出すことができる。
【0017】
上記内容物がなくなったら、図6に示すようにつまみ部17を引き出して支持針21を物品(パック)から外せば、該物品を新たな物品と交換することができる。使用態様として、上記各実施例では詰替用のシャンプー液パック等のパウチを逆さに吊るす場合の吊り下げ具につき説明したが、本発明の吊り下げ具はその他各種の物品の吊り下げに適用できることは明らかである。
【符号の説明】
【0018】
1 本体
2 吊り下げ部
3 差込口
6 保持筒
15 係止部
16 内方段部
17 つまみ部
20 軸部
21 支持針
22 挿入間隙
23 側方片
24 係止爪
26 変形阻止片
27 フロントプレート
28 軸片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に開口する差込口を吊り下げ部の下方に形成し該差込口に臨んで側方に開口する保持筒を形成した本体と、該保持筒内に押し込み若しくは引き出し可能に挿入され上記差込口を貫通可能な支持針を有するつまみ部を具備し、該保持筒の内面には係止部が形成され、該つまみ部には引き出した際上記係止部に係合可能な係止爪と、該係止爪が内方に撓むことを許容する挿入間隙と、係止爪が内方に撓まないよう該挿入間隙に挿入される変形阻止片が設けられていることを特徴とする吊り下げ具。
【請求項2】
上記保持筒には上記つまみ部を押し込んだ際、上記係止爪が離脱可能に仮係合する内方段部が設けられている請求項1に記載の吊り下げ具。
【請求項3】
上記係止部は保持筒の開口部の開口縁に形成され、上記係止爪はつまみ部に設けた側方片の先端に設けられている請求項1又は2に記載の吊り下げ具。
【請求項4】
上記変形阻止片の先端は、係止爪の先端よりも後方に位置している請求項1から3のいずれかに記載の吊り下げ具。
【請求項5】
上記変形阻止片はフロントプレートに形成され、該フロントプレートはつまみ部の軸部に形成した貫通孔に挿入される軸片を有し、該軸片の先端には貫通孔の開口縁に係合する係合突起が設けられている請求項1から4のいずれかに記載の吊り下げ具。
【請求項6】
上記つまみ部にはフロントプレートを受入れる凹み部が形成されている請求項5に記載の吊り下げ具。
【請求項7】
上記フロントプレートには支持針の頭部に当接する突部が設けられている請求項5または6に記載の吊り下げ具。
【請求項8】
上記本体の側壁には上記支持針の先端を受け入れる受孔が形成されている請求項1から7のいずれかに記載の吊り下げ具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−59368(P2013−59368A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197949(P2011−197949)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(592037804)株式会社三輝 (8)
【Fターム(参考)】