説明

吐出具を備えたエアゾール容器

【課題】上面よりステム3を突設したエアゾール容器Aと、該エアゾール容器Aの上端に装着した吐出具Bとを備え、液吐出後の櫛等の延液部の操作中に余分な液が吐出することを防止できる吐出具を備えたエアゾール容器を提案する。
【解決手段】吐出具は、エアゾール容器の上端部に嵌着した筒状の装着基部B1と、ステムに下端開口を嵌着して起立する吐出管16の上端部に吐出管内と連通する吐出孔37を備えた櫛30等の延液部を設けた吐出部B2とをヒンジ19で連結し、装着基部上に立設したぶれ防止用の支柱21を、吐出部に縦設した案内凹部18内に相対的な上下動が可能に立設した。これにより、櫛により塗布した液を梳く操作中に櫛が横ぶれ等を起こして不用意にステムを押し下げることがなく、無駄な液を吐出しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出具を備えたエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器の上端に櫛等の延液部を備えた吐出具を嵌着させ、吐出具の押し下げにより容器体内液が吐出具内の流路を介して櫛歯の先端や櫛歯を突設する基板より吐出する如く構成したエアゾール容器が種々提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記特許文献1のものは、エアゾール容器外周上端部に嵌着した筒状の装着基部と、ステムの上端に嵌着した吐出管の上部に櫛を突設するとともに、ステムから吐出管内を介して櫛歯に設けた吐出孔に連通する流路を形成した吐出部とを、揺動可能に連結した吐出具を備えている。そして、吐出管に設けた押釦を押し下げることによりステムを押し下げ、エアゾール容器内の液を各吐出孔より吐出する如く構成している。
【特許文献1】特開平10−276831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吐出具を備えたエアゾール容器は、一般に液を吐出しつつ或いは液の吐出後にそのまま櫛歯により毛髪を梳いて液を均一に塗布する如く使用するが、所定量の液が吐出した後櫛歯により毛髪を梳いている際に頭皮や毛髪の抗力で櫛歯が押圧されて横ぶれ等が生じ、ステムを押し下げて液を吐出してしまうという事態を生じることがあり、無駄な液を吐出してしまう結果となる。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、液吐出後の延液部の操作中に余分な液が吐出することを防止できる吐出具を備えたエアゾール容器を提案する。また、それに加えて操作が円滑に行えて取り扱上便利な吐出具を備えたエアゾール容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出具を備えたエアゾール容器は、エアゾール容器と、吐出具とを備えている。
【0007】
エアゾール容器は、上端より上方付勢状態で押し下げ可能にステムを突出した従来使用されている内部構造のものが使用でき、例えば、ステムの押し下げにより内蔵した押し下げ開弁式の吐出弁が開き、ガス圧で収納液がステムの開口より吐出される如く構成したものが使用できる。エアゾール容器は通常の金属製であっても或いは合成樹脂製であっても良い。
【0008】
吐出具は合成樹脂により形成されたもので、装着基部と吐出部とを備えている。装着基部は筒状をなしエアゾール容器の上端部に嵌着している。具体的にはエアゾール容器の外周に嵌合させた嵌合筒よりフランジ状の頂板を延設した形態が基本的であり、また、後述する支柱を立設している。
【0009】
吐出部は、ステムに下端開口を嵌着して起立する吐出管を備えており、吐出管の上端部に吐出管内と連通する吐出孔を備えた櫛,刷毛,スポンジ等からなる延液部を備えている。延液部としての櫛は、複数の櫛歯を突出したもので、吐出管内と連通する吐出孔を備えている。吐出孔は単数であっても複数であっても良く、櫛歯が突設されている基部に開口しても、或いは櫛歯にその内部を通って開口する形態のものであっても良い。また、吐出部には吐出管を押し下げる押釦を設けており、該押釦を押し下げることによりステムの押し下げが可能に構成しており、牽いては液の吐出を可能に構成している。
【0010】
また、本発明に於ける吐出具は液吐出後或いは吐出しつつ延液部を使用する場合に、延液部が例えば頭皮或いは毛髪等の被塗布部から受ける抗力により横ぶれ等が生じるのを防止できる。横ぶれ等が生じると、吐出管を押し下げ牽いてはステムを押し下げて不必要な液を吐出するという不都合を生じる。その為に、装着基部上に立設したぶれ防止用の支柱を、吐出部に縦設した案内凹部内に相対的な上下動が可能に立設している。
【0011】
ぶれ防止用の支柱及び案内凹部は吐出部の押し下げが可能な位置であればどこの位置に設けても良い。例えば、支柱は装着基部の前部であっても後部であっても或いは側部であっても良く、それに対応した吐出部に案内凹部を設ければ良い。ぶれ防止用の支柱は中空であっても中実であっても良く、その形状は種々採用できる。案内凹部は吐出部を押し下げた際に支柱に対してブレが極めて少ない状態で下方へ移行できる如く両者の間にその移動を妨害する隙間等を極力少なく形成する。
【0012】
上記課題を解決するための第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、上面よりステム3を突設したエアゾール容器Aと、該エアゾール容器Aの上端部に装着した吐出具Bとを備え、該吐出具Bは、ステム3に嵌着した吐出管16の上端部に吐出管16と連通する吐出孔37を有する延液部を備えた吐出部B2と、エアゾール容器Aの上端部に嵌着した筒状の装着基部B1とをヒンジ19を介して連結し、吐出管16を押し下げる押釦20を設けてステム3の押し下げを可能に構成してなり、装着基部B1上に立設したぶれ防止用の支柱21を、吐出部B2に縦設した案内凹部18内に相対的な上下動が可能に立設した。
【0013】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、前記吐出管16より錐壁状に下方へ延設するとともに、一部を支柱21の両側及び上方を押し下げ可能に覆う押釦20として形成したカバー筒壁17を設け、押釦20の内部を前記案内凹部18として形成した。
【0014】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段に於いて、上記延液部が櫛30である如く構成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吐出具を備えたエアゾール容器は、操作中の無駄な液の吐出を防止できるもので、例えば延液部として櫛を採用した場合、液の吐出後或いは液を吐出しつつ櫛で毛髪を櫛梳く際に無駄な液の吐出を防止できるものである。
【0016】
また、前記吐出管16より錐壁状に下方へ延設するとともに、一部を支柱21の両側及び上方を押し下げ可能に覆う押釦20として形成したカバー筒壁17を設け、押釦20の内部を前記案内凹部18として形成した場合には、支柱21及び案内凹部18をヒンジ19と対向位置に設けることができ、構造を簡単にできる利点がある。また、支柱21及び案内凹部18の位置をヒンジ19との対向位置より少しずらせばさらなる櫛のぶれ防止を行え、牽いては無駄な液の吐出防止を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1及び図2は本発明吐出具を備えたエアゾール容器の一例を示し、図中1は吐出具を備えたエアゾール容器を示す。該吐出具を備えたエアゾール容器1は、エアゾール容器Aと、吐出具Bと、キャップCとを備えている。
【0019】
エアゾール容器Aは筒状の胴部2上面中央部よりステム3を突出している。胴部2の外周上端部を段部4を介して縮径した小外径部として構成しており、小外径部の上部は下向き段部5を介して下部の小外径部より若干大径化させている。ステム3は胴部2内に内蔵した押し下げ開弁式の吐出弁(図示せず)と連動して上方付勢状態で押し下げ可能に突出しており、押し下げにより吐出弁を開弁してガス圧で液体を噴出する如く構成している。
【0020】
吐出具Bは合成樹脂により形成しており、装着基部B1と吐出部B2とを備えている。装着基部B1は、エアゾール容器Aの小外径部外周に嵌合させた嵌合筒10を頂板11裏面より垂設し、嵌合筒10の内周に突設した係合突条12を下向き段部5に係合させて上方への抜け出しを防止している。また、頂板11の周縁部より垂設した周壁13を段部4外周縁まで垂下している。また、頂板11の中央部を第2周壁14を介して円形に隆起させた隆起頂板部11a を設け、頂板11の前部,第2周壁14の前部,隆起頂板部11a より第2周壁14の後部に至る窓15を穿設している。窓15の先端部分である頂板11の前部部分,第2周壁14の前部部分及び隆起頂板部11a の前端部部分は吐出管16と同幅に平行に切り欠かれており、その後方の隆起頂板部11a 部分及び第2周壁14後部部分は幅広で後方に行くに従って窄まる直線状両辺を備えた形状をなしている。
【0021】
また、吐出部B2はステム3に下端開口を液密に嵌着して上方へ起立する吐出管16を備えており、吐出管16の上端に延液部としての櫛30を連設している。吐出管16の周囲には上端部が窄み且つ吐出管16より大径のカバー筒壁17を設けており、その前部中央を縦長に切り欠いてそこに案内凹部18を設け、案内凹部18両側のカバー筒壁17下端縁をそれぞれヒンジ19を介して隆起頂板部11a に於ける窓15の縁部と上下揺動可能に連結している。また、吐出管16の後部下端部から後方へ台板状の押釦20を突設している。
【0022】
前記案内凹部18にカバー筒壁17の上下動が可能な状態で支柱21を立設している。該支柱21は、装着基部B1の頂板11の前縁より後方へ彎曲しつつ上方へ延びた前壁21a と、前壁21a の上端縁より垂直に垂下して下面をエアゾール容器A上面に当接した後壁21b と、前壁21a の裏面中央部に垂設したリブ板21c とで構成しており、後壁21b が吐出管16の直前に垂下しており、また、前壁21a 及び後壁21b の横幅は案内凹部18を形成する切欠部分の横幅と略同じか若干狭く形成しており、吐出管16に横方向の力が加わっても支柱21により横ぶれが生じるのを防止できる如く構成している。
【0023】
また、櫛30は吐出管16上端に下端部を連設した縦長矩形状で中央部に嵌合凹部31を凹設し、且つ、後方へ傾く基板32と、該基板32内に嵌着した固定板33表面から突設した多数の櫛歯34とを備えており、固定板33裏面中央部には流路形成用凹部35を凹設するとともに、該流路形成用凹部35と吐出管16内とを連通する連通孔36を基板32に穿設し、さらに、固定板33に流路形成用凹部35内と連通する複数の吐出孔37を穿設し、もって、吐出管16内より連通孔36,流路形成用凹部35を通り各吐出孔37に至る流路pを形成している。
【0024】
キャップCは合成樹脂製で、下端を開口した有頂筒状で、吐出具Bを被覆するとともに、周壁50の下端部を装着基部B1の周壁13外周に嵌合させて着脱可能に装着している。
【0025】
上記の如く構成した吐出具を備えたエアゾール容器1を使用する場合は、図1の状態からキャップCを外し、押釦20を押圧することによりステム3を押し下げて液を吐出孔37より吐出する。そして、塗布しつつ櫛歯34で毛髪を梳かすことができる。また、液の吐出後にさらに櫛により塗布液を均一化させる際に櫛30のぶれを極力おさえ無駄な吐出が防止される。
【0026】
図3乃至図5は他の例を示すもので、本例ではエアゾール容器Aは、胴部2の上部外周に環状の凹部6を形成し、環状の凹部6上縁を前記下向き段部5としており、その他は図1のエアゾルー容器Aの例と同様である。また、吐出具Bは、エアゾール容器Aの外周に嵌合させた嵌合筒40を頂板41の裏面より垂設するとともに、嵌合筒40内方の頂板41裏面より垂設した筒部42をエアゾール容器Aの頂面へ当接させてエアゾール容器Aと頂板41との間に所定の隙間を形成して装着した装着基部B1を備えている。また、装着基部B1の頂板41の中央には四角形の窓43を穿設し、該窓43内の後部に突設して支柱21を立設している。支柱21は後板,両側板,上板,より形成された内方及び下方開放の箱型状をなしている。
【0027】
また、ステム3の上端には図1と同様の吐出管16及び櫛30を設けており、吐出管16の上下方向中間部からは四角錐形状にカバー筒壁17を垂下させてその下端縁を窓43内に押し込み可能に嵌合させ、前部下端縁をヒンジ19を介して窓43の前縁の頂板41に揺動可能に連結している。ヒンジ19はカバー筒壁17の前部下端縁全体に亘り設けた横長のものであり、この横長のヒンジ19の存在によっても吐出部の横ぶれを防止する作用を及ぼす。尚、ヒンジ19部分に対応する筒部42の前部部分は切り欠いている。更に、カバー筒壁17の後部には押釦20を一体に設けている。該押釦20は支柱21両側及び上方を押し下げ可能に覆い、内部を案内凹部18として形成している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明エアゾール容器の一部切欠側面図である。(実施例1)
【図2】本発明エアゾール容器の正面図である。(実施例1)
【図3】本発明エアゾール容器の一部切欠側面図である。(実施例2)
【図4】本発明エアゾール容器の斜視図である。(実施例2)
【図5】本発明エアゾール容器の斜視図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0029】
1…吐出具を備えたエアゾール容器
A…エアゾール容器
2…胴部,3…ステム,4…段部,5…下向き段部,6…環状の凹部
B…吐出具(B1…装着基部,B2…装着基部)
10…嵌合筒,11…頂板,11a …隆起頂板部,12…係合突条,13…周壁,
14…第2周壁,15…窓、16…吐出管,17…カバー筒壁,18…案内凹部,
19…ヒンジ,20…押釦,21…支柱,21a …前壁,21b …後壁,21c …リブ板,
30…櫛,31…嵌合凹部,32…基板,33…固定板,34…櫛歯,35…流路形成用凹部, 36…連通孔,37…吐出孔,40…嵌合筒,41…頂板,42…筒部,43…窓,p…流路
C…キャップ
50…周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面よりステム3を突設したエアゾール容器Aと、該エアゾール容器Aの上端部に装着した吐出具Bとを備え、該吐出具Bは、ステム3に嵌着した吐出管16の上端部に吐出管16と連通する吐出孔37を有する延液部を備えた吐出部B2と、エアゾール容器Aの上端部に嵌着した筒状の装着基部B1とをヒンジ19を介して連結し、吐出管16を押し下げる押釦20を設けてステム3の押し下げを可能に構成してなり、装着基部B1上に立設したぶれ防止用の支柱21を、吐出部B2に縦設した案内凹部18内に相対的な上下動が可能に立設したことを特徴とする吐出具を備えたエアゾール容器。
【請求項2】
前記吐出管16より錐壁状に下方へ延設するとともに、一部を支柱21の両側及び上方を押し下げ可能に覆う押釦20として形成したカバー筒壁17を設け、押釦20の内部を前記案内凹部18として形成してなる請求項1記載の吐出具を備えたエアゾール容器。
【請求項3】
上記延液部が櫛30である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の吐出具を備えたエアゾール容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−320603(P2007−320603A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151632(P2006−151632)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】