説明

吐出容器

【課題】中皿が上昇端位置に移動したことを容易に把握でき、内容物を最後まで使い切り易い吐出容器を提供すること。
【解決手段】内部に内容物が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体の上端開口部を塞ぐ頂壁部33と、容器本体に容器軸O回りに回転可能に装着された回転操作体3と、容器本体内に上下摺動可能に嵌合され、回転操作体の回転に伴って上昇移動する中皿4と、を備え、頂壁部には、内容物を吐出させる吐出口37が形成されていると共に、中皿が上昇端位置まで上昇した際に該中皿によって押し上げられて頂壁部よりも上方に突出する押上部材70が設けられている吐出容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中皿の上昇によって内容物を吐出させる吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の容器として、内容物が収容された容器体と、該容器体内に配設された中皿を上昇させる回転操作ハンドルと、を具備する中皿上昇式の容器が知られている(特許文献1参照)。この容器によれば、回転操作ハンドルを回転させることで中皿を上昇させて内容物を押し上げることができ、容器体の頂壁部に形成された吐出孔から内容物を吐出することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−213859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の容器では、中皿が上昇端位置まで上昇したか否かを容易に把握することが難しく、内容物を最後まで使い切れなかったり、回転操作ハンドルを余計に回転させてしまったりする等の問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、中皿が上昇端位置に移動したことを容易に把握でき、内容物を最後まで使い切り易い吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る吐出容器は、内部に内容物が収容される有底筒状の容器本体と、前記容器本体の上端開口部を塞ぐ頂壁部と、前記容器本体に容器軸回りに回転可能に装着された回転操作体と、前記容器本体内に上下摺動可能に嵌合され、前記回転操作体の回転に伴って上昇移動する中皿と、を備え、前記頂壁部には、前記内容物を吐出させる吐出口が形成されていると共に、前記中皿が上昇端位置まで上昇した際に該中皿によって押し上げられて前記頂壁部よりも上方に突出する押上部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る吐出容器によれば、容器本体に対して回転操作体を容器軸回りに回転させることで中皿を上昇移動させることができるので、容器本体の内部に収容されている内容物を押し上げて頂壁部に形成された吐出口から吐出することができる。この際、回転操作体の回転操作で中皿を徐々に上昇させることができるので、内容物を少しずつ繰り出しながら(押し出しながら)確実に吐出でき、使い易く簡便である。
【0008】
ところで、使用中に中皿が上昇端位置まで上昇すると、押上部材が中皿によって押し上げられて頂壁部よりも上方に突出する。そのため、使用者はこの突出した押上部材により中皿が上昇端位置まで上昇移動したことを容易に把握することができ、内容物の残量が無くなったことを認識し易い。従って、内容物を残すことなく最後まで使い切り易いうえ、回転操作体をそれ以上余計に回転操作してしまい難い。
【0009】
(2)上記本発明に係る吐出容器において、前記押上部材が、前記吐出口の内側に上方移動可能に配設されていても良い。
【0010】
この場合には、押上部材が吐出口の内側に配設されているので、例えば内容物の吐出中に押上部材が突出したことをより容易且つ速やかに把握することができる。
【0011】
(3)上記本発明に係る吐出容器において、前記押上部材が、前記吐出口内に上方移動可能に嵌合され、その内側が前記容器本体の内部に連通する吐出路とされた環状の周壁部を有する筒状に形成されていても良い。
【0012】
この場合には、押上部材が筒状に形成され、周壁部の内側が吐出路とされているので、該押上部材が内容物の吐出を妨げ難い。従って、内容物を抵抗少なく滑らかに吐出させることができ、吐出性能を向上させることができる。
【0013】
(4)上記本発明に係る吐出容器において、前記押上部材が、前記周壁部の上端開口部を塞ぐと共に、該押上部材が前記内容物によって押し上げられた時に前記頂壁部よりも上方に移動する天壁部を有する有頂筒状に形成され、前記周壁部の上端部には、前記吐出路内の前記内容物を吐出させる開口部が形成されていても良い。
【0014】
この場合には、中皿の上昇によって内容物が押し上げられると、該内容物が周壁部内の吐出路に流入すると共に押上部材自在を上方に突出させ、天壁部を頂壁部よりも上方に突出させる。そして、この突出により周壁部の上端部も頂壁部よりも上方に突出するので、該周壁部に形成された開口部を通じて吐出路内に流入した内容物を外部に吐出させることができる。
【0015】
ところで、上記したように内容物を吐出させる度に押上部材は上方に突出するが、中皿が上方端位置に未到達のときには押し込みによって該押上部材を元の位置に復帰させることが可能であり、その反面中皿が上方端位置に移動したときには押し込むことができず突出したままの状態が維持される。従って、押上部材によって中皿が上昇端位置まで移動したことを容易に把握することができ、上記した作用効果を同様に奏効することができる。
特に、未使用状態時に、押上部材の天壁部が容器本体の内部に連通する吐出路を塞いでシールするので、内容物への塵埃等の混入や内容物の乾燥等を防ぐことができる。
【0016】
(5)上記本発明に係る吐出容器において、前記頂壁部を着脱自在に覆うオーバーキャップを備え、前記オーバーキャップには、突出した前記押上部材を押し下げ可能な押圧部が設けられていても良い。
【0017】
この場合には、内容物を吐出させた際にその内容物によって押上部材が押し上げられたとしても、オーバーキャップを装着することで、該オーバーキャップに設けられた押圧部によって押上部材を押し下げることができる。
また、中皿が上昇端位置まで移動している状態では、オーバーキャップの押圧部によって押上部材を押し下げることができないため、オーバーキャップを完全に装着することができなくなり、それにより使い切り状態を容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る吐出容器によれば、中皿が上昇端位置に移動したことを容易に把握できるので、内容物を最後まで十分に使い切り易いうえ、回転操作体を余計に回転操作してしまい難い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る吐出容器の縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出容器からオーバーキャップを取り外した後、回転操作蓋を回転させて中皿を上昇端位置まで上昇させた状態を示す図である。
【図3】図1に示す吐出容器の変形例を示す縦断面図である。
【図4】図3に示す状態から、回転操作蓋を回転させて中皿を上昇端位置まで上昇させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る吐出容器の実施形態について図面を参照して説明する。
(吐出容器の構成)
本実施形態の吐出容器1は、図1に示すように、容器軸Oに沿って延びる略有底円筒状に形成され、内部に図示しない内容物(例えば、クリーム状或いはゲル状の内容物)が収容される容器本体2と、容器軸O回りに回転可能に容器本体2に装着された回転操作蓋(回転操作体)3と、容器本体2内に配設され、回転操作蓋3の回転に伴って上昇移動する中皿4と、回転操作蓋3の上から容器本体2に被せられるオーバーキャップ5と、を備えている。
【0021】
なお、本実施形態では、容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。また、容器軸O方向に沿ってオーバーキャップ5側を上側、容器本体2の底壁部10側を下側とする。更に、周方向のうち半時計方向である周方向の一方向を吐出方向Tとする。
【0022】
容器本体2は、底壁部10と周壁部11とを備えていると共に、周壁部11の上端部分には径方向外側に向けて突出した環状の係止部12aを有する係止筒部12が形成されている。また、この係止筒部12には、係止部12aの下端から該係止筒部12の下端部に亘って径方向外側に突出する縦リブ13が形成されている。図示の例では、係止筒部12の周方向の1箇所に縦リブ13が形成されている。但し、縦リブ13は周方向に間隔を開けて複数形成されていても構わない。
【0023】
また、この容器本体2には、係止筒部12の下端部分から径方向外側に向けて突出すると共に、下方に向けて延びる外筒部14が設けられている。この外筒部14は、上記底壁部10よりも下方に延びており、下端縁が接地されている。そして、外筒部14の上端部分には、オーバーキャップ5が螺着されるねじ部14aが形成されている。
容器本体2の底壁部10の中心部には、容器軸Oに沿って上方に延びる円柱状の支柱部15が立設されている。この支柱部15は、後述する回転体20を回転自在に支持する部材であり、その突出高さは容器本体2の周壁部11の高さの例えば略1/3程度とされている。
【0024】
容器本体2の内部には、回転操作蓋3に一体的に連結され、該回転操作蓋3と共に回転する回転体20が配設されている。この回転体20は、容器軸Oに沿って底壁部10から係止筒部12の上端縁まで延びる円筒状の部材であり、下端部分が上記支柱部15に回転自在に外嵌されることで容器軸O回りに回転自在に支持されている。
回転体20の下端部には、径方向外側に突出する環状のフランジ部21が形成されており、該フランジ部21が容器本体2の底壁部10に接している。これにより回転体20は、安定した状態で回転支持されている。
【0025】
また、回転体20の外周面には、略全長に亘って中皿4を構成する後述する第1中皿部50の内筒部53が螺合される雄ねじ部22が形成されている。更に、回転体20の内周面には、径方向内側に突出する縦リブ状のキー部23が放射状に突設されている。図示の例では、上端部よりも若干下方に位置した部分から下端部に亘ってキー部23が形成されている。
【0026】
回転操作蓋3は、有頂筒状の操作蓋本体30と、該操作蓋本体30に被せられた有頂筒状のカバー蓋40と、を備えている。
操作蓋本体30は、容器本体2の係止筒部12を径方向外側から囲む装着筒部31と、該装着筒部31の上端部に連設され、パッキン32を間に挟んで容器本体2の上端開口部を塞ぐ略円板状の頂壁部33と、を有している。
【0027】
装着筒部31には、係止筒部12の係止部12aにアンダーカット嵌合する係合部34が径方向内側に向けて環状に突設されている。これにより、回転操作蓋3は、上方に抜け止めがなされた状態で容器本体2に容器軸O回りに回転可能に装着されている。そして、上記係合部34よりも下方に位置する装着筒部31の下端部には、径方向内側に向けて突設された爪部35が周方向に間隔を開けて複数形成されている。
【0028】
これら爪部35は、径方向内端部が容器本体2の係止筒部12に近接していると共に、周方向に面が向いた2つの側面を有している。これら2つの側面のうち一方の側面は、回転操作蓋3が吐出方向Tに回転させられた時に係止筒部12に形成された上記縦リブ13を乗り越えるテーパー面35aとされ、他方の側面は、回転操作蓋3が吐出方向Tとは反対方向に回転させられた時に上記縦リブ13に接触して回転移動を規制する垂直面35bとされている。
つまり、爪部35及び縦リブ13は、回転操作蓋3の回転方向を一方向、即ち吐出方向Tに規制するためのラチェット機構として機能している。
【0029】
更に、装着筒部31の上端部には、径方向内側に凹むと共に下方に向かって延在した凹リブ36が形成されている。この凹リブ36は、周方向に間隔を開けて放射状に複数形成されている。
【0030】
頂壁部33には、容器本体2の内部に連通し、内容物が吐出される平面視略円形状の吐出口37が形成されていると共に、その中央部には容器軸Oに沿って下方に向けて突設され、上記回転体20内に内嵌される円筒状の係合筒38が形成されている。
係合筒38の外周面には、径方向内側に凹み、回転体20に形成された上記キー部23が嵌め込まれる複数のキー溝39が放射状に形成されている。そして、キー部23とキー溝39との係合により、操作蓋本体30と回転体20とは容器軸O回りに相対的に回転不能に係合されている。これにより、回転体20は操作蓋本体30の回転に伴って回転可能とされている。
【0031】
カバー蓋40は、操作蓋本体30の装着筒部31をさらに径方向外側から囲む周壁部41と、該周壁部41の上端部に連設され、操作蓋本体30の頂壁部33を覆う平面視略円形状の天板部42と、を有している。
周壁部41の上端部分内面には、径方向内側に向かって突設され、操作蓋本体30の装着筒部31に形成された凹リブ36に嵌め込まれる複数の凸リブ43が放射状に形成されている。そして、凹リブ36と凸リブ43との係合により、操作蓋本体30とカバー蓋40とは容器軸O回りに相対的に回転不能に係合されている。
【0032】
天板部42には、操作蓋本体30の頂壁部33に形成された吐出口37内に内嵌される円筒状の吐出筒部44が形成されている。この際、吐出口37内に吐出筒部44を圧入等して、操作蓋本体30とカバー蓋40とを互いに一体的に組み合わせることが好ましい。
また、この天板部42は下方に向かって湾曲しており、吐出口37から吐出された内容物を零し難くすると共に、例えば指先等で容易に掬い取ることを可能とさせる窪み部45を画成している。
【0033】
中皿4は、容器本体2の周壁部11に上下摺動可能に嵌合され、容器本体2内を上昇移動する環状部材であって、一体的に組み合わされた第1中皿部50及び第2中皿部51と、両中皿部50、51の間に固定されたパッキン部材52と、を備えている。
【0034】
第1中皿部50は、回転体20を径方向外側から囲繞する内筒部53と、容器本体2の周壁部11に当接する外筒部54と、内筒部53と外筒部54とを全周に亘って連結すると共に内容物を容器本体2内において第1中皿部50よりも上方に閉じ込める隔壁板55と、を備えている。
【0035】
内筒部53の内周面には、回転体20に形成された雄ねじ部22に螺合する雌ねじ部56が形成されている。外筒部54は、中間部分が径方向内側に若干凹み、上端部と下端部とが全周に亘って容器本体2の周壁部11に当接している。そのため、適度な摩擦力で周壁部11に接しており、滑らかな摺動移動が可能とされている。
なお、この場合に限られず、外筒部54の外周面全体が容器本体2の周壁部11に当接したり、外筒部54の外周面の一箇所のみに全周に亘る当接部を形成したりしても構わない。
【0036】
隔壁板55は、径方向内端部が内筒部53の上端部に全周に亘って連設していると共に、径方向外端部が外筒部54の中間部分に全周に亘って連設している。図示の例では、隔壁板55は垂壁部55aによって下方に向けて段付き形状とされており、外筒部54に連設している径方向外端部が、内筒部53に連設している径方向内端部よりも下方に位置している。
また、この隔壁板55には、内筒部53を径方向外側から囲繞する中間筒部57が形成されている。この中間筒部57は、内筒部53から径方向外側に離間した位置から該内筒部53よりも下方に向かって延びた筒体であり、その内周面には径方向内側に向かって突出する縦リブ57aが全長に亘って形成されている。なお、この縦リブ57aは周方向に間隔を開けて複数形成されている。
【0037】
上記のように構成された第1中皿部50は、外筒部54が適度な摩擦力で容器本体2の周壁部11に当接しているので、回転体20と共に共回りすることなく上昇移動可能とされている。なお、中皿4及び容器本体2の横断面形状を例えば楕円や角形等の非円形状とすることで、共回りをより確実に防止することができる。また、回転体20に形成された雄ねじ部22は、回転体20が吐出方向Tに向けて回転させられたきに第1中皿部50を上昇させるようにねじ溝の向きが調整されている。
【0038】
パッキン部材52は、例えば合成ゴムやエラストマー等の弾性部材で厚みを有する外形矩形状に形成されており、第1中皿部50の内筒部53の下端部に接した状態で中間筒部57の内側に固定されている。この際、中間筒部57に形成された縦リブ57a間にパッキン部材52の辺部が挟み込まれており、これにより回転体20の回転力に起因する該パッキン部材52の回転ずれが抑制されている。
【0039】
パッキン部材52の中央部には、回転体20が挿通される開口部が形成されており、該開口部の内周面が回転体20に対して接している。この際、開口部の内周面を回転体20に対して圧接させても構わないし、内周面を回転体20の雄ねじ部22のねじ溝に入り込むねじ状に形成しても構わない。図示の例では、開口部の内周面がねじ状に形成されている。
このように形成されたパッキン部材52は、雄ねじ部22のねじ溝に沿って内容物が流動してしまうことを規制しながら、第1中皿部50と共に上昇移動可能とされている。
【0040】
なお、上記パッキン部材52を例えば中間筒部57の内側に固定されるリング状に形成し、中間筒部57に形成された複数の縦リブ57aをパッキン部材52の外縁部に喰い込ませることで、該パッキン部材52の回転ずれを抑制するように構成しても構わない。この場合であっても、パッキン部材52の径方向内端部を回転体20に対して圧接させても構わないし、ねじ状に形成しても構わない。
【0041】
第2中皿部51は、第1中皿部50に対して下方から一体的に重ね合わされており、第1中皿部50の中間筒部57の下端部に接する環状の底板部60と、該底板部60の径方向内端部に連設され、上記パッキン部材52を第1中皿部50の内筒部53との間で挟み込む固定筒部61と、底板部60の径方向外端部に連設され、中間筒部57を径方向外側から囲繞する囲繞筒部62と、該囲繞筒部62の上端部に連設され、径方向外側に突出して第1中皿部50の隔壁板55に重なると共に垂壁部55aの内側に嵌め込まれる積層板63と、を備えている。
【0042】
ところで、本実施形態の回転操作蓋3には、上記中皿4が容器本体2の上昇端位置まで上昇した際に該中皿4によって押し上げられて、カバー蓋40の天板部42よりも上方に突出する押上筒部(押上部材)70が設けられている。
【0043】
押上筒部70は、吐出口37の内側に上方移動可能に配設されている。具体的には、押上筒部70はカバー蓋40の吐出筒部44を介して吐出口37に上方移動可能に嵌合される周壁部71を有した円筒状に形成されていると共に、周壁部71から径方向外側に突出した環状の突起部71aが吐出筒部44に形成された環状凹部44aに嵌り込むことで位置決めされている。この際、押上筒部70は、周壁部71の上端部が天板部42に対して略面一とされ、且つ周壁部71の下端部がパッキン32よりも下方に延びて容器本体2の内部に入り込んだ状態で位置決めされている。
【0044】
また、周壁部71の下端部には径方向外側に突出した鍔部72が形成されており、中皿4が上昇端位置まで上昇してきた際、第1中皿部50の隔壁板55に安定的に接しながら押し上げられると共に上方への抜け落ちが規制されている。また、周壁部71の内側は、容器本体2の内部に連通する吐出路Rとされている。
【0045】
オーバーキャップ5は、天壁部と周壁部とからなる有頂円筒状に形成されており、外筒部14に形成されたねじ部14aに螺着されることで容器本体2に着脱自在に装着されている。このオーバーキャップ5の天壁部には、回転操作蓋3の窪み部45と略同形状の突出部(押圧部)5aが形成されている。
【0046】
(吐出容器の使用)
次に、上記のように構成された吐出容器1を使用する場合について説明する。
まず、オーバーキャップ5を回転させて容器本体2から取り外した後、操作蓋本体30とカバー蓋40とが回転不能に係合されている回転操作蓋3を容器本体2に対して容器軸O回りの吐出方向Tに回転させる。これにより、操作蓋本体30に対して回転不能に係合されている回転体20を吐出方向Tに回転させることができ、その結果中皿4を上昇移動させることができる。
すると、中皿4の上昇移動によって、容器本体2内に収容されている内容物が圧力を受けて上方に押し上げられる。そのため、吐出口37に取り付けられた押上筒部70の吐出路Rを通じて内容物を天板部42の窪み部45に吐出することができる。
【0047】
この際、回転操作蓋3の回転操作で中皿4を徐々に上昇させることができるうえ、内容物全体に均等に圧力を付与して押し上げることができるので、該内容物を少しずつ繰り出しながら確実に吐出することができ、使い易く簡便である。
【0048】
ところで、図2に示すように使用中に中皿4が容器本体2内の上昇端位置(例えば、隔壁板55がパッキン32に接する位置)まで上昇すると、押上筒部70が第1中皿部50の隔壁板55によって押し上げられて、上端部が回転操作蓋3の天板部42よりも上方に突出する。そのため、使用者はこの突出した押上筒部70により中皿4が上昇端位置まで上昇移動したことを容易に把握することができ、内容物の残量がほぼ無くなったことを認識し易い。従って、内容物を残すことなく最後まで十分使い切り易いうえ、回転操作蓋3をそれ以上余計に回転操作してしまい難い。
【0049】
また、上記押上筒部70は吐出口37の内側に配設されているので、内容物の吐出中に押上筒部70が突出したことを容易且つ速やかに把握することができる。また、この押上筒部70は円筒状に形成されて、周壁部71の内側が吐出路Rとされているので、使用中に押上筒部70が内容物の吐出具合を妨げ難く、内容物を抵抗少なく滑らかに吐出させることができる。
【0050】
また、オーバーキャップ5には突出部5a(図1参照)が形成されているので、仮に中皿4が上昇端位置となる前に、押上筒部70が上記天板部42よりも上方に突出してしまった場合であっても、オーバーキャップ5を装着するだけでこの押上筒部70を元の位置に押し下げることが可能である。更に、中皿4が上昇端位置にある場合には、オーバーキャップ5が正しく装着されなくなり、視覚だけでなく触覚でも内容物の使い切り状態を認識することができる。
なお、上記突出部5aは、押上筒部70を押し下げ可能とされていれば良く、例えば環状の突出部等、種々の形状を採用することができる。
【0051】
なお、上記実施形態では、回転操作蓋3を操作蓋本体30及びカバー蓋40で構成したが、カバー蓋40は必須なものではなく具備しなくても良い。この場合には、中皿4が上昇端位置まで移動した際に、押上筒部70が操作蓋本体30の頂壁部33よりも上方に突出するように構成すれば良い。
また、上記実施形態では、オーバーキャップ5を容器本体2に対して装着させたが、回転操作蓋3に対して着脱自在に装着させても構わない。
【0052】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、押上部材として円筒状の押上筒部70を例に挙げて説明したが、この場合に限られず、例えば円柱状やピン状に形成し、例えば、吐出口37に内嵌されているカバー蓋40の吐出筒部44の中心部に上方移動可能に配設しても構わない。この場合であっても、中皿4が上昇端位置まで上昇移動した際に、押上部材を上方に押し上げることができ同様の作用効果を奏効することができる。
【0054】
更には、押上部材を円柱状やピン状等に形成した場合、吐出口37とは別に操作蓋本体30の頂壁部33に開口を形成し、該開口内に配置しても良く、また押上部材の外周面と吐出口37の内周面との間を吐出路Rとするように設けても良い。
これらの場合であっても同様の作用効果を奏効することができる。但し、押上部材を吐出口37の内側に配設した場合には、押上部材の取付けが容易になるうえ、より容易に押上部材の突出を把握し易くなるので、好ましい。
【0055】
また、上記実施形態では、中皿4が上昇端位置に達したときに押上筒部70が押し上げられる構成としたが、押上筒部70の長さを調整することによって内容物の残量を押上筒部70の突出具合で表示させることも可能である。
例えば、上昇端位置に達する手間の位置で中皿4が押上筒部70を押し上げる構成とすることで、内容物を完全に使い切る前に残量が少なくなったことを知らせることができ、これにより使用者は買い替え時期等を事前に把握することができる。また、この場合、押上筒部70に複数の表示機能(例えば、外面への印刷や多段形状の成形等)を持たせ、押上筒部70の突出部分(露出部分)の状況から段階的に内容物の残量を使用者に把握させ易い構成にすることも可能である。
【0056】
また、上記実施形態において、図3及び図4に示すように押上筒部(押上部材)90を形成しても構わない。
この場合の押上筒部90は、上記周壁部71と、周壁部71の上端開口部を塞ぐ天壁部92と、を有する有頂筒状に形成されている。天壁部92は、使用中に吐出路R内に吐出されてきた内容物によって押し上げられて天板部42よりも上方に移動される。
【0057】
また、周壁部71の上端部には、吐出路R内と外部とを連通させて吐出路R内に流入してきた内容物を吐出させる開口部93が形成されている。図示の例では、周方向に間隔を開けて複数の開口部93が形成されている。
更に、周壁部71の上端部には、上記開口部93が形成されていない部分に、吐出筒部44に形成された環状凹部44aに嵌り込む図示しない突起部が径方向外側に向けて突設されている。そして、突起部が環状凹部44aに嵌り込むことで、押上筒部90は天壁部92が天板部42に対して略面一とされた状態で位置決めされている。
【0058】
このように構成された押上筒部90を具備する吐出容器80によれば、該押上筒部90が有頂筒状に形成されているので、内容物を吐出する度に該押上筒部90が天板部42よりも上方に突出する。つまり、中皿4の上昇によって内容物が押し上げられると、該内容物が周壁部71内の吐出路R内に流入した後に天壁部92を押し上げるので、押上筒部90自体を上方に突出させることができる。これにより、押上筒部90の周壁部71の上端部が天板部42よりも上方に突出するので、開口部93を通じて吐出路R内に流入した内容物を窪み部45に吐出することができる。
【0059】
ところで、上記したように押上筒部90は内容物が吐出される度に上方に突出するが、中皿4が上方端位置に未到達の場合(図3に示す場合)には、例えば指先による押し下げやオーバーキャプ5の装着による突出部5aの押し下げによって該押上筒部90を元の位置に復帰させることができる。これに対して、中皿4が上方端位置まで上昇移動した場合(図4に示す場合)には、押上筒部90を押し込むことができないので、該押上筒部90は突出したままの状態に維持される。
【0060】
従って、押上筒部90によって中皿4が上昇端位置まで移動したことを容易に把握することができ、上記実施形態と同様の作用効果を奏効することができる。
特に、この場合には、未使用状態時に押上筒部90の天壁部92が容器本体2の内部に連通する吐出路Rを塞いでシールするので、外部から内容物への塵埃等が混入したり、内容物が乾燥等したりしてしまうこと等を抑制し易い。
【0061】
また、上記実施形態では、回転操作体の一例として、頂壁部33を具備する有頂円筒状の回転操作蓋3を例に挙げて説明したが、頂壁部を容器本体2に固定し、回転操作体とは別部材としても構わない。
この場合には、例えば容器本体2の底壁部10側に回転操作体を形成し、該回転操作体と回転体20とを直接回転不能に係合(又は、一体に成形)させ、回転操作体の回転に伴って回転体20が回転可能となるように構成すれば良い。
このように構成した場合であっても、同様の作用効果を奏効させることができる。
【符号の説明】
【0062】
O…容器軸
R…吐出路
1、80…吐出容器
2…容器本体
3…回転操作蓋(回転操作体)
4…中皿
5…オーバーキャップ
5a…突出部(オーバーキャップの押圧部)
33…頂壁部
37…吐出口
70、90…押上筒部(押上部材)
71…押上部材の周壁部
92…押上部材の天壁部
93…押上部材の開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の上端開口部を塞ぐ頂壁部と、
前記容器本体に容器軸回りに回転可能に装着された回転操作体と、
前記容器本体内に上下摺動可能に嵌合され、前記回転操作体の回転に伴って上昇移動する中皿と、を備え、
前記頂壁部には、前記内容物を吐出させる吐出口が形成されていると共に、前記中皿が上昇端位置まで上昇した際に該中皿によって押し上げられて前記頂壁部よりも上方に突出する押上部材が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記押上部材は、前記吐出口の内側に上方移動可能に配設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の吐出容器において、
前記押上部材は、前記吐出口内に上方移動可能に嵌合され、その内側が前記容器本体の内部に連通する吐出路とされた環状の周壁部を有する筒状に形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項3に記載の吐出容器において、
前記押上部材は、前記周壁部の上端開口部を塞ぐと共に、該押上部材が前記内容物によって押し上げられた時に前記頂壁部よりも上方に移動する天壁部を有する有頂筒状に形成され、
前記周壁部の上端部には、前記吐出路内の前記内容物を吐出させる開口部が形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出容器において、
前記頂壁部を着脱自在に覆うオーバーキャップを備え、
前記オーバーキャップには、突出した前記押上部材を押し下げ可能な押圧部が設けられていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−111525(P2012−111525A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262543(P2010−262543)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】